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メトホルミン継続 vs.SU薬、心血管・低血糖リスクは/BMJ

 2型糖尿病の第2選択薬としてのSU薬の使用は、メトホルミン単独使用継続の場合と比べて、心筋梗塞、全死因死亡、および重症低血糖のリスクを増大することが示された。また、メトホルミンから完全に切り替えるよりも、上乗せ投与としたほうが安全と思われることも示されたという。カナダ・Jewish General HospitalのAntonios Douros氏らによる住民ベースコホート研究の結果で、BMJ誌2018年7月18日号で発表された。SU薬に関してはこれまで、第1選択薬として、あるいは他の第2選択薬である抗糖尿病薬と比較した安全性(心血管系および低血糖)は検討されていた。今回、研究グループは、SU薬の上乗せまたは切り替えと、メトホルミン単独継続の場合を比較した安全性の評価を行った。メトホルミン単独継続 vs.SU薬の上乗せまたは切り替えを比較 検討は、英国内の一般診療所のデータを集めたUK Clinical Practice Research Datalinkのデータを用いて行われた。被験者は、1998~2013年にメトホルミン単独療法を開始した2型糖尿病患者。 一般的な新規ユーザーコホートデザイン法を用いて、高次元傾向スコア、HbA1c、およびメトホルミン処方歴数に基づき、SU薬を上乗せまたは切り替えた患者と、メトホルミン単独継続患者を1対1の割合で適合抽出した。SU薬の上乗せまたは切り替え群がメトホルミン単独継続群と比較して、心筋梗塞、虚血性脳卒中、心血管死、全死因死亡および重症低血糖のリスクが増大するかを評価した。群間比較は、Cox比例ハザードモデルを用い、試験アウトカムについてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出して行った。SU薬の上乗せ・切り替えともリスク増大、どちらかといえば上乗せが安全 研究期間中、メトホルミンを開始した7万7,138例のうち、SU薬の上乗せまたは切り替えを行っていたのは2万5,699例であった。 平均追跡期間1.1年間に、SU薬投与群では、心筋梗塞(発生率7.8 vs.6.2例/1,000人年、HR:1.26、95%CI:1.01~1.56)、全死因死亡(27.3 vs.21.5、1.28、1.15~1.44)、重度の低血糖(5.5 vs.0.7、7.60、4.64~12.44)のリスク増大が認められた。虚血性脳卒中(6.7 vs.5.5、1.24、0.99~1.56)および心血管死(9.4 vs.8.1、1.18、0.98~1.43)もリスク増大の傾向がみられた。 また、SU薬の上乗せ群と比較して、切り替え群では、心筋梗塞(HR:1.51、95%CI:1.03~2.24)および全死因死亡(1.23、1.00~1.50)のリスク増大が認められた。虚血性脳卒中、心血管死、重症低血糖については、差はみられなかった。

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オキシントモジュリン作動薬の臨床応用(解説:吉岡成人氏)-890

はじめに インクレチン作動薬として2005年に米国で承認・発売されたGLP-1受容体作動薬であるエキセナチド(商品名:バイエッタ)は、糖尿病の治療に大きな変革をもたらした。エキセナチドが登場し、わずか数年の期間で多くのGLP-1受容体作動薬やDPP-4阻害薬が発売され、毎日の臨床の現場で使用されている。そのような中で、インクレチンの1つであるオキシントモジュリンの臨床応用についての論文がLancet誌に掲載された(Ambery P, et al. Lancet. 2018 Jun 22. [Epub ahead of print])。オキシントモジュリンとその臨床応用 オキシントモジュリンは、GLP-1と同じように、食後に腸管L細胞からの分泌が促進される消化管ホルモンである。グルカゴン構造のC端側にアミノ酸が付加されたペプチドホルモンで、食欲抑制作用を持っている。オキシントモジュリンはGLP-1受容体とグルカゴン受容体の双方に結合し、主に、GLP-1の作用を介して食欲を抑制すると考えられている。また、オキシントモジュリンはグレリンの分泌を抑制する作用を保持しており、摂食を抑制する作用に関してはグレリンとの関連も示唆されている。しかし、GLP-1と同様に血中の半減期は短く、多くの実験はオキシントモジュリンの点滴静注によって行われたものであった。今回の論文は、オキシントモジュリンと同様にGLP-1受容体とグルカゴン受容体の双方に結合する合成ペプチドであるMEDI0382を用いた第II相の臨床成績に関する報告である。 プラセボ対照の無作為化二重盲検試験であり、HbA1c 6.5~8.5%、BMI 27~40kg/m2の2型糖尿病を対象として実施されている。第II相試験が実施された51人のうち、実薬群は平均年齢56.0歳、BMI 32.0kg/m2、HbA1c 7.2%であり、対照群(平均年齢56.9歳、BMI 33.4kg/m2、HbA1c 7.3%)と差はなかったが、実薬群では6週間の治療期間中に3.84kg(対照群1.70kg)の体重減少が認められ、食事負荷試験の際の血糖曲線化面積も有意に改善したと報告されている。GLP-1受容体作動薬との差異 欧米の成績ではあるが、GLP-1受容体作動薬の週1回注射製剤であるセマグルチド(商品名:オゼンピック)は、デュラグルチド(商品名:トルリシティ)に比較して体重減少の作用が大きく、40週間の観察期間において、1mgの投与でBMI(kg/m2)25未満、25~30未満、30~35未満、35以上のすべてのサブグループで5.2~7.6kgの体重減少を認めたとしている(Pratley RE, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2018;6:275-286.)。日本人を対象とした試験でもセマグルチド1mgにより56週間で体重が71.5kgから3.2kg減少したという報告があり(Kaku K, et al. Diabetes Obes Metab. 2018;20:1202-1212.)、MEDI0382による体重減少作用が他の薬剤に比較して大きいかどうかは今後の検討が必要である。おわりに GLP-1受容体とグルカゴン受容体の双方に結合する合成ペプチドであるMEDI0382がGLP-1受容体作動薬をこえる薬剤なのかどうか、新しい薬剤として広く用いられるのかどうか、今後さらなる検討が必要である。

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第4回 特別編 覚えておきたい熱中症の基本事項【救急診療の基礎知識】

