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認知症者の自動運転車の利用~ケアパートナーからの視点

 自動車の運転をやめさせることは、認知症高齢者の感情や健康に重大な影響を及ぼす可能性があり、このことはケアパートナーである家族にとっても問題となる。自動車の自動運転化は、認知症高齢者やケアパートナーにとって、自動車の運転を停止することやそれに伴う悪影響を緩和するうえで役立つ可能性がある。しかし、ケアパートナーを対象に認知症高齢者の自動運転車利用に対する考えを調査した研究は、これまで行われていなかった。カナダ・トロント大学のShabnam Haghzare氏らは、ケアパートナーの視点から、認知症高齢者における自動運転車の利用について、調査を行った。The Gerontologist誌オンライン版2021年11月19日号の報告。 認知症高齢者20例をこれまで/または現在介護している家族ケアパートナーを対象に、認知症高齢者の自動運転車の利用についての見解を評価するため、混合法研究を実施した。質問票および半構造化面接を用いて、認知症高齢者のケアパートナーにおける自動運転車の利用受け入れ状況と認知症高齢者に対する自動運転車の潜在的な有用性について調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・ケアパートナーは、認知症高齢者の自動運転車の利用について、より高い社会参加の促進などのベネフィットを感じていることが示唆された。・しかし、ケアパートナーは、大きな懸念も抱いており、自分の家族の認知症高齢者が自動運転車を利用した場合、その信頼性や安全性が低いことを問題視していた。・主な懸念点は以下のとおりであった。 ●自動運転車が認知症高齢者に対応するように設計されていない点 ●認知症高齢者に特有の懸念ではなく、自動運転車自体に対する懸念点 ●自動運転の利用により認知症状が悪化する可能性 著者らは「本知見は、認知症高齢者でもよりアクセスしやすい便利な自動運転車の設計に役立つ可能性がある」としている。

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急性ポルフィリン症〔acute porphyria〕

1 疾患概要■ 概念・定義ポルフィリン症とはヘム合成経路に関与する8つの酵素いずれかの先天異常が病因でヘム合成経路(すなわち、律速酵素である第1番目のデルタアミノレブリン酸(ALA)合成酵素(ALAS))が亢進し生じる疾患の総称。ポルフィリン代謝異常に基づく症候を呈し、ポルフィリンやその前駆物質が大量に生産され、体内に蓄積し、尿や糞便に多量に排泄される。ポルフィリン症は、病因論的には本経路の異常が生じる主たる臓器の違いにより肝型と骨髄型の2型に大別される(図1)。臨床的には急性腹症、神経症状、精神症状などの急性発作を起こす急性ポルフィリン症(ALA脱水酵素欠損ポルフィリン症〔ADP〕、急性間欠性ポルフィリン症〔AIP〕、遺伝性コプロポルフィリン症〔HCP〕、多様性ポルフィリン症〔VP〕)および、光線過敏症を呈する皮膚ポルフィリン症(先天性骨髄性ポルフィリン症〔CEP〕、晩発性皮膚ポルフィリン症〔PCT〕、肝性骨髄性ポルフィリン症〔HEP〕、骨髄性プロトポルフィリン症〔EPP〕および、間欠期のHCPとVP)とに分けられる。AIP以外の急性ポルフィリン症は皮膚症状も呈し、皮膚ポルフィリン症でもある。また、EPPの症例で病因遺伝子がフェロキラターゼでは無く、ALAS2遺伝子の機能獲得型変異やALAS2の安定性を制御する蛋白ClpXの遺伝子異常が病因となった症例も近年報告されており、病因遺伝子異常は2種類増えた。図1 ヘム合成経路と異常症画像を拡大する■ 疫学報告は、本症の知見が高まった1966~1985年の間になされたものが大半であり、ここ10年間の報告はむしろ減少している。次第にありふれた疾患として認識されるようになり、報告が減ったと考えられ、実際はこれよりはるかに多い症例があるものと思われる。急性ポルフィリン症の半数以上がAIPで、ついでHCP、VPと続く。ADPはきわめてまれである。1980~1984年の全国調査ではポルフィリン症の有病率は、人口10万人対0.38人とされているが、その10倍との報告もある。厚生労働省遺伝性ポルフィリン症研究班による2009年の調査では、1年間の受療者は35.5人と推定されているが、欧州の発症率(5.2人/100万人)と同等として計算すると648人となることにより、わが国では多くの未診断症例が埋もれている可能性が高いと思われる。■ 病因ヘムは、生体内においては、主に骨髄と肝臓で合成されている。約70~80%のヘムは、骨髄の赤血球系細胞で合成され、グロビンに供給されヘモグロビンを形成する。残りは主に肝臓で合成され、シトクロムP450などのヘム蛋白の配合族として利用されている。ヘム合成経路の律速酵素は、第1番目の酵素であるALASであり、本酵素活性の増減が細胞内ヘム蛋白量を調整している。ALAS酵素活性は、最終産物であるヘムにより、肝臓ではネガティブフィードバックを受けており、ヘムの量は一定に保たれる。ALASの酵素活性は、ヘム合成経路で最も低い(したがって律速酵素たりうる)。ポルフィリン症の病因は、それ以外のヘム合成系酵素の活性が遺伝子異常により低下し、ALAS活性より低くなることで、本経路の異常が生じることである。ウロポルフィリン(UP)、コプロポルフィリン(CP)、プロトポルフィリン(PP)などのポルフィリンの蓄積が光線過敏性皮膚炎の病因であることは確定しているが、後に述べる急性発作(神経系の機能異常が病因)を引き起こす機序は未確定である。上流の基質であるポルフォビリノーゲン(PBG)、およびALAの増加を病因とする神経毒性前駆物質説、ならびに、ヘム蛋白やヘム酵素の機能低下を病因とするヘム欠乏説があり、どちらが主であるかの決定的なデータはいまだみられない。なお、最終産物であるヘムの低下は、ネガティブフィードバック機序を介してALASの酵素活性を増加させ、異常酵素とALASの酵素活性の逆転状況をさらに助長させる。したがって、この酵素活性のバランスに影響を与える何らかの誘因(薬物など)により、異常酵素とALASの酵素活性の逆転状況がわずかに増強されただけで、悪循環の過程を経て、急性に病状の悪化(急性発作)を生じる。誘因としては、外傷、感染症、ストレス、甲状腺ホルモン、妊娠、あるいは飢餓など(狭義の誘因)、バルビタール、サルファ薬などの誘発薬剤、ヘム合成系酵素を直接障害し、ヘム合成能力をヘムの需要量以下に低下させる(発症剤)、セドルミッド、グリセオフルビンなどが挙げられる。薬剤については、下記のウェブサイトに記載されているので参照していただきたい。The American Porphyria Foundation(APF)European Porphyria Network(EPNET)■ 症状1)急性ポルフィリン発作腹部症状、精神症状、神経症状(三徴)。急性腹症を思わせる腹部症状が初期にみられ、後にヒステリーを思わせるような精神症状を呈し、最後には四肢麻痺、球麻痺などの神経症状を呈し、死に至ることもある急性発作がみられる。このときみられる腹部症状に対応する器質的な異常は認められず、機能的異常によるものと考えられている。このように、病状の進行に応じて多彩な症候を呈するので、種々の間違った診断の下に治療されるケースが多い。(1)腹部症状:腹痛、嘔気、嘔吐、便秘、下痢、腹部膨満など(2)精神症状:不眠、不安、ヒステリー、恐怖感、興奮、傾眠、昏睡など(3)神経症状:四肢脱力、知覚異常、言語障害、嚥下(飲み込み)障害、呼吸障害など2)光線過敏性皮膚炎HCPおよびVPでは、光線過敏性皮膚炎がみられることもある。3)非発作時(間欠期)無症状■ 予後いったん発症すれば、死亡率は20%を超え、予後不良と考えられていた。これは、診断がつかないまま、バルビタールなどの使用禁忌薬やほかの誘因が重なって、病状が悪化した症例が多いことも原因であり、診断がつき、適切な治療が行われた場合、大半は完全に回復する。繰り返し発症する症例では、発症に対する不安神経症を呈することもあり、発症早期から適切な治療をすることが望まれる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)ヘム合成経路の酵素活性の低下は、その酵素による反応部位より上流の基質の増加と最終産物であるヘムの低下を引き起こす。したがって、増加した基質(ALAおよびPBG)や基質の代謝産物であるUPおよびCPなどを測定することにより、酵素異常の部位がわかる。臨床症状、検査値などを含め総合的に診断することが必要だが、検査値で考えると下に示した図2のフローチャートに従って検査を進めることになる。本症では、病因となる遺伝子異常を持っているが、いまだ発症していない人(潜在者)が少なからずみられる。その発症前診断には、上記のような代謝産物の測定および酵素活性の測定では不十分なことがあり、遺伝子診断が必要となることが多い。図2 急性ポルフィリン症診断のフローチャート画像を拡大する■ 検査成績(ポルフィリン関連)血中および尿中のPBG、ALA、ポルフィリンなどの値は、各種ポルフィリン症の病型に応じて異なるが、急性ポルフィリン症に共通する(まれな病型であるADPを除く)所見として尿中PBGの増加がある(定性的に調べる検査であるWatson-Schwartz法で陽性)。また、尿中ポルフィリンも増加し、肉眼的には特有のぶどう酒色(ポルフィリン尿)を呈する(10~30%の症例でみられる)。しかし、ADPやAIPでは、尿中ポルフィリンはあまり増加せず褐色調に留まることが多い。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 急性発作の予防誘因を避けるように指導することが大切である。飢餓が誘因となるので、十分な摂食をさせる(ダイエットは禁)。また、医療機関での薬剤投与に注意が必要となる。患者には使用可能薬剤の一覧などの携帯を勧める。月経に伴い急性発作を起こす症例では、LH-RHアナログを用いて、月経を止めることも効果がある。■ 発症時の治療1)グルコースを中心とした補液詳細な機序は不明だが、ALASの酵素活性を抑制し、急性発作を改善させるといわれている。わが国で、最も一般的に行われている治療法。インスリンを併用するとさらに効果が増す。2)ヘム製剤本薬剤はヘム製剤で、細胞内ヘムの上昇を引き起こし、ALASの酵素活性を抑え(ネガティブフィードバックにて)、ヘム合成系の相対的亢進を緩和させる。ポルフィリン症の治療としては、病態に則した治療法であり、欧米では40年来使用されており第一選択療法と位置づけられている。わが国では、2013(平成25)年8月、ヘミン(商品名:ノーモサング)が発売され、使用できるようになった。3)シメチジン作用機序は不明だが、ALAおよびPBGを減少させる効果がある。4)対症療法ポルフィリン症にみられる各種症候に対しては、下記のような対症療法が行われる。ここで大切なことは、使用禁止薬剤(誘因となる薬剤)を絶対に使用しないことである。(1)疼痛、腹痛には、クロルプロマジンおよび麻薬(2)不安、神経症には、クロナゼパム、クロルプロマジン(3)高血圧、頻脈には、ベータ遮断薬(4)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)には、補液による電解質の補充■ 発作が頻回に起こるときの発作予防薬ギボシラン(商品名:ギブラーリ):ALAS1を標的としたsiRNA。ALAs1の発現を抑制し、急性発作の発症を予防することを目的とした薬剤。2019年に米国で承認され、わが国でも2021年に承認された。4 今後の展望ヘム製剤やギボシランが治療に使えることとなり、国際標準に追いついたと言える。また、これら治療薬は高額だが、難病指定もなされ医療費補助もあり、治療は円滑に行える。しかし、確定診断の補助となる遺伝子解析が保険収載されておらず、これが認められると診断の精度が高まるので、現在、保険収載を要望中である。5 主たる診療科内科では代謝内科、消化器内科、神経内科。皮膚症状に対しては皮膚科。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報ポルフィリン症相談(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報全国ポルフィリン代謝障害友の会「さくら友の会」(患者と患者家族の会)1)大門 真.ポルフィリン症.In:矢崎義雄編.内科学.第11版.朝倉書店;2017. p.1815-1820.2)大門 真. ポルフィリン症の診断と分類. In: 岡庭 豊ほか編. year note 内科・外科等編 2010年版. 第19版. メディックメディア; 2009. p.719-729.3)難病情報センター ポルフィリン症(2022年1月17日アクセス)公開履歴初回2013年09月05日更新2022年01月20日

