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早期発症統合失調症のアウトカム予測因子~10年間のフォローアップより

 早期発症統合失調症(EOS)のアウトカム不良の予測因子は、発症年齢の若さであると考えられているが、これを裏付ける疫学データは十分ではない。中国・北京大学のLingzi Xu氏らは、発症年齢に焦点を当て、EOS患者の長期的アウトカムと機能障害の予測因子について調査を行った。BMC Psychiatry誌2020年2月14日号の報告。 2006年に入院したEOS患者118例(ベースライン時の平均年齢:13.3±2.3歳)を連続登録した。インタビューを完了した患者は、65例であった。ベースラインデータを、入院患者のカルテより収集し、フォローアップ調査を、主に患者家族への電話インタビューを通じて実施した。フォローアップ時の全体の機能測定には、WHODAS 2.0を用いた。アウトカムには、教育、雇用、婚姻、身体的健康、その後の診断と治療、患者機能を含めた。単変量および多変量回帰モデルを用いて、アウトカムの予測因子を評価し、機能的アウトカムに対する発症年齢の影響を分析する際の交絡調整には、傾向スコアを用いた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップデータを入手できた65例中3例は、フォローアップ時に死亡した。・治療中止は、5例(8%)であった。・診断の安定性は、76%であった。・フォローアップ時にクロザピンを使用した患者の割合は、24%であった。・過体重は、男性で61%、女性で55%に認められた。・肥満は、男性で29%、女性で32%に認められた。・経済的に自立していた患者は16例(26%)、仕事をしていなかった患者は34例(55%)であった。・結婚歴があった患者は、13例(21%)であった。・WHODASスコアの中央値は15(IQR:2~35)であり、標準値(population norms)の78パーセンタイルにほぼ相当していた。・より良い機能の予測因子は、外交的な性格(p=0.01)、疑い深い性格(p=0.02)、高い教育レベル(p=0.001)であった。・発症年齢は、いずれの機能とも関連が認められなかった(単変量モデル:p=0.24、多変量モデル:p=0.17、最終リスク因子モデル:p=0.11、または交絡因子を調整するために傾向スコアを用いた場合)。 著者らは「EOS患者の長期的な機能アウトカムは、一般的に考えられていたよりも影響が少なかった。統合失調症の発症年齢は、EOS患者の長期的な機能アウトカムを予測するものではない」としている。

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どハマリした漫画【Dr. 中島の 新・徒然草】(314)

三百十四の段 どハマリした漫画ちまたのニュースは新型コロナウイルス一色ですが、今回は少し話題を変えたいと思います。私も年をとったせいか文字を読むのが面倒になり、もっぱらスマホで漫画を読んでいます。最近読んで面白かったのは2つ。『ブラックガールズトーク』(マキノマキ 著、小学館)と、『僕の妻は感情がない』(杉浦次郎 著、KADOKAWA)です。前者は、文字通りガールズトークをそのまま漫画にしたもので、職場や私生活の人間関係のドロドロを描いています。「ガッハッハ!」とストレートに笑えるものから、毒のあり過ぎるものまでいろいろな話の短編集ですが、すべてオチがあるのが救いです。とくに面白かったのは、「CASE.1 自称サバサバ系の女」という話で、自らを「サバサバしている女子」と称しながらも、単なる無神経な女性が自滅していく様を描写しています。とくにスカッとさせられるクライマックスが秀逸でした!後者の『僕の妻は感情がない』のほうは、恋愛経験値の足りない男子の妄想をそのまま描いたような漫画です。中古で安く買ってきた家事ロボットのミーナちゃんに、主人公のタクマが惚れて結婚してしまいます。ミーナちゃんはロボットなので感情がなく、タクマとのやり取りが一々ズレているのですが、そこが面白いところ。しかし、プログラムにバグがあるのか、感情がないはずなのに電子レンジに対抗しようとしたり、自分の失敗に微かに表情を曇らせたりします。これから本格的にタクマと恋愛関係に発展……するのだろうと思いますが、まだ第1巻しか出ていないのでよくわかりません。もしかすると、この漫画は令和の大ヒットになるのではないかという気がします。仕事や人生に疲れたときに読んでみましょう。最後に1句 ロボットが アイドルとなる 令和かな 

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ドイツの病院で働いてわかったこと【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第5回

上級医と研修医の間の大きな隔たりドイツの医療界は完全にヒエラルキー社会です。ピラミッドの頂点にシェフと呼ばれる偉い医師がいて、構成員は大きく上級医(Oberarzt)と研修医(Assistenzarz)に分かれます。専門医のことは“Facharzt”と言います。病院によってはシニアドクター(Aberarzt)とAssistenzarztの間にFacharztと言うポジションがあったりもします。そして、上級医と研修医の間には大きな隔たりがあります。研修医の間はタコ部屋に放り込まれ、みんなでパソコンの取り合いをしながら病棟業務を行います。一方で、上級医は個室を与えられて、自分のペースで仕事をやってます。具体的な数字は知りませんが、多分、給料も相当高い感じだと思います。画像を拡大するやさしいドイツの医療者システムドイツには「医師のための労働組合」なるものが存在しています。待遇の向上を巡ってストライキだって起こしちゃいます。この労働組合によって、研修医の給料は一律に定められています。給料の額は、日本の後期研修医くらいのイメージです。年次ごとに給料は上がっていき、これは病院を変わっても継続されるそうです。ドイツでは、あくまでも「医師も一人の労働者である」といった視点で取り扱われます。有給休暇もしっかり取れますし、病欠も簡単に取れます。2週間まとめて有給を取った後、なぜかみんな1週間くらいの病気をします。3週間くらい病院に来なくなってしまいます。病欠だったはずなのに、オーストリアでスキーをしている写真がFacebookにアップされていたことがありますが、まあ見て見ぬふりをしました。ロシア人の同僚は、ドイツではなぜか多い「休暇後体調不良症候群」だと言って舌打ちしていました。ただ、病欠で抜けても、特に非難するわけでもなく、粛々と開いた穴を周りでフォローする作業を行います。自分にも他人にも優しいのが、ドイツの医療者システムと言えます。

