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不穏さ増す香港でうつ病、PTSDが急増/Lancet

 香港は2019年6月から、暴力を伴う混乱が続き社会不安が増している。中国・香港大学のMichael Y. Ni氏らは、住民を対象とした10年間の前向きコホート研究を行い、社会不安により重大なメンタルヘルス問題が起きていることを明らかにし、メンタルヘルスサービスを急増させる必要があることを報告した。現在も香港の社会不安は全地区にわたっており、略奪行為はみられないが放火や破壊行為など暴力レベルは高い状態にある。しかし直接的な身体的外傷を除くメンタルヘルスへの影響については報告されていなかった。Lancet誌オンライン版2020年1月9日号掲載の報告。2009年以降現在まで9期に分けうつ病・PTSD疑い例を調査 研究グループは、香港における18歳以上の住民を対象とする身体的、精神的および社会的幸福感に関する前向きコホート研究「FAMILY Cohort」のデータを用いて、2009年3月から9つの期間で、精神障害、リスク因子、医療ニーズについて解析した。 Patient Health Questionnaire(PHQ)-9が10点以上を「うつ病疑い」とし、6項目PTSD Checklist-Civilian Versionが14点以上+現在の社会不安に関連する外傷性イベントに直接曝露の場合を「外傷後ストレス障害(PTSD)疑い」とした。 統計解析は、多変量ロジスティック回帰分析を用い、社会不安発生以前の医師によるうつ病または不安障害の診断に関して補正し、うつ病・PTSD疑いに関連する要因を特定した。また、ルーチンに行われているサービス統計と、専門家のケアを求める回答者の意思を基に、精神科専門外来受診者の予測数を算出した。ベースライン(第1期および第2期)の調査後、各期1,213~1,736例の無作為抽出集団について追跡調査した。2019年時点でうつ病疑い11.2%、PTSD疑い12.8% うつ病疑いは、2019年時点で11.2%(95%信頼区間[CI]:9.8~12.7)報告されたのに対して、2009~14年では1.9%(1.6~2.1)、2014年香港反政府デモ(Occupy Central Movement)後から現在の社会不安状況以前の2017年時点では6.5%(5.3~7.6)と報告された。また、2019年時点でのPTSD疑いの有病率は、12.8%と推定された(95%CI:11.2~14.4)。 年齢、性別、学歴、世帯収入はいずれのアウトカムとも関連がなかったが、ソーシャルメディアの頻繁利用(1日2時間以上)は、両方のアウトカムと関連が認められた。政治的態度や抗議行動参加については、うつ病疑いとの関連は確認されなかったが、逃亡犯条例(extradition bill)に対して中立の立場の場合、PTSD疑いのリスクが半減した。また、家族の支援により、うつ病疑いは軽減した。 また、これらメンタルヘルスの負荷が、公的機関またはそれと同等のサービスの必要性を12%増すと推定された。 結果を踏まえて著者は、「医療および社会的ケアの専門家はメンタルヘルス後遺症の可能性を認識して注意を払う必要がある」と述べるとともに、「世界中で社会不安が増す中で、今回の所見は、人々のメンタルヘルスをより適切に保護するサービス計画に影響を与えるものとなるだろう」と指摘している。

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国内2例目の新型肺炎感染確認、厚労省が積極的疫学調査実施へ

 中国湖北省・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎が急速に広がっている問題で、厚生労働省は24日、日本国内で2例目となる新型コロナウイルスに関連した感染症の症例が確認されたことを発表した。患者は武漢市から渡航した40代男性で、今月19日に来日。22日に発熱、咽頭痛があったため医療機関を受診したところ、肺炎像を認め、東京都内の医療機関に入院。国立感染症研究所が調べたところ、今日未明に新型肺炎の感染が確認された。 新型肺炎を巡っては、これまでに少なくとも18人が死亡、感染者は中国本土だけでも600人超が確認されている。厚労省は、23日付で「新型コロナウイルスに関する検査対応について(協力依頼)」を発布。感染研が新型コロナウイルスの病原体検出のためのPCR用プライマーを作成して地方衛生研究所へ送り、医療機関に検査協力を呼び掛けるなど、積極的疫学調査に乗り出した。 一方、WHO(世界保健機関)は、日本時間の24日未明に緊急委員会を開いて協議した結果、現段階では「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC:Public Health Emergency of International Concern)」には該当しないと発表している。 中国は今日から春節で、30日まで1週間の大型連休に入る。日本国内はもとより、近隣のアジア諸国や米国でも新型肺炎の感染者が確認されている中、人の移動が増えることでさらに感染が拡大する恐れもある。 旅行者が不調を訴え受診した際には、武漢市への渡航歴や、「武漢市への渡航歴があり、発熱かつ呼吸器症状を有する人」との接触歴を聴取するなど、慎重に疑い例のスクリーニングを実施し、確定例および疑い例に対しては万全の感染対策を講じていただきたい。また、厚労省のウェブサイトでも特設ページで医療機関向けの情報が随時更新されている。

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安上りの英会話勉強法、その後【Dr. 中島の 新・徒然草】(307)

三百七の段 安上りの英会話勉強法、その後昨年1月24日に紹介した「二百五十六の段 安上がりの英会話練習法」のその後が判明したので報告いたします。まず、二百五十六の段のおおまかな内容を再度述べておきましょう。とある会合で隣に座った先生が、毎朝クリニックに車で出勤する午前6時から7時までの間、NHKラジオ第2放送で流れている英会話レッスンを聴いている、というお話です。15分刻みで4つのレッスンがあり、しかもタダなのが良いところ。その先生は毎日この番組を聴き、50代後半にして英検2級に挑戦し、見事に合格したとのことでした。で、今回聞かせてもらったのはその後の話です。次は英検準1級だ、とばかり件の先生は昨年3回挑戦したのですが、すべて1次試験で落ちてしまったのだとか。でも、徐々に点数があがり、3回目にしてリーディングだけは合格者平均点を超えたとのことです。「あとはリスニングとライティングだ」と、ますますヤル気を出しておられました。この先生によれば、「いまさら就活でもあるまいし、英検やTOEICで高得点を取ったからといって何か御利益(ごりやく)があるわけじゃないけど、モチベーションを保つためには試験を受けるのが一番」だそうです。確かに、○月○日に××で試験があると思えばこそ勉強もしますが、そうでなければなかなか勉強は続きません。私自身も国際学会がある前には、外国人としゃべらなくてはならない、という恐怖で集中的に勉強しますが、学会が終わると同時に英語熱も冷めてしまいます。あと、準1級に合格すれば「英語をしゃべれます」と言ってもいいのだそうです。我々が挑戦するにはちょうど良いレベルですね。というわけで、私も準1級に挑戦してみようかどうか、迷っているところです。進展がありましたら、また、報告させていただきます。最後に1句試験待つ 恐怖が学びの 駆動力