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日本でのCOVID-19パンデミック時の認知症患者に対する身体拘束

 COVID-19パンデミックは、世界中の医療スタッフ、とくにCOVID-19陽性患者を受け入れる病院スタッフにとって、これまでにない問題を引き起こしている。日本政府によるCOVID-19に伴う診療抑制などの発表は、院内ケアに対するさまざまな制限をもたらしており、認知症高齢者への身体拘束の増加を含むケアに影響を及ぼしている可能性がある。しかし、COVID-19パンデミック時の身体拘束への影響を経験的に検証した研究は、ほとんどない。京都大学の奥野 琢也氏らは、COVID-19パンデミックによる診療規制の変更が、急性期病院の認知症高齢者の身体拘束に及ぼす影響について評価を行った。PLOS ONE誌2021年11月22日号の報告。 2019年1月6日~2020年7月4日に急性期病院で認知症ケアを受けた65歳以上の高齢者のデータを抽出し、レトロスペクティブ研究を実施した。COVID-19陽性患者を受け入れた病院に入院したかに応じて、患者を2群に分類した。身体拘束における変化を検証するため、記述統計を算出して2週間間隔で傾向を比較し、分割時系列分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・日本政府発表後、COVID-19陽性患者を受け入れた病院では、入院患者1,000人当たりの身体拘束実施率が増加していた。最大実施率は、発表後73~74週時の入院患者1,000人当たり501.4人であった。・COVID-19陽性患者を受け入れた病院では、認知症高齢者に対する身体拘束実施率の有意な増加が認められた(p=0.004)。・パーソナルケアを必要とする認知症高齢者は、COVID-19パンデミック時における身体拘束実施率の有意な増加が認められた。 著者らは「認知症患者に対する身体拘束実施率の増加の根底にある原因やメカニズムを理解することは、今後同じような状況に直面した際の効果的なケアプログラムの設計に役立つであろう」としている。

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朝の光が認知症高齢者の睡眠障害改善に及ぼす影響

 睡眠障害や概日リズムを改善するためには、光療法が効果的であるといわれている。台湾・国立陽明交通大学のChuen-Ru Liu氏らは、睡眠障害や概日リズムの改善には、一般的な照明よりも朝の明るい周囲光への曝露がより効果的であるとの仮説を立て、認知症高齢者のための新たな照射介入モデルの検討を試みた。Sleep Medicine誌オンライン版2021年10月21日号の報告。 本検討では、単盲検縦断グループ実験デザインを用いた。認知症患者は、コミュニティおよびナーシングホームより募集した。実験グループには、2,500ルクスの周囲光を、対照グループには114~307ルクスを用いた。睡眠障害および概日リズムの測定には、加速度計(XA-5)を用いた。効果反応までの時間を測定するため、縦断実験計画法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・ベンゾジアゼピンの使用と日中の総活動量の共変量を分析するため、一般化推定方程式を用いた。・実験グループでは、5週目と9週目において以下の有意な改善が認められた。 ●睡眠効率の平均増加(5週目:41.9%[p<0.001]、9週目:31.7%[p=0.002]) ●睡眠時間の増加(5週目:141分[p=0.001]、9週目:135分[p=0.008]) ●覚醒時間の減少(5週目:116分[p=0.001]、9週目:108分[p=0.002]) ●入眠開始の改善/睡眠終了の遅延(入眠開始の改善:60~84分、睡眠終了の遅延:57~79分)・4週間の明るい周囲光による介入が、最も効果的であった。 著者らは「朝の明るい周囲光は、睡眠障害の改善に有用であり、概日リズムを安定させることにより、より良い結果をもたらすと考えられる」としている。

