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進行乳がんのエリブリン治療、リンパ球数と病勢進行の関連は(EMBRACE)/日本臨床腫瘍学会

 第III相EMBRACE試験において、非タキサン系の微小管阻害薬エリブリンは進行乳がんの生存期間(OS)を有意に延長した。同試験のPost-Hoc解析では、ベースライン時のリンパ球絶対数(ALC)がエリブリン治療によるOS延長の独立した予測因子であることが示唆されている。今回、エリブリン治療によるOS延長におけるALCと病勢進行(PD)の関係が調べられた。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)において、静岡がんセンターの渡邉 純一郎氏がその結果を発表した。 本Post-Hoc解析では、EMBRACE試験に登録された被験者が、PDの状態に基づいて3つのサブグループに分類された。グループ1:新たな転移によるPDグループ2:既存の病変の進行によるPDグループ3:データカットオフまでPDなし ベースラインALCのカットオフ値は1,500/μLに設定。OS中央値、ハザード比(HR)、およびP値は、それぞれカプランマイヤー法、層別Cox比例ハザードモデル、および層別ログランク検定を用いて推定された。 主な結果は以下のとおり。・EMBRACE試験には、評価可能なベースラインALCの記録を有する症例がエリブリン群500例、主治医選択薬(TPC)群251例含まれていた。・ALC≧1,500/μLのエリブリン群の患者では、ALC<1,500/μLと比較して新たな転移を有する患者が少ない傾向がみられたが(25% vs.29%)、有意な差はみられなかった。・グループ1において、ベースラインALCが≧1,500/μLの場合、エリブリン群ではTPC群と比較してOSの有意な延長が示された(HR:0.485、95%信頼区間[CI]:0.271~0.869、p=0.013)。一方、ベースラインALC<1,500/μLの場合両群に差はみられなかった。・グループ2において、ベースラインALCが≧1,500/μLの場合、エリブリン群ではOS延長の傾向が強くみられたが(中央値15.7ヵ月 vs.9.3ヵ月)、統計学的有意差は得られなかった(HR:0.746、95%CI:0.409~1.362、p=0.339)。ベースラインALC<1,500/μLの場合両群に差はみられなかった。・グループ3では、ベースラインALCが≧1,500/μLの場合、エリブリン群のOSが有意に延長された(HR:0.567、95%CI:0.322~0.998、p=0.047)。ベースラインALC<1,500/μLの場合両群に差はみられなかった。・さらに、新たな転移のみられた患者を除外し、それ以外の患者について解析を行ったところ、エリブリン群のOSが大幅に延長された(HR:0.571、95%CI:0.394~0.826、p=0.003)。OS中央値としては、エリブリン群で約5ヵ月延長されている。 これらの結果を受けて同氏は、下記のように結論づけた。・ベースラインALC≧1,500/μLは、エリブリン群におけるPDの状態を予測するバイオマーカーとはいえず、適切なカットオフ値についてのさらなる検討が必要・ベースラインALC≧1,500/μLで、新たな転移を有さない患者が、エリブリン治療によるベネフィットを最も受けうる・しかしながら、ベースラインALC≧1,500/μLで新たな転移を有する患者においても、エリブリンによる治療はOSの有意なベネフィットをもたらす・TPC群の患者では、OSの予測において、ALCも病勢進行の状態も関連がみられなかった

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食物アナフィラキシー、20年で入院は3倍も死亡率は低下/BMJ

 英国では、1998~2018年の20年間に、食物によって誘発されたアナフィラキシーによる入院が3倍以上に増加したが、死亡率は低下しており、就学児童で最も頻度の高い致死的なアナフィラキシーの単一の誘因は牛乳であることが、同国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAlessia Baseggio Conrado氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年2月17日号で報告された。アナフィラキシーは全身性の重篤な過敏反応で、通常、急速に発症し、死に至る可能性もある。食物アナフィラキシーによる入院は世界的に増加しており、イングランドとウェールズでは1998~2012年の期間に倍増したが、致死的アナフィラキシーの発生率はこの間安定していたという。英国の20年間の経時的な傾向を調査 研究グループは、英国における過去20年間の食物アナフィラキシーによる入院および死亡の経時的な傾向を明らかにする目的で、全国的な調査を行った(英国医学研究協議会[MRC]などの助成による)。 解析には、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドにおけるアナフィラキシーによる入院と死亡に関連するデータと、アドレナリン(エピネフリン)自己注射器の処方データを用いた。アドレナリン自己注射器の処方率は336%上昇 1998~2018年の期間に10万1,891人がアナフィラキシーで入院した。これらの入院のうち3万700人(30.1%)が、食物が誘因のアナフィラキシーであった。食物アナフィラキシーによる入院は、1998年の年間10万人当たり1.23人から、2018年には4.04人へと増加し、年間増加率は5.7%(95%信頼区間[CI]:5.5~5.9、p<0.001)であった。 入院率が最も高かった年齢層は15歳未満であり、1998年の年間10万人当たり2.1人から、2018年には9.2人へと増加しており、年間増加率は6.6%(95%CI:6.3~7.0)であった。他の年齢層の年間増加率は、15~59歳が5.9%(5.6~6.2)、60歳以上は2.1%(1.8~3.1)だった。 1998~2018年の期間に、食物を誘因とするアナフィラキシーが原因の可能性がある致死的イベントによる死亡は152件認められた。致死的食物アナフィラキシーは、1998年の0.70%から、確定例は0.19%へと減少し(率比:0.931、95%CI:0.904~0.959、p<0.001)、疑い例は0.30%へと低下した(0.970、0.945~0.996、p=0.024)。 1992~98年の35件を含む合計187件の死亡のうち、少なくとも86件(46%)は、ピーナッツまたはナッツ類(tree nut)が誘因の死亡であった。また、就学児童(16歳未満)の66件の死亡のうち、17件(26%)は牛乳によるものであった(成人は5%)。 同時期の20年間に、アドレナリン自己注射器の処方率は336%上昇した(率比:1.113、95%CI:1.112~1.113、年間増加率:11%)。 著者は、「アレルギーを持つ人々に牛乳がもたらす固有のリスクを浮き彫りにし、食品製造企業の意識を高めるには、より多くの教育を要する」とし、「若年成人における重症アナフィラキシーに対する年齢関連の脆弱性のエビデンスを評価し、その結果として食物アレルギー患者のリスクを層別化し、致死的な転帰のリスクを低減するわれわれの能力を向上させるための研究が必要である」と指摘している。

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トランスジェンダー、ホルモン療法でにきび有病率が大きく上昇

 思春期男子の悩みの1つににきびがあり、原因には男性ホルモンが関連しているためとされる。同様の悩みは男性化ホルモン療法(MHT)を受ける性同一性障害患者においてもあるというが、そうしたケースにおける発症リスクや有病率の詳細が明らかにされた。米国・ボストン大学のNick Thoreson氏らが988例を対象とした後ろ向きコホート研究の結果、MHT開始前後で、にきびの有病率は6.3%から31.1%へと大きく上昇し、年齢的には18~21歳の患者に多い傾向が認められたという。これまで、MHTを受ける性同一性障害患者のにきびのリスクについて大規模な研究は行われていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年1月20日号掲載の報告。 研究グループは、大規模なMHT中の性同一性障害患者におけるにきびのリスクと診断のための臨床的リスク因子を評価する検討を行った。 被験者は、2014年1月1日~2017年12月31日にMHTを開始した患者988例で、1年以上のフォローアップを実施した。データの解析は2019年9月1日~15日に行った。データは、性的少数派コミュニティ(sexual and gender minority community)にサービスを提供する地域の保健センターからの電子健康記録(HER)を用いて入手。試験対象期間中にMHTを開始した、18歳以上(MHT開始時)かつ出生時の性別が女性であったすべての患者を対象とし、にきびの発症等について評価した。にきびの定義は、ICD-10の臨床修正コードによるものとし、MHT開始後2年間の全体有病率および評価対象期間における罹患率を算出して評価した。ベースラインの人口統計学的および臨床的特性は、MHT開始時点で収集した。 にきびの診断との関連を検証するために、すべての要因の一連の単変量解析を行い、独立予測因子をテストするため多変量解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・患者988例(年齢中央値25.8歳、四分位範囲:20.8~28.2歳)において、にきびの全体有病率は31.1%(307例)であり、ベースラインの有病率6.3%から大きく上昇した。・MHT開始後1年間の罹患率は19.0%、同2年目の罹患率は25.1%であった。・MHT開始時の年齢が低いほど、にきび発生の尤度は高くなる関連が認められ、年齢中央値22.4歳(四分位範囲:19.7~25.6歳)の患者では関連が認められたが、同24.7歳(21.3~29.4歳)の患者では認められなかった(p=0.002)。

