サイト内検索|page:885

検索結果 合計:35672件 表示位置:17681 - 17700

17681.

改正薬機法が薬局に及ぼす影響総まとめ【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第39回

2020年は診療報酬改定や薬価改定など、さまざまなイベントがめじろ押しです。今回は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」の改正法が薬局に及ぼす影響について、いま一度考えてみたいと思います。1.薬剤師・薬局の在り方の見直し薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化薬剤師が、調剤時に限らず必要に応じて患者さんの薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行う「服薬後のフォロー」が義務となり、医師への薬剤の使用に関する情報提供が努力義務となります。これまでは来局時や在宅訪問時でのみ患者さんと接していた薬剤師もいたと思いますが、今後は調剤後も継続的に患者さんをフォローし、フィードバックすることが求められます。「必要に応じて」「努力義務」ではありますが、ぜひ今後の薬剤師の役割として積極的に取り組み、「薬剤師はお薬を渡すだけ」というイメージから脱却しましょう!地域連携薬局と専門医療機関連携薬局医薬分業の推進、高齢化、在宅医療の増加に伴い、薬局・薬剤師も他職種と連携して地域の特性に応じた適切な役割を果たすために、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の認定制度が設けられます。「地域連携薬局」は入退院時に医療機関と情報共有したり、在宅医療で地域の薬局と連携したりしながら一元的・継続的に対応し、「専門医療機関連携薬局」はがんなどの専門的な薬学管理に他医療提供施設と連携して対応します。それぞれの機能に関する基準を満たしたうえで、都道府県知事の認定を受ける必要があります。まだ一般の方にはなじみのない名称だと思いますが、今後は病態に合わせて患者さん自ら薬局を選択する時代になりそうです。立地の良さに甘えることなく、役割を明確に打ち出して目指す薬局の体制づくりが必要です。オンライン服薬指導これまでもオンライン服薬指導は実証的に一部の地域で行われていましたが、医薬品の処方時に行われる薬剤師による服薬指導は、対面により行うことが法律で明記されていました。今回の改正により、テレビ電話などで患者さんの状態を確認しながら広く行うことが可能になります。具体的な手段は、今後の厚生労働省令において定められるとのことですが、薬局が遠い地域や忙しくて薬局に行く時間のない患者さんの利便性が向上しそうです。2.添付文書の電子的な方法による提供の原則化、医薬品等の包装等へのバーコード等の表示の義務付けこれまで、添付文書は容器や被包に記載できる場合を除いて医薬品に同梱することが義務付けられていました。しかし、今後は電子的な方法による提供が基本となり、最新の添付文書をWebサイトなどで確認することになります。そのため、最新の添付文書情報へアクセスするためのQRコードが容器などに記載されます。紙の添付文書の利便性は高いため、慣れないうちは印刷して手元に置きたくなるかもしれませんが、添付文書は頻回に改訂されることもあるため、電子的な方法でもすぐにアクセスできるか確認しましょう。3.信頼確保のための法令遵守体制の整備の義務付け残念ながら、昨年も医薬品の信頼に関わる事件がいくつかありました。そこで、薬局や医薬品製造業者・製造販売業者における法令遵守体制の整備が求められており、薬事に関する業務に責任を有する役員の設置、従業員に対して法令遵守のための指針の提示、法令遵守のための体制づくりなどが義務付けられます。課徴金の設定も予定されているので注意が必要です。これら改正薬機法の施行スケジュールは、3段階に分けられています。改正薬機法公布日から1年以内:「薬剤師・薬局の在り方の見直し」改正薬機法公布日から2年以内:「薬剤師・薬局の在り方の見直しのうち、機能別薬局等の認定」「添付文書の電子的方法による提供」「ガバナンスに関する改正内容および課徴金制度」改正薬機法公布日から3年以内:「バーコード等の表示」2015年10月に策定された「患者のための薬局ビジョン」が具体化されるという流れになっています。大変なこともあるかと思いますが、今年一年も信頼される薬局・薬剤師を目指して頑張りましょう。

17682.

HPVワクチンの接種推進の取り組み

 11月30日・12月1日に開催された「第23回 日本ワクチン学会学術集会」(会長:多屋馨子〔国立感染症研究所〕)では、「サーベイランスから対策へ 有効性と安全性の両輪で考えるワクチン元年」をテーマに、臨床、疫学、製造開発、行政関係などから参加者が一堂に会して開催された。 同集会では、インフルエンザやMRワクチンはもちろん、来年10月より定期接種化される予定のロタワクチンなどに関する発表も行われた。 本稿では、2013年より積極的接種勧奨が差し控えられているHPVワクチンについて取り上げる。HPVワクチン接種のコツは丁寧な情報提供 HPVワクチンは、将来発生する子宮頸がんの予防として接種が行われるワクチンである。子宮頸がんは、予防接種で防げる病気(Vaccine Preventable Diseases:VPD)として先進国では広く接種が行われ、その有効性、安全性も確認されている。わが国では、2013年に定期接種化されたが、全国で慢性疼痛などの症状が報告され、現在に至るまで積極的接種勧奨は差し控えられている。 こうした状況に対し、地域における取り組みとして「静岡県小児科医会 予防接種協議会によるHPVワクチン接種推進プロジェクト」について、田中 敏博氏(静岡県小児科医会 予防接種協議会/静岡厚生病院 小児科)がレポートした。 同協議会は、県内の予防接種地域差の均てん化と情報交換のために設立され、重点課題として2017年はB型肝炎とおたふくかぜワクチンを、2018年にはHPVワクチンを取り上げて、その推進に取り組んできた。 HPVワクチンに関しては主な活動として、医療者向けの勉強会・講演会の実施、シンポジウムの開催(録画DVDの配布)、各種調査研究を行っている。 同協議会が運営し、一般公開している接種件数データベースを紹介した。静岡県内ではHPVワクチンの接種件数は回復しつつあることがわかるという。また、このデータベースでは、記載された各症例のエピソードがコメント共有として閲覧可能で、接種に臨むにあたっての思いや副反応情報などを把握することができる。 こうした活動を踏まえて、外来では、HPVワクチン接種対象者に対し、「積極的な呼びかけ」「見える化したデータ紹介」「接種機会の的確な把握」「接種後の細かいフォロー」などを行うことで、子宮頸がんとその予防のためのワクチンに対する意識を高めていくことができると説明した。 最後に同氏は、「定期接種であるHPVワクチンの接種推進には、医療者が積極的に働きかけを行うことが出発点である。接種を躊躇しているのはむしろ医師の側である」と指摘した。

17683.