覚えておきたい熱中症の基本事項7月に入り東京も連日気温が30℃を超え、40℃近い猛暑が続いています。連日熱中症による症状で救急搬送、外来受診される患者さんが後を絶ちません。熱中症に限りませんが、早期に異常を認知し、介入すること、そして、何より予防に努めることが非常に大切です。暑さに負けないために今回は熱中症の基本的事項をまとめておきましょう。●診療のPoint(1)夏場は常に熱中症を疑え!(2)非労作性熱中症は要注意! 屋内でも熱中症は起こりうる!(3)重症度を頭に入れ、危険なサインを見逃すな!熱中症の定義「熱中症とは何ですか?」と質問されて正確に答えられるでしょうか。以前は熱射病、熱痙攣、熱失神という言葉が使用されていましたが、現在は用いられません(重症度と共に後述します)。熱中症とは「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」とされ、「暑熱による諸症状を呈するもの」のうちで、他の原因疾患を除外したものと定義されています。わが国では毎年7~8月に熱中症の発生率が多く、「今そこにある危機」と認識し、熱中症の症状を頭に入れ意識しておく必要があるのです。熱中症の死亡率本邦の年間発症数は約40万人、そのうち8.7%(約3万5,000人)が入院、0.13%(約520名)が死亡しています。この数値は現在も大きな変化はなく、2016年の死亡者数は621名で65歳以上が79.2%という結果でした(厚生労働省 人口動態統計)。2018年は2017年より暑く、熱中症患者は増加することが予想されます。熱中症を軽視してはいけません。労作性vs.非労作性熱中症と聞くと炎天下の中、スポーツや仕事をしている最中に引き起こされるイメージが強いですが、それだけではありません。熱中症は、「労作性熱中症」と「非労作性熱中症」に分類(表1)され、屋内でも発生します。そして、この非労作性熱中症が厄介なのです。画像を拡大する労作性熱中症の患者背景としては若年男性のスポーツ、中壮年男性の労働(建設業、製造業、運送業、とくに日給制のような短い雇用期間の方)、非労作性熱中症では独居の高齢者が典型的です。労作性熱中症の場合には、若く、集団で活動していることが多く、基礎疾患もなく早期に発見、介入できるため予後は良好ですが、非労作性熱中症は、自宅で発生することが多く、発見が遅れ、また心疾患などの基礎疾患、利尿薬などの内服薬などの影響から治療に難渋することがあるわけです。実際、救急医学会の熱中症実態調査において、熱中症の死亡の危険因子は、(1)高齢、(2)屋内発症、(3)非労作性熱中症でした1)。重症度に影響するばかりでなく、再発防止手段にも影響します。意識して対応しましょう。熱中症の重症度以前、熱中症は、熱射病、熱痙攣、熱失神などの呼び名がありましたが、現在は重症度を理解しやすいように表2のように分類されています1)。I度は必ずしも体温は上がりません。症状で判断します。II度は頭痛や嘔吐、倦怠感に加え、深部体温の上昇を認めます。III度は、意識障害、臓器障害を認め、早急な対応が必要になります。画像を拡大する熱中症を疑うことは、病歴から難しくありませんが、重症度の判断は初期評価をきちんと行わなければ見誤ります。とくに重篤化しやすい、非労作性熱中症の高齢者には注意が必要です。意識が普段と同様か否か、腎前性腎障害に代表される臓器障害を認めていないかを評価しましょう。熱中症の治療治療の原則、「安静」「環境改善」「塩分+水分の補給」は絶対です。重症度や経口摂取の可否を評価し、細胞外液の点滴の適応を判断します。高齢者がぐったりしている、十分な飲水が困難な場合には、点滴を選択したほうがよいでしょう。また、点滴が必要と評価した患者では、採血や血液ガスも検査・評価し、臓器障害の有無も併せて確認しましょう。熱中症II度以上は、体温調節中枢が正常に機能していない状態です。皮膚や筋肉の血管拡張、血流増加、多量の発汗によって循環血液量減少性ショックへと陥ります。急速な輸液に加え、高体温が持続すると多臓器不全(意識障害、痙攣、急性腎障害、DIC etc.)を伴い、輸液だけでなく呼吸管理や透析などの全身管理が必要となることもあります。初期対応としては以下の2点を意識し、速やかに対応しましょう。(1)目標体温深部体温*が39℃を超える高体温の持続は予後不良因子であり、38℃台になるまでは積極的な冷却処置を行いましょう。*深部体温中枢温を正確に反映する部位は腋窩温でも皮膚温でもありません。最も好ましいのは深部体温(膀胱温、直腸温、食道温)です。救急外来など初療時には、直腸温を測定するか、温度センサー付きバルーンカテーテルを利用し、膀胱温を測定するとよいでしょう。健康な人の体温の平均値は、腋窩温36.4℃に対して直腸温37.5℃と約1℃異なると言われていますが、高体温で発汗している場合や測定方法によって、腋窩温や皮膚温は容易に変化します(正しく測定できません)。熱中症、とくに重症度が高いと判断した症例では、深部体温を測定する意識をもちましょう。(2)冷却方法体表冷却法が一般的です。気化熱を利用します。ぬるま湯(40〜45℃)を霧吹きを用いて体表にかけ、扇風機などで扇ぐとよいでしょう。本当に熱中症か?!熱中症は環境因子だけでも十分起こりえますが、普段であれば自己対応(環境を変える、水分・塩分を摂取する)ができずに発生した可能性があります。つまり、熱中症に陥った原因をきちんと検索する必要があります。とくに非労作性熱中症の場合には、尿路感染症や肺炎などの感染症などが引き金となっているかもしれません。また、薬剤やクリーゼなども熱中症様症状をとることがあります。これらの鑑別は病歴をきちんと把握すればおおよそ可能です。明らかに部屋が暑かった、当日の朝までは普段どおりであったなどの病歴がわかれば、感染症や薬剤の影響は考えづらいでしょう。それに対して、数日前から体調の変化があった場合には、感染症などの影響も考え対応する必要があります。発熱か高体温か判断できず、とりあえず血液培養を2セット提出するのは簡単ですが、それ以上に病歴聴取や身体所見を評価することのほうが大切です。プロカルシトニンも鑑別には役立たないため提出は不要でしょう。熱中症の予防熱中症は予防可能です。起こしてしまった人へは、治療だけでなく正しい熱中症の知識、そして周囲の方への啓発・指導を含め、ポイントを絞って熱中症を起こさないために必要なことを伝えましょう。「また熱中症の患者か!?」と思うのではなく、チャンスだと思い、再発予防に努めましょう。熱中症の基本的事項を伝授熱中症の初期症状、非労作性熱中症に関して伝えましょう。症状が熱中症によるものであることを知っておかないと対応できません。また、熱中症は屋外で起こるものと思っていると、非労作性熱中症に陥ります。高齢の方からは「風通しがいいのでクーラーは使用していません(設置していません)」、「クーラーは嫌いでね」という台詞をよく聞きますが、必要性をきちんと説明し、理解してもらうことが大切です。●熱中症の発生リスク評価を伝授猛暑が続いていますが、どの程度危険なのかを認識しなければ、「大丈夫だろう」と軽視してしまいます。朝のニュースをテレビやスマホで確認するのもよいですが、暑さ指数(Wet Bulb Globe Temperature:WBGT)を確認する癖をもっておきましょう。熱中症の発生に関与する因子は気温だけではなく、湿度、風速、日射輻射です。とくに湿度は大きく影響し、これらを実際に計測し算出して出てきた数値がWBGTです。細かなことは割愛しますが、WBGT>28℃になると熱中症が急増し危険と判断します(表3)。画像を拡大する●環境省の熱中症予防情報を伝授環境省熱中症予防情報サイトでは、WBGT(暑さ指数)を都道府県、地点別に確認できます。本稿執筆時の7月19日10時現在の東京都(都道府県)、東京(地点)のWBGT値は31.9℃(危険)と赤表示され、一目で熱中症のリスクが高いことがわかります。3日間の予測も併せて確認できるため、熱中症を予防する立場にある学校の教師や職場の管理者は必ず確認しておく必要があります。朝のニュースなどで危険性は日々報道されていますが、それでもなお発生しているのが熱中症です。願わくは、自ら確認し意識しておくことが必要と考えます。「熱中症の危険がある」ということを事前に意識して対応すれば、体調の変化に対する対応も迅速に行えるでしょう。●熱中症? と思った際の対応を伝授こむら返りや頭痛、倦怠感などを自覚し、環境因子から熱中症? と判断した場合には、速やかに環境を改善し(日陰や店舗内など涼しい場所へ移動)、水分だけでなく塩分を摂取するように勧めましょう。症状が改善しない場合や、自身で水分・塩分の摂取が困難な場合には、時間経過で改善することも多いですが、症状の増悪、一人暮らしで経過を診ることができる家族がいない場合には、病院へ受診するように指示したほうがよいでしょう。屋内外のリスクを見極め夏を過ごす7月は熱中症予防強化月間の重点取組期間です(厚生労働省「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」)。まだまだ暑い日が続きます。日頃の体調管理を行いつつ、屋外でのスポーツや作業をする場合には、リスクを評価し、予防に努め、屋内で過ごす場合には、温度・湿度を意識した環境の設定を行い、夏を乗り切りましょう!1)日本救急医学会熱中症に関する委員会. 熱中症の実態調査-日本救急医学会Heatstroke STUDY 2012最終報告-.日救急医会誌. 2014;25:846-862.

