サイト内検索|page:816

検索結果 合計:35665件 表示位置:16301 - 16320

16301.

第16回 デジタル化が進んでも、繰り返される「CT見落とし」

旭川医科大学病院でCT見落としを公表こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。なかなか梅雨が明けません。本来ならこの時期、梅雨前線は太平洋高気圧に押し上げられ、本州はとっくに梅雨明けしているはずです。しかし前線は依然、日本列島近辺に居座ったままです。この連休、越後の山に行こうと計画しているのですが、長引く梅雨とGo To トラベルキャンペーン東京除外もあり、どうやら中止になりそうです。そう言えば、先日、テレビのバラエティ番組で、遠出や旅行が出来ない時の楽しみとして、Googleのストリートビューを使ったバーチャル旅行や登山を紹介していました。しばらくは、デジタルの世界の登山でお茶を濁すとしましょうか…。今回気になったのは、旭川医科大学病院(北海道)の「CT見落とし」のニュースです。7月10日、同病院は、担当医師が、別の医師からの病理組織やCTの検査報告書でがんの疑いを指摘された計8人分について気付かず、結果的に放置したなどで診断が遅れたことを発表しました。該当するケースは2011年から発生しており、すでに80代の男女3人が死亡、うち1人は救えた可能性が高く、死亡した他の2人についても診断遅れによる影響は「否定できない」としています。10日付けの共同通信の報道によれば、「担当医からの依頼に基づき、別の医師が報告書を作成してコンピューターで患者の電子カルテに登録するが、8人については登録そのものに気付かなかった。また、CTの画像で自分の専門領域は確認したが、他部位のがんの兆候を見落とした上で、報告書にも気付いていなかったケースもあった」とのことです。頻繁に起こっているインシデントそもそも、2011年以降のCT見落としが、なぜ今頃になって明らかにされたのでしょうか。報道によれば、2016年に患者1人の検査報告書の見落としが判明。調査したところ、この患者のほかに計7人の診断遅れが見つかった、とのことです。発表まで4年もかかったことについて病院側は「すべて調べた上で、対策と共に報告しようと考えた」と釈明、見落としについては「医師の認識不足で、重大なミスと捉えている。登録を通知するシステムもなかった」と答えたとのことです。現在は通知システムが導入され、同様のミスが起こらない仕組みが整えられているそうです。さて、このニュース、最近もどこかで聞いたことがある、と思いませんでしたか? そうです、2018年に同様のCT見落としが千葉大学医学部附属病院で明らかになり、全国紙でも大きく報じられています。千葉大学医学部附属病院は2018年6月、CTによる画像診断で患者9人について見落としがあり、4人に影響があり、そのうち2人、腎がんの60代女性と、肺がんの70代男性ががんの適切な治療が行われず死亡した疑いがあることを明らかにしました。この時は、芋づる式のように、兵庫県立がんセンター、横浜市立大学附属病院でのCT見落としも相次いで明らかになっています。なお、千葉大学医学部附属病院はその1年後の2019年5月、前年に確認ミスがあったことを発表した4人のうち新たに1人、60代男性が膵がんで死亡したことを発表しました。この時、残りの1人についても治療結果への影響があることも発表しています。CTの見落としは、旭川医大や千葉大のような大学病院で発覚すると大々的に報道され、また起こったのか、と一般の人は驚きますが、医療現場では結構頻繁に起こっているインシデントです。事実、日本医療機能評価機構が定期的に報告している「医療安全情報」では、2012年2月と2018年5月の2回、「画像診断報告書の確認不足」をテーマに掲げ、「画像を確認した後、画像診断報告書を確認しな かったため、検査目的以外の所見に気付かず、 治療が遅れた事例が報告されています」と注意喚起をしています。2018年5月の医療安全情報No.138では、2015年1月〜2018年3月の報告事例を集計していますが、37件中36件がCTの事例でした。デジタルだけに頼る見落とし防止システムには限界?CT見落としについては、いろいろなところでその原因や対策が論じられていますので、ここでは多くは述べませんが、見落としが生じる原因の1つは、CTの読影が主治医ではなく放射線科医が担当する分業体制になっているにもかかわらず、この2者間のコミュニケーションが電子カルテ上のシステムだけに頼り過ぎている点にあるのではないでしょうか。仮に、主治医が胸部専門で肺がんの患者のフォローアップをしている、とします。読影担当の放射線科医がCT画像で膵臓に気になる影を見つけ、それをレポートしたとしても、主治医がレポートを読まず(あるいはじっくり目を通さず)、自分の専門の肺のCT画像だけチェックしたとしたら、そこに見落としが生じます。この時、放射線科医が主治医に会いに行くなり、電話するなりして直接「膵臓に気になる影があるよ」と伝えていれば、消化器科で患者を診てもらおう、ということになるでしょう。しかし、実際のところ多忙な大病院ではそうしたアナログな連絡方法はなかなかシステム化されません。結果、電子カルテ上で、見落としを防ぐための仕組みの導入が進められるわけですが、いつまでたってもCT見落としがなくならないのは、デジタルだけに頼った見落とし防止システムには限界がある、ということかもしれません。そういえば、筆者が雑誌の編集長をしていた時、校了日の直前に重要な会議に出席し忘れる、というミスを何回か犯しました。会議直前のリマインドは、往々にしてメールで来るのですが、バタバタしているときはメールなんて読みません。会議が終わってから「メールで連絡したはずだ!」と叱られたのですが、正直困りました。「今日、〇〇の会議があります!」と一本電話くれればよかったのに、と思ったものです。ポスト・コロナの時代、医療現場に限らず、あらゆる業務はデジタル化が加速していくでしょう。17日に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」では、社会全体のデジタル化を進めるため、今後1年を集中改革期間と位置づけ、行政手続きのオンライン化などが推進されるようです。しかし、デジタルは万能ではありません。実際、バーチャルでは山には登れません。意外に情報量の多いアナログの仕組みも、デジタルとうまく組み合わせていかないと、「CT見落とし」のような死にもつながるインシデントが、逆に社会の中で増えていくような気がしてなりません。

16302.

第25回 薬剤師なのにタイドアップな理由【噂の狭研ラヂオ】

動画解説今回は常にスーツ姿がばっちり決まっているという噂の愛知県ドラッグストアー・カミヤの神谷政幸社長との対談。薬局の息子あるある話に盛り上がる2人ですが、神谷先生の最初の就職先は製薬会社でトップセールスMR。トレードマークのタイドアップは、決まった時間に決まったスーツ姿で訪問するという当時の「きっちりした人」キャラクター戦略が起源だそうです。

16303.

