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2001.

「ヘルベッサー」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第16回

第16回 「ヘルベッサー」の名称の由来は?販売名ヘルベッサー®錠30/60※注射剤、カプセル剤は錠剤のインタビューフォームと異なるため、今回は情報を割愛しています。ご了承ください一般名(和名[命名法])ジルチアゼム塩酸塩(JAN) 効能又は効果狭心症、異型狭心症本態性高血圧症(軽症~中等症)用法及び用量狭心症、異型狭心症通常、成人にはジルチアゼム塩酸塩として1回30mgを1日3回経口投与する。効果不十分な場合には、1回60mgを1日3回まで増量することができる。本態性高血圧症(軽症~中等症)通常、成人にはジルチアゼム塩酸塩として1回30~60mgを1日3回経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。警告内容とその理由該当しない(現段階では定められていない)禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁忌 (次の患者には投与しないこと)】(1)重篤なうっ血性心不全の患者〔心不全症状を悪化させるおそれがある。〕(2)2度以上の房室ブロック、洞不全症候群(持続性の洞性徐脈[50拍/分未満]、洞停止、 洞房ブロック等)のある患者〔本剤の心刺激生成抑制作用、心伝導抑制作用が過度にあらわれるおそれがある。〕 (3)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者(4)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人※本内容は2020年9月9日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2016年2月改訂(第11版)医薬品インタビューフォーム「ヘルベッサー®錠30/60 」2)田辺三菱製薬:製品情報

2002.

第24回 COVID-19下水検査の本領発揮?/紫色光の制限で代謝活性が上がる可能性

COVID-19下水検査の本領発揮?糞便と共に排出された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のRNAを下水から検出することを米国・アリゾナ大学は感染の早期発見の取り組みの一つとしており、先月8月末の同大学の発表によるとその試みは確かに有効なようです1,2)。先月、学生が入居してから数日後の同大学の寮の下水にSARS-CoV-2ウイルスRNAが含まれており、その寮の世話人と入居学生311人がすぐに検査されました。入居学生は入居前の検査で全員が感染していないことを確認済みでしたが、再検査の結果2人がウイルスを有しており、すぐに隔離されました。下水検査がなければ感染が検出される前にだいぶ広まっていたに違いなく、「もしその2人が発症するまで寮で過ごしていたらどれほどの人に感染が広まっていたか」と同大学再開の取り組みを指揮しているRichard Carmona医師は言っています。脳も光を感じる?~紫色光の制限で代謝活性が上がる可能性私達がものを見ることができるのは光を検出する網膜タンパク質・オプシンのおかげです。光を浴びてオプシンは神経細胞膜のイオンの往来を変え、最終的に視神経を活性化します3)。光を受け止めるのは網膜だけではありません。光が生み出す明暗周期は人の行動や生理を決定付けており、睡眠-覚醒周期を形作り、体温やエネルギー代謝の24時間変動を生み出します。去年10月に米国・オハイオ州シンシナティ小児病院(Cincinnati Children's Hospital)の研究者Richard Lang氏等が率いるチームはいくつかあるオプシンタンパク質の1つ・オプシン5(OPN5)が見ることとは程遠い組織・皮膚に存在し、マウス皮膚の周期的活動を明暗周期に同調させる働きを担うことを明らかにしました4,5)。眼以外のオプシンタンパク質が哺乳類の24時間周期を直接制御していることを示したのはその研究が初めてです。Lang氏等のチームによるOPN5の研究はさらに進展し、先週水曜日9月2日にNature誌に掲載された新たな研究の結果、マウス脳の視床下部視索前野(POA)という領域で発現するOPN5が紫色の光に応じて活性化して褐色脂肪組織(BAT)による発熱を減らす働きがあると判明しました6,7)。OPN5発現細胞があるPOAは脳の奥深くに存在しますが、紫色光は頭蓋を貫通してPOAまで到達することができます。脳からBATへと通じる交感神経系が分泌した神経伝達物質・ノルアドレナリンを受容してBATは熱を生み出し、紫色光でOPN5が活性化した神経はそのBAT活性化神経路を阻害するように働いて熱生成を減らします。ゆえにOPN5の遺伝子を欠くマウスはBATが活発で体温が高く、エネルギーをより消費し、体脂肪やコレステロールが少なく、寒さに強いという特徴を示しました。紫色光は頭蓋を貫通してOPN5発現POA神経まで届く事が確認されていますが、OPN5発現神経を直接活性化するかどうかはまだ分かっていません。また、マウスと同様にサルの視床下部にOPN5が存在することは分かっていますが、自然光がその領域まで達するのかどうかは分かっていません。今後の研究でそれが判明すれば人に役立つ応用技術の開発が大きく前進しそうです。これまでの研究によると、食べるのを明るい時間帯(日中)に限る日中限定食で糖尿病前駆患者のインスリンの効き具合い(感受性)が改善することが明らかになっています3)。インスリン感受性が改善すれば完全な糖尿病に至り難くなります。今回マウスで見つかった仕組みが人にも備わるなら、紫色光を制限してBATを活性化することで日中限定食の代謝改善を増強できるかもしれません。日中限定食と同様に、BATを活性化するβアゴニストは人のインスリン感受性を高め、血糖値を下げ、代謝を底上げします。βアゴニストの効果が紫色光を排除すると向上することが今回の研究で確認されており、紫色光の制限でβアゴニストの代謝改善効果の向上も期待できそうです。生き物は紫色光以外の光も代謝調節に利用しています。Lang氏等のチームが今年1月に発表したマウス研究によると糖や脂肪酸を燃やすBATとは対照的にエネルギーを貯蔵する白色脂肪細胞ではオプシン3(OPN3)が発現しており、OPN3は紫色光ではなく青色光に反応して脂肪分解を促し、白色脂肪細胞から血中へ脂肪酸を放出させます8,9)。そしてOPN3はなんとBATでも発現しており、BATのOPN3は青色光ではなく赤色光に反応して糖の取り込みを増やし、POAのOPN5とは逆にBATでの熱生成を促します10)。普段の生活で何気なく浴びている色とりどりの光は脳や脂肪組織などに作用し、糖などのエネルギーの蓄えを調節する熱生成を加減する働きを担うようです。参考1)The University of Arizona says it caught a dorm’s covid-19 outbreak before it started. Its secret weapon: Poop / The Washington Post2)Poop tests stop COVID-19 outbreak at University of Arizona / Science3)Light-activated neurons deep in the brain control body heat / Nature4)Skin Keeps Time Independent of the Brain5)Buhr ED,et al. Curr Biol. 2019 Oct 21;29:3478-3487.6)Cincinnati Children's: This is Your Brain…on Sunlight / PRNewswire7)Zhang KX, et al. Nature. 2020 Sep 2. [Epub ahead of print]8)Nayak G,et al. Cell Rep. 2020 Jan 21;30:672-686.9)Fat Cells Can Sense Sunlight. Not Getting Enough Can Disrupt Metabolism10)Sato M, et al. PLoS Biol. 2020 Feb 10;18:e3000630.

2003.

