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アテゾリズマブ、NSCLCの4剤併用、小細胞がんの1次治療【侍オンコロジスト奮闘記】第69回

第69回:アテゾリズマブ、NSCLCの4剤併用、小細胞がんの1次治療キーワードIMpower133IMpower150アテゾリズマブ動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.こんにちは。ダートマス大学腫瘍内科の白井敬祐です。こちら、今年は11月の中旬ぐらいから雪が降って、かなり寒くなりました(このビデオは2018年12月に収録されたものです)。華氏で2度ですから、摂氏にするとマイナス10度以下、もう12月に入って早々にそういう時期があって、相変わらずフロントガラスの内側に張ってる氷を削って帰るとようなことをしています。IMpower、アテゾリズマブのグループで、カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ+アテゾリズマブが、12月6日、FDAで認可になりました(わが国でも2018年12月に承認となりました)。4剤併用でしかもタキソールはまだ3時間かけての点滴がスタンダードになっているので、かなり長時間になると思うんですけども、1つオプションができたかと。どういうときに使えるのか考えたんですけど、例えば腎機能が悪くてペメトレキセドが使えないとか、そういう方には使える可能性があると思います。あと、パクリタキセルは薬自体が安いので、4剤になるといくらなのか計算したことないのですが、そういう方にもオプションはあるのかなと思いました。この4剤はサブセット解析でEGFR陽性あるいはALK陽性肺がんで2ndラインに使ったときにアテゾリズマブを加えた群の方が、加えない群よりも差があったということが報告されたんですけど、EGFR陽性群あるいはALK陽性群に、どのような形でチェックポイントインヒビターが使えるかというのは、今後も興味があるところです。頻度は低いですけれども、効く人もいるので、その効く方をどのようにして選択しいくかというのが課題になると思います。小細胞がんの話題なんですけども、プラチナとエトポシドの組み合わせが、長い間スタンダードになっていたんですが、プラチナ+エトポシド+アテゾリズマブですね、抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブを加えた群がOverall Survivalを有意に延長するということが、ニューイングランドジャーナルに報告になりました。Overall Survivalは、12.3ヵ月vs.10.3ヵ月と比較的メリットになる期間は短めなんですけれども、ここ20~30年で初めてSmall Cellの1stラインの治療が変わるかもしれないということで、非常に注目を集めています。興味のあるところは、効いた患者さんが、どの程度効果が持続するのか、チェックポイントインヒビターのSustainabilityに興味がありますが、まだ長期の結果は報告されていないようです。いずれにしても10ヵ月から12.3ヵ月になったというのは、画期的なことです。僕は使ったことはないんですけれども、ほかの大きながんセンターの友人に聞くと、1stラインで使いだした、と言っていました。また実際使った時の経験なども報告できれば良いかなと思っています。Socinski MA, et al. Atezolizumab for First-Line Treatment of Metastatic Nonsquamous NSCLC.N Engl J Med. 2018;378:2288-2301.FDA approves atezolizumab with chemotherapy and bevacizumab for first-line treatment of metastatic non-squamous NSCLCアテゾリズマブ、NSCLCへの1次治療に国内承認Leora Horn, et al.First-Line Atezolizumab plus Chemotherapy in Extensive-Stage Small-Cell Lung Cancer.N Engl J Med.2018;379:2220-2229.vvvv

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第8回 冬の救急編:心筋梗塞はいつ疑う!?【救急診療の基礎知識】

12月も終盤。最近では都内も一気に冷え込んできました。毎朝布団から出るのが億劫になってきた今日この頃です。救急外来では急性冠症候群や脳卒中の患者数が上昇しているのではないでしょうか?ということで、今回は冬に多い疾患にフォーカスを当てようと思います。脳卒中は第5回までの症例で述べたため、今回は急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)に関して、初療の時点でいかにして疑うかを中心に考えていきましょう。●今回のPoint1)胸痛を認めないからといって、安易に否定してはいけない!?2)急性冠症候群?と思ったら、常に大動脈解離の可能性も意識して対応を!?3)帯状疱疹を見逃すな! 必ず病変部を目視し、背部の観察も忘れるな!?はじめに急性冠症候群は、冠動脈粥腫の破綻、血栓形成を基盤として心筋虚血を呈する症候群であり、典型例は胸痛で発症し、心電図においてST上昇を認めます(ST-elevation myocardial infarction:STEMI)。典型例であれば誰もが疑い、診断は容易ですが、そればかりではないのが現実です。高感度トロポニンなどのバイオマーカーの上昇を認めるものの、ST変化が認められない非ST上昇型心筋梗塞(non-ST elevation myocardial infarction:NSTEMI)、バイオマーカーの上昇も伴わない不安定狭心症(unstable angina pectoris:UAP)の診断を限られた時間内で行うことは難しいものです。さらに、胸痛が主訴であれば誰もがACSを疑うとは思いますが、そうではない主訴であった場合には、みなさんは疑うことができるでしょうか。STEMI患者であれば、発症から再灌流までの時間を可能な限り短くする必要があります。そのためには、より早期に疑い対応できるか、具体的にはいかにして疑い心電図をとることができるかがポイントとなります。今回はその辺を中心に一緒に考えていきましょう。急性冠症候群はいつ疑うべきなのか?胸痛を認める場合「胸痛を認めていれば10分以内に心電図を確認する」。これは救急外来など初療に携わる人にとって今や常識ですね。痛みの程度がたいしたことがなくても、「ACSっぽくないなぁ」と思っても、まずは1枚心電図検査を施行することをお勧めします。何でもかんでもというのは、かっこ悪いかもしれませんが、非侵襲的かつ短時間で終わる検査でもあり、行うことのメリットが大きいと考えます。胸痛を認めACSを疑う患者においては、やはり大動脈解離か否かの鑑別は非常に重要となります。頻度は圧倒的にACSの方が多いですが、忘れた頃に解離はやってきます。まずはシンプルに理解しておきましょう。突然発症(sudden onset)であった場合には、大動脈解離をまず考えておいたほうがよいでしょう。ACSも急性の胸痛を自覚することが多いですが、大動脈解離はそれ以上に瞬間的に痛みがピークに達するのが一般的です。数秒内か数分内かといった感じです。「なんだか痛いな、いよいよ痛いな」というのがACS、「うわぁ!痛い!」というのが解離、そんな感じでしょうか。皮膚所見は必ず確認ACSを数時間の診療内にカテーテル検査を行わずに否定することは意外と難しく、HEART score(表1)1)などリスクを見積もるスコアリングシステムは存在しますが、低リスクであってもどうしても数%の患者を拾いあげることは難しいのが現状です。しかし、胸痛の原因となる疾患がACS以外に確定できれば、過度にACSを心配する必要はありません。画像を拡大する画像を拡大する高齢者の胸痛の原因として比較的頻度が高く、発症時に見逃されやすい疾患が帯状疱疹です。帯状疱疹は年齢と共に増加し、高齢者では非常に頻度の高い疾患です。痛みと皮疹のタイムラグが数日存在(長ければ1週間程度)するため、発症時には皮疹を認めないことも多く診断では悩まされます。胸痛患者では心電図は必須であるため、胸部誘導のV6あたりまでは皮膚所見が勝手に目に入ってくるとは思いますが、背部の観察もきちんと行っているでしょうか。観察を怠り、ACSの可能性を考えカテーテル検査が行われた症例を実際に耳にします。皮疹がまったくない状態でリスクが高い症例であれば、カテーテル検査を行う状況もあるかもしれませんが、明らかな皮疹が支配領域に認められれば、帯状疱疹を積極的に疑い、無駄な検査や患者の不安は回避できますよね。疼痛部位に加えて、神経支配領域(胸痛であれば背部、腹痛であれば背部に加え臀部)は必ず確認する癖をもっておくとよいでしょう。胸痛を認めない場合ACSを疑うことができなければ、心電図をオーダーしないでしょう。いくら高感度トロポニンなど有効なバイオマーカーが存在していても、フットワークが軽い循環器医がいても、残念ながら目の前の患者さんを適切にマネジメントできないのです。胸痛を認めない患者とは(1)高齢、(2)女性、(3)糖尿病、これが胸痛を認めない心筋梗塞患者の3つの代表的な要素です。2型糖尿病治療中の80歳女性の約半数は痛みを認めないのです2,3)。これがわずか数%であれば、胸痛がないことを理由にACSを否定することが可能かもしれませんが、2人に1人となればそうはいきません。3大要素以外には、心不全や脳卒中の既往症がある場合には、痛みを認めないことが多いですが、これらは普段のADLの低下や訴えが乏しいことが理由でしょう。既往症から心血管系イベントのリスクが高い患者ということが認識できれば、虚血性病変を疑い対応することが必要になります。胸痛以外の症状無痛性心筋梗塞患者の入口はどのようなものでしょうか。言い換えれば、胸痛以外のどのような症状を患者が訴えていたら疑うべきなのでしょうか。代表的な症状は表2のとおりです。これらの症状を訴えて来院した患者において、症状を説明しうる原因が同定できない場合には、ACSを考え対応する必要があります。65歳以上の高齢者では後述するcoronary risk factorが存在しなくても心筋梗塞は起こりえます。年齢が最大のリスクであり、高齢者ではとくに注意するようにしましょう。画像を拡大するたとえば、80歳の女性が嘔気・嘔吐を主訴に来院したとしましょう。バイタルサインは意識も清明でおおむね安定しています。高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症の指摘を受け内服加療中です。さぁどのように対応するべきでしょうか。そうです、病歴や身体所見はもちろんとりますが、それと同時に心電図は一度確認しておきましょう。症状が数日持続している、食欲は通常どおりあるなど、ACSらしくないなと思ってもまずは1枚心電図を確認しておくのです。入口を広げると、胸痛ではなく失神や脱力、冷や汗などを認める患者においても「ACSかも!?」と思えるようになり、「胸痛はありませんか?」とこちらから問診できるようになります。患者は最もつらい症状を訴えるのです。胸痛よりも嘔気・嘔吐、脱力や倦怠感が強ければ、聞かなければ胸痛を訴えないものなのです。Coronary risk factorACSを疑った際にリスクを見積もる必要があります。冠動脈疾患の家族歴、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙者、慢性腎臓病などはリスクであり、必ず確認すると思いますが、これらをすべて満たさない場合にはACSは否定してよいのでしょうか。答えは「No」です。 年齢が最大のリスクであり、65歳以上の高齢者では、前述したリスクファクターのどれも該当しなくても否定してはいけません。逆に40~50代で該当しなければ、可能性はきわめて低くなります。ちなみに家族歴はどのように確認していますか? 「ご家族の中で心筋梗塞や狭心症などを患った方はいますか?」と聞いてはいませんか。この問いに対して、「私の父が80歳で心筋梗塞にかかった」という返答があった場合に、それは意味があるでしょうか。わが国における心筋梗塞の平均発症年齢は、男性65歳、女性75歳程度です。ですから年齢を考慮すると心筋梗塞にかかってもおかしくはないなという、少なくともそれによって診療の方針が変わるような答えは得られませんね。ポイントは「若くして」です。先ほどの問いに対して「私の父は50歳で心臓の病気で亡くなりました」や、「私の兄弟が43歳で数年前に突然死して、不整脈が原因と言われました」といった返答があれば、今目の前にいる患者さんがたとえ若くても、家族歴ありと判断し、慎重に対応する必要があるのです。さいごに胸痛を認めればACSを疑い、対応することは誰もができるでしょう。しかし、そもそも疑うことができず、診断が遅れてしまうことも一定数存在するはずです。高齢者では(とくに女性、糖尿病あり)、入口を広げること、そして帯状疱疹に代表される心筋梗塞以外の胸痛疾患もきちんと鑑別に挙げ、対応することを意識してください。次回は、意識障害のピットフォールに戻り、アルコールによる典型的な意識障害のケースを学びましょう。1)Poldervaart JM, et al. Ann Intern Med. 2017;166:689-697.2)Canto JG, et al. JAMA. 2000;283:3223-3229.3)Bayer AJ, et al. J Am Geriatr Soc.1986;34:263-266.

