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DPP-4阻害薬服用で、水疱性類天疱瘡リスクが3倍

 糖尿病患者におけるDPP-4阻害薬の服用と水疱性類天疱瘡(BP)との関連は、最近の話題となっている。リナグリプチンのような新しいDPP-4阻害薬については、BPの発症リスクが明らかになっておらず、DPP-4阻害薬によるBP患者の臨床的特徴や予後予測も確立されていない。イスラエル・Rambam Health Care CampusのKhalaf Kridin氏らはビルダグリプチンやリナグリプチンは、BPのリスク増加と関連していることを明らかにした。著者は、「今回の結果は、イスラエルにおけるBPの発症増加を部分的にだが説明できるものであった。BPと診断された糖尿病患者は、DPP-4阻害薬の治療中止を考慮すべきである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年8月8日号掲載の報告。 研究グループは、主要評価項目をDPP-4阻害薬の服用とBP発症との関連、副次評価項目をBPの発症にDPP-4阻害薬の服用が関連する患者の臨床的特徴や既往歴とし、北イスラエルにある自己免疫水疱性疾患における3次医療機関にて、糖尿病患者の各DPP-4阻害薬およびメトホルミンの服用量と、BPの発症について後ろ向き症例対照研究を行った。 対象は、2011年1月1日~2017年12月31日に、免疫病理学的にBPと確定診断された糖尿病の治療継続患者82例、ならびにこれらと年齢、性別および人種をマッチさせた非BPの糖尿病患者328例であった。 DPP-4阻害薬を服用しBPと診断された糖尿病患者と、DPP-4阻害薬を服用せずBPと診断された糖尿病患者について、臨床的および免疫学的特徴、臨床検査値、治療方法および臨床アウトカムを比較した。追跡期間中央値は2.0年であった。 主な結果は以下のとおり。・年齢、性別をマッチさせて登録したコントロール群328例は平均年齢(±SD)79.1±9.1歳、女性44例(53.7%)だった。・全体で、DPP-4阻害薬服用例はBPのリスクが3倍だった(補正後オッズ比[OR]:3.2、95%信頼区間[CI]:1.9~5.4)。・各補正後ORは、ビルダグリプチン10.7(95%CI:5.1~22.4)、リナグリプチン6.7(95%CI:2.2~19.7)であった。・DPP-4阻害薬の使用とBPとの関連は、メトホルミン服用とは独立して認められ、女性(OR:1.88、95%CI:0.92~3.86)より男性(OR:4.46、95%CI:2.11~9.40)で強く、70歳未満の患者において最も強かった(OR:5.59、95%CI:1.73~18.01)。・BPの発症にDPP-4阻害薬の服用が関連する患者は、未服用のBP患者と比較し、粘膜病変を有する割合が高く(22.2% vs.6.5%、p=0.04)、末梢血中の好酸球数が低かった(平均±SD:399.8±508.0 vs.1117.6±1847.6個/μL、p=0.01)。・DPP-4阻害薬の治療中止後、臨床アウトカムは改善した。

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応答的子育て介入が、小児のBMIを改善/JAMA

 小児期早期の急速な成長や体重増加は、その後の肥満リスクを増加させるが、子供の成長軌跡(growth trajectory)を改善する介入は確立されていないという。米国・Penn State College of MedicineのIan M. Paul氏らは、両親への教育的介入により、3歳時の子供のBMIが改善することを示し、JAMA誌2018年8月7日号で報告した。幼児期の急速な体重増加や若年期の過体重の予防に関する研究の成果は少ないが、応答的養育(responsive parenting)の枠組みを用いた教育的戦略は、後年の肥満に寄与する幼児期の行動の是正に有望と考えられている。応答的養育は、「小児のニードに対する、発育上適切で迅速、かつ条件に応じた養育的な反応」と定義される。体重増加の抑制効果を評価する単施設の無作為化試験 本研究(INSIGHT試験)は、小児の体重増加の抑制における応答的養育の有効性を評価する、単施設(Penn State Milton S. Hershey Medical Center)で実施された無作為化試験(米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所[NIDDK]などの助成による)。 初産の母親と子供を1組とし、小児期の肥満の予防を目的とした応答的養育に関する介入を行う群(介入群)、または家庭での安全性介入を行う群(対照群)に無作為に割り付けた。応答的養育の介入では、食事(feeding)、睡眠(sleep)、ふれあい遊び(interactive play)、情動調節(emotion regulation)に関する反応の仕方について、両親に専門的な助言が行われた。 2012年1月~2014年3月の期間に登録され、初回の各家庭の訪問が行われた279組(介入群:140組、対照群:139組)を、子供が3歳になるまで追跡した(2017年4月に完了)。初回訪問以降、看護師が各家庭を4回訪問し、各家庭は年1回、計3回受診した(最後の3歳の受診時は介入を行わなかった)。 主要アウトカムは、3年時のBMIのzスコア(0:母平均、1:平均+1SD、-1:平均-1SD)であった。BMIパーセンタイル値には有意差なし ベースラインにおいて子供は男児が介入群54%、対照群50%で、出生時のBMIはそれぞれ13.1(SD 1.2)、13.3(1.3)であった。また、母親の平均年齢は、介入群が28.7歳(4.6)、対照群は28.7歳(4.9)で、白人がそれぞれ87.1%、91.4%を占め、妊娠前のBMIは25.5(5.0)、25.3(5.6)だった。232組(83.2%)が3年間の試験を完了した。 3歳時の平均BMIのzスコアは、介入群が-0.13と、対照群の0.15に比べ有意に低かった(絶対差:-0.28、95%信頼区間[CI]:-0.53~-0.01、p=0.04)。一方、平均BMIパーセンタイル値は、介入群が47、対照群は54であり、有意差を認めなかった(介入群で6.9ポイント低下、95%CI:-14.5~0.6、p=0.07)。 3歳時の過体重の割合は、介入群が11.2%(13/116例)、対照群は19.8%(23/116例)と、両群間に有意な差はなく(絶対差:-8.6%、95%CI:-17.9~0.0、オッズ比[OR]:0.51、95%CI:0.25~1.06、p=0.07)、肥満もそれぞれ2.6%(3例)、7.8%(9例)であり、有意差を認めなかった(-5.2%、-10.8~0.0、0.32、0.08~1.20、p=0.09)。 7回の評価時点でのBMIの平均差(介入群-対照群)は、-0.43(95%CI:-0.67~-0.19)であり、介入群で有意に低かった。 著者は、「介入の長期的な有効性を評価するために、さらなる検討を要する」としている。

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173)アルコールの糖質を気にしている患者さんへのアドバイス【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師普段、お酒はどんなものを飲んでいますか?患者なんでも飲みますけど、とりあえずビールですね。糖尿病には焼酎がいいんでしたっけ?医師この機会に、クイズをやってみましょうか。この8つの中で、血糖値を上げる糖質が1番多いお酒はどれだと思いますか?患者炭水化物選手権? 聞いたことないですね。うーん…、やっぱりビールですか?医師実は、違うんです。ビールにも糖質が含まれていますが、1番多いのは梅酒です。患者確かに、梅酒を作るときには氷砂糖をたくさん使いますし、すごく甘い…。医師糖尿病には糖質だけでなく、アルコールの量にも注目してください。“節度ある適度な飲酒”は「生ビール 中ジョッキ 1杯」、「日本酒 1合」、「缶チューハイ 350mL」、「ウイスキーダブル 1杯」程度までです。患者そうですよね。いろいろ飲んじゃだめですよね…。●ポイントアルコール飲料は糖質だけでなく、アルコール量に注目することを追加して説明します。患者さん用(解答):1番炭水化物の量が多いのはどれ?■解答1位:梅酒 250mL(炭水化物=23g)2位:発泡酒 350mL(22g)3位:缶チューハイ(7%) 350mL(14g)4位:生ビール 中ジョッキ 1杯(12g)5位:日本酒 1合(8g)6位:赤ワイン 100mL(2g)7位:ウイスキー、焼酎(0g)1)坂根直樹 監修,佐野喜子 著. 糖尿病の食事療法 カロリーつきカーボカウントナビ. エクスナレッジ;2010.

