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夜間頻尿があると死亡リスクが1.3倍に

 夜間頻尿は睡眠障害の主な原因であり、併存症の増加とQOLの低下に関連しているが、死亡への影響は不明である。今回、フィンランド・Paijat-Hame Central HospitalのJori S. Pesonen氏らが系統的レビューおよびメタ解析を行った結果、夜間頻尿がある人は死亡リスクが約1.3倍に増加することが示唆された。The Journal of Urology誌オンライン版2019年7月31日号に掲載。 本研究では、PubMed、Scopus、CINAHL、主要な泌尿器関連学会の抄録を2018年12月31日まで検索した。ランダム効果メタ解析で夜間頻尿者の死亡の調整相対リスクを調べ、メタ回帰分析でバイアスリスクを含む異質性の潜在的な決定因子を調べた。死亡の予後危険因子あるいは死亡原因としての夜間頻尿のエビデンスの質を、GRADEフレームワークを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・特定された5,230件の報告のうち11件の観察研究が適格であり、10件の研究は症状の質問票で、1件は頻度-尿量記録で夜間頻尿が評価されていた。・夜間頻尿は、6件(55%)の研究で一晩に2回以上、5件(45%)の研究で3回以上と定義していた。・統合推定値によると、リスク比は1.27(95%CI:1.16~1.40、I2=48%、60歳と75歳の人の5年死亡率絶対差はそれぞれ1.6%と4.0%)であった。・年齢、性別、追跡期間、夜間頻尿症例の定義、バイアスリスク、研究地域によって、相対リスクの統合推定値に有意な差はなかった。・夜間頻尿のエビデンスの質は、予後因子としては中程度、死亡原因としては非常に低いと評価された。

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アントラサイクリンの心毒性、運動で予防できるか

 アントラサイクリン系薬に関連した心毒性(anthracycline-related cardiotoxicity、以下ARC)への予防戦略として、運動介入の有効性を検討する無作為化試験が行われるようだ。アントラサイクリン系薬は乳がんの治療によく用いられるが、心毒性の累積リスクとも関連している。そのため心臓への影響を最小化する予防戦略が必要で、非薬理学的アプローチとして運動が提案されていた。しかし、これまで行われてきたのはほとんどが動物実験によるもので、患者において有効性が示された研究はわずかで限られていた。ポルトガル・Universidade da Beira InteriorのPedro Antunes氏らが、「ARCを軽減する運動の有効性をよりよく理解するためには、実臨床において正確かつ有用なバイオマーカーを用いた大規模な研究が必要である」として現在、バイオマーカーの連続測定と画像検査により心機能を調査する臨床研究を行っているという。そのプロトコルについて発表した。Trial誌2019年7月号掲載の報告。 研究グループは、ARCを軽減する構造化運動プログラムの効果について明らかにし、乳がん治療をさらに改善する目的で、新しい臨床バイオマーカーを用いる研究を行っている。 試験概要は以下のとおり。・本研究は、アントラサイクリンを含む化学療法(anthracycline-containing chemotherapy、以下ACT)を施行中の乳がん患者において、構造化運動プログラムの心保護作用を比較する前向き無作為化臨床試験である。・ACTを受ける早期乳がん成人患者90例を、介入群と対照群に1:1の割合で無作為に割り付ける。・介入群では、ACT施行中、有酸素および筋力トレーニングを組み合わせた、段階的な運動強度と時間による監視下での運動プログラムを週に3回実施する。・対照群では、標準的な乳がん治療を行う。・心機能に関連する主要評価項目は、NT-proBNP値、安静時左室長軸方向ストレイン、縦および安静時左室駆出率、副次評価項目は、安静時の血圧、心拍数および心拍数変動、回復期の心拍数、身体機能転帰、自己申告による身体活動レベル、健康関連QOL、および疲労である。・評価項目のデータは、ベースライン、アントラサイクリン治療終了時および治療終了後3ヵ月時に収集し、NT-proBNPについてはさらに各アントラサイクリン治療サイクルの投与前1~24時間にも測定する。

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全がんの5年相対生存率は66.1%

 国立がん研究センター(理事長:中釜 斉)は、2019年8月8日にニュースリリースとして「がん診療連携拠点病院等院内がん登録2012年3年生存率、2009年から10年5年生存率」を公表した。今回のリリースでは、初めて「喉頭・胆嚢・腎・腎盂尿管がん」の3年生存率の集計も発表された。 これは同センターが、全国のがん診療連携拠点病院などから収集した院内がん情報を用い、(1)2012年に診断された患者の3年を経過した生存率(2012年3年生存率集計)と、(2)2009年、2010年に診断された患者につき、治癒の目安とされる5年を経過した生存率(2009年から10年5年生存率集計)を報告書にまとめ、同センターのウェブサイトで公開したもの。膵臓がんの5年生存率は9.6% がん診療連携拠点病院などの3年生存率公表は2回目、5年生存率公表は4回目となる。 全がんの3年実測生存率は67.2%(前回66.3%)、相対生存率は72.1%(前回71.3%)で、5年実測生存率は58.6%(前回58.5%)、相対生存率は66.1%(前回65.8%)であり、すべての指標で上昇していた。 全がん(対象者数568,005例)の5年生存率の実測生存率は58.6%で前回より0.1上昇、相対生存率は66.1%で0.3上昇し、性別では男性が58.2%、女性が41.3%とやや男性が高い割合だった。診断時の年齢は、男女ともに70歳代が最も多く、70代以上が約47%の割合だった。 部位別がんの5年生存率の相対生存率は、胃71.6%、大腸72.9%、乳房92.5%、肝臓40.0%、肺40.6%、食道44.4%、膵臓9.6%、前立腺98.6%、子宮頸部75.3%、子宮体部82.1%、膀胱69.5%だった。※実測生存率:実際に診療した患者の生存割合で、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた生存率 相対生存率:がん以外の死因による死亡などの影響を取り除くために、患者集団の実測生存率を、患者集団と同じ性・年齢構成の一般集団における期待生存率で割ることによって算出する生存率喉頭、胆嚢、腎、腎盂尿管がんの生存率の詳細が明らかに つぎに3年生存率集計について、全がん(対象者数467,775例)の実測生存率は67.2%で前回より0.9上昇、相対生存率は72.1%で0.8上昇した。 また、今回新たに集計された喉頭、胆嚢、腎、腎盂尿管の4つの部位のがんについて、詳細にみると喉頭の3年生存率の相対生存率は、I期が96.0%、II期が90.2%と90%を超え、放射線治療が有効である比較的早期の例では、生存率が高いと言える。同様に腎のI期が98.5%、II期が94.3%、腎盂・尿管のI期が90.1%といずれも90%を超えていた。その一方で、胆嚢は膵臓とともに難治性がんと言われるものの、根治切除可能なI期では91.1%、II期では77.4%と比較的良好な結果だったと分析している。 部位別がんの3年生存率の相対生存率は、胃75.6%、大腸78.7%、乳房95.2%、肝臓54.6%、肺50.8%、食道53.6%、膵臓16.9%、前立腺99.2%、子宮頸部79.6%、子宮体部85.9%、膀胱73.4%、喉頭84.4%、胆嚢33.4%、腎85.6%、腎盂尿管55.6%だった 今回の集計の詳細は、下記のサイトを参照にしていただきたい。■参考がん診療連携拠点病院等院内がん登録2012年3年生存率、2009年から10年5年生存率公表

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片頭痛急性期にrimegepantのOD錠が有効か/Lancet