双極性障害の薬理学的マネジメント~日本の専門医のコンセンサス

 慶應義塾大学の櫻井 準氏らは、双極I型障害および双極II型障害の精神薬理学的治療に関する日本臨床精神神経薬理学会が認定する専門医によるコンセンサスガイドラインを作成することを目的に本研究を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年6月17日号の報告。 日本臨床精神神経薬理学会が認定する専門医を対象に、双極性障害治療における19の臨床状況について、9段階のリッカート尺度(同意しない「1」~同意する「9」)を用いて、治療オプションの評価を依頼した。119件の回答が得られた。治療オプションを、1次、2次、3次治療に分類した。 主な結果は以下のとおり。・双極I型障害の治療では、以下の第1選択として、リチウム単剤療法が推奨された。 ●躁病エピソード(平均±標準偏差:7.0±2.2)●うつ病エピソード(7.1±2.0)●維持期(7.8±1.8)・リチウムと非定型抗精神病薬の併用療法は、以下の場合に推奨された。●躁病エピソード(7.7±1.7)●うつ病エピソード(7.1±2.0)●混合性の特徴を伴わない(6.9±2.2)●維持期(6.9±2.1)・双極II型障害の治療では、以下の第1選択として、リチウム単剤療法が推奨された。 ●躁病エピソード(平均±標準偏差:7.3±2.2)●うつ病エピソード(7.0±2.2)●維持期(7.3±2.3)・リチウムと非定型抗精神病薬の併用療法は、躁病エピソード(6.9±2.4)に推奨された。・抗精神病薬単独療法または抗うつ薬治療は、いずれの場合においても第1選択として推奨されなかった。 著者らは「本知見は、現在のエビデンスを反映しており、双極性障害に対するリチウム治療のエキスパートコンセンサスが得られた。また、双極性障害に対する抗精神病薬および抗うつ薬の使用では、有効性と忍容性を考慮する必要がある」としている。

16304.

ASCO作成COVID-19流行下のがん治療の指針、和訳版を公開/日本治療学会

 日本治療学会は7月9日、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が作成した「ASCOスペシャルレポート:COVID-19の世界的流行下におけるがん治療の実施に関する指針」をホームページ上で公開した。この指針は、COVID-19 の世界的大流行への対応を継続する中で患者および医療スタッフの安全性を保護するため、がん診療で実施可能な即時および短期の措置についてASCOが世界的視野に立ち作成、5月19日に発表されたもの。 和訳版は全22ページからなり、下記20項目について知見がまとめられている:・トリアージ/スクリーニング・COVID-19検査中/陽性の患者・COVID-19診断検査・感染防止対策・勤務者・リソースおよび資材・医療機関における留意事項・指定区域でのサービスおよび診療時間・COVID-19感染が急増した場合の計画・衛生関連手順・サポートサービス・健康および安全性に関する患者教育・遠隔医療・腫瘍内科・腫瘍放射線治療・付帯的サービス・がんスクリーニング・手術・治験・その他 役立つ参考文献

16305.

セクキヌマブ、体軸性脊椎関節炎にFDA承認 /ノバルティス

 ノバルティス ファーマ株式会社は、同社が製造販売するセクキヌマブ(商品名:コセンティクス)が、X線基準を満たさない活動性の体軸性脊椎関節炎(以下「nr-axSpA」という)の治療薬として米国食品医薬品局(FDA)の効能追加承認を取得したと発表した。 体軸性脊椎関節炎(以下「axSpA」という)は、慢性炎症性背部痛を特徴とする慢性炎症性疾患。axSpAの疾患スペクトラムには、X線基準により仙腸関節の損傷が確認される強直性脊椎炎(以下「AS」という)と、X線基準により明らかな関節損傷が認められないnr-axSpAが含まれる。axSpAによる身体的な制限は、患者のADLやQOLに重大な影響を与える疾患である。安全に主要評価項目を達成し患者QOLなどを改善 セクキヌマブ(以下「本剤」という)の効能追加承認では、nr-axSpAの第III相臨床試験であるPREVENT試験の有効性および安全性に基づいて行われた。 PREVENT試験は、生物学的製剤による治療経験の無い患者もしくは以前にTNF-α阻害剤による治療で効果が不十分であったり、忍容性不良であった活動性nr-axSpAの成人患者555例が参加して行われた試験。 本剤群は、プラセボ群と比較し、生物学的製剤による治療経験の無い患者で52週目において国際脊椎関節炎評価学会が作成した指標(ASAS40)で評価したnr-axSpAの兆候と症状が統計的に有意な改善を示し主要評価項目を達成した。 本剤の導入投与有り、導入投与無しの両群において、nr-axSpA患者は、プラセボ群と比較して、強直性脊椎炎QOL(ASQoL)質問票において16週目で健康関連QOLの改善を示した(最小二乗平均変化:それぞれ16週目:-3.5および-3.6対-1.8)。 健康状態および生活の質を、Short Form Health Survey(SF−36)で評価した結果、16週目において本剤で治療された患者では、SF-36身体要素スコア(PCS)および精神要素スコア(MCS)において、ベースラインから改善を示した。 安全性では、PREVENT試験における本剤の安全性プロファイルは、以前の臨床試験と一致することが示され、新たな安全性シグナルは報告されなかった。セクキヌマブの概要 セクキヌマブは、初のヒト型生物学的製剤で、乾癬性関節炎、中等度から重度の尋常性乾癬、ASおよびnr-axSpAの炎症と発症に中心的役割をもつサイトカインであるインターロイキン17A(IL-17A)を直接阻害する。 セクキヌマブは上市以来、世界で34万人を超える患者が投与を受けており、日本では「尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、強直性脊椎炎」(いずれも既存治療で効果不十分の場合)の4つの疾患で適応を取得している。

16306.