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境界性パーソナリティ障害に対する薬物療法~16年間の変遷

 ドイツ・ゲッティンゲン大学のCharles Timaus氏らは、2008~12年の境界性パーソナリティ障害入院患者に対する薬理学的治療戦略を評価し、1996~2004年の薬物療法との比較を行った。BMC Psychiatry誌2019年12月12日号の報告。 2008~12年にゲッティンゲン大学医療センターで入院治療を受けた境界性パーソナリティ障害患者87例を対象に、レトロスペクティブに評価を行った。入院治療ごとに、入院および退院時の薬剤を含む向精神薬療法について調査した。2008~12年の処方と1996~2004年の処方の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・2008~12年に入院治療を受けた境界性パーソナリティ障害の全患者のうち、94%は退院時に1剤以上の向精神薬による治療を受けていた。・すべてのクラスの向精神薬が使用されていた。・処方率が高かった薬剤は、naltrexone(35.6%)、クエチアピン(19.5%)、ミルタザピン(18.4%)、セルトラリン(12.6%)、エスシタロプラム(11.5%)であった。・1996~2004年と比較し、低力価抗精神病薬、三環系/四環系抗うつ薬、気分安定薬の使用が減少した一方、naltrexoneの使用は有意に増加していた。 著者らは「境界性パーソナリティ障害入院患者のマネジメントでは、薬物療法が中心となっている。近年の薬物療法では、古典的な抗うつ薬や低力価抗精神病薬の使用は減少し、クエチアピンが好まれる傾向にあった。また、オピオイド拮抗薬の使用が増加しており、さらなる調査で検討する必要がある」としている。

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BMI高値は、NSCLCの免疫チェックポイント阻害薬治療の予後良好因子か/JAMA Oncol

 BMI高値は、悪性黒色腫における免疫チェックポイント阻害薬のサバイバルベネフィットの独立した関連因子であるが、進行非小細胞肺がん(NSCLC)におけるその関連は明らかではない。オーストラリア・フリンダース大学のGanessan Kichenadasse氏らは、NSCLCにおけるPD-L1阻害薬アテゾリズマブのアウトカムとBMIの関連を調べるため、4つの国際的多施設臨床研究から事後解析を行った。4つの試験は、単群の第II相試験(BIRCH試験、FIR試験)と、2群の無作為化臨床試験(POPLAR試験、OAK試験)で、データ分析期間は2019年2月28日~9月30日であった。BMIと全生存期間(OS)、 無増悪生存期間(PFS)および毒性との関係についてITT解析した。研究の詳細はJAMA Oncology誌オンライン版2019年12月26日号に掲載された。 主な結果は以下のとおり。・4試験の2,261例のうち2,110例が解析に適格とされた。・2,110例中アテゾリズマブ投与患者は1,436例、ドセタキセル投与患者は676例であった。・肥満(BMI 30以上)はアテゾリズマブ群のOSの改善と有意に関連していたが、ドセタキセル群では関連はみられなかった。・アテゾリズマブ群でのOSおよびPFSとBMIの関連はPD-L1高発現グループで最も強かった。・高PD-L1発現(TC50%以上またはIC10%以上)患者でのOSのハザード比(HR)は、肥満患者では0.36(95%CI:0.21~0.62)、過体重患者では0.69(0.48~0.98)であった。・高PD-L1発現(同上)患者でのPFSのHRは、肥満患者では0.68(0.49~0.94)、過体重患者では0.72(0.56~0.92)であった。 著者らは、「BMI高値は、NSCLCにおけるアテゾリズマブのサバイバル改善に独立して関連していると考えられ、ベースラインBMIは、今後の免疫チェックポイント阻害薬の研究における層別化因子として考慮されるべきだ」と述べている。

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心房細動患者、断酒の効果は有りか無しか/NEJM

 習慣的に飲酒をしている心房細動患者が断酒をすることで、不整脈の再発が減少したことが、オーストラリア・アルフレッド病院のAleksandr Voskoboinik氏らが、140例を対象とした多施設共同前向き非盲検無作為化比較試験の結果、示された。これまで、過剰な飲酒が心房細動の新規発症や有害な心房リモデリングと関連することは知られていたが、断酒による心房細動2次予防への効果は明らかにされていなかったという。NEJM誌2020年1月2日号掲載の報告。週に10ドリンク(純アルコール量約12g/杯)以上のAF患者を対象に試験 研究グループは、オーストラリアの6病院を通じて、週当たりの標準飲酒量が10ドリンク(純アルコール量約12g/杯)以上で、発作性または持続性心房細動があり、ベースラインで洞調律だった成人患者140例を対象に試験を行った。 被験者を1対1の割合で無作為に2群に分け、一方の群は断酒を行い(断酒群、70例)、もう一方の群は通常どおり飲酒を続けた(対照群、70例)。 主要エンドポイントは、追跡期間6ヵ月間での心房細動の無再発期間(当初2週間はブランキング期間とし、その間の発作は再発と見なさない)と、心房細動の総負荷(心房細動発作状態の時間の割合)の2点だった。心房細動再発リスク、断酒群で約45%減 被験者140例は、85%が男性、平均(±SD)年齢は62±9歳だった。 断酒群の飲酒量は、試験前の週平均16.8±7.7ドリンクから、週平均2.1±3.7ドリンクへと87.5%減少したのに対し、対照群では試験前の週平均16.4±6.9ドリンクから週平均13.2±6.5ドリンクへと、19.5%の減少だった。 2週間のブランキング期間後、心房細動の再発が、対照群では70例中51例(73%)認められたのに対し、断酒群では70例中37例(53%)だった。断酒群は、再発までの期間も長かった(ハザード比:0.55、95%信頼区間:0.36~0.84、p=0.005)。 追跡期間中の心房細動の総負荷についても、心房細動発作状態の時間の割合の中央値が対照群では1.2%(四分位範囲:0.0~10.3)だったのに対し、断酒群は0.5%(同:0.0~3.0)と有意に低率だった(p=0.01)。

