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高齢者AML VIALE-A試験 Oncologyインタビュー【Oncologyインタビュー】第23回

高齢者および合併のため強力な寛解導入療法が適用できない急性骨髄性白血病(AML)に対しては治療選択肢が限定されている。そのような中、上記患者に対するBCL-2阻害薬ベネトクラクスと脱メチル化薬アザシチジン併用療法の有望な結果を示した第III相VIALE-A試験の結果がNew England Journal of Medicine誌に発表された。著者の一人である愛知県がんセンターの山本一仁氏に試験の実施背景、結果、臨床応用について聞いた。―試験に至る背景(AMLの状況)について教えていただけますか。高齢者の急性骨髄性白血病(AML)では、治療侵襲が高い3+7療法*のような強力寛解導入療法ができません。こういった場合、低用量Ara-C、わが国ではCAG療法**を行っていますが、生存期間は数ヵ月~1年前後だと思います。さらに、こういった治療すら適用できず、輸血などBSCとなるケースも少なくありません。このように、高齢者のAMLは非常に予後が限られているのが現状です。*3+7療法:3日間のアントラサイクリン系抗がん剤と7日間のシタラビンを組み合わせた治療法**CAG療法:14日間の低用量(100mg/m2)Ara-C、アクラルビシン、G-CSFを組み合わせた治療法―高齢者AMLの治療法の進化について教えていただけますか。高齢者AMLの治験は以前から行われていますが、治療成績の向上はみられませんでした。試験の対象患者にもよりますが長期生存は1~2割程度です。治療の成績向上は喫緊の課題だといえます。その点、分子標的薬は高い忍容性と有効性が期待できますので、高齢者AMLの良い適用になると思われます。―VIALE-A試験では、アザシチジンとベネトクラクスを併用していますが、この併用にはどのような意味があるのでしょうか。がん細胞はアポトーシス阻害が促進しており、抗アポトーシス蛋白であるBCL-2およびBCL-2ファミリーは、そこに大きな役割を担っています。AMLをはじめとする多くの造血器腫瘍でもBCL-2が過剰発現しています。ベネトクラクスはBCL-2を選択的に阻害する分子標的薬です。しかし、ベネトクラクス単剤では十分な効果が得られていません。その理由として、MCL-1など他のBCL-2ファミリーの抗アポトーシス蛋白が働いていることが基礎データでわかっています。それを補うために、ベネトクラクスにアザシチジンや低用量Ara-Cを上乗せする方法が検討されました。Ara-CはDNA合成を阻害することでアポトーシスを誘導します。すでにVIALE-C試験としてAra-Cとベネトクラクスとの併用試験が行われています。一方、アザシチジンは、明確な機序は解明されていませんが、エピジェネティックの異常を修復してアポトーシスを促進するとされます。欧米ではすでにアザシチジンの高齢者AMLへの有効性が認められ、高齢者AMLの治療の標準薬となっています。多くの第III相試験の対照薬となっているほどです。このアザシチジンとベネトクラクスの併用は第I/II相試験で有効性が報告されており、今回は第III相試験で有用性を確認することとなったものです。VIALE-A試験の概要多施設無作為化二重盲検第III相試験対象:75歳以上または75歳以下で合併症を有し標準的な寛解導入療法が実施できないAML試験群:アザシチジン(75mg/m2 day1~7)+べネトクラクス(100mg day1、200mg day2~3、day28までに400mgまで増量)+プラセボ 28日ごと。day28以降は400mgから開始対照群:アザシチジン 75mg/m2 day1~7 28日ごと評価項目:[主要評価項目]OS、[副次評価項目]CR+CR-i率主な結果2017年2月6日~2019年5月31日、579例がスクリーニングされ、433例が無作為割り付けの対象に、431例がITT解析の対象となった。上記431例はアザシチジン+べネトクラクス群286例とアザシチジン群145例に無作為に割り付けられた。追跡期間中央値は20.5ヵ月であった。OS中央値は14.7ヵ月対9.6ヵ月と、アザシチジン+べネトクラクス群で良好であった(HR:0.66、95%CI:0.52~0.85、p<0.001)。複合CR率は66.4%対28.3%、p<0.001。―この試験結果は、どのように解釈できますか。9.6ヵ月というアザシチジンのOSは標準的なものです。この5ヵ月の延長は重要だと思います。単に期間が延長したというだけではありません。このレジメンでは、患者さんの活動度が保たれ、普通の活動ができる良好なQOLが維持されています。そういう点でも、意味のある生命予後の改善だと思います。―それは、この併用レジメンの忍容性の高さから来ることなのでしょうか。この併用では、好中球減少やFNの頻度が高くなりますが、つらい有害事象は少なく、QOLへの影響は少ないと思います。また、この併用レジメンは、アザシチジン投与の1週間だけ入院していただきますが、その後の3週間は退院して過ごしていただきます。患者さんの状況によっては、外来治療さえ可能かもしれません。―この有効性の結果は、3+7療法に比べても遜色ない数字でしょうか?3+7療法のCR、CR-i率は、欧米だと6割、日本だと7割くらいです。ですので、CR+CR-i率については、3+7療法とほとんど変わらないと思います。しかし、このレジメンでは経時的にOSが下がってしまい、若年者に比べ予後は不良です。OSを改善するための寛解維持療法の開発が、今後の課題だといえます。―試験の結果をどう臨床応用していけばよいでしょうか。アザシチジン+ベネトクラクスはOSが延びますので、当然ながら、高齢者や合併症で強力な寛解導入療法が使えない患者さんへの有望な治療選択肢になると思います。ただし、好中球減少、FN、腫瘍崩壊症候群(TLS)のリスクがありますので、十分な観察と用量を1日ずつ上げていくなどの規則を順守していけば、寛解導入療法として安全に行えるのではないかと思います。一方で、今回の試験のサブ解析ではTP53変異例でも効果を示していますので、予後不良の患者さんでも、CRを得るには良い治療法ではないかと思っています。今後は若年者への適応拡大を行うような検討をすべきだろうと思います。―読者の方々にメッセージをお願いします。長い間、高齢者のAMLの治療は改善を得られませんでした。AMLの3+7療法は30年前のレジメンです。そのような中、今回の試験のように、有効な分子標的薬による治療が開発されています。まだまだ検討は必要ですが、今後出てくるさまざまな分子標的薬が、治療成績を改善していくことが期待されます。原著Azacitidine and Venetoclax in Previously Untreated Acute Myeloid Leukemia.N Engl J Med.2020;383:617-629.

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第32回 日本発「パンデミック・ロボット」は幻に、厚労省の残念過ぎる失策