バロキサビル、インフルエンザの家族間感染予防に有効/NEJM

 インフルエンザの家族間感染予防に、バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ、以下バロキサビル)の単回投与が顕著な効果を示したことが報告された。リチェルカクリニカの池松 秀之氏らによる多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果で、NEJM誌オンライン版2020年7月8日号で発表された。バロキサビルは、ポリメラーゼ酸性タンパク質(PA)エンドヌクレアーゼ阻害作用を有し、合併症リスクの高い外来患者などを含む合併症のないインフルエンザの治療効果が認められている。しかし、バロキサビルの家庭内での曝露後予防効果については、明らかになっていなかった。初発家族にバロキサビルまたはプラセボを投与し、接触家族への予防効果を検証 研究グループは、日本国内52の診療所で、インフルエンザ2018~19シーズン中に、家庭内で最初にインフルエンザの感染が確認された家族(指標患者)の家庭内接触者(接触家族)における、バロキサビルの曝露後予防効果について検証した。 指標患者を1対1の割合で無作為に割り付け、バロキサビルまたはプラセボの単回投与を行った。 主要エンドポイントは、投与後10日間におけるRT-PCR検査によって臨床的に確認されたインフルエンザウイルスへの感染とした。また、感受性の低下と関連するバロキサビルに選択的なPA変異ウイルス株の発生も評価した。高リスク、小児、ワクチン未投与のグループで効果を確認 合計で指標患者545例、接触家族752例が、バロキサビル群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。 指標患者において、95.6%がインフルエンザA型に感染しており、73.6%が12歳未満で、52.7%がバロキサビルの投与を受けた。 評価を受けることが可能であった患者(バロキサビル群374例、プラセボ群375例)において、臨床的にインフルエンザの感染が確認された割合は、バロキサビル群がプラセボ群よりも有意に低かった(1.9% vs.13.6%、補正後リスク比[RR]:0.14、95%信頼区間[CI]:0.06~0.30、p<0.001)。サブグループでは、高リスク、小児、ワクチン未投与のグループで、バロキサビルの効果が確認された。また、症状を問わずインフルエンザへの感染リスクは、バロキサビル群がプラセボ群よりも低かった(補正後RR:0.43、95%CI:0.32~0.58)。 有害事象の発生頻度は両群で類似していた(バロキサビル群22.2%、プラセボ群20.5%)。 バロキサビル群における変異ウイルス株の検出は、PA I38T/M変異ウイルス株が10/374例(2.7%)、PA E23K変異ウイルス株が5/374例(1.3%)であった。プラセボ群において、これらの変異ウイルス株の伝播は確認されなかったが、バロキサビル群ででは数例の伝播があったことが否めなかった。

16307.

緩和ケアは非がん患者の救急受診と入院を減らす?/BMJ

 緩和ケア(palliative care)は、非がん患者においても潜在的ベネフィットがあることが、カナダ・トロント大学のKieran L. Quinn氏らによる住民ベースの適合コホート試験で示された。人生の終末期(end of life:EOL)が近い患者の多くは、救急部門の受診および入院の頻度が高く、それが人生の質を低下するといわれていれる。緩和ケアは、がん患者についてはEOLの質を改善することが示されているが、非がん患者に関するエビデンスは不足していた。今回の結果を踏まえて著者は、「EOLは、医師のトレーニングへの持続的な投資とチーム医療で行う緩和ケアの現行モデルの利用を増やすことで改善可能であり、医療政策に重大な影響を与える可能性があるだろう」と述べている。BMJ誌2020年7月6日号掲載の報告。救急部門受診率、入院率、ICU入室率などを緩和ケア非受療患者と比較 試験はカナダ・オンタリオ州の住民を対象に行われた。2010~15年に、医療機能を問わず入院し、最後の6ヵ月間に医師による緩和ケアを開始した、がんおよび非がん疾患で死亡した成人11万3,540例を特定。入院医療リンクデータを用いて、死因、病院のフレイルリスクスコア、転移がんの有無、居住地(オンタリオ州のすべての医療サービスを編成する14の地域医療統合ネットワーク区分で分類)、および緩和ケアを受ける蓋然性(年齢・性別で導出した傾向スコア)で患者を特徴付け、直接的に照合して1対2の割合となるよう緩和ケアを受けなかった対照群を特定した。 主要評価項目は、救急部門受診率、入院率、ICU入室率と、初回緩和ケア後の在宅死vs.院内死のオッズ比(OR)であった。患者の特性(年齢、性別、並存疾患など)で補正を行った。緩和ケア群のほうが救急部門受診などは低率、在宅/ホーム死は高率 慢性臓器障害(心不全、肝不全、脳卒中)に関連していた非がん死患者において、緩和ケア受療群は非受療群と比較して、救急部門受診率(粗発生率1.9[SD 6.2]vs.2.9[8.7]人年、補正後率比[RR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.85~0.91)、入院率(6.1[10.2]vs.8.7[12.6]人年、0.88、0.86~0.91)、ICU入室率(1.4[5.9]vs.2.9[8.7]人年、0.59、0.56~0.62)は低かった。さらに、これらの患者では、院内と比較して在宅またはナーシングホームでの死亡ORが高いことが確認された(6,936例[49.5%]vs.9,526例[39.6%]、補正後OR:1.67、95%CI:1.60~1.74)。 全体的に、認知症による死亡患者においては、緩和ケアはICU入室率の低下とは関連せず(0.2[2.1]vs.0.2[2.1]人年、1.03、0.96~1.11)、救急部門受診率(1.2[SD 4.9]vs.1.3[5.5]人年、補正後RR:1.06、95%CI:1.01~1.12)、入院率(3.6[8.2]vs.2.8[7.8]人年、1.33、1.27~1.39)の増加と関連したが、在宅/ナーシングホームでの死亡ORは低かった(6,667例[72.1%]vs.1万3,384例[83.5%]、補正後OR:0.68、95%CI:0.64~0.73)。 一方で、これらの割合は、認知症で死亡した患者が居宅で暮らしていたかナーシングホームに入所していたかによっても異なった。同居宅患者では、医療サービスの利用と緩和ケアとに関連性はみられず、在宅での死亡ORが高かった。

16308.

ISCHEMIA-CKD試験における血行再建術の有用性検討について(解説:上田恭敬氏)-1259

 中等度から高度の心筋虚血所見を認める重症CKD合併安定狭心症患者に対して、薬物療法に加えて血行再建術(PCIまたはCABG)を施行する(invasive strategy)か否か(conservative strategy)で2群に無作為に割り付けたRCTであるISCHEMIA-CKD試験からの報告で、invasive strategyの症状軽減効果について解析した結果である。 3ヵ月の時点ではinvasive strategyで症状軽減効果が示されたが、3年後にはその差は消失した。また、試験登録時の症状出現頻度が低いほど、その有効性は小さかった。著者らはconservative strategyに比してinvasive strategyに有用性はないと結論している。 本当に意味のない試験あるいは解析と言ったら言い過ぎだろうか。まず、試験登録時点で症状を認めない患者が約半数含まれており、これらの対象患者への症状軽減効果を検討すること自体無意味であろう。また、invasive strategy群に割り付けられた患者が実際に血行再建術を受けた割合が約50%というのもお粗末な結果である。血行再建術を行わなかった「common」な理由として狭窄病変がなかったことと記載されていることや、そもそも虚血評価をコアラボで行っていないことから考えると、適切な対象患者が選択されたのか疑問である。さらに、conservative strategy群でも約20%の患者で血行再建術が施行されていることも、invasive strategyの効果を正しく検証することを妨げる要因となっているだろう。 明らかに労作性狭心症の原因となる狭窄病変があり、血行再建術が成功すれば、症状は消失あるいは軽減するはずである。その有効性が失われるとすれば、血行再建術の不成功、再狭窄や新規病変の出現が原因となることが想定されるが、この影響がCKDを合併している患者群においては大きいかもしれず、血行再建術の効果が十分発揮されないかもしれないという考えが、本試験を企画するモチベーションとなっていたのだろう。しかし、その点を検証するには、あまりにも不適切な試験デザインとなってしまったのではないだろうか。「CKD合併狭心症患者では、症状改善効果も期待できないため、PCIをしても意味がない」といった間違ったメッセージだけがエビデンスと称して独り歩きしないか心配である。

16309.

