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第28回 原因は1つとは限らない【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)検査で異常値をみつけたからといって今回の原因とは限らない。2)検査で異常が認められないからといって異常なしとは限らない。3)症状を説明し得るか、結論付ける前に再考を!【症例】81歳男性。意識障害自宅で反応が乏しいところを仕事から帰宅した息子が発見し救急要請。●受診時のバイタルサイン意識20/JCS血圧148/81mmHg脈拍92回/分(整)呼吸18回/分SpO295%(RA)体温36.1℃瞳孔4/3.5 +/+既往歴認知症、高血圧、脂質異常症、便秘、不眠内服薬ドネペジル塩酸塩、トリクロルメチアジド、アトルバスタチンカルシウム水和物、酸化マグネシウム、ゾルピデム酒石酸塩所見顔面の麻痺ははっきりしないが、左上肢の運動障害あり検査の異常が今回の原因とは限らない採血、心電図、X線、CTなどの検査を行い異常がみつかることは、よくあります。特に高齢者の場合にはその頻度は高く、むしろまったく検査に異常が認められないことの方が多いでしょう。しかし、異常を認めるからといって今回の主訴の要因かというとそんなことはありません。腎機能障害、肝機能障害、貧血、電解質異常、中には急を要する場合もありますが、症状とは関係なく検査の異常が認められることはよくあるものです。そのため、検査結果は常に病歴や身体所見、バイタルサインを考慮した結果の解釈が重要です。以前から数値や所見が変わっていなければ、基本的には今回の症状とは関係ないことが多いですよね。慢性腎臓病患者のCr、Hb、心筋梗塞の既往のある患者の心電図など、けっして正常値でありません。急性の変化か否かが、1つのポイントとなりますので、以前の検査結果と比較することを徹底しましょう。検査で異常が認められないから原因ではないとは限らないコロナ禍となり早2年が経過しました。抗原検査、PCRなど何回施行したか覚えていないほど、皆さんも検査の機会があったと思います。抗原陰性だからコロナではない、PCR陰性だからコロナではない、そんなことないことは皆さんもよく理解していると思います。頭痛患者で頭部CTが陰性だからクモ膜下出血ではない、肺炎疑い患者でX線所見陰性だから肺炎ではない、CRPが陰性だから重篤な病気は否定的、CO中毒疑い患者の一酸化炭素ヘモグロビン(CO-Hb)が正常値だからCO中毒ではないなど、例を挙げたらきりがありません。皆さんも自身で施行した検査結果で異常の1つや2つ、経験ありますよね?!原因が1つとは限らない今回の症例の原因、皆さんは何だと思いますか? もちろんこれだけでは原因の特定は難しいかもしれませんが、高齢男性の急性経過の意識障害で麻痺もあるとなると脳梗塞や脳出血などの脳卒中が考えやすいと思います。低血糖や大動脈解離、痙攣なども“stroke mimics”の代表であるため考えますが、例えばMRI検査を実施し、画像所見が光っていたらどうでしょうか? MRIで高信号な部分があるのであれば、「原因は脳梗塞で決まり」。それでよいのでしょうか?脳梗塞の病巣から症状が完全に説明できる場合にはOKですが、「この病巣で意識障害来すかな…」「こんな症状でるのかなぁ…」こんなことってありますよね。このような場合には必ず「こんなこともあるのだろう」と思考停止するのではなく、他に症状を説明し得る原因があるのではないかと再考する必要があります。この患者さんの場合には、脳梗塞に加え低栄養状態に伴うビタミン欠乏、ゾルピデム酒石酸塩による薬剤性などの影響も考えられました。ビタミンB1欠乏に伴うウェルニッケ脳症は他疾患に合併することはけっして珍しくありません1)。また、高齢者の場合には「くすりもりすく」と考え、常に薬剤の影響を考える必要があります。きちんと薬は飲んでいるのに…患者さんが訴える症状が、内服している薬剤によるものであると疑うのは、どんなときでしょうか?新規の薬剤が導入され、その後からの症状であれば疑うことは簡単です。また、用法、用量を誤って内服してしまった場合なども、その情報が得られれば薬剤性を疑うのは容易ですよね。意外と見落とされがちなのが、腎機能や肝機能の悪化に伴う薬効の増強や電解質異常などです。フレイルの高齢者は大抵の場合、食事摂取量が減少しています。数日の単位では大きな変化はなくても、数ヵ月の単位でみると体重も減少し、食事だけでなく水分の摂取も減少していることがほとんどです。そのような場合に、「ご飯は食べてますか?」と聞くだけでは不十分で、具体的に「何をどれだけ食べているのか」「数ヵ月、半年前と比較してどの程度食事摂取量や体重が変化したか」を確認するとよいでしょう。「ご飯は食べてます」という本人や家族の返答をそのまま鵜呑みにするのではなく、具体的に確認することをお勧めします。骨粗鬆症に対するビタミンD製剤による高Ca血症、利尿薬内服に伴う脚気心、眠剤など、ありとあらゆる薬の血中濃度が増加することに伴う、さまざまな症状が引き起こされかねません。薬の変更、追加がなくても「くすりもりすく」を常に意識しておきましょう。最後に高齢者は複数の基礎疾患を併せ持ち、多数の薬剤を内服しています。そのような患者が急性疾患に罹患すると検査の異常は複数存在するでしょう。時には検査が優先される場面もあるとは思いますが、常にその変化がいつからのものなのか、症状を説明しうるものなのか、いちいち考え検査結果を解釈するようにしましょう。1)Leon G. Clinicians Who Miss Wernicke Encephalopathy Are Frequently Called Defendants. Toxicology Rounds. Emergency Medicine News. 2019;41:p.14.

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マージャンは認知力の低下に有効【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第209回

マージャンは認知力の低下に有効photo-ACより使用麻雀(マージャン)は認知症の予防になるということで、健康麻雀と称して高齢者施設でプレイしている映像を何度か見たことがあります。しかし、「本当に医学的な根拠があるのだろうか?」という疑問をずっと持っていました。そうこうしているうちに新型コロナが流行し、接触感染の重要経路となりうる麻雀から、多くの人が離れてしまいました。さびしい限りです。Ding M, et al.Mahjong Playing and Leisure Physical Activity Alleviate Cognitive Symptoms in Older Community Residents.J Aging Phys Act. 2022 Feb 1;30(1):89-97.麻雀に限らず、頭を使う趣味というのは、認知機能の低下をある程度予防することができます。たとえば、数独やパズルなどがそうで、入院中の患者さんが、よくパズル雑誌を解いている光景を目にします。この研究は、麻雀をすることで、軽度認知障害(MCI)が予防できるかどうかを検討した論文です。MCIは、健康と病的な認知症の間にある症状のことで、「認知症の前段階」として理解されています。日本におけるMCIの有病率は、10%を超えていると考えられます。MCIを持つ高齢者187人と、持たない高齢者489人を登録しました。解析の結果、麻雀を続けている年数は、複数の共変数を補正したMCIの有病率低下と関連していることが明らかになりました(オッズ比:0.595、95%信頼区間[CI]:0.376~0.961、p=0.032)。とくに、身体的活動と麻雀は、MCIの有病率低下に複合的な効果をもたらすことがわかりました。そのため、ほどよい運動・ほどよい麻雀は、かなり認知力低下に有効だと考えられます。よぉし、明日から麻雀だ!……とはいえ、麻雀のやりすぎは痙攣のリスクになるかもしれないので1)、ほどほどに。1)An D, et al. Clinical characteristics and prognosis of mah-jong-induced epilepsy: A cohort review of 56 patients. Epilepsy Behav. 2015 Dec;53:117-9.

