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糖尿病患者の認知症リスク、活動的・社会的な生活で減らせるか

 糖尿病関連認知症に対する健康的な生活習慣の効果はまだわかっていない。今回、活動的な生活習慣と豊かな社会的ネットワークが糖尿病患者の認知症リスクの増加を防げるかどうか、スウェーデン・ストックホルム大学のAnna Marseglia氏らが検討した。その結果、活動的で社会的な生活習慣が、認知症リスクにおける糖尿病の有害作用を打ち消す可能性があることが示唆された。Diabetes Care誌オンライン版2018年12月6日号に掲載。 本研究は、Swedish National Study on Aging and Care in Kungsholmen(n=2,650)の認知症ではない高齢者の10年間の追跡調査。糖尿病は、病歴、薬剤使用、医療記録により、もしくはHbA1c 6.5%以上、HbA1c 5.7~6.5%(前糖尿病)で確定した。認知症は標準的な基準に従って専門医が診断した。「活動的な生活習慣」は、中程度~高レベルの余暇活動、もしくは社会的つながりとサポートが中程度~豊富な社会的ネットワークと定義された。認知症リスクのハザード比(HR)は、Cox回帰モデルから算出した。 主な結果は以下のとおり。・追跡調査中に246人に認知症が発症した。・前糖尿病(n=921)を除く糖尿病患者(n=243)は、糖尿病ではない参加者よりも認知症リスクが高かった(調整HR:2.0、95%信頼区間[CI]:1.4~2.9)。・糖尿病で余暇活動レベルが低い人(HR:4.2、95%CI:2.2~8.2)もしくは社会的ネットワークが乏しい人(HR:3.4、95%CI:1.9~6.1)は、余暇活動が中程度~高レベルもしくは社会的ネットワークが中程度~豊富な糖尿病でない参加者に比べて、認知症リスクが高かった。・糖尿病の参加者では、活動的な生活習慣(余暇活動レベルが高い、もしくは社会的ネットワークが豊富)が少ないリスク上昇と関連していた(HR:1.9、95%CI:1.1~3.4)。

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日本と世界の平均寿命は2040年にどうなるか?(解説:有馬久富氏)-979

 日本人の平均寿命は、戦後右肩上がりで延び続け、世界でもトップクラスの長寿国となった。2017年の平均寿命は、男性で81年、女性で87年と報告されている1)。先日、Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study(GBD)研究2016のデータを用いて、2040年の世界平均寿命を予測した成績がLancetに掲載された2)。その結果、世界の平均寿命は、男女ともに平均4.4年延び、日本の平均寿命も85年を超えて世界のトップクラスにあり続けると予測された。 同時に、各国の保健政策が有効に機能しなかった場合には平均寿命がほとんど変化しないとも予測されている2)ので、日本においても油断することはできない。論文のsupplementalファイルには国別にリスク要因を検討した結果が示されているが、日本においてとくに改善が必要なのは、喫煙、肥満、高血圧、飲酒および高血糖であった。これらのリスク要因に関して、国民全体の生活習慣を改善するポピュレーション予防戦略と高血圧・糖尿病・高度肥満者などに適切な医療を提供するハイリスク戦略を組み合わせて、さらなる健康長寿につなげてゆきたいところである。 一方、サハラ以南のアフリカでは平均寿命が短く、一部の国々では2040年になっても平均寿命が65年に到達しないと予測されている2)。日本などの長寿国に比べると、20年以上のギャップが存在することになる。これらの国々においては、保健・医療システムを含めた社会基盤の整備および貧困の解消に向けたサポートを継続してゆく必要があろう。

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野菜不足の患者さんにひと言【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第24回

■外来NGワード「もっと野菜を食べるようにしないと!」(あいまいな食事指導)「1日に野菜を350g以上食べるようにしなさい!」(わかりにくい食事療法を提示)「野菜ジュースを飲むようにしなさい!」(野菜の代わりになると勘違い)■解説 野菜にはビタミン・ミネラルや食物繊維が豊富に含まれており、国が推進する「健康日本21」では、がんと生活習慣病の予防や健康づくりの観点から、1日に350g以上摂ることが推奨されています1)。しかし、「1日350g」と言ってもわかりにくいので、野菜70gを1皿とカウントして「1日に5皿以上摂ることを目指してください」と説明すると、理解が深まります。また、手を使った方法で、生野菜なら両手で軽く1杯、温野菜なら片手で1杯が1皿の目安となります。漬物や汁物は1人前が0.5皿分、野菜サラダ、ホウレン草のおひたし、きんぴらごぼうは1人前が1皿分となり、野菜炒めなどの大皿料理、野菜たっぷりカレー、筑前煮などは1人前を2皿分とカウントできます。平成29年度「国民健康・栄養調査2)」によると、20歳以上で1日に野菜を350g以上食べている人の割合は30%程度です。とくに、20~30代の野菜摂取量が少ないことが問題となっています。しかし、野菜を摂る習慣がない人に「1日5皿を食べましょう!」と理想を提示しても、そんなのは無理だと思われてしまいます。そこで、以下のように説明してみてはいかがでしょうか。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師普段、1日にどのくらい野菜を食べていますか?患者食べないといけないのはわかっているんですが、なかなか毎食とはいかなくて…。医師そうですか。では、健康のためには1日にどのくらいの野菜を食べればいいか知っていますか?患者いえ、知りません。医師ちょっと、手でおわんを作ってもらえますか。患者こうですか?(両方の手のひらを上に向けて、おわんの形にする)医師生野菜なら両手で軽く1杯、温野菜なら片手で1杯が、だいたい70gになるので、これを野菜1皿分とします。患者はい。医師がんや糖尿病、生活習慣病などを予防するためには、1日に野菜を350g、つまり5皿分摂ることが推奨されています。患者えっ、そんなに食べないといけないんですか!?(驚きの表情)医師それが最終目標になりますが、今は1日に何皿ぐらい食べておられますか?患者そうですね…。2皿か、3皿くらいでしょうか。医師なるほど。気を付けておられますね。それでは、野菜をもう1皿増やすためには、どうしたらいいと思いますか?患者えーと…(野菜摂取のアイデアの話が続く)。■医師へのお勧めの言葉「野菜をもう1皿増やすとしたら、どうしたらいいと思いますか?」1)Nakamura S, et al. BMC Public Health. 2017;17:74.2)厚生労働省 平成29年「国民健康・栄養調査」結果の概要

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退職後も働く日本人、脳卒中・糖尿病の発症が遅い

 60歳以上の日本人男性の追跡調査の結果、現在の退職年齢を過ぎて働くことが健康にプラスの影響を与えることが示唆された。慶應義塾大学の岡本 翔平氏らが報告した。Bulletin of the World Health Organization誌2018年12月号に掲載。 著者らは、わが国の全国高齢者調査の公開されたデータから、60歳以上の男性1,288人を抽出し、死亡・認知機能低下・脳卒中・糖尿病の4つの健康アウトカムの発症について最大15年間追跡調査した。傾向スコア法を用いて、経済的、社会的および健康のデータを独立変数の形で組み込み、健康労働者効果を調整した。就労している人としていない人の健康アウトカムの時間差を計算し、退職年齢を過ぎて働くことによる健康について平均処置効果(ATE)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・就労している人はしていない人と比べて、寿命が1.91年(95%信頼区間:0.70~3.11)長かった。さらに、認知機能低下までの期間が2.22年(同:0.27~4.17)、糖尿病発症までの期間が6.05年(同:4.44~7.65)、脳卒中発症までの期間が3.35年(同:1.42~5.28)長かった。・自営業者と従業員の比較では、寿命は自営業者のほうが長かった。糖尿病や脳卒中の発症年齢については、従業員でのみ有意なベネフィットが認められたが、自営業者ではみられなかった。

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骨粗鬆症検診、受診率が最も低い県は?

