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コロナパンデミックの第1波は収束へ-ドイツ・コロナ情勢-【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第8回

3月中旬よりドイツでは、さまざまな日常生活の制限がかけられました。国境は封鎖されて、スーパー以外のお店は全部閉まり、家族以外の人間と集まることすら禁止されてしまいました。1つのカートにつき、スーパーに入ることができるのは1人だけになりました。ソーシャルディスタンスの徹底も指示されています。職場である病院でも家族の面会は禁止、定期手術は中止、コロナウイルス感染者のために病棟を1つ空にして、朝のカンファレンスも中止になって…。とにかく非日常なことばかりが続く1ヵ月でした。たまに感染病棟で処置をすることもあります。感染への完全防護の状態で行うのですが、それでもやっぱり緊張しますし、処置に入る直前は自分の家族の顔が脳裏をよぎったりしました。あと、ドイツでは本当にたくさんのPCR検査が行われています。入院前に1度スクリーニング、結果が出るまでは専用の待機病棟で結果が出るまで待機。そして、転院前にもチェック。熱が出たらとりあえず1回はチェック。といった具合で、感染者をしっかり割り出し、ゾーニングすることが徹底されています。4月15日にメルケル首相が会見で、「まずは接触制限から徐々に緩和していく」と言う方針が伝えられました。ドイツでは現在もまだ日に2,000〜3,000人程度の新規感染者が出ていますが、(ピーク時は6,000人を超えていました)感染からの回復者数増加のスピードがそれを上回りました。基本再生産数(1人の患者が感染させる平均人数)は3から0.7まで下がったそうです。この1ヵ月間のドイツで暮らす市民の我慢が結果を出した、と言えると思います。赤は「今感染している患者数」で、緑は「感染から回復した患者数」です。下の黒は「感染での死者数」となります。緑が急激に増えてきていて、赤はほぼ一定(やや減少?)であることがわかります。ただ今後の規制緩和で、この基本再生産数が仮に1.3まで上がると、7月にはドイツのICUのベッドが足りなくなるそうです。報道を見る限りでは、緊張感が持続している中での規制緩和と言った印象です。今後、段階的に規制を解除していく上で、恐らくやって来るであろう第2波をどのように凌いでいくのか、病院側もまだ模索している状態です。そのため、コロナ禍のために延期されている手術のリストも、かなり膨れ上がって来ています。ストレスフルな毎日先日、待機中に急変を起こされ、搬送された方が救命できずに亡くなりました。しばらくの間、誰も声も出せずに黙り込んでいました。たとえ待機手術の患者さんであったとしても、心臓外科の手術が延期されることは患者さんにとってリスクでしかないことは重々承知してはいたつもりでしたが…。この患者さんは「運が悪かった」で済ませていいものなのか、やるせない気持ちになります。本当にグッタリした気分です。また、週明けには、待機手術を再開するかどうか、教授からの通達がある予定です(現在はまだ行わない予定になっています)。上層部にとっても、非常にストレスの伴う判断が求められています。苦しい時間がまだまだ続きそうですが、目の前のことを粛々とこなすことで毎日を過ごしています。早く感染が収束することを心から祈っています。

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第5回 COVID-19ワクチン候補の1つ、初めてサルで感染を予防

中国・北京拠点のバイオテック企業Sinovac Biotech社の、mRNAでもプラスミドDNAでもウイルスベクターでもない昔かたぎのローテク不活化ワクチンが、数ある開発品の中で初めて動物・アカゲザルの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染を防ぎました1,2)。8匹のサルにまずワクチンが3回投与され、気管に通した管からその3週間後に肺にSARS-CoV-2を入れて様子を見たところ、どのサルもウイルスに屈しませんでした。とくに高用量(6µg)投与群の反応は良好で、ウイルスを肺に入れてから7日時点で、肺や喉からウイルスは検出されませんでした。低用量(3µg)群ではウイルスが検出されたものの、対照群の4匹のサルに比べてウイルス量はほぼ完全に(95%)抑制されていました。安全性も良好であり、サルの体調・血液/生化学指標・組織解析で懸念は示唆されませんでした。また、低用量投与群の中和抗体価は比較的低かったにもかかわらず、抗体を介した感染促進副作用・ADE(antibody-dependent enhancement of infection)はどのワクチン接種サルにも認められませんでした。Sinovac社の海外部門リーダーMeng Weining氏は、今回の結果を受けて同ワクチンがヒトにも効くに違いないと確信していると述べており、すでに同社は中国江蘇省でプラセボ対照二重盲検第I/II相試験を開始しています3)。4月20日時点での登録情報によると、試験には18~59歳の健康な成人744人が参加し、不活化SARS-CoV-2ワクチン高用量、低用量、プラセボのいずれかが2週間あるいは4週間の間をおいて2回投与されます4)。Sinovac社は実績があるワクチンメーカーであり、手足口病、A/B型肝炎、インフルエンザに対する不活化ワクチンを販売しています。ただし、Weining氏によると作製できるワクチンは多く見積もっても約1億投与分であり、もし臨床試験で効果や安全性が確認されてCOVID-19ワクチンを作るなら他のメーカーの助けが必要かもしれません。世界保健機関(WHO)によると、4月26日時点で7つのCOVID-19ワクチンが臨床試験段階に至っており、さらに82候補の前臨床開発が進行中です5)。それらのワクチンのほとんどは目新しい人工遺伝子技術に基づいており、Sinovac社のような昔ながらの不活化技術頼りのワクチンは5つのみです。現在の流行のさなかで何よりも大事なのは、技術がどうあれ安全で有効なワクチンをできるだけ早く完成させることだと、Weining氏はScience誌に話しています。参考1)Rapid development of an inactivated vaccine for SARS-CoV-2.bioRxiv. April 19, 20202)COVID-19 vaccine protects monkeys from new coronavirus, Chinese biotech reports / Science3)Sinovac Announces Commencement of Phase I Human Clinical Trial for Vaccine Candidate Against COVID-19 / Sinovac Biotech4)Safety and Immunogenicity Study of 2019-nCoV Vaccine (Inactivated) for Prophylaxis SARS CoV-2 Infection (COVID-19) (ClinicalTrials.gov)5)DRAFT landscape of COVID-19 candidate vaccines – 26 April 2020

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アルツハイマー型認知症でみられる味覚障害の調査

 アルツハイマー型認知症患者では、味覚障害が認められることがあるが、このことについてはあまり研究されていない。鳥取大学の河月 稔氏らは、アルツハイマー型認知症もしくは軽度認知障害(MCI)を有する患者と認知症でない対照(NDC)群における味覚機能や味覚に影響を及ぼす要因を調査し、認知機能障害と味覚機能との関連を評価した。BMC Neurology誌2020年3月26日号の報告。アルツハイマー型認知症の味覚障害、唾液分泌や亜鉛濃度とは無関係の可能性 対象は、アルツハイマー型認知症群29例、MCI群43例、NDC群14例。病歴および薬歴を収集し、唾液分泌量測定、認知機能検査、血液検査、全口腔法味覚検査、食事および味覚に関するアンケートを実施した。 主な結果は以下のとおり。・アルツハイマー型認知症群は、NDC群と比較し、有意に高い認識閾値が認められた(p<0.05)。・多くは最大濃度でうま味を認識しておらず、これはNDC群と比較し、アルツハイマー型認知症群またはMCI群においてより頻繁に認められた。・認知機能検査以外の評価項目では、群間に有意な差は認められなかったが、多くは唾液分泌が減少し、血清亜鉛濃度が低く、多剤併用療法を受けていた。・認識閾値と年齢(r=0.229、p<0.05)および認知機能テストのスコア(r=0.268、p<0.05)との間に有意な関連が認められた。 著者らは「味覚機能の障害は、アルツハイマー型認知症では認められたが、MCIでは認められなかった。しかし、MCIでも、うま味を認識しない人は多かった。認知機能低下を有する高齢者の味覚障害は、唾液分泌、亜鉛濃度、処方薬など味覚に影響を及ぼす要因とは無関係に認められることが示唆された」としている。