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成人のワクチンキャッチアップの重要性

講師2018年、大都市を中心に風疹が流行し、感染者は2,586人(12月12日現在)と報告されています。前回の流行が始まった2012年の2,386人をはるかに超え、2013年は14,344人であったことから、今回の流行も2019年にはさらに拡大することが予測されています。感染者の多くは、風疹ワクチンを受けていない30~50代の男性となっており、予防接種歴は「なし」(648人:25%)あるいは「不明」(1,765人:68%)が93%を占めています1)。現在の風疹の感染拡大を防止するためには、30~50 代の男性に多い感受性者(風疹にかかったことがなく、風疹含有ワクチンを受けていない者)を早急に減らす必要があり、厚生労働省は 2019年度から3年をかけて、これまで風疹のワクチンを受ける機会がなかった1962年(昭和 37 年) 4 月 2 日~1979年(昭和 54 年) 4 月 1 日生まれの男性(現在 39~56 歳)を対象に、風疹の抗体検査を前置きしたうえで、定期接種を行うことを発表しました。なぜワクチン接種にばらつきがあるのか大人に必要なワクチンは、その理由によって表のように分類できます。風疹はこの(4)「ワクチンはあったが、当時の定期接種スケジュールによって、現在の必要な回数に満たないもの」に該当します。風疹ワクチンの定期接種の歴史は、まず、1977年8月~1995年3月までは中学生の女子のみが対象となり、1989年4月~1993年4月までは、麻疹ワクチンの定期接種の際に、麻疹・おたふくかぜ・風疹混合(MMR)ワクチンが選択可能となりました(対象は生後12ヵ月以上72ヵ月未満の男女)。1995年4月からは生後12ヵ月以上90ヵ月未満の男女(対象は生後12ヵ月~36ヵ月以下)に変更され、経過措置として12歳以上~16歳未満の中学生男女も定期接種の対象となりました。2001年11月7日~2003年9月30日までの期間に限って、1979年4月2日~1987年10月1日生まれの男女は経過措置分として定期接種可能に。2006年度からは麻疹・風疹混合(MR)ワクチンが定期接種に導入され、1歳と小学校入学前1年間の2回接種となり、2008~12年度に中学1年生あるいは高校3年生相当年齢を対象に、2回目の定期接種がMRワクチンで行われました。現在は男女共に定期接種2回となっています(図)。今、風疹の予防にはワクチンの2回接種が必要ですが、上記のように、過去の定期接種のスケジュールによって、ワクチン未接種または1回接種のみのために感受性者が多く残っています。これが感染の原因となっているため、感染予防には感受性者を減らすために成人へのワクチンが必要となります。具体例で検討してみると前述の表の例を挙げます。(2)「幼少期にはワクチンがなくて、打つ機会がなかったもの」たとえば破傷風ワクチンが該当します。破傷風ワクチンは1969年4月に定期接種を開始しており、1968年以前の生まれの人は定期接種の機会がなかった世代であり、最近、高齢者の破傷風感染が報告されています。とくに土から感染するため、ガーデニングや水害などで罹患者が増加します。土に触れる機会がある場合は接種推奨が必要です。(3)「幼少期にワクチンがあり、接種の機会もあったが、現在の必要な回数に満たないもの」この例では麻疹ワクチンがあります。ワクチン接種率が上昇して麻疹の罹患者が減ると、ワクチンによってできた免疫が刺激されなくなります。そのため、免疫は徐々に低下し、麻疹の罹患者が増えていきます。2007年の麻疹の流行はこれが原因でした。その結果、定期接種回数が1回から2回に変更されています。風疹も同じ理由のため、接種回数が1回から2回に増えています。(5)「成人のある年齢になってから接種するワクチン」この例では成人肺炎球菌ワクチン(PPSV23)、インフルエンザワクチンが定期接種になっています。また、定期接種にはなっていませんが、50歳以降に帯状疱疹予防のため水痘ワクチンが推奨されています。ワクチンがとくに必要な人ワクチン接種の記録である母子手帳を持っている成人は多くなく、過去の接種歴を確認することは容易ではありません。しかし、定期接種の歴史からみて不足しているワクチンについては、下記の参考サイトをご参照のうえ、必要な人には接種を推奨していただきたいと思います2,3)。とくに妊婦(妊娠を希望する女性)、基礎疾患のある人、医療従事者、海外渡航前などは、ワクチン接種歴を必ず確認する必要があります。不足しているものがあれば接種を推奨し、感染を予防することが肝要です。日本から風疹を排除するためにはじめにも書いたとおり、風疹の感染拡大を防止するためには、30~50代の男性に多い感受性者を早急に減らす必要があり、この世代へのワクチンを徹底するしかありません。政府はこの世代を定期接種にすることを決めましたが、対象者が確実に接種する環境が必要です。今年感染した人のほとんどが会社員でしたが、定期接種で無料になっても、勤務中に抗体検査やワクチンを打ちにいく時間が取れなかったり、MRワクチンは小児の定期接種のため、かかりつけの内科にワクチンが常備されていなくて接種しにくいことが考えられます。そのため、会社の中で接種できたり、仕事中にワクチンを受けにいけたりといった受けやすい環境整備のために企業の協力が必要ですし、内科のような成人を対象とする診療科でもMRワクチンを接種しやすくすることが大事です。ワクチン接種を希望する大人が接種しやすい環境を作ることは、VPD(Vaccine Preventable Diseases:ワクチンで防げる病気)を減らすために、今後ますます必要になってきます。●参考1)国立感染症研究所ホームページ「風疹流行に関する緊急情報:2018年12月12日現在」2)こどもとおとなのワクチンサイト「年齢でみる不足している可能性があるワクチン」3)こどもとおとなのワクチンサイト「全年齢(0歳~成人)ワクチン接種スケジュール」●予告来春より、ワクチン接種に関するコンテンツがスタートします。将来の疾病を防ぐために接種しておくべきワクチンの必要性を、家庭医、感染症専門医など、多彩なエキスパートを執筆陣に迎えお届けします。コンテンツでは、次のサイトと連動して情報をお伝えしていきます。ぜひ、ご参照ください。こどもとおとなのワクチンサイト