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エキストラヴァージンオリーブオイルまたはナッツ強化地中海食の順守は心血管病ハイリスクを有するも未発症のコホートにおけるイベント抑制に有用!(解説:島田俊夫氏)-889

 地中海食はこれまで広く心血管病リスクを抑制する食事として受け止められてきた。本論文はスペイン国内多施設による心血管病ハイリスクで心血管病未発症、年齢55〜80歳、7,447名(女性57%)のコホートを対象にカロリー制限のない(1)エキストラヴァージンオリーブオイル強化地中海食群、(2)ミックスナッツ強化地中海食群、(3)低脂肪コントロール食群の3群にランダムに割り付け、約5年間追跡した。ところが無作為割り付け後、一部の世帯で割り付け逸脱が発生した。この事実の判明以前に、採択・掲載済み論文1)は解析に不備があると判断し、疑いを含めた1,558名を除外して新たに行った解析結果は以前の結果と一致を認めたけれども、掲載済み論文は自主的に掲載を撤回した。 新たに行われた統計解析においては、傾向分析を使用し主共変量のバランスを3群間で評価した結果バランスが担保されていることが確認できたが、傾向分析の結果を基にintention-to-treat解析を実施した。対照群に対するハザード比は地中海食+エキストラヴァージンオリーブオイル群、地中海食+ミックスナッツ群ではそれぞれ0.69(95%信頼区間0.53~0.91)、0.72(95%信頼区間0.54~0.95)と対照群に対して有意に低値を示した。今回の解析結果も初回解析の結果と一致した。 今回の解析では1次エンドポイントに関して、全体で288名にイベントが発生した。イベント発生率は地中海食(1)群で3.8%、(2)群で3.4%と、コントロール群の4.4%と比較すると両地中海食群で有意にイベントの発生が低かった。 今回の再解析の結果は、地中海食(1)群および(2)群でコントロール群に比べ、1次エンドポイントである主心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心血管系の原因による死亡)の発生が有意に抑制されることが明らかになった。地中海食(1)(2)の両群でいずれでもコントロール群に比べ、主イベントの発生が有意に抑制された。強化地中海食2群相互間には概して有意差は認めなかった。本論文に対する筆者コメント 問題はカロリー制限を設けなかったことおよび地中海地域内での比較のため地中海食の食習慣が広く浸透している地域でもあり、コントロール群に地中海食の影響が色濃く反映されている可能性が濃厚で、コントロール群としてふさわしかったか否かに疑問が残るところである。これを踏まえて、この結果をただちに一般化することには慎重でなければならないと考える。 それゆえに、エキストラヴァージンオリーブオイルあるいはミックスナッツ強化食が、地中海食の心血管疾患予防効果を強化する可能性を単に示した結果と受け止めれば、解釈のうえで問題はない。言い換えれば、ナッツやエキストラヴァージンオリーブオイルの食事への強化または補充は、心血管病の発症抑制を強化する補助手段となりうる可能性を示している。

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anamorelin、日本人消化器がんの悪液質にも効果(ONO-7643-05)/日本臨床腫瘍学会

 がん悪液質は、進行がんの約70%に認められ、とくに進行消化器がんでは多くみられる。予後不良でQOLを低下させるが、現在有効な治療法はない。anamorelinは選択的グレリン受容体作動薬であり、肺がん悪液質における無作為化二重盲検比較試験(ONO-7643-04)で有効性が認められている。神戸市で開催された第16回日本臨床腫瘍学会では、消化器がんにおける悪液質に対するanamorelinの有効性と安全性を評価する多施設非無作為化オープンラベル試験ONO-7643-05の結果について杏林大学 古瀬 純司氏が発表した。・対象患者:大腸、胃、膵臓の進行がんで、6ヵ月以内に5%以上の体重減少が認められ、食欲不振を示す患者。PSは0~2(すい臓がんは0~1)・anamorelin 1mg/日を12週間投与し4週間観察・主要評価項目はDEXA評価による除脂肪体重(LBM)、LMBが維持された割合・副次評価項目は、食欲、体重、脂肪量、QOL、バイオマーカー(プレアルブミン、IGF-1、IGFBP-3)、安全性 患者の年齢中央値は66.5歳、体重中央値49.2kg、BMI中央値18.95。内訳は、大腸がん40例、胃がん5例、膵がん5例であった。 主な結果は以下のとおり。・除脂肪体重の奏効率は63.3%であった。95 %CIの下減も当初の閾値を超えており、主要評価項目を達成した。なお、膵がんは全例増加した・増加した除脂肪体重および体重は時間が経っても維持された・12週での除脂肪体重の増加は1.89kgであった・食欲関連QOL(食欲はあったか、食事をおいしいと思ったか、やせたか)についてはいずれも改善がみられた・全Gradeの有害事象は42.9%に認められたが、Grade3以上は10.2%(5例)、Grade3で頻度が高いものは糖尿病6.2%(3例)であった anamorelinは肺がんと同様、消化器がん悪液質患者の除脂肪体重、体重を有意に増加させ、食欲関連QOLも改善させた。また、忍容性も良好であり、消化器がんにおいても、がん悪液質を有する患者の有効な治療オプションとなる可能性を示した。■参考ONO-7643-04試験(Cancer.2018;124:606-616.)■関連記事日本人肺がんの悪液質に対するanamorelin二重盲検試験の結果(ONO-7643-04)期待のがん悪液質治療薬ONO-7643、第II相試験の結果は?

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簡潔で読みやすい「脂質異常症診療ガイド2018年版」

 動脈硬化性疾患は、がんに次ぐ死亡原因であり、脂質異常症はその重要な危険因子である。昨年のガイドライン改訂に伴い、2018年7月5日、日本動脈硬化学会が「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版について」のプレスセミナーを開催した。今回、診療ガイド編集委員会委員長・日本動脈硬化学会副理事長の荒井 秀典氏(国立長寿医療研究センター病院長)が登壇し、診療ガイドの活用方法について語った。脂質異常症診療ガイド2018年版は簡潔に読みやすく 脂質異常症診療ガイドは脂質異常症患者の診療に必須の知識を理解するための、“簡潔で実用的なガイド”として発刊され、昨年改訂された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」とは異なる役割をもつ。各章はポイントの箇条書きや図表でわかりやすく構成されており、各病態のメカニズムや組織像の写真などが掲載されているため、メディカルスタッフとの情報共有や診察時の説明にも有効である。脂質異常症診療ガイドとガイドラインの違い 同氏はまず、以下の3点を脂質異常症診療ガイドとガイドラインの大きな違いとして強調した。1)脂質異常症の合併症として急性膵炎を動脈硬化性疾患に追加して記載2)実際の身体所見の写真や食品の脂質含有量例など栄養に関する具体的掲載3)新規薬剤の選択的PPARαモジュレーターが他の薬剤と別立てで追加 さらに動脈硬化性疾患予防のためには 、 早期からの包括的管理が重要であることを踏まえ、同氏は「生活習慣の包括的管理による危険因子(肥満、高血圧、高血糖、脂質異常症、腎機能障害など)の改善を基本コンセプトとして包括的管理チャートが作成された」こと、包括的リスク評価・管理の変更点として「Step1 はa、b、cの3段階から2段階に簡略化した」ことを述べた。 脂質異常症診療ガイドによると、脂質異常症を診断するうえで診断基準がポイントとなる。この診断基準の値は「動脈硬化発症リスクを判断するためのスクリーニング値であり、治療開始のための基準値ではない」と記載されており、この基準値を満たしても薬物療法が開始されるわけではない。そして、診断基準で必要なLDL-Cの計算方法は、Friedewaldの式、もしくは直接法で求めるよう記載されるようになった。家族性高コレステロール血症に脂質異常症診療ガイドを活用 FHは原発性脂質異常症の中でもっとも頻度の高い常染色体遺伝疾患であり、早期診断・治療がきわめて重要とされる。同氏は「このような遺伝子疾患をしっかり鑑別して診断してもらうためにも診療ガイドの活用を」とコメントした。アプリやWebの活用も 動脈硬化学会はアプリやWEB活用にも注力し、医療従事者向けアプリ「冠動脈疾患発症予測・脂質管理目標値設定」をホームページ上で提供している。Web版はパソコン上で利用可能であり、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版に掲載している「吹田スコアによる冠動脈疾患発症確率と脂質管理目標値」を簡便に求めることが出来る。これに対応する一般向けアプリ「これりすくん」も提供しているので、患者が自身の疾患リスクを把握するためにも有効である。 最後に、同氏は「自身の興味ある領域の内容を、簡単かつ短時間に把握・理解してもらい、臨床に役立てていただきたい」と、脂質異常症診療ガイドの啓発活動に対する意気込みを語った。