 骨粗鬆症患者は約1,280万人と推計されているが、自覚症状がないことが多いため気づかれにくい。骨折などでQOLが急激に低下することを防ぐためには早期に診断し、治療に取り組むことが重要となっている。12月7日、骨粗鬆症財団は厚生労働省の公表データをもとに都道府県別に骨粗鬆症検診受診率を調べた結果を発表した。検診受診率が最も高い栃木県と最も低い島根県では47倍もの開きがあり、相関解析の結果、検診受診率が低い地域ほど大腿骨骨折の発生率が高く、介護が必要になる人が多くなる傾向が明らかになった。検診受診率は最も高い県で14%、最も低い県では0.3% 現在国が行っている公的な骨粗鬆症検診としては、40、50、55、60、65、70歳の女性を対象にした節目検診があり、骨粗鬆症財団では男性でも70代以降は2年おきを目安とした受診を推奨している。 2015年度の骨粗鬆症検診の受診率は全国平均で5.0%と低く、高い方から栃木県(14.0%)、山梨県(13.1%)、福島県(13.1%)、群馬県(13.1%)、宮城県(12.1%)であった。低い方からみていくと島根県(0.3%)、和歌山県(0.9%)、神奈川県(0.9%)、京都府(1.1%)、北海道(1.2%)の順で、地域によって大きな差があることが明らかとなった1)。検診受診率が高いほど大腿骨骨折が少なく、要介護率が低い傾向 骨粗鬆症は大腿骨骨折の大きなリスク因子であり、本調査では、大腿骨骨折により人工骨頭挿入術を受けた患者の割合と、検診受診率および要介護率との間の関連が調べられた。 その結果、大腿骨骨折により人工骨頭挿入術を受けた患者の割合と要介護率との間には正の相関(n=47、r=0.47、p<0.01)、人工骨頭挿入術を受けた患者の割合と検診受診率との間には負の相関(n=46、r=-0.49、p<0.01)がみられた。さらに、要介護率と検診受診率との間には負の相関関係が認められている(n=46、r=-0.46、p<0.01)。これらのことから、検診受診率の低い地域ほど大腿骨骨折の発生率が高く、介護が必要になる人が多い傾向が示唆された。 なお、各種の健康診査およびがん検診(健康診査、血圧、脂質検査、糖尿病検査、貧血検査、肝疾患検査、腎疾患検査、胃がん健診、肺がん検診、大腸がん検診、子宮頸がん検診、乳がん検診)の検診受診率と要介護率の間には相関関係は認められなかった。 骨粗鬆症検診の受診者数は「平成27年度地域保健・健康増進事業報告(健康増進法)」、要支援及び要介護者数は「平成26年度介護保険事業状況報告」、人工骨頭挿入術(股)数は「第 2 回レセプト情報・特定健診等情報データベース」、人口は「平成 27 年国勢調査人口等基本集計」を用いている。この結果は、日本骨粗鬆症学会雑誌2)に報告された。 骨粗鬆症財団ホームページ内の「検診のQ&A」ページでは医療従事者向けのQ&Aが掲載されているほか、骨量測定結果の見方について患者配布用の資材もダウンロード可能となっている。■参考1)公益財団法人骨粗鬆症財団 プレスリリース2)山内広世ほか. 日本骨粗鬆症学会雑誌. 2018;4:513.〔12月17日 記事の一部を修正いたしました〕

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Dr.須藤のやり直し酸塩基平衡

第1回 基本的な生理学的知識 第2回 酸塩基平衡異常の基本第3回 血液ガスの読み方とケーススタディ01&02第4回 ケーススタディ03&04 第5回 K代謝の生理学とケーススタディ05 第6回 ケーススタディ06 第7回 ケーススタディ07 第8回 ケーススタディ08 第9回 ケーススタディ09 そして低K血症の鑑別診断の手順 第10回 尿中電解質の使い方 酸塩基平衡に苦手意識を持っていませんか?酸塩基平衡は、最低限の生理学的な基本を理解したうえで、個々の患者さんに応用できるようになると、これほど面白い分野はないといっても過言ではありません。このシリーズでは、達人Dr.須藤が酸塩基平衡の基本ルールをしっかりとレクチャー。シリーズ後半には、症例を基に、実用的な応用について、解説します。これで、あなたも酸塩基平衡が好きになる!第1回 基本的な生理学的知識 まずは、酸塩基平衡の生理学的な基本知識から解説します。酸の生成や負荷に対する生体の反応そして、基本用語の整理など、これまでぼんやりと知っていたことが、すっきりと整理され、理解できます。また、覚えづらいHenderson-Hasserbalch 式など、Dr.須藤ならではの覚えるコツもお教えします。第2回 酸塩基平衡異常の基本 酸塩基平衡異常は何らかの病的プロセス(代謝性・呼吸性)、(アシドーシス・アルカローシス)が複数参加した綱引きです。正常な状態であれば、綱は地面に置かれており、中央はpH7.40であるが、何らかの異常があると綱引き開始!綱引き勝負の行方は?Dr.須藤ならではの綱引きの図を使って、詳しく解説します。まずは、代謝性アシドーシスと代謝性アルカロ―シスの機序についてしっかりと理解してください。第3回 血液ガスの読み方とケーススタディ01&02 今回は基本的な血液ガスの読み方をレクチャー。血ガスは基本的な6つのステップをきちんと踏んでいくことで、患者さんの状態を読み解いていくことができます。また、今回から症例の解析に入ります。Dr.須藤が厳選した症例で、基本ルールのマスターと臨床の応用について学んでいきましょう。第4回 ケーススタディ03&04 今回は、2症例を基に混合性の酸塩基平衡異常を解説します。“Medical Mystery”と名付けられた症例03。pHは一見正常、でも患者の状態は非常にsick。さあ、患者にいったい何が起こっているのでしょう。そして、酸塩基平衡や電解質の異常をたくさん持っているアルコール依存症の患者の症例を取り上げるのは症例04。それらをどう解読していくのか、Dr.須藤の裏ワザも交えて解説します。第5回 K代謝の生理学とケーススタディ05 カリウム代謝異常(とくに低Kを血症)合併することが多い酸塩基平衡異常。今回は、カリウム代謝に関する基本的な腎生理学から学んでいきましょう。まずは、重要な尿細管細胞について。NHE3?NKCC2?ROMK?ENAC?・・・が何だか!!!心配いりません。Dr.須藤がこのような難しいことを一切省いて、臨床に必要なところに絞って、シンプルに解説します。第6回 ケーススタディ06 ケース06は「原因不明の腎機能障害を認めたの48歳の小柄な男性」。多彩な電解質異常、酸塩基平衡異常を来した今回の症例。Dr.須藤が“浅はか”だったと当時の苦い経験を基に解説します。ピットフォールはなんだったのか?また、AG正常代謝性アシドーシスの鑑別診断に、重要な意味を持つ尿のAnion GAPについても確認しておきましょう。第7回 ケーススタディ07 「クローン病治療にて多数の腸切除と人工肛門増設がある41歳男性の腎機能障害」の症例を取り上げます。さまざまな病態、酸塩基異常、電解質異常などを呈するこの患者をどう診断し、どこからどのように治療していくのか。臨床経過-血液ガスの数値と治療(輸液)の経過-を示しながら、診断と治療について詳しく解説します。第8回 ケーススタディ08 今回の症例は「腎機能障害と原因不明の低K血症で紹介された48歳女性」検査所見は、低K血症とAG正常代謝性アシドーシス、そして、尿のAGはマイナス!そう、この組み合わせで一番に考えられるのは「下剤濫用」。しかしながら、導き出される鑑別と、患者から得られる病歴が一致しない。時間稼ぎにクエン酸NaとスローKで外来で経過をみながら考えることを選択。だが、完全に補正されない・・・。思考停止に陥ったDr.須藤。その原因と診断は?第9回 ケーススタディ09 そして低K血症の鑑別診断の手順 「著明な低カリウム血症の35歳女性」を取り上げます。Dr.須藤の初診から1週間後、診察室に訪れた患者。なんと30分間も罵倒され続けることに!!一体患者に、、Dr.須藤に何が起こったのか!そして、いくつかのケーススタディでみてきた低カリウム血症の鑑別診断を、手順に沿って、シンプルにわかりやすく解説します。これまで何度も出てきた“KISS”と“尿血血”というキーワード。ついにその全貌が明らかに!第10回 尿中電解質の使い方 「クローン病治療にて多数の腸切除と人工肛門増設がある41歳男性の腎機能障害」の症例を取り上げます。さまざまな病態、酸塩基異常、電解質異常などを呈するこの患者をどう診断し、どこからどのように治療していくのか。臨床経過-血液ガスの数値と治療(輸液)の経過-を示しながら、診断と治療について詳しく解説します。

