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19901.

危ないところだった!【Dr. 中島の 新・徒然草】(263)

二百六十三の段 危ないところだった!中島「おっとっとっとっと-。今の患者さん、連れ戻して-!」事件はある日の外来診察中に起こりました。その日に診たのは三叉神経痛の診断で紹介されてきた初老の女性。もちろん、顔が痛いのですが、三叉神経痛としてはあまり典型的ではありません。どこがおかしいかというと、 三叉神経領域すべてが痛い常時痛いカルバマゼピンが効かない 普通の三叉神経痛の場合、3本の枝のうちの1本の領域だけが発作的に痛くなり、多少なりともカルバマゼピンが効くはずです。でも、この方はカルバマゼピンがまったく効いていないのです。ということは器質的疾患か?しかし、前医の頭部CTでも、前々医の頭部MRIでも異常なしと言われたそうだし。どうしたものか…患者「先生、なんだか顎もしびれてきたのよね」中島「顎が?」患者「3日ほど前からかな。だんだんしびれてきて」中島「たいしたことないでしょう」患者「私、脳梗塞かな? テレビでやっていたから心配なのよ」中島「そんな脳梗塞ないですよ」患者「本当?」中島「そんなに言うんだったらCTを撮影してみましょうか?」患者「ええ」そして撮影後…慎重に脳実質を確認した後で私は言いました。中島「脳梗塞なんかありません」患者「そうか。じゃあ心配いらないのね」中島「そうそう。余計な心配はしないこと」患者「でも、痛いのは痛いのよ」中島「次回に対策を考えましょう」とはいったものの、何となく頭の中に引っかかるものがありました。患者さんが出ていった診察室で再度CTを眺めていると…中島「ぐわっ。で、出たああ」なんと、直径4センチはあろうかという腫瘍が写っていたのです。場所は側頭下窩といわれるところ、頬骨弓の直下にあるスペースです。普通、脳実質に異常がないかどうかを集中して見るので、頭蓋骨の外まで意識がいきません。危なかった。よく気がついた。結局、顔が痛かったのも顎がしびれてきたのも、この腫瘍のせいだったのです。その昔、ほかの病院で三叉神経痛と診断された患者さんが頭蓋底腫瘍だったことがあり、「三叉神経痛を見たら頭蓋底腫瘍を疑え」という格言を自分で作って、どこかの雑誌かブログに書いた記憶があります。なんてこった!危うく自分が警告していた落とし穴に自分がはまるところでした。会計に並んでいた患者さんを診察室に連れ戻し、訳を説明して謝りました。前医にも連絡しておくことといたしましょう。前々医にも知らせておいたほうがいいかな。私を含めて全員が気をつけるべきですからね。読者の皆さんもぜひご用心ください。最後に1句格言は 作った自分が まず守れ

19902.

第6回 頭痛【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第6回 頭痛「頭痛」は人類の誕生とともに出現したであろうし、その歴史が続く限り存在する、絶えることのない症状の1つと考えられます。したがって、誰もが経験する痛みの症状でもありますし、医療者側としても理解しやすい症状です。頭痛は、精神的なストレスや緊張が大いに関係しています。ある意味では、精神・心理学的問題を基盤とする現代病の1つでもありますし、この種の頭痛に悩まされている患者さんが増加しております。今回は、この頭痛を取り上げたいと思います。片頭痛などのように頭痛のみを主症状とする痛みと、その一方で脳の重大な病変の1症状として頭痛や脳以外の病気の合併症としての頭痛があります。前者を1次性頭痛、後者を2次性頭痛として分類しています。1次性頭痛1)片頭痛女性に多くみられます。頭痛頻度としては数回/月、持続は数時間~3日間程度です。症状として、最初の頃、多くは拍動性ですが、次第に中等度~重度の非拍動性持続性激痛に変わっていきます。もちろん日常生活にも支障を来します。随伴症状としては視野の一部に欠損が生じ、その欠損部の周囲に光輝く色づいたふち飾り様の像が現れる閃輝暗点などの前兆のほかに、光を異常にまぶしく感じたり、音に過敏になったりします。また、完全な半盲や半身のしびれ感や脱力感、言葉が出にくくなったりします。これらの前兆は15~30分程度持続し、その後に頭痛が片側性にみられます。頭痛発作中には悪心・嘔吐や顔面の発汗、錯乱状態を来すこともあります。誘発因子には、精神的ストレスが最も多く、動作、運動、疲労なども挙げられます。また、遺伝素因が認められております。2)緊張型頭痛女性に多くみられます。頭痛頻度としてはほぼ毎日、持続は30分~7日間程度です。症状としては圧迫感、締め付け感がみられます。頭痛は両側性にみられ、程度としては軽度~中等度ですので、日常生活に支障は少ないようです。誘発因子としては、疲れ目、耳の炎症や蓄膿症などの耳鼻科的疾患が考えられます。そのほかに、噛み合わせ不均衡などによって顎関節に負担がかかり、その負担が側頭部に移行して痛みが生じます。また、頸椎症による頸部の神経刺激のために生じる頸部筋肉の収縮や疲労、姿勢も誘発因子になります。随伴症状としては肩こり、疲労、倦怠感などの不定愁訴なども挙げられます。精神的緊張度が高く、神経質な性格の方は緊張性頭痛を発症しやすいようです。3)群発頭痛1次性頭痛の中では最も少ない頻度です。男性に多くみられます。頭痛の頻度としては、群発期では数週間~数ヵ月にわたって連日発症し、寛解期は数ヵ月~数年程度です。症状としては、就寝後30~60分くらいしてから起こる片側性の激しい頭痛です。「眼の奥が抉り取られるような」とか「灼けるような」などの激しい表現がされています。当然のことですが覚醒してしまいます。頭痛側の顔面の紅潮や発汗、眼球結膜の充血、鼻閉、鼻汁、流涙もみられます。持続時間は、15分~3時間程度ですが、頭痛の程度は重度であり、じっとしていられないと表現されています。もちろん日常生活にもかなり支障を来します。誘発因子には、アルコール、ヒスタミンが挙げられておりますが、寛解期にはアルコールを飲用しても頭痛発作は生じません。また、遺伝素因が5%に認められています。2次性頭痛問題となるのは、生命の危機を伴い緊急処置を要する頭痛です。注意すべきは、くも膜下出血、脳出血、髄膜炎、脳腫瘍、急性緑内障、頭部外傷、脳梗塞などです。十分に慎重な診察が必要です。また、頭部に痛みが生じる疾患としては、帯状疱疹関連痛、側頭動脈炎、三叉神経痛、後頭神経痛、大後頭三叉神経症候群、頸椎疾患、副鼻腔炎、顎関節症、心因性頭痛などが挙げられます。それぞれの疾患に関し鑑別診断が重要です。今回は頭痛についてまとめました。上記の分類のほかに牽引性頭痛(脳腫瘍、頭蓋内血腫、水頭症、低髄圧性頭痛などで重く鈍い痛み)、炎症性頭痛(髄膜炎、くも膜下出血、側頭動脈炎、静脈炎、神経炎など自発痛とともに軽刺激でも痛みを生じるようになるもの)、神経痛性頭痛(大・小後頭神経痛、大耳介神経痛、三叉神経痛などで刺すような激しい痛みですが、発作が治まると無症状のもの)、眼・耳鼻・歯疾患性頭痛(緑内障、眼精疲労、眼炎症、眼出血、血管運動性鼻炎、急性・慢性鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔変形、鼻咽頭炎、咬合不全、齲歯など)、精神的頭痛(抑うつ状態、神経症、ヒステリーなど)もありますが、注意しなければならないことに、頭痛には混合性も多く含まれていることです。それだけに明確に分類できるものではありませんが、それでも興味を持って診療にあたればきっと役に立つと思います。次回は、「上肢の痛み」を取り上げます。1)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:122-123.2)山村秀夫ほか編集. 痛みを診断する. 有斐閣選書;1984.p.40-56.

19903.