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視力と認知症との関係

 視力の低下と認知症リスクとの関連を調査した縦断的エビデンスの結果は一致していない。香港中文大学のAllen T. C. Lee氏らは、誤分類、逆因果関係、健康上の問題や行動による交絡因子に関連するバイアスとは無関係に、高齢者の大規模なコミュニティーコホートにおける視力低下と認知症発症率との関連を調査した。The Journals of Gerontology誌Series Aオンライン版2020年2月11日号の報告。中等度から重度の視覚障害は認知症の潜在的な予測因子である可能性 ベースライン時に認知症でない地域在住高齢者1万5,576例を対象に、認知症発症について6年間フォローアップを行った。認知症診断は、ICD-10または臨床的認知症尺度(CDR)1~3に従って実施した。ベースラインおよびフォローアップ時の視力評価には、スネレン視力表を用いた。人口統計(年齢、性別、教育、社会経済的地位)、身体的および精神医学的併存疾患(心血管リスク、眼科的状態、聴覚障害、運動不足、うつ病)、ライフスタイル(喫煙、食事、身体活動、知的活動、社会活動)についても評価した。 視力低下と認知症発症率との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・6万8,904人年以上のフォローアップ期間中に、1,349例が認知症を発症した。・ベースライン時の視力低下は、人口統計、健康上の問題、ライフスタイルで調整した後でも、また3年以内の認知症発症を除外した場合でも、6年後の認知症発症率の高さと関連が認められた。・正常な視力の高齢者と比較した、視力低下の重症度別の認知症ハザード比は、以下のとおりであった。 ●軽度視力低下の認知症ハザード比:1.19(p=0.31) ●中等度視力低下の認知症ハザード比:2.09(p<0.001) ●重度視力低下の認知症ハザード比:8.66(p<0.001) 著者らは「中等度から重度の視覚障害は、認知症の潜在的な予測因子およびリスク因子である可能性がある。臨床的な観点から、視力が低下している高齢者に対する認知症リスク評価のさらなる必要性が示唆された」としている。

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NSCLCの術後補助化学療法、適正レジメンは?(TORG 0503)/Lung Cancer

 日本発の、非小細胞肺がん(NSCLC)術後補助化学療法の適正レジメンが示された。完全切除されたStage IB、IIおよびIIIAのNSCLCでは、術後補助化学療法が標準治療であるが、これまで最適な化学療法レジメンは決定されていない。日本医科大学呼吸器内科の久保田馨氏らは、これらの患者において望ましいプラチナベースの第3世代レジメンを選択する「TORG0503試験」を実施した。その結果、ドセタキセル+シスプラチン併用療法とパクリタキセル+カルボプラチン併用療法が、術後補助化学療法として安全に施行できることが示された。結果を踏まえて著者は、「次の臨床試験では、対照としてドセタキセル+シスプラチン併用療法を選択する」と述べている。Lung Cancer誌オンライン版2019年3月号の掲載報告。 研究グループは、完全切除されたStage IB、IIA、IIB、IIIAのNSCLC患者を、ドセタキセル(60mg/m2)+シスプラチン(80mg/m2)併用療法を3サイクル行う群(A群)と、パクリタキセル(200mg/m2)+カルボプラチン(AUC 6)併用療法を3サイクル行う群(B群)に無作為に割り付けた。 主要評価項目は2年無再発生存割合、主な副次評価項目は全生存期間(OS)、有害事象(忍容性、毒性)などとした。 主な結果は以下のとおり。・111例(A群58例、B群53例)が無作為に割り付けられた。両群の患者背景は類似していた。・3サイクルの化学療法を完遂した患者の割合は、A群で93%(54/58例)、B群で92%(49/53例)であった。・両群で治療に関連した死亡は認められなかった。・2年無再発生存割合は、A群で74.5%(95%信頼区間[CI]:68.6~80.4)、B群で72.0%(95%CI:65.7~78.3)であった。・また、5年無再発生存割合はA群で61.6%、B群で46.0%であった。・2および5年OSは、A群で89.7%および73.9%、B群で86.9%および67.5%であった。

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エリブリン治療における乳がん患者のOS予測因子は?(EMBRACE試験)

 局所進行または転移を有する乳がん(MBC)患者へのエリブリン治療における、全生存期間(OS)の予測因子が評価された。これまでに、好中球・リンパ球比(NLR)がエリブリン治療における無増悪生存期間(PFS)の予測因子となる可能性が示唆されている。兵庫医科大学の三好 康雄氏らによる、Breast Cancer誌オンライン版2020年3月5日号掲載の報告より。エリブリン治療による乳がん患者のOS予測因子としてベースライン時のリンパ球絶対数が示唆される 研究グループは、アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む前治療歴のあるMBC患者に対する、エリブリンと主治医選択薬(TPC)の有効性を比較した第III相EMBRACE試験のPost-Hoc解析を実施。ベースライン時のリンパ球絶対数(ALC)およびNLRとOSの関連が両群で評価された。 エリブリン治療におけるOSの予測因子を評価した主な結果は以下のとおり。・ベースライン時のALCとNLRは、それぞれ751例(エリブリン群500例 vs.TPC群251例)、713例(エリブリン群475例 vs.TPC群238例)で評価可能であった。・ベースラインALC≧1,500/μLの患者で、エリブリン群はTPC群と比較してOSを有意に延長した(ハザード比[HR]:0.586、95%信頼区間[CI]:0.437~0.784、p<0.001)。・ALC<1,500/μLの患者では、エリブリン群とTPC群の治療法による有意差はみられなかった(HR:1.002、95%CI:0.800~1.253、p=0.989)。・単変量および多変量解析の結果、ベースラインALCがエリブリン治療患者におけるOSの潜在的な予測因子として特定された。・OSの相互作用解析は、カットオフ値として1,500/μLを支持した。・カットオフ値3のNLRは、エリブリン群におけるOS延長と関連した。しかし、同様の結果がTPC群でも観察され、明らかな相互作用効果は確認できず、NLRはエリブリン群におけるOSの特定の予測因子ではなく、一般的な予後予測因子である可能性が示唆された。 著者らは、本研究からはベースラインALCがエリブリン治療によるMBC患者のOS延長の独立した予測因子であることが示唆され、追加の侵襲的処置を必要とせずに評価できるため、臨床的に有用な可能性があると考察している。