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コロナワクチン「コミナティ」添付文書改訂、輸送・保管時の温度管理柔軟に

 2月14日に特例承認されたファイザーの「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」(商品名:コミナティ筋注)について、3月1日付で添付文書が改訂された。薬剤の保存方法として、-25~-15℃で最長14日間の保存が可能である旨が追記された。 今回の改訂では、「薬剤調整時の注意」の細目として、新たに「保存方法」についての以下の記載が加わった。《保存方法》本剤は-90~-60℃から-25~-15℃に移し、-25~-15℃で最長14日間保存することができる。なお1回に限り、再度-90~-60℃に戻し保存することができる。いずれの場合も有効期間内に使用すること。 本件内容については、-25~-15℃における安定性試験成績に対する医薬品医療機器総合機構(PMDA)の評価を基に追記された。これによりファイザーは「本剤を輸送および保管する際の柔軟性が増すことが期待される」としている。

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古くて新しい低糖質食は2型糖尿病治療の救世主になれるのか!(解説:島田俊夫氏)-1359

 今回取り上げるBMJ誌に2021年1月13日に掲載されたGoldenberg JZらの論文は、2型糖尿病患者への低/超低糖質食が糖尿病寛解に及ぼす効果と安全性に関して、出版済みおよび未出版のランダム化比較試験データを可能な限り利用し、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した結果報告であり、時宜にかなっている。温故知新の低糖質食 2型糖尿病に対して待望のヒト由来インスリンが治療に導入後、すでに長い年月が経過している。だが、正直言って期待されたような成果が出ているとは言い難い状況にある。インスリンが発見される以前に、2型糖尿病の治療食として“低糖質食”が使用されていた経緯がある1)。温故知新の教えのごとく、近頃、低糖質食が見直されている。糖質が体に合わない患者に糖質を全エネルギーの50~60%も摂ることを勧めることは、普通に考えれば論理性を欠いているように思える。栄養バランスの許す限り、低糖質食で治療することは古くて新しい2型糖尿病治療へのリバイバル治療になる。本論文はこのような観点からも、多くの読者に多大なインパクトを与えるのではないか。低糖質食は、ブームになっているが専門家にはいまひとつ人気がない。 その理由は、十分なエビデンスを検証できるだけの、良質な低糖質食に関するエビデンスを欠いていることが大きい。今回の論文の準備段階での苦労からも、十分な量と質が担保されたデータ確保が難しかったと推察する。悪戦苦闘の末、メタ解析、システマティックレビューにこぎ着けた印象を抱く。要約と糖質制限食への環境整備 本論文の結論を手短に言えば、1日130g未満の低糖質食を少なくとも6ヵ月間遵守できれば、大きな有害事象なく糖尿病の寛解を達成できる。今回のデータは研究期間が短い点に限界があることを念頭に置いたうえで、とりあえず低糖質食での治療が完遂できれば、糖尿病は寛解することを確認できたことに意味がある。もちろん、低糖質食をさらに厳しくやれば(1日50g未満)改善効果が消失し、悪玉コレステロールの上昇を認めている。その理由は超低糖質食の遵守破綻によると考えられており、成功するためには糖質制限を遵守完遂することが治療成功の必要条件になる。低糖質食は生涯を通して行う必要があるため、社会環境の整備も完遂のために急務と考えるが、現在すでにその環境が整いつつある。これまでの治療に対する問題点と、これからの食事療法と非依存薬物の併用療法への期待 インスリン抵抗性の改善なくして、インスリンによる治療の前途は必ずしも明るくはない(発がん、動脈硬化、易感染性の発生)。比較的新しい経口糖尿病薬SGLT2阻害剤は、インスリン濃度を上げず血糖を下げる薬として新しい切り口の経口糖尿病治療薬であり、単独での血糖降下作用は弱いが、低糖質食とのコラボでのより良い成果に期待する。 長期にわたる低糖質食の確実な予後改善効果の証明が待たれるところである。12ヵ月を過ぎると有効性が消失するとのメタ解析結果も出ており2)、一時的効果はあるが、永続的効果は目下、証明されていると言い切れない状況である。 低糖質食は、インスリンを上げない薬物治療との併用で手詰まり状態になっている2型糖尿病治療に、風穴を開けることができるのではと密かに思っている。

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特例承認から3日で接種開始した新型コロナワクチン「コミナティ筋注」【下平博士のDIノート】第69回

特例承認から3日で接種開始した新型コロナワクチン「コミナティ筋注」今回は、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)ワクチン「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」(商品名:コミナティ筋注、製造販売元:ファイザー)」を紹介します。本剤は、わが国で初めて承認されたCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)に対するワクチンであり、2回の筋肉内注射で発症を予防することが期待されています。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の予防の適応で、2021年2月14日に特例承認されました。なお、本剤の予防効果の持続期間は確立していません。本剤(コミナティ筋注[1価:起源株])に加えて、2022年1月にコミナティ筋注5~11歳用、2022年9月にコミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)、2022年10月にコミナティ筋注6ヵ月~4歳用およびコミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)が承認されています。<用法・用量>日局生理食塩液1.8mLにて希釈し、1回0.3mLを合計2回、通常3週間の間隔で筋肉内に接種します。3回目・4回目接種による追加免疫の場合、前回の接種から少なくとも3ヵ月経過した後1回0.3mLを筋肉内に接種します。副反応が現れることがあるので、接種後は一定時間観察を行い、異常が認められた場合には適切な処置を行います。本剤の初回接種時にショック、アナフィラキシーが認められた被接種者に対しては、本剤2回目の接種を行わないこととされています。<薬剤調製時の注意>※抜粋本剤は-90~-60℃から-25~-15℃に移し、-25~-15℃で最長14日間保存できます。なお1回に限り、再度-90~-60℃に戻し保存することができます。冷蔵庫(2~8℃)で解凍する場合は、2~8℃で1ヵ月間保存することができます。希釈後の液は2~30℃で保存し、希釈後6時間以内に使用します。<安全性>海外第I/II/III相試験(C4591001試験)の第II/III相パート(プラセボ対照無作為化多施設共同試験)において、本剤接種群(2回接種後)の安全性評価対象3,758例で報告された主な副反応は、注射部位疼痛2,730例(72.6%)、疲労2,086例(55.5%)、頭痛1,732例(46.1%)、筋肉痛1,260例(33.5%)などでした。また、Grade3以上の有害事象が2%を超えたものは、疲労143例(3.8%)と頭痛76例(2.0%)でした。<患者さんへの指導例>1.ワクチンを接種することで新型コロナウイルスに対する免疫ができ、新型コロナウイルス感染症の発症を予防します。2.本剤の接種当日は激しい運動を避け、接種部位を清潔に保ってください。3.医師による問診、検温および診察の結果から、接種できるかどうかが判断されます。発熱している人などは、本剤の接種を受けることができません。4.合計2回を3週間の間隔で筋肉内に接種します。1回目の接種から3週間を超えた場合は、できる限り速やかに本剤の2回目の接種を受けてください。5.本剤の接種直後または接種後に、心因性反応を含む血管迷走神経反射として、失神が現れることがあります。接種後一定時間は接種施設で待機し、帰宅後もすぐに医師と連絡をとれるようにしておいてください。6.接種後は健康状態に留意し、接種部位の異常や体調の変化、高熱、痙攣など普段と違う症状がある場合には、速やかに医師の診察を受けてください。<Shimo's eyes>本剤は、わが国で初めて承認された新型コロナウイルス感染症の発症予防を目的とするワクチンであり、有効成分はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質をコードするmRNA(トジナメラン)です。海外C4591001試験における新型コロナウイルス感染症発症予防効果および本剤2回目接種後2ヵ月時点の安全性のデータに基づいて、米国では2020年12月11日に緊急使用許可(EUA:Emergency Use Authorization)が出され、欧州では同月21日に条件付き販売承認がされています。2021年2月時点ですでに世界70ヵ国以上で接種が行われており、わが国でもようやく医療従事者など向けの優先接種が始まりました。なお、優先接種対象となる医療従事者には薬局薬剤師も含まれることが通知されています。プラセボ群と比較した本剤の発症予防効果は、前述の試験によると95%と報告されており、1回目の接種12日目以降から発症者が少なくなっています。また、試験後に発症し、重症化した10例のうち1例が本剤群、9例がプラセボ群であり、本剤を投与することで重症化を防ぐことができる可能性もあります。効果の持続期間や毎年の接種が必要かどうかについてはまだ十分な見解が得られていません。副反応で最も懸念されるのはアナフィラキシーなどのアレルギー反応です。アナフィラキシーは全身の複数臓器に症状が現れるものであり、アナフィラキシーショックはそのうち血圧低下や意識障害を伴い、場合によっては生命を脅かす危険な状態に至るものです。アナフィラキシーは、迅速かつ適切に対応すれば命に関わることはほとんどないと考えられるので、患者さんが用語を混同して過度に恐れている場合はきちんと説明しましょう。なお、接種後にアナフィラキシーが生じた人の多くは、過去に食品や薬、その他の種類のワクチン、蜂の刺傷などによるアレルギー反応やアナフィラキシーの既往歴がありました。本剤は添加物としてポリエチレングリコール(PEG)を含有しているため、PEGやポリソルベートに重度な過敏症の既往がある人は禁忌となっています。しばしばアレルギー源となる鶏卵やゼラチン(安定剤)、チメロサール(防腐剤)、ラテックス(容器)は使用されていません。わが国の治験は、日本人160例を対象に行われ、海外と同様に免疫を獲得しています。副反応の報告も海外データとの差はなく、重篤なものはありませんでした。しかし、本剤は特例承認されたものであり、製造販売後も引き続き情報を収集する必要があります。有害事象が認められた際は、必要に応じて予防接種法に基づく副反応疑い報告制度を利用しましょう。※2021年5月・11月、2022年4月・10月に添付文書改訂により修正を行いました。参考1)PMDA 添付文書 コミナティ筋注2)ファイザー新型コロナウイルスワクチン医療従事者専用サイト3)コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)(コミナティ筋注)の使用に当たっての留意事項について(厚労省)