特例1,860時間は妥当? あり得ない? 医師1,000人のリアルな本音

5年後の2024年4月から、医師においても時間外労働規制が適用される見通しとなっており、枠組みについての議論が大詰めを迎えています。将来的にさらなる削減を目指しつつも、まずは著しい過重労働を軽減するという方向性で議論が進んでいますが、現場の先生方はどのように受け止めているのでしょうか。ケアネットでは、CareNet.com会員医師約1,000人に、その実情と提示されている案への意見をお聞きしました。コメントはこちら結果概要約半数が時間外労働は週7時間と回答、一方で週40時間超えも厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」では、大きく分けて下記3つの上限水準案が示されている(2018年3月13日現在):原則「月45時間・年360時間」臨時的な必要がある場合に「月100時間未満・年960時間以下」特例(指定医療機関および集中的な技能習得が必要な医師)では「月100時間未満・年1,860時間以下」このうち、現状の時間外労働時間がどの枠組みに当てはまるかについて聞いたところ、47.1%の医師が一般労働者と同様の水準である「月45時間・年360時間(≒週7時間)」と回答した。一方で、「月100時間未満・年960時間以下(≒週20時間)」の医師が34.3%、「月100時間未満・年1,860時間以下(≒週40時間)」の医師が12.1%、それを超える医師も6.5%おり、半数強の医師で長時間労働の実態がうかがえる結果となった。画像を拡大する年代別にその割合をみると、若い世代で長時間労働が多くなり、週7時間程度と回答したのは20代で25.8%、30代で36.6%に留まっている。50代以降では、6割以上の医師が週7時間程度と回答している。画像を拡大するまた、勤務先の救急体制別にみると、三次救急医療機関勤務の医師では42.6%が週20時間、そして33.1%が週40時間あるいはそれを超えると回答し、重症患者を受け入れる現場でとくに負担がかかっている状況がみられる。一方で、二次・三次救急医療機関以外でも、一定数長時間の時間外労働のある医師がいることがうかがえる。画像を拡大する時間外労働規制の現案に対し、賛成/反対が半数ずつ現在提案されている上限規制の枠組みに対し、賛成(どちらかといえば賛成を含む)が48%、反対(どちらかといえば反対を含む)が52%と、会員医師の意見は半分に割れる結果となった。回答理由について、賛成派からは「妥当なところ」「まずは始めてみるべきだと思うから」など、とにかく一歩踏み出すことを評価する声が上がった。反対派からは、「過労死ラインを超えるのはおかしい」「特例がそのうち当たり前とされるようになる」など、長時間労働が容認される可能性に対する懸念の声が多く上がっている。画像を拡大する現状の時間外労働が長くなるほど、反対意見が多くなる傾向がみられた(“どちらかといえば反対”を含めると、48.7%<51.7%<60.5%<60.6%)。時間外労働が週40時間あるいはそれを超えると回答した医師のうち、賛成派では「多忙すぎる」「体がきつい」など、限界を感じていることがうかがえるコメントが寄せられている。また、「事務仕事を除くことができれば実現可能」「コンビニ受診などの意識改革がなければ業務削減できずサービス残業になる」など、上限時間規制だけに留まることなく、タスクシフトや受診者側の意識改革などの実行を求める声が上がった。反対派では、「地方ではあり得ない。医師がほとんどいないのに無理」「時間制限するならば、同レベルの医師をその分増やさないと到底現場が回らない」など現状の人員だけでは実現不可能とする声や、「臨時的な必要」という言葉のあいまいさを危惧する意見が上がっている。また、今回の働き方改革により本来一番大きく労働環境が改善されるべき年1,860時間を超える医師において、反対意見が33.3%と最も多くなっている。しかしその理由としては、「さすがに長すぎる」という意見がある一方で、「医療の質が落ちる」「抑制されると部門の運営ができない」など、医療現場の切実な状況や医療の質に対する懸念を反映した意見が上がった。画像を拡大する年代別にみると、とくに20~30代の若い世代で賛成意見を反対意見が上回り、60代以上では56%が賛成・どちらかといえば賛成と答えている。画像を拡大する時間外規制にアルバイトの勤務時間も含まれることを、75%が「知らなかった」と回答アルバイトの勤務時間が、上記時間外規制の時間内に含まれることについては、75%と多くの医師が認識していなかった。「アルバイト時間を制限されると困る」「若手のバイト医師がいなくては病院が回らない」など、現実問題として医師自身の生活や病院運営を支えていることを訴える声が上がっている。画像を拡大するコメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承ください)賛成意見[スタートには妥当]原則を規定しないと、働き方改革は進まない今回をきっかけに医師の労働時間管理を進めるべき現実的な内容で、今後段階的に改善を図る上で適当な水準と思われる意欲ある労働には上記の時間が妥当当直=時間外なので、月45時間では病院が機能しないから[現場の疲弊に対策は待ったなし]働きすぎで疲弊している医師が多い規制しないと医師が体力的に疲弊し、モチベーションが落ち医療の質低下につながる現場が回らなくなることを国に気づいてもらい、もっと根本的な原因対策のきっかけに[集中的な技能習得の必要性]短期間に集中的に練習したほうが、技術習得は早いキャリアが浅いうちは進んで働くケースが許容され、それに見合った給与をもらうべき[支払いなしの残業時間はなくすべき]上限があろうがなかろうが実質勤務時間は変わらないので、時間外勤務を給与に反映させられるほうがいい下手に上限時間が短いと、事務で時間外労働を勝手に削るという現状がまかり通ってしまう[並行して時間規制以外の対策を]窓口徴収額を上げる、救急車有料化などの対策が望まれる。費用が安ければ需要を喚起するのは当然で、不要な受診を増やしているのは間違いないコンビニ受診などが減らない限り業務量は減らせない働き方だけを変えても問題解決にならず、病院の受診方法など根本的に変えないと無理応召義務があるから年360時間以内など不可能反対意見[1,860時間への懸念]1,860時間までなら働かせてよいという認識になってしまいそうだから前年度の勤務時間が1,860時間以上の医師に限るなどの条件が必要『臨時的な必要』が拡大解釈されて、結局は急性期病院勤務の医師の多くが過剰な残業を余儀なくされる規制を作ることには賛成。時間枠が広すぎて反対特例とはいえ、過労死基準をはるかに超える上限規制は意味がない善意につけこむ形で長時間労働が行われている現状なのに、さらにそこに法的根拠を与えるのは危険[応召義務についての議論が不十分]患者の容体によって仕事が左右されるのが医師の宿命だし、時間外勤務時間が超過しているから診察しないは通らない誤解を招きうる応召義務は撤廃すべき[科や地域による偏在解消が先決]人員適正配置といったバックアップなしに議論しても意味がない人がいない。休診時間が増えれば救急が大変になる過疎地域での臨床に問題が起こる[サービス残業が増えるという懸念]タイムカード上の操作が行われ、超勤手当がつかなくなるかもしれない医師の少ない当地方では、制限がかかっても働かざるを得ない状況も生じうる。結局無償で働かされることになる上限を決めても仕事が減るわけではない。サービス残業になるだけ1,860時間分時間外手当が支給されるとは思えない時間外割増賃金の支払義務の定めなしに時間上限だけ決めるのは良くない[インセンティブを効果的に設ける必要性]給料をもっと上げて救急医を増やすべき当直代に+αとして診療1人/入院1件あたりなどでインセンティブを設けるべき基本給が低く、残業代が入らなくなるなら、大学の基本給を上げてからするべきまずは大学病院医師の待遇改善に取り組む必要がある設問詳細Q1.勤務先の病院についてお教えください一次救急医療機関(軽症・帰宅可能患者対応、休日夜間急患センター)二次救急医療機関(中等症~重症・一般病棟入院患者対応、当番制)三次救急医療機関(重症~危篤・ICU入院患者対応、救命救急センター)それ以外Q2.時間外労働時間について、検討会で示されている下記枠組みのうち、先生はどちらにあてはまりますか※1日8時間・週40時間(=5日)勤務を基準として、当直を含む時間外労働時間の合計としてあてはまるものを選択ください月45時間未満・年360時間以下(≒週7時間)月100時間未満・年960時間以下(≒週20時間)月100時間未満・年1,860時間以下(≒週40時間)上記を超えるQ3.時間外上限規制について現状提案されている、原則「月45時間・年360時間」、臨時的な必要がある場合に「月100時間未満・年960時間以下」、特例として指定された医療機関(および一定期間集中的な技能習得が必要な医師)では「月100時間未満・年1,860時間以下」に、賛成ですか?反対ですか?賛成どちらかといえば賛成どちらかといえば反対反対Q4.Q3の回答について理由をお教えください(自由記述)Q5.上記には「アルバイトの勤務時間も含まれる」ことを知っていましたか?知っていた知らなかった画像を拡大する

19904.

前立腺がんの生存率改善に関連するスタチンは?