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急性膵炎手術で患者に優しいステント

 11月28日、 ボストン・サイエンテフィックジャパン株式会社は、同社の“Hot AXIOS”システムの新製品発表に合わせ、都内でセミナーを開催した。 セミナーでは、同器具発売による手術へのインパクト、今後の展望についてレクチャーが行われた。医療現場のニーズに応えた国内初の専用デバイス はじめに同社の前田 卓治氏(エンドスコピー事業部マーケティング部)が、Hot AXIOSシステムの概要を述べた。 このシステムは、急性膵炎に伴う局所合併症治療を目的とした専用デバイスの総称で、適用疾患は「膵仮性嚢胞」と「被包化壊死」となる。具体的には、内視鏡的壊死組織除去術(ネクロセクトミー)の実施を目的とした瘻孔形成補綴材であり、超音波内視鏡下で経消化管(胃または十二指腸)的に消化管壁と嚢胞壁を引き寄せて瘻孔を形成するデバイス。 治療では、この瘻孔をアクセスポートとして、ドレナージ、内視鏡挿入による壊死組織の除去、嚢胞内洗浄・観察を行うことができる。そして、Hot AXIOSシステムでは、従来別々のデバイスなどにより行われてきた瘻孔形成時の穿刺やガイドワイヤー留置や、ネクロセクトミー実施時のステント抜去などが短時間できるようになると説明した。患者の負担を軽減する待望のシステム つぎに糸井 隆夫氏(東京医科大学消化器内科学分野 主任教授)を講師に迎え、「急性膵炎後局所合併症に対する最新の治療と患者さんへの貢献」をテーマに、急性膵炎の診療の概要と本システムの意義についてレクチャーが行われた。 急性膵炎とは、膵液に含まれる消化酵素により膵臓自体が消化され、膵臓や関連する器官の急激な炎症が起こる疾患とされる。「お腹のやけど」とも言われ、重症例では、死亡率は10~30%にものぼる。男性ではアルコール性、女性では胆石性によるものが多く、患者数は増加傾向にあり、2011年の全国調査では年間6万3千人超の受療患者が推定されている。 本症で問題となるのは、急性膵炎後に合併症としてできる嚢胞であり、「仮性嚢胞」と「被包化壊死」の2種類がある。現在、「急性膵炎診療ガイドライン」では、この膵局所合併症に対する治療として、抗菌薬を使用する保存的治療とインターベンション治療(ドレナージおよびネクロセクトミー)が記載されている。 超音波内視鏡下のドレナージが再発率や安全性の面から優れている1)が、従来の器具では、ステントが2mm程度の大きさしかなく、数本を挿入する必要があったり、手技に時間を要したりと課題があり、以前から大口径ステントが望まれていたという。 そこで開発されたのが、ダンベル形の金属ステントのAXIOSステントである。「このステントを使用した本システムを使えば、約10分でステント留置ができ、難しい瘻孔拡張がすぐにでき、メリットも大きい」と同氏は期待を込めた。また、「システム化されたことで、穿刺からステント留置までワンステップかつ短時間ででき、患者にも優しい治療ができる。ステントを取り付け、退院してもらい経過観察をしつつ治療をすることもできるし、外すのも簡単にできる」とその使用感を同氏は語った。 本システムは、日本内視鏡学会より医療ニーズの高い医療機器として要望書がだされ、2017年10月に薬事承認された。使用に際しては、講習プログラムを修了した医師による使用などの条件が付されている。「今後、研修システムをわが国でいかに作るかが普及の鍵になる」と同氏は、課題を提起する。 最後に同氏は、「被包化壊死は、ドレナージでの寛解は難しく、壊死部位の除去にネクロセクトミーが必要となる。こうしたデバイスシステムの普及により開腹手術のリスクが減り、内視鏡下で簡便かつ確実に施術することは、治療成績の向上だけでなく、患者に優しい医療の実現ができる」と期待を述べ、レクチャーを終えた。●参考文献1)Vosoghi M,et al. MedGenMed. 2002;4:2.■参考ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社 ニュースリリース

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アテゾリズマブ、NSCLCへの1次治療に国内承認

 中外製薬株式会社は、抗PD-L1抗体アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)に関し、2018年12月21日、「化学療法未治療の扁平上皮を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺」に対する用法・用量の追加について厚生労働省より承認を取得した。 今回の承認は、国際共同第III相臨床試験(IMpower150試験)の成績に基づいている。IMpower150試験では、アテゾリズマブとベバシズマブおよび化学療法の併用により、ベバシズマブおよび化学療法の併用と比較し、統計学的に生存期間の有意な延長が認められた。アテゾリズマブの併用療法の安全性プロファイルは、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、本併用療法で新たな安全性のシグナルは確認されなかった。■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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コリンエステラーゼ阻害薬を使用した新規認知症患者における抗コリン作用の影響

