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第37回 早大が統合に踏み切れない東京女子医大の事情と「三派連合」の存在

慶應義塾大学が2023年4月をめどに東京歯科大学を統合、同大11番目の学部として歯学部が誕生する見通しだ。国内の総合大学では初めて医学部、看護医療学部、薬学部、歯学部の医療系4学部が揃うことになる。一方、慶大のライバルである早稲田大学は、長年に渡って東京女子医科大学との統合話が浮上しては立ち消え、実現に至っていない。その理由として、両大学の経営状況に加え、他大学からの“妨害”があったというきな臭い話も聞こえる。まず、慶大と東京歯科大が統合するメリットとは何か。先述の通り、慶大は医療系4学部を擁する国内初の総合大学として、ブランド力が一層強化される。また、附属校から歯科医を目指す場合、これまでは他大へ出るしかなかったが、晴れて内部進学が可能になる。一方、東京歯科大は経営状態が良好で国家試験の合格率も高いが、学生数の減少や歯科医師供給過剰による競争激化が進む中、「慶應」ブランドで優秀な学生集めることができる。つまり両者の統合は、名実ともに“Win-Win”の関係で成立するのだ。早大と東京女子医大の場合はどうか。東京女子医大にとって創立120年の節目である2020年は、悪いニュースが相次いだ。7月には、約30億円の病院の赤字と職員へのボーナス不支給、それを不満とした看護師400人の大量退職が報じられた。その後、同大は慌ててボーナスを支給した。その直後、2021年度の入学生から、6年間の学費を3,400万円から1,200万円アップの4,600万円にすると突如発表し、受験生に衝撃を与えた。総額が最も高い川崎医科大学(岡山県倉敷市)の4,740万円に次ぐ高さだ。背景には、コロナ禍による大学病院の収益悪化があるとされる。また10月には、6年前の医療事故について医師6人が書類送検される事態も起きた。関係者は「大学病院の財務状況とガバナンスが不全状態にある今の東京女子医大は、早大にとっては“お荷物”だ」と打ち明ける。一方、早大関係者は「17年から基金運用を始めるなど、早大の経営状況も順風満帆ではない。歴代総長のほぼ全員が検討し、『早稲田の悲願』と言われてきた医学部設置だが、うまみのある大学でないと統合は難しい」と打ち明ける。つまり現状を見る限り、早大と東京女子医大では“Win-Win”の統合になり得ないということだ。もう1つ、早大の医学部設置が叶わない背景を知る人物は次のように話す。「約20年前に、早大が医学部を持てるようにいろいろ動いたが、慶大、日本大学、東海大学の三派連合が立ちはだかり、どうにもこうにも行かなかった」と振り返る。ましてや三派連合の一角・慶大が医療系4学部を揃えるとなれば、医療界における慶大勢力はこれまで以上に強まるだろう。「早稲田大学医学部」の実現は、さらに遠のきそうだ。

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青年期のSNS利用と抑うつや不安症状との関連

 青年期や幼年期後期におけるソーシャルネットワーク(SNS)利用は、急激に増加している。このような変化によるメンタルヘルスへの影響は議論されているが、さらなる経験的評価が求められる。オーストラリア・メルボルン大学のLisa K. Mundy氏らは、青年期のSNS利用と抑うつ症状、不安症状との関連について調査を行った。Depression and Anxiety誌オンライン版2020年11月22日号の報告。 Childhood to Adolescence Transition Studyのデータ(1,156例)を利用し、11.9~14.8歳の4つの時点でのSNS利用時間を毎年測定した。1日1時間以上のSNS利用を、利用率が高いと定義した。SNS利用と抑うつ症状、不安症状との横断的および将来的な関連を調査した。 主な結果は以下のとおり。・年齢、社会経済的地位、メンタルヘルス罹病歴で調整した横断的分析により、SNS利用率が高い人においてメンタルヘルスリスクとの関連が認められたのは、以下のとおりであった。 ●SNS利用率が高い女性は抑うつ症状リスクが高い(オッズ比[OR]:2.15、95%信頼区間[CI]:1.58~2.91) ●SNS利用率が高い女性は不安症状リスクが高い(OR:1.99、95%CI:1.32~3.00) ●SNS利用率が高い男性は抑うつ症状リスクが高い(OR:1.60、95%CI:1.09~2.35)・女性では、利用頻度に波のない人と比較し、1つ前の波(OR:1.76、95%CI:1.11~2.78)と2つまたは3つ前の波(OR:2.06、95%CI:1.27~3.37)のSNS利用率の高さが、14.8歳時の抑うつ症状のORの増加と関連が認められた。 著者らは「SNS利用率の高い若者では、抑うつ症状や不安症状リスクの中程度の増加が認められた。初期のメンタルヘルス問題に対する予防プログラムにおいて、青年期初期のSNS利用に焦点を当てることが有用である可能性が示唆された」としている。

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冬の健康管理は3つのキープ(3K)に注目

 2020年11月18日(水)に大塚製薬株式会社より発行された、冬の健康管理についての最新情報に関するニュースレターで、「距離」「衛生」「体内の水分」の3つのキープ(3K)が冬の健康管理の新習慣として重要であること、体内の水分はイオン飲料での補給が効果的であることなどが紹介された。 その中で、東京女子医科大学 呼吸器内科学教授の多賀谷 悦子氏は「線毛輸送機能を維持し、ウイルス感染を防ぐには水分補給が重要となる。乾燥しやすい冬に効率のよい水分補給として、水分保持率の高いイオン飲料が有用である」と述べている。 ウイルスの脅威に立ち向かうため、空気の乾燥、暖房機器使用により湿度が低下した冬の水分摂取は重要である。やみくもな水分摂取ではなく、イオン飲料による効率的な水分摂取で、3つのキープ(3K)を意識した冬の健康管理が浸透することを期待したい。知らず知らずの乾燥 生活するうえで快適な湿度は40~60%といわれているが、冬の湿度は約50%、最小湿度で10~20%まで低下する。空気中の水蒸気量が少なく乾燥しやすいうえに、暖房機器の使用はさらなる乾燥を引き起こす。密閉性の高い近年の住環境も乾燥に拍車を掛けており、乾燥がウイルス活動の活性化の要因の1つとされている。冬のカラダは水分不足 私たちのカラダは1日に約2.5Lの水分を失う。皮膚や粘膜、呼気から失われる不感蒸泄は1日約900mLといわれており、気温が低く乾燥した冬の環境では消失量が増加する。夏と比較して汗をかきにくく、水分摂取の機会も減ることから、冬でも脱水を引き起こす可能性がある。ウイルスからカラダを守る「線毛運動」 線毛には、鼻やノドから入るウイルスの体内への侵入を防ぐ最前線の防御機能があり、気道に侵入したウイルスは粘液で捕らえられ線毛によって運搬・排除される。線毛は乾燥に弱く、湿度が低い環境下では運動能力が低下するため、湿度の維持とカラダの水分量を保つことが重要とされる。イオン飲料による水分補給の効果 低湿度環境下において、鼻腔粘液線毛輸送機能に対するイオン飲料の効果を「サッカリンテスト」にて検討1)したところ、「何も摂らない」「ミネラルウォーターを摂取」「イオン飲料を摂取」の3条件の中で、イオン飲料の摂取が線毛輸送機能の低下を有意に抑えた。また、イオン飲料と水を摂取し2時間後の体内保持率を比較した結果2)でもイオン飲料のほうが高く、イオン飲料は体内の水分量、線毛輸送機能を維持するために重要であると示唆されている。今冬は「3つのキープ(3K)」に注目 冬は気温が低く乾燥しやすい季節であり、ウイルス感染が心配されるため、「3つのキープ(3K)」を意識した健康管理が必要であるとして、下記の対策を大塚製薬は推奨している。・対策(1):KEEP DISTANCE(距離を保とう)・対策(2):KEEP CLEAN(衛生を保とう)・対策(3):KEEP WATER(水分を保とう)まとめ 2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、私たちの日常は大きく変化した。引き続きウイルスによる脅威に曝されている環境下にあるため、ソーシャルディスタンス、手洗い・うがいに加えて、イオン飲料による小まめな水分摂取を意識して、ウイルスに負けない健康管理に取り組む必要がある。