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第49回 米国FDAの大忙しの週末~ネアンデルタール人から授かったCOVID-19防御

米国FDAはこの週末大忙しだったに違いなく、25日木曜日にはPfizer/BioNTechの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)予防ワクチン接種施設を増やしうる保管方法を許可し、25日と翌日26日には稀な病気2つの新薬と運動選手の脳を守る首輪を承認し、27日土曜日には大方の予想通りJohnson & Johnson(J&J)のCOVID-19ワクチンを取り急ぎ許可しました。25日に報告された興味深い研究成果、ネアンデルタール人から授かったと思しきCOVID-19防御因子の発見も併せて紹介します。COVID-19ワクチンをいっそう推進溶解前の冷凍状態のPfizerワクチンの保管温度はこれまで超低温の零下80~60℃とされてきましたが、より一般的な冷凍庫の温度である零下25~15℃で最大2週間保管することが許可されました1,2)。また、零下25~15℃での保管後に一回のみ零下80~60℃に戻すことが可能です。超低温冷凍庫をわざわざ購入する負担が減ってワクチンを扱える場所が増えるだろうとFDAの審査部門(Center for Biologics Evaluation and Research)長Peter Marks氏は言っています1)。Pfizerワクチンと違って受け取り後に冷凍不要のJ&JのCOVID-19ワクチンは26日金曜日の諮問委員会での満場一致の賛成の翌日27日土曜日に18歳以上の成人への使用が早々と取り急ぎ認可されました3)。J&Jのワクチンバイアルの針刺し前の保管温度は2~8℃であり、冷凍してはならず、最大12時間は9~25℃で保管可能です4)。J&Jは接種1回のそのワクチン2,000万人超への投与分を今月末までに出荷できる見込みです5)。また、今年前半には米国人口の約3分の1相当の1億人への投与分が出荷される予定です。稀な病気の新薬FDAは25日に稀な病気・デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療薬Amondys 45(casimersen)、翌日26日には世界での診断数150人未満の超稀な病気・モリブデン補因子欠損症(MoCD)A型の治療薬Nulibry(fosdenopterin)を承認しました。Amondys 45は筋肉細胞に必要なタンパク質ジストロフィンをエクソン45スキッピングという作用機序を介して増やします。その作用が通用する変異を有するDMD患者への同剤使用が承認されました6)。DMD患者のおよそ8%がその変異を有します。MoCD A型は男児3,600人あたりおよそ1人に生じるDMDよりさらに稀で、世界で確認されている患者数は150人未満です。Nulibry(fosdenopterin)はFDAが承認した初のMoCD A型治療薬となりました7)。10万人あたり0.24~0.29人の発生率と推定されるMoCD A型患者は遺伝子変異のせいでcPMP(環状ピラノプテリン一リン酸)という分子が作れません7,8)。Nulibry はcPMPを供給することで尿中の神経毒Sスルホシステインを減らします。Nulibryの生存改善効果が13人への投与で示されています。それらの患者の84%は3年間生存し、非投与群18人のその割合は55%でした。MoCD A型の患者数は診断数より多いらしく、米国と欧州(EU)で毎年22~26人が診断されないままと推定されています9)。運動選手の脳を守る”首輪”運動選手の頭部の衝撃から脳を守る首輪Q-Collarは26日に米国FDAに承認されました10)。頭部が衝撃を受けると頭蓋内で脳が揺れて神経が捻れたり切れたりして脳が傷みます。首にはめたQ-Collarは頸静脈を圧迫することで頭蓋内の血液量を増やして脳をより固定させ、衝撃を受けてもグラグラと揺れないようにします。米国の13歳以上のフットボールチーム員284人が参加した試験などでQ-Collarの効果や安全性が示されています。その試験でQ-Collarを使用した139人の脳のMRI写真を調べたところおよそ8割(77%)107人の神経信号伝達領域(白質)は無事でした。一方、非使用群145人では逆にほとんどの73%(106/145人)に有意な変化が認められ、Q-Collarの脳保護効果が示唆されました。Q-Collar使用に伴う有意な有害事象は認められませんでした。ネアンデルタール人から授かったらしいCOVID-19防御COVID-19患者最大1万4,134人と対照群最大128万人を調べたところ、RNAウイルスに対する自然免疫の一部を担うオリゴアデニル酸シンセターゼ(OAS)の一つ・OAS1の血中量が多いこととCOVID-19になり難いことやたとえCOVID-19になっても入院、人工呼吸器使用、死に至り難いことが示されました11,12)。さらに504人の経過を調べたところ血漿OAS1量が多いことは後にCOVID-19になり難いことやCOVID-19による入院や重病に至り難いことと関連しました。OAS1はいくつかの種類(アイソフォーム)があります。興味深いことに、数万年前にネアンデルタール人と交わったときに受け継いだp46というアイソフォームがどうやらCOVID-19防御作用を担うと示唆されました。幸いなことにOAS1を増やす前臨床段階の化合物13)が存在するのでそれらを最適化してCOVID-19への効果を臨床試験で調べうると著者は言っています。参考1)Coronavirus (COVID-19) Update: FDA Allows More Flexible Storage, Transportation Conditions for Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine / PRNewswire2)EMERGENCY USE AUTHORIZATION (EUA) OF THE PFIZER-BIONTECH COVID-19 VACCINE TO PREVENT CORONAVIRUS DISEASE 2019 (COVID-19) / FDA3)FDA Issues Emergency Use Authorization for Third COVID-19 Vaccine / PRNewswire4)EMERGENCY USE AUTHORIZATION (EUA) OF THE JANSSEN COVID-19 VACCINE TO PREVENT CORONAVIRUS DISEASE 2019 (COVID-19) / FDA5)Johnson & Johnson COVID-19 Vaccine Authorized by U.S. FDA For Emergency Use / PRNewswire6)FDA Approves Targeted Treatment for Rare Duchenne Muscular Dystrophy Mutation / PRNewswire7)FDA Approves First Treatment for Molybdenum Cofactor Deficiency Type A / PRNewswire8)Nulibry PRESCRIBING INFORMATION9)BridgeBio Pharma and Affiliate Origin Biosciences Announce FDA Approval of NULIBRYTM (fosdenopterin), the First and Only Approved Therapy to Reduce the Risk of Mortality in Patients with MoCD Type A / GLOBE NEWSWIRE10)FDA Authorizes Marketing of Novel Device to Help Protect Athletes' Brains During Head Impacts / PRNewswire11)Zhou S,et al.Nat Med. 2021 Feb 25. [Epub ahead of print]12)Discovery: Neanderthal-derived protein may reduce the severity of COVID-19 / EurekAlert13)Wood ER, et al. J Biol Chem. 2015 Aug 7;290:19681-96.