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アルツハイマー病およびMCI患者におけるCOVID-19の臨床アウトカム

 アルツハイマー病や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、高血圧などの共通のリスク因子を有しているといわれる。高血圧の治療においては、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が頻繁に使用される。米国・ベントリー大学のYing Wang氏らは、アルツハイマー病または軽度認知障害(MCI)の患者おけるCOVID-19に対する、ACEI/ARB使用の影響について調査した。その結果、ARB使用はアルツハイマー病およびMCIの患者におけるCOVID-19発症リスクの低下に有意な影響を及ぼしていることが報告された。Alzheimer's & Dementia誌オンライン版2022年4月4日号の報告。 対象は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の検査を行った退役軍人。アルツハイマー病またはMCIを有する場合と認知障害を有さない場合におけるCOVID-19アウトカムを比較するため、古典的スコアと傾向スコアの加重ロジスティック回帰分析を実施し、ACEI/ARB使用の影響を評価した。 主な結果は以下のとおり。・アルツハイマー病と感染率および死亡率の増加との間に、統計学的に有意な関連が認められた。・MCIは、感染のリスク因子であるとは認められなかった。・MCIを有する患者は、臨床アウトカムが不良であった。・ARBの使用により、アルツハイマー病およびMCIの患者におけるCOVID-19発症リスクの有意な低下が認められたが、ACEIでは認められなかった。 著者らは「アルツハイマー病またはMCIの患者においてCOVID-19の影響を減少させるためには、既存薬による効果を調査することが非常に重要である」としている。

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コロナ禍の運動不足や孤独対策、どうするか【コロナ時代の認知症診療】第14回

“couch potato”な生活スタイルが高齢者にも?わが国ではCOVID-19(コロナ)が流行り始めた2020年の春頃から、自粛が進んだ。当初から高齢者では運動不足や活動範囲の制限による心身機能低下のへの注意が喚起されてきた。そして世界中での遷延化とともに、高齢者における活動量や身体機能をコロナ前後で比較し、その低下を報告した研究が相次いでいる。そして最近では、こうした研究のレビュー報告もでてきている。それらのレビューは当然ながら、いずれも運動量、活動範囲、消費エネルギーの低下などを報告している。このような低下が、下肢筋力の減少や、運動能力あるいは心肺機能さらにはバランスにまで影響することは、言うまでもない。新しい観点として、座りがちな生活(sedentary lifestyle)が指摘されている。数十年前から有名になったcouch potatoという英語俗語があった。これはカウチ(寝椅子)にくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごす自分の殻にこもった生活スタイルを意味する。このような状態は本来、青年や中年層のライフスタイルと思われたが、最近ではこれが高齢者でもみられるようだ(というよりカウチ青・中年が老年に至ったのか?)。実際、私の外来に来られる高齢患者のご家族がそうした指摘をされる。意外にローテクな方法が効果的な場合も?高齢者の運動不足解消また、階段の昇降段数も減っている。階段の上りの重要性はともかく、下りも大切だ。降ろした足が下のステップに着く際に、踵に重力がかかることで骨粗鬆症防御の役割も果たすのだそうだ。運動量や身体機能が下がっているのは当然としても、知的機能低下や社会交流の減少も同時に進行している。それだけに、この時代において、いかにして運動量やその関連要因の低下がもたらす弊害に対処するかの策が問題になる。多くの医学関連雑誌や行政から、コロナ禍で身体活動量を増やすことだけでなく、メンタルヘルスや社会交流の促しも視野に入れて具体的な提言などもなされている。現実的には、高齢者のITリテラシーを考慮するならローテクであろうか? たとえば週1回の電話利用、あるいは家庭訪問である。運動の分野ではこうした活動によって運動の実践を促し、転倒の危険性を少なくするように推奨されている。またハイテクならWeb利用だが、ノルウェーから自治体主催の包括的ITサービスの実例なども報告されている1,2)。PCやタブレットを用いて双方向性にコミュニケーションができるシステムである。実はこうしたサービスをわが国でもコロナ以前から実践してきた自治体もある3)。この実装のポイントは、面倒な契約などなく、クラウドや通信をひっくるめたインフラ込みの提供にあると思う。具体的には民生委員が関わるような事柄、たとえば見守りとか緊急連絡などに代表される高齢者への包括的なサービスを行ってきたようだ。世界初「孤独担当大臣」を置く英国での孤独対策コロナ禍により、飛沫感染を避けるためディスタンスは当たり前になった。そしてマスク、フェイスシールドを介してのコミュニケーションとなり、会話しながらの食事はもってのほかとなった。筆者は、見知らぬもの同士がすぐに仲良くなれる秘訣は、飲食を共にすることだと思う。その逆で、「孤食の害」はわかっていてもそうならざるを得ないのが現状である。諸悪の根源は「孤独」にあるとも言える。つまり老年心理学の観点に立つなら、「孤独」とは自分が他者から必要とされているとは思えない状態だと筆者は考えるからである。ところで英国は2018年「孤独担当大臣」を世界で初めて設けた。孤独は、肥満や1日15本の喫煙以上に体に悪く、孤独な人は、そうでない人に比べ、天寿を全うできないリスクが1.5倍に上がるとされる。そして孤独で生じる経済的損失は、約4.8兆円(日本の年間予算100兆円強)に達するとされている。そこで全国各地には、孤独対策に取り組む無数の草の根活動的な慈善団体があって、読書、音楽、スポーツなどのグループを作っている。男性の孤独解消に効果が高いと注目されるものに、mens’shed(メンズ・シェッド:男たちの集い処)がある。ここでは主に定年退職した男性が定期的に集まって、大工仕事などを一緒に行う。たとえばテーブルやベンチを作って公園に置いたり、学校に手作りの遊具を寄付したりする。皆で一緒にものを作ることで一体感が生まれ、そこからコミュニティとの絆が生まれる。さらに感謝の言葉もかけられれば、他者から自分は必要とされていると思え、生き甲斐に通じるのだそうだ。それなら確かに孤独解消につながるだろうと思われる。孤独を和らげ、身体活動や社会交流を促すためのポイントとして、屋内は駄目でも、屋外ならいいのではと考えている。というのは、コロナ禍の今でも大勢の人が集まる場所としてはゴルフ場がある。最近は市場空前の大盛況だと聞く。広々としたグリーンなら、少々喋っても構わないということである。地域でのゲートボールやグランドゴルフはこれに準ずるだろう。古典的ながら根強いのが、ラジオ体操である。基本は朝の6時頃に一定の公園など戸外に集い短時間の運動をしてあいさつ程度の言葉を交わすだけだ。けれども往復のウォーキングも加えると、コロナの時代に最低限の運動量は確保される。太極拳や自彊術であっても同様。小規模ながら、注目すべきものに老人会が主催するような公園等の清掃や環境整備が、また小学生の集団登校の見守り等もある。いずれも戸外で、マスクはしても比較的遠慮なくしゃべれる。また社会的な交流ができる。さらには自分のした仕事に対して、感謝や労いの言葉が向けられるところが重要である。お金ではない、こうした報酬が運動量を促すかもしれない。参考1)Sogstad M, et al.Health Serv Insights. 2020 Jun 8;13:1178632920922221.2)Rostad HM,et al.J Med Internet Res. 2021 Aug 16;23:e22316.3)アイラ株式会社プレスリリース

