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ベルイシグアトが慢性心不全治療薬として承認/バイエル薬品

 バイエル薬品は2021年6月23日、慢性心不全治療薬ベルイシグアト(商品名:ベリキューボ錠)の製造販売について、日本国内における承認を取得したと発表した。2020年3月、NEJM誌に発表された第III相臨床試験VICTORIAで得られた結果に基づき、厚生労働省が承認した。ベルイシグアトは心不全の増悪を経験した患者のさらなる悪化リスクを減らす ベルイシグアトは、慢性心不全の適応で初めて承認されたsGC刺激剤。入院や利尿薬の静脈内投与が行われるなど、最近心不全の増悪を経験した患者のさらなる悪化リスクを減らすために研究された。2021年1月には、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得。EUでは欧州医薬品庁ヒト用医薬品委員会(CHMP)に承認が勧告され、中国をはじめ世界各国で承認申請中。 ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門のベルイシグアト担当責任者は、「日本における心不全患者数は約120万人にのぼり、2035年にはピークの132万人に達すると予測されている。患者本人およびその家族に多大な影響を及ぼしており、日本での承認により、この疾患で苦しむ人々の生活の向上に貢献できることを誇りに思う」とコメントしている。<ベルイシグアトの製品概要>・販売名:ベリキューボ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg・一般名:ベルイシグアト(Vericiguat)・効能・効果:慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)・用法・用量:通常、成人にはベルイシグアトとして、1回2.5mgを1日1回食後経口投与から開始し、2週間間隔で1回投与量を5mg及び10mgに段階的に増量する。なお、血圧等患者の状態に応じて適宜減量する。・製造販売承認日:2021年6月23日・製造販売元:バイエル薬品株式会社

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急性肝性ポルフィリン症治療薬ギボシランが承認/Alnylam Japan

 Alnylam Japanは、6月23日に急性肝性ポルフィリン症(AHP)の治療薬としてギボシラン(商品名:ギブラーリ皮下注189mg)が厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表した。ギボシランは、国内における2成分目のRNA干渉(RNAi)治療薬であり、同社が国内で上市・販売する2番目の製品となる。なお、米国、EU、ブラジル、カナダ、スイスではすでに承認されている。発売日、薬価は未定。確定診断まで時間を要するAHP AHPは、遺伝性の超希少疾患群であり、消耗性で生命を脅かしうる急性発作や患者さんによっては日常生活の機能(ADL)や生活の質(QOL)に悪影響を及ぼす持続症状を特徴とする。本症は、急性間欠性ポルフィリン症(AIP)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)、異型ポルフィリン症(VP)、およびALA脱水酵素欠損性ポルフィリン症(ADP)の4つの病型があり、いずれの病型も遺伝子変異により肝臓内のヘム産生に必要な特定の酵素が欠如することで生じ、これにより体内のポルフィリンが毒性量まで蓄積する。AHPは労働年齢や出産年齢の女性に偏って発生し、症状はさまざまとなる。最もよくみられる症状は、重症かつ原因不明の腹痛であり、随伴症状として、四肢痛、背部痛、胸痛、悪心、嘔吐、錯乱、不安、痙攣、四肢脱力、便秘、下痢、暗色尿または赤色尿もみられる。また、AHPはその徴候および症状が非特異的であるため、婦人科疾患、ウイルス性胃腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、虫垂炎などのより一般的な他の疾患と診断され、AHPと正確に診断されない原因となり、その結果、確定診断までの期間が15年に及ぶこともある。その他、本症では発作中に麻痺や呼吸停止を引き起こす可能性や長期罹患に伴う肝細胞がんなどのリスクもあることから、生命を脅かす危険もある疾患である。ギボシランの特徴 ギボシランは、AHPを治療するためのアミノレブリン酸合成酵素1(ALAS1)を標的とするRNAi治療薬。本治療薬は、アミノレブリン酸合成酵素1(ALAS1)メッセンジャーRNA(mRNA)を特異的に低下させることで、AHPの急性発作やその他の症状の発現に関連する神経毒性を減少させる。ENVISION(第III相)試験において、ギボシランはプラセボと比較し、入院、緊急訪問診療、自宅における静脈内ヘミン投与を要するポルフィリン症の発作率を有意に低下させることが示された。 用法・用量は、通常、12歳以上の患者には1ヵ月に1回ギボシランとして2.5mg/kgを皮下投与する。ポルフィリン症発作の年間複合発生率を74%低下 ENVISION試験は、日本を含む世界18ヵ国36施設から94例のAHP患者さんが登録された本症では過去最大の介入試験。登録された94例の患者さんのうち、3例は日本人。患者さんはギボシラン群またはプラセボ群に1:1で無作為割付けされた後、ギボシラン群には毎月ギボシラン2.5mg/kgが皮下投与され、二重盲検期間の投与完了後、適格例(99%)の患者さんはすべてENVISION試験のオープンラベル延長試験に組み入れられ、ギボシランの投与が継続された。 そして、試験結果は次の通りとなった。・プラセボ群と比較し、AIP患者さんにおけるポルフィリン症発作の年間複合発生率を74%低下・6ヵ月の治療期間中に発作のなかった患者さんの割合は、プラセボ群では16.3%だったの対し、ギボシランを投与した患者さんでは50%・AIP患者さんの報告に基づく1日当たりの最大の痛みは、プラセボ群と比べてギボシラン群で有意に改善した(p