新型コロナウイルスの感染拡大で、ロボットの需要が世界的に高まっている。医療スタッフの負担を減らしつつ安全を確保でき、患者の救命にもつながるからだ。医療用ロボットはアメリカや中国などで開発が進んでいるが、実は日本でも遡ること7年前、東京五輪開催が決定した当時、新型感染症の国内発生に備えて、パンデミック対応用医療ロボットの開発が進められていた。厚生労働省の上層部で密かに進められていた計画だった。だが因果なことに、今年の新型コロナの発生で研究は中止され、開発の中心人物は中国へ移った。関係者は無念の気持ちを吐露する。コロナ禍における世界のロボット活用の状況はどうなっているのか。研究者団体「Robotics for Infectious Diseases(感染症のためのロボット工学)」によると、7月上旬時点で、少なくとも33ヵ国においてあらゆる種類のロボットがパンデミック対応に活用されているという。例えば、米国のボストン・ダイナミックが開発した犬型ロボット「Spot」は、iPadを通じて患者予備軍の診察を遠隔で行っているほか、体温や脈拍を計り、血中酸素濃度の測定もしている。中国・猟戸星空(ORION STAR)のロボットは事前診断、医療情報の1次開示、病院内の一定の場所への医療用品の配達などを行っている。日本の「パンデミック・ロボット」は、東京五輪の海外来場者が持ち込む新型感染症の発生を懸念したO医師が発案。他国に先駆けた、感染症向け医療用ロボットだった。O医師は当時、九州大学で主に手術におけるAI活用について研究していた。O医師は、産業用ロボット大手のY社と組み、体温を測ったり口腔内を検査したりできるアーム型ロボットを開発した。厚生労働省のバックアップを受け、国立感染症研究所の4階フロアに専用ルームを設け、実験を続けた。しかし、ヒトに対する研究はたった1例にとどまり、研究は中止された。コロナ禍に加え、「操作性が難しい」というのがその理由だったようだ。だが関係者は、「ロボットはゲームパッドのようなコントローラーで、一般人でも操作できるものだった。このロボットを導入できていたら、コロナ禍による医療現場の混乱防止にも役立ったはず」と口惜しさを滲ませる。O医師らはその後、自治体の首長、成田や羽田の空港関係者などに「パンデミック・ロボット」の導入を働き掛けたが、理解を得られなかったという。翻って、「中国製造2025」などの国策を打ち出し、ロボット市場が拡大する中国。気候変動などによって、今後も新興感染症が現れると予測するO医師は、中国の国家衛生健康委員会(日本の厚労省に相当)に招聘され、日本を離れてしまったようだ。「日の丸ロボット」が幻となっただけでなく、開発のキーマンからも見放されてしまった日本。厚労省は先見の明がなさ過ぎやしないか。

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境界性パーソナリティ障害患者の再入院と抗精神病薬使用量との関係

 国立精神・神経医療研究センターの山田 悠至氏らは、境界性パーソナリティ障害の入院患者における再入院に関連する予測因子を特定するため、検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年10月10日号の報告。 本観察研究では、2013年1月~2016年1月に国立精神・神経医療研究センター病院に入院した境界性パーソナリティ障害患者83例を対象に評価を行った。データは、電子カルテよりレトロスペクティブに収集した。 主な結果は以下のとおり。・再入院群と非再入院群を比較すると、入院時の抗精神病薬の1日量(クロルプロマジン換算量)および精神疾患の重症度に有意な差は認められなかった。・多変量ロジスティック回帰分析では、退院時にクロルプロマジン換算400mg超の抗精神病薬が使用されていると、1年以内の再入院率の上昇が認められた。 著者らは「境界性パーソナリティ障害患者に対する退院時の高用量抗精神病薬の使用は、再入院のリスク因子である可能性が示唆された」としている。

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「新型コロナウイルス感染症~日独の対応」Web講演開催/日本国際医学協会

 日本国際医学協会では、2020年11月26日(木)18時より、第60回国際治療談話会総会「新型コロナウイルス感染症~日独の対応」をWeb講演で開催する。日独それぞれにおける治療の実際、防疫課題についての講演が行われる。<新型コロナウイルス感染症~日独の対応>日時:2020年11月26日(木) 18:00~21:00(Web講演)司会:近藤 太郎氏、ゲオルグ・K・ロエル氏(日本国際医学協会)【同時通訳あり(日本語/英語)】【講演I】新型コロナウイルス感染症の臨床像と治療の実際演者:大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター長)、オリバー・ヴィッツケ氏(エッセン大学病院感染症科 教授、西ドイツ感染症センター[WZI] 理事)【講演II】新型コロナウイルス感染症の防疫課題と反省点演者:和田 耕治氏(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学 教授)、イェルグ・J ・ヴェーレシルト氏(フランクフルトおよびケルン大学病院、ドイツ感染研究所 教授)、【感 想】新型コロナウイルス感染症が日独経済に及ぼす影響マルティン・シュルツ氏(富士通株式会社 チーフポリシーエコノミスト)参加費:無料(同協会会員に限りオンデマンドでも視聴可能の予定)申込期限:11月19日(木)まで(申込締切後、11月25日(水)までにZoomウェビナーへのアクセスリンクをメールにて連絡予定)参加のお申込みはこちらからお問い合わせ先:公益財団法人日本国際医学協会 事務局TEL:03-5486-0601  FAX:03-5486-0599E-mail: imsj@imsj.or.jp  URL:http://www.imsj.or.jp/

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がん患者、抗凝固薬の中止時期を見極めるには/日本治療学会

 がん患者は合併症とどのように付き合い、そして医師はどこまで治療を行うべきか。治療上で起こりうる合併症治療とその中止タイミングは非常に難しく、とりわけ、がん関連血栓症の治療には多くの腫瘍専門医らは苦慮しているのではないだろうかー。 10月23日(金)~25日(日)にWeb開催された第58回日本治療学会学術集会において、会長企画シンポジウム「緩和医療のdecision making」が企画された。これには会長の弦間 昭彦氏の“decision makingは患者の治療選択時に使用される言葉であるが、医療者にとって治療などで困惑した際に立ち止まって考える機会”という思いが込められている。今回、医師のdecision makingに向けて発信した赤司 雅子氏(武蔵野赤十字病院緩和ケア内科)が「合併症治療『生きる』選択肢のdecision making-抗凝固薬と抗菌薬-」と題し、困惑しやすい治療の切り口について講演した。本稿では抗凝固療法との向き合い方にフォーカスを当てて紹介する。医師のバイアスがかからない意思決定を患者に与える がん治療を行いながら並行して緩和医療を考える昨今、その場に応じた1つ1つの細やかな意思決定の需要性が増している。臨床上のdecision makingは患者のリスクとベネフィットを考慮して合理的に形成されているものと考えられがちであるが、実際は「多数のバイアスが関係している」と赤司氏は指摘。たとえば、医師側の合理的バイアス1)として1)わかりやすい情報、2)経験上の利益より損失、3)ラストケース(最近経験した事柄)、4)インパクトの大きい事象、などに左右される傾向ある。これだけ多数のバイアスのかかった情報を患者に提供し、それを基にそれぞれが判断合意する意思決定は“果たして合理的なのかどうか”と疑問が残る。赤司氏は「患者にはがん治療に対する意思決定はもちろんのこと、合併症治療においても意思決定を重ねていく必要がある」と述べ、「とくに終末期医療において抗凝固薬や抗菌薬の選択は『生きる』という意味を含んだ選択肢である」と話した。意思決定が重要な治療―がん関連血栓症(CAT) 患者の生死に関わる血栓症治療だが、がん患者の血栓症リスクは非がん患者の5倍も高い。通常の血栓症の治療期間は血栓症の原因が可逆的であれば3ヵ月間と治療目安が明確である。一方、がん患者の場合は原因が解決するまでできるだけ長期に薬物治療するよう現時点では求められているが、血栓リスク・出血リスクの両方が高まるため薬剤コントロールに難渋する症例も多い。それでも近年ではワーファリンに代わり直接経口抗凝固薬(DOAC)が汎用されるようになったことで、相互作用を気にせずに食事を取ることができ、PT-INR確認のための来院が不要になるなど、患者側に良い影響を与えているように見える。 しかし、DOACのなかにはP糖タンパクやCYP3A4に影響する薬物もあることから、同氏は「終末期に服用機会が増える鎮痛剤や症状緩和の薬剤とDOACは薬物相互作用を起こす。たとえば、アビキサバンとデキサメタゾンの併用によるデキサメタゾンの血中濃度低下、フェンタニルやオキシコドン、メサペインとの相互作用が問題視されている。このほか、DOACの血中濃度が2~3倍上昇することによる腎機能障害や肝機能障害にも注意が必要」と実状を危惧した。DOACの調節・中止時の体重換算は今後の課題 また、検査値指標のないDOACは体重で用量を決定するわけだが、悪液質が見られる場合には筋肉量が低下しているにも関わらず、浮腫や胸水、腹水などの体液の貯留により体重が維持されているかのように見えるため、薬物投与に適した体重を見極めるのが難しい。これに対し、同氏は「自施設では終末期がん患者の抗凝固療法のデータをまとめているが、輸血を必要としない小出血については、悪液質を有する患者で頻度が高かった。投与開始時と同量の抗凝固薬を継続するのかどうか、検証するのが今後の課題」と話した。また、エドキサバンのある報告2)によると、エドキサバンの血中濃度が上昇しても大出血リスクが上昇するも脳梗塞/塞栓症のリスクは上昇しなかったことから、「DOACの少量投与で出血も塞栓症も回避することができるのでは」とコメント。「ただし、この報告は非がん患者のものなので、がん患者への落とし込みには今後の研究が待たれる」とも話した。 さらに、抗凝固薬の中止タイミングについて、緩和ケア医とその他の医師ではそのタイミングが異なる点3)、抗凝固薬を開始する医師と中止する医師が異なる点4)などを紹介した。 このような臨床上での問題を考慮し「半減期の短さ、体内での代謝などを加味すると、余命が短め週の単位の段階では、抗凝固療法をやめてもそれほど影響はなさそうだが、薬剤選択には個々の状況を反映する必要がある」と私見をまとめ、治療の目標は「『いつもの普段の自分でいられること』で、“decision making”は合理的な根拠を知りながら、その上で個別に考えていくことが必要」と締めくくった。