 スタチン使用が前立腺がんの転帰改善に関連することを示す複数の疫学的研究が報告されている。スタチンの効果を確認するための大規模臨床試験を実施する前に、最も適切な対象患者とスタチンの種類を特定することが必要である。今回、台北医学大学のSzu-Yuan Wu氏らは、後ろ向きコホート研究により「アンドロゲン除去療法を受けている進行前立腺がん患者の生存率改善に、アトルバスタチン、プラバスタチンおよびロスバスタチンが関連することが示唆される」と報告した。European Journal of Cancer誌オンライン版2019年2月28日号に掲載。 本研究は、2008~14年の台湾がん登録を用いた後ろ向きコホート研究で、対象は、がん診断後1年目にアンドロゲン除去療法のみを受けた局所進行および転移を有する前立腺がん患者5,749例。スタチンを28日間以上処方された場合にスタチン使用者と定義した。逆確率重み付けCoxモデルを用いて、全死因死亡および前立腺がんによる死亡(PCSM)におけるスタチン使用の影響を推定した。 主な結果は以下のとおり。・全体で2,259例が死亡し、うち1,495例は診断後1年から追跡調査期間中央値3.6年の間に前立腺がんで死亡した。・スタチン使用は、全死因死亡率(ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.70~0.86)、転移例におけるPCSM(HR:0.76、95%CI:0.68~0.86)、局所進行例における全死因死亡率(HR:0.66、95%CI:0.54~0.81)の有意な低下と関連していた。・アトルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、もしくはピタバスタチンを投与された患者は、他のスタチンを投与された患者より死亡率の大幅な減少を示した。・スタチンの有益性は、診断後にスタチンを投与された男性で一貫して観察され、合併症の多い人や高齢者でも認められた。

19905.

不眠症と将来のうつ病や高血圧との関連

 高齢者では高血圧およびうつ病の有病率が高いが、さらに高血圧とうつ病の合併は、罹患率や死亡率の有意な上昇に影響を及ぼす可能性がある。しかし、その両方に影響を及ぼすリスク因子はよくわかっていない。米国・ジョージア大学のYutong Dong氏らは、高齢者に多い不眠症が、その後の高血圧やうつ病リスクに影響を及ぼすかについて検討を行った。Preventive Medicine誌オンライン版2019年2月8日号の報告。 全米よりサンプリングされた2008~16年のHealth and Retirement Studyより地域在住高齢者の縦断的人口ベース研究を行った。50歳以上の1万8,123例を対象とし、50~60歳群、61~74歳群、75歳以上群の3群に層別化した。2008年時点で、高血圧患者またはうつ病患者は除外した。うつ病性症状上昇のカットオフ値は、CES-Dうつ病自己評価尺度スコア4以上とした。不眠症状は、主観的な症状を評価した。 主な結果は以下のとおり。・Cox比例ハザード回帰では、すべての年齢層においてSBP(1.02[1.01~1.02])と不眠症状の多さ(1.11[1.01~1.21])が高血圧の有意な予測因子であることが明らかとなった。・うつ病に対しては、不眠症状のみが有意な予測因子であった(9.91[6.37~15.41])。・カプラン・マイヤー法では、8年以内に高血圧とうつ病を合併した患者は、全体の9.2%であり、不眠症状の多さが高血圧とうつ病の発症率上昇の予測因子であった(p<0.001)。 著者らは「すべての年齢層において、不眠症状は、将来の高血圧やうつ病の予測因子であることが明らかとなった。高齢者における高血圧やうつ病の病因および合併に、不眠症が影響を及ぼすことが示唆された」としている。■関連記事うつ病に対する不眠症治療効果に関するメタ解析性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大高齢者うつ病発症率の潮流、10年間で減少

19906.

再発ヘルペスを患者判断の服薬で抑止

 再発性単純疱疹の初期症状に対し、患者判断で抗ヘルペスウイルス薬の服用を開始できるPIT(Patient Initiated Therapy)としての用法・用量がわが国で初めて承認された。 これを機に、2019年3月6日、マルホ株式会社が開催したメディアセミナーにて、本田 まりこ氏(東京慈恵会医科大学皮膚科 客員教授/まりこの皮フ科 院長)が、ヘルペスウイルスによる感染症について、最新の動向と治療戦略を語った。PITは海外での標準的な治療法 ヘルペスウイルスは、初感染後、生涯にわたって神経節に潜伏感染する。なかでも単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症は、免疫力の低下をきっかけに再発を繰り返す。年間再発回数は、HSV-1(主に口唇ヘルペスの原因)感染者で平均2.14回、HSV-2(主に性器ヘルペスの原因)感染者で平均9.34回というデータが報告されている。 抗ヘルペスウイルス薬による再発性単純疱疹の治療は、発病初期に近いほど効果が期待されるが、初期症状のうちに医療機関を受診できる患者は少ない。しかし患者の多くは、痒みや違和感などといった再発の初期症状を、皮膚症状が発現する前に自覚しているという。 患者が再発ヘルペスの初期症状を自覚した時点で、あらかじめ処方された経口抗ヘルペスウイルス薬を服用する方法は「PIT」と呼ばれ、海外においては再発性単純疱疹の標準的治療法として位置付けられている。早期の再発治療で、患者のQOL向上を目指す 再発は一般的に軽症例が多いが、年に複数回繰り返されるので、患者の精神的な負担にもなると考えられている。一方、免疫不全患者ではびらんから潰瘍に進行することもあり、予防と早期治療が求められる。 2019年2月、ファムシクロビル錠250mg(商品名:ファムビル)に、PITの用法・用量として、再発性の単純疱疹に対する適応が追加された。これによって、患者は再発性単純疱疹の初期症状に対し、あらかじめ処方された本剤を1回1000mg、1日2回服用することで、自己判断による再発治療が可能となった。 本田氏は、「抗ヘルペスウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑える薬であるため、発症初期に服用しないと意味がない。再発時の初期症状に対し、適切な薬剤を服用すると、病変の出現を予防できることがある。処方時、患者には正しい服薬指導をしておくことが重要」と述べ、講演を終えた。

19907.

認知症の7つの危険因子、発生リスクへの影響は

 認知症発生の主要な危険因子として、糖尿病、高血圧、肥満、身体不活動、重度の精神的苦痛、喫煙、低学歴がある。東北大学の小瀧 由美香氏らは、大崎コホート2006研究において、これら認知症の7つの危険因子の総数で人口寄与割合(PAF)を推定した。その結果、危険因子総数を減らすことが認知症発生リスクの減少に有意に寄与することが示唆された。Journal of Neurology誌オンライン版2019年3月2日号に掲載。危険因子の総数と認知症発生との間に用量反応関係 本研究は65歳以上の8,563人の地域在住者が対象のコホート研究である。ベースライン調査(2006年)では、認知症の7つの主要な危険因子(糖尿病、高血圧、肥満、身体不活動、重度の精神的苦痛、喫煙、低学歴)に関するデータを収集した。危険因子の総数を曝露変数とし、危険因子の総数(0、1、2、3以上)により参加者を4群に分類した。認知症発生に関するデータは、介護保険データベースを参照した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(95%CI)は、Cox比例ハザードモデルを使用して推定した。さらに、HRとコホートデータにおけるリスク保有割合からPAFを計算した。 認知症の危険因子と発生データを分析した主な結果は以下のとおり。・577人(6.7%)で認知症が発生した。・危険因子の総数と認知症発生との間に用量反応関係が観察された。・年齢・性別で調整したHR(95%CI)は、危険因子がなかった群と比べ、危険因子が1つの群で1.25(0.92~1.70)、2つの群で1.59(1.18~2.15)、3つ以上の群で2.21(1.62~3.01)であった(傾向性のp<0.001)。・参加者の危険因子の総数が全員0個になった場合、PAFは32.2%となる。・参加者の危険因子の総数の分類が全体的に1段階改善した場合、PAFは23.0%となる。

19908.

60μmの超薄型シロリムスDES、エベロリムスDESに非劣性/Lancet

 超薄型ストラット生分解性ポリマー・シロリムス溶出ステント「Supraflex」は、エベロリムス溶出耐久性ポリマーステント「Xience」と比較して、冠動脈狭窄治療のデバイス関連複合アウトカムに関して非劣性であることが示された。英国・ニューカッスル大学のAzfar Zaman氏らが、欧州23ヵ所の医療機関を通じて行った、all-comers集団対象の前向き無作為化単盲検多施設共同試験「TALENT」の結果で、Lancet誌オンライン版2019年2月28日号で発表した。Supraflexのストラットは60μmで、薬剤を48日間という短期間で溶出する。FLEX-Registryで12ヵ月時点の主要有害心イベントの発生が低い(3.7%)ことが示されるなどしていたが、これまで無作為化試験は行われていなかった。結果を踏まえて著者は、「Supraflexは実臨床において、ほかの薬剤溶出ステントに代わりうる安全性と有効性を示したといえる」とまとめている。50%以上冠動脈狭窄に埋設 研究グループは、2016年10月21日~2017年7月3日にかけて、欧州(オランダ、ポーランド、英国、スペイン、ブルガリア、ハンガリー、イタリア)の23ヵ所の医療機関を通じて試験を行った。被験者適格条件は、50%以上の冠動脈狭窄が自己冠動脈または伏在静脈グラフト、動脈バイパスグラフトに1つ以上認められ、病変部血管径が2.25~4.50mmの18歳以上の患者だった。 同グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはSupraflexステントを、もう一方の群には比較対象の標準治療としてXienceを留置した。 主要評価項目は、ITT解析による留置後12ヵ月時点でのデバイスに関連した複合エンドポイント(心臓死、標的血管心筋梗塞、臨床的標的病変血行再建の必要性)に関する、SupraflexのXienceに対する非劣性だった。複合エンドポイント1年発生率を8.3%と仮定し、非劣性マージンは4.0%に設定した。複合エンドポイント発生率、Supraflex群4.9%、Xience群5.3% 被験者総数は1,435例(2,076病変)で、Supraflex群は720例(1,046病変)、Xience群は715例(1,030病変)だった。 12ヵ月時点の主要エンドポイント発生率は、Supraflex群4.9%(35例)に対し、Xience群5.3%(37例)だった。絶対群間差-0.3%、片側95%信頼上限値1.6%であり、Supraflex群のXience群に対する非劣性が示された(非劣性のp<0.0001)。 安全性の指標としたステント血栓症発生率は、両群ともに低率で同程度だった。