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長生きをしたい人、とりわけ認知症がない状態で長生きをしたい人へ(解説:岡村毅氏)

 老若男女が知りたいことにはっきりと答えてくれる優等生的な論文である。遺伝子は変えようがないが生活習慣は変えられる。どう変えると、認知症がない状態で長生きができるかを調べ、驚きの結果を報告している。 変えうる生活習慣とは、(1)食べ物、(2)知的活動、(3)身体活動、(4)喫煙、(5)飲酒である。単純化して見てみよう。 食べ物は当然マインド食である。MIND(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)食とは、この論文のラストオーサーのラッシュ大学の博士らがシカゴで開発した有名な食事法であるからここでも使われている。野菜や果実や豆腐が推奨される。上位40%が○(丸)となる。 知的活動は読書、美術館、カードゲーム、ボードゲーム、クロスワード、パズル等のことである。こちらも上位40%が○となる。 身体活動はウォーキング、ガーデニング、体操、自転車、水泳である。週150分以上で○となる。1日30分弱でよいのである。 喫煙については、今吸っていなければ○だ。 飲酒は、1日当たり男性は30g以下、女性は15g以下が○だ。缶ビールなら2本あるいは1本である。 男性の場合、65歳の時に○が4個以上つくと、1個以下の人よりも5.7年長生きできる。さらにアルツハイマー型認知症を持っている期間は、○が4個以上だと1.4年、1個以下だと2.1年というわけだ。 女性の場合、65歳の時に○が4個以上つくと、1個以下の人よりも3.1年長生きできる。さらにアルツハイマー型認知症を持っている期間は、○が4個以上だと2.6年、1個以下だと4.1年である。 野菜を食べ、頭を適度に使い、運動を適度にし、酒は控え、タバコは吸わないと、なんと5年前後長生きできるのである。またアルツハイマー型認知症を持たずに1~2年くらい過ごせる。 どうであろうか? 驚いた人はいましたか? まず「そんなこと知ってるよ」「もうやってるよ」という反応が多そうだが、こういう当たり前のことを科学的に検証する論文は、良い論文である。私たちは思い込みや先入観に支配されているのだから、エビデンスをきちんと出すことは理性的になるための第一歩だ。 次にこの論文においても、長生きによって結局認知症になっていることにも注目しよう。人間は(身体疾患で死なずに)長生きすればいつか必ず認知症になる。それはわれわれがいつか死ぬことと同じくらい自明である。認知症になっても失敗だとか思わないこと。認知症の専門家として言わせてもらうと、なることを推奨しているわけでもないし、なったら絶望する必要もない。人生は続く、それだけだ。 マルチステージライフなどといわれて久しい。職業も20年ごとに変わる時代が来るのかもしれない。であれば、生活習慣も変えてもいいのかもしれない。別にいつ変えてもよいのだろうが、保守的にみると20歳ごろに社会人になるとすると、40歳ごろ、そして60~65歳ごろはひとつの区切りかもしれない。これを読んでいる40歳以上の皆さんの多くは、20歳ごろに確立した生活習慣をおそらく続けているのだと思うが、そろそろ変えてはいかがか(もちろん○を増やす方向で)。40歳未満の皆さんは、40歳ごろに変えることを今から計画してはどうだろうか? 人々がそんなふうに考えることができたら、この論文のもくろみは十分に果たされている。

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熱中症で発症するかも?特発性後天性無汗症AIGAとは【知って得する!?医療略語】第10回

第10回 熱中症で発症するかも?特発性後天性無汗症AIGAとは汗をかかない病気があるって本当ですか?そうなんです。『無汗症』という疾患があります。実臨床では「不明熱の原因」「熱中症の隠れたリスクの可能性」として指摘されています。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】AIGA【日本語】特発性後天性全身性無汗症【英字】acquired idiopathic generalized anhidrosis【分野】脳神経【診療科】皮膚科【関連】特発性分節性無汗症・特発性純粋発汗不全症(IPSF)・自己免疫性自律神経障害薬剤性無汗症・二次性無汗症・乏汗症・神経障害性無汗症実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。不明熱の鑑別疾患リストに無汗症が報告されています。原因不明の微熱で病院を転々とする方で、全身状態は良好、炎症マーカーはすべて陰性、感染徴候はなく膠原病や悪性疾患を疑う所見にも乏しいとき、無汗症は想起されるべき疾患の1つかもしれません。無汗症には先天性と後天性がありますが、『特発性後天性全身性無汗症(AIGA)』は近年、難病指定されています(指定難病163)。無汗症では、気温が高くても汗をかかないため、熱の放散が障害され、体温調節ができずに容易に熱中症の症状を来たすとされています。新型コロナのためマスクをすることが当たり前の今日、マスクで呼気による体温調整が阻害されています。そのため、マスク装着時の体温調整は、非装着時と比較して、より発汗による体温調整に依存している可能性があり、全身性の無汗症の方は、例年以上に体温調節が難しく容易に熱中症を来たす可能性があります。無汗症の中でも、AIGAはステロイドパルスが有効だったとする論文報告が散見され、適切に診断すれば、患者さんのQOLを改善できる可能性があります。無汗症を見逃さないことがより重要になってくるかもしれません。筆者自身の診療シーンを振り返ると、救急外来に熱中症疑いで繰り返し搬送される患者さんの中に、脱水がないのにまったく汗をかいておらず、皮膚が乾燥している方を時々見かけていました。ご本人に聞いても、発汗することなく、急に熱中症の症状を来たしたと訴えていました。そのような患者さんの中に無汗症の方が混在していたのかもしれません。気温が急速に上昇してくるこれからの季節に注意したい疾患です。1)坂野翔子ほか. 日内会誌. 2018;107:p564-570.2)難病医学研究財団/難病情報センター:特発性後天性全身性無汗症 診断・治療指針3)柳下武士. 日皮膚会誌. 2021;131:p35-41.4)中根俊成. 臨床神経. 2019;59:p783-790.