 片頭痛急性期の治療として、低分子カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体拮抗薬rimegepantの口腔内崩壊錠75mg単回投与は、プラセボよりも有効で、忍容性は同等であり安全性の懸念はないことが、米国・Biohaven PharmaceuticalsのRobert Croop氏らによる、第III相の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。先行研究により、標準的な錠剤のrimegepantについて、片頭痛急性期治療における有効性が示されていた。Lancet誌オンライン版2019年7月13日号掲載の報告。約1,400例で、rimegepant口腔内崩壊錠の有効性および安全性をプラセボと比較 研究グループは、米国の69施設において1年以上の片頭痛既往歴がある18歳以上の成人患者を登録し、rimegepant(口腔内崩壊錠75mg投与)群またはプラセボ群に、予防薬使用の有無で層別して無作為に割り付け、中等度または重度の1回の片頭痛発作を治療した。患者、評価者、スポンサーのすべてが、治療の割り付けに関して盲検化された。 主要評価項目は、投与後2時間における頭痛消失および最も煩わしい症状(most bothersome symptom[MBS]:音過敏、羞明、吐き気)の消失であった。有効性解析対象は、中等度~重度の片頭痛発作があり治験薬を服用し、投与後最低1回は有効性の評価を受けた、無作為化されたすべての患者(修正intention-to-treat集団)、安全性解析対象集団は、1回以上治験薬の投与を受けた無作為化された全患者とした。 2018年2月27日~8月28日の期間で、1,811例が適格性を評価され、1,466例がrimegepant群(732例)またはプラセボ群(734例)に無作為に割り付けられた。このうち1,375例が治療を受け(rimegepant群682例、プラセボ群693例)、1,351例が有効性の解析対象となった(rimegepant群669例、プラセボ群682例)。2時間後の頭痛消失率は21%、MBS消失率35%で、プラセボより優れる 投与後2時間時点における頭痛の消失率はrimegepant群21%、プラセボ群11%(p<0.0001、リスク差:10、95%信頼区間[CI]:6~14)、MBSの消失率はそれぞれ35%および27%(p=0.0009、8、3~13)で、いずれもrimegepant口腔内崩壊錠がプラセボと比較して有意に優れていた。 主な有害事象は、吐き気(rimegepant群11例[2%]、プラセボ群3例[<1%])ならびに尿路感染症(rimegepant群10例[1%]、プラセボ群4例[1%])であった。両群1例ずつで、トランスアミナーゼ値が基準値上限の3倍を超えたが、いずれも治験薬との関連は確認されなかった。また、ビリルビン値が基準値上限の2倍超に増加した症例はなく、肝毒性の徴候はないことが示された。重篤な有害事象の報告はなかった。

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高血圧治療戦略、心血管疾患予防にはQRISK2準拠が望ましい/Lancet

 心血管疾患リスクスコアに基づいた治療戦略「QRISK2≧10%」は、NICEガイドライン2011年版の約1.4倍、同2019年版の約1.2倍多く心血管疾患を予防可能であるという。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のEmily Herrett氏らが、英国で用いられている高血圧治療戦略の意義を検証した後ろ向きコホート研究の結果を報告した。血圧スペクトル全体での血圧低下が有益であるという強力なエビデンスにもかかわらず、世界中で広く推奨されている降圧療法は主に血圧閾値を目標としており、リスクに基づいて治療を決定することの効果とその後の心血管疾患の発生については明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン版2019年7月25日号掲載の報告。4つの異なる治療戦略を比較検証 研究グループは、Hospital Episode Statistics(HES)および国家統計局(Office for National Statistics:ONS)の死亡データとリンクしているプライマリケアのデータベースClinical Practice Research Datalink(CPRD)を用い、30~79歳の心血管疾患を伴わないプライマリケア患者について後ろ向きに解析し、NICEガイドラインの2011年版および2019年版、血圧値(閾値≧140/90mmHg)のみ、または心血管疾患10年リスク予測スコア(QRISK2スコア≧10%)のみの4つの異なる治療戦略について比較検証した。 患者は、心血管疾患の診断、死亡、追跡調査の終了(2016年3月31日)のいずれかまで追跡調査を受けた。各戦略について、治療対象となる患者の割合と、当該治療で予防可能な心血管イベント数を推定した後、英国の全人口における10年間の適格性と発生イベント数を推定した。QRISK2に基づいた治療戦略でより多くの心血管イベントを回避 2011年1月1日~2016年3月31日の期間で、122万2,670例を中央値4.3年(IQR:2.5~5.2)追跡した。治療対象は、NICEガイドライン2011年版で27万1,963例(22.2%)、2019年版で32万7,429例(26.8%)、血圧値(≧140/90mmHg)のみで48万1,859例(39.4%)、QRISK2スコア(10%以上)のみで35万7,840例(29.3%)であった。 追跡期間中に、3万2,183例が心血管疾患と診断された(7.1/1,000人年、95%信頼区間[CI]:7.0~7.2)。各戦略の治療対象と判断された患者における心血管イベント発生率(/1,000人年)は、NICEガイドライン2011年版で15.2(95%CI:15.0~15.5)、2019年版で14.9(95%CI:14.7~15.1)、血圧値のみで11.4(95%CI:11.3~11.6)、QRISK2スコアのみで16.9(95%CI:16.7~17.1)であった。 英国の全人口に当てはめると、推定された回避可能なイベント数は、NICEガイドライン2011年版で23万3,152件(10年間に1件のイベント発生を回避するための治療必要数28例)、2019年版で27万233件(29例)、血圧値のみで30万1,523件(38例)、QRISK2スコアのみで32万2,921件(27例)であった。

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妊娠中の抗うつ薬継続使用と妊娠糖尿病リスク

 これまでの研究において、妊娠中の抗うつ薬使用に関連する妊娠糖尿病について中程度のリスクが観察されている。しかし、これは適応症による交絡の可能性も考えられる。米国・ワシントン大学のPaige D. Wartko氏らは、交絡を考慮したうえで、妊娠中の抗うつ薬継続使用と妊娠糖尿病との関連性および血糖値の評価を行った。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2019年7月12日号の報告。 電子健康データとリンクしたワシントン州の出生記録を用いて、Kaiser Permanente Washington(総合医療提供システム)に登録されている女性のうち妊娠前6ヵ月間で抗うつ薬を処方されていた女性を対象に、2001~14年の間に単胎児出生のレトロスペクティブコホート研究を実施した。妊娠中も抗うつ薬を使用していた女性を継続群(1,634例)、使用していなかった女性を中止群(1,211例)とした。妊娠糖尿病の相対リスク(RR)およびスクリーニング時の血糖値の平均差を算出するため、治療重み付け逆確率を用いた一般推定式を使用した。ベースライン特性にはメンタルヘルス状態および重症度の指標が含まれる。 主な結果は以下のとおり。・中止群と比較し、継続群の妊娠糖尿病リスク(RR:1.10、95%CI:0.84~1.44)および血糖値(平均差:2.3mg/dL、95%CI:-1.5~6.1mg/dL)は、同程度であった。・特定の抗うつ薬についてもほぼ同様の結果が観察された。セルトラリン(RR:1.30、95%CI:0.90~1.88)およびベンラファキシン(RR:1.52、95%CI:0.87~2.68)に関連する妊娠糖尿病リスクの潜在的な影響が認められたが、いずれも統計学的に有意ではなかった。 著者らは「妊娠中に抗うつ薬を使用している女性では、妊娠糖尿病や高血糖リスクが高いわけではないことが示唆された。セルトラリンとベンラファキシンについては、さらなる研究が必要かもしれない」としている。