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IPF診療における患者と医師のギャップ

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、神戸市立医療センター西市民病院との共同研究で特発性肺線維症(IPF)患者を診る医師とその患者を対象に「特発性肺線維症(IPF)診療における患者と医師の相互理解:わが国におけるIPF 患者と担当医師の意識調査」を行い、その結果を発表した。これはIPF を診療する医師とその患者に対する国内初となる意識調査であり、その結果、医師と患者との間には治療に対する認識のギャップが存在することが明らかになった。 IPFは、進行すると肺が膨らみにくくなり、咳や息切れの症状が出現、患者の死亡原因の約40%が急性憎悪による。同社の開発したニンテダニブは、2015年7月にIPFを効能・効果として製造販売承認を取得し、2019年12月に全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対して追加適応を取得し、治療に使用されている。■調査概要目的:IPF診療における患者と医師の認識の一致、不一致がどこにあるかを明らかにし、両者の相互理解を向上させるための有益な情報を提供する調査対象(方式)医師:66人(オンラインアンケート)患者:158人(郵送留め置き方式)■アンケート調査の結果概要・患者は治療薬があることや治療費の助成制度に関する情報を診断時の重要な説明と捉えている患者は、疾患の特性のほか、治療薬があること、治療費の助成制度に関する情報を診断時の重要な説明内容と捉えていた一方で、医師は疾患の特性や検査の説明を重視していたが、治療薬の有無や治療費の助成制度に関する情報については診断時の説明として、重要度の認識が低いという結果だった。・医師が意図した通りに説明内容は患者に伝わっていない「初期は無症状であっても進行する」、「急性憎悪により呼吸機能が急激に悪化し、予後に大きな影響を与える可能性があること」のように、多くの医師が説明したとする内容が、かならずしも患者の印象に残っていないこともあり、医師の意図した通りに説明内容が患者に伝わっていなかった。・患者は早期に治療を開始し、今までと同じ生活をすることを重視「早期に治療を始めること」や「通院治療で仕事や家事への影響が少なく、今までと同じ生活ができること」に関して、医師に比べ、患者でより重視しており、認識に顕著な差異が見られた。・IPF と診断された患者は“不安”と“驚き”を感じ、その後インターネットで検索IPF の診断を受けた際の気持ちとして、“不安”とする回答が最も多く、その次に“驚き”が多かった。また、診断を受けた後、患者の多くがパソコンやタブレット、スマートフォンを使って、自身で疾患について調べていた。その一方で、インターネットで得られるIPF に関する情報は不正確であったり、最新のものではないことも多く、情報収集には注意を要することから、IPF の診断を受けて不安を抱える患者に正確な情報提供を行っていくことが求められると考えられた。

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COVID-19の実効再生産数は公衆衛生介入で抑制か/JAMA

 中国・湖北省武漢市のCOVID-19集団発生(outbreak)では、都市封鎖(city lockdown)や社会的距離(social distancing)、自宅隔離、集約化された検疫・治療、医療資源の拡充など一連の多面的な公衆衛生的介入により、初発の確定症例や実効再生産数(2次感染の指標)が経時的に抑制されたことが、中国・華中科技大学のAn Pan氏らの調査で示された。COVID-19の世界的な大流行(pandemic)では、さまざまな公衆衛生的介入が行われているが、これによって集団発生状況が改善されたか明確ではないという。JAMA誌オンライン版2020年4月10日号掲載の報告。3万例以上で、公衆衛生的介入が及ぼした影響を評価 研究グループは、武漢市のCOVID-19集団発生において、公衆衛生的介入と疫学的特徴の関連を評価する目的で、5つの時期に分けたコホート研究を実施した(中国・主要大学基礎研究基金などの助成による)。 市の法定伝染病報告システムを使用し、2019年12月8日~2020年3月8日に、検査によりCOVID-19と確定された3万2,583例のデータを抽出した。データには、患者の年齢、性別、居住地区、職業、発病日(患者の自己申告による発熱、咳、その他の呼吸器症状が発現した日)、確定日(生体試料からSARS-CoV-2を検出した日)、重症度(軽度、中等度、重度、重篤)などが含まれた。 COVID-19の確定は、鼻腔および咽頭のスワブ検体を用い、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR)または次世代シークエンシング法でSARS-CoV-2ウイルス陽性の場合と定義した。 公衆衛生的介入(防疫線、交通規制、社会的距離、自宅隔離、集約化検疫、全例症状調査など)が、新型コロナウイルスの感染に及ぼした影響を評価した。イベントや介入で5つの時期に分類、2次感染の指標も評価 春運期間の開始(2020年1月10日)、武漢市防疫線の開始(1月23日)、4つのカテゴリー(確定症例、推定症例、発熱・呼吸器症状患者、濃厚接触者)に分けて集約化された治療・検疫戦略の開始(2月2日)、全例症状調査の開始(2月17日)を起点として、以下の5つの時期に分類し、年齢別、性別、市内地区別の新型コロナウイルスの感染率を算出した。 I期(初期の非強力介入期、2019年12月8日~2020年1月9日、33日間、確定症例数550例)、II期(春節による大移動期、1月10日~22日、13日間、5,091例)、III期(都市封鎖/交通規制/自宅検疫期、1月23日~2月1日、10日間、1万3,880例)、IV期(集約化検疫・治療/医療資源拡充期、2月2日~16日、15日間、9,972例)、V期(集約化検疫/全例症状調査期、2月17日~3月8日、21日間、3,090例)。 また、各時期のSARS-CoV-2の実効再生産数(2次感染の指標。集団のある時刻における、典型的な初発患者が生み出した2次感染者数の平均値)も推算した。発症から確定までの期間は徐々に短縮 3万2,583例の年齢中央値は56.7歳(範囲:0~103、四分位範囲:43.4~66.8)、女性が1万6,817例(51.6%)で、40~79歳が2万4,203例(74.3%)であった。 多くの患者は1月20日~2月6日の期間に発症し、2月1日にこの日だけの感染者数の急上昇が認められた。発症から確定までの期間は、初期には実質的な遅延が認められたが、この遅延は経時的に短縮した(I~V期の発症から確定までの期間中央値の推移:26、15、10、6、3日)。 集団発生は、武漢市の都市部で始まり、5つの時期を通じて郊外および農村部へと徐々に拡大した。確定症例の割合は、地区によって大きく異なり、感染率は都市部が最も高かった。III期にピーク、医療従事者感染率はPPE普及後に低下 1日の確定症例数の割合は、I期の100万人当たり2.0件(95%信頼区間[CI]:1.8~2.1)から、II期には45.9件(44.6~47.1)へと上昇し、III期には162.6件(159.9~165.3)とピークに達したが、その後、IV期には77.9件(76.3~79.4)、V期には17.2件(16.6~17.8)へと低下した。また、全期を通じて、女性の感染率がわずかに高かった(100万人当たり43.7件/日vs.39.4件/日)。 一方、医療従事者の確定症例(1,496例)の割合は4.6%であった(I期3.8%、II期8.7%、III期5.5%、IV期3.0%、V期1.8%)。全期を通じて、100万人当たりの1日の確定症例の割合は、医療従事者が130.5件(95%CI:123.9~137.2)と、一般人口の41.5件(41.0~41.9)に比べて高かった。医療従事者の感染率はIII期にピーク(617.4件[576.3~658.4]/日/100万人)に達したが、包括的な個人用保護具(PPE)が広く使用可能となったIV期(159.5件[141.4~177.6])およびV期(21.8件[16.1~27.4])には低下した。 20歳以上では、1日の確定症例の割合はIII期にピークに達し、それ以降は低下したのに対し、小児や青少年(20歳未満)はその後も増加し続け、とくに1歳未満の増加が顕著であった。1歳未満の1日の確定症例の割合は100万人当たり7.9件(5.8~10.0)で、20歳未満の他の年齢層は2.0~5.4件だった。高齢者ほど重症化リスク高い、実効再生産数は介入後低下 重症度別の解析では、重度/重篤症例の割合は、I期の53.1%から、II期35.1%、III期23.5%、IV期15.9%、V期10.3%へと低下した(I期との比較でいずれも有意差あり)。 また、重症化のリスクは年齢が高くなるに従って増加した。20~39歳の重度/重篤症例の割合12.1%と比較して、80歳以上は41.3%(リスク比[RR]:3.61、95%CI:3.31~3.95)、60~79歳は29.6%(2.33、2.16~2.52)、40~59歳は17.4%(1.41、1.30~1.53)であったのに対し、20歳未満は4.1%(0.47、0.31~0.70)であった(いずれもp<0.001)。 一方、実効再生産数は、1月26日以前は3.0以上で著しく上下動し、1月24日にピーク値の3.82に達し、以降は下降に転じた。2月6日には1.0未満に低下し、3月1日以降は0.3未満に抑制された。 著者は、「これらの知見は、COVID-19の世界的な大流行との闘いにおいて、他の国や地域の公衆衛生上の施策に有益な情報をもたらす可能性がある」としている。