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潰瘍性大腸炎患者の大腸がんリスク、時間の経過で変化?/Lancet

 潰瘍性大腸炎(UC)患者は非UC者に比べて、大腸がん罹患のリスクが高く、大腸がん診断時の進行度は低いが、大腸がんによる死亡リスクは高いことが示された。一方で、それらの過剰なリスクは時間の経過とともに大幅に低下することも認められたという。スウェーデン・カロリンスカ研究所のOla Olen氏らによる、UC患者9万6,447例を対象とした住民ベースのコホート試験の結果で、著者らは、「国際的なサーベイランスガイドラインを改善する余地がまだあるようだ」と述べている。Lancet誌2020年1月11日号掲載の報告。デンマークとスウェーデンのUC患者9万6,447例を対象にコホート試験 研究グループは、1969年1月1日~2017年12月31日に、デンマークのUC患者3万2,919例と、スウェーデンのUC患者6万3,528例の計9万6,447例を対象に、住民ベースのコホート試験を行った。一般住民コホートから対照群として94万9,207例をマッチングし、大腸がん罹患と大腸がん死亡について比較した。 UC患者は、国内患者登録名簿の中に2つ以上の適切な国際疾病分類(ICD)記録がある場合、または、ICD記録が1つと大腸生検レポートに炎症性腸疾患(IBD)を示す形態診断コードが認められた場合を解析対象とした。また、UC患者全員について、性別、年齢、出生年、居住地でマッチングした個人をデンマークおよびスウェーデンの全住民登録から適合参照として選出した。 Cox回帰分析を行い、腫瘍ステージを考慮したうえで、大腸がん罹患、大腸がんによる死亡のハザード比(HR)を求めた。UCにより大腸がんリスクは増大、ただし直近5年ではリスクが低減 追跡期間中の大腸がん罹患者は、UC群1,336例(1.29/1,000人年)、対照群9,544例(0.82/1,000人年)だった(HR:1.66、95%信頼区間[CI]:1.57~1.76)。また、大腸がんによる死亡は、UC群639例(0.55/1,000人年)、対照群4,451例(0.38/1,000人年)だった(HR:1.59、95%CI:1.46~1.72)。 大腸がんのステージ分布を比較したところ、UC群は対照群に比べ進行度は低かったが(p<0.0001)、腫瘍ステージを考慮に入れても、UCで大腸がんの患者は、大腸がんによる死亡リスクが高かった(HR:1.54、95%CI:1.33~1.78)。 しかし、そうした過剰なリスクは、追跡期間中に低減していることが認められた。スウェーデン・コホートの直近5年の追跡期間(2013~17年)において、UC群の大腸がん罹患HRは1.38(95%CI:1.20~1.60、5年間でUC患者1,058例につき1件追加)で、大腸がんによる死亡HRは1.25(同:1.03~1.51、5年間でUC患者3,041例につき1件追加)だった。

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short DAPT vs.standard DAPTの新展開:黄昏るのはアスピリン?クロピドグレル?(解説:中野明彦氏)-1170