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労力に比して得るものが少なかった研究(解説:野間重孝氏)-1094

 本論文は年齢・性別・狭心症のタイプ・pretest probability・CTの列数の観点から冠動脈造影CT(CTA)の有用性を、65本の既出論文のメタアナリシス(一部著者らが集めた未出版データも含む)によって検討したものである。 ご存じのように現在、世界のCTの10台に1台はわが国にある。高性能なものに限ればこの数はもっと多くなると推察される。これは他国とはかなり異なった医療状況を生み出しているのではないかと思う。SCCTが発表しているデータによれば、CTAの診断能は感度86%~99%、特異度95%~97%であるものの、陽性適中率は66%~87%にとどまる。本論文中では前者で97.2%~100%、後者で87.4%~89%との数字を別のメタアナリシスデータから引用している。しかし陰性適中率が98%~100%と、とてつもなく高い数字になることには言及していない。考えていただきたいのだが、ここに比較的安全でかつ陰性適中率がきわめて高い検査が比較的容易に行えるとしたら、疾病の確率が何パーセントかと論ずる前に、さっさとその検査を行ってしまうのではないだろうか。それが現在のわが国の実情なのだと思う。もっともこの論文も警告しているように、安易な検査のやり過ぎは国家医療財政に大きな負担となる。これも現在のわが国の現状そのものといえる。 本論文ではpretest probabilityが重要な要素として論じられている。しかし、その算出方法についてはdiscussionの中でDiamond and Forester modelを利用したこと、ESCのガイドラインも参照していること、また運動負荷の成績から見積もったものもあると述べるにとどまっており、methodsの中で詳細に論じられてはいない。評者も評者の周囲も日常診療においてあまりこのような数字の議論をしないので、これが一部の医師たちの間では常識になっているものかどうか言及できない。著者の中に日本人も含まれていることを考えると、欧米とわが国の違いだけとはいえないとも考えられるが、評者には論評できない。ただし、重要な構成要素について説明不足であることは指摘しておきたい。 また、年齢や性別がなぜ診断成績に影響を与えるかについても考察されていない。これについては近年、雑誌が推測による記述を抑制するようになったからだという見方もできるが、結論部分に書かれている内容について十分なdiscussionをしないというのはいかがなものなのだろうか。これに関連して考えるのは、本論文では石灰化指数(カルシウムスコア)が検討されていないことである。性別については何ともいえないが、年齢と石灰化指数には強い相関が認められることはよく知られており、年齢による診断能の低下の有力な説明になったのではないだろうか。この問題から離れても、CTの診断能を議論する場合、石灰化指数は重要な要素であり、本論文でこの議論が抜けていることには非常に不満を感じる。 CTの列数の議論には違和感を感じた。これは原理的な問題であり、実際の開発においては実験・実証によって議論されるべき問題であって、臨床データのメタアナリシスが利用される余地はない問題だと考えるからである。ちなみに、旧式のCTでも意外に診断に有効利用できるといったデータなら、統計を利用する意味がある。この辺は統計をとるという行為をどう考えるかにかかっている。 結論を言えば、多くの国の多くの学者たちが交流を持ったことに意義を感じるものの、大変な労力をかけた論文としては得るものが少なかったと言わざるをえない。

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やりもせん事を!【Dr. 中島の 新・徒然草】(284)

二百八十四の段 やりもせん事を!先週末、大阪医療センターの初期研修医マッチング試験がありました。私も面接試験の試験官として参加いたしました。内容を言うわけにはいかないので、周辺エピソードを少し。私はいつも面接試験の最後に、「何か聞いておきたいことがありましたら、どうぞ」と受験生に尋ねています。すると、決まったように尋ねられるのが、「研修スタートまでにしておいたほうが良いことはなんですか?」「国家試験が終わってから読んでおくべき本はありますか?」といった質問です。何かそのような「模範質問」のようなものがあるんですかね?あまりにも皆が皆、同じ事を質問するので、こちらも同じ解答をしています。学生「何かしておいたほうがいいことはありますか?」中島「英語ですね」学生「英語……ですか?」中島「そう。外国人の患者さんが無茶苦茶多いんで、英語での診療が必要なんですよ」学生「なるほど」中島「外国人に英語で診療しろって言われたら、ちょっと引くでしょ」学生「そうですね」中島「そこで『1歩、前に出る勇気』が必要なわけ」ぬぬ、思わぬ名言が出てしまった。「1歩、前に出る勇気」とは!中島「いいですか、前に出る勇気ってのは、クソ度胸のことやない」学生「はい」中島「勉強や! これ以上できへん、と思うくらいの努力を重ねて、はじめて前に踏み出すことができるんや」学生「はいっ!」また名言が出てもた!「これ以上できへん、と思うくらいの努力」か、素晴らしい。「自分がやりもせん事を偉そうに」と、いつも女房には呆れられています。しかし、自分がやろうがやるまいが、真実には違いありません。確かもう一つは本の話でしたね。端的な答えのほうが相手に刺さります。学生「何か読んでおいたほうがいい本とか、ありますか?」中島「ハリソンかな」学生「ハ、ハリソンですか」中島「当然のことやけど、英語で読むんやぞ」学生「英語で……」中島「知り合いの先生は、90歳過ぎても原書のハリソンを読んどったで」学生「頑張ります!」実は、直接の知り合いではありません。知っている先生の御父上です。中島「専門医を取るのも結構、教授を目指すのも結構。でもな、内科医を名乗っていいのはハリソンを読んでいる医者だけやろ」学生「はいっ!」名言、とどまるところを知らず。我ながら恐ろしい。といいつつ、私自身は全然ハリソンを読んでいません。すみません。リタイアしたら、読む時間ができるかも。というわけで最後に1句読まずとも 人には薦めよ ハリソンを

