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早期乳がん/DCISへの寡分割照射による乳房硬結リスク(DBCG HYPO試験)/JCO

 Danish Breast Cancer Group(DBCG)では、1982年以来、早期乳がんに対する放射線療法の標準レジメンは50Gy/25回である。今回、デンマーク・Aarhus University HospitalのBirgitte V. Offersen氏らは、リンパ節転移陰性乳がんまたは非浸潤性乳管がん(DCIS)に対する放射線療法において、40Gy/15回の寡分割照射が標準の50Gy/25回に比べて3年の乳房硬結が増加しないかどうかを検討するDBCG HYPO試験(無作為化第III相試験)を実施した。その結果、乳房硬結は増加せず、9年局所領域再発リスクは低いことが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年9月10日号に掲載。 本試験の対象は、リンパ節転移陰性乳がんまたはDCISで乳房温存手術を受けた40歳超の1,882例で、50Gy/25回または40Gy/15回の放射線療法に無作為に割り付けた。主要評価項目は、局所領域再発に関して非劣性と仮定して、3年のGrade2〜3の乳房硬結とした。 主な結果は以下のとおり。・2009〜14年に、8施設から1,854例(50 Gy群:937例、40 Gy群:917例)が登録された(リンパ節転移陰性乳がん:1,608例、DCIS:246例)。・3年乳房硬結率は、50Gy群で11.8%(95%CI:9.7〜14.1%)、40Gy群で9.0%(95%CI:7.2〜11.1%)で、硬結リスクは増加しなかった(リスク差:-2.7%、95%CI:-5.6〜0.2%、p=0.07)。・毛細血管拡張、色素脱失、瘢痕、乳房浮腫、痛みの発現率は低く、美容上のアウトカムと乳房外観における患者満足度はどちらの群も同様に高いか、40Gy群で50Gy群より良かった。・9年局所領域再発リスクは、50Gy群で3.3%(95%CI:2.0〜5.0%)、40Gy群で3.0%(95%CI:1.9〜4.5%)であった(リスク差:-0.3%、95%CI:-2.3〜1.7%)。・9年全生存率は、50Gy群で93.4%(95%CI:91.1〜95.1%)、40Gy群で93.4%(95%CI:91.0〜95.2%)と同等であった。・放射線治療による心臓および肺疾患はまれであり、分割療法による影響はなかった。

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高齢入院患者のせん妄予防に対する薬理学的介入~メタ解析

 入院中の高齢患者に対するせん妄予防への薬理学的介入の効果について、スペイン・Canarian Foundation Institute of Health Research of Canary IslandsのBeatriz Leon-Salas氏らがメタ解析を実施し、包括的な評価を行った。Archives of Gerontology and Geriatrics誌2020年9~10月号の報告。 2019年3月までに公表された、65歳以上の入院患者を対象としたランダム化比較試験を、MEDLINE、EMBASE、WOS、Cochrane Central Register of Controlled Trialsの電子データベースよりシステマティックに検索した。事前に定義した基準を用いて研究を抽出し、それらの方法論的な質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・各データベースより抽出された1,855件から重複を削除し、1,250件の評価を行った。・メタ解析には、以下の25件のランダム化比較研究が含まれた。 ●抗てんかん薬(1件、697例) ●抗炎症薬(2件、615例) ●抗精神病薬(4件、1,193例) ●コリンエステラーゼ阻害薬(2件、87例) ●催眠鎮静薬(13件、2,909例) ●オピオイド(1件、52例) ●向精神薬・認知機能改善薬(1件、81例) ●抑肝散(1件、186例)・プラセボや通常ケアと比較し、せん妄の発生率を減少させた薬剤は、以下のとおりであった。 ●オランザピン(RR:0.36、95%CI:0.24~0.52、k=1、400例) ●リバスチグミン(RR:0.36、95%CI:0.15~0.87、k=1、62例) ●デクスメデトミジン(RR:0.52、95%CI:0.38~0.71、I2=55%、k=6、2,084例) ●ラメルテオン(RR:0.09、95%CI:0.01~0.64、k=1、65例)・デクスメデトミジンのみが、せん妄期間の短縮(0.70日短縮)、抗精神病薬の使用量低下(48%)と関連が認められた。・死亡率、有害事象、尿路感染症、術後合併症への影響は認められなかった。 著者らは「本メタ解析では、デクスメデトミジンが入院中の高齢患者におけるせん妄の発生率減少と期間短縮に有用であることが示唆された。各研究において、ラメルテオン、オランザピン、リバスチグミンの効果が報告されているが、確固たる結論を導き出すにはエビデンスが不十分である」としている。

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日本人超高齢の心房細動、エドキサバン15mgは有益/NEJM

 標準用量の経口抗凝固薬投与が適切ではない、非弁膜症性心房細動(AF)の日本人超高齢患者において、1日1回15mg量のエドキサバンは、脳卒中または全身性塞栓症の予防効果がプラセボより優れており、大出血の発生頻度はプラセボよりも高率ではあるが有意差はなかったことが示された。済生会熊本病院循環器内科最高技術顧問の奥村 謙氏らが、超高齢AF患者に対する低用量エドキサバンの投与について検討した第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照イベントドリブン試験の結果で、NEJM誌オンライン版2020年8月30日号で発表された。超高齢AF患者の脳卒中予防のための経口抗凝固薬投与は、出血への懸念から困難と判断されることが少なくない。エドキサバン15mgを標準用量が懸念される超高齢AF患者で試験 試験は、非弁膜症性AFを有する日本人超高齢患者(80歳以上)で、いずれも脳卒中予防のために承認用量での経口抗凝固療法について適切ではないと見なされる患者であった。 被験者を1対1の割合で無作為に割り付け、エドキサバン15mgを1日1回またはプラセボを投与し追跡した。 主要有効性エンドポイントは、脳卒中・全身性塞栓症の複合とし、主要安全性エンドポイントは、国際血栓止血学会の定義に基づく大出血とした。エドキサバン15mgが脳卒中・全身性塞栓症を有意に抑制 2016年8月5日~2019年11月5日に984例の患者が無作為化を受け、エドキサバン1日1回15mg(492例)、またはプラセボ(492例)を投与された。被験者の平均年齢は86.6±4.2歳、低体重(平均50.6±11.0kg)、腎機能は低下(平均クレアチニンクリアランス36.3±14.4mL/分)、40.9%の被験者がフレイルに分類された。最終フォローアップは2019年12月27日。試験期間中央値は466.0日(IQR:293.5~708.0)であった。 681例が試験を完了し、303例は試験を中止した(158例が中止、135例が死亡、10例がその他の理由による)。試験を中止した患者数は2群で同等であった。 脳卒中または全身性塞栓症の年間発現頻度は、エドキサバン15mg群2.3%/年、プラセボ群6.7%/年(ハザード比[HR]:0.34、95%信頼区間[CI]:0.19~0.61、p<0.001)であった。また、大出血の年間発現頻度は、エドキサバン15mg群3.3%/年、プラセボ群1.8%/年(1.87、0.90~3.89、p=0.09)であった。 エドキサバン15mg群はプラセボ群に比べて、消化管出血イベントが有意に多かった。あらゆる原因による死亡については、両群間で実質的な違いはみられなかった(エドキサバン15mg群9.9%、プラセボ群10.2%、HR:0.97、95%CI:0.69~1.36)。

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経口可逆的DPP-1阻害薬brensocatibが気管支拡張症の増悪を抑制/NEJM

 気管支拡張症患者において、brensocatib投与による好中球セリンプロテアーゼ活性の低下は気管支拡張症の臨床アウトカムを改善することが、英国・Ninewells Hospital and Medical SchoolのJames D. Chalmers氏らが行った、投与期間24週の第II相無作為化プラセボ対照用量範囲試験で示された。気管支拡張症患者は、好中球性炎症に関連すると考えられる増悪を頻繁に起こす。好中球エラスターゼなどの好中球セリンプロテアーゼの活性と数量は、ベースラインで気管支拡張症患者の喀痰中で増加し、さらに増悪によって増大することが知られる。brensocatib(INS1007)は、開発中の経口可逆的ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP-1)阻害薬で、DPP-1は好中球セリンプロテアーゼの活性に関与する酵素である。NEJM誌オンライン版2020年9月7日号掲載の報告。brensocatib治療群とプラセボ投与群で初回増悪までの期間を評価 試験は14ヵ国116施設で行われ、被験者は、前年に少なくとも2回の増悪を呈した18~85歳の気管支拡張症患者であった。 研究グループは被験者を、プラセボ投与群、brensocatib 10mg群、brensocatib 25mg群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、1日1回、24週間投与した。 初回増悪までの期間(主要エンドポイント)、増悪頻度(副次エンドポイント)、喀痰中の好中球エラスターゼ活性、および安全性を評価した。brensocatib治療群は初回増悪までの期間を有意に延長した 256例が無作為化を受け、87例がプラセボを、82例がbrensocatib 10mgを、87例が同25 mgをそれぞれ投与された。 初回増悪までの期間の25パーセンタイル値は、プラセボ群67日、brensocatib 10mg群134日、同25mg群96日であった。brensocatib治療群は、プラセボ群と比較して初回増悪までの期間が有意に延長した(10mg群対プラセボのp=0.03、25mg群対プラセボのp=0.04)。 brensocatib群とプラセボ群を比較した増悪に関する補正後ハザード比は、10mg群で0.58(95%信頼区間[CI]:0.35~0.95、p=0.03)、25mg群で0.62(95%CI:0.38~0.99、p=0.046)であった。プラセボ群と比較した発生率比は、10mg群0.64(95%CI:0.42~0.98、p=0.04)、25mg群0.75(95%CI:0.50~1.13、p=0.17)であった。 24週の治療期間中、brensocatib群はいずれの用量群とも喀痰中の好中球エラスターゼ活性のベースラインからの低下が認められた。なお、とくに注目される歯および皮膚の有害事象の発生は、プラセボと比べてbrensocatibの両用量群で高かった。