はじめに 本邦でBMSが使えるようになったのは平成6年、ステント血栓症予防には抗凝固療法(ワルファリン)より抗血小板剤:DAPT(アスピリン+チクロピジン)が優れるとわかったのはさらに数年後だった。その後アスピリンの相方が第2世代のADP受容体P2Y12拮抗薬:クロピドグレルに代わり、最近ではDAPT期間短縮の議論が尽くされているが、DAPT後の単剤抗血小板薬(SAPT)の主役はずっとアスピリンだった。そして時代は令和、そのアスピリンの牙城が崩れようとしている。 心房細動と異なり、ステント留置後の抗血栓療法には虚血リスク(ステント血栓症)と出血リスクの交差時期がある。薬剤溶出性ステント(DES)の進化・強化、2次予防の浸透などによる虚血リスク減少と、患者の高齢化に代表される出血リスク増加を背景に、想定される交差時期は前倒しになってきている。最新の欧米ガイドラインでは、安定型冠動脈疾患に対するDES留置後の標準DAPT期間を6ヵ月とし、出血リスクに応じて1~3ヵ月のshort DAPTをオプションとして認めている。同様に急性冠症候群(ACS)では標準:12ヵ月、オプション:6ヵ月である。もちろん日本循環器学会もこれに追従している。 しかし2018年ごろから、アスピリンに代わるSAPTとしてP2Y12拮抗薬monotherapyの可能性を模索する試験が続々と報告されている。・STOPDAPT-21):日本、3,045例、1 Mo(→クロピドグレル)vs.12 Mo、all comer(ACS 38%)、心血管+出血イベント・出血イベントともにshort DAPTに優越性・SMART-CHOICE2):韓国、2,993例、3 Mo(→クロピドグレル)vs.12 Mo、all comer(ACS 58%)、MACCEは非劣性、出血イベントはshort DAPTに優越性・GLOBAL-LEADERS3):EUを中心に18ヵ国、1万5,968例、1 Mo(→クロピドグレル、ACSはチカグレロル)vs.12 Mo DAPT→アスピリン、2年間、all comer(ACS 47%)、総死亡+Q-MI・出血イベントともに非劣性チカグレロルのmonotherapy チエノピリジン系(チクロピジン、クロピドグレル、プラスグレル)とは一線を画するCTPT系P2Y12拮抗薬であるチカグレロルは、代謝活性化を経ず直接抗血小板作用を発揮するため、作用の強さは血中濃度に依存し個体差がない。またADP受容体との結合が可逆的なため薬剤中断後の効果消失が速い。DAPTの一員としてPEGASUS-TIMI 54・THEMIS試験などで重症安定型冠動脈疾患への適応拡大が模索されているが、現行ガイドラインではACSに限定されている。 今回のTWILIGHT試験はPCI後3ヵ月間のshort DAPT(アスピリン+チカグレロル)とstandard DAPTの比較試験で、SAPTとしてチカグレロルを残した。前掲試験と異なる特徴は、・虚血・大出血イベントを合併した症例を除外し、3ヵ月後にランダム化したランドマーク解析であること・all comerではなく、虚血や出血リスクが高いと考えられる症例・病変*に限定したこと・3分の2がACSだがST上昇型心筋梗塞は含まれていないなどである。*:年齢65歳以上、女性、トロポニン陽性ACS、陳旧性心筋梗塞・末梢動脈疾患、血行再建の既往、薬物療法を要する糖尿病、G3a以上の慢性腎臓病、多枝冠動脈病変、血栓性病変へのPCI、30mmを超えるステント長、2本以上のステントを留置した分岐部病変、左冠動脈主幹部≧50%または左前下行枝近位部≧70%、アテレクトミーを要した石灰化病変 結果、ランダム化から1年間の死亡+虚血イベントは同等(short DAPT:3.9% vs.standard DAPT:3.9%)で、BARC基準2/3/5出血(4.0% vs.7.1%)・より重症なBARC基準3/5 出血(1.0% vs.2.0%)はほぼダブルスコアだった。 筆者らは「PCI治療を受けたハイリスク患者は、3ヵ月間のDAPT(アスピリン+チカグレロル)を実施した後、DAPT継続よりもチカグレロル単剤に切り替えたほうが総死亡・心筋梗塞・脳梗塞を増やすことなく出血リスクを減らすことができる」と結論付けた。日本への応用、そしてその先は? しかしどこか他人事である。 第1に、ACSに対するクロピドグレルvs.チカグレロルのDAPT対決(PLATO試験4))に参加できず別に施行したブリッジ試験(PHILO試験5))が不発に終わった日本では、チカグレロルの適応が大幅に制限されている。したがって、われわれが日常臨床で本試験を実感することはできない。 第2に出血イベントの多さに驚く。3ヵ月のDAPT期間内に発生した死亡+虚血イベントが1.2%だったのに対し、BARC 3b以上の大出血は1.5%だった。出血リスクの高い対照群や人種差のためかもしれないが、本来なら虚血イベントが上回るはずのPCI後早期に出血イベントのほうが多かったのでは本末転倒である。ランダム化後の出血イベント(上記)も加えると、さらに日本の臨床試験とかけ離れてくる。PHILO試験が出血性イベントで失敗したことを考えれば、プラスグレルのように日本人特有の用量設定が必要なのでは、と感じる。 とはいえ、脳出血や消化管出血のリスクが付きまとうアスピリンに代わるP2Y12拮抗薬monotherapyは魅力的なオプションではある。PCI後の抗血小板療法は血栓症予防と出血性合併症とのトレードオフで論ずるべき問題であり、症例や使用薬剤によって虚血リスクと出血リスクの交差時期(至適short DAPT期間)は変わるに違いない。さらに、どのP2Y12拮抗薬がmonotherapyとして最適なのか? 2次予防としても有効なのか? アスピリンのように「生涯」継続するのか? 医療経済的に釣り合うのか? 最初からmonotherapyではダメなのか? …検討すべき問題は山積するが、新しい時代に本試験が投じた一石は小さくない。

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英語落語とノーベル賞受賞記者会見の関係!【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】 第19回

第19回 英語落語とノーベル賞受賞記者会見の関係!セレンディピティ(serendipity)という言葉を耳にしたことがありますか? 「予測していなかった偶然によってもたらされた幸運」を意味します。日本語訳として「偶察力」とされる場合もありますが、確固とした訳語はありません。「セレンディピティ」として広辞苑にも載っているので、日本で浸透している英単語といってもよいでしょう。この言葉は、ノーベル賞の受賞記者会見などで用いられるのが定番です。科学の世界では、大発見は偶然からもたらされることが多いようです。失敗してもそこから何かを学び取ることができれば成功に結びつくという、科学的な大発見を説明するエピソードとして語られるのです。こんな私にも、なかなか眠れない夜があります。翌日のことを考えて、「早く眠らなくては」と焦れば焦るほど目が冴えてしまって眠気から遠のきます。ここで、眠ろうと努力することは得策ではありません。気を楽に保ち、できるだけ何も考えずにリラックスするのがよいです。私は、ポッドキャストとして英語論文の読み上げを聴くこともあります。ポッドキャストについて知りたい方は、「第2回 寅さん映画で外国語ペラペラ」を参考にしてください。今回の入眠作戦は、英語で落語を聴くことです。YouTubeには数多くの英語落語がアップされています。英語で知っている定番の落語を聴くと面白いです。英語で聴いてもつまらないのでは? と思われるかもしれませんが、これが驚くほど笑えます! 落語で描かれる舞台は、庶民の日常の暮らしです。英語落語に出てくる英語表現や英単語は、日常生活で使われる分かりやすいフレーズがほとんどです。英語の勉強と気合を入れることなく自然に意味が通じ、ほどよく入眠できます。定番中の定番の「寿限無」を英語で聴くことにします。子供の可愛さあまりに「いつまでも元気で長生きできるように…」と縁起のいい名前候補を集め、なんとそれを全部名前に付けてしまったのです。幸福(寿)が限り無いの意味のめでたい話で「寿限無」ですが、英語の題目はなぜか「Long name」です。落語の中で、子供の名前は「寿限無寿限無 五劫の擦り切れ 海砂利水魚の水行末 雲来末・・・・」と続きます。寿限無の英語落語にも、数多くのバージョンがあり、Long nameを「ジュゲム・ジュゲム・・・・」とそのまま発音するものもあれば、英語での縁起良い言葉を集めて繋げるという意訳バージョンもあります。その日は意訳バージョンでした。「Happiness、Lucky・・・」と続き、その終盤に出てきたのが「Serendipity」です。なるほど、英語版の寿限無には、セレンディピティか、フムフム。妙に頭が冴えてきて入眠作戦は大失敗です。そのうえ、眠れないでいる飼主の状況を察知したのか、便乗して猫が布団に乗っかってきました。自分にとってのセレンディピティは、この猫との偶然の出会いに違いないと確信しました。ちょうど自分の内臓部分あたりに乗ってこられると、とても重く息苦しいのですが、モゾモゾするとどこかにいってしまうので、不動の姿勢で耐えることにします。甘美な苦難です。ノーベル賞受賞の記者会見とは雲泥の差ですが、セレンディピティという言葉を使ってみたくなった自分でした。