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ニボルマブ、NSCLCにおける実臨床下での安全性プロファイル/日本肺癌学会

 本邦で抗PD-1抗体ニボルマブが進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)治療における承認を取得したのは2015年12月。市販後の日常臨床での副作用発現状況を調べた全例調査の結果について、近畿大学の中川 和彦氏が11月29日~12月1日に東京で開催された第59回日本肺癌学会学術集会で発表した。本調査では、副作用発現状況のほか、安全性・有効性に影響を与える因子が検討されている。調査方法:事前症例登録による全例調査方式登録期間:2015年12月17日~2016年3月31日観察期間:投与開始後12ヵ月登録症例数:3,808例(うち安全性解析対象は3,606例/有効性解析対象は3,381例)重点調査項目:間質性肺疾患/副腎障害/重症筋無力症・筋炎/脳炎/大腸炎・重度の下痢/重度の皮膚障害/1型糖尿病/静脈血栓塞栓症/肝機能障害/Infusion reaction/甲状腺機能障害/心臓障害(心房細動、徐脈、心室性期外収縮等)/神経障害/腎障害 主な結果は以下のとおり。・安全性解析対象3,606例のうち、1,688例(46.8%)に副作用が認められた(国内臨床試験では発現率79.3% [88/111例])。・重点調査項目の発現頻度は、間質性肺疾患が9.57%と最も多くみられ、甲状腺機能障害(9.04%)、肝機能障害(7.93%)、Infusion reaction(5.57%)、大腸炎・重度の下痢(5.57%)などが続いた。・重点調査項目の発現時期は、中央値でみるとおおむね2ヵ月以内に発現していたが、副腎障害と1型糖尿病については、中央値がそれぞれ5ヵ月、3ヵ月頃であった。[頻度の高かった副作用の処置と転帰、リスク要因]間質性肺疾患:発現率9.57%(345/3,606例)・主な処置として、265例(76.8%)でステロイド治療が行われていた。・ニボルマブ投与は、266例(77.1%)で中止(休薬)。31例で再投与、うち3例で間質性肺疾患の再発が認められた。・263例(76.2%)が回復・軽快、41例(11.9%)が未回復、34例(9.9%)が死亡。・多変量解析の結果、ILDの病歴あり(ハザード比[HR]:2.41)、CT異常所見あり(HR:1.35)がリスク要因として示された。甲状腺機能障害:発現率9.04%(326/3,606例)・主な処置として、167例(51.2%)でホルモン補充療法が行われていた。・ニボルマブ投与は、74例(22.7%)で中止(休薬)。23例で再投与、うち5例で甲状腺機能障害の再発が認められた。・197例(60.4%)が回復・軽快、106例(32.5%)が未回復、死亡例は確認されなかった。・多変量解析の結果、甲状腺機能低下症、自己免疫性甲状腺炎、甲状腺腫、慢性甲状腺炎などの甲状腺の病歴(HR:3.05)がリスク要因として示された。肝機能障害:発現率7.93%(286/3,606例)・処置なしが223例(76.6%)と最も多く、ステロイド治療が約6%で実施されていた。・ニボルマブは、68例(23.8%)で中止(休薬)。17例で再投与、うち3例で肝機能障害の再発が認められた。・206例(72.0%)が回復・軽快、69例(24.1%)が未回復、4例(1.4%)が死亡。・多変量解析の結果、B型肝炎、C型肝炎、肝炎ウイルスキャリアー、脂肪肝、肝転移などの肝臓の病歴(HR:2.33)がリスク要因として示された。大腸炎・重度の下痢:発現率5.57%(201/3,606例)・主な処置として、67例(33.3%)でホルモン補充療法が行われていた。・ニボルマブ投与は、98例(48.8%)で中止(休薬)。33例で再投与、うち11例で大腸炎・重度の下痢の再発が認められた。・184例(91.5%)が回復・軽快、12例(6.0%)が未回復、3例(1.5%)が死亡。・多変量解析の結果、リスク要因は抽出されなかった。・一年生存率は、有効性解析対象全体で42.4%(1,433/3,381例)。PS良好の患者で高い一年生存率が確認された(PS 0~1:49.2%、PS 2:17.0%、PS 3~4:11.2%)。※医師限定肺がん最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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DPP-4阻害薬・GLP-1受容体作動薬は胆管がんリスクを大幅増/BMJ

 インクレチンベースのDPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬は、それ以外の抗糖尿病薬の第2・第3選択薬と比べて、胆管がんリスクを大幅に増大する可能性があることが明らかにされた。カナダ・Jewish General HospitalのDevin Abrahami氏らが、糖尿病患者15万例超を対象とした集団ベースのコホート試験で明らかにし、BMJ誌2018年12月5日号で発表した。アンバランスな胆道系がんの発症が、インクレチンベースの抗糖尿病薬の大規模無作為化試験においてみられているが、リアルワールドでの観察試験では調査されていなかった。DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬と、それ以外の抗糖尿病薬と比較 研究グループは、英国の臨床データベース「Clinical Practice Research Datalink(CPRD)」を基に、2007年1月1日~2017年3月31日の間に新たに糖尿病の診断を受けた成人15万4,162例について、2018年3月31日まで追跡を行った。 DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の使用を時変共変数としてモデル化し、それ以外の第2・第3選択薬の抗糖尿病薬と比較。がん潜伏期間と逆の因果関係を最小化するために、すべての曝露から1年間の遅延期間を設定した。 Cox比例ハザードモデルを用いて、DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の使用に関連した胆管がん発生のハザード比(HR)を95%信頼区間(CI)とともに、それぞれについて算出した。また、世界保健機関(WHO)の個別症例安全性報告のデータベース「VigiBase」を使って、事後のファーマコビジランス解析を行い、胆管がんの報告オッズ比(ROR)を推算した。DPP-4阻害薬、胆管がんリスク1.77倍増大 61万4,274人年の追跡期間中に発生した胆管がんは、105例(17.1/10万人年)だった。 DPP-4阻害薬の服用は、胆管がんリスクを77%増大した(HR:1.77、95%CI:1.04~3.01)。また、GLP-1受容体作動薬の服用も胆管がんリスクの増大が示されたが、95%CI値は広範囲にわたった(HR:1.97、95%CI:0.83~4.66)。 ファーマコビジランス解析では、DPP-4阻害薬またはGLP-1受容体作動薬の使用は、SU薬やチアゾリジン系薬の使用と比べて、いずれも胆管がんのRORは増大と関連していた(DPP-4阻害薬のROR:1.63[95%CI:1.00~2.66]、GLP-1受容体作動薬のROR:4.73[同:2.95~7.58])。

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ADHD、同学年では早生まれの児童で診断率が高い/NEJM

 米国において、注意欠如・多動症(ADHD)の診断率と治療率は、幼稚園入園基準日を9月1日とする州では、基準日に近い同年の8月生まれの児童が、前年の9月生まれよりも高いことを、米国・ハーバード大学医学大学院のTimothy J. Layton氏らが、2007~09年に生まれた小児約40万人の調査で明らかにした。米国の大半の州では公立学校への入学基準を時期で区切っており、同学年でも誕生日が基準日に近い児童では、ほぼ1年の年齢差がある。そのため、同一学年のコホートにおいて、より年齢が低い(いわゆる早生まれ)児童は、より年齢が高い(遅生まれ)児童と比べて、年齢の違いによる行動がADHDと診断される可能性があると考えられていた。著者は、「今回の結果は、学年または学校クラス内の行動状況が、ADHDの診断に影響するという仮説と一致する」とまとめている。NEJM誌2018年11月29日号掲載の報告。同学年(9月入学)の9月生まれと8月生まれのADHD診断率と治療率を調査 研究グループは、大規模保険請求データベースの2007~15年のデータを用い、9月1日時点で5歳になっている児童は幼稚園に入園しなければならない州とそれ以外の州で、同じ学年の9月生まれ(遅生まれ)と8月生まれ(早生まれ)の児童のADHD診断率を比較した。ADHDの診断は、ICD第9版の診断コードに基づくものとした。また、同様に9月生まれと8月生まれの児童のADHD治療率を比較するために、処方記録も使用した。 解析対象は、2007~09年に米国全州で生まれた40万7,846人で、2015年12月まで追跡調査した。診断児の絶対差、入園基準日あり州21.5/1万例、なし州8.9/1万例 9月1日を基準日とする州では、保険請求で確認したADHDの診断率は、8月生まれの児童で85.1/1万例(309/3万6,319例、95%信頼区間[CI]:75.6~94.2)、9月生まれで63.6/1万例(225/3万5,353例、95%CI:55.4~71.9)であり、絶対差は21.5/1万例(95%CI:8.8~34.0)であった。一方、9月1日を基準日としない州では、絶対差は8.9/1万例(95%CI:-14.9~20.8)であった。 また、ADHDの治療率は、8月生まれの児童で52.9/1万例(192/3万6,319例、95%CI:45.4~60.3)、9月生まれで40.4/1万例(143/3万5,353例、95%CI:33.8~47.1)で、両者の絶対差は12.5/1万例(95%CI:2.43~22.4)であった。これらの差は、他の月における前月との比較では観察されず、基準日を9月1日としていない州でも観察されなかった。 また、9月1日を基準日とする州において、8月生まれと9月生まれの児童で、喘息、糖尿病、肥満の割合に有意差は確認されなかった。 なお、著者は、ADHD診断の適正や治療に関連した転帰は評価できず、メディケイド加入児童や保険未加入の児童は除外されていることなどを研究の限界として挙げている。

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ダパグリフロジンによる心血管イベントの抑止-RCTとリアルワールド・データとの差異(解説:吉岡成人氏)-967