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医師への謝礼金額がICD/CRT-Dデバイスの選択に大いに影響/JAMA

 植込み型除細動器(ICD)や両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の初回埋め込み手術の94%が、デバイスメーカーから謝礼金を受けている医師によって行われており、さらに、採用されているのはメーカーから執刀医への謝礼金額が最も高いものである可能性が明らかになったという。米国・Yale-New Haven HospitalのAmarnath R. Annapureddy氏らが、3年間で14万5,900例の患者を対象に行った横断調査の結果を報告した。米国では議会法によって2010年に、医薬品等のメーカーから医師への謝礼金については透明性を確保するため報告開示が義務付けられ(Physician Payments Sunshine Act)、ホームページ「The Facts About Open Payments Data」で詳細情報を入手することができるようになっている。これまでの研究で、医師への謝礼がジェネリック医薬品よりも先発医薬品を処方する可能性を高めることが報告されていたが、デバイスを巡っての研究は行われていなかった。JAMA誌2020年11月3日号掲載の報告。医師への謝礼金最高額のデバイス使用率を期待使用率と比較 研究グループは、デバイスメーカーから医師へ支払われた謝礼金と、ICDまたはCRT-Dの初回埋め込み術を受けた患者のデバイス選択との関連を調べる横断研究を行った。対象は、2016年1月1日~2018年12月31日に、主要デバイスメーカー4社が製造したICDまたはCRT-Dの初回埋め込み術を受けた患者。米国心血管データレジストリ(National Cardiovascular Data Registry:NCDR)のICDレジストリと、Open Payments Programのデータをリンクし、調査した。 患者を、執刀医がメーカーから謝礼金を受けていたか否かで2コホートに層別化し、さらに謝礼金授受があった患者コホートを、執刀医が最高額の謝礼金を受け取っていたデバイスメーカー別(A~D社)に4群に分類した。各群で、実際に最高額の謝礼金が医師に支払われていたメーカー製デバイスが使われていた患者の割合(使用率)を算定し、そのうえで、被験者全体の該当デバイスの使用割合(期待使用率)との絶対差を求めた。医師への謝礼金最高額のデバイス使用率、期待使用率との差は15~31% 3年間で、14万5,900例の患者がICDまたはCRT-Dの埋め込み術を受けていた。被験者の年齢中央値は65歳、女性は29.6%だった。被験者がICD/CRT-Dの初回埋め込み術を行った施設は1,763ヵ所で、執刀医は4,435人だった。執刀医のうち、デバイスメーカーから謝礼金を受けていたのは4,152人(94%)で、金額は2ドル~32万3,559ドル(中央値:1,211ドル、四分位範囲:390~3,702ドル)だった。 執刀医に最高額の謝礼金を支払ったメーカー製デバイスが使われていた各群の患者の割合(使用率)は、A群のA社製使用率は45.4%、B群のB社製使用率は54.7%、C群のC社製使用率は47.7%、D群のD社製使用率は38.5%だった。 いずれも同一群における他社製デバイスの使用率より高率で、患者は個々のメーカーからというよりも、執刀医に最高額の謝礼金が支払われているメーカーからデバイスを受ける可能性が大幅に高かった。各群の使用率と、期待使用率との絶対差は、A群は22.4%(95%信頼区間[CI]:21.9~22.9)、B群は14.5%(14.0~15.0)、C群は18.8%(18.2~19.4)、D群は30.6%(30.0~31.2)だった。

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医療従事者とその家族のCOVID-19入院リスク/BMJ

 スコットランドにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者のうち、6分の1は医療従事者とその家族であることが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のAnoop S V Shah氏らによる国内コホート研究で明らかにされた。また、全体としては入院絶対リスクは低いが、患者との対面サービスを担う(対面職)医療従事者の入院リスクが非対面職医療従事者と比べて3倍、その家族についても2倍高かったという。医療従事者のCOVID-19感染リスクの研究は行われているが、規模が小さく、単一施設をベースとした断面調査で、バイアスの影響を非常に受けやすい手法によるもの、また医師と看護師に限定されたものであり、医療従事者の家族についても評価した研究は不足していたという。BMJ誌2020年10月28日号掲載の報告。医療従事者約16万人とその家族約23万人を調査 研究グループは、スコットランドを対象に、対面職と非対面職の比較による医療従事者およびその家族におけるCOVID-19の入院リスクを調べた。スコットランドを対象とした理由として著者は、医療従事者の大多数(とくに急性期医療従事者)がNHS(国民保健サービス)に直接雇用されていること、それら全スタッフのデータベースが管理されていること、健康記録連携システムが十分に確立されていることを挙げている。 医師や看護師、検査技師などの医療従事者で、スコットランドで最初のCOVID-19患者が確認された2020年3月1日時点でNHSに雇用されていた15万8,445人と、その家族22万9,905人について、同年6月6日までのCOVID-19による入院率を調べ、一般集団と比較した。調査対象者の年齢は、18~65歳だった。患者対面職のCOVID-19絶対入院リスクは0.5%未満 対象医療従事者のうち、対面職の割合は57.3%(9万733人)だった。試験期間中のCOVID-19による入院患者で年齢が18~65歳の人のうち、医療従事者またはその家族が占める割合は17.2%(360/2,097人)だった。 年齢や性別、人種、社会経済的格差、併存疾患で補正後、非対面職の医療従事者とその家族のCOVID-19による入院リスクは、一般集団の同リスクと同等だった(それぞれ、ハザード比[HR]:0.81[95%信頼区間[CI]:0.52~1.26]、0.86[0.49~1.51])。 一方で、対面職医療従事者は非対面職医療従事者に比べ、COVID-19による入院リスクは高率だった(HR:3.30、95%CI:2.13~5.13)。また、その家族のリスクも高率だった(1.79、1.10~2.91)。 さらに対面職医療従事者について、救急隊員や集中治療室スタッフなど“最前線”で働く群と、そうでない群に分けたところ、最前線群は非最前線群に比べCOVID-19による入院リスクが高かった(HR:2.09、95%CI:1.49~2.94)。 全体の6割近くを占めていた対面職医療従事者とその家族における、COVID-19による絶対入院リスクは0.5%未満だったが、高齢男性で併存疾患が認められる場合は1%超に増大することも明らかになったという。 著者は「重要なのは、非対面職の医療従事者とその家族の入院リスクは、一般集団と同等だったことである」と述べ、「今回の調査結果は、医療サービス組織、個人用保護具の使用、配置転換に関する決定に活用すべきであろう」としている。