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イエスマン(後編)【日本人ならではの幸福感とは?(幸福感の心理)】Part 1

今回のキーワード幸福感(主観的ウェルビーイング)ポジティブ率セットポイント代償(トレードオフ)ミニマリスト幸福感学習性楽観学習性無力感マインドフルネス【前編】では、ポジティブさもネガティブさも、それぞれメリットとデメリットがあることが分かりました。幸せかどうかという視点に立つと、ネガティブ過ぎれば、明らかに幸福感は低くなります。実際に、幸福度における日本の世界順位は概ね50位圏外で、中・下位です。一方、ポジティブ過ぎれば、一見、幸福感は高まりそうです。しかし、そうではないようです。実際に、幸福度におけるアメリカの世界順位は20位程度で、最上位とは言えないです。つまり、ポジティブ過ぎても幸福感は高まらないと言えます。そもそも、幸せを感じるとはどういうことでしょうか? そして、日本人が幸せを感じるにはどうすれば良いでしょうか? これらの答えを探るために、今回も、映画「イエスマン」を取り上げます。この映画を通して、幸福感を行動遺伝学的にも解き明かします。そして、日本人ならではの幸福感について一緒に考えてみましょう。 幸せを感じるとは?-幸福感を左右する心理それでは、幸せを感じること、つまり幸福感(主観的ウェルビーイング)幸福感(主観的ウェルビーイング)を左右する心理を3つ挙げてみましょう。(1)良いことより悪いことは強い-ネガティビティ優勢性1つ目は、良いことより悪いことは強く感じることです。これは、ポジティブな体験よりも、ネガティブな体験はインパクトが強く影響を受けやすい心理です(ネガティビティ優勢性)。この訳は、脳科学的に言えば、ポジティブな体験がドパミンによる報酬である一方、ネガティブな体験はノルアドレナリンによる恐怖だからです。たとえば、ドパミンによる学習効果(ほめ)は即効性がなく繰り返す必要がありますが、ノルアドレナリンによる学習効果(叱り)は即効性があることが分かっています。この詳細については、末尾の関連記事2をご参照ください。進化心理学的に言えば、報酬は1回なくてもすぐに飢え死にすることはないですが、恐怖は1回だけでも死につながります。この点で、哺乳類の記憶学習のメカニズムである夢やフラッシュバックが基本的にネガティブなものであることも納得が行くでしょう。また、人が、良い噂よりも悪い噂に敏感であることや、良い印象よりも悪い印象を覆しにくいこと(印象形成のバイアス)にも納得するでしょう。つまり、ネガティブな体験のインパクト(質)が強いからこそ、人はポジティブな感情や行動の数(量)で対抗してバランスをとる心理を生存戦略として身に付けたと言えます。言い換えれば、人は、不幸がいきなりやって来るから、それを乗り越えるために、幸せをこつこつ追い続けていると言えるでしょう。実際に、ポジティブ心理学の研究(フレドリクソン)によると、ポジティブな感情とネガティブな感情の比の黄金比は3対1(ポジティブ率75%)であるという結果が出ています。また、カップルなどの親密な関係における研究(ゴッドマン)によると、ポジティブな行動とネガティブな行動の「魔法の比率」は5対1(ポジティブ率83%)であるという結果が出ています。なお、この記事のポジティブ率とは、ポジティブな感情の頻度(P)を、ポジティブな感情の頻度(P)とネガティブな感情の頻度(N)で割った値(P/P+N)とします。(2)良いことも悪いこともなければマシ-ポジティビティ補正2つ目は、良いことも悪いこともなければ、自分はマシ(まだ良い)と感じることです。これは、ポジティブ体験もネガティブ体験もない時は、人はポジティブな感情を軽く抱く心理です(ポジティビティ補正)。この訳は、脳科学的に言えば、ポジティブな感情は、ドパミンによる報酬(社会的報酬を含む)だけでなく、オキシトシンによる愛着・絆によるものでもあることが考えられます。オキシトシンは、それ自体に学習効果は(行動変容)ないですが、見守られている自尊心からポジティブな感情を維持できます。この詳細についても、末尾の関連記事2をご参照ください。進化心理学的に言えば、人は、原始の時代から、愛着・絆によって、ネガティブな感情よりもポジティブな感情を少しだけでも保つ心理を生存戦略として身に付けたのでしょう。つまり、人はもともと軽く幸せであると言えます(ポジティブ率50%+α)。ちなみに、このマシと思う心理は、自分は人と比べてもマシという心理(平均以上効果)や、何となくうまくいく気がするという心理(ポジティブバイアス)につながります。 (3)良いことも悪いことも長続きしない-感情減衰バイアス3つ目は、良いことも悪いことも長く感じ続けることはないことです。これは、ポジティブ体験もネガティブ体験も、時間とともにそのインパクトが目減りする心理です(感情減衰バイアス)。この訳は、脳科学的に言えば、一般的な記憶のメカニズムで説明できます。たとえば、受験に合格した時や失恋した時の感情の経過を想像すれば分かりやすいでしょう。進化心理学的に言えば、快感が持続してしまったら、食べる快感やセックスする快感を得るための行動づけや動機づけが行われなくなり、生存や生殖をしなくなるからです。つまり、人は、幸せがだんだん薄れるから、幸せをこつこつ追い続けていると言えるでしょう。どんなに恵まれた環境であっても、 慣れて飽きてくるというわけです。これは、下りのエレベータを上り続けている状況に例えられます(ヘドニックトレッドミル現象)。また、これは「楽あれば苦あり」「禍福はあざなえる縄のごとし」という日本のことわざに通じます。残念ながら、人は幸せになるように遺伝的にプログラムされていないということです。遺伝的にプログラムされているのは、人が幸せを追い続けることです。なお、つらいことも時間が経てば笑い話になるとよく言われます。これは、深刻さのインパクトが時間の経過によって失われるからであると説明できるでしょう。また、「昔は良かった」「古き良き時代」「最近の若者は」という言い回しは、ネガティブ体験のインパクトが失われた過去とまだインパクトが失われていない現在を比べた時の心理状態と考えると納得がいくでしょう(記憶の楽観性)。実は幸福感は遺伝的に決まっている!?幸福感(主観的ウェルビーイング)を左右する3つの心理から、人は、もともと軽く幸せですが、不幸がいきなりやって来るから、そして幸せがだんだん薄れるから、幸せをこつこつ追い続けていることが分かりました。では、「もともと幸せ」ということは、幸福感は、実は最初から決まっているのでしょうか? ここから、この答えを3つのポイントに分けて、行動遺伝学的に考えてみましょう。なお、幸福感の起源については、末尾の関連記事3をご覧ください。 (1)個人差双子研究から、幸福感の遺伝率は約50%であることが分かっています。言い換えれば、幸福感の半分の要素は、やはりもともと遺伝的に決まっています。これは、セットポイントと呼ばれます。ここで、幸福感を「体温」に例えてみましょう。すると、このセットポイントは「基礎体温」です。ネガティブな体験は「吹雪」、ポジティブな体験は「マッサージ」です。もし「吹雪」に1回襲われたら、「体温」が下がります。よって、「体温」を保つために、「マッサージ」を繰り返しやるのです。愛着・絆は、「基礎体温」を安定させる「防寒具」です。もちろん「防寒具」があれば、その分「吹雪」に耐えられます。逆に、家族との死別や離婚などによって「防寒具」が薄くなったら、その分「吹雪」に耐えられなくなります。ただし、「防寒具」に頼り過ぎると、「マッサージ」をするのを怠り、その「防寒具」が分厚くなる共依存やひきこもりのリスクがあります。なお、「マッサージ」と「防寒具」は体温を下げない点では同じですが、「マッサージ」が断続的であるのに対して「防寒具」は持続的であるとイメージすると分かりやすいでしょう。1つ目は、個人差です。人によって「基礎体温」がそれぞれ違うように、幸福感のセットポイントはそれぞれ違うと言えます。たとえば、基礎体温が35℃台の「寒がり」の人や37℃近い「暑がり」の人がいるように、幸福感を左右するポジティブ率が50%台のネガティブな人や70%近いポジティブな人がもともといると言えます。(2)年齢差幸福感の遺伝率は、対象期間が長くなればなるほど高まり、最終的には80%になることが分かっています。つまり、幸福感は、高齢になるとセットポイントに回帰して行くということです。よくよく考えると、若い頃は、活力に満ち溢れ、チャレンジ精神で革新的になります。その分、ポジティブ率は高いです。確かに、そのままうまく行けば、幸福感も高まるでしょう。ただし、チャレンジに失敗したら、ネガティブな体験を味わうので、結果的に幸福感は下がってしまいます。このように、若年期は、幸福感の振れ幅が大きくなります。これは、ポジティブ率が高過ぎることによる代償(トレードオフ)です。一方、歳を重ねると、活力が枯れしぼみ、これまで自分が得た家族や財産(リソース)を守ろうと保守的になります。すると、その分のポジティブ率が上がりません。もちろん、リスクを踏まないので、ネガティブな体験もありません。こうして、その人のもともとの幸福感が露わになっていくというわけです。例えるなら、先ほどの「体温」に影響する「吹雪」も「マッサージ」もなくなり、「体温」が「基礎体温」と同じになるということです。2つ目は、年齢差です。年齢によって「体温」がそれぞれ違うように、同じ人でも年齢によって幸福感はそれぞれ違うと言えます。高齢者の心理として見れば、猜疑的になる人と多幸的になる人がそれぞれいるのは、このセットポイントへの回帰が示唆されます(パーソナリティの先鋭化)。(3)人種差(文化差)ものごとを自分で判断できるという状況は、アメリカ人にとってはポジティブな体験です。しかし、日本人にとっては必ずしもそうではありません。なぜなら、日本人は、もともとの不安な気質から指示待ちすること好み、逆に自分で判断することがストレスになりうるからです。しかも、自分で判断したら、周りから「出しゃばり」「調子に乗っている」と思われ、ネガティブな体験をするリスクもあります。逆に、何もしなかったり変わらないことで、周りとの調和を生み出して、ポジティブな体験をすることもあります(ミニマリスト幸福感、協調的幸福感)。また、日本人の平均寿命の世界順位が最上位であることは、身体的な健康として誇るべきことです。つまり、幸福感の物差しは1つではないということです。この点で先ほど紹介した幸福感をランキングすることには、その評価基準に限界があるでしょう。一方で、アメリカ人はポジティブ率がとても高いのに、実際にはアメリカはストレス大国と言われています。このストレスは、先ほどの年齢差の説明でも登場したポジティブになることの代償(トレードオフ)です。例えるなら、日本人はもともと「基礎体温」が低い「寒がり」です。そして「心の風邪」であるうつ病になりやすいです。かと言って、「マッサージ」を無理にすることは、もっと「吹雪」を招くおそれがあるため、そう簡単に「暑がり」にはなれないと言えます。一方、アメリカ人はもともと「基礎体温」が高い「暑がり」です。その代償として、「心の肥大」である肥満や浪費の問題が起きやすくなると言えます。3つ目は、人種差(文化差)です。人種や文化によって「寒がり」だったり「暑がり」だったりするように、相互作用を起こす人種(遺伝)と文化(環境)によって幸福感はそれぞれ違うと言えます。たとえば、もともと「基礎体温」が35℃後半(ポジティブ率50%後半)の文化圏の人が、先ほどの理想とされるポジティブ率75%や83%にまで達する必要は必ずしもないと言えるでしょう。次のページへ >>