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非ICUでのdecolonisationは、耐性菌発生リスクに有効か?/Lancet

 ICU入室以外の入院患者について、全患者を対象としたクロルヘキシジンによる清拭・シャワー浴とハイリスク患者を対象にしたムピロシンでの除菌による介入(decolonisation)は、ルーチンに行う消毒薬を使わない清拭/シャワー浴の介入と比べて、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の発生リスクを有意に減少しなかったことが報告された。米国・カリフォルニア大学アーバイン校のSusan S. Huang氏らが、53病院194の病棟(ICUを除く)を対象に行ったクラスター無作為化比較試験「ABATE(active bathing to eliminate) Infection trial」の結果で、Lancet誌オンライン版2019年3月5日号で発表した。ベースライン期と介入期のハザード比を群間比較 ICU入室患者に対するユニバーサル皮膚・鼻腔decolonisationは、多剤耐性菌や血流感染症の発生を減少することが示されている。一方で、非クリティカルケアユニットでのユニバーサルdecolonisationの病原菌および感染症への影響は不明であった。 ABATE感染試験は、ICU入室患者に対する手法と同様に介入効果が非クリティカルケアユニットでも認められるか評価することを目的とし、米国内53病院(ICUを除いた194病棟)の入院患者を対象にクラスター法を用いて検討。ユニバーサルクロルヘキシジンおよび標的鼻腔ムピロシンによるdecolonisation介入(クロルヘキシジン群)と、ルーチン清拭による介入(通常ケア群)のMRSAやVREへの感染予防効果を比較した。 試験は、2013年3月~2014年2月の12ヵ月間をベースライン期とし、同年4~5月の2ヵ月間の導入期を経て、同年6月~2016年2月の21ヵ月間を介入期とし検討した。 クロルヘキシジン群には、介入期に全対象入院患者に対し、毎日クロルヘキシジンによる清拭と、シャワー時にはクロルヘキシジンを含む石鹸を使用し、MRSAキャリアに対してはムピロシン除菌を行った。通常ケア群には、介入期にも非消毒薬性のディスポーザブルクロスでの清拭を行い、シャワー時には通常の石鹸を使用した。 主要アウトカムは、病棟起因のMRSAまたはVREの臨床培養の発生で、補正前に、ITT解析で介入期のベースライン期に対するハザード比(HR)を算出し、クロルヘキシジン群と通常ケア群を比較した。介入期HR、クロルヘキシジン群0.79、通常ケア群0.87 ベースライン期の被験者数は18万9,081例、介入期は33万9,902例で、そのうち通常ケア群は15万6,889例、クロルヘキシジン群は18万3,013例だった。 病棟起因のMRSAまたはVREの臨床培養発生に関する、介入期のベースライン期に対するHRは、クロルヘキシジン群0.79(95%信頼区間[CU]:0.73~0.87)、通常ケア群0.87(同:0.79~0.95)だった。両群のHRに有意差はみられなかった(p=0.17)。 有害事象の発生は、クロルヘキシジン群で25件(1%未満)に認められた。ムピロシン除菌に関する報告はなかった。

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NSCLC1次治療のニボルマブ+低用量イピリムマブにおけるORR:PD-L1 1%以上 vs.1%未満(CheckMate-568)/JCO

 転移のある進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、ニボルマブと低用量イピリムマブ併用の効果と安全性を評価した、オープンラベル第II相CheckMate-568試験。 今回、米国・Duke University Medical CenterのNeal Ready氏らによる結果が、Journal of clinical oncology誌オンライン版2019年2月20日号に掲載された。ニボルマブ+低用量イピリムマブは、転移のある進行NSCLCの1次治療として有効かつ忍容性が高いことが示唆された。 本試験では、未治療StageIVまたは再発StageIIIBのNSCLC患者288例を対象として、ニボルマブ3mg/kgを2週間ごと、イピリムマブ1mg/kgを6週間ごとに投与した。主要評価項目は、PD-L1の発現率が1%以上の患者および1%未満の患者における客観的奏効率(ORR)。副次的評価項目として、腫瘍変異負荷(TMB)に基づく有効性についても検討された。 主な結果は以下のとおり。・対象の患者群のうち、288例中252例(88%)でPD-L1が評価され、120例中98例(82%)でTMBが評価された。・PD-L1レベル別のORRは、PD-L1 1%以上群で41%、PD-L1 1%未満群で15%であり、PD-L1の発現レベルは、ORRに関与した。・TMB別でみると、TMB10mut/mB未満の群と比較して、TMB10mut/mB以上の群では、PD-L1の発現レベルにかかわらずORRが高かった(12% vs.44%)。・無増悪生存期間(PFS)も、TMB10mut/mB未満の群に対し、TMB10mut/mB以上の群でより延長がみられた(2.6ヵ月 vs.7.1ヵ月)。・Grade3~4の治療に関連する有害事象は、患者の29.2%に認められた。

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MRSA保菌者に対する退院後の除菌療法(解説:小金丸博氏)-1015

 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、皮膚軟部組織感染症や医療処置に関連した感染症の原因として頻度が高い微生物である。MRSA保菌者では除菌することによって、手術部位感染症、繰り返す皮膚感染症、集中治療室における感染症のリスクを減らすことが過去の研究で示されている。MRSAを保菌している入院患者は退院後の感染リスクが高いことが知られており、今回、これらの患者に対する衛生教育や除菌療法の有用性を検討した研究が発表された。 本研究は、MRSA保菌者に対して退院後に除菌療法を行うことで、MRSA感染症を減らすことができるかどうかを検討した多施設共同ランダム化比較試験である。30日以内の入院をしていた18歳以上のMRSA保菌者を対象とし、①衛生教育を行う群と、②衛生教育に加え除菌療法を行う群に割り付けて、退院後1年以内のMRSA感染のリスクや入院リスクを評価した。除菌療法は、4%クロルヘキシジンを用いた入浴あるいはシャワー、0.12%クロルヘキシジンを用いた口腔洗浄、2%ムピロシンの鼻腔内塗布を施行した(5日間を月2回、6ヵ月間)。その結果、per-protocol集団におけるMRSA感染症の発生率は衛生教育群で9.2%に対し、衛生教育+除菌群で6.3%だった。MRSA感染リスクは衛生教育+除菌群で約30%低下し(ハザード比 0.70、95%信頼区間:0.52~0.96、p=0.03)、1例の感染を予防するための治療必要数(NNT)は30だった。除菌のレジメンをしっかり遂行できた群では、感染率はより低率だった。 本研究で、MRSA保菌者に対する退院後の除菌療法は、MRSA感染リスクを30%程度低下させることが示された。同時に、再入院のリスクやあらゆる原因による感染症のリスクも低下させており、有用な介入である可能性が高い。軽微な副反応しか認めなかった点も、介入を後押しする根拠の1つとなる。 しかしながら、除菌療法の煩雑さを考えるとMRSA保菌者全員に対して実施するのは現実的ではないと思われる。MRSA感染リスクの高いグループ、再入院リスクの高いグループが同定され、それらのグループに対して除菌療法を実施することができれば、さらに高い治療効果を見込めると考える。本治療の成功の鍵となるのが除菌レジメンの高い遵守率であり、患者自身、あるいは介護者の高い意識や努力が求められる治療法である。

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クレジットカードは資産形成の敵【医師のためのお金の話】第18回