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60歳以上の片頭痛患者に対する抗CGRP抗体フレマネズマブの有効性、安全性

 片頭痛は、高齢者において頻繁に認められる疾患ではないが、高齢片頭痛患者に対する予防的治療は、さまざまな併存疾患に対する多剤併用による治療が行われていることを考えると、より困難である場合が少なくない。また、高齢片頭痛患者に対する予防的治療の有効性、安全性、忍容性に関するエビデンスは、限られている。米国・トーマスジェファーソン大学のStephanie J. Nahas氏らは、反復性片頭痛(EM)または慢性片頭痛(CM)を有する60歳以上の臨床試験参加者を対象に、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に選択的に作用するヒト化モノクローナル抗体フレマネズマブの有効性、安全性、忍容性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年11月24日号の報告。 本研究では、3つのランダム化二重盲検プラセボ対照第III相試験(HALO EM試験、HALO CM試験、FOCUS試験)のデータを分析した。対象は、3つの試験への参加者で2~4種類の片頭痛予防薬クラスで十分な治療反応が得られなかった患者246例。3つの試験いずれにおいても、CMまたはEM患者をフレマネズマブ3ヵ月に1回投与群(1ヵ月目:フレマネズマブ675mg、2ヵ月目:プラセボ、3ヵ月目:プラセボ)、フレマネズマブ月1回投与群(1ヵ月目[CM]:フレマネズマブ675mg、1ヵ月目[EM]:225mg、2ヵ月目以降:225mg)、プラセボ月1回投与群に1対1対1の割合で割り付け、12週間の治療を行った。 主な結果は以下のとおり。・フレマネズマブ治療を行った患者は、12週間にわたるベースラインからの1ヵ月当たりの片頭痛日数の減少が有意に大きかった。【最小二乗平均のベースラインからの変化】 ●フレマネズマブ四半期ごと投与:-4.3±0.59(対プラセボp<0.01) ●フレマネズマブ月1回投与:-4.6±0.54(対プラセボp<0.01) ●プラセボ月1回投与:-2.3±0.57・フレマネズマブ治療を行った患者では、毎週の片頭痛日数のベースラインからの有意な減少が、最短1週目で認められた(各々:対プラセボp<0.01)。・フレマネズマブ治療は、プラセボと比較し、1ヵ月当たりの片頭痛日数50%以上の減少割合が有意に高く、疾患およびQOLアウトカムの有意な改善が認められた(各々:対プラセボp<0.05)。・重篤な有害事象や治療中止につながる有害事象の発現率は低く、フレマネズマブ治療とプラセボで類似していた。・有効性および安全性の結果は、プールされた母集団(2,843例)と同等であった。 著者らは「本サブグループ解析において、60歳以上のEMまたはCM患者に対するフレマネズマブ治療は有効であり、12週間にわたり十分許容されることが示唆された。これらの結果は、片頭痛を有する高齢者の臨床的意思決定と予防的治療を選択するうえで、医療従事者にとって役立つであろう」としている。

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日本におけるコミュニティレベルの学力と認知症リスク

 コミュニティレベルの学力と認知症リスクとの関連は、あまり知られていない。浜松医科大学の高杉 友氏らは、認知症発症リスクに対し、コミュニティレベルでの低学歴の割合が影響を及ぼすかについて、検討を行った。また、都市部と非都市部における潜在的な関連性の違いについても、併せて検討した。BMC Geriatrics誌2021年11月23日号の報告。 日本老年学的評価研究(JAGES)より、2010~12年にベースラインデータを収集し、6年間のプロスペクティブコホートを実施した研究のデータを分析した。対象は、7県16市町村のコニュニティ346ヵ所の身体的および認知機能的な問題を有していない65歳以上の高齢者5万1,186人(男性:2万3,785人、女性:2万7,401人)。認知症発症率は、日本の介護保険制度から入手したデータを用いて評価した。教育年数を9年以下と10年以上に分類し、個々の学力レベルをコミュニティレベルの独立変数として集計した。共変量は、まず年齢および性別を用い(モデル1)、次いで収入、居住年数、疾患、アルコール、喫煙、社会的孤立、人口密集度を追加した(モデル2)。欠落データに対する対処として、複数の代入を行った。コミュニティおよび個人における2つのレベルでの生存分析を実施し、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中の認知症の累積発症率は、10.6%であった。・教育年数が9年以下であった平均割合、40.8%(範囲:5.1~87.3%)であった。・コミュニティレベルでの低学力は、認知症発症率の上昇と有意な関連が認められた(HR:1.04、95%CI:1.01~1.07)。・個人の教育年数と共変量で調整した後、低学歴による認知症リスクの上昇は10ポイントと推定された。・非都市部では有意な関連性が認められたが(HR:1.07、95%CI:1.02~1.13)、都市部では認められなかった(HR:1.03、95%CI:0.99~1.06)。 著者らは「コミュニティレベルでの学歴の低さは、そうでない地域と比較し、高齢者の認知症発症リスクが高く、非都市部では有意な関連が認められた。そのため、認知症予防の観点から、とくに都市部以外の地域において青年期の教育を確保することは、極めて重要な課題であると考えられる」としている。

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日本ではアルツハイマー病新薬は承認されず【コロナ時代の認知症診療】第11回

審議での厚労省見解をどうみるか米国に続き日本での承認が期待されたaducanumabだが、それは叶わなかった。2021年12月22日、厚労省によるaducanumab(商品名:アデュヘルム点滴静注、バイオジェン・ジャパン)の審議の結果、本剤の有効性は明確に判断できない、今後の臨床試験の結果がでれば再度審議するという結果になった。その理由として、1)2つの第III相試験の結果に一貫性がない、2)脳内アミロイドプラーク低下の臨床的意義が確立していない、3)本剤投与により脳の浮腫や出血を生じる、の3点が挙げられた。まず1)はその通りであり反論がない。つまり最近の抗認知症薬の承認には、世界のグローバルレベルで再現性をもって有意性が確認されることが必要である。かつての各国レベルの承認から、今日ではグローバル基準が当然になってきた印象がある。とくに本剤のような薬なら世界中どこでもの再現性は不可欠だろう。2)については、それはそうだが…と、正直頭を抱える気持ちになる。なぜならアルツハイマー病の原因はいまだに不明だ。もっとも主たるバイオマーカー候補がアミロイドとタウである。しかし原因不明である以上、これらは仮説にすぎない。だが現実には、この仮説に沿って、とりあえずはここを攻めようと今日までaducanumabのようなアミロイドを除去する薬の開発に世界中でしのぎが削られてきた。にもかかわらず2)のように言われてしまっては、こうしたアミロイド仮説に沿う薬は、今後も一切日の目を見ないのではないか? と思えてくる。3)については、脳血管周囲に生じる出血や浮腫(ARIA-EやH)があるからという理由は少々納得できかねる。これらは本来の作用の一部、つまり副作用でなく想定できる副反応的なものである。すなわちコロナ予防ワクチンでいえば発熱や痛みのようなものだろう。これが認められない理由であるなら、アミロイドβ仮説に沿うものは皆ダメになりかねない。というのは、aducanumabはアミロイドを溶かし出すのが目標の薬だから、脳実質だけでなく脳内血管の壁にあるアミロイドを溶かす結果、ARIAが起こるのは当たり前である。言うまでもなく、副反応も副作用もないほうがいい。これをさておいても3)は「副作用(副反応)があるからだめ」と読まれかねない。費用や投与のやめどきは? 実臨床での課題さてこの厚労省見解以外に、仮に今のまま使うとなったら、実際いくつかの難しさが考えられる。入手するには、承認された米国から個人輸入するしかないだろう。これは日本のみならず米国以外の国は皆同じである。そこで個人輸入を代行してくれる国際的な組織立ち上げの話もあった。しかし我が国の当局はこれを認めないようだ。この壁は、個人の意志でなすのが個人輸入であるのに、それを代行する組織が介在するのは本来の狙いに反するからだと聞いている。次に値段の問題がある。当初米国での年間費用が640万円とされ驚かれた。最近ではこれが300万円台と報道されている。体格が米国人に劣る日本人だと200万円以下になるのではと、筆者は関係者の話から試算している。さらに数少ない専門医のもとで点滴を月に1度、約30分かけてやるというのも当事者、家族にはなかなかハードルが高い。専門医以外に、近所のかかりつけ医でもできるようになればこれは改善できるだろう。もうひとつは投与のやめどきである。すでにコリンエステラーゼ阻害薬については議論されヨーロッパなどでかなり確立しているようだ。継続審議はどうなる!?最後に継続審議してもらうには、aducanumabの新たな治験データが必要である。正攻法は新たなグローバル治験の体制を立てて、また1年半以上フォローすることだろう。しかし筆者の山勘ながら今から始めても3年後に終わるかどうか? 一方で本剤の第IV相試験は2020年秋に始まり、すでに1年あまり経過している。このデータもまた審議資料になるだろうか? 一方で患者・家族の要望の声も大切であろう。というのは過去にアリセプトに後続したコリンエステラーゼ阻害薬の承認を思い出すからである。承認のために最初に検討された治験成績はいまいちだったようだ。しかしこの時は家族会などの嘆願運動もあって紆余曲折の末に承認されたという記憶がある。すでに米国では第2の疾患修飾薬も審議中だと聞く。今後は開発に拍車がかかって行くと思われる。その中から疑いなく承認される有望な新薬の登場が心待ちにされる。