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174)イライラする待ち時間を解消してもらうひと工夫【糖尿病患者指導画集】

患者さん用:気になる腹文字説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者先生、待合室に掲示してあった腹文字の答えを教えてください。医師ああ、あれですね。答えはわかりましたか?患者腹という漢字が2つに分かれているのは、「腹を割る」ですよね。医師そのとおり、正解です! ほかはいかがですか?患者時計の中に腹が入っているのは…、「腹時計」ですか?医師そうです。いい調子ですね。では、次もいってみましょう。患者大きな腹の横に小さな腹があるのは…、なんだろう。医師これは、小さな腹が別にあるということで「別腹」ですね。患者あぁ、なるほど! ちょっと難しいですね。あと、最後の1つ。これがよくわからないんです。腹が横になっているの…。医師これは腹が横になっている、すなわち立っていないので、「腹を立てない」が正解です。待ち時間が長いからといって腹を立てず、腹時計や別腹について、腹を割ってお話ししましょう。患者ハハハ、うまいこと言いますね。待合室にこんな掲示がしてあると、時間も忘れて楽しめますね(うれしそうな顔)。●ポイント待合室が楽しくなる工夫をすることで、イライラが少なくなります。患者さん用(解答):気になる腹文字■解答1.腹をわる2.腹どけい3.べつ腹4.腹をたてない

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第2回 プラバスタチンの処方/カモスタットの処方/クエチアピンの処方と検査/肝硬変での検査【レセプト査定の回避術 】

事例5 プラバスタチンの処方脂質異常症の重症患者に、プラバスタチン10mg 2錠を処方した。●査定点プラバスタチン10mg 1錠が査定された。解説を見る●解説添付文書で、年齢・症状により適宜増減し、重症の場合は1日20mgまで増量できることになっていましたが、レセプトに「重症」のコメントが追記されていませんでした。コメントとして「重症」が求められます。事例6 カモスタットの処方逆流性食道炎の患者に、カモスタット100mg 6錠を処方した。●査定点カモスタット100mg 6錠が査定された。解説を見る●解説(1)カモスタットの添付文書で「カモスタット100mg 6錠」の傷病名は「慢性膵炎における急性症状の緩解」のため査定されました。(2)「逆流性食道炎」では、カモスタットの処方は認められていません。「術後」の「逆流性食道炎」では認められています。なお、「術後逆流性食道炎」では、カモスタット100mg 3錠の処方となります。事例7 クエチアピンの処方と検査統合失調症でクエチアピン錠25mg 3錠を継続処方している患者に、HbA1c検査を施行した。●査定点HbA1c検査が査定された。解説を見る●解説統合失調症にクエチアピン錠を投与すると、添付文書の「重要な基本的注意」で「著しい血糖値の上昇から、糖尿病検査」が求められています。このような場合には、糖尿病の疑いを追記するのではなく、「患者は『クエチアピン錠投与により著しい血糖値の上昇』を受けやすく、添付文書の【重要な基本的注意】によりHbA1c検査施行を必要とした」と症状詳記することが望ましいといえます。事例8 肝硬変での検査肝硬変でヘパプラスチンテストを施行した。●査定点ヘパプラスチンテストが査定された。解説を見る●解説ヘパプラスチンテストの保険請求では、「他の検査で代替できない理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること」となっています。コメントの記載がないため査定されています。

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日米における心血管代謝疾患のBMIカットオフ値

 日本人と米国人を対象とした横断研究から、日米とも高BMIが高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症の有病率増加と関連すること、有病率が増加するBMIカットオフ値は日本人のほうが有意に低いことを、虎の門病院の桑原 政成氏らが報告した。米国における過体重/肥満の定義が日本では適用できない可能性が示唆される。Nutrients誌2018年8月3日号に掲載。 本研究は、聖路加国際病院における18~85歳の日本人成人9万47例と、米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey: NHANES)における成人1万4,734例での横断研究。BMIごとの高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症の有病率を日米で比較した。 主な結果は以下のとおり。・高血圧症、糖尿病、脂質異常症の有病率は米国のほうが有意に高く、高尿酸血症の有病率は日米で差がなかった。・年齢、性別、喫煙や飲酒習慣、慢性腎臓病、その他の心血管リスク因子の調整後、日米とも、高BMIは高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症の独立した危険因子であった・これらの心血管代謝リスク因子の有病率が増加したBMIカットオフ値は、米国が日本より有意に高かった(高血圧症:27 vs.23、糖尿病:29 vs.23、脂質異常症:26 vs.22、高尿酸血症:27 vs.23)。

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公共サービスが受けられない就学前児童への肥満予防介入の効果/JAMA

 十分な公共サービスが受けられない就学前児童を対象に、肥満予防のための多相的な行動変容介入を36ヵ月間行ったが、BMI値への影響はみられなかった。米国・Vanderbilt University School of MedicineのShari L. Barkin氏らによる無作為化試験の結果で、JAMA誌2018年8月7日号で発表された。十分な公共サービスが受けられない集団の小児は、肥満有病率と慢性疾患リスクが最も高く、小児期の肥満予防が重大な課題になっているという。36ヵ月間にわたる多相的な行動変容介入vs.スクールレディネスの効果を検証 研究グループは、肥満リスクが高い就学前児童を対象に、36ヵ月間にわたる多相的な行動変容介入が、同期間中のBMI成長曲線に影響するのかを検証した。テネシー州ナッシュビルの、公共サービスが十分に行き届いていないコミュニティに属する610例の親子を、36ヵ月間の健康行動をターゲットとした介入を受ける群またはスクールレディネスを受ける対照群に無作為に割り付け追跡調査した。対象小児は3~5歳児で肥満リスクはあるが非肥満児を適格とした。 介入群(304例)には、36ヵ月間の家族ベースでコミュニティを対象としたプログラムが提供された。具体的には段階的に介入の強度を減じるプログラムで次の3相から成るものであった。(1)12週間の集中強化相:毎週1回90分のスキル(目標設定、セルフモニタリング、問題解決など)を身につけるセッション、(2)9ヵ月間の維持管理相:月1回の電話コーチング、(3)24ヵ月間の継続相:定期的な行動機会(テキストや個別レター送付、月1回の訪問など)の提供。 対照群(306例)は、36ヵ月の試験期間中、ナッシュビルの公立図書館で行われた6回のスクールレディネス(ベースライン、3、9、12、24、36ヵ月時に開催・データ収集、1回30分の集団学習)を受けた。このスクールレディネスは、介入群も受けた。 試験登録は2012年8月~2014年5月に行われ、36ヵ月時のフォローアップは、2015年10月~2017年6月までに行われた。 主要評価項目は、36ヵ月間の小児のBMI成長曲線であった。事前に規定した副次評価項目は7つ(保護者が報告した子供の食事摂取量、コミュニティセンターの利用など)であった。多重比較のため、Benjamini-Hochberg法を用いて補正を行った。36ヵ月間のBMI成長曲線に有意差みられず 被験者の大部分がラテン系アメリカ人(91.4%)で、ベースラインの平均年齢は4.3歳(SD 0.9)、女児が51.9%、世帯収入2万5,000ドル未満の家族が56.7%であった。 90.2%が36ヵ月のフォローアップを完了した。36ヵ月時点の平均BMIは、介入群17.8(SD 2.2)、対照群17.8(2.1)であった。主要評価項目の、36ヵ月間のBMI成長曲線について、群間の有意差はみられなかった(結合尤度比検定のp=0.39)。 子供の平均エネルギー摂取量は、介入群(1,227kcal/日)が対照群(1,323kcal/日)に比べて有意に少なかった(補正後群間差:-99.4kcal、95%信頼区間[CI]:-160.7~-38.0、補正後p=0.003)。また、介入群の保護者のほうが対照群の保護者と比べて、子供と一緒にコミュニティセンターを利用した割合が有意に高率であった(56.8% vs.44.4%、リスク比:1.29[95%CI:1.08~1.53]、補正後p=0.006)。 これらの結果を踏まえて著者は、「その他タイプの行動変容介入の効果や、他市での介入効果について、さらなる試験を行う必要があるだろう」と述べている。

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スタチンと特発性炎症性筋炎が関連

 オーストラリア・アデレード大学のGillian E. Caughey氏らの大規模な症例対照研究によって、スタチンの使用と特発性炎症性筋炎(idiopathic inflammatory myositis:IIM)が有意に関連することが示唆された。著者らは「世界的にスタチン使用が増加していることから、このまれな副作用についての認識が高まることが必要」としている。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2018年7月30日号に掲載。 本研究は集団ベースの症例対照研究で、症例群はSouth Australian Myositis Databaseで1990~2014年に組織学的に確認された40歳以上のIIM患者(n=221)で、対照群はNorth West Adelaide Health Studyから年齢・性別でマッチ(対照:症例=3:1)させた(n=662)。条件付きロジスティック回帰を用いて、2016年6月1日~2017年7月14日にデータを分析した。主要アウトカムは、炎症性筋疾患の尤度に関する未調整のオッズ比および糖尿病・心血管疾患で調整した後のオッズ比と95%信頼区間(95%CI)。 主な結果は以下のとおり。・計221例が症例群の適格基準を満たした。平均年齢(SD)は62.2(10.8)歳で、女性が132例(59.7%)であった。・IIMの診断時のスタチン曝露は、221症例のうち68例(30.8%)、対照群662人のうち142人(21.5%)であった(p=0.005)。・IIM患者のスタチン曝露の尤度は、対照の約2倍であった(調整オッズ比:1.79、95%CI:1.23~2.60、p=0.001)。・壊死性筋炎の患者を除外しても、同様の結果が観察された(調整オッズ比:1.92、95%CI:1.29~2.86、p=0.001)。