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イエスマン(後編)【日本人ならではの幸福感とは?(幸福感の心理)】Part 2

日本人が幸福感を再び取り戻すには?幸福感(主観的ウェルビーイング)は、ある程度遺伝的に決まっており、個人差、年齢差、人種差(文化差)があることが分かりました。それでは、日本人の幸福感はこのままで良いのでしょうか?答えは、江戸時代までなら良かったと言えます。なぜなら、日本人の幸福感は、資源の少ない江戸時代までの集団主義によって最適化されてきたからです。しかし、現代では、このままの幸福感はもはや決して良くはないでしょう。 理由は2つ挙げられます。1つ目は、現代の社会は、文明の進歩によって物質的には豊かで安全になっており、飢餓に不安を感じてネガティブになる必要がなくなったからです。もう1つは、世界基準による個人主義化によって、自己主張してポジティブになる必要が出てきたからです。つまり、幸福感を評価するには、時代(環境)の変化を考える必要があります。これは、4つ目の時代差とも言えます。実際に、うつ病やひきこもりによって精神的な健康が損なわれています。また、貧困(格差)、非婚、出生率の低下、超高齢化によって社会的な健康も危うくなっています。例えるなら、ストレスである「吹雪」(コロナ渦という「大吹雪」も含めて)がますます増えた一方で、愛着・絆である「防寒具」がますます薄くなってしまっています。つまり、時代の変化によって、日本人の幸福感はますます失われています。日本人は、幸福感を再び取り戻すために、もう少しポジティブになる時が来ています。それでは、具体的にどうすれば良いでしょうか? 大きく2つに分けてみましょう。(1)ルール化してポジティブになる映画の後半で、カールは、カリスマ主催者に再会した時、「無理にイエスと言うだけですよね?」と尋ねます。すると、カリスマ主催者は「最初はそうだが、それは馴らすためだ」「その後に自然とイエスが出るようになる」「義務だからじゃなく、心から言えるようになる」「誓いを破ったら災いなんて最初からない。ただの出まかせだ」と種明かしをします。1つ目は、ルール化してポジティブになることです。これは、ポジティブ心理学では、学習性楽観と呼ばれています。ポジティブな行動を繰り返すと、ポジティブな思考パターン(認知)を学習していくという認知行動療法です。ちなみに、その逆が、学習性無力感です。これは、犬に電気ショック(罰)を与え続けると、最初は逃げるのに、やがて逃げられないことが分かると、逃げるのをあきらめて無力感を学習することです。しかも、その後に逃げられる状況になっても、その無力感から逃げなくなることです。日本の文化においては、ポジティブになろうとしても、相手からネガティブに思われるかと不安になったり、相手のポジティブなリアクションがなくて不公平に思ったり、慣れなくて長続きしないおそれがあります。だからこそ、最初からルール化して割り切ることです。そして、自分だけでなく、相手もポジティブになる必要性を理解できるようになることです。例えるなら、ポジティブな体験である「マッサージ」の練習をし続けることです。(2)研ぎ澄ましてニュートラルになる2つ目は、研ぎ澄ましてニュートラルになることです。この心のあり方を、心理学ではマインドフルネスと言います。この詳細については、末尾の関連記事4をご参照ください。端的に言うと、どんな体験に対しても、ポジティブかネガティブかと価値判断せずに、さまざまな面を俯瞰して眺め、想像することで、人それぞれが一生懸命に生きている、自分も生かされていることに気付くようになることです。そこから、どんな状況や相手にもありがたみ(感謝)、思いやり(慈愛)、さらには許し(寛容)の気持ちが沸いてきて、受け入れるようになります(受容)。この受容は、ポジティブさとネガティブさを包括したニュートラルな心のあり方です。これは、関連記事1で紹介した概念化にも通じます。精神医学では、サリエンス(際立ち)とも言います。例えるなら、「防寒具」や「マッサージ」の存在の大きさに気付くことです。ちなみに、マインドフルネスは、森田療法や内観療法などの日本古来のセラピーにもつながります。ニュートラルになることは、白黒付けずに調和することです。これは、もともと日本人をはじめとする東洋人のメンタリティでもあります。なお、感謝、慈愛、寛容などの受容は、ポジティブ心理学では、ポジティブであること(ポジティビティ)に含まれています。確かに、受容(サリエンス)は、快感と同じドパミンとの関係が指摘されています。ただし、快感と受容の混同を避けるために、この記事では、ニュートラルになることとして分けて説明しています。 イエスマンとは?幸せになるとは、ポジティブな心とネガティブな心のバランスであり、それらを包括的に受け止めるニュートラルな心のあり方であると言えます。そして、幸せであるとは、幸せのゴールに着くことではなく、小さな幸せを感じる日々のスタートの積み重ねであり、ゴールに向かうプロセスそのものでしょう。カールは、最後に「義務じゃなくて、自然にイエスと言えるようになっている」と納得して、喜びます。私たち日本人が、もっとポジティブになり、再び幸福感を取り戻すためには、カールのように自然とイエスと言えるようになることであり、自分の人生にイエスと言って納得し受容することであるとも言えるでしょう。そうなれることこそが、イエスマンと言えるのではないでしょうか? ■関連記事2.Mother(後編)【家族機能】3.恥ずかしいけど口に出したら幸せになるカード【これで「コロナ離婚」しなくなる!(レクリエーションセラピー)】4.「ZOOM」「RE-ZOOM」【どうキレキレに冴え渡る?(マインドフルネス)】1)実践 ポジティブ心理学:前野隆司、PHP新書、20172)ポジティブなこころの科学:堀毛一也、サイエンス社、20193)ポジティブ病の国、アメリカ:バーバラ・エーレンライク、河出書房新書、2010<< 前のページへ

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「患者フォロー義務化」のメリット示す調査結果が公表【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第54回