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第91回 年末年始急展開の3事件、「アデュカヌマブ」「三重大汚職」「町立半田病院サイバー攻撃」のその後を読み解く

第6波到来、デルタ株とは異なる対策必要にこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。国内の新型コロナウイルスの新規感染者は1月8日、9日と連続で8,000人を超え、感染第6波が本格的に到来しました。9日からは沖縄県、山口県、広島県で「まん延防止等重点措置」が適用されています。これまでに、オミクロン株はデルタ型より感染力が強い一方で、肺まで達して重症化するリスクは低いことなどがわかってきました。しかし、感染力が格段に強いため、感染拡大のスピードも早く、国内外で医療機関のみならずさまざまな社会インフラへの影響が出始めています。本連載でも繰り返し書いてきたように、「空気感染」をしているとしか考えられない事例も増えているようです。感染拡大が先行して進んだ沖縄の状況について、1月7日付の朝日新聞は「デルタ株とは別の病気」というタイトルで沖縄県の専門家会議の議論を紹介、座長である藤田 次郎・琉球大学教授が以下のコメントをしています。「国の基準はデルタ株を前提として作られているが、臨床医の感覚では別の病気。インフルエンザなら薬を飲めば熱が下がって数日で職場復帰できるが、コロナは休む期間が長い。このため、社会インフラに与える影響が大きい」。日本では、第5波を教訓に、病床確保など第6波に備えた対策を取ってきたはずですが、それはあくまでもデルタ株の感染を踏まえての対策だったと言えます。その病態を大きく変化させたオミクロン株には、さまざまな対策や規制の抜本的な見直しが必要だと言えそうです。岸田 文雄首相は1月11日、水際対策の2月末までの現状骨格維持や、ワクチンの大規模接種会場の再開設などを表明しましたが、いずれも従来の路線の延長であり、新機軸はありません。第5波の時のように、対策が後手後手にならなければいいのですが……。アデュカヌマブ承認、日本では結論持ち越しさて今回は、このコラムで昨年取り上げたいくつかの話題が、年末年始で急展開を迎えていましたので、まとめておさらいしておきたいと思います。まずはアルツハイマー型認知症の治療薬「アデュカヌマブ」です。2021年12月22日、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会には、アデュカヌマブ(商品名:アデュヘルム、バイオジェン ・ジャパン)の承認について、「現時点で得られたデータから、本剤の有効性を明確に判断することは困難であり、今後実施される適切なデザインの臨床試験の成績等に基づき有効性及び安全性について再検討し、その結果に応じて再度審議する必要がある」と、結論を持ち越しました。主な議論の内容として、「申請の根拠とされた2つの 国際共同第III相試験の結果に一貫性がない」「脳内アミロイドβプラーク低下の臨床的意義が確立していない」「本剤の投与によって、脳の浮腫や出血などがみられる」などが挙げられています。アデュカヌマブについては、米国のFDA(食品医薬品局)が承認した2021年6月、本連載の「第62回 アデュカヌマブFDA承認、効こうが効くまいが医師はますます認知症を真剣に診なくなる(前編)」「第63回 後編」でも詳しく書きました。日本の結論持ち越し決定が出る直前の12月17日、欧州のEMA(欧州医薬品庁)は承認しないよう勧告を行っており、厚労省の判断が注目されていました。結局日本は米国と欧州の中間的な結論を選択、米国で行われている第IV相試験の結果や今後実施予定とされる新たな臨床試験の結果次第、ということになったわけです。ちなみに、「臨床的意義が確立していない」と言われた脳内アミロイドβプラークを低下させる薬剤としては、同じくバイオジェン社がlecanemab、イーライリリー社がdonanemabの開発を進めており、いずれも2022 年にFDA から迅速承認を得られる可能性がある、とされています。今年も認知症薬の承認を巡って、医療界だけでなく、世間や株価が大騒ぎしそうです。三重大病院汚職事件、残るは元教授の公判のみ次は、三重大付属病院の臨床麻酔部の医師らが、小野薬品工業、日本光電工業の社員と起こした汚職事件です。津地裁は12月28日、医療機器の納入で業者に便宜を図った見返りに、上司の元教授が代表を務める団体に200万円の賄賂を提供させたとして、第三者供賄罪に問われた三重大病院元講師(47)に懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年2月)の判決を言い渡しました。この事件については、2020年9月に「第25回 三重大病院の不正請求、お騒がせ医局は再び崩壊か?」で取り上げて以降、幾度も書いてきました。この事件で逮捕・起訴された三重大病院臨床麻酔部の元医師3人、小野薬品工業の社員2人、日本光電工業の社員3人の計8人のうち、これまでに7人の公判が津地裁で開かれ、いずれも執行猶予付の有罪判決が出ています。残るは一連の事件の首謀者とされる元教授の公判ですが、年明けにも開かれる予定です。なお、元教授は保釈を請求し、昨年11月に保釈を認める決定が出ています。この事件については、小野薬品工業が昨年8月に外部調査委員会の報告書を公開、事件について「MRにとってグレーゾーンの中で起きた事件であると言っても過言ではない」と指摘、奨学寄付金と取引誘引との関係については業界全体で検討すべき課題だ、と提言しています。一体何が問題だったのか、元教授の判決を待って本連載でも改めて考えてみたいと思います。町立半田病院、電子カルテのサーバーが復旧最後は徳島県つるぎ町の町立半田病院で2021年10月末に起こったランサムウエアによる病院システムへのサイバー攻撃の事件です。同病院ではこの攻撃で患者約8万5,000人分の電子カルテが閲覧できなくなっていましたが、年末にサーバーが全面復旧、2022年1月4日から約2ヵ月ぶりに全13診療科で通常診療が再開しました。この連載では、「第86回 世界で猛威を振るうランサムウエア、徳島の町立病院を襲う」で同事件を取り上げ、「同病院は11月26日に会見を開き、身代金は支払わず電子カルテのシステムを一からつくり直す、と表明しました」と書きました。結局、復旧を依頼した外部のセキュリティー会社から戻ってきたサーバーでカルテを閲覧できることが確認できたため、システムを一から再構築する必要はなくなった、とのことです。徳島新聞などの報道では、病院は復旧の具体的な方法などについては、「今後のセキュリティー対策に関わるので公表しない」とのことです。また、当面は安全対策として、メンテナンスなどに必要な外部との接続は行わず、専門家らでつくる有識者会議に諮った上で接続を試みるとしています。さらに、バックアップの方法やVPN(仮想プラベートネットワーク)の構築方法なども有識者会議に検討してもらうそうです。12月29日付の読売新聞は、この事件に関連し「『身代金』ウイルス、国内11病院が被害…救急搬送や手術に支障も」と題する記事を掲載しています。それによれば、同紙の取材によって2016年以降、国内の少なくとも11病院がランサムウエアによる被害を受けていたことがわかったそうです。救急搬送の受け入れや手術の停止、外来診療の制限などの被害が出ており、医療機関が攻撃対象になるケースは増加傾向にある、とのことです。なお、同じく読売新聞の報道によれば、厚労省は2021年度中にも医療機関向けの新たな情報セキュリティー指針を策定する予定で、電子カルテなどのバックアップデータについては病院のネットワークから切り離して保管することなどを盛り込む方針とのことです。今年は診療所・病院の区別なく、あらゆる医療機関がサイバー攻撃の対策に本腰を入れる必要がありそうです。