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メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分な患者へのSU薬の上乗せは心血管イベント・総死亡のリスクを増加しない(解説:住谷哲氏)-900

 低血糖と体重増加のリスクはすべてのSU薬に共通であるが、SU薬が2型糖尿病患者の心血管イベントおよび総死亡のリスクを増加させるか否かは現在でも議論が続いている。発端は1970年に発表されたUGDP(University Group Diabetes Program)1)において、SU薬であるトルブタミド投与群で総死亡リスクが増加したことにある。その後の研究でこの疑念は研究デザイン上の不備によることが明らかとなり、トルブタミドと総死亡リスク増加との間には関連がないことが証明された。しかし安全性を重視するFDAはUGDPの結果に基づいて、現在においてもすべてのSU薬の添付文書に“increased risk of cardiovascular mortality”と記載している。 1998年に発表されたUKPDS 33が実施された目的の1つは、UGDPで疑われたSU薬の総死亡リスク増加の可能性を再検討することであった。その結果、SU薬は低血糖、体重を増加させるが細小血管合併症を減少し、心血管イベントおよび総死亡のリスクを増加させないことが明らかにされた。それでは低血糖、体重増加のリスクはあるが、心血管イベントおよび総死亡のリスクは増加させないSU薬は血糖降下薬の第1選択薬となりうるかといえば否である。その理由はメトホルミンがUKPDS 34において2型糖尿病患者の総死亡のリスクを減少させることが明らかにされたからである。UKPDS 33/34の結果を合わせて考えると、2型糖尿病患者の心血管イベントおよび総死亡のリスクに関して、SU薬はneutralであり、メトホルミンはbeneficialである、とするのが正しい解釈と思われる。初回治療患者(これまでに一度も血糖降下薬を投与されたことがない患者)に投与することで総死亡を減少させた血糖降下薬は、現在までメトホルミンのみである。したがって、何らかの理由でメトホルミンが投与できない初回治療患者にSU薬を投与することは、低血糖および体重増加のリスクを許容する条件下で正当化される。 ではメトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分である場合に、次にどの薬剤を上乗せすべきだろうか? 次々に発表されるCVOT(cardiovascular outcome trial)の結果に基づいて、ASCVD(atherosclerotic cardiovascular disease)を有する患者においてはSGLT2阻害薬またはGLP-1受容体作動薬がメトホルミンへ上乗せすべき薬剤として推奨されつつある。しかし現実には、安価なSU薬がメトホルミンへの上乗せ薬剤として多く使用されている。そこで本論文では、メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分である患者において、SU薬への切り替え、または上乗せが、心血管イベント、総死亡、重症低血糖のリスクの増加と関連するか否かを検討した。これまでメトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分である患者のメトホルミンをSU薬に切り替えた際に、心血管イベント、総死亡、重症低血糖のリスクが増加するか否かを検討したランダム化比較試験および観察研究はない。メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分である患者へSU薬を上乗せした際の有効性と安全性を検討したランダム化比較試験には、昨年発表されたTOSCA.IT2)があるが、これはピオグリタゾンとの比較であり、SU薬の有効性および安全性を厳密には評価できない。 リアルワールドエビデンスはランダム化比較試験の短所を補完するエビデンスとして近年脚光を浴びているが、厳密な手法を用いない解析は観察研究であるが故に多くのバイアスを含んでいる可能性がある。本論文の著者であるSuissa博士は著名な疫学者であるが、これまでメトホルミン3)、SU薬4)、SGLT2阻害薬5)に関する観察研究においてバイアスを適切に制御しなかった結果、誤った結論が導かれている可能性を指摘してきた。本研究では彼らが開発したprevalent new-user design6)を用いて、メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分な患者に対するsecond-line(メトホルミンからの切り替え、またはメトホルミンへの上乗せ)としてのSU薬と心血管イベント、総死亡、重症低血糖との関連を検討した。 テキストでは切り替え群と上乗せ群がまとめて報告されているために理解が困難な点があるので、SupplementのeTable5を参考にする必要がある。eTable5の結果をまとめると、メトホルミンからSU薬への切り替え群では、メトホルミン単独療法継続と比較すると心筋梗塞(HR:1.73、95%CI:1.32~2.26)、心血管死(HR:1.56、1.24~1.97)、全死亡(HR:1.60、1.39~1.84)、重症低血糖(HR:8.14、4.74~13.98)はリスク増加を認めたが、虚血性脳卒中(HR:1.21、0.89~1.65)は増加を認めなかった。一方、SU薬の上乗せ群では、心筋梗塞(HR:1.02、0.79~1.31)、虚血性脳卒中(HR:1.26、0.97~1.63)、心血管死(HR:0.95、0.75~1.20)、全死亡(HR:1.09、0.95~1.25)にリスク増加を認めなかったが、重症低血糖はHR 7.27(4.34~12.16)とリスク増加を認めた。 筆者は、メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分なためにSU薬へ切り替えたことはほとんどない。他の血糖降下薬を上乗せするのが常である。英国ではこの目的でメトホルミンからSU薬へ切り替えることが一般的かどうかは不明であるが、メトホルミンからSU薬に切り替えるとすればメトホルミンの継続使用が困難な場合だろう。このような場合は患者の予後が不良なことも多く、その結果、総死亡が増加した可能性は否定できない。またSU薬は初回治療患者において心血管イベントおよび総死亡のリスクに関してneutralであることから、切り替え群のみでリスクの増加が認められたのは、メトホルミンを中止することでメトホルミンの持つ心血管イベント、総死亡リスク減少作用がなくなったからとも考えられる。さらに上乗せ群では切り替え群と同程度の重症低血糖が発生しているにもかかわらず、心血管イベント、総死亡のリスクは増加していない。重症低血糖が心血管イベントおよび総死亡のリスク増加の原因として論じられることが多いが、UKPDS 33およびDEVOTE7)(持効型インスリンアナログであるグラルギンU100とデグルデクのランダム化比較試験)の結果はその考えを支持しておらず、重症低血糖と心血管イベントおよび総死亡との関連はそれほど強いものではないのかもしれない。またはメトホルミンには、重症低血糖から心血管イベントへの流れを遮断する何らかの作用がある可能性も考えられる。最後に、上乗せ群でのHbA1cの変化が記載されていないので不明であるが、上乗せ群ではHbA1cが低下したと考えるのが普通だろう。それにもかかわらず心血管イベント、総死亡のリスクは減少しなかった。SU薬を開始した時点でHbA1c>8.0%の患者が50%以上含まれていること(Table 1)を考えると、心血管イベント、総死亡のリスク減少を目的とするのであればSU薬を上乗せすることなく、HbA1c高値を許容してメトホルミン単独療法を継続するほうが重症低血糖のリスクも増加せず、患者にとってはメリットがあることになる。 それでは、メトホルミン単独療法で血糖コントロールが不十分な場合はどうすればよいのか? SU薬のHbA1c低下作用、細小血管合併症抑制作用は確立されている。本論文の結果から、メトホルミンに上乗せする場合においても心血管イベント、総死亡のリスクは増加しないことが示された。メトホルミンへの上乗せにDPP-4阻害薬やSGLT2阻害薬を処方せずにSU薬を処方する際に感じるなんとなく後ろめたい気持ちは、これからは持つ必要はなさそうである。■参考文献はこちら1)Meinert CL, et al. Diabetes. 1970;19:Suppl:789-830.2)Vaccaro O, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017;5:887-897.3)Suissa S, et al. Diabetes Care. 2012;35:2665-2673.4)Azoulay L, et al. Diabetes Care. 2017;40:706-714.5)Suissa S. Diabetes Care. 2018;41:6-10.6)Suissa S, et al. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2017;26:459-468.7)Marso SP, et al. N Engl J Med. 2017;377:723-732.