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なぜ・どうやって患者に禁煙をすすめるか?/日本肺学会

 11月に行われた第61回日本肺学会学術集会では、「禁煙を通して肺がん撲滅をめざす」と題したシンポジウムが行われ、この中で岡山済生会総合病院 がん化学療法センター長の川井 治之氏が「呼吸器内科医はなぜ・どうやって患者に禁煙をすすめているのか」と題した講演を行った。 冒頭に川井氏は、患者に禁煙を薦める理由として 1)喫煙は多くの呼吸器疾患の原因や悪化因子となる 2)がん治療への悪影響がある 3)がん治療後の2次(原発)がんの発生要因となる という基本事項を確認した。 1)について、今年に入って注目されたトピックスとして、COVID-19と喫煙の関係を紹介し、最新の研究を踏まえると「喫煙者は非喫煙者と比較して約2倍、新型コロナ感染症で重症化しやすい」1)というデータを共有した。 2)について、手術においては術後合併症発生率・術後死亡率・再手術の発生率がいずれも上がること、抗がん剤治療においてはイリノテカン・エルロチニブの全身曝露量を低下させ効果を減弱させる、シスプラチンの作用によるアポトーシスを阻害して耐性をもたらす、放射線治療においては治療効果の低下、治療関連毒性の増加など、各治療において広範囲に及ぶ悪影響があることを紹介した。さらに、小細胞肺がんの放射線化学療法中に喫煙を継続した場合、5年生存率が5%低下する2)、喫煙が肺がんの脳転移リスクを上昇させる3)といった研究結果も紹介した。 3)の喫煙関連の2次がんのリスク増については、喫煙者は治療後の肺がん発症リスクが6~24倍になること4)、2次がん発症のリスクが76%増加すること5)を指摘した。さらに診断時、3年以内に禁煙していた場合、現在の喫煙者と比較して死亡リスクが11%減少するというデータ6)を紹介し、喫煙の有害性、禁煙の有効性を改めて訴えた。相手に合わせて言葉を変え、あらゆる機会に介入 続けて、実際に診療にあたってどのように患者に禁煙をすすめるのかという点について、自身の実践を踏まえて紹介した。 初診時は、カルテのバイタルサイン欄に喫煙歴のチェック欄を設け、診療時に医療者が喫煙について触れる機会をつくる試みを紹介。この際、過去に喫煙歴のある患者は「(現在は)喫煙していない」と回答しがちなので、過去の喫煙歴も必ず聞くとよい、とアドバイスした。  「検診の胸部異常陰影で受診したが、CTでは異常がなかった」というケースの診療時では、「肺がんでなくてよかったですね。でもこのままタバコを吸っていると6人に1人は肺がんになります。良い機会ですから禁煙しませんか?」と伝え、40歳以下の患者であれば「喫煙者は寿命が10歳短くなりますが、今禁煙すれば寿命に対する影響をほぼなしにできますよ」と相手に響く言葉を添えたうえで禁煙外来につなぐことを紹介した。 さらに、非専門医が禁煙をすすめる際の手引きとして日本肺学会が翻訳・公開するNCCNガイドラインを推奨、自身のブログ・SNSを使った禁煙についての情報発信も紹介し、一般向けにわかりやすく禁煙の大切さを伝える重要性を訴えた。■参考1)Patanavanich R , et al. Nicotine & tobacco research. 2020 ;24:22;1653-1656.2)Videtic GMM, et al. J Clin Oncol. 2003;21:1544-9.3)Wu SY, et al. Int J Clin Exp Med. 2020;03:2174)The Health Consequences of Smoking—50 Years of Progress: A Report of the Surgeon General5)Tabuchi T, et al. Ann Oncol. 2013;24:2699-27046)Tabuchi T, et al. Int J Cancer. 2017;140:1789-1795.

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早期TN乳がんの術前化療+アテゾリズマブにおける患者報告アウトカム(IMpassion031)/SABCS2020

 未治療の早期トリプルネガティブ(TN)乳がんの術前化学療法に、免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブの追加を検討したIMpassion031試験における患者報告アウトカムの解析結果が報告された。米国・Brigham and Women's Hospital Dana-Farber Cancer InstituteのElizabeth A. Mittendorf氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。 本試験では、18歳以上で未治療のStageII~IIIのTN乳がん患者333例を、アテゾリズマブ(840mg、2週ごと)+nab-パクリタキセル(アテゾリズマブ群)またはプラセボ+nab-パクリタキセル(プラセボ群)に1対1で無作為に割り付けた。12週間(3サイクル)投与後、ドキソルビシン+シクロホスファミド(AC)との併用で8週間(2サイクル)投与し、手術を実施した。術後、アテゾリズマブ群はアテゾリズマブ(1,200mg、3週ごと)を11回投与し、プラセボ群は経過観察を行った。主要評価項目の病理学的完全奏効(pCR)率については、PD-L1の有無にかかわらず、アテゾリズマブ群が57.6%とプラセボ群41.1%に比べて有意に改善(p=0.0044)したことがすでに報告されている。 患者報告アウトカムの測定は、EORTC Quality of Life Questionnaire Core 30(QLQ-C30)およびFunctional Assessment of Cancer Therapy-General(FACT-G)single item GP5の質問票を用いて、術前療法および術後療法の各サイクルのベースライン・1日目・治療終了時、観察期間には1年目は3ヵ月ごと、2~3年目は6ヵ月ごと、その後は年に1回実施した。 主な結果は以下のとおり。・両群のQLQ-C30完了率(ITT解析)は、ベースラインは100%、術前療法期間では90%以上、術後療法期間(16サイクルまで)では89%以上、GP5完了率は、ベースライン(2サイクル1日目)で98%以上、術前療法期間および術後療法期間で88%以上であった。・ベースラインの平均値(95%CI)は、身体機能がアテゾリズマブ群91%(89~93)、プラセボ群90%(88~92)、役割機能がアテゾリズマブ群89%(86~93)、プラセボ群89%(86~92)、健康関連(HR)QOLがアテゾリズマブ群79%(76~82)、プラセボ群76%(73~79)と高かった。・16サイクルまでの治療評価期間、観察期間を通じ、身体機能、役割機能、HRQOLの平均値とベースライン値からの平均変化は両群で類似していた。・平均身体機能は、両群で3~5サイクル目の術前療法期間中に臨床的に重要な低下を示したが、術後療法期間に回復し、7サイクル目の開始を安定させた。・平均役割機能は、アテゾリズマブ群では2サイクル目から、プラセボ群では3サイクル目から5サイクル目までの術前療法期間で臨床的に重要な低下を示したが、術後療法期間に回復し、プラセボ群のみ9サイクル目で安定した。・平均HRQOLは、両群で3~5サイクル目の術前療法期間で臨床的に重要な低下を示したが、術後療法期間で回復し、6サイクル目から安定した。・術前療法期間の疲労、下痢、悪心・嘔吐は、機能およびHRQOLにおけるベースライン値からの平均および平均変化と類似した傾向で、両群とも5サイクルを通じて悪化した。術後療法期間の平均症状スコアは、疲労を除いて両群ともベースラインと同様であった。 Mittendorf氏は、「両群の治療関連症状は類似しており、化学療法へのアテゾリズマブの追加は新たな副作用はみられず忍容性があった。この解析結果から、nab-パクリタキセル後にACを投与する術前化学療法にアテゾリズマブを追加することで、患者に新たな治療負担を与えることなくpCRを改善することが示された」と述べた。