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第5回 新型コロナで経営危機に直面する医療機関が急増

<先週の動き>1.新型コロナで経営危機に直面する医療機関が急増2.「サージカル」「N95」高性能医療用マスク、国から緊急配布へ3.オンライン診療の医療機関リスト公表4.在宅医療の臨時的対応、4月のみ電話等診療でも管理料算定可に5.歯科医によるPCR検体採取が認められる見込み1.新型コロナで経営危機に直面する医療機関が急増全日本病院協会の猪口 雄二会長が、東京新聞のインタビューに応じた。新型コロナ感染症以外の患者数減少に伴い、病院経営が厳しくなっており、多くの民間病院から「3月末以降、外来、入院、救急患者のいずれも減っているとの報告が寄せられている」と説明。6月には資金不足に直面する医療機関が増えることが懸念される。愛知県保険医協会の調査では、3月の前年同時期に比べて、外来患者数が「減った」と答えた医師が80.1%、保険診療報酬が「減った」との回答も76.4%に上り、地域への影響が明らかになりつつある。4月には緊急事態宣言の対象地域における健診実施機関の一時中止がされており、全国的に見ても、影響は広範に渡ると考えられる。厚生労働省は、新型コロナ感染者に応じた医療機関に対して診療報酬を上乗せする決定をしたが、通常診療に当たっている医療機関は恩恵を受けない。日本病院会の相澤 孝夫会長より、「新型コロナウイルス感染症への対応により経営的支援が必要な病院に対する措置に関する緊急要望書」が、4月23日、加藤 勝信厚生労働大臣に提出された。同様に、歯科医院も経営危機に直面していることが報道されており、厚労省にはいち早い対応が求められている。(参考)<新型コロナ>民間病院6月危機「資金底つく」コロナ以外の患者減「助成必要」/全日病会長(東京新聞)歯科医院も「医療崩壊」 感染拡大で相次ぐキャンセル(神奈川新聞)新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言を踏まえた特定健康診査・特定保健指導等における対応について(厚労省)新型コロナウイルス感染症への対応により経営的支援が必要な病院に対する措置に関する緊急要望書(第2報)(一般社団法人 日本病院会)2.「サージカル」「N95」高性能医療用マスク、国から緊急配布へ現在、深刻な問題となっているのが、医療従事者の新型コロナ感染である。院内感染の発生に伴い、3次救急医療機関で外来の受け入れ停止や、救急患者の受け入れ制限が複数報告されている状況だ。多くの新型コロナ感染者は感染症指定医療機関に入院しているが、受け入れ先でない医療機関においても、感染者の入院などが発生していると考えられる。一般病院でもクラスターが発生するなど、医療従事者が新型コロナに感染するケースが各地で発生しており、早期発見や感染拡大防止へのさらなる取り組みが求められる。医療機関における防護具の深刻な不足に早急に対策するべく、厚労省は、「サージカルマスク」や「N95」などの高性能の医療用マスクについて、在庫が足りなくなりそうな医療機関を対象に国から緊急配布する仕組みを今月中に導入することになった。(参考)10施設が受け入れ制限・停止 3次救急にコロナ影響―9道県「厳しい」・医療調査(時事通信)東京都内の感染者 約14%が医療機関の関係者 新型コロナ(NHK)医療用マスクを緊急配布へ 払底迫る医療機関が対象 新型コロナ(同)3.オンライン診療の医療機関リスト公表外来受診による感染リスク軽減のため、初診患者についても電話を含むオンライン診療が可能となり、現在導入を行っている医療機関のリストが厚労省のWebサイトに掲載された。4月24日の時点で、「オンライン診療」に対応している医療機関は全国でおよそ1万1,000件に上る。(参考)新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について(厚労省)オンライン診療検索(JX通信社)4.在宅医療の臨時的対応、4月のみ電話等診療でも管理料算定可に4月24日に開催された中央社会保険医療協議会の総会において、「在宅医療における新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について」討議された。在宅時医学総合管理料(在医総管)や施設入居時等医学総合管理料(施設総管)について、「月2回以上訪問診療を行っている場合」を算定している例では、4月のみの特例的取り扱いとして、1回の訪問診療の後、もう1回を電話等で診療を行った場合または2回とも電話等で診療を行った場合も、月2回訪問の在医総管等を算定可能になるなど、臨時的対応が認められる。なお、2ヵ月以上連続で、訪問診療1回+電話等再診1回となった場合、2ヵ月目以降は診療計画を変更し、月1回訪問の管理料を算定する。また、新型コロナ感染症患者(疑い例を含む)に対して往診などを実施する際、必要な感染予防策を講じた上で当該患者の診療を行った場合には、「B001-2-5 院内トリアージ実施料(300点/回)」を上乗せして算定できる。訪問看護ステーションや訪問薬剤管理指導においても併せて討論され、それぞれの臨時的な取り扱いが示されている。(参考)新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について(中央社会保険医療協議会 総会 第456回 資料)5.歯科医によるPCR検体採取が認められる見込み厚労省は医師会などに働きかけ、PCR検査体制の拡充を急いでおり、4月26日に開催された有識者懇談会にて、歯科医にも検体の採取を認める方針が了承された。PCR実施可能数を1日2万件まで増やすと打ち出したにもかかわらず、現在も毎日9,000件程度であることに対応したもの。今回は、感染収束までの時限的措置であり、「歯科医の採取がないと提供が困難」、「歯科医が教育、研修を受けている」、「検査を受ける人が同意している」の3条件を満たす必要がある。(参考)PCR検体採取、歯科医にも認可へ…研修受講など条件近く提示(読売新聞)

