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elagolix+add-back療法、子宮筋腫の過多月経に有効/NEJM

 経口ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬elagolixは、ホルモン補充を行うadd-back療法との併用により、子宮筋腫に伴う過多月経の軽減に有効であることが示された。米国・トーマス・ジェファソン大学のWilliam D. Schlaff氏らが、elagolix+add-back療法の有効性と安全性を検証する2つの独立した6ヵ月間の無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「Elaris Uterine Fibroids(UF)-1試験」および「UF-2試験」の結果を報告した。子宮筋腫は過多月経と関連するホルモン感受性腫瘍であり、卵巣性ホルモンを迅速かつ可逆的に抑制するelagolixは、子宮筋腫による出血を軽減する可能性が示唆されていた。NEJM誌2020年1月23日号掲載の報告。elagolix+add-back療法を2件の臨床試験で評価 研究グループは、子宮筋腫による出血のある女性を、elagolix(300mgを1日2回)+add-back療法(内因性ホルモン低下を補うため、本試験ではエストラジオール1mgおよび酢酸ノルエチステロン0.5mgを1日1回投与)(併用療法)群と、elagolixのみ投与(単独)群、およびプラセボ群に2対1対1の割合で無作為に割り付けた。elagolix単独群は、elagolixのエストロゲン低下作用へのadd-back療法の影響を評価するために組み込まれた。 主要評価項目は、投与最終月の経血量が80mL未満で、最終月の経血量がベースライン時から50%以上減少した患者の割合とした。欠損データは多重代入法により補完し、ロジスティック回帰モデルを用いて解析した。 UF-1試験で412例、UF-2試験で378例が無作為化され、elagolixまたはプラセボの投与を受け、本解析に組み込まれた。elagolix+add-back療法の主要評価項目達成率はプラセボより有意に高い 主要評価項目を達成した患者の割合は、elagolix+add-back併用療法群がUF-1試験(206例)で68.5%、UF-2試験(189例)で76.5%であったのに対し、プラセボ群ではUF-1試験(102例)で8.7%、UF-2試験(94例)で10%であった(両試験ともp<0.001)。また、elagolix単独群では、UF-1試験(104例)で84.1%、UF-2試験(95例)で77%であった。 ホットフラッシュは両試験で、不正出血はUF-1試験で、elagolix+add-back併用療法群がプラセボ群より有意に高頻度であった。elagolixによるエストロゲン低下作用、とくに骨密度の低下はadd-back療法で軽減された。 なお著者は、elagolix単独療法とelagolix+add-back併用療法を比較した場合の、骨密度以外のアウトカムへの影響については結論付けられないと述べている。

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ClinicalTrials.govへの結果報告、順守率は4割/Lancet

 ClinicalTrials.govへの試験結果の報告に関するコンプライアンスを評価したコホート研究の結果、2007年FDA改正法(Food and Drug Administration Amendments Act of 2007:FDAAA)の順守率は低いままで改善はされていないことが、英国・オックスフォード大学のNicholas J. DeVito氏らにより報告された。臨床試験の結果報告の不履行は、臨床診療のエビデンスの基礎を歪曲する可能性があり、被験者に対する研究者の倫理的義務違反や、重要な研究資源を無駄にすることを意味する。FDAAA 2007では、臨床試験のスポンサーが試験完了1年以内にClinicalTrials.govへ直接結果を報告するよう求めており、今回の改正のFinal Ruleの対象となる最初の試験は、2018年1月に結果報告書を公開することとなっていた。Lancet誌オンライン版2020年1月17日号掲載の報告。FDAAA 2007に基づく結果報告について分析 研究グループは2018年3月~2019年9月の間、毎月、ClinicalTrials.govに登録された全臨床試験のデータをダウンロードした。2019年9月16日にClinicalTrials.govから抽出したデータに関して横断分析を実施し、2018年3月~2019年9月の期間で毎月15日に最も近いアーカイブデータを使用して毎月の傾向分析を行った。 本研究では、FDAAAに基づき結果を報告すべきすべての臨床試験を組み入れ、該当しない臨床試験、報告期限前の臨床試験および報告延期の許可証明が与えられた臨床試験は解析から除外した。試験結果が提出され、ClinicalTrials.govで公開または品質管理審査中の場合は、報告されたものと見なした。法律に準じて主要な試験の完了日から1年以内に結果が提出された場合は、FDAAA 2007 Final Ruleを順守しているものとした。期限である試験完了後1年以内に結果報告がなされた臨床試験は40.9% 結果を報告すべき臨床試験は4,209件で、このうち1,722件(40.9%、95%信頼区間[CI]:39.4~42.2)は1年の期限内に結果を報告しており、2,686件(63.8%、62.4~65.3)は随時結果を提出していた。 順守率は2018年7月から改善していなかった。企業がスポンサーの場合は非企業や米国政府がスポンサーの場合に比べ(オッズ比[OR]:3.08、95%CI:2.52~3.77)、同様に多くの臨床試験を実施しているスポンサーは小規模のスポンサーに比べ(11.84、9.36~14.99)、順守する傾向が有意に高かった。提出期限の主要な試験の完了日から提出日までの期間は、中央値424日(95%CI:412~435)であり、法的報告要件である1年よりも59日遅れていた。 本研究はFDAAA 2007 Final Ruleの順守率を詳細に評価した最初の研究であり、著者は、「順守率の低さは、規制当局による強制力の欠如を反映しているものと考えられる。スポンサーの実効と行動が必要であり、各スポンサーがコンプライアンスに関する監査を公開することが有用であろう」としたうえで、「各スポンサーおよび臨床試験に関するコンプライアンスデータを、ウェブサイトfdaaa.trialstracker.net.で更新し続けていく予定である」と述べている。

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新型コロナウイルスはどうヒト-ヒト感染するのか、親子感染の症例/NEJM

 中国・武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症(2019-nCoV)が、世界を巻き込んだ健康懸念になっている。ヒト-ヒト感染の事例も次々と明らかになっている中、ベトナム・ホーチミン市パスツール研究所のLan T. Phan氏らの研究グループが、ベトナムを訪れていた中国人家族1例について、親子間の感染に関する経緯と臨床転帰を報告した。NEJM誌2020年1月28日号オンライン版に掲載。 報告症例は、武漢市から旅行でホーチミン市を訪れていた中国人男性(65歳)とその家族について。男性は、高血圧や2型糖尿病、心血管疾患の持病があった。男性は妻と共に13日からベトナムに入り、飛行機や電車、タクシーなどを利用しながら4都市を旅行した後、同国で暮らす息子(27歳)と17日に合流し、ホテルの同室で3日間共に過ごしたが、17日時点で発熱があったという。 一方、息子にも20日時点で咳と発熱の症状が出始め、嘔吐や軟便の症状が見られた。22日、男性と息子が39度の発熱でホーチミン市内の病院に救急搬送された。 男性については、RT-PCR法によって新型コロナウイルスに感染していることが明らかになった。入院時の胸部X線検査では、左肺上葉に浸潤が確認された。男性は、25日に呼吸困難を来したものの、その後症状は改善した。一方、息子については、検査の結果インフルエンザウイルスおよびデング熱はいずれも陰性だったが、新型コロナウイルスに陽性の結果が出た。容体は23日以降安定している。なお、2人と同行していた男性の妻については、旅行中からこれまでの間に症状は出なかった。また、この旅行中に計28人の濃厚接触者を確認したが、いずれも上気道感染は見られなかったという。 本症例では、最初に発症した男性が新型コロナウイルス発生と関連しているとみられる武漢市の海鮮市場(華南海鮮城)を訪れておらず、息子についても、同ウイルスが確認された地域への渡航および同地域からの帰国者との接触はなかったという。著者らは、「本症例は、新型コロナウイルスが男性から息子に感染したと見られること、潜伏期が3日以下であったことを示唆している」と述べている。