 臨床試験において、コリンエステラーゼ阻害薬開始後の抗コリン作用性負荷と治療変容との関連を評価した研究は、ほとんどない。韓国・嶺南大学校のYoung-Mi Ah氏らは、認知症治療の変容、せん妄、死亡率に対する抗コリン作用性負荷の影響を評価するため、検討を行った。Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology誌オンライン版2018年12月3日号の報告。 韓国の国民健康保険サービスの高齢者コホートデータベース(Korean National Health Insurance Service Senior Cohort Database)より、2003~11年にコリンエステラーゼ阻害薬を開始した高齢者2万5,825例をレトロスペクティブに分析した。最初の3ヵ月間のAnticholinergic Cognitive Burden(ACB)の1日平均スコアが3超を、抗コリン作用性高負荷と定義した。治療変容、せん妄、死亡に対する抗コリン作用性高負荷の影響について、傾向マッチコホート7,438例におけるACB負荷最小群(ACBスコア1以下)との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・抗コリン作用性高負荷は、治療開始から最初の3ヵ月間で、認知症患者の約6.0%に認められた。・抗コリン作用性高負荷群は対照群と比較し、治療変容(34.9% vs.32.1%)、せん妄(5.6% vs.3.6%)、死亡(16.8% vs.14.1%)の割合が有意に高かった。・多変量Cox比例ハザード回帰分析では、最初の3ヵ月間でACB平均スコアが3超の集団には、治療変容リスク(ハザード比[HR]:1.12、95%信頼区間[CI]:1.02~1.24)、せん妄リスク(HR:1.52、95%CI:1.17~1.96)、死亡リスク(HR:1.23、95%CI:1.06~1.41)の有意な増加が認められた。 著者らは「抗コリン作用性高負荷は、コリンエステラーゼ阻害薬に対する治療反応に負の影響を及ぼし、ACB平均スコア3超が、認知症患者のせん妄および死亡の独立した予後因子であることが示唆された」としている。■関連記事認知症における抗コリン薬負荷と脳卒中や死亡リスクとの関連注意が必要、高齢者への抗コリン作用男性医師と女性医師によるコリンエステラーゼ阻害薬の処方実態比較コリンエステラーゼ阻害薬の副作用、全世界の報告を分析

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飛行機からの脱出、パラシュートの有効性をRCTで検証!?/BMJ

 航空機(飛行機またはヘリコプター)から飛び降りる際、パラシュートを使用しても死亡または重大な外傷は減少しない。米国・ハーバード大学医学大学院のRobert W. Yeh氏らが、無作為化試験「PARACHUTE試験」の結果を報告した。パラシュート使用の有効性を検証する初の無作為化試験であるが、実はこの試験、地上で静止している小さな航空機から飛び降りるもので、著者は、「介入の有効性に関して、無作為化試験を信頼していると、今回のような意図的な試験を行うこともできる」と述べ、「そういうわけで、結果を臨床診療に当てはめられるのか慎重に評価する必要があると示唆された」ことを試験の教訓としてまとめている。BMJ誌2018年12月13日号(クリスマス特集号)掲載の報告。パラシュート使用群と空のバックパック使用群に無作為化 研究グループは、2017年9月~2018年8月、自家用機または民間航空機の18歳以上の乗客92例について試験参加の有無に関するスクリーニングを行い、そのうち登録に同意した23例を、パラシュートを用いて航空機から飛び降りる介入群と、空のバックパックを用いて飛び降りる対照群に、非盲検下で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、着地時の死亡または重大な外傷(外傷重症度スコア[Injury Severity Score]15点以上)の複合エンドポイントであった。本試験の真の意味は? 対照群と比較し、介入群で死亡や重大な外傷の有意な減少は認められなかった(パラシュート群0% vs.対照群0%)。この結果は、複数のサブグループで一貫していた。 スクリーニングを受けたが登録に同意しなかった個人(非被験者)と比較して、試験への登録に同意した被験者は、有意に高度が低く(被験者:平均0.6m vs.非被験者:平均9,146m、p<0.001)、速度が遅い(同平均0km/h vs.平均800km/h、p<0.001)航空機に乗っていた。 これらの結果を踏まえて著者は、「本試験は、地上で静止している小さな航空機にのみ被験者を登録することが可能であり、本試験の結果を高高度からの飛び降りについて外挿することは慎重でなければならない」と述べている。

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飲酒運転、基準値下げても交通事故は減少せず/Lancet

 交通事故は世界中で公衆衛生上の大きな問題である。そのリスク因子として重要なのが死傷事故原因の大半を占める飲酒運転で、各国および司法権が及ぶ地域ではドライバーの血中アルコール濃度の規制が行われている。スコットランドでは、2014年12月5日に基準値が0.08g/dLから0.05g/dLへ引き下げられた。しかし、英国・グラスゴー大学のHoura Haghpanahan氏らが行った自然実験(natural experiment)の結果、規制変更によって、on-trade酒類(バーやレストランなどの飲食店)からの1人当たりのアルコール消費量はわずかに減少したが、交通事故減少は認められなかったという。著者は、「取り締まり(検問による呼気検査など)が不十分であったことが1つ考えられるが、ドライバーの血中アルコール濃度を厳しく規制するのみでは、交通事故は減少しないことが示唆された」と指摘し、「今回の結果は、同様にドライバーへの規制強化を考える国々にとって重要な政策的意義を持つものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2018年12月12日号掲載の報告。基準値引き下げのスコットランドvs.未変更のイングランド・ウェールズ 研究グループは、スコットランドと、イングランドおよびウェールズ(対照群)の交通事故とアルコール消費量に関するデータを用い、分割時系列デザインによる観察比較研究を行った。警察の事故記録からの週間交通事故数を収集し、自動交通量計数装置からのデータを分母として交通事故率を算出するとともに、市場調査データからoff-trade(スーパーやコンビニなどの小売店)での1週間のアルコール消費量とon-tradeでの4週間のアルコール消費量を推定した。 主要評価項目は、スコットランドと対照群における週間交通事故発生率とした。2013年1月1日~2016年12月31日の期間で、1週間の交通事故発生率とアルコール消費量を評価した。血中アルコール濃度基準値の引き下げ前後で、交通事故発生率に変化なし スコットランドで血中アルコール濃度の規制が厳しくなった2014年12月5日の前と後で、週間交通事故発生率の有意な変化は、季節および時間的傾向で補正後(率比:1.01、95%信頼区間[CI]:0.94~1.08、p=0.77)も、季節、時間的傾向およびドライバーの年齢・性別・社会経済的貧困の補正後(率比:1.00、95%CI:0.96~1.06、p=0.73)も、確認されなかった。 ドライバーの血中アルコール濃度の規制が変更されていない対照群の週間交通事故発生率と比較し、スコットランドでの規制変更後の週間交通事故発生率は7%増加した(率比:1.07、95%CI:1.02~1.13、完全補正後モデルのp=0.007)。重大事故または死亡事故と、夜間の単一車両事故でも同様の結果が認められた。 スコットランドにおける規制変更と、客単価から換算した1人当たりのoff-tradeアルコール消費量(率比:-0.3%、95%CI:-1.7~1.1、p=0.71)との関連は確認されなかったが、on-tradeアルコール消費量は0.7%有意な減少が認められた(率比:-0.7%、95%CI:-0.8~-0.5、p<0.0001)。

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GIP/GLP-1受容体デュアルアゴニストLY3298176は第3のインクレチン関連薬となりうるか?(解説:住谷哲氏)-986

 インクレチンは食事摂取に伴って消化管から分泌され、膵β細胞に作用してインスリン分泌を促進するホルモンの総称であり、GIP(glucose-dependent insulinotropic polypeptide)とGLP-1(glucagon-like peptide-1)の2つがある。GIPおよびGLP-1は腸管に存在するK細胞、およびL細胞からそれぞれ分泌され、インスリン分泌促進以外の多様な生理活性を有している。しかしGIPは高血糖状態においてはインスリン分泌作用が弱いこと、脂肪細胞に作用して脂肪蓄積につながることから、現在はGLP-1のみがGLP-1受容体作動薬として臨床応用されている。しかし生理状態では両者は同時に分泌される、いわば双子の腸管ホルモンであり、この両ホルモンの受容体を同時に刺激する目的で開発されたのがGIP/GLP-1受容体デュアルアゴニストLY3298176である。 LY3298176はGIPに類似した39個のアミノ酸からなるポリペプチドであり、20番目のリジンに脂肪酸側鎖を結合することで週1回投与を可能とした。GIP受容体とGLP-1受容体の両者に高い親和性で結合して細胞内シグナル伝達を惹起することが基礎実験で確認されている1)。基礎実験から臨床への橋渡しとなるproof of concept試験をクリアした後に実施されたphase 2 trialが本試験である。プラセボ群に加えて、実薬群としてはすでに発売されているデュラグルチド1.5mgが用いられて、1mg、5mg、10mg、15mgの4用量が検討された。 26週にわたり血糖降下作用、体重減少作用に対する有効性、および有害事象を検討したが、その結果は非常にimpressiveであった。試験開始時の平均HbA1cは8.1%、BMIは32.6kg/m2であったが、15mg投与群におけるHbA1cの低下はプラセボ群と比較して-1.94%、デュラグルチド群と比較しても-0.73%であった。さらにデュラグルチド群の2%に対して、10mg投与群の18%、15mg投与群の30%は正常血糖値とされるHbA1c<5.7%を達成した。体重減少についてもデュラグルチド群の-2.7kgに対して、-11.3kgであった。予想されたように消化器系の有害事象は用量依存性に増加したが多くは一過性であった。また重症低血糖は1例もなかった。 LY3298176による血糖降下作用および体重減少作用が、GLP-1受容体またはGIP受容体のいずれを介した作用なのかは、本試験の結果からは明らかではない。デュラグルチド群と比較してLY3298176の作用はより強力であることからGIP受容体を介した作用がdominantであると考えるのが妥当と思われるが、これまでの報告ではGIPの単独投与による血糖降下作用および体重減少作用はこれほど著明ではない。いずれにせよ本薬剤の投与により30%の患者の血糖値がほぼ正常化し、著明な体重減少が得られた結果から、非常にpromisingな薬剤であり第3のインクレチン関連薬となりうる可能性は高い。やはり双子のインクレチンはtwincretinとして作用するのが本来の姿であるのかもしれない。