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新型タバコにも含まれるニコチンによる免疫機能の低下【新型タバコの基礎知識】第18回

第18回 新型タバコにも含まれるニコチンによる免疫機能の低下Key Pointsニコチンは免疫機能の低下をもたらす加熱式タバコに替えても、ニコチンによる免疫機能の低下は防げない新型コロナウイルス対策の1つとして禁煙を推進してほしい今回の記事は予定を変更して、新型コロナ問題にも関連する「ニコチンによる免疫機能の低下」について解説します。アイコスなどの加熱式タバコにも、紙巻タバコと同様に多くのニコチンが含まれています(第3回記事参照)。ここでは、タバコ研究データの決定版、US Surgeon General Report 2014年号(図)から、喫煙と免疫システムの関連についてお伝えしたいと思います1)。画像を拡大する(出典)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK179276/pdf/Bookshelf_NBK179276.pdf喫煙と免疫システムの関係は?まず簡単に、喫煙と免疫の関係について述べます。免疫システムは、感染や病気から体を守るためのもの、風邪やインフルエンザなどのウイルスからがんなどの疾患に至るまで、あらゆる異物と戦っています。喫煙は免疫機能を低下させ、病気との戦いをうまくいかなくさせていきます。喫煙者は非喫煙者よりも呼吸器感染症に罹りやすくなるのです。これは、タバコに含まれる化学物質が、呼吸器感染症の原因となるウイルスや細菌を正常に攻撃するための、免疫システムの機能を低下させていることが理由の1つです。実際に、喫煙者は非喫煙者に比べて肺炎になりやすく、より重症化しやすくなります。ここまでの話だけなら、ある意味単純で簡単な話(ニコチンだけでなく、タバコが免疫機能を低下させ、感染症への罹患を増やし、肺炎などの重症化リスクを上げること)として理解されるものと思います。しかし、免疫に対するタバコの煙の悪影響があまり理解されていない理由は、免疫系の研究が複雑でややこしく、次のような研究の状況にあるからなのかもしれません。ニコチンは免疫系を抑制し、一方で刺激する?ニコチンは、免疫系を刺激する機序と抑制する機序の両方に作用すると考えられています。尿中マーカーから推測されるニコチンのレベル(すなわち通常の喫煙者と同等のニコチン量)で十分に、リウマチなどの自己免疫系疾患や感染症、がんといった免疫学的に誘導される疾患と関連していると考えられています2)。ニコチンは、ニコチンレセプターを介してその効果を発揮します3)。ニコチンは細胞に直接作用することができる一方、生体内ではそれ自体が強力な免疫調整機能を持つ交感神経系へも直接的に作用します。ニコチンを含んではいるが燃焼・不完全燃焼しきった紙巻タバコの煙由来成分は、まだ燃焼しきっていない紙巻タバコの煙由来成分(酸化作用を多く持つ)と比較して、免疫系への作用がかなり小さいとされています4,5)。禁煙補助薬として使用されるニコチンパッチまたはニコチン部分拮抗薬(たとえば、バレニクリン)は、ヒトでは免疫系への作用が少なく6)、またスヌース(スウェーデンでのみ広く使用されているニコチンを含む低ニトロサミンの無煙タバコ製品)ではニコチンを含むにもかかわらず、紙巻タバコと同等の免疫系への影響はみられません。このような結果の解釈として、紙巻タバコによる免疫への影響は、ニコチンによる影響だけでなく酸化作用等と関連しているものと考えられます7)。こうしたある意味で矛盾した、免疫抑制と免疫促進の両方向への影響がタバコにはあるようです。ニコチンが樹状細胞を抑制するのではなく、樹状細胞を刺激することで免疫系応答によりアテローム性動脈硬化へとつながるとされています8)。一方では、ニコチンは神経細胞のニコチンレセプターを介して作用し、in vivoおよびin vitroの両方で細胞性免疫を抑制するとされています。ニコチンはB細胞における抗体産生を抑制し、T細胞を減らし、T細胞受容体を介したシグナル伝達が減衰したアレルギー様状態を誘導します9,10)。動物実験で、ニコチンによる免疫系への作用により、動物は細菌およびウイルスに感染しやすくなると分かっているのです。前述したとおり、ニコチンは、免疫系を刺激する機序と抑制する機序の両方に作用するため話が理解されにくいようです。免疫促進と抑制のどちらの方向であっても行き過ぎると免疫機能は異常を来すと言えるでしょう。喫煙により、関節リウマチのような自己免疫疾患も、免疫機能の低下により誘導されやすくなるがんも増えると分かっているのです。そのため、「喫煙により免疫異常が引き起こされる」とまとめて書かれるわけです。ただし、今回の新型コロナ問題のように感染症に関して喫煙やニコチンの害を考える場合には、単純に「ニコチンにより免疫機能が低下する」と受け止めると分かりやすいでしょう。新型コロナ時代の禁煙のすゝめ新型コロナウイルスの感染および感染後の重症化を防ぐためにできることの一つとして禁煙があります。タバコ会社は「自宅では加熱式タバコを吸ってください」などとマーケティング活動に熱心だが、それにダマされてはなりません。加熱式タバコに替えてもニコチンは含まれますから、免疫機能の低下は防げないのです。しかし、すべてのタバコを止めれば、ニコチンによる免疫機能の低下から回復できます。その禁煙の効果は数日で得られ、何歳でも禁煙の効用が得られるものと考えられます。日本における新型コロナウイルスの蔓延はまだ始まったばかりであり、これから先に多くの人が新型コロナウイルスに感染する可能性があります。数ヵ月先かもしれないし、1年先かもしれません。日本に2千万人程度存在するすべての喫煙者が禁煙することにより、新型コロナウイルスの流行を収束させる一助としていただきたいと思います。第19回は、「禁煙をし続けるために本当に必要なこと(2)」です。1)US Surgeon General Report 2014.2)Cloez-Tayarani I1, Changeux JP. J Leukoc Biol. 2007 Mar;81:599-606.3)US Surgeon General Report 2010.4)Laan M,et al. J Immunol. 2004 Sep 15;173:4164-70.5)Bauer CM,et al. J Interferon Cytokine Res. 2008 Mar;28:167-79.6)Cahill K,et al. Cochrane Database Syst Rev. 2008 Jul 16:CD006103.7)McMaster SK,et al. Br J Pharmacol. 2008 Feb;153:536-43.8)Aicher A,et al. Circulation. 2003 Feb 4;107:604-11.9)Geng Y,et al. Toxicol Appl Pharmacol. 1995 Dec;135:268-78.10)Geng Y,et al. J Immunol. 1996 Apr 1;156:2384-90.