長期介護施設入居者の不眠症やベンゾジアゼピン使用と転倒リスク

 高齢者の負傷の主な原因である転倒は、長期介護施設の入居者において、とくに問題となる。中国・復旦大学のYu Jiang氏らは、長期介護施設の入居者を対象に、睡眠の質や睡眠薬の使用が転倒に及ぼす影響について評価した。このような研究は、中国ではこれまでほとんど行われていなかった。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2019年11月21日号の報告。 対象は、上海の中心部にある25の長期介護施設より募集した605例。睡眠の質と睡眠薬の使用に関するベースライン調査、転倒および転倒での負傷に関する1年間のフォローアップ調査を実施した。単変量および多変量解析には、ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・605例(女性の割合:70.41%、平均年齢:84.33±6.90歳)のうち、1年間の転倒の発生率は21.82%、転倒による負傷の発生率は15.21%であった。・不眠症は19.83%、睡眠薬の使用は14.21%に認められた。・潜在的な交絡因子で調整した後、不眠症は転倒リスクの増加と有意な関連が認められた(調整リスク比:1.787、95%信頼区間:1.106~2.877)。・ベンゾジアゼピン使用は、転倒による負傷リスクの増加と有意な関連が認められた(調整リスク比:3.128、95%信頼区間:1.541~6.350)。 著者らは「長期介護施設に入居する高齢者においては、不眠症とベンゾジアゼピン使用のいずれもが、転倒や負傷リスクの増加と関連していることが明らかとなった。転倒を予防するためには、睡眠の質を改善するための非薬理学的介入、より安全性の高い睡眠薬の使用、ベンゾジアゼピン使用者への管理強化が必要とされる」としている。

17684.

紫外線は乳がん予防に有効か~メタ解析

 太陽紫外線(UVR)曝露が乳がん発症リスクを減少させるという仮説がある。今回、カナダ・クイーンズ大学のTroy W. R. Hiller氏らが行った系統的レビューとメタ解析から、夏の数ヵ月間に太陽の下で1日1時間以上過ごすことで、乳がん発症リスクを減らせる可能性が示唆された。Environmental Health Perspectives誌2020年1月号に掲載。 本研究では、Medline、EMBASE、Web of Scienceで太陽UVRへの曝露と乳がんリスクの関連を調査した研究すべてを検索し、太陽の下で過ごした時間と周囲のUVR(居住地の太陽の強さ)の推計値を使用して個別に分析した。関連はランダム効果モデルのDerSimonian-Laird法を用いて推定し、異質性はサブグループ解析とI2統計量で調べた。 主な結果は以下のとおり。・14件の研究が系統的レビューの対象に、そのうち13件がメタ解析の対象になった。うち8件が北米で実施された研究であった。・生涯もしくは成人期に夏の数ヵ月間、1日1時間以上太陽の下で過ごすと、1時間未満と比べて乳がんリスクが減少した(統合相対リスク[RR]:0.84、95%信頼区間[CI]:0.77~0.91)。・太陽の下で過ごす時間が1日1時間未満と比べて、2時間以上(RR:0.83、95%CI:0.75~0.93)と1時間以上2時間未満(RR:0.83、95%CI:0.78~0.89)において同等の保護効果がみられた。・青年期での曝露(RR:0.83、95%CI:0.71~0.98)は、45歳以上での曝露(RR:0.97、95%CI:0.85~1.11)よりも乳がんリスクが低かった。・周囲のUVRは、乳がんリスクと関連していなかった(RR:1.00、95%CI:0.93~1.09)。

17685.

B細胞NHLへのR-CHOP、4サイクルvs.6サイクル/Lancet

 60歳以下の低リスク中悪性度(アグレッシブ)B細胞非ホジキンリンパ腫患者の治療において、リツキシマブとシクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+prednisone(R-CHOP)併用療法の4サイクル投与は6サイクル(標準治療)に対し、有効性が非劣性で、毒性作用は治療サイクルが少ない分、抑制されることが、ドイツ・ザールラント大学のViola Poeschel氏らGerman Lymphoma Allianceが行った「FLYER試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2019年12月21/28日合併号に掲載された。国際予後指標(IPI)の年齢調整リスク因子がなく、非bulky病変(腫瘍最大径<7.5cm)を有するアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者では、6サイクルのR-CHOP様レジメンの予後はきわめて良好と報告されている。一方、多くの患者にとって、このレジメンに含まれる6サイクルの細胞傷害性薬剤の併用療法(CHOP様)は過剰治療となっている可能性があるという。5ヵ国が参加した非劣性試験 本研究は、5ヵ国(デンマーク、イスラエル、イタリア、ノルウェー、ドイツ)の138施設が参加した多施設共同非盲検無作為化第III相非劣性試験であり、2005年12月2日~2016年10月7日の期間に患者登録が行われた(Deutsche Krebshilfeの助成による)。 対象は、年齢18~60歳で、StageI/II、血清乳酸脱水素酵素(LDH)濃度が正常、全身状態(ECOG PS)が0/1であり、非bulky病変(腫瘍最大径<7.5cm)を有するB細胞非ホジキンリンパ腫患者であった。 被験者は、R-CHOP 4サイクルに加えリツキシマブを単独で2回投与する群(4サイクル群)、またはR-CHOPを6サイクル投与する群(6サイクル群)に無作為に割り付けられた。1サイクルは21日であった。リツキシマブの用量は375mg/m2(体表面積)とした。精巣リンパ腫を除き、放射線治療は計画されなかった。 主要評価項目は、3年時の無増悪生存(PFS)率とし、intention-to-treat集団で解析が行われた。非劣性マージンは-5.5%とした。安全性の評価は、1回以上の投与を受けた患者を対象とした。3年PFS率:96% vs.94%、完全寛解率:91% vs.92% 592例が登録され、588例(4サイクル群293例[年齢中央値 49歳、女性 40%]、6サイクル群295例[47歳、39%])がintention-to-treat解析の対象となった。B症状が4サイクル群で多かった(9% vs.3%)。588例中499例(85%)がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)であった。 追跡期間中央値66ヵ月(IQR:42~100)の時点における3年PFS率は、4サイクル群が96%(95%信頼区間[CI]:94~99)、6サイクル群は94%(91~97)であった。群間差は3%で、95%CIの下限値は0%であり、非劣性マージン(-5.5%)よりも高く、4サイクル群の6サイクル群に対する非劣性が確認された。 治療終了時に、4サイクル群267例(91%)、6サイクル群271例(92%)が完全寛解を達成し、それぞれ8例(3%)および11例(4%)が部分寛解で、6サイクル群の1例(<1%)が不変であった。治療中の増悪は両群3例(1%)ずつで認められた。 3年無イベント生存率は、4サイクル群が89%、6サイクル群も89%であり、3年全生存率はそれぞれ99%および98%だった。 また、事後解析では、5年PFS率は4サイクル群94%、6サイクル群94%、5年無イベント生存率はそれぞれ87%および88%、5年全生存率は97%および98%であった。 全体で40例が増悪または再発した。治療終了時の完全寛解/不確定完全寛解例での再発は、4サイクル群が11例(4%)、6サイクル群は13例(5%)であり、部分寛解例の再発はそれぞれ2例(25%)および2例(18%)だった。完全寛解/不確定完全寛解の再発例24例のうち、4例(17%)は登録から1年以内に、8例(33%)は2年以内に再発した。 4サイクル群(293例)では血液学的有害事象が294件、非血液学的有害事象が1,036件発現したのに比べ、6サイクル群(295例)ではそれぞれ426件および1,280件であり、4サイクル群で少ない傾向が認められた。重篤な有害事象は、4サイクル群48例、6サイクル群45例にみられた。感染症は、それぞれ116例(Grade3/4は22例)および156例(同23例)で発現した。6サイクル群で治療関連死が2例認められた。 著者は、「R-CHOP療法は、有効性を損なわずに、化学療法の施行数を減らすことができる」としている。