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新型コロナウイルスから医療現場を守るために/日本医師会

 相次ぐ新型コロナウイルス感染の報告を受け、厚生労働省は、国内でもヒト-ヒト感染が確認されたと発表した。日本医師会は、横倉 義武氏(会長)を本部長とする「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、対応している。 新型コロナウイルス感染症は、感染症法に基づく「指定感染症」(二類感染症相当)と検疫法の「検疫感染症」に指定する政令が閣議決定され、診療可能な医療機関として、第2種感染症指定医療機関(348施設)、第1種感染症指定医療機関(55施設)、特定感染症指定医療機関(4施設)が指定されている。 日本医師会・副会長の松原 謙二氏は、「武漢市から14日以内に帰国・入国した人あるいはこれらの人と接触した人で、咳や発熱などの疑わしい症状がある場合には、必ず医療機関を受診する前に、厚生労働省か最寄りの保健所に電話して指示を受けてほしい」と、正しい対応策の周知を呼び掛けた。・厚生労働省 電話相談窓口 電話番号:03-3595-2285(受付時間:9~21時) 日本医師会のホームページでは、新型コロナウイルス関連感染症に関する「患者さんへのお願い」として、掲示用の資料をダウンロードすることができる。・院内入口掲示用:患者さんへのお願い・院内掲示用:患者さんへのお願い

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新型肺炎で感染症2学会が声明「継続観察も、冷静な対応を」

 国内外で感染が拡大している新型コロナウイルス(2019-nCoV)を巡り、日本感染症学会と日本環境感染学会は、1月29日付で共同声明を出した。各学会員に対し、今後も本ウイルスについて継続的に観察および評価しつつも、「冷静な対応が必要」と呼び掛けている。 声明の主なポイントは以下のとおり。(1)感染症の専門家として冷静な対応を 情報が限られている中での難しい判断が必要だが、信頼できる情報を参考に本ウイルスの感染性、病原性を考慮した対応を指導してほしい。(2)2019-nCoVの病原性や伝播性が変化する可能性否定できず、継続観察が必要 2019-nCoVが、遺伝学的にSARS-CoVに近縁であることが報告されている。現段階で変異を起こしているという情報はないものの、外来遺伝子の獲得や突然変異により常に強毒化する可能性が考えられ、今後本ウイルスの病原性や伝播性が変化する可能性も否定できないことから、継続した観察が必要。(3)感染伝播の現状、広がりの可能性は推定難しい状況 現在、武漢市を中心に、ほぼ中国全土で感染例が報告されている。世界的には、日本をはじめ、アジア、米国、欧州など、20を超える国と地域で感染例が報告されている。これから数週間に渡って、検査人数の増加と相まって2019-nCoV感染患者の増加が予想されるが、感染源不明の2次感染例の検出頻度が重要な情報となる。2次感染例の推移を参考に、2019-nCoVの感染性および今後の広がりについての評価が重要となる。(4)2019-nCoVが直接原因の重症例・死亡例は、正しい評価困難 2019-nCoV感染例を巡っては、日々、刻々と状況が変化し、正確な数を把握できないことから、致死率および重症化率を推定することは困難。しかし、死亡数だけを見て国民がパニックになることが最も危険である。気を緩めることなく、感染症の専門家としての知識と経験を総動員し、冷静な対応が求められる。(5)感染対策は、標準予防策+飛沫・接触予防策の徹底 コロナウイルスは原則として飛沫感染で伝播し、現時点では空気感染の可能性はきわめて低い。そのため、感染対策は標準予防策に加えて飛沫・接触予防策の徹底が基本となる。ウイルスで汚染した手指を介した目・口の粘膜からの感染伝播にも注意。気管吸引、挿管などエアロゾル発生リスクが高い処置を行う場合には、一時的に空気感染のリスクが生じると考えられ、N95マスクを含めた空気予防策の実施も必要。(6)指定感染症となった2019-nCoV、公費負担で隔離可能に 1月28日、2019-nCoVを指定感染症とする政令が閣議決定され、2月1日から施行される。これにより、2019-nCoV患者を医療費の公費負担の下で隔離できるようになる。また、武漢市など中国からの訪問者で、臨床症状や検査から肺炎が疑われる場合には、ただちに行政機関に報告する必要がある。(7)2019-nCoV関連の重要情報 1.厚生労働省:新型コロナウイルスに関するQ&A 2.国立感染症研究所 3.CDC情報WHOが30日付で緊急事態宣言 WHO(世界保健機関)は、1月30日、2019-nCoVについて「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。緊急事態宣言は、アフリカ・コンゴで発生したエボラ出血熱の感染が拡大した2019年7月に出されて以来で、今回で6例目となる。

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卵巣がん初回治療後の維持療法でオラパリブ+ベバシズマブはPFSを延長も、日本の臨床現場への適応は一部施設に限るか(解説:前田裕斗氏)-1173

 進行期IIIまたはIVの進行卵巣がんにおける、初回治療(腫瘍減量術などの手術+プラチナ・タキサン[TC]・ベバシズマブ[以後Bevと表記])後の維持療法について、Bev単独とBev+オラパリブ(以後Olaと表記)を比較したRCTである。結果はprogression-free survival(無増悪生存期間、PFS)についてBev+Ola群で有意に長いという結果が出た(中央値、22.9ヵ月vs.16.6ヵ月)。 現在日本での進行卵巣がん初回治療における化学療法としては、dose-dense TC(TC療法のやり方の1つ)またはTC+Bevが行われることが多い。一方、初回治療後に行う維持化学療法には従来はBevという選択肢しかなかったが、SOLO1試験においてプラチナ製剤使用後にBRCA遺伝子に異常がある群でOlaのPFS改善効果が非常に高かったことから、日本でも初回治療の際にBRCA遺伝子変異を調べ、陽性の場合TC→Olaを行う施設も増えてきている。つまり、維持療法まで視野に入れると現状日本ではTC+Bev→BevまたはTC→Olaの2つの選択肢があることになる。 こうした日本の現状を考えると、今回のPAOLA-1試験はTC+Bevに対するOlaの上乗せ効果をみたものであり、TC→Olaを行った群がないことから日本の臨床現場において今回の結果がどのように利用されるかは未知数である。少なくともTC+Bev→Bevを採用している施設ではOlaを上乗せする選択肢を検討することになるだろう。その場合の注意点として、あくまで延長しているのはPFSであり、Overall Survival(全生存期間、OS)でないこと、そして新規薬剤の上乗せによくある話だが、医療費がかかることは考慮する必要がある。 また、BRCA変異が陰性でhomologous-recombination deficiency(相同組み換え修復異常、HRD)も陰性またはステータス不明の群ではBev+OlaのPFS延長効果は認められなかった。HRDについては臨床現場ベースで使用にたえうる検査は少なくとも日本では存在せず、一般に利用不可能であることを考えると、HRDの日本における頻度を調査する研究か、実際に日本でTC+Bev→Bev+Olaの効果をみた研究が待たれる。PARP阻害剤には今回のOlaparibの他にも多様な薬剤が存在するほか、免疫チェックポイント阻害剤を用いた臨床試験も進んでおり、薬剤によってはHRD陰性のサブグループでも疾患増悪または死亡リスクが有意に低くなるという結果も報告されている。上記のように卵巣の化学療法は現在研究が進むホットな分野である一方、OSの延長効果はなく、副作用や、医療費の問題があり、バランスをとることも求められる。今後も展開に目が離せない領域と言えるだろう。

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マッチング参加まであと一息!最後に試される“異様”な集中力【臨床留学通信 from NY】第6回

