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第46回 第4波を見据えてか!? 厚労省が「大学病院に重症患者を受け入れさせよ」と都道府県に事務連絡

大学病院や基幹病院は、重症患者受け入れをこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。まだ2月ですが、すっかり春めいてきました。この土日は暖かさに誘われ、街にも結構な人が出ていたようです。私自身は先週、所用があって宮城と岩手に出かけました。2月13日の地震で東北新幹線が止まっており、どうしたものかと困っていたのですが、知人から「常磐線は去年から通っているよ」と言われ、高速バスは止めて「特急ひたち」で4時間40分かけて仙台入りしました。JR常磐線は東日本大震災と東京電力の福島第一原発事故の影響を受け、昨年まで福島県の富岡駅~浪江駅間で不通になっていました。かつての不通区間を車窓から眺めたのですが、とくに双葉~浪江間は人の気配がほとんどなく、震災で崩壊したと思われる家屋がまだ数多く残っていました。10年経ったとは思えない風景が続き、言葉を失くしました。さて、今回は改めて新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ体制について考えてみたいと思います。厚生労働省は2月16日、「新型コロナウイルス感染症の医療提供体制の整備に向けた一層の取組の推進について」と題する事務連絡を各都道府県等に発出しました。コロナ患者の受け入れについて、高度な医療を提供できる大学病院や地域の基幹病院が重症患者を、都道府県から指定を受けた「重点医療機関」は中等症患者を受け入れるなど、病院の役割分担を進めるよう、都道府県等に要請しました。とくに医療の需給が多い大都市圏を抱える都道府県では、公立・公的といった地域の中核病院の役割が重要で、こうした病院には必須の医療機能以外を他院と分担した上で新型コロナ対応を強化する、などの検討を求めました。一方、新型コロナの患者に応じていなかった回復期や療養型の病院も、中等症患者への対応を検討するよう要請しました。「大学病院を名指し」の背景第3波が落ちつき、病床に比較的余裕が出てきた今になっての事務連絡は遅過ぎる気もしますが、おそらく来るであろう「第4波」を想定してのことと考えれば納得できます。今回の事務連絡で注目されるのは、大学病院が重症患者を受け入れるよう都道府県等に要請している点です。その背景には、大学病院によって重症者の受け入れ患者数に大きな差があることなどが、マスコミや政治家などからの指摘があるようです。少し古くなりますが、2月9日の日本経済新聞朝刊は、「国立大の重症病床、コロナ活用半ば」という見出しで、国立大学病院が高度な技術を持つにもかかわらずコロナ重症患者の受け入れに活用されていない、という実態を報じています。同記事によれば、全国の重症者病床(ICU・ER・HCUの合計)は1万7,000床で、うち21%にあたる3,620床がコロナ患者用に確保されていたとのことです。これに対し、同紙の調査に回答した20の国立大学病院の重症者病床は計763床、コロナ患者用は131床と17%に留まっていました。同紙は回答のあった20病院のコロナ重症患者向け病床数も報じていますが、いろいろと話題となった旭川医大はわずか2床。緊急事態宣言下の府県の国立大としては京大が3床、患者数が最多の東京では東大が8床でした(東京医科歯科大は16床)。機敏に動く国立大病院もコロナ以外の高度医療への対応の必要性から、コロナ重症患者向け病床を抑える、という理屈はわかりますが、病床数が数床というのは気になります。国立大学病院は文部科学省管轄です。ただ、文科省から「病床を確保せよ」という命令が下されることはなく、基本的に都道府県の調整本部から依頼・要請があって対応することになります。数床しか確保していない大学病院は、何らかの理由をつけて、重症病床の確保を避けてきたとも考えられます。今回の事務連絡を機に、病床確保がスムーズに進むようになることを期待します。ちなみに、仙台にいる友人から聞いた話では、東北大学病院の場合、コロナ重症病床は5床ですが、東北大学診療所を院外に新設してドライブスルー方式のPCR検査外来に取り組んだり、軽症者等宿泊療養施設となったホテルへの医療支援(24時間オンコール対応)にも取り組んだりしているそうです。さらに東北大の医師が県の調整本部に入り、病床確保や入院調整なども担当しているとのこと。地方の国立大学病院は、各県にとっては最大規模かつ最高レベルの医療インフラと言えます。このコロナ禍の中、「うちは高度医療だから」とお高くとまらず、真に地域に役に立つ医療サービスの提供を行ってもらいたいものです。中身なし、医療関係団体の具体的方策ところで、1月に「第41回 コロナ対応病床増、感染症法改正か医療法改正か…。そこ結構大事では?」で書いた、医療関係団体の対策会議はどうなったのでしょう。日本医師会が中心となり、四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)と全国自治体病院協議会と共に立ち上げた「新型コロナウイルス感染症患者受入病床確保対策会議」は2月3日、「新型コロナウイルス感染症患者の病床確保等に向けた具体的方策」を取りまとめています。それによれば、「都道府県医師会、都道府県病院団体及び支部が連携して協議会を立ち上げ、都道府県行政との間で緊密な連携を取り」、受け入れ病床の確保策として、「協議会もしくは地域医療構想調整会議等にて都道府県調整本部等と連携し、受入病床の確保を行う」とのことです。大々的に対策会議を開いたにも関わらず、具体的方策の中身はあるようでない、というのが私の感想です。地域レベルでは病床確保がどうにもならなかったので中央の皆で検討したはずなのに、結局また各地域に丸投げする格好だからです。都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会において、猪口 雄二副会長はこの具体的方策について「日本医師会としても支援していくので、地域の事情に応じた対応をお願いしたい」と述べたとのことです。この「具体的方策」で果たして地域の医療機関が「よし、当院も」と動くでしょうか。西日本のある県では100近い民間病院がある中、コロナの軽中等症者を受け入れているのはわずか数院、という話もあります。感染者数が減少に転じ、民間病院へのバッシングも収まったことで、コロナ病床確保のための議論も中途半端ながらとりあえず終了と考えたのだとしたら、とても残念です。今の状況のまま、もし第4波が到来したら、次のバッシングはさらに厳しいものになるでしょう。

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うつ病患者の睡眠薬処方パターンと再発への影響~日本のレトロスペクティブ研究

 日本においてうつ病患者数は増加している。うつ病は寛解期であっても、不眠症状が持続することが少なくない。不眠症の薬理学的治療では睡眠薬が使用されるが、うつ病の再発や寛解後に残存する不眠症状に対する影響はよくわかっていない。武田薬品工業株式会社ジャパンメディカルオフィスの山戸 健太郎氏らは、日本の大規模な健康保険レセプトデータベースを用いて、うつ病患者に対する睡眠薬処方パターンおよびうつ病の再発に対する睡眠薬処方パターンの影響を調査した。BMC Psychiatry誌2021年1月13日号の報告。 対象は、うつ病診断後、抗うつ薬と睡眠薬を処方された20~56歳のうつ病患者をJMDCデータベース(2005~18年)より抽出した。抗うつ薬治療を180日超経過した後に中止した患者を1年間フォローアップし、うつ病の再発を評価するため、カプランマイヤー法を用いた。うつ病の再発に対する睡眠薬処方パターンの影響を分析するため、ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・2006年1月~2017年6月に抗うつ薬治療を開始したうつ病患者17万9,174例中、睡眠薬を処方された2,946例を分析対象とした。・睡眠薬の併用療法は29.2%であり、多くの患者において睡眠薬は単剤療法(70.8%)で用いられていた。・主な睡眠薬処方パターンは、以下のとおりであった。 ●ベンゾジアゼピン系睡眠薬単剤療法:26.2% ●非ベンゾジアゼピン系睡眠薬単剤療法:28.9% ●睡眠薬の2剤併用療法:21.1%・複数の睡眠薬が処方された患者では、抗不安薬、抗精神病薬、気分安定薬、鎮静系抗うつ薬の併用が多かった。・うつ病の1年再発率は、睡眠薬の単剤、併用療法または睡眠薬の種類にかかわらず同程度であり、約20%であった。・抗うつ薬治療中止後1年以内でのうつ病の再発オッズ比(OR)と関連する因子は以下のとおりであった。 ●被保険者の配偶者(OR:1.44、95%信頼区間[CI]:1.03~2.02) ●被保険者の配偶者以外の家族(OR:1.46、95%CI:0.99~2.16) ●鎮静系抗うつ薬の処方(OR:1.50、95%CI:1.24~1.82) 著者らは「日本人うつ病患者に対する睡眠薬の使用は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬が最も多く、併用療法が行われることも少なくない。うつ病の再発に対する睡眠薬処方パターンの影響は認められなかったが、睡眠薬を選択する際には、薬剤間の有効性や安全性の違いを考慮する必要がある」としている。