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Pfizer社の新型コロナワクチンの第III相試験結果/NEJM

 ファイザーとビオンテックによる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「BNT162b2」について、16歳以上における30μgの2回投与の有効率は95%で、同有効率は年齢や性別、基礎疾患の有無といったサブグループでも同程度であった。また、中央値2ヵ月間の安全性は、その他のウイルスワクチンと類似していた。アルゼンチン・Fundacion INFANTのFernando P. Polack氏らによる、進行中の第II/III相国際共同プラセボ対照観察者盲検化pivotal有効性試験の結果で、NEJM誌オンライン版2020年12月10日号で発表した。BNT162b2は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のfull-lengthスパイクタンパク質をコードする脂質ナノ粒子製剤・修飾ヌクレオシドmRNAワクチンである。第III相試験はコロナワクチンBNT162b2を3週間隔で2回投与 第III相試験は、16歳以上の健康な男女を無作為に2群に分け、一方には新型コロナウイルスワクチンBNT162b2(30μg)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ21日間隔で2回投与した。 主要エンドポイントは、検査によって確認されたCOVID-19に対するワクチンの有効性および安全性だった。第III相試験での新型コロナウイルスワクチンの有効率は95% 第III相試験では合計4万3,548例が無作為化を受け、4万3,448例が注射投与を受けた。新型コロナウイルスワクチンのBNT162b2群が2万1,720例、プラセボ群は2万1,728例だった。 2回目投与後7日以降にCOVID-19の発症が確認されたのは、プラセボ群が162例だったのに対し、BNT162b2群は8例で、BNT162b2の有効率は95%だった(95%信用区間[Crl]:90.3~97.6)。 ワクチン有効率は、65~75歳未満で94.7%であり、年齢や性別、人種、民族、ベースラインのBMI、基礎疾患の有無で分類したサブグループにおいて類似していた(概して90~100%)。 安全性プロファイルは、注射部位の短期的な軽度~中等度の疼痛、倦怠感、頭痛で特徴付けられた。重度有害イベントの発現頻度は低く、両群で類似していた。

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PD-L1陽性TN乳がん1次治療、ペムブロリズマブの上乗せ効果は?(KEYNOTE-355)/Lancet

 未治療の局所再発手術不適応または転移のあるPD-L1 CPS 10以上のトリプルネガティブ乳がん患者において、ペムブロリズマブ+化学療法はプラセボ+化学療法と比べて、無増悪生存(PFS)期間が有意かつ臨床的意義のある改善を示した。スペイン・Quiron GroupのJavier Cortes氏らによる第III相の国際多施設共同プラセボ対照二重盲検試験「KEYNOTE-355試験」の結果で、Lancet誌2020年12月5日号で発表された。著者は、「今回示された結果は、転移のあるトリプルネガティブ乳がんの1次治療について、標準治療へのペムブロリズマブ上乗せの意義を示すものである」と述べている。先行研究で同患者へのペムブロリズマブ単剤療法が、持続的な抗腫瘍活性と管理可能な安全性を示しており、研究グループは、同患者へのペムブロリズマブの上乗せが、化学療法の抗腫瘍活性を増強するかを検討した。29ヵ国209ヵ所の医療機関で試験 KEYNOTE-355試験は、29ヵ国209ヵ所の医療機関を通じ、未治療の局所再発手術不適応または転移を有するトリプルネガティブ乳がん患者を無作為に2対1の2群に割り付け、一方にはペムブロリズマブ(200mg、3週間ごと)+化学療法(nabパクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン+カルボプラチンのいずれか)、もう一方にはプラセボ+化学療法を行った。無作為化は、ブロック法(ブロックサイズは6つ)および統合Web応答機能付き対話型音声応答システムを用い、化学療法のタイプ(タキサン系またはゲムシタビン+カルボプラチン)、ベースラインでのPD-L1発現(CPS 1以上または1未満)、同クラス薬剤による化学療法歴(術前・術後)で層別化も行った。 適格基準は、18歳以上、トリプルネガティブ乳がんを中央施設で確認、測定可能病変が1つ以上、中央検査施設でトリプルネガティブ乳がんの状態およびPD-L1の状態を免疫組織学的に検査するための新たな腫瘍病変が提供可能、ECOG PSが0または1、十分な臓器機能であった。試験のスポンサー、研究者、そのほか各地の試験スタッフ(マスクされなかった薬剤師は除く)および患者は、ペムブロリズマブまたはプラセボ投与について知らされず、患者ごとのPD-L1バイオマーカーの結果も知らされなかった。 主要評価項目は2つで、PD-L1 CPSが10以上の患者、CPSが1以上の患者、ITT集団のそれぞれにおけるPFSと全生存(OS)だった。PFSは今回の中間解析で評価し、OSの評価は追跡を継続している。PFSの評価には階層テスト戦略が用いられ、最初にPD-L1 CPSが10以上の患者で行われ(今回の中間解析の事前規定の統計学的基準はα=0.00411)、その後にCPSが1以上の患者(今回の中間解析のα=0.00111、CPSが10以上の患者のPFSからの部分的α値を含む)、最後にITT集団(今回の中間解析のα=0.00111)で評価した。CPS 10以上の無増悪生存、ペムブロリズマブ群9.7ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月 2017年1月9日~2018年6月12日に1,372例がスクリーニングを受け、847例が無作為に割り付けられた(ペムブロリズマブ群566例、プラセボ群281例)。2次中間解析(データカットオフは2019年12月11日)での追跡期間中央値は、ペムブロリズマブ群25.9ヵ月(IQR:22.8~29.9)、プラセボ群26.3ヵ月(22.7~29.7)だった。 CPS 10以上の患者群では、PFS期間中央値はペムブロリズマブ群9.7ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月だった(病勢進行または死亡に関するハザード比[HR]:0.65、95%信頼区間[CI]:0.49~0.86、片側p=0.0012)。 CPS 1以上の患者群では、PFS期間中央値はそれぞれ7.6ヵ月、5.6ヵ月で有意差は示されなかった(HR:0.74、95%CI:0.61~0.90、片側p=0.0014)。ITT集団では、それぞれ7.5ヵ月、5.6ヵ月だった(0.82、0.69~0.97、有意性の検定は未実施)。 ペムブロリズマブの治療効果として、PD-L1誘発の増大が確認された。 Grade3~5の治療関連有害イベントの発生率は、ペムブロリズマブ群68%、プラセボ群67%だった。そのうち、死亡はペムブロリズマブ群1%未満、プラセボ群0%だった。

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今年はさみしいクリスマスマーケット【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第23回