17686.

電子タバコ関連の肺障害、酢酸ビタミンEが関与か/NEJM

 米国では現在、電子タバコまたはベイピング製品の使用に関連する肺障害(electronic-cigarette, or vaping, product use-associated lung injury:EVALI)が、全国規模で流行している。同国疾病予防管理センター(CDC)のBenjamin C. Blount氏らLung Injury Response Laboratory Working Groupは、EVALIの原因物質について調査し、酢酸ビタミンEが関連している可能性が高いと報告した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年12月20日号に掲載された。2019年12月12日現在、米国の50州とワシントンD.C.、バージン諸島、プエルトリコで、2,400人以上のEVALI罹患者が確認されている。すでに25州とワシントンD.C.で52人が死亡し、罹患者の78%が35歳未満だという。症状は、呼吸器(95%)、全身(85%)、消化器(77%)が多く、数日から数週間をかけて緩徐に進行すると報告されているが、その原因物質は同定されていない。電子タバコ関連の肺障害患者51人と健常者99人で高優先度の毒性物質を評価 研究グループは、電子タバコ関連の肺障害に関連する毒性物質を同定する目的で、EVALI患者と健常者の気管支肺胞洗浄(BAL)液を調べた(米国国立がん研究所[NCI]などの助成による)。 対象は、米国16州のEVALI患者51人と、2015年に開始され、現在も進行中の喫煙関連研究の参加者のうち、電子タバコまたはベイピング製品のみの使用者や、タバコを専用する喫煙者、これらの非使用者を含む健常者99人であった。 参加者から採取したBAL液を用い、同位体希釈質量分析法で優先度の高い毒性物質(酢酸ビタミンE、植物油、中鎖脂肪酸トリグリセライド油、ココナッツ油、石油蒸留物、希釈テルペン)の測定を行った。電子タバコ関連の肺障害患者の酢酸ビタミンE検出率:患者94% vs.健常者0% 2019年8月~12月の期間に、米国16州の電子タバコ関連の肺障害患者51人からBAL液が採取された。年齢中央値は23歳で、男性が69%を占めた。77%がテトラヒドロカンナビノール(THC)含有製品を、67%がニコチン含有製品を、51%はこれら双方を使用していた。51人のうち、25人はEVALI確定例、26人は疑い例であった。 健常者集団(99人)のBAL液は2016~19年に採取された。電子タバコ使用者は18人(年齢中央値27歳、男性67%)、喫煙者は29人(26歳、76%)、非使用者は52人(25歳、37%)であった。この集団のBAL液からは、6種の優先度の高い毒性物質は検出されなかった。 一方、電子タバコ関連の肺障害患者のBAL液からは、51人中48人(94%)で酢酸ビタミンEが検出された。1人からは、酢酸ビタミンEに加えココナッツ油が検出され、酢酸ビタミンEもTHCも検出されなかった1人からはリモネン(希釈テルペン)が検出された。これ以外の患者からは、酢酸ビタミンE以外の優先度の高い毒性物質は検出されなかった。 検査データがあり、製品の使用が報告されているEVALI患者50人中47人(94%)では、BAL液からTHCまたはその代謝産物が検出され、EVALI発症前90日以内でのベイピング用THC製品の使用が報告されていた。また、ニコチンまたはその代謝産物は、47人中30人(64%)のBAL液から検出された。 著者は、「酢酸ビタミンEが単独で、EVALI患者にみられる肺障害の直接的な原因となりうるかは、動物実験によって明らかとなる可能性がある」としている。

17687.