2020年9月1日に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」の改正法が施行され、服薬期間中の患者さんの状態を確認する「患者フォローアップ」が義務化されました。個人的には、一連の改正の中で、患者さんに一番影響が大きい項目だと思っています。実際にこの「患者フォローアップ」はどれほど効果があるのでしょうか。成果を収集検証した調査結果が公表されましたので紹介します。日本保険薬局協会は9月10日の定例会見で、改正医薬品医療機器法によって義務化された患者への「服用期間中フォローアップ」について、成果を収集検証した調査結果を公表した。それによると、会員企業20社282薬局から集めた525事例では、51%にあたる268事例で「処方内容に変更」があり、さらに85事例で「薬剤の中止」に結びついたと報告した。首藤正一会長は「これほど、大きな成果が出るとは思わなかった」と指摘し、薬剤中止を含めた「用法用量の減量」や「残薬調整」などの129事例によって、1ヵ月換算の医療費削減効果が109万円になることを強調した。(2020年9月11日付 RISFAX)調査は2020年7月14日~8月31日に行われ、20社282薬局から報告された525事例が検証されています。その結果、フォローアップ後に処方医への情報提供や連携につながった事例は384件(73%)で、処方変更や経過改善などの成果につながった事例は497件(95%)と報告されています。95%が成果につながったというのは驚くべき割合ですね。その成果につながった497事例のうち、処方内容の変更がみられたのが268件(51%)、服薬状況や副作用の確認など処方変更以外の成果につながったのが342件(65%)、服薬状況や体調、副作用で改善がみられたのが434件(83%)でした。処方内容の変更があった268事例のうち、薬剤の中止は85件、他剤への変更は65件、減量が37件で、医療費の削減効果は処方換算で1ヵ月109万円だったとあります。一方、処方追加が40件、増量が11件で、患者さんの症状をよく聞き取って必要な薬剤や投与量を判断して提案していることがわかります。処方変更となった医薬品は「血圧降下薬」がもっとも多く24件で、続いて「下痢・浣腸剤」が22件、神経障害性疼痛の治療薬など「中枢神経系用薬」が20件でした。抗がん剤も11件報告されています。処方変更以外の成果につながった342件の内訳は、「服薬状況の確認」が152件、「副作用の確認」が128件、「体調変化の確認」が76件、「副作用の発見」が46件、「服薬に関する再指導」が31件でした。また、フォローアップをきっかけに、かかりつけ薬剤師の新規契約に至ったケースも19件あったとのことです。これらの成果は、積極的なフォローアップの取り組みを後押しするものになるのではないでしょうか。フォローアップは特別な取り組みではない義務化に先立ち、2020年7月に日本薬剤師会より「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き」が出されています。フォローアップのやり方については、まだ模索中という方も多いと思いますので、ぜひ一読されることをお勧めします。日々の服薬指導の振り返りやブラッシュアップにも、この手引きは活用できると思います。これらの取り組みを患者さん本人にお伝えし、何かフォローしてほしいことはないか、不安なことはないかと積極的に尋ねてもいいかもしれません。今回の薬機法改正は、「これまで進めてきた医薬分業の成果と課題を踏まえ、患者の多くが医薬分業のメリットを実感できるような取り組みを進める」ということが課題とされています。日本保険薬局協会の調査結果をみると、患者フォローアップによって本来の薬局の役割が果たせていることに加えて、患者さんや医療費にまで貢献できたという結果が出ています。薬局全体で取り組むモチベーションになるのではないでしょうか。「薬局でお薬をもらってよかった」「お薬で不安なことは薬剤師に相談しよう」と、1人でも多くの患者さんが医薬分業のメリットを感じられるようになることを願います。

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第26回 悪玉細菌を減らす常在細菌ロゼオモナスの塗布でアトピー性皮膚炎が改善

プラセボ群なしの非盲検第I/II相試験の結果、健康なヒトの皮膚に備わっていることが多いグラム陰性細菌・Roseomonas mucosa(以下、ロゼオモナス)を塗布した軽度~重度のアトピー性皮膚炎小児20人中18人が病状指標EASIの半減(EASI-50)を達成しました1~3)。中等~重度の小児に限ると9人全員(100%)がEASI-50に至りました。Science Translational Medicine誌に掲載された今回の総ざらい報告に先立ち、2年前の2018年には途中結果が報告されています4,5)。2年前の報告では、健康なヒトの皮膚から集めたロゼオモナスを塗布した9~14歳の小児5人と成人10人のアトピー性皮膚炎改善効果が認められました。また、ロゼオモナスはアトピー性皮膚炎の進展に寄与するらしい黄色ブドウ球菌を減らしました。その後小児15人がさらに加わり、3~16歳の小児全部で20人にロゼオモナスが投与された最終結果が今回報告され、2018年の発表と同様に病状は改善し、効果は投与を終えてから長ければ8ヵ月後の観察時点まで持続しました。皮膚の黄色ブドウ球菌の減少も確認されました。また、ロゼオモナスが作る脂質がどうやらアトピー性皮膚炎治療効果に寄与していることが新たに判明しています。ロゼオモナス治療の権利は米国カリフォルニア州拠点のForte Biosciences社に付与され、同社はFB-401という名称でその治療の開発を進めています。間もなく今月中には軽~中等度のアトピー性皮膚炎を患う2歳以上の小児や成人が参加するプラセボ対照第II相試験がいよいよ始まります1)。ロゼオモナスの効果はアトピー性皮膚炎のみに限定されるわけではなさそうで、他の皮膚疾患へのFB-401の試験もやがて実施されるかもしれません。たとえば、顔の皮膚の炎症を特徴とする酒さの患者の皮膚のロゼオモナスもアトピー性皮膚炎患者と同様に乏しいことが最近の試験6)で確認されており、FB-401を試してみる価値がありそうです。アトピー性皮膚炎の治療効果を担いうる細菌は他にもあり、スタフィロコッカス ホミニス(S. homini)はロゼオモナスと同様にアトピー性皮膚炎患者皮膚の黄色ブドウ球菌を強力に抑制しうることが確認されています7)。それらの有益と思しき細菌を減らす恐れがある環境要因の検討によると、スキンケア製品におなじみの防腐剤パラベンは健康な皮膚のロゼオモナスを増えにくくします4)。また、保湿剤はアトピー性皮膚炎に使うことが一般的に推奨されていますが、それらの幾つかも健康な皮膚のロゼオモナスの増殖をより阻害しました。それらの製品はアトピー性皮膚炎の悪化を招いたりロゼオモナスなどの微生物塗布治療の効果を妨げてしまうかもしれません5)。実際、パラベンとアトピー性皮膚炎の関連が東京の国立成育医療研究センターの小児患者138人を調べた研究で示されています8)。ほとんどの小児(85%;117/138人)はパラベン含有製品を使っており、それら製品の使用とアトピー性皮膚炎が関連し、アトピー性皮膚炎小児の尿中にはパラベンがより多く含まれていました。これまでの前臨床実験や臨床試験成績を総括するに黄色ブドウ球菌を減らすロゼオモナスやS. hominiなどの常在細菌によるアトピー性皮膚炎治療の検討の価値は大いにあり9)、Forte社が今月中に始めるプラセボ対照試験はアトピー性皮膚炎の細菌治療の力量を示すひとまずの試金石となるでしょう。参考1)Forte Biosciences, Inc. Announces Full Publication of Phase 1/2 Data in Science Translational Medicine / BUSINESS WIRE2)Probiotic skin therapy improves eczema in children, NIH study suggests / Eurekalert3)Myles IA,et al. Sci Transl Med. 2020 Sep 9;12 [Epub ahead of print]4)Myles IA,et al.JCI Insight. 2018 May 3;3. [Epub ahead of print]5)Bacteria Therapy for Eczema Shows Promise in NIH Study6)Rainer BM, et al. Am J Clin Dermatol. 2020 Feb;21:139-147. 7)Nakatsuji T, et al. Sci Transl Med. 2017 Feb 22;9: [Epub ahead of print]8)Mitsui-Iwama M, et al. Asia Pac Allergy. 2019 Jan 21;9:e5. [Epub ahead of print]9)Paller AS, et al. J Allergy Clin Immunol. 2019 Jan;143:26-35.