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タワマン、買うなら○○で選べ!【医師のためのお金の話】第38回

タワーマンションと聞いて、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか? 素晴らしい眺望、駅近、高級、ステータスが高い、お金持ちが住んでいそう…、といった憧れの感情を抱くのではないでしょうか。もちろん、災害に弱い、エレベーターが混むといったマイナスイメージもありますが、トータルで考えると憧れのほうが強いのではないでしょうか。「一生に一度はタワーマンションに住んでみたい」と思っている人も多いことでしょう。そして、医師の中には、実際にタワーマンションをマイホームとして購入する人が多くいます。私自身は築30年のボロ戸建てを購入して、たった200万円のリフォームで満足してしまう世間体を気にしない医師ですが、そのような人は少数派ではないでしょうか。今回は誰もが憧れるタワーマンションについて考えてみましょう。タワマン買うなら眺望を買え!いきなりミーハーな結論で恐縮ですが、タワーマンションを購入するなら、やはり高層階の眺望のよい部屋を購入するべきだと思います。このような主張をすると、各方面からバッシングが来そうで怖いですが…(笑)。周知のように、タワーマンションは上層階になるほど価格が上がります。最上階は本物の富裕層しか手が出せないほど高いため、医師の所得レベルでは中層階が精いっぱいかもしれません。低層階なら比較的安価に購入可能ですが、残念ながら素晴らしい眺望を手に入れることはできません。また、ドラマで有名になったタワーマンションの階層カーストも心配ですが、高層階を購入できれば、そんな心配とも無縁です。不動産投資家目線でタワマンを考えるタワマン買うなら眺望を買え!と言ってはみたものの、私自身は不動産投資を本格的に行っていますが、マンションに関してはボロい区分所有マンションを2戸購入した経験があるだけです。これまで20以上の物件を購入してきましたが、ほとんどは土地付きなのです。その理由は「土地こそが不動産価値の源」と考えていることと、土地付き物件のほうが銀行融資を利用しやすいからです。また、土地の価格で物件を購入できると債務超過になる可能性が低くなり、銀行評価が向上する、というメリットもあります。これに対して、タワーマンションも含めた区分所有マンションは、究極的には鉄とコンクリートの塊です。物件評価額に占める土地の割合が小さいため、「土地こそが不動産価値の源」と考えている私にとって、タワーマンションといえども、区分所有マンションは魅力的には映らないのです。しかし、実際のところ、不動産の価値は土地だけではありません。不動産には「銀行から融資を引き出す力」という価値もあります。住宅ローンであっても融資に変わりはありません。つまり、「住宅ローンで購入する区分所有マンション」であれば、不動産としての価値があるといえます。この観点から考えると、タワーマンション購入を全否定するのは間違っているのかもしれません。タワマン高層階購入は富裕層の相続税対策現役世代にはあまり関係ないかもしれませんが、タワーマンション購入は相続税対策にもなります。タワーマンションは高層階になるほど市場価格が上昇しますが、相続税評価額は低層階とほとんど差がありません。たとえば、タワーマンション高層階の1室を1億5,000万円で購入しても、相続税評価額が6,000万円しかなければ、9,000万円もの資産評価額を消し込むことができます。富裕層の間では、このような税制のゆがみを利用した相続税対策が行われているのです。高層ビルが林立する側の高層階が最高途中で現実的な話に脱線しましたが、冒頭で申し上げたようにタワーマンションを購入するのであれば、やはり眺望を最優先にするべきでしょう。しかも高層階の中でも、ほかの高層ビルが林立する方角を向いた部屋を選択するべきです。その理由は、ほかの高層ビルが林立する眺望が何事にも代え難い優越感と満足感を与えてくれるからです。いくら高層階からの眺望といっても、ほかの高層ビルが視界に入らないと満足感は得られません。同じくらいの高さのビルやマンションがあって初めて、自分が購入したタワーマンションの価値を感じ取ることができるのです。私は定期的に某タワーマンションの高層階で開催される投資家の勉強会に参加していました。目もくらむような摩天楼を見たあとにボロい自宅へ帰宅する、という罰ゲームを何度も味わいましたが、やはりタワーマンション高層階の魅力は相当なものだと実感しました。ここまでタワーマンションを礼賛してきましたが、はっきり申し上げてタワーマンションはぜいたく品です。資産家目線では、相続税対策以外でタワーマンションを購入することはありえませんし、私自身も(現時点では)タワーマンションを購入する意思は一切ありません。しかし、人の価値観は千差万別です。タワーマンションに価値を見いだしているのであれば、中途半端なものを購入するのではなく、最高の眺望を手に入れてみてはいかがでしょうか。【注意】今回の記事は、タワーマンション購入を勧めるものでは一切ありません!

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「ミオコールスプレー」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第25回

第25回 「ミオコールスプレー」の名称の由来は?販売名ミオコール®スプレー0.3mg一般名(和名[命名法])ニトログリセリン効能又は効果狭心症発作の寛解用法及び用量通常、成人には、1回1噴霧(ニトログリセリンとして0.3mg)を舌下に投与する。なお、効果不十分の場合は1噴霧を追加投与する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)1.重篤な低血圧又は心原性ショックのある患者[血管拡張作用により更に血圧を低下させ、症状を悪化させるおそれがある。]2.閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させるおそれがある。]3.頭部外傷又は脳出血のある患者[頭蓋内圧を上昇させるおそれがある。]4.高度な貧血のある患者[血圧低下により貧血症状(めまい、立ちくらみ等)を悪化させるおそれがある。]5.硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者6.ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト)を投与中の患者[本剤とこれらの薬剤との併用により降圧作用が増強され、過度に血圧を低下させることがある。※本内容は2020年11月11日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2014年11月改訂(第10版)医薬品インタビューフォーム「ミオコール®スプレー0.3mg」2)トーアエイヨー:製品情報

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第32回 遅れに遅れた地域の病院再編、コロナに乗じた「先延ばし」はさらなる悲劇に