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入試減点問題、性別や年代で意見は違う?男女医師1,000人の本音

 東京医科大学の入試で女性受験者の得点を一律に減点し、入学者を制限していたことが明らかになった。現場で働く医師たちは、この問題をどのように受け止めているのか? ケアネットでは、CareNet.comの医師会員を対象にアンケート調査を実施。男性医師(504人)、女性医師(501人)の計1,005人に、この問題に対する意見や、性別による人数制限の必要性を感じているかどうかについて聞いた。 調査は、2018年8月9~10日、ケアネット会員の医師を対象にインターネット上で実施した。回答者の内訳は、年代別では40代が30.9%で最も多く、50代(28.8%)、39歳以下(29%)、60歳以上(11.3%)と続く。 まず、医学部入試での女性減点問題をどう思うかについて尋ねたところ、「理解できる」あるいは「不公平ではあるが、ある程度理解できる」と答えた医師は、男女ともに6割以上で、一定の理解を示していることが明らかに。また、「理解できる」と答えた人の割合に、年代によって異なる傾向があることも明らかになった。 入試における女性比率の制限は必要だと思うかという問いに対しては、男性では「必要」が「不要」を上回ったのに対し、女性では「不要」と答えた人が最も多かった。 今回の問題に対する意見を自由記述で尋ねたコメント欄では、「試験は公平であるべきで、許されない」という意見がある一方で、「現実問題として女性は離職率が高く、制限は必要」という意見もみられた。また、「医師全体の勤務状況に問題がある」とする意見も多く、当直や時間外労働による負担や、それらが管理されず、必ずしも報酬につながっていないこと、“楽で高報酬な”バイトの存在など、医師の労働事情が背景にあることがうかがえた。 今回の調査の詳細と、具体的なコメントはCareNet.comに掲載中。

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「そんなに食べていないのに痩せない」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第20回

■外来NGワード「知らないうちに、食べているんですよ!」(患者の気持ちに共感しない)「食べていないのなら、太るはずはありません!」(頭ごなしに否定)「食べなければ、痩せます!」(あいまいな食事指導)■解説 「そんなに食べていない」という患者さんの気持ちの裏には、「○○と比べて」そんなに食べていないという比較の心理が働いています。この「○○と比べて」の○○に入る言葉が、患者さんによって異なります。ある患者さんは、自分の若い頃と比べて「若い頃はいくら食べても太らなかったのに、今はそんなに食べていないのに太る」と考えています。また、ある患者さんは「同じ年代の友人や知人と比べて、食べていない」と考えているかもしれません。「私の友達は痩せているのに外食のときはよく食べるし、デザートも注文している」などとうらやむ気持ちがストレスにつながる恐れもあります。なかには、「同居している家族と比べて」そんなに食べていないという人もいます。「旦那と比べて、食べていない」「おばあちゃんは肉や甘いものを食べているのに」と訴える人もいます。まずは、患者さんが何と比較しているのかを明らかにしましょう。次に、食べている量は同じでも、比べているその人と、何が違うのかを考えてもらいます。それに気付くことができれば、減量に向けて前向きに考えることができますね。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師最近、体重のほうはどうですか?患者なかなか、減らないんです。そんなに食べてないんですけどね…。医師なるほど。食事には気を付けておられるんですね。患者そうなんです。みんなと一緒に食べにいっても、甘いものは控えています! でも、ほかの人はデザートも食べているのに…。医師そんなのを見ると、少し嫌な気持ちになりますね。患者そうなんです。医師せっかく食事に気を付けたり、運動したりしているのにね。患者…そういえば、運動はその人に比べるとしていないかも。(気付きの言葉)医師若い頃は、食生活や生活スタイルはどうでしたか?患者若い頃は、今よりもずっと食べていたのに太っていなくて…。でも、40代の後半から急に太りだして。やっぱり代謝が鈍ってきたんですかね。医師そうですね。今の自分の運動量や代謝能力に合わせて、食べる量を調節するのがよさそうですね。患者たしかに、若い頃はジムに通っていたし、休みの日もアクティブでした。何か、運動を始めてみようかな。(前向きな言葉)■医師へのお勧めの言葉「若い頃の、食生活や生活スタイルはいかがでしたか?」「旦那さんと比べて、食生活以外の生活スタイルに違いはありますか?」

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東京医大入試減点問題、若いほど理解できる? 男女の医師1,000人に聞きました