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降圧薬のイベント防止効果は1次および2次予防や心血管疾患既往の有無で異なるか?(解説:江口和男氏)-1405

 血圧は下げれば下げるほど将来の脳心血管発症リスクが減少する。わが国およびその他の国際的な高血圧ガイドラインでは、降圧薬による降圧治療の適応は、生活習慣修正により十分な降圧効果が得られない場合や、血圧レベルが高くない場合でもリスク表により高リスクと判断される場合である。一般的に降圧薬開始の基準となるのは、外来血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上の場合であり、それ以下の血圧の場合、降圧薬治療開始の適応とはならない。高血圧のリスク表(JSH2019ガイドライン表3-2)については、糖尿病や尿蛋白の有無、心血管疾患の既往のありなしで血圧目標が異なり、日常診療で応用するにはやや複雑である。たとえば、心血管疾患既往があれば、高値血圧(130~139/80~89mmHg)の範囲であっても、リスク第三層「高リスク」に分類される。しかし、心血管疾患既往の有無やベースラインの血圧レベルで、どの程度イベント抑制効果が異なるかということについて結論が出ていなかった。 本メタ解析では48のRCTに登録された34万4,716例という膨大な数の対象者を個別解析した。ランダム化前の血圧は、心血管疾患既往者(15万7,728例)では146/84mmHg、心血管疾患既往なし(18万6,988例)では157/89mmHgであった。ベースラインのSBP<130mmHgの者は、心血管疾患既往者では3万1,239例(19.8%)、心血管疾患既往なしでは1万4,928例(8.0%)であった。中央値4.15年の観察期間で12.3%が少なくとも1回の心血管イベントを発症し、心血管疾患既往なしでは、MACEの発症率は対照群で31.9/1,000人・年、治療群で25.9人・年であった。心血管疾患既往者においては、MACEの発症率は対照群で39.7/1,000人・年、治療群で36.0人・年であった。SBP 5mmHg低下当たりのMACE発症のハザード比は、心血管疾患既往なしで0.91(95%CI:0.89~0.94)、心血管疾患既往者で0.89(95%CI:0.86~0.92)と、ともに有意であった。層別解析では心血管疾患既往の有無やベースライン血圧カテゴリー別で明らかな差は認められなかった。 本メタ解析ではSBP 5mmHg当たりの低下はMACEを約10%減少させたが、それは心血管疾患既往の有無や正常もしくは正常高値の血圧値であっても同様であった。では、本メタ解析の対象者のリスク層別化はいかがであろうか? 一般に高リスクとされる集団からイベントが発症しやすいが、実臨床では必ずしも高リスクに分類された人のみから心血管イベントが発症するとは限らず、低リスクと考えられていた人からもイベントが発症することがある。したがって、リスクの高い人だけを治療するのではなく、低リスクであっても降圧治療により下げておくメリットがある。本メタ解析の結果はTROPHY試験(Julius S, et al. N Engl J Med. 2006;354:1685-97.)―すなわち、正常高値血圧の血圧レベルでも、2年間のARB治療によって66.3%が高血圧への進展を免れうる―に通ずるところがあり、興味深い。 本メタ解析の著者らの主張としては、降圧薬治療により一定の降圧効果が得られれば、MACEの1次および2次予防効果が得られ、それは現在降圧薬治療の適応とはならない低い血圧値であっても有効であるというものである。JSH2019によれば、「正常高値血圧および高値血圧レベル、かつ低・中等リスクであれば3ヵ月間の生活習慣の是正/非薬物療法を行い、高値血圧レベルでは高リスク者であってもおおむね1ヵ月は生活習慣の是正を行い、改善が見られなければさらなる非薬物療法の強化に加え、降圧薬療法の開始を検討する」とされている。しかし、そこまで待ってよいのであろうか? 低リスクだと本当に何も起こさないのであろうか? 本メタ解析の結果を考慮すると、血圧レベルに関係なく、心血管疾患既往の有無にかかわらず、まず降圧薬による治療を開始し、同時に生活習慣の修正を試みながら可能であれば徐々に薬を減量、中止していくというアプローチのほうがいいのではないだろうか?(実際にそのようにしている臨床医も多いと思われる)