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第106回 新しい公立病院の経営ガイドライン、「リストラ色」薄まるも総務省の本音は再編・統合推進か

市立大津市民病院、京大医局派遣の医師27人全員が年度内に退職へこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。さて、「第99回 背景に府立医大と京大のジッツ争い?滋賀・大津市民病院で医師の大量退職が発覚」「第103回 大津市民病院の医師大量退職事件、「パワハラなし」、理事長引責辞任でひとまず幕引き」「第104回 パワハラ事件に大甘の医療界、旭川医大、大津市民の幕引きの背後に感じた“バーター”の存在」で伝えてきた市立大津市民病院(30診療科、401床)の大量退職事件に再び動きがありました。4月18日、済生会滋賀県病院(栗東市)の院長補佐だった日野 明彦氏(京都府立医大 脳神経外科学教室出身)が新院長に就任したのですが、その翌日、新たに脳神経内科4人、麻酔科2人、放射線科の非常勤医師1人の計7人が年度内に退職する意向を持っていることが明らかになったのです。これで同病院在籍の京大医局派遣の医師27人全員が年度内に退職見込みとなりました(6人はすでに退職)。病院の診療体制としてはボロボロと言えます。4月25日のびわこ放送等の報道によれば、同日、大津市の佐藤 健司市長は定例会見で病院の設置者として改めて謝罪し、「今後も医師確保を含めた法人運営の後押しを全力で進めていく」と説明したとのことです。また、佐藤市長は、4月15日に滋賀医科大学を訪れて市立大津市民病院の運営立て直しへの協力を求めたことも明らかにしています。大津市には市立大津市民病院のほかに、日本赤十字社・大津赤十字病院(37診療科、684床)という京都大学系の巨大公的病院があり、患者獲得競争を繰り広げてきました。仮に今回の事件をきっかけに、市立大津市民病院の人気が落ち、ジリ貧になっていくとしたら、2病院の再編・統合話が出てくる可能性もゼロではないと思います。総務省が「公立病院経営強化ガイドライン」公表ということで、今回は総務省が3月29日に公表した「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」(令和4年3月29日 総財準第72号 総務省自治財政局長通知)について書いてみたいと思います。公立病院、公的病院を巡っては、新型コロナ感染症流行拡大前に、厚生労働省から436病院の“リストラ”リストが公表され、全国の公立・公的病院関係者を青ざめさせました(「第23回 実は病院経営に詳しい菅氏。総理大臣になったらグイグイ推し進めるだろうこと(前編)」参照)。コロナの感染拡大もあって、このリストラ計画は中断したままでした。しかし、今回の新ガイドライン公表と合わせる形で、厚労省も第8次医療計画(2024年度から実施)の策定作業と並行して、公立・公的病院だけでなく民間病院も含めた機能の再検証を行うことを都道府県に求めています。再び各地で再編・統合の議論が活発化するのは必至でしょう。3回目のガイドライン、「改革」の文言がなくなり「経営強化」に公立病院を管轄する総務省が、その経営改革に関するガイドラインを公表するのは2007年12月、2015年3月に続いて3回目です。ガイドライン作成の背景には、全国の公立病院の多くは経営状況が非常に悪く、医療提供体制の維持が極めて厳しい状況にあったことがありました。これまでの2回は「公立病院改革ガイドライン」でしたが、今回は「改革」の文言がなくなり、「公立病院経営強化」とタイトルが微妙に変わっています。新型コロナ感染症対応で、地域の公立病院の必要性が再認識されたことも影響したと考えられます。旧ガイドラインで強調されていた「再編(リストラ)」色は薄まる旧ガイドライン(2015年版)は「地域医療構想を踏まえた役割の明確化」と「再編・ネットワーク化」に力点が置かれていました。それに対し、新ガイドラインは個々の病院の「経営力強化」「機能強化」に力点が置かれています。新ガイドラインは「公立病院経営強化の基本的な考え方」として、「公立病院が直面する様々な課題のほとんどは、医師・看護師等の不足・偏在や人口減少・少子高齢化に伴う医療需要の変化に起因するものである。これらの課題に対応し、持続可能な地域医療提供体制を確保するためには、医師確保等を進めつつ、限られた医師・看護師等の医療資源を地域全体で最大限効率的に活用するという視点を最も重視し、新興感染症の感染拡大時等の対応という視点も持って、公立病院の経営を強化していくことが重要」と述べています。そして、その経営強化のためには、「地域の中で各公立病院が担うべき役割・機能を改めて見直し、明確化・最適化した上で、病院間の連携を強化する『機能分化・連携強化』を進めていくことが必要である。特に、機能分化・連携強化を通じて、中核的医療を行う基幹病院に急性期機能を集約し医師・看護師等を確保するとともに、基幹病院から不採算地区病院をはじめとする基幹病院以外の病院への医師・看護師等の派遣等の連携を強化していくことが重要である。その際、公立病院間の連携のみならず、公的病院、民間病院との連携のほか、かかりつけ医機能を担っている診療所等との連携強化も重要である」と、公民の区別なく地域において「機能分化・連携強化」を進める必要性を説いています。内容的にも新型コロナウイルス感染症対策において地域の公立病院が果たした役割などを勘案し、旧ガイドラインで強調されていた「再編(リストラ)」色が薄まった印象です。「都道府県の役割・責任強化」もより強調こうした前提のもと、新ガイドラインは2022~23年度中に「経営強化プラン」を策定することを求めています。すでに「自主的に改革プランを策定している病院」などでも、新ガイドラインで要請されている部分と比べて「不足」があれば、その分を追加策定する必要があるとし、また、すでに「従前の改革プランに基づいて再編やネットワーク化、経営形態見直しに取り組んでいる病院」でも、現在の取り組み状況や成果を検証し、さらなる経営力強化のために新ガイドラインに沿った経営強化プランを策定するよう求めています。旧ガイドラインで初めて盛り込まれた、病院の再編・統合に当たっての「都道府県の役割・責任強化」についても、より強調される内容となりました。「都道府県が、市町村のプラン策定や公立病院の施設の新設・建替等にあたり、地域医療構想との整合性等について積極的に助言すること」や「医療資源が比較的充実した都道府県立病院等が、中小規模の公立病院等との連携・支援を強化していくことが重要」としています。ドラスティックな再編・ネットワーク化の事例も紹介総務省は4月20日、この新ガイドラインの説明会をオンラインで開催、その中で最新の「公立病院の経営状況」を明らかにしています。それによると、853病院全体での2020年度の経常収支は1,251億円の黒字でした。コロナ関連補助金により980億円の赤字だった前年度(857病院)から大きく改善したものの、本業に当たる医業収支ベースでは6,010億円と大幅な赤字でした。また、病床規模別の経常収支は「500床以上」(95病院)が584億円の黒字だったのに対し、「100床未満」(255病院)では1億円の黒字に留まったそうです。コロナ対応をしていた病院でも1億円程度の黒字でしかないということは、コロナ後は再び大きな赤字転落になることを意味します。新ガイドラインの最後には、資料として「平成27年度から令和2年度までの間に実施済み又は実施中の再編・ネットワーク化の事例」が多数掲載されています。公立、公的、民間併せたさまざまな再編(統合、病床削減、病院の診療所化等)のケースは、どれもドラスティックです。地方の病院で働く方は、この資料だけも目を通しておくといいと思います。こうした事例を最後に掲載していることからも、「再編(リストラ)」色が薄まった新ガイドラインですが、「地域の病院の再編・統合に向けて、都道府県は今まで以上に積極介入をして欲しい」というのが総務省の本音と言えるでしょう。参考1)公立病院経営強化ガイドライン/総務省

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健康的な生活習慣で平均余命延長、認知症期間も増えず/BMJ