第6回:マッチング参加まであと一息!最後に試される“異様”な集中力今回はStep2CKおよびStep3についてです。構成上、CKについての話をCSより後にしておりますが、実際には、私はCKを先に受けました。Step2CKは臨床医学からの出題であり、アドバイスとしては、研修医として働いてからの受験をお勧めします。というのも、どんなに最短で留学するとしても、将来日本で働くことがないわけでないのであれば、日本の研修は終えておくべきです。そういった意味でも、CKの受験は臨床的な感覚が得られた研修医以降が良いかと思います(もちろん医学生でも受けられますが、短時間での準備で、ある程度点数が見込めるという観点で研修医以降がお勧め、という意味です)。かくいう私は、医師5年目での受験で、出題範囲の広い内科については難しくなかったのですが、すでに小児科や産婦人科といった診療科の国家試験の内容を完全に忘れてしまっていたので、可能な人はもう少し早いほうがいいでしょう。ただCKに関しては、いつ受けても恐らくそれほど難しいとは感じないと思います。とにかくFirst AidとUSMLE worldの問題集をひたすら解いて、受験に臨みました。試験は日本で受けました。試験時間はStep 1より長く、8時間のテストを合計9時間で行われます。異様な集中力が求められます。私の場合、点数は243点(99点)でした。マッチング参加は目前、気力で長時間試験に臨めStep1、2CK、2CSをクリアできれば、ECFMG certificationが取得でき、晴れてマッチングに参加することができます。最後のStep3については、渡米してからの受験でもいいのですが、Step1から7年以内に受けておく必要があります。また、「Hビザ」を取得したい人は、渡米前にあらかじめStep3を受けておかなければいけないので要注意です。Step3も、CSと同様に点数は不問で、とにかく合格すればいいので、勉強はUSMLE worldで勉強する程度です。また、Step3もオンライン試験ですが、米国内でなければ受けられません。私は、日本から時差の少ないグアムに行き、2日かけて試験を受けて来ました。この段階まで来ると、すでにECFMG certificateは取得しているので、余力(あるいは気力)で2日間の試験をこなすのみです。2日間で計16時間のオンライン試験は非常にハードで、頭がパンク寸前になりながらも、終わった後はタモン湾にプカプカ浮かんで束の間の解放感に浸りました。そうはいっても、試験が目的でグアムに行っているのに、遊びと見なされて、“夏休み”扱いとされたのがつらかった思い出です……。改めてUSMLEについてまとめます。First AidとUSMLE worldをとにかく活用する英会話が得意でない方は、受けると決めた時から最難関のCSを見据えて徹底的に英語力の底上げを図る(私はここで大変苦労しました)1回の受験で確実に合格するStep1と2CKは高得点が必要(とにかく受かればいいと思っていましたが、低い点数は後々尾を引きます)「情報戦+英語」を制する者がUSMLEを制す!私の経験談は、あくまで一例です。USMLEは情報戦でもありますから、各個人に見合った最新の勉強の仕方を、さまざまなサイト等でupdateするのが何より重要です。私の場合、医師3年目で試験勉強を始めて1年でStep1を取得、医師4年目は循環器研修に忙殺されてまったく試験対策ができず、5年目にようやくStep2のCKとCSを受け、ECFMG certificateを取得、医師6年目でStep3を取得したわけですが、振り返ってみると、受験どころではなかった医師4年目でも、英語(とくに英会話)の勉強くらいはやっておくべきだったと反省しています。それだけ当時はCSの試験のレベルを甘く見ており、自身の英語レベルを客観視できていなかったのが、苦労した要因でした。次回は、私なりの英語の勉強の仕方をご紹介したいと思います。Column画像を拡大するこちらニューヨークは、冬はマイナス15度になることもあり、休日もなかなかおいそれとは出掛けづらいのですが、そんな時は美術館で作品鑑賞です。市の居住者であれば、所定の手続きを踏むことで、世界三大美術館に無料で出入りできるのもニューヨークならではの魅力です。写真は、先日訪れたメトロポリタン美術館。今年で開館150周年を迎えるようです。

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漫画で鬱に【Dr. 中島の 新・徒然草】(308)

三百八の段 漫画で鬱に昨年10月3日、本欄の「漫画で勉強」というタイトルで述べたのは、漫画家の闘病物語は我々医師にとっても勉強になる、ということでした。今回は、その続きです。確かに漫画で難病・奇病の勉強をするのは手軽で効果的!馴染みの薄い病気が急に身近なものに思えてきます。ところが、読み進むにつれてこちらも落ち込んでくるのが良くないところ。最近読んだのは、以下の漫画たち。「なんで私が適応障害!?」乃樹愛(著)(合同出版)小学生の時は野球部の唯一の女子プレーヤーとして活躍し、中学校では生徒会長として頑張り、高校ではイギリスに留学した著者が、大学を卒業してあこがれの会社に就職した途端、そのあまりのブラック企業ぶりに身も心も無茶苦茶になってしまう話です。「生きていてごめんなさい」「死にたい」と思うまで追い詰められてしまう様子が描かれており、読んでいるこちらが死にたくなりました。「ある日突然、慢性疲労症候群になりました。」ゆらり(著)、倉恒 弘彦(監修)(合同出版)介護の専門学校に通い、休みのたびにボランティアに行き、体力だけは自信のあった著者が、なんということもない風邪症状から慢性疲労症候群になった過程と、その後を描いています。そもそも診断がつくまでに数多くの医療機関を受診し、何年もの歳月を費やさなくてはならなかったところからしてつらい! この主人公の慢性疲労症候群は、重症かつ多彩な症状を呈し、最後には寝たきりになってしまいます。これまた読んでいて苦しくなってきました。ただ、巻末に出てくる倉恒先生の解説がわかりやすく、読んだらこちらも賢くなった気がするのがいいところ。次に現在、読みかけているのはこの漫画です。「思ってたウツとちがう!『新型ウツ』うちの夫の場合」池田暁子(著)(秋田書店)どこかで見たことのある漫画だと思ったら、その昔、週刊文春に連載していた漫画家でした。この著者は、明るく爽やかな整理・片付けの漫画を出す一方で、3つ年下の御主人が会社の人間関係をきっかけに「新型ウツ」になってしまったというあまり楽しくない話も出版しています。内容紹介には、「『いい人』だった夫が『1ミリも尊敬できない』人間に」とあり、このまま読み続けたら自分のエネルギーを根こそぎ吸い取られるかも……と思いつつ、この原稿を書きながら最後まで読んでしまいました。前半はドロドロですが、途中からは少し持ち直すので、読後感はさほど悪くありません。絵があっさりしているのも読みやすい一因なのでしょう。ということで、難病関係の漫画を3冊紹介させていただきました。どうも私は感情移入が激しいせいか、毎回、主人公と一緒に不幸のどん底に叩き落されるような気分を味わってしまいます。でも、著者自らが経験した闘病物語を漫画で読むのは、専門外の病気を知る良い手段です。読者の皆様も色々探して勉強してみてはいかがでしょうか。最後に1句ドロドロの 人生読んで ボロボロや