ACE阻害薬とARBがCOVID-19重症化を防ぐ可能性/横浜市立大学

 新型コロナウイルスは、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を介して細胞に侵入することが明らかになっており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とレニン-アンジオテンシン系(RAS)との関連が注目されている。ACE阻害薬またはARBの服用とCOVID-19患者の重症度を解析 今回、横浜市立大学附属 市民総合医療センター 心臓血管センターの松澤 泰志氏らの研究グループが、COVID-19罹患前からのACE阻害薬またはARBの服用と重症度との関係について、多施設共同後ろ向きコホート研究(Kanagawa RASI COVID-19 研究)を行った。Hypertension Research誌オンライン版2020年8月21日号での報告。 本研究では、2020年2月1日~5月1日の期間、神奈川県内の6医療機関(横浜市立大学附属市民総合医療センター、神奈川県立循環器呼吸器病センター、藤沢市民病院、神奈川県立足柄上病院、横須賀市立市民病院、横浜市立大学附属病院)に入院したCOVID-19患者151例を対象に、病態に影響を与える背景や要因の解析が行われた。 追跡調査の最終日は2020年5月20日で、すべてのデータは医療記録から遡及的に収集された。高血圧症およびほかの既往歴の情報は、通院歴、入院時の投薬、およびほかの医療機関からの提供内容に基づいている。ACE阻害薬/ARBがCOVID-19患者の意識障害を減らす可能性 COVID-19罹患前からのACE阻害薬またはARBの服用と重症度との関係について研究した主な結果は以下のとおり。・平均年齢は60±19歳で、患者の59.6%が男性だった。151例のうち、39例(25.8%)が高血圧症、31例(20.5%)が糖尿病、22例(14.6%)にACE阻害薬またはARBが処方されていた(ACE阻害薬:3例[2.0%]、ARB:19例[12.6%])。・151例中、14例(9.3%)の院内死があり、14例(9.3%)で人工呼吸、58例(38.4%)で酸素療法が必要だった。入院時、肺炎に関連する意識障害は14例(9.3%)、収縮期血圧<90mmHgに関連する意識障害は3例(2.0%)で観察され、少なくとも13例において、新型コロナウイルス感染が原因とされた。22例(14.6%)がICUに入院した。・患者全体を対象とした単変量解析では、65歳以上(オッズ比[OR]:6.65、95%信頼区間[CI]:3.18~14.76、p<0.001)、心血管疾患既往(OR:5.25、95%CI:1.16~36.71、p=0.031)、糖尿病(OR:3.92、95%CI:1.74~9.27、p<0.001)、高血圧症(OR:3.16、95%CI:1.50~6.82、p=0.002)が、酸素療法以上の治療を要する重症肺炎と関連していた。・多変量解析では、高齢(65歳以上)が重症肺炎と関連する独立した要因だった(OR:5.82、95%CI:2.51~14.30、p<0.001)。・高血圧症患者を対象とした解析の結果、ACE阻害薬またはARBをCOVID-19罹患前から服用している患者では、服用していなかった患者よりも、主要評価項目の複合アウトカム(院内死亡、ECMO使用、人工呼吸器使用、ICU入室)における頻度が少ない傾向だった(14.3%vs.27.8%、p=0.30)。また、副次評価項目については、COVID-19に関連する意識障害が有意に少なかった(4.8%vs.27.8%、p=0.047)。 著者は「われわれの知る限りでは、これがわが国で初めてCOVID-19患者の臨床アウトカムを検討した研究だ。今回、炎症に対するRAS阻害薬の保護効果が、ACE阻害薬/ARBの使用と意識障害の発生減少を関連させる1つのメカニズムである可能性が明らかになった」と記している。

2004.

小児1型DM、クローズドループシステムvs.SAP療法/NEJM

 小児1型糖尿病において、クローズドループ型インスリン注入システム(人工膵島)はセンサー付きインスリンポンプ療法(SAP)と比較して、血糖値が目標値に達していた時間の割合が高かった。米国・バージニア大学糖尿病技術センターのMarc D. Breton氏らが、16週間の多施設共同無作為化非盲検比較試験の結果を報告した。クローズドループ型インスリン注入システムは、小児1型糖尿病患者の血糖コントロールを改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌2020年8月27日号掲載の報告。小児1型糖尿病患者101例をクローズドループ群とSAP(対照)群に無作為化 研究グループは2019年6月21日~8月30日に、6~13歳の1型糖尿病患者を、クローズドループ型インスリン注入システム群(クローズドループ群)またはSAP群(対照群)に、3対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、持続血糖モニタリングで測定した血糖値が、目標値70~180mg/dLの範囲にあった時間の割合であった。目標血糖値の時間の割合はクローズドループ群で有意に増加 計101例が無作為化を受けた(クローズドループ群78例、対照群23例)。ベースラインのHbA1c値は5.7~10.1%であった。 血糖値が70~180mg/dLの範囲にあった時間の割合(平均±SD)は、クローズドループ群ではベースラインの53±17%から67±10%(治療を行った16週間の平均)に、対照群では51±16%から55±13%に増加した(平均補正後群間差:11ポイント[1日当たり2.6時間に相当]、95%信頼区間[CI]:7~14、p<0.001)。 血糖値が70mg/dL未満であった時間の割合は、両群とも低値であった(中央値:クローズドループ群1.6%、対照群1.8%)。 クローズドループ群において、システムがクローズドループモードであった時間の割合は中央値93%(四分位範囲:91~95)であった。糖尿病性ケトアシドーシスまたは重篤な低血糖症のエピソードは、いずれの群でも確認されなかった。 なお、著者は、社会経済的状況・HbA1c値・血糖コントロール機器の使用について、今回の試験対象集団が必ずしも一般集団を代表する集団ではなく、また、試験期間が4ヵ月間であり、治療効果が長期にわたり持続するかについては不明であると述べている。

2005.

カナグリフロジンの下肢切断リスク、65歳以上CVD患者で増大/BMJ

 SGLT2阻害薬カナグリフロジンの下肢切断リスクについて、心血管疾患のある65歳以上において最も明白な増大が認められること、追加有害アウトカムの発生に関する必要治療数(NNT)は6ヵ月で556例(切断例はカナグリフロジン投与1万例当たり18例超)であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバード大学医学大学院のMichael Fralick氏らによる検討で明らかにされた。GLP-1受容体作動薬投与群と比較した下肢切断リスクは1.73倍で、発生率の差は1,000人年当たり3.66であったという。先行研究のカナグリフロジンの心血管アウトカムを検討した試験「CANVAS試験」では、カナグリフロジン群がプラセボ群よりも下肢切断リスクが2倍近く高いことが確認されており、同試験対象者が従前試験よりも10歳以上高齢であったこと、またベースラインの心血管リスクが高かったことから、切断リスクの上昇は限定される可能性が示唆されていた。著者は、「今回の結果は、日常的ケアにおけるカナグリフロジン投与の、切断リスクを明らかにするものである」と述べている。BMJ誌2020年8月25日号掲載の報告。カナグリフロジンによる下肢切断リスクをCVDの有無と65歳以上・未満で検証 研究グループは、新たにカナグリフロジンを投与された成人における、年齢および心血管疾患別にみた下肢切断率を推算する住民ベースのコホート試験を行った。 2013~17年の、米国の2つの民間の保険請求データベース(MarketScan、Optum)とメディケア保険請求データベースを基に、新たにカナグリフロジンを処方された患者を抽出し、1対1の割合の傾向スコアマッチングで抽出したGLP-1受容体作動薬を新たに処方された患者と、下肢切断術の発生について比較した。 被験者を以下の4グループに分類し、下肢切断率についてハザード比(HR)と1,000人年当たりの率差を算出。(1)ベースラインで心血管疾患のない65歳未満、(2)ベースラインで心血管疾患のあった65歳未満、(3)ベースラインで心血管疾患のない65歳以上、(4)ベースラインで心血管疾患のあった65歳以上。 メタ解析にて、各グループの統合HRと1,000人年当たりの率差を求め評価した。カナグリフロジン群の下肢切断に関するHRは65歳以上CVD患者で有意差 3つのデータベースから傾向スコアマッチングで、新規のカナグリフロジン処方群または新規のGLP-1受容体作動薬処方群31万840例を抽出し、解析を行った。 カナグリフロジン群のGLP-1受容体作動薬群に対する、下肢切断に関するHRおよび1,000人年当たり率差は、グループ(4)「ベースラインで心血管疾患のあった65歳以上」で、HRが1.73(95%信頼区間[CI]:1.30~2.29)、率差3.66(同:1.74~5.59)と、いずれも有意差が認められた。 一方、その他のグループでは有意差は認められなかった。グループ(1)のHRは1.09(95%CI:0.83~1.43)、率差0.12(同:-0.31~0.55)、グループ(2)はそれぞれ1.18(0.86~1.62)と1.06(-1.77~3.89)、グループ(3)はそれぞれ1.30(0.52~3.26)と0.47(-0.73~1.67)であった。

2006.