進行胃がんに対する薬物療法が大きく変わる―免疫チェックポイント阻害薬と抗体薬物複合体(解説:上村直実氏)-1260

 本論文では既治療に対して抵抗性のHER2陽性進行胃がんを対象として、抗HER2抗体であるトラスツズマブに新規トポイソメラーゼI阻害薬のデルクステカンを結合させた抗体薬物複合体であるトラスツズマブ デルクステカンの有効性が示されている。すなわち、抗体薬物複合体により薬物の抗腫瘍効果を大きく引き上げることが証明された研究成果は特筆される。 最近、わが国における手術不能の進行胃がんに対する薬物療法が大きく変化している。TS-1を用いる1次治療の効果が少ない患者に対して行う、第2次・第3次治療におけるニボルマブ(商品名:オプジーボ)などの免疫チェックポイント阻害薬と抗体薬物複合体の登場により、従来と大きく異なる成果すなわち生存率の延長や完全寛解を示す患者を認めるようになっている。 HER2陽性胃がんは約20%を占めるが、日本で開発されたトラスツズマブ デルクステカンが米国と日本において薬事承認されたことは、根治不能とされてきた進行胃がん患者に朗報である。ただし、効果のある薬剤には重篤な副作用があることも忘れてはいけないことで、本薬剤にも骨髄抑制および間質性肺疾患の副作用が顕著にみられたことから、医療現場では注意深い投与が必須である。 このように、がんに対する有効な薬剤が盛んに開発されているが、新規薬物が非常に高価であり、日本の医療費を圧迫しつつあり、今後、国民皆保険制度の維持に大きな影を落としつつあることも事実である。さらに、がんに対する薬物の臨床試験での被検者は、薬理試験の性格上、仕方ないものと思われるが、performance status(PS)0ないしは1という日常生活にほぼ支障を認めない元気な症例でかつ75歳未満かつ肝機能や腎機能に異常を認めないというエントリー基準が多いが、薬事承認後、臨床現場で遭遇する胃がん患者は75歳以上ないしはPSが2以上であったり、腎機能の低下を認めるケースが多い。すなわち、これらの薬剤を高齢者のがん患者に対して使用する行為は科学的な根拠に基づく医療ではないことにも十分に注意しておく必要があろう。さらに言うならば、今後、臨床試験の対象者を臨床現場を考慮した基準に改めるべきと思われる。

16311.

ねころんで読める救急本【Dr.倉原の“俺の本棚”】第32回

【第32回】ねころんで読める救急本たまには医学書の書評でもやれという声が出てきたので、ここ最近でイチオシの本を紹介します。メディカ出版から、「ねころんでシリーズ」の最新版が出ました。その名も、『ねころんで読める救急患者のみかた』。「ねころんでシリーズ」の素晴らしいところは、何と言っても4コマ漫画です。めちゃくちゃかわいいイラストを描く藤井 昌子先生が、大量の4コマ漫画を掲載してくれています。『ねころんで読める救急患者のみかた:ナース・救急救命士・研修医のための診療とケア』坂本 壮/著. メディカ出版. 2020年著作権とかいろいろあると思うので、私、倉原画伯がペイントソフトで描いてみた感じでは、このようなカワイイ感じのネコがたくさん出てくるというわけです(藤井先生スイマセン)。内容については、坂本先生ならではのTIPSが大量に散りばめられており、頭の先からつま先まで、とくに若手医療従事者が気を付けてもらいたい点に絞って書かれています。サブタイトルにあるように、救急救命士にとってもよい本だと思いました。この「ねころんでシリーズ」の素晴らしいところは、本当に「ねころんで読める点」です。救急当直の合間に、笑いながらこの本を読むことをオススメします。ついでに自著も宣伝しちゃいますが、このねころんでシリーズ、実は呼吸器を2冊出版しております、てへぺろ(『ねころんで読める呼吸のすべて』、『もっとねころんで読める呼吸のすべて』)。まだまだ色褪せず、賞味期限切れしていない抱腹絶倒系医学書に仕上がっておりますので、こちらも是非要チェケラーです。『ねころんで読める救急患者のみかた:ナース・救急救命士・研修医のための診療とケア』坂本 壮 /著出版社名メディカ出版定価本体2,000円+税サイズA5判刊行年2020年

16312.

国内初、α2作動薬+炭酸脱水酵素阻害薬で眼圧を低下させる「アイラミド配合懸濁性点眼液」【下平博士のDIノート】第54回

国内初、α2作動薬+炭酸脱水酵素阻害薬で眼圧を低下させる「アイラミド配合懸濁性点眼液」今回は、緑内障・高眼圧症治療薬「ブリモニジン酒石酸塩・ブリンゾラミド(商品名:アイラミド配合懸濁性点眼液、製造販売元:千寿製薬)」を紹介します。本剤は、新しい組み合わせの配合点眼薬として、緑内障点眼薬を併用する患者さんのアドヒアランスとQOLの向上が期待されています。<効能・効果>本剤は、緑内障、高眼圧症(ほかの緑内障治療薬が効果不十分な場合)の適応で、2020年3月25日に承認され、2020年6月16日より発売されています。なお、本剤はアドレナリンα2受容体作動薬と炭酸脱水酵素阻害薬の配合剤であり、まずは単剤での治療を優先します。<用法・用量>通常、1回1滴、1日2回点眼します。<安全性>国内で実施された臨床試験における安全性評価対象360例中39例(10.8%)に副作用が認められました。主な副作用は、霧視18例(5.0%)、点状角膜炎8例(2.2%)、眼刺激6例(1.7%)、味覚異常5例(1.4%)などでした(承認時)。なお、本剤は全身的に吸収される可能性があり、α2作動薬またはスルホンアミド系薬剤の全身投与時と同様の副作用が現れることがあるので注意が必要です。<患者さんへの指導例>1.この点眼薬には2種類の有効成分が配合されており、眼圧を調整する水分(房水)の産生を抑制するとともに、排出を促進することで眼圧を下げます。2.点眼前にせっけんで手をきれいに洗ってください。キャップがしっかり閉まっているか確認し、よく振ってからキャップを開けて点眼してください。3.ほかの点眼薬を併用する場合は、少なくとも10分以上間隔を空けてから点眼してください。4.コンタクトレンズを装用している場合は、点眼前にレンズを外し、点眼後15分以上たってから再装用してください。5.本剤を使うことで、眠気、めまい、霧視などを起こす恐れがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事する場合は注意してください。6.妊娠中または授乳中の場合は、薬剤の使用について医師にご相談ください。<Shimo's eyes>緑内障・高眼圧症に対するエビデンスに基づいた確実な治療法は眼圧を下げることで、原則として単剤から治療を開始して、効果が不十分な場合に多剤併用療法が実施されます。ところが、多剤併用の場合は、5~10分以上の間隔を空けてから点眼する必要があるため、挿し忘れなどアドヒアランスの低下につながることが課題となっています。このような背景から配合点眼薬が頻用されており、わが国ではこれまで8製品が発売されています。しかし、これらにはすべてチモロールなどのβ遮断薬が配合されているため、コントロール不十分な心不全や気管支喘息などの患者には禁忌であり使用できません。本剤は、α2作動薬(ブリモニジン)と炭酸脱水酵素阻害薬(ブリンゾラミド)を組み合わせた国内初の配合点眼薬であり、従来の配合点眼薬が使えなかった患者でも選択が可能となりました。さらに、プロスタグランジン関連薬とβ遮断薬が配合された点眼薬と本剤を併用することで、2剤で4種類の機序の異なる有効成分を点眼することが可能となります。なお、本剤は局所のみならず全身の副作用が生じる可能性があるため注意が必要です。ブリモニジンは血圧低下、傾眠、回転性めまい、浮動性めまい、霧視など、ブリンゾラミドは一過性の霧視や角膜障害が発現する恐れがあります。本剤を点眼後、そのような症状が現れた場合は、回復するまで機械類の操作や自動車などの運転を行わないように伝えましょう。なお、本剤の名称の由来は、ブリモニジンの単剤製品(商品名:アイファガン点眼液0.1%)の「アイ」と、ブリンゾラミドの「ラミド」を組み合わせたものとなっています。参考1)PMDA 添付文書 アイラミド配合懸濁性点眼液