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日本人男性の2型糖尿病はミトコンドリア多型と関連?/順天堂大学

 日本人は、欧米人ほど肥満度が高くないにもかかわらず2型糖尿病になりやすいことが知られているが、その理由はいまだよくわかっていない。今回、順天堂大学の膳法 浩史氏、福 典之氏ら、および佐賀大学と南カリフォルニア大学などの国際共同研究グループが、大規模コホート調査分析により、日本人男性の2型糖尿病発症に関連するミトコンドリア遺伝子多型を発見した。Aging誌オンライン版2021年1月19日号での報告。 本研究では、日本の多施設共同コホート(J-MICC)佐賀研究、米国の多人種コホート(MEC)研究(日系人を対象)、東北メディカル・メガバンク計画(TMM)コホートの計2万6,994人を対象に、それぞれのコホートにおける日本人に特異的なミトコンドリア遺伝子多型(m.1382A>C)と2型糖尿病の発症率の関連を調査した。メタ分析は、2型糖尿病の発症に関連する年齢とBMIによって調整されたオッズ比を使用して実行された。 主な結果は以下のとおり。・J-MICC佐賀研究からは男性4,963例と女性6,889例、MEC研究からは男性1,810例と女性1,577例、TMM研究からは男性4,471例と女性7,817例が抽出された。・メタ分析において、m.1382A>C多型を持つ男性では2型糖尿病の有病率が有意に増加したが(オッズ比[OR]:1.34、95%CI:1.14~1.54、p<0.01)、女性では増加しなかった。・MEC研究で、男性におけるC型キャリアは、A型キャリアと比較して2型糖尿病有病率が高かった(OR:1.48、95%CI:1.01~2.15、p=0.04)。・J-MICC佐賀研究で、加速度計に基づく日常活動の測定から、運動量がミトコンドリア多型キャリアの糖尿病リスクに寄与するかを調べた結果、m.1382A>C多型のC型を持つ男性は、身体活動状態に関係なく2型糖尿病のリスクが高い傾向を示した(C型13.1% vs.A型10.8%、p=0.196)。・ただし、中程度~激しい強度の身体活動が測定されたC型を持つ男性では、2型糖尿病の有病率が上がらなかった(OR:0.98、95%CI:0.956~0.998、p=0.035)。よって、C型キャリアであっても、運動頻度が高い場合は2型糖尿病の発症リスクをキャンセルできる可能性が示唆された。 著者らは、「本研究により、日本人が糖尿病になりやすい一因を説明できる可能性がある。今後、個人の遺伝的体質にあわせた糖尿病の予防や運動療法、新規治療薬の開発につながることが期待できる」と結論している。

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薬物依存リハビリセンターにおける日本人男性の薬物依存と性交との関連

 性行為と薬物使用を組み合わせて行うことは、薬物使用と性交の認知された相互依存(perceived interdependence of drug use and sexual intercourse:PIDS)を形成する可能性がある。また、薬物使用の重症度は、PIDSに有意な影響を及ぼす可能性があるが、この関連はよくわかっていない。国立精神・神経医療研究センターの山田 理沙氏らは、日本の薬物依存リハビリテーションセンター(DARC)の成人男性における薬物使用の重症度とPIDSとの関連について、調査を行った。Substance Abuse Treatment, Prevention, and Policy誌2021年1月7日号の報告。 国立精神・神経医療研究センターが2016年に実施した「日本におけるDARCフォローアップ調査」の2次分析として実施した。データの収集には、46施設より自己申告質問票を用いた。薬物依存症男性患者440例を対象に、人口統計学的特徴、性感染症診断歴、薬物使用関連情報(主な薬物使用やPIDSなど)を収集し、分析した。薬物乱用スクリーニングテスト20日本語版(DAST-20)を用いて、薬物使用の重症度を測定した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢中央値は、42歳であった。・DAST-20スコアの中央値は14.0であり、主な薬物使用はメタンフェタミン(61.4%)、新規精神活性物質(NPS、13.6%)であった。・多変量解析では、PIDSとの関連が認められた因子は以下のとおりであった。 ●無防護性交(主にコンドームの未使用、調整オッズ比[AOR]:4.410) ●メタンフェタミンの使用(AOR:3.220) ●NPSの使用(AOR:2.744) ●DAST-20スコア(AOR:1.093) 著者らは「薬物、メタンフェタミン、NPSの使用下における無防護性交の頻度は、PIDSとの強い関連が示唆された。また、薬物使用の重症度とPIDSとの有意な関連も認められた。重度のPIDSを経験した患者に対する、ニーズに適合した適切な治療プログラムの開発が望まれる」としている。

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非小細胞肺がんに対するKRASG12C阻害薬sotorasib第II相試験の成績(CodeBreaK 100)/日本臨床腫瘍学会

 KRASG12C阻害薬sotorasibは非小細胞肺がん(NSCLC)の第I相試験で奏効率(ORR)32.2%、疾患コントロール率(DCR)奏効期間(DoR)10.9ヵ月、無増悪生存期間(PFS)6.3ヵ月という成績を示した。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO VIrtual2021)では、初となる第II相試験の結果を静岡県立静岡がんセンターの高橋 利明氏が発表した。対象:KRAS p.G12C変異を有する既治療(3ライン以下)の局所進行または転移のあるNSCLC介入:sotorasib960mg/日、PDとなるまで投与評価項目:[主要評価項目」BICR評価の奏効率「副次評価項目]DoR、DCR、初回奏効までの期間(TTR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性など[探索的研究]バイオマーカー 主な結果は以下のとおり。・11ヵ国から126例が登録され、124例が評価された(年齢中央値63.5歳、PS0~1)・プラチナ含有化学療法と免疫チェックポイント阻害薬の前治療を受けていた患者は81%であった。・追跡期間中央値12.2ヵ月のconfirmed ORRは37.7%、DCRは80.6%であった。・DoRは10.0ヵ月で、奏効者の43%が治療を継続していた。・PFSは6.8ヵ月であった。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)は69.8% Grade3以上は19.8%、Grade5はなかった。

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新型コロナ、未承認の検査キットに強い懸念/日医

 日本医師会・今村 聡副会長が、感染症法にかかる検査キットの販売について、25日の記者会見で言及した。政府が1日20万件程度まで拡充すると昨年8月に表明した国内のPCR検査体制については、厚労省のデータによると2月4日時点で約15万件まで拡充されている。一方、民間事業者による検査能力は1日7万件に上るとの報告がある。 今村氏は、「(民間事業者による検査が)公的検査の補完につながるという意見もあるが、それを達成するためには検査精度が維持され、十分な感染症予防策などの対応が重要だ」と慎重な姿勢を示した。民間事業者による検査も感染症法の協力要請対象となる 今村氏は、「感染症法第十六条の二(協力の要請等)によると、医療機関だけでなく民間事業者やその他感染症試験研究等機関に対しても、措置の実施に対する必要な協力を求めることができる」と説明し、「民間事業者には検査の意義を十分に認識した上で対応をお願いしたい」と述べた。 また、薬事承認されていない研究用の検査キットがインターネットやドラッグストアなどで販売されている事例を指摘し、「これらの検査キットが感染症法による規制の対象外になっていることは非常に大きな問題。(患者が)医療用の検査を受ける機会を逃すことで、適切な医療機関の受診や医師による届け出につながらない恐れもある」と強い懸念を表した。 同氏は、日本医師会による見解を示し、以下の4点を求めた。1.医療に供する、薬事承認された体外診断薬を販売するものに対しては、医療機関以外へ販売しないよう、厚生労働省による指導を徹底すべき2.感染症法の適用範囲については、薬事承認の有無を問わず、感染症に関連した検査用製品の販売まで適用対象を拡大すべき3.こうした法的な対応が取られるまでの間は、感染症法第16条の2の理念を踏まえ、感染症に係る研究資材を製造販売している企業は、販売先及び販売数を厚労省に対して報告を行う4.こうした製品を現に使用している者は、症状の有無、使用した結果にかかわらず医療機関に相談する 最後に、同氏は「感染症は一国ではなく世界全体の問題。すべての人々が適切な検査を受けて、検査から医療につながる仕組みの体制構築が必要である。日本医師会としても引き続き尽力し、多くの関係機関の協力をあおぐ」とまとめた。

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妊娠28週時の母親の心血管状態が子供の心血管リスクと関連/JAMA