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大手製薬企業、他業種と比べ収益性は高いのか/JAMA

 2000~18年の大手製薬会社35社の収益性は、代表的な他業種の米国上場企業357社と比べて有意に高いが、その差について、会社の規模、会計年度、研究開発費を考慮すると、必ずしもそうとは断言できないというエビデンスが示された。米国・ベントレー大学のFred D. Ledley氏らによる検討の結果で、著者は「大手製薬会社の収益性に関するデータは、医療をより利用しやすくする根拠に基づく施策を作成するために重要とはいえるだろう」とまとめている。JAMA誌2020年3月3日号掲載の報告。売上総利益、EBITDA、純利益を比較 研究グループは、大手製薬会社35社と、S&P 500種指数の該当企業357社について、2000~18年の年次会計報告書の横断研究を行った。利益率を比較し、大手製薬会社がその他業種の大企業と比べ、収益性が高いとするエビデンスを究明した。 主要アウトカムは、売上高と、年間収益の3つの指標である売上総利益(売上高-売上原価)、EBITDA(主事業からの税引き前利益:支払利息、税金、減価償却費、償却費を含まない収益)、純利益(すべての収益と支出の差)。2000~18年までの累積や、年間の利益率(マージン)を算出して比較した。純利益マージン、大手製薬13.8%で他業種大手7.7% 2000~18年にかけて、大手製薬会社35社の合計累積売上高は11.5兆ドル、売上総利益は8.6兆ドル、EBITDAは3.7兆ドル、純利益は1.9兆ドルだった。 一方、S&P 500・357社の合計は、それぞれ130.5兆ドル、42.1兆ドル、22.8兆ドル、9.4兆ドルだった。 二変量回帰モデルによる解析の結果、大手製薬会社はS&P 500・357社に比べ、年間利益率の中央値は有意に高かった。総利益マージンは76.5% vs.37.4%(群間差:39.1%、95%信頼区間[CI]:32.5~45.7、p<0.001)、EBITDAマージンは29.4% vs.19%(10.4%、7.1~13.7、p<0.001)、純利益マージンは13.8% vs.7.7%(6.1%、2.5~9.7、p<0.001)だった。 ただし、会社の規模、会計年度を補正し、また研究開発費を報告している企業に絞った回帰モデルでの解析では、それらの差は縮小することが示された。総利益マージンの群間差は30.5%(95%CI:20.9~40.1、p<0.001)、EBITDAマージンの群間差は9.2%(5.2~13.2、p<0.001)、純利益マージンの群間差は3.6%(0.011~7.2、p=0.05)だった。

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COVID-19、入院時の発熱例は4割程度/NEJM

 発生から当初2ヵ月間に新型コロナウイルスへの感染が確認された1,099例の臨床的特徴を調べたところ、入院時に発熱が認められたのは43.8%にとどまり、また胸部CT検査で異常所見が認められたのは56.4%と、熱症状や肺の異常所見が認められない患者が多かったという。中国・広州医科大学のWei-jie Guan氏らによる調査報告で、NEJM誌オンライン版2020年2月28日号で発表された。なお本報告は3月3日に内容が更新されている。入院患者1,099例のICUへの入室、人工呼吸器の使用、死亡を調査 研究グループは、2020年1月29日までに中国本土30の省・自治区等の病院552ヵ所に入院した、新型コロナウイルスへの感染が検査で確認された1,099例について、その臨床的特徴を調査した。 主要複合エンドポイントは、集中治療室(ICU)への入室、人工呼吸器の使用、死亡だった。咳症状は約68%、下痢は少なく3.8% 対象患者の年齢中央値は47歳、女性は41.9%だった。 主要複合エンドポイントの発生は67例(6.1%)で、うちICU入室が5.0%、侵襲的人工呼吸器使用が2.3%、死亡は1.4%だった。 患者のうち野生動物との接触歴があったのは1.9%のみだった。武漢市非居住者のうち、72.3%に武漢市居住者との接触歴があり、そのうち31.3%に同市への訪問歴があった。 最も多い症状は発熱で、入院時に認められたのは43.8%で、入院中には88.7%に認められた。次いで咳症状が67.8%にみられた。下痢症状は概して少なく3.8%だった。潜伏期間の中央値は4日(四分位範囲:2~7)だった。 入院時の胸部CT所見で、肺すりガラス状陰影が認められたのは56.4%だった。非重症患者877例中157例(17.9%)と重症患者173例中5例(2.9%)では、X線またはCTによる異常が認められなかった。入院時にリンパ球減少症がみられたのは83.2%だった。

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低用量アスピリンの投与で低・中所得国における早産率が有意に低下―日本でも大規模周産期センターでは一考の価値あり(解説:前田裕斗氏)-1198