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1円でも黒字【Dr. 中島の 新・徒然草】(253)

二百五十三の段 1円でも黒字忘年会シーズン真っ盛り。ほとんどお酒を飲まない私も、いくつかの宴会に出席してきました。その1つで聞いた挨拶に心を打たれたので、ここに披露します。そのお言葉は某病院の院長先生からのもの。いつも面白い挨拶をするので定評のある先生で、その日も満を持して最後の登場です。院長「えー、病院経営にも何らかのスローガンが必要かと思いまして」一同「何だ、何だ!」院長「『1円でも黒字』、これが私のスローガンです」一同「何じゃ、そりゃ?」院長「1億だろうが、1円だろうが、黒字は黒字」一同「ガッハッハ」院長「あんなものは大学入試と同じで、たとえ1円でも黒字になったらエエんですわ」一同「そりゃそうだ」確かにその通り。たとえ1円といえども黒字は正義。壊れたトイレの修理を後回しにしたとしても、割れた窓ガラスをガムテープで応急処置したとしても、なんとか年度末を黒字で乗り切るための我慢と思えば職員にも納得してもらえるというものです。一同笑いながら感心することしきり。この院長先生はさらに秘策を伝授してくれました。院長「診療会議なんかをやってね、最後に『とにかく患者確保をよろしく』と締めくくる院長がいますけどね」一同「ふむふむ」院長「あれ、まったく効果ありません」一同「ほんまかいな」院長「じゃあ、私がどないして職員のヤル気を引き出しているかというとね」一同「知りたい、知りたーい」院長「電話ですわ、電話」一同「はあ?」院長「職員は誰でも何か1つくらいはエエとこがあるわけでしてね」一同「ふむふむ」院長「それを見つけてね、院長自ら電話して誉めるんですわ」一同「1人、1人にですか?」院長「そうです。『昨日の当直大変やったな。3人も入院させてくれてありがとう』とかね」一同「なるほど」院長「これは効果抜群でっせ!」確かに部長先生の「ありがとう」と院長先生の「ありがとう」ではまったく言葉の重みが違います。院長「うちみたいな規模の病院やったら職員全部で500人ほどですから、毎日1人ずつ電話して1周するのに3年かかりましたわ」一同「そこまでやるか?」院長「お蔭で今年も黒字でいけそうですわ。おおきにっ」一同「おおーっ!」ニコニコした表情の院長先生ですが、部下を叱責する役目は副院長先生あたりが押し付けられているんでしょうね。それにしても「1円でも黒字」。そのめでたい響きの前には、どんな苦しいことも吹っ飛んでしまいそうです。読者の先生方もぜひ、口に出して唱えてみて下さい。では、今年最後の1句黒字なら 1円なれども 大威張り皆さま、よいお年をお迎えください!

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第14回 妊娠中のカフェインはコーヒー何杯までなら許容範囲?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 カフェインは、コーヒー、紅茶、緑茶、コーラ、エナジードリンク、チョコレートなど多くの飲食物に含まれている、とても身近な食品成分です。しかし、カフェインには胎盤通過性と母乳移行性があることが知られていて、摂取により子供に重大な転機を招かないか不安に思われる方も多くいらっしゃいます。WHOのホームページを参照すると、300mg/日を超えるカフェインを摂取している妊婦に対しては、妊娠損失(流産、死産、子宮外妊娠、奇胎妊娠など)や低体重出生リスクを減らすため、摂取量を減らすことが推奨されています1)。同ページでいくつかそのエビデンスが紹介されていますが、その中にコクランのシステマティックレビューがあります2)。このレビューには、カフェイン摂取の有無が妊娠転帰に及ぼす影響を調べた2つのランダム化比較試験が組み入れられています。まず、妊娠20週未満の女性を、カフェイン入りインスタントコーヒーを1日当たり3杯以上(1杯当たりのカフェインは85~110mgと想定)飲む群(カフェイン群、568例)と、カフェイン非含有インスタントコーヒーを飲む群(デカフェ群、629例)に無作為に割り付け、カフェイン群では妊娠中期~後期にカフェイン摂取量を平均182mg/日に減らしています。その結果、平均出生体重はカフェイン群3,539g、デカフェ群3,519g(p=0.48)で、相対効果は20.0g(95%信頼区間[CI]:-48.68~88.68)と、出生児の体重へ有意な影響はないという結果でした。早産のアウトカムについて見てみると、カフェイン群4.2%(23/552例)、デカフェ群5.2%(31/601例)で、リスク比は0.81(95%CI:0.48~1.37)となっています。子宮内の胎児発育不全はカフェイン群4.5%(25/552例)、デカフェ群4.7%(28/598例)で、リスク比は0.97(95%CI:0.57~1.64)であり、いずれも300mg/日程度のカフェイン摂取では有意差はないという結果でした。カフェイン摂取量が100mg/日増えるごとに妊娠損失リスクが7%増一方で、高用量カフェインの摂取による児へのリスクを示唆する研究もあります。妊娠期における酒、タバコ、アルコール、カフェインなどの嗜好品摂取と児の致命的転機の関係について検討したシステマティックレビュー3)の中の、カフェインに関する5つの観察研究のメタ解析では、妊娠前のカフェイン摂取量が300mg/日(一般的なコーヒー500mL相当)超の群は、150mg/日未満の群と比較して、妊娠損失のリスク比が1.31(95%CI:1.08~1.58)でした。さらに高用量による観察研究がそれぞれ1件ずつ同レビューに入っており、リスク比はそれぞれ420mg/日超で6.11(95%CI:5.12~7.29)、900mg/日超で1.72(95%CI:1.00~2.96)でした。2016年に発表された妊娠中のカフェイン摂取について検討した14の研究(参加総数13万3,885例)を含むシステマティックレビュー4)でも、高用量のカフェイン摂取(350~699mg/日)で妊娠損失が増えています。まったくあるいはほとんどカフェインの摂取がない群に比べて、高用量摂取群では妊娠損失が40%増加(リスク比:1.4、95%CI:1.16~1.68)し、超高用量摂取群(700mg/日以上)では72%増加(リスク比:1.72、95%CI:1.40~2.13)していました。これは、カフェイン摂取量が100mg/日増えるごとに妊娠損失リスクが7%増えるという計算になります。カフェイン摂取量の推定が不正確だったり、リコールバイアスや発表バイアスが入っていたりする可能性はありますが、妊婦に対する調査での介入研究は倫理的な問題が生じやすいですし、方法論的に限界があるのはやむを得ないでしょう。いずれにしても妊娠中の高用量カフェイン摂取を踏みとどまらせるインパクトはあります。妊婦のカフェイン摂取目安はコーヒー3~4杯/日まで「カフェインを何mg」と言われてもイメージが湧きにくいですが、厚生労働省の『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』では下表のようになっています5)。妊娠中に摂取できるカフェイン量の目安は国によって異なりますが、200~300mg/日以下を目安としている国が多いです。玉露などカフェイン含有量が多い飲料なら200mL/日弱でも上限に達しますが、コーヒーであれば500mL/日までなら許容範囲内であり、WHOの妊婦に悪影響のないコーヒーの最大摂取量はマグカップ3~4杯までとなっています。他のカフェインを含む飲食物との兼ね合いもありますが、目安として知っておくとよさそうです。1)WHO Restricting caffeine intake during pregnancy2)Jahanfar S, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2015;6:CD006965.3)Lassi ZS, et al. Reprod Health. 2014;11 Suppl 3:S6. 4)Chen LW, et al. Public Health Nutr. 2016;19:1233-1244.5)厚生労働省 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~