レムデシビル、中等度COVID-19への効果は?/JAMA

 中等度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、5日間のレムデシビル投与は標準的治療に比べ、11日目の臨床状態の改善が統計学的に有意であることが示された。10日間投与は標準的治療に比べ、同改善について統計学的な有意差は認められなかったという。ドイツ・ミュンヘン工科大学Rechts der Isar大学病院のChristoph D. Spinner氏らが、596例の入院患者を対象に行った国際共同無作為化試験で明らかにした。レムデシビルは、重症COVID-19患者を対象としたプラセボ対照試験で、臨床的ベネフィットがあることが示されているが、中等度の患者への効果は不明であった。なお、5日間投与で有意差が示された結果について著者は、「示された有意差の臨床的意義については不確実である」と述べている。JAMA誌オンライン版2020年8月21日号掲載の報告。レムデシビル5日、10日投与の有効性を標準的治療と比較 研究グループは、レムデシビル5日間または10日間投与の投与開始後11日時点の臨床状態について、標準的治療と比較する非盲検無作為化試験を行った。 2020年3月15日~4月18日に、米国、欧州、アジアの105病院で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による中等度のCOVID-19肺炎を発症した入院患者を登録した。中等度COVID-19肺炎の定義は、X線所見による肺浸潤と室内気動脈血酸素飽和度94%超とした。 被験者を1対1対1の割合で無作為に3群に分け、レムデシビル(初回200mg/日、翌日から100mg/日)10日間静脈投与(197例)、同5日間静脈投与(199例)、標準的治療(200例)を、それぞれ実施した。 主要エンドポイントは、11日目の臨床状態で、7ポイント順序尺度(死亡[カテゴリー1]~退院[カテゴリー7])で評価した。レムデシビル群と標準的治療群の差については、比例オッズモデルを用いてオッズ比(OR)を求めた。 最終フォローアップは2020年5月20日であった。レムデシビル10日投与群は標準的治療群と有意差なし、5日群で有意差 無作為化を受けた596例のうち、584例が試験を開始し、レムデシビル投与または標準的治療を受けた(年齢中央値57歳[四分位範囲:46~66]、女性227例[39%]、心血管疾患56%、高血圧症42%、糖尿病40%)。試験を完了したのは533例(91%)だった。レムデシビル5日群の投与期間中央値は5日、10日群は6日だった。 11日目の臨床状態は、レムデシビル5日群が標準的治療群に比べ良好で、7ポイント順序尺度で評価したORは1.65(95%信頼区間[CI]:1.09~2.48、p=0.02)だった。 一方で、レムデシビル10日群については、11日目の臨床状態は、標準的治療群と有意差は認められなかった(Wilcoxon rank sum検定のp=0.18)。 なお、28日目までに報告された死亡は、レムデシビル5日群2例(1%)、レムデシビル10日群3例(2%)、標準的治療群4例(2%)だった。また、レムデシビル治療群では標準的治療群と比べて、悪心(レムデシビル群10%vs.標準的治療群3%)、低カリウム血症(6% vs.2%)、頭痛(5% vs.3%)の発生頻度が高かった。

2007.

フロセミドによるK値低下 カリウム追加ではなく抜本的な解決を提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第26回

 今回は、フロセミド服用中に血清カリウム値が低下した症例です。フロセミドなどのループ利尿薬は、作用機序由来の低カリウム血症を来しやすいため、カリウム値の補正のためにカリウム製剤が追加されることがあります。今回は、カリウム製剤の追加ではなく、原因となるループ利尿薬そのものを変更することでカリウム値の改善ができたケースを紹介します。患者情報70歳、男性(施設入居)基礎疾患高血圧症、糖尿病、慢性心不全(HFpEF)、心房細動、認知症既往歴50歳時に心筋梗塞のため左前下行枝(LAD)にステント留置副作用歴スピロノラクトンが女性化乳房による乳房痛で服用中止訪問診療の間隔2週間に1回服薬管理介護士が管理処方内容1.ベニジピン錠4mg 1錠 分1 朝食後2.カンデサルタン錠8mg 1錠 分1 朝食後3.テネリグリプチン錠20mg 1錠 分1 朝食後4.グリメピリド錠0.5mg 1錠 分1 朝食後5.フロセミド錠20mg 1錠 分1 朝食後6.エドキサバン錠30mg 1錠 分1 朝食後7.カルベジロール錠2.5mg 2錠 分2 朝夕食後8.ピタバスタチン錠2mg 1錠 分1 夕食後9.センノシド錠12mg 2錠 分1 夕食後本症例のポイントこの患者さんは、複数の基礎疾患に加え、慢性心不全を患っていました。認知症もあったため自宅での生活が困難となり、施設に入居して3年目です。2週間に1回の訪問診療で体調確認を行い、半年に1回血液検査を行っていました。訪問診療に同行した際に、医師より「筋力低下やふらつきなどの自覚症状の訴えはないが、利尿薬の影響もあってカリウム値が3.8mg/dLから3.3mg/dLに下がってきている。アスパラカリウム錠300mgを3錠 分3 毎食後で補正するのはどうか?」と相談がありました。そこで、いくつか考えるポイントがあったので整理することにしました。フロセミドの治療効果と代替薬の服薬負担を検討患者さんは、慢性心不全によるうっ血症状の浮腫を改善する目的でフロセミド錠を長期服用していました。低カリウム血症をこのままにした場合、不整脈などから心不全悪化の引き金になりかねないので、カリウムの補正は必須です。しかし、カリウム製剤は分3投与になるため患者さんの服薬負担が増すことから避けたいと考えました。また、フロセミド錠は作用時間が短く、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)も約50%と低いことから、利尿薬治療抵抗性などにつながると指摘されていることも気掛かりでした。そこで、同系統のループ利尿薬のトラセミド錠への変更を検討しました。トラセミド錠は、抗アルドステロン作用によるカリウム保持性があり、バイオアベイラビリティも外国人データで79~91%と高いため、長期的に服用しても安定感があると考えました。カリウム製剤を追加するのではなく、フロセミド錠をトラセミド錠に変更することでカリウムの補正にもつながります。なお、別の案としては、カリウム製剤ではなく、選択的アルドステロンブロッカーのエプレレノン錠を追加する方法もありましたが、今回は服用錠数を増やすことなく治療効果を維持することを優先して、トラセミド錠への変更を提案することにしました。処方提案と経過医師へカリウム製剤の追加投与ではなく、フロセミド錠からトラセミド錠への変更をすることでカリウムの補正が可能になることを提案しました。服用錠数や用法を変えずに対応できることが医師に評価され、2週間後に採血でモニタリングしてみようと処方提案が採用されました。フロセミド錠からトラセミド錠への変更後、下腿浮腫の増悪やうっ血症状の増悪はなく経過し、4週間後の採血結果は血清カリウム値が3.6mg/dLと補正されました。その後も電解質異常やうっ血症状の出現はなく経過しています。フロセミド錠10mg/20mg/40mg インタビューフォームトラセミド錠4mg/8mg インタビューフォーム

2008.