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第26回 化学療法時に用いられる各制吐薬の有用性をエビデンスから読み解く【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 がん化学療法では、疼痛管理や副作用の予防などさまざまな支持療法を行うため、それぞれのレジメンに特徴的な処方があります。代表的な副作用である悪心・嘔吐に関しては、日本治療学会による制吐薬適正使用ガイドラインや、ASCO、NCCN、MASCC/ESMOなどの各学会ガイドライン1)に制吐療法がまとめられていますので、概要を把握しておくと患者さんへの説明やレジメンの理解に有用です。悪心・嘔吐は大きく、化学療法から24時間以内に出現する急性悪心・嘔吐、25~120時間に出現する遅発性悪心・嘔吐、予防薬を使用しても出現する突出性悪心・嘔吐、化学療法を意識しただけでも出現する予期性悪心・嘔吐に分けられ、化学療法の催吐リスクに応じて制吐薬が決められます。今回は主な制吐薬である5-HT3受容体拮抗薬のパロノセトロン、NK1受容体拮抗薬のアプレピタント、MARTAのオランザピンのエビデンスを紹介します。パロノセトロンまずは、2010年に承認された第2世代5-HT3受容体拮抗薬であるパロノセトロンを紹介します。本剤は従来のグラニセトロンやオンダンセトロンとは異なる構造であり、5-HT3受容体への結合占有率、親和性、選択性が高く、半減期も約40時間と長いことから遅発性の悪心・嘔吐にも有効性が高いとされています。2018年版のNCCNガイドラインでは、パロノセトロンを指定しているレジメンもあります1)。パロノセトロンとグラニセトロンの比較試験では、CR(Coplete Response)率、すなわち悪心・嘔吐がなくレスキュー薬が不要な状態が、急性に関しては75.3% vs.73.3%と非劣性ですが、遅発性に関しては56.8% vs.44.5%(p<0.0001、NNT 9)とパロノセトロンの有効性が示されています2)。また、同薬剤によりデキサメタゾンの使用頻度を減らすことができる可能性も示唆されています3)。添付文書によると、便秘(16.5%)、頭痛(3.9%)のほか、QT延長や肝機能値上昇が比較的高頻度で報告されているため注意が必要ですが、悪心の頻度が多いと予期性の悪心・嘔吐を招きやすくなるため、体力維持や治療継続の点でも重要な薬剤です。院内の化学療法時に静注される薬剤ですので院外では見落とされることもありますが、アプレピタント+デキサメタゾンの処方があれば、5-HT3受容体拮抗薬の内容を確認するとよいでしょう。アプレピタント2009年に承認されたアプレピタントは、中枢性(脳内)の悪心・嘔吐の発現に関与するNK1受容体に選択的に結合することで、悪心・嘔吐を抑制します。一例として、NK1受容体拮抗薬を投与された計8,740例を含む17試験のメタアナリシスを紹介します4)。高度または中等度の催吐性化学療法に対して、それまで標準的だった制吐療法(5-HT3拮抗薬、副腎皮質ステロイド併用)に加えてNK1受容体拮抗薬を追加することで、CR率が全発現期において54%から72%(OR=0.51、95%信頼区間[CI]=0.46~0.57、p<0.001)に増加しています。急性/遅発性の両方で改善効果があり、なおかつ、この高い奏効率ですので、本剤が標準的に用いられるようになったのも納得です。一方で、因果関係は定かではありませんが、重度感染症が2%から6%に増えています(1,480例を含む3つのRCT:OR=3.10、95%CI=1.69~5.67、p<0.001)。また、CYP3A4の基質薬剤なので相互作用には注意です。オランザピンMARTAのオランザピンは、D2受容体拮抗作用および5-HT3受容体拮抗作用によって有意な制吐作用を示すと考えられており、2017年に制吐薬としての適応が追加されました。直近のASCOやNCCNのガイドラインの制吐レジメンにも記載があります1)。従来の5-HT3受容体拮抗薬+NK1受容体拮抗薬+デキサメタゾンの3剤併用と、同レジメンにオランザピンまたはプラセボを上乗せして比較した第3相試験5)では、シスプラチンまたはシクロホスファミド、およびドキソルビシンで治療を受けている乳がんや肺がんなどの患者を中心に約400例が組み入れられました。併用の5-HT3受容体拮抗薬はパロノセトロンが約75%で、次いでオンダンセトロンが24%でした。ベースの制吐薬3剤は、5-HT3受容体拮抗薬、NK1受容体拮抗薬に加えて、デキサメタゾンが1日目に12mg、2~4日目は8mg経口投与でガイドラインのとおりです。エンドポイントである悪心なしの状態は0~10のビジュアルアナログスケールで0のスコアとして定義され、化学療法後0~24時間、25~120時間、0~120時間(全体)で分けて解析されました。いずれの時点においてもオランザピン併用群で悪心の発生率が低く、化学療法後24時間以内で悪心がなかった割合はオランザピン群74% vs.プラセボ群45%、25~120時間では42% vs.25%、0~120時間の5日間全体では37% vs.22%でした。嘔吐やレスキューの制吐薬を追加する頻度もオランザピン群で少なく、CR率もすべての時点で有意に改善しています。なお、忍容性は良好でした。論文内にあるグラフからは、2日目に過度の疲労感や鎮静傾向が現れていますが、服用を継続していても後日回復しています。うち5%は重度の鎮静作用でしたが、鎮静を理由として中止に至った患者はいませんでした。服用最終日およびその前日には眠気は軽快しています。以上、それぞれの試験から読み取れる制吐薬の効果や有害事象を紹介しました。特徴を把握して、患者さんへの説明にお役立ていただければ幸いです。1)Razvi Y, et al. Support Care Cancer. 2019;27:87-95.2)Saito M, et al. Lancet Oncol. 2009;10:115-124.3)Aapro M, et al. Ann Oncol. 2010;21:1083-1088.4)dos Santos LV, et al. J Natl Cancer Inst. 2012;104:1280-1292.5)Navari RM, et al. N Engl J Med. 2016;375:134-142.

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トラックドライバーの日中の眠気とアルコール消費との関係

 商用車ドライバーの交通事故の主な原因として、日中の過度な眠気(excessive daytime sleepiness:EDS)が挙げられる。アルコール消費は、睡眠に直接的な影響を及ぼし、翌日の注意力やパフォーマンスに悪影響を及ぼす。順天堂大学のRonald Filomeno氏らは、日本の商用トラックドライバーにおけるアルコール消費とEDSとの関係および、このことが公衆衛生に及ぼす影響について横断的研究を実施した。Occupational Medicine誌オンライン版2019年7月2日号の報告。 対象は、東京都および新潟県の商用車ドライバー。対象者は、年齢、BMI、アルコール消費量、エプワース眠気尺度(ESS)、タバコ消費量の詳細を含む自己管理型アンケートに回答した。対象者の酸素飽和度低下指数は、対象者が自宅に持ち帰ったパルスオキシメーターで評価された。 主な結果は以下のとおり。・全日本トラック協会に登録されている20~69歳の男性ドライバー1,422人が回答した。・43歳未満のドライバーにおいて、非飲酒者と比較したEDSの多変量調整オッズ比(OR)は、軽度飲酒者で0.81(95%CI:0.47~1.40)、中等度飲酒者で0.93(95%CI:0.51~1.70)、大量飲酒者で0.61(95%CI:0.21~1.79)であった。・43歳以上のドライバーにおいて、非飲酒者と比較したEDSの多変量調整ORは、軽度飲酒者で1.42(95%CI:0.59~3.45)、中等度飲酒者で1.53(95%CI:0.63~3.75)、大量飲酒者で3.37(95%CI:1.14~9.96)であった(P for interaction=0.05)。 著者らは「ESSとアルコール摂取との関連について、アルコール消費量の増加とともにEDSレベルが上昇することが示唆され、とくに43歳以上ではその関連がより顕著である」としている。

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妊娠中の新型インフルワクチン接種、出生児5歳までのアウトカム/BMJ

 妊娠中に受けた2009年パンデミックH1N1(pH1N1)インフルエンザワクチン接種と、出生児の5歳までの健康アウトカムについて、ほとんど関連性は認められないことが、カナダ・オタワ大学のLaura K. Walsh氏らにより報告された。10万例超の出生児を対象に行った後ろ向きコホート試験の結果で、若干の関連性として、喘息の増加と消化器感染症の低下が観察されたが、著者は「これらのアウトカムは、さらなる検討で評価する必要がある」と述べている。BMJ誌2019年7月10日号掲載の報告。感染症、喘息、腫瘍、感覚障害、入院などのリスクを検証 研究グループは、カナダ・オンタリオ州の住民ベースの出生レジストリと健康管理データベースを結び付けて、2009年11月~2010年10月の出生児10万4,249例について、母親が妊娠中に受けたpH1N1インフルエンザワクチン接種と、5歳までのアウトカムとの関連を検証した。 主要アウトカムは、免疫関連疾患(感染症、喘息)、免疫に関連しない疾患(腫瘍、感覚障害)、非特異的疾患アウトカム(救急または入院医療サービス利用、小児の複合的な慢性疾患)の割合だった。5歳までの死亡率についても評価を行った。 傾向スコア重み付け法を用いて交絡因子を補正し、ハザード比、罹患率比、リスク比を算出した。ほとんど関連なし、わずかに喘息リスクが1.05倍、消化器感染症が0.94倍 10万4,249例のうち、子宮内でpH1N1インフルエンザワクチンの曝露を受けたのは3万1,295例(30%)だった。 解析の結果、上気道・下気道感染、中耳炎、感染症、腫瘍、感覚障害、救急または入院医療サービス利用、小児複合慢性疾患、死亡のいずれについても、有意な関連は見つからなかった。 ただしわずかな関連性として、喘息リスクの増加(補正後ハザード比:1.05、95%信頼区間:1.02~1.09)、消化器感染症の低下(補正後罹患率比:0.94、同:0.91~0.98)が認められた。これらの関連性は、受療行動や医療サービスへのアクセスについて潜在的格差を反映して行った感度分析でも、同様に認められた。