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精神病性うつ病患者の再発に対するベンゾジアゼピンの影響

 ベンゾジアゼピンの長期投与は、依存、転倒、認知障害、死亡リスクを含む有害事象が懸念され、不安以外の症状に対する有効性のエビデンスが欠如していることから、うつ病治療には推奨されていない。しかし、多くのうつ病患者において、抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用が行われている。東京医科歯科大学の塩飽 裕紀氏らは、ベンゾジアゼピン使用がうつ病患者の再発または再燃リスクを低下させるか調査し、リスク低下の患者の特徴について検討を行った。Journal of Clinical Medicine誌2020年6月21日号の報告。 対象は、入院中に寛解を達成したうつ病患者108例。うつ病の再発および再燃を定量化するため、カプラン・マイヤー生存分析を用いた。主な結果は以下のとおり。・対象患者のうち、26例は重度の精神病性うつ病と診断されていた。・すべての患者をまとめて分析したところ、ベンゾジアゼピン使用患者と非使用患者の再発または再燃の割合に、有意な差は認められなかった。・精神病性うつ病患者の再発率は、ベンゾジアゼピン使用患者で21.2%、非使用患者で75.0%であった(log rank p=0.0040)。・カプラン・マイヤー生存分析では、効果は用量依存的であることが示唆された。 著者らは「ベンゾジアゼピンの補助療法は、重度の精神病性うつ病患者の再発または再燃の減少に有用である可能性がある」としている。

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初期AFへの早期リズムコントロール、心血管リスクを低減/NEJM

 初期の心房細動(AF)で心血管症状を呈する患者において、早期リズムコントロール療法は、通常ケアよりも心血管アウトカムのリスクを低下させることが、ドイツ・University Heart and Vascular CenterのPaulus Kirchhof氏らによる検討で示された。AF治療は改善されてはいるが、心血管合併症のリスクは高いままである。一方で、早期リズムコントロール療法が同リスクを低減するかは不明であり、研究グループは、国際共同治験担当医主導の並行群間比較による非盲検割付のアウトカム盲検化評価試験で同療法の検討を行った。NEJM誌オンライン版2020年8月29日号掲載の報告。通常ケアと比較し、有効性と安全性を評価 研究グループは、初期のAF(診断が試験登録前1年以内)で心血管症状を有する患者を無作為に2群に割り付け、一方には早期リズムコントロール療法を、もう一方には通常ケアを行った。早期リズムコントロール療法群には、無作為化後に抗不整脈薬の投与またはAFアブレーション治療が行われた。通常ケア群には、AF関連症状の管理に対して限定的にリズムコントロール療法が行われた。 有効性の主要アウトカムは、心血管死・脳卒中・心不全または急性冠症候群(ACS)の増悪による入院の複合。副次アウトカムは、年当たりの病院宿泊日数(number of nights spent)とした。 また、安全性の主要アウトカムは、死亡・脳卒中・リズムコントロール療法に関連した重篤な有害事象の複合。副次アウトカムは症状および左室機能などを評価した。追跡期間中央値5.1年後に試験中止、有効性のハザード比0.79で有意差 135の医療センターで登録された初期のAF患者2,789例(診断後の期間中央値36日)が無作為化を受けた。試験は、患者1人当たりの追跡期間中央値5.1年後に行われた3回目の中間解析で、有効性が確認されたとして中止となった。 主要有効性アウトカムのイベント発生は、早期リズムコントロール療法群249例(3.9/100人年)、通常ケア群316例(5.0/100人年)であった(ハザード比[HR]:0.79、96%信頼区間[CI]:0.66~0.94、p=0.005)。また、平均(±SD)病院宿泊日数は群間で有意差はなかった(5.8±21.9 vs.5.1±15.5日/年、p=0.23)。 主要安全性アウトカムのイベントを有した患者の割合は、群間で有意差はなかった。リズムコントロール療法に関連した重篤な有害事象の発生は、早期リズムコントロール療法群4.9%、通常ケア群1.4%であった。また、2年時点の症状および左室機能についても群間で有意差はなかった。

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バリシチニブ、レムデシビルと併用でCOVID-19回復期間を有意に短縮/米・リリー

 米国のイーライリリー・アンド・カンパニーは9月14日、同社の成人関節リウマチ治療薬バリシチニブとレムデシビル(ギリアド・サイエンシズ、商品名:ベクルリー点滴静注液)の併用により、COVID-19の入院患者の回復期間が、レムデシビル単独と比べ中央値で約1日短縮されたと発表した。これは、米国・国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の主導で5月8日から始まったCOVID-19に対するアダプティブデザイン試験(ACTT-2試験)から得られた最初のデータとなる。バリシチニブとレムデシビルの併用療法の有効性および安全性を比較 ACTT-2試験は、COVID-19の入院患者1,000例超を組み入れ、バリシチニブ4mg 1日1回とレムデシビルの併用療法の有効性および安全性をレムデシビル単独療法と比較評価するもので、主要評価項目は回復までの期間短縮。本試験では、投与開始から29日時点で退院するのに十分な健康状態である(入院中でも酸素投与や継続した治療が不要、もしくは29日時点で退院している)ことを回復の定義とした。 その結果、バリシチニブとレムデシビル併用療法群ではレムデシビル単独療法群と比較して、回復までの期間の中央値が約1日短縮し、統計学的にも有意な差が認められた。また、投与開始から15日時点における転帰について、「完全な回復」から「死亡」までを8段階で評価するスケールで比較した副次的評価項目も達成した。 バリシチニブは、イーライリリーがインサイト社からライセンス供与され、「オルミエント」の商品名で販売するJAK1/2阻害剤で、中等度~高度疾患活動性の成人関節リウマチ治療薬として70ヵ国以上が承認、日本では「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を適応症として承認されている。