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アルツハイマー病へのスタチンの効果~RCTのメタ解析

 アルツハイマー病の治療としてのスタチンの使用について広く議論されている。中国・Anhui Medical UniversityのKun Xuan氏らは、アルツハイマー病治療におけるスタチンの効果について無作為化比較試験(RCT)のメタ解析を行ったところ、短期間(12ヵ月以内)のスタチン投与がMMSEスコアに有益な効果をもたらすことが示された。また、スタチンはアルツハイマー病患者の神経精神症状の悪化を遅らせ、日常生活能力を有意に改善した。一方、ADAS-Cogスコアの変化において効果はみられなかった。Neurological Sciences誌オンライン版2020年1月13日号に掲載。 本研究では、2019年3月31日までのPubMed、Embase、Cochraneライブラリ、OvisdSP、Web of Science、Chinese Nation Knowledge Infrastructure(CNKI)、Chinese Biomedical Database(CBM)のデータベースから対象となるRCTを検索。Mini-Mental State Examination(MMSE)、Alzheimer's Disease Assessment Scale-cognitive(ADAS-Cog)、Neuropsychiatric inventory(NPI)、日常生活動作(ADL)のスコア、その他の情報を抽出した。統合された加重平均差(WMD)と95%信頼区間(95%CI)は、ランダム効果モデルまたは固定ランダム効果モデルで計算した。 主な結果は以下のとおり。・1,489例(スタチン群742例、対照群747例)を含む合計9件のRCTを解析した。・MMSEを使用した研究が9件、ADAS-Cogを使用した研究が5件、NPIを使用した研究が4件、ADLを使用した研究が6件あった。・MMSEを使用した9件の研究のメタ解析では、スタチン群が対照群と比較して有意な効果がないことが示された(統合されたWMD:1.09、95%CI:-0.00~2.18、p=0.05、I2=87.9%)。・ADAS-Cogを使用した5件の研究のメタ解析でも、スタチン群が対照群と比較して有意な効果がないことが示された(統合されたWMD:-0.16、95%CI:-2.67~2.36、p=0.90、I2=80.1%)。・NPIを使用した4件の研究のメタ解析では、スタチンによる治療がNPIスケールスコアの増加を遅らせることができることが示された(統合されたWMD:-1.16、95%CI:-1.88~-0.44、p=0.002、I2=45.4%)。・ADLを使用した6件の研究のメタ解析では、スタチンによる治療が患者の日常生活能力を改善することが示された(統合されたWMD:-4.06、95%CI:-6.88~-1.24、p=0.005、I2=86.7%)。・サブグループ解析の結果から、短期間(12ヵ月以下)のスタチン使用がMMSEスコアの変化に関連することが示された(統合されたWMD:1.78、95%CI:0.53~3.04、p=0.005、I2=79.6%)。・感度分析と出版バイアス検定はどちらもネガティブであり、結果は比較的信頼性が高く安定していた。

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小児双極性障害患者の不安症合併率~メタ解析

 不安症は、成人の双極性障害への合併や経過に対し影響を及ぼすことが知られている。しかし、小児の双極性障害における不安症の合併に関する研究は限られている。トルコ・コチ大学のHale Yapici Eser氏らは、小児双極性障害と不安症合併に関するメタ解析を実施した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2020年1月3日号の報告。 PRISMAガイドラインの定義に基づき、2019年5月までに公表された関連文献をシステマティックに検索した。不安症の関連する特徴および有病率を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・データ分析に用いた研究は、37件であった。・不安症の生涯合併率は44.7%であった。各不安症の内訳は以下のとおり。 ●パニック症 12.7% ●全般不安症 27.4% ●社交恐怖 20.1% ●分離不安症 26.1% ●強迫症 16.7%・小児期の研究では、全般不安症と分離不安症の合併率が高かった。・青年期の研究では、パニック症、強迫症、社交恐怖の合併率が高かった。・小児双極性障害と各不安症の合併には、発症年齢、性別およびADHD、物質使用障害、反抗挑発症、素行症の合併が異なる影響を及ぼしていた。 著者らは「小児双極性障害は不安症が合併していることが多く、早期発症患者では、不安症リスクが上昇する。合併や経過の生物心理社会的側面についてのさらなる評価が求められる」としている。

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思春期のB群髄膜炎菌ワクチン接種、予防効果は?/NEJM

 オーストラリアの思春期児(15~18歳)に対するB群髄膜炎菌ワクチン4CMenBの接種は、B群を含む病原性髄膜炎菌の保菌に対して、識別可能な効果はないことが示された。オーストラリア・アデレード大学のHelen S. Marshall氏らが、237校の学生、約3万5,000例を対象に行った無作為化試験で明らかにした。4CMenBは、侵襲性B群髄膜炎菌疾患を予防するとして承認された新規の組み換え型蛋白ベースのワクチンだが、伝播を予防する役割、さらには住民(集団)免疫効果があるのかについては明らかになっていなかった。NEJM誌2020年1月23日号掲載の報告。接種群と対照群の病原性髄膜炎菌の保菌率を比較 研究グループは2017年4月~6月に、サウスオーストラリアの学校237校で、10~12年生(15~18歳)の生徒を対象にクラスター無作為化試験を開始した。試験の対象を、学校単位で無作為に2群に分け、一方には4CMenBをベースラインで接種し(接種群)、もう一方の群にはベースラインから12ヵ月時点で接種した(対照群)。 主要アウトカムは、10および11年生の時点の病原性髄膜炎菌(A群、B群、C群、W群、X群、Y群のいずれか)の口腔咽頭保菌率とし、PorA(ポリン蛋白Aをコード)および病原性髄膜炎菌の遺伝子群のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査により同定した。副次アウトカムは、すべての病原性髄膜炎菌および各病原性遺伝子群の保菌率や感染などとした。また、ベースライン時に保菌のリスク因子を評価した。保菌率は同等、接種群2.55%、対照群2.52% 試験登録者は、10、11年生が合計2万4,269例、12年生が1万220例だった。 12ヵ月時点で、病原性髄膜炎菌の保菌率は、接種群2.55%(1万2,746例中326例)、対照群2.52%(1万1,523例中291例)で差はみられなかった(補正後オッズ比[OR]:1.02、95%信頼区間[CI]:0.80~1.31、p=0.85)。 副次アウトカムの保菌率についても、両群で有意差は認められなかった。 なお、ベースライン時の病原性髄膜炎菌保菌のリスク因子として、高学年であること(12年生の10年生に対する補正後OR:2.75、95%CI:2.03~3.73)、上気道感染症に罹患していること(補正後OR:1.35、95%CI:1.12~1.63)、喫煙(1.91、1.29~2.83)、水タバコ(1.82、1.30~2.54)、パブまたはクラブに通っていること(1.54、1.28~1.86)、濃厚キス(1.65、1.33~2.05)などが明らかになった。 ワクチンの安全性に関する懸念は特定されなかった。