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ART実施のHIV陽性者、同性間でコンドーム不使用でも伝播せず/Lancet

 抗レトロウイルス薬療法(ART)によりウイルス量が抑制されているHIV陽性の男性同性愛者が、HIV陰性の同性パートナーとコンドームを使用せずに性行為を行っても、陰性パートナーへのHIV伝播リスクはゼロであることが示唆されたという。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAlison J. Rodger氏らが行った「PARTNER」試験の結果で、Lancet誌2019年6月15日号で発表した。これまでの試験で、異性間カップルでは同リスクがゼロであることは明らかになっていた。著者は「今回の結果は、“U=U(undetectable equals untransmittable)キャンペーン”のメッセージを支持するものであり、HIVの早期検査と治療のベネフィットを裏付けるものである」と述べている。コンドーム不使用の性行為をした同性カップルを追跡 PARTNER試験は、ヨーロッパ14ヵ国、75ヵ所の医療機関を通じて行われた前向き観察試験。2010年9月15日~2014年5月31日に行った「PARTNER1」試験では、パートナーがHIV陽性でARTを受けウイルスが抑制されている異性愛者カップルおよび男性同性愛者のカップルで、コンドーム不使用の性行為を報告したカップルを対象に追跡を行った。その後延長して行われた「PARTNER2」試験(追跡終了2018年4月30日)では、男性同性愛者カップルのみを追跡した。 追跡中の受診時に、性行為に関する質問、HIV陰性パートナーに対するHIV検査、HIV陽性パートナーに対するHIV-1ウイルス量測定検査を行った。HIV陰性パートナーに抗体陽転が見つかった場合には、匿名で系統学的検査を行い、HIV-1のpolとenvの遺伝子配列を比較してパートナーからの感染可能性を検証した。 解析対象(カップル追跡年)には、コンドーム不使用の性行為を報告したカップルで、HIV陰性パートナーから性行為前・後の予防投与の報告がなく、HIV陽性パートナーのウイルス量が抑制されていた(直近1年以内の検査で血中HIV-1 RNA<200コピー/mL)場合のみを適格として組み入れた。カップル782組を中央値2.0年追跡 2010年9月15日~2017年7月31日にかけて、972組の男性同性愛カップルが試験に登録された。カップル追跡年数は1,593(782組)カップル年、追跡期間中央値は2.0年(IQR:1.1~3.5)だった。ベースラインのHIV陽性パートナーの年齢中央値は40歳(同:33~46)、コンドーム不使用の性行為の期間中央値は1.0年(同:0.4~2.9)だった。 解析対象としたカップル追跡年における、コンドーム不使用の肛門性行為の報告回数は7万6,088回だった。また、HIV陰性男性777例のうち、288例(37%)がパートナー以外とのコンドーム不使用の性行為を報告した。 カップル追跡年において、新規HIV感染の発生は15例だった。しかし、いずれも系統学的にパートナーから伝播ではなく、ARTを受けるHIV陽性パートナーからのHIV伝播率はゼロと認められた(95%信頼区間上限値:0.23/100カップル追跡年)。

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ダコミチニブの用量調整と日本人肺がん患者の治療期間(ARCHER1050)/日本臨床腫瘍学会

 第2世代EGFR-TKIダコミチニブは、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療を評価する第III相ARCHER1050試験において、有意な無増悪生存期間(PFS)改善を示した。この改善効果は日本人サブセットでも一貫して確認されている。第17回日本臨床腫瘍学会学術集会では、神奈川県立がんセンターの加藤 晃史氏が、ARCHER1050試験の日本人サブセットにおけるダコミチニブの投与量調整の状況とその影響について発表した。ARCHER1050 試験概要・対象患者:EGFR変異陽性のStage IIIB/IVまたは再発NSCLC患者(CNS転移患者は除外)・試験薬:ダコミチニブ 45mg/日・対照薬:ゲフィチニブ250mg/日・評価項目:[主要評価項目]独立評価委員会によるPFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、治験担当医師によるPFS、奏効率、奏効期間、治療成功期間、安全性、患者報告アウトカム。 今回の発表の主な結果は以下のとおり。・ARCHER1050 全集団452例のうち日本人集団は81例で、ダコミチニブ群は40例であった(ゲフィチニブ群は41例)。・ダコミチニブ群で減量を行った日本人症例の割合は85%(40例中34例)であり、試験全集団の66.1%(227例中150例)に比べ高かった。・ダコミチニブ減量症例34例のうち11例(27.5%)は1段階減量(45→30mg/日)、23例(57.5%)は2段階減量(45→30→15mg/日)であった。・ダコミチニブの減量状況と治療期間をみると、非減量グループが最も短く、2段階減量グループが最も長かった。 ダコミチニブは日本人患者においても一貫したPFSとDCRの改善を示している。日本人サブセットでは減量例が多いが、忍容性に合わせた用量調整はダコミチニブ継続使用の鍵である、と加藤氏は述べた。

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飽くことなき向上心(解説:今中和人氏)-1093

 全米521施設での、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)のstroke発生率の経時的推移を見た論文である。対象は2011年11月~2017年5月まで5年余の間の10万1,430例(年齢中央値83歳、女性47%)で、20%に中等度以上の弁逆流があり、三尖以外の形態の弁が10%、透析患者が4%含まれていた。塞栓防止フィルターの使用については、本文中には詳細な記述がない。 全調査期間のstroke発生率は2.3%(うち約5%が出血性梗塞)、一過性脳虚血は0.4%で、イベント発生はTAVR当日が半数、中央値は2日だった。発生率は調査期間を通じて不変で、リスク因子は、有意ではあるが年齢も84歳vs.82歳。そのほか、女性、stroke既往、PAD合併、頸動脈狭窄合併、STSスコア高値などが挙がっていて、n数が大きいので有意差はついたが、臨床の現場でselectionに資するほどの違いはない。施設ごとの経験症例数(カットオフ100例)や、いかにも関係ありそうな糖尿病や心筋梗塞既往、腎障害や心房細動の有無もstroke発生率に有意差はなかった。過日、問題となった血栓弁と抗凝固療法についても、観察期間が30日とごく短いこともあってstrokeと無関係だった。 塞栓防止フィルター関連の論文だと、MRIでの新規病変を検討したりするのでstroke発生率は10%内外となるが、臨床的に問題となるdisabling strokeについては、大抵1~2%程度である。本論文の著者らは、stroke発生頻度に目立った減少傾向がないことを「残念な現状」というニュアンスで書いているが、外科的大動脈弁置換を行う立場からすると、あんなゴリゴリに石灰化した弁を強引にへし折るようなまねをして、この程度しかstrokeが起きないことのほうが驚きであり、ご立派としか言いようがない。 外科的弁置換では石灰化病変を破砕・露出させるうえ、必ずしも健常でない大動脈に遮断鉗子をかけ、切開し、縫合する。近年は上行大動脈の性状が悪い患者が増えていることもあり、同程度にstrokeが発生する。コマゴマした破片も神経質につまみ出し、こぼれ落ちたかもしれない破片を排除すべく、祈りを込めて何度も洗浄している私たち外科医って一体何やってるんだろう、と、TAVRの2%内外という成績に技術革新の波動を体感する思いがする。TAVRという治療の荒っぽさを思えばおのずと限界はあるはずで、すでにその限界近くに到達している気もするが、2%を容認せずさらなる低下を目指す「飽くことなき向上心」をたたえ、今後の展開に期待したい。 本邦では本稿執筆時点で170弱のTAVR実施施設が認定されており、極端な施設や地域では外科的大動脈弁置換という術式がほぼ消滅したとも聞く。感染症例は言うに及ばず、二尖弁では塊状の石灰化がまれでないためかstrokeは多少増えるようだし、機械弁が適している症例も少なくないはずで、医者側も患者側も、そこまでの傾倒はいかがなものかと思う。先行する欧米もそんな状況にはなっていない。弁輪破裂などの重大事故のほか、いまだ高率な房室ブロックやリークなどの課題、デバイスがきわめて高額なこと(しかも最新鋭ではない!)など、TAVRも良いことずくめではないが、低侵襲性は議論の余地もない。急ピッチのデバイス改良が続き、今やターゲットはintermediate surgical riskからlow riskの患者へと移りつつある。スムーズな治療経過が次の症例を呼び込むわけなので、TAVRが導入されないままの循環器部門は、今後、施設集約化の波にのみ込まれてゆく可能性が高いと思われる。