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降圧薬の有害事象メタ解析、急性腎障害や失神が関連か/BMJ

 降圧薬による高血圧治療は、転倒との関連はないものの、軽度の有害事象として高カリウム血症および低血圧と関連し、重度の有害事象として急性腎障害および失神との関連が認められることが、英国・オックスフォード大学のAli Albasri氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年2月10日号に掲載された。降圧治療の有効性を評価した無作為化対照比較試験のメタ解析は多いが、潜在的な有害性を検討したメタ解析はほとんどない。また、既存のメタ解析は、降圧治療とすべての有害事象の関連に重点を置き、特定の有害事象との関連は明らかにされていないという。降圧治療と特定の有害事象の関連をメタ解析で評価 研究グループは、降圧治療と特定の有害事象との関連を評価する目的で、系統的レビューとメタ解析を実施した(英国Wellcome Trustなどの助成による)。 成人(年齢18歳以上)で、降圧薬とプラセボまたは無投与、降圧薬数が多い群と少ない群、降圧目標値の高値と低値を比較した無作為化対照比較試験を対象とした。小規模な初期段階の試験を回避するために、試験はフォローアップ期間が650人年以上であることが求められた。 2020年4月14日の時点で、4つの学術データベース(Embase、Medline、CENTRAL、Science Citation Index)に登録された文献を検索した。 主要アウトカムは、試験のフォローアップ期間中の転倒とした。副次アウトカムは、急性腎障害、骨折、痛風、高カリウム血症、低カリウム血症、低血圧、失神であった。また、死亡や主要心血管イベントと関連する追加アウトカムのデータを抽出した。 バイアスのリスクはCochrane risk of bias toolで評価した。変量効果メタ解析で、試験の異質性(τ2)を考慮してすべての試験の率比(RR)、オッズ比(OR)、ハザード比(HR)を統合した。死亡、心血管死、脳卒中を抑制、心筋梗塞との関連は不明確 58件の無作為化対照比較試験(28万638例、フォローアップ期間中央値:3年[IQR:2~4])に関する63本の論文が解析に含まれた。多くの試験(40件[69%])はバイアスのリスクが低かった。 転倒のデータを報告したのは7件の試験(2万9,481例、1,790イベント)で、降圧治療との関連を示すエビデンスは認められず(要約RR:1.05、95%信頼区間[CI]:0.89~1.24)、この関連に関する試験間の異質性はほとんどなかった(τ2=0.009、I2=31.5%、p=0.372)。 一方、降圧薬は、急性腎障害(要約RR:1.18、95%CI:1.01~1.39、τ2=0.037、15試験)、高カリウム血症(1.89、1.56~2.30、τ2=0.122、26試験)、低血圧(1.97、1.67~2.32、τ2=0.132、35試験)、失神(1.28、1.03~1.59、τ2=0.050、16試験)との関連が認められた。 降圧治療と骨折(要約RR:0.93、95%CI:0.58~1.48、τ2=0.062、I2=53.8%、5試験)、および痛風(1.54、0.63~3.75、τ2=1.612、I2=94.3%、12試験)との関連のエビデンスは明確ではなく、CIの幅の広さは試験の異質性が大きいことをある程度反映すると考えられた。 レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系拮抗薬に限定すると、急性腎障害と高カリウム血症のイベントを評価した試験間の異質性は低くなった。また、個々の試験で投与中止の原因となった有害事象に焦点を当てた感度分析では、結果の頑健性が示された。 さらに、降圧治療は、全死因死亡(HR:0.93、95%CI:0.88~0.98、τ2=0.008、I2=50.4%、32試験)、心血管死(0.92、0.86~0.99、τ2=0.011、I2=54.6%、21試験)、脳卒中(0.84、0.76~0.93、τ2=0.013、I2=44.8%、17試験)のリスク低減と関連したが、心筋梗塞(0.94、0.85~1.03、τ2=0.013、I2=40.7%、19試験)との関連は明確ではなかった。 著者は、「これらのデータは、降圧治療の開始や継続について医師と患者が協働意思決定を行う際に、とくに有害事象の既往歴や腎機能低下により有害性のリスクが高い患者にとって、有益な情報となるだろう」としている。

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PSMA標的治療のルテチウム-177、転移のある去勢抵抗性前立腺がんに有効/Lancet

 ドセタキセル治療が無効となった転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)男性の治療において、ルテチウム-177[177Lu]Lu-PSMA-617はカバジタキセルと比較して、前立腺特異抗原(PSA)反応(PSA値のベースラインから50%以上の低下)の達成率が高く、Grade3/4の有害事象の頻度は低いことが、オーストラリア・Peter MacCallumがんセンターのMichael S. Hofman氏らが行った「TheraP(ANZUP 1603)試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年2月11日号で報告された。[177Lu]Lu-PSMA-617は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を発現する細胞にβ線を照射する放射線標識低分子化合物であり、mCRPC患者において抗腫瘍活性と安全性が確認されている。オーストラリアの無作為化第II相試験 本研究は、mCRPCの治療における[177Lu]Lu-PSMA-617の有用性をカバジタキセルと比較する非盲検無作為化第II相試験であり、オーストラリアの11施設が参加し、2018年2月~2019年9月の期間に患者登録が実施された(オーストラリア前立腺がん財団、米国Endocyteなどの助成による)。 対象は、ドセタキセル治療で病勢が進行し、カバジタキセルが次の適切な治療と考えられるmCRPCの男性で、全身状態(ECOG PS)が0~2の患者であった。アンドロゲン受容体標的療法(androgen receptor-directed therapy)による前治療は許容された。 被験者は、ガリウム-68[68Ga]Ga-PSMA-11 PET-CTと、2-フッ素-18[18F] fluoro-2-deoxy-D-glucose (FDG) PET-CTによる検査を受けた。本試験のPET適格基準は、PSMA陽性病変を有し、FDG陽性/PSMA陰性の所見が一致しない転移部位がないことであった。適格例は、[177Lu]Lu-PSMA-617(6.0~8.5 GBq、6週ごとに静脈内投与、最大6サイクル)またはカバジタキセル(20mg/m2、3週ごとに静脈内投与、最大10サイクル)の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントはPSA反応とし、PSA値のベースラインから50%以上の低下と定義された。ITT集団のPSA反応率:66% vs.37% PET適格基準を満たした200例のうち、99例(年齢中央値72.1歳、PSA中央値93.5ng/mL)が[177Lu]Lu-PSMA-617群に、101例(71.8歳、110ng/mL)はカバジタキセル群に割り付けられた。両群とも91例(91%)が、エンザルタミドまたはアビラテロンによる前治療を受けていた。実際に試験薬の投与を受けたのは、[177Lu]Lu-PSMA-617群が98例(99%)、カバジタキセル群は85例(84%)だった。 intention to treat集団では、PSA反応は[177Lu]Lu-PSMA-617群が66%(65例)で得られ、カバジタキセル群の37%(37例)に比べ有意に良好であった(群間差:29%、95%信頼区間[CI]:16~42、p<0.0001)。また、実際に投与を受けた集団でも、PSA反応率は[177Lu]Lu-PSMA-617群で有意に優れた(66% vs.44%、群間差:23%、9~37、p=0.0016)。 病変の増悪(画像所見またはPSA値で評価)は173例([177Lu]Lu-PSMA-617群90例、カバジタキセル群83例)で認められ、増悪までの期間は[177Lu]Lu-PSMA-617群がカバジタキセル群に比べ遅延していた(ハザード比[HR]:0.63、95%CI:0.46~0.86、p=0.0028)。また、12ヵ月の時点での無増悪生存(PFS)率は、[177Lu]Lu-PSMA-617群が19%、カバジタキセル群は3%であり、PFS期間中央値は両群とも5.1ヵ月だった。 Grade3/4の有害事象は、[177Lu]Lu-PSMA-617群が33%(32/98例)で発現したのに対し、カバジタキセル群の発現率は53%(45/85例)であった。[177Lu]Lu-PSMA-617群では、Grade3/4の血小板減少(11% vs.0%)が多く、Grade3/4の好中球減少(4% vs.13%)は少なく、発熱性好中球減少のエピソード(0% vs.8%)はみられなかった。また、[177Lu]Lu-PSMA-617関連の死亡例はなかった。 著者は、「[177Lu]Lu-PSMA-617は、新たなクラスの有効な治療法であり、カバジタキセルの代替治療となる可能性がある」としている。