 妊娠28週時の母親の良好な心血管系の健康状態(CVH)は、その子供の10~14歳時のCVHが良好であることと関連することが、米国・ノースウェスタン大学のAmanda M. Perak氏らが実施した「HAPO Follow-Up試験」で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2021年2月16日号で報告された。妊娠は、母親のCVHを最適化し、子供の生涯にわたるCVHに影響を及ぼす重要な機会とされる。また、母体の劣悪な健康状態への胎内曝露は、たとえば心臓代謝調節遺伝子のエピジェネティックな修飾を介して、子供に継続的に心血管疾患(CVD)のリスクが高い状態をもたらす可能性があるという。9地域2,302組の母子のコホート研究 研究グループは、妊娠中の母親のCVHと子供のCVHの関連を評価する目的で、国際的なコホート研究を行った(米国ユーニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健発達研究所[NICHD]などの助成による)。 Hyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcome(HAPO)試験(2000年7月~2006年4月)と、HAPO Follow-Up試験(2013年2月~2016年12月)のデータを使用した。解析には、補助的なCVH研究として、HAPO Follow-Up試験の参加者の48%に相当する2,302組の母子が含まれた。 参加者は、米国(ベルフラワー、シカゴ、クリーブランド)、バルバドス(ブリッジタウン)、英国(マンチェスター、ベルファスト)、中国(香港)、タイ(バンコク)、カナダ(トロント)の9地域で登録された。 妊娠28週時の母親のCVHが、5つの評価基準(BMI、血圧、総コレステロール値、血糖値、喫煙)に基づいて評価された。個々の評価基準は、妊娠ガイドラインを用いて、「良好」「中間的」「不良」の3つに分類された。総CVHスコアは、「すべて良好」「中間的が1つ以上で不良がない」「不良が1つ」「不良が2つ以上」の4つに分類された。 主要アウトカムは、子供の10~14歳時のCVHとし、4つの評価基準(BMI、血圧、総コレステロール値、血糖値)で評価された。総CVHスコアは、母親と同様に分類された。母親のCVH分類の悪化とともに、子供の「すべて良好」の割合が低下 2,302組の母子の平均年齢は、母親が29.6(SD 2.7)歳、子供は11.3(1.1)歳であった。妊娠期間中の母親の平均CVHスコアは10点満点の8.6(1.4)点で、32.8%が「すべて良好」であったのに対し、6.0%は「不良が2つ以上」であった。子供の平均CVHスコアは8点満点の6.8(1.3)点で、37.3%が「すべて良好」、4.5%が「不良が2つ以上」だった。 母親のCVH分類が悪化するに従って、子供のCVH分類が「すべて良好」の割合が低くなった。すなわち、母親が「すべて良好」の子供が「すべて良好」の割合は42.2%であったが、母親が「不良が2つ以上」の子供が「すべて良好」の割合は30.7%に低下した。また、母親が「すべて良好」の子供が「不良が1つ」の割合は18.4%で、母親が「不良が2つ以上」の場合に子供が「不良が1つ」の割合は30.7%に増加し、母親が「すべて良好」の子供が「不良が2つ以上」の割合は2.6%で、母親が「不良が2つ以上」になると子供が「不良が2つ以上」の割合は10.2%に増加した。 補正済みのモデルでは、母親のCVH分類が「すべて良好」と比較して悪化するほど、子供のCVH分類が「不良が1つ」「不良が2つ以上」となる相対リスクが高かった。すなわち、母親のCVH分類が「すべて良好」の場合に比べ、母親が「不良が1つ」の子供が「不良が1つ」の相対リスクは1.66、母親が「不良が2つ以上」の子供が「不良が1つ」の相対リスクは2.02であり、母親が「不良が1つ」の子供が「不良が2つ以上」の相対リスクは3.32、母親が「不良が2つ以上」の子供が「不良が2つ以上」の相対リスクは7.82だった(これらの相対リスクはいずれも包括検定でp<0.001)。 一方、明確な出生因子(妊娠高血圧腎症など)で追加補正を行っても、これらの有意な関連は十分には説明できなかった。たとえば、拡大された出生因子で補正後の、母親の「不良が2つ以上」と子供の「不良が2つ以上」の関連の相対リスクは6.23(95%信頼区間[CI]:3.03~12.82)だった。 著者は、「われわれの知る限り、これは母親の妊娠中のCVHとその後の子供のCVHの関連を評価した初めての研究である」としている。

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「COVID-19ワクチンに関する提言」、日本での安全性データ等追加/日本感染症学会

 2021年2月よりわが国でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まった。これを受けて、日本感染症学会(理事長:東邦大学医学部教授 舘田 一博氏)は、2月26日に「COVID-19ワクチンに関する提言」(第2版)を同学会のホームぺージで発表、公開した。 第1版は2020年12月28日に発表され、ワクチンの開発状況、作用機序、有効性、安全性、国内での接種の方向性、接種での注意点などが提言されていた。今回は、第1版に新しい知見を加え、とくにワクチンの有効性(変異株も含む)、ワクチンの安全性などに大幅に加筆があり、筋肉内注射に関する注意点の項目が新しく追加された。【ワクチンの有効性】・COVID-19ワクチンの有効性の追加 ファイザーの臨床試験:55歳以下で95.6%、56歳以上で93.7%、65歳以上で94.7%の有効率。しかし、75歳以上では対象者数が十分でなく評価できていない。 モデルナの臨床試験:65歳未満で95.6%、65歳以上で86.4%の有効率。それ以上の年齢層では評価されていない。 アストラゼネカの臨床試験:接種群における70歳以上の割合は5.1%にすぎず評価不十分。 いずれのワクチンも、75歳を超える高齢者での有効性については今後の検討課題であり、接種群で基礎疾患のある人の割合は、ファイザーの臨床試験で20.9%、モデルナで27.2%、アストラゼネカで24.7%と比較的多く含まれているものの、それぞれの基礎疾患ごとの有効性の評価は十分ではなく、今後検討が必要としている。【「変異株」とワクチンの効果】 提言では「SARS-CoV-2の変異速度は24.7塩基変異/ゲノム/年とされており、2週間に約1回変異が起き、その変異によってウイルスのタンパク質を構成するアミノ酸に変化が起こることがある」とされ、「とくにスパイクタンパク質のACE2との結合部位近くのアミノ酸配列に変化が起きると、SARS-CoV-2の感染性(伝播性)やワクチンで誘導される抗体の中和作用に影響が出る」と述べている。 また、イギリス変異株について、「感染力(伝播力)が36%から75%上昇すると推定されているものの、ファイザーのワクチンで誘導される抗体による中和作用には若干の減少がみられるが、ワクチンの有効性には大きな影響はない」としている。 一方、南アフリカおよびブラジルの変異株は、「COVID-19回復期抗体の中和作用から回避する変異であることが報告され、ワクチンの有効性に影響が出ることが懸念されている」としている。【ワクチンの安全性】・海外の臨床試験における有害事象 海外の臨床試験では、「活動に支障が出る中等度以上の疼痛が、1回目接種後の約30%、2回目接種後の約15%に、日常生活を妨げる重度の疼痛が、1回目で0.7%、2回目で0.9%報告された」と紹介している。また、「この接種後の疼痛は接種数時間後から翌日にかけてみられるもので、1~2日間ほどで軽快。注射の際の痛みは軽微と思われる」と推定している。そして、海外での高齢者や基礎疾患を有する者への接種では、「現在のところ死亡につながるなどの重篤な有害事象は問題になっておらず、COVID-19に罹患して重症化するリスクに比べるとワクチンの副反応のリスクは小さいと考えられる」と考えを示している。・わが国での臨床試験における有害事象 ファイザーのCOVID-19ワクチン「コミナティ筋注」では、海外での臨床試験の結果と比べ、「局所の疼痛、疲労、頭痛、筋肉痛、関節痛はほぼ同等、悪寒の頻度がやや高くなっている。発熱は、37.5℃以上対象(国内定義/海外定義は38℃以上)で1回目が10%、2回目が16%と高い頻度だったが、発熱者のほぼ半数を37.5~37.9℃の発熱が占めているため、その割合は海外の結果と大きな違いはなかった」としている。・mRNAワクチンによるアナフィラキシー 1回目接種直後のアナフィラキシーの報告について、米国での当初の調査では、「100万接種あたりのアナフィラキシーの頻度が、ファイザーのワクチンで11.1、モデルナのワクチンで2.5と、すべてのワクチンでの1.31に比べて高くなっている。両ワクチンのアナフィラキシーに関する報告をまとめると、女性が94.5%を占め、アナフィラキシーの既往をもつ者の割合は38.7%、接種後15分以内に77.4%、30分以内に87.1%が発症している。その症状は、ほとんどが皮膚症状と呼吸器症状を伴うもので、アナフィラキシーショックを疑わせる血圧低下は1例のみだった。なお、その後の米国の調査で、アナフィラキシーの頻度は両ワクチン合わせて100万接種あたり4.5」と報告している。【国内での接種の方向性】 優先接種対象者として(1)医療従事者などへの接種、(2)65歳以上の高齢者、(3)高齢者以外で基礎疾患を有する者、および高齢者施設など(障害者施設などを含む)の従事者の順番で接種を進める予定と追記するとともに、妊婦については、「『妊婦および胎児・出生時への安全性』が確認されていないため、現時点では優先接種対象者には含まれていない。国内外の臨床試験において『妊婦などへの安全性』が一定の水準で確認された時点で再検討すべきと考えている」と方向性を示している。【筋肉内注射に関する注意点】・接種部位と接種方法 接種部位は上腕外側三角筋中央部で、成人では肩峰から約5cm(3横指)下にあたる。標準的には22~25G、長さ25mmの注射針で、皮膚面に90℃の角度で注射。なお「COVID-19ワクチンの臨床試験ではすべて三角筋外側中央部に接種されており、その他の部位への接種の有効性については検証されていないとし、臀部への接種は、坐骨神経損傷の可能性があることと皮下脂肪のために筋肉内に針が届かない懸念もあることから推奨されていない」としている。 そのほか「逆流を確認は不要」、「接種する腕は、利き手ではない側に接種することが望ましい」、「接種後は注射部位を揉む必要はない」などの具体的な接種方法が示されている。・接種時の感染対策 接種時の感染対策として「接種者は、マスクを着用するとともに、被接種者ごとに接種前後の消毒用アルコールによる手指衛生が必要」とし、「手袋を着用する場合は被接種者ごとに交換が必要であり、手袋着用前と脱いだ後に手指消毒が必須」としている。・接種後の発熱・疼痛に対する対応 接種後の発熱や疼痛に対し「アセトアミノフェンや非ステロイド性解熱鎮痛薬を使用することは可能。ただし、発熱・疼痛の出現する前にあらかじめ内服しておくことは望ましくない」としている。その理由として「解熱鎮痛薬の投与が免疫原性に影響を与える可能性があるため」と説明している。 提言では、ワクチンの有効性と安全性を評価したうえで、ワクチン接種を望む一方で、「ワクチン接種を受けることで安全が保証されるわけではなく、接種しても一部の人の発症、無症状病原体保有者として人に感染を広げる可能性があること」についても注意をうながし、COVID-19の蔓延状況が改善するまでは、マスク、手洗いなどの基本的な感染対策の維持を推奨している。