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第14回 その失神、あれが原因ではないですか?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)失神は突然発症だ! 心血管性失神を見逃すな!2)発症時の痛みの有無を必ずチェック!3)検査前確率を正しく見積もり、必要な検査の提出を!【症例】60歳男性。工事現場で現場監督をしていた際に、気を失った。目撃した現場職員が呼び掛けたところ、数分で意識は改善した。倦怠感、37℃台の微熱も認め救急外来を独歩受診した。●来院時のバイタルサイン意識清明血圧158/98mmHg脈拍102回/分(整)呼吸18回/分SpO297%(RA)体温37.4℃瞳孔3/3mm+/+既往歴高血圧を健康診断で指摘されたことはあるが未受診内服薬定期内服薬なし意識障害vs.意識消失意識障害と意識消失の違いは理解できているでしょうか。できていない方は過去の本連載を振り返って読んでみてください。普段の意識状態と比較するのがポイントでした(普段から認知症によって3/JCSの方が見当識障害を認めても、それは意識障害とは言えませんよね)。今回の症例では、目撃した同僚の方の話では、初めは「ぼっー」としていたものの、数分で普段どおりになったようです。意識障害というよりは意識消失、そして明らかな痙攣の目撃がなく、速やかに意識が戻っているようであれば、まずは「失神」として対応するのがよいでしょう。失神のアプローチ失神の定義は前回述べたとおりですが、具体的に失神と認識したらどのようにアプローチするべきでしょうか。私は表1の事項を意識して対応しています。詳細はこちらの本(『あなたも名医! 意識障害』(日本医事新報社)1))でぜひご確認ください。表1 失神のアプローチ画像を拡大する本稿では、(4)「前駆症状(とくに痛み)を確認する」に関して取り上げましょう。前回の症例でもそうでしたが、失神? と思ったら必ず痛みの有無を確認し、頭頸部に痛みがあればクモ膜下出血を、胸背部痛など頸部以下の痛みを伴う場合には大動脈解離を一度は考え、意識して病歴や身体所見を評価することが大切です。目の前の患者は大動脈解離なのか?大動脈解離が失神の鑑別に上がっても、そこで立ち止まってしまうことはないでしょうか。大動脈解離の来院パターンはいくつかありますが、代表的なものは胸痛などの痛みを訴えて来院、意識障害、そして今回のような失神です。大動脈解離の10%程度は失神を認めるということを頭に入れておくとよいでしょう2)(表2)。表2 発症時の症状画像を拡大する医学生のときに誰もが習う、「突然発症の胸背部痛で痛みが移動し、血圧の左右差を認める」という症例は、残念ながら病院にたどり着けないことが多いものです。実臨床では、「何らかの痛みが突然始まる」と覚えておくとよいと思います。失神→心血管性失神の可能性→発症時の痛みをチェック→大動脈解離かも? クモ膜下出血かも? こんな感じです。大動脈解離らしいか否か、確定診断するために必要な造影CT検査をオーダーするか否か、これはどれほど疑っているかに依存します。すなわち検査前確率を正しく見積もり、必要な検査をオーダーすることが大切なのです。ADD risk score(表3)を意識して「らしさ」を見積もりましょう3)。(1)基礎疾患、(2)痛みの性状、(3)身体所見、これら3項目のうちいくつの項目に該当するのかを評価します。そして、それが1項目以下の場合には可能性は低く、2項目以上に該当する場合には精査をしなければなりません(図)。表3 ADD risk score -大動脈解離は否定できるか-画像を拡大する図 大動脈解離疑い症例 -実践的アプローチ-画像を拡大するD-dimerか、造影CT検査か大動脈解離を疑った際にベッドサイドで行う検査としてエコーは必須ですが、フラップや心嚢液貯留が明らかな症例は、決して多くはありません。もしあればその時点で強く疑い、専門科へコンサルト、または造影CT検査をオーダーすることに躊躇はありませんが、実際にははっきりせず採血や画像検査を行うことになるでしょう。検査が迅速に施行できない環境であれば、突然発症の痛みや痛みに伴う失神ということのみでコンサルト、転院の打診でもまったく問題ありません。D-dimerは有用な検査ですが、ルーティンに提出するものではありません。肺血栓塞栓症を疑った際にも同様ですが、可能性が低いと思っている症例にのみ提出し、陰性をもって否定するのです。具体的には先述の図にのっとればよいでしょう。ADD risk scoreを評価し、2項目以上に該当した場合には、施行すべき検査は造影CT検査です。D-dimerを出すなというわけではありません。必要な検査をきちんとやる必要があるということです。大動脈解離の典型例を見逃すことはあまりありません。一見、軽症に見える患者の中からいかにして拾い上げるのか、それがポイントとなります。繰り返しになりますが、失神は瞬間的な意識消失発作であり突然発症です。そこに痛みの関与があれば疑いたくなりますよね。本症例のように、痛みが入り口でない場合でも、転倒の背景に失神が、そして失神の原因が心血管性失神(HEARTS)ということが決して珍しくありません。バイタルサインが安定しており、重症感がない患者だからこそ、きちんと病歴を聴取し、身体所見を根こそぎ取りましょう。1)坂本壮ほか. あなたも名医! 意識障害. 日本医事新報社;2019.2)Hagan G, et al. JAMA. 2000;283:897-903.3)Adam M, et al. Circulation. 2011;123:2213-2218.4)Nazerian P, et al. Circulation. 2018;137:250-258.