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低すぎて泣けてくる健康サポート薬局の認知度 内閣府調査【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第63回

内閣府によって、薬局利用に関する世論調査が行われ、その結果が公表されました。この調査は、2020年10月~11月に18歳以上の3,000人を無作為に抽出し、帳票を郵送して行われました。有効回答は1,944人(64.8%)でした。調査項目は、(1)自分の健康について、(2)お薬手帳について、(3)薬局・薬剤師について、(4)かかりつけ薬剤師・薬局に求める役割について、(5)健康サポート薬局に求める役割について、(6)薬局の利用の仕方に関する広報啓発について、という薬局利用の基本的な6項目です。今後の施策の参考とされる世論調査ですので、現時点の患者さんの薬局利用に関する意識を追っていきたいと思います。(1)自分の健康について「あなたは自分の健康をどれくらい意識していますか」という問いに対して、「意識している」と回答した割合は90.0%でした。「意識している」の割合は年齢が上がるにつれ高くなり、男女別ではやや女性のほうが高くなっています。健康意識が低いことが多い29歳以下の層でも75%超が意識していると回答しています。コロナ禍ということも関係しているのかもしれませんが、健康への意識は皆さん高いですね。(2)お薬手帳について「お薬手帳」を利用しているか聞いたところ、「利用している」が71.1%、「利用していない」が28.6%でした。お薬手帳を「利用していない」と答えた人(556人)に、お薬手帳を利用していない理由を尋ねたところ、「病院や診療所、薬局を利用する機会が少ないため」が52.2%で最も多く、「お薬手帳がなくても服用している薬を自分で管理できるため」(25.9%)、「利用するのが面倒なため」(23.0%)と続きました。通院していない人や服用薬がない人は仕方ないかもしれませんが、薬を自分で管理できる、利用するのが面倒と回答した方は、お薬手帳を持っていただく何らかの動機付けが必要かなと思います。お薬を自身で管理できるのは頼もしいことですが、お薬手帳を医療者に見せることで相互作用や副作用の確認が受けられるなど、メリットが最大化できるということを知ってほしいですね。(3)薬局・薬剤師について「薬局を利用した際に薬剤師にどのような相談をしようと思いますか」という項目では、「病院や診療所で処方された薬について」が49.1%、「薬の飲み合わせについて」が45.2%で僅差となりました。「とくにない」という寂しい回答は22.1%でした。なお、別の質問で、利用している薬局の薬剤師による薬の説明や相談への対応に満足しているか尋ねたところ、「満足している」が85.3%、「満足していない」が8.5%でした。ちょっとホッとしましたね。目の前の患者さんの相談に真摯に対応する薬剤師の皆さんが積み上げた満足度だと思います。(4)かかりつけ薬剤師・薬局に求める役割についてかかりつけ薬剤師・薬局を決めているかという質問では、「かかりつけ薬剤師・薬局を決めている」が7.6%でした。決めていると回答した人の理由は、「信頼できる薬剤師であるため」が49.7%、「服用しているすべての薬の飲み合わせについて確認してくれるため」が44.9%でした。また、かかりつけ薬剤師・薬局を決めていない人に、かかりつけ薬剤師・薬局を決める利点で関心のあるものを聞いたところ、「服用しているすべての薬をまとめて管理し、薬の重複や副作用を確認」と回答した割合が58.9%と最も高く、次いで「緊急時の開店時間外の調剤」(24.0%)、「薬についての開店時間外の電話などによる相談への対応」(18.7%)となりました。おそらく、何かとくに変わった対応が求められているわけではなく、基本的な薬局機能と地道な患者さんへの対応が求められているのだと感じます。(5)健康サポート薬局に求める役割について健康サポート薬局の認知度は、「よく知っていた」が1.5%、「言葉だけは知っていた」が6.5%、「知らなかった」が91.4%となりました。「よく知っていた」と回答した人は薬局関係者なんじゃ…とすら思える割合です(笑)。また、健康サポート薬局で自分の健康に関して相談しようと思うか尋ねたところ、「思う」が31.3%、「思わない」が61.4%でした。この結果より、健康サポート薬局の認知度はないに等しく、利用意向も低いと解釈できます。悲しいとしか言いようがありません。(6)薬局の利用の仕方に関する広報啓発についてかかりつけ薬剤師や健康サポート薬局に相談してもらうために、どのような広報啓発が効果的かという質問では、「医師や看護師など、病院や診療所の職員からの情報提供」が54.8%と最も高く、「薬剤師など、薬局の職員からの情報提供」(42.1%)、「テレビ・ラジオによる広報」(42.0%)と続きました。これに関しては参考程度に考えればいいのではないかと思いますが、医師や看護師などからの口コミの効果は大きいと考察できます。さて、上記の結果は皆さんの実感や想像と比較していかがでしたでしょうか。私としては、健康サポート薬局の認知度の低さがひどいなと思わざるを得ません。あまり知られてないだろうとは思っていましたが、ここまで低いとは!と正直驚きました。8月には「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」という認定制度の新設が予定されていますが、患者さんの薬局選びに本当に必要な制度なのだろうか…と思ってしまいます。一方で、薬剤師の皆さんの地道な患者さんへの対応が信頼や満足度向上につながっていることが数字で実感できてうれしく思います。患者さんを置き去りにしない対応や制度が求められているのだと、初心に帰ることができたアンケート結果でした。参考1)「薬局の利用に関する世論調査」(内閣府)2021年(令和3年)2月

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第48回 コーヒーは血中脂質を増やす/イスラエル医療従事者のCOVID-19発症がワクチンで85%減少