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不整脈デバイスの感染防止に抗菌薬追加投与は有効か(PADIT試験)【Dr.河田pick up】

 植込み型の医療機器の感染は重大な結果へとつながりうる。心調律デバイスの場合、術前のセファゾリンが標準的な予防的抗菌薬であるが、デバイス感染症によくみられるメチシリン耐性グラム陽性球菌には有効でない。また、術中よく行われる抗菌薬によるポケット内の洗浄についても明確なエビデンスはない。この研究は、標準的なセファゾリンに加えて、周術期に抗菌薬を追加投与することの有効性を評価することを目的として行われた。なお、本研究のユニークな点は患者ではなく、施設ごとに無作為化を行っている点である。 Andrew D. Krahn氏らによるカナダとオランダで行われた多施設研究で、Journal of American College of Cardiology誌2018年12月号掲載の報告。クラスター無作為化クロスオーバー試験で抗菌薬追加投与の有効性を検討 筆者らは各施設を6ヵ月ごと、4つの群に割り当てるクラスター無作為化クロスオーバー試験を行った。期間中、各施設ではすべての植込み型心臓デバイス手技に対して標準的な抗菌薬もしくは周術期の抗菌薬の追加投与が行われた。標準的治療(セファゾリン術前投与) vs.追加抗菌薬の周術期投与 標準的治療群では術前にセファゾリンが投与され、 追加投与群では術前のセファゾリンに加えバンコマイシン、術中にバシトラシンによるポケット内洗浄、そして術後2日間の経口セファレキシンが投与された。主要評価項目は、ハイリスク患者群の1年間のデバイス感染に伴う入院で、階層ロジスティック回帰モデルにより評価され、無作為化クラスターとクラスター期間の影響が調整された。追加投与により感染症減少傾向がみられたが、有意な差ではなかった デバイス手技は28施設で1万9,603例の患者に行われ、そのうち1万2,842例はハイリスク患者であった。感染は標準的治療群で99例(1.03%)、追加投与群の78例(0.78%)で発生した (オッズ比: 0.77、95%信頼区間[CI]: 0.56~1.05、p=0.10) 。ハイリスク患者において、入院を伴う感染は標準的治療群で77例(1.23%)、追加投与群では66例(1.01%)で発生した(オッズ比: 0.82、95% CI: 0.59~1.15、p=0.26) 。サブグループ解析でも追加投与により有意に恩恵を受ける患者や施設の特徴は明らかにならなかった。想定よりも感染症発生率が低く、有意差に結びつかず 追加投与群で感染の減少傾向がみられたが、全体の感染症発生率が想定していたよりも低く、統計的な有意差には結びつかなかった。 クラスタークロスオーバーデザインを用いることで、効率的に抗菌薬の追加投与の有効性を調べることが可能であった。 術前に投与するセファゾリンに追加して抗菌薬を投与することによる心調律デバイス感染症の有意な減少は認められなかったが、感染の減少傾向は認められた。しかしながら、抗菌薬の追加投与による心調律デバイス感染症が20%減少したとしても、全体の発生率が低いため、追加投与により防ぐことのできる感染症は500例に1例である。どのような症例が追加投与の恩恵を受けるかを、引き続き調べていく必要があると考えられる。(Oregon Heart and Vascular Institute 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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ダパグリフロジンと心疾患予防の関係は

 11月26日、アストラゼネカ株式会社と小野薬品工業株式会社は、アメリカ心臓協会(AHA)でDECLARE‐TIMI 58 試験(以下「本試験」と略す)の発表が行われたのを期し、都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、糖尿病領域と循環器領域の2つの視点から試験結果に対し説明が行われた。DECLARE‐TIMI 58 試験概要 複数の心血管リスク因子、心血管疾患の既往歴を有する患者を含む、CVイベントリスクが高い成人2型糖尿病患者を対象に、ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の治療が及ぼす影響をプラセボとの比較で評価した試験。患者登録では、日本を含む世界33ヵ国882施設から1万7千例超の患者が参加。無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験。実施はアストラゼネカ株式会社。高血糖の人は心不全リスクが高い 糖尿病領域では、門脇 孝氏(一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長、東京大学大学院医学系研究科 特任教授、帝京大学医学部附属溝口病院 常勤客員教授)を講師に迎え、本試験の意義を確認した。 最近の調査から糖尿病患者と一般の健康な人との間では、平均寿命の差に約8~11年の隔たりがあること(2001~10年)、心不全合併症の糖尿病患者は心不全の既往がない糖尿病患者と比較して生存率が低いこと1)などを指摘、糖尿病患者の心血管イベントリスクへ警鐘を鳴らした。 本試験では、対象に2型糖尿病で「40歳以上および虚血性心疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患のいずれか1つ以上を有するもの」(2次予防)または「男性55歳以上、女性60歳以上で脂質異常、高血圧、喫煙のいずれか1つ以上のリスク因子を有するもの」(1次予防)を組み入れ、最長6年、平均追跡期間4.2年と長いスパンでみたものであると解説。なかでも「対象者に複数のリスク因子保有者が組み入れられている点は、臨床での実患者像に近い」と同氏は試験の意義を強調した。 本試験の結果につき、48ヵ月経過後プラセボ群のHbA1cが8.3%→8.1%だったのに対し、ダパグリフロジン群は8.3%→7.7%(最小二乗平均の差における95%CI 0.40~0.45)と有意に低下し、体重も同期間でプラセボ群が91kg→89kgだったのに対し、ダパグリフロジン群は91kg→87kg(最小二乗平均の差における95%CI 1.7~2.0)と有意に減少していた。 有効性に関し、主要心血管イベント(MACE)のイベント発生率ではプラセボ群が9.4%だったのに対し、ダパグリフロジン群は8.8%で有意差は認められなかった(HR 0.93[信頼区間0.84~1.03])一方で、心不全による入院と心血管死では、プラセボ群が5.8%だったのに対し、ダパグリフロジン群は4.9%と有意な減少(HR 0.83[信頼区間0.73~0.95])を認め、腎複合評価項目ではプラセボ群が5.6%だったのに対し、ダパグリフロジン群は4.3%と同じく有意な減少(HR 0.76[信頼区間0.67~0.87])を認めた2)。 安全性では、重篤な有害事象、重症低血糖、急性腎障害、膀胱がんでプラセボに非劣性だったのに対し、投与中止の有害事象、糖尿病性ケトアシドーシス、性器感染症はプラセボよりも高い数値だった。 以上の本試験の結果から同氏は「高血糖とリスクファクターを持つ人は症状こそ見えないが、心不全、腎不全の病態が進行していることが示唆された。また、心血管イベントの既往がない患者さんに対して、心不全・腎イベントの発症を抑制できることが初めて示唆され、今後は、健康な人と変わらないQOLの確保と寿命の維持のためにも、患者個々の背景と合ったエビデンスを持つ薬剤を使用していくべきと考える」と展望を語り、レクチャーを終えた。糖尿病患者は心不全の際に立っている 続いて小室 一成氏(一般社団法人日本循環器学会 代表理事、東京大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授)を講師に迎え、循環器領域から本試験結果への考察を説明した。 循環器疾患では、「心不全」が増加傾向にあり、重要な疾患と位置づけられている。心不全は、徐々に悪化するので早期から急性イベントや入院を防止することが大切だが、糖尿病患者では主要な合併症であることが知られている。糖尿病患者の生存率は、前述の講演の内容通りだが、「糖尿病患者は、心不全を起こす際に立っているようなものであり、いかに進行の傾斜を緩やかにするのかが重要だ」と指摘する。そのため、糖尿病患者では心不全を発症させないことが大事であり、予防では、糖尿病発症、左室リモデリング、左室機能障害、心不全の診断の4つの予防機会があるという。 その他、本試験のほかEMPA-REG OUTCOME、CANVAS Programの3試験の解析から本試験の対象者のハザード比が低いことも報告された。 実際、これらの試験成績を受けて小室氏は、「SGLT2阻害薬には、心血管既往歴のある2型糖尿病患者の心不全予防に有効だとしながらも、一次予防症例や後期高齢者などへの有効性についてはこれからの課題」である。「今後、治療に関するガイドラインなども議論が活発になると考えている」と述べ、講演を終えた。※ダパグリフロジンは2型糖尿病のみ承認取得した薬剤であり、心不全や心血管死などへ効能効果はない。また、わが国での開始使用量は5mg/日で、効果不十分などの場合は最大10mg/日まで増量可能。■関連記事CV高リスク2型DMへのSGLT2iのCV死・MI・脳卒中はプラセボに非劣性:DECLARE-TIMI58/AHA