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第17回 実は脂質が多い!外食の人気メニュー【実践型!食事指導スライド】

第17回 実は脂質が多い!外食の人気メニュー医療者向けワンポイント解説外で食事をする際に、カロリー表示を気にする方は多くいますが、脂質や三大栄養素の配分について考えている方はほとんどいません。「肉だから大丈夫」「野菜が入っているからバランスが良い」そう考えていても、実は脂質の割合が多い外食メニューはたくさんあります。今回は代表的な脂質の多いメニュー3品を、タンパク質量が多く、脂質の少ないヒレステーキと比較しました。●ハンバーグファミレスをはじめ、ステーキの専門店などでもハンバーグを注文する方は多くいます。ハンバーグを割った際のじゅわっとあふれる汁を「旨味成分の肉汁」と考えている方も多いようですが、「溶けた脂質」がほとんどです。脂質なので、旨味成分としては正解ですが、脂質量やカロリーは過多になります。ハンバーグの原材料であるひき肉は、赤身と脂肪を一定の割合で混ぜて作ります。つまり、純粋な赤身肉部分だけよりも脂質の割合が高くなっているわけです。<参考>デニーズ:All Beefハンバーグ~デミグラスソース(デミグラスソースハンバーグ)556Kcal、タンパク質29.5g、脂質38.1g、炭水化物24g●カレーカレールゥの原材料表示を見ると、どのメーカーも小麦粉と食用油脂(牛脂、豚脂、牛脂豚脂混合油、パーム油など)のどちらかが必ず1番目と2番目にきます。この食用油脂のメインは動物性脂質です。つまり、カレールゥは「スパイスのかたまり」ではなく、「小麦粉と動物性脂質のかたまり」にスパイスを加えたものということです。あまり具材の入っていないカレーを食べる場合、栄養バランスはご飯(炭水化物)にルゥ(脂質)をかけて食べるというイメージになります。具材が多く含まれるカレーを選ぶことが大切です。<参考>CoCo壱番屋:ポークカレールゥ(ポークカレーからライス300gを抜いて計算)251kcal、タンパク質4g、脂質19.1g、炭水化物15.2g*ポークカレーは755kcal、タンパク質11.5g、脂質20g、炭水化物126.5g●牛丼牛丼チェーン店の牛肉は、やわらかく旨味のあるバラ肉を使用しています。牛肉がたくさんのっていると考えている方も多いですが、脂肪部分が半分程度を占めるため脂質の割合が高くなります。脂質だけではなく、糖分や塩分も高くなりがちなメニューです。<参考>吉野家:牛丼(並盛)アタマ(ご飯230gを抜いて計算)266kcal、タンパク質14.4g、脂質19.7g、炭水化物7.5g*牛丼(並盛)は652kcal、タンパク質20.2g、脂質20.4g、炭水化物92.8g●比較対象のヒレステーキ300kcal分ヒレ部分は肉の中でも脂質が少ない部位です。また、ステーキは調味料で焼くだけのシンプルな調理法です。外食でタンパク質を摂取しよう、脂質を低くしようと考える場合、ヒレや赤身、胸肉、ささみなどの低脂肪な部位をシンプルに調理したメニューを意識すると、脂質が減り、タンパク質を摂取できるので良いでしょう。<参考>牛ヒレ(輸入牛)ステーキ250gエネルギー333kcal、タンパク質51.3g、脂質12g、炭水化物0.8g

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鉄剤と葉酸の漫然投与を見抜き中止提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第2回

 処方提案をする際には、副作用や相互作用による影響を検討するだけでなく、患者さんの希望を聞き取り、前向きに治療を受けられるようにすることも重要です。今回は、多剤併用に悲観的な患者さんに漫然投与されていた薬剤の中止提案を行った症例を紹介します。患者情報施設入居、70歳、女性、身長:140cm、体重:50kg現病歴:関節リウマチ、高血圧、骨粗鬆症処方内容アムロジピン錠2.5mg 1錠 朝食後エソメプラゾールカプセル20mg 1カプセル 朝食後クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg 2錠 朝食後アルファカルシドール錠0.5μg 2錠 朝食後センナ・センナ実顆粒1g 朝夕食後葉酸錠5mg 2錠 朝夕食後アレンドロン酸錠35mg 1錠 起床時・木曜日症例のポイントこの患者さんは、「処方される薬が多いのは自分が重い病気だからであり、これ以上楽になることはない」と考え、悲観的になっていました。多剤併用が苦痛だったようです。上記の薬剤を継続することによって、心理的負荷の増加、鉄剤継続に伴う便秘や肝機能障害、胃腸障害などの懸念もありました。そこで、薬剤の削減ができないか見直しました。関節リウマチなどの炎症性疾患の患者さんでは貧血が比較的多くみられますが、それらによる二次性貧血の場合は原疾患の治療の見直しが必要になることがあります。また、葉酸錠とクエン酸第一鉄ナトリウム錠が長期間投与されていますが、メトトレキサートの副作用予防のための葉酸というわけでもないため患者さん自身はあまりメリットを感じておらず、投与量の見直しも行われていないようです。そこで、鉄欠乏性貧血もしくはリウマチに伴う二次性貧血の見極めの必要性、そして葉酸錠とクエン酸第一鉄ナトリウム錠の漫然投与の可能性を考え、血液検査からのアプローチを行いました。鉄欠乏性貧血は、貯蔵鉄が枯渇することでHb(ヘモグロビン)合成材料の血清鉄が不足して起こる。鉄の貯蔵と血清鉄の維持を行うフェリチンは鉄の貯蔵状態を反映しており、鉄剤治療を行う際の重要なモニタリング項目となる。貯蔵鉄を運搬するTIBC(トランスフェリン)は鉄欠乏の状態で増加することから、TIBCの増加は鉄の全体量としての不足を意味する。本来、鉄欠乏性貧血は、Hb:男性12g/dL未満・女性11g/dL未満、フェリチン:12ng/dL未満、TIBC:360μg/dL以上が治療対象となる。処方提案と経過往診同行の際に、医師に葉酸錠とクエン酸第一鉄ナトリウム錠の評価を提案しました。葉酸錠については葉酸、クエン酸第一鉄ナトリウム錠についてはフェリチンとTIBCの検査オーダーを依頼し、下記の血液検査結果(1)の結果が得られました。TIBCが正常であり、葉酸は充足過剰かつフェリチンが十分であることからリウマチの二次性貧血が疑われますが、めまい・ふらつき・倦怠感などの自覚症状もないことから、葉酸錠とクエン酸第一鉄ナトリウム錠の処方中止を医師に提案し、中止となりました。血液検査結果(1)(介入時提案)MCV:97、Hb:9.9g/dL(↓)、Alb:3.0g/dL、AST:13U/L、ALT:4U/LBUN:14.0mg/dL、Scr:0.61mg/dL、Na:139mEq/L、K:3.5mEq/L、Ca:9.1mg/dLFe:35μg/dL(↓)、TIBC:420μg/dL、フェリチン:203.5ng/mL、葉酸:706.0ng/mL(↑)両剤を中止後、自覚症状の出現や増悪などもなく2週間が経過し、服用錠数が減ったことで気持ちも楽になったことを患者さんより聞き取りました。フォロー中の血液検査結果(2)でも血清鉄こそ基準値に満たないものの、フェリチンは充足しており、自覚症状の出現もなく安定した体調を維持しています。本症例は、関節リウマチによる二次性貧血の可能性が高く、原疾患の治療コントロールを目標に現在もフォローを継続しています。血液検査結果(2)(処方変更3ヵ月後の検査結果)MCV:96、Hb:11.6g/dL、Alb:3.7g/dL、AST:16U/L、ALT:5U/L、BUN:16.2mg/dL、Scr:0.55mg/dL、Na:137mEq/L、K:4.0mEq/L、Ca:9.0mg/dLFe:30μg/dL(↓)、TIBC:385μg/dL、フェリチン:192.5ng/mL、葉酸:4.7ng/mL日本鉄バイオサイエンス学会治療指針作成委員会 編. 鉄剤の適正使用による貧血治療指針 改訂第3版. 響文社;2015.