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抗精神病薬の代謝への影響に関するランダム化比較試験

 青少年の非精神病性の破壊的行動障害の治療において、抗精神病薬は一般的に使用されている。米国・セントルイス・ワシントン大学のGinger E. Nicol氏らは、青少年の初回抗精神病薬曝露と代謝への影響を検討するため、身体計測とインスリン感受性の標準的な評価を用いて調査を行った。JAMA psychiatry誌オンライン版2018年6月13日号の報告。 1つ以上の精神疾患および臨床的に有意な攻撃性を有すると診断され、抗精神病薬治療が考慮された、ミズーリ州セントルイスの抗精神病薬を処方されていない青少年(6~18歳)を対象とし、ランダム化臨床試験を実施した。対象は、2006年6月12日~2010年11月10日に登録され、小児の破壊的行動障害に一般的に使用される3種類の経口抗精神病薬のいずれかを投与する群にランダムに割り付けられ、12週間の評価を受けた。データ解析は、2011年1月17日~2017年8月9日に実施された。主要アウトカムは、全体脂肪率(DXA法[二重エネルギーX線吸収法]で測定)と筋肉のインスリン感受性(安定同位体でラベルされたトレーサーによる高インスリンクランプを介して測定)とした。副次的アウトカムは、腹部肥満(MRIで測定)、脂肪および肝組織のインスリン感受性(トレーサーによるクランプを介して測定)とした。 主な結果は以下のとおり。・対象は144例(男性:98例[68.1%]、平均年齢[SD]:11.3[2.8]歳)、アフリカ系米国人が74例(51.4%)、ベースライン時の過体重または肥満患者は43例(29.9%)であった。・アリピプラゾール群49例、オランザピン群46例、リスペリドン群49例にランダムに割り付けられ、12週間の治療が行われた。・ベースラインから12週目までの主要アウトカムについて、DXAによる全体脂肪率は、リスペリドン群1.18%増加、オランザピン群4.12%増加、アリピプラゾール群1.66%増加であり、リスペリドン群およびアリピプラゾール群よりもオランザピン群において有意に大きかった(治療相互作用による時間:p<0.001)。・ベースラインから12週目までのインスリン刺激による骨格筋の糖取り込み率の変化は、リスペリドン群2.30%増加、オランザピン群29.34%減少、アリピプラゾール群30.26%減少であり、薬剤間に有意な差は認められなかった(治療相互作用による時間:p<0.07)。・インスリン感受性の主要な測定値は、プールされた試験サンプルにおいて、12週間有意に減少した。・ベースラインから12週目までの副次的アウトカムについては、リスペリドン群またはアリピプラゾール群よりもオランザピン群において、皮下脂肪の有意な増加が認められた(治療による時間:p=0.003)。・すべての群において、行動の改善が認められた。 著者らは「青少年に対する12週間の抗精神病薬治療中に、脂肪量およびインスリン感受性の有害な変化が認められ、オランザピンにおいて最も大きな脂肪量の増加が認められた。このような変化は、治療に起因するものであると考えられ、早期の心筋代謝性罹患率および死亡率のリスクと関連している可能性がある」とし、「青少年に対する抗精神病薬使用はリスクとベネフィットを考慮する必要がある」としている。■関連記事破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用小児攻撃性に対する抗精神病薬の効果~メタ解析第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は

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体脂肪量が死亡と強い正の相関/BMJ

 身体組成は直接的な評価が困難であるため、大規模な疫学研究では身体組成と死亡との関連は明らかにされていない。米国・ハーバードT.H. Chan公衆衛生大学院のDong Hoon Lee氏らは、身体計測予測式を用いた検討を行い、BMIと死亡との関連は、除脂肪量(lean body mass[除脂肪体重])および脂肪量(fat mass)という2つの身体組成と死亡との関係によって規定されることを示した。研究の成果は、BMJ誌2018年7月3日号に掲載された。多くの疫学研究により、BMIと死亡には、予想とは異なりJ字型またはU字型の関連が報告されており、肥満パラドックスと呼ばれる。このパラドックスは、BMIへの除脂肪体重や体脂肪量の寄与が、正当に評価されないことにより引き起こされている可能性もあるという。3万8,000例の男性のデータを前向きに解析 研究グループは、米国の男性における除脂肪体重、脂肪量、BMIと、全死因死亡および原因別死亡との関連を評価する前向きコホート研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 解析には、Health Professionals Follow-up Studyに参加し、1987~2012年に死亡の調査が行われた男性3万8,006例(40~75歳)のデータが用いられた。 米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey)のデータをもとに開発され、妥当性が検証された身体計測予測式を用いて、全参加者の除脂肪体重と脂肪量を推算した。平均追跡期間21.4年の間に、1万2,356例が死亡した。BMIと死亡はJ字型、除脂肪体重と呼吸器疾患死は逆相関 BMIと全死因死亡の間には、一貫してJ字型の関連が認められた。 多変量で補正したCoxモデルによる解析では、推定脂肪量と全死因死亡の間に強力で単調な正の相関が示された。推定脂肪量の値が最も低い5分の1の集団と比較して、最も高い5分の1の集団の全死因死亡のハザード比(HR)は1.35(95%信頼区間[CI]:1.26~1.46)であった。 これに対し、推定除脂肪体重と全死因死亡には、U字型の関連が認められた。推定除脂肪体重の値が最も低い5分の1の集団と比較して、5つの集団のうち2~4番目の集団は全死因死亡のリスクが8~10%低かった。 制限3次スプラインモデルでは、全死因死亡のリスクは推定脂肪量が21kgまでは横ばいで推移し、その後急激に上昇した(非線形性:p<0.001)。また、推定除脂肪体重は、56kgまでは全死因死亡のリスクが大幅に低下し、その後は上昇した(非線形性:p<0.001)。 原因別死亡率については、推定脂肪量の値が最も高い5分の1の集団では、心血管死のHRが1.67(1.47~1.89、傾向検定:p<0.001)、がん死のHRは1.24(1.09~1.43、p=0.005)であり、呼吸器疾患死のHRは1.26(0.97~1.64、p=0.03)だった。 一方、推定除脂肪体重と、心血管死およびがん死の間には、U字型の関連が認められたが、推定除脂肪体重と呼吸器疾患死には強い逆相関の関係(p<0.001)がみられた。 著者は、「推定体脂肪量は死亡と強く単調な正の相関を示したのに対し、推定除脂肪体重は死亡と強力なU字型の相関を示した」とまとめ、「肥満パラドックスの議論は、低BMIの範囲では、低脂肪量よりもむしろ低除脂肪体重によって説明可能な部分が多いと考えられる」と指摘している。

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実臨床で安全性が高いDOACは?/BMJ

 英国・ノッティンガム大学のYana Vinogradova氏らは、プライマリケアにおいて、直接経口抗凝固薬(DOAC)と出血・虚血性脳卒中・静脈血栓塞栓症・全死因死亡リスクの関連を、ワルファリンと比較検証する前向きコホート研究を行い、概してアピキサバンが最も安全で大出血・頭蓋内出血・消化管出血のリスクが減少したのに対して、リバーロキサバンと低用量アピキサバンは全死因死亡リスクの上昇と関連していたことを明らかにした。これまで、無作為化比較試験でワルファリンに対するDOACの非劣性が示されていたが、実臨床での観察試験はほとんどが心房細動患者を対象としていた。BMJ誌2018年7月4日号掲載の報告。DOAC 3剤とワルファリンの出血リスクを英国プライマリケアベースで比較 研究グループは、QResearchおよびClinical Practice Research Datalink(CPRD)の2つのデータベースから、それぞれ2011年1月〜2016年10月および3月に、英国のプライマリケアにおいてワルファリン(13万2,231例)、ダビガトラン(7,744例)、リバーロキサバン(3万7,863例)、アピキサバン(1万8,223例)を新規に処方された患者(新規処方前12ヶ月以内に抗凝固薬を処方されたことのある患者は除外)を特定し、心房細動患者と非心房細動患者に分け分析した。 主要評価項目は、入院や死亡に至った大出血。副次評価項目は虚血性脳卒中、静脈血栓塞栓症および全死亡であった。DOACではアピキサバンが最も安全 心房細動患者(10万3,270例)では、ワルファリンと比較してアピキサバンが大出血(補正後ハザード比[aHR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.54~0.79)および頭蓋内出血(0.40、0.25~0.64)のリスク減少と関連していることが、また、ダビガトランは頭蓋内出血(0.45、0.26~0.77)のリスク減少と関連していることが認められた。一方、全死因死亡リスクの上昇が、リバーロキサバン内服患者(1.19、95%CI:1.09~1.29)、および低用量アピキサバン内服患者(1.27、95%CI:1.12~1.45)で確認された。 非心房細動患者(9万2,791例)では、ワルファリンと比較してアピキサバンが大出血(aHR:0.60、95%CI:0.46~0.79)、全消化管出血(0.55、0.37~0.83)、上部消化管出血(0.55、0.36~0.83)のリスク減少と関連していた。また、リバーロキサバンは、頭蓋内出血のリスク減少と関連がみられた(0.54、0.35~0.82)。一方、全死因死亡リスクの上昇が、リバーロキサバン内服患者(1.51、1.38~1.66)および低用量アピキサバン内服患者(1.34、1.13~1.58)において確認された。 なお著者は、英国のプライマリケアに限定されたものであり、アドヒアランスや処方の適応症に関する情報が不足していることなどを研究の限界として挙げている。