血圧に差がついてしまっては理論検証にならないのでは?(解説:野間重孝氏)-1165

 マルファン症候群は細胞外基質タンパクであるfibrillin 1(FBN1)の遺伝子変異を原因とする遺伝性の結合織疾患であり、種々の表現型、重症度がみられるが、大動脈瘤(とくに大動脈基部)とそれに伴う大動脈弁閉鎖不全症が生命予後の決定因子としてとくに重要であるため、その発生予防が種々議論されてきた。近年、FBN1変異下においては炎症性サイトカインの1つである形質転換増殖因子β(TGFβ)の活性が亢進していることが明らかにされ、この活性亢進が結合織疾患の発生に関与している可能性が示され、動脈瘤の発生予防法として、シグナル伝達系でTGFβの上流に位置するアンジオテンシンII受容体1型活性をアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)によってブロックする治療法が有効である可能性が示唆され、注目を集めるに至った。 この概要が明らかになったのは、2011年にジョンズ・ホプキンズ大学のグループによって発表された2つの実験論文による(Holm TM, et al. Science. 2011;332:358-361. Habashi JP, et al. Science. 2011;332:361-365.)。本論文評は総説ではないので詳説は避けるが、概要を述べるならば、大動脈瘤の形成にはTGFβのシグナル伝達系の1つであるnon-canonical pathwayを介する分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(ERK)、部分的にはMAPキナーゼ系に属するJNKが関与するが、FBN1変異下ではこの活性が亢進状態にある。ここでAT1刺激がERK活性を亢進させるのに対し、AT2受容体刺激はTGFβによるERK活性化を抑制する。ARBはAT1受容体を選択性にブロックするため、残ったAT2によりERK活性が強力に抑制され動脈の拡大が防止されるという機序が考えられ、動物実験により証明された。これに対し、ACE阻害薬はAT2の抑制作用まで抑えてしまうため、大動脈瘤の形成予防にARBは有効だがACE阻害薬は無効であることが考えられ、これも証明された。この研究は、遺伝子の異常そのものを直すことはできなくても、その下流のシグナル異常を抑制することにより遺伝子病の発症を防ぐことができる可能性を提示した研究として注目された。 一方、臨床面でもARBの有効性を示唆するデータが上記研究よりも早い時期から提出されていたのだが、症例数も少なく非盲検試験であったことから本格的な二重盲検試験による治験が期待されていた(Starzl TE. N Engl J Med. 358;2008:407-411.)。しかしその後ロサルタンとβブロッカーの併用による無作為化試験がいくつか行われたが、いずれにおいても有意なデータは得られなかった。ロサルタンはARBとしては強力な薬剤とは言えず、また血中半減期が6~9時間と短いこと、生体利用率が比較的低いことに鑑み、これらがいずれも優れたイルベサルタン(半減期11~15時間)を使って計画された二重盲検試験が本試験である。 前置きが長くなってしまったが、本論文は確かに有意なデータを提示することに成功したが、著者らの意気込みとは相違して、評者はこれがARBの効果によるものなのかどうかを断定することは早計なのではないかと考える。両群の間で大きくはないとはいえ、有意な血圧差が生じているからである。マルファン症候群は結合織疾患であり、結合織疾患に対してはたとえわずかな差とはいえ、持続的な血圧差は大きな影響を与える可能性が考えられるからである。 これはこの種の盲検試験の原則なのだが、主要検査項目以外の項目はそろえられていなければならないものである。とくに血圧は重要項目であり、これでは理論検証にはならないのではないかと考えるのは評者の偏見ではなく、統計の基礎だと思う。少々乱暴な提案にはなるが、そもそもARBは降圧薬として開発されたという経緯を考えると、このような理論検証型のモデルを組む以前に、何種類かの機序の違う降圧薬を用意して盲検のかたちで血圧をある一定レベルに降下させて一定期間観察するといった研究が、まず先行するかたちで行われるべきではないのだろうか。そうした治験でARBがとくに優れた結果を出したとすれば、機序はともかくとして確かに効果があったと立証されたといえる。もちろんこれは一案にすぎないが、臨床において理論検証型のモデルを組むことは非常に難しいのが通例なのである。血圧については著者らも気になったものとみえて、discussionの3分の1くらいをこの議論に当てているが、素直にうなずけるものではないように感じられた。とくに、何回も盲検試験の失敗が続いているにもかかわらず、「こうした結果はARBのclass effectである」とまで言い切っている根拠が理解できない。たとえそうであったとしても、それはもっと検証が重ねられたうえで言われるべきことではないのだろうか。 もう1つ気になる点を付け足すとすると、本研究だけではなく、一連の研究者たちが薬剤の1日1回投与にこだわっているように思われてならないことである。利便性より以前にまず安定的な薬剤血中濃度の動的平衡をつくることを考えるべきなのではないだろうか。ARBはそういう性格の薬ではないなどと反論する前に、まずオーソドックスな方法を取るべきだと思う。その後に、徐放剤をつくるなり半減期の長い薬剤を使用するなり(たとえばこの場合テルミサルタンなら半減期20~25時間)を考えればよいのではないかと思う。 TGFβ仮説は分子生物学分野の研究者たちにとって魅力的な仮説であることは十分理解できるが、まだ仮説の域を出てはいないのではないかと思う。まず、なぜFBN1異常下ではTGFβ活性が亢進するのかについても定説はないのである。臨床研究では動物実験のように種々の条件を正確にそろえて検証を行うことは無理である以上、もっと泥臭いアプローチが行われてもよいのではないかと感じたのだが、これは少し言い過ぎだろうか。

17688.

第21回 カイ2乗検定とは? その1【統計のそこが知りたい!】

第21回 カイ2乗検定とは? その1日常、医療者が文献でよく目にするカイ2乗検定(Chi-squared test)は、「独立性の検定」とも呼ばれます。ここで「独立」とはどういう意味かというと、簡単に言えば「独立→関係がない」「独立でない→何か関係性がある」ということです。では、カイ2乗検定とはどのような検定でしょう。■カイ2乗検定とは何か表1は、ある新薬Xの有効性を、若年層(15~34歳)、中年層(35~64歳)、高齢層(65歳以上)別に調べた結果です。表1 年齢別新薬Xの有効人数この表からは、若年層に新薬Xが有効と判断された人数が多く、次いで中年層、高齢層ということになります。しかし、この表からだけでは「新薬Xは若年層に最も有効性を示し、次いで中年層、高齢層であった」と考えることはできません。なぜならば、この表には、「無効と判断された人数がない」からです。表2のクロス集計表は年齢層と有効、無効との関係をみたものです。表2 新薬Xの有効・無効の人数別と割合別上のクロス集計表を解釈すると次のようになります。有効と判断された人の割合は、若年層が75%、中年層が67%、高齢層は33%で、年齢層が若い層ほど有効と判断された人の割合が高くなる傾向がみられます。無効と判断された人の割合は、若年層が25%、中年層が33%、高齢層は67%で、年齢層が高い層ほど無効と判断された人の割合は高くなる傾向がみられます。このクロス集計表でみられるように、ある特定の年齢層で有効と判断された人の割合あるいは無効と判断された人の割合が高いとき、年齢層と有効・無効の項目は関連性があると解釈します。では、母集団における年齢層と有効・無効の項目との関連性の有無はどうでしょうか。それを調べる検定法がカイ2乗検定です。第22回では、カイ2乗検定を理解するために「期待度数」と「カイ2乗値」について解説します。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション13 カイ2乗検定第4回 ギモンを解決!一問一答質問24 カイ2乗検定とは?

17689.