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コロナ禍での肺診療を考える【肺がんインタビュー】 第65回

第65回 コロナ禍での肺診療を考える出演<ファシリテーター>(聖マリアンナ医科大学 古屋 直樹氏)<パネリスト>(日本鋼管病院 田中 希宇人氏)(仙台厚生病院 中村 敦氏)(Kanormas Cancer Institute 長阪 美沙子氏)(神奈川県立がんセンター 村上 修司氏)新型コロナ禍におけるがん診療には十分なエビデンスはないが、臨床現場では原則に基づき施設ごとに実践的に対応している。しかし、「自施設での対応は適切か」「ほかの施設ではどうやっているのか」といった懸念や疑問があると聞く。そのような疑問や経験を共有するため、肺がん診療におけるCOVID-19対応にテーマを絞り、4名のパネリストが意見交換。その内容をハイライトで提供する。

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18歳と81歳の違い【Dr. 中島の 新・徒然草】(380)

三百八十の段 18歳と81歳の違い「中島先生、40代なんて言われていましたね」外来診察室の会話が隣に筒抜けだったようです。同僚にそう声を掛けられました。実は、通院しておられる70歳代の患者さんに年齢を尋ねられたのです。患者「先生に手術してもらって随分になるわねえ」中島「もう15年ですよ」患者「15年前とちっとも変わらへんわ、中島先生は」中島「もう定年が見えてきていますけどね」患者「ええっ! 先生いったい幾つなん?」心底驚いておられました。中島「もう還暦を過ぎてますよ」娘さん「私と同じくらいかと思ってた。47やけど!」同伴の娘さんもびっくり仰天。中島「そうすると、娘さんとは一回り以上離れていますね」娘さん「でも中島先生、お肌がツルツルやん! 皺もないし」中島「皺をなくそうと思ったら、まずタバコをやめましょうよ」患者「あかん、やめられへん。最近になって余計増えてもた」皆さんもそうだと思いますが、外来患者さんとは年齢の話題が結構多くなります。80歳を超えても現役バリバリで働いている人、70歳にならないうちに老け込む人。皆、それぞれです。ただ、外見と中身が違っていることもよくあるので騙されてはなりません。元気そうに見えても、血圧や血糖が高いとか、画像で動脈硬化があるとか、ですね。なので、個々の患者さんに応じたアドバイスを心掛けています。とはいえ最後の締めくくりは「人間、死ぬまで生きる。明るく楽しく前向きに過ごしましょう!」と全員に言っているので、同じといえば同じかもしれません。さて、年齢の話題といえば「18歳と81歳の違い」というのが面白いですね。元々は2015年10月29日に放送されたテレビ番組「笑点」でのお題らしいです。あまりにも良くできているので、その後も繰り返し語られています。一部を紹介すると、恋に溺れるのが18歳、風呂で溺れるのが81歳道路で暴走するのが18歳、道路を逆走するのが81歳偏差値が気になるのが18歳、血糖値が気になるのが81歳など、とてもよくできています。その後も、第2弾だとか人々が勝手に作ったものだとかが披露されました。まだ何も知らないのが18歳、もう何も覚えていないのが81歳歯を磨くのが18歳、歯を洗うのが81歳孤独を好むのが18歳、毎日孤独なのが81歳などなど。で、これらに触発されて私もつくってみました。いつまでも寝ていたいのが18歳、いつまでも眠れないのが81歳18歳の頃は無限に寝ていたかったし、夜に眠れないなどということは皆無でした。一方、外来での高齢患者さんの最も多い訴えが「眠れない」なんですよね。午前3時まで夜更かしするのが18歳、午前3時に目が覚めるのが81歳受験勉強していた時は、午前3時頃まで起きていたこともありました。今はまだ81歳になっていないものの、目覚ましなしで勝手に目が覚めます。3時とか4時とか。格好つけてサングラスをかけるのが18歳、まぶしくてサングラスをかけるのが81歳車を運転する時に偏光サングラスをかけると、確かに楽です。母親に説教されるのが18歳、娘に説教されるのが81歳一生誰かに説教されているわけですね。通学で忙しいのが18歳、通院で忙しいのが81歳暇そうに見える高齢者ですが、実は通院や通所で結構忙しいみたいです。毎日のように高齢の患者さんに接していると、妙にリアルです!かく言う私も、そろそろネタを提供する年齢に差し掛かってきました。加齢による失敗があったら、それもまたギャグにするといいですね。ということで最後に1句年とれど ギャグでは負けぬ 若者に