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漫然投与薬に依存している患者の提案成功例【うまくいく!処方提案プラクティス】第13回

 すでに生じている症状の改善目的以外にも、予防目的で薬がどんどん増えていくことがあります。害が予想される場合は処方薬の整理をしたいところですが、患者さんの依存度が高い場合は中止が難しくなります。今回は、そのような場合の中止アルゴリズムについて紹介します。患者情報90歳、女性(個人在宅)、長男と同居中基礎疾患:認知症、脳出血内服管理:簡易懸濁法で経管投与(長男が管理)訪問看護:週3回処方内容(介入時)1.エレンタール®配合内用剤 3包 分3 毎食後2.ドンペリドン錠10mg 3錠 分3 毎食後3.酸化マグネシウム錠250mg 3錠 分3 毎食後 適宜調節4.ピコスルファートナトリウム内用液 便秘時 5〜8滴 適宜調節5.グリセリン浣腸 1個 便秘時本症例のポイントこの患者さんは、長期間上記の薬を継続していました。息子さんが熱心に服薬管理をしているため飲み忘れはなく、簡易懸濁の手技なども問題なく行えていました。しかし、1つ気になっていたのは、消化管運動の改善目的でドパミンD2受容体遮断薬であるドンペリドンを長期間服用していたことです。ドパミンD2受容体遮断薬は、上部消化管にあるドパミン受容体に作用することでアセチルコリンの遊離を促して運動機能を改善しますが、長期間服用するとアカシジア、ジスキネジアなどの錐体外路症状が生じることがあります。ドンペリドンは血液脳関門を通過しにくいため、比較的安全性は高いと考えられますが、長期間服用することで錐体外路症状の発現リスクはあると考えました。認知症の影響から身体機能低下は進行していましたが、もしこの錐体外路症状が生じるとさらに身体機能は低下し、本人および息子さんの負担が増加する可能性があります。そこで、服用契機をたどってみると、デイサービス利用時の移動で嘔吐したことがあり、それ以来ドンペリドンを定期服用しているとのことでした。経管投与に伴う逆流や便秘のコントロール不良も原因の1つと考えられるため、手技や投与量を検討することでドンペリドンを中止することも可能なのではないかと考えました。しかし、ご本人と息子さんがドンペリドンをやめることで嘔気をぶり返すのが怖いと訴えたため、単純な中止の提案ではなく、代替薬などを提案して不安にさせないようにする必要がありました。処方提案と経過訪問報告書を用いて、以下の処方提案をしました。「患者さんは、長期的にドパミンD2受容体遮断薬を服用しており、錐体外路症状が発現した場合にはさらなる身体機能の低下からご本人やご家族の負担が増大する懸念があります。服用契機は、デイサービス移動時の嘔吐と伺っていますので、定期服用ではなくデイサービス当日の移動前の頓服に切り替えるのはいかがでしょうか。あるいは、便秘や経管投与による胃食道逆流の症状から来る嘔気のコントロールであれば、消化管運動機能改善薬のモサプリドを同様の用法で服用するのはいかがでしょうか」。医師より、これまでドンペリドンが有効であったため他剤への切り替えではなく、有症状時の頓服にしようと承認を得ることができました。頓服に切り替え後、患者さんはドンペリドンを使うことなく経過しました。息子さんに薬を使わなくても症状がなくて安心してもらえたタイミングで、医師に今後の処方は中止することを提案したところ、承認を得ることができました。患者さんは、その後も嘔気の症状はなく、ドンペリドンを使わなくても安定した状態を保っています。

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慢性不眠症患者へのベンゾジアゼピン中止のための心理社会的介入~メタ解析

 ベンゾジアゼピン(BZD)の長期使用は慢性不眠症の治療には推奨されておらず、心理社会的介入、とくに不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)がBZD中止への潜在的なオプションとして期待される。杏林大学の高江洲 義和氏らは、慢性不眠症患者に対するBZD使用を中止するために心理社会的介入が有用であるかについて、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Sleep Medicine Reviews誌2019年12月号の報告。 主要なデータベースより、2018年7月までの文献を検索した。関連文献の検索、データ抽出、コクラン基準にのっとった方法論の質の評価は、2人の独立した研究者により行われた。CBT-Iを評価したランダム化比較試験8件について、レビューおよびメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・3ヵ月以内の短期CBT-IとBZD漸減療法は、CBT-I介入を行わなかった場合と比較し、より有効であった(リスク比:1.68、95%信頼区間[CI]:1.19~2.39、p=0.003)。・また、CBT-I介入は、不眠症状の改善に対しても効果的であった(g:-0.69、95%CI:-1.09~-0.28、p=0.0009)。・ただし、BZD中止に対するCBT-Iの長期(12ヵ月)介入の有効性に有意な差は認められなかった(リスク比:1.67、95%CI:0.91~3.07、p=0.10)。 著者らは「BZD系睡眠薬を中止するためのCBT-I介入は、3ヵ月以内だと効果的であることが示唆された。CBT-Iの長期的な有効性を明らかにするためには、さらなる研究が求められる」としている。