冬の長いドイツでは、12月になると日照時間も短くなり、1日の大半が夜のようになります。寒いし暗いし、正直外に出るのがかなり億劫になっちゃいます。ですが、12月は1ヵ月まるまるクリスマスマーケットが行われます(ドイツ語では“Weihnachtsmarkt”「ヴァイナハツマルクト」と呼ばれます)。大都市ニュルンベルクなどのクリスマスマーケットは規模が大きく有名なのですが、クリスマスマーケット自体はどの街でも行われています。毎年この時期の週末は、近隣の街にも足を伸ばして「ご当地クリスマスマーケット巡り」に出かけていました。もちろん、わがグライフスバルトでもクリスマスマーケットは行われます。小さな街なのですが、広場には所狭しと出店が並び、子供用のカートレース場や即席観覧車なんかも作られたりします(画像の真ん中あたりに観覧車の上半分が写っています)。ところが…新型コロナウイルス感染症の強烈な第2波がやってきたドイツでは、現在ロックダウンが行われており、各地でクリスマスマーケットの中止が発表されています。当地ではこれは結構大きな事件のようで、地域のネットの掲示板も悲しみの声で溢れかえっていました。数年前、テロ事件でヨーロッパがお騒ぎになったときでも、セキュリティを厳重にすることでクリスマスマーケットは敢行されていたのですが…流石に今回は難しかったようです。広場にポツンとグライフスバルトでは、「せめてクリスマスツリーだけでも」と広場にポツンとツリーだけが飾られました。(「単にキャンセルができなかっただけ」との意見もちらほら聞かれていますが…)。これはこれで風情があって、悪くないと思いましたが、地元の方々は「クリスマスマーケットをやらないなら、ただ転倒のリスクがあるだけだ」と、ネット掲示板でプチ炎上していました…まあ正直どうでもいいんですが。イベントがないと、冬のドイツの夜は長過ぎですから…。クリスマスマーケット、来年は無事再開されるといいな…。

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「リコモジュリン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第30回

第30回 「リコモジュリン」の名称の由来は?販売名リコモジュリン®点滴静注用12800一般名(和名[命名法])トロンボモデュリン アルファ(遺伝子組換え)(JAN)効能又は効果汎発性血管内血液凝固症(DIC)用法及び用量通常、成人には、トロンボモデュリン アルファとして1日1回380U/kgを約30分かけて 点滴静注する。なお、症状に応じ適宜減量する。警告内容とその理由該当しない。禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)禁忌(次の患者には投与しないこと)1.頭蓋内出血、肺出血、消化管出血(継続的な吐血・下血、消化管潰瘍による出血)のある患者[出血を助長するおそれがある。]2.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者3.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人※本内容は2020年12月16日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2019年11月改訂(第15版)医薬品インタビューフォーム「リコモジュリン®点滴静注用12800」2)旭化成ファーマ:医療関係者向け情報

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第37回 「論文は査読前ですので…」、時代遅れ過ぎる閣僚たちのコメント

「Go To トラベル」、全国一斉停止へこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。私は今週末も自粛して、スポーツ観戦で過ごしました。楽しみにしていたのは、ゴルフの全米女子オープン、ではなく、アメリカンフットボールの大学日本一を決める甲子園ボウルです。12月13日に行われた甲子園ボウルは、関西学院大対日本大の対戦でした。ユニフォームの色から「青対赤」と呼ばれる伝統の一戦です。日大は2017年の悪質タックル問題で、18年度は公式戦出場停止、19年度は下位リーグ降格と厳しい状況が続きましたが、立命館大OBの橋詰 功監督の下、再び力を取り戻し、今年度1部リーグに復帰、甲子園ボウル出場を決めたのです。試合相手が悪質タックルを行った関学大であり、“被害者”であったクオーターバックの奥野 耕世選手も出場するということで、“因縁対決”と話題になりました。結果はランとパスを自在に使い分け6つのタッチダウンを奪った関学大が、42対24で日大を下しました。関学大の圧勝でしたが、あの日大が甲子園ボウルに戻ってきたことに感慨深いものがありました。日大フェニックスは1989年〜1991年、故・篠竹 幹夫監督の下、甲子園ボウルどころか、社会人チームと対戦し、日本一を決めるライスボウルで3連覇しています。フェニックス(不死鳥)のように、再び強い日大となって、社会人を倒す日がやってくることを願っています。さて、新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。政府はやっと重い腰を上げて、「Go To トラベル」を12月28日から全国一斉に一時停止することを決めました。すでに停止している北海道・札幌市と大阪市については延長、27日までは東京と愛知・名古屋市が新たに停止対象とされました。国の「経済優先」という強い意向はわかるのですが、そこにこだわるあまり、これまでなぜ「Go To トラベル」を継続したのか、一時停止の対象が一部の大都市だけだったのか、政府が国民に対して理論だった説明をしてこなかったことを、とてももどかしく感じます。それにしても、今から12日後の28日からの一斉停止で大丈夫なのでしょうか。とても心配です。「Go Toトラベル」利用者のほうが関連症状多い12月7日、「GoToトラベル」を利用した人は新型コロナへの感染リスクが高いとする調査結果を東京大学や大阪国際がんセンターなどの共同研究チームが発表、新聞やテレビなどの各メディアが報道し、話題となりました。しかし、こうした研究成果に対し、政府は正対した意見を言いません。印象的だったのは、閣僚たちの「査読前の論文ですので…」というちょっと“時代遅れ”のコメントです。この研究は、東京大学大学院医学系研究科の宮脇 敦士・助教、大阪国際がんセンターがん対策センター疫学統計部の田淵 貴大・副部長らによるもので、12月4日付でプレプリント・サーバー「medRxiv (メッドアーカイヴ)」に「査読前原稿」(This article is a preprint and has not been peer-reviewed)の記載とともに公開されました1)。その概要は以下のようなものです。同研究チームは、15〜79歳を対象とした大規模なインターネット調査を2020年8月末〜9月末に実施。2カ月以内の「Go Toトラベル」の利用経験と、過去1カ月以内の新型コロナを示唆する「発熱」「咽頭痛」「咳」「頭痛」「嗅覚/味覚異常」の経験の割合との関連性の調査を行いました。その結果、性別・年齢・社会経済状態・健康状態などの影響を統計的に取り除いた上での数字は、発熱:利用者4.8% vs.非利用者3.7%、咽頭痛:20.0% vs.11.3%、咳:19.2% vs.11.2%、頭痛:29.4% vs.25.5%、嗅覚/味覚異常:2.6% vs.11.7%だった、とのことです。つまり、「Go Toトラベル」を利用したことがある人は、利用経験のない人に比べて、より多くの人が関連症状を認めていたことがわかったのです。研究チームは、「Go Toトラベル」の利用者は非利用者よりも新型コロナに感染するリスクが高いことを示す結果であり、「Go Toトラベル」が新型コロナ感染拡大に寄与している可能性があることが示唆された、としています。高齢者や基礎疾患のある人を外すのは有効ではない?さらに、「Go Toトラベル」利用者の有症率については、65歳以上の高齢者よりも65歳未満の非高齢者が顕著であったことや、基礎疾患の有無によって「Go Toトラベル」利用者の有症率は変わらないことも示唆されたとしています。こうした結果から、高齢者や基礎疾患のある人を「Go Toトラベル」の対象外とするこれまでの方法は、新型コロナの感染拡大防止にあまり有効ではない可能性がある、としています。なお、同研究は発症ではなく症状を聞いただけであることや、「Go Toトラベル」利用と症状の発生率との間の時系列的関係が不明であることなどから、研究として限界があることを踏まえつつも、「感染者数の抑制のためには、対象者の設定や利用のルールなどについて検討することが期待される」としています。「査読も終わっておらず評価のしようがない」この調査結果に対する関係閣僚たちのコメントを各紙の報道から拾ってみました。「エビデンスといえるものなのかどうなのか、ちょっと査読も終わっていないという話ですし。評価のしようがない」(田村 憲久厚生労働相)。「著者以外の専門家から科学的検討、査読を受ける前段階のもの。慎重な評価が必要」(西村 康稔経済再生担当相)「正式に査読前という話もありましたし。現時点では全くコメントする段階でない」(赤羽 一嘉国土交通相)。「著者自らも、研究方法の限界として、『Go Toトラベル』の利用が、直接的に新型コロナ症状の増加につながったという因果関係は断定できないと書いている。引き続き、専門家の意見を伺いながら事業を適切に運用していく」(加藤 勝信官房長官)。査読前、という点に“こだわる風”を装う閣僚が何人もいた点がとても興味深いです。査読前論文とは、そんなに価値が低いものなのでしょうか?拡大する「プレプリント・サーバー」論文が正式に公開されるまでには、査読と修正等を含め、長い時間と手間暇がかかります。そのため、査読の過程を経ないで素早く論文を公開できる「プレプリント・サーバー」という仕組みが、広がりを見せています。「medRxiv」もその1つです。プレプリント・サーバーは、1990年代から数学・物理学分野やIT分野を中心に利用され始めました。近年は、研究成果の共有といった意味合いから、生命科学や医学分野でも、研究者に広く使われるようになってきています。とくに、新型コロナウイルス感染症については、研究成果を論文発表まで読めないのでは、感染症対策を世界レベルで進めていく意味でもマイナスです。今回のコロナ禍で、医学分野のプレプリント・サーバー利用や注目度が今まで以上に進んだ、との見方もあります。ちなみに生命科学、医学分野では紹介した「medRxiv」(2019年開始)と「BioRxiv(バイオアーカイヴ)」(2013年開始)が代表的です。時代遅れでダサい対応もちろん査読前ですから、過誤や捏造が含まれている可能性はそれなりに高いと言えます。とは言え、「査読された論文だから大丈夫」とも言えない現実があります。世界的な研究者数の増大と論文数の増加で査読者の絶対数が不足しており、査読完了までの時間が非常に長くなっています。また、査読者による研究成果盗用などの不正、さらには権威ある論文誌の高額な掲載料などもかねてから問題視されています。そういったさまざまな理由から、多くの分野でプレプリント・サーバーの存在感が増してきているわけです。「査読前だから」という理由だけで「参考にならない」という考え方は、もはや古過ぎると言えるでしょう。これからは、いち早く発表された研究成果が、正しそうかどうかを自分たちで判断し、必要ならば参考にするという姿勢が、研究者のみならず、政策を担当する人間にも必要でしょう。「やるべきことをスピード感を持って、ちゅうちょなく実行に移す」(内閣発足1ヵ月後の菅総理の言葉)はずの政権が、単純に「査読前だから」を理由にしていたのは、ちょっと時代遅れでダサいですね。もっとも、12月11日のニコニコ生放送の番組「菅 義偉総理が国民の質問に答える生放送」の番組冒頭の菅総理の「みなさん、こんにちは。ガースーです」の挨拶も、相当時代遅れでダサかったと思いますが…。参考1)Association between Participation in Government Subsidy Program for Domestic Travel and Symptoms Indicative of COVID-19 Infection. medRxiv. December 05, 2020.