肝細胞がん2次治療、ペムブロリズマブの有効性は?(KEYNOTE-240)/JCO

 既治療の進行肝細胞がん(HCC)患者に対する、ペムブロリズマブの有効性と安全性に関する結果が示された。第II相試験「KEYNOTE-224」において抗腫瘍活性と安全性が示されたことを踏まえて、無作為化二重盲検第III相試験「KEYNOTE-240」が実施されたが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のRichard S. Finn氏らは、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が事前に規定された統計学的有意性を満たさなかったことを報告した。著者は、「KEYNOTE-240試験の結果はKEYNOTE-224試験と一致しており、既治療のHCC患者におけるペムブロリズマブのリスク対効果比が良好であることは裏付けられた」と述べている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年12月2日号掲載の報告。 KEYNOTE-240試験は、27ヵ国119施設で実施された。対象は、ソラフェニブ治療中または治療後に病勢進行が確認された、またはソラフェニブに不耐容の進行肝細胞がん患者であった。適格患者を、ペムブロリズマブ+Best Supportive Care(BSC)群とプラセボ+BSC群に、2対1の割合で無作為に割り付け追跡した。 主要評価項目はOSおよびPFSで、片側有意水準は、初回中間解析ではp=0.002、最終解析ではp=0.0174とした。安全性は、試験薬を1回以上投与された全患者で評価した。 主な結果は以下のとおり。・2016年5月31日~2017年11月23日に、413例が無作為に割り付けられた。・2019年1月2日時点での追跡期間中央値は、ペムブロリズマブ群13.8ヵ月、プラセボ群10.6ヵ月であった。・OS中央値は、ペムブロリズマブ群13.9ヵ月vs.プラセボ群10.6ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.781、95%CI:0.611~0.998、p=0.0238)。・PFS中央値は、初回中間解析でペムブロリズマブ群3.0ヵ月vs.プラセボ群2.8ヵ月(HR:0.775、95%CI:0.609~0.987、p=0.0186)、最終解析ではそれぞれ3.0ヵ月vs.2.8ヵ月(HR:0.718、95%CI:0.570~0.904、p=0.0022)であった。・Grade3以上の有害事象は、ペムブロリズマブ群で147例(52.7%)、プラセボ群で62例(46.3%)に発現し、治療関連有害事象はそれぞれ52例(18.6%)および10例(7.5%)であった。

17690.

長期抗精神病薬治療が体重に及ぼす影響~コホート研究

 抗精神病薬は、長期間にわたり使用されることが多いにもかかわらず、体重への影響に関するエビデンスの大半は、短期的な臨床試験による報告にとどまっている。とくに、抗精神病薬の投与量による体重への影響については、ほとんど調査されていない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのJuan Carlos Bazo-Alvarez氏らは、3種類の第2世代抗精神病薬を高用量または低用量で開始した患者における体重への短期的および長期的変化について検討を行った。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2019年11月14日号の報告。 本研究は、2005~15年に英国プライマリケアにて精神疾患と診断された患者を対象としたレトロスペクティブコホート研究。3種類の第2世代抗精神病薬(オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)の初回使用より調査を行った。主要アウトカムは、性別および高用量または低用量で層別化した後の、抗精神病薬治療開始の4年前と4年後との体重変化とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、女性2万2,306例、男性1万6,559例であった。・オランザピン治療は、体重変化が最も高く、高用量でより多くの体重増加が認められた。・4年後の体重増加は、オランザピンの高用量(5mg超)女性で平均+6.1kg、低用量(5mg以下)で平均+4.4kgであった。・オランザピン治療の最初の6週間における体重増加は、高用量で平均+3.2kg、低用量で平均+1.9kgであった。・男性でも、その傾向は同様であった。・リスペリドンおよびクエチアピン治療患者では、短期的および長期的な体重増加は少なかった。 著者らは「オランザピン治療は、体重増加が最も多かった。高用量とより多くの体重増加との関連が認められた。臨床医は、メンタルヘルス上のベネフィット、体重増加、その他の有害事象とのバランスを取るため、最低有効量による治療を心掛ける必要がある」としている。

17692.

つまようじに殺された人【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第154回

つまようじに殺された人photoACより使用うちにも7歳と5歳の子供がいるのですが、つまようじで工作することがあって、怖いなぁといつも思っています。何かの拍子にすべって、眼に刺さったらどうすんねんと、過保護っぷり全開です。さて、今日はつまようじに殺されたという世にも珍しい症例報告を紹介しましょう。Lares Dos Santos C, et al.Unusual case of a fatal upper esophageal trauma caused by a toothpick.J Forensic Leg Med. 2019 Feb;62:82-86.50歳の女性が、トイレで倒れているところを発見されました。体表面にいくつか挫創があり、前頸部が緑色に変色していたそうです。死亡してから、おそらくかなりの時間が経過していました。剖検で、頸部軟部組織を調べてみると、なんと3cmの木製つまようじが見つかったではありませんか! 周囲には強い化膿性炎症が見られ、培養でKlebsiella oxytocaが検出されました。つまり、頸部の軟部組織に入り込んだつまようじが感染症を起こし、それによって死亡した可能性が示唆されました。ではなぜ、つまようじが頸部の軟部組織に入り込んだのか。まさかのつまようじ殺人か!?調査によると、実は亡くなる5日前に、サラミと一緒にパンを食べた際、喉の不快感を訴えて救急外来を受診していたことがわかりました。今だからわかりますが、おそらくそのサラミには、つまようじが刺さっていたのでしょう。救急部でレントゲン写真と喉頭鏡検査が行われましたが、特段の異常は同定できなかったそうです。鼻咽頭炎という診断が下され、対症療法が行われました。しかし、残念ながら、その後亡くなってしまったというわけです。つまようじが消化管穿孔を起こしたという事例は、数えきれないくらい報告されていますが、食道に刺さって死んでしまったという症例は、この報告をおいてほかにありません。まれな“つまようじ論文”としては、「心臓内つまようじにより反復性緑膿菌菌血症を来した1例」1)が報告されているのですが、取り寄せるだけでかなりお金がかかることがわかり、全文読むのはあきらめました。すいません。1)Pellegrini AJ, et al. Recurrent Pseudomonas aeruginosa bacteremia caused by an intracardiac toothpick. J Card Surg. 2017 Feb;32(2):97-98.

17693.