 早産は低・中所得国においては新生児死亡の大きな原因の1つであり、予防戦略が最も大事な分野である。一方、早産率自体は世界全体ではここ10年でほぼ横ばいであり、予防についてもなかなか有効な戦略が見いだせていない現状がある。低用量アスピリンは周産期医療においては妊娠高血圧症候群の予防目的に用いられることが多いが、最近になって胎盤形成期における抗炎症作用から早産についての予防効果も叫ばれるようになってきている。そうした背景を基に、今回の研究ではインド、パキスタンやアフリカ諸国を対象に、アスピリン投与による早産の予防効果を見た大規模RCTが行われた。結果の詳細は別稿に譲るが、アスピリン投与群で有意に早産率が低下(34週未満、37週未満ともに)、とくに妊娠高血圧症候群を伴う34週未満の早産率が有意に低下した。また、死産、周産期死亡率も低下した。一方で妊娠高血圧症候群の頻度そのものは低下しなかった。 アスピリン投与による予防効果を見た大きな研究はほかに二つある。1つは妊娠高血圧腎症(高血圧症候群の重症型)の高リスク患者を対象にした研究を集めたメタアナリシスであり、34週未満、37週未満の早産でともに早産率の有意な低下を認めた。もう1つの研究は妊娠高血圧腎症の低リスク患者約2,500例を対象としたRCTであり、こちらは34週未満の早産率の有意な低下を認めたが、37週未満の早産率低下については有意な差を認めなかった。今回の研究では早産率が全体の11~13%、34週未満の早産が約3%、妊娠高血圧症候群が約6%であり、明らかな高リスク集団ではないため、対象集団に問題ありということではない。先行研究と比べてもサイズが大きく、介入の手軽さからしても低・中所得国の早産予防戦略については一石を投ずる論文といえるだろう。 さて、日本においてこの結果は適応可能だろうか。日本における早産率は約6%と本研究の集団よりも低く、妊婦健診をはじめとした周産期管理自体も異なるため、論文のように日本ですべての妊婦にアスピリンを投与することの利点があるかどうかははっきりしない。一方で妊娠高血圧症候群を伴う34週未満の早産率が減少したことや、先行研究のメタアナリシスを考えれば、妊娠高血圧症候群のリスクが高い妊婦、つまり高齢初産、高度生殖医療での妊娠、糖尿病や高血圧合併妊娠などが多い分娩施設ではこの戦略をとる価値がある可能性が高い。周産期センター、とくに5都府県のような妊婦の高年齢化が進む地域では検討してもよいのではないだろうか。日本では妊娠高血圧症候群の予防として保険適用が通っていないこともあり積極的に処方されない傾向もあるが、低用量アスピリンの処方に対するハードルを下げる時期がきているのかもしれない。

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経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)と外科的大動脈弁置換術(SAVR)の5年の治療成績はどちらが優れているか?(解説:許俊鋭 氏)-1199

 TAVRとSAVRの大規模前向き無作為化試験であるPARTNER cohort Aでは、高度外科手術リスク症例に対する5年死亡率でTAVRのSAVRに対する非劣性(67.8% vs.62.4%、p=0.76)が示され(Mack MJ, et al. Lancet. 2015;385:2477-2484.)、CoreValveでは1年死亡率(14.2% vs.19.1%、p=0.04)においてTAVRの優位性が示された(Adams DH, et al. N Engl J Med. 2014;370:1790-1798.)。両者の血行動態の比較でTAVRのほうがSAVRよりも体表面積補正を行った有効弁口面積(iEOA)は大きく、prosthesis-patient mismatch(PPM)の発生率は小さいが、一方、大動脈弁周囲逆流が高率にみられる(Hahn RT, et al. J Am Coll Cardiol. 2013;61:2514-2521.)ことから、長期予後の検討は今日的検討課題と考えられる。 本Makkar論文(Makkar RR, et al. N Engl J Med. 2020;382:799-809.)はPARTNER 2 cohort A trialにおける中等度の外科手術リスク症例に対するTAVRとSAVRを比較したものであるが、死亡率または後遺症の残る脳卒中発生率(47.9% vs.43.4%、p=0.21)に有意差はなかった。mild以上の大動脈弁周囲逆流はTAVRで高率(33.3% vs. 6.3%)であり、再入院率(33.3% vs.25.2%)および大動脈弁再手術率(3.2% vs.0.8%)もTAVRで高率であった。TAVRにおける高率の大動脈弁周囲逆流発生率は再入院率や大動脈弁再手術率に大きく影響しており、さらに長期の経過観察で死亡率に影響を与える可能性は大きい。Italian OBSERVANT studyの5年の成績を報告したBarbanti論文(Barbanti M, et al. Circ Cardiovasc Interv. 2019;12:e007825.)では、第1世代のデバイスを用いたTAVRはSAVRに対して5年死亡率(35.8% vs.48.3%、p=0.002)および心臓および脳血管の重大な有害事象(42.5% vs.54.0%、p=0.003)のリスク増加がみられた。Tzamalis論文(Tzamalis P, et al. Am J Cardiol. 2020 Jan 28. [Epub ahead of print])でも、第1世代のデバイスを主に用いた6年以上の治療成績比較で、重度の構造的弁劣化(SVD:10.5% vs.4.5%、p=0.159)および大動脈弁逆流(4.7% vs.0%、p=0.058)はTAVRで高率であり、TAVRで6年生存率(40.7% vs.59.6%、p<0.001)は低かった。 デバイスの進歩とともにTAVRの治療成績は向上し、より低リスク症例に適用されていくと考えられるが、より低リスク症例に適用された場合、5年生存率・10年生存率などの長期成績が問題となる。第1世代のデバイスでは1~2年の短期成績においてTAVRの非劣性あるいは優位性が報告されてきたが、主として残存大動脈弁周囲逆流が長期成績を低下させる可能性がきわめて大きく、今後、長期成績の慎重な評価が必要と考えられる。