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治療抵抗性うつ病発症リスクに関連する臨床的特徴と併存疾患

 うつ病患者の治療抵抗性うつ病(TRD)リスクを評価するため、臨床的特徴、初期の処方パターン、初期および生涯の併存疾患との関連について、台湾・国立台湾大学のShiau-Shian Huang氏らが調査を行った。BMC Psychiatry誌2020年11月17日号の報告。 うつ病入院患者3万1,422例を対象に、診断開始から10年以上のフォローアップを行った。TRDの定義は、2回以上の抗うつ薬治療レジメン変更または異なる2種類以上の抗うつ薬治療後の入院とした。人口統計学的共変量で調整した後、身体的および精神医学的併存疾患、精神疾患、処方パターンとTRDリスクとの関連を評価するため、多重ロジスティック回帰モデルを用いた。重要なTRD関連の臨床変数について、生存分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・女性うつ病患者(21.24%)は男性(14.02%)よりも、TRDの割合が高かった。・TRD患者は、非TRD患者と比較し、初期の不安症が認められる割合が高かった(81.48% vs.58.96%、p<0.0001)。・人口寄与割合(population attributable fraction)が最も高かったのは、生涯不安症であった(42.87%)。・複数の精神医学的併存疾患を有する患者の70%は、フォローアップ期間中にTRDへ進展した。・Cox回帰分析により、機能性胃腸症がTRDリスクを有意に増加させることを特定した(aHR:1.19)。・うつ病初期における抗うつ薬、ベンゾジアゼピン薬、Z薬の高用量使用は、TRDリスク増加と関連が認められた(p<0.0001)。 著者らは「TRDリスクと関連するうつ病患者の併存疾患や多剤併用パターンは、注意深くモニタリングする必要がある」としている。

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「523遺伝子を搭載した国内完結型がん遺伝子パネル検査」先進医療に承認/岡山大学

 新たながん遺伝子パネル検査に関する厚生労働省・先進医療技術【先進医療B】研究として、「国内完結型個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査研究」が厚生労働省より承認され、2020年12月1日より、岡山大学病院が全国で初めて実施することになった。523遺伝子を搭載した国内では最多となるがん遺伝子パネル検査となる。 わが国で保険適応されている遺伝子パネル検査は2種類で、それぞれ114、324個の遺伝子を対象にしていた。しかし、がん種によっては十分な遺伝子が調べられないこともあった。  今回、同研究で使用する新たな遺伝子パネルTruSightTM Oncology500(TSO500) は、 523遺伝子を調べることが可能。また、遺伝子の数が多いほど精度が高くなることが示されていることから、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を予測指標の1つである腫瘍遺伝子変異量(TMB)についても、より正確に測定することができるという。 同研究の対象は、抗がん剤による標準治療を実施後の固形がんと診断された、16歳以上で腫瘍組織が得られる患者。研究は、2020年12月1日(予定)~2022年3月31日までの期間で実施し、予定参加患者は250人である。先進医療にかかる医療費は全額患者負担となり、約60万円程度。