コーヒーは血中脂質を増やす~飲むならカフェストールが抜ける濾過コーヒーが賢明重要な慢性疾患や怪我の要因を見つけることを主な目的1)とする観察試験UK Biobankの被験者36万2,571人の解析でコーヒーと血中コレステロール濃度上昇の関連が改めて示されました2,3)。コーヒーをより飲んでいる人ほど総コレステロール、それに悪名高いLDLコレステロール(LDL-C)やアポリポタンパク質B(apoB)の血中濃度がより高いという結果が得られており、コーヒーの飲みすぎを長く続けると脂質に障ってやがては心血管疾患を生じやすくする恐れがあると示唆されました。コーヒーを飲むこととコレステロール上昇の関連はノルウェーの街トロムソの住人を調べたおよそ40年前の試験(Tromso Heart Study)ですでに示されています。被験者はコーヒーといえば挽いたコーヒー豆を水で煮てその上澄みを濾過せずに飲むのを主とし、UK Biobankの試験と同様にコーヒーをより多く飲んでいる人ほど血清の総コレステロールやトリグリセリド値がより高めでした4)。それから7年後の1990年には冒頭のUK Biobank試験の著者の懸念を裏付ける中年男女およそ4万人の追跡調査結果がBMJ誌に掲載されています。Tromso Heart Studyと同様にノルウェーでの試験であり、非濾過コーヒーがしばしば飲まれていた同国でのコーヒー摂取と冠動脈心疾患による死亡の関連が示されました5)。非濾過コーヒーにはコレステロールを上げるコーヒー豆成分カフェストール(cafestol)が多く含まれます。たとえば豆の粗挽きを10分以上煮出すか熱湯で煎じた上澄みの非濾過コーヒーには紙フィルター濾過コーヒーに比べて30倍多く含まれます6)。コーヒー豆のカフェストールが血清コレステロールを上げることを発見した1994年の研究報告の引用文献によると、ノルウェーの隣国フィンランドでは非濾過から濾過コーヒーへの嗜好の変化が血清コレステロール低下に一役買い、7%の心血管疾患減少をもたらしました7,8)。上述のNEJM報告の筆頭著者Dag Thelle氏が率いたごく最近の試験9)でもどうやら非濾過コーヒーの飲み過ぎは心臓に悪そうなことが示唆されています。Thelle氏等のその新たな試験ではノルウェーの20~79歳の約51万人のデータを使ってコーヒーと心血管疾患や死亡率等との関連への抽出方法の影響が調べられました。その結果、コーヒー全般と死亡や心血管疾患を生じやすくなることの関連は認められませんでしたが、コーヒーを飲む人のうち1日に濾過コーヒーを1~4杯飲む人は死亡率が最も低く、非濾過コーヒーを1日に9杯以上飲む人は逆に死亡率が最も高くなっていました。ペーパーフィルター濾過コーヒーでもコレステロールが上昇しうることが示されている10)ので過信は禁物ですが、血中脂質にできるだけ障らないようにするにはコレステロール上昇成分カフェストールが抜ける濾過コーヒーを適度に飲むのが賢明なようです2)。イスラエルでPfizerワクチン1回目接種後15~28日間のCOVID-19発症が85%減ったPfizer(ファイザー)/BioNTech(ビオンテック)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防ワクチンBNT162b2の接種が進むイスラエルの医療従事者およそ9,000人(9,109人)を調べたところ、その1回目接種後15~28日のCOVID-19発症は非接種に比べて85%少なくて済みました11,12)。接種から1~14日のCOVID-19発症も47%少なく、非接種のおよそ半分で済みました。PCR検査でのSARS-CoV-2検出率も非接種群に比べて低下しました。1回目接種から1~14日には30%、15~28日には75%低下しています。1回目接種からすぐにCOVID-19が減った今回の結果を受けて著者はワクチンや人手不足の国では2回目接種を遅らせてもよさそうだと示唆しています11)。参考1)Batty GD,et al. BMJ. 2020 Feb 12;368:m131. 2)Deja brew? Another shot for lovers of coffee / EurekAlert3)Zhou A, et al. Clin Nutr. 2021 Jan 11:S0261-5614,00014-5. [Epub ahead of print]4)Thelle DS, et al. N Engl J Med. 1983 Jun 16;308(24):1454-7.5)Tverdal A, et al. BMJ. 1990 Mar 3;300:566-9.6)Urgert R, et al. J R Soc Med. 1996 Nov;89:618-23.7)Weusten-Van der Wouw MP, et al.J. Lipid Res. 1994. 35: 721-733.8)Salonen JT, et al.Prev Med. 1987 Sep;16:647-58.9)Tverdal A, et al. Eur J Prev Cardiol. 2020 Dec;27:1986-1993. 10)Correa TA, et al. Nutrition. 2013 Jul-Aug;29:977-81.11)Amit S,Lancet. February 18, 2021. [Epub ahead of print]12)Study finds first COVID vaccine dose lowers disease risk 30% to 85% / University of Minnesota

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認知症介護者の人道的負担~日本の大規模横断研究

 急速な高齢化社会へ進む日本では、認知症やアルツハイマー病の有病率の増加に伴い、介護者の必要性が高まっている。岐阜薬科大学の大野 慎也氏らは、日本での認知症やアルツハイマー病の介護者における人道的負担について、それ以外の介護者との比較を行った。Journal of Medical Economics誌2021年号の報告。 日本の健康調査National Health and Wellness Survey(NHWS)の2018年のデータを用いて、横断的研究を行った。対象は、認知症やアルツハイマー病の介護者805人、それ以外の介護者1,099人、非介護者2万7,137人。アウトカムの指標は、健康関連QOL尺度(HRQoL)であるSF-12、健康状態を評価するEQ-5D、健康が生産性や活動に及ぼす影響、うつ病と不安症の評価とした。群間比較を行うため、潜在的な交絡因子で調整した後、多変量解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・認知症かそれ以外かにかかわらず介護者は、非介護者よりも、HRQoL、EQ-5Dスコアが低く、全活動障害が多く、不安を経験する傾向が認められた。・日常生活動作(ADL)については、基本的ADLおよび手段的ADLへの影響は、認知症介護者とそれ以外の介護者との間で有意な差は認められなかった。・認知症介護者は、それ以外の介護者よりも、治療の決定や財政的マネジメントと深い関わりが認められた。・患者の居住環境をみると、1人の患者をケアしている認知症介護者において、施設入所は282人、地域社会居住は395人であった。・地域社会居住患者の認知症介護者では、基本的ADLおよび手段的ADLへの影響が大きかった。・認知症とがんの両方を有する患者の介護者は、どちらか一方を有する患者の介護者よりも、介護負担がより大きかった。 著者らは「日本において認知症やアルツハイマー病介護者の人道的負担は、患者の生活環境や合併症に影響されることが示唆された。介護者の負担を軽減するためにも、効果的なケアサポートの提供は不可欠である」としている。

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治療後SBPが130mmHg未満の場合、最適なDBPは?

 拡張期血圧(DBP)が低過ぎると心血管イベントが高まる事象(拡張期血圧のJ型現象)が報告されているが、現在の米国のガイドラインでは、DBPの下限については言及していない。今回、中国・Beijing University of Chinese MedicineのJingen Li氏らが、SPRINT試験およびACCORD-BP試験の7,515例を対象にコホート研究を実施した結果、治療後の収縮期血圧(SBP)が130mmHg未満の患者においてDBPのJ型現象が認められ、心血管イベントリスクはDBPが60mmHg未満で高く、70〜80mmHgで最も低いことが示された。JAMA Network Open誌2021年2月17日号に掲載。 本研究は、SPRINTおよびACCORD-BP試験において、厳格もしくは標準的な血圧管理に無作為化されSBP 130mmHg未満を達成した患者で、心血管リスクが高い患者のデータを分析した。データは2010年10月~2015年8月(SPRINT)および1999年9月~2009年6月(ACCORD-BP)に収集し、2020年1月~5月に解析した。治療後のDBTについて、60mmHg未満、60mmHg以上70mmHg未満、70mmHg以上80mmHg未満、80mmHg以上で分けた。1次アウトカムは全死因死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合、2次アウトカムは、心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中を含む複合心血管アウトカムなどであった。 主な結果は以下のとおり。・計7,515例(平均年齢[SD]:65.6歳[8.7]、男性:4,553例[60.6%])を分析した。・1次アウトカム、複合心血管アウトカム、非致死的心筋梗塞、心血管死について、DBP 70〜80mmHgが最もリスクが低かった。・平均DBT 60mmHg未満は、1次アウトカム(ハザード比[HR]:1.46、95%信頼区間[CI]:1.13~1.90、p=0.004)、複合心血管アウトカム(HR:1.74、95%CI:1.26~2.41、p=0.001)、非致死的心筋梗塞(HR:1.73、95%CI:1.15~2.59、p=0.008)、非致死的脳卒中(HR:2.67、95%CI:1.26~5.63、p=0.01)と関連していた。

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扁平上皮頭頸部がんアジュバント、毎週CDDP+RTに軍配/日本臨床腫瘍学会

 術後再発高リスク因子(切除断端陽性、リンパ節外浸潤)を有する進行頭頸部扁平上皮がんに対する術後補助療法の標準治療は、CDDPを3週ごとに同時併用する化学放射線療法(3wCDDP+RT)である。しかし、毒性の強さ、治療のコンプライアンス、長期入院の必要性、術後の手術部位感染の懸念などから普及せず、毒性の軽い CDDPを毎週投与する化学放射線療法(wCDDP+RT)が頻用されている。ただし、wCDDP+RTのエビデンスは不足しており、標準治療である3wCDDP+RTとの無作為化比較試験も行われていない。国立がん研究センター東病院の田原 信氏らは術後再発高リスク因子を有する頭頸部扁平上皮がんを対象とした世界初となる3wCDDP+RTとwCDDP+RTとの無作為化比較試験を実施し、第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)で発表した。・対象:術後再発高リスク因子(切除断端陽性、リンパ節外浸潤)の扁平上皮頭頸部がん患者(ECOG PS 0〜1、年齢20〜75歳)・試験群:CDDP(40mg/m2)+放射線(66Gy/33Fr)(wCDDP+RT群)・対象群:CDDP(100mg/m2)3週ごと+放射線(66Gy/33Fr)(3wCDDP+RT群)・評価項目:第II相部分は治療完遂割合、第III相部分は全生存期間(OS) 試験治療群の標準治療群に対する非劣性ハザード比(HR)の閾値は1.32と設定された。 主な結果は以下のとおり。・2012年10月〜2018年12月に261 例が登録され、3wCDDP+RT群 132 例、wCDDP+RT群 129 例に割り付けられた。・観察期間中央値2.2年での3年OS率は、3wCDDP+RT群59.1%、wCDDP+RT群71.6%であった(HR:0.69、99.1%CI:0.37〜1.27、片側非劣性p=0.00272)。非劣性HRの閾値1.32に対して層別Cox 回帰モデルから得られた片側p値は、多重性を考慮したα=0.00433を下回ることから非劣性が証明された。・3年無再発生存期間は3wCDDP+RT群53.0%、wCDDP+RT群64.5%であった(HR:0.71、95%CI:0.48〜1.06)。・急性毒性としては、Grade3以上の好中球減少(3wCDDP+RT群48.8%対wCDDP+RT35.3%)、Grade2以上のクレアチニン上昇(8.5%対5.7%)、Grade2以上の難聴(7.8対2.5%)、Grade2以上の粘膜炎(55.0%対50.0%)が認められ、その毒性頻度はwCDDP+RT群において低かった。 第III相部分における2回目の中間解析において、OSにおけるwCDDP+RT群の非劣性が証明されたことから、効果・安全性評価委員会から試験中止、結果の公表が勧告された。wCDDP+RTは、3wCDDP+RTに対し非劣性であることが示され、毒性プロファイルも良好であったことから、Weekly CDDP+RT療法が新たな標準治療と認識される、との見解を示している。