 健康的な生活習慣は男女とも平均余命の延長と関連しており、65歳以降の人生でアルツハイマー型認知症のない期間の割合が高いことが、米国・ラッシュ大学医療センターのKlodian Dhana氏らによる住民を対象としたコホート研究の結果、示された。健康的な生活習慣がアルツハイマー型認知症のリスク低下ならびに平均余命の延長に関連していることはこれまでも知られていたが、平均余命が延びればそれだけ高齢者が増加し、加齢とともに認知症のリスクは高まるため、むしろ全体の認知症は増加する可能性がある。そのため、生活習慣の改善による平均余命の延長が、アルツハイマー型認知症を有する期間に与える影響について理解する必要があった。著者は、「今回の解析による平均余命の推定は、医療専門家、政策立案者、その他ステークホルダーが将来の医療サービス等を計画するのに役立つだろう」とまとめている。BMJ誌2022年4月13日号掲載の報告。食事、認知活動、身体活動、禁煙、飲酒について健康度を評価 研究グループは、一般住民を対象としたアルツハイマー型認知症のリスク因子を検討する前向きコホート研究「Chicago Health and Aging Project:CHAP」(1993~2012年)のデータを用いて解析した。CHAP研究では、6期にわたり65歳以上の男女計1万802例が登録され、質問票を用いた生活習慣等に関する調査と神経認知機能検査が実施された。 本解析は、詳細な臨床評価を行うため、1万802例から年齢、性別、人種、認知機能カテゴリーを層別因子として無作為抽出した男女2,449例(ベースラインにおいてアルツハイマー型認知症有病者は339例、非有病者は2,110例)を解析対象とした。 主要評価項目は、女性および男性におけるアルツハイマー型認知症を有する場合と有していない場合の平均余命で、次の5つの生活習慣に基づいた健康因子スコア別に解析した。(1)脳の健康のための食事(Mediterranean-DASH Diet Intervention for Neurodegenerative Delay[MIND]食事スコア)、(2)後期の認知活動(読書、博物館・美術館訪問、カードゲーム、クロスワード、パズルなど)、(3)中~強度の身体活動(150分/週以上)、(4)禁煙、(5)中程度以下の飲酒(女性1~15g/日、男性1~30g/日)。 各因子について、基準を満たした場合は1、満たさない場合は0として合計した(範囲0~5、スコアが高いほど健康的な生活習慣であることを示す)。健康因子スコアが高いほど、平均余命延長、アルツハイマー型認知症リスク低下 65歳女性の平均余命は、健康因子スコアが4~5で24.2年(95%信頼区間[CI]:22.8~25.5)、健康因子スコアが0~1で21.1年(19.5~22.4)であり、前者で3.1年延長した。65歳時での平均余命のうちアルツハイマー型認知症を有する期間の割合は、健康因子4~5の女性で10.8%(2.6年、95%CI:2.0~3.3)、健康因子0~1の女性で19.3%(4.1年、95%CI:3.2~5.1)であった。また、65歳時点でアルツハイマー型認知症を有しておらず、健康因子4~5の女性の平均余命は21.5年(20.0~22.7)、健康因子0~1の女性の平均余命は17.0年(15.5~18.3)であった。 65歳男性の平均余命は、健康因子4~5で23.1年(95%CI:21.4~25.6)、健康因子0~1で17.4年(15.8~20.1)であり、前者で5.7年延長した。65歳時での平均余命のうちアルツハイマー型認知症を有する期間の割合は、健康因子4~5の男性で6.1%(1.4年、95%CI:0.3~2.0)、健康要因0~1の男性で12.0%(2.1年、95%CI:0.2~3.0)であった。65歳時点でアルツハイマー型認知症を有しておらず、健康因子が4~5の男性の平均余命は21.7年(19.7~24.9)、健康因子が0~1の男性の平均余命は15.3年(13.4~19.1)であった。

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片頭痛予防に対する抗CGRP抗体中断3ヵ月後の治療再開効果

 抗CGRP(受容体)モノクローナル抗体(mAb)による片頭痛の予防的治療に成功し治療を中断すると、その後、片頭痛の頻度は増加することが報告されている。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のBianca Raffaelli氏らは、片頭痛治療を再開した場合の症状の経過を評価するため、検討を行った。The Journal of Headache and Pain誌2022年3月30日号の報告。 対象は、3ヵ月の休薬期間後に同じ抗CGRP mAbで治療を再開した片頭痛患者。頭痛に関するデータを、以下の4回の受診時に収集した。(1)最初のmAb治療を開始する前の4週間(ベースライン)、(2)最初のmAb治療を中断する前の4週間、(3)休薬期間の13~16週目、(4)治療再開後の9~12週目。アウトカムは、観察期間全体における1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)、1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)、1ヵ月当たりの急性頭痛薬の使用日数(AMD)、頭痛による日常生活への支障度尺度(HIT-6)スコア、それぞれの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は39例(エレヌマブ:16例、ガルカネズマブまたはフレマネズマブ:23例)。・MMDは、休薬期間終了時の12.3±6.3から治療再開3ヵ月後の7.8±5.5への減少が認められた(p=0.001)。・この治療再開後の改善は、最初の治療期間での反応と同様であった(ベースライン時のMMD:12.3±6.3、治療中断前のMMD:7.5±5.2)。・MHDとAMDは、治療再開後に有意な改善が認められた。・HIT-6スコアの低下が認められ、頭痛による日常生活への影響の減少が確認された。 著者らは「休薬期間後に抗CGRP mAbによる治療を再開すると、片頭痛の頻度や急性頭痛薬の使用が有意に減少し、QOLが向上することが明らかとなった」としている。

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世界血栓デーWEB講演会の開催について【ご案内】

 世界血栓症デーとは、国際血栓止血学会(ISTH)が「血栓症に関する正しい知識を広め、血栓症に起因する障害や死亡を減らす」ことを目的に制定したものである。一般社団法人日本血栓止血学会では日本における血栓症の啓発活動の一環として取り組んでおり、2022年度最初の世界血栓症デーWEB講演会として2022年5月17日(火)に『がん関連血栓症:がんと血栓の新たな関係』をテーマとしてWEB開催する。今回の講演内容は医療関係者を対象としているが、誰でも無料で視聴可能である。 開催概要は以下のとおり。【日時】2022年5月17日(火) 19:00~20:30【参加条件】登録方法:オンライン参加登録が可能(下記URLからお申込み可能)https://coubic.com/morishita/622935参加費:無料【テーマ】『がん関連血栓症:がんと血栓の新たな関係』-perspective of cancer-associated thrombosis-司会:向井 幹夫氏(大阪国際がんセンター成人病ドック科)1.「がん関連血栓症の成因と病態」森下 英理子氏(金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 金沢大学附属病院血液内科)2.「がん関連脳卒中-動脈塞栓症の新展開」野川 茂氏(東海大学医学部付属八王子病院脳神経内科)3.「がん治療関連血栓症とその対応」向井 幹夫氏(大阪国際がんセンター成人病ドック科)4.質問・討論【主催】一般社団法人 日本血栓止血学会【お問い合わせ】WTD講演会担当E-mail:kanazawa.u.hoken.morishita@gmail.com

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サブスぺ領域、新たに3領域が追加の見通し/日本専門医機構