オリジナルニュースCV高リスク2型DMへのSGLT2iのCV死・MI・脳卒中はプラセボに非劣性:DECLARE-TIMI58/AHA(2018/11/13掲載)はじめに SGLT2阻害薬の投与によって2型糖尿病における心血管リスクが低下することが、EMPA-REG OUTCOME、CANVAS Programの2つの大規模臨床試験で示されている。それぞれ、SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジン、カナグリフロジンが用いられ、心血管イベントの既往者およびハイリスク患者において、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中を総合して「主要心血管イベント」とした際に、SGLT2阻害薬を使用した患者における統計学的に有意なイベント抑制効果が確認された。さらに、副次評価項目として、アルブミン尿の進展やeGFRの低下をも抑制し、腎保護作用を示唆するデータも示された。DECLARE-TIMI58 SGLT2阻害による心血管イベントの抑制効果がクラスエフェクトであることを確認すべく、ダパグリフロジンのプラセボに対する有用性を確認すべく実施されたDECLARE-TIMI58(Dapagliflozin Effect on Cardiovascular Events-Thrombolysis in Myocardial Infarction 58)の結果が、2018年11月に米国心臓協会学術集会で公表され、NEJM誌に同時掲載された。対象となったのは1万7,160例の2型糖尿病患者で、平均年齢64歳、41%は心血管疾患の既往がある2次予防群、残りの59%は複数の心血管危険因子を有するものの心血管疾患の既往がない1次予防群である。 中央値4.2年間の追跡期間において、ダパグリフロジン群では8.8%に主要心血管イベントが発生し、プラセボ群の9.4%よりも少なかったが、統計学的には有意な差ではなかった(ハザード比:0.93、95%信頼区間:0.84~1.03)。しかし、試験開始後に追加された、心血管死または心不全による入院という複合評価項目においては、ダパグリフロジン群4.9%、プラセボ群5.8%(ハザード比:0.83、95%信頼区間:0.73~0.95)と有意な減少を認めた。とはいえ、個別の評価項目では、心血管死の頻度は2.9%と差がなく、心不全による入院の減少がダパグリフロジンで2.5%と少なかったこと(プラセボ群:3.3%、ハザード比:0.73、95%信頼区間:0.61~0.88)が複合評価での優位性を示したといえる。 副次評価項目としての、腎複合アウトカム(eGRFが40%以上低下して60mL/min/1.73m2となる末期腎不全の新規発症、腎疾患ないしは心血管疾患による死亡)の減少も確認されている。 有害事象としては、ダパグリフロジン投与群で、糖尿病ケトアシドーシス、性器感染症の頻度が高かった。リアルワールド・データとの差異 ダパグリフロジンを含むSGLT2阻害薬の心血管イベント抑止効果に関しては、リアルワールドでの観察研究としてCVD-REALおよびCVD-REAL 2のデータが公表され、SGLT2阻害薬の追加投与群はDPP-4阻害薬を追加した群に比較して、全死亡、心不全による入院、心筋梗塞、脳卒中のリスクを低下させると報告している。とくに、日本を含むアジア太平洋、中東、北米の6ヵ国を対象として実施したCVD-REAL 2では全死亡のリスクを49%も低下させる(ハザード比:0.61、95%信頼区間:0.54~0.69)ことが注目された。 RCTであるDECLARE-TIMI58の結果と、リアルワールドのデータに著しい違いがあるのはなぜであろうか? リアルワールドのデータが過大に評価される原因としてバイアスの関与が示唆されている。ひとつは、選択バイアスである。実診療の現場で、患者の予後がはかばかしくない場合に、新たな薬剤としてSGLT2阻害薬が追加されるかどうかにはバイアスが入り込むと考えられる。また、生存・死亡に関するバイアス(immortal timeバイアス)*の関与も示唆されており、SGLT2阻害薬が追加投与されるまでの期間が考慮されない場合の解析では、生存期間が過大に評価されてしまう(Suissa S. Diabetes Care. 2018;41:6-10.)。*生存・死亡に関するバイアス(immortal timeバイアス) 追跡ないしは観察中に対象者が死亡しない期間をimmortal timeという。コホート研究においては登録時から薬剤の投与が開始されるまでの期間は対象者が必ず生存している。そのため、薬剤の影響を評価するときに、immortal time を含めて解析すると、解析対象の薬剤を投与した群で生存期間を長く評価してしまうというバイアスが生じる。おわりに EMPA-REG OUTCOME、CANVAS Programと違い、DECLARE-TIMI58において、ダパグリフロジンの投与で主要心血管イベントが統計学的に有意な減少を示さなかったのは、対象患者における心血管イベントの既往などの差異によるのかもしれない。とはいえ、SGLT2阻害薬の心不全に対する優位な効果は薬剤のクラスエフェクトとして十分に評価される。しかし、リアルワールドのデータとの乖離が大きいことを勘案すると、リアルワールドのデータを安易に評価せず、RCTを適切に解釈し、臨床の現場に生かす姿勢が重要なのではないかと思われる。

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第9回 ケーキを選ぶならどっち?【実践型!食事指導スライド】

第9回 ケーキを選ぶならどっち?医療者向けワンポイント解説イベントごとが重なる時期には、ケーキのような高カロリーな嗜好品を食べる機会が増えてくる方も多くいます。日常の中で、ケーキを食べる習慣がついたり、食べる回数が増えたりすることも問題ですが、「食べてはいけない」と伝えるのではなく、実際のカロリーや糖質、脂質を意識してもらうことや、食べる時のポイントを伝えましょう。患者さんの気づきへつながります。代表的なケーキをカロリーが高い順番に並べると、以下のようになります。(1)チョコレートケーキ        502kcal(2)ミルクレープ           453kcal(3)レアチーズケーキ         418kcal(4)モンブラン            386kcal(5)ショートケーキ          349kcal(6)ジャンボプリン          312kcal(7)チーズケーキ(スフレ風)     254kcal(8)ジャンボシュークリーム      251kcal(参考:コージーコーナーお客様相談室 株式会社エビータ電話取材)ケーキは、砂糖、脂肪(クリームやバターなど)、小麦粉などが主原料のため、どれも高カロリーという認識を持ってもらうことが必要です。また、「チョコレートケーキや、ミルクレープなどの500kcal前後のケーキは、1個で1食分に近い(または超える)カロリーがある」、「食べる時には前後の食事でカロリーを調整するように心がけると良い」ことをお伝えします。さらに、悩んだ場合の選び方を考えてみましょう。◎ミルクレープVS.ショートケーキミルクレープは、薄いクレープ生地とクリームなので、カロリーが比較的低いように思われがちですが、実は、クレープ生地とクリームは高密度に重なっているため高カロリーです。それに比べ、ショートケーキは空気を含む軽いスポンジと生クリームで構成されるため、見た目よりも低カロリーです。そして、この8つのケーキの中では唯一、生のいちごが入るため、少量ですがビタミンやミネラルを摂取することができます。ケーキを選ぶときは、生のフルーツが入っているものを選ぶこともオススメの選択肢の1つです。よって、この2つの比較でカロリーが高いのは、ミルクレープです。◎チョコレートケーキVS.モンブランチョコレートケーキは、チョコレートの濃度が上がるほど、高カロリーになります。モンブランも高カロリーですが、大きさの割に、空気を含み隙間が多いので、カロリーは低めになります。よって、この2つの比較でカロリーが高いのは、チョコレートケーキです。ただし、チョコレートケーキの中でも、「チョコレートの濃度が低め」、「スポンジやクリームで構成されている」ことを基準に選ぶと、比較的カロリーが抑えられます。また、モンブランは生クリームよりも、栗や芋、砂糖、スポンジ生地で構成されるため、脂質よりも糖質の割合がぐっと高くなるので、糖質を気にしている方は、注意が必要です。今回ご紹介する8つのケーキの中でも糖質が一番多いのは、モンブランです。◎レアチーズケーキVS.スフレタイプのチーズケーキチーズケーキを選ぶ場合、主原料であるクリームチーズの濃度に注目します。チーズが多く、重さがありそうなもの、密度が高いものの方が高カロリーなので、ベイクドチーズケーキや濃厚なレアチーズケーキには注意が必要です。反対に、スフレタイプのものは空気の層を多く含むため、見た目よりも低カロリーです。よって、この2つの比較でカロリーが高いのは、レアチーズケーキです。◎プリンVS.シュークリームプリンとシュークリームで悩む場合、やはり重さと密度を比較します。牛乳、卵、砂糖、生クリームなどで構成されるプリンは、重さとともに、しっかりとした密度があります。シュークリームは、空気を含んだシュー生地にクリームが注入されているため、見た目の大きさの割には、空気の層があります。つまり、見た目の重さからも、カロリーが高いのはプリンです。高カロリーであるケーキを選ぶときの手軽なポイントは、「見た目の重さ」、「空気の層(密度)があるか」です。見た目が軽そうで密度が低いものの方が、低カロリーである確率が高くなります。「ケーキを食べたいけど、どれにしよう」と悩む患者さんには、「大きさよりも、見た目が軽そうで密度が低そうな方を選びましょう」とお伝えしてみてはいかがでしょうか?(すべてが当てはまるとは限りませんが、多くがこの判断に当てはまります。)なんとなく食べてしまうよりも、選択肢を考えてもらうことが、間食への意識づけにもつながります。