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バクスミー:重症低血糖治療薬に初の点鼻粉末剤が登場

重症低血糖治療の現状日本では、年間約2万件の重症低血糖が発生していると推計されている1)。重症低血糖では、急激に血糖値が低下し自己対処が間に合わないケースや、自覚症状なく意識消失に至るケースがあり、回復には家族など看護者の援助が必要となる。重症低血糖を来した際の緊急処置は、これまでグルカゴン注射が主流だった。しかしグルカゴン注射は、消毒、グルカゴンの溶解、溶解液の注入、と注射に至るまでに煩雑な処置を要することから、より簡便に使用できるグルカゴン製剤が求められていた。迅速な投与が可能なグルカゴン点鼻粉末剤2020年3月、グルカゴンの点鼻粉末剤であるバクスミー(一般名:グルカゴン)が製造販売承認を取得した。注射剤以外の重症低血糖治療薬としては初の選択肢となる。重症低血糖の患者に対し、家族などの看護者が薬剤を鼻腔内に噴射して使用する。薬剤は点鼻容器に充填されており、調整作業が不要なため迅速な投与が可能だ。マネキンを用いた薬剤の摸擬投与試験によると、投与完了までの平均時間はグルカゴン注射剤で約207秒に対し、バクスミーで約24秒との報告もある2)。また、バクスミーは室温(1~30℃)で持ち運びができることも特徴の一つだ。グルカゴン筋注に対する非劣性と忍容性を確認 バクスミーの有効性および安全性は、1型糖尿病患者33例、2型糖尿病患者39例を対象とした国内第III相臨床試験で検討された。主要評価項目はインスリン誘導による低血糖からの回復率であり、バクスミー3mgの鼻腔投与群とグルカゴン注射剤1mgの筋肉内投与群が比較された。その結果、いずれの群においても30分以内の低血糖回復率が100%であり、バクスミーのグルカゴン注射剤に対する非劣性が確認された(非劣性マージン10%)。なお回復までの時間の平均値はそれぞれ12.0分、11.0分だった。 また本試験の副作用発現率は、バクスミー投与、グルカゴン注射剤投与でそれぞれ16.9%、12.9%であり、忍容性も確認された。もしもの場合に備えを重症低血糖に陥った場合、痙攣や脳障害などの重篤な症状、また死亡リスクにもつながる可能性がある。そのため低血糖リスクを減らすことはもとより、低血糖を来した際、適切に処置できるよう備えておくことが重要だ。重症低血糖治療薬にバクスミーが加わったことにより、重症低血糖のリスクやその対処法について、より患者を指導しやすくなる可能性を秘めている。その結果、重症低血糖の軽減、さらには早期のインスリン導入の促進につながることが期待できる。1)日本糖尿病学会-糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査委員会-. 糖尿病. 2017;60:826-842.2)Aranishi T, et al. Diabetes Ther. 2020;11:197-211.

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これが免疫チェックポイント阻害薬の効果予測バイオマーカー(のはず)【そこからですか!?のがん免疫講座】第4回