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CVリスク患者の術前運動耐容能評価にご用心/Lancet

 心臓以外の大手術前に行う運動耐容能の評価には、主観的評価は用いるべきではないことが、カナダ・Li Ka Shing Knowledge InstituteのDuminda N. Wijeysundera氏らによる国際共同前向きコホート試験の結果、示された。運動耐容能は大手術リスクアセスメントの重要な項目の1つであるが、それに対する医師の臨床上の主観的評価は必ずしも正確ではない。研究グループは、術前の主観的評価と、死亡や合併症を予測する代替フィットネスマーカー(心肺運動負荷試験[CPET:cardiopulmonary exercise testing]、DASI:Duke Activity Status Index、NT pro-BNP)を比較する検討を行った。Lancet誌オンライン版2018年6月30日号掲載の報告。主観的評価と代謝マーカー測定値の予測分類を比較 検討は、25病院(カナダ5、英国7、オーストラリア10、ニュージーランド3)で、心臓以外の大手術を予定しており、1つ以上の心臓合併症リスク(心不全、脳卒中、糖尿病の既往など)または冠動脈疾患があるとみなされた40歳以上の成人患者を対象に行われた。 被験者の運動耐容能は、術前評価クリニックで信頼できる麻酔科医によって、代謝当量(metabolic equivalents)の単位で評価・分類された(<4:不良、4~10:中等度、>10:良好)。また、質問票に基づくDASIスコア、CPETでの最大酸素摂取量、血液検査による血漿NT pro-BNP値の測定も行われた。手術後には、術後3日間または退院までの連日、心電図および血液検査によるトロポニン値とクレアチニン値の測定が行われた。 主要アウトカムは、術後30日間の死亡または心筋梗塞の発生で、CPETと手術の両方を受けた全患者について評価した。予後の精度はロジスティック回帰法、ROC曲線、およびネットリスク再分類を用いて評価した。DASIスコアの評価が有用 2013年3月1日~2016年3月25日に、CPETと手術を受けた1,401例が試験に包含された。年齢中央値は65歳(IQR:57~72)、女性は39%、91%がAmerican Society of Anesthesiologists Physical Status(ASA-PS)分類でClass 2または3であり、大半が主要な腹部、骨盤領域または整形外科の手術を受けた患者であった。 術後30日間に死亡または心筋梗塞を発症した患者は28/1,401例(2%)であった。 CPETで運動耐容能が不良(代謝当量<4)と識別された患者について、主観的評価による識別の感度は19.2%(95%信頼区間[CI]:14.2~25)、特異度は94.7%(93.2~95.9)であった。 1,401例のうち、DASIスコアの評価を完了していたのは1,396例(99.6%)であったが、同スコアのみが、主要アウトカムを有意に予測した(補正後オッズ比:0.96、95%CI:0.83~0.99、p=0.03)。 著者は、「臨床医にとって心臓に関するリスクアセスメントでは、DASIなどが客観的指標として代替できるだろう」と述べている。

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子どもに対する抗精神病薬の処方前後における血糖・プロラクチン検査実施率に関する研究

 多くの国で、抗精神病薬(主に統合失調症、双極性障害、自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の治療に用いられる薬剤)による治療を受ける子供が増加している。大人と同様に、子供に対する抗精神病薬の使用は、糖尿病発症リスクの増大と関連している。このような点から、米国やカナダの診療ガイドラインでは、子供に対して抗精神病薬を処方する際、定期的に血糖検査を実施することが推奨されている。また、一部の抗精神病薬の使用はプロラクチンの上昇と関連しており、高プロラクチン血症による無月経、乳汁漏出、女性化乳房などの有害事象が、短期間のうちに発現する可能性もある。しかし、子供にとってこのような有害事象の徴候を適切に訴えることは難しいため、抗精神病薬を処方する際には、血糖検査と同時に、プロラクチン検査も実施すべきと考えられる。 医療経済研究機構の奥村 泰之氏らは、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、日本における、子供に対する抗精神病薬の処方前後の、血糖・プロラクチン検査実施率を明らかにするため検討を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2018年6月11日号の報告。 NDBを用いて、15ヵ月間のレトロスペクティブコホート研究を実施した。2014年4月~2015年3月に抗精神病薬を新規に処方された18歳以下の患者を、450日間フォローアップした。アウトカムは、処方前30日~処方後450日の間における、血糖・プロラクチン検査の実施状況とした。血糖・プロラクチン検査実施率は、次の4つの検査時期について評価した。(1)ベースライン期(処方前30日~処方日)、(2)1~3ヵ月期(処方後1~90日)、(3)4~9ヵ月期(処方後91~270日)、(4)10~15ヵ月期(処方後271~450日)。 主な結果は以下のとおり。・6,620施設から得られた、新規に抗精神病薬の処方を受けた4万3,608例のデータのうち、継続的に抗精神病薬を使用していた患者は、処方後90日で46.4%、270日で29.7%、450日で23.8%であった。・ベースライン期に検査を受けた患者の割合は、血糖検査13.5%(95%CI:13.2~13.8)、プロラクチン検査0.6%(95%CI:0.5~0.6)であった。・4つの検査時期すべてにおいて、定期的に血糖検査を受けた患者は、0.9%に減少していた。また、プロラクチン検査を受けた患者は、1~3ヵ月期で0.1%に減少していた。 著者らは、本研究結果について以下のようにまとめている。・本研究では、抗精神病薬の処方を受けた子供が血糖検査やプロラクチン検査を受けることは、まれであることが示唆された。・これらの検査実施率が低くなる背景として、抗精神病薬治療の一環として血糖検査やプロラクチン検査を実施する必要性が十分に認識されていないこと、採血に人手と時間を要すること、メンタルヘルスに関する相談の場で子供や保護者が採血を想定しておらず嫌がること、などが考えられる。また、子供のメンタルヘルスを診療できる医療機関が少なく、採血を苦痛として通院が阻害されてしまうことがないよう、医師が慎重にならざるを得ない状況も考えられる。・かかりつけ医が検査を実施して、その結果を、抗精神病薬を処方する医師と共有する体制を構築することも、解決策の1つであると考えられる。・抗精神病薬治療の一環として必要な検査を周知することに加えて、子供のメンタルヘルスを診療できる医療機関を増やし、かかりつけ医との診療連携を強化するなど、子供のメンタルヘルスに関する医療体制に対して総合的な観点からの解決が求められる。■関連記事小児に対する抗精神病薬処方、診断と使用薬剤の現状は非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状日本の児童・思春期におけるADHD治療薬の処方率に関する研究

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素因遺伝子パネルと膵がんリスクの関連(解説:上村直実氏)-886