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症状からの逆引きによるirAEマニュアル/日本肺癌学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、今後肺がん治療の中心になっていくと思われる。それに伴い、ICIによる有害事象(irAE)の対策をさらに整備していく必要がある。滋賀県・市立長浜病院 呼吸器内科 野口 哲男氏は、症状からの逆引きによるirAEマニュアルを作成し、第59回日本肺癌学会学術集会ワークショップ6で紹介した。頻度の高いirAEの主訴8項目から疑われる病名にたどりつける とくに夜間・時間外の救急外来では、患者は症状があって受診する。それはirAEにおいても同様である。あらかじめirAEの種類や症状を知っておくことで、早期発見と対処につながる。とはいえ、irAEの症状は多岐にわたり、発現パターンもさまざまである。問診で患者から診断に結びつく症状を申告するとは限らない。さらに、ICIを用いることのない診療科や研修医がirAEの初診を行うことも考えられる。このようなことから、症状から疑わしい病名を想起させ、その後の対応を調べられる、実際に即したirAEマニュアルが必要となる。 野口氏は、頻度の高いirAEの主訴8項目から疑われる病名にたどりつける『irAE逆引きマニュアル』を作成した。8項目は、発熱、吐き気、意識レベル低下、だるさ(倦怠感)、呼吸困難、腹痛、頭痛、手足の脱力。たとえば、発熱の場合、追加の症状聴取で呼吸困難・空咳があればILD、背部痛があれば膵炎、といったように数個の症状を組み合わせることで、可能性のあるirAEの病名が記載されている。実際、このirAE逆引きマニュアルの効果を前期研修医で検証したところ、いずれの研修医も、マニュアルを用いることで、短時間で病態を把握できることが示された。 この『irAE逆引きマニュアル』を参考に、当直医が初期検査をした上でICI処方科の待機医師に報告を行い、その後はICI処方科から専門科(1型糖尿病なら内分泌内科など)へコンサルトされる。また、電子カルテの付箋機能に「ICI投与中」「気を付ける副作用一覧」を表示するなど、他科医師およびメディカルスタッフとの連携を進めているという。 この「irAE逆引きマニュアル」は野口氏のホームページからダウンロード可能である。■参考「呼吸器ドクターNのHP」irAE逆引きマニュアル

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リナグリプチン、高リスク2型DMでのCV・腎アウトカムは/JAMA

 心血管および腎リスクが高い2型糖尿病の成人患者では、通常治療と選択的DPP-4阻害薬リナグリプチンの併用療法は、主要な心血管イベントのリスクがプラセボに対し非劣性であることが、米国・Dallas Diabetes Research Center at Medical CityのJulio Rosenstock氏らが行ったCARMELINA試験で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2018年11月9日号に掲載された。2型糖尿病は心血管リスクの増加と関連する。これまでに実施された3つのDPP-4阻害薬の臨床試験では、心血管への安全性が示されているが、これらの試験に含まれる高い心血管リスクおよび慢性腎臓病を有する患者の数は限定的だという。心血管・腎アウトカムへの影響を評価するプラセボ対照非劣性試験 研究グループは、心血管および腎イベントのリスクが高い2型糖尿病患者において、心血管および腎アウトカムに及ぼすリナグリプチンの影響の評価を目的に、プラセボ対照無作為化非劣性試験を行った(Boehringer IngelheimとEli Lillyの助成による)。 対象は、HbA1cが6.5~10.0%で、高い心血管リスク(冠動脈疾患、脳卒中、末梢血管疾患の既往、微量・顕性アルブミン尿[尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)>30mg/g])および腎リスク(推定糸球体濾過量[eGFR]が45~75mL/分/1.73m2かつUACR>200mg/g、またはUACRにかかわらずeGFRが15~45mL/分/1.73m2)を有する2型糖尿病患者であった。末期腎不全(ESRD)患者は除外された。 被験者は、通常治療に加え、リナグリプチン(5mg、1日1回)を投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。臨床的必要性および参加施設のガイドラインに基づき、他の血糖降下薬およびインスリンの使用は可能とされた。 主要心血管アウトカムは、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合の初回発生までの期間とした。非劣性の判定基準は、リナグリプチンのプラセボに対するハザード比(HR)の両側95%信頼区間(CI)の上限値が1.3未満の場合とした。副次腎アウトカムは、腎不全による死亡、ESRD、eGFRのベースラインから40%以上の低下の持続とした。 2013年8月~2016年8月の期間に、27ヵ国605施設に6,991例が登録され、6,979例(リナグリプチン群3,494例、プラセボ群3,485例)が1回以上の試験薬の投与を受けた。このうち98.7%が試験を完遂した。主要心血管アウトカム:12.4% vs.12.1%、副次腎アウトカム:9.4% vs.8.8% ベースラインの全体の平均年齢は65.9歳、eGFRは54.6mL/分/1.73m2、UACR>30mg/gの患者の割合は80.1%であった。57%が心血管疾患を有し、74%が腎臓病(eGFR<60mL/分/1.73m2あるいはUACR>300mg/gCr)であり、33%が心血管疾患と腎臓病の双方に罹患しており、15.2%はeGFR<30mL/分/1.73m2であった。 フォローアップ期間中央値2.2年における主要心血管アウトカムの発生率は、リナグリプチン群が12.4%(434/3,494例)、プラセボ群は12.1%(420/3,485例)で、100人年当たりの絶対発生率差は0.13(95%CI:-0.63~0.90)であり、リナグリプチン群はプラセボ群に対し非劣性であった(HR:1.02、95%CI:0.89~1.17、非劣性のp<0.001)。優越性には、統計学的に有意な差はなかった(p=0.74)。 副次腎アウトカムの発生率は、リナグリプチン群が9.4%(327/3,494例)、プラセボ群は8.8%(306/3,485例)で、100人年当たりの絶対発生率差は0.22(95%CI:-0.52~0.97)であり、優越性に関して統計学的に有意な差は認めなかった(HR:1.04、95%CI:0.89~1.22、p=0.62)。 有害事象の発生率は、リナグリプチン群が77.2%(2,697/3,494例)、プラセボ群は78.1%(2,723/3,485例)であった。低血糖エピソードが1回以上発現した患者の割合は、それぞれ29.7%(1,036例)、29.4%(1,024例)であり、急性膵炎は0.3%(9例)、0.1%(5例)に認められた。 著者は、「本試験全体の高い主要心血管イベントの発生率(5.63/100人年)は、これまでの血糖降下薬の心血管アウトカムに関する検討の中でも最もリスクの高いコホートの1つを登録したこの試験が、2型糖尿病治療薬の心血管安全性の評価に関するFDAの必要条件に従って実施され、腎障害への臨床的影響を明らかにしたことを示すものである」としている。

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Harmony Outcomes試験はGLP-1受容体作動薬のポジショニングに調和をもたらしたのか?(解説:住谷哲氏)-965