はじめに前回は、「免疫チェックポイント阻害薬(ICI)がどうやって効果を発揮しているのか」について解説しました。しかし、いろいろメディアで報道されたこともあり皆さんご存じかもしれませんが、すべての患者さんに効くわけではありません1,2)。そこで、どういった患者さんに効くのか?という疑問に対してさまざまな研究がなされてきました。今回はそれらを紹介しながら、がん免疫の本質に少し迫りたいと思います。効果予測バイオマーカーとは?「効果予測バイオマーカー」、読んで字のごとくかもしれませんが、少し言葉の説明をさせてください。「AさんはXという薬が効く。一方でBさんはYという薬が効かない」などということが、あらかじめわかっていれば余計な処方や副作用、さらには経済的な負担も避けられて非常にありがたい話ですよね? がんの領域では分子標的薬の登場により、こういった研究が盛んに行われてきました。こういった研究は非小細胞肺がんのゲフィチニブ(gefitinib)というEGFR阻害薬で非常に有名です。ゲフィチニブは発売当初、進行非小細胞肺がんであれば誰にでも使用されていましたが、だんだんと劇的に効く人とまったく効かない人がいることがわかってきました。そこで、そういった劇的に効く患者さんのがん細胞の遺伝子を検査してみると、ほとんどの患者さんでEGFR遺伝子変異が見つかりました3)。EGFR阻害薬なので「EGFRに異常があれば効く」なんてことは今から思えば当たり前のように思えるかもしれませんが、当時としてはかなり衝撃的でした(著者は医学部生で医者になる直前でした)。反証のようなデータも出ていろいろな論争もありましたが、前向き臨床試験で証明され3)、今ではこの薬剤はEGFR遺伝子変異がある患者さんでしか使用されていません。EGFR遺伝子変異があればゲフィチニブが効く、ということが予測できるので、EGFR遺伝子変異はゲフィチニブの「効果を予測できるマーカー」ということで「効果予測バイオマーカー」と呼ばれています。ほかにも効果予測バイオマーカーはいくつもありまして、中には全体の数%しかないような非常にまれな遺伝子異常もあります。こういった数%しかないものも含めて「効果予測バイオマーカー」を効率的に見つけようという取り組みが、最近の「がんゲノム医療」への流れをつくりました。これ以上は本筋からそれますので、がん免疫に話を戻します。ICIの効果予測バイオマーカーは?「全員に効くわけではない」と最初に触れましたが、ICIは単剤だと効果は50%以下です。劇的に効いて年単位で再発しない「完治」したかのような患者さんもいれば、1コースですぐ無効と判断されるような患者さん、逆に悪化してしまうような患者さんもいます4)。著者も大学院生時に2015年の論文を読んで思いましたが、まるでゲフィチニブをほうふつとさせるのです。そこで、「やはり効果予測バイオマーカーを見つけよう!」と世界中で研究が行われました。まず、いきなり残念なお知らせです。結論から申しますと、EGFR遺伝子変異ほどの完璧なバイオマーカーは、臨床応用できる範囲では今のところは存在しません。なぜそういう結論になっているのかという事情を話すと何時間でも講演できてしまうのですが、ここでは代表的なバイオマーカー3つの話にとどめ、あくまでがん免疫を理解するための話をしたいと思います。「完璧じゃねーのかよ!」と憤った方もいるかもしれませんが、この3つはがん免疫の本質を考えるうえで非常に重要ですので、ぜひお付き合いください。PD-L1の発現と腫瘍浸潤T細胞最初に紹介するのが、「PD-L1発現」と「腫瘍浸潤T細胞」の2つです。PD-L1の発現は臨床でも利用されていますので、今さら説明は不要かもしれません。「PD-1やPD-L1を阻害する薬なんだから、PD-1の結合相手の代表であるPD-L1がたくさん出ていれば効くんじゃないか?」という単純な発想で開発されたバイオマーカーです(図1)。病理学的に免疫染色で評価して「PD-L1高発現であれば効く」というのはある程度は受け入れられていると思います5)。ただし、繰り返しますが、完璧ではありません。PD-L1が高発現でも無効な方もいれば、全然出ていなくても有効な方もいます。なぜなのでしょう?原因はいろいろいわれていますが、私見も含めて考察します。1つは場所によって染色が異なる不均一性の問題といわれています。同じ患者さんの病理組織の中でも、ある部分ではPD-L1が高発現なのにある部分では低発現であったりすることが報告されています。さらにはダイナミックな変化も問題とされています。画像を拡大する前回を思い出してほしいのですが、PD-L1はがん細胞がT細胞を抑制して免疫系から逃れるために利用している分子です(図1)。ですので、免疫の攻撃、とくにT細胞の攻撃にさらされることで、自分の身を守るため・免疫系から逃れるために異常に発現が上がります。著者も実験したことがありますが、T細胞の攻撃にさらされると、元々出ているPD-L1の発現が関係なくなるレベル、50倍などにまで上がります(図2)6)。したがって常にPD-L1はダイナミックに変化しており、完璧な効果予測バイオマーカーになりにくい、ということが考えられます。画像を拡大する「PD-L1がT細胞の攻撃に伴って上がるのであれば、T細胞側を見てあげるほうがいいんじゃないの?」と思われた方もいると思います。その発想が「腫瘍浸潤T細胞」の発想です。今まで散々「ICIはT細胞を活性化してがん細胞を攻撃している」という話をしましたが、そういった事実からも「T細胞がたくさん腫瘍に浸潤しているほうがICIは効く」と考えられています。実際に腫瘍浸潤T細胞が多いほど効果は高いことが、複数のデータで証明されています7,8)。しかし、残念ながらこれも完璧ではありません。PD-L1同様の不均一性やダイナミックな変化に加えて、「必ずしも『腫瘍浸潤T細胞』=『がん細胞を攻撃しているT細胞』ではない」ことが主に問題点として指摘されています。がん細胞にしかない「体細胞変異数」「体細胞変異数」、ちょっとはやり言葉のように聞いたことがある方もいるかもしれません。すごく平たく言うと、がん自体は遺伝子に変異が入ることで起きる病気です。「その変異数が多ければ多いほどICIの効果が高い」というのが体細胞変異数をバイオマーカーとして使える背景です。なぜそんなことが起きるのでしょうか?体細胞変異数は、前回までに散々出てきた「がん抗原」に注目して開発されたバイオマーカーです。思い出していただきたいのですが、T細胞活性化は、がん細胞由来の免疫応答を起こす物質(=抗原)である「がん抗原」を認識するところから始まります。これがないと何も始まりません(図1)。この「がん抗原」に注目した最も有名な治療が、「がんワクチン」です。がんワクチンは「外からがん抗原を入れることで、がん細胞を攻撃するT細胞を活性化させよう」という治療方法です。しかし、残念ながらその期待とは裏腹に、ほとんどのがんワクチンには効果がありませんでした。その理由を考察しながら、体細胞変異数という発想に至った経緯を説明します。抗原には「強い免疫応答を起こす抗原」「弱くしか免疫応答を起こせない抗原」というように階層性がある、といわれています(図3)。たとえば、自分自身の身体にある抗原(自己抗原)は、万が一強い免疫応答を起こしてしまうと自分の身体を免疫が攻撃してしまう「自己免疫性疾患」になってしまいますので、免疫応答は起きないようになっています。画像を拡大する逆にウイルスみたいな異物である外来の抗原(外来抗原)は、非常に強い免疫応答を起こします。インフルエンザにかかると高熱が出るのは、非常に強い免疫応答を起こしている証拠です。そういった外来の自分自身にない非自己の抗原に対して、強い免疫応答が起きなければ病原体を排除できず、われわれの身体は困ってしまいます。ですので、こういった外来抗原は免疫系にとっては格好の排除の対象となり、強い免疫応答が起きるわけです。では、がん抗原に話を戻しましょう。「もともと身体にあるけれど、がん細胞が特別多く持っているがん抗原」というものがあります。「元からある共通のもの」という意味で「共通抗原」と呼びます。従来の「がんワクチン」は、基本的にはこの共通抗原を使用していました。しかし、共通抗原はもともと自分自身の身体にある抗原なので、がん細胞だけが持っているわけではありません。さらにはあくまでも自己なので、ウイルスなどの非自己である外来抗原とは違います。自己である共通抗原に対しては、免疫系は自分自身を「攻撃してはいけない」という「免疫寛容」というシステムが働いて、あまり強い免疫応答を起こすことができない、といわれています(図3)。だから従来のがんワクチンは効果が限定的だったのだろう、と考えられています。じゃあ、「理想的ながん抗原」って何でしょう? がん細胞だけが持っていて、かつ強い免疫応答が起こすことができるものですよね? そう考えたときに注目したのが、がん細胞しか持っていない「体細胞変異」なのです。体細胞変異はもともとの身体にはなく、がん細胞しか持っていません。なおかつ、変異が入っていないものは自己ですが、変異が入ることでタンパク質が変わってしまい非自己になります。ですので、運が良ければウイルスなんかと同じような強い免疫応答を起こすことができる抗原になれるわけなのです(図3)。がん細胞にしかなく、かつ強い免疫応答が起こせる抗原、まさに理想的ながん抗原ですね。これをわれわれは「ネオ抗原」と呼んでいます(図3)。とはいえ、ネオ抗原を一つひとつ同定することは、不可能ではなくともかなり大変です。そこで何かほかに見られるものはないか?となったときに、体細胞変異数の発想に至りました(図4)。つまり、体細胞変異数が多ければ多いほど、非自己として扱われ、T細胞を強く活性化させ、強い免疫応答を起こすことができるネオ抗原も多いのではないか、という予測を基に(図4)、体細胞変異を測定したところ見事に体細胞変異数が多い患者さんほど効果が高いことが証明されました9)。画像を拡大する体細胞変異数への期待と限界体細胞変異数がバイオマーカーとして機能する証拠をいくつか紹介しましょう。1つ目は大腸がんです。大腸がんはICIがほとんど効かないことがいろいろな治験でわかっているのですが、5%くらい劇的に効く集団がいました。それはMSI highという異常なまでに体細胞変異数が多い患者さんたちでした。確かにそういった患者さんの病理組織では腫瘍浸潤T細胞が多く、PD-L1が高発現していることも報告されておりまして、すでにMSI highというくくりでがんの種類に関係なくICIが承認され、日本を含め世界中で使用されています。もう1つの証拠を紹介します。いろいろながんごとに体細胞変異数をカウントして比較したデータがあります。体細胞変異数が多いがんというのは、メラノーマだとか肺がんだとか膀胱がんなんていう、いずれもICIの効果が証明されているものばかりでした。こういったデータからも体細胞変異数が重要である、ということが認識できます。まとめると、図5のようになります。バラバラに3つ並べましたが実はつながっていることがおわかりいただけますか?「体細胞変異数が多い→ネオ抗原が多い→T細胞がネオ抗原のおかげで活性化する→T細胞ががん細胞を攻撃するために浸潤してくる(腫瘍浸潤T細胞)→がん細胞が免疫系から逃れるためにPD-L1を利用する(PD-L1発現)」というストーリーできれいにまとまります(図5)。画像を拡大する体細胞変異数の測定は、現実的な値段でできる時代に来ています。ですので、「全がん患者の体細胞変異数を測定しましょう。もうそれでバイオマーカーは決まり!」と単純には思うのですが、そううまくはいきません。このバイオマーカーも、やはり完璧ではないのです。そもそも体細胞変異だけでは本当に強い免疫応答を起こせるネオ抗原になっているかがわかりません。そして、ネオ抗原だったとしてもT細胞活性化の7つのステップで紹介したように「がん抗原」以外にもたくさん重要な要素があるわけで、さすがにそれらを無視して単純に体細胞変異数だけでは限界があったのです。私見も含めて…、「何が一番大切か?」長々お話ししましたが、私はやはり一番大切なのは「T細胞」だと思っています。なぜならICIはT細胞を活性化させる薬だからです。とくに、浸潤してがん細胞を直接攻撃しているT細胞がきっちりと同定できれば、それが一番良いバイオマーカーであり、がん免疫にとって一番重要な要素だと思います。どんなに体細胞変異数が多かろうと、どんなにPD-L1発現が高かろうと、ICIはT細胞を活性化する薬ですので、そういったT細胞がなければ絶対に効きません。機序を考えれば当然のことです。完璧ではないものに散々時間をかけてしまいましたが、体細胞変異数から始まるネオ抗原・T細胞・PD-L1のストーリーは、がん免疫の本質を考えるうえできわめて重要です。まだいろいろありますが、これ以上は深入りせず、次回はICIの副作用について話をしたいと思います。1)Brahmer JR, et al. N Engl J Med. 2012;366:2455-2465.2)Topalian SL, et al. N Engl J Med. 2012;366:2443-2454.3)Mok TS, et al. N Engl J Med. 2009;361:947-957.4)Kamada T, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2019;116:9999-10008.5)Reck M, et al. N Engl J Med. 2016;375:1823-1833.6)Sugiyama E, et al. Sci Immunol. 2020;5:eaav3937.7)Herbst RS, et al. Nature. 2014;515:563-567.8)Tumeh PC, et al. Nature. 2014;515:568-571.9)Rizvi NA, et al. Science. 2015;348:124-128.