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第45回 右室肥大と右脚ブロック~似て非なる病態を嗅ぎ分けよ(後編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第45回:右室肥大と右脚ブロック~似て非なる病態を嗅ぎ分けよ(後編)「右脚ブロック」と「右室肥大(RVH)」って心電図の波形が“似てるよね”という話を前回しました。基本は“似て非なる”両者ですが、この2つが合併した時に心電図はどうなると思いますか? そもそも「右脚ブロック」かつ「右室肥大」という診断を正しく下せるのでしょうか。ある程度勉強が進んだ人なら一度は気になるこの“難問”につき、Dr.ヒロが解説します。最終結論は“感動”か、はたまた“絶望”かー。では、レクチャーのスタートです!【問題1】53歳、男性。増悪傾向を示す労作時息切れの精査目的にて他院より紹介受診した。心電図所見に関して、最も適切なものを一つ選べ。(図1)53歳、男性の心電図画像を拡大する1)完全右脚ブロック2)右室肥大3)両方とも該当しない4)完全右脚ブロックかつ右室肥大5)その他解答はこちら4)解説はこちらさて、第42回からお送りしてきた右心系の“チラ見”、とくに「右室肥大」に関するレクチャーは今回で完結です。普通の教科書などではここまで詳しく説明されることはないと思うので、『もうお腹一杯~(泣)』という方もいるでしょう。このラスト1回を頑張りましょう。さて、この問題をどう考えますか? なんか選択肢がややこしいでしょ。前回に「右脚ブロック」と「右室肥大」の心電図は似ていてややこしいという話をしましたが、(図1)はどちらに見えますか? パッと見、QRS幅はかなりワイド(wide)ですし、波形的にはただの「完全右脚ブロック」のように見えます。でも、「右脚ブロック」と「右室肥大」は“似たもの同士”なので、注意が必要です。では、この心電図に「右室肥大」 所見があるかどうかを調べましょう。前々回示した「右室肥大」の診断フローチャートの項目をチェックしますか? いいえ、残念ながら、QRS幅が広い時点であのフローチャートを使っちゃダメなんです。フローチャートに「個別に条件を設定」という注意書きを入れたので、気になっていた方もおられるのではと思っています。「右脚ブロックの心電図で、右室肥大の合併をどう見抜くか?」これが今回のメインテーマです。以下のレクチャーを読む前に完璧な解答ができるのならば、既にあなたは心電図に関してセミ・プロレベルです! ただ、多くの方は悩むと予想されるので、話を続けましょう。“「右脚ブロック」はここでもクセモノ”まずは、普段通りに心電図(図1)を読みましょう。“いつも通り”が一番大事なんです(第1回)。心拍数は、最後の“見切れ”たQRS波を0.5個と数えると81/分であり(“新・検脈法”)、P波の様子から「洞調律」であることも間違いありません(“イチニエフの法則”)。ニサンエフのP波がツンッと立ってて、「右房拡大」かなぁ…「異常Q波」はなくって、次は“スパイク・チェック”で、「向き」(電気軸)は、Iが下向き、IIが上向きですね。トントン法Neoを使えば「+100°」と求まるので、「右軸偏位」で良さそうです。QRS幅はかなりワイドで、胸部誘導でV1が「rSR'型」なので、「完全右脚ブロック」と予想することができます(第44回)。残りのST部分を読めば、II、III、aVF、V1~V5誘導で「ST低下」と「陰性T波」を考えますね。そうそう、素晴らしい。皆さん、だいぶ読み“型”(第1回)が板についてきたのではないでしょうか? 拾った所見のうち「右房拡大」「右軸偏位」「完全右脚ブロック」がそろった場合、“右つながり”で「右室肥大」が気になるという方はセンス良しです。とそんな時、ほかに絶対確認すべきマスト所見がありましたよね? そう、V1誘導の「高いR波」です(第43回)。具体的な数値は「7mm」、それを確認しようとしても最初の「r波」か2番目の「R'波」のどちらで“7mm基準”を確認すべきか悩んでしまうのではないでしょうか? ここでエイヤッと割り切って後半成分の「R'波」でチェックするのは間違いです。以前、「R>S(V1)」も「高いR波」の表現の代わりになることをお伝えしましたが、これも2つのうちどちらのR(r)波を使うのかとか、後半のR波なら大概「R>S」になるので、ホントにそれでいいのかって思ってしまうのではないでしょうか。そして、まだまだ参考にすべき補助所見がありました。ただ、ストレイン型の「(2次性)ST-T変化」やR peak timeの遅れも「右脚ブロック」ではほぼ全例で満たされてしまいます。また、「時計回転」ともとれる「R<S(V5)」所見も、軸偏位を合併した場合などで高率に見られます。つまり、「右脚ブロック」なだけで、「右室肥大」の条件をほどよく満たしてしまい、通常の診断条件が“あり”というのが「右室肥大」の肯定所見とは見なせず、結局のところ「wide QRS」な時点、とくにそれが「右脚ブロック」な時点で、例のフローチャートは当てにならないのです。先般示したフローチャートに用いた診断項目は主にMyer1)や“そこのライオン”で有名な、Sokolowら2)が指摘した内容ですが、これらは2つ目の「R'波」のある「右脚ブロック」系統には適応できないのです。この点は知っておくべきです。■ポイント■「右脚ブロック」の場合は通常の「右室肥大」の診断基準は使えない!では逆に、“完全“にしても“不完全”にしても「右脚ブロック」も立派に右心系負荷を示唆するサインの一つですから、ほかの所見と併せて「右室肥大」と言っちゃいましょうか? いいえ、これも誤りです。そうするとエセ右室肥大が世の中に溢れてしまうことになります。「異常Q波」の時にもクセモノぶりを発揮していた「右脚ブロック」ですが(第32回)、ここでもまたやってくれたわけです。“絶望の淵に光はさすのか?”ここまで聞いただけで気分が暗くなりますが、現実はさらに厄介な状況があるんです。心電図の世界では“似たもの同士”な「右脚ブロック」と「右室肥大」ですが、現実問題として意外と両者の病態がバッティングするのです。これはどういうことを意味するのでしょうか? 頻度的には「右脚ブロック」のほうが多いため、普通だと「右脚ブロック」と診断した時点で安心してしまいます。そのため、まさかそこに「右室肥大」所見が“重なっている”かなど考えが及ばず、心電図の発する“RVHサイン”がうまく届かない状況が生まれてしまうんです。「右脚ブロック」が存在する場合、「右室肥大」の診断は不可能なのでしょうか? 結論だけ言うと、不可能だというのが真実に近いかもしれません。実際、主に学童を対象とした日本循環器学会ガイドライン3)には、「WPW症候群」とともに、「右脚ブロック」がある場合には「右室肥大」の診断は困難と銘記されています。ガイドラインにまで記載されてしまうと、さすがに萎えますね。ただ、やはり、人一倍、十、いや百倍、心電図を愛するボクからすると、“モッタイナイ”と感じてしまいます。ただでさえ分の悪い「肥大」の心電図診断に、またひとつ“Impossible”を作ることに抵抗感があるのかもしれません。この苦難を何とか乗り越えたい…非才のボクでは解決できない問題には“先人の知恵”をお借りしましょう。前回示したフローチャートも参考にしつつ、「右脚ブロック」の“霧”を晴らすため、「右脚ブロックに合併した右室肥大」に関して集められた代表的な知見を以下に示します。■ポイント:右脚ブロック“専用”の「右室肥大」基準■【Milnor基準】QRS幅:0.12秒(120ミリ秒[ms])以下でいずれかを満たす場合QRS電気軸:+110~+270°*1R(またはR')/S >1(V1誘導)かつ R(またはR')>5mm(0.5mV)【Barker & Valencia基準】R'V1>10mm(不完全右脚ブロック)R'V1>15mm(完全右脚ブロック)*1:原著の表現(QRS軸:+110~±180°または-90~±180°)がわかりにくいため改変して示した。意味的には「+110°以上の右軸偏位」または「高度の(右)軸偏位」を意味する。皆さんの中には、「えっ? また外人の名前? そんなのもう覚えられないよー」という方も多いと思うので、「誰の」基準かは覚えなくとも、「どんな」条件なのかを優先して覚えてください。“見るな!と言いたくなるMilnor基準”一つ目はMilnorらによる診断基準です。これは、“よりシンプルさ”を追求した研究報告で、基準中に「R'」という文字が含まれており、われわれの期待をふくらませます。…ところが、その期待はもろくも崩れ去ります。なぜなら、前提条件に「QRS duration less than 0.12 second」と表記されているからです。“使えない”とまでは言いませんが、これを適用するとしても「不完全右脚ブロック」のほうだけ。しかも、この基準は「右脚ブロック」例だともっぱら“overdiagnosis”するとされています4)。そんな訳でDr.ヒロ的には、もう“見るな!”の基準です(笑)。もちろん、今回の心電図には適用しちゃダメですよ。バッチリ「QRS幅≧0.12秒」ですから。でも、「右脚ブロック」つながりなので一応は紹介しました。“もう一つも実はイマイチ-Barker-Valencia基準”次に紹介するのは、“バッグにオレンジ”基準。これは勝手にボクが決めたゴロ合わせで、オレンジはバレンシア産(笑)。これはBarkerとValenciaらによる基準で、文献として確認できるのは「不完全右脚ブロック」を扱った1949年のものです5)。そして、実は本題でもある「完全右脚ブロック」のほうは、かなり入念に調べたのですが、原典が書籍でした6)。もし読者の方で原著論文などをご存じであれば、教えてもらえると嬉しいです。この基準は実にシンプルです。「右脚ブロック」のV1-QRS波形には「rsR'(rSR')」や「RR'」などがありますが、通常「r(R)<R'」でなくてはならないという暗黙のルールがあるので、後半の“第2波”(R'波)の高さだけで勝負する方式です。「不完全」でも「完全」でも、右脚ブロックになると、もともと「R'波」は“盛られる”傾向にあるため、通常の「7mm」ではなく、厳しめの基準で判定しましょうという考えなんだと思います。「10mm」も「15mm」も共に切りの良い数字ではありますが、やや記憶力の衰えたボクの場合、「不完全~」なら1.5倍、「完全~」なら2倍しただけの基準だと考えるようにしています。もちろん“7mm基準”をベースとしてね。早速、心電図(図1)で適用してみましょう。V1誘導に着目し、心拍ごとにやや差はありますが、小ぶりな2拍目、ないし5拍目で見ても「R'>15mm」を満たします。つまり、やはり「右室肥大」の合併を疑うべきということになり、問題の正解は4)が該当します。実際、この中年男性は、その後に「肺動脈性肺高血圧症」と診断され、心エコーでも顕著な「右室肥大」が確認されました。ですから、心電図にもやはり“暗号”が隠れていたわけです。しかし、このBarker-Valencia基準が完璧かと言うと、基本的に「右脚ブロック」と「R'波高」だけで判定するので、完璧とは言いがたいようです4)。次の心電図(図2)はどうでしょう?(図2)71歳、女性、肺高血圧症の心電図画像を拡大する71歳、女性で、肺高血圧症の診断で加療されています。「右軸偏位」(+110°)と「時計回転」(RV5<SV5)の所見はあるようですが、ワイドなQRS波で「完全右脚ブロック」に典型的な波形ですが、肝心なV1誘導ではR'波は15mmには足りません。そのためBarker-Valencia基準を適用すると、「右室肥大」ではないと判定されてしまいます。ただ、実際にはバッチリ「右室肥大」が心エコーその他で確認されていることから、この考え方は通じないということです。ちなみに“お隣”のV2誘導だと基準に合致しますが、原著にその記載はありません。さらに心電図(図2)をよく見ると、「148cm、41kg」と表示されていますが、欧米人対象の研究で得られた知見を、人種や体格差の明らかな日本人にそのまま適応していいのかという当然に疑問にぶち当たります。また、逆に“健康的な”「右脚ブロック」の一部に「右室肥大」の“濡れ衣”を着せてしまうことが少なくないというのも“バッグにオレンジ”基準の弱点でもあります。どちらかと言うと、後天性よりは先天性の心疾患の方がよく当てはまるようです。最近では、小児期に修復手術が行われた方を成人患者として迎え入れるケースも増えていると思います。そうした方の多くは今回に似た心電図であり、その場合は「右室肥大」の合併を正確に診断できる確率が高くなるわけです。“Dr.ヒロの所感と全体まとめ”上記2つ以外にも、血まなこになって教科書やガイドライン、そして文献を探し、最終的には「完全右脚ブロック」の心電図の場合、完璧な「右室肥大」診断基準はない、という考えに着地しました…。先述のガイドラインも、こうした流れを汲んでのコメントなのかもしれません。しかし、ボクは普段どうしているのか、それを最後に述べたいと思います。■ポイント:Dr.ヒロ流!右脚ブロックと右室肥大の合併病態に対する考え方■1)「右脚ブロック」を見たら一瞬でも「右室肥大」の合併を考慮2)Barker-Valencia基準:「R'>10 or 15mm」をチェック3)「右軸偏位」(できれば「+110°」以上)と「右房拡大」を確認4)臨床背景を確認する―「右室肥大」を呈する病態か?「右脚ブロック」と「右室肥大」の合併を見落とさないためには、「右脚ブロック」を見た時、ほんの一瞬でも“似たもの”な「右室肥大」に思いをはせること。そして“バッグにオレンジ”基準を割と大事にしつつ、QRS電気軸と右房の情報を取りにいきます。ズルいのかもしれませんが、最後に病歴やその他の検査所見などを総合して考えていくようにします。これがDr.ヒロ流心電図の判読法。一つの心電図だけでは勝負せず、“+α情報”を確認する意識をつけることで心電図の能力は一段と磨かれると信じているからです。ちなみに、「完全左脚ブロック」の場合には「右室肥大」と診断するための“決定打”はなく、よく言われるのは「左脚(ブロック)なのに右軸(偏位)」というものだと思います。ただ、これもかなり“ドンブリ”的な見方ですので、 あまり執着せずに、「完全左脚ブロック」なら細かな波形診断は諦めるスタンスでも良いかもしれません。現実的な話では、心電図は決して「心室肥大」の診断に長けているわけではありません。その上で、「右脚」にせよ「左脚」にせよ、QRS幅が広くなる「心室内伝導障害」では、ただでさえ不得手な「右室肥大」の診断精度をより低下させてしまうという現実を知っておくべきだと思います。今回の内容はまあまあハイレベルな内容ですので、非専門医の先生ですと必ずしも要求されない知識かもしれませんが、知っておくと診断の幅がだいぶ広がると思います。それでは、4回にわたってだいぶ詳しく扱った「右室肥大」の話題はここで終了。次回はこれまでの知識を総動員させたクイズを出しますよ。それではまた!Take-home Message「右脚ブロック」の存在は「右室肥大」の心電図診断の感度・特異度をさらに低下させる!“後半成分”(R’波)がより“強調”された「右脚ブロック」では「右室肥大」の合併を疑え―“不完全”は1.5倍、“完全”なら2倍1)Myers GB, et al. Am Heart J. 1948;35:1-40.2)Sokolow M, Lyon P. Am Heart J. 1949;38:273-294.3)日本循環器学会/日本小児循環器学会編. 2016年版学校心臓検診のガイドライン.4)Booth RW, et al. Circulation. 1958;18:169-176.5)Barker JM, Valencia F. Am Heart J. 1949;38:376-406.6)Barker JM. The Unipolar Electrocardiogram. 1st ed. Appleton-Century-Crofts;1952.【古都のこと~天ヶ瀬ダム】この連載では寺社について扱うことが多いですが、今回はダムに目を向け、天ヶ瀬ダム(宇治市)について話しましょう。平等院から宇治川沿いに車で登って10分ほどで到着します。改めて京都が山に囲まれていることを実感できます。1964年に竣工した多目的ドーム型アーチ式コンクリートダム*1で、規模は堤高73m・堤頂254m・堤体積16万4,000m3。総貯水量2,628万m3は東京ドーム20杯分です。休憩がてら下流域を散策していると、歓声が上がり、振り向くとコンジット(放流管)ゲートから放流です! その迫力の眺めにしばらく圧倒され、その後、なぜかスッキリとした気分になったのでした。当日はかないませんでしたが、次回来るときは必ず「天端(てんば)」(堤頂通路)に上がってアーチの曲線美に酔いしれようと思います。現在は「宇治川の渓谷と調和する放水設備」の再開発工事中*2ですが、皆さんも“大人の社会見学”をぜひ!*1:ダムカードに記載された「目的記号」は“FWP”。洪水調整(F:flood control)、上水道(W:water supply)、発電(P:power generation)。*2:2022年2月末まで。