地域密着型認知症治療の現状調査~相模原市認知症疾患医療センターでの調査

 日本では認知症対策として地域密着型統合ケアシステムを促進するため、2013年に認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)を策定し、2015年に認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)として改訂を行った。これらのプログラム導入後、地域の認知症ケアにどのような影響を及ぼすかについては、十分な研究が行われていない。北里大学の姜 善貴氏らは、相模原市認知症疾患医療センターにおける認知症診断を含む医療相談経路の調査を通じて、地域密着型認知症治療の現状について調査を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年12月4日号の報告。 対象は、認知症の鑑別診断または治療のために相模原市認知症疾患医療センターで診断を受けた患者1,480例(男性:585例、女性:895例)。薬物療法前の診察に至る経路と相談後の診断との関連について調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・紹介なしで受診した患者は、認知症と診断されるケースが有意に少なかった。・精神科以外のクリニックから紹介された患者では、認知症と診断されるケースが有意に多かった。・施設タイプと抗認知症薬の使用または非使用の比較において、有意な差が観察された。・抗認知症薬の処方率は、精神科病院および精神科以外のクリニックにおいて有意に高かった。・各施設で処方されている抗認知症薬のうち、約30%が保険適用外であった可能性が示唆された。 著者らは「地域密着型統合ケアシステムは、各地域内でのコラボレーションを促進することを目的としている。しかし、認知症患者に対する適切な薬物療法に関する情報は、非専門医や地域住民に十分浸透していない。医療スタッフが認知症に対する理解を深め、患者に対するより良い認知症サポートを提供できるようにするための人材ソリューションが必要とされる」としている。

17694.

海外渡航者へのワクチンの勧め

 11月30日・12月1日に「第23回 日本ワクチン学会学術集会」(会長:多屋 馨子〔国立感染症研究所〕)が開催された。「国際化とワクチン」をテーマに開催されたシンポジウムでは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで多数の来日外国人が持ち込む可能性がある感染症への備えとしてのワクチンの重要性などが語られた。 本稿では、「渡航医学におけるワクチン」を取り上げる。予防接種では目の前の接種希望者のリスクとベネフィットを考える シンポジウムでは、田中 孝明氏(川崎医科大学 小児科学 講師)が「海外渡航者のためのワクチン」をテーマに、インバウンドの逆、日本人が海外渡航する場合(アウトバウンド)における予防接種の対応や現在の問題点などを講演した。 アウトバウンドの予防接種では、厚生労働省検疫所(FORTH)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)の予防接種情報が有用と紹介し、トラベル・クリニックでの対応を例に説明した。来院した予防接種希望者には、「行き先、滞在期間、渡航目的、既往歴、接種歴など」を問診し、ワクチンを考慮し、選択する必要がある。また、先ごろ発行された『海外渡航者のためのワクチンガイドライン/ガイダンス 2019』にも触れ、海外渡航時のワクチン接種の指針が示されたことを説明した。 多くのワクチンは複数回の接種が必要だが、渡航までの期間が十分でないため、渡航先で接種を継続する場合が多い。しかし、製薬会社が異なるワクチンの互換性が確認されていないことが問題となっており、これらのエビデンスが極めて乏しいという。 そのほか、腸チフスワクチンを例に、多くの渡航者に必要であるにもかかわらず国内では希少疾患のため、ワクチンが承認されておらず、本ワクチンの接種は自己輸入して扱っている施設に限られている。しかも、接種後に健康被害が起こっても「(手厚い)予防接種法や医薬品医療機器総合機構法による救済制度の補償外であり、接種する側・される側の負担が大きい」と接種現場での悩みを語った。現状では、疾病予防効果と副反応の可能性などを衡量し、接種希望者に情報を伝え、接種をするかどうか決定することが接種の現場で行われている。 最後に同氏は、「こうした未承認ワクチンの問題や渡航ワクチンのエビデンス不足はもちろん、渡航分野の臨床研究の進展が今後の課題」と述べ、講演を終えた。

17695.

男性胚細胞腫瘍の心血管疾患リスクは?/JCO

 男性の胚細胞腫瘍は、まれだが20~30代に比較的多く発生するという特徴がある。その男性胚細胞腫瘍(精巣腫瘍)について、ブレオマイシン+エトポシド+シスプラチン(BEP)併用療法が、治療開始後1年未満の心血管疾患(CVD)リスクを顕著に増加させ、10年後にもわずかだがリスク増加と関連することが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のJakob Lauritsen氏らによる検討で明らかにされた。また、放射線療法が糖尿病のリスク増加と関連していることも示されたという。なお、経過観察の患者では、CVDリスクは正常集団と同程度であった。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年12月10日号掲載の報告。 研究グループは、デンマークの精巣腫瘍データベースを用いて、腫瘍治療後のCVDリスクを分析した。臨床データを収集するとともに、患者1例につきデンマークの正常集団から生年月日をマッチさせたリスク集団サンプリング(risk-set sampling)で対照10例を抽出し、治療とアウトカムとの関連性を、がん治療を時変共変量(time-varying covariate)として組み込んだCoxモデルでアウトカムごとに分析した。 心血管リスク因子、CVDおよび関連する死亡は、デンマークのレジストリで特定した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、胚細胞腫瘍の男性患者5,185例、対照男性5万1,850例で、追跡期間中央値は15.8年であった。・BEP併用療法(1,819例)は、高血圧症と高コレステロール血症のリスク増加と関連していた。・BEP併用療法開始後1年未満のCVDのハザード比(HR)は、心筋梗塞が6.3(95%信頼区間[CI]:2.9~13.9)、脳血管障害が6.0(2.6~14.1)、静脈血栓塞栓症が24.7(14.0~43.6)であった。・BEP併用療法開始後1年以降は、CVDリスクは正常レベルに低下したが、10年後の時点でも心筋梗塞(HR:1.4、95%CI:1.0~2.0)および心血管死(1.6、1.0~2.5)のリスク増加が認められた。・放射線療法(780例)は、長期追跡で糖尿病のリスクを増加させた(HR:1.4、95%CI:1.0~2.0)が、ほかのリスクは増加しなかった。・経過観察の患者(3,332例)では、心血管リスク因子、CVDおよび心血管死のデータは正常集団と同程度であった。

17696.