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高血圧合併のAF再発患者に腎除神経術は有効か/JAMA

 高血圧症を有する発作性心房細動患者に対して、肺静脈隔離術に加えて腎除神経術の施行で、肺静脈隔離術単独と比べて12ヵ月後の心房細動無発症の確率が有意に増大したことが示された。米国・ロチェスター大学のJonathan S. Steinberg氏らが、302例を対象に行った研究者主導型の国際多施設共同単盲検無作為化試験「ERADICATE-AF」の結果、明らかにした。腎除神経術は、心臓交感神経活性を抑制し、心房細動に抗不整脈性効果をもたらす可能性が示されていた。JAMA誌2020年1月21日号掲載の報告。肺静脈隔離術単独vs.肺静脈隔離術+腎除神経術 試験は、ロシア、ポーランド、ドイツの5ヵ所のカテーテルアブレーション専門センターで被験者を集めて行われた。 2013年4月~2018年3月に、降圧薬を1種以上服用しているものの高血圧症が認められ、発作性心房細動があり、アブレーションが予定されている患者302例が登録された。 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方には肺静脈隔離術のみを(148例)、もう一方の群には肺静脈隔離術と腎除神経術を行い(154例)、2019年3月まで追跡した。 肺静脈隔離術では、全肺静脈電位の消失を確認した。腎除神経術は、イリゲーションカテーテルを用いて高周波エネルギーにより両腎動脈を遠位から近位にらせん状に分離した。 主要エンドポイントは、12ヵ月時点における心房細動・心房粗動・心房頻拍の無発症とした。副次エンドポイントは、30日以内の施術に関連した合併症、6ヵ月および12ヵ月時点の血圧値などだった。12ヵ月後の再発リスク、肺静脈隔離術+腎除神経術群のハザード比0.57 被験者302例は、年齢中央値60歳(四分位範囲:55~65)、男性が182例(60.3%)で、283例(93.7%)が試験を完了した。なお、全例の割り付け処置が成功裏に行われた。 12ヵ月時点の心房細動・心房粗動・心房頻拍の無発症の割合は、肺静脈隔離術単独群148例中84例(56.5%)に対し、肺静脈隔離術+腎除神経術群は154例中111例(72.1%)だった(ハザード比[HR]:0.57、95%信頼区間[CI]:0.38~0.85、p=0.006)。 事前に規定した5つの副次エンドポイントの中で報告がされた4つのうち、3つで群間差が認められた。ベースラインからの平均収縮期血圧値の変化は、肺静脈隔離術単独群では151mmHgから147mmHgへの低下に対し、肺静脈隔離術+腎除神経術群では150mmHgから135mmHgへとより大幅に低下した(群間差:-13mmHg、95%CI:-15~-11、p<0.001)。 施術に関連する合併症の発生は、肺静脈隔離術単独群7例(4.7%)、肺静脈隔離術+腎除神経術群7例(4.5%)だった。 なお結果について著者は、「シャム対照の腎除神経術を行っていないことを考慮して解釈する必要がある」としている。

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3年B組金八先生(後編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 1

今回のキーワード恐怖(ノルアドレナリン)自信自尊心受容私メッセージアンガーマネジメントコーチングアサーション令和の金八先生なら誰を叱る?前編では、叱るために必要な基本要素を3つにまとめました。ただし、相手によっては、同じように叱っても、無効になったり逆効果になることがあります。ここから、相手の年齢と性格によって場合分けをして、叱るための基本要素のバランスや叱り方のバリエーションを見極めてみましょう。(1)何歳を叱る?1つは、相手の年齢です。これは、厳密には、実年齢ではなく、精神年齢(知的水準)です。年齢を大きく3つの年齢層に分けて、基本要素のバランスを考えてみましょう。a.乳児期と老年期-「受け止める」1つ目の年齢層は、乳児期と老年期です。0歳から2歳の乳児期に重視される基本要素は、「受け止める」ことです。なぜなら、愛着を形成して、自尊心を育むことが優先されるからです。また、精神年齢(知的水準)で考えれば、重度から最重度の知的障害も、「受け止める」要素が重視されます。また、65歳以上の老年期に重視される基本要素も、「受け止める」ことです。なぜなら、老年期(高齢期)は認知機能(知的水準)が低下しており、つい家族は本人を子ども扱いしてしまいがちですが、子どものように学習効果が期待できず、にもかかわらずプライド(自尊心)は高いからです。結果的には、家族関係を損ねてしまい、そのストレスから認知機能をさらに低下させてしまうリスクもあります(認知症のBPSD)。つまり、知的水準が低すぎる場合は、「教える」「考えさせる」要素が無効または逆効果になります。b.幼児期から児童期-「教える」2つ目の年齢層は、幼児期から児童期です。この2歳から10歳の時期に重視される基本要素は、「教える」ことです。なぜなら、社会的なルールを学習して、自信を育むことが優先されるからです。また、精神年齢(知的水準)で考えれば、軽度から中等度の知的障害も、「教える」要素が重視されます。よって、知的水準が高くない場合、「教える」要素を前面に出しつつ、「受け止める」要素を保ち、年齢が上がっていくにつれて少しずつ「考えさせる」要素を増やすのが効果的です。c.思春期から成人期-「考えさせる」3つ目の年齢層は、思春期から成人期です。この10歳以降の時期に重視される基本要素は、「考えさせる」ことです。なぜなら、自分で考えて行動して、積極性を育むことが優先されるからです。また、思春期は第2次反抗期でもあるため、「そんなの分かってる」「くどい」と思われるからです。つまり、知的水準が高い場合は、「教える」要素が逆効果になります。「受け止める」要素を保ちつつ、「考えさせる」要素を前面に出すのが効果的です。これは、以前(2017年6月号)にご紹介したアサーションにつながります。次のページへ >>

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3年B組金八先生(後編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 2

(2)どんな人(子)を叱る?もう1つは、相手の性格です(パーソナリティ特性)。性格を2つの軸で分けてみましょう。グラフ1のように、横軸は、周りに合わせすぎる過剰適応な傾向か、周りに合わせにくい不適応な傾向かを示します。縦軸は、自分なりの考えを持つ積極的な傾向か、自分なりの考えを持たない受け身な傾向かを示します。すると、右上は過剰適応で積極的な優等生タイプ(ヒーロータイプ)、左上は不適応で積極的なヤンキータイプ(スケープゴートタイプ)、右下は過剰適応で受け身なお調子者タイプ(ピエロタイプ)、左下は不適応で受け身な劣等生タイプ(ロストチャイルドタイプ)にそれぞれ分けられます。真ん中は、癖がない平均的な普通タイプになります。ここから、4つの傾向に分けて、叱り方のバリエーションを考えてみましょう。a.過剰適応1つ目は、過剰適応です。この傾向は、協力的なので、その瞬間にその場で端的に叱ることが効果的です。優等生タイプにありがちなのが、完璧主義であるために、仕事や勉強のやり方が丁寧すぎて時間切れになることです。そんな時は、「これで十分に合格点」(承認)、「作成前にもっとおきちんと話しておけばよかった。ごめん」(へりくだり)、「期日に間に合わせることがまず大事だから」(優先順位)などと言い、本人のがんばりを認めていることを伝えることが効果的です。また、過剰適応な傾向の人は、人前であっても叱ることができます。これが、結果的に、不適応な傾向の人に叱られるポイントの判断材料を提供することにもなり、意味があります。b.不適応2つ目は、不適応です。この傾向は、その集団の中での役割意識や所属意識(集団アイデンティティ)が不確かです(アイデンティティ拡散)。「そっちが悪い」とひねくれている場合や、「なんで自分のことを分かってくれないの」と甘えている場合もあります。端的にそのまま叱っても素直に受け止めてくれない可能性があります。よって、時間と場所を改めて丁寧に叱ることが効果的です。時間は、仕事や勉強が終わる時間帯や休日前など、最後に別れる時であることです。相手にいったん離れて考えてもらう時間を確保するためです。また、場所は、人前ではないことです。それは、彼らは周りの評価を人一倍気にするからです。反発や言い訳があれば、「もし自分にも改善すべき点があるとしたら?」のように、仮定の問いかけで叱ることが効果的です。これは、「仮定叱り」と言えます。また、事実と違うことを相手が言ったとしても、「うそですね」とは言わず、「そう言いたくて言ったわけじゃないよね」「一生懸命だったんだよね」とまず受容することです。さらに、小声でぼそっと「ウゼー」と捨てゼリフを吐いたら、どうしましょう? 「今、何て言った!?」と問い詰めるのではなく、「あれっ、何か聞こえたけど」「あなたは聞こえた?」とすっとぼけてみましょう。たいていの子は、「いや、別に」と否定します。するとこちらは続けて、「『ウゼー』って」聞こえたような気がしたんだけど、気のせいだよね」「あなたは言うわけないよね」と笑顔で答えます。もし「ウゼー」と繰り返した場合は、どうでしょうか? 「もう1回言ってみようか」と穏やかに問いかけます。そして、「そう思ったわけをよく聞かせて」とまず言い分を聞く流れに持っていきます。ここで、大事なことは、怒ったふりはしても、本気では怒らないことです。彼らは不適応なだけに問題点は多いです。そんな彼らについやってしまいがちなのが、細かいダメ出しをすることです(マイクロ・マネジメント)。すると、ますます彼らはつむじを曲げます。とくに、劣等生タイプは打たれ弱いので、ますます萎縮してしまうでしょう。よって、逆を行きましょう。小さな問題点は無視して、まず一番の問題点のみに焦点を絞ることです。これは「限定叱り」でした。一方で、「私服はオシャレだよね」「でもお客さんの中には第一印象で決め付ける人がいる」「現場での服装は注意してほしいの」「あなたの良さを損なっちゃう」「あなたはセンスがあるからこそ」「あなたの成長に期待してるからこそ」と添えて、ほかの点で褒めることを積み重ねることです。これは、「アメとムチ」ならぬ「アメとムシ(無視)」と呼ばれています。最後に、「まあね、あなたの年ゴロの私よりはマシなんだけど」「地頭は良いのに」「あなただからこそ」のように、フォローを入れることも重要です。c.受け身3つ目は、受け身です。この傾向は、なぜ叱られたのか、今後はどうすれば良いのかということまで考えが及んでいないことが多いです。よって、理由付けをして具体的に叱ることが効果的です。また、「良い線行ってるね」「惜しいなあ」「もったいないなあ」「あともう少しなんだけどなあ」などと添えることで、あともう少しで褒められるという状況を演出することも効果的です。さらに、黙り込んだり泣くという反応が出た場合は、「落ち着いたら声をかけて」「明日にあなたの意見を聞かせて」と一旦場面転換をすることが効果的です。ここで誤解がないようにしたいのは、お調子者タイプは、積極的に思われがちですが、あくまでそれは笑いや周りへのウケに対してです。逆に、周りが見ていなければサボり癖が出てきます。つまり、仕事や勉強に対しては受け身であると言えます。d.積極性4つ目は、積極性です。この傾向は、すでに本人なりに考えて行動しています。よって、その考えを汲み取った上で、やや抽象的に客観視させて叱ることが効果的です。たとえば、「ちょうどあなたの年頃だった時の私の話なんだけど…」と同じ問題エピソードをこちらの過去の話として聞かせることです。また、最後は、「あなたに任せるわ」という言葉を残し、相手に委ねて信頼しているスタンスを示すことも効果的です。高度なやり方としては、あなたが本人を叱るのではなく、代わりにあなたが誰かに叱られることです。たとえば、あなたの上司にあなたが代わりに叱られている様子を本人に見せることです。または代わりに誰かを叱ることです。たとえば、本人の教育係が代わりに叱られている様子を本人に見せることです。こうすることで、問題が広がっていることを本人に分からせて、事の重大さを痛感させることができます。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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3年B組金八先生(後編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 3