16314.

第17回 COVID-19の疲労症候群~筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群研究のまたとない機会

ウイルス感染が去ってすぐの疲労感は珍しいことではなく、たいていすぐに消失しますが、長引く疲労を特徴とする筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)に時に陥る恐れがあります。かつて単に慢性疲労症候群(CFS)と呼ばれていたME/CFSは運動や頭を使った後に疲労が悪化することを特徴とし、軽く歩いただけ、または質問に答えただけで何日も、悪くすると何週間も起き上がれなくなることがあります1)。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染(COVID-19)を経た患者の長患いも最近明らかになっており、COVID-19を経た640人へのアンケートでは多くが胸痛や胃腸不調、認知障害や酷い疲労が収まらないと回答しました2)。米国国立アレルギー感染病研究所(NIAID)を率いるAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)氏もCOVID-19一段落後のそういった症状を認識しており、長きにわたる疲労症候群がCOVID-19に伴う場合があり、その症状はME/CFSに似ているとの見解を今月初めのAIDS学会での記者会見で表明しています3)。ME/CFSは謎に包まれており、それ故に偏見を通り越して無きものとする医師や研究者も少なくありません。ウイルス感染や神経疾患などの何らかの診断を試みた上でどこも悪くないとし、挙げ句にはもっと運動することを勧める医師もいるほどです。運動はME/CFSを悪化させる恐れがあります1)。無きものとして長くみなされていたため患者の多くは病因と思しき脳や脊髄の炎症の関与を見て取れる病名・筋痛性脳脊髄炎(ME)と呼ばれることを好みます。しかしながら脳脊髄炎の裏付けといえば脳の炎症マーカー上昇や脊髄液のサイトカイン変化を報告している日本での被験者20人ほどの試験4)ぐらいであり、米国疾病管理センター(CDC)を含む研究団体のほとんどはME/CFSと呼ぶようになっています。ME/CFSの原因は謎ですが、感染症との関連が示唆されており、米国・英国・ノルウェーでの調査によるとME/CFS患者の75%近くがその発症前にウイルス感染症を患っていました5)。また、西ナイルウイルス(WNV)、エボラウイルス(EBV)、エプスタインバーウイルス(EBV)等の特定の病原体とME/CFS様症状発現の関連が相当数の患者で認められています。2003年に蔓延したSARS-CoV-2近縁種SARS-CoVの感染患者の退院から1年後を調べた試験6)では、実に6割が疲労を訴え、4割以上(44%)が睡眠困難に陥っており、6人に1人(17%)は長引く不調で仕事に復帰できていませんでした。そういった試験結果を鑑みるに、SARS-CoV-2感染患者の体の不具合が収まらずに続く場合があることはほとんど疑いの余地がないとME/CFS研究連携を率いるモントリオール大学のAlain Moreau氏は言っており、同氏や他の研究者の関心は今やSARS-CoV-2がME/CFSを引き起こすかどうかではなく、どう誘発しうるのかに移っています。いくつか想定されている誘発の仕組みの中で自己免疫反応の寄与を米国NIHの神経ウイルス学者Avindra Nath氏はとくに有力視しています。最近イタリアの医師は重度のSARS-CoV-2感染症(COVID-19)患者に自己免疫様症状・ギランバレー症候群(GBS)が認められたことを報告しており7)、ME/CFS患者を調べた2015年報告の試験8)では自律神経系受容体への自己抗体上昇が認められています。もしCOVID-19が自己免疫疾患を招きうるなら何らかのタンパク質へのT細胞やその他の免疫の担い手の反応が血液中に現れるはずです。そこでエール大学の免疫学者岩崎 明子氏等はCOVID-19入院患者数百人の血液検体を採取し、すぐに元気になった場合とそうでない場合の免疫特徴を比較する試験を開始しています。Moreau氏とNath氏等もCOVID-19患者を長く追跡してME/CFSの原因を探る試験9)を始めており、それらの試験結果はCOVID-19を経た人のみならず世界中のME/CFS患者のためにもなるはずです。研究所や政府はCOVID-19患者がME/CFSに陥りうることに目を向け、資源や人を配して事に当たるべきであり、さもないとME/CFSの謎の解明のまたとない機会がふいになってしまうとNath氏は言っています1)。参考1)Could COVID-19 Trigger Chronic Disease in Some People? 2)What Does COVID-19 Recovery Actually Look Like? An Analysis of the Prolonged COVID-19 Symptoms Survey by Patient-Led Research Team3)Coronavirus may cause fatigue syndrome, Fauci says4)Nakatomi Y, et al. J Nucl Med. 2014 Jun;55:945-50.5)Pendergrast TR, et al. Chronic Illn. 2016 Dec;12:292-307.6)Tansey CM, et al. Arch Intern Med. 2007 Jun 25;167:1312-20. 7)Toscano G, et al. N Engl J Med. 2020 Jun 25;382:2574-2576.8)Loebel M, et al. Brain Behav Immun. 2016 Feb;52:32-39.9)OMF Funded Study: COVID-19 and ME / CFS

16315.