進行卵巣がんの維持療法、オラパリブ+ベバシズマブが有効/NEJM

 1次治療のプラチナ製剤+タキサン系薬+ベバシズマブが奏効した進行卵巣がん患者において、維持療法はベバシズマブにオラパリブを追加することで、無増悪生存(PFS)期間が有意に延長することが認められた。この有効性はBRCA遺伝子変異のない相同組み換え修復異常(HRD)陽性患者で大きかった。フランス・クロード・ベルナール・リヨン第1大学のIsabelle Ray-Coquard氏らが、11ヵ国で実施された第III相の国際共同無作為化二重盲検試験「PAOLA-1試験」の結果を報告した。オラパリブは、新たに診断されたBRCA変異陽性の進行卵巣がん患者に対する維持療法として、大きな臨床的有益性をもたらすことが示唆されていたが、BRCA変異の有無にかかわらずオラパリブ+ベバシズマブ併用による維持療法が有効かどうかは不明であった。NEJM誌2019年12月19日号掲載の報告。進行卵巣がんの1次治療奏効806例でオラパリブ+ベバシズマブvs.プラセボ+ベバシズマブ 研究グループは2015年7月~2017年9月の間に、新たに診断を受けた高悪性度の進行卵巣がんで1次治療のプラチナ製剤+タキサン系薬+ベバシズマブが奏効した患者(手術アウトカムまたはBRCA変異の有無は問わず)806例を対象とした。 被験者を無作為に2対1の割合で、オラパリブ(300mgを1日2回)+ベバシズマブ(15mg/kg)群(オラパリブ併用群、537例)と、プラセボ+ベバシズマブ群(ベバシズマブ単独群、269例)に割り付け、オラパリブは最長24ヵ月間、ベバシズマブは3週ごとに最長15ヵ月間投与した。 主要評価項目は、治験担当医の評価によるPFS期間(無作為化から病勢進行または死亡までの期間と定義)。有効性はintention-to-treat解析を行い評価した。オラパリブ+ベバシズマブ群で進行卵巣がん患者のPFSが有意に延長 追跡期間中央値22.9ヵ月時点で、進行卵巣がん患者のPFS中央値はオラパリブ併用群が22.1ヵ月、ベバシズマブ単独群が16.6ヵ月であった(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.49~0.72、p<0.001)。 オラパリブ併用群vs.ベバシズマブ単独群の進行卵巣がんの病勢進行または死亡のHRは、BRCA変異陽性HRD陽性患者では0.33(95%CI:0.25~0.45)(PFS中央値 37.2ヵ月vs.17.7ヵ月)、BRCA変異陰性HRD陽性患者では0.43(0.28~0.66)(28.1ヵ月vs.16.6ヵ月)であった。 有害事象は、オラパリブとベバシズマブでそれぞれ確立されている安全性プロファイルと一致した。 なお著者は、比較対照としてオラパリブ単独群が欠けていることを研究の限界として挙げており、PFSの有益性がオラパリブの追加によるものが大きいのか、オラパリブとベバシズマブの相乗効果なのかについて結論付けるのは困難であるとまとめている。

17697.

頸動脈狭窄症への経頸動脈血行再建、経大腿動脈と比較/JAMA

 頸動脈狭窄症の治療において、経頸動脈血行再建術(transcarotid artery revascularization:TCAR)は経大腿動脈アプローチによるステント留置術と比較し、脳卒中または死亡のリスクが有意に低いことが示された。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのMarc L. Schermerhorn氏らが、TCARと経大腿動脈ステント術の転帰を傾向スコアマッチング法により比較した解析結果を報告した。従来の経大腿動脈アプローチによる頸動脈ステント術は、頸動脈内膜剥離術と比較して周術期脳卒中の発生率が高いことがいくつかの試験で観察されていた。一方、TCARは2015年に開発されたリバースフローシステムによる新しい頸動脈ステント術で、経大腿動脈アプローチとは対照的に、頸動脈に直接アクセスすることによって大動脈弓でのカテーテル操作を回避し、標的病変操作前の頸動脈から大腿静脈への体外動静脈シャントによって脳を保護する。TCARは経大腿動脈アプローチによる脳卒中リスクを減少させるために開発されたが、経大腿動脈ステント術と比較した場合のアウトカムはよくわかっていなかった。JAMA誌2019年12月17日号掲載の報告。傾向スコアマッチング法でTCARと経大腿動脈ステント術のアウトカムを比較 研究グループは、2016年9月~2019年4月に米国およびカナダでTCARまたは経大腿動脈ステント術を受けた無症候性/症候性の頸動脈狭窄症患者を前向きに登録したVascular Quality Initiative Transcarotid Artery Surveillance ProjectおよびCarotid Stent Registryのデータ(追跡期間終了日2019年5月29日)を用い、傾向スコアマッチング解析を実施した。 主要評価項目は、院内脳卒中(同側または反対側、皮質または椎骨脳底、虚血性または出血性脳卒中と定義)/死亡、脳卒中、死亡(全死因死亡)、心筋梗塞、ならびに1年時点の同側脳卒中または死亡の複合エンドポイントであった。 研究期間中の登録患者はTCARが5,251例、経大腿動脈ステント術が6,640例で、傾向スコアマッチングにより抽出されたそれぞれ3,286例が解析対象となった。TCAR群は平均(±SD)年齢71.7±9.8歳、女性35.7%、経大腿動脈ステント術群は同71.6±9.3歳、女性35.1%であった。院内脳卒中/死亡、脳卒中および死亡のリスクはTCARが有意に低い 院内脳卒中/死亡はTCAR群1.6%vs.経大腿動脈ステント術群3.1%で、絶対差は-1.52%(95%信頼区間[CI]:-2.29~-0.75)、相対リスク(RR)は0.51(95%CI:0.37~0.72)(p<0.001)であった。脳卒中は1.3% vs.2.4%(絶対差:-1.10%[95%CI:-1.79~-0.41]、RR:0.54[95%CI:0.38~0.79]、p=0.001)、死亡は0.4% vs.1.0%(-0.55%[-0.98~-0.11]、0.44[0.23~0.82]、p=0.008)で、いずれもTCAR群で有意にリスクが低下した。 周術期心筋梗塞については、両群間で統計学的有意差は確認されなかった(0.2% vs.0.3%、絶対差:-0.09%[95%CI:-0.37~0.19]、RR:0.70[0.27~1.84]、p=0.47)。Kaplan-Meier法による1年時点の同側脳卒中または死亡は、TCARで有意にリスクが低下した(5.1% vs.9.6%、ハザード比:0.52[95%CI:0.41~0.66]、p<0.001)。 TCARでは、治療を要するアクセス部位合併症のリスクが高かったが(1.3% vs.0.8%、絶対差:0.52%[95%CI:-0.01~1.04]、RR:1.63[95%CI:1.02~2.61]、p=0.04)、術中放射線照射時間(中央値5分[IQR:3~7]vs.16分[11~23]、p<0.001)は短く、造影剤使用量(中央値30mL[IQR:20~45]vs.80 mL[55~122]、p<0.001)は少なかった。

17698.

日本人トリプルネガティブ乳がんのMSI-H頻度は?