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正常な老化と初期認知症における脳ネットワークの特徴

 正常な老化と認知症による認知機能の変化に関してその根底にあるメカニズムを解明するためには、脳ネットワークの空間的関係とそのレジリエンスのメカニズムを理解する必要がある。藤田医科大学の渡辺 宏久氏らは、正常な老化と初期認知症における脳ネットワークの特徴について報告を行った。Frontiers in Aging Neuroscience誌2021年11月22日号の報告。 主な内容は以下のとおり。・異種感覚統合(multisensory integration)やデフォルト・モード・ネットワークなどの脳のハブ領域は、ネットワーク内およびネットワーク間の伝達において重要であり、老化の過程においても良好に維持され、これは代謝プロセスにおいても重要な役割を担っている。・一方、これらの脳のハブ領域は、アルツハイマー病などの神経変性認知症の病変に影響を及ぼす部位である。・聴覚、視覚、感覚運動のネットワークなどに問題が生じた一次情報処理ネットワークは、異種感覚統合ネットワークの過活動や認知症を引き起こす病理学的タンパク質の蓄積につながる可能性がある。・細胞レベルでは、脳のハブ領域には多数のシナプスが含まれており、大量のエネルギーが必要となる。・これらの領域では、ATP関連の遺伝子発現が多くみられ、PETで示されているように高いグルコース代謝が認められる。・重要なのは、ATP産生の中心にあるミトコンドリアの数とその機能が、10年ごとに約8%減少するということである。・認知症患者は、多くの場合大量のATPを必要とするユビキチン・プロテアソームおよびオートファジー・リソソームシステムの機能障害を有している。・エネルギーの供給が低いにもかかわらず需要が高い場合には、疾患リスクが上昇する可能性がある。・エネルギーの供給と需要のバランスが悪いと、病的なタンパク質の蓄積を誘発し、認知症発症に重大な影響を及ぼす可能性がある。・脳のハブ領域における認知症リスクの脆弱性は、このエネルギーバランスの不均衡により説明可能であると考えられる。

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英語で「痛みに強い」は?【1分★医療英語】第10回

第10回 英語で「痛みに強い」は?I see you are in pain.(痛みがありそうですね)Yes, it’s really bad. I have a high pain threshold.(はい、とてもひどい痛みです。痛みに強いほうなのですが)《例文1》He has a really high pain threshold.(彼は非常に痛みに強いです)《例文2》She said her pain was 20 out of 10. She may have a low pain threshold.(痛みは10点満点中20点だそうです。彼女は痛みに弱いのかもしれません)《解説》“threshold”は「閾値」を意味する単語で、“pain threshold”は「痛みの閾値」という意味になります。“high pain threshold”は「痛みの閾値が高い」、つまり「痛みに強い」という意味です。似た表現に“tolerance”というものもあり、同じく「閾値」を意味します。厳密には“threshold”は「痛みを感じ始める境界」を指し、“tolerance”は「何とか我慢できる痛みの境界」を指しますが、いずれも同じような文脈で使われます。「痛みの閾値」は人それぞれですが、米国では患者の人種的・文化的な背景がさまざまで、日本よりもさらに個人差が大きい印象です。日本では麻酔なしで行われる手技が全身麻酔で行われたり、オピオイドの処方のハードルが低かったりと、臨床現場では痛みに対するアプローチの違いが見受けられます。講師紹介

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抗ムスカリンOAB治療薬と認知症発症リスク

 過活動膀胱(OAB)治療薬の使用による認知症発症リスクへの影響については、明らかになっていない。カナダ・トロント大学のRano Matta氏らは、抗ムスカリンOAB治療薬の使用と認知症発症リスクとの関連について、β-3アゴニストであるミラベグロンと比較し、検討を行った。European Urology Focus誌オンライン版2021年11月3日号の報告。 カナダ・オンタリオ州でOAB治療薬を使用した患者を対象に、人口ベースのケースコントロール研究を実施した。対象は、過去6~12ヵ月間で抗ムスカリンOAB治療薬またはミラベグロンを使用し、2010~17年に認知症およびアルツハイマー病と診断された66歳以上の患者1万1,392例と年齢および性別がマッチした非認知症患者2万9,881例。人口統計学および健康関連の特性に応じて調整し、認知症のオッズ比(OR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・過去6ヵ月間でソリフェナシンおよびdarifenacinを使用した患者は、ミラベグロンを使用した患者と比較し、認知症発症リスクが高かった。 ●ソリフェナシンのOR:1.24(95%信頼区間[CI]:1.08~1.43) ●darifenacinのOR:1.30(95%CI:1.08~1.56)・診断前6ヵ月~1年間でソリフェナシン、darifenacin、トルテロジン、フェソテロジンを使用した患者は、ミラベグロンを投与した患者と比較し、認知症発症率の上昇との関連が認められた。 ●ソリフェナシンのOR:1.34(95%CI:1.11~1.60) ●darifenacinのOR:1.49(95%CI:1.19~1.86) ●トルテロジンのOR:1.21(95%CI:1.02~1.45) ●フェソテロジンのOR:1.39(95%CI:1.14~1.71)・オキシブチニンまたはtrospiumでは、影響が認められなかった。この原因として、プロトパシーバイアスが考えられる。・本研究の限界として、アウトカムの誤分類や健康関連データベース使用による交絡因子の影響が挙げられる。 著者らは「診断6ヵ月前にソリフェナシンおよびdarifenacinを使用した高齢者、診断前年にソリフェナシン、darifenacin、トルテロジン、フェソテロジンを使用した高齢者では、ミラベグロンを投与した患者と比較し、認知症発症リスクが高かった。OAB患者の治療に際して、慎重な薬剤選択が求められる」としている。

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認知症の急速な進行に関する原因調査

 急速進行性認知症(RPD)は、1~2年以内に急速な認知機能低下が認められ認知症を発症する臨床症候群である。RPDの評価に関する進歩は著しく、その有病率は時間とともに変化する可能性がある。ギリシャ・Attikon University HospitalのPetros Stamatelos氏らは、RPD診断の近年の進歩を考慮し、以前の結果と比較したRPD原因となる疾患の頻度を推定した。Alzheimer Disease and Associated Disorders誌2021年10~12月号の報告。 5年間でRPDの疑いによりAttikon University Hospitalに紹介された患者47例を対象に、医療記録をレトロスペクティブに検討した。 主な結果は以下のとおり。・最も頻度の高い原因は、神経変性疾患(38%)であり、次いでプリオン病(19%)、自己免疫性脳炎(17%)であった。・自己免疫性脳炎の頻度は、以前の結果よりも増加していたが、他の2次的原因については有意な減少が認められた。・認知症発症までの平均期間は、神経変性疾患で9ヵ月、非神経変性疾患で5ヵ月であった。・すべての患者における主な臨床所見は、記憶障害(66%)、行動と感情の障害(48%)であった。 著者らは「神経変性疾患は、RPDの最も一般的な原因であり、非神経変性疾患よりも進行スピードは遅いようである。新たな診断方法の誕生により、自己免疫性脳炎の診断が可能となった。RPDの原因疾患の発見率が増加することにより、これまで一般的であった2次的原因は、1次的原因として診断されるようになっていると考えられる」としている。