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新型コロナをきっかけに!今すぐやるべき「お金の対策」【医師のためのお金の話】第30回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。2020年3月11日は、東日本大震災発生から丸9年にあたる日です。さまざまな追悼・復興祈念行事も10年目となる来年を機に縮小が予定されるものも多いと聞き、被災者の方の胸中は複雑ではと感じます。さて、東日本大震災のような大規模災害を予測することは困難であり、ある日突然起こります。新型コロナウイルス肺炎で皆さんも今体験されているように、危機は突然やってきます。各種の防災マニュアルを見ると「外部の救援が到着するまでの3日間を生き延びること」がメインテーマとなることが多いようです。確かに、自分や家族の命を守るためには「3日が大事」というのは理解できますが、実際に助かったら4日目以降の生活も考えなければなりません。「まずは命を守る」の後には現実の生活が待っており、大規模災害では発生直後の対策に加えてそれ以降の生活防衛も重要です。新型肺炎では都市封鎖も! 命の次に大切なのは「お金」と「情報」中国発の新型コロナウイルス肺炎では、武漢という東京に匹敵する人口を抱えた大都市が封鎖されました。これなど、まさに想定外の事態です。都市活動が停止すると、どんなことが起こるでしょうか? 武漢では外出すらままならない状態が続き、社印やインターネットバンキングのワンタイムパスワード端末をオフィスに取りに行くことができずに資金繰りに窮する中小企業が多く出たそうです。資金がショートすると倒産してしまう企業経営ほどではないにせよ、個人もお金がなければ生活が困難になります。「都市封鎖なんて中国でしか起こらないでしょ?」と思われるかもしれませんが、実際にイタリアでも地区封鎖が行われました。状況次第では日本でも実行される可能性はゼロではありません。こうしたことを念頭に置いて、命の次に大事な「お金」と「情報」の管理を考えておく必要があります。私が実践する、お金と情報を防衛する「3つの対策」以下、私がとっている3つの対策を紹介しましょう。対策1)複数の決済手段を用意する大規模災害において最も脆弱なのは、電気・ガス・水道、それに鉄道やデータサービスといった社会インフラです。「物理的に存在するもの」は災害に弱い、と言わざるを得ません。では、災害に対して比較的強いものは何でしょうか? いろいろな考え方がありますが、私は「バーチャルなもの」ほど災害に対する耐性が強くなると考えています。銀行口座1つとっても、実店舗の通帳だけよりもインターネットバンキングやデビットカードなどの選択肢もあるほうが有利です。もちろん、災害発生直後は電源が喪失してブラックアウトする可能性も高いので、手元にある程度の現金を準備しておく必要はあるでしょうが、国家機能が維持されている限り、災害発生から数日すれば復旧する可能性が高いでしょう。災害時に多額の現金を持ち歩くことは安全面からも望ましくありません。このように決済手段は1つではなく、複数所有していることが望ましいのです。さらに言えば「PayPal」など国境をまたいだ決済手段も持っておくと、大規模災害やテロ事件に際しても比較的安心できるはずです。対策2)地震保険に加入する1995年に発生した阪神・淡路大震災の時には、地震保険に加入している世帯がわずか9%だったことが問題になりました。2018年時点の世帯加入率は32.2%まで上昇しましたが、まだ過半数に届きません。世帯加入率には賃貸世帯も分母に含まれますが、そのことを差し引いても低いと感じます。私は住居系物件を購入したら地震保険の加入は必須だと考えています。事業系物件であれば地震保険が割高で事実上加入できないこともあるのですが、住居系物件の地震保険は、政府の政策の一環として損益度外視の保険料体系となっています。大規模災害で家財のみならず所有物件まで失ってしまったら再起は相当難しいでしょう。住宅ローンがない方も火災保険と地震保険には加入しましょう。対策3)クラウドで情報を管理するお金の管理以外では、業務を継続できるかどうかも重要なポイントです。とくに私のように個人で仕事をしている方や開業医の先生にとっては死活問題でしょう。紙ベースの情報管理では、大規模災害が発生するとひとたまりもありません。江戸時代の商家では火事になると売り上げや顧客の情報が書かれた「大福帳」を井戸に投げ込んでから逃げた、といわれています。業務を継続するうえで情報ほど価値のあるものはなく、大規模災害に際して死守するべきものの筆頭に挙げられます。私自身は、文献や手術のコツを記載した長年の「備忘録」をはじめ、仕事関係の資料はほぼ100%クラウドに電子データとして保管しています。開業医の方は、ぜひ「クラウド型電子カルテ」を利用しましょう。紙カルテが災害に弱いことはもちろんですが、電子カルテであっても、サーバーにデータを保管する形式だと火災や津波でサーバーを失ったら終わりです。この点クラウド型であれば、大事な診療情報を安全に保管できます。最近では従量課金制のリーズナブルなサービスも提供されています。これで端末やサーバーが破損しても致命的なダメージは避けられます。物理的なバックアップを取っておいても大規模災害の前にはほぼ無力。普段から情報の電子化を進め、災害に強い体制を整えましょう。

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第15回 非薬剤師への業務引き渡し成功のカギは?【噂の狭研ラヂオ】

動画解説早くから登録販売者など非薬剤師との協働を始めていたまえはら薬局。調剤業務に関しても0402通知以前からタスクシフトを進めていた。薬剤師は当初、業務の一部を非薬剤師に引き渡すことに抵抗を感じていたが、今では薬剤師が対人業務に避ける時間を作り出せているという。成功のポイントは「機械化」だと前原理佳社長は語る。

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東日本大震災プロスペクティブ研究:事前のソーシャルサポートと災害後のうつ病予防

 国立保健医療科学院の佐々木 由理氏らは、2011年の東日本大震災による高齢者の抑うつ症状を緩和するために、災害前のソーシャルサポートが有効であったかについて検討を行った。Scientific Reports誌2019年12月19日号の報告。 対象は、災害の7ヵ月前に日本老年学的評価研究の一環としてベースライン調査を完了した岩沼市在住の65歳以上の高齢者3,567例。フォローアップ調査は、災害から2.5年後に実施した。分析対象者2,293例の災害前のソーシャルサポート(emotional & instrumental help)の授受を4つの項目を用いて測定した。抑うつ症状は、GDS(カットオフ値4/5)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・災害前にソーシャルサポートの授受があった高齢者は、授受がなかった高齢者と比較し、災害後に抑うつ症状を発症する可能性が有意に低かった(ARR:0.70、95%CI:0.56~0.88)。・災害による被害を受けた高齢者における抑うつ症状の発症リスクは、ソーシャルサポートの授受があった高齢者で1.34(95%CI:1.03~1.74)、授受がなかった高齢者で1.70(95%CI:1.03~2.76)であった。 著者らは「災害からの心理的回復力を養うために、ソーシャルサポートの強化が役立つ可能性がある」としている。

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FDA諮問委員会、ラムシルマブのEGFR変異陽性肺がん1次治療を支持/イーライリリー