1日1回で空腹時血糖と食後血糖の両方を改善する「ソリクア配合注ソロスター」【下平博士のDIノート】第57回

1日1回で空腹時血糖と食後血糖の両方を改善する「ソリクア配合注ソロスター」今回は、持効型溶解インスリンアナログ製剤/GLP-1受容体作動薬「インスリン グラルギン/リキシセナチド配合製剤(商品名:ソリクア配合注ソロスター、製造販売元:サノフィ)」を紹介します。本剤は、1日1回の投与で空腹時血糖と食後血糖を同時に改善することで、より良い血糖コントロールを得ることが期待されています。<効能・効果>本剤は、インスリン療法が適応となる2型糖尿病の適応で、2020年3月25日に承認され、2020年6月8日より発売されています。<用法・用量>通常、成人には、5~20ドーズ(インスリン グラルギン/リキシセナチドとして5~20単位/5~20μg)を1日1回朝食前に皮下注射します。1日1回5~10ドーズから開始し、患者の状態に応じて増減できますが、1日20ドーズを超えることはできません。<安全性>日本人2型糖尿病患者を対象に実施された国内第III相試験では、主な副作用として、悪心(5%以上)、腹部不快感、下痢、嘔吐、消化不良、便秘、胃腸炎、食欲不振、めまい、振戦、注射部位反応(内出血、紅斑、浮腫、そう痒など)、疲労(いずれも1~5%未満)、腹部膨満、腹痛、多汗症、傾眠、倦怠感、空腹感(いずれも1%未満)が認められています(承認時)。なお、重大な副作用として、低血糖、急性膵炎、ショック、アナフィラキシーが発現する恐れがあります。<患者さんへの指導例>1.この薬には、空腹時血糖を調節する成分と、食後血糖を調節する成分の2種類が配合されていて、1日1回の注射で血糖コントロールを改善します。2.めまいやふらつき、動悸、冷や汗などの低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転など危険を伴う作業を行う際は注意してください。これらの症状が認められた場合は、ただちに糖質を含む食品を摂取してください。3.嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛が現れた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けてください。4.未使用の薬剤は冷蔵庫内に保管してください。凍結すると使用できなくなるので、直接冷気に触れないように注意してください。なお、旅行などに出掛ける場合、短期間であれば室温に置いても差し支えありません。5.使用開始後は冷蔵庫に入れず、キャップをしっかり閉めて涼しいところに保管してください。直射日光の当たるところや自動車内などの高温になる恐れのあるところには置かないでください。6.使用開始後31日を超えたものは使用しないでください。<Shimo's eyes>本剤は、持効型インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の配合皮下注射製剤で、インスリン デグルデク/リラグルチド(商品名:ゾルトファイ配合注フレックスタッチ)に次ぐ国内2剤目の薬剤です。インスリン グラルギン(同:ランタス)とリキシセナチド(同:リキスミア)が日本独自の配合比である1単位:1μgで配合されていて、デバイスにはプレフィルドペン型注入器「ソロスター」が採用されています。主に空腹時の血糖コントロールを改善する持効型インスリン製剤も、主に食後の血糖コントロールを改善するGLP-1受容体作動薬も国内外で広く使われていますが、持効型インスリン製剤は低血糖および体重増加に注意が必要で、GLP-1受容体作動薬は胃腸障害に注意が必要です。本剤は、国内第III相試験で、空腹時血糖と食後血糖のいずれも改善し、インスリン グラルギン単剤と比較して、低血糖と体重増加のリスクを増やさずに統計学的に有意なHbA1cの低下を示しました。また、安全性に関しても、各配合成分の既知の安全性プロファイルと同等であることが確認され、リキシセナチドと比較して、胃腸障害の副作用リスクを低減しました。持効型インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬を組み合わせた治療法は「BPT(Basal supported post Prandial GLP-1 Therapy)」と呼ばれています。本剤を用いることで、経口糖尿病薬が効果不十分で新しく注射薬を導入する場合や、ほかの注射薬から切り替える場合などに、1日1回の投与でBPTが可能となります。なお、DPP-4阻害薬はGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有するため、本剤と併用する場合は疑義照会が必要です。参考1)PMDA 添付文書 ソリクア配合注ソロスター

2009.

2型糖尿病肥満患者、胃バイパス術で代謝機能は改善するか/NEJM

 2型糖尿病を有する肥満患者において、胃バイパス術と食事療法の代謝に及ぼす有益性はほぼ同じで、この有益性は体重減少それ自体に関連している可能性があり、胃バイパス術には体重減少と独立した臨床的に重要で明確な効果はないことが、米国・セントルイス・ワシントン大学医科大学院のMihoko Yoshino氏らの検討で示された。2型糖尿病の治療では、薬物療法よりも肥満手術のほうが有効であると無作為化臨床試験で示されている。また、Roux-en-Y法による胃バイパス術は、2型糖尿病患者の代謝機能に対し体重減少とは独立の治療効果をもたらすと示唆されている。一方、これらの研究の結果には、手術を受ける患者間の体重減少の差による交絡の影響が認められるという。NEJM誌2020年8月20日号掲載の報告。胃バイパス術の代謝機能の改善効果を評価するコホート研究 研究グループは、糖尿病を有する肥満患者において、胃バイパス術は体重減少とは独立に、代謝機能の改善効果をもたらすかを検証する前向きコホート研究を実施した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 Roux-en-Y法による胃バイパス術(手術群)または食事療法のみ(食事療法群)に分け、両群間でマッチさせた体重減少(約18%)の前後で、グルコース恒常性の代謝調節因子の評価を行った。 主要評価項目は、肝臓インスリン感受性の変化とし、低用量インスリン持続静注(3段階の高インスリン正常血糖クランプ法の1、2段階)で評価した。副次評価項目は、骨格筋インスリン感受性、β細胞機能、24時間血糖、インスリンプロファイルの変化であった。体重減少による代謝機能への強力な治療効果が明らかに 本試験は、2014年11月~2018年10月の期間に実施された。食事療法群は11例(平均年齢54±9歳、女性7例、糖尿病診断からの平均期間9.1±5.6年)、手術群も11例(49±12歳、8例、9.6±9.6年)が解析に含まれた。 平均体重減少率は、食事療法群が17.8±1.2%(範囲16.1~20.4%)、手術群は18.7±2.5%(16.0~24.4%)だった。BMIは、食事療法群が42.9±6.9から35.2±5.6へ、手術群は43.2±3.8から35.1±2.9へ減少した。 体重減少により、糖産生のベースラインからの抑制率が増加した。クランプ法の第1段階で、食事療法群では平均7.04μmol/kg除脂肪量[FFM]/分(95%信頼区間[CI]:4.74~9.33)増加し、手術群では平均7.02μmol/kg FFM/分(95%CI:3.21~10.84)増加した(群間差:0.25μmol/kg FFM/分、95%CI:-3.08~3.59)。また、第2段階では、それぞれ5.39μmol/kg FFM/分(95%CI:2.44~8.34)および5.37μmol/kg FFM/分(95%CI:2.41~8.33)増加した(群間差:0.02μmol/kg FFM/分、95%CI:-2.00~2.04)。両群間に有意な差は認められなかった。 また、体重減少によって、インスリン刺激による平均糖取り込み率が増加した。食事療法群では、糖取り込み率が30.5±15.9μmol/kg FFM/分から61.6±13.0μmol/kg FFM/分へ増加し、手術群では29.4±12.6μmol/kg FFM/分から54.5±10.4μmol/kg FFM/分へ増加した(増分の群間差:-6.5μmol/kg FFM/分、95%CI:-15.7~2.7)。両群間に有意な差はみられなかった。 さらに、体重減少により、β細胞機能(インスリン感受性と比較したインスリン分泌)が、食事療法群では1.83単位(95%CI:1.22~2.44)、手術群では1.11単位(95%CI:0.08~2.15)、それぞれ上昇した(群間差:-0.71、95%CI:-1.75~0.34)。両群間に有意差はなかった。また、体重減少により、両群で24時間血糖値およびインスリン値の曲線下面積が減少した。これらについても、両群間に有意な差はなかった。 両群とも、重大な合併症は発生しなかった。 著者は、「これらの結果は、代謝機能に及ぼす体重減少の強力な治療効果を強調するものであり、胃バイパス術による代謝への有益な効果は、体重減少のみの帰結である可能性が高い」としている。

2010.