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中年期の健康的な生活様式は平均余命にどう影響?/BMJ

 中年期の健康的な生活様式の順守は、主要慢性疾患(がん、心血管疾患、2型糖尿病)のない平均余命を延長することが、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のYanping Li氏らによる検討の結果、示された。これまで、修正可能な生活様式因子(喫煙、身体活動、アルコール摂取、体重、食事の質)が、平均余命および慢性疾患発症の両者に影響することは知られていた。しかし、複数の生活様式因子の組み合わせと、主要な疾患(糖尿病、心血管疾患、がんなど)のない平均余命との関わりについて、包括的に検討した研究はほとんどなかったという。BMJ誌2020年1月8日号掲載の報告。5個の様式の組み合わせと主要慢性疾患のない平均余命の関連を調査 研究グループは、米国で行われた前向きコホート研究「Nurses' Health Study」(1980~2014年、女性7万3,196人)と「Health Professionals Follow-Up Study」(1986~2014年、男性3万8,366人)の参加者データを分析し、健康的な生活様式が主要な慢性疾患のない平均余命とどのように関連するかを調べた。 「非喫煙」「BMI 18.5~24.9」「中強度~高強度(30分/日以上)の身体活動」「適度なアルコール摂取(女性5~15g/日、男性5~30g/日)」「食事の質のスコア(Alternate Healthy Eating Index:AHEI)が高い(各コホートで上位40%に属する)」の5個を「低リスク生活様式因子」と定め、その実践数別(0、1、2、3、4/5個)に、糖尿病、心血管疾患、がんのない平均余命年を算出して評価した。低リスク生活様式が多いほど平均余命は延長 女性227万411人年、男性93万201人年のフォローアップ中に、3万4,383人(女性2万1,344人、男性1万3,039人)の死亡が記録された。 低リスク生活様式因子の実践数が多い被験者は、マルチビタミンサプリメントおよびアスピリンの服用者が多い傾向がみられた。 50歳時点での総平均余命(慢性疾患の有無を問わず集計)は、低リスク生活様式因子が多いほど長く、女性は31.7年(0個)~41.1年(4/5個)、男性は31.3年(0個)~39.4年(4/5個)にわたっていた。 50歳時点での糖尿病、心血管疾患、がんのない平均余命は、女性においては低リスク生活様式因子の実践が0個の場合は23.7年(95%信頼区間[CI]:22.6~24.7)であったが、4/5個実践の場合は34.4年(33.1~35.5)であった。男性においては、実践が0個の場合は23.5年(22.3~24.7)であったが、4/5個実践の場合は31.1年(29.5~32.5)であった。 50歳時の総平均余命に対する慢性疾患のない平均余命の割合は、重度の現行男性喫煙者(紙巻きタバコ15本/日以上)や、肥満(BMI 30以上)の男性および女性で最も低く、いずれも75%以下であった。

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マイコプラズマ市中肺炎児、皮膚粘膜疾患が有意に多い

 かつて、その流行周期から日本では「オリンピック肺炎」とも呼ばれたマイコプラズマ肺炎について、ほかの起炎菌による市中肺炎(CAP)児と比べた場合に、皮膚粘膜疾患が有意に多く認められることを、スイス・チューリッヒ大学小児病院のPatrick M. Meyer Sauteur氏らが明らかにした。現行の診断検査では、肺炎マイコプラズマ(M. pneumoniae)の感染と保菌を区別できないため、皮膚粘膜疾患の原因としてマイコプラズマ感染症を診断することは困難となっている。今回の検討では、M. pneumoniaeによる皮膚粘膜疾患は、全身性の炎症や罹患率および長期にわたる後遺症リスクの増大と関連していたことも示されたという。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年12月18日号掲載の報告。 研究グループはCAP児を対象に、改善した診断法を用いてM. pneumoniaeによる皮膚粘膜疾患の頻度と臨床的特性を調べる検討を行った。 2016年5月1日~2017年4月30日にチューリッヒ大学小児病院で登録されたCAP患者のうち、3~18歳の152例を対象に前向きコホート研究を実施。対象児は、英国胸部疾患学会(British Thoracic Society)のガイドラインに基づきCAPと臨床的に確認された、入院または外来患者であった。 データの解析は2017年7月10日~2018年6月29日に行われた。主要評価項目は、CAP児におけるM. pneumoniaeによる皮膚粘膜疾患の頻度と臨床特性とした。マイコプラズマ肺炎の診断は、口咽頭検体を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法で行い、ほかの病原菌によるCAPキャリアとM. pneumoniae感染患者を区別するため、酵素免疫測定法(ELISA)で特異的末梢血中IgM抗体分泌細胞の測定を行い、確認した。 皮膚粘膜疾患は、CAPのエピソード中に発生した、皮膚および/または粘膜に認められたあらゆる発疹と定義した。 主な結果は以下のとおり。・CAP児として登録された152例(年齢中央値5.7歳[四分位範囲:4.3~8.9]、84例[55.3%]が男子)において、PCR法でM. pneumoniae陽性が確認されたのは44例(28.9%)であった。・それら44例のうち、10例(22.7%)で皮膚粘膜病変が認められ、全例が特異的IgM抗体分泌細胞の検査結果で陽性であった。・一方、PCR法でM. pneumoniae陰性であったケースのうち、皮膚症状が認められたのは3例(2.8%)であった(p<0.001)。・M. pneumoniae誘発皮膚粘膜疾患は、発疹および粘膜炎(3例[6.8%])、蕁麻疹(2例[4.5%])、斑点状丘疹(5例[11.4%])であった。・2例に、眼粘膜症状(両側性前部ぶどう膜炎、非化膿性結膜炎)が認められた。・M. pneumoniaeによる皮膚粘膜疾患を有する患児は、M. pneumoniaeによるCAPを認めるが皮膚粘膜症状は認めない患児と比べ、前駆症状としての発熱期間が長く(中央値[四分位範囲]:10.5[8.3~11.8]vs.7.0[5.5~9.5]日、p=0.02)、CRP値が高かった(31[22~59]vs.16[7~23]mg/L、p=0.04)。また、より酸素吸入を必要とする傾向(5例[50%] vs.1例[5%]、p=0.007)、入院を必要とする傾向(7例[70%]vs.4例[19%]、p=0.01)、長期後遺症を発現する傾向(3例[30%]vs.0、p=0.03)も認められた。

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中国と日本の医学研究者は週末や深夜に仕事をする人が多いようだ(解説:折笠秀樹氏)-1169

 2012年から2019年にかけて、BMJ/BMJ Open誌に論文が投稿された日時を調べた。加えて、同誌の査読が提出された日時も調べた。週末や深夜に提出されることも多々あり、医学研究者の仕事は9時5時とは限らない現実が明らかになった。国別に分析したところ、中国と日本はダントツで週末や深夜に仕事をする人が多かった。 BMJもBMJ Openも大差がなかったので、BMJのデータを見ると、週末・祝日に論文投稿した割合は22%であった。査読提出の割合は31%であった。週末は7分の2(28%)なので、論文執筆は平日に行っているほうが多いが、週末でも22%の割合で仕事をするのはサラリーマンでは考えにくい。論文は本務に位置付けられるが、査読はそうではないので、査読のほうは時間外に行われがちなのだろう。 投稿・提出の日時は著者の住所をもとに、時差を調整した。しかし、これは投稿・提出した日時であって、作業をしていた日時かどうかはわからない。作業は日中に行っていても、最後にもう一度見直して送ることが多いと思う。それが週末や深夜になったのかもしれない。自宅から送付した可能性もあるだろう。しかし、その時刻に仕事していたことは確かだろう。 著者は自国から投稿・提出したと仮定しているが、自国で作業していたかどうかわからない。出張先で仕事していたかもしれない。診療・研究・授業・会議から解放された出張先ですることは大いにあるだろう。 中国や日本の研究者で、週末や深夜に仕事をする人が多いのはうなずける。欧米人はあまり時間外に仕事をしないようである。米国留学していたときも、遅くまで勉強しているのはアジア人だった。欧米人はとっとと帰っていた。中国や日本では男性研究者が多いことも、こうした結果を生んだ原因だと思った。男性は家事をしない人が多いため、深夜まで仕事できるからだ。