冬を目前におでんも病院再編議論も本格化こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。東京も木枯らし1号が吹いて寒くなってきました。北海道をはじめ、新型コロナウイルス感染症のクラスターが全国各地で発生しています。「Go Toトラベル」「Go Toイート」で人々の行動が緩んだ中での冬の到来…。今後の患者数の増加が気になります。さて、寒くなるとおでんです。私はコンビニおでん、とくにセブン-イレブンのおでんがお気に入りで月に数度は食べていたのですが、友人から「今年はコロナでコンビニのおでんはないらしい」と言われ、がっくりきていました。が、近所のセブン-イレブンに行ってみると、なんとあるではないですか、カウンター脇にいつものおでん鍋が。ただし、鍋はアクリルのカバー付きで、客側からはおでんに触れず、飛沫も入らないつくりです。調べてみると、セブンイレブンはコロナ対策として、容器入りの電子レンジで温めて食べるおでんも販売したようです。でも、それではいろいろなおでんのエキスが煮詰まって美味しくなった、あのおでんつゆを味わえません…。私は今シーズンも店頭注文で行こうと思います。今回は始まりそうで始まらない、病院再編の議論の話題です。厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形 裕也・九州大学名誉教授)の第28回会議が11月5日に開催され、前回に続き「新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想の考え方」に関する議論が行われました。厚労省の事務局はこの日の会議で、「新興感染症などの感染拡大時の患者の受け入れ体制の確保」「公立・公的医療機関等に対する『具体的対応方針の再検証』の取り組みへの影響」「今後どのような工程で議論・取り組みを進めるか」などの論点を提示しました。「具体的対応方針の再検証」の報告期限は延期のまま厚労省がとにかく早く進めたいのは、新型コロナウイルスの感染拡大で遅れに遅れてしまった地域の医療機関の再編成です。公⽴・公的医療機関等に対する「具体的対応⽅針の再検証」を再開し、それを踏まえつつ、2025年以降も⾒据えた具体的な⼯程についての議論を開始したいというわけです。公立・公的医療機関等に対する「具体的対応方針の再検証」については、9月9日の本連載「第23回 実は病院経営に詳しい菅氏。総理大臣になったらグイグイ推し進めるだろうこと」でも詳しく書きました。各地で地域医療構想調整会議が進められる中、「公立病院だけでなく公的病院も対象に加えろ」という議論の流れとなり、2018年6月に「経済財政運営と改革の基本方針2018」の中に「公立・公的病院については、地域の民間病院では担うことのできない高度急性期・急性期医療や不採算部門、過疎地等の医療等に重点化するよう医療機能を見直し、これを達成するために再編・統合の議論を進める」と明記されました。それを踏まえ、厚労省は急性期病床を持つ公立・公的病院のがん、心疾患などの診療実績を分析し、2019年9月には全国と比較してとくに実績が少ないなどの424病院(2020年1月に約440病院に修正)のリスト公表を敢行しました。公表とともに、急性期病床の縮小やリハビリ病床などへの転換などを含む地域の病院の再編・統合を各地で議論を行うことを要請し、今年9月末までに結論を出すよう定めました。これが上記の「具体的対応方針の再検証」です。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響もあり、8月31日、厚労省は「具体的対応方針の再検証等の期限について」と題する医政局長通知(医政発0831第3号)を各都道府県知事に発出、全国約440の公立・公的病院を対象とする再編・統合について、都道府県から国への報告期限を今年9月末から10月以降に延期、11月11日現在も期限は決まっていません。「拙速だ」との異論が出て議論は前進せず厚労省の事務局は同日に「議論の整理に向けた考え方(案)」を提示しています。それは以下のような内容です。「感染拡大時の取組における新興感染症等の医療計画への位置付けなどの枠組みを前提としつつ、今後の人口構造の変化に伴う医療ニーズの質・量の変化や労働力人口の減少に対応しつつ、質の高い効率的な医療提供体制を維持していくための地域医療構想については、地域医療構想調整会議において、新興感染症等への対応の観点も踏まえて協議を行いながら、引き続き、着実に進める必要がある」。しかし、共同通信などの報道によれば、病院団体の委員から「拙速だ」との異論が出て、具体的な工程や方向性に関する議論は前進しなかったそうです。また、「どの医療機関がどのような機能を果たすのか、しっかり協議しないと方向性が見えない」「コロナ拡大で悪化した病院の経営状況のデータも踏まえた検討を」など、議論をさらに深めるべきだとの意見も相次いだとのことです。自治体、病院団体も病院の再編・統合に後ろ向き同様の考えは、地方自治体からも出ています。各紙報道によれば、10月29日に開催された「地域医療確保に関する国と地方の協議の場」(全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方3団体と総務省、厚生労働省が地域医療の体制整備について話し合う場)において、全国知事会で社会保障を担当する平井 伸治・鳥取県知事は病院の再編・統合に関し、「地方はコロナ対策に向き合わなければならない現実がある。スケジュール通りに物事を進めようとするとコロナ対策がおざなりになりかねない」として、丁寧な議論が必要だと訴えました。平井知事は11月5日に開かれた社会保障審議会医療部会でも同趣旨の発言をしており、医療計画、地域医療構想について議論されたこの日の同部会では、日本病院会会長の相澤 孝夫氏からも「今、地域医療構想を云々するのは良くない」旨の発言があったとのことです。先延ばしにしたら”傷口”はますます拡がる2025年を見据えた地域医療構想の策定や、公立・公的病院のリストラに待ったをかけるようなこうした議論は、コロナに乗じた「先延ばし」のようにも感じられます。確かに、新型コロナウイルス対応は重要ですが、だからといって病院再編の議論を先延ばしにする理由にはならないでしょう。コロナ禍にあっても各地の人口減少は確実に進んでいます。収益が悪化したままの公立・公的病院のリストラを1年、2年と先延ばしにしていたら、”傷口”はますます拡がってしまいます。10月中旬、千葉県東金市の独立行政法人・東千葉メディカルセンター(314床)の乱脈経営が内部告発によって明らかになり、現在、東金市と九十九里町では大騒動になっています。各紙報道によれば、毎年10億円以上の赤字にもかかわらず、県からの出向職員への高額な給与や、不明朗で高額過ぎる業務委託費などの問題が次々と明らかになっています。ちなみに、同病院は先の厚労省の約440病院のリストにも入っています。経営的にボロボロの公立・公的病院は全国に数多くあります。同病院のように、自治体の人口構成や財政状況などを顧みず、首長のメンツや、地域住民のエゴで新設された病院にとくに多い印象です。そうした病院がある地域では、今後、新型コロナウイルス対応も勘案しながら、病院機能再編の議論をできるだけ早くスタートすることが望まれます。病院が潰れてなくなったり、医師が辞めていなくなってしまったりしたら、それこそ悲劇です。ところで、コロナに乗じた「先延ばし」ということでは、75歳以上の医療費窓口負担を現行の原則1割から2割に引き上げる、という政府方針への反対もコロナに乗じた「先延ばし」感が拭えません。日本医師会は、新型コロナウイルスの感染拡大で医療機関の受診を控える動きが広がっている中、さらなる受診抑制が生じるとの考えから、引き上げの対象者を一部に限定するよう求めています。地域のため、患者のためと話す医療関係者・自治体関係者・政治家の多くの言葉が、コロナに乗じた詭弁に聞こえてしまうのは私だけでしょうか。

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COVID-19パンデミック前後、遠隔皮膚科診療は3倍増に

 本邦のコロナ禍における受診動向の変化については、2020年8月6日の「第10回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で、「令和2年4月~6月の電話診療・オンライン診療の実績の検証について」が発表され耳目を集めた。電話またはオンライン診療の受診者は10歳未満が最も多く、ほかの年齢では発熱での受診が最多であったが、10歳未満の受診は湿疹が最多(22.7%)で、受診科目は内科、小児科に次いで皮膚科が3番目だったことなどが報告されている。 本論は、COVID-19感染者数が米国に次いで現在世界第2位の、インド・R.D. Gardi Medical CollegeのShashank Bhargava氏らが、ウェブベースでグローバルに皮膚科医に診療形態の変化について行ったサーベイ調査の結果である。COVID-19パンデミック前後で、teledermatology(遠隔皮膚科診療:TD)の活用が3倍増になったことなどが報告されている。International Journal of Women's Dermatology誌オンライン版2020年10月12日号掲載の報告。 研究グループは、COVID-19パンデミックによる皮膚科診療の変化の大きさについては、十分に研究がされていないとして、同パンデミックの皮膚科診療への即時的および長期的影響を評価する検討を行った。評価対象には、臨床活動、診療行為の頻度および種類、TDの使用などを含んだ。Googleフォームでサーベイツールを作成し、2020年4月1日~20日に、とくに皮膚科専門医のソーシャルメディアサイトの研究者に電子的に配布された。 主要アウトカムは、対面診療、病院サービス、TD、処置の提供に関する回答者の割合。また、パンデミック時および将来的なTDの利用について、オッズ比(OR)に与える可能性がある要因をロジスティック回帰モデルで調べた。 主な結果は以下のとおり。・サーベイに応じた皮膚科医は733例であった。アジア系が47.6%、北米18.7%、中南米17.9%、欧州13.9%、その他1.9%であった。診療歴は10年以下が45.0%を占め、都市部従事者が78.6%、開業医47.2%などであった。・対面診療の提供に関する割合は、パンデミック前100%に対し、パンデミック中は46.6%に減っていた。病院サービスは52.8% vs.27%、処置100% vs.25.6%といずれも減っていた(いずれもp<0.001)。・一方で、TDは、3倍増となっていた(26.1%vs. 75.2%)(p<0.001)。・TD利用率は、パンデミック中および将来利用予測ともに、診療地域と有意に関連しており、とくに北米の回答者で最も高かった(いずれもp<0.001)。・パンデミック中のTD利用は、従前からのTD利用、操作能力、およびとくに色素性病変が疑われる場合の生検と正の相関性がみられた(いずれもp<0.001)。・パンデミック前のTD利用は、パンデミック中のTD利用の最も強力な予測因子であった(OR:16.47、95%信頼区間[CI]:7.12~38.06)。・サーベイ参加者のうち3分の2以上(68.6%)が、将来的にTDを利用するだろうと回答した。・将来的なTD利用予測についてOR増大が最も大きかった要因は、国内のCOVID-19感染者数が1,000例を超えた場合だった(OR:3.80、95%CI:2.33~6.21)。