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事例010 ラベプラゾール(商品名:パリエット)の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例ではラベプラゾール(商品名:パリエット)錠20mgとその処方期間がB事由「医学的に過剰・重複と認められるものをさす」にて査定となりました。病名には、「維持療法の必要な逆流性食道炎」が記載されています。添付文書を確認してみると、「再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、通常、1回10mgを1日1回経口投与する」とあり、「効果不十分な場合は、1日20mgへ増量も可能」と記されています。しかしながら、レセプトの他の項目に目をやると、内視鏡などの診療をもとに効果不十分であった根拠や補記が見当たりません。事例では「通常の治療としての投与」と判断され、20mgは過剰であると査定されたものです。審査上で判断された治療としての投与は、通常8週間56日分までが限度とされ、期間の延長が可能とは記されておらず、56日分を超えた処方は認められていません。したがって、超過する14日分が過剰として査定されたものです。保険診療で認められていても、次の段階の医療提供を必要とする場合には、レセプトを第三者が見てもわかるように、あらかじめの病名追加や症状詳記を行っておく必要があるのです。

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躁病エピソードに対するリチウムと抗精神病薬の併用

 韓国・漢陽大学校のHyun Kyung Lee氏らは、双極性障害患者の躁病エピソードに対するリチウムと抗精神病薬の併用について、人口統計学的予測因子の検討および入院期間や総医療費に及ぼす影響の調査を行った。Cureus誌2020年6月11日号の報告。 韓国入院患者サンプルを用いて、リチウム治療を行った躁病エピソードを有する成人双極性障害患者1,435例を調査した。入院期間や総医療費への影響を調査するため、同等性評価を伴う独立標本t検定を用いた。ロジスティック回帰モデルを用いて、併用療法のオッズ比(OR)を算出し、95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・併用療法を行っていた患者の割合は、34.5%であった。・併用療法を行っていた患者と単剤療法を行っていた患者の間に、年齢、性別による統計学的な有意差は認められなかった。・併用療法を行っていた患者の割合が高かった因子は、以下のとおりであった。 ●75パーセンタイル以上の高所得世帯の患者:56.4% ●民間保険でカバーされている患者:47.5%・白人と比較し、黒人(OR:2.00、95%CI:1.43~2.82)とヒスパニック系(OR:2.31、95%CI:1.49~3.57)は、併用療法の割合が高かった。・併用療法により、躁病エピソードのマネジメントのための入院期間が有意に減少した(2.8日、95%CI:1.13~4.53、p<0.001)。・総医療費には、統計学的に有意な差は認められなかった(p=0.495)。 著者らは「リチウムと抗精神病薬の併用療法は、リチウム単剤療法と比較し、双極性障害患者の躁病エピソードの入院期間を2.8日減少させた。入院初日から併用療法を開始することは、より迅速な反応を得るための効果的なモデルであると考えられる」としている。

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HFrEFへのエンパグリフロジン、心血管・腎への効果は/NEJM

 2型糖尿病の有無を問わず慢性心不全の推奨治療を受けている患者において、エンパグリフロジンの投与はプラセボと比較して、心血管死または心不全増悪による入院のリスクを低下することが、米国・ベイラー大学医療センターのMilton Packer氏らによる3,730例を対象とした二重盲検無作為化試験の結果、示された。SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の有無を問わず、心不全患者の入院リスクを抑制することが示されている。同薬について、駆出率が著しく低下した例を含む幅広い心不全患者への効果に関するエビデンスが希求されていたことから、本検討が行われた。NEJM誌オンライン版2020年8月29日号掲載の報告。左室駆出率が40%以下に低下した3,730例を対象にプラセボ対照無作為化試験 試験は、慢性心不全(NYHA機能分類II、III、IV)で左室駆出率が40%以下に低下した18歳以上の成人患者3,730例を対象に行われた。 被験者を無作為に2群に割り付け、推奨治療に加えてエンパグリフロジン(10mg 1日1回、1,863例)またはプラセボ(1,867例)を投与し追跡した。 主要アウトカムは、心血管死・心不全増悪による入院の複合であった。DM有無を問わず、心血管死・心不全増悪による入院のリスクを有意に低下 中央値16ヵ月の追跡期間中に、主要アウトカムのイベントは、エンパグリフロジン群では361/1,863例(19.4%)に、プラセボ群では462/1,867例(24.7%)に発生した(心血管死・心不全増悪による入院のハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.65~0.86、p<0.001)。主要アウトカムへのエンパグリフロジンの効果は、2型糖尿病の有無を問わず認められた。 また、階層的検定手順で規定した副次アウトカムである、心不全による入院の総発生件数について、プラセボ群と比べてエンパグリフロジン群で有意に低下したことが(HR:0.70、95%CI:0.58~0.85、p<0.001)、同様に推定糸球体濾過率(eGFR)の年率低下についても有意に遅延させたことが(-0.55 vs.-2.28mL/分/体表面積1.73m2/年、p<0.001)示された。 そのほか、事前に規定されていた解析において、エンパグリフロジン治療を受けた患者は、重篤な腎アウトカムのリスクが低いことも示された(HR:0.50、95%CI:0.32~0.77)。なお、合併症のない性器感染症発生の報告頻度が、エンパグリフロジン群で高かった。

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J-CLEAR特別座談会「COVID-19と循環器疾患」

J-CLEAR特別座談会「COVID-19と循環器疾患」出演東京都健康長寿医療センター顧問 桑島 巌氏東海大学医学部内科学系(循環器内科)教授 後藤 信哉氏久留米大学医療センター循環器内科教授 甲斐 久史氏佐賀大学医学部循環器内科教授 野出 孝一 氏循環器の専門医4名がWeb上に集結し、COVID-19に関わる最新の国内外のデータや臨床的知見について解説・討論いただいた。現在までに報告されている知見に基づいて、4名の専門医がCOVID-19と高血圧、血栓症、糖尿病、心不全について科学的に徹底討論。

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第24回 新型コロナワクチンの開発中断が他ワクチン推奨をも阻む?