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片頭痛に対する抗CGRP抗体の有効性と忍容性

 反復性および慢性片頭痛の予防には、いくつかの薬剤が利用可能である。どの治療を、どのタイミングで選択するかを決定することは簡単ではなく、一般的な有効性、忍容性、重篤な有害事象の可能性、併存疾患、コストなどさまざまな因子に基づいて検討される。ベルギー・ブリュッセル自由大学のFenne Vandervorst氏らは、新たに片頭痛予防の選択肢の1つとして加わったカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)またはその受容体に対するモノクローナル抗体の有効性、忍容性について検討を行った。The Journal of Headache and Pain誌2021年10月25日号の報告。 新規片頭痛予防薬である抗CGRPモノクローナル抗体に関するランダム化プラセボ対照試験のエビデンスを収集した。これら薬剤の反復性および慢性片頭痛の予防に対する有効性、有効性に対するロバスト性について、評価した。 主な結果は以下のとおり。・抗CGRPモノクローナル抗体は、これまで使用されていた予防薬と同等以上の効果が認められた。・抗CGRPモノクローナル抗体の有効性に対するロバスト性は、各薬剤において多くの患者を含むいくつかのランダム化比較試験により実証されている。・抗CGRPモノクローナル抗体は、優れた忍容性および長期的な安全性データが示され、副作用プロファイルに対しこれまでの治療薬よりも良好な結果が得られており、片頭痛予防に新たな付加価値をもたらすものと考えられる。 著者らは「ヘルスケアの政策立案者は、片頭痛予防に抗CGRPモノクローナル抗体を推奨するうえで、これらのデータのほか、より長期的の安全性やコストに関する追加データを用いてバランスをとっていくことが重要である」としている。

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今後25年間の日本における認知症有病率の予測

 敦賀市立看護大学の中堀 伸枝氏らは、富山県認知症高齢者実態調査の認知症有病率データと人口予測データを用いて、日本における認知症有病率の将来予測を行った。BMC Geriatrics誌2021年10月26日号の報告。 まず、1985、90、96、2001、14年の富山県認知症高齢者実態調査のデータを用いて、性別・年齢別の認知症推定将来有病率を算出した。次に、2020~45年の47都道府県それぞれの65歳以上の推定将来人口に性別年齢を掛け合わせ、合計することで認知症患者数を算出した。認知症の推定将来有病率は、算出された認知症患者数を47都道府県それぞれの65歳以上の推定将来人口で除することで算出した。また、2020~45年の47都道府県それぞれの認知症推定将来有病率は、日本地図上に表示し、4段階で色分けした。 主な結果は以下のとおり。・2020年の認知症推定将来有病率は、いずれの都道府県においても20%未満であったが、2025年には地方を中心とした5県で20%以上になると予測された。【2025年に認知症推定将来有病率が20%以上になると予測される5県】長野県:20.5%、島根県:20.5%、高知県:20.3%、富山県:20.0%、山口県:20.0%・2030年には日本全国で20%以上になり、2035年までに42都道府県が25%以上になると予想された。【2035年に認知症推定将来有病率が25%未満である予測される5都県】 沖縄県:23.1%、東京都:23.4%、愛知県:24.7%、埼玉県:24.8%、神奈川県:24.8%・2045年には、東京都(24.7%)を除くすべての道府県で認知症推定将来有病率が25%以上になり、その内12県は30%以上になると予測された。【2045年に認知症推定将来有病率が30%以上になると予測される12県】 秋田県:31.7%、宮崎県:30.9%、鹿児島県:30.8%、山形県:30.7%、長崎県:30.6%、福島県:30.5%、熊本県:30.3%、島根県:30.3%、大分県:30.2%、青森県:30.1%鳥取県:30.1%、高知県:30.0% 著者らは「今後25年間で、日本における65歳以上の認知症有病率は、大都市圏を含むほぼすべての都道府県において25%以上になることが予測された」としている。

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「頭痛の診療ガイドライン」8年ぶり改訂、ポイントは

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とした新規薬剤の片頭痛予防薬としての相次ぐ承認、2018年の「国際頭痛分類 第3版(ICHD-3)」の発表等、頭痛診療における重要な変化を反映する形で、8年ぶりの改訂となった「頭痛の診療ガイドライン 2021」1)が10月に刊行された。ガイドライン作成委員会委員長を務めた荒木 信夫氏(よみうりランド慶友病院院長)に、頭痛の診療ガイドライン改訂のポイントについてインタビューを行った(zoomによるリモート取材)。 「頭痛の診療ガイドライン 2021」は前回の「慢性頭痛の診療ガイドライン 2013」をもとに改訂が行われているが、二次性頭痛の項目を加え、その記載を大幅に拡充したことから、タイトルは従来の「慢性頭痛」から「頭痛」に変更されている。頭痛の診療ガイドライン2021で慢性片頭痛が頭痛のサブタイプに ICHD-2では慢性片頭痛は片頭痛合併症の1つとして分類されていたが、ICHD-3では片頭痛のサブタイプの1つとして分類され、その概念・診断法が明確に定義された(CQII-1-12)。荒木氏は、「CGRP関連薬剤の慢性片頭痛への有効性が明らかになり、この診断はとても重要」と話す。また、薬物の使用過多による頭痛(MOH)との鑑別において、今版では慢性片頭痛と両方の診断基準を満たす場合は両方の診断名を与えることが可能とされた。MOHについては、頭痛の診療ガイドライン旧版では薬物乱用頭痛とされていたが 「頭痛の診療ガイドライン 2021」では訳語が変更され、そのサブタイプや診断時の基準となる服薬日数などが一部変更されている(CQVI-1)。頭痛の診療ガイドライン2021における片頭痛急性期治療 今回の「頭痛の診療ガイドライン 2021」において、片頭痛の急性期治療におけるトリプタンとNSAIDsを文献から比較・分析した結果、トリプタンで有意に投与2時間後の頭痛消失率が高く、24時間以内の再発率が低いことが示された。一方で有害事象はトリプタンで多かったが、重篤なものはなく、多職種および患者代表も参加したGRADE方式による検討の結果、トリプタンを使用できない症例を適切に除外することで利益が不利益を上回るとされた。なお、推奨文の付帯事項として、片麻痺性片頭痛、脳幹性前兆を伴う片頭痛でのトリプタンの使用は非推奨となっている(CQII-2-3)。 また、トリプタンにはノンレスポンダーや血管収縮作用のために使用できない症例も存在する。そこで現在、血管収縮作用をもたない選択的5-HT1F受容体作動薬(ditan)やCGRP受容体拮抗薬(gepant)の開発が進められている。今回、米国FDAですでに認可された、ditanのlasmiditan、gepantのubrogepant、rimegepantが片頭痛急性期治療薬としてトリプタンと同じGroup 1(有効)に位置付けられた(CQII-2-1)。頭痛の診療ガイドライン2021で片頭痛予防薬にCGRP関連薬剤 2021年、本邦では抗CGRP抗体ガルカネズマブ、フレマネズマブ、および抗CGRP受容体抗体エレヌマブが片頭痛予防薬として相次いで承認された。「頭痛の診療ガイドライン 2021」でも予防薬としてGroup 1(有効)に位置付けられ(CQII-3-2)、強い推奨/エビデンスの確実性Aとされている(CQII-3-14)。「月に一度の投与で、1週間ほどで改善がみられる患者さんが多い。片頭痛治療においては、トリプタン登場以来のインパクトといえるのではないか」と荒木氏。3剤の効果はほぼ同等といえるが、初回本数の違いによるコストの違い、12週間隔を選択できることによる間隔の違いなどがある。荒木氏は、「医師がそれらの違いをしっかり説明して、合うものを選んでもらえるようにしていくことが望ましい」とした。 なお、日本頭痛学会では、ホームページ上で今回の「頭痛の診療ガイドライン 2021」とは別に「CGRP関連新規片頭痛治療薬ガイドライン(暫定版)」2)を公開しており、3剤それぞれの使用に関する手順や留意事項をまとめている。投与が可能な医師要件としては、日本神経学会、日本頭痛学会、日本脳神経外科学会の専門医、日本内科学会の総合内科専門医のうちいずれかを有していることなどが挙げられている。 2つのガイドラインについて荒木氏は、適正使用に関しては「CGRP関連新規片頭痛治療薬ガイドライン(暫定版)」、学問的な根拠については「頭痛の診療ガイドライン2021」としてそれぞれ活用してほしいと話した。 その他、CGRP受容体拮抗薬(gepant)、海外で良好な成績が報告されているA型ボツリヌス毒素、適応外使用が認められた抗うつ薬のアミトリプチリンが予防薬のGroup 1(有効)として今回新たに追加されている(CQII-3-2)。また、ニューロモデュレーションについても新たにCQが設けられ、弱い推奨/エビデンスの確実性Aとされた(CQII-3-18)。荒木氏は「日本では治験も行われていない状況だが、海外ではエビデンスが蓄積してきており、電気刺激療法についても、将来の治療法の選択肢の1つといえるだろう」と期待感を示した。頭痛の診療ガイドライン2021で片頭痛予防療法の対象を改訂 CGRP関連薬剤を含む予防療法の対象について、今回の 「頭痛の診療ガイドライン 2021」では推奨事項が変更されている。頭痛の診療ガイドライン旧版では、「片頭痛発作が月に2回以上、あるいは生活に支障をきたす頭痛が月に6日以上ある患者」とされていたが、今回「片頭痛発作が月に2回以上、生活に支障をきたす頭痛が月に3日以上ある患者」に改訂された(CQII-3-1)。海外のガイドラインなどを検証した結果、ほとんどの国で3日を超える場合として定義されており、委員会での検討のうえ変更され、より多くの患者が対象となる。頭痛の診療ガイドライン2021は小児・思春期の頭痛を大幅拡充 三叉神経・自律神経性頭痛に関しては、群発頭痛に対して在宅酸素療法(HOT)が保険適用で使えるようになったことが大きいと荒木氏。新たにCQが設けられ、強い推奨/エビデンスの確実性Aとされた(CQIV-7)。 小児・思春期の頭痛については、「頭痛の診療ガイドライン 2021」では記述が大幅に拡充され、「CQVII-7 不登校・不規則登校を伴う頭痛はどのような頭痛か、どう対処すればよいか」が加えられるなど、診療現場で重要な頭痛についてまとめられている。 今回の「頭痛の診療ガイドライン 2021」では、二次性頭痛が新項目として加えられた。頭痛の診療ガイドライン旧版ではくも膜下出血など一部しか掲載がなかったが、今版ではICHD-3の二次性頭痛をほぼ網羅、より細分化して整理している。「例えばRCVS(可逆性脳血管攣縮症候群)はICHD-2にはなかった新しい概念」と荒木氏。ICHD-3では一次性頭痛でも二次性頭痛でもない3番目の分類に位置付けられているニューロパチーやその他の顔面痛についても、本ガイドラインでは二次性頭痛の項目の1つとして取り上げ、診断・治療法を整理している。