 4月18日開催の日本専門医機構定例記者会見で、サブスペシャルティ領域の新規機構認定の進捗状況について寺本 民生理事長が報告し、「放射線カテーテル治療」「集中治療科」「脊椎脊髄外科」の3領域が新たに追加される見通しであることが示された。日本専門医機構認定のサブスペシャリティ領域として今夏を目途に3領域 各基本領域のサブスぺシャリティ連絡協議会から提案のあった13領域のうち、サブスペシャルティ領域検討委員会での議論の結果推薦がなされた6領域について、同機構理事会で議論された。理事会での議論を経て、主として専門医像がはっきりしていること、社会的使命等の総合的な判断から今回は3領域が認定された。3領域の基本領域については、「放射線カテーテル治療」が放射線科、「集中治療科」が救急科、「脊椎脊髄外科」が整形外科となる。今後はプログラム整備基準等について審議され、今夏を目途に正式な日本専門医機構認定のサブスペシャリティ領域を目指すという。 日本専門医機構認定のサブスペシャリティ領域としては、すでに認定されている下記の23領域一覧に今回の3領域を加えて、26領域となる見通し。今回、サブスペシャリティ認定とならなかったサブスペシャリティ領域について、寺本氏は再審議の可能性はあるとしたうえで、今後サブスペシャリティをどのように認定していくかには課題がいくつかあるとし、現在ワーキンググループを設置して議論をしており、現理事会の会期中には何らかの結論を出す予定とした。既認定のサブスペシャリティ領域一覧[内科領域]消化器病、肝臓、消化器内視鏡、循環器、呼吸器、血液、内分泌代謝、糖尿病、神経内科、腎臓、リウマチ、アレルギー、感染症、老年病、がん薬物療法[外科領域]消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、乳腺、内分泌外科[放射線科領域]放射線診断、放射線治療

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メイプル超合金・安藤なつ氏の介護本がパネェ【Dr.倉原の“俺の本棚”】第53回

【第53回】メイプル超合金・安藤なつ氏の介護本がパネェ私は、なんちゃってファイナンシャル・プランニング技能検定2級を持っているのですが(もう当時の知識はどこかに行ってしまったかも…)、医療に関するお金のことはとても大事だと思っています。高額療養費制度、指定難病患者さんの医療費助成制度、介護保険制度、障害年金、生活保護、いろいろあります。しかし、とくに高齢者医療と向き合う医療従事者に対して、お金のことをわかりやすく書いてくれる本に、私は出合ったことがありません。『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』安藤 なつ, 太田 差惠子/著. KADOKAWA. 2022年2月発売メイプル超合金・安藤 なつ氏の書かれたこの本、SNSで少し話題になっていたので読んでみました。安藤 なつ氏、実は介護歴が約20年という強者で、伯父が少人数制介護施設を運営していたので、毎週末ボランティアに通っていたそうです。いや、普通にすごいな。その後、芸人としての芸能活動を続けながら、ヘルパー2級の資格を取って介護職を兼業していたそうです。普段病院に勤務していて、往診とはあまり関わりのない医療従事者だと、訪問看護と訪問介護の違いすらわかっていない人も結構います。特別養護老人ホームと介護付き有料老人ホームもそう。デイサービス、デイケア、ショートステイなども同じ。フワっと、なんとなくしか理解されていないことが多い。この本の素晴らしいところは、患者さんや家族の経済的負担についてビッシリ書かれてあることです。医学書のように難しい言葉を並び立てるわけではなく、とにかく読者目線でわかりやすく書いてくれているのが素晴らしい。第5章がこの本の真骨頂。たとえば要介護1~5で、どれくらいの介護サービスの支出がかかるのか、介護費以外の負担はどのくらいか、などが細かく試算されていたり、厚生年金と遺族年金の組み合わせでどのように生活していくかなども解説されていたりします。これを読めば、外来の患者さんが普段どのようなことに悩んでいるかもわかるはず。何より、医師が概要を知っておくことで、患者さんに適切なサービスをすすめることができます。たった1,500円で200ページ近くあるので、私たちが普段買っている医学書とは違い、かなりコスパがよいです。間違いなく、マストバイです。『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』著者安藤 なつ, 太田 差惠子出版社名KADOKAWA定価1,650円(税込)サイズA5判刊行年2022年

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会員医師の昨年度の最多年収帯は?/1,000人アンケート

 ケアネットでは、3月10日(木)に会員医師1,000人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その結果、82%の医師が昨年度の年収額を1,000万円以上と回答し、その中で最も多い年収帯は2,000~2,500万円であった(全体の15%)。また、全体の58%の医師が1,000~2,000万円の年収帯に分布し、2,000~3,000万円は20%、3,000万円以上は4%であった。46~65歳では6割以上が1,600万円以上と回答 最多年収帯を年代別にみると、35歳以下が1,000~1,200万円(21%)、36~45歳が1,200~1,400万円(17%)、46~55歳が1,600~1,800万円および2,000~2,500万円(ともに19%)、56~65歳および66歳以上が2,000~2,500万円(22%、14%)だった。 年収1,000万円以上が占める割合は、35歳以下が64%、36~45歳が87%、46~55歳が91%、56~65歳が92%と年齢が上がるごとに増加したが、66歳以上では76%と減少した。また、46~65歳では6割以上が1,600万円以上と回答した。診療科別の傾向は? 診療科別に昨年度の年収が1,600万円以上と回答した医師の割合をみると、内科系と比較して外科系で多い傾向がみられた(以下は30人以上の回答が得られた診療科から抜粋):内科系循環器内科(54%)精神科(54%)内科(48%)消化器内科(45%)神経内科(38%)小児科(37%)呼吸器内科(36%)糖尿病・代謝・内分泌内科(30%)外科系消化器外科(67%)外科(60%)脳神経外科(50%)整形外科(47%)耳鼻咽喉科(40%) その他の診療科、男女別、病床数別、勤務先別の医師の年収分布についても、以下のページで結果を発表している。医師の年収に関するアンケート2022【第1回】昨年度の年収

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頭痛と認知症リスク~メタ解析

 頭痛とすべての原因による認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症との関連を明らかにするため、中国・人民解放軍北部戦区総医院のHuiling Qu氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2022年2月11日号の報告。 2021年10月8日までに公表されたコホート研究を、MeSH(medical subject headings)の用語およびキーワードを用いて、PubMed、Cochrane Library、Embase、Web of Scienceより検索した。統計分析には、ソフトウェアStata ver.14.0を用いた。p>0.1およびI2≦50%の場合には固定効果モデルを、I2>50%(不均一性が大きい)の場合にはランダム効果モデルを用いた。出版バイアスの評価には、ファンネルプロットおよびEgger検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析には、2001~20年に公表されたコホート研究12件、46万5,358例が含まれた。・プーリング分析では、頭痛歴はすべての原因による認知症のリスク増加と関連していることが示唆された(OR:1.35、95%CI:1.21~1.50、I2=81.6%、p<0.001)。・頭痛歴は、アルツハイマー型認知症(OR:1.49、95%CI:1.08~2.05、I2=70.0%、p=0.003)および血管性認知症(OR:1.72、95%CI:1.32~2.25、I2=0%、p<0.001)のリスク増加との関連も認められた。・サブグループ解析では、頭痛歴を有する女性は、男性よりも認知症リスクが高く(OR:1.32、95%CI:1.16~1.51、I2=88.3%、p<0.001)、レトロスペクティブコホート研究の認知症リスクは、プロスペクティブコホート研究の同リスクよりわずかに高かった(OR:1.38、95%CI:1.22~1.56、I2=83.4%、p<0.001)。 著者らは「頭痛歴は、すべての原因による認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症のリスク増加と関連が認められた。本所見は、頭痛が認知症の独立したリスク因子であることを示唆している」としている。

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SB623、外傷性脳損傷の第II相試験で良好な結果/サンバイオ