東京医科大学の入学試験で、女性の受験者への一律減点が行われていたことが明らかになった。この問題を受け、文科省は全国に81ある医学部医学科を対象に、入試の公正性に関する緊急調査を開始している。現場で働く医師たちにとって、この問題はありえないことなのか、理解できることなのか。ケアネットはCareNet.com会員である男性医師504人、女性医師501人の計1,005人にその実情と意見を聞いた。結果概要男性で67.9%、女性で69.5%が女性の減点問題に一定の理解入試での女性減点問題に「理解できる」と答えた医師は、男性14.9%、女性13.8%と若干男性医師に多い傾向がみられたが、「不公平ではあるが、ある程度理解できる」という医師を含めると、男性67.9%、女性69.5%と女性のほうが多い傾向となり、減点される側の立場である女性医師も、この問題に一定の理解を示していることがうかがえる。その理由としては、「実際に常勤医で戦力として残っている女医は少ないから(麻酔科・40代女性)」、「男性に向いている科は確かに存在するし、力が必要な時もあるから。制限をつけないでとると、女性だらけになってしまう(小児科・20代女性)」、「女医が増えたら、眼科・皮膚科だらけになる。今でも医師の偏在が問題になっているのに、もっと困ることになる(内科・40代女性)」などの声が上がっている。また、「医局で働いている途中で、とくに若手で妊娠してしまうと、当直やオンコールはじめ周囲へのしわ寄せが大きくなってしまうので、罪悪感からとてもこのような状況では妊娠できないと感じていた(内科・30代女性)」、「子持ち女医ですが、夜も休日も働けず、迷惑をかけています。男性は子持ちでもそれがない。周りの多くの女医は、クリニックや健診など、楽で給料のよいところに行ってしまい、人の足りない総合病院には残らない。やはり男性が必要でしょう(産婦人科・40代女性)」など、出産・育児と医師として求められる仕事の両立に、難しさや周囲への罪悪感を感じていることがうかがえた。男性側も、「子供ができたのちキャリアダウンしようとする女医の数は少なくないので、仕方がない(循環器内科・30代男性)」、「現実問題として現在の医療現場の忙しさからいえば、女性医師が増えると回らなくなるのは正直なところ(皮膚科・20代男性)」などの声がある一方で、「父親も育児参加が求められる中で、女性医師ばかりが当直免除などの恩恵を受けるのは仕方ないと思う反面、腑に落ちない面も残る(精神科・30代男性)」、「男女平等は強調されるが、男女公平が議論されない。男性医師が育児休暇を公平にとれる体制や理解が、現状の医療体制で整うとは思えない(神経内科・30代男性)」など、出産・育児による休暇取得や当直免除などが、男性ではより実現しにくい現状も垣間見えた。画像を拡大する男女ともに年代が低いほど理解を示す傾向年代別に回答を見てみると、「理解できる」と答えた医師は、男女ともに年齢が上がるにつれ減少。「不公平ではあるが、ある程度理解できる」という医師を含めると、50代の男女で最も少なく、「理解できない」と答えた医師の割合が高かった(男性:39.9%、女性:42.2%)。画像を拡大する診療科別では、外科(42.9%)、泌尿器科(38.5%)、精神科(38.2%)、小児科(36.5%)、脳神経外科(36.2%)の順に「理解できない」という回答が多かった。画像を拡大する男性で38.5%、女性で28.3%が入試での女性比率の制限は「必要」と回答入試での女性比率の制限については、男性の38.5%が「必要」と答え、「不要」と答えた人(34.9%)を上回った。「必要」と答えた人の理由としては、「差別ではなく区別は必要。定員として男子・女子各何人と明確にすればよいと思う(皮膚科・40代男性)」、「こっそり減点は駄目だと思うが、制限するとあらかじめオープンにして試験をすればよい(眼科・50代男性)」などの声がきかれた。また、「年代別に男性、女性が医師として働いている割合、どのような形態(常勤/非常勤、終日/パート、当直の有無、回数、勤務場所など)で勤務しているか調べてみればよい(整形外科・60代男性)」、「データに基づいて比率を決定すべき(眼科・30代男性)」といった意見や、「男女平等を言うならすべて同じにしないといけない。女性医師は出産・育児で優遇される。その分のしわ寄せは男性医師にくる。最初から比率を決めて入試すればすむ(外科・40代男性)」といった意見もみられた。女性では、「不要」と答えた人(37.9%)が最も多く、「どちらともいえない」と答えた人(33.7%)も多かった。「不要」と答えた人の理由としては、「診療科による偏りの是正は必要だが、それを男女の制限に落とし込むことは論点が違い差別である(神経内科・20代女性)」、「入試時の性別ではなく、医師になってからの科ごとの人数・男女制限が必要だと思う(精神科・30代女性)」、「入試における操作で医師の男女比を調整するのではなく、医師の労働環境そのものを改善する必要がある(神経内科・30代女性)」など、性差のみで判断することへの懸念の声が上がっていた。画像を拡大する20~40代の男性医師が最も「比率制限が必要」と感じている?年代別では、39歳以下および40代の男性医師で、それぞれ4割以上が入試による女性比率の制限が「必要」と回答。60歳以上で唯一、「必要」と答えた割合が女性で上回ったが(男性:32.9%、女性36.7%)、その他の年代ではそれぞれ10%ほど、女性よりも男性で「必要」と答える人が多かった。画像を拡大する診療科別では、産婦人科(40.6%)、泌尿器科(38.5%)、循環器内科(38.5%)などで「必要」と答えた割合が高く、外科(14.3%)、精神科(25.0%)、糖尿病・代謝・内分泌内科(26.9%)などで低かった。画像を拡大する設問詳細Q1.医学部入試での女子減点問題、先生はどう思いますか?理解できる不公平ではあるが、ある程度理解できる理解できないQ2.入試における女性比率の制限は必要だと思いますか?必要不要どちらともいえないQ3.Q1、Q2について、その理由やご意見をお寄せください。アンケート概要内容緊急アンケート!東京医大女子減点問題、先生はどう思いますか?実施日2018年8月9~10日調査方法インターネット対象ケアネット会員医師1,005名アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承ください)実情について妊娠出産、育児があるとこの仕事は無理だと思う。子供を産むと10年くらい求められる仕事はこなせない。調整されても仕方がない(救急科・30代女性)出産や育児でいきなり穴をあける・時短になるなどで、常勤として働いていても周りにしわ寄せがいっている。また周りの女医をみてもバイトだけの生活をしている割合が多く、女性医師が増えすぎると上に立ったり指導できる人がいなくなる(内科・30代女性)産後、当直している女性医師は限りなく少ない。また年代が上がると、男性医師も当直回数が減り、若手男性医師が多くを担っていると思われる。実際当直している女性はどれほどいるか知りたい(皮膚科・30代女性)外科系医師、ERの医師、当直医など、女性でしっかり勤められている先生もいるが、少数(眼科・40代女性)女性医師は男性医師の7割程度のマンパワーと感じる(呼吸器内科・40代女性)男女平等といっても体格差があり、長時間手術や激務に耐えうるのは男性であるため。専門医制度も変わり、きつい科は避けられる傾向にある(呼吸器内科・40代女性)人口の半分は女性。女性は女医を希望する方が多い。小児科や婦人科はなおさら。確かに力がいる整形外科などもあるが、周りで協力すればよい。直腸診など女性患者には男性医師は女性の立会いが必要ですよ(内科・40代女性)外科系に進む研修医が激減し、将来的に外科系医師がいなくなってしまうから理解はできます。しかしそれ以上に女性医師が働きやすいように外科の環境を急ピッチで変えるべきですし、環境だけでなく外科の上級医のマインドも変えないといけないと思います(精神科・40代女性)女性医師の多くが結婚や出産でリタイアし、復帰後も効率の良いアルバイトをしている現実をみると国費の無駄遣いと感じます。男女問わず実戦で活躍する覚悟が必要だと思います。覚悟を持って入学するべきで、そこに男女の差はありません(眼科・50代女性)男性医師、独身女医の負担が大き過ぎ。家庭を抱え努力している女医はいるが、「家庭があることを利用して嫌な仕事は受けない、しかし美味しい業務には参加する」女医が一定数いるのは確か。穴埋めに感謝の意を示してくれればまだしも、当然の権利と主張する女医がいかに多いことか! むしろ逆性差別、逆ハラスメントです(小児科・50代女性)結婚、妊娠、子育て等に伴う職場整備を進めない限り、一部の女性医師が十分に働けない状態は続く(小児科・50代女性)健診や一般外来など、負担が少なく給料のよいバイトがある現状では、産後にフルタイムで復帰する女医さんは増えないと思う。女医さんを支えるだけの十分なフルタイムの医師がいない。僻地医療が崩壊する(内科・30代男性)緊急、呼び出しがある診療科では、現状の市中病院の勤務体系では育児を両立することは難しいと思います。女性を優遇することで男性勤務医への時間外待機、突然の女性医師欠勤時の勤務負担は確実に増えますが、当番の交代を女性医師に依頼することができるわけではなく、暗黙のうちに相殺され不公平感を感じると思います(内科・30代男性)女性は男性よりも早く医局をやめる。先輩からするとせっかく育ってきたときにやめるため、また一からやり直ししないといけない(皮膚科・40代男性)実際の現場では、家庭を両立させながら救急、当直などきつい仕事を行うことは困難であり、その分の負担が男性医師にきている(呼吸器内科・40代男性)女性は結婚や出産により現場を離れる可能性が高く、そのまま戻って来ないことも往々にしてある。その女性が診ていた患者は、結局残された人間で診ることになり負担が増える。とくに忙しい外科系には男性のみで十分であると思うことがある(泌尿器科・40代男性)夜勤や夜間・休日のオンコールに対応している医師の割合を詳細に調べれば、現在の問題がわかると思います。結婚・出産が女医さんのキャリアを中断させてしまうのは事実であり、しかもその時期が医師として一番活躍できる時期と一致してしまう。日本は女性が家庭を守るといった感覚がそこかしこに残っているので、女医さんが家庭の事情でそうなることは仕方がなく、まだまだ男女平等と呼べる社会には遠いように思います。さらに全体として、夜勤を必要としない科を希望する若い医師が多いのも事実であり、女医さんの問題だけを解決してもしょうがないのかもしれません(麻酔科・40代男性)当直は常勤の人間が安い当直料で疲弊しながら働き、女医は高いバイト代をもらって楽な日勤をやっている。昼の楽な日勤を週3回すれば常勤並みのお金をもらえるので、常勤に戻らずバイトで稼ぐ女医がかなり多い(産婦人科・50代男性)現状の医療現場では、これ以上の女医の増加は他の男性医師の限りない負担増加へつながる。男女同権を貫くなら、欧米並みに勤務交代制や育児保育施設の整備を充足しなければ、絵空事である(皮膚科・60代男性)入試による女性比率の制限に対する意見について制限するなら、募集要項にちゃんと記載するべきだと思います。東京医大のやり方はアンフェアでまったく賛成できません(循環器内科・30代女性)それよりも卒業生の子弟を加点するほうがもっと問題だと思う(眼科・30代女性)面接での加点は致し方ないとしても(印象点という意味で)減点はさすがにひどいと思う。あと、現場には産後も、もっと働きたいのに働けない先生もたくさんいるので、もっと働きやすい環境になってほしいと思う(麻酔科・30代女性)入試要項に女性制限が記載されていればよいと思う(耳鼻咽喉科・40代女性)国公立大学の場合は制限できないと思います(循環器内科・50代女性)入試で制限するより、女性がどうしたらやめないか、働きやすいかを考えるべき(小児科・30代男性)募集要項に明記すればいい(皮膚科・40代男性)入試制度だけで解決できる問題ではない。医師だけ女性制限を認めると、他の業種とのバランスがとれない(精神科・40代男性)性別や浪人回数で差別はいけない。努力して勉強しているのだから(内科・50代男性)入試に際して女性が上位を占めることは明らかである。女性が向かない体力を要する診療科があることを示したうえで、合格者に占める男女の人数を明示しておくのがよいと思う(腎臓内科・70代男性)解決策について女医でも働きやすい環境にすればよい。キツイ診療科は主治医複数制、産休育休当たり前にするとか、保育所増やすとか(麻酔科・30代女性)入試は公平に行い大学病院勤務の際に制限してはどうか。女性医師を受け入れると表明したほうが結果的には人手が増えると思うが…。国家試験である以上、入試での制限は認められないと思う(循環器内科・40代女性)女性医師のライフプランについては入学後に教育することも可能であるはず(麻酔科・40代女性)男性医師を増やしたい気持ちはよくわかるが、入試時点で差別するのは問題。医局入局もしくは病院就職の時点で選別すれば、普通の一般企業と同じだから問題ない(眼科・50代女性)現場の疲弊と性差別の問題は別で考えるべき。むしろ、女性が長く残れる環境作りがあらゆる問題の解決方法である、という共通認識を確立するいい機会(内科・50代女性)育児、介護問題を女性特有の問題と認識すること自体を改めるべきである。男性も含めて、個人的理由で短時間勤務をする必要が生じる可能性のあることを踏まえた人員配置が必要なのではないか(麻酔科・50代女性)医師全体の勤務状況を改善すればよい。男性勤務医でも当直後の連続勤務、時間外労働賃金がきちんと管理され支払われてないことが問題で、女性に限ったことではない(内科・60代女性)男性医師が現状を維持するのではなく、働き方について医療関係者、患者とその家族も意識を変えていく必要がある。女性が入れないような勤務体制自体を見直さなければ早晩医療崩壊するのは免れない。「仕方がない」「男性と同じように女性も働くべき」ではただの足の引っ張り合いでしかない(精神科・30代男性)一番しんどいのは夜間救急であり、それができるかできないかは医師という仕事を考えるうえで最も重要な議論であり、絶対に避けてはいけない(腎臓内科・30代男性)女子医大もあるので、医学部定員を男6~7、女3~4で分ける。もしくは男女関係なく卒後5~6年の内科、外科、救急など多忙な科の勤務義務化など(消化器内科・40代男性)女性医師がフルタイムで働かない比率が高いため、このようなことが起こる。出産育児早期は仕方ないがその後はしっかり働いてもらう制度、そのための保育所などの整備が必要(麻酔科・40代男性)女性が増えればアルバイト医のみが増え続け、3Kを担う医師は減り、実労働可能な医師不足が加速します。国民の医療に対する考えを根本的に変えないと、女性も働ける医療現場は増えません(内科・50代男性)そもそもフルタイムとはどのような働き方かを討論しないと結論は出ない(脳神経外科・50代男性)