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統合失調症治療におけるパリペリドン戦略の展望

 2020年10月22日(木)にヤンセンファーマ主催による、持続性抗精神病剤パリペリドンパルミチン酸エステル(商品名:ゼプリオンTRI)の製造販売承認メディアセミナーが開催され、統合失調症治療薬の安全性情報や統合失調症治療におけるパリペリドン戦略の展望、持効性注射剤の適正使用推進について語られた。 同社の研究開発本部クリニカルサイエンス統括部統括部長を務める藤野 忠弘氏は、「ゼプリオンTRIは国内で承認された最長の投与間隔となる注射剤であり、服薬負担を軽減し、社会復帰のために確実に治療を行うメリットがある。一方で副作用発現時に急な中止ができないため、適切な患者さんを選択し適正使用を図ることが重要となる」と述べた。 ゼプリオンTRIの登場で急性期から安定期まで一貫したパリペリドン治療が可能となり、統合失調症の治療を継続するうえで重要となる服薬アドヒアランスも向上することで、再発予防、社会活動への復帰につながることが期待される。統合失調症の治療目標と再発予防の重要性 統合失調症の治療目的は、症状改善、再発予防にある。薬物療法は急性期から開始され、安定期に入っても再発予防のため治療継続が必要となる。5年以内の再発は約80%1)といわれ、再発を繰り返すと精神機能の低下に伴い社会復帰が困難となり、効果も減弱することから、いかに予防するかが重要となる。服薬アドヒアランスの影響 再発を防ぐには抗精神病薬の持続服用が重要であるが、統合失調症患者の服薬アドヒアランスは他の疾患と比較して低い。服薬に関する調査でも看護師と患者で「飲んでいる」認識に大きな差があることが報告されている。統合失調症患者においては、病識がない、または服薬・継続服薬の重要性を理解できていない割合も高いため、持効性薬剤はアドヒアランス向上に有用な剤形の1つであるといえる。持効性注射剤ゼプリオンTRIの有効性 2013年に承認された4週間に1回のゼプリオンは、急性期を脱して安定化期に入った患者に対して、症状の維持を目的とした持効性注射剤である。その状態をより長期的に維持させて再発予防、リカバリーを期待して、12週間に1回のゼプリオンTRIが開発された。ゼプリオンTRIを使用した2つの第III相試験の結果ではゼプリオンとの非劣性が証明され、再発までの期間もプラセボと比較し有意に延長した。安全性についてはゼプリオンでも報告されている安全性情報と同等であり、新規または予期せぬ事象は認められなかった。統合失調症治療における今後のビジョン パリペリドン製剤が目指す治療ポジションとして、急性期は幻覚・妄想に対し早期改善が期待できるインヴェガを、安定化期にはさらなる状態維持のため4週間に1回のゼプリオンを、そしてゼプリオンTRIの承認によって安定期での使用と、一貫したパリペリドン治療の実現が可能となった。治療のゴールとして、再発予防を通じて患者さん一人ひとりの自己実現につながることが期待される。まとめ 統合失調症は長期的な付き合いが必要となる難しい疾患であり、薬物治療も長期間のコントロールが要求される。再発を予防しながら社会での活躍を目指すうえで、ゼプリオンTRIの登場によって、患者さんの負担の軽減や、病気に対するより前向きな付き合いができるようになると考える。

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ロルラチニブ、進行ALK陽性NSCLCの1次治療で有効/NEJM

 未治療の進行未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の患者では、ロルラチニブの投与はクリゾチニブと比較して、無増悪生存(PFS)期間が有意に延長し頭蓋内奏効の割合が優れるが、Grade3または4の有害事象(主に脂質値の異常)の発生頻度は高いことが、米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAlice T. Shaw氏らが行った「CROWN試験」の中間解析で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年11月19日号で報告された。ロルラチニブは第3世代のALK阻害薬で、血液脳関門を通過して中枢神経系に到達するようデザインされており、第Iおよび第II相試験では、第1・第2世代ALK阻害薬による治療が失敗した患者において強力な抗腫瘍活性が確認されている。第1世代ALK阻害薬クリゾチニブは、本試験開始時の標準的な1次治療薬であった。23ヵ国104施設が参加した無作為化第III相試験 研究グループは、進行ALK陽性NSCLC患者の1次治療におけるロルラチニブの有用性をクリゾチニブと比較する目的で、国際的な無作為化第III相試験を実施した(Pfizerの助成による)。23ヵ国104施設が参加し、2017年5月~2019年2月の期間に参加者の無作為割り付けが行われた。今回は、中間解析の結果が報告された。 対象は、年齢18歳または20歳以上(参加施設の地域の法令に準拠)で、組織学的/細胞学的に局所進行または転移を有するNSCLCと確定され、ALK陽性で、転移を有する疾患に対する全身治療歴のない患者であった。被験者は、ロルラチニブ(100mg/日)またはクリゾチニブ(250mg×2回/日)の経口投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントはPFS期間とし、盲検下で独立した中央判定によって評価された。副次エンドポイントは、独立した評価による客観的奏効や頭蓋内奏効などであった。有効性の中間解析は、病勢進行または死亡の期待件数177件の約75%(133件)が発生した時点で行われた。1年後の病勢進行または死亡のリスクが72%減少 296例が登録され、149例がロルラチニブ群(平均年齢[±SD]59.1±13.1歳、女性56%)、147例がクリゾチニブ群(55.6±13.5歳、62%)に割り付けられた。ベースラインで、ロルラチニブ群の26%、クリゾチニブ群の27%で脳転移が認められた。PFSのフォローアップ期間中央値は、ロルラチニブ群が18.3ヵ月、クリゾチニブ群は14.8ヵ月だった。 12ヵ月の時点におけるPFS患者の割合は、ロルラチニブ群が78%(95%信頼区間[CI]:70~84)と、クリゾチニブ群の39%(30~48)に比べ有意に優れた(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.28、95%CI:0.19~0.41、p<0.001)。 客観的奏効の割合は、ロルラチニブ群が76%(95%CI:68~83)と、クリゾチニブ群の58%(49~66)と比較して良好であった(オッズ比[OR]:2.25、95%CI:1.35~3.89)。また、ベースライン時に脳転移が認められた患者(測定可能か否かを問わず)における頭蓋内奏効割合は、ロルラチニブ群が66%、クリゾチニブ群は20%であり(OR:8.41、95%CI:2.59~27.23)、測定可能病変を有していた患者の頭蓋内奏効割合はそれぞれ82%および23%であった(16.83、1.95~163.23)。測定可能病変を有していた患者の頭蓋内完全奏効は、それぞれ71%および8%で達成された。 12ヵ月の時点で、脳転移の進行のない生存割合は、ロルラチニブ群が96%と、クリゾチニブ群の60%よりも良好であった(HR:0.07、95%CI:0.03~0.17)。また、同時点での初回イベントとしての脳転移の進行の累積発生率は、ロルラチニブ群が3%、クリゾチニブ群は33%だった(0.06、0.02~0.18)。 ロルラチニブ群でとくに頻度の高い有害事象として、高コレステロール血症(ロルラチニブ群70% vs.クリゾチニブ群4%)、高トリグリセライド血症(64% vs.6%)、高脂血症(11% vs.0%)、浮腫(55% vs.39%)、体重増加(38% vs.13%)、末梢性ニューロパチー(34% vs.15%)、認知障害(21% vs.6%)、高血圧(18% vs.2%)、気分障害(16% vs.5%)が認められた。また、ロルラチニブ群はクリゾチニブ群と比較して、Grade3または4の有害事象(主に脂質値の異常)が多かった(72% vs.56%)。有害事象による治療中止は、それぞれ7%および9%で発生した。 著者は、「ロルラチニブは、複数の前臨床研究で第1・第2世代のALK阻害薬よりも強力にALKを阻害することが示され、既知のすべての単一ALK耐性変異に対する効力を保持している。これらの点が、今回の1次治療におけるロルラチニブの顕著な有効性の要因と考えられる」としている。

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再発スコアの低いリンパ節転移陽性閉経後早期乳がん、術後化学療法は回避可能か(RxPonder)/SABCS2020