 イーライリリー・アンド・カンパニーは、2020年2月26日、米国食品医薬品局(FDA)抗腫瘍薬諮問委員会(ODAC)が、第III相試験(RELAY試験)の結果に基づいたEGFR遺伝子変異陽性を有する未治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象としたラムシルマブ+エルロチニブ併用療法の有効性と安全性を検討し、バランスが取れたリスク・ベネフィットが示されたことを支持する投票数が不支持を上回ったこと(支持:6、不支持:5)を発表。 ODACは、FDAで審査中のラムシルマブの生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)に基づき、第III相RELAY試験から得られた安全性および有効性データを審査した。RELAY試験で、ラムシルマブ+エルロチニブ併用療法は、プラセボ+エルロチニブ療法と比較して、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に延長した。また、同試験で認められた安全性プロファイルは、ラムシルマブやエルロチニブに関してこれまで得られている安全性プロファイルと一貫していた。プラセボと比較してラムシルマブ群で 5%以上高く発現し、5%以上の発現割合で認められたGrade3以上の有害事象は、高血圧、ざ瘡様皮膚炎(ざ瘡様発疹)、および下痢であった。 EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん患者の1次治療におけるラムシルマブ+エルロチニブ併用療法は欧州委員会(EC)では2020年1月に承認されている。また、国内でも承認事項一部変更承認申請を行っている。

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中等~重症ARDSへのIFNβ-1aは?/JAMA

 中等症~重症の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者の治療において、インターフェロン(IFN)β-1aの6日間静脈内投与はプラセボと比較して、死亡と人工呼吸器非装着日数を合わせた複合スコアを改善しないことが、イタリア・ボローニャ大学のV Marco Ranieri氏らによる「INTEREST試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年2月25日号に掲載された。ARDSの基盤となる主要な病態生理学的イベントは制御不能な炎症反応であり、その結果として、肺における血管漏出(vascular leakage)の増加に伴って肺胞-毛細血管関門の上皮と内皮の損傷がもたらされる。一方、上皮と内皮の細胞に発現しているCD73は、アデノシン産生を調節する酵素であり、IFNβ-1aはCD73をアップレギュレートすることで血管漏出を防止し、白血球動員を抑制するという。死亡と非装着日数の複合をプラセボと比較する無作為化試験 本研究は、欧州8ヵ国の74の集中治療室(ICU)が参加した二重盲検無作為化試験であり、2015年12月~2017年12月の期間に患者登録が行われた(Faron Pharmaceuticalsなどの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、ベルリン定義で中等症~重症のARDSで、24時間以内に動脈血酸素分圧(PaO2)/吸入酸素濃度(FiO2)などのARDS判定基準を満たし、診断から48時間以内に試験薬の初回投与が可能な患者であった。 被験者は、1日1回、IFNβ-1a(10μg)またはプラセボを静脈内投与する群に無作為に割り付けられ、6日間の治療を受けた。 主要評価項目は、28日時の生存と人工呼吸器非装着日数の複合エンドポイントとした。28日以内の死亡を-1点とし、28日時の生存例を0点(第28日も人工呼吸器を装着)から27点(第1日に人工呼吸器から離脱)でスコア化した。28日死亡率、人工呼吸器非装着日数にも差はない 301例(平均年齢58歳、女性34.2%)が無作為割り付けの対象となった。296例(98.3%)が試験を完遂し、主解析の対象とされた(IFNβ-1a群144例、プラセボ群152例)。 28日複合スコア中央値は、IFNβ-1a群が10日(IQR:-1~20)、プラセボ群は8.5日(0~20)であり、両群間に有意な差は認められなかった(絶対群間差:0日、95%信頼区間[CI]:-1~1、p=0.82)。 28日死亡率(IFNβ-1a群26.4% vs.プラセボ群23.0%、絶対群間差:3.4%、95%CI:-8.1~14.8%、p=0.53)、28日ICU内死亡率(25.7% vs.23.0%、2.7%、-8.8~14.1、p=0.62)、28日ICU外院内死亡率(0.9% vs.0%、0.9%、-10.7~12.1、p=0.37)、90日死亡率(32.6% vs.31.6%、1.0%、-10.4~12.5、p=0.86)、人工呼吸器非装着日数中央値(10日[IQR:0~20]vs.8.5日[0~20]、絶対群間差:0日[95%CI:0~1]、p=0.47)、ICU治療なしの生存日数中央値(6日[0~16]vs.3.5日[0~15]、0日[0~0]、p=0.34)などにも、差はみられなかった。 試験期間中に、74例(25.0%)が治療関連有害事象を経験した(IFNβ-1a群41例[28.5%]vs.プラセボ群33例[21.7%])。最も頻度の高い治療関連有害事象は、IFNβ-1a群が発熱(13例[9.0%])および横紋筋融解症(5例[3.5%])であり、プラセボ群は発熱(5例[3.3%])およびトランスアミナーゼ上昇(6例[3.9%])であった。 著者は、「これらの知見は、中等症~重症ARDS患者の管理におけるIFNβ-1aの使用を支持しない」としている。