 わが国の死因順位をみると悪性新生物による割合が増加し続けているが、最近、肝炎ウイルスやピロリ菌による感染を基盤に発症することが判明した肝臓がんや胃がんによる死亡者数が激減しており、さらに、増加し続けてきた肺がんと大腸がんによる死亡者数もついに低下してきた。このような状況の中、毎年のように死亡者数が増加しているのが膵がんである。 膵がんは、発見された際に手術可能な症例が約30%であり、5年生存率も10%以下で予後の悪いがんの代表とされており、早期に発見できる方法が世界中で模索されている。今回、血液で測定可能ながん素因遺伝子パネルを用いて膵がんリスクを検討した研究結果がJAMA誌に掲載された。 3,030例の膵がん症例と対照5万3,105症例を対象として、素因遺伝子の生殖細胞系列変異の頻度を比較した結果、対照と比較して膵がんと関連すると考えられる6つの素因遺伝子変異(Smad4、p53、ATM、BRCA1、BRCA2、MLH1)が同定され、この変異が全膵がん患者の5.5%にみられたことから膵がんの中には遺伝的な素因を有する患者が少なくないことが示唆される。また、がんの既往歴や乳がんの家族歴がこれらの遺伝子変異と関連性を認めていることも、臨床現場で留意すべき点である。 一方、アンジェリーナ・ジョリーの乳房切除で注目された遺伝性乳がんの原因であるBRCA変異が陽性の場合はプラチナ製剤やPARP阻害薬が奏効する可能性が高く、今後、治療法の選択にも遺伝子変異のチェックをしたほうがよい時代となることが予感された。 近い将来、実際の臨床現場において血液検査で種々の素因遺伝子パネルを用いたリスク分類による膵がんの早期発見が可能となることが期待されるが、膵がんの発症は遺伝的要因と環境要因の相互作用に基づく症例が大部分である。したがって、膵がんに関しては動物実験や腫瘍組織の検討から局所における遺伝子異常の解析が進んでいること、腹部超音波や内視鏡検査の精度も向上していることから、今後、素因遺伝子パネルとともに新たな早期発見方法が期待される。

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「旅行にいくと太る」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第19回

■外来NGワード「旅行では食べ過ぎないようにしないと!」(行動を責めてしまう)「そんな旅行をしないようにしなさい!」(患者の楽しみを奪ってしまう)「旅行で太った分、早く痩せないと…」(プレッシャーをかけてしまう)■解説 「旅行にいって太った」という患者さんに対して、「旅行では食べ過ぎないようにしないと!」と指導しても後の祭りです。「旅行にいくと太る」という患者さんには、「旅行くらい羽目を外してもいいだろう」とか、「せっかく旅行に来たんだから食べないと…」という心理が働いています。さらに、旅行では、朝はバイキング、バスの中ではおやつ、夜は豪華な懐石料理など、食の誘惑がたくさんあります。そういった患者さんの行動パターン(食べ放題で食べ過ぎる、バス移動で身体を動かさないなど)を一緒に分析してみましょう。逆に、太らない旅行ができる患者さんもいます。たとえば、遊園地で動き回り、園内の食べ物は高いため、あまり食べないとか。近年は、健康に配慮した旅行プランも提供されています。以前は好き嫌いがある人でも楽しめるよう、夕食は豪華でさまざまなものが出てきましたが、最近では、夕食を量より質で選べるコースがあるようです。そのような情報を患者さんに伝えながら、療養指導を上手に行いましょう。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師今度、旅行にいかれるのはいつですか?(次回の予定の確認)患者まだ、決めていないんですが、旅行にいくと太ってしまって…。医師そうですか。それでは、今日は旅行しても太らずに帰ってくる方法をお話ししましょうか。患者よろしくお願いします。医師まず、「太りやすい旅行」と「太りにくい旅行」があります。患者えっ、それはどういうことですか?(興味津々)医師太りやすい旅行は、朝からバイキングなどでいろいろなものを食べ過ぎる。患者それ、私です! いつもの朝食は軽めなのに、旅行だとご当地ものとか、ついたくさん食べてしまって…。医師ハハハ…。移動はバスで、仲間同士おやつを交換するとか。患者そうなんです。みんな持ち寄りで…。それと、お土産屋さんでさらに買って…。医師ハハハ…。それほど動いていないのに、昼も食べ放題。夜は豪華なごちそうを堪能する。患者まさに、そのとおりです。どうしたらいいですか?医師先日、旅行にいっても太らず、むしろ痩せて帰ってきた人がいました。患者どんな風にされたんですか?医師その人は…(太らない旅行についての解説が始まる)■医師へのお勧めの言葉「“太る旅行”と“太らない旅行”がありますよ!」■参考資料

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肥満の2型糖尿病に、デュアルアゴニストが有効/Lancet

 開発中の糖尿病治療薬MEDI0382は、過体重・肥満の2型糖尿病患者に、臨床的に意味のある血糖値の低下と体重減少をもたらすことが、英国・MedImmune社のPhilip Ambery氏らの検討で示された。過体重・肥満の2型糖尿病患者の管理では、減量が重要となるが、臨床的に意味のある体重減少を達成した糖尿病治療薬は少ない。MEDI0382は、GLP-1とグルカゴン受容体のデュアルアゴニストであり、2型糖尿病と肥満の治療薬として開発が進められている。Lancet誌オンライン版2018年6月22日号掲載の報告。ドイツで行われた複数用量漸増と第IIa相の統合試験 本研究は、ドイツの11施設が参加した複数用量漸増(MAD)試験と第IIa相試験を統合した二重盲検プラセボ対照無作為化試験である(MedImmune社の助成による)。対象は、年齢18~65歳、2型糖尿病がコントロールされ(スクリーニング時のHbA1c:6.5~8.5%)、BMIが27~40の患者であった。 被験者は、MEDI0382またはプラセボを投与する群にランダムに割り付けられた。MAD試験ではコホートA~Cは2対1、コホートDとEは3対1の割合で、第IIa相試験では1対1の割合で割り付けられた。また、MAD試験の5つのコホートでは最大300μgを最長22日間まで、第IIa相試験では最大200μgを最長41日間まで、1日1回皮下注射された。 第IIa相試験の主要エンドポイントは、1)混合食負荷試験(MMTT)後0~4時間血糖値の曲線下面積(AUC0-4h)と、2)ITT集団における体重の、ベースラインから41日目までの変化とした。安全性の解析は、試験薬の投与を受けた全患者で行った。 2015年12月9日~2017年2月24日の間に、MAD試験に61例(MEDI0382群:42例、プラセボ群:19例)、第IIa相試験には51例(25例、26例)が登録された。第IIa相試験では、MEDI0382群の3例、プラセボ群の1例が、有害事象により治療を中止し、それぞれ22例(88%)、25例(96%)が少なくとも1回の投与を受け、ベースラインと41日目の評価を受けた。長期投与で疾患修飾療法となる可能性も ベースラインの人口統計学的因子および背景因子は、MAD試験の各コホートと第IIa試験で、全般によくバランスが取れていた。 第IIa試験におけるMMTT後の血糖値AUC0-4hは、MEDI0382群がプラセボ群に比べ有意に低下した(最小二乗平均値:-32.78%[90%信頼区間[CI]:-36.98~-28.57] vs.-10.16%[-14.10~-6.21]、平均差:-22.62%[-28.40~-16.85]、p<0.0001)。 ITT集団における体重も、MEDI0382群がプラセボ群に比し有意に減少した(最小二乗平均値:-3.84kg[90%CI:-4.55~-3.12] vs.-1.70kg[-2.40~-1.01]、平均差:-2.14kg[-3.13~-1.31]、p=0.0008)。 空腹時血糖値も、MEDI0382群がプラセボ群と比較して有意に低下した(最小二乗平均値:-2.8mmol/L[90%CI:-3.2~-2.4] vs.-1.1mmol/L[-1.4~-0.7]、p<0.0001)。また、ITT集団におけるHbA1cは、MEDI0382群ではベースラインの7.2%から治療終了時には6.3%に低下したが(最小二乗平均値:-0.9%[90%CI:-1.0~-0.8]、プラセボ群(-0.6%[-0.7~-0.5])に比べ有意に良好だった(p=0.0004)。 さらに、肝脂肪もMEDI0382群がプラセボ群よりも有意に低下した(最小二乗平均値:-6.0%[90%CI:-7.7~-4.3] vs.-3.2%[-4.7~-1.7]、p=0.0172)。 治療関連有害事象の割合は、MEDI0382群が88%(22/25例)、プラセボ群も88%(23/26例)であった。MEDI0382群で頻度の高い有害事象として、悪心・嘔吐を主とする消化器障害(72 vs.40%)と食欲減退(20 vs.0%)が認められた。 著者は、「MEDI0382は、比較的短期間の投与で2型糖尿病の代謝に有意なベネフィットをもたらした。血糖コントロール、体重、肝脂肪に対する効果は、本薬の長期投与が2型糖尿病の疾患修飾療法となる可能性を示唆する」と指摘している。