どうフォローする?叱る効果を高めるために、相手の年齢や性格によって、叱るための基本要素のバランスや叱り方のバリエーションをまとめました。ここから、叱るデメリットを最小限にするために、叱る行為へのフォローのポイントを主に3つご紹介しましょう。(1)叱る前にフォロー1つ目は、叱る前のフォローです。叱ることにより、相手の自尊心と自信が損なわれないように、常日頃から相手に共感と承認をして、信頼関係を強めていることです。これは、褒めることでもあります。つまり、褒め叱りのバランスを常に意識して、褒めが勝っているように保つことがポイントです。例えるなら、褒めるという「貯金」をコツコツして、叱るという「高い買い物」をするということです。また、無用な恐怖を抱かせないように、叱る前は雑談をあえてして、アイスブレイクを図ることです。相手から打ち明けてくる可能性もあるため、相手の出方をうかがうことも重要です。反抗期の子どもに「最近のゲームって面白すぎてやめられないんだって」「部活の顧問の先生ってけっこう大変なんだってねえ」などと、ゲームのやり過ぎや部活の是非についての話題をあえてポジティブに人ごとのように話すことです。これは、一ひねりしており、「間接叱り」といえます。さらに、相手に叱られる心の準備をしてもらうために、叱る前の言い回しがあります(クッションフレーズ)。たとえば、基本は「はっきり言っちゃうけど」「気を悪くしないで聞いてもらいたいんだけど」です。自分が謙遜するなら「私の勘違いかもだけど」「心配性だから確認するけど」です。相手を持ち上げるなら「期待してるあなただから言うんだけど」「鋭いあなたならもう気付いてるかもだけど」「今さらと思うかもだけど」「頭の良いあなただから分かってくれると思うけど」です。(2)叱った後にフォロー2つ目は、叱った後のフォローです。たとえば、叱った後に、「これからも頼りにしてる」「今回の一件であなたにもっと成長してほしい」「1年後のあなたは尊敬する○○先輩みたいになっていそう」と添えて、信頼感や期待感をほのめかすことです。これは、「価値付け叱り」と言えます。さらに、叱る前のフォローと合わせて、最初と最後の褒めで真ん中の叱りを包めば、「サンドイッチ法」と呼ばれます。また、叱った後、少しでも変化が見られたらすぐに褒めることです。叱った後、反応が乏しいようなら、「あれからどう?」「ところで、あの事案はどうなった?」と何事もなかったように話しかけ、こちらから歩み寄ることも必要です。(3)代わりの誰かによるフォロー3つ目は、代わりの誰かによるフォローです。これは、フォロー役をつくることです。古典的なイメージとしては、父親が厳しく叱って、母親が優しく慰めるイメージです。たとえば、あなたがリーダーなら、サブリーダーが本人に「リーダーはあなたのことを嫌いで言ってるわけじゃないよ」「あなたのこと真剣に思ってるからこそ」「一緒にがんばろうよ」と味方になることです。あらかじめ打ち合わせて連携するのも良いでしょう。 令和の金八先生になるには?金八先生をモデルに、叱る学習効果とデメリットを明らかにして、叱るための3つの基本要素、叱る相手の場合分け、叱る行為へのフォローを通して、叱るスキルをご紹介しました。ここから分かることは、叱って変わるかどうかは、単に相手の問題だけでなく、こちら側の叱るスキルの問題でもあることです。そして、どう叱ったら最も相手に響くか見抜く必要や責任は、こちら側にあることです。このことに気付いた時、金八先生の熱血さの本当の意味をよく理解することができるのではないでしょうか? << 前のページへ■関連記事ダンボ【なぜ飛ぶの? 私たちが「飛ぶ」には?(褒めるスキル)】Mother(後編)【家族機能】「ZOOM」「RE-ZOOM」【どうキレキレに冴え渡る?(マインドフルネス)】Part 1逃げるは恥だが役に立つ【アサーション】■参考スライド【叱るスキル】2019年1)「3年B組金八先生」25周年メモリアル:吉沢保、角川書店、20042)子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」:石田勝紀、ディスカヴァー・トゥエンティワン、20173)叱り方のルール:斎藤直美、アスカ、2011

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第17回 メタボ対策からフレイル対策へシフトするタイミング【高齢者糖尿病診療のコツ】