 日本人のトリプルネガティブ乳がん患者におけるMSI-H頻度は高くはないものの、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)のターゲットとなる患者が存在することが示唆された。九州大学の倉田 加奈子氏らによる、Breast Cancer誌オンライン版2020年1月6日号掲載の報告より。 本邦では、MSI-HまたはdMMRを有する進行固形がんに対しペムブロリズマブが承認されている。また、ゲノム不安定性を有する腫瘍はPD-1 / PD-L1阻害に良好な反応を示し、難治性乳がんの有望なターゲットとなりうることが示唆されている。しかし、日本人のトリプルネガティブ乳がんにおけるMSI-H頻度は明らかになっていない。トリプルネガティブ乳がんでMSI-Hの場合、Ki-67高値など予後不良とされる特徴 本研究では、2004年1月から2014年12月の間に、国内3施設で術前化学療法なしで切除を実施した女性トリプルネガティブ乳がん患者228例を対象に、MSI-H頻度を後ろ向きに評価した。MSI解析には、5種類のマイクロサテライトマーカー(BAT-26、NR-21、BAT-25、MONO-27、NR-24)によるMSI Analysis System Version 1.2(Promega)を使用している。 トリプルネガティブ乳がん患者におけるMSI-H頻度を評価した主な結果は以下のとおり。・トリプルネガティブ乳がんの228検体のうち、222検体(97.4%)がマイクロサテライト安定性、4検体(1.7%)がMSI-L(いずれか1種類のマーカーで不安定性を示す)、2検体(0.9%)がMSI-H (2種類以上のマーカーで不安定性を示す)であった。・MSI-Hの2検体では、ともにBAT-26、NR21およびBAT-25の3つのマーカーで不安定性を示した。これらの腫瘍はそれぞれT1N0およびT2N0であり、NG3およびKi-67高値(>30%)といった予後不良とされる特徴を有し、基底細胞様、non-BRCAnessに分類された。1検体でのみPD-L1発現が確認され、2検体でTIL低値およびCD8陰性であった。・MSI-Lの4検体では、不安定性を示したマーカーはそれぞれ異なり、4検体が基底細胞様、2検体のみnon-BRCAnessに分類された。また、1検体のみPD-L1発現がありTIL高値、そのほか3検体はTIL低値であった。 著者らは、日本人のトリプルネガティブ乳がん患者におけるMSI-H頻度はまれではあるものの、ICIの潜在的なターゲットとなる患者は存在し、包括的なゲノムプロファイリングのプラットフォームを使用してピックアップしていく必要があると結論付けている。

17699.

お年玉シーズンに知っておきたい「賢い贈与」のコツ【医師のためのお金の話】第28回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。令和になって初めてのお正月はいかがお過ごしでしょうか? 病院で忙しく働いていた先生もいらっしゃるでしょうが、自宅でのんびり過ごした先生も多かったのではないでしょうか。お正月のビッグイベントといえば「お年玉」。子供のころは親や親戚からもらうお年玉がとても楽しみでした。ところが、大人になると今度はお年玉を渡す立場になります。自分の子供だけではなく、両親や親戚の子供にまでお年玉を渡すようになると、たかがお年玉といえども結構な出費になります。年始から頭の痛い問題です(笑)。さて、お年玉も含めたお金を渡す行為は、税務的に「贈与」となります。もちろん、お年玉程度の金額で贈与税を支払う人はいないでしょうが、資産継承の観点からは贈与について知っておく必要があります。「暦年贈与」に潜む落とし穴医師は高額所得者であることが多く、同世代の方と比較してキャッシュフローが多い傾向にあります。このため、子供に対してまとまった金額を贈与する方も少なくありません。スムーズな資産継承のためには贈与が欠かせませんが、一般的によく行われているのは贈与金額を非課税枠の110万円以内にとどめて毎年贈与を繰り返す例です。このような贈与の仕方を「暦年贈与」といいます。110万円以内の暦年贈与は非課税なので贈与税申告も不要となり、気楽に贈与できることがメリットです。しかし毎年110万円ずつ子供に贈与していると、毎年一定の金額を贈与することが決まっている「定期贈与」と見なされる可能性があります。定期贈与は、贈与を開始した年に「定期的にお金を受け取る権利」の贈与を受けたものとして、これまでの贈与額の合計額に対して多額の贈与税が課税されてしまいます。これでは何のために暦年贈与したのかわからなくなりますね。「定期贈与」の回避策定期贈与と見なされるのを回避するためには、下記のような対策が有効といわれています。1)毎年「贈与契約書」を作成する2)受贈者本人の銀行口座へ振り込むことで記録を残す3)110万円を少しだけ超える金額を贈与して贈与税の申告を行う4)毎年違う時期に違う金額を贈与することで単発の贈与であることを強調する毎年贈与しているとトータルで大きな金額になってしまいます。上記の1)~2)の対策を行うことで、そのお金が一括で贈与したものではないことを証明するのです。3)に関しては110万円の非課税枠を超えて少額の贈与税が発生しても、暦年贈与をしたほうがトータルでの税額は抑えられます。たとえば111万円贈与した場合の贈与税は1,000円なので、10年贈与しても1万円にしかなりません。一方、1,110万円を一括贈与すると、100万円の贈与税になります。さらに、4)のように贈与の時期をランダム化することで、「暦年贈与だけども、あらかじめ決めた定期贈与ではありません!」と強調します。ここまでは一般的にいわれている定期贈与対策なので、抜かりなく実践するべきでしょう。私が実践する“ダメ押し”暦年贈与法一般的な暦年贈与の注意点をお話ししましたが、このまま終わっては面白くありません。そこで、私が毎年実践している暦年贈与の「コツ」を伝授いたします。前述の4つの対策は当然行っていますが、贈与契約書の空白スペースに、子供に「贈与を受けた感想」を書かせるようにしているのです。「おとなになったら大事に使いたいです」「お金をもらってうれしいです」などの子供の素直な感想を書いてもらうことで、贈与契約書に臨場感を醸し出します。子供の成長に従って書かれている内容や字もきれいになっていくので、税務署も否認しにくくなるはずです。子供にとっても大事に使わなければいけないというプレッシャーになるかもしれません。さらに、子供の感想入り贈与契約書を公証役場に持参して確定日付を取得します。公正証書にすると最低5,000円の費用がかかりますが、確定日付なら700円で済みます。確定日付は、単にその日その場所に贈与契約書が存在したという証明にすぎませんが、税務署に数年分の贈与契約書をまとめて作成したのではないかと疑われることを100%回避できるので有効です。ここまでやれば税務署も怖くない!?

検索結果 合計:35672件 表示位置:17681 - 17700