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172)お菓子が大好きな患者さんへのアドバイス【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師低血糖のときはどんな対応をされていますか?患者ブドウ糖(10g)を飲めばいいのは、わかっているんですが…。ここぞとばかりに、甘いものに手が出てしまいます。医師なるほど…。低血糖のときには甘いものをおいしく感じますし、頭の回転も鈍りますからね。患者そうなんです。医師それでは、ここでクイズをやってみましょう。この8つの中で、血糖値を上げる炭水化物が1番多いお菓子はどれだと思いますか?患者炭水化物選手権…? 初めて見ました。どれかな…。あっ、ショートケーキでしょう?医師惜しいですね。ショートケーキも炭水化物が多いのですが、優勝は僅差で大福です。続いて、ショートケーキ、たい焼きですね。低血糖のときでも、お菓子の炭水化物は15gまでにしておきたいですね。患者大福だと53gだから、3倍以上ですね…。お菓子の食べ過ぎだから、低血糖の後に高血糖になるんですね。これから気を付けます。(納得した顔)●ポイント運動した後や小腹が空いたときなどに、ついつい食べたくなるお菓子。しかし、お菓子には砂糖などの炭水化物が多く含まれています。低血糖時の炭水化物は15gまで。それ以上は食べ過ぎであることを上手に伝えます(15/15ルール)。患者さん用(解答):1番炭水化物の量が多いのはどれ?■解答1位:大福 1個(炭水化物=53g)2位:ショートケーキ(47g)3位:たい焼き(41g)4位:カステラ(32g)5位:ドーナツ 1個(22g)6位:クッキー 3枚(19g)7位:せんべい 2枚(17g)――――― 15g ―――――8位:あめ 3個(15g)1)坂根直樹 監修,佐野喜子 著. 糖尿病の食事療法 カロリーつきカーボカウントナビ. エクスナレッジ;2010.

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30~50代で非飲酒でも認知症リスク上昇/BMJ

 中年期に飲酒しなかった集団および中年期以降に過度な飲酒を続けた集団は、飲酒量が適度な場合に比べ認知症のリスクが高まることが、フランス・パリ・サクレー大学のSeverine Sabia氏らが行った「Whitehall II試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年8月1日号に掲載された。非飲酒と過度な飲酒は、いずれも認知機能に有害な影響を及ぼすとされるが、認知症の発症予防や遅延に関する現行のガイドラインには、エビデンスが頑健ではないため、過度の飲酒は含まれていないという。また、研究の多くは、老年期のアルコール摂取を検討しているため生涯の飲酒量を反映しない可能性があり、面接評価で認知機能を検討した研究では選択バイアスが働いている可能性があるため、結果の不一致が生じている。英国公務員のデータを用いたコホート研究 Whitehall II試験は、ロンドン市に事務所のある英国の公務員を対象とした前向きコホート研究であり、1985~88年に35~55歳の1万308例(男性:6,895例、女性:3,413例)が登録され、4~5年ごとに臨床的な調査が行われている(米国国立老化研究所[NIA]などの助成による)。 研究グループは、今回、認知症とアルコール摂取の関連を評価し、この関連への心血管代謝疾患(脳卒中、冠動脈心疾患、心房細動、心不全、糖尿病)の影響を検討した。 アルコール摂取量は、1985~88年、1989~90年、1991~93年(中年期)の3回の調査の平均値とし、非飲酒、1~14単位/週(適度な飲酒)、14単位超/週(過度な飲酒)に分類した。中年期のアルコール摂取を評価した集団の平均年齢は50.3歳だった。 また、1985~88年から2002~04年の5回の調査に基づき、17年間のアルコール摂取の推移を5つのパターン(長期に非飲酒、飲酒量減少、長期に飲酒量が1~14単位/週、飲酒量増加、長期に飲酒量が14単位超/週)に分けて検討した。 1991~93年の調査では、CAGE質問票(4項目、2点以上で依存性あり)を用いてアルコール依存症の評価を行った。さらに、1991~2017年の期間におけるアルコール関連慢性疾患による入院の状況を調べた。飲酒量が減少した集団もリスク上昇 平均フォローアップ期間は23年であり、この間に397例が認知症を発症した。認知症診断時の年齢は、非飲酒群が76.1歳、1~14単位/週の群が75.7歳、14単位超/週の群は74.4歳であった(p=0.13)。 中年期に飲酒していない群は、飲酒量が1~14単位/週の群に比べ認知症のリスクが高かった(ハザード比[HR]:1.47、95%信頼区間[CI]:1.15~1.89、p<0.05)。14単位超/週の群の認知症リスクは、1~14単位/週の群と有意な差はなかった(1.08、0.82~1.43)が、このうち飲酒量が7単位/週増加した集団では認知症リスクが17%有意に高かった(1.17、1.04~1.32、p<0.05)。 CAGEスコア3~4点(HR:2.19、95%CI:1.29~3.71、p<0.05)およびアルコール関連入院(4.28、2.72~6.73、p<0.05)にも、認知症リスクの増加と関連が認められた。 中年期~初老期のアルコール摂取量の推移の検討では、飲酒量が長期に1~14単位/週の集団と比較して、長期に飲酒をしていない集団の認知症リスクは74%高く(HR:1.74、95%CI:1.31~2.30、p<0.05)、摂取量が減少した集団でも55%増加し(1.55、1.08~2.22、p<0.05)、長期に14単位超/週の集団では40%増加した(1.40、1.02~1.93、p<0.05)が、飲酒量が増加した集団(0.88、0.59~1.31)では有意な差はなかった。 中年期の非飲酒に関連する認知症の過剰なリスクは、フォローアップ期間中にみられた心血管代謝疾患によってある程度説明が可能であり、非飲酒群全体の認知症のHRが1.47(1.15~1.89)であったのに対し、心血管代謝疾患を発症しなかった非飲酒の集団では1.33(0.88~2.02)であった。 著者は、「ガイドラインで、14単位超/週のアルコール摂取を有害の閾値と定義する国があるが、今回の知見は、高齢になってからの認知機能の健康を増進するために、閾値を下方修正するよう促すもの」としている。

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医師のアルバイト時給は平均1万~1万2千円

 ケアネットでは、2018年7月に「勤務医1,000人に聞く!医師のアルバイト収入について」のアンケートを行い、第1回では年間アルバイト収入について報告している。今回は、アルバイトの時給について、結果を発表する。クリニック外来は、80%近くが時給1万円以上 定期アルバイトの時給では、1万~1万2,000円が平均相場という結果が得られた。では、アルバイトの種類による時給の差はあるのだろうか。回答を解析した結果、クリニック外来がほかの種類(病院の外来・当直、健診など)と大きく差をつけて、最も時給が高い傾向にあった。 また、産業医では、1万6,000円以上の高額層が最も大きい27%を占めた。バイトの種類による時給の差が意外に大きいことがわかった。 そのほか、医師経験年数と時給の相関関係、アルバイトを選ぶ際に重視する項目など。詳細なデータはCareNet.comに掲載。