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双極性うつ病に対する補助的ブライトライト光療法~メタ解析

 双極性障害の効果的な補助療法の1つとして、ブライトライト光療法(BLT)が報告されている。これまでのメタ解析では、光療法による補助療法が、双極性うつ病の重症度を有意に改善させることが示唆されている。しかし、メタ解析に含まれた多くの研究は、ケースコントロール研究であり、不眠症治療と組み合わせたBLTに焦点が当てられていた。大分大学の平川 博文氏らは、双極性うつ病に対する補助的BLTに関するランダム化比較試験(RCT)を抽出し、メタ解析を実施した。Brain and Behavior誌オンライン版2020年10月9日号の報告。 EMBASE、MEDLINE、Scopus、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature、Clinicaltrials.govの電子データベースより、2019年9月19日までに英語で発表された、薬物治療中の双極性うつ病患者に対する補助的BLTの有効性を検討したRCTを検索した。文献スクリーニング、データ抽出、方法論的質の評価は、独立した2人の研究者により実施された。主要アウトカムは、治療反応率と寛解率とした。メタ解析には、Review Manager 5.3ソフトウェアを用いた。 主な結果は以下のとおり。・4研究より、双極性うつ病患者190例(BLT群:94例、対照群:96例)を評価し、光療法の効果を検証した。・メタ解析では、双極性障害の治療反応率に対する光療法の有意な効果が確認された(リスク比:1.78、95%CI:1.24~2.56、p=0.002、I2=17%)。・しかし、寛解率に対する有意な効果は確認されなかった(リスク比:2.03、95%CI:0.48~8.59、p=0.34、I2=67%)。・重篤な悪影響は報告されていなかった。・躁転率は、BLT群で1.1%、対照群で1.2%であった。 著者らは「BLTは、双極性うつ病患者のうつ症状を軽減するうえで、効果的な治療法である」としている。

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持続性AFへのアブレーション+マーシャル静脈内エタノール注入併用が有効/JAMA

 持続性心房細動(AF)の患者の治療において、カテーテルアブレーションにマーシャル静脈内エタノール注入を併用すると、カテーテルアブレーション単独と比較して、6ヵ月および12ヵ月後の時点の双方でAFまたは心房頻拍が残存しない可能性が高まることが、米国・Houston Methodist DeBakey Heart and Vascular CenterのMiguel Valderrabano氏らが実施した「VENUS試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年10月27日号で報告された。持続性AFに対するカテーテルアブレーションの成功には限界がある。肺静脈隔離を拡大した手技による戦略は、一貫性のある改善効果を示せていない。マーシャル静脈には、逆行性エタノール注入によってアブレーションが可能となる神経支配やAFのトリガーが含まれるという。マーシャル静脈内エタノール注入の追加で結果を改善できるか評価 本研究は、カテーテルアブレーションにマーシャル静脈内エタノール注入を追加することで、持続性AFのアブレーションの結果を改善できるかを評価する無作為化臨床試験であり、米国の12施設が参加し、2013年10月~2018年6月の期間に患者登録が行われた(米国国立衛生研究所[NIH]/国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成による)。 対象は、年齢18~85歳、1剤以上の抗不整脈薬に抵抗性で、症候性の持続性AF(>7日の持続)の患者であった。被験者は、カテーテルアブレーション単独またはカテーテルアブレーション+マーシャル静脈内エタノール注入を受ける群に、1対1.15の割合(マーシャル静脈内エタノール注入の技術的な失敗が15%あると想定)で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、6ヵ月および12ヵ月後のいずれの時点でも、抗不整脈薬を使用せずに、1回の手技でAFまたは心房頻拍が発現しない時間が30秒を超えることとした。副次アウトカムは12項目で、AF負荷、複数回の手技を行った後にAFがみられないこと、僧帽弁輪部のブロックなどが含まれた。マーシャル静脈内エタノール注入併用群の主要アウトカムは良好 無作為化された343例(平均年齢66.5[SD 9.7]歳、男性261例)のうち、316例(92.1%)が試験を終了した。マーシャル静脈内エタノール注入併用群が185例、カテーテルアブレーション単独群は158例であった。併用群の185例のうち、155例(84%)でマーシャル静脈内エタノール注入が成功した。 6ヵ月後と12ヵ月後に、1回の手技でAF/心房頻拍が発現しなかった患者の割合は、マーシャル静脈内エタノール注入併用群が49.2%(91/185例)と、単独群の38%(60/158例)に比べ良好であった(群間差:11.2%、95%信頼区間[CI]:0.8~21.7、p=0.04)。 12項目の副次アウトカムのうち、9項目には有意差はなかったが、AF負荷(負荷なしの割合:78.3% vs.67.9%、群間差:10.4%、95%CI:2.9~17.9、p=0.01)、複数回の手技後にAFの発現なし(65.2% vs.53.8%、11.4%、0.6~22.2、p=0.04)、僧帽弁輪部ブロックの成功(80.6% vs.51.3%、29.3%、19.3~39.3、p<0.001)は、併用群で有意に改善した。 有害事象の頻度は両群で同程度であった。全体で最も頻度の高い手技中の有害事象は、血管アクセス合併症(血腫/仮性動脈瘤、11件)および心膜液貯留(3件)であった。手技後に心膜穿刺によるドレナージを要する亜急性心膜液貯留が4例に発生した。手技後の脳血管イベントが7例、肺炎が7例で認められた。ドレナージを要しない症候性の炎症性心膜炎が、併用群11例、単独群6例で発生した。 著者は、「長期的な有効性を評価するには、さらなる研究を要する」としている。

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Pfizer社の新型コロナワクチン、接種28日目以降の予防効果確認/第III相試験中間解析

 Pfizer社とBioNTech社が開発している、SARS-CoV-2に対するmRNAベースのワクチン候補BNT162b2の第III相試験の最初の中間解析で、感染歴のないボランティアへの2回目の投与(初回から21日後)の7日目以降に90%以上のワクチン有効率を示した。これは、ワクチン接種の開始から28日目以降の予防効果が達成されたことを意味する。Pfizer社とBioNTech社が11月9日に発表した。11月第3週に米国食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請する予定という。 BNT162b2の第III相試験は7月27日に開始。現在までに4万3,538人が登録され、そのうち3万8,955人が11月8日時点で21日間隔・2回目の投与を受けている。中間解析は、評価可能なCOVID-19症例数が94例に達した時点で外部の独立データモニタリング委員会により行われ、2回目の投与の7日目以降に90%を超えるワクチン有効率を示した。今後の研究の進行に応じて、最終的な有効率は変わる可能性がある。 この研究では、SARS-CoV-2への曝露経験者でのCOVID-19を予防する可能性および重症COVID-19に対する予防効果も評価する予定。主要有効性評価項目は、2回目の投与から7日目以降におけるCOVID-19発症で、最終解析には、副次有効性評価項目として2回目の投与から14日目以降のCOVID-19発症も追加された。安全性については引き続きデータを蓄積し、2回目の投与後2年間、長期的な予防効果と安全性について観察する。 試験への登録は継続中で、164例のCOVID-19症例が発生した時点で、最終解析が実施される予定。現在の予測に基づくと、2020年に世界で最大5,000万回、2021年には最大13億回のワクチンを生産予定と発表されている。