クレジットカードは資産形成の敵資産形成を行ううえで、守りを固めることは必須です。この場合の守りとは「節約」を意味します。そして守りを固める目的は、投資の原資となるタネ銭を貯めることです。一方、タネ銭を貯めるといっても、なかなか一筋縄ではいかないことが多いかもしれません。それほど苦労せずにタネ銭を貯める手法として、最もオーソドックスなのは給与天引き貯金です。給与天引き貯金に関しては、このコーナーの第1回 資産形成、最初の一歩はタネ銭からで詳述しています。今でも私は給与天引き貯金を実践していますが、その効果は折り紙付きです。資産形成とはまったく無縁の医師に勧めてみても、しっかり実践できれば失敗例はほとんどありません。しかし、タネ銭を貯めるためには、給与天引き貯金だけでは不十分だと思います。クレジットカードは使用しない!給与天引き貯金以外にも、タネ銭を貯める手法はいくつかあります。そのうちの1つは、できるだけクレジットカードを使用しないことです。多くのクレジットカード発行会社が、大盤振る舞いなポイント付与を武器にして、顧客を囲い込む戦略をとっています。一見すると、現金で購入するよりもクレジットカードを利用して購入したほうが、消費者のメリットは大きい印象を受けます。もちろん、その商品を購入するという行為だけを見ると、クレジットカードはポイントが付くので、現金購入よりも有利であることに異論はありません。しかし、1ヵ月単位で見ると損得勘定が逆転します。クレジットカードと現金を比較すると、購入に対する心理的ハードルは圧倒的にクレジットカードのほうが低いのです。このため、クレジットカードを多用していると、ついつい余計な買い物をしてしまうという大きな落とし穴があります。最近ではキャッシュレス決済が推奨されているため、クレジットカードだけではなく、QRコード決済も使用できるようになってきました。キャッシュレス決済自体は非常に便利なのですが、購入に対する心理的ハードルが下がり過ぎてしまうので、気を付けないと財布のひもが緩みます。これは本当に注意するべき点だと思います。クレジットカードは業者の販促ツール実は商品を売る事業者側の視点では、クレジットカードを導入する最大のメリットは消費者の財布のひもを緩めることにあります。クレジットカード会社への支払手数料率は、最も低いところでも3.24%です。少し古いデータですが、経済産業省の商工業実態基本調査によれば、小売企業における売上高営業利益率は平均2.1%でした。売上高営業利益率よりも高い手数料率を支払ってまでクレジットカードを導入するメリットは、それだけ売上増加が見込めるからです。つまり、小売業者にとってクレジットカードは販売促進ツールなのです。このため、クレジットカードを利用していると無駄遣いを助長してしまう危険性が高まります。ポイントで得しているように見えても、1ヵ月単位では浪費している可能性が高いのです。数%のポイントを免罪符にして、ばんばん必要性の高くないモノを購入するのは得策ではありません。このように、クレジットカードなどのキャッシュレス決済は、タネ銭を貯めるうえでは大きなマイナスポイントになります。無駄遣いを回避するためには、できるだけクレジットカードの利用を控えて、現金払いに徹することを推奨します。タネ銭を貯めるためには現金払いに徹しようキャッシュレス化が進行する日本の社会で、クレジットカードなどのキャッシュレス決済を回避することは、どんどん難しくなってきています。社会の趨勢に逆行して現金払いを続けることは、かなりの心理的負担を感じることでしょう。しかし、他人と同じことをしていては、集団から抜け出すことはできません。本当にタネ銭を貯めたいと思っている方は、クレジットカードなどのキャッシュレス決済から距離を置いて、現金払いに徹するべきだと考えています。

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第7回 目標下限値と減薬の考え方、認知機能・ADL簡易評価法の活用術【高齢者糖尿病診療のコツ】

第7回 目標下限値と減薬の考え方、認知機能・ADL簡易評価法の活用術Q1 目標下限値を下回った場合はどのようにしますか? 減薬すべきですか?HbA1c値が目標下限値を下回った場合は、まず低血糖が起きていないかをチェックすることが大切です。体のふらふら感、頭のくらくら感、めまい、脱力感など低血糖症状が食前にないかどうかを問診します。血糖自己測定ができる場合は、いつもと違った症状がある場合も血糖を測定します。できない場合は、ブドウ糖をとって症状が改善するかどうかをみます。また、低血糖は朝5~6時に起こりやすいと報告されていますので、この早朝の時間に血糖をチェックすることを勧めます。これらをチェックした結果低血糖がなければ、現在の処方を継続する形でいいと思います。ただし、目標下限値を下回った場合、SU薬は半分に減量すること、インスリンの場合は1~2単位減量できないかを検討します。低血糖リスクのある薬剤を減らすことは、将来の重症低血糖のリスクを減らすことにつながります。また、下限値を下回った場合は、HbA1c値が血糖を反映できているかどうかを調べます。腎不全などがある場合、HbA1cは、赤血球の代謝に変化が起こり、低めになりやすくなります。この場合、グリコアルブミンを一度測定し、解離がないかどうかをみるとよいでしょう。Q2 血糖コントロール設定のための認知機能・ADL評価を、もっと簡単に行う方法はありますか?血糖コントロール目標を設定するために、認知機能はMMSEや改訂長谷川式認知症スケール、手段的ADLはLawtonの指標または老研式活動能力指標、基本的ADLはBarthel の指標などを使って評価することが理想ですが、外来診療においてこうした評価を短時間で、かつ同時に行うことは難しいことも多いと思われます。そこで、簡単な21の質問で認知機能と生活機能をできる質問票であるDASC-21(地域包括ケアのための認知症アセスメントシート)の短縮版として、血糖コントロール目標設定のためのカテゴリー分類が可能な認知・生活機能質問票(DASC-8)を開発しました1)。DASC-8は記憶、時間見当識、手段的ADL(買い物、交通機関を使っての外出、金銭管理)、基本的ADL(トイレ、食事、移動)の8つの質問からなっています。また、MMSE、Lawton指標、Barthel の指標で評価した場合を基準としたROC解析でも、カテゴリーIとII+III、またはカテゴリーI+IIとIIIをそれぞれカットオフ値:10/11点、16/17点で高い精度で弁別できることが示されました(ROC面積>0.90、感度>0.80、特異度>0.80)。DASC-8の8つの質問を4段階で評価して合計点を出し、10点以下はカテゴリーI、11~16点はカテゴリーII、17点以上はカテゴリーIIIと分類できます(表1)。このようにDASC-8を用いて簡易に高齢者糖尿病のカテゴリー分類を行い、血糖コントロール目標を設定できるようになりました。画像を拡大するDASC-8の質問票(表2)とその使用マニュアルは日本老年医学会ホームページのお役立ちツールに掲載されており、臨床または研究に使用する場合は自由にダウンロードすることが可能です。画像を拡大するDASC-8は原則、メディカルスタッフ、介護職、または医師が、対象の方をよく知る家族や介護者に、患者さんの日常生活の様子を聞きながら、認知機能障害や生活機能障害に関連する行動の変化を評価します。家族や介護者に質問することができない場合には、患者さんに日常生活の様子を質問しながら、実際の場面を想定した追加の質問をしたり、様子を観察したりしながら患者さんの状態を評価します。したがって、DASC-8は、メディカルスタッフが医師の診察前に患者さんの生活のことを聞きながら行うのがいいと思います。こうした質問の仕方も含めて、DASC-8の使用マニュアルに記載されていますので、必ず使用マニュアルを読んでから、活用していっていただきたいと思います。Q3 DASC-8による分類は血糖コントロール目標の設定以外にも使えますか?DASC-8は認知・生活機能質問票であり、高齢者を認知機能とADLの評価に基づいて3つのカテゴリーに分類している、という点を改めて考えると、さまざまなことに応用することができます。カテゴリーIIは手段的ADL低下の状態なので、買い物や食事なども障害されている可能性もあり、食事療法を見直すきっかけになります。手段的ADL低下はフレイルが進行する段階で起こってくることが多いので、フレイルがあるかどうかをJ-CHS基準または基本チェックリストで調べることもできます(第5回参照)。フレイルがある場合には、レジスタンス運動を含む運動療法や、タンパク質を十分に摂取する食事療法などの対策を講じます。また、外出をしなくなっている場合はうつ状態かどうかもチェックする必要があります。カテゴリーIIでは軽度認知障害(MCI)以上の認知機能障害がある可能性があります。したがって、服薬やインスリン注射などのアドヒアランスをチェックすることが大切です。アドヒアランス低下がある場合には、治療の単純化を行います。すなわち、多剤併用の場合は薬剤の種類を減らすだけでなく、服薬回数を減らしたり、服薬タイミングをそろえたりすることを行います。カテゴリーIIIでは、中等度以上の認知症があることが考えられるので、減薬・減量の可能性を考慮します。とくに食事が不規則な場合、厳格すぎる血糖コントロール(HbA1c 6.5%未満)や体重減少がある場合は服薬数を減らしたり、SU薬やインスリンなどを減量したりすることができないかを検討したほうがよいでしょう。社会サポートの有無や介護保険認定の有無を調べることも大切です。介護認定を申請するとカテゴリーIIは要支援、カテゴリーⅢは要介護と認定され、デイケアなどの運動のサービスなどを受けることができる場合があります。このように、DASC-8による評価は、認知機能やADLの評価に加えて、フレイル、うつ、低栄養、服薬アドヒアランス低下、社会サポート低下をさらにチェックすることで、高齢者総合機能評価(CGA)に役立てることができます。1)Toyoshima K, et al. Geriatr Gerontol Int 2018;18:1458-1462.