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第44回 新型コロナワクチンの副反応疑い報告は3例、いずれも軽症

<先週の動き>1.新型コロナワクチンの副反応疑い報告は3例、いずれも軽症2.高齢者のワクチン供給は6月末まで、一般向けは7月以降か3.新型コロナ変異株の国内監視体制を強化へ4.育休促進に「男性版産休」が新設、早ければ2022年10月から5.薬事承認されていない研究用抗原検査キットに注意/日本医師会1.新型コロナワクチンの副反応疑い報告は3例、いずれも軽症医療従事者へ先行接種が開始されている新型コロナウイルスワクチンの副反応について、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会が2月26日に開催され、接種した人のうち、0.014%に当たる3例に副反応が疑われる症状が発生したことが確認された。報告された副反応疑い事例はじんましんなどの軽症であり、当初懸念されていたアナフィラキシーなどは生じていない。厚労省は今後も専門家による検討部会を定期的に開催して、ワクチンの安全性について確認を行っていく予定。(参考)第52回 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和2年度第12回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(厚労省)資料 新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等について(同)新型コロナワクチンの接種実績(同)2.高齢者のワクチン供給は6月末まで、一般向けは7月以降か河野 太郎規制改革相は26日の閣議後の記者会見で、新型コロナウイルスワクチンの供給目途が立ったとして、65才以上の高齢者向けのワクチン接種について、6月末までに全国の自治体に配送を完了する見通しを発表した。医療従事者や高齢者以外の一般向けについては7月以降となる見込み。27日にオンラインで開催された全国知事会新型コロナ対策本部の会合において、各自治体から国に対して、いつまでに国民の何割の接種を目指すのかを早期に明らかにした上で、ワクチンの種類や量、供給時期、副反応などの情報を含め、より具体的に供給スケジュールや配分量などについて速やかに示すことを求める「今後の新型コロナウイルス感染症対策についての緊急提言」が出されている。(参考)高齢者向けワクチン 6月末までに全国に配送の見通し 河野大臣(NHK)今後の新型コロナウイルス感染症対策についての緊急提言(全国知事会)3.新型コロナ変異株の国内監視体制を強化へ厚労省と文科省は、各都道府県や国立大学に対して、新型コロナウイルスの変異株について、地域で連携してPCRなどの検査体制を整備するよう求める通知を2月19日に発出した。イギリスや各国では昨年12月から新型コロナウイルスの変異株による感染者の急激な増加が報告されており、わが国でも昨年12月28日にイギリスや南アフリカから帰国した渡航者から新型コロナウイルスの変異株が検出されている。国内での変異株感染例は検疫所での検出例を含め、2月25日時点で202人に上っている。3月から全国の地方衛生研究所において、新型コロナウイルスの変異株を短時間で検出するPCR検査を実施する体制を整備し、監視を強化する予定。(参考)変異ウイルス監視体制強化 3月から全国で短時間検査実施へ(NHK)大学等と自治体が連携した地域における検査体制の整備等について(事務連絡 令和3年2月19日)(厚労省)新型コロナウイルス感染症(変異株)の患者の発生について(同)4.育休促進に「男性版産休」が新設、早ければ2022年10月から政府は26日に男性が妻の出産直後に育児休業を2週間取得できる育児休業制度「出生時育休」の導入を含む、育児・介護休業法などの改正案を閣議決定した。1月27日に開催された労働政策審議会雇用環境・均等分科会で提出された「男性の育児休業取得促進策等について」の建議の中で、少子化対策の一環として、男性の育児休業取得や育児参画を促進する取り組みを推進するために、男性版産休が提案されていた。この中で、従業員1,001人以上の大企業には男性の育児休業および育児目的休暇の取得率の公表義務付けも検討されている。なお、男性の育休取得期間は、賃金の67%と通常の育休と同率が支給されることが明らかになっている。(参考)資料 男性の育児休業取得促進策等について(建議)(厚労省)出生時育休、来年10月にも 改正案を閣議決定(時事通信)5.薬事承認されていない研究用抗原検査キットに注意/日本医師会日本医師会は2月26日に開催された定例記者会見で、インターネットやドラッグストアなどで薬事承認されていない研究用の抗原検査キットが販売されており、購入者がこれにより感染の判断ができると誤認する可能性があり、きわめて大きな問題と憂慮するとともに、日本医師会の見解を発表した。(1)医療に供する、薬事承認された体外診断薬を販売するものに対しては、医療機関以外へ販売しないよう、厚生労働省による指導を徹底すべき(2)感染症法の適用範囲については、薬事承認の有無を問わず、感染症に関連した検査用製品の販売まで適用対象を拡大すべき(3)こうした法的な対応が取られるまでの間は、感染症法第16条の2の理念を踏まえ、感染症に係る研究資材を製造販売している企業は、販売先および販売数を厚労省に対して報告を行う(4)こうした製品を現に使用している者は、症状の有無、使用した結果にかかわらず医療機関に相談する厚労省の新型コロナウイルス感染症対策推進本部も2月25日に、都道府県や保健所設置市などに対して、薬機法に基づく承認を受けておらず、製品の性能が確認されたものでない研究用抗原検査キットは、消費者の自己判断により、新型コロナウイルス感染症の罹患の有無を調べる目的で使用すべきでないこと、発熱などの症状がある人で、新型コロナウイルス感染症の罹患が疑われる場合には、受診相談センターまたは医療機関に相談することを求める事務連絡を通知した。(参考)感染症法にかかる検査キットの販売について(日本医師会)新型コロナウイルス感染症の研究用抗原検査キットに係る留意事項について(周知依頼)(厚労省)

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カインとアベル(後編)【なんで嫉妬は「ある」の?どうすれば?】Part 1