 サンバイオおよび子会社SanBio, Inc.は、2022年4月5日、外傷性脳損傷患者を対象に、ヒト(同種)骨髄由来加工間葉系幹細胞SB623と偽手術を比較した第II相試験(STEMTRA試験)の1年間の最終解析結果を発表。SB623は主要評価項目を達成した。 同臨床試験では61例の対象患者の46例にSB623が投与され15例が対照群として偽手術を受けた。主要評価項目である24週時点のFugl-Meyer Motor Scale(FMMS)は、SB623群で有意に改量し、運動機能の改善が認められた(SB623投与群8.3点、対照群2.3点、p=0.04)。この運動機能障害の改善は48週時点まで維持された。また、Action Research Arm Test(ARAT)、歩行速度、NeuroQOL上肢・下肢機能Tスコアなど、SB623細胞の移植と48週時点の患者の運動機能および日常生活動作の改善に関連性が認められた。これらの結果は、米国神経学会年次総会のプレナリーセッションで発表されている。 SB623の忍容性は、これまでの試験と同様に良好で、新たな安全性の懸念は認められなかった。有害事象による治療中止はなく、SB623による治療と偽手術の間で有害事象の発生率に統計的有意差は認められなかった。

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同志少女よ【Dr. 中島の 新・徒然草】(420)

四百二十の段 同志少女よ最近読んで面白かった本の1つがこれ。『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂 冬馬 著/早川書房)1942年の独ソ戦。ソ連の片田舎にあるイワノフスカヤ村を襲ったドイツ軍に母親を殺された少女、セラフィマは復讐を果たすべく中央女性狙撃兵訓練学校に入り、厳しく鍛えられました。そして女性狙撃手だけの第39独立小隊として戦火のウラヌス作戦、地獄のスターリングラード市街戦、そして第2次世界大戦の帰趨を決する1945年4月のケーニヒスベルク攻防戦でドイツ軍と戦います。戦場の描写がすごい。子供を囮にして敵をおびき寄せたり、わざと致命傷を与えずに狙撃しておいて救助に来る敵兵を撃ったり、もう無茶苦茶。いつしか主人公のセラフィマも、殺した敵の数を誇る狂気の世界に足を踏み入れてしまいます。そして物語は一気にクライマックスへ!YouTube などで絶賛されているこの作品。新人とは思えない精密な時代考証や、実在の人物を織り交ぜて戦場のリアルを描いているところが素晴らしい。早川清文学振興財団が主催するアガサ・クリスティー賞において、審査員全員が満点をつけた史上初の受賞、というのも当然かと思います。敵を撃ったんじゃなくて他の候補作を撃ったんじゃないか、と揶揄されるのも無理はありません。それだけでなく、著者のデビュー作である本作が、第166回直木賞候補の5作品に残ったのです。惜しくも受賞はなりませんでしたが、上には上がいたということなのでしょう。さて、本作の特異なことはもう1つあります。実は小説投稿サイトからのデビューなんですね、この作品は。登録者数220万人、発表小説数90万作品を誇る「小説家になろう」を代表とする小説投稿サイトは、ネット時代を反映して100以上も乱立しています。アマチュア作家が自分の作品を自由に投稿し、また読者が好き勝手に評価するという無法地帯!出版社の主催する新人賞への応募という王道以外にも、小説投稿サイトから発掘されて、作家デビューするという道もあるということになります。『同志少女』は、推定登録者数70万人の「カクヨム」で注目されて、メジャーデビューを果たしました。高校生のつくった草野球チームが甲子園の決勝まで進んでしまった、とたとえたほうがわかりやすいでしょうか。出版社の新人賞受賞作の場合は、審査員のお眼鏡にかなっての出版となるので、一定のクオリティは保証されていますが、実際に売れるか否かは別の話。一方、小説投稿サイト出身の作品の場合、出版前に読者の人気投票の洗礼を受けているわけですから、クオリティは別にして売れる作品には違いありません。時代はどんどん進んでいきます。小説自体の出来不出来のほかに、その作品のデビューの背景に思いをはせるのも面白いですね。最後に1句センバツで 『同志少女』が 準優勝

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片頭痛に対する抗CGRP抗体の有効性と安全性~メタ解析

 片頭痛治療に対するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とした抗CGRP抗体の有効性および安全性を評価するため、中国・The First Affiliated Hospital of Wannan Medical CollageのTingting Huang氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Brain and Behavior誌オンライン版2022年3月8日号の報告。 各データベース(PubMed、Embase、Cochrane Library、Chinese National Knowledge Infrastructure、WanFang Dataなど)より、片頭痛治療薬である抗CGRP抗体の2021年3月までのランダム化比較試験(RCT)を検索した。スクリーニング後、試験の方法論的質を評価した。メタ解析には、RevMan 5.3 softwareを用いた。 主な結果は以下のとおり。・26件のRCTより、2万1,736例が抽出された。・抗CGRP抗体群1万3,635例および対照群8,101例が含まれた。・メタ解析では、抗CGRP抗体は、対照群と比較し、以下のアウトカム指標で有意な効果と関連していることが示唆された。 ●1ヵ月当たりの平均頭痛日数がベースラインから50%以上低下した患者数(RR:1.50、95%CI:1.39~1.62、p<0.00001) ●抗CGRP抗体投与2時間後での無痛患者の割合(RR:1.98、95%CI:1.77~2.20、p<0.00001) ●投与後2~24時間における無痛持続患者の割合(RR:2.18、95%CI:1.93~2.46、p<0.00001)・抗CGRP抗体群における有害事象は、対照群と比較し、有意に多かった(RR:1.08、95%CI:1.04~1.12、p<0.0001)。 著者らは「抗CGRP抗体は、片頭痛治療において非常に有効であるが、有害事象には注意が必要である。本メタ解析には、研究の量や質に関する制限が含まれているため、より質の高い研究により、内容が検証されるべきであろう」としている。

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血管収縮作用を伴わない経口片頭痛発作治療薬「レイボー錠50mg/100mg」【下平博士のDIノート】第95回