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ドイツの何が良かったのか【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第2回

ブンデスリーガ、半端ねぇ!当初は漠然と海外への臨床留学を希望していました。チャンスがあれば、いつでもいってやろうと思っていたのですが、チャンスが向こうから転がってくるなんてことはありませんでした。そんな中、心臓血管外科の専門医を取得した頃から、「積極的に自分から動かなくては」と少し焦る様になりました。経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)をはじめ、ドイツでは、当時日本ではまだ認可が下りていなかった治療が沢山行われていて、「今ドイツが熱い!」と常々耳にしていました。そこで、休みを利用して一度ドイツの医療施設の見学をしようと考え、人伝にミュンヘンの心臓センターに留学中の先生を紹介してもらい、初めてドイツに足を踏み入れました。ちょうどその頃街では、クリスマス・マーケットが始まっていました。今ならドイツ医療のいいところも悪いところも沢山語れますが、見学した当時は、何の知識も持ち合わせていませんでした。病院見学の前後に観光をしたのですが、すごく楽しかったです。当時は、バイエルン・ミュンヘンが強豪チームとも知らずに、サッカー観戦なんかしちゃったりして。偶然にもドイツへ向かう直前に学生時代の友人と飲み会があって、「次、生まれ変わったらサッカー選手になって大稼ぎしたいなー」と、何も考えずに話していたのですが…初めて生で観たブンデスリーガは想像を絶する凄さと迫力でした。試合後にユニフォームを脱いだときの選手のガタイも物凄く、「俺なんか7回生まれ変わっても絶対無理だな…」と先の発言を反省することになりました。現地で見たドイツの医師のこだわりドイツの病院見学も素晴らしいものでした。はじめにTAVIの見学をさせてもらったのですが、当時は世界でもまだ珍しかった術式だったこともあり、世界中から見学者が病院に訪れていました。スタッフの皆さんもとても親切で、「あ~、TAVI観に来たんでしょ。じゃあ、そこに立っといて。全部見渡せるから」「今から弁をセットするね。これを間違えたら私、一発でクビだから」と流れるようなトーク。術者の先生も実況付きで解説してくれ、「見学者の対応に慣れてるな~」という印象でした。また、これ以上に強く心に残ったのは、心臓外科医たちの技術に対するこだわりでした。通常の開心術も数例見学させてもらいましたが、みなさん手術が上手く「この人たちにとって手術が上手くなることは、当たり前のことなんだろうな」と見学させてもらいました。手術のチェックポイントを細かく語るベテラン医師と、真剣に耳を傾ける若手医師。最新の技術などを柔軟に取り入れる一方で、時間をかけて習得する技術を大事にしている姿勢がよく伝わってきました。そして、「こういう場所で修行できたら楽しいだろうなー」とドイツでの臨床留学が目標になりました。その後ドイツには、散々苦しめられることになるのですが…第一印象が良かったこともあって、ドイツを(そこまでは)嫌いになることなく頑張り続けることができました。

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嚥下障害のある患者にも使用できるパーキンソン病貼付薬「ハルロピテープ8mg/16mg/24mg/32mg/40mg」【下平博士のDIノート】第41回

嚥下障害のある患者にも使用できるパーキンソン病貼付薬「ハルロピテープ8mg/16mg/24mg/32mg/40mg」今回は、経皮吸収型ドパミン作動性パーキンソン病治療薬「ロピニロール塩酸塩経皮吸収型製剤」(商品名:ハルロピテープ8mg/16mg/24mg/32mg/40mg、製造販売:久光製薬、発売:協和キリン)を紹介します。本剤は、嚥下能力の低下した患者や消化管障害がある患者にも使用でき、家族や介護者が管理しやすいパーキンソン病治療薬として期待されています。<効能・効果>本剤は、パーキンソン病の適応で、2019年9月20日に承認され、2019年12月17日より発売されています。<用法・用量>通常、成人にはロピニロール塩酸塩として1日1回8mgから始め、必要に応じて1週間以上の間隔を空けながら8mgずつ増量します。胸部、腹部、側腹部、大腿部または上腕部のいずれかに貼付し、24時間ごとに貼り替えます。なお、年齢、症状により、1日量64mgを超えない範囲で適宜増減することができます。<副作用>国内臨床試験において、760例中478例(62.9%)に、臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、適用部位紅斑124例(16.3%)、適用部位そう痒感103例(13.6%)、傾眠86例(11.3%)、悪心80例(10.5%)、便秘46例(6.1%)およびジスキネジア43例(5.7%)などでした(承認時)。なお、重大な副作用として、前兆のない突発的睡眠(0.7%)、極度の傾眠(頻度不明)、幻覚(3.6%)、妄想(0.4%)、興奮(0.1%)、錯乱(頻度不明)、せん妄(0.7%)などの精神症状、悪性症候群(頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は震えや筋肉のこわばり、日常生活動作・運動能力の低下などのパーキンソン病の症状を改善します。2.お風呂の後などタイミングを決めて、毎日1回同じ時間に薬を貼ってください。新しい薬を貼る前には、必ず前回の薬を剥がしてください。3.胸部、腹部、脇腹、太ももまたは上腕部のいずれかに貼りますが、かぶれなどを防ぐために毎回貼る場所を変えてください。かゆみやかぶれが現れたときは、医師や薬剤師に相談してください。4.この薬は、貼っている部位の温度が上がると薬の作用が高まる恐れがあります。テープを貼った部分が過度の直射日光やあんか、カイロ、湯たんぽ、サウナなどで熱くならないようにしてください。5.耐え難い眠気が突然現れることがあるため、この薬を使用中は自動車の運転や機械の操作、高所作業など、危険を伴う作業はしないでください。6.医師の指示なしに使用量を変更・中止すると、症状が悪化することがあるので、指示どおりに使用してください。<Shimo's eyes>ロピニロールはパーキンソン病の治療薬として広く用いられている成分で、既存薬として内服薬の速放錠と徐放錠が発売されています。ロピニロールの経皮吸収型製剤である本剤は、「ロピニロール」を「貼る」ということからハルロピと命名されました。パーキンソン病に用いる経皮吸収型製剤としては、ロチゴチンパッチ製剤(商品名:ニュープロパッチ)に次ぐ2剤目となります。パーキンソン病患者では、自律神経症状として胃排出能低下などの消化管障害が多いことが報告されています。そのため、経口薬では吸収が遅延して薬効の発現に影響し、オフ時間が生じることが懸念されています。本剤は経皮吸収型製剤であるため、消化管障害の影響を受けず、血中濃度が安定しやすいと考えられます。副作用としては、現在すべてのドパミン作動薬の添付文書では、「重要な基本的注意」として突発的睡眠の注意喚起がなされています。また、これらの薬剤は急に減量または中止すると悪性症候群、薬剤離脱症候群が現れることがあるので、患者さんのアドヒアランス確保は薬剤師の重要な責務と考えられます。投与量については、少量から使い始め、悪心、嘔吐などの消化器症状や血圧などを観察しながら、1週間以上の間隔を空けて増量します。本剤には5種類の規格があり、用量によっては2種類の規格が処方されることがありますので、貼り間違えることがないよう丁寧に説明しましょう。テープには日付を記入することができ、使用状況を目視で確認できるため、家族や介護者が管理しやすいという利点があります。患者用資材では、貼付部位を10ヵ所に区分してローテーションする方法が示されていますので、それらの資料も活用するとよいでしょう。参考1)PMDA ハルロピテープ8mg/16mg/24mg/32mg/40mg