第21回 検査1日20万件など、安倍首相が最後にまとめたコロナ対策

<先週の動き>1.検査1日20万件など、安倍首相が最後にまとめたコロナ対策2.経営悪化で3,500診療所、1,000病院が無利子・無担保融資を利用3.医師労働時間短縮計画策定ガイドライン案が取りまとめられた4.自民党内に国民皆保険を守る国会議員連盟が発足5.“GLP-1ダイエット”製薬メーカーからも警告1.検査1日20万件など、安倍首相が最後にまとめたコロナ対策28日、新型コロナウイルス感染症対策本部による取りまとめ結果が、安倍 晋三首相の記者会見で発表された。季節性インフルエンザとの同時流行なども踏まえ、抗原簡易キットによる検査能力を1日20万件程度まで拡充させることや病床確保を弾力的に行うことなど、トータルパッケージとして今後の対策方針を打ち出した。さらに、2類相当の指定感染症として感染症法に基づく権限の運用について、政令改正も含め、柔軟に見直しを行っていく方針を固めた。今後、国際的な人的交流を部分的・段階的に再開するため、成田・羽田・関西空港における入国時の検査能力・体制の拡充を行うことを目指し、9月までに1万人超の検査能力を確保する見込み。10月を目処にビジネス目的の出国者が市中の医療機関において検査証明を迅速に取得するのを支援目的に、インターネットで予約・マッチングすることができる仕組みを構築することが打ち出されている。(参考)新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組(新型コロナウイルス感染症対策本部)新型コロナウイルス感染症対策本部(第42回)議事次第(内閣官房)政府、検査1日20万件に拡充へ 「コロナ対策パッケージ」公表(毎日新聞)2.経営悪化で3,500診療所、1,000病院が無利子・無担保融資を利用経営が悪化した病院向けに独立行政法人 福祉医療機構が実施している、無利子・無担保融資の決定件数が明らかとなった。7月21日時点で、3,538件の診療所で1,248億円、1,077件の病院で2,779億円に上り、これは全国8,200病院の1割強に当たる。政府は新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した医療機関を支援するため、官民ファンド「地域経済活性化支援機構(REVIC)」を活用した新たな医療機関支援を開始するとし、福祉医療機構との連携協定の締結を行った。このスキームにより、REVICの経営ノウハウ提供など、地域の医療・福祉サービスの提供体制の維持・強化を図ることが可能となる。(参考)1000病院、無利子融資活用 診療所は3500件 受診減り経営悪化(日本経済新聞)地域経済活性化支援機構との連携協定の締結について~病院等事業者に対する経営支援~(福祉医療機構)病院経営動向調査(2020年6月調査) 新型コロナウイルス感染症の影響等に関する特別調査結果(同)3.医師労働時間短縮計画策定ガイドライン案が取りまとめられた28日、厚生労働省は「医師の働き方改革の推進に関する検討会」を開催した。これまで、2024年4月の新時間外労働規制の適用に向けて、医師の時間外労働の上限規制に関して、医事法制・医療政策における措置について、8回にわたって討議を重ねてきた。これまでの議論をもとに、今回「医師労働時間短縮計画策定ガイドライン(案)」がまとまった。今後、ガイドラインに沿って実際に医師の労働時間を短縮していくために、各医療機関内で取り組める事項について作成し、PDCAサイクルを進めていくこととなる。ガイドラインによれば、年間の時間外・休日労働時間数が960時間を超える医師の勤務する医療機関については、2024年までになるべく早期の計画策定が求められることとなる。(参考)医師労働時間短縮計画策定ガイドライン(案)(厚労省)第8回 医師の働き方改革の推進に関する検討会 資料(同)4.自民党内に国民皆保険を守る国会議員連盟が発足27日、自民党有志による「国民皆保険を守る国会議員連盟」(会長・鴨下 一郎元環境相)の設立総会が自民党本部で開催された。呼びかけ人代表の鴨下一郎議員が会長として承認された。設立趣意書によると、「本議員連盟は、国民の健康を守り、安心により生活・経済を支える国民皆保険制度を、将来にわたり持続可能なものとするよう、幅広い観点から検討することを目的とする」とあり、高齢化や新型コロナウイルス対応で政府の財政悪化の状況下で、皆保険制度の持続性を高める方策を議論する方向性が打ち出されている。(参考)国民皆保険維持へ自民議連(時事ドットコム)松本純の国会奮戦記2020年8月5.“GLP-1ダイエット”製薬メーカーからも警告ダイエット目的でのGLP-1受容体作動薬の使用・処方が国内で問題になってきている。20日、製造販売元4社が共同して文書による適正使用を呼び掛け、医療機関などに周知を開始している。海外では肥満症の適応で処方可能とされているが、日本国内では適応が承認されていない。このため、日本糖尿病学会より2020年7月9日付で「GLP-1受容体作動薬適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解」が発出されている。2型糖尿病を有さない日本人における安全性と有効性は現時点では確認されておらず、低血糖による健康被害の可能性もあり、医薬品副作用被害救済制度による救済の支給対象外となるため、適正な処方が望まれる。(参考)GLP-1 受容体作動薬の適正使用に関するお知らせ(PMDA)GLP-1受容体作動薬適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解(日本糖尿病学会)

2011.

流行りのダイエット法に手を出しては続かない患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第37回

■外来NGワード「毎日、食事記録をつけなさい!」(面倒なので続かない)「カロリー計算をしなさい!」(同上)「いろいろなダイエットに手を出さないように!」(何をすればよいかわからない)■解説 食事・運動指導をしても続かずに、いろいろなダイエット法を転々とする患者さんの特徴として、現在の食事・運動療法に満足していないことが考えられます。満足していない理由の1つとして、自分の性格タイプに合っていないことがあります。そこで、患者さんの強みを生かしてダイエットに取り組むことが大切になります。ユングのタイプ論に倣うと、性格タイプは大きく4つの色に分かれます。冷静な青色タイプ(内向的・論理型)の患者さんは分析力が高いので、食事や体重を記録し、食事のカロリー計算をするダイエットが好まれます。逆に、黄色タイプ(外向的・感情型)の患者さんは記録や計算を面倒くさがります。流行りのダイエットに手を出しがちのタイプです。1人で黙々とやるダイエットは苦手ですが、仲間と一緒にできる面白いダイエットに興味を持っています。1日2回体重計に乗ることで、食事による体重変化がすぐにわかる朝晩ダイエットなどが向いているかもしれません。赤色タイプ(外向的・論理型)の患者さんの強みは決断力です。短期間で達成できる、無駄を極力省いた効率的なダイエットに挑戦したいと考えています。それに対して、緑色タイプ(内向的・感情型)の患者さんの強みはサポート力で、「家族のために頑張りたい」「慌てずにゆっくりとダイエットに取り組みたい」と考えています。これらの性格タイプを参考に、患者さんに合ったダイエット法を一緒に探してみるとよいでしょう。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師最近、ダイエットの調子はいかがですか?患者テレビで紹介されていたダイエットに取り組んでいるのですが、体重がなかなか減らなくて。医師どんなダイエット法ですか?(興味を持って尋ねる)患者「○○を食べれば健康に痩せる」と言っていて…。医師なるほど。残念ながら、それは減量に効果がなさそうですね。患者えっ、そうなんですか…。食事記録やカロリー計算は面倒だし、何かいいダイエット法はありませんか?医師性格タイプに合わせた、いいダイエット法がありますよ。患者本当ですか? ぜひ教えてください!(興味津々)医師家に体重計はありますか?患者はい。体脂肪も測れます。医師では、朝と晩に乗ってください。そうすると、太りやすい食べ物と痩せやすい食べ物がわかりますよ。患者えっ、どういうことですか? 詳しく教えてください。(朝晩ダイエットに話が展開する)■医師へのお勧めの言葉「○○さんの性格タイプに合わせたダイエット法がありますよ!」

2012.