認知症発症に対する修正可能なリスク因子~メタ解析

 高齢者の認知症発症に対する修正可能なリスク因子について、中国・蘇州大学のJing-Hong Liang氏らが、システマティックレビューおよびベイジアン・ネットワークメタ解析を実施した。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2020年6月17日号の報告。 複数の電子データベースより、2019年5月1日までのプロスペクティブコホート研究を網羅的かつ包括的に検索した。認知症でない参加者は、50歳以上とした。ベイジアン・ネットワークメタ解析を行うため、必要なデータを適格研究より抽出した。 主な結果は以下のとおり。・43件のコホート研究より27万7,294例が抽出された。・抗酸化物質を除く、以下の定義されたリスク因子は、すべての原因による認知症発症リスクの低下と関連していた。 ●睡眠障害なし(オッズ比[OR]:0.43、95%確信区間[CrI]:0.24~0.62) ●教育水準の高さ(OR:0.50、95%CrI:0.34~0.66) ●糖尿病の既往歴なし(OR:0.57、95%CrI:0.36~0.78) ●非肥満(OR:0.61、95%CrI:0.39~0.83) ●喫煙歴なし(OR:0.62、95%CrI:0.45~0.79) ●家族との同居(OR:0.67、95%CrI:0.45~0.89) ●運動の実施(OR:0.73、95%CrI:0.46~0.94) ●禁酒(OR:0.78、95%CrI:0.56~0.99) ●高血圧症の既往歴なし(OR:0.80、95%CrI:0.65~0.96) 著者らは「修正可能な身体的およびライフスタイル因子が、すべての原因による認知症の強力な予測因子であることが示唆された」としている。

16316.

COVID-19死亡例、肺病理所見の特徴は?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行における主な死因は進行性呼吸不全であるが、死亡例の末梢肺の形態学的・分子的変化はほとんど知られていないという。ドイツ・ヴィッテン・ヘアデッケ大学のMaximilian Ackermann氏らは、COVID-19で死亡した患者の肺組織の病理所見を調べ、インフルエンザで死亡した患者の肺と比較した。その結果、COVID-19患者の肺で顕著な特徴として、重度の細胞膜破壊を伴う血管内皮傷害がみられ、肺胞毛細血管内の微小血栓の有病率が高く、新生血管の量が多いことを確認した。NEJM誌2020年7月9日号掲載の報告。インフルエンザ例の剖検肺、非感染対照肺と比較 研究グループは、COVID-19で死亡した患者の剖検時に得られた肺の形態学的・分子的特徴を、インフルエンザで死亡した患者の肺および年齢をマッチさせた非感染対照肺と比較した(米国国立衛生研究所[NIH]など助成による)。 COVID-19で死亡した患者7例(女性2例[平均年齢68±9.2歳]、男性5例[80±11.5歳])、インフルエンザA(H1N1)感染に続発した急性呼吸促迫症候群(ARDS)で死亡した患者7例(女性2例[62.5±4.9歳]、男性5例[55.4±10.9歳])、年齢をマッチさせた非感染対照(肺移植ドナー)10例(女性5例[68.2±6.9歳]、男性5例[79.2±3.3歳])の肺組織が、解析の対象となった。 肺の評価は、7色免疫組織化学的解析、マイクロCT画像、走査型電子顕微鏡、血管鋳型法、遺伝子発現の直接多重測定法を用いて行われた。ACE2発現細胞が多い、微小血栓9倍、新生血管量2.7倍に インフルエンザ肺炎患者の肺は、COVID-19患者の肺に比べて重く(平均重量:2,404±560g vs.1,681±49g、p=0.04)、非感染対照肺(1,045±91g)はインフルエンザ肺(p=0.003)およびCOVID-19肺(p<0.001)に比べ軽かった。 1視野当たりのアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)発現細胞数は、非感染対照群の肺胞上皮細胞(0.053±0.03)と毛細血管内皮細胞(0.066±0.03)ではまれであったが、これに比べCOVID-19群とインフルエンザ群の肺胞上皮細胞(0.25±0.14、0.35±0.15)、および毛細血管内皮細胞(0.49±0.28、0.55±0.11)では多く認められた。ACE2陽性リンパ球は、非感染対照群の血管周囲組織や肺胞内にはみられなかったが、COVID-19群とインフルエンザ群では認められた(0.22±0.18、0.15±0.09)。 COVID-19群とインフルエンザ群の末梢肺の組織パターンでは、血管中心性炎症所見として、血管周囲のT細胞浸潤を伴うびまん性肺胞傷害が認められた。また、COVID-19群の肺では、このほかに、内皮細胞内の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(SARS-CoV-2)の存在と細胞膜破壊を伴う重度の血管内皮傷害に基づく特徴的な血管像が確認された。 249個の遺伝子に関して炎症関連遺伝子発現の多重解析を行ったところ、79個の炎症関連遺伝子がCOVID-19群の肺にのみ発現していたのに対し、インフルエンザ群の肺にのみ発現していたのは2つだけで、7つの遺伝子は両群で共通に発現していた。 一方、COVID-19群の肺血管の組織学的解析では、微小血管障害を伴う広範な血栓がみられた。肺胞毛細血管内の微小血栓の有病率は、COVID-19群がインフルエンザ群の9倍であった(血管腔面積1cm2当たりの平均血栓数:159±73個vs.16±16個、p=0.002)。 また、COVID-19群の肺では、重積型血管新生による新生血管の量がインフルエンザ群の2.7倍であり(1視野当たりの新生血管数:60.7±11.8 vs.22.5±6.9)、非感染対照群(2.1±0.6)と比べても密度が高かった(p<0.001)。発芽型血管新生の量も、インフルエンザ群に比べCOVID-19群で多かった。 COVID-19群では、重積型血管新生による新生血管の量は、入院期間が長くなるに従って増加した(p<0.001)のに対し、インフルエンザ群では経時的な重積型血管新生の増加が少ないか、まったく増加しなかった。同様のパターンが、発芽型血管新生でも認められた。 323個の遺伝子に関して血管新生関連遺伝子発現の多重解析を行ったところ、69個の血管新生関連遺伝子はCOVID-19群の肺にのみ発現し、26個の遺伝子はインフルエンザ群の肺にのみ発現しており、45個の遺伝子は両群で共通に発現していた。 著者は、「内皮細胞内のSARS-CoV-2の存在は、内皮傷害には血管周囲の炎症だけでなくウイルスの直接的な作用の関与が示唆される」と指摘し、「これらの知見の普遍性と臨床的意義を明らかにするには、さらなる研究を要する」としている。

16317.