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COVID入院患者で注意しなくてはならないのは?(解説:香坂俊氏)-1314

COVIDは11月現在、まだ世界で猛威を振るい続けている。なかでも状況が深刻なのは米国であるが、かの国から興味深い報告がなされた(掲載されたのは珍しくBMJ[英国の雑誌]なのであるが…)。COVID-19の感染が確認された成人患者情報が68の病院のICUから集められ、合計5,019人の「集中治療を要した」COVID患者のデータが解析された。このうち14%が心肺停止となったとされ、このあたりの数値は武漢からの報告ともおおむね一致している(武漢のCOVID専属治療施設での重症例の心肺停止の頻度が20~25%程度であった)。院内心停止が発生した患者は高齢かつ、併存疾患が多く、ICU病床数の少ない病院に入院している傾向にあり、心停止の際にモニターでよく見られたパターンはPEA(無脈性電気活動:50%)とasystole(心静止:24%)であったただ、自分が最も注目すべき点として挙げたいのは、こうした院内心肺停止症例で蘇生行為を受けたのが57%にとどまったというところである。自分の経験でも米国の医療施設では、事前にDNRのオーダーが出ていない限り必ず蘇生行為が行われるので、それだけadvance care planning(ACP)が重症例に対して積極的になされていたと考えられる。それを裏付ける、という訳でもないのだが、蘇生行為を受けて助かり、退院までこぎ着けることができた患者はわずか12%にすぎなかった。このときの生存率は年齢によって異なり、若年者にfavorableな結果であったというのもこれまでの報告と一致している(45歳未満の患者の21%が生存しているのに対し、80歳以上の患者の生存率は3%)。こうした非常に大規模な研究により、COVID重症例での対応が徐々に明確になってきている。たとえば、PEAやasystoleが心肺停止の際に多くみられたということは、主に心臓以外の要因で亡くなる方が多いということが示唆される。また、今回のデータからも、重症COVIDで患者さんを拝見させていただく場合に(とくに高齢者や背景疾患が存在する方)、かなり早い時期からACPの議論を始めておく必要性は強調される。

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第33回 悪夢払いアプリを米国FDAが承認

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行食い止めのためのロックダウン6週目に4,275人を調べたところ睡眠時間は多くなっていたものの目が覚めてしまうことが増え、4人に1人以上(26%)は悪夢を見ることが多くなっていました1)。コロナ禍の矢面に立って負担を強いられている医療従事者はとくにそうなりがちらしく、スペインでの別の研究によると100人中38人(38%)が悪夢を報告しており、非医療従事者のその割合約21%を有意に上回りました(p=0.02)2)。先週金曜日、そんな安眠さえままならない医療従事者の苦悩を軽減してくれるかもしれないApple Watch(アップルウォッチ)/iPhone(アイフォン)アプリが米国FDAに承認されました3)。Nightwareという商品名のそのアプリは募る負担の現れである悪夢を遮って夜間の休息が続くようにします。NightwareはApple Watchのセンサーを使って睡眠中の体の動きや心拍数を把握し、サーバーにそれらの情報を送ります。サーバーは独自のアルゴリズムを使って患者の睡眠パターンを把握し、おそらく悪夢を見ていると判断したら目を覚まさせない程度にApple Watchを震わせて気を引いて悪夢の解消を目指します。アプリは賢くて学習機能があり、もし振動で目が覚めてしまった場合、次からはそうならないようにより弱く振動させます4)。70人が参加した無作為化比較試験の結果、振動する製品は振動しない模造品に比べて睡眠の質の自己評価指標Pittsburgh Sleep Quality Indexをより改善しました。Nightwareは悪夢障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)による悪夢に苦しむ22歳以上の患者に使うことができます。ただし、PTSD患者には他の治療と一緒に使う必要があり、NightwareだけでPTSDを治療することはできません。また、悪夢の際に眠ったまま歩いたり(sleepwalking)乱暴する人は使うことはできません。参考1)Pesonen AK, et al. Front Psychol. 2020 Oct 1;11:573961. 2)Herrero San Martin A, et al. Sleep Med. 2020 Aug 17;75:388-394.3)FDA Permits Marketing of New Device Designed to Reduce Sleep Disturbance Related to Nightmares in Certain Adults/PR Newswire4)NightWare製品説明

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好きな医療系漫画ランキング、あなたのお気に入りはありますか?

 最近、医療現場のリアルを描いた医療系漫画が注目され、話題作が次々と映像化されている。では、実際の医師はどんな医療系漫画を好んで読むのだろうか。 ケアネットでは、会員医師に協力いただき、好きな医療系漫画についてのアンケートを実施した。2020年9月17日~10月2日に1,600名を対象として、今年に入ってから医療系漫画を1冊以上読んだかどうかを聞き、「はい」と回答した方に好きな作品や印象的なエピソードなどを聞いた。若い医師ほど医療系漫画を読む傾向に 「今年、医療系漫画を読んだ」と回答したのは、1,600人中671人(41.8%)。年代が若いほど医療系漫画を読んでいる割合が高く、20~30代では61%、40代は48%、50代は37%、60代以上は31%だった。診療科別で見ると、半数を超えていたのは糖尿病・代謝・内分泌科、眼科、臨床研修医だった。1位は『ブラック・ジャック』、上位3作品は各年代で共通 「今までに読んだ医療系漫画の中で最も好きな作品」を3つまで挙げてもらったところ、『ブラック・ジャック』が427票を獲得しトップに、次いで医龍(270票)、ブラックジャックによろしく(137票)となった。 上位3作品はどの年代でも共通であり、『ブラック・ジャック』が不動の1位かと思いきや、20~30代では『医龍』が1位だった。4位以降に選ばれた作品は各年代での違いが見られた。 続いて、「今後、読んでみたい診療科」について聞いたところ、内科、循環器科、救急診療科、精神・神経科、産業医などに多くの票が集まった。コロナ禍のインパクトも相まって、メンタルヘルスへの関心が高まっているのかもしれない。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。医療系漫画をよく読む診療科は?好きな漫画の第1位は? 年代別ランキング、とくに印象的なエピソード、自分が漫画家なら描きたいエピソードなど。

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成人ADHDに対するグアンファシン徐放性製剤の安全性、有効性~第III相延長試験

 昭和大学の岩波 明氏らは、成人の注意欠如多動症(ADHD)に対するグアンファシン徐放性製剤(GXR)の長期における安全性、有効性の評価を行った。BMC Psychiatry誌2020年10月2日号の報告。 本研究は、日本で行われた成人ADHDに対するGXRの非盲検長期第III相延長試験である。対象は、二重盲検試験から延長された成人ADHD患者150例および新規に登録された41例。1日1回のGXR投与を50週間継続した(開始用量:2mg/日、維持用量:4~6mg/日)。主要アウトカムは、治療による有害事象(TEAE)の頻度と種類とした。副次的アウトカムは、成人用ADHD評価尺度ADHD-RS-IV日本語版の合計スコアおよびサブスコア、コナーズの成人期ADHD評価尺度(CAARS)、臨床全般印象度の改善度(CGI-I)、患者による全般印象度の改善度(PGI-I)、QOL、実行機能の0週目からの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・191例中180例(94.2%)で1つ以上のTEAEが認められ、38例(19.9%)がTEAEにより治療を中止した。・ほとんどのTEAEの重症度は、軽度から中等度であり、重度のTEAEは2例であった。また、死亡例は認められなかった。・患者の10%以上で認められた主なTEAEは、傾眠、口渇、鼻咽頭炎、血圧低下、頭位性めまい、徐脈、倦怠感、便秘、めまいであった。・ADHD-RS-IV合計スコアおよびサブスコア、CAARSサブスコアの有意な改善が認められた(p<0.0001)。また、CGI-I、PGI-Iスコアが大きく改善した患者の割合は増加した。 著者らは「成人ADHDに対するGXRの長期使用に、重大な安全上の懸念は見当たらなかった。また、GXR長期使用後、患者のADHD症状、QOL、実行機能の有意な改善が認められた」としている。

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COVID-19、家庭・職場で感染リスクが高い行動は?