第17回 メタボ対策からフレイル対策へシフトするタイミングQ1 食事療法を“個別化”するときの指針とは? どの時点でメタボ対策からフレイル対策へシフトしますか?栄養成分の予後に及ぼす影響は年齢によって異なってきます。一般住民の縦断調査では65歳以下ではタンパク質摂取が増えるほど死亡リスクが高くなりますが、66歳以上ではタンパク質摂取が少ないほど死亡リスクが上昇しています1)。また、メタ解析で健康的な食事パターンは65歳以上でのみ、フレイルのリスクを減らすことが報告されています2)。J-EDIT研究では、75歳以上の高齢糖尿病患者でのみ、野菜や魚が多い“健康食事パターン”は、肉や脂肪の摂取が多い“肉食食事パターン”と比べて死亡が少ないという結果が得られています3)。また、75歳以上の糖尿病患者では、地中海食のアドヒアランスが良好になるにつれて歩行能力やバランスの能力が改善するのに対して、60~74歳ではその関連が認められないという報告もあります4)。したがって、高齢糖尿病患者の食事療法は高齢期のどこかの時点で、メタボ対策からフレイル対策にシフトする必要があります。メタボ対策からフレイル対策へシフトする目安としては(1)後期高齢者、(2)低栄養、(3)フレイル・サルコペニアがあります。低栄養はBMI低値、体重減少、食事摂取量低下などで判断します。フレイルの評価にはJ-CHS基準(3項目以上)か基本チェックリスト(8点以上)を用います。サルコペニアはAWGS2019に基づいた筋力、骨格筋量などの評価によって診断します。認知機能やADLを同時に評価できるDASC-8も使用できます(第7回参照)。DASC-8の11点以上のカテゴリーIIが、フレイル対策の食事療法を行う患者の候補となります。フレイル対策のための高齢糖尿病患者の食事療法では、十分なエネルギー量、タンパク質、緑黄色野菜の摂取を勧め、低栄養を防ぐような食事を勧めます。2020年には高齢者のフレイル検診が始まり、地域の自治体や医師会によるフレイル対策が計画されています。運動療法とともに食事療法においてもフレイル対策を行うことで、健康寿命の延伸とQOLの維持・向上につながることが期待されます。Q2 認知症合併の場合、どのような対策を立てたらよいでしょうか?認知機能障害を合併した糖尿病患者の場合、低栄養を防ぎ、バランスを重視した食事療法を行います。低栄養は前臨床期を含めたさまざまな認知症の段階で認知機能を悪化させます。体重減少やBMI低値は糖尿病における認知症発症の危険因子になっています5)。また、食品の多様性が乏しくなり、その結果、低栄養となって、認知機能が悪化することに注意する必要があります。過度の食事制限は興奮や易怒性などの行動・心理学的徴候(BPSD)をきたしやすくします。間食などを無理にやめさせるのではなく、できるだけカロリーの少ない食品を用意して食べてもらう方がいいように思います。認知機能障害のある糖尿病患者では炭水化物に偏り、タンパク質や野菜の摂取が低下しやすくなります。調理しないで済む菓子パンなどが多くなる傾向があります。生活のリズムが乱れ、朝食または昼食の欠食がみられることもあります。介護者に対してこうした食事指導を行うことも必要ですが、介護保険などのサービスを利用し、ヘルパーによる調理や買い物などの援助を得ることも大切です。宅配食の利用などもいいですが、デイサービス・デイケアを利用することが、介護者の負担を軽減し、規則正しい生活リズムを保ち、昼食を確保することにつながり、食事療法の面からも大切であると思います。1)Levine ME, et al. Cell Metab 19:407-417, 2014.2)Fard NRP, et al. Nutrition Reviews 77:498–513, 2019.3)Iimuro S, et al. Geriatr Gerontol Int 12 (Suppl. 1): 59-67, 2012.4)Tepper S, et al. Nutrients 10: E767, 2018.5)Nam GE et al. Diabetes Care 42:1217-1224, 2019.

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第12回 “まちの電気屋さん”を父から引き継いだ薬剤師【噂の狭研ラヂオ】

動画解説今回は愛知県岡崎市の株式会社パナドーム藤井伸昌社長にインタビュー。パナドームはもとは町の便利な電気屋さん。その稼業を継いだ藤井社長は電気屋に薬局をプラスして地域のライフサポートを担う多角化経営の事業を始めました。地域住民に頼りにされる電気屋の父を見て育った息子が描く薬局の形とは?

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日本人統合失調症患者に対するブロナンセリン経皮吸収型製剤の52週間長期投与試験

 ブロナンセリン経皮吸収型製剤は、日本において統合失調症治療に使用可能な薬剤であり、錠剤とは異なるいくつかの利点をもたらす可能性がある。藤田医科大学の岩田 仲生氏らは、日本人統合失調症患者におけるブロナンセリン経皮吸収型製剤の長期安全性および有効性の評価を行った。CNS Drugs誌オンライン版2019年12月27日号の報告。 日本の37施設において、成人の統合失調症患者を対象としたオープンラベル試験を実施した。対象患者は、コホート1またはコホート2のいずれかに登録された。コホート1は、ブロナンセリン錠8~16mg/日を6週間投与した後、ブロナンセリン経皮吸収型製剤40~80mg/日を52週間貼付した。経皮吸収型製剤の用量は、錠剤の用量に従って決定した。コホート2は、ブロナンセリン経皮吸収型製剤を40mg/日より開始し、40~80mg/日で52週間貼付した。両コホートともに、1~2週間のフォローアップを行った。 安全性のエンドポイントは、有害事象(AE)、治療関連AE、錐体外路系AE(DIEPSSスコアの変化量として評価)の発生、抗パーキンソン薬の併用、皮膚刺激を含む皮膚関連AEの発生とした。血清プロラクチン濃度、バイタルサイン、体重、心電図(ECG)の変化、補正QT(QTc)間隔などの検査値も評価した。自殺念慮は、コロンビア自殺重症度評価尺度(Columbia-Suicide Severity Rating Scale:C-SSRS)スコアを用いて評価した。有効性は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の合計およびサブスケールスコア、臨床全般印象度(CGI-S)スコアを用いて、経皮吸収型製剤での治療期間を通じて評価した。その他のエンドポイントは、薬に対する構えの調査票(Drug Attitude Inventory 10:DAI-10)合計スコア、健康関連QOL評価尺度(EuroQol-5 Dimension:EQ-5D)効用値、剤形に関する患者アンケートを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は、同意が得られた223例(コホート1:117例、コホート2:106例)であった。・コホート1の117例中108例がブロナンセリンの錠剤で治療を開始し、その後経皮吸収型製剤へ移行した97例について安全性分析が行われた。・コホート2では106例中、ブロナンセリン経皮吸収型製剤で治療された103例について安全性分析を行った。・全体で、男性は91例(45.5%)であった。・平均年齢は43.8歳であった。・治療中止は、コホート1で40例(41.2%)、コホート2で44例(42.7%)であった。・中止理由は、AEが18.6%(コホート1)および11.7%(コホート2)、同意の撤回が13.4%(コホート1)および20.4%(コホート2)、皮膚関連AEは全体で7例であった。・AEは、174例(87.0%)で報告された。重篤なAEは、13件12例(コホート1:6例、コホート2:6例)で認められた。・重篤なAEは、統合失調症関連が6件、その他が7件(衝動制御障害、骨折、鼻出血、喘息、誤嚥性肺炎、ヘモフィルス性肺炎、肺炎)であった。・主なAEは、鼻咽頭炎62例(31.0%)、適用部位紅斑45例(22.5%)、適用部位そう痒感23例(11.5%)、アカシジア20例(10.0%)であった。・AE発生率は、コホート1で84.5%、コホート2で89.3%であり、類似していた。・錐体外路系AEは51例(25.5%)、皮膚関連AEは83例(41.5%)で認められた。・これらのAEは、いずれも重篤ではなかった。・52週目におけるDIEPSS合計スコアのベースラインからの平均変化量は、-0.1±1.55であり、顕著な影響は認められなかった。・併用薬に関しては、抗パーキンソン薬が、コホート1で33.0%(97例中32例)、コホート2で22.3%(103例中23例)に認められた。・皮膚関連AEの大部分は治療初期に発生し、外用療法で適切に管理できた。・ベースライン時に、すべてのC-SSRSカテゴリで「いいえ」と回答した患者129例中、自殺念慮の出現ありと評価された患者は13例(10.1%)であった。・ベースライン時に、すべてのC-SSRS自殺行動カテゴリで「いいえ」と回答した患者172例中、経皮吸収型製剤での治療中に自殺行動が認められた患者は1例(0.6%)であった。・プロラクチンレベル、バイタルサイン、体重、ECG、代謝関連パラメータ、QTc間隔を含む臨床検査値に有意な変化は認められなかった。・体重の平均変化量は、コホート1で-0.04±4.561kg、コホート2で-0.67±6.841kgであった。・52週目におけるPANSS合計スコアのベースラインからの平均変化量は、コホート1で-0.1±11.6、コホート2で-3.4±15.3であった。・PANSSスコアは、コホート1においてブロナンセリンの錠剤から経皮吸収型製剤へ切り替え後も変化することなく、52週間の治療でスコアの低下が認められた。・52週目におけるCGI-Sスコアのベースラインからの平均変化量は、両コホートを合わせて-0.2±1.03であった。・52週間の経皮吸収型製剤での治療後、DAI-10合計スコアは、データが利用可能な129例中82例(63.6%)において、ベースラインと比較し、増加または変化なしであった。・両コホートを合わせた200例におけるintention-to-treat分析では、最終評価時点でのEQ-5Dのベースラインからの平均変化量は、-0.0365±0.17603であった。・ブロナンセリン経皮吸収型製剤に対する患者の印象は、おおむね肯定的であった。 著者らは「ブロナンセリン経皮吸収型製剤は、統合失調症の長期治療に安全かつ効果的に使用できる薬剤である」としている。