血管収縮作用を伴わない経口片頭痛発作治療薬「レイボー錠50mg/100mg」今回は、セロトニン(5-HT)1F受容体作動薬「ラスミジタンコハク酸塩錠(商品名:レイボー錠50mg/100mg、製造販売元:日本イーライリリー)」を紹介します。本剤は、5-HT1F受容体に選択的に作動する世界初のジタン系薬剤であり、血管収縮作用を伴わないことから、従来の片頭痛発作治療薬が使えなかった患者への効果も期待できます。<効能・効果>本剤は、片頭痛の適応で、2022年1月20日に承認されました。<用法・用量>通常、成人にはラスミジタンとして1回100mgを片頭痛発作時に経口投与します。ただし、患者の状態に応じて1回50mgまたは200mgを投与することができます。頭痛の消失後に再発した場合は、24時間当たりの総投与量が200mgを超えない範囲で再投与可能です。なお、本剤は片頭痛発作時のみに使用し、予防的には使用できません。<安全性>片頭痛患者を対象とした日本人および外国人の臨床試験(併合)において、本剤の服用後48時間以内に発現した副作用は、評価対象4,625例中1,884例(40.7%)に認められました。主な副作用は、浮動性めまい863例(18.7%)、傾眠317例(6.9%)、錯感覚276例(6.0%)、疲労201例(4.4%)、悪心200例(4.3%)、無力症107例(2.3%)、感覚鈍麻96例(2.1%)、筋力低下93例(2.0%)、回転性めまい89例(1.9%)などでした。なお、重大な副作用としてセロトニン症候群(0.1%未満)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、セロトニン受容体に作用して片頭痛を改善します。片頭痛発作が起こり始めたら、我慢せず早めに服用しましょう。発作の予防には使用しないでください。2.服用後にいったん片頭痛が治まり、もし再び痛みが戻ってきた場合、再度このお薬を服用することができます。その場合は、24時間で合計200mgを超えないようにしてください。3.眠気、めまい等が現れることがあるので、本剤服用中は自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事しないようにしてください。4.この薬は苦味を感じることがあるため、噛んだり割ったり砕いたりせず、そのまま服用してください。5.飲酒によって鎮静作用などが強まる可能性があるので、ご注意ください。 <Shimo's eyes>本剤は、血液脳関門を通過し、5-HT1F受容体に選択的に結合する世界初のジタン系薬剤です。中枢での疼痛情報の伝達を抑制し、末梢では三叉神経からの神経原性炎症や疼痛伝達に関わるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)やグルタミン酸などの放出を抑制することで、片頭痛発作に対する作用を示すと考えられています。現在、片頭痛の急性期治療薬として、軽度~中等度の片頭痛発作に対してはアセトアミノフェン、NSAIDsなどが使用され、中等度以上の片頭痛発作に対してはトリプタン系薬剤などが使用されています。2000年以降、トリプタン系薬剤の登場により画期的に進歩しましたが、トリプタン系薬剤は有効性を示さない症例も認められます。また、トリプタン系薬剤の持つ血管収縮作用により、脳梗塞や心筋梗塞、血管狭窄などがある脳血管疾患の患者には禁忌となっています。これに対し、本剤は血管収縮作用を示さないことから、脳心血管疾患の既往または合併症を有するなどでトリプタン系薬剤が使えなかった片頭痛患者にも使用できます。効果発現は投与30分~1時間後と比較的早期であり、服用24時間後の頭痛消失の持続において、プラセボ群との間に有意差が認められました。また、片頭痛患者を対象とした外国第III相CENTURION試験において、トリプタン系薬剤では効果不十分であった患者集団で服用2時間後に頭痛消失および頭痛改善が認められた割合は、本剤投与群とプラセボ群との間に有意差が認められました。一方で、本剤は中枢神経抑制作用を有することから、とくに高齢者では浮動性めまい、傾眠などによる転倒に注意が必要です。また、本剤を服用中の飲酒は中枢神経抑制作用を強める恐れがあり、なるべく避けるべきでしょう。SSRIやSNRI、三環系抗うつ薬などのセロトニン作動薬やMAO阻害薬などは、セロトニン症候群の発症リスクから併用注意となっています。今後、脳心血管疾患を有する患者には本剤を使用し、中枢神経抑制作用を有する薬剤を使用している患者では、トリプタン系薬剤を考慮するなどの薬剤選択が考えられます。片頭痛は日常生活および社会活動に大きな支障を来す疾患のため、生活習慣の改善を踏まえたサポートを心掛けましょう。参考1)PMDA 添付文書 レイボー錠50mg/レイボー錠100mg

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第106回 非オピオイド鎮痛薬の臨床試験で有望な効果あり

効果は間違いないものの呼吸抑制等の副作用や依存が厄介なオピオイドの代わりとなりうる経口薬が第II相試験2つで有望な急性痛治療効果を示し、承認申請前の大詰めの第III相試験に進むことが決まりました1,2)。第II相試験の1つは外反母趾手術、もう1つは腹部脂肪切除(腹壁形成)手術の患者を募って実施され、米国マサチューセッツ州ボストン拠点バイオテックVertex Pharmaceuticals社の経口薬VX-548高用量の術後痛治療効果がどちらの試験でもプラセボを有意に上回りました。効果は上々で副作用は大したことなく、オピオイドの代わりを見つける試みにはそれら試験の成功で大いに前進したとUniversity College Londonの神経生物学専門家John Wood氏は言っています2)。痛みに携わる神経細胞表面にあり、それら神経細胞に電気信号を放たせるナトリウム(Na)チャネルの研究を背景にVX-548は誕生しました。VX-548はそれらNaチャネルの1つNav1.8を選択的に阻害します。Nav1.8は全身の神経から脊髄への痛み信号の受け渡しに不可欠で、その働き過ぎは痛みをより発生させます。たとえばNav1.8を過活動にする遺伝子変異がある人は傷を負わずとも痛みを被りうることが10年ほど前の研究で判明しています3)。しかしNav1.8や他のNaチャネルNav1.7に限った阻害の鎮痛の実現は困難でした。困難の1つはそれらの構造が心臓、筋肉、脳の機能を担う他のNaチャネルとよく似ていることに端を発します。安全を期すにはそれら臓器の働きに不可欠なNaチャネルにちょっかいを出さすことなく目当てのNaチャネルのみを相手する化合物を仕立てる必要があります。Nav1.8だけを阻害する化合物の実現の困難さはVertex社のこれまでの開発の道のりからも見て取れます。Vertex社にとってVX-548は4度目の正直のようなもので、先立つ3つのNaV1.8阻害薬が臨床開発の道半ばで倒れています。その1つVX-150は3つの第II相試験で好成績を収めたにもかかわらず第III相試験に進んでいません。必要な用量が多すぎて実用には不向きというのがその開発頓挫の一因です。Vertex社はもっと働きが良い化合物を求め、とうとう今回の第II相試験2つの成功に漕ぎ着けました。その1つには外反母趾手術患者274人が参加し、VX-548、プラセボ、オピオイド(ヒドロコドン)含有薬のいずれかの投与群に割り振られ、VX-548高用量投与群の48時間の痛さがプラセボ群に比べて有意に少なく済みました。腹壁形成手術患者303人が参加したもう1つの第II相試験でもVX-548高用量は同様にプラセボに勝りました。VX-548高用量群の痛み減少はヒドロコドン含有薬群も見た目上回りましたが、今回の試験は取るに足る比較ができるほど大規模ではありませんでした2)。VX-548の低用量と中用量の効果は残念ながらプラセボを上回りませんでした。外反母趾手術患者が参加した第II相試験ではVX-548の用量が多いほど有効という傾向はなく、気がかりなことにVX-548中用量の効果はVX-548低用量もプラセボも一見下回っていました1,4)。ともあれVertex社は高用量の効果が認められたことで良しとし、重篤な有害事象は幸いにして生じず中~高用量群の患者の脱落がプラセボやヒドロコドン投与群より少なくて済んだVX-548の急な痛みの治療効果を調べる第III相試験を間もなく今年後半に始めるつもりです。糖尿病性神経障害の痛みや炎症による痛みなどの複雑な事態を含む慢性痛へのVX-548の効果は未知数です。しかし幸先が良いことに神経障害の幾つかや炎症性の痛みでVX-548の標的Nav1.8が重責を担うことがすでに分かっています2)。参考1)Vertex Announces Statistically Significant and Clinically Meaningful Results From Two Phase 2 Proof-of-Concept Studies of VX-548 for the Treatment of Acute Pain / BUSINESS WIRE2)Non-opioid pain pill shows promise in clinical trials / Science3)Gain-of-function Nav1.8 mutations in painful neuropathy. Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Nov 204)Vertex claims success with its fourth shot at acute pain / Evaluate

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