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動脈硬化学会がFHの啓発にeラーニング導入

 日本動脈硬化学会が、家族性高コレステロール血症(FH)を医師に正しく理解してもらうために、eラーニングを用いた啓発活動を開始した。FHは遺伝性疾患として最も頻度が高いにもかかわらず、わが国では一般医に十分認知されていないため、診断率がきわめて低いのが問題になっている。 日本動脈硬化学会理事長の山下 静也氏(りんくう総合医療センター 院長)にFHに対する問題意識、今回の学会の取り組みの狙いなどを聞いた。―FHとはどのような疾患なのでしょうか FHは主として常染色体優性遺伝形式をとる遺伝性疾患です。著明なLDLコレステロール(LDL-C)高値を示し、家族内にLDL-Cの高い人がおり、アキレス腱黄色腫を特徴とします。FHでは早発性冠動脈疾患が高頻度で発症します。 また、FHの発生頻度は、200~500人に1人とされており、遺伝性疾患としては最も頻度の高い疾患だと言えます。脂質異常症を数多く診療されている先生であれば、患者さんの中にFHが含まれている可能性は高いと思います。―なぜFHの啓発活動を行う必要があるのですか? 学会がもっとも深刻な課題だと認識しているのが、その診断率の低さです。FH診断率は、もっとも高いオランダでは71%に達していますが、日本では1%以下であり、ほとんどのFH患者さんは見逃されてしまっている状態です。ですので、1人でも多くの医師にFHに関する基本的な情報を提供し、FH診断率の向上につながれば、早発性冠動脈疾患を防ぐことも可能と考え、今回の取り組みを始めました。―FHを見逃すべきではない理由は何でしょうか? どんな疾患も見逃すべきではありませんが、なかでもFHは最も見逃してほしくない疾患です。FHは遺伝性疾患ですので、胎児の時から高いLDL-Cに曝露されています。これが、他の脂質異常症に比べ、きわめて早期に冠動脈疾患を発症する理由です。 男性では30代、女性では40代から冠動脈疾患を発症し始めます。FHを早期に診断し、適切な治療介入を行うことで、冠動脈疾患の発症を予防していくことがきわめて重要です。―FHの診断は難しいのでしょうか? FHの病態を正しく理解し、健診や脂質異常症の診療時に疑っていただければそれほど難しくはありません。LDL-C値が180mg/dL以上の患者さんがいたら、まずアキレス腱を触診してみてください。肥厚が認められれば(X線軟線撮影によりアキレス腱9mm以上)、FHの診断基準を満たします。アキレス腱肥厚がない場合でも、早発性冠動脈疾患の家族歴(2親等以内)があれば、FHと診断されます。LDL-Cが250mg/dL以上の場合はFHを強く疑いますし、若いときからLDL-Cが高い場合にはFHを疑うべきで、家族にLDL-Cの高い人がいないかどうかを問診します。 また、急性冠症候群(ACS)の約10~20%にアキレス腱肥厚が認められますので、ACSで運び込まれた患者さんのアキレス腱を触診するのもとても大切なことです。―FHの疾患啓発について学会の取り組みを教えてください 日本動脈硬化学会では、より多くの先生方にFH診療を理解していただくために、2017年1月に小児FH診療ガイドを、6月に家族性高コレステロール血症診療ガイドラインを公開しています。また、世界FH dayである9月24日に合わせ、市民公開講座や医療者向けセミナー、プレスセミナーなどを実施するなどの活動もしてきました。 今回はさらに、医師に広くFHを理解いただくために、医薬教育倫理協会(AMEE)と共同で、eラーニングプログラムを開発、2018年6月に公開いたしました。FHの病態・診断・治療を実際の症例を盛り込み、臨床医目線でわかりやすく解説しています。 日本動脈硬化学会の認定単位対象プログラムですが、医師であればどなたでも視聴することができます。ぜひご覧いただき、FHに対する理解を深め、日常診療に役立てていただければと思います。■ケアネット医師会員は、ケアネットのID/パスワードにてこちらから受講可能です。

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クローズドループシステムの人工膵臓、入院中の2型DMに有用/NEJM

 非集中治療下の2型糖尿病(DM)患者において、クローズドループ型インスリン注入システム、いわゆる人工膵臓の使用は、従来のインスリン療法と比較して、低血糖リスクは上昇せず血糖コントロールを有意に改善することを、スイス・ベルン大学のLia Bally氏らが、非盲検無作為化試験で明らかにした。DM患者は、入院すると急性疾患に対する代謝反応の変動、食事摂取の量やタイミングの変化、薬物性の一時的なインスリン感受性の急速な変化などによって、血糖コントロールの目標達成が難しくなることがある。クローズドループ型インスリン注入システムは、1型DM患者において血糖コントロールを改善できるという報告が増えていた。NEJM誌オンライン版2018年6月25日号掲載の報告。人工膵臓と従来のインスリン療法の血糖コントロールを比較 研究グループは、英国とスイスにある第3次病院において、一般病棟に入院中のインスリン療法を必要とする18歳以上の2型DM患者136例を、クローズドループ型インスリン注入システム(人工膵臓)群(70例)と、従来の皮下投与によるインスリン療法を受ける対照群(66例)に無作為に割り付けた。 両群とも、血糖値はAbbott Diabetes Care社の持続血糖測定器(CGM)Freestyle Navigator IIを用いて測定した。人工膵臓群では、インスリン注入は完全に自動化され、CGMの低血糖アラームは63mg/dLに設定された。対照群では、CGMのデータは盲検下で、臨床チームが末梢血の随時血糖測定によりインスリン投与量の調整を行った。 主要評価項目は、最大15日間あるいは退院までの期間における、CGMによる血糖値が目標範囲内(100~180mg/dL)であった時間の割合で、intention-to-treat解析にて評価した。人工膵臓群で血糖コントロールが良好 血糖値が目標範囲内であった時間の割合(平均±SD)は、人工膵臓群65.8±16.8%、対照群41.5±16.9%、群間差は24.3±2.9ポイント(95%信頼区間[CI]:18.6~30.0、p<0.001)で、人工膵臓群が有意に高値であった。また、目標範囲を超えていた時間の割合は、それぞれ23.6±16.6%および49.5±22.8%、群間差は25.9±3.4ポイント(95%CI:19.2~32.7、p<0.001)であった。 平均血糖値は、人工膵臓群154mg/dL、対照群188mg/dLであった(p<0.001)。低血糖(CGMによる血糖値が54mg/dL未満)の期間(p=0.80)や、インスリン投与量(投与量中央値は人工膵臓群44.4単位、対照群40.2単位、p=0.50)に関しては、両群で有意差は認められなかった。 重症低血糖あるいは臨床的に重大なケトン血症を伴う高血糖は、両群ともに発生がみられなかった。

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糖尿病での心理的負担が全死亡に影響~日本人男性

 2型糖尿病の日本人男性において、糖尿病に特異的な心理的負担感が全死因死亡と有意に関連することがわかった。天理よろづ相談所病院(奈良県)に通院する糖尿病患者を対象とした大規模レジストリ(Diabetes Distress and Care Registry in Tenri:DDCRT18)を用いた前向きコホート研究の結果を、天理よろづ相談所病院内分泌内科の林野 泰明氏らが報告した。Diabetologia誌オンライン版2018年6月8日号に掲載。 糖尿病患者は、セルフケア(運動、食事療法)や複雑な治療内容(経口血糖降下薬、インスリン注射、自己血糖測定)のために心理的負担感を抱いていることが明らかになっている。本研究では、DDCRT18での2型糖尿病患者3,305例の縦断的データを用いて、心理的負担感をProblem Areas in Diabetes(PAID)スコアで評価し、その後の全死因死亡リスクとの関連を調査。潜在的な交絡因子を調整したCox比例ハザードモデルを用いて、PAIDスコアと全死因死亡との独立した関連を調べた(平均追跡期間:6.1年)。 主な結果は以下のとおり。・研究の集団は、男性2,025例、女性1,280例、平均年齢64.9歳、平均BMI 24.6、平均HbA1c値58.7mmol/mol(7.5%)であった。・多変量調整モデルにおいて、PAIDスコアの第1五分位に対する第2~第5五分位の全死因死亡の多変量調整HR(95%CI)は、順に1.11(0.77~1.60、p=0.56)、0.87(0.56~1.35、p=0.524)、0.95(0.63~1.46、p=0.802)、1.60(1.09~2.36、p=0.016)であった。・サブグループ解析において、男性ではPAIDスコアと全死因死亡との関連がみられた(HR:1.76、95%CI:1.26~2.46)が、女性では認められなかった(HR:1.09、95%CI:0.60~2.00)。糖尿病の心理的負担感と性別との間に、有意な関連(p=0.0336)が認められた。