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うつ病による自殺のリスク因子

 うつ病における自殺のリスク因子および自殺方法の性差について、フィンランド・ヘルシンキ大学のKari I. Aaltonn氏らが縦断的な検討を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年11月27日号の報告。 フィンランドの病院退院レジストリ、フィンランド国勢調査レジストリ、死亡原因に関するフィンランドの統計レジストリのデータを結びつけ、1991~2011年にフィンランドで初回入院したうつ病性障害の主要診断を有する患者5万6,826例(男性:2万5,188例、女性:3万1,638例)を抽出した。フォローアップ調査は、患者の死亡(自殺者:2,587例)または2014年末まで行われた(最大24ヵ月)。 主な結果は以下のとおり。・初回入院時の自殺による死亡の長期予測因子は、重症うつ病(調整ハザード比[aHR]:1.19、95%信頼区間[CI]:1.08~1.30)、精神病性うつ病(aHR:1.45、95%CI:1.30~1.62)、アルコール依存症併発(aHR:1.26、95%CI:1.13~1.41)、男性(aHR:2.07、95%CI:1.91~2.24)、社会経済的地位の高さ、独居であった。・最も高リスクな因子は、自殺企図歴であった(男性累積率:15.4%[13.7~17.3%]、女性累積率:8.5%[7.3~9.7%])。・リスク因子の性差は軽微であったが、自殺方法では顕著な差が認められた。 著者らは「初回入院時の社会人口学的および臨床的特徴は、長期的な自殺の予測因子であり、自殺企図歴を有する入院患者のリスクは高かった。男女のリスクの違いは、自殺方法の性差により説明可能かもしれない」としている。■関連記事うつ病成人の自殺傾向に対するSSRIの影響治療抵抗性うつ病と自殺率自殺予防の介入効果はどの程度あるのか

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新たなNASH治療薬、肝脂質比を有意に減少/Lancet

 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)患者に対する、開発中のpegbelfermin(BMS-986036)の16週間皮下投与は、概して忍容性は良好で、肝脂質比を有意に減少したことが、米国・バージニア・コモンウェルス大学のArun Sanyal氏らによる第IIa相試験の結果、示された。pegbelferminは、線維芽細胞増殖因子21(FGF21)のPEG化アナログで、これまでに2型糖尿病を有する肥満症患者において、代謝および肝線維化マーカーを改善したことが示されていた。Lancet誌オンライン版2018年12月13日号掲載の報告。pegbelfermin 10mgを毎日、または同20mgを毎週投与 研究グループは、第IIa相試験においてNASH患者におけるpegbelferminの安全性と有効性を評価するため、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照平行群比較試験を行った。 米国17ヵ所の医療センターで、BMI値25以上、生検でNASH(線維化ステージ1~3)が確認され、MRI-PDFF(MRIによるプロトン密度脂肪画分測定法)で肝脂質比10%以上だった成人(21~75歳)を集めた。 適格患者を2型糖尿病の有無により層別化したうえで1対1対1の割合で無作為に3群に分け、(1)プラセボを1日1回、(2)pegbelfermin 10mgを1日1回、(3)pegbelfermin 20mgを週1回、16週にわたってそれぞれ皮下投与した。被験者、治療を行う試験チーム、アウトカムを分析する研究者(試験チームとは独立しており、分析以外は関与しない)は治療群に対してマスキングされた。 主要評価項目は、治療16週間後の安全性と肝脂質比の絶対変化だった。主要解析には、無作為化を受け試験薬またはプラセボの投与を受けた全患者を包含した。肝脂質比減少率、pegbelfermin 10mg群-6.8%、同20mg群-5.2% 2015年5月12日~2016年8月4日にNASHを有する過体重または肥満患者184例がスクリーニングを受けた。このうち、95例(52%)は試験基準を満たすことができず除外され、80例(43%)が、プラセボ導入フェーズに登録された。 さらなる除外を行い、無作為化を受け試験薬を1回以上投与された75例を主要解析に包含した。pegbelfermin 10mg群は25例、20mg群は24例、プラセボ群は26例だった。 事前に規定した8週時の中間解析で、主要解析について予想以上の変化量が認められ、計画したサンプルサイズを必要としないことが示されたため、被験者登録を早期に終了した。 プラセボ群と比較して両pegbelfermin群において、絶対肝脂質比の有意な減少が認められた。プラセボ群-1.3%に対し、pegbelfermin 10mg群は-6.8%(p=0.0004)、同20mg群は-5.2%(p=0.008)だった。 大半の有害事象は軽度だった。最も頻度が高かったイベントは下痢で、pegbelfermin治療を受けた49例中8例(16%)、プラセボ群は26例中2例(8%)、次いで悪心がそれぞれ7/49例(14%)、2/26例(8%)だった。死亡例はなく、有害事象による試験中断、あるいは治療関連の重篤有害事象もなかった。 今回の結果を受けて著者は、「NASH患者に対するpegbelfermin治療について、さらなる試験を行う根拠が示された」と述べ、「pegbelferminの肝組織への効果を評価するため肝生検を用いた付加的試験が必要だろう。さらに、より多くの被験者を対象とした、pegbelferminの安全性と有効性を評価する試験も考慮すべきである」とまとめている。

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オステオペニアへのゾレドロン酸、骨折リスクを低減/NEJM

 オステオペニアの高齢女性に対して、ゾレドロン酸の18ヵ月ごと投与はプラセボと比較して、長期の非脊椎・脊椎脆弱性骨折リスクを有意に低減することが示された。ニュージーランド・オークランド大学のIan R. Reid氏らが、2,000例を対象に行った6年間にわたる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で、NEJM誌2018年12月20日号で発表した。閉経後女性における骨折の大半が、オステオペニアを有する女性で発生するため、そうした女性に対する効果的な治療法が必要とされている。ビスホスホネートは、骨粗鬆症患者の骨折を予防するが、オステオペニアの女性における有効性は不明だった。ゾレドロン酸5mgを18ヵ月ごと4回投与 研究グループは、股関節全体または左右どちらかの大腿骨頸部Tスコアが-1.0~-2.5のオステオペニアが認められる、65歳以上の高齢女性2,000例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはゾレドロン酸5mgを、もう一方には生理食塩水(プラセボ)を、それぞれ18ヵ月ごとに4回静注投与した。 両群被験者に対し、食事性カルシウムを1日1g量摂取するよう助言する一方、カルシウムサプリメントは投与しなかった。ビタミンDサプリメントを摂取していなかった被験者には、コレカルシフェロールを、試験開始前(2.5mg単回投与)と試験期間中(1.25mg/月)に投与した。 主要評価項目は、非脊椎・脊椎の脆弱性骨折の初回発生までの期間だった。1例の骨折予防の治療必要数は15 被験者のベースラインでの平均年齢(±SD)は71±5歳、大腿骨頸部の平均Tスコアは-1.6±0.5、股関節骨折10年リスクの中央値は2.3%だった。 脆弱性骨折の発生が認められたのは、プラセボ群190例に対し、ゾレドロン酸群は122例だった(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.50~0.79、p<0.001)。1例の骨折を予防するための治療必要数は15だった。 プラセボ群に比べゾレドロン酸群は、脊椎以外の脆弱性骨折(HR:0.66、p=0.001)、症候性骨折(HR:0.73、p=0.003)、脊椎骨折(オッズ比:0.45、p=0.002)、身長低下(p<0.001)について、リスクの低下が認められた。