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第10回 循環の異常がある時1 患者さんにはどのような変化が?【薬剤師のためのバイタルサイン講座】

今回は脈拍と血圧の異常について考えてみます。脈拍と血圧の異常からは循環の異常を察知します。バイタルサインに加え、患者さんを観察することにより循環の異常に気付くことがあるでしょう。循環の異常がある時、患者さんにはどのような変化が起こるのでしょうか。症例を通して考えたいと思います。患者さんBの場合経過──185歳、男性。75歳の時に急性心筋梗塞※1を発症し、当時カテーテル治療を受けました。その時から抗血小板薬を内服しています。81歳の時には、脳梗塞のため2週間入院しました。後遺症は軽く済み、自宅では、つたい歩きで過ごしていましたが、最近は訪問診療を受けていました。本日、薬剤師であるあなたがいつもの薬を届けるため患者さん宅を訪れると、そこにはぐったりとして顔色が真っ青になった患者さんがベッドのうえに横たわっていました。「いつもはもっと元気な方なのに...」とあなたが思っていると、家族(妻)から「今日は朝から特に具合が悪そうなんです。最近は調子が悪くて。いつもの薬はきちんと飲んでいたんですが...」と相談されました。※1 急性心筋梗塞冠動脈の狭窄や閉塞により心筋の血流が減少して起こる心筋壊死。冠動脈の動脈硬化に起因する場合が多い。本症例では、カテーテルを用いて狭窄病変を広げることで、直接的に再開通を図るカテーテル治療を行った。経過──2「顔色が真っ青でぐったりしている。そんなに暑くないのに額に汗もかいている。熱でもあるのかな?」そう思ったあなたは、バイタルサインをチェックしてみることにしました。「まず脈を測ってみよう」と患者さんの手をとると、その手はとても冷たくジットリと湿っていました。「まさか...」と思って額に手をあてたその時、「まさかショック!?」額にあてた手が感じ取ったのは、発熱ではなく、とても冷たい汗でした。ショックとはちまたで言う、びっくりして衝撃を受けることではありません(笑)。医療の場での「ショック」とは、「循環不全によって、重要臓器や細胞へ十分な血液が供給されなくなり、これらの機能異常が出現する臨床症候群」と定義されます。循環(circulation)は救急のABCのうちの「C」ですが、それが臓器の機能異常を来すほど悪くなっている状態です。経過──3「循環」に異常があるかもしれないと思ったあなたは、急いでバイタルサイン〈表1〉を確認してみました。脈は弱く110回/分の頻脈で、血圧も低下していました。「Bさん、大丈夫ですか?」と話しかけると眼を開けますが、すぐに疲れきったように眼を閉じてしまいます。家族(妻)の話では、この1週間ほどみぞおちのあたりの痛みがあり、あまり食事が摂れていなかったそうです。便はゆるく泥状で、真っ黒な状態が続いていました。観察とバイタルサインよりバイタルサインの異常は「頻呼吸・頻脈・血圧の低下・意識レベルの低下」でした。ABCで考えると、気道に異常はなく、呼吸については頻呼吸がありますがSpO2は良好な値ですので低酸素の状態ではなさそうです。頻脈と血圧の低下があり循環の異常があります。さて、循環不全・ショックの診断基準〈表2〉についてお話ししましょう。原因が何であれ、循環不全の状態になると診断基準にあるような徴候が見られます。大きな変化は血圧の低下(大項目)ですが、ショックの初期には身体の代償機転が働いて血圧が低下していない場合があるため、小項目にあるような所見を素早く察知することが重要です。心拍数増加・脈拍微弱血圧が低下すると脈拍は弱くなります。さらに重要臓器に血液を送ろうとするために多くの場合、頻脈となります。爪床毛細血管の refilling 遅延末梢循環不全のため、毛細血管再充満時間が延長します。自分の爪を押してみてください。爪の下にある皮膚がピンク色から白く変化しますね〈写真1〉。3秒以上圧迫してそれを解除するともとのピンク色に戻ります〈写真2〉。圧迫を解除してからもとのピンク色に戻るまでの時間を毛細血管再充満時間(capillary refilling time; CRT)といい、CRTが2秒以上のとき異常である(=末梢循環不全がある)と判断します。これは救急隊が現場でよく使う手技の1つです。とても役に立つ手技ですが、外気温などの影響を受けやすいので注意が必要です。意識障害または不穏・興奮、乏尿・無尿脳や腎臓への循環不全の結果、意識障害または不穏・興奮、乏尿・無尿の所見がみられます。皮膚蒼白と冷汗、または39℃以上の発熱血圧が低下し、交感神経が過緊張の状態となると、末梢の血管は収縮し冷汗が出ます。これは末梢血管を収縮させて重要臓器の血流を維持しようとする生体反応といえます。また、敗血症性ショックとなると感染症ですから当然高熱となります。診断基準からわかるように、ショックの状態か否かは、バイタルサインと身体の観察により判断できます。

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デュピルマブの治療効果は過小評価されている

 アトピー性皮膚炎(AD)に対する初の抗体医薬としてよりも、高額医薬品であることに何かと注目が集まったデュピルマブが、わが国で上市して間もなく1年を迎える。米国のAD臨床試験では、治験医師による全般的評価(IGA)スコア1以下(皮膚病変が消失またはほぼ消失)が、デュピルマブを含む薬剤の承認基準となっている。米国・ノースウエスタン大学フェインバーグ医学院のJonathan I. silverberg氏らは、デュピルマブはプラセボと比較し、複数の評価基準で統計的に有意な効果がみられたことを明らかにした。著者らは、「臨床試験におけるエンドポイントをIGA≦1とするのは、臨床的に意味のあるデュピルマブの治療効果を著しく過小評価している」とまとめている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2019年2月21日号掲載の報告。 研究グループは、治療終了時にIGA>1の患者におけるデュピルマブの治療効果を、ADの所見、症状およびQOLをさまざまな評価基準を用いて検討した。対象者は局所治療で効果不十分の中等症~重症AD患者(IGA≧3)。16週にわたって行われた2つの無作為化二重盲検試験「LIBERTY AD SOLO 1」および「LIBERTY AD SOLO 2」における、デュピルマブ300mgを2週に1回(q2w)投与群とプラセボ投与群の事後解析を行った。 評価項目は、湿疹面積・重症度指数(EASI)、そう痒数値評価スケール(NRS)、AD病変が占める体表面積(BSA)、患者自身による湿疹評価(POEM)、および皮膚の状態に関するアンケート(DLQI)での改善度であった。 主な結果は以下のとおり。・16週時点でIGA>1の患者は、デュピルマブq2w群:278/449例(年齢中央値36.0歳)、プラセボ群:396/443例であった。・16週時点でIGA>1の患者において、デュピルマブはプラセボと比較し、各評価項目で有意な改善が認められた。 EASI:-48.9% vs.-11.3%(p<0.001) そう痒NRS:-35.2% vs.-9.1%(p<0.001) BSA:-23.1% vs.-4.5%(p<0.001) POEMスコア≧4ポイント改善:57.4% vs.21.0%(p<0.001) DLQIスコア≧4ポイント改善:59.3% vs.24.4%(p<0.001)