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日本人の認知症リスクに対する身体活動の影響

 認知症リスクに対する身体活動の影響に関しては、逆因果律の可能性も考えられるため、その因果関係は疑問視されている。京都大学の佐藤 豪竜氏らは、認知症リスクの軽減に対する身体活動の潜在的な因果関係を調査するため、雪国の居住を操作変数(IV)として用いて評価を行った。International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity誌2021年10月29日号の報告。 2013年、65歳以上の高齢者を対象に、独立した身体的および認知機能に関するデータを登録した縦断的コホート研究である日本老年学的評価研究のコホートデータを用いて調査した。平均フォローアップ期間は、5.7年であった。本研究の対象には、日本の19の市町村に在住する7万3,260人が含まれた。身体活動に関するデータは、自己報告形式の質問票で収集し、認知症の発症率は、介護保険データベースより確認を行った。IVは、2段階回帰手順を用いて、piecewise Cox比例ハザードモデルより推定した。 主な結果は以下のとおり。・調査期間中に認知症を発症した高齢者は、8,714人であった(11.9%)。・IV分析では、1週間当たりの身体活動の頻度と認知症リスクとの間に負の関係が認められた。なお、この関連性は、時間経過とともに減少した。 ●1年目のハザード比(HR):0.53(95%信頼区間[CI]:0.39~0.74) ●4年目のHR:0.69(95%CI:0.53~0.90) ●6年目のHR:0.85(95%CI:0.66~1.10) 著者らは「認知症リスクに対する身体活動の影響は、少なくとも4年間は継続することが示唆された。そのため、高齢者の認知症リスクを軽減させるためにも、身体活動を推奨すべきであろう」としている。

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コロナ禍でさらに遅れる認知症の初診【コロナ時代の認知症診療】第10回

より早期の診断がもたらすものAducanumabが条件付きながら米国において承認されたことで、アルツハイマー病初期に診断される方々の人数が増えることが期待される。そもそもこうした疾患修飾薬は、アルツハイマー病によるMCIやその初期が適応範囲である。早期診断は、こうした新規薬の効果はもとより、当事者やその家族が将来設計をしたり今後の人生を考えたりする時間をもたらす。ところが以前から、認知症の方が医療機関を初めて受診するタイミングが遅すぎると指摘されてきた。私自身が認知症に関わるようになって40年近い。当時と最近を比べると、さすがにこの頃は軽度の段階で受診する人が増えた。当時は、重度に至りBPSDがどうにもならなくなって受診する例が多かった。介護保険の主治医意見書でいえば、IVやMといった重度のレベルである。大ざっぱな印象だと、40年前の初診者のMMSE平均が10点以下、今なら20点ぐらいというところだろうか。初期診断が遅れる原因、医師側/患者側とは言え、認知症においては、初期診断が行われなかったり誤った診断がなされたりすることが多いと報告され続けてきた。なぜこのような事が起こるかを検討した系統的なレビューもある。そこでは、医師、患者そして患者の家族に分けて、要因を分析している。医師の要因として特筆すべきは、認知症に関する教育やトレーニングの不足である。また神経心理学的検査など、どういう手順で検査してよいのかわかっていないとされる。さらにコミュニケーションの問題、とくに診断を得たとしても、それをどのように本人や家族に伝えてよいのかわからない事もある。これらについては、日本老年精神医学会と日本認知症学会の専門医を合わせても、今のところ実数4,000人以下だろうから、多くの非専門家にとってこのような事情は理解できる。次に本人や家族の要因としては、まず年齢や教育歴、居住地域といった基本属性がある。これらは認知症の知識に関わるのだろう。また大切なことは、異常に気づいたとしても、この程度のことは正常な老化に見られる現象だと認識することである。むしろそう思いたいのかもしれない。さらに否認も多いが、これは否定というより、自分はそうではないと考えること、またこうしたことを考えるのを拒むことである。さらに告知への恐怖感や拒否感、恐怖心もしばしばみられる。日常診療において、このような事を感じたり、患者・家族の言動から見て取ったりした経験をお持ちの方は、少なくないだろう。臨床現場では、こうした思いを集約するかのような、またよく耳にする当事者の質問がある。それは結果を説明した後に、「じゃ、先生、私が年齢相応ですか?」というものである。注目すべきは、説明した内容や、当事者の検査結果とは関係なく、こうした質問が寄せられる点である。こうなると私の場合、告知する気持ちが萎えてしまって言葉が濁る。もう一つ、医療機関へのアクセスという問題がある。そもそも認知症を専門とする医師は少ない。こうした医師を探し出し、そこの受診につなげることも難しい。コロナ禍はこのハードルをさらに上げているかもしれない。いかにして受診タイミングを早めるか2021年11月以降、コロナの感染者数が一息ついた状況にある。けれどもオミクロン株などにより、第6波が来る可能性が指摘されている。これまで様々な組織から、コロナ禍による自粛生活で認知症患者の心身機能が低下していることが報告されてきた。また自粛により、将来的には認知症パニックにも繋がるのではないかという警鐘もある。筆者自身は、2020年の2月頃から、初診患者数の変動に注目してきた。これまで5つのコロナ患者発生の波がある。この波の高まりに反比例して初診患者は減り、波の静まりとともに逆に増えるという基本的なリズムを繰り返してきた。つまりコロナ禍は、認知症の初期診察のタイミングに大きな影響をもたらしている。このような状況を考えた時、いかにして認知症の受診タイミングを早めるかの工夫が求められる。筆者はチェックリストを考えている。これは医療機関でMMSEや改訂長谷川式などの検査が行われる前に、当事者や家族がチェックするものである。記憶や注意などの認知機能テストをするのでなく、第三者が客観的に見てとれる当事者の言動(例:薬の自己管理ができない、何を言っても答えはハイかイイエ)をチェックする性質である。早期診断に役立つチェック項目には、このように客観的にわかることに加えて、よくある症状であること、また早期から出る症状であることが求められる。ここで注意すべきは、当事者は自分の症状を軽く評価し、周囲の人は重くみなすところである。だから週刊誌などによくある10質問のうち3つ以上該当なら軽度認知障害、5つ以上だと認知症といった単純な評価法では物足りない。誰が回答するか、また回答者の年齢・性別等を考慮したアルゴリズムを作り、その上で総合点が出るアプリ仕立てのようなものでないと有用性は期待できないだろう。こうしたものが活用できるようになり広まると、上記の認知症早期診断が遅れる要因を多少とも軽減し、早期の受診を促進してくれるかもしれない。