世界が固唾を呑んで見守っている新型コロナウイス(SARS-CoV-2)に対するワクチン開発。その中で最も先行していると言われる英国・アストラゼネカ社とオックスフォード大学が共同開発中の「AZD1222」に関して副作用を疑われる症状を呈した患者が報告されたという不穏なニュースが飛び込んできてから1週間が経つ。各種報道によるとフェーズ3の参加者の1人で横断性脊髄炎(TM:transverse myelitis)を発症したことが報告されたという。正直、私個人は一般向けに正確に伝えることが非常に難しい問題だと感じている。まず、一般向けメディア各社の第一報を見てみよう。アストラゼネカのワクチン治験が中断 深刻な副反応疑い(朝日新聞)英製薬大手、新型コロナの臨床試験中断 副作用疑いの事例(産経新聞)被験者に神経障害か ワクチン治験中断 専門家「生命に関わる可能性」(毎日新聞)英アストラゼネカ、コロナワクチンの臨床試験を中断…参加者が原因不明の病気発症(読売新聞)今回のニュースに接した医療従事者の中には「とりあえず有害事象があったということで、そんなに騒ぐことじゃないんじゃない?」と思った人も少なくないはずだ。実は私もほぼ同じ感覚である。ところがまさにこの感覚が一般向けには伝えにくい点なのである。そもそも上記記事を見ればよく分かるが、今回の横断性脊髄炎に関する扱いに関して朝日は「副反応」、産経、毎日は「副作用」、読売は「安全性に関する問題」と表現している。たぶん医学的厳格さを重視すれば、産経、毎日のように「副作用」という表記をすることに違和感があるだろう。釈迦に説法だが、改めて整理すると、薬剤・ワクチンの臨床試験中に起こった好ましくない身体症状を「有害事象」と呼び、このうち薬剤・ワクチンとの因果関係が否定できないものが「副作用」と称されるが、ワクチンに関しては化学物質である薬剤と違い、その化学作用ではなく、ヒトの免疫機序に伴い有害な反応が起こることもあるため「副反応」と表記することになっている。一般市民にはとりあえずの「副作用」表記ところが、一般向けには「有害事象」と「副作用」「副反応」の違いを理解させるよう説明することはかなり困難な作業なのである。そもそもレガシー・メディアと呼ばれる新聞・テレビは1つのニュースに使える文字数・時間というリソースは限られている。「有害事象」と「副作用」「副反応」の違いのような、ややまどろっこしい説明をしている余裕がないのが現実だ。さらにいえば新聞・テレビと比べ、文字数・時間制約が少ないはずのネットメディアでもこのような丁寧な説明は難しい。現在、一般向けネットメディアでの記事1本当たりの文字量は3000~4000字くらいが相場だ。簡単に言えば、長いモノは読まれない、「丁寧な説明」はむしろ「回りくどい」と受け取られる可能性のほうが高いのである。だからメディアの多くは一番わかりやすい「副作用」という言葉に飛びついてしまう。ちなみにワクチン接種に伴う重篤な副反応の発現頻度については「〇万回接種当たり△人」という表現も一般向けにはやや分かりにくいことが多く、「それは〇万人当たり△人ですよね」と聞き返されることもしばしば。もっともこちらのほうは「ワクチンの場合、種類によっては1人で2回以上打つことで接種スケジュールが完了するものも少なくないので、回数で表すんです」と言えば分かってもらえることがほとんどである。しかも、ワクチンの場合、疾病に罹患している人への対応ではなく、あくまで健康な人が対象になる。そしてここで期待される効果は予防という証明がしにくいもので、なおかつ多くは注射という侵襲を伴うため、余計のこと副反応については敏感になりやすい。ワクチンと言えば、反ワクチン勢力が湧いて出てくるのはこうした特殊性ゆえである。つまるところ、ワクチンに関する情報発信というのは、ベースに一定の反対勢力を抱え、そこで使われる用語が込み入っているという二重苦を抱えている極めて不利な分野である。実際、Twitterで「アストラゼネカ」のキーワード検索で表示される「話題のツイート」などを見ると、この報道を機にワクチンに関するネガティブな情報の拡散が進んでいることをうかがわせる。副反応の横断性脊髄炎にビビるべき?とはいえ、とりあえず有害事象だとしても今回の横断性脊髄炎はやや気になるのも現実である。横断性脊髄炎は脊髄のある場所で横方向に炎症を起こす神経障害。主な症状は背部痛、足のしびれなどの感覚異常などで、そこから急速に下半身の麻痺や排せつ障害などに発展することもある。原因はいまだ不明だが、ウイルス感染症などに伴い発症するともいわれる自己免疫性疾患である。従来から既存のワクチンでも起こる副反応として知られているが、たとえばアメリカでの4価HPVワクチンでの発現頻度は10万接種当たり0.04であり、極めてまれな副反応である。一応、イギリスではいったん中断された臨床試験は再開されたようだが、日米ではまだ慎重に様子を見ている状況である。その意味では今回のAZD1222での報告が単なる有害事象の範疇なのか、それとも一歩進んで副反応と判定されるかは非常に気になるところではある。もし、副反応と判定されれば、まだ数万人程度の中での発生ということでかなり頻度としては高いという判断も成り立つ。そしてこれはアストラゼネカ社にもオックスフォード大学にも罪はないのだが、もしワクチン開発で先頭を走る今回のAZD1222の臨床試験が失敗に終わると、それは単なる現在の閉そく感を打破する希望の光を失うという意味を超えて、今後私たちは非常に複雑で入り組んだ問題を抱えることになる。それはワクチン全体への不信感とそれに伴う既存の有用なワクチンの接種勧奨が困難を増すという事態である。

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日本人双極I型うつ病に対するルラシドン単剤療法~二重盲検プラセボ対照試験

 主に米国と欧州で実施されたこれまでの研究において、双極I型うつ病に対するルラシドン(20~120mg/日)の有効性および安全性が報告されている。理化学研究所 脳神経科学研究センターの加藤 忠史氏らは、日本人を含む多様な民族的背景を有する患者において、双極I型うつ病に対するルラシドン単剤療法の有効性および安全性を評価した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年8月22日号の報告。 対象患者を、ルラシドン20~60mg/日群(182例)、同80~120mg/日群(169例)、プラセボ群(171例)にランダムに割り付け、6週間の二重盲検治療を実施した。主要評価項目は、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)のベースラインから6週目までの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・ルラシドン20~60mg/日群で、プラセボと比較し、ベースラインから6週目までのMADRS合計スコアの有意な減少が認められた。しかし、ルラシドン80~120mg/日群では、有意な差は認められなかった。 ●ルラシドン20~60mg/日群:-13.6(調整後p=0.007、エフェクトサイズ:0.33) ●同80~120mg/日群:-12.6(調整後p=0.057、エフェクトサイズ:0.22) ●プラセボ群:-10.6・ルラシドン20~60mg/日群では、MADRS治療反応率、機能障害、不安症状の改善も認められた。・ルラシドン治療による体重増加、脂質、血糖コントロール値に対する影響は、最小限にとどめられた。 著者らは「ルラシドンは、高用量ではなく20~60mg/日の単剤での使用で、双極I型うつ病患者のうつ症状や機能を有意に改善した。この結果は、これまでの研究と全体的に一致しており、日本人を含む多様な民族において、ルラシドン20~60mg/日による治療は有効かつ安全であることを示唆している」としている。

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EGFR変異陽性肺がんアファチニブ→オシメルチニブのシークエンシャル最終解析(GioTag)/ベーリンガー

 ベーリンガーインゲルハイムは、2020年9月2日、GioTagアップデート研究の最終解析結果を発表した。同研究は、T790M変異を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんにおいて、アファチニブの初回治療後にオシメルチニブを投与する治療法を評価したリアルワールド、レトロスペクティブ観察研究。 結果、解析患者203例におけるアファチニブからオシメルチニブへのシークエンシャル治療の全生存期間(OS)中央値は37.6ヵ月、治療成功期間(TTF)は27.7ヵ月に達した。  Del19変異陽性患者のOS中央値は41.6ヵ月、TTF中央値は37.1ヵ月であった。アジア人患者のOSは44.8ヵ月、TTFは37.1ヵ月。Del19陽性アジア人患者のOSは45.7ヵ月、TTFは40.0ヵ月となった。 また、安定した脳転移を有する患者群ではOS 31ヵ月、TTF 22.2ヵ月。65歳以上の患者群ではOS 36.9ヵ月、TTF 27.3ヵ月、ECOG PS2以上の患者群ではOS 32ヵ月、TTF 22.2ヵ月であった。

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