FHホモ接合体のevinacumab併用、LDL-Cを40%低下/NEJM

 最大用量の脂質低下療法を受けているホモ接合型家族性高コレステロール血症(FH)の患者において、evinacumabを併用することでLDLコレステロール(LDL-C)値がベースラインよりも大幅に低下したのに対し、プラセボではLDL-C値がわずかに上昇し、24週の時点で群間差が49.0ポイントに達したとの研究結果が、南アフリカ共和国・ウィットウォータースランド大学のFrederick J. Raal氏らによって報告された。「ELIPSE HoFH試験」と呼ばれるこの研究の成果は、NEJM誌2020年8月20日号に掲載された。ホモ接合型FHは、LDL-C値の異常な上昇によって引き起こされる早発性の心血管疾患を特徴とする。この疾患は、LDL受容体活性が実質的に消失する遺伝子変異(null-null型)または障害される遺伝子変異(non-null型)と関連している。また、アンジオポエチン様3(ANGPTL3)をコードする遺伝子の機能喪失型変異は、低脂血症や、アテローム性動脈硬化性心血管疾患への防御と関連している。ANGPTL3に対するモノクローナル抗体であるevinacumabは、ホモ接合型FH患者にとって有益である可能性が示されていた。11ヵ国30施設が参加したプラセボ対照無作為化第III相試験 本研究は、11ヵ国30施設が参加したプラセボ対照無作為化第III相試験であり、2018年2月15日~12月18日の期間に患者登録が行われ、2019年7月29日にデータベースがロックされた(Regeneron Pharmaceuticalsの助成による)。 対象は、年齢12歳以上のホモ接合型FHで、許容できない副作用が発現しない最大用量の脂質低下療法を安定的に受けており、LDL-C値が70mg/dL以上の患者であった。 被験者は、evinacumab(15mg/kg体重)を4週ごとに静脈内注入する群またはプラセボ群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、ベースラインから24週までのLDL-C値の変化率(%)とした。LDL-C値:47.1%低下vs.1.9%上昇 65例が登録され、evinacumab群に43例、プラセボ群には22例が割り付けられた。12~<18歳の患者が各群に1例ずつ含まれた。全体の平均年齢は41.7±15.5歳で、女性が35例(54%)であった。 ベースラインの平均LDL-C値は、最大用量の基礎脂質低下療法を受けていたにもかかわらず、evinacumab群が260mg/dL、プラセボ群は247mg/dLであった。全体の94%がスタチン(77%は高強度スタチン)、77%がPCSK9阻害薬の投与を、34%がアフェレーシスを受けており、63%が3剤以上の脂質修飾薬の投与を受けていた。 24週の時点で、evinacumab群ではLDL-C値がベースラインから47.1%低下したのに対し、プラセボ群では1.9%上昇しており、群間の最小二乗平均差は-49.0ポイント(95%信頼区間[CI]:-65.0~-33.1、p<0.001)であった。 また、LDL-C値の群間の最小二乗平均絶対差は-132.1mg/dL(95%CI:-175.3~-88.9、p<0.001)であった。 LDL-C値の低下は、null-null型変異を有する患者では、evinacumab群がプラセボ群よりも大きく(-43.4% vs.+16.2%)、非null型変異の患者でもevinacumab群で大きかった(-49.1% vs.-3.8%)。 主な副次アウトカムであるアポリポ蛋白B、非HDL-C値、総コレステロール値のベースラインから24週時までの変化率は、いずれもevinacumab群がプラセボ群よりも有意に低下した(すべてのp<0.001)。 有害事象は、evinacumab群が66%、プラセボ群は81%で発現した。evinacumab群で頻度の高い有害事象は、鼻咽頭炎(16%)、インフルエンザ様疾患(11%)、頭痛(9%)、鼻漏(7%)であった。 有害事象により治療中止となった患者は両群とも認められず、死亡例もなかった。重篤な有害事象は、evinacumab群の2例(5%、尿路性敗血症、自殺企図)でみられたが、いずれも回復した。 著者は、「LDL-C値の低下に伴い、アポリポ蛋白Bはevinacumab群がプラセボ群よりも36.9ポイント低下した。この低下は、大量基礎脂質低下療法へのアフェレーシス追加の有無にかかわらず達成された」としている。

2013.

“GLP-1ダイエット”は速やかに規制当局へ連絡、製造販売元4社が警告

 2型糖尿病治療薬・GLP-1受容体作動薬の適応外使用について、「GLP-1ダイエット」などと称され、美容・痩身をうたうインターネット上の広告が問題となっている。20日、GLP-1受容体作動薬の製造販売元4社(ノボ ノルディスク ファーマ、アストラゼネカ、サノフィ、日本イーライリリー)が、文書で適正使用を呼び掛けた。GLP-1ダイエット問題に関しては、日本糖尿病学会からも7月9日に見解・警告が出されている。GLP-1受容体作動薬の適応外使用推奨は規制当局へ連絡 文書では、GLP-1受容体作動薬について、現時点でわが国においては2型糖尿病のみを効能・効果として製造販売承認を取得しており、それ以外の目的で使用された場合の安全性および有効性については確認されていない、と改めて強調。また、GLP-1受容体作動薬が適応外使用された場合、本来の効果が見込めないだけでなく、思わぬ健康被害が発現する可能性も想定されると注意喚起している。 製造販売元の各製薬企業は、承認外の使用を推奨していると受け取れる記事などについて、確認次第、規制当局への連絡、相談を速やかに実施するなど、厳しく対処する方針を示した。医療関係者および患者へも、適正な使用への協力を呼び掛けている。 現在、国内で製造販売承認を受けているGLP-1受容体作動薬には以下の薬剤がある。・リラグルチド(商品名:ビクトーザ)/ノボ ノルディスク ファーマ・セマグルチド(同:オゼンピック、リベルサス)/同・エキセナチド(同:バイエッタ、ビデュリオン)/アストラゼネカ・リキシセナチド(同:リキスミア)/サノフィ・デュラグルチド(同:トルリシティ)/日本イーライリリー 今年6月に承認され、初の経口GLP-1受容体作動薬として注目されるリベルサス錠については、8月の薬価収載が見送られ、発売時期は未定となっている。

2014.

体重減少伴う発症初期の糖尿病で膵がんリスク増/JAMA Oncol

 糖尿病と膵臓がんの関連は知られているが、体重減少を伴う発症して間もない糖尿病では、膵臓がんのリスクが大幅に高いことが明らかにされた。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のChen Yuan氏らによるコホート研究の結果で、「高齢」「以前は健康体重」「意図的な減量ではない」場合は、さらに膵臓がんの発症リスクが高まることも示された。米国において膵臓がんは、がん死要因で3番目に多いという。しかしこれまで、膵臓がんの早期診断戦略を促進する高リスク群は、ほとんど特定されていなかった。JAMA Oncology誌オンライン版2020年8月13日号掲載の報告。 研究グループは、30年以上にわたり繰り返し評価が行われてきた米国の2つのコホート研究(Nurses’ Health StudyおよびHealth Professionals Follow-Up Study)のデータを用いて、糖尿病罹病期間および最近の体重変化とその後の膵臓がんリスクとの関連を解析した。 膵臓がんの発症は、自己報告または参加者の死亡の追跡調査により特定し、死亡は近親者からの報告、米国郵便公社または国民死亡記録(National Death Index)で確認された。 主要評価項目は、膵臓がん発症のハザード比(HR)。2018年10月1日~12月31日にデータを収集し、2019年1月1日~6月30日に解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、女性11万2,818例(平均年齢59.4[SD 11.7]歳)、男性4万6,207例(64.7[10.8]歳)で、このうち膵臓がん発症は1,116件確認された。・非糖尿病者と比較した膵臓がんの年齢補正後HRは、糖尿病を発症して間もない(短期罹病)被験者で2.97(95%信頼区間[CI]:2.31~3.82)、長期罹病者で2.16(95%CI:1.78~2.60)であった。・非体重減少者と比較した膵臓がんの年齢補正後HRは、1~4ポンドの体重減少者は1.25(95%CI:1.03~1.52)、5~8ポンドの体重減少者は1.33(95%CI:1.06~1.66)、8ポンドを超える体重減少者は1.92(95%CI:1.58~2.32)であった。・1~8ポンドの体重減少を伴う糖尿病短期罹病者(91/10万人年[95%CI:55~151]、HR:3.61[95%CI:2.14~6.10])、または8ポンドを超える体重減少を伴う糖尿病短期罹病者(164/10万人年[95%CI:114~238]、HR:6.75[95%CI:4.55~10.00 ])は、いずれも非該当の被験者(16/10万人年[95%CI:14~17)と比較して、膵臓がんのリスクは大幅に高かった。・膵臓がんの罹患率は、糖尿病短期罹病者で、かつ体重減少前のBMIは25未満でありそこからさらに体重が減少した者(罹患率400/10万人年)、または身体活動の増加や健康的な食事の選択が認められ体重減少が意図的ではなかったと判断される被験者(334/10万人年)では、さらに高かった。

2015.