アトピーのそう痒、nemolizumab+外用薬で改善/NEJM

 アトピー性皮膚炎の治療において、nemolizumabと外用薬の併用は、プラセボと外用薬の併用に比べそう痒が大幅に減少し、湿疹面積・重症度指数(EASI)スコアや皮膚科学的生活の質指数(DLQI)も良好であるが、注射部位反応の発現率はnemolizumabで高いことが、京都大学の椛島 健治氏らが実施した「Nemolizumab-JP01試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年7月9日号に掲載された。nemolizumabは、アトピー性皮膚炎のそう痒と炎症に関与するインターロイキン(IL)-31受容体Aのヒト化モノクローナル抗体であり、投与は皮下注射で行われる。本薬は、第II相試験でアトピー性皮膚炎の重症度を軽減すると報告されている。そう痒の低減効果を評価する日本の無作為化第III相試験 本研究は、アトピー性皮膚炎と中等度~重度のそう痒がみられ、外用薬に対する反応が不十分な日本人患者を対象とする16週間の二重盲検無作為化第III相試験で、2017年10月に開始され、2019年2月にデータ解析が行われた(マルホの助成による)。 被験者は、外用薬併用下に、nemolizumab(60mg)を4週ごとに16週まで皮下投与する群、またはプラセボを投与する群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは,そう痒の視覚アナログ尺度(VAS)のスコア(0~100点、点数が高いほどそう痒が重度)のベースラインから16週目までの平均変化率とした。 副次エンドポイントは、4週目までのそう痒VASスコアの変化率の推移、EASIスコア(0~72点、点数が高いほど重症)の変化率、DLQIスコア(0~30点、点数が高いほど日常生活への影響が大きい)が4点以下の患者の割合、不眠重症度指数(ISI)スコア(0~28点、点数が高いほど重症)が7点以下の患者の割合、および安全性などであった。有害事象の頻度は同じ、多くが軽度~中等度 215例が登録され、nemolizumab群に143例(年齢中央値39.0歳[範囲:13~73]、男性65%)、プラセボ群には72例(40.5歳[13~80]、67%)が割り付けられた。ベースラインのそう痒VASスコアの中央値は75.4点、EASIスコア中央値は23.2点であった。全例が事前に外用薬の投与を受けており、88%は経口抗ヒスタミン薬を投与されていた。 16週の時点で、そう痒VASスコアのベースラインからの最小二乗平均の変化率は、nemolizumab群が-42.8%と、プラセボ群の-21.4%に比べ有意に改善された(群間差:-21.5ポイント、95%信頼区間[CI]:-30.2~-12.7、p<0.001)。また、4週までのそう痒VASスコアの平均変化率は、nemolizumab群が−34.4%であり、プラセボ群の−15.3%に比し良好であった(-19.3ポイント、-26.6~-11.9)。 16週までのEASIスコアの平均変化率(nemolizumab群:-45.9% vs.プラセボ群:-33.2%、群間差:-12.6%、95%CI:-24.0~-1.3)、16週時にDLQIスコア≦4点の患者の割合(40% vs.22%、17%、2~31)、16週までにDLQIスコアが4点以上低下した患者の割合(67% vs.50%、17%、3~31)、16週時にISIスコア≦7点の患者の割合(55% vs.21%、33%、17~48)も、nemolizumab群で優れた。 有害事象は、両群とも71%で発生した。ほとんどが軽度~中等度で、重度の有害事象はnemolizumab群で3例(メニエール病、急性膵炎、アトピー性皮膚炎)に認められた。薬剤の投与中止の原因となった治療関連有害事象は、nemolizumab群の3例で4件(アトピー性皮膚炎、メニエール病/円形脱毛症、末梢性浮腫)発現した。 最も頻度の高いとくに注目すべき有害事象はアトピー性皮膚炎の増悪で、nemolizumab群で24%、プラセボ群では21%に発現した。注射関連反応の発現率は、nemolizumab群が8%で、プラセボ群の3%よりも高かった。 著者は、「本試験では、16週以降のnemolizumabの効果の持続性と安全性は検討しておらず、これら課題を明らかにするためには、より長期で大規模な試験を行う必要がある」としている。

16318.

無症状者でも唾液を用いたPCR検査が可能に/厚労省

 新型コロナウイルスへの感染を調べる検査について、厚生労働省は7月17日より、無症状者に対しても、唾液を用いたPCR検査(LAMP法含む)および抗原定量検査※を活用可能とすることを発表した1)。ただし、簡易キットによる抗原検査については今後研究を進める予定で、現状唾液検体の活用は認められていない。これまで、PCR検査、抗原定量検査ともに唾液検体については、発症から9日目以内の有症状者のみ活用が認められていた。※6月25日保険適用。簡易キットよりも感度が高いが、専用の測定機器が必要2)。 今回の決定は、都内で無症状者を対象に、唾液を用いたPCR検査および抗原定量検査と、鼻咽頭拭い液PCR検査結果を比較し、高い一致率を確認したことを受け3)、7月15日開催の第44回厚生科学審議会感染症部会の審議を経て、活用可能と判断されたことに基づく。 同部会では、「研究結果および感染管理の観点から、無症状者に対し、現状の鼻咽頭検体に加えて、唾液検体を用いることは可能と考える」と結論づけたうえで、「一般的に検査について感度・特異度ともに 100%でない以上、これまでと同様に陰性であっても、感染していないことの証明にはならない点に留意が必要であることを被験者に十分説明し、被験者の検査後の行動に留意を求めていくことが必要」とまとめている4)。唾液を用いたPCR検査と鼻咽頭ぬぐい液の比較結果 唾液を用いたPCR検査およびLAMP法検査について、鼻咽頭ぬぐい液を用いたPCR検査と比較した結果、90%程度の陽性者一致率・陰性者一致率ならびに一致率が確認された:(鼻咽頭ぬぐい液を用いたPCR検査結果との)陽性者一致率 唾液を用いたPCR検査:91.9% 唾液を用いたLAMP検査:86.5%陰性者一致率 唾液を用いたPCR検査:88.9% 唾液を用いたLAMP検査:92.6%一致率 唾液を用いたPCR検査:90.1% 唾液を用いたLAMP検査:90.1% なお、鼻咽頭ぬぐい液PCR検査で陽性であり、唾液PCRまたは唾液LAMP検査で陰性となった症例については、いずれも、検査時点で鼻咽頭ぬぐい液中のウイルス量はきわめて少ないことが確認された(Ct値が39以上)。他方、鼻咽頭ぬぐい液PCR検査で陰性にもかかわらず、唾液PCRまたは唾液LAMP検査で陽性となった症例ではいずれも、検査時点での唾液中のウイルス量は少ないことが確認された(Ct値が33以上)。 唾液を用いた抗原定量検査と鼻咽頭ぬぐい液の比較結果 唾液を用いた抗原定量検査について、鼻咽頭ぬぐい液を用いたPCR検査と比較した結果、陽性者一致率は約76%、陰性者一致率は100%、一致率は約90%であった。なお、鼻咽頭ぬぐい液PCR検査で陽性であり、唾液抗原定量検査で陰性となった症例(9例)のうち、鼻咽頭ぬぐい液では9例中7例、唾液では全例について検査時点でのウイルス量が少ないことが確認された(Ct値が34以上)。

16319.