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第63回 政府の「骨太の方針」に日本病院会が現場の視点で提言

政府の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」では、医療機能の集約や、初診からのオンライン診療の恒久化などの方針が打ち出された。“官僚による机上の作文”の感のある内容だが、これに対し、日本病院会(日病)は現場の視点に基づく提言を行った。緊急時に「通常医療から転用できる病床」を確保「骨太の方針」では「感染症を機に進める新たな仕組みの構築」の中で、「平時と緊急時で医療提供体制を迅速かつ柔軟に切り替える仕組みの構築」が不可欠とし、▽症状に応じた感染症患者の受入医療機関の選定▽感染症対応とそれ以外の医療の地域における役割分担の明確化▽医療専門職人材の確保・集約―などを求めている。これに対し、日病の相澤 孝夫会長は6月16日の記者会見で、▽緊急時対応の病床を日頃から確保しておくことは得策でなく、緊急時に転用できる病床を予め確保しておく▽非常時の医療提供体制を構築する地理的範囲を明確にし、感染症の拡大ステージごと、患者の重症度ごとに、非常時対応の必要病床数と病院を地域ごとに明らかにする▽すべての病院スタッフが感染症などの緊急時に対応できるように普段からの教育が必要―と述べた。感染症患者を受け入れる医療機関に対する支援について、「骨太の方針」では「診療報酬や補助金・交付金による今後の対応の在り方を検討し、引き続き実施する」としている。これに関し、相澤会長は「従来、感染症診療に対する診療報酬は低額に抑えられてきた。紛れもない急性期疾患に対する診療報酬上の適正な評価を行うべき」と指摘。また、感染症診療のための空床確保と通常医療の制限による減収については、「空床確保は空床確保料として当然補助金で対応すべきだと思う。通常医療の制限による減収は測ることが難しいため、緊急時支援金として交付することで対応すべき」と述べた。グランドデザインを描いた上で診療報酬を見直す「骨太の方針」の「更なる包括払いのあり方も含めた医療提供体制の改革につながる診療報酬の見直し」に対しては、「部分最適に陥りやすく医療の質確保にも疑念がある」と牽制。「診療報酬による医療提供体制改革という方法論は、これまでも数々の混乱を招いてきたので、やるべきではない。まず、医療提供体制改革のグランドデザインをしっかりと描いた上で、それを支援する形での診療報酬の見直しを進めていくべき」と提案した。また、「病院の連携強化や機能強化・集約化などを通じた将来の医療需要に沿った病床機能の分化・連携」や「かかりつけ医機能の強化・普及等による医療機関の機能分化・連携の推進」「外来機能の明確化・分化の推進」を掲げることに対し、相澤会長は「病院の連携は機能分化が明確になって、初めて機能するもの。したがって、まずは病院の機能を明確にすることが必要で、それに沿って連携強化が行われるべき。その結果として、集約が必要であれば集約化すべきだが、一方で分散化をしておいたほうがよい病院機能もあるということが、このコロナ禍で明らかになった」と述べ、「集約化」と「分散化」のバランスを取ることの必要性を示した。かかりつけ医機能の強化・普及については、「定義や機能が未だ明確になっていないことや、多くの人々の一致した認識になっていない。まず、その点を明確にすべき。また国民には、主治医とかかりつけ医の違いが明確になっていない状況で、かかりつけ医機能の強化や普及を進めることは混乱を招く」と指摘。外来機能については、「従来蓄積してきたデータの公開と十分な分析に基づいて、機能分化の方針を決定すべき。これなくして機能の分化・連携の推進を進めることは、かえって混乱を招くことになる」と述べた。オンライン診療をDXの流れで推進オンライン診療について、「骨太の方針」では「幅広く適正に活用するため、初診からの実施は原則かかりつけ医によるとしつつ、事前に患者の状態が把握できる場合にも認める方向で具体案を検討」するとしている。これに対し相澤会長は、「時代のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の流れを含めて推進すべき。医療の安全を損なわないよう十分に配慮しながら、ポジティブリストを作成して推進する工夫が必要」と述べた。また、「団塊の世代の後期高齢者入りを見据えた基盤強化・全世代型社会保障改革」にも言及。現在の医療提供体制改革の主眼は「地域医療構想の実現」で、「地域医療構想は入院医療費をコントロールするため、病床機能ごとの病床数の上限を定めたものだと思う」と相澤会長。その上で、「病床機能報告を積み上げたものが、必ずしも病院機能を示すものではない。病床機能報告を基に、機能ごとの病床数の調整や、病院機能分化の促進を図ろうとしても、議論は噛み合わない。各病院が地域で果たしている病院機能を明確にすれば、準備すべき病床と機能は決まってくる」と提案した。現在の改革方針が、現実に求められる医療提供機能とかけ離れ、かえって地域医療の混乱を招く“改悪”にならないように、病院界は今後も是々非々で情報発信をしていくことが必要だろう。また政府側にも、そうした現場の声に耳を傾ける柔軟さを求めたい。