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精神疾患患者の不眠症に対するスボレキサント1週間投与のオープンラベル試験

 精神疾患患者の不眠症に対するスボレキサントの有効性および安全性に関する報告は、これまで行われていなかった。藤田医科大学の岸 太郎氏らは、精神疾患患者を対象に、不眠症に対するスボレキサントの1週間プロスペクティブ臨床試験を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年7月8日号の報告。 試験開始の前週に不眠症状(総睡眠時間[TST]6時間未満、入眠時間[TSO]30分以上、入眠後2回以上の中途覚醒エピソードのいずれか)を4夜以上経験した精神疾患患者57例を対象に、スボレキサント固定用量による1週間の単一群プロスペクティブ臨床試験を実施した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は49.4±17.3歳、女性の割合は54.4%、うつ病患者49.1%、試験完了率77.2%であった。・スボレキサント投与は、ベースラインスコア(試験開始前2日間の平均スコア)と比較し、1週目のTST、TSO、中途覚醒、患者睡眠満足度の有意な改善と関連が認められた。・有害事象が発現した患者は43.9%であった。主な有害事象は、眠気(28.8%)、疲労感(11.5%)、悪夢(5.8%)、頭痛(3.8%)、めまい(3.8%)、嘔吐(1.9%)であった。 著者らは「スボレキサントは、精神疾患患者の不眠症治療に有用な薬剤である。しかし、本研究は短期間であり、対象患者数も少数であったことから、より大規模な長期試験が必要とされる」としている。

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糖尿病外来患者の検査、施設でばらつき

 「全国のレセプトデータを調査し、糖尿病診療の質指標を測定した研究」について、国立国際医療研究センターと東京大学大学院医学系研究科などで構成される研究グループが、7月30日に研究結果を発表し、“Diabetes Research and Clinical Practice”1)にも掲載された(発表者:杉山 雄大氏[国立国際医療研究センター 研究所 糖尿病情報センター 医療政策研究室長])。 糖尿病診療では、血糖・血圧などのコントロールの他に、合併症を早期診断するために合併症検査を定期的に行うことが重要だとされている、しかし、これまで一部の保険者や施設の実施割合の報告はあったものの、全国における状況を調べた研究はなかったことから今回行われたものである。 本研究では、「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)」を用いて、2015年度に糖尿病薬の定期処方を受けている外来患者(約415万例)が、『糖尿病治療ガイド』(日本糖尿病学会 編・著)などで推奨されている糖尿病関連の検査を受けている割合を糖尿病診療の質指標として測定した。同時に、都道府県別、日本糖尿病学会認定教育施設としての認定有無別の指標も計算し、さらに施設単位の指標のばらつきを観察した。網膜症検査と尿検査の実施割合の低さが顕著 主な結果は以下のとおり。・血糖コントロール指標(HbA1c またはグリコアルブミン)を測定したのは96.7%・網膜症検査を受けたのは46.5%(都道府県別範囲:37.5−51.0%、認定有無別:44.8%(認定無し)対59.8%(認定有り))・尿定性検査を受けたのは67.3%(都道府県別範囲:54.1−81.9%、認定有無別:66.8%対92.8%)・尿アルブミンまたは蛋白の定量検査を受けたのは19.4%(都道府県別範囲:10.8−31.6%、認定有無別:18.7%対54.8%) 以上から血糖コントロール指標の測定は良好ではあるものの、網膜症検査と尿検査の実施割合が低く、また詳細な解析においては都道府県別・施設別のばらつきが課題であることが判明した。着実な検査の実施が糖尿病診療の質の向上に寄与 研究グループでは、新しい検査・治療の開発などにより、取るべき指標や指標の定義も変わることもあるとしながらも、「これらの数値は糖尿病診療の質指標と捉えることができ、医療従事者が着実な検査実施に注意を払うことで、今後の糖尿病診療の質が向上することが期待されるとともに、都道府県が医療計画などを立案する際や診療報酬改定に関して議論を行う際の資料になるなど、エビデンスに基づいた政策立案を推進することが考えられる」と展望を述べている。

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抗凝固療法終了後のVTE、10年で3分の1以上が再発/BMJ

 非誘発性の静脈血栓塞栓症(VTE)の初回エピソードを発症し、3ヵ月を超える抗凝固療法を終了した患者における累積VTE再発率は、2年で16%、5年で25%、10年では36%に達することが、カナダ・オタワ大学のFaizan Khan氏らMARVELOUS共同研究グループの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年7月24日号に掲載された。抗凝固療法は、非誘発性VTEの初回エピソード後のVTE再発リスクの抑制において高い効果を発揮するが、この臨床的な有益性は抗凝固療法を中止すると維持されなくなる。抗凝固療法を無期限に中止または継続すべきかの判断には、中止した場合のVTE再発と、継続した場合の大出血という長期的なリスクとのバランスの考慮が求められるが、中止後のVTE再発の長期的なリスクは明確でないという。中止後の長期のVTE再発率をメタ解析で評価 研究グループは、非誘発性VTEの初回エピソード例において、抗凝固療法中止後のVTE再発を評価し、最長10年の累積VTE再発率を検討する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(カナダ保健研究機構[CIHR]などの助成による)。 2019年3月15日までに、医学データベースに登録された文献を検索した。対象は、非誘発性VTEの初回イベントを発症し、3ヵ月以上の抗凝固療法を終了した患者において、治療中止後の症候性VTEの再発について報告した、無作為化対照比較試験または前向きコホート研究とした。 2人の研究者が独立的に試験選出・データ抽出を行い、バイアスリスクを評価。適格と判定された試験のデータについて、各論文執筆者に確認を求めた。個々の研究の抗凝固療法中止後のVTE再発イベントの発生率および追跡期間の人年を算出し、変量効果メタ解析でデータを統合した。男性で再発率が高い傾向、再発による死亡は4% 18件の研究(7,515例)が解析に含まれた。4件が前向き観察コホート研究、14件は無作為化対照比較試験であった。すべての研究が、Newcastle-Ottawaスケールで「質が高い」と判定された。 抗凝固療法中止後100人年当たりのVTE再発率は、1年時が10.3件(95%信頼区間[CI]:8.6~12.1)、2年時が6.3件(5.1~7.7)、3~5年が3.8件/年(3.2~4.5)、6~10年は3.1件/年(1.7~4.9)であった。また、累積VTE再発率は、2年時が16%(13~19)、5年時が25%(21~29)、10年時は36%(28~45)であった。 男女別の抗凝固療法中止後1年の100人年当たりのVTE再発率は、男性が11.9件(95%CI:9.6~14.4)、女性は8.9件(6.8~11.3)であり、10年時の累積再発率はそれぞれ41%(28~56)および29%(20~38)であった。 VTE再発率は、孤立性肺塞栓症患者と比較して、近位深部静脈血栓症患者(率比:1.4、95%CI:1.1~1.7)および肺塞栓症+深部静脈血栓症患者(1.5、1.1~1.9)で高かった。また、遠位深部静脈血栓症患者における中止後1年時の100人年当たりのVTE再発率は1.9件(95%CI:0.5~4.3)であった。VTE再発による死亡率は4%(2~6)だった。 著者は、「これらのデータは、非誘発性VTEの診療ガイドラインの策定に役立ち、患者に予後を説明する際の信頼度を高め、長期のマネジメントに関する意思決定の支援に有用と考えられる」としている。

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