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第4回 水分摂取と各飲料水の糖分について【実践型!食事指導スライド】

第4回 水分摂取と各飲料水の糖分について医療者向けワンポイント解説水分摂取と各飲料水の糖質比較これからの時期、水分摂取を意識することが増え、ペットボトルを購入する機会も多くなりますが、ここに水分摂取の落とし穴があります。1日の水分摂取量の目安として、水分制限がない場合は約1.5~2.0Lといわれています。これは、コップ1杯を200mLと換算して、8~10杯ほどです。水分には、「酸素や栄養素を運ぶ働き」「老廃物を排泄する働き」「血液を循環させる働き」「汗として体温を調整する働き」「体液の性状を一定に保つ働き」など多くの働きがあります。朝、起きがけの1杯から始め、こまめな水分摂取が必要です。夏の時期、「電解質の多いスポーツドリンクを飲んだほうが良い」と考えている糖尿病患者さんなどが、無意識下で清涼飲料水による糖分の過剰摂取で高血糖や清涼飲料水ケトーシスを引き起こすケースもあります。大手2社のスポーツドリンク(ペットボトル500mL)で清涼飲料水の糖質を比較した場合、A社は23.5g、B社は31gでした。これを1本3gのスティックシュガーで換算すると、A社は約8本分、B社は約10本分に相当します。また、最近では、水と間違えてしまうような清涼飲料水もあります。これでは、水分を摂取しているつもりで、糖質を大量に摂取してしまうことになります。飲料に入っている糖分の問題点は、もう1つあります。裏の表示を見ると「果糖ぶどう糖液糖」「果糖 砂糖」などの表記があります。果糖(フルクトース)やブドウ糖(グルコース)は単糖類に分類され、それ以上加水分解されない糖のため、体内に入るとすぐに腸管から吸収されます。また、液糖であることでより吸収がされやすくなります。吸収された糖は、血糖値の急上昇へつながるため、血糖コントロールへの影響、糖化など、生活習慣病のリスクが高くなります。また、果糖は、内臓肥満やメタボへの影響が強く、米国・カリフォルニア大学デービス校のStanhope氏らは「ヒトにエネルギー比25%のフルクトースを10週間摂取させると、内臓脂肪の増加、脂質代謝異常、インスリン抵抗性の発症が引き起こされる」と報告しています1)。さらに、フルクトースはグレリンの抑制作用がなく、満腹中枢にも働かないため、その点においても肥満を助長させる大きな要因となります。空調のきいた室内にいることが多い、運動などをあまりしないなど、大量に汗をかくような環境ではない方や、食事がきちんと食べられている方は、食事から塩やミネラルが摂れるので、水、お茶、麦茶(ミネラル含有)などを中心に水分を摂取してもらいましょう。まずは清涼飲料水の糖質量の多さを認識してもらうこと、清涼飲料水に多く含まれる果糖摂取のリスクを患者さんに認識してもらうことが大切です。飲み物を買う際には、原材料名が記載されたラベルの確認を習慣にするよう伝えることもお勧めします。1)Stanhope KL, et al. J Clin Invest. 2009;119:1322-1334.

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脂質代謝遺伝子の発現を調節する高脂血症治療薬「パルモディア錠0.1mg」【下平博士のDIノート】第4回

脂質代謝遺伝子の発現を調節する高脂血症治療薬「パルモディア錠0.1mg」今回は、「ペマフィブラート錠0.1mg(商品名:パルモディア)」を紹介します。本剤は、フィブラート系薬に分類される高脂血症治療薬で、核内受容体であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体PPARαに選択的に結合し、脂質代謝遺伝子の発現を調節することで、血中の中性脂肪(トリグリセライド:TG)を低下させるとともにHDL-コレステロール(HDL-C)を増加させる作用を有します。<効能・効果>高脂血症(家族性を含む)の適応で、2017年7月3日に承認され、2018年6月1日より販売されています。本剤は、選択的にPPARαに結合した後、PPARαの立体構造変化をもたらすことで、主に肝臓の脂質代謝に関わる遺伝子群の発現を選択的にモジュレート(調節)して、脂質代謝を改善します。なお、本剤をLDL-コレステロール(LDL-C)のみが高い高脂血症治療の第1選択薬として用いることはできません。<用法・用量>通常、成人にはペマフィブラートとして1回0.1mgを1日2回朝夕に経口投与します。年齢・症状に応じて適宜増減可能ですが、最大用量は1回0.2mgを1日2回までです。<禁忌>次の患者には投与しないこと重篤な肝障害、Child-Pugh分類B/Cの肝硬変のある患者あるいは胆道閉塞のある患者(肝障害の悪化、または本剤の血中濃度が上昇する恐れがある)胆石のある患者(胆石形成が報告されている)妊娠または妊娠している可能性のある患者シクロスポリン、リファンピシンを投与中の患者(併用により、本剤の血中濃度が著しく上昇する恐れがある)<臨床効果>第III相臨床試験であるフェノフィブラートとの比較検証試験において、TG高値かつHDL-C低値を示す脂質異常症患者223例に、本剤0.2mg/日または0.4mg/日を1日2回朝夕食後、もしくはフェノフィブラート錠106.6mg/日を1日1回朝食後で24週間投与しました。その結果、空腹時血清TGのベースラインからの変化率は、フェノフィブラート群が-39.685±1.942%であったのに対し、本剤0.2mg群は-46.226±1.977%、0.4mg群は-45.850±1.942%であり、本剤のフェノフィブラート群に対する非劣性が認められています(p≦0.01)。なお、TG高値を示す脂質異常症患者、2型糖尿病を合併した脂質異常症患者を対象とした長期投与試験において、52週にわたり空腹時血清TGの改善が維持されました。<副作用>承認時までに実施された臨床試験において、1,418例中206例(14.5%)に副作用が認められています。主な副作用は、胆石症20例(1.4%)、糖尿病(悪化を含む)20例(1.4%)、CK上昇12例(0.8%)でした。<患者さんへの指導例>1.中性脂肪を低下させ、善玉コレステロールを増やす薬です。2.足のしびれ・痙攣、力が入らない、覚えのない筋肉痛など、いつもと違う症状が現れたらすぐに連絡してください。3.禁煙・運動・食生活など、生活習慣の改善も併せて行いましょう。<Shimo's eyes>既存のフィブラート系薬は腎排泄型の薬剤であり、安全性の観点から腎機能障害患者、肝機能障害患者、スタチン系薬を服用中の患者では使用が制限されてきました。ペマフィブラートは、腎機能障害(eGFR:60mL/分/1.73m2未満)を有する高TG血症患者に1日0.4mgまで投与した場合であっても、正常腎機能被験者と比較して発現頻度が明らかに上昇するような有害事象は現時点では認められていません。また、本剤と各種スタチン系薬との相互作用が検討された臨床試験においても、併用による双方の薬剤の血中濃度には変化がなく、有害事象の発現頻度は上昇しなかったことが確認されています。これらのことから、本剤を腎機能障害患者が服用したり、スタチン系薬と併用したりすることによる横紋筋融解症の発現リスクは、ほかのフィブラート系薬と比較して低いことが予想されます。そのため、2022年10月に高度腎障害のある患者への禁忌が解除され、慎重投与に変更されました。本剤は胆汁排泄型の薬剤であるため、肝機能障害には注意が必要ですが、申請時資料において、フェノフィブラートに比べて肝機能障害の有害事象が少ないという可能性が示唆されるデータがあります。しかし、ペマフィブラートは、日本で開発された薬剤であり、海外では臨床試験が実施されているものの、まだ承認されていません。十分な臨床での使用経験がないため、今後の副作用報告に注視する必要があるでしょう。※2022年10月、添付文書改訂により一部内容の修正を行いました。

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