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小児がん患者の悪心嘔吐予防に対するパロノセトロンの有効性/日本臨床腫瘍学会

 小児がん患者での化学療法に伴う悪心嘔吐(CINV)は、催吐性の抗がん剤治療を受けた約70%発現することが報告されているが、研究結果は少ない。第2世代5-HT3受容体拮抗薬パロノセトロンは、とくに遅発期(抗がん剤投与後 24〜120時間)におけるCINV抑制効果が確認されており、本邦では成人での使用にて承認されているが、小児のCINV予防の制吐薬としては承認されていない。そこで、わが国の小児がん患者を対象にパロノセトロンの有効性と安全性を検討する第III相試験が実施され、第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)において、九州大学病院の古賀 友紀氏がその結果を発表した。・対象:生後28日~18歳の高度または中等度催吐性抗がん剤を含む初回化学療法が計画または実施されている小児がん患者・介入:抗がん剤投与開始30分~直前にパロノセトロン(PALO)20μg/kg(最大1.5mg)とデキサメタゾン(DEX)を投与。DEXは2および3日目も投与・評価項目:化学療法1サイクル目における全期間(抗がん剤投与後0~120時間)の嘔吐完全抑制率(嘔吐・空嘔吐の発現がなく、制吐処置を実施していない状態、以下CR)率。CR率の閾値は事前に30%に設定 主な結果は以下のとおり。・2016年12月~2019年6月に60例が登録され、PALOが投与された58例にて有効性、安全性が評価された。・全期間CR率は58.6%(95%CI:44.9~71.4、p

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第43回 麻酔科元教授が逮捕された三重大、4年前の死亡事故も隠蔽か?

<先週の動き>1.麻酔科元教授が逮捕された三重大、4年前の死亡事故も隠蔽か?2.発症から15日など、新型コロナ重症者の退院基準を新設/厚労省3.4月から非医療機関を対象に看護師の日雇い派遣が可能に4.高齢者へのワクチン接種開始、予定よりやや遅れる見込み5.コロナ禍での医師の働き方改革の進捗を報告/日医1.麻酔科元教授が逮捕された三重大、4年前の死亡事故も隠蔽か?三重大学医学部付属病院において、2017年に麻酔科医が4件の手術をかけ持ちする「並列麻酔」を行い、手術中に患者1人が死亡する医療事故が発生していたことが発覚した。並列麻酔は、医療事故のリスクが高まることなどを理由に、日本麻酔科学会が原則的に禁止している。同院の医療事故調査委員会は、並列麻酔が患者の死亡につながった遠因である可能性を言及し、今年に入ってから並列麻酔は一切行っていないとしているが、2020年までは20%前後の手術で並列麻酔が行われていたことを明らかにしている。三重大学では、臨床麻酔部の元教授らが、不正な診療報酬請求による詐欺の疑いで逮捕され、昨年から麻酔科医の退職が相次いでおり、人手の足りない手術を他病院で実施するなどで対応している。今後、再発防止策を立案するとともに、信用回復と人員確保が最優先となるだろう。(参考)【三重】三重大「並列麻酔」約1〜2割で(NHK)資格医学部附属病院における不正事案について(三重大学)2.発症から15日など、新型コロナ重症者の退院基準を新設/厚労省厚生労働省は、18日に開催された専門家会議で、新型コロナウイルスの重症者について、軽症者らとは別の退院基準を設けることを決定した。これは、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)が必要な重症者は、他人に感染させる期間が長いと考えられるため。これまでの退院基準は、重症度にかかわらず、発症後10日間が経過し、かつ症状が軽快しており、72時間以上経過した者についてはPCR検査を実施せずに退院が可能であったが、今後は重症者に限って、発症から15日が必要だとした。近く、都道府県に通知する見込み。政府は、退院基準を満たした高齢の入院患者を介護施設が受け入れた場合、1日当たり5,000円相当の介護報酬を最大30日間加算することを決めている。全国老人保健施設協会によると、都内では36施設が、新型コロナ退院患者の受け入れ態勢をすでに整えているという。(参考)コロナ重症者の退院基準 発症から15日に 厚労省(朝日新聞)コロナ 退院基準満たした高齢患者 受け入れ施設に介護報酬加算(NHK)3.4月から非医療機関を対象に看護師の日雇い派遣が可能に厚労省は、非医療機関(老人ホームや介護施設、保育所など社会福祉施設)において、看護師らが日雇いで働けるように政令改正を決めた。これは新型コロナ流行に伴い、介護施設や障害者施設での看護師ニーズが高まる中、現状では原則禁止されている看護師らの日雇い派遣についての規制を緩和し、今年の4月以降認める方向で検討している。介護施設では、看護師の人員確保などの課題に直面しており、規制緩和によって、子育てや介護のため常勤していない「潜在看護師」の短時間労働が可能となる。なお、新型コロナウイルスワクチン接種などについては、医療行為であり、医療機関への派遣についても今回の改正対象とはならない。表:保健師・助産師・看護師・准看護師と労働者派遣の法規制(2021年2月21日時点の改正見込み)画像を拡大する(参考)看護師の日雇い派遣4月以降容認へ 厚生労働省(NHK)看護師、介護施設に日雇い派遣可能に 4月から(日本経済新聞)4.高齢者へのワクチン接種開始、予定よりやや遅れる見込み21日にNHK報道番組に出演した河野 太郎規制改革担当相は、高齢者への新型コロナウイルスのワクチン接種開始について、4月はワクチンの輸入量が比較的限られるため、接種への実施が一部後ろ倒しになることを明らかにし、今週中には新たな接種計画をまとめると発表した。また同氏は、新型コロナウイルスワクチン接種について、当初は370万人程度と推計していた医療従事者が、100万人程度増えるとの見通しを明らかにしており、3月から開始される医療従事者の2回目の接種と並行して高齢者向けの接種が開始する見込みであることも併せて言及している。(参考)高齢者ら接種「週内に大枠」 企業にワクチン休暇要請も 河野氏(時事通信)ワクチン接種、遅れる可能性 河野氏言及、供給が限定的(朝日新聞)ワクチン医療従事者接種「100万人くらい増加」 河野氏 高齢者、4月開始は変更なし(日経新聞)5.コロナ禍での医師の働き方改革の進捗を報告/日医日本医師会は、17日に開催された定例記者会見で、医師の働き方改革の進捗について、松本 吉郎常任理事が報告した。医師の働き方改革については、昨年12月に厚労省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」が中間取りまとめを行い、今年2月に医療法等の改正法案が閣議決定され、2024年度からの医師の働き方の新制度施行からの制度の開始に向けた準備が進んでいる。今回、現場からの質問や意見の多い、(1)医療機関がおこなうべきこと、(2)2024年度からの医師の働き方の新制度施行、(3)2024年度の新制度施行に向けて取り組むこと、(4)コロナ禍と医師の働き方、(5)宿日直の許可、(6)医師の副業・兼業の取り扱い、(7)大学病院における働き方、(8)医師の働き方制度理解といった8項目についてそれぞれ説明を行った。今後、さらに医師の働き方改革を進める上でのポイントが記されており、2024年度を前に大学病院をはじめ医療機関が取り組む課題は大きいと考えられる。(参考)医師の働き方改革の進捗状況について(日医)資料 医師の働き方改革の推進に関する検討会 中間とりまとめ(厚労省)