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第5回 10年以上余命が延びる5つの健康習慣【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 服薬指導をしていると、生活習慣改善の効果に懐疑的、もしくは諦めている患者さんに出会うことがあるのではないでしょうか。そのような患者さんでも、ある5つの生活習慣を実践すると、それをまったく行わないときよりも10年以上余命が延びる、と言われたら試してみたくならないでしょうか。今回は、健康的な生活が余命に大きな影響を及ぼすことがわかった2つの大規模調査の結果を体系的にまとめた論文を紹介します。Impact of Healthy Lifestyle Factors on Life Expectancies in the US Population.Li Y, et al. Circulation. 2018 Apr 30. [Epub ahead of print]2つの大規模調査とは、女性看護師を対象に慢性疾患のリスクファクターを検証しているNurses’ Health Study(1980~2014年、n=7万8,865)と、栄養的要素が男性医療者の健康に与える影響を検討したHealth Professionals Follow-up Study(1986~2014年、n=4万4,354)です。両研究におけるアンケート調査はなんと現在も進行しています(参考1、2)。いずれも重要かつ知っておくべき研究でしょう。今回紹介する論文は、この2つの研究の合計約12万3,000例の30~75歳を分析しています。両研究は組み入れ対象者の面で相互補完的な関係にあり、それらをまとめて分析した本研究も貴重な結論を導き出しています。解析項目は、健康上低リスク生活習慣者と高リスク生活習慣者でどれだけ死亡率に差が出るかです。組み入れ対象が医療専門職であることと、そのうちの多くは白人であることから、外的妥当性の評価には注意が必要です。本研究では、健康リスクを低減させる要素として、下記の5つを定義しました。1.健康的な食事をしている「健康的な食事」の定義付けとして、AHEI(Alternate Healthy Eating Index)を用いた評価がなされています。これは野菜、果物、ナッツ、全粒穀物、多価不飽和脂肪酸および長鎖オメガ3系脂肪酸の摂取が多く、赤身肉、加工肉、甘味料入り飲料、トランス脂肪酸、精製粉の摂取が少ないとスコアが良くなる指標です。研究では、AHEIスコアが各研究の上位40%に入った参加者は、健康的な食事を取っていると定義されました。2.喫煙しない3.少なくとも1日当たり30分の中等度または活発な運動を行っている4.適度な量のアルコール摂取(女性で5~15g/日、男性で5~30g/日)5.BMIが18.5~24.9kg/m2、すなわち低体重または肥満ではない各項目に当てはまれば1点、当てはまらなければ0点とし、5項目の合計点によって、対象者は5段階にスコア分けされました。また、これらの習慣が米国人口にどれほど共通しているかを評価するために、NHANES(米国国民健康栄養調査)で2013~14年に収集された情報を利用しています。死亡原因については、国家記録と家族報告書を用いて確認され、米国疾病対策予防センター(CDC)のWONDERデータベースを用いて検討を行っています。それらを踏まえ、最終的には調査対象者の行動パターンがどのように寿命、がんや心血管疾患による死亡リスクに影響を与えるか分析されました。アンケート調査である以上、主観的であり、個々の習慣が余命に及ぼす影響を特定することも困難になるわけですが、研究開始時の年齢、性別、民族性、閉経有無、マルチビタミンや定期的なアスピリン摂取またはホルモン補充療法の有無、糖尿病心臓発作またはがんの家族歴などの変数を用いて多変量解析が行われています。重要な関連要因の影響を考慮に入れて適切な措置をとったこと、サンプルサイズの大きさ、フォローアップ期間の長さ、複数時点での生活習慣とBMI評価があることはこの研究の強みといえるでしょう。最低リスク群では最高リスク群よりも、女性14.0年、男性12.2年余命が長い研究期間中に、4万2,167例の参加者が死亡しています。そのうち、がん患者数は1万3,953例、心血管疾患患者数は1万689例でした。5つの習慣のいずれもが、単独で全死因死亡またはがんないし心血管死亡のリスクを低減させる傾向がありました。最も不健康なスコア0の参加者と比較して、最も健康的なスコア5の参加者を多変量調整した結果は、全死因死亡が74%減少(ハザード比:0.26、95%信頼区間:0.22~0.31)、がんによる死亡が65%減少(ハザード比:0.35、95%信頼区間:0.27~0.45)、心血管疾患死亡が82%減少(ハザード比:0.18、95%信頼区間:0.12~0.26)でした。また、スコア5以外の参加者と比較して、スコア5の参加者では、全死因死亡が60.7%(95%信頼区間:53.6~66.7)、がんによる死亡が51.7%(95%信頼区間:37.1~62.9)、心血管疾患による死亡が71.7%(95%信頼区間:58.1~81.0)減少しています。一般的な米国人口がこれら5つの習慣を取り入れた場合の50歳時点での平均余命は、女性で43.1年(95%信頼区間:41.3~44.9)、男性で37.6年(95%信頼区間:35.8~39.4)でした。これは、そのいずれも取り入れない場合と比較して、女性で14.0年(95%信頼区間:11.8~16.2)、男性で12.2年(95%信頼区間:10.1~14.2)余命が延びている計算になり、大きなインパクトです。現実的に健康リスクを低減させる要素の5つすべてを一度に取り入れることが難しいのであれば、それぞれの習慣がリスク低減に寄与しているため、どれか1つの習慣だけを提案するアプローチもよいでしょう。大きな結果がもたらされることがわかっていれば、小さな習慣から徐々に取り入れて維持していくモチベーションも湧くのではないでしょうか。1)Li Y, et al. Circulation. 2018 Apr 30. [Epub ahead of print]参考1)Nurses’ Health Study2)Health Professionals Follow-up Study

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【勤務医のアルバイト収入 2018】第2回 アルバイト時給編

ケアネットでは、会員の先生方から寄せられた「ほかの医師たちのアルバイト(非常勤)収入について知りたい」という声にお応えし、アンケートのご協力をお願いしました。今回は、アルバイト時給の集計結果をご報告いたします。時給1万~1万2,000円が平均相場「最も回数が多いアルバイト先の時給」について、1,000人の回答結果からアルバイトを週1回以上行っている医師408人を抽出した。その結果、1万~1万2,000円未満が全体の35%と最も多くを占めた。次いで8,000~1万円未満が17%、その次は最も高額の1万6,000円以上で14%だった。画像を拡大するちなみに、「アルバイトの時給は、業務内容に見合っているとお考えですか?」という問いに対しては、59%が「見合っている」との回答だった。アルバイトの時給には、おおむね満足している医師が半数以上のようだ。■Q .《最も回数が多いアルバイト先について》アルバイトの時給をお教えください。1) 8,000円未満2) 8,000円以上1万円未満3) 1万円以上1万2,000円未満4) 1万2,000円以上1万4,000円未満5) 1万4,000円以上1万6,000円未満6) 1万6,000円以上時給が安いアルバイト先は若手に?週1回以上アルバイトを行っている医師408人を経験年数で分けて比較したところ、10年未満の若手医師では、時給1万円未満が40%を占める一方、1万4,000円以上は19%と、経験が10年以上の中堅・ベテラン医師と比較して低時給が多く、高時給が少ない傾向にあった。画像を拡大する最も時給が高いのはクリニック外来と産業医? 医師1,000人の回答から、アルバイトの種類による時給について解析を行った。その結果、クリニック外来では1万円以上の割合が77%を占め、ほかと大きな差をつけて最も時給が高かった。また、産業医は1万6,000円以上の高額層が27%と最も大きな割合を占めた。画像を拡大するその他の回答には、「(手術)麻酔」、「(看護学校などの)講師」、「講演会」、「手術」、「(レントゲンなどの)読影」などがあった。■Q . 《最も回数が多いアルバイト先について》アルバイト先の医療機関タイプをお教えください。1) 病院の外来2) 病院の当直3) 病院の病棟4) クリニックの外来5) 学校健診6) 施設健診7) 企業検診8) 産業医9) その他(自由記述欄)医師はアルバイトに高時給を求めている「アルバイト先を選ぶときに重視する条件」に対する回答は、「時給が高い」と答えた医師が圧倒的に多かった。2番目に多く選ばれた条件は、「自宅または勤務先から近い」、3番目は「専門性が活かせる」だった。その他の回答では、「負担が少ない」、「医局・病院からの紹介や指定」、「先輩・友人からの紹介」などが挙げられた。画像を拡大する■Q . アルバイト先を選ぶときに重視する条件をお教えください。※ 該当するものすべてをご回答ください。(複数可)1) インセンティブがつく2) 自宅から近い3) 専門性が活かせる4) 特殊技術が活かせる5) 時間が短い6) 交通費が出る7) 勤務先から近い8) 時給が高い9) エージェント利用10) 勤務先による紹介11) その他(自由記述欄)第3回では、詳細なデータと寄せられたコメントなどをご紹介いたします。

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尿崩症診断、コペプチン測定が従来法を上回る精度/NEJM