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インフルエンザ報告数、前週から倍増

 2018年第50週(12月10~16日)のインフルエンザ報告数が、21日、厚生労働省より発表された。全国約5,000の定点当たり報告数は3.35(患者報告数1万6,589人)となり、前週(1.70)のほぼ2倍となった。 都道府県別では、北海道(9.59)が最も多く、愛知県(8.41)、香川県(7.13)、奈良県(5.20)、三重県(5.04)と続き、46都道府県で前週の報告数より増加した。警報レベルを超えている保健所がある都道府県は3府県(北海道、兵庫県、大分県)であった。 定点医療機関の報告を基に全国の医療機関を受診した患者数を推計すると約11.8万人となった(前週は約6.3万人)。年齢別では、5~9歳が約3.5万人と最も多く、0~4歳が約1.4万人、10~14歳が約2.1万人、15~19歳が約0.5万人、20代が約0.8万人、30代が約0.9万人、40代が約1.1万人、50代が約0.6万人、60代が約0.4万人、70代以上が約0.3万人。 基幹定点からのインフルエンザ患者の入院報告数も、147例と前週(88例)から大幅に増加した。 直近の5週間(2018年11月12日~12月16日)に国内で検出されたインフルエンザウイルスは、AH1pdm09、AH3亜型、B型の順に多かった。■参考国立感染症研究所:インフルエンザ流行レベルマップ

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ペムブロリズマブのNSCLC1次治療、3パターンが国内承認/MSD

 MSD株式会社は、2018年12月21日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、非小細胞肺がんにおける以下の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺(非扁平上皮)に対する初回治療としてペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)との併用療法としての適応拡大・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺(扁平上皮)に対する初回治療としてカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法としての適応拡大・PD-L1陽性(TPS1≧1%)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺に対する初回治療としての単独療法としての適応拡大3パターンの試験でペムブロリズマブの有効性および安全性が示された 今回の適応拡大にあたっては、未治療の転移のある非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)患者を対象とした国際共同第III相KEYNOTE-189試験、未治療の転移のある非小細胞肺がん(扁平上皮がん)患者を対象とした国際共同第III相KEYNOTE-407試験、およびPD-L1陽性(TPS≧1%)の未治療の非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第III相臨床試験KEYNOTE-042試験のそれぞれにおいて、ペムブロリズマブの有効性および安全性が示された。 KEYNOTE-189試験では、PD−L1発現にかかわらず、未治療の転移を有する非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)患者616例において、ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法が、標準化学療法であるペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法と比較して、全生存期間(OS)を有意に改善した(HR=0.49、95%CI:0.38~0.64、p<0.00001)。ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ製剤の化学療法併用群の91.9%に副作用が認められ、主な副作用(20%以上)は、悪心46.2%、貧血38.0%、疲労33.1%、好中球減少症24.9%および食欲減退20.7%であった。 KEYNOTE-407試験では、PD−L1発現にかかわらず、未治療の転移を有する非小細胞肺がん(扁平上皮がん)患者559例において、ペムブロリズマブとカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法が、プラセボとカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルの併用療法と比較して、OSを有意に改善した(HR=0.64、95% CI:0.49~0.85、p=0.0008)。ペムブロリズマブと化学療法の併用群の95.3%に副作用が認められ、主な副作用(20%以上)は、脱毛症45.3%、貧血44.2%、好中球減少症34.9%、悪心30.6%、血小板減少症29.1%および下痢21.9%であった。 KEYNOTE-042試験では、PD-L1陽性(TPS≧1%)の未治療の非小細胞肺がん患者1,274例において、ペムブロリズマブ単独療法がプラチナ製剤併用化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)と比較してOSを有意に延長した(HR=0.81、95%CI:0.71~0.93、p=0.002)。ペムブロリズマブ群の62.7%に副作用が認められ、主な副作用(10%以上)は甲状腺機能低下症10.8%であった。 今回の適応拡大により、ペムブロリズマブは、PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者に対する初回治療(PD-L1発現にかかわらず化学療法との併用療法。PD-L1陽性[TPS≧1%]の場合は単独療法も使用可能)に使用できる抗PD-1抗体となる。

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頭を使わないと認知症になるっていうけど本当か?(解説:岡村毅氏)-983

 お待ちかねのBMJ誌のクリスマス号である。ご存じの方も多いと思うが、クスリと笑えるが、じわじわと効いてくる論文(きちんとした科学であることが大前提で偽科学はダメ)が満載のなんとも英国的な恒例行事である。 今回取り上げた論文は、英国・アバディーン市の1936年生まれの子供たちをなんと11歳の時点から継続的に知能テストし続けたという超長期縦断研究からの報告である。最新の調査は2013年であるから77歳に到達している。その結果、わかったことは大きく2つある。 第1は、時の流れには逆らえないということ。加齢により、どんな活動をしようが、教育歴を調整しようが(認知予備能の文脈)、認知機能は低下していく。 第2は、かすかに低下を緩やかにしたものは問題解決型の活動であって、知的活動ではないとのこと。 高齢者の外来をしていると、家で家族以外に誰とも話さずに低活動で過ごしている方もいる。それは究極的には個人の自由なのであるが、認知症などがある方が「閉じこもり→昼もコタツで寝てる→夜眠れない→せん妄や易怒性」という負のサイクルに陥っている場合は、地域活動やデイサービスなどを勧める。しかし「いいえ、私は美術館巡りをして頭を使っていますから」などと断られることもある。 そういうときは「どうぞ美術館に行き続けてください。応援します。でもね、毎日行っているわけではないでしょう。地域の活動とかデイサービスとかに行くと、いろいろな人がいて、いい人もいれば嫌な人もいて、いろいろな問題が起こって、そりゃあ楽しいことばかりではないですよ。でも学校も仕事もそうだったでしょう。いろいろな問題をみんなで解決していくと、生きてるって感じるし、頭にもいいんですよ」なんて言っていたことを思い出した。しばしばエビデンスというものは臨床知を追いかけているものだ。 さて、この論文はなんとなく無常観を漂わせているように思われる。これを読んで筆者は鴨長明の「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。(中略)世の中にある人とすみかと、又かくの如し」を思い出した。年をとれば認知機能も徐々にその人なりに低下し、死が訪れる。人生は有限だからこそ、与えられた時間の中で精いっぱい善く生きようとするのだ。医療は死や認知機能低下を撲滅することはできないが、時にちょっとだけ遅らせたり、もっと重要なことは、善く生きるためのささやかなお手伝いはできるかもしれない。 では皆さま、良いお年をお迎えください。

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NSCLCにおけるPD-1阻害薬の潜在的バイオマーカー【肺がんインタビュー】 第22回

第22回 NSCLCにおけるPD-1阻害薬の潜在的バイオマーカー(Investigatorインタビュー)出演:神奈川県立がんセンター臨床研究所 がん免疫療法研究開発学部 部長 笹田 哲朗氏NSCLCにおけるPD-1阻害薬治療前後のCXCL2とMMP2の変化は、治療効果の予測因子となる可能性が示唆された。この研究について、神奈川県立がんセンター笹田哲朗氏に聞いた。Matsuo N, et al. Association between soluble immune mediators and tumor responses in patients with non-small cell lung cancer treated with anti-PD-1 inhibitor. Int J Cancer.2018 Oct 11.[Epub ahead of print]

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