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ペムブロリズマブ術後療法の効果が、免疫関連有害事象の発現と関連/JAMA Oncol

 免疫チェックポイント阻害薬の術後補助療法において、免疫関連有害事象(irAE)の発現は有効性に影響を及ぼすのか。フランス・パリ・サクレー大学のAlexander M. M. Eggermont氏らが、完全切除後の高リスクStageIII悪性黒色腫患者を対象に術後補助療法としてのペムブロリズマブの有効性および安全性をプラセボと比較した、国際多施設共同二重盲検第III相試験「EORTC 1325/KEYNOTE-054試験」の2次解析で明らかにした。JAMA Oncology誌オンライン版2020年1月2日号掲載の報告。 研究グループは、2015年8月26日~2016年11月14日に、18歳以上でリンパ節に転移した悪性黒色腫が完全切除された、StageIIIA、StageIIIBおよびStageIIICの悪性黒色腫患者1,019例を、ペムブロリズマブ群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、それぞれペムブロリズマブ200mgまたはプラセボを3週間間隔で、再発、許容できない毒性の発現、重大なプロトコール違反または同意撤回まで最大18回(約1年間)投与した。 クリニカルカットオフ日は2017年10月2日、データ固定日は2017年11月28日であった。 irAEと無再発生存期間(RFS)との関連について、irAE発現を時変共変量(発現前を0、発現後を1)とし、年齢、性別およびAJCC-7病期に関して調整したCoxモデルを用いて解析した。 主な結果は以下のとおり。・ペムブロリズマブまたはプラセボの投与を受けたのは1,011例で、患者背景は男性622例(61.5%)、女性389例(38.5%)、年齢50~64歳が386例(38.2%)、50歳未満が377例(37.3%)、65歳以上が248例(24.5%)であった。・既報のintent-to-treat集団を対象とした主解析と同様、治療を開始した患者集団においても、RFSはプラセボ群に比べペムブロリズマブ群で延長した(ハザード比[HR]:0.56、98.4%信頼区間[CI]:0.43~0.74)。・irAEの発現率は、ペムブロリズマブ群37.4%(190/509例)、プラセボ群9.0%(45/502例)であり、両群とも男性と女性のirAE発現率は類似していた。・ペムブロリズマブ群では、男女ともにirAEの発現がRFS延長と関連していた(HR:0.61、95%CI:0.39~0.95、p=0.03)。同様の関連は、プラセボ群では認められなかった。・プラセボ群と比較しペムブロリズマブ群のirAE発症後のほうが、ペムブロリズマブ群のirAE発症なしまたは発症前よりも、再発または死亡のリスク減少が大きかった(HR:0.37[95%CI:0.24~0.57]vs.0.61[0.49~0.77]、p=0.03)。

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うつ病の薬理学的マネジメント~日本の専門医のコンセンサス

 実臨床におけるうつ病治療は、常に従来のガイドラインに沿っているわけではない。慶應義塾大学の櫻井 準氏らは、精神科専門医を対象に、うつ病の治療オプションに関する調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年4月1日号の報告。 日本臨床精神神経薬理学会の認定精神科医を対象に、うつ病治療における23の臨床状況について、9段階のリッカート尺度(同意しない「1」~同意する「9」)を用いて、治療オプションの評価を依頼した。114件の回答が得られた。治療オプションを、1次、2次、3次治療に分類した。 主な結果は以下のとおり。・抗うつ薬の第1選択薬は、主要な症状により以下のように異なっていた。 ●不安症状:エスシタロプラム(平均±標準偏差:7.8±1.7)、セルトラリン(7.3±1.7) ●興味の喪失:デュロキセチン(7.6±1.9)、ベンラファキシン(7.2±2.1) ●不眠症状:ミルタザピン(8.2±1.6) ●食欲不振:ミルタザピン(7.9±1.9) ●興奮および重度の焦燥感:ミルタザピン(7.4±2.0) ●自殺念慮:ミルタザピン(7.5±1.9)・1次治療に奏効しない場合の2次治療は、以下のとおりであった。 ●SSRIで奏効しない場合:SNRIへの切り替え(7.7±1.9)、ミルタザピンへの切り替え(7.4±2.0) ●SNRIで奏効しない場合:ミルタザピンへの切り替え(7.1±2.2) ●ミルタザピンで奏効しない場合:SNRIへの切り替え(7.0±2.0)・アリピプラゾール増強療法は、SSRI(7.1±2.3)またはSNRI(7.0±2.5)に対する部分的なレスポンスがみられた患者に対する1次治療と見なされていた。 著者らは「専門医のコンセンサスのエビデンスレベルは低く、本調査は、日本人の専門医のみが対象であった」としながらも、「臨床現場の専門医による推奨は有用であり、実際の臨床診療におけるガイドラインと情報に基づく意思決定を補助することができる。うつ病に対する薬理学的治療戦略は、患者の状況ごとのニーズと薬物療法プロファイルを考慮し、柔軟に対応すべきである」としている。

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COVID-19、各国腫瘍関連学会ががん治療のガイドラインを発表

 新型コロナウイルスの感染流行を受け、がん患者を感染から守り、治療をどう継続していくかについて、世界各国の腫瘍関連学会が提言やガイドラインを発表している。4月22日時点で発表されたもののなかから、主だったものをまとめた。国内でも、がん診療全般におけるガイドライン制定が見込まれている。米国臨床腫瘍学会(ASCO) がんとCOVID-19に関連する基本情報・これまでに発表された論文へのリンクのほか、専門家によるPPEやマスク装着をテーマとした動画セミナーを無料で公開している。https://www.asco.org/asco-coronavirus-information欧州臨床腫瘍学会(ESMO)  サイト上でがん種別、患者管理、緩和ケアなどの各種ガイドラインを発表するほか、がん種別に患者に対する治療の優先度分けを提示している。https://www.esmo.org/covid-19-and-cancer腫瘍外科学会(SSO) 乳がん、大腸がん、泌尿器がん、メラノーマなど、がん種ごとの患者の分類と治療の優先順位を提示。専門家によるポッドキャストを使ったヘルプガイドも公開している。https://www.surgonc.org/resources/covid-19-resources/欧州腫瘍外科学会(ESSO)  緊急の場合以外のクリニック受診を避けること、オンライン診療を取り入れること、など5つの項目の提言を行っている。https://www.essoweb.org/news/esso-statement-covid-19/米国外科学会(ACS) がんを中心に各領域別に手術の優先順位についての考え方をまとめたトリアージガイドラインを公開している。https://www.facs.org/covid-19/clinical-guidance/elective-case米国腫瘍放射線学会(ASTRO)  COVID-19推奨事項をはじめ、臨床的意思決定に直接関連する20項目のQ&A、有用な医学論文やウエブサイトへのリンクを掲載する。https://www.astro.org/Daily-Practice/COVID-19-Recommendations-and-Information欧州腫瘍放射線学会(ESTRO) 会長による声明のほか、関連する論文、資料などがまとめられている。https://www.estro.org/About/Newsroom/COVID-19-and-Radiotherapy

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チクングニアウイルス、ウイルス様粒子ワクチンの安全性を確認/JAMA