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COVID-19の予防ワクチンの開発始動

 3月4日、アンジェス株式会社は、大阪大学と新型コロナウイルス(COVID-19)の予防ワクチン共同開発のプレス発表会を行い、ワクチン開発の経緯、今後の見通しなどを説明した。 セミナーでは、同社代表取締役社長の山田 英氏が今回の大阪大学との開発事業について、過去にDNAプラスミド製品を上市した実績から開発を行うこととなった経緯を説明した。なお、ワクチンの構築・製造は、タカラバイオ株式会社が担当する。安全、安価、汎用性のあるDNAワクチン つぎに森下 竜一氏(大阪大学大学院医学研究科臨床遺伝子治療学 教授)が、「新型コロナウィルス 予防ワクチンの開発について」をテーマに、開発されるワクチンの仕組みや完成までの見通しを解説した。 今回、COVID-19の予防を目指すワクチンはDNAワクチン。DNAワクチンとは、対象とする病原体のタンパク質をコードする環状DNA(プラスミド)を接種することで、病原体たんぱく質を体内で生産し、病原体に対する免疫を付与するワクチンである。その特徴として、危険な病原体を一切使用しないため、安全かつ短期間に製造(大腸菌培養)でき、今回のCOVID-19のような感染症へのワクチンには最適だという。参考までに、プラスミドを製品化した治療薬は、、HGF遺伝子治療薬(ベペルミノゲンペルプラスミド)がある。 今回開発されるワクチンは、COVID-19のウイルス表面に発現するスパイクたんぱく質遺伝子をコードしたDNAワクチンであり、ワクチンを投与することにより体内でDNAからスパイク状たんぱく質が発現する。すると被接種者の免疫が、スパイクたんぱく質抗原として認識し、スパイクたんぱく質に対する液性・細胞性免疫が誘導されることで、ウイルスに感染しにくくなったり、重症化が抑えられる効果が予想される。また、安全性についても、10年以上前から行われている12種類のDNAワクチンの臨床試験では、1,400例以上の健康な人に投与されたが、懸念される事態は報告されていないという。最短6週でワクチン製造へ 森下氏によると開発に必要なCOVID-19の遺伝子情報は、「すでに厚生労働省、国立感染症研究所などから入手している」という。開発のプロセスとして、ウイルスの遺伝子情報でプラスミドを作成し、ラットなどの感染モデルで薬効・薬理試験を行う。医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準(GMP)を経て、ウサギなどで安全性試験を行い、研究新薬規制(IND)クリアした後に、臨床試験へと移る。DNAプラスミド法では、2週間でワクチンを製造、品質保証試験に1ヵ月(4週間)必要となり、最速でプラスミド作成から6~8週でワクチン供給が可能になるという。 最後に森下氏は、「従来の半年近く供給まで時間が必要な鶏卵法、細胞培養法と比べても、大幅な期間短縮でワクチンの供給ができ、安く、簡易な設備で安定製造ができるメリットは大きい」と期待を語った。

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新型コロナウイルス感染症、気になる他診療所の動向は?-会員医師アンケート

 連日、ニュースで大きく取り上げられている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。医師の皆さまは「診療所でどこまで対応するべきなのか」「ほかの施設では検査を希望する患者はいたのか?」など、さまざまな疑問をお持ちではないだろうか。ケアネットでは2020年3月5日(木)、病床を有していない診療所で働く会員医師103名に「新型コロナウイルス感染症、自施設での対応策や困っていること」についてアンケートを行った。 アンケートでは、「COVID-19の検査を希望した患者数」「COVID-19を考慮し、患者と医療者のそれぞれを守るために日常診療で実施している対応や対策」「COVID-19の影響で日常診療において困っていることや、知りたいこと」について聞いた。 主な結果は以下のとおり。・患者から検査を求められた医師は約3割だった。・主な対策は、待合室の整備、手洗い・消毒、電話による事前相談受付の順で多かった。・日常診療において不安なこととして、施設・スタッフ対応、検査対応、マスクなどの衛生用品の供給などが挙がった。 アンケート結果の詳細や自由記述で挙げられた意見などは、以下のページに掲載中。新型コロナウイルス感染症、自施設での対応策や困っていることは?-アンケート結果-

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GnRHアンタゴニストはadd-back療法併用でも子宮筋腫による過多月経改善に効果あり、使用時に合併する更年期様症状改善の可能性も(解説:前田裕斗氏)-1197

 過多月経を伴う子宮筋腫の根本治療はあくまで手術であり、投薬治療にはさまざまな問題点がある。たとえば低エストロゲン・プロゲステロン合剤(LEP)や子宮内レボノルゲストレル放出システムなどについて子宮筋腫患者の過多月経改善に明確なエビデンスはなく、中枢に働きかけ性ホルモン分泌を抑えるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストには、むしろ一時的に性ホルモンが増えることで大量出血するflare up現象などの問題点があった。そこで登場したのがGnRHアンタゴニストであり、flare up現象もなく、内服のため使いやすい利点があり、本邦でも2019年3月に子宮筋腫への適応が通り使われ始めている。一方GnRHアンタゴニストにも当然性ホルモンを抑えることで更年期様の症状が出ることが知られており、そうした副作用を抑えるために女性ホルモンを少量加えるadd-back療法が検討されていたが、これまでにその効果・安全性についてのエビデンスは乏しかった。そこでGnRHアンタゴニストであるelagolixと、elagolix+add-back併用療法、プラセボの3群に割り付け効果をみたのが今回の研究である。結果は別稿に譲るが、簡単には、最終月の月経血量がプラセボ群と比較して併用療法群で有意に減少し、ホットフラッシュなどの更年期症状はプラセボ群より併用療法群で有意に高頻度であった。elagolixによるエストロゲン低下作用、とくに骨密度の低下はadd-back療法で軽減された。 前述のとおり、本邦でもレルゴリクスというGnRHアンタゴニストが子宮筋腫に対して適応が通っており使用され始めている。そのため今回の研究結果を実臨床へ適応するのは比較的容易であるといえるが、当然異なる薬剤であり、対象集団も異なるためデータの蓄積が求められる。また、実臨床へ適応するうえでの使用方法として(1)子宮筋腫手術前の出血量減少、貧血改善、筋腫サイズの縮小目的(2)過多月経患者について、手術療法を選択しない場合の姑息的治療の2つが考えられるが、(1)については半年以内の継続使用がほとんどのため今回の研究結果が適応できるが、(2)については安全面でさらに検討が必要だ。つまり、今回の試験では併用療法群とプラセボ群を比較して骨塩量の有意な減少を認めなかったが、繰り返し使用した場合、たとえ3ヵ月程度の休薬期間を置いたとしても骨塩量の減少が有意となる可能性は十分ある。このため、長期使用、反復使用についてのadd-back療法併用については今後の研究が待たれる分野といえるだろう。いずれにしても、GnRHアンタゴニスト使用時の更年期様症状で悩める患者さんにとっては朗報といえる論文である。

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薬局に影響を与える医科診療報酬改定項目【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第43回