今回のキーワードジェラシーマネジメント自己受容マインドフルネス自己実現アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)バウンダリー前半では、なぜ嫉妬をするのかという疑問にお答えしました。それでは、そもそもなぜ嫉妬は「ある」のでしょうか? そして、嫉妬にどうすればいいのでしょうか? これらの答えを探るために、今回も、テレビドラマ「カインとアベル」を取り上げます。このドラマを通して、嫉妬の起源を進化心理学的に掘り下げます。そして、アンガーマネジメントのように、ジェラシーマネジメントを一緒に考えてみましょう。なんで志向性嫉妬は「ある」の?まずは、自分の地位が取られることへの不安である志向性嫉妬の起源を3つの段階に分けて、考えてみましょう。(1)同胞関係約2億年前に哺乳類が誕生してから、子どもたちはその母親からの乳やエサが与えられることによって、兄弟(同胞)で一緒に育てられるようになりました。兄弟同士がおっぱいやエサを奪い合う中、自分の取り分が少ない時にストレス(嫉妬)を感じれば、より鳴き声をあげて前に出るなどのアピールを母親にするようになり、取り分を失わないでしょう。1つ目の起源は、同胞関係です。この兄弟間の格差の是正のために、嫉妬は「ある」と言えるでしょう。実際に、マウスの行動実験(拘束ストレス)において、単独でストレスを受ける場合よりも、5匹のマウスの中で自分だけがストレスを受ける場合で、嫌悪記憶がより強化され、ストレスホルモン(コルチコステロン)がより増加したという結果が出ています。ちなみに、発達心理学的には、赤ちゃん(生後5ヵ月)の嫉妬も観察されています。実際に、赤ちゃんが、目の前で母親が人形を大事に抱っこしていると怒り出すことが確認できます。また、幼児が、下の子が生まれたことによる嫉妬で、赤ちゃん返りすること(退行)もよく確認されます。なお、先ほどのマウスの行動実験(拘束ストレス)において、単独でストレスを受ける場合よりも、5匹のマウスが一緒にストレスを受ける場合で、嫌悪記憶が弱まり、ストレスホルモン(コルチコステロン)が減少したという結果も出てきます。これは、嫉妬の対象(ライバルなど)が自分と同じ状況(不幸)になることで嫉妬が解消されると説明できます。これが、いわゆる「メシウマ(他人が不幸で今日も飯がうまい)」の心理の起源です。(2)上下関係約2000万年前には類人猿が誕生し、サルたちがケンカの強さによる序列によって群れをつくるようになりました(社会性)。ボスの地位を争う中、2番手のサルは、ボスザルに対してストレス(嫉妬)を感じれば、ボスザルになるチャンスに、より敏感に反応できるでしょう。このストレスには、「競争ホルモン」(テストステロン)が関係していることが考えられています。2つ目の起源は、上下関係です。この上下間の闘争のために、嫉妬は「ある」と言えるでしょう。実際に、サル(フサオマキザル)の行動実験(報酬分配ゲーム)において、好きなエサとまずいエサを分配する権限が与えられた2番手のサルは、下っ端のサルにはランダムにエサを与えていたのに対して、ボスザルにはまずいエサを与える選択をより多くしたという結果が出てきます。(3)協力関係約700万年前に人類が誕生し、300万年前にアフリカの森からサバンナに出て、血縁の家族同士が助け合いによって部族集団をつくるようになりました(社会脳)。集団で狩りをする中、自分ではなく別のメンバーが手柄を上げれば、自分は集団に認められず、そのメンバーが認められたことになります。この時、ストレス(嫉妬)を感じれば、次の狩りでは自分がもっとがんばって手柄を挙げて集団から認められたいと思うでしょう。この時のストレスは、相手に向けば嫉妬ですが、自分に向けば悔しさ(後悔)になります。3つ目の起源は、協力関係です。この仲間同士の協力のために、嫉妬は「ある」と言えるでしょう。ちなみに、原始の時代の当時から、人類は、嫉妬を恥ずかしく思ったり、隠すようにもなりました。なぜなら、嫉妬を前面に出すと、協力関係が維持できなくなり、集団全体にとってはデメリットだからです。この点で、嫉妬する時に人は能面(無表情)になることも納得が行くでしょう。なんで性的嫉妬は「ある」の?次に、自分のパートナーが取られることへの不安である性的嫉妬の起源を考えてみましょう。約700万年前に人類が誕生して、男性(父親)は狩りをして、その食料を女性(母親)と分け合い、女性(母親)はその男性との間にできた子どもを育てるという性別役割分業をするようになりました。300万年前には、特定の男性と特定の女性のつがい(夫婦)が一緒に子育てをして共同生活をするようになりました(一夫一妻型)。この時、相手の浮気でストレス(嫉妬)を感じれば、より相手から離れないようになるでしょう。このストレスには、「愛着ホルモン」(オキシトシンやバソプレシン)が関係していることが考えられています。つまり、性的嫉妬の起源は、一夫一妻型の夫婦関係です。この夫婦関係の維持のために、嫉妬は「ある」と言えるでしょう。実際に、ハタネズミの研究において、つがいになるプレーリーハタネズミとつがいにならないサンガクハタネズミは、それぞれオキシトシンとバソプレシンの受容体の脳内の分布がまったく違うという結果が出てきます。その分布は、プレーリーハタネズミは快感の中枢(側坐核)であるのに対して、サンガクハタネズミは恐怖の中枢(扁桃体)にあります。この分布の違いによって、プレーリーハタネズミは、つがいであることでドパミンも活性化されて「依存」的になり(愛着形成)、つがいにならない(浮気をする)ことに「禁断症状」(嫉妬)が出るというわけです。一方、サンガクハタネズミは、交尾の時に恐怖が和らぐだけで、つがいにならない(浮気をする)ことに「禁断症状」(嫉妬)が出ることはありません。ちなみに、そもそもなぜプレーリーハタネズミとサンガクハタネズミにはこのような違いがあるかについては、生態環境の違いが考えられます。それは、プレーリー(草原)とサンガク(山岳)の違いです。これは、300万年前に人類が森(山岳)からサバンナ(草原)に出た時に、つがいを作り部族集団を作った状況に重なります。森は資源が豊かで身を守るところが多い一方、サバンナは資源が少なく身を守るところが少ないという違いがあります。この違いによって、プレーリーハタネズミも300万年前以降の人類も、一緒に子育てをすること(アロペアレンティングという広い意味での生殖)のためにつがいになったと言えるでしょう。一方で、それでも浮気をする心理はまた別にあります。その詳細については、関連記事3をご参照ください。 次のページへ >>

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カインとアベル(後編)【なんで嫉妬は「ある」の?どうすれば?】Part 2