 近年、チクングニアウイルス(CHIKV)の世界的な流行が認められ、安全で有効なワクチンの開発が望まれている。米国・国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のGrace L. Chen氏らVRC 704試験の研究グループは、開発中のウイルス様粒子ワクチン(CHIKV VLP)はプラセボに比べ、安全性および忍容性が良好であることを確認した。CHIKVは、蚊媒介性のアルファウイルスで、現時点で承認を受けたワクチンや治療法はないという。JAMA誌2020年4月14日号掲載の報告。流行地での安全性と忍容性を評価する無作為化第II相試験 本研究は、CHIKV流行地におけるCHIKV VLPの安全性と忍容性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験(米国NIAIDワクチン研究センターの助成による)。 ハイチ、ドミニカ共和国、マルティニク、グアドループの各1施設とプエルトリコの2施設の合計6つの臨床研究施設が参加した。対象は、年齢18~60歳で、臨床検査値、病歴、身体検査に基づく36項目の判定基準で適格と判定された健康人であった。 被験者は、CHIKV VLP(20μg)を28日間隔で2回筋肉内接種する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、72週のフォローアップを受けた。 主要アウトカムは、ワクチンの安全性(検査値[全血球計算、ALT値]、有害事象、CHIKV感染)および忍容性(局所[注射部位]および全身性の反応原性の症状)とした。ワクチン関連の重篤な有害事象は発現せず 2015年11月~2016年10月の期間に、400例(平均年齢35歳、女性50%)が登録され、ワクチン群に201例、プラセボ群には199例が割り付けられた。 すべてのワクチン接種は良好な忍容性を示し、ワクチン関連の重篤な有害事象は認められなかった。1つ以上の局所症状(疼痛/圧痛、腫脹、発赤)は、ワクチン群が64例(32%)、プラセボ群は37例(19%)にみられ、ほとんどが軽度(ワクチン群58例、プラセボ群36例)で、残りは中等度(6例、1例)であった。 1つ以上の全身性の反応原性(不快感、筋肉痛、頭痛、悪寒、悪心、関節痛、発熱)は、ワクチン群では87例(44%)に発現し、このうち軽度が65例、中等度が21例で、重度は1例(片頭痛の病歴のある1例が2回目の接種後に重度の頭痛を発症、1日以内に解消)のみだった。 試験薬との関連の可能性がある、自発報告による軽度~中等度の有害事象が16件認められ、ワクチン群が8例で12件(75%)、プラセボ群は3例で4件(25%)であった。これらの有害事象はすべて、臨床的後遺症を引き起こさずに消散した。 また、試験薬と関連のない重篤な有害事象が16件認められ、ワクチン群が4例で4件(25%)、プラセボ群は11例で12件(75%)であった。このうち14件は後遺症がなかった。 ベースラインの中和抗体50%効果濃度(EC50、ウイルス中和アッセイで50%の感染を阻害する血清希釈)の幾何平均抗体価(GMT)は、ワクチン群が46(95%信頼区間[CI]:34~63)、プラセボ群は43(32~57)であった。初回接種後8週の時点でのEC50 GMTは、ワクチン群が2,005(95%CI:1,680~2,392)へと上昇したのに対し、プラセボ群は43(32~58)と実質的に不変であった(p<0.001)。 免疫応答の持続性は、ワクチン接種後72週以上に及ぶことが示された。また、ワクチン群のうちベースライン時に血清反応陰性の144例(88%)では、中和抗体価がベースラインの4倍以上に上昇し(p<0.001)、CHIKVのルシフェラーゼ中和アッセイで96%が血清反応陽性となった。 著者は、「これらの知見により、今後、臨床的有効性を評価する第III相試験が求められる」としている。

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COVID-19疑い例のPCR検査実施状況は?-会員医師アンケート

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大に伴い、PCR検査の実施数を増やすべきとの声も高まっている。診療現場におけるCOVID-19疑い例数、PCR検査の照会数、PCR検査実施数、PCR陽性数はどのように推移しているのか。 ケアネットでは、2020年4月9日より週次で、病床を有していない診療所で働く会員医師を対象に「直近1週間のCOVID-19疑い例の診療状況」についてアンケートを行っている(現在2回目を終了)。 調査対象とした地域は関東(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)、名古屋(愛知県)、関西(京都府、大阪府、兵庫県)、福岡(福岡県)の4エリア。 1回目(4月9~15日に調査)は892名、2回目(4月16~22日に調査)は876名から回答を得た。 主な結果は以下のとおり(第2回時点)。・「COVID-19を疑った患者」がいなかった診療所が全体の4割近くを占めた一方で、1~3人との回答も約4割。少数ながら20人超という回答もみられた。・前週をと比較すると、関東エリア以外では「疑い」患者数が増加の傾向(名古屋:平均2.5→3.2人、関西:平均2.2→2.6人、福岡:平均2.1→2.9人)。関東エリアでは平均2.8人と横ばいであった。・疑い患者のうち「PCR検査の照会をした患者」の割合は、全体平均で28.5%だったが、名古屋エリアが38.6%と高く、関西エリアが22.9%と低かった。・PCR検査照会患者のうち実際に「PCR検査を実施した患者」の割合は、全体平均で46.9%とほぼ半数となったが、ここでも名古屋エリアの52.7%から関西エリアの36.3%までバラツキが見られた。 自由記述欄には、「マスク、フェイスシールド、個人防護服が圧倒的に足りておらず、受け入れを躊躇する」「診療所での対応は、感染リスクや風評被害を考えると現実的には不可能に近い」「保健所に照会しても検査をしてもらえない。ドライブスルー検査など、間口を広げて欲しい」「院内トリアージのため定期受診患者へ待ち時間などの迷惑をかけている。病院外で検査できる場所をつくって欲しい」などの声が寄せられた。 アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。COVID-19疑い例の診療状況とPCR検査の実施率の推移-会員医師アンケート

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COVID-19の救世主現る?(解説:岡慎一氏)-1221

オリジナルのニュース重症COVID-19へのremdesivir、68%で臨床的改善か/NEJM(2020/04/16掲載) たった53例のCOVID-19患者の、しかもCompassionate useのremdesivirの結果が、NEJM誌のOriginal Articleに掲載された。やや驚きである。いかに世界中がCOVID-19の治療薬を欲しているかがよくわかる。もともとは、エボラ出血熱の治療薬として開発されたものである。 急にこの世に現れ、致死率が高いにもかかわらず感染力が強く、あっという間にPandemicになってしまったCOVID-19である。当然、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2に対する特異的な治療薬などまだないため、抗HIV薬のロピナビルや抗マラリア薬のクロロキンなど、いろいろな薬剤が治療薬の候補として浮かび上がっていた。しかし、これらの薬剤は、臨床試験(randomized controlled trial)によりその有効性は、ほぼ否定されてきた。残る有望株が、このremdesivirである。Compassionate useであるので、重症者に対して投与された。北米、欧州、日本など先進国で行われた。53例中34例は挿管されていた最重症患者であるが、それでも82%が回復した(死亡率:18%)。全体で治療前の状態より改善したのは36例68%、悪化(死亡7例を含む)したのは8例15%であった。 微妙な結果である。COVID-19全体での死亡率は、地域や検査件数にもよるが2%以下と推定されている。いずれもLancet誌に掲載された3つの中国からの報告では、ARDSやICU管理を必要とする最重症例の死亡率は、38%、45%、65%と報告により異なるが、今回の結果(18%)よりはるかに高い。繰り返すが、微妙な結果である。重症の定義や医療レベルなどそれぞれであるため、単純な比較はできない。まもなく米国NIHが中心となったrandomized placebo-controlled trialの結果が出てくる。remdesivirの有効性に関する最終評価は、その結果を待ちたい。

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