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あなたに決めたけど破談もアリ!? 基本合意契約は「結納」だ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第12回

第12回 あなたに決めたけど破談もアリ!? 基本合意契約は「結納」だ漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継において避けて通れないのが「基本合意契約」です。基本合意契約とは、「最終契約に先立って締結する契約」です。この契約を締結する目的は「医院の引き継ぎ(最終契約)に向けて、現時点での合意事項を確認する」ことです。売り手側の事情によっては(院長が急逝し、患者さんの引き継ぎを考えて、早期に医院承継する必要がある場合など)、基本合意契約を締結せずに最終契約のみ締結する場合もありますが、ほとんどのケースにおいては先に基本合意契約を締結し、その後で最終契約を締結します。というのも、基本合意契約を締結する際には、合意事項の確認のみでなく、医業承継の仲介会社などに数十万円の中間金を支払うことが多く、その分、相手方の「本気度」を測ることができるためです。勘違いされる方も多いのですが、基本合意契約はこれをもって契約成立とはならず、法的拘束力も発生しません。つまり、基本合意契約を締結した後でも、何らかの事情により、売り手または買い手が辞退し、破談となるケースもあるのです。とはいっても、破談はまれなケースで、弊社の実績では、基本合意契約を締結した場合は9割以上の確率で成約しています。基本合意契約に記載される代表的な事項が「独占交渉権」です。独占交渉権とは、複数の買い手候補がいる場合、売り手がその中から1人を選び、一定期間内はその人だけと交渉を行う、と定めた事項です。この独占交渉権、売り手側はその期間設定に注意が必要です。独占交渉権の期間は「3ヵ月以内」とするケースが多いのですが、これを長く設定すると、売り手側としては1人の買い手候補に拘束された挙げ句、最終的に辞退されてしまうとまたゼロから候補者探しを行わなければならず、なかなか契約にたどり着かない、という事態に陥ります。こうした売り手側の事情から、最近では独占交渉権の期間を1ヵ月と短く設定するケースも増えています。基本合意契約を締結後、買い手側が行うのが「買収監査」です。買収監査とは、売り手が提示した決算書の内容や負債額に実態との乖離がないかを確認するプロセスです。買い手側が会計事務所などの第三者に費用を払って委託し、その会計事務所の職員が売り手側の税理士事務所へ入って調査を行う、というやり方が一般的です。ここで、決算書の内容に乖離があった場合は、譲渡額の条件も大きく変わりますし、最悪の場合は破談につながることもあります。売り手側は、売り上げや患者数といった条件を良く見せて譲渡額を高く設定したいと思うものですが、基本合意契約締結と買収監査というステップは避けて通れません。このステップを見据え、最初から正確な情報を提示することが大切です。

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Withコロナにおける希少疾病診療

出演:瀬川記念小児神経学クリニック 星野 恭子氏コロナ禍でさらに期待が高まる「オンライン診療」、その実際の取り組みや患者さんの声について、小児神経難病のエキスパートである瀬川記念小児神経学クリニックの星野恭子氏にご解説いただきました。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 診療ガイドラインの活用 その2【「実践的」臨床研究入門】第5回

診療ガイドラインの解説を読み込んでみる下記は、本連載でこれまでに少しずつブラッシュアップしてきた架空の臨床シナリオに基づいたCQとRQ(PECO)です。CQ:食事療法(低たんぱく食)を遵守すると慢性腎臓病患者の腎予後は改善するのだろうか↓P:慢性腎臓病(CKD)患者E:食事療法(低たんぱく食)の遵守C:食事療法(低たんぱく食)の非遵守O:腎予後前回、このCQに関連した診療ガイドラインを検索したところ、「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」1)がヒットしました。この診療ガイドラインの目次をパラパラと眺めてみると、われわれのCQにかなり似通ったCQの記載が見つかります(下記)。CQ:CKD の進行を抑制するためにたんぱく質摂取量を制限することは推奨されるか?このCQの該当ページの冒頭には下記の推奨が述べられています。推奨:CKD の進行を抑制するためにたんぱく質摂取量を制限することを推奨する。ただし、画一的な指導は不適切であり、個々の患者の病態やリスク、アドヒアランスなどを総合的に判断し、腎臓専門医と管理栄養士を含む医療チームの管理の下で行うことが望ましい (推奨グレード B1)。今回は、この回答(推奨)の根拠となる本文の解説を読み込んでみました。すると、このガイドラインにおける、CKD患者に対する食事療法(低たんぱく食)に関するエビデンスの概要は以下のようにまとめられました(筆者による抜粋、一部改変)。過剰なたんぱく質摂取は糸球体過剰ろ過を促進して腎機能に影響を与え、腎機能低下時にはたんぱく質の代謝産物が尿毒症物質として蓄積する。たんぱく質制限の目安として、この診療ガイドラインの編者である日本腎臓学会は「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」2)で、CKDステージ1)別のたんぱく質摂取量の基準を提示している(ステージG3a:0.8~1.0g/kg標準体重/日、G3b以降:0.6~0.8g/kg標準体重/日)。CKD患者におけるたんぱく質制限による腎保護効果は、これまで多くのランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)3-13)や、それらを統合(メタ解析)した、いくつかのシステマティック・レビュー14-20)で検討されている。CKD患者(特に糖尿病非合併例)に対するたんぱく質制限は、腎機能低下抑制に有効な可能性がある。これらのエビデンスはほとんどが適格基準が厳しいRCTで示されたものである。また、腎臓専門医ならびに管理栄養士の指導の遵守率が高い状態の研究結果でもあり、CKD診療一般にあてはめることは難しい可能性がある。特に高齢CKD患者において、たんぱく質制限による低栄養、QOL悪化、生命予後悪化などの懸念があるが、これらの可能性を明らかに示した研究結果はこれまでに認められていない。新たなエビデンスを積み上げる余地(ニッチ)はあるかたんぱく質摂取量は、腎機能障害の程度であるCKDステージ1)別に示されてはいますが、0.6g/kg標準体重/日を下限として0.8g/kg標準体重/日前後が推奨されているようです。これまで検討している架空の臨床シナリオに基づいたCQは、単施設での臨床データを用いることを想定しています(連載第1回冒頭のダイアローグ参照)。実は、この施設は非常に厳格なたんぱく質制限(低たんぱく食0.5g/kg標準体重/日)を指導することで有名であったとします。すると、このRQ(PECO)のEは以下のように、より具体的なカタチで定義することが出来ます。P:慢性腎臓病(CKD)患者E:食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の遵守C:食事療法(低たんぱく食 0.5g/kg標準体重/日)の非遵守O:腎予後エビデンスの隙間(ニッチ)を埋めるひとつの方策として、PECOの各要素のうちE/Cの変更・修正を工夫することが挙げられます。その結果、新規性のあるRQを考案することができるのです。このガイドラインの解説には、非常に厳格なたんぱく質制限の臨床的なメリットとデメリットに関する記述は見当たりません。したがって、われわれが行う臨床研究でエビデンスの隙間(ニッチ)を埋められるかもしれません。次回は、引き続き診療ガイドラインの解説を読み込んで、新たなエビデンスを積み上げる余地(ニッチ)について更に検討していきます。引用文献1)日本腎臓学会編集.エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018, 東京医学社.2)日本腎臓学会編集.慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版, 東京医学社.3)Ihle BU et al. N Engl J Med 1989;321:1773-7.4)Brouhard BH et al. Am J Med 1990;89:427-31.5)Zeller K et al. N Engl J Med 1991;324:78-84.6)Williams PS et al. Q J Med 1991;81:837-55.7)Klahr S et al. N Engl J Med 1994;330:877-84.8)Hansen HP et al. Kidney Int 2002;62:220-8.9)Pijls LT et al. Eur J Clin Nutr 2002;56:1200-7.10)Meloni C et al. J Ren Nutr 2004;14:208-13.11)Koya D et al. Diabetologia 2009;52:2037-45.12)Cianciaruso B et al. Am J Kidney Dis 2009;54:1052-61.13)Garneata L et al. J Am Soc Nephrol 2016;27:2164-76.14)Kasiske BL et al. Am J Kidney Dis 1998;31:954-61.15)Pan Y et al. Am J Clin Nutr 2008;88:660-6.16)Fouque D et al. Cochrane Database Syst Rev 2009:CD001892.17)Robertson L et al. Cochrane Database Syst Rev 2007:CD002181.18)Nezu U et al. BMJ Open 2013;3:e002934.19)Rughooputh MS et al. PLoS One 2015;10:e0145505.20)Jiang Z et al. Int Urol Nephrol 2016;48:409-18.1)福原俊一. 臨床研究の道標 第2版. 健康医療評価研究機構;2017.2)木原雅子ほか訳. 医学的研究のデザイン 第4版. メディカル・サイエンス・インターナショナル;2014.3)矢野 栄二ほか訳. ロスマンの疫学 第2版. 篠原出版新社;2013.4)中村 好一. 基礎から学ぶ楽しい疫学 第4版. 医学書院;2020.5)片岡 裕貴. 日常診療で臨床疑問に出会ったときに何をすべきかがわかる本 第1版.中外医学社;2019.