2020年度診療報酬改定の個別改定項目が1月末に決定し、2月に点数や割合が決まりました。薬剤師的には、対人業務へのシフトをどう行うかという点が気になって仕方ありませんが、病院やクリニックを対象とした医科診療報酬でも、薬局が関わる項目が新設・変更されています。主な新設項目は、「退院時薬剤情報連携加算」と「連携充実加算」があり、変更項目は「後発医薬品使用体制加算」です。これらが薬局とどのように関わってくるのか紹介します。退院時薬剤情報連携加算まず、「退院時薬剤情報連携加算」についてです。これは医療機関が、入院前の内服薬を変更・中止した患者について、患者またはその家族などの同意を得て、その理由や変更後の患者の状況などを文書により薬局に提供した場合に、60点加算できるというものです。この加算は、入院前と入院後で処方薬が変更されているということが条件です。入院をきっかけにそんなに処方薬を変えるの? と思う方もいるかもしれませんが、実は変更促進のための「薬剤総合評価調整加算」というカラクリがあります。これは従来から存在する加算で、2種類以上の薬剤を実際に削減できた場合に250点算定できましたが、今回の改定で2段階に変更され、評価・調整の取り組みを行えば実際の減薬はなくても100点が算定できるようになります。低いハードルを設定することで着手しやすくなり、入院時の減薬をより後押しすることになるのだと想像できます。重複投与および多剤投与の対応と医薬連携が加速し、病院と薬局双方がWin-Winになる仕組みとなりそうです。よく処方箋を受ける病院やクリニックに対して、積極的に薬局から今後の連携を提案してみるとよいのではないでしょうか。連携充実加算次に、外来での抗がん剤治療の質を向上させる目的で新設された「連携充実加算」です。対象は、外来でがん治療を受ける患者さんです。要件として、医師の指示に基づき、治療の目的および治療の進捗などを文書により薬局に提供したうえで、薬局薬剤師が患者の状態を踏まえて必要な指導を行った場合に、連携充実加算として150点を月1回に限り所定点数に加算できます。算定する病院には施設基準などのさまざまな要件が設定されていて、「化学療法のレジメンを公開すること」「薬局などを対象とした研修会を年1回は実施すること」「薬局や患者からの相談に対応する体制を整備すること」などが求められています。なお、薬局側もレジメンを把握して必要な指導を実施して、医療機関にフィードバックすることが求められていることは言うまでもなく、そのための「特定薬剤管理指導加算2」が新設されます。がん治療の場が病院から地域に移り、働きながら治療を行う患者さんが増えているため、薬剤師が医療機関と連携し、患者さんをサポートする体制づくりは急務となるでしょう。後発医薬品使用体制加算最後に、「後発医薬品使用体制加算」についてです。医科の後発医薬品使用体制加算は加算1が85%以上で「45点」、加算2が80%以上で「40点」、加算3が70%以上で「35点」、加算4が60%以上で「22点」でしたが、今回の改定で2点が上乗せされ、加算1が85%以上で「47点」、加算2が80%以上で「42点」、加算3が70%以上で「37点」となり、加算4は廃止となります。2点上乗せは継続して後発医薬品を採用している医療機関への評価なのだと思いますが、70%以下だと1点も取れなくなるため、医療機関の後発医薬品使用の後押しになることは間違いなく、薬局の在庫や医師への提案が変わることもあるでしょう。薬局薬剤師はどうしても調剤報酬改定に目が行きがちですが、上記のように医科診療報酬改定が薬局に影響を及ぼすこともありますのでぜひご確認ください。

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新型コロナウイルス感染症、自施設での対応策や困っていることは?-アンケート結果-

2019年12月下旬に中国・武漢市で初めて報告され、日本でも大問題に発展している新型コロナウイルス感染症。この感染症が収束するには多くの時間を要するとされ、多くの先生方は自施設での対応に苦慮されているのではないでしょうか。そこで、今回は病床を有していない診療所で働く会員医師に対して、「検査希望患者数」「自施設で行っている対策」「施設対応で困っていること」についてアンケート調査を行いました。患者から検査を求められた医師は約3割理由は定かではありませんが、検査を求められた医師は3割でした。「2020年3月6日からPCR検査が保険適用された」というニュース報道により、今後、検査希望者からの問い合わせが殺到するかもしれません。画像を拡大する主な対策は、待合室の整備や電話による事前相談受付画像を拡大する<回答コメントを抜粋>長期処方で来院回数が少なく済むようにしています高齢の慢性疾患の患者さんの処方日数を増やしている従業員のマスクと手洗いは必須で、午前午後の診療ごとに周囲をアルコールまたは塩素系漂白剤を薄めて拭いている玄関前と診察室に告知、来院時に体温を全員測る、手指消毒を促す事前電話の奨励、電話相談と診察無しでのfax処方など厚生労働省の指針を電話応対者に伝えて、適切な医療機関を受診するように指示しているインフルエンザや普通感冒も含め、気道感染性疾患は車の中で待機して頂き分けて診察している(待合室で)距離を離してすわってもらう待合室は別、ガウン・マスク・手袋で診察来院患者さん全員にもマスク配布対象の可能性がある患者は保健所へ問い合わせるよう指導している出来るだけ換気の良い部屋で、インフルエンザの簡易キットでチェックし、肺炎を疑う際にはX線でチェックをすることにしている。医療従事者はマスク・メガネを着用し、一人診た後は手洗い、うがいを実行するようにしているPCR検査希望の方は受け入れないようにしています自施設で症例が出た場合、その後の対応などに不安画像を拡大する<回答コメントを抜粋>衛生材料が入らない1人でも(自施設で)感染者が出れば、当面休診しなければいけないこと職員に陽性者が出た時の休院期間いつ頃効果の良い薬が出、いつ頃終息するのか?COVID-19を疑っても、検査も診断も治療も何もできない長期処方への変更希望患者の増加(受診回避のため)本当に検査してほしい人も条件に当てはまらなければ検査してもらえない検査ができない上気道感染患者さんの見分け方と対処方法かかりつけ以外の患者を断る方法不安のみでの軽症者の受診若い子供さんのいる職員の休暇の対応画像を拡大するアンケート概要タイトル緊急アンケート!「新型コロナウイルス感染症を考慮し自院で実施している対応」について教えてください。実施日2020年3月5日調査方法インターネット対象病床を有していない診療所で働くケアネット会員医師103名アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。

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