 リンパ節転移1~3個でオンコタイプDX乳がん再発スコアが0~25の閉経後早期乳がん患者において、術後内分泌療法への化学療法追加のベネフィットが認められなかったことが、RxPonder試験(SWOG S1007)の中間解析で示された。米国・エモリー大学のKevin Kalinsky氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。RxPonder試験は、米国国立がん研究所(NCI)の支援でSWOG Cancer Research Networkが主導している前向き無作為化第III相試験。RxPonder試験で閉経後の患者に化学療法追加のベネフィットがないことが示唆された RxPonder試験の対象は、ホルモン受容体陽性HER2陰性でリンパ節転移1~3個の18歳以上の早期乳がんの女性。再発スコア0~25の女性を内分泌療法単独群と内分泌療法後に化学療法を追加する群に1:1で無作為化し、再発スコア(0~13と14~25)、閉経状態、リンパ節の術式(リンパ節郭清とセンチネルリンパ節生検)で層別化した。主要な目的は、化学療法が無浸潤疾患生存期間(iDFS)に及ぼす影響と、その影響が再発スコアに依存するかどうかの評価であった。 RxPonder試験の中間解析で示された主な結果は以下のとおり。・2011年2月28日~2017年9月29日に登録された9,383例のうち5,083例(54.2%)が無作為化され、追跡期間中央値5.1年で、447のiDFSイベントが認められた。・化学療法のベネフィットと再発スコアの交互作用は統計学的に有意ではなかった(p=0.30)。・化学療法・再発スコア・閉経状態を含むモデルにおいて、再発スコアが高いほうがiDFSが悪化し(HR:1.06、p<0.001、95%CI:1.04~1.07)、化学療法がiDFSの改善と関連していた(HR:0.81、p=0.026、95%CI:0.67~0.98)。・事前に設定された解析で、化学療法と閉経状態の間に有意な交互作用が確認され(p=0.004)、閉経状態による解析を行った。・閉経後の患者(3,350例、67%)においては、再発スコアを調整すると、内分泌療法単独群に対する化学療法追加群のHR(0.97)は有意ではなく(p=0.82、95%CI:0.78~1.22、 5年iDFS率:91.6% vs.91.9%)、化学療法追加のベネフィットがないことが示された。・閉経前の患者(1,665例、33%)においては、内分泌療法単独群に対する化学療法追加群のHR(0.54)が統計学的に有意であり(p=0.0004、95%CI:0.38~0.76、5年iDFS率:94.2% vs.89.0%)、化学療法追加のベネフィットが示された。 これらのRxPonder試験の結果から、Kalinsky氏は「現時点のデータでは、リンパ節転移が1~3個で再発スコアが0~25の閉経後患者では、iDFSを悪化させることなく化学療法を回避することが可能だろう。一方、リンパ節転移陽性で再発スコアが0~25の閉経前患者は化学療法で有意なベネフィットがあるようだ」と述べた。

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認知機能の改善作用を示したビフィズス菌株とは?

 脳と腸が自律神経などを通じて強く関連し、その状態に影響を及ぼしあう脳腸相関がいわれるようになって久しく、腸内細菌が認知症に関連するとの報告も多いが、因果関係の証明にはいたっていない。今回、2本の二重盲検無作為化比較試験を経て、ビフィズス菌MCC1274摂取による認知機能の維持・改善作用が示唆された。2020年11月24日、「ビフィズス菌MCC1274の認知機能改善作用とその可能性」と題したメディアセミナー(主催:森永乳業)が開催され、佐治 直樹氏(国立長寿医療研究センター もの忘れセンター)、清水 金忠氏(森永乳業株式会社研究本部 基礎研究所)、新井 平伊氏(アルツクリニック東京)が登壇し、試験の概要や関連研究、今後の展望について講演した。認知症の有無で腸内細菌叢の構成は異なる 佐治氏は、認知機能と腸内細菌の関連について調べる国内のレジストリ研究(Gimlet study)から得られた知見をいくつか紹介。腸内細菌叢の構成を調べた結果、認知症の人では、認知症でない人よりもバクテロイデス(常在菌)が減り、その他の不明な細菌の割合が増えていることが明らかになった1)。さらに、その変化は認知症の前段階(軽度認知障害[MCI])からみられることも確認された2)。 なぜ腸内細菌が認知症と関連するかについては、神経反射、循環器系、免疫系という大きく3つの経路における機序が考えられている。加えて、同レジストリ研究からは、腸内細菌の代謝産物が認知症に関連することが示唆された。代謝産物の濃度が1SD上昇した場合のオッズ比をみると、アンモニアで1.60(95%信頼区間:1.04~2.52)と認知症との関連性が高かったが、乳酸では0.28(0.02~0.99)と低かった3)。軽度認知障害の疑いのある50歳以上で有意にスコア改善 清水氏は、ビフィズス菌MCC1274の臨床試験の経緯について紹介。まずはじめに、同社が保有するビフィズス菌株の中からアルツハイマー型認知症の発症を抑制する可能性がある菌株としてMCC1274を特定した。アルツハイマーモデルを用いたプレ臨床試験では、MCC1274投与による認知機能改善作用および脳内炎症抑制作用が観察された4)。 続いて実施された二重盲検プラセボ対照群間比較試験では、物忘れが気になる120人の被験者をMCC1274カプセル(200億/日)群またはプラセボ群に無作為に割り付け、12週間摂取後の認知機能(MMSEおよびRBANSによる評価)を比較した。その結果、全被験者対象の解析では群間有意差がみられなかったが、認知機能が低下したサブグループ(RBANS総合スコア41点未満)解析では、MMSEおよびRBANSで有意な改善が認められた5)。 この結果を受け、認知症ではなく(MMSEスコア22点以上)、かつRBANSスコアが低く軽度認知障害の疑いのある50歳以上80歳未満の80人を対象に、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施された。その結果、MCC1274カプセル(200億/日)の16週間の摂取により、主要評価項目であるRBANSスコア合計の摂取後の実測値、そして前後の変動値とも有意な改善がみられ、即時記憶、視空間・構成、遅延記憶を司る認知領域の点数も有意に向上した6)。 今後は、作用機序解析や認知症発症者に対する寄与について研究を続ける見通しだという。アルツハイマー病以外への効果や菌の特異性など、今後の展開にも期待感 新井氏は、今回のビフィズス菌MCC1274の研究報告について、何より研究プロセスが治療薬開発に匹敵するアプローチであると高く評価。「サプリメントとして分類されているものの中で、ここまで徹底して検討し、エビデンスを積み重ねてきているものは他にない」と話し、サプリや特保食品としての展開は十分に準備ができた状態だと期待感を示した。 そのうえで、今後解明が期待される点として、1)抗炎症作用、2)特異性(菌の特異性、疾患特異性)、3)アミロイド仮説を挙げた。1)については、血液(末梢血)だけでなく、脳脊髄液や脳内炎症マーカーで検討できないかと指摘。2)については、今回のMCC1274 vs.乳酸菌や、他のビフィズス菌ではどうなのか、臨床家として大変興味があると話した。また、MCI群はアルツハイマー病だけではない点から、脳画像も含めて診断し、均一性を高めて検討してもらえたらと提案。3)については、経口摂取で腸内に投与されたビフィズス菌が、アミロイドβの沈着にどんな効果が実際にあるのかは大変興味深い、と話した。■参考1)Saji N, et al. Hypertens Res. 2019 Jul;42:1090-1091.2)Saji N, et al. Sci Rep. 2019 Dec 18;9:19227.3)Saji N, et al. Sci Rep. 2020 May 18;10(1):8088.4)Kobayashi Y, et al. Sci Rep. 2017 Oct 18;7:13510.5)Kobayashi Y, et al. Benef Microbes. 2019 May 28;10:511-520.6)Xiao J, et al. J Alzheimers Dis. 2020;77:139-147.