 GLP-1受容体作動薬を用いた心血管アウトカム試験(CVOTs)はこれまでにELIXA(リキシセナチド)、LEADER(リラグルチド)、SUSTAIN-6(セマグルチド)、そしてEXSCEL(weeklyエキセナチド)の4試験が報告されているので本試験が5試験目になる。これまでの試験の結果についてはすでにメタ解析が報告されており1)、おそらく週1回製剤albiglutideによる本試験を加えた5試験のメタ解析の結果が近日中に報告されると思われる。来年には同じく週1回製剤であるデュラグルチドのREWINDの結果が報告される予定であり、すべての試験を合わせると参加患者は合計50,000人以上になり1つのデータベースを形成すると言ってよい。 従来の4試験のメタ解析の結果では、3-point MACEはHR 0.90(0.82~0.99)、心血管死HR 0.87(0.79~0.96)、心筋梗塞(非致死性および致死性)HR 0.94(0.86~1.03)、脳卒中(非致死性および致死性)HR 0.87(0.75~1.00)、総死亡HR 0.88(0.81~0.95)であり、3-point MACE、心血管死および総死亡には有意な減少を認めた。しかし心筋梗塞および脳卒中には有意な減少を認めなかった。一方、本試験では3-point MACE HR 0.78(0.68~0.90)および心筋梗塞(非致死性および致死性)HR 0.75(0.61~0.90)には有意な減少を認めたが、その他のアウトカムには有意な減少を認めなかった。この結果の相違が薬剤の違いによるのか、対象患者の背景の相違によるのか、試験期間の相違によるのか、または単なる偶然によるのかは明らかではない。 本試験の観察期間の中央値はわずかに1.6年である。図2にある3-point MACEのKaplan-Meier曲線を見ると試験開始12ヵ月後にすでに差が開いており、これは主として心筋梗塞の減少に由来していると思われる。本試験も他のCVOTsと同様にevent-drivenであり、試験開始前のpower analysisでは611の3-point MACEが発生した時点で試験は終了予定で、2.2~3.2年が必要と想定されていた。しかし予想以上の速度で3-point MACE(とくに非致死性心筋梗塞)が発生したため、そのままでは1.1年程度で試験が終了することになり十分な安全情報が得られない可能性があることが明らかとなった。そこで途中でプロトコルを変更して最低1.5年はフォローすることになったようである。 本試験も含めたGLP-1受容体作動薬の5試験の中で有意に総死亡を減らしたのはLEADERのリラグルチドのみである。しかしEXSCELにおいては、実は総死亡のHR 0.86(0.77~0.97、p=0.016)であったが、hierarchical statistical testing planに基づいて有意な減少とはされなかった。LEADERの観察期間は5試験の中で最も長く中央値3.8年であり、EXSCELはそれに次いで3.2年であった。ELIXAおよびSUSTAIN-6はともに2.1年である。あくまで推測であるが、GLP-1受容体作動薬による総死亡減少を期待するには少なくとも3年以上の長期間が必要なのかもしれない。 先日ADA/EASDが発表した高血糖管理アルゴリズム2018では、動脈硬化性心血管病(ASCVD)を有する2次予防患者においてはメトホルミンに併用する薬剤としてGLP-1受容体作動薬を推奨している。4試験のメタ解析の結果から考えて、これは妥当な推奨だといえよう。本試験の結果は、少なくともこの推奨に対して不協和音discordを奏でるものではないだろう。

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不健康な生活様式が重なると女性の糖尿病リスク5倍以上に/BMJ

 交替制の夜勤労働と不健康な生活様式はいずれも2型糖尿病のリスクと関連し、これらが併存すると、個々の要因を単独に有する場合に比べリスクが相加的に高くなることが、米国の女性看護師を対象とする調査の解析で示された。中国・華中科技大学のZhilei Shan氏らが、BMJ誌2018年11月21日号で報告した。交替制の夜勤労働者は不健康な生活様式の頻度が高いとする報告は多い。また、交替制夜勤労働と不健康な生活様式は、いずれも2型糖尿病のリスクを増大させることが知られている。NHSとNHS IIのデータを用いた前向きコホート研究 研究グループは、交替制夜勤労働の期間および生活様式の因子と、2型糖尿病リスクの複合的な関連を評価し、夜勤労働単独、生活様式単独、およびこれらの交互作用を定量的に検討する前向きコホート研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 米国の「看護師健康調査(Nurses' Health Study[NHS]:1988~2012年)」および「看護師健康調査II(NHS II:1991~2013年)」に参加した女性看護師のうち、ベースライン時に2型糖尿病、心血管疾患、がんに罹患していない14万3,410例を対象とした。 交替制夜勤労働は、日勤および準夜勤に加えて、当該月に3回以上の夜勤に就いた場合と定義した。不健康な生活様式の因子は、現喫煙、中~高強度の身体活動が1日に30分未満、代替健康食指数(Alternate Healthy Eating Index[AHEI]:0~10点、10点は1日の推奨サービング数の順守を示す)のスコアが低値(下位の5分の3まで)の食事、BMI≧25であった。 主要アウトカムは2型糖尿病の発症とした。2型糖尿病は、参加者の自己報告により同定し、補足的な質問票で確定した。夜勤期間は1~5年、5~9年、10年以上、なしに分け、不健康な生活様式は0~1項目、2項目、3項目以上に分けて解析を行った。リスクの約7割が不健康な生活様式に起因 夜勤の経験のない女性と比較して、夜勤の年数が増えるに従って、現喫煙が多くなり、BMIが増加した。また、夜勤期間が長くなるに伴い、NHSの参加者は年齢が高くなり、NHS IIの参加者は非婚者および単身者が多くなった。22~24年のフォローアップ期間に、1万915人が2型糖尿病を発症した。 夜勤経験のない女性に比べ、夜勤期間が長期になるに従って、2型糖尿病の多変量補正ハザード比(HR)は上昇することが認められた(傾向のp<0.001)。また、不健康な生活様式が0~1項目の場合に比し、3項目以上の参加者は、2型糖尿病のリスクが5倍以上であった(補正後HR:5.39、3.65~7.95)。さらに、夜勤経験がなく、かつ不健康な生活様式が0~1の群に比べ、夜勤が10年以上かつ不健康な生活様式が3項目以上の群における2型糖尿病の多変量補正後HRは7.04(5.29~9.37)だった。 夜勤期間が5年長くなるごとの2型糖尿病の多変量補正後HRは1.31(95%CI:1.19~1.44)、不健康な生活様式の因子が1つ増えるごとの補正後HRは2.30(1.88~2.83)であった。これら2つの複合作用による2型糖尿病の補正後HRは2.83(2.15~3.73)であり、相加的な交互作用が認められ(交互作用のp<0.001)、交互作用に起因する過剰なリスクは0.20(0.09~0.48)であった。 2型糖尿病の発症に影響を及ぼす複合的関連のリスクの割合は、夜勤単独が17.1%(14.0~20.8%)、不健康な生活様式単独は71.2%(66.9~75.8%)であり、これらの相加的な交互作用に起因するリスクの割合は11.3%(7.3~17.3%)だった。 著者は、「2型糖尿病の多くは、健康的な生活様式を順守することで予防可能であり、交替制夜勤労働者では、より大きな便益が得られる可能性が示唆される」としている。