 尿崩症の診断について、間接水制限試験と比べて高張食塩水負荷試験による血漿コペプチン値測定のほうが診断精度は高いことが、ドイツ・ライプチヒ大学のWiebke Fenske氏らによる検討の結果、示された。間接水制限試験は、現行参照すべき基準とされているが、技術的に扱いが難しく、結果が不正確である頻度が高い。研究グループは、尿崩症にアルギニンバソプレシンが関与していることから、アルギニンバソプレシン前駆体由来の代替マーカーである血漿コペプチンを測定する方法の有用性を検討するため、間接水制限試験と比較した。NEJM誌2018年8月2日号掲載の報告。水制限試験vs.高張食塩水負荷試験の診断精度を検証 試験は2013~17年に、スイス、ドイツ、ブラジルの11施設で、低張多尿であった16歳以上の患者156例を集めて行われた。被験者には水制限試験と高張食塩水負荷試験の両方を受けてもらい3ヵ月間のフォローアップ受診を行った。高張食塩水負荷試験では、高張食塩水を静注後、血漿ナトリウム値が150mmol/L以上となった時点で血漿コペプチン値を測定した。 主要アウトカムは、最終参照診断と比較した各試験の全体的な診断精度であった。参照診断は、コペプチン値をマスキングし、病歴、試験結果、治療効果に基づき確定した。コペプチンカットオフ値>4.9pmol/Lの診断精度96.5% 両試験が行われたのは144例で、最終診断は、原発性多飲症82例(57%)、中枢性尿崩症59例(41%)、腎性尿崩症3例(2%)であった。 解析には141例(女性66%)が包含された。そのうち、間接水制限試験で正しく診断が下されたのは108例(診断精度76.6%、95%信頼区間[CI]:68.9~83.2)であったのに対し、高張食塩水負荷試験(コペプチンカットオフ値>4.9pmol/L)では136例(96.5%、92.1~98.6)で正しい診断が下された(p<0.001)。 また、間接水制限試験で、原発性多飲症と部分型中枢性尿崩症を正しく鑑別できたのは77/105例(73.3%、63.9~81.2)であったが、高張食塩水負荷試験では99/104例(95.2%、89.4~98.1)であった(補正後p<0.001)。 重篤な有害事象は、間接水制限試験で入院に至ったデスモプレシン誘発性低ナトリウム血症1例が報告された。

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第2回 重症低血糖を防ぐために【高齢者糖尿病診療のコツ】

第2回 重症低血糖を防ぐためにQ1 低血糖により高まるリスクにはどのようなものがありますか?高齢者の低血糖はさまざまな悪影響を及ぼします(表1)。軽症の低血糖でも認知機能障害を及ぼすことがあるため注意が必要です。また、低血糖の頻度が多くなるとうつ症状や糖尿病負担感の増加をもたらし、QOL低下を招きます。低血糖があると転倒や骨折が起こりやすくなり、重症化すると心血管疾患、うつ、認知症、および死亡のリスク因子ともなります。さらに重症低血糖と認知症、うつ、フレイルは相互に悪循環をもたらします。画像を拡大するQ2 高齢者で低血糖が起こりやすくなる理由、若年者とは違う“非典型的な”症状とは?高齢者(とくに75歳以上)で重症低血糖を起こしやすくなる原因は、(1)腎機能障害による経口血糖降下薬の蓄積、(2)加齢による低血糖症状の変化、(3)急な食事摂取量の低下、(4)低血糖の対処能力の低下、(5)薬剤の誤用などがあります(図1)。画像を拡大するとくに80歳以上では、腎機能障害(eGFR 45mL/分/1.73 m2未満)の頻度が多くなり、腎排泄の経口血糖降下薬(とくにSU薬)の蓄積をもたらします。持続時間が長いSU薬では、重症低血糖だけでなく、ブドウ糖投与で一時回復後も低血糖が持続する「遷延性低血糖」もきたしやすい点に注意が必要です。低血糖の典型的な自律神経症状である発汗、動悸、手のふるえなどが60歳以上では出にくくなり、無自覚性低血糖が起こりやすくなります。高齢者の低血糖では、頭がくらくらする、体がふらふらする、めまい、脱力感といった非典型的な症状であらわれることが多いので、見逃さないように注意が必要です。そのほか、目が見にくい、ろれつ不良、動作がぎこちない、片麻痺、物事の段取りがうまくいかない、意欲低下、せん妄などの神経・精神症状が起こる場合もあります。高齢者では肺炎などの急性疾患によって、急激に食事摂取量が低下することが多くなり、嘔吐、下痢などの消化器症状をきたすこともあります。こうしたシックデイ時に、SU薬やインスリンを通常量で服用・投与してしまうと、重症低血糖をきたす恐れがあるので、SU薬の減量・中止やインスリンの減量を適切に行うことが重要です。また、欠食などの食生活の乱れが低血糖の誘因になる場合もあります。認知症を合併した糖尿病患者では、低血糖への対処ができないために、さらに重症低血糖のリスクが高まります。普段は認知機能が正常な高齢者であっても、血糖値が47~54mg/dLになると認知機能障害を起こすことが知られています(図2)。軽度の低血糖であっても、実行機能障害、注意力低下、判断力低下などの認知機能障害を起こし、ブドウ糖をとるといった低血糖の対処ができなくなる事態が起こり得ます。この低血糖による認知機能障害は、認知症と異なり血糖値の正常化により回復することが多いので、ブドウ糖投与で症状が改善するかどうかを確認します。画像を拡大するQ3 どのような患者が低血糖を起こしやすいのでしょうか?表2に重症低血糖を起こしやすい患者の特徴を示します。加齢と関連する特徴としては、とくに認知機能障害の重症度が進むにつれて、低血糖リスクも高くなることに注意が必要です(図3)。画像を拡大する画像を拡大する Q4 低血糖を何とか未然に防ぐ“コツ”はあるでしょうか?1)低血糖の予測経口血糖降下薬を使用している場合、HbA1c 7.0%未満(または空腹時血糖110mg/dL未満)で低血糖リスクが加速度的に高まるので9)、低血糖とみられる症状がないか問診を行います。またインスリン使用者ではHbA1c高値でも、低血糖が起こる可能性を考える必要があります。2)SU薬の減量・中止SU薬はeGFRで腎機能を評価しながら、できるだけ少量で用います。eGFR 45mL/分/1.73m2未満で減量、eGFR30mL/分/1.73m2未満で原則中止とされています。高齢者ではグリベンクラミドの使用を控え、グリメピリドは0.5mg/日でも低血糖が起こりうることに注意が必要です。グリクラジドが最も低血糖のリスクが小さく、10~20mg/日の少量で使用します。HbA1c6.5%未満または何らかの低血糖の症状がみられた場合には、SU薬をさらに減量すべきでしょう。最終的には、グリクラジド10~20mg/日かグリニド薬に変更します。3)血糖自己測定の活用とインスリンの減量インスリン治療中、HbA1cが高くても低血糖リスクが高まるのは、日内または日差の血糖変動が大きいために、血糖値やHbA1cの値だけでインスリンを増量すると低血糖を起こしやすいことが原因と考えられます。したがって、血糖測定を毎食前と眠前の1日4回行い、血糖変動をみながらインスリン量を慎重に調節することが重要になります。同じ時間帯に血糖100mg/dL未満が連続する場合には、責任インスリン(その時間の血糖値に最も影響を及ぼしているインスリン)を1~2単位減量できないか検討するとよいでしょう。SU薬でもインスリン治療でも、低血糖は午前5時、6時台の発生が最も多くなります。したがって、早朝5時の血糖測定を行うことができれば理想的です。午前5時の血糖値100mg/dL未満が連続する場合も、インスリンの減量を検討します。4)柔軟な血糖コントロール目標日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会による「高齢者の血糖コントロール目標 (HbA1c値)」では、重症低血糖が危惧される薬剤(インスリンやSU薬、グリニド薬など)の使用がある場合は、重症低血糖を防ぐために目標値を甘めに設定しており、さらに目標下限値も設定しています。もし目標下限値を下回ったら、問診、またはSMBG、CGM、FGMなどを活用して低血糖の評価を行うべきでしょう。低血糖がなければ現在の治療を継続しますが、無自覚性低血糖がある場合は、それらの薬剤を減量します。例えばHbA1c6.0%未満など、下限値を大きく下回る場合は、その時点でSU薬やインスリンの減量を考慮したほうがよいでしょう。5)低血糖教育高齢者では重症低血糖のリスクが高い患者に対して、患者のみならず介護者を含めて、低血糖教育を行うことが大切になります。(1)高齢者の低血糖の非典型的な症状とその対処法、(2)毎食炭水化物を摂取し、欠食や極端な炭水化物制限をしないこと、(3)運動時の低血糖に注意すること、(4)食事摂取量が低下した場合や下痢、嘔吐の場合にはSU薬を減量・中止、またはインスリンを減量すること、を理解してもらうことが必要です。 1)Warren RE, Frier BM. Diabetes Obes Metab. 2005;5:493-503.2)Araki A, et al. J Am Geriatr Soc. 2004;52:205-10.3)Laiteerapong N, et al. Diabetes Care. 2011;34:1749-53.4)Johnston SS, et al. Diabetes Obes Metab. 2012;14:634-43.5)Chiba Y, et al. J Diabetes Complications. 2015;29:898-902.6)Pilotto A, et al. Biomed Res Int. 2014 Feb 13.[Epub ahead of print]7)Whitmer RA, et al. JAMA. 2009;301:1565-72.8)Goto A, et al. BMJ. 2013 Jul 29;347:f4533.9)Bramlage P, et al. Cardiovasc Diabetol. 2012;11:122. 10)Feil DG, et al. J Am Geriatr Soc. 2011;59:2263-72.

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