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肥満と認知症リスク

 65歳未満での過体重や肥満は、認知症発症率の増加に影響することが示唆されているが、65歳以上での過体重や肥満では、逆説的であるといわれている。認知症診断前の体重減少、喫煙や体重減少を引き起こす疾患の影響が、相反する結果をもたらしている可能性がある。英国・エクセター大学のKirsty Bowman氏らは、65~74歳の英国プライマリケア集団における認知症診断前の体重減少、短期または長期のBMIとの関連について検討を行った。Age and Ageing誌オンライン版2019年2月6日号の報告。 認知症と診断されていない、ベースライン時にがん、心不全、合併症のない非喫煙者25万7,523例(A群)およびこれらの交絡因子を有する16万1,927例(B群)を対象に14.9年までフォローアップを行った。死亡率は、競合ハザードモデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・A群では、9,774例が認知症と診断された。繰り返し体重測定を行っていた患者の54%において、診断前までの10年間で2.5kg以上の体重減少が認められた。・10年未満の肥満(30.0kg/m2以上)または過体重(25.0~29.9/m2)は、22.5~24.9/m2と比較し、認知症発症率の減少が認められた。・しかし、10~14.9年までの肥満は、認知症発症率増加と関連が認められた(ハザード比[HR]:1.17、95%信頼区間[CI]:1.03~1.32)。・長期の分析では、過体重の保護的関連は消失した(HR:1.01、95%CI:0.90~1.13)。・B群では、6,070例が認知症と診断されており、肥満は、短期または長期の認知症リスク低下との関連が認められた。 著者らは「喫煙、がん、心不全、多発性疾患のない65~74歳における肥満は、長期の認知症発症率の増加との関連が認められた。短期間では、逆説的な関連が認められたことが、相反する結果をもたらした可能性であると考えられる。高齢者の認知症リスクに対する肥満や過体重の保護効果に関する報告は、とくに認知症診断前の体重減少を反映している可能性がある」としている。■関連記事レビー小体型認知症とアルツハイマー病における生存率の違い~メタ解析脂肪摂取と認知症リスクに関するメタ解析中年期以降の握力低下と認知症リスク~久山町研究

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血液1滴で13がん種を同時診断、日本発miRNA測定技術

 血液中に含まれるマイクロRNA(miRNA)をマーカーとして、13種類のがんを同時診断する検査システムの開発が進み、実用化が近づいている。2019年3月1日、都内で「1滴の血液や尿で、がんが分かる時代へ」と題したメディアセミナーが開催された(共催:日本臨床検査薬協会、米国医療機器・IVD工業会)。落谷 孝広氏(国立がん研究センター研究所分子細胞治療研究分野)が登壇し、自身が開発のプロジェクトリーダーを務めるmiRNAによるリキッドバイオプシーの精度や、実用化に向けた動きなどについて解説した。miRNAはctDNAと何が違うのか リキッドバイオプシーの解析対象としては、米国を中心に開発の進む血中循環腫瘍DNA(ctDNA)が知られている。ctDNAなどの従来の腫瘍マーカーが、がん細胞のアポトーシスに伴って血液中で検出されることと比較し、miRNAはがん細胞の発生初期から血液中を循環するため、より早期の診断が可能だという。 本邦では、「体液中マイクロRNA測定技術基盤開発プロジェクト」が2014年から始動。国立がん研究センター(NCC)、国立長寿医療研究センター(NCGG)が保有するバイオバンクを活用し、膨大な患者血清等の検体を臨床情報と紐づけて解析、血中miRNAをマーカーとした検査システムの開発に取り組んできた。miRNA、13がん種について高い感度で診断可能なことを確認 日本人に多い13種類のがん(胃がん、大腸がん、食道がん、膵臓がん、肝がん、胆道がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、神経膠腫、肉腫)をターゲットとして、対照群を含めて約5万3,000検体(2019年2月現在)が解析された。その結果、たとえば乳がんの場合、5つのmiRNAの組み合わせによって、感度97%/特異度92%で診断できることが確認された1)。「特異度92%というのは、乳がんではない100人のうち、8人が乳がんと診断される(偽陽性)ということ」と落谷氏。「100%でない限り、もちろん過剰診断には留意しなければならない。しかし非侵襲的であることも含め、次の検査につなげる早期のスクリーニングツールとしては、非常に有力だといえる」と話した。 その他、卵巣がん(感度99%/特異度100%)2)、膵がん(98%/94%)、大腸がん(99%/89%)、膀胱がん(97%/99%)3)、前立腺がん(96%/93%)など、いずれもmiRNAのマーカーとしての高い感度が確認されている。miRNAは認知症や脳卒中のマーカーとしても有望 これらの研究成果をもとに、現在4社が実用化に向けて開発を進めている。血液検体から13種類のがんを全自動で検出するための機器、検査用試薬や測定キットなどが開発中だという。また、今回の研究結果とこれまでのmiRNA関連の研究結果を機械学習に入れ込み、全部で2,655種類あるmiRNAの中から、現状では、およそ500種類程度をチェックするがんの診断モデルが構築されている。このモデルは、判別精度をより高めるためのブラッシュアップが続けられているという。 miRNAはエクソソームに内包されており、エクソソームは分泌元となる細胞の特徴を反映することから、がん以外の疾患のマーカーとしても活用が期待される。本プロジェクトではすでに、認知症と脳卒中で有望な結果がでている。認知症では、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体認知症をmiRNAは高感度で判別した。また、症例数が少ないデータではあるが、軽度認知機能障害32例で、半年後の認知症への進行の有無が100%の確率で予測されている4)。さらに、これまで有力なマーカーが確認されていない脳卒中のリスクマーカーとしてもmiRNAは有用であることが確認され、近く発表が予定されている。(2019年12月25日 記事の一部を修正いたしました)

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結核治療、スマホによる監視が有望/Lancet

 直接監視下治療(DOT)は、1990年代初頭から結核の標準治療とされるが、患者や医療サービス提供者にとっては煩雑である。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAlistair Story氏らは、スマートフォンを利用するビデオ監視下治療(VOT)はDOTよりも有効であり、簡便で安価な結核治療の監視アプローチであることを示した。WHOは、2017年、DOTの代替法としてVOTを条件付きで推奨したが、無作為化対照比較試験がほとんどないためエビデンスのグレードは低いという。Lancet誌オンライン版2019年2月21日号掲載の報告。イングランドの22施設が参加、治療監視の完遂率を比較 本研究は、VOTのDOTに対する優越性の検証を目的とする解析者盲検無作為化対照比較試験であり、2014年9月~2016年10月の期間にイングランドの22施設で患者登録が行われた(英国国立健康研究所[NIHR]の助成による)。 対象は、年齢16歳以上、肺または肺外の活動性結核に罹患し、各施設の規定でDOTが適格と判定された患者であった。スマートフォンの充電設備がない患者は除外された。 被験者は、VOT(毎日、スマートフォンのアプリケーションを用いて遠隔監視を行う治療)またはDOT(週に3~5回、自宅、地域[薬局など]または診療所で直接監視下に行う治療)を受ける群に無作為に割り付けられた。DOTでは、医療従事者などが治療の監視を行い、患者は毎日、自分で薬剤を投与した。VOTは、ロンドンからの集中型の医療サービスにより提供された。 VOTでは、患者が動画を撮影して送信し、研修を受けた治療監視者が、パスワードで保護されたウェブサイトを介してこれらの動画を評価した。また、患者は、動画で薬剤の有害事象を報告するよう奨励された。スマートフォンとデータプランは担当医から無料で提供された。 主要アウトカムは、試験登録から2ヵ月の期間における予定された治療監視の80%以上の完遂とした。intention-to-treat(ITT)解析および限定解析(1週間以上の監視が行われた患者のみを含む)を行った。ITT解析:70% vs.31%、限定解析:77% vs.63% 226例が登録され、VOT群に112例、DOT群には114例が割り付けられた。全体として、英国以外の国で出生した若年成人が多かった。また、ホームレス、禁固刑、薬物使用、アルコールや精神的健康の問題の経歴を持つ患者の割合が高かった。1週間以上の監視を完遂した患者は、VOT群が101例(90%)と、DOT群の56例(49%)に比べ多かった。 ITT解析では、2ヵ月間に予定された治療監視の80%以上を完遂した患者の割合は、VOT群が70%(78/112例)と、DOT群の31%(35/114例)に比べ有意に良好であった(補正後オッズ比[OR]:5.48、95%信頼区間[CI]:3.10~9.68、p<0.0001)。 限定解析でも、80%以上を完遂した患者は、VOT群が77%(78/101例)であり、DOT群の63%(35/56例)と比較して有意に優れた(補正後OR:2.52、95%CI:1.17~5.54、p=0.017)。 VOT群は、試験期間を通じて80%以上の完遂率が高い状態が継続したが、DOT群は急速に低下した。また、最長6ヵ月の全フォローアップ期間における予定監視の完遂率は、VOT群が77%(1万2,422/1万6,230件)であったのに対し、DOT群は39%(3,884/9,882件)と、有意な差が認められた(p<0.0001)。限定解析でも、VOT群が有意に良好だった(83% vs.61%、p<0.0001)。 有害事象は、VOT群の32例から368件、DOT群の15例から184件が報告された。両群とも胃痛・悪心・嘔吐の頻度が高く、VOT群で16例(14%)、DOT群では9例(8%)に認められた。 1回の投与に要する時間は、医療サービス提供者および患者ともVOT群のほうが短く、患者1例当たりの6ヵ月間の費用はVOT群のほうが低額であった。 著者は、「VOTは、さまざまな状況にある多くの患者にとってDOTよりも好ましく、薬剤投与の監視において受け入れやすく有効であり、より安価な選択肢となる可能性がある」としている。