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減量後の低炭水化物食、代謝量を増大/BMJ

 低炭水化物ダイエットは、体重減少維持中のエネルギー消費量を増大することが明らかにされた。米国・ボストン小児病院のCara B. Ebbeling氏らが行った無作為化試験の結果で、BMJ誌2018年11月14日号で報告された。エネルギー消費量は、体重の減少とともに低下し、体重再増加を促す要因となるが、この代謝反応に、長期間にわたる食品構成がどのような影響を与えるのかは明らかになっていなかった。今回の検討で示された関連性は、炭水化物-インスリンモデルで一貫性を持ってみられ、著者は「示された代謝効果は、肥満治療の成功を改善する可能性があり、とくにインスリン分泌能が高い人で効果があると思われる」と述べている。体重減少後の、高・中・低量炭水化物ダイエットのエネルギー消費を評価 さまざまな炭水化物/脂質比ダイエットの総エネルギー消費量への影響を検討する試験は、米国2施設で2014年8月~2017年5月に行われた。被験者は、18~65歳でBMI値25以上の164例。 被験者はrun-inダイエット期間(9~10週間)に体重を12%(2%の範囲内で)減少した後、炭水化物含有量が違う3つの試験ダイエット(60%の高量群、40%の中量群、20%の低量群)のうち1つを、いずれも20週間受けるよう無作為に割り付けられた。試験ダイエットはプロテインでコントロールし、2kg以内の範囲で体重減を維持するためにエネルギーを調整した。 炭水化物-インスリンモデルで予測された効果の修正について検証するため、サンプルは体重減前のインスリン分泌能(経口ブドウ糖摂取30分後のインスリン濃度)で3つに分類した。 主要評価項目は、DLW法で測定した総エネルギー消費量(intention-to-treat解析)。per protocol解析では、潜在的により正確な推定効果を提示し、目標体重減を維持した対象を含んだ評価も行った。副次評価項目は、身体活動度で評価した安静時エネルギー消費量、代謝ホルモンのレプチン値とグレリン値であった。体重減前のインスリン分泌能が高いほど低量ダイエットの効果が大きい 被験者164例は、高量ダイエット群に54例、中量ダイエット群に53例、低量ダイエット群に57例それぞれ割り付けられた。 intention-to-treat解析(162例)において、総エネルギー消費量はダイエットによって異なり(p=0.002)、炭水化物含有量10%減少につき、総エネルギー消費量は52kcal/日(95%信頼区間[CI]:23~82)増大する線形の傾向が認められた(1kcal=4.18、kJ=0.00418MJ)。 総エネルギー消費量の変化は、高量ダイエット群との比較において、中量ダイエット群で91kcal/日(95%CI:-29~210)大きく、低量ダイエット群で209kcal/日(91~326)大きかった。per protocol解析(120例)では、それぞれの差は、131kcal/日(-6~267)、278kcal/日(144~411)であった(p<0.001)。 体重減前のインスリン分泌能が最も高かった被験者において、低量ダイエット群と高量ダイエット群の差は、308kcal/日(intention-to-treat解析)、478kcal/日(per protocol解析)であった(p<0.004)。 グレリン値は、低量ダイエット群が高量ダイエット群よりも有意に低値であった(intention-to-treat解析、per protocol解析において)。レプチン値も、低量ダイエット群が高量ダイエット群よりも有意に低値であった(per protocol解析において)。〔12月6日 記事タイトルを修正いたしました〕

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デュラグルチドのREWIND試験は1次予防の壁を越えるか

 米国・イーライリリー・アンド・カンパニーは、2型糖尿病治療薬デュラグルチド(商品名:トルリシティ)の国際共同試験「REWIND試験」において、主要心血管イベント(MACE※)の発現率を有意に減少させたことを発表した。 対象患者の7割は1次予防例で、GLP-1受容体作動薬では初めて、1次予防例を含む幅広い2型糖尿病患者における心血管(CV)イベントへの影響を評価した試験といえる。※心血管死、非致死性心筋梗塞(心臓発作)、非致死性脳卒中から成る複合評価項目 REWIND(Researching cardiovascular Events with a Weekly INcretin in Diabetes)試験はCVイベント発現率について、デュラグルチド1.5mg※週1回投与とプラセボとを比較した多施設共同無作為化二重盲検比較試験である。主要評価項目はMACEの初発で、詳細データは、2019年6月に開催予定の米国糖尿病学会(ADA)にて報告予定である。※国内におけるデュラグルチドの用法・用量は0.75mg/週CVアウトカム試験における1次予防という壁 糖尿病患者でCVイベント発症リスクが高いことはよく知られている。そのため、EMPA-REG OUTCOMEやLEADER等で示された、薬剤によるCVイベント抑制作用には大きな注目が集まっている。一方、こうした試験の対象者はCV高リスクの2次予防例が多く、1次予防例が少ないことが指摘されていた。また1次予防例が多く含まれる試験でCVリスクを有意に減少させることは難しいとされてきた。 しかし、今回発表のREWIND試験の対象には、ベースライン時に心血管疾患の既往がない患者が69%含まれる。 これまでのGLP-1受容体作動薬のCVアウトカム試験では患者の7割以上が心血管疾患の既往があり、その点、従来試験と正反対の背景を有する。「HbA1c 9.5%以下」を対象とした点が鍵 デュラグルチドの国際共同試験であるREWIND試験は、他のCVアウトカム試験同様、心血管疾患の既往またはリスク因子を有する2型糖尿病患者9,901例が対象。 患者の選択基準は、以下であった。(1)経口血糖降下薬(1~2剤)±基礎インスリン、もしくは基礎インスリン単独での治療を受けている患者 (2)HbA1c 9.5%以下(3)50~54歳で、心血管疾患既往を有する患者(4)55~59歳で、心血管疾患既往、もしくは心血管疾患または腎疾患の徴候を1つ以上有する患者(5)60歳以上で、心血管疾患既往、もしくは心血管疾患のリスク因子を2つ以上有する患者 このうち特徴的なのは「(2)HbA1c 9.5%以下」という基準だ。他のGLP-1受容体作動薬のCVアウトカム試験ではHbA1c値の上限を設定しておらず、REWIND試験で初めてHbA1c値の上限が設定された。1次予防例7割、前例がないデュラグルチドのCVアウトカム試験 HbA1c値の規定の違いにより、従来のGLP-1受容体作動薬のCVアウトカム試験と異なる対象患者が組み入れられ、結果的に対象者の7割が1次予防例という、かつてないCVアウトカム試験が設定された。ベースラインの平均HbA1c値も7.3%と、比較的低い値になっている。 さらに1次予防例が多いことでイベント発症までの期間が延長され、追跡期間中央値は5.3年と、GLP-1受容体作動薬のCVアウトカム試験としては最長となっている。 1次予防例を7割含む、2型糖尿病患者におけるCVイベント抑制を報告したGLP-1受容体作動薬のCVアウトカム試験は前例がない。今回、米国・イーライリリー・アンド・カンパニーは、REWIND試験においてMACEの発現率を有意に減少させたことをいち早く発表した。現段階で明らかなのは試験概要と患者背景のみで、詳細結果は不明だが、デュラグルチドによってCVイベント抑制が示されたことは注目に値する。 REWIND試験の詳しいデータおよび結果は、2019年6月のADAで発表される予定である。

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