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TAVRとSAVRの大規模前向き無作為化試験であるPARTNER cohort Aでは、高度外科手術リスク症例に対する5年死亡率でTAVRのSAVRに対する非劣性(67.8% vs.62.4%、p=0.76)が示され(Mack MJ, et al. Lancet. 2015;385:2477-2484.)、CoreValveでは1年死亡率(14.2% vs.19.1%、p=0.04)においてTAVRの優位性が示された(Adams DH, et al. N Engl J Med. 2014;370:1790-1798.)。両者の血行動態の比較でTAVRのほうがSAVRよりも体表面積補正を行った有効弁口面積(iEOA)は大きく、prosthesis-patient mismatch(PPM)の発生率は小さいが、一方、大動脈弁周囲逆流が高率にみられる(Hahn RT, et al. J Am Coll Cardiol. 2013;61:2514-2521.)ことから、長期予後の検討は今日的検討課題と考えられる。 本Makkar論文(Makkar RR, et al. N Engl J Med. 2020;382:799-809.)はPARTNER 2 cohort A trialにおける中等度の外科手術リスク症例に対するTAVRとSAVRを比較したものであるが、死亡率または後遺症の残る脳卒中発生率(47.9% vs.43.4%、p=0.21)に有意差はなかった。mild以上の大動脈弁周囲逆流はTAVRで高率(33.3% vs. 6.3%)であり、再入院率(33.3% vs.25.2%)および大動脈弁再手術率(3.2% vs.0.8%)もTAVRで高率であった。TAVRにおける高率の大動脈弁周囲逆流発生率は再入院率や大動脈弁再手術率に大きく影響しており、さらに長期の経過観察で死亡率に影響を与える可能性は大きい。Italian OBSERVANT studyの5年の成績を報告したBarbanti論文(Barbanti M, et al. Circ Cardiovasc Interv. 2019;12:e007825.)では、第1世代のデバイスを用いたTAVRはSAVRに対して5年死亡率(35.8% vs.48.3%、p=0.002)および心臓および脳血管の重大な有害事象(42.5% vs.54.0%、p=0.003)のリスク増加がみられた。Tzamalis論文(Tzamalis P, et al. Am J Cardiol. 2020 Jan 28. [Epub ahead of print])でも、第1世代のデバイスを主に用いた6年以上の治療成績比較で、重度の構造的弁劣化(SVD:10.5% vs.4.5%、p=0.159)および大動脈弁逆流(4.7% vs.0%、p=0.058)はTAVRで高率であり、TAVRで6年生存率(40.7% vs.59.6%、p<0.001)は低かった。 デバイスの進歩とともにTAVRの治療成績は向上し、より低リスク症例に適用されていくと考えられるが、より低リスク症例に適用された場合、5年生存率・10年生存率などの長期成績が問題となる。第1世代のデバイスでは1~2年の短期成績においてTAVRの非劣性あるいは優位性が報告されてきたが、主として残存大動脈弁周囲逆流が長期成績を低下させる可能性がきわめて大きく、今後、長期成績の慎重な評価が必要と考えられる。