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果物や野菜の摂取とうつ病との関連

 うつ病は、世界的に主要な精神疾患である。韓国における成人のうつ病有病率は、2006年5.6%、2011年6.7%、2013年10.3%と増加が認められる。韓国・建国大学校のSe-Young Ju氏らは、韓国人成人のうつ病の有病率と野菜や果物の摂取との関連を調査するため、韓国の全国データを用いて検討を行った。Journal of Health, Population, and Nutrition誌2019年12月3日号の報告。 2014年の韓国国民健康栄養調査(KNHANES)に参加した19歳以上の成人4,349人のデータを用いて検討を行った。うつ病の評価には、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いた。食物や栄養の摂取量は、24時間思い出し法を用いて評価した。食物摂取量は、18の食物グループに分類した。統計分析は、SPSS Ver.23.0を用いた。PHQ-9の項目の内的整合性を評価するため、クロンバックのα係数を用いた。うつ病のオッズ比は、複数の交絡因子で調整した後、ロジスティック回帰分析を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・全対象者におけるうつ病有病率は、8.7~4.7%であり、野菜や果物の摂取量が増加するにつれ減少が認められた。・うつ病有病率は、野菜や果物の摂取量が増加するにつれ、男性で6.4%から2.5%へ、女性で11.4%から6.6%へ減少した。・野菜や果物の摂取量とうつ病有病率との間に逆相関が認められ、オッズ比は、交絡因子で調整せずとも逆相関を示した。・年齢、エネルギー摂取、肥満、喫煙、飲酒、ストレス、外食の頻度、朝食、フードセキュリティーで調整した後、野菜や果物の摂取量が増加するほど、うつ病有病率が有意に低いことが示唆された。 著者らは「本研究は、韓国国民における野菜や果物の摂取とうつ病との関連を調査した最初の研究である。この関連についての根拠を明らかにするためには、さらなる疫学研究が必要である」としている。

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前糖尿病状態から糖尿病にならないために

 前糖尿病者において、肥満かどうかにかかわらず体重を増やさないことで糖尿病発症リスクを最小限にできることが、国立国際医療研究センターのHuan Hu氏らの研究で示唆された。体重を減らすことは肥満者が前糖尿病状態から正常血糖に戻るのに役立つ一方、体重を維持することは非肥満者が正常血糖に戻るのに役立つ可能性があるという。Clinical Nutrition誌オンライン版2019年12月25日号に掲載。 本研究では、最大8年間、毎年健康診断を受けた2万2,945人の前糖尿病者のデータを使用し、糖尿病に進行した人、前糖尿病のままの人、正常血糖に戻った人におけるBMIと腹囲の変化を調査した。糖尿病の発症は、米国糖尿病学会(ADA)の基準により定義した。観察期間中に糖尿病に進行しなかった人は、最後の健康診断データに基づいて、「前糖尿病のまま」または「正常血糖に戻った」と分類された。BMIと腹囲の変化は、広範囲の共変量を調整して、反復測定の線形混合モデルを使用して評価した。 主な結果は以下のとおり。・研究期間中、2,972人が糖尿病に進行し、4,706人が正常血糖に戻り、1万5,267人が前糖尿病のままであった。・糖尿病に進行した人の平均BMIは、糖尿病診断の7年前から1年前に大きく増加し(年間変化率:0.20 [95%信頼区間:0.15~0.24] kg/m2/年)、前糖尿病のままであった人(0.06 [0.04〜0.08] kg/m2/年)の約3倍(p<0.001)で、最初の健康診断時のBMIとは関係なかった。・正常血糖に戻った人における平均BMIの変化率は-0.04(-0.09〜0.002)kg/m2/年で、肥満者(-0.16 [-0.28〜-0.05] kg/m2/年)を除いてほぼ変化がなかった。・糖尿病を発症した人の腹囲の年間変化率は0.38(0.32〜0.45)cm/年で、前糖尿病者(0.05 [0.03〜0.08] cm/年)の約7倍だった(p<0.001)。・正常血糖に戻った人のうち、中枢性肥満ではない人は平均腹囲が変わらず(-0.02 [-0.06〜0.03]cm/年)、中心性肥満の人は減少がみられた(-0.40 [-0.47〜-0.32] cm/年)。

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