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NSCLC1次治療、ペムブロリズマブへのイピリムマブ上乗せは効果示せず/JCO

 PD-1阻害薬のニボルマブでは、CTLA-4阻害薬イピリムマブとの併用で非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療の有効性の向上を示している。同じくPD-1阻害薬であるペムブロリズマブにおいても、イピリムマブを追加することで有効性が改善するのか。PD-L1(TPS)50%以上のNSCLC集団において、ペンブロリズマブとイピリムマブの併用とペムブロリズマブ単剤を比較した第III相KEYNOTE-598試験の結果が、Journal of Clinical Oncology誌2021年1月29日号で発表された。対象:TPS≧50%の転移のあるNSCLC試験群:ペムブロリズマブ200mg/日 3週ごと̟+イピリムマブ1mg/kg 6週ごと 18サイクルまで(P+I群)対照群:ペムブロリズマブ200mg/日 3週ごと+プラセボ 6週ごと 18サイクルまで(P群)評価項目:無増悪生存期間(PFS) 主な結果は以下のとおり。・各群に284例が無作為に割付けられた・P+I群の0S中央値は21.4カ月、P群は21.9カ月であった(HR:1.08、95%CI:0.85~1.37、p=20.74)。・P+I群のPFS中央値はP+I群8.4ヵ月、P群は8.4ヵ月であった(HR:1.06、95%CI:0.86~1.30. p=0.72)。・ Grade3~5の有害事象発現はP+I群62.4%、P群50.2%であった。 ペムブロリズマブへのイピリムマブの追加は、有効性を改善せず、有害事象はペムブロリズマブ単剤より頻度が高い結果となった。

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新型コロナでマンモグラフィ2ヵ月中止、診断時の病期に影響/ESMO Open

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の影響を強く受けた北イタリアではマンモグラフィ検診が2ヵ月間中止となった。イタリア・Azienda Ospedaliero-Universitaria di ModenaのAngela Toss氏らが、検診中断後の乳がん診断時および初期治療時の病期を調査したところ、検診中断後にリンパ節転移陽性およびStage IIIの乳がんが増加していた。ESMO Open誌オンライン版2021年2月11日号に掲載。 本研究は単施設での後ろ向き研究で、2ヵ月間のマンモグラフィ検診中断後の2020年5~7月に乳がんと診断された177例(女性174例、男性3例)の臨床病理学的特徴について、定期的に検診を実施していた2019年の同時期に乳がんと診断された223例(女性221例、男性2例)と比較した。 主な結果は以下のとおり。・2ヵ月間の検診中断により、非浸潤がんでの診断は有意に減少し(2019年17.2%→2020年6.87%、p=0.0021)、リンパ節転移陽性(2019年12.5%→2020年23.7%、p=0.0034)およびStage III(2019年2.2%→2020年12.5%、p=0.0001)での診断は有意に増加した。・増殖能が高い患者群(MIB-1≧20%)では、リンパ節転移陽性は18.5%増加し(p=0.0352)、Stage IIIは11.4%増加した(p=0.045)。・増殖能が低い患者群(MIB-1<20%)では、リンパ節転移陽性は変わらなかった(p=1)が、Stage IIIは9.3%増加した(p=0.0064)。

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商用ビデオゲームによるうつ病予防の可能性

 うつ病や抑うつ症状は、多くの青年や若年成人に影響を及ぼす主な公衆衛生上の問題である。さまざまな研究が行われているにもかかわらず、若者を対象としたうつ病予防プログラムの効果に関する報告は、限定的である。また、うつ病予防プログラムをベースとした若者に対する心理療法は、潜在的に最も重要であると考えられる。メンタルヘルスに不可欠な感情的および社会的スキルを若者が実践するうえで、商用ビデオゲームは魅力的な代替方法となる可能性がある。オランダ・ラドバウド大学のMarlou Poppelaars氏らは、抑うつ症状の悪化を予防するため商用ビデオゲームの可能性について調査を行った。Frontiers in Psychology誌2021年1月12日号の報告。 対象は、抑うつ症状を有する15~20歳の244例(平均年齢:17.11±1.76歳、女性の割合:66.4%)。商用ビデオゲームJourneyのうつ病予防に対する有効性を評価するため、Journey(ソーシャルアドベンチャーゲーム、平均時間:3時間20分)群、Flower(リラックスできる1人用ゲーム:平均時間:2時間36分)群、対照(ゲームなし)群にランダムに割り付け、4週間プレーした。また、ビデオゲームを用いたうつ病予防のための潜在的なアクションメカニズムを調査した。 主な結果は以下のとおり。・介入後12ヵ月までに、若者の抑うつ症状の変化に対しJourneyをプレーすることの有用性は認められなかった。・また、Journey特有のアクションメカニズムも認められなかった。・しかし、研究期間を通じて、対象者の抑うつ症状の軽減、拒否感の低下、希望や楽観性の増加が認められた。・拒否感または沈思黙考が減少した人、希望や楽観性または気晴らしや問題解決が増加した人では、抑うつ症状の改善が最も高かった。 著者らは「効果的なうつ病予防戦略として商用ビデオゲームJourneyの有用性は示されなかったが、拒否感、希望、楽観性、沈思黙考、気晴らし、問題解決が、今後のうつ病予防のターゲットとなりうる可能性が示唆された。メンタルヘルスを促進するためのゲームに関する今後の研究では、ゲームの潜在的なアクションメカニズムが、誰にどのように効果的であるかを調査するため、慎重に検討した研究デザインが求められる」としている。

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『NAFLD/NASH診療ガイドライン2020』発刊―肝線維化の早期発見へ