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世界初の経口投与可能なGLP-1受容体作動薬「リベルサス錠3mg/7mg/14mg」【下平博士のDIノート】第64回

世界初の経口投与可能なGLP-1受容体作動薬「リベルサス錠3mg/7mg/14mg」今回は、2型糖尿病治療薬「セマグルチド(商品名:リベルサス錠3mg/7mg/14mg、製造販売元:ノボ ノルディスク ファーマ)」を紹介します。本剤は、世界初の経口投与可能なGLP-1受容体作動薬であり、注射剤に抵抗がある患者さんであってもQOLを損ねずに良好な血糖コントロールを得られることが期待できます。<効能・効果>本剤は、2型糖尿病の適応で、2020年6月29日に承認、同年11月18日に薬価収載されています。<用法・用量>通常、成人には、セマグルチド(遺伝子組換え)として1日1回3mgを開始用量として経口投与し、4週間以上投与した後に1日1回7mgの維持用量に増量します。1日1回7mgを4週間以上投与しても効果不十分な場合には、1日1回14mgまで増量することができます。なお、本剤の吸収は胃の内容物により低下することから、1日の最初の飲水・食事前にコップ半分の水(約120mL以下)とともに本剤を服用します。服用時および服用後少なくとも30分は、飲食およびほかの薬剤の経口摂取を避ける必要があります。分割や粉砕、かみ砕いて服用することはできません。<安全性>日本人が参加した第III相臨床試験(併合データ)において、安全性評価対象症例3,290例中1,166例(35.4%)に副作用が認められました。主な副作用は、悪心355例(10.8%)、下痢204例(6.2%)、食欲減退147例(4.5%)、便秘143例(4.3%)、嘔吐142例(4.3%)でした(承認時)。なお、重大な副作用として、急性膵炎(0.1%)、低血糖(頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は膵臓に作用して、血糖値が高くなった際にインスリンの分泌を促すことで血糖値を下げます。2.1日の最初の飲食の前に、空腹の状態でコップ約半分の水とともに服用してください。その後の飲食や他剤の服用は、本剤の服用から少なくとも30分経ってからにしてください。3.本剤は吸湿性が強いため、服用直前にシートから取り出してください。また、割ったりかんだりしないでください。4.冷や汗が出る、血の気が引く、手足の震えなど、低血糖が考えられる症状が発現した場合は、速やかに砂糖かブドウ糖が含まれる飲食物を摂取してください。高所作業、自動車の運転などを行う際は十分に注意してください。5.胃の不快感、便秘、下痢などの消化器症状が起こることがあります。症状が長く続く場合や、嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛などが現れた場合は、すぐに病院か薬局に連絡してください。<Shimo's eyes>本剤は初の経口GLP-1受容体作動薬であり、同成分の皮下注製剤(商品名:オゼンピック)は一足早く発売されています。GLP-1受容体作動薬は分子量が大きいため、胃からの吸収が難しく、消化酵素により分解されやすいこともあり、これまで注射剤しかありませんでした。本剤は、サルカプロザートナトリウム(SNAC)と呼ばれる吸収促進剤を添加することで、胃からの吸収が促進され、生物学的利用能が高まったことから経口投与が可能となりました。本剤の吸収は錠剤表面の周辺部に限定されることから、SNACの含有量の差異および物理的に2つの錠剤が胃内に存在すると本剤の吸収に影響を及ぼす可能性があるため、本剤14mgを投与する際に7mg錠を2錠で投与することはできません。また、本剤のシートをミシン目以外で切って保管すると、湿気などの影響を受ける恐れがあります。そのため、調剤の際はとくに注意が必要です。臨床効果については、2型糖尿病患者を対象とした2つの国内試験、国際共同試験、海外臨床試験などで、HbA1cの持続的な改善効果が示されました。また、SGLT2阻害薬のエンパグリフロジン、DPP-4阻害薬、さらにGLP-1受容体作動薬リラグルチド皮下注などとの比較試験においても、HbA1cや体重の低下量は同等かより良好な結果を示しています。本剤を含むGLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬は、いずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有しており、併用した場合の有効性および安全性は確認されていないため、両剤が処方されている場合は疑義照会が必要です。本剤の吸収は胃の内容物により低下するため、起床後に空腹の状態で服用し、その後の30分間は何も飲食してはいけないなど、特別な注意が必要です。患者さんの理解度を確かめながら指導とフォローアップをしっかり行いましょう。参考1)PMDA 添付文書 リベルサス錠3mg/リベルサス錠7mg/リベルサス錠14mg

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肝臓がん2020 Wrap Up【消化器がんインタビュー】第7回

第7回 肝臓がん2020 Wrap Up出演:国立がん研究センター 東病院 肝胆膵内科長 池田 公史氏2020年肝細胞がんの重要トピックを国立がん研究センター東病院の池田公史氏が、一挙に解説。これだけ見ておけば、今年の肝細胞がん研究の要点がわかる。

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第38回 小児は新型コロナウイルスをどうやら寄せ付けず、侵入すればすぐに始末する

小児の新型コロナウイルス感染(COVID-19)は少なく1)、しかもたいてい無症状か軽症で済みます2)。小児の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への免疫はどうやら大人と違い、SARS-CoV-2をより軽々と除去できる仕様になっていることを裏付ける研究成果が増えつつあります。ある家族の10歳未満の小児3人はSARS-CoV-2への抗体を発現しましたが、28日間に行った11回ものPCR検査では誰ひとりSARS-CoV-2の存在を示す陽性反応を示しませんでした3)。一方、それら3人の子の両親のPCR検査ではSARS-CoV-2が検出されており、家族を調べたオーストラリアの研究所・Murdoch Children's Research Instituteのチーム4)の免疫学者Melanie Neeland氏によると小児の免疫は検査で検出できるほどにSARS-CoV-2を増やすことを許さず即刻押さえつけてすぐさま払い除けてしまうようです5)。SARS-CoV-2感染に応じて稀に生じる重度の合併症・多臓器炎症症候群(MIS)に陥った小児でさえPCR検査でウイルスが検出されるのはせいぜい2人に1人、少なければ3人に1人にも満たないほどです5)。生み出す抗体も小児と大人では違っています。成人32人と18歳以下の小児47人を調べたところ6)、小児と成人のどちらもSARS-CoV-2のスパイクタンパク質に対する抗体を発現したのとは対照的にSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質への抗体は成人にはあって小児には認められませんでした。研究を率いた米国・ニューヨーク市コロンビア大学の免疫学者Donna Farber氏によるとヌクレオカプシドタンパク質はウイルスが全身を巡るほどになって初めて目につく量が出回るようになります5)。小児がヌクレオカプシドタンパク質への抗体を欠いていたことは体内での感染が広範囲に及んでいないことを恐らく意味しており、先に述べたNeeland氏等の研究でも示唆されたように小児の免疫はSARS-CoV-2をさっさと追い払ってしまってはびこらせないようです。小児の鼻にはSARS-CoV-2のいわば侵入口とみられるACE受容体が少なく7)、入り込んだSARS-CoV-2への素早い免疫反応に加えて小児はそもそもSARS-CoV-2を受け付けない作りになっているようです。そういう大人にはない仕様も含めて1つではなく幾つかの要素が重なって小児はCOVID-19で倒れ難くなっているのでしょう。参考1)Wu Z, et al. JAMA. 2020 Apr 7;323:1239-1242.2)Dong Y, et al. Pediatrics. 2020 Jun;145.3)Tosif S, et al. Nat Commun. 2020 Nov 11;11:5703.4)Kids mount a COVID-19 immune response without detection of the SARS-CoV-2 virus/Murdoch Children’s Research Institute5)Nogrady B. et al. Nature. 2020 Dec 10.6)Weisberg SP, et al. Nat Immunol. 2020 Nov 5.7)Bunyavanich S, et al.. JAMA. 2020 Jun 16;323:2427-2429.

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