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小児がんサバイバー、心臓放射線照射減少でCADリスク減/BMJ

 小児がんの成人サバイバーでは、心臓放射線照射への曝露の歴史的な減少により、冠動脈疾患のリスクの低減がもたらされたことが、米国・セントジュード小児研究病院のDaniel A. Mulrooney氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2020年1月15日号に掲載された。小児がんの成人サバイバーは過去の治療に関連した合併症を有し、心筋症、心臓不整脈、冠動脈や弁膜、心膜の疾患などの心血管疾患は、晩期の健康アウトカム負担の主要な寄与因子とされる。一方、心毒性を有する治療への曝露パターンは時代とともに変化しており、現在のがん治療プロトコールは治癒率の改善に重点を置きつつ、長期的な有害作用の最小化に注力しているという。治療プロトコールが心アウトカムに及ぼす影響を評価するコホート研究 研究グループは、心毒性への曝露を最小化し長期的な健康を保持するようデザインされた現在のがん治療プロトコールの経時的な修正が、小児がんの成人サバイバーの重篤な心アウトカムに及ぼす影響を評価する目的で、後ろ向きコホート研究を行った(米国国立がん研究所[NCI]などの助成による)。 1970年1月1日~1999年12月31日の期間に、21歳未満で、白血病、脳腫瘍、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、腎腫瘍、神経芽腫、軟部組織肉腫、骨肉腫と診断され、5年生存を達成した患者2万3,462人(1970年代に治療を受けた患者6,193人[26.4%]、1980年代に治療を受けた患者9,363人[39.9%]、1990年代に治療を受けた患者7,906人[33.6%])が、解析の対象となった。診断時の年齢中央値は6.1歳(範囲0~20.9)で、最終フォローアップ時の年齢中央値は27.7歳(8.2~58.3)であった。比較群として、がんサバイバーの同胞5,057人を含めた。 10年の治療時期別の心不全、冠動脈疾患、心臓弁膜症、心膜疾患、不整脈の累積発生率と95%信頼区間(CI)を算出した。イベントの重症度判定は、NCIのCTCAE基準に準拠した。多変量部分分布ハザードモデルを用いて10年ごとのハザード比(HR)を推算し、媒介分析で心毒性治療への曝露の有無別のリスクを評価した。とくにホジキンリンパ腫サバイバーで冠動脈疾患リスク低減 全体として、がんの診断から15年間の心不全の累積発生率は、1970年代(0.69%)および1980年代(0.74%)と比較して、1990年代(0.54%、いずれもp=0.01)で有意に低下した。また、がんの診断から20年間の冠動脈疾患の発生率も同様に、3つの年代を通じて低下した(1970年代0.38%、1980年代0.24%、1990年代0.19%、1970 vs.1980年代のp=0.02、1970 vs.1990年代のp=0.01)。 一方、心臓弁膜症(1970年代0.06%、1980年代0.06%、1990年代0.05%)、心膜疾患(0.04%、0.02%、0.03%)、不整脈(0.08%、0.09%、0.13%)の累積発生率には、年代による有意な変化は認められなかった。 1970年代に診断を受けたサバイバーに比べ、1980年代および1990年代に診断を受けたサバイバーは、心不全、冠動脈疾患、心臓弁膜症の発生率が低下したが、有意差が認められたのは冠動脈疾患のみであった(1970 vs.1980年代のハザード比[HR]:0.65、95%信頼区間[CI]:0.45~0.92、1970 vs.1990年代のHR:0.53、95%CI:0.36~0.77)。 全体の冠動脈疾患のリスクは、心臓放射線照射で補正すると低下する傾向がみられ(HR:0.90、95%CI:0.78~1.05)、とくにホジキンリンパ腫のサバイバーでリスクが低減した(補正前HR:0.77、95%CI:0.66~0.89、心臓放射線照射で補正後HR:0.87、95%CI:0.69~1.10)。 著者は、「小児がんの治療を適切に修正し、健康調査を進める取り組みが、サバイバーに利益をもたらすことが示されつつある」と指摘し、「他の心臓アウトカムのリスク低下を評価するには、さらなるフォローアップを要する」としている。

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新型肺炎で緊張高まる中、感染症予防連携プロジェクトが始動

 東京オリンピック・パラリンピックを迎える年となる2020年1月、日本感染症学会・日本環境感染学会は感染症予防連携プロジェクト「FUSEGU(ふせぐ)2020」を発足、発表会を行った。年頭から中国での新型コロナウイルス感染がニュースとなり、図らずとも感染症への一般の関心が高まる中でのスタートとなった。 挨拶に立った日本感染症学会理事長の舘田 一博氏は、本プロジェクトの意義を「オリンピックイヤーを迎え、マスギャザリング(一定期間、限定された地域において同一目的で多人数が集まること)に向けた注意喚起が重要。既に各学会・団体がさまざまな取り組みをしているがそれを連携させ、産官学が協働して一般市民を巻き込んで情報提供をしていく必要がある」と述べた。 東京オリンピックを昨年行われたラグビーW杯と比較すると、参加国・ボランティア数において約10倍の規模となり、政府は2020年の来日外国人旅行者数を過去最高の4,000万人と見込む。これまでもマスギャザリングにおける集団感染は頻繁に発生しており、前回のリオオリンピックではジカ熱、昨年のラグビーW杯では髄膜炎菌感染症の患者が出た。会期中のすべての感染症発生を防ぐことは難しくとも、予防と早期発見によりアウトブレイクにまで至らせないことが重要となる。 「FUSEGU」の具体的な活動として、昨年夏には患者の症状から考えられる感染症を解説する医療者向けサイト「感染症クイック・リファレンス」を開設したほか、一般市民/医療関係者/大会関係者/メディア関係者に区分けしたうえで「事前に受けておきたいワクチン」の推奨度を示す一覧表を作成し、メディア側にも発信を求めた。今後は「感染症に関する意識調査」をはじめ、大学生を対象にした感染症カレッジ、市民公開講座などを行っていく予定だ。 舘田氏は「1学会ができることには限界がある。各学会に連携を呼びかけたところ、すでにほかの9学会、製薬企業を中心とした12社から賛同表明をいただいた。今後もさらに各団体との連携を図っていきたい」とまとめた。

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