うつ病を伴う糖尿病患者、医療従事者のケアで代謝指標が改善/JAMA

 うつ病を合併した糖尿病患者に対する共同ケア(collaborative care)は、通常ケアと比較して24ヵ月時点のうつ症状および循環代謝指標の複合評価を、統計学的に有意に改善することが認められた。米国・エモリー大学のMohammed K. Ali氏らが、インドにおけるうつ病を合併した糖尿病患者を対象とする実用的な無作為化非盲検臨床試験「INDEPENDENT試験」の結果を報告した。メンタルヘルス疾患を合併している患者は増加しており、糖尿病ではとくにケアが断片化しているとアウトカムが悪化する。低中所得国では、財政や医療従事者の不足などが障壁となって効果的なケアが阻まれ、ますます複数の慢性疾患を有する患者が増加し、回避可能にもかかわらず不良なアウトカムにつながっている。そのため、メンタルヘルスケアの導入を増加させアウトカムを改善するために有効で実現可能な統合ケアが求められていた。JAMA誌2020年8月18日号掲載の報告。うつ病を伴う2型糖尿病患者約400例で、共同ケアと通常ケアを比較 研究グループは、インドの社会経済的に多様な病院4施設において、2型糖尿病患者(患者健康質問票のうつ病評価尺度[PHQ-9]スコア10点以上、HbA1c 8%以上、収縮期血圧[SBP]140mmHg以上、LDLコレステロール130mg/dL以上)を登録し、介入群と対照群に無作為に割り付けた。登録期間は2015年3月9日~2016年5月31日。最終追跡調査日は2018年7月14日であった。 介入群(196例)では、医師ではないケアコーディネーター(栄養士、ソーシャルワーカーなど)による12ヵ月間のセルフマネジメントサポート、医師の診療を調整する意思決定支援電子健康記録の利用、および専門家による症例検討を受け、その後介入なしで12ヵ月間追跡を受けた。対照群(208例)は通常ケアを24ヵ月間受けた。 主要評価項目は、24ヵ月時点においてSymptom Checklist Depression Scale(SCL-20)スコアが50%以上低下、HbA1cが0.5%以上低下、SBPが5mmHg以上低下およびLDLコレステロール値が10mg/dL以上低下の複合エンドポイントを達成した患者の割合の群間差とした。介入群でうつ症状と循環代謝指標が改善 無作為化された404例(平均[±SD]年齢53±8.6歳、男性165例[40.8%])のうち、378例(93.5%)が試験を完遂した。 主要評価項目を達成した患者の割合は、介入群が71.6%、対照群が57.4%であり、対照群と比較して介入群で有意に増加した(リスク群間差:16.9%、95%CI:8.5~25.2、p<0.001)。事前に定義した16の副次評価項目のうち、12ヵ月時点で10項目、24ヵ月時点で13項目は、両群間で有意差は確認されなかった。 介入群と対照群における重篤な有害事象は、心血管イベントまたは入院(4例[2.0%]vs.7例[3.4%])、脳卒中(0例vs.3例[1.4%])、死亡(2例[1.0%]vs.7例[3.4%])、重篤な低血糖(8例[4.1%]vs.0例)であった。

2016.

第39回 「服薬期間中のフォロー」で実際に糖尿病患者のHbA1cは改善するのか【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 9月1日より施行される改正薬機法で義務化される「服薬期間中のフォロー」は多くの薬剤師が意識しているようで、電話やメッセージアプリなどによる支援を実施していたり、いろいろと検討していたりするという話を聞きます。海外においては、すでにテキストメッセージや電話によるフォローを行い、それらのアウトカムを検討した論文が少なからず存在します。今回はその中から、2018年5月にBMJ誌に掲載された、ショートメッセージサービス(SMS)をベースにした糖尿病自己管理サポートの論文を紹介します1)。対象患者は16歳以上のコントロール不良(HbA1cが65mmol/molまたは8%以上)の1型または2型糖尿病患者366例で、通常のケアに加えて個別化されたテキストメッセージによるフォローを最大9ヵ月間受ける介入群183例と、通常ケアのみを受ける対照群183例にランダムに割り付けて比較しています。途中脱落や連絡が取れなくなったなどの被験者を除き、各群177例が解析に含まれました。テキストメッセージで提供された情報は、糖尿病自己管理や生活スタイルに関わるサポート、動機付けおよびリマインドで、メッセージは自動コンテンツ管理システムにより送信されています。主要評価項目はHbA1cのベースラインから9ヵ月時点における変化、セカンダリアウトカムは3ヵ月と6ヵ月時点におけるHbA1cの変化、効果の自覚、セルフケアの行動、健康関連のQOLなど21項目をみています。9ヵ月時点の平均HbA1bは、対照群の-3.96mmol/mol(標準偏差[SD]:17.02)と比べて介入群では-8.85mmol/mol(SD:14.84)で、補正後平均差-4.23(95%信頼区間[CI]:-7.30~-1.15)と有意に低下しました。セカンダリアウトカムについては、21項目中、フットケア(補正後平均差:0.85[95%CI:0.40~1.29]、p<0.001)、全体的な糖尿病サポート(補正後平均差:0.26、95%CI:0.03~0.50、p=0.03)、EQ-5D評価による視覚アナログスケール(補正後平均差:4.38、95%CI:0.44~8.33、p=0.03)、糖尿病の症状の自覚(補正後平均差:-0.54、95%CI:-1.04~-0.03、p=0.04)の4項目で有意な差が出ています。患者の介入への満足度は高く、169例中161例(95%)が役に立ったと報告しており、164例(97%)がほかの糖尿病患者にも勧めたいと思うと報告していました。また、85例(50%)がほかの人とメッセージを共有しており、120例(71%)が糖尿病について学ぶ助けになったとしています。シンプル、簡易なメッセージでも血糖コントロールに効果あり実際どのようなメッセージがどのくらいの期間送られていたかについては、研究のプロトコル論文2)の表1にモジュールごとに詳しく書かれています。たとえば、インスリンモジュールであれば、「未開封のインスリンは冷所保管してください。変色したもの、塊が析出しているもの、期限切れのもの、ひび割れや漏れのあるもの、冷凍や過熱されたものは使用しないでください」などで、禁煙モジュールであれば「(こんにちは)(名前)さん。糖尿病の良好な管理と将来の健康のために禁煙をしましょう。禁煙サポート窓口へお電話ください(番号)」、血糖モニタリングモジュールであれば「(こんにちは)(名前)さん。血糖値をチェックする時間です。測定結果を返信してください」などです。そのほかにも運動の工夫、低血糖対策、親近者のフォローなどモジュールごとに決まったメッセージがあります。今後、臨床的なアウトカムとしての検討がさらに進んでいくと思いますが、薬剤師視点ではごく当たり前のシンプルなメッセージを送ることが、定期フォローの中で血糖コントロールに寄与するというのは現場としても勇気づけられる結果だと思います。実業務でも工夫して、服薬期間中のフォロー体制を構築する参考になるのではないでしょうか。1)Dobson R , et al. BMJ. 2018;361:k1959. 2)Dobson R, et al. Trials. 2016;17:179.

2018.