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GLP-1分泌をより増加させる食事/糖尿病学の進歩

 食事内容の選択や食事量を考えることは重要である。同様に “食べるタイミング”も吸収時間の影響から注目されているが、実は、体内物質の分泌が深く関わっているという。2019年3月1~2日に第53回糖尿病学の進歩が開催され、田中 逸氏(聖マリアンナ医科大学代謝・内分泌内科教授、糖尿病センター長)が「GLP-1に着目した食事療法の時間代謝学を考える」と題して講演した。食事時間とGLP-1を考える 糖尿病食事療法の基本は個別的に適正な総エネルギー量と栄養バランスである。田中氏は「そこに、時間の概念を取り入れた代謝学(食事の時刻、摂食速度、食べる順序など)を実践することも大切」とし、「Second and third meal phenomenonには、GLP-1が関与している」と、GLP-1と食事療法の深い関わりを作用機序から提唱した。 GLP-1には、インスリン分泌促進やグルカゴン分泌抑制以外にも、脂肪分解や脂肪肝の減少を促進したり、心機能を保護したりする効果がある。また、SGLT2阻害薬とは異なり、GLP-1は骨格筋における筋組織の血流増加やGLUT4の発現増加を促し、脂肪異化は促進するものの筋肉異化は起こさない。これより、「脂肪は落としたいけど筋肉は維持させたい患者に対しても効果がある」と、GLP-1がサルコペニアの観点からも有用であることを示した。GLP-1の分泌を促す食事とは? GLP-1は小腸下部のL細胞と呼ばれる細胞に存在し、ブドウ糖やタンパク質、脂肪など様々な食事成分の刺激を受けて分泌が促されるものであり、普通に食事をとっても分泌される。そこで、同氏はそのメカニズムを有効活用すべく「さらに分泌量を増加させる食事のとり方」について、2008年に発表されたDIRECT試験における地中海式ダイエットを用いて解説。地中海式料理はオリーブオイル、魚介類、全粒穀物、ナッツ、ワインなどを多く含むのが特徴的で、これらには1)一価飽和脂肪酸、2)多価不飽和脂肪酸、3)食物繊維が豊富である。同氏は、“先生方から地中海式料理とはなにか?”という質問をよく受けるそうだが、「上記3つの栄養素を多く含みGLP-1の分泌を高める食事」と答えているという。朝食がGLP-1分泌に重要 インスリンの働きを妨害する因子である遊離脂肪酸(FFA:free fatty acid)は朝食前に最も高値を示す。そのため、朝食後は血糖値も上昇する。しかし、2回目の食事となる(1日3食きちんと食べている場合)昼食時には、朝食後に追加分泌されたインスリンのおかげでFFAが低下し、インスリンの効きが良くなっているため、食後血糖値の上昇が抑えられる。ところが、朝食をとらずに昼食をとると、FFAは高値のままであるため、食後血糖値が上昇してしまう。また、糖尿病患者の多くはインスリン分泌速度が遅いが、朝に分泌されたGLP-1が昼食時のインスリン分泌速度を高めるという研究1)結果もある。これを踏まえ、「朝食の摂取が昼食前と夕食前のGLP-1濃度を上昇させ、昼食後、夕食後のインスリン分泌も速める。したがって、昼食後と夕食後の血糖値改善のためにも朝食をとるのは重要である」と同氏は朝食の重要性を強調した。GLP-1濃度と朝食後の血糖上昇抑制の関係 朝食をとることで昼食前と夕食前のGLP-1濃度がかさ上げされることは前述の通りである。ここで“朝食前の時点からすでにGLP-1が高ければさらに有利では?”という疑問が湧いてくるのではないだろうか?朝食後の血糖改善には乳清タンパク(whey protein)が効果的であるという報告2)がある。乳清タンパクは牛乳内に20%程度含まれている物質で、これをSU剤もしくはメトホルミン服用中の2型糖尿病患者を対して、朝食30分前に50g投与したところ、朝食前からインスリンや活性型GLP-1の分泌量が上昇して血糖が改善した。また、ほかの試験報告3)からは、朝食中より朝食前の摂取が効果的であることも明らかになった。 朝食前の乳清タンパク摂取の効果は今後さらに検討する必要がある。最近の同氏の検討では、『もち米玄米』などの全粒穀物を日々の食事に取り入れることも朝食前のGLP-1を上昇させる可能性があるという。 最後に、同氏は「食事療法の基本は適正なエネルギー量と適正な栄養素のバランスであるが、GLP-1など体内ホルモンの分泌量をより増加させることも重要と考えられる。その意味でも朝食をしっかり摂取することが、昼食・夕食時の血糖上昇に影響を及ぼし、1日の血糖改善につながる」と締めくくった。

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超急性期に脳卒中が疑われる患者に対する搬送中の経皮型ニトロは機能的転帰を改善しない(中川原譲二氏)-1014

 高血圧は急性期脳卒中によくみられ、不良なアウトカムの予測因子である。大規模な降圧試験でさまざまな結果が示されているが、超急性期の脳卒中に関する高血圧のマネジメントについては不明なままだった。著者らは、経皮型ニトログリセリン(GTN)が、発症後超早期に投与された場合に、転帰を改善するかどうかについて検討した。90日後の修正Rankin Scaleスコアを評価 研究グループ「The RIGHT-2 Investigators」は多施設共同の救急隊員による救急車内でのシャム対照無作為化試験を行った。被験者は、4時間以内に脳卒中を発症したと考えられ、FAST(face-arm-speech-time)スコアは2または3、収縮期血圧値が120mmHg以上の成人だった。被験者を無作為に2群に分け、GTN群には経皮型GTNを投与し(5mg/日を4日間)、シャム群にはシャム処置を、いずれも救急隊員が開始し、病院到着後も継続した。救急隊員は治療についてマスキングされなかったが、被験者はマスキングされた。主要アウトカムは、90日後の7段階修正Rankin Scale(mRS)による機能的アウトカムのスコアだった。評価は治療についてマスキングされた追跡調査員が電話で行った。分析は段階的に行い、まずは脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)と診断された患者について(コホート1)、次に被験者全員を対象に無作為化した患者について行った(コホート2)。機能的転帰に有意差なし、死亡や重大有害イベントも低下せず 試験は、2015年10月22日~2018年5月23日にかけて、英国8ヵ所の救急車サービス拠点から救急隊員516人、被験者数1,149例(GTN群は568例、シャム群581例)が参加して行われた。無作為化までの時間の中央値は71分(IQR:45~116)。被験者のうち虚血性脳卒中を発症したのは52%(597例)、脳内出血は13%(145例)、TIAは9%(109例)、脳卒中類似症例は26%(297例)だった。GTN群の入院時点の血圧値はシャム群と比べて、収縮期血圧値が5.8mmHg(p<0.0001)、拡張期血圧値が2.6mmHg(p=0.0026)、それぞれ低かった。コホート1において、最終的に脳卒中またはTIAと診断された被験者におけるmRSスコアに有意差はみられなかった。GTN群の同スコアは3(IQR:2~5)、シャム群も3(同:2~5)、不良なアウトカムに関する補正後commonオッズ比(acOR)は1.25(95%信頼区間[CI]:0.97~1.60)で、両群間に有意差はみられなかった(p=0.083)。コホート2でも、GTN群のmRSスコアは3(同:2~5)、シャム群も3(同:2~5)で、acORは1.04(95%CI:0.84〜1.29)と同等だった(p=0.69)。死亡(治療関連の死亡:GTN群36例vs.シャム群23例、p=0.091)や重大有害イベント(188例vs.170例、p=0.16)といった副次的アウトカムも、両群で差はみられなかった。本研究での降圧効果は、十分であったか? 本研究では、脳卒中が疑われる患者に対する搬送中の経皮型ニトログリセリン(GTN)の投与は、機能的アウトカムを改善しないことが示された。死亡率や重大有害イベントの発生リスクも低減しなかった。患者の登録時の収縮期血圧値が平均163mmHg前後、拡張期血圧値が平均92mmHg前後であり、GTN群ではシャム群に比較して、収縮期血圧値で5.8mmHg、拡張期血圧値で2.6mmHg低下しているが、この程度の血圧低下では、機能的転帰は改善しないとも考えられる。層別解析では、登録時の収縮期血圧値が、140mmHg以下の2群間で、GTN群の転帰がやや良好な傾向がみられるため、超急性期における降圧のさらなる強化療法について、検討の余地があると思われる。

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