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染リスクを減らすには何に注意すればよいのだろうか。シンガポール・National Centre for Infectious DiseasesのOon Tek Ng氏らが、COVID-19患者の濃厚接触者におけるSARS-CoV-2感染に関連する因子を調べた結果、家族内では「寝室の共有」「COVID-19患者から30分以上話されること」が、家族以外では「2人以上のCOVID-19患者への曝露」「COVID-19患者から30分以上話されること」「同じ車への乗車」が関連していた。一方、「間接的な接触」「一緒に食事すること」「同じトイレの使用」については独立した関連がみられなかった。Lancet Infectious Disease誌オンライン版2020年11月2日号に掲載。 シンガポールではCOVID-19と診断された患者すべてに、保健省による接触者のトレースやPCR検査、濃厚接触者の健康サーベイランスを実施している。本研究は、このデータを使用し、2020年1月23日~4月3日に診断されたCOVID-19患者の濃厚接触者すべてを調査した後ろ向きコホート研究である。家族内接触者はCOVID-19患者との同居者、家族外の濃厚接触者はCOVID-19患者から2m以内で30分間以上の接触者とした。シンガポールではCOVID-19患者は全員入院し、接するのは医療スタッフに限られ、濃厚接触者は全員14日間隔離し1日3回、電話で症状モニタリングを実施している。誤診の発生割合と無症候性SARS-CoV-2陽性者の有病率はベイズモデリングで推定し、SARS-CoV-2感染の危険因子は単変量および多変量ロジスティック回帰モデルで決定した。 主な結果は以下のとおり。・2020年1月23日~4月3日の間に、PCRで確認されたCOVID-19患者1,114例の濃厚接触者7,770人が特定された(家族接触者1,863人、職場での接触者2,319人、社会での接触者3,588人)。・症状に基づいたPCR検査で188例検出され、7,582人は陽性ではなかった。・濃厚接触者7,770人のうち全データが揃っている7,518人(96.8%)における2次的な臨床的罹患率は、家族接触者1,779人では5.9%(95%CI:4.9~7.1)、職場での接触者2,231人では1.3%(同:0.9~1.9)、社会での接触者3,508人では1.3%(同:1.0~1.7)であった。・濃厚接触者1,150人(家族接触者524人、職場の接触者207人、社会での接触者419人)の血液および症状のデータのベイズ分析の結果、症状に基づいたPCR検査戦略によってCOVID-19の62%(95%CI:55~69)を見落とし、感染者の36%(同:27~45)は無症候性だったと推定された。・家族接触者のSARS-CoV-2感染に関連していた因子は、寝室の共有(多変量オッズ比[OR]:5.38、95%CI:1.82~15.84、p=0.0023)、COVID-19患者から30分以上話されること(OR:7.86、95%CI:3.86~16.02、p<0.0001)であった。・家族以外の接触者では、2人以上のCOVID-19患者への曝露(多変量OR:3.92 、95%CI:2.07~7.40、p<0.0001)、COVID-19患者から30分以上話されること(多変量OR:2.67、95%CI:1.21~5.88、p=0.015)、同じ車への乗車(多変量OR:3.07、95%CI:1.55~6.08、p=0.0013)がSARS-CoV-2感染に関連していた。・家族接触者と家族以外の接触者のどちらも、間接的な接触(感染患者から物を受け取る、感染患者が触った面を直後に触る)、一緒に食事すること、同じトイレの使用については、SARS-CoV-2感染との独立した関連は示されなかった。

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持続的腎代替療法時の抗凝固療法、クエン酸 vs.ヘパリン/JAMA

 急性腎障害を伴う重症患者への持続的腎代替療法施行時の抗凝固療法において、局所クエン酸は全身ヘパリンと比較して、透析フィルター寿命が長く、出血性合併症は少ないが、新規感染症が多いことが、ドイツ・ミュンスター大学病院のAlexander Zarbock氏らが行った「RICH試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年10月27日号で報告された。欧米の現行ガイドラインでは、重症患者への持続的腎代替療法時の抗凝固療法では局所クエン酸が推奨されているが、この推奨のエビデンスとなる臨床試験やメタ解析は少ないという。ドイツの26施設が参加、試験は早期中止に 研究グループは、持続的腎代替療法施行時の局所クエン酸投与が透析フィルター寿命および死亡に及ぼす影響を、全身ヘパリンと比較する目的で、多施設共同無作為化試験を実施した(ドイツ研究振興協会の助成による)。本試験はドイツの26施設が参加し、2016年3月~2018年12月に行われた。 対象は、年齢18~90歳、KDIGOステージ3の急性腎障害または持続的腎代替療法の絶対適応とされ、重症敗血症/敗血症性ショック、昇圧薬の使用、難治性の体液量過剰のうち1つ以上がみられる患者であった。 被験者は、持続的腎代替療法施行時に、局所クエン酸(イオン化カルシウムの目標値1.0~1.40mg/dL)または全身ヘパリン(活性化部分トロンボプラスチン時間の目標値45~60秒)の投与を受ける群に無作為に割り付けられた。 フィルター寿命と90日死亡率を複合主要アウトカムとした。副次エンドポイントには出血性合併症や新規感染症が含まれた。 本試験は、596例が登録された時点で、中間解析の結果がプロトコールで事前に規定された試験終了に達したため、早期中止となった。フィルター寿命が15時間延長、死亡への影響の検出力は低い 638例が無作為化の対象となり、596例(93.4%、平均年齢67.5歳、183例[30.7%]が女性)が試験を終了した。局所クエン酸群が300例、全身ヘパリン群は296例だった。 フィルター寿命中央値は、局所クエン酸群が47時間(IQR:19~70)、全身ヘパリン群は26時間(12~51)であり、有意な差が認められた(群間差:15時間、95%信頼区間[CI]:11~20、p<0.001)。90日の時点での全死因死亡は、局所クエン酸群が300例中150例、全身ヘパリン群は296例中156例でみられ、Kaplan-Meier法による推定死亡率はそれぞれ51.2%および53.6%であり、両群間に有意な差はなかった(補正後群間差:-6.1%、95%CI:-12.6~0.4、ハザード比[HR]:0.79、95%CI:0.63~1.004、p=0.054)。 38項目の副次エンドポイントのうち34項目には有意差がなかった。局所クエン酸群は全身ヘパリン群に比べ、出血性合併症(15/300例[5.1%] vs.49/296例[16.9%]、群間差:-11.8%、95%CI:-16.8~-6.8、p<0.001)が少なく、新規感染症(204/300例[68.0%] vs.164/296例[55.4%]、12.6%、4.9~20.3、p=0.002)が多かった。 局所クエン酸群は、重度アルカローシス(2.4% vs.0.3%)および低リン血症(15.4% vs.6.2%)の頻度が高く、全身ヘパリン群は、高カリウム血症(0.0% vs.1.4%)および消化器合併症(0.7% vs.3.4%)の頻度が高かった。これら以外の有害事象の頻度は両群間に差はなかった。 著者は、「本試験は早期中止となったため、抗凝固療法戦略が死亡に及ぼす影響に関して、結論に至るに十分な検出力はない」としている。

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