第4次「対糖尿病戦略5ヵ年計画」を策定/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎)は、第4次「対糖尿病戦略5ヵ年計画」を策定し、同学会のホームぺージで公開した。 本計画は、増加を続ける糖尿病患者の歯止めと診療の進歩への寄与などを盛り込んで、2004年より策定されているもの。第3次計画では、糖尿病予備群の数の減少、健康寿命の延伸、わが国独自の糖尿病の疫学・臨床データの蓄積、専門知識を持つさまざまな職種の人材の育成などが予測される成果として標榜され、検証されている。 第4次「対糖尿病戦略5ヵ年計画」では、同学会作成委員会(委員長:綿田 裕孝)を中心に作成され、次の2項目を具体的な目標として掲げている。 1)糖尿病患者と非糖尿病患者の寿命の差をさらに短縮させる 2)糖尿病患者の生活の質(QOL)を改善させる これらについて「本計画を教育などさまざまな場面で活用いただきたい」と委員会では一読を呼び掛けている。1,000万通りの個別化医療構築にむけて 今回の計画では、糖尿病患者のQOLを維持・改善させ、非糖尿病者との寿命の差を短縮させるために、個々の患者の病態と置かれているさまざまな状況を考慮した「個別化医療の推進」が不可欠としている。そこで、併存疾患の病態とその進行度を総合的に把握する方法の開発、患者の置かれている状況にもとづく、血糖コントロール目標および動脈硬化性疾患の危険因子などのコントロール目標を個別設定し、食事、運動、薬物療法を含む最適な治療レシピの構築や効果的な新規治療法の確立を目指すとしている。 また、「J-DREAMS」など蓄積された診療データからより細かい患者ごとの血糖コントロール目標値の設定や将来的には治療シミュレーションを示すことで、複数の適切な治療が提示できるようなシステムをつくり、1,000 万通りの個別化医療の構築を目指すとしている。将来の糖尿病対策を担う人材の育成にむけて 計画の達成には、糖尿病専門医、看護師、栄養士、理学療法士を中心とした医療スタッフのみならず合併症予防のために他科診療科との連携が必要不可欠となる。また、先述の包括的データベースによるエビデンスの構築では基礎研究者、医療データの活用ができる人材育成が喫緊の課題としている。 そのために糖尿病専門医、研修指導医の育成はもとより、国際的にわが国発の糖尿病に関する論文数が減少していることに憂慮し、学会などでも若手研究者の奨励賞や研究助成金の充実、地方会などでの発表の奨励などを行うほか、ビッグデータの利活用のできる人材の育成のために日本医療情報学会や日本公衆衛生学会などとも連携し、人材育成を行うとしている。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)にも言及した今後の展開 国民への啓発と情報発信は、糖尿病の発症予防、合併症への進展防止に以前より行われてきた。現在でも糖尿病予備群の増加、高齢者の患者も多くなっていることから市民公開講座、各種リーフレット、ホームページなどを通じて引き続き情報発信を行うとともに、糖尿病への偏見や誤った知識の是正などにも取り組んでいくとしている。 最後に「新興・再興感染症の脅威と糖尿病」として、糖尿病は肥満症、心血管障害などと同様にCOVID-19の重症化リスク因子と想定されることを考慮し、国際協力をしつつエビデンスを確立する必要があるとしている。また、患者や患者家族が不確かな情報で不利益を被らないように、COVID-19に関しても正しい知識を広く周知していくとしている。具体的には、エビデンスの収集と整理、ワクチンなどの有効策ができた場合の普及と啓発、迅速な症例把握のための症例登録システムの樹立などを含め、COVID-19以外の新興感染症が流行した場合に迅速に対応ができ、糖尿病患者が安心して生活できる体制構築にむけて準備を進めると述べている。

2019.

コクラン共同計画のロゴマークからメタ解析を学ぶ【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第27回

第27回 コクラン共同計画のロゴマークからメタ解析を学ぶこの原稿を執筆している2020年7月末には、新型コロナウイルスへの感染者数が再び増加しています。パンデミック収束の気配はありません。数多くの、抗ウイルス薬やワクチンの開発の報道はありますが、決定的な方策はない状況です。どの薬剤にも、有効という臨床試験の結果もあれば、無効という結果もあるからです。同じ臨床上の課題について、それぞれの試験によって結果が異なることは、医学の世界では珍しいことではありません。このような場合に有効な方法がメタ解析です。メタ解析は、複数のランダム化比較試験の結果を統合し分析することです。メタ解析の「メタ」を辞書的にいえば、他の語の上に付いて「超」・「高次」の意味を表す接頭語で、『より高いレベルの~』という意味を示すそうです。メタ解析の結果は、EBMにおいて最も質の高い根拠とされます。ランダム化比較試験を中心として、臨床試験をくまなく収集・評価し、メタ解析を用いて分析することを、システマティック・レビューといいます。このシステマティック・レビューを組織的に遂行し、データを提供してくれるのが、コクラン共同計画です。英語のまま「コクラン・コラボレーション」(Cochrane Collaboration)と呼ばれることも多いです。本部は、英国のオックスフォード大学にあり、日本を含む世界中100ヵ国以上にコクランセンターが設立されています。システマティック・レビューを行い、その結果を、医療関係者や医療政策決定者、さらには消費者である患者に届け、合理的な意思決定に役立てることを目的としている組織です。フォレスト・プロット図をデザイン化した、コクラン共同計画のロゴマークをご存じでしょうか。早産になりそうな妊婦にステロイド薬を投与することによって、新生児の呼吸不全死亡への予防効果を検討した、メタ解析の結果が示されています。数千人の未熟児の救命につながったと推定される、システマティック・レビューの成功例なのです。この図を、Cochrane Collaborationの2つの「C」で囲んだデザインが、コクラン共同計画のロゴです。フォレスト・プロットの図から、メタ解析の結果を視覚的に理解することができます。横線がいくつか並んでいますが、これは、過去の複数のランダム化比較試験の結果を上から順に記載したものです。1本の縦線で左右に区切られており、この線の左側は介入群が優れていることを意味します。すべての研究を統合した結果が一番下の「ひし形」に示されます。ロゴの図をみると、7つの臨床研究の結果を統合し、ひし形が縦線の左にあることから、ステロイド薬使用という介入が有効であるという結果が読み取れます。縦線が樹木の幹で、各々の研究をプロットした横線が枝葉で、全体として1本の樹木のようにみえることからフォレスト・プロットと呼ばれるのです。個々の試験では、サンプルサイズが小さく結論付けられない場合に、複数の試験の結果を統合することにより、検出力を高めエビデンスとしての信頼度を高めるのがメタ解析です。症例数が多いほど、結論に説得力があるのです。数は力なのです。多ければ良いというものではない場合もあります。それは、猫の数です。面倒みることができないほど多くの猫の数になる、いわゆる多頭飼育崩壊です。メタ解析ではなく、「メチャ飼い過ぎ」でしょうか、苦しいダジャレです。仲良く猫たちが、じゃれ合う姿は可愛らしいものですが、何事にも程合いがあります。小生は、ただ1匹の猫さまに愛情を集中しています。ここでわが家の愛猫が、原稿を執筆しているパソコンのキーボードの上に横たわりました。自分が猫のことを考えているのが伝わったのか、邪魔をしようという魂胆のようです。ウーン可愛い過ぎる! 原稿執筆終了です。

2020.

「レンドルミン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第14回

第14回 「レンドルミン」の名称の由来は?販売名レンドルミン®錠0.25mg/レンドルミン®D錠0.25mg一般名(和名[命名法])ブロチゾラム(日局、JAN) 効能又は効果不眠症、麻酔前投薬用法及び用量本剤の用量は、年齢、症状、疾患などを考慮して適宜増減するが、一般に成人には次のように投与する。不眠症1回ブロチゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する。麻酔前投薬手術前夜:1回ブロチゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する。麻 酔 前:1回ブロチゾラムとして0.5mgを経口投与する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁忌 (次の患者には投与しないこと)】(1)急性閉塞隅角緑内障の患者 [抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。](2)重症筋無力症のある患者 [重症筋無力症を悪化させるおそれがある。]【原則禁忌 (次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)】肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期等で呼吸機能が高度に低下している場合 [炭酸ガスナルコーシスを起こすおそれがある。]※本内容は2020年8月26日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2019年7月改訂(改訂第16版)医薬品インタビューフォーム「レンドルミン®錠0.25mg/レンドルミン®D錠0.25mg」2)ベーリンガープラス:製品情報

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