大学の昇進人事で出産や病気による休業期間の考慮には驚いた(解説:折笠秀樹氏)-1258

 アカデミア、つまり大学における昇進基準に関する調査報告です。生物医学の教師陣が昇進あるいはテニュア(終身雇用)の基準ですが、指針を持つ大学は92/146(63%)でした。ランキングの高い大学ほど持っていました。 従来型と非従来型の昇進基準について調査しています。従来型としては、1)論文、2)著者の順序、3)インパクトファクター(IF)、4)研究費獲得、5)名声です。私たちの基準もほぼ同じだと思います。教授の基準で見ると、論文(95%)、研究費(67%)、名声(47%)、著者順(34%)、IF(28%)の順でした。まあ納得できる結果かと思います。 非従来型の基準としては、1)引用索引DBの使用割合、2)データ共有の割合、3)オープンアクセス論文の割合、4)研究登録の割合、5)報告ガイドラインの遵守割合、6)研究結果共有の割合、7)休業期間の考慮割合です。こちらはあまり聞いたことがありません。研究者としての姿勢を問うた基準のようです。同じように教授の基準で見ると、休業考慮(35%)、引用索引(28%)、研究共有(2%)、データ共有(1%)、残りは0%でした。出産や病気などによる休業期間を考慮しているのが35%というのは驚きでした。 教授昇進に関して、従来型の基準は3個(中央値)、非従来型の基準は1個(中央値)でした。従来型は論文、研究費、名声が上位3位です。非従来型は1個のようですが、休業か引用索引かどちらかなのでしょう。 休業期間を昇進の際に考慮しているのは、教授選考だけでなく、助教・准教授・テニュアすべてで35~50%と高いです。女性には出産の負担が多いため、女性ならではの実情を配慮した基準になっています。日本では決まり文句、「男女共同参画を推進しています。女性研究者の積極的な応募を期待します」を目にします。これはマイノリティ配慮の方針だと思われますが、女性だからといった配慮より、研究に携われなかった期間を考慮するほうが公平に感じます。日本でも、応募書類に休業期間とその理由を含めるべきかもしれません。

16320.

第16回 乳腺外科医の有罪判決、日本医師会・東京保健医協会などが強く抗議

<先週の動き>1.乳腺外科医の有罪判決、日本医師会・東京保健医協会などが強く抗議2.健康保険証のオンライン資格確認が来年から可能に3.循環器病対策推進基本計画の骨子案、2040年までに健康寿命の3年延伸など4.生活保護受給者の医療扶助、頻回受診対策などの検討が開始5.コロナ感染拡大が続き、今後の社会経済活動はどうなる?1.乳腺外科医の有罪判決、日本医師会・東京保健医協会などが強く抗議足立区・柳原病院の乳腺外科医が準強制わいせつ罪に問われ、13日の控訴審で言い渡された懲役2年の実刑判決をめぐって、日本医師会の今村 聡副会長は見解を示した。裁判では、独自の基準でせん妄や幻覚の可能性を否定した原告側の医師の見解を採用したこと、全身麻酔からの回復過程で生じるせん妄や幻覚は通常の医療現場でも生じていること、検察側が根拠としたDNA鑑定などの証拠がずさんな検査に基づくことなどを指摘し、控訴審の有罪判決に強く抗議した。同様に、東京保健医協会からも、「医師団体としても一般市民としても絶対に許容できない」として、抗議の見解を声明として発表している。(参考)乳腺外科医控訴審判決に関する日医の見解について(日本医師会)東京高裁 第10刑事部の乳腺外科医裁判逆転有罪判決に対する声明(東京都保険医協会)2.健康保険証のオンライン資格確認が来年から可能に厚生労働省は、オンラインで健康保険証の確認ができるように、健康保険法施行規則の改正に乗り出すことを決定し、省令案を公表した。本年10月に施行予定であり、医療機関などで療養の給付を受ける際、被保険者はマイナンバーカードをカードリーダーにかざすことで、資格確認することが可能となる見込み。なお、オンライン資格確認や特定健診情報の閲覧は2021年3月から、薬剤情報の閲覧は2021年10月から開始される予定。医療機関向けのカードリーダーは、「医療機関等向けポータルサイト」で申し込むことができる。医療情報化支援基金により補助されるため、原則医療機関の負担は生じない。(参考)医療情報化支援基金に関するポータルサイト開設のお知らせについて(厚労省)オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)(同)オンライン資格確認で健康保険法施行規則改正へ 厚労省が省令案公表、10月に施行予定(CBnews)3.循環器病対策推進基本計画の骨子案、2040年までに健康寿命の3年延伸など厚労省は、16日に第5回循環器病対策推進協議会を開催し、第1期循環器病対策推進基本計画案をとりまとめた。2019年12月に施行された「脳卒中・循環器病対策基本法」に基づいて策定され、国の循環器病対策の基本的な方向について明らかにするものである。主に「循環器病の予防や正しい知識の普及啓発」、「保健、医療及び福祉に係るサービスの提供体制の充実」、「循環器病の研究推進」の3つの施策を実施することにより、「2040年までに3年以上の健康寿命の延伸及び循環器病の年齢調整死亡率の減少」を目指す。(参考)循環器病対策推進基本計画(案)(厚労省)循環器病対策の現状等について(同)4.生活保護受給者の医療扶助、頻回受診対策などの検討が開始厚労省は「医療扶助に関する検討会」の第1回会合を15日に開催した。これは、2019年12月に閣議決定された「新デジタル・ガバメント実行計画」において、個人番号カードを利用したオンライン資格確認について、2023年度の導入を目指し検討を進めることとなっている。このため、生活保護受給者の医療扶助資格について、オンライン資格確認導入に向けた議論が開始される。今年中に取りまとめ、年度内を目処に頻回受診対策などの議論が行なわれる見込み。(参考)第1回 医療扶助に関する検討会(厚労省)5.コロナ感染拡大が続き、今後の社会経済活動はどうなる?東京都では連日多くの新型コロナウイルス感染者が確認されており、経路不明者も多い。一方、政府は22日から開始されるGo Toキャンペーンの内容や条件について、直前に変更を発表したが、再度の緊急事態宣言については否定するコメントを出すなど、難しい状況が続いている。感染拡大の防止対策として、PCR検査の積極的な実施、保健所の体制強化、感染防止のガイドライン徹底などを事業者に求め、利用者にはガイドラインを守った店の利用を求めている。海外のように再度の規制強化には動いてはいないが、屋内のイベント開催における人数制限の撤廃などを見直す可能性もある。さらに、夜の繁華街などに立ち入り検査を行うことや、新型コロナ対策特別措置法の再改正などにより、今後新しい動きが出てくる可能性は高い。(参考)接待伴う飲食店対応 経済再生相 1都3県知事に協力要請 コロナ(NHK)コロナ感染防止図り 社会経済活動の段階的な引き上げ目指す(同)

検索結果 合計:35665件 表示位置:16301 - 16320