 日本消化器病学会と日本肝臓学会が合同制作した『NAFLD/NASH診療ガイドライン2020』が2020年11月に発刊された。今回5年ぶりの改訂を迎えたNAFLD/NASH診療ガイドラインには、非ウイルス性肝疾患、とくに非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の増加を背景とした診療の進歩が取り入れられている。そこで今回、作成委員長を務めた徳重 克年氏(東京女子医科大学消化器病センター消化器内科 教授・講座主任)にNAFLD/NASH診療ガイドラインの改訂ポイントや活用方法を伺った。NAFLD/NASH診療ガイドライン2020、非専門医にも活用意義あり 今回のNAFLD/NASH診療ガイドライン改訂における注目ポイントは、NAFLDの進展に深く関わっている『肝線維化進展例の絞り込み』『脳・心血管系疾患リスクの絞り込み』に関するフローチャートやClinical Question(CQ)が追加された点である。 NAFLD/NASHの予後や肝硬変への病態進展に影響を及ぼす肝線維化は、診断時に肝生検を要するなど非専門医による診断が難しく取りこぼしの多い病態であった。しかし、肝線維化の有病率は日本でもNAFLDの増加に比例し、線維化ステージ3以上のNAFLDは2016年時点で66万人、2030年では99万人に達すると予測されているくらい深刻な状況である(BQ1-2:NAFLD/NASHの有病率は増加しているか?)。また、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病、高齢化が線維化進展のリスクであることから、このような患者を診察する非専門医にも「NAFLD/NASH診療ガイドラインを役立ててほしい」と徳重氏は話した。 そこで、今回のNAFLD/NASH診療ガイドライン2020より肝線維化進展例の絞り込みフローチャートを非専門医向け(1)と専門医向け(2)の2種類設けることで、それぞれの視点で線維化を評価できるようになっている。今回のフローチャート作りでは「肝線維化を拾い上げ、早期治療に介入できることで肝硬変や肝がんへの進展を抑え込む」ことを目的としているため、非専門医と専門医の評価方法を分けることで評価時の負担軽減につながる工夫もなされている。たとえば、評価時のネックになっていたエラストグラフィや肝生検を、かかりつけ医らによる1次スクリーニングではFIB-4 indexや線維化マーカー(ヒアルロン酸、IV型コラーゲン7S…)に留めている。これについて、「FIB-4 indexは血液検査の4項目(AST、ALT、血小板数、年齢)から算出されたデータを基に線維化の進展を評価する方法。肝線維化の進展を調べるのに肝生検を全例に実施するのは現実的ではないが、このスコアリングシステムを用いれば、おおよその予後をステージ区分できたり、肝生検実施の絞り込みを行ったりするのに役立つ。さらには非専門医が専門医へコンサルテーションする手立てにも有用」と同氏はこの評価基準に期待を示した。一方で、「80歳以上の高齢者やアルコール性肝疾患はスコアの整合性がとれないためFIB-4 indexの使用は控えたほうが良い」とデメリットも挙げた(CQ3-3:NAFLD/NASH患者の肝線維化進行度の評価に血液学的バイオマーカーおよびスコアリングシステムは有用か?)。NAFLD/NASH診療ガイドライン2020では心血管リスク考慮のフローチャートが追加 NAFLD/NASH診療ガイドライン2020の第5章『予後、発、follow up』のBackground Question(BQ)で述べられているように、NAFLDでは心血管イベントのリスクが増加すると多数報告されている。これを踏まえ、肝線維化の程度に応じ、肝関連疾患(肝硬変・肝がん)だけではなく心血管イベントなどを考慮したフォローが必要であることが明記、フローチャートが追加された(CQ5-1 NAFLD/NASHのfollow upは、どのように行うのが適当か?)。これについては、「心血管リスクが現段階でなかったとしても、前述のFIB-4 indexを活用して2~3年ごとに確認を行ってほしい」と説明した。SGLT2阻害薬やGLP-1アナログほか、将来に期待する薬剤多数 NASH症例は患者の約50%以上が肥満である。それを逆手にとり、現在では体重減少作用のあるSGLT2阻害薬や糖尿病治療薬GLP-1アナログを使用したNAFLDに対する治験が進行中である。SGLT2阻害薬は血液生化学検査での改善や脂肪肝の減少が見られることからNAFLD/NASH患者に対し弱い推奨(CQ4-5 SGLT2阻害薬はNAFLD/NASHに有用か?)、GLP-1アナログは血液生化学検査や肝組織検査でも有用性が示されているもののデータ不十分なため、現時点では糖尿病を有するNASH患者において、弱い推奨となっている(CQ4-6 GLP-1アナログ、DPP-4阻害薬などのインクレチン関連薬はNAFLD/NASHに有用か?)。今後、多数例での検討結果が期待される。 このほか、将来性のある薬剤として、高脂血症治療剤ペマフィブラート(商品名:パルモディア)をはじめ14品目の臨床研究が進行中である。同氏は「ペマフィブラートは国内治験のサブ解析でも肝機能改善効果が得られているので、脂質異常症を併存する患者に使用するのは有用ではないか」とコメントした。NAFLD/NASHの線維化が進行した肝がんスクリーニングに課題 NAFLD/NASHの線維化が進行すれば肝がんを発症しかねないが、その発症率の少なさや医療経済的な側面が壁となり全症例への肝がんスクリーニングはそぐわないという。それゆえ、これまで同氏が述べてきたような線維化の早期発見や線維化進展抑制のための治療が功を奏する。“沈黙の臓器”の所以ともいえる自覚症状なき肝臓の線維化。その進展食い止めの重要性を強調してきた同氏は、「ぜひ、肝線維化の理解を深めてもらいたい」と述べるとともに「より簡便な肝がんスクリーニング方法の確立を目指したい」と締めくくった。

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貧血を伴うAMIへの赤血球輸血によるMACE発生、制限的vs.非制限的/JAMA

 貧血を伴う急性心筋梗塞(AMI)患者への制限的赤血球輸血は、30日後の主要有害心血管イベント(MACE)の発生に関して、非制限的赤血球輸血に対し非劣性であるが、設定された非劣性マージンが大き過ぎて臨床的に重要な有害性を包含する可能性があることが、フランス・パリ大学のGregory Ducrocq氏らが行った「REALITY試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2021年2月9日号に掲載された。貧血は、出血の有無を問わずAMI患者で一般的にみられ、予後に影響を及ぼす。また、急性冠症候群では、中等度の貧血(ヘモグロビン値10~12g/dL)であっても、正常ヘモグロビン値と比較して心血管系の原因による死亡率が高い。ヘモグロビン値が10g/dLを下回れば輸血を要するとの考え方が一般的だが、頑健性の高いデータがないため、実臨床では輸血の実施に大きなばらつきがあるという。35施設が参加した非盲検無作為化非劣性試験 本研究は、貧血を伴うAMI患者への輸血におけるMACEの発生に関して、制限的赤血球輸血戦略の非制限的赤血球輸血戦略に対する非劣性の検証を目的とする非盲検無作為化試験であり、フランスの26施設とスペインの9施設が参加し、2016年3月~2019年9月の期間に患者登録が実施された(フランス保健省などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、ヘモグロビン値が7~10g/dLのAMI患者であり、AMIによる初回入院中に試験への登録が行われた。AMIは、ST上昇の有無は問わず、入院前48時間以内に虚血症状と心筋傷害バイオマーカーの上昇が認められた場合とされた。 被験者は、制限的赤血球輸血(ヘモグロビン値≦8g/dLとなるまで輸血を開始せず、開始後の目標値8~10g/dLで輸血)または非制限的赤血球輸血(無作為化後にヘモグロビン値≦10g/dLの全例に、目標値11g/dLで輸血)を受ける群に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、30日時点でのMACE(全死因死亡、脳卒中、再発MI、虚血による緊急血行再建の複合)の発生とした。非劣性は、主要アウトカムの片側97.5%信頼区間(CI)の上限値が1.25以内の場合とした。副次アウトカムは、主要アウトカムの個々の構成要素であった。30日MACE発生率:11.0% vs.14.0% 666例(年齢中央値77歳[IQR:69~84]、女性281例[42.2%]、糖尿病334例[50.2%])が登録され、制限的輸血群に342例、非制限的輸血群には324例が割り付けられた。制限的輸血群は122例(35.7%、合計342単位)、非制限的輸血群は323例(99.7%、合計758単位)が、少なくとも1単位の赤血球の輸血を受けた。 実際に輸血を受けた集団における30日時点でのMACE発生率は、制限的輸血群が11.0%(36/327例)、非制限的輸血群は14.0%(45/322例)であった(群間差:-3.0%、95%信頼区間[CI]:-8.4~2.4)。主要アウトカムの相対リスクは0.79(片側97.5%CI:0.00~1.19)であり、非劣性の判定基準を満たした。 全死因死亡は制限的輸血群5.6%、非制限的輸血群7.7%、再発MIはそれぞれ2.1%および3.1%、虚血による緊急血行再建は1.5%および1.9%、非致死的虚血性脳卒中はいずれも0.6%で発生した。 無作為化集団で少なくとも1件の有害事象を認めた患者の割合は、制限的輸血群11.7%(40/342例)、非制限的輸血群11.1%(36/324例)であった。急性腎障害が制限的輸血群9.7%、非制限的輸血群7.1%、急性心不全がそれぞれ3.2%および3.7%、急性肺障害/ARDSが0.3%および2.2%で発生した。 著者は、「1.25という非劣性マージンは、潜在的に、臨床的に重要な有害性を包含しており、大き過ぎる可能性がある」と指摘し、「AMI患者を対象とし、同様のデザインで、より大規模な試験(MINT試験)が進行中であり、この試験は臨床的優越性の検出力を持つ」としている。

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