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見逃してはならない“しびれ”とその部位は?【Dr.山中の攻める!問診3step】第9回

第9回 見逃してはならない“しびれ”とその部位は?―Key Point―しびれは重大な疾患の一つの症状のことがあるしびれの分布や部位から原因疾患を絞り込むことができる頻度が高い疾患は、症状の特徴を覚えておくと診断が容易である症例:68歳 女性主訴)右胸痛、呼吸苦現病歴)7日前、突然左指と左口唇がしびれたが数分で改善した。脳MRI検査を受けたが異常なし。昨夕から徐々に右胸痛と右背部痛が出現。体動時と深呼吸時に痛みは増悪。動くと息切れあり。本日、外出時に痛みの増悪を認め来院した。既往歴)COPD薬剤歴)なし社会歴)たばこ:20歳から45歳まで30本/日アルコール:飲まない経過)左指と左口唇のしびれからは視床の病変が連想される(手口感覚症候群)。視床では口唇と手指の感覚領域が近接して存在する息をすると胸が痛むという症状は胸膜に病変が及んでいることを示唆する胸部レントゲン写真で異常陰影を認めたので、胸部CT検査を行い原発性肺がん(S4) と右第7肋骨骨転移の診断となった肺がんのため過凝固となり手口感覚症候群を起こしたと考えられた◆今回おさえておくべき臨床背景はコチラ!高齢者はしびれをよく訴える多発神経障害は臨床で遭遇する頻度が高い多発性単神経障害なら原因疾患を絞り込みやすい【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2-1】見逃してはならないしびれかを考察する1)手口感覚症候群(視床の出血/梗塞)指先がしびれている時には、口もしびれていないか必ず確かめるWallenberg症候群(延髄外側症候群)病側の顔面温痛覚低下(V)+構音障害/嚥下障害(IX、X) + ホルネル症候群 + 小脳失調、反対側の体幹/上下肢の温痛覚低下(外側脊髄視床路)Guillain-Barre症候群数日から数週間で急速に進行する。カンピロバクター感染症による下痢が先行することがある。症状は下肢から始まる左右対称性弛緩麻痺、呼吸筋麻痺、自律神経障害(血圧変動、頻脈、徐脈)。感覚障害はなくてもよい。閉鎖孔ヘルニア患側大腿内側から下腿の痛み/しびれ(Howship-Romberg兆候)、やせ型の高齢女性に多いNumb chin syndrome顎がしびれる。悪性リンパ腫/乳がん/前立腺がんが三叉神経(V3下顎神経)に浸潤【STEP2-2】しびれの分布から考える多発神経障害(polyneuropathy)2)神経線維の長い足底から上方にしびれが進行。左右対称性<主な原因>DANG THERAPIST(ひどい療法士)*以下の各頭文字を表しているDM(糖尿病)Alcohol(飲酒)Nutritional(ビタミンB12、銅欠乏)Guillain-Barre(ギランバレー症候群)Toxic(中毒:重金属、薬剤)Hereditary(Charcot-Marie-Tooth)Renal(尿毒症)Amyloidosis(アミロイドーシス)Porphyria(ポルフィリン症)Infection(感染症:HIV、ライム病)Systemic(全身性:血管炎、サルコイドーシス、シェーグレン症候群)Tumor(腫瘍随伴症候群)多発性単神経障害(mononeuritis multiplex)いろいろな部位の単神経障害が左右非対称に進行糖尿病、血管炎、膠原病(SLE、関節リウマチ)、HIV【STEP3】部位から原因を鑑別する■母指~環指橈側のしびれ(正中神経支配)手根管症候群(最も頻度の高い末梢性絞扼神経障害)夜間に増悪、手を振ると軽快、リスクファクターは手を使う職業、甲状腺機能低下症、糖尿病、関節リウマチ、アミロイドーシス、末端肥大症、妊娠。猿手■環指尺側と小指のしびれ(尺骨神経支配)肘部管症候群変形性関節症、ガングリオン、スポーツ、小児期の骨折による外反肘が原因。鷲手変形■手背母指と示指のしびれ(橈骨神経支配)橈骨神経麻痺飲酒後に肘掛け椅子で寝て上腕内側を圧迫。下垂手■上肢のしびれ…頸椎症による神経障害3)神経根症頸部~肩甲骨部の痛み、デルマトームに沿った根性疼痛(しびれだけなら脊髄症)脊髄症手のしびれで発症し、手指が器用に動かせなくなる。10秒テスト: 手掌を下にしてできるだけ速く、グーとパーを繰り返す。10秒間で正常者では25~30回できる。胸郭出口症候群上肢のしびれ、肩/上肢/肩甲骨周囲の痛み、腕神経叢の障害■大腿外側のしびれ大腿外側皮神経痛体重増加、妊娠、きついベルトが原因。股関節の伸展/深い屈曲で症状増悪■腰痛+殿部や膝より末梢の下肢に放散痛3)椎間板ヘルニアSLR(straight leg raising)test陽性(感度80%、特異度40%)。95%はL5とS1の根が関与。膝蓋腱反射低下(L4)足関節/母趾背屈力低下(L5)アキレス腱反射低下/つま先立ちができない(S1)■下腿外側~足背のしびれ総腓骨神経麻痺右下肢外側腓骨頭での圧迫。外傷やギプス固定が原因。下垂足のため鶏様歩行■足底~つま先のしびれ足根管症候群内果後方の足根管で脛骨神経を圧迫閉塞性動脈硬化症下肢のしびれや痛み、冷感、間欠性跛行(休息で改善)ABI(ankle-brachial index)1.3<治療>原疾患の治療を行う。 <参考文献>1)塩尻俊明.非専門医が診る しびれ. 羊土社. 2018.2)Mansoor AM. Frameworks for Internal Medicine. 2019. p525-539.3)仲田和正. 手・足・腰診療スキルアップ. シービーアール. 2004.

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