嫉妬にどうすればいいの?志向性嫉妬は、集団で生活する種が、生存資源(地位を含む)の取り合いの中、生存の適応度を上げるために「ある」ことが分かりました。また、性的嫉妬は、つがい(夫婦)で生活する種が、生殖資源(子育てのパートナーを含む)の取り合いの中、生殖の適応度を上げるために「ある」ことが分かりました。つまり、嫉妬はそもそも「ある」ものです。それでは、この点を踏まえて、嫉妬にどうすれば良いでしょうか? ここから、嫉妬のマネジメントを大きく3つ挙げてみましょう。(1)嫉妬を受け入れる-自己受容隆一は、盗聴器を仕掛けたことがバレてしまい、副社長職を解任され、一時期ひきこもります。その後、完璧であることにとらわれることがなくなった隆一は、優に「いつも自由でみんなから愛される弟」「俺はずっとおまえに憧れていた」「優、俺はずっと昔からおまえのことを認めている」と打ち明けます。1つ目は、嫉妬を受け入れることです。嫉妬がもともと「ある」ことを踏まえると、嫉妬を含めた自分の生き方をそのまま受け入れることです(自己受容)。そうすれば、嫉妬は相手の問題ではなく、自分の問題であることに気づくことができます。これは、自尊心(自己肯定感)を安定させます。この自己受容は、嫉妬するだけでなく、嫉妬される場合にも通じるマネジメントです。たとえば、嫉妬はされるものとして淡々としていることです。それくらいすごいことだと視点を変えることもできます。そうできれば、逆にへりくだったり、あえて弱みを見せたり失敗談を披露することもできるでしょう。自己受容の具体的な取り組みとして、マインドフルネスが挙げられます。この詳細については、関連記事4をご参照ください。 (2)嫉妬から自分はどうしたいかを考える-自己実現優は、土地買収での贈賄罪の疑いで、一時期、拘置所に入れられます。その後、隆一は、落ち込む優に「(また)一緒に(会社を)やらないか?」「おまえがいなかったら、今の俺はいない」「おまえは俺の大切な弟だ」と語りかけます。2つ目は、嫉妬から自分はどうしたいかを考えることです。嫉妬が生存や生殖の適応度を上げるための心理メカニズムであることを踏まえると、嫉妬は、何かをする原動力です。嫉妬を、仕事をしたりパートナーを大切にするなど、自分の価値観を満たすエネルギーにすることができます(自己実現)。そう考えれば、嫉妬を嫉妬のままにして苦しむのは、時間と労力の無駄になることに気づきます。むしろ、嫉妬する相手であっても、自分の目標達成するために、協力して利用することもできます。これは、自信(自己効力感)を安定させます。この自己実現は、嫉妬するだけでなく、嫉妬される場合にも通じるマネジメントです。たとえば、相手のおかげであるという協力関係を強調することです。自己実現の具体的な取り組みとして、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)が挙げられます。この詳細については、関連記事5をご参照ください。 (3)嫉妬する相手から離れる-バウンダリー優が不正に手を染めたのは、実は隆一への対抗意識でした。つまり、力をつけていくうちに、優も嫉妬心を燃やすようになっていたのです。そのことに、挫折を経て気づくのです。そして、ラストシーンでは、もとの会社に戻らず、提携の外資企業へ修行に出発するのでした。3つ目は、嫉妬する相手から離れることです。嫉妬は「近さ」によってエスカレートすることを踏まえると、嫉妬する相手に「間合い」を取ることです(バウンダリー)。これは、相手と違うことをする(多様化)、いろんな人間関係を築く(流動化)、SNSのチェック(ましてや盗聴器を仕掛けること)をしないことを含めて相手とは関わらない(開放化)など、個人的、時間的、空間的な「間合い」です。そうすれば、嫉妬を煽る刺激が減ります。これは、仲間意識(同調)を安定させます。このバウンダリーは、嫉妬するだけでなく、嫉妬される場合にも通じるマネジメントです。たとえば、家族などの自分の理解者の支えを大切にすることです。どうしても関わってしまう時は、気にしないふりをすることもできるでしょう。「カインとアベル」とは?「カインとアベル」については、ドラマの中で、教会の神父が説明しています。「旧約聖書(の創世記)に出てくる兄弟です」「彼らは、アダムとイブの息子たちで、神(ヤハウェ)の愛(寵愛)をめぐって仲違いし、ついには悲しい運命をたどるのです」と。その「悲しい運命」とは、兄のカインが、嫉妬のあまり弟のアベルを殺してしまうのです。これは、まさに隆一と優に重なります。しかし、隆一と優は、最終的に「悲しい運命」にはなりませんでした。その違いは、隆一がひきこもった時、変わらず梓の支えがありました。優も同期のひかりの支えがありました。現代版の「カインとアベル」は、嫉妬し挫折した時、特別な誰かの支えによって、人は成長するということがよく描かれています。これは、嫉妬を乗り越えた兄弟の成長物語と言えるでしょう。このように、嫉妬の危うさと同時に嫉妬による成長の可能性に気づいた時、私たちは、より良い嫉妬のあり方、ジェラシーマネジメントを理解することができるのではないでしょうか?3)愛着崩壊:岡田尊司、角川選書、20124)動物は何を考えているの?:日本動物心理学会、技術評論社、20155)マウスが「共感」もすれば「妬み」もすることを解明:慶應義塾大学、2011<< 前のページへ■関連記事昼顔【不倫はなぜ「ある」の?どうすれば?】「ZOOM」「RE-ZOOM」【どうキレキレに冴え渡る?(マインドフルネス)】テネット【なんで時間を考えるのが癒しになるの?(アクセプタンス&コミットメント・セラピー[ACT])】

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事例021 未成年患者の心身医学療法の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例では、16歳の心身症の患者に 「I004 心身医学療法」を算定し、請求したところ、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定となりました。心身医学療法の項には、「心身症の患者に対して一定の治療計画に基づいて、診察とカウンセリングなどの心身医学療法に該当する療法を行った場合に算定でき、初診時には、医師自らが、診察と理学的所見の収集および心身医学療法を30分超えて行った場合に算定できる」とあります。事例のカルテを確認すると、20歳未満の患者に、家族も交えて指導が行われていました。算定要件に合致しているはずと再度レセプトを見直すと、傷病名欄に「心身症」としか記載されていません。算定留意事項の「4」には、レセプト傷病名欄において、「心身症による当該身体的傷病の傷病名の次に『(心身症)』と記載する」と記載されています。「胃潰瘍(心身症)」のように記入するとも例示されています。D事由査定の理由が判明し、電子カルテの写しを添えて、再審査請求をしましたが、原審通りに復活となりませんでした。電算レセプトの病名コードの入力誤りに気付かずに、そのまま請求してしまったことが原因でした。レセプトチェックシステムの設定を、心身医学療法が実施されていた場合、「心身症」のみの病名だとエラーとなるように設定を変更し、今後の査定防止対策としました。

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COVID-19重症化防止に抗がん剤ベバシズマブが有効である可能性

 重症のCOVID-19患者に抗がん剤ベバシズマブを投与することで、死亡率が低下し、回復が早まる可能性があることが、イタリアと中国で行われた小規模な試験によって明らかになった。Nature Communication誌2月5日オンライン版掲載の報告。 シングルアームの本試験は、2020年2月15日~4月5日に中国とイタリアの2施設において26例の成人患者が登録され、28日間のフォローアップが行われた。COVD-19感染はPCR検査で判定され、重症度は呼吸数が30回/分以上、安静時の酸素飽和度が93%以上、動脈酸素分圧/吸入酸素濃度(PaO2/FiO2)が100mm~300mmHg、胸部画像のびまん性肺炎によって判断した。適格となった参加者には標準治療に加え、100mLの生理食塩水に溶解したベバシズマブ(500mg)を90分以内に単回投与し、投与後1日目と7日目のデータを比較した。 主な結果は以下のとおり。・参加者の年齢中央値は62歳、20人(77%)が男性だった。症状発現から入院までの期間中央値は10日、入院からベバシズマブ投与までの期間中央値は7日だった。・ベバシズマブ投与群はPaO2/FiO2が著しく改善し、28日目までに24例(92%)が酸素吸入が不要となり、17例(65%)が退院した。悪化例や死亡例はなかった。・発熱のあった14例のうち、13例(93%)が投与から72時間以内に正常化した。・ベースライン時に人工呼吸器を装着していた6例すべてがフォローアップ期間内に装着を停止し、うち4例は退院した。 ベバシズマブは血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に対するモノクローナル抗体であり、VEGFタンパク質を選択的に阻害することで血管形成を阻害し、がん細胞の成長に必要な栄養が供給されるのを妨げる。著者らは、「重症COVID-19患者の多くはVEGFレベルの上昇、肺水腫、肺組織の血管病変など、マーカーに関連する症状があるため、ベバシズマブが重症化防止に有効である可能性があるとの仮説を立てた」としつつ、有効性を実証するためには大規模なランダム化比較試験が必要としている。

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EGFR変異肺がん、エルロチニブ+ベバシズマブ1次治療の全生存期間とリキッド検査の結果(NEJ026)/日本臨床腫瘍学会

 NEJ026試験はEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象にベバシ ズマブとエルロチニブの併用療法をエルロチニブ単剤療法と比較した第III相試験である。2018年に無増悪生存期間(PFS)において、ベバシ ズマブとエルロチニブの併用の統計学的有意が報告された。18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)では、全生存期間(OS)、および血漿EGFR変異検査に関する結果が宮城県立がんセンターの福原 達郎氏により発表された。・対象:化学療法治療歴のない非扁平上皮EGFR変異陽性NSCLC。Stage IIIB/IVまたは術後再発例(無症候性の脳転移症例も登録)・試験群:ベバシズマブ+エルロチニブ(BE群)・対照群:エルロチニブ単剤(E群)・主要評価項目:独立評価委員会によるPFS・副次評価項目:OS、奏効率、奏効期間、安全性など・探索的評価項目:2次治療後までを含めたPFS(PFS2)、バイオマーカー検索、血漿EGFR変異解析(治療前[P0]、試験治療開始 から6週間後[P1]、初回増悪[P2]の時点で解析)。 主な結果は以下のとおり。・2015年6月~2016年8月に226例が登録され、評価対象はBE群(112 例)とE群(112例)となった。 ・PFS中央値はBE群16.9ヵ月、E群の13.3ヵ月と、有意にBE群で良好であった(HR:0.605、95%CI:0.417~0.877、p=0.01573)。・OSの中央値はBE群50.7ヵ月、E群46.2ヵ月であった(HR:1.0007、95%CI:0.681~1.1490、p=0.973)。・血漿EGFR変異検査の結果(P0 、P1)から各治療群のPFS [BE群]P0陰性(-)P1陰性(-)集団18.1ヵ月、P0 (+)P1(+)6.0ヵ月、P0(+)P1(-)15.5ヵ月。 [E群]P0(-)P1(-)16.7ヵ月、P0 (+)P1(+)4.3ヵ月、P0(+)P1(-)11.1ヵ月。・BE群においては、P0(+)P1(-)集団のPFSが、もっとも良好なPFSを示すP0(-)P1(+)に近いことから、 、P0(+)P1(-)集団 でのベバシズマブの追加効果が示唆された。

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