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認知症患者におけるAChEI治療と抗ムスカリン薬処方カスケード

 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)による治療では、過活動膀胱(OAB)の治療のために抗ムスカリン薬による治療を開始しなければならないリスクが増加することが知られている。米国・ヒューストン大学のPrajakta P. Masurkar氏らは、認知症高齢者におけるAChEI治療と抗ムスカリン薬処方カスケードとの関連を調査した。Drugs & Aging誌オンライン版2021年5月24日号の報告。 対象は、AChEI(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)治療を行った65歳以上の認知症高齢者。2005~18年の米国TriNetXレセプトデータベースを用いて、レトロスペクティブコホートを実施した。2006年1月~2018年6月に各AChEIを使用開始した患者を確認した(ウォッシュアウト期間:1年間)。AChEI使用開始前1年に抗ムスカリン薬の使用またはOAB診断を受けた患者は除外した。主要アウトカムは、AChEI使用開始6ヵ月以内の抗ムスカリン薬の使用とした。AChEI治療と抗ムスカリン薬処方カスケードとの関連の評価には、いくつかの共変量でコントロールした後、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、4万7,059例。・薬剤別のAChEI使用率は、ドネペジル83.1%、リバスチグミン12.3%、ガランタミン4.6%であった。・抗ムスカリン薬の使用またはOAB診断を受けた患者は、全体で8.16%であった。・AChEI使用開始6ヵ月以内に抗ムスカリン薬を使用した患者は、1,725例(3.7%)であった。薬剤別では、ドネペジル3.9%、リバスチグミン2.6%、ガランタミン2.9%であった。・Cox比例ハザード分析では、ドネペジル使用患者は、リバスチグミン使用患者と比較し、抗ムスカリン薬使用リスクが高かった(調整ハザード比:1.55、95%CI:1.31~1.83)。・調査結果は、感度分析において一貫していた。 著者らは「ドネペジルは、リバスチグミンと比較し、抗ムスカリンカスケードを起こすリスクが高いことが示唆された。認知症における抗ムスカリンカスケードの潜在的な影響を明らかにするためには、今後の研究が必要とされる」としている。

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多剤併用の高齢者、他の薬剤継続もスタチン中止で心血管リスク増

 高齢者の多剤併用(ポリピル)は主要な健康問題に発展するため、近年問題になっている。処方薬を中止すれば薬の使用を減らすことができる一方、臨床転帰への影響は不確かなままである。そこで、イタリア・University of Milano-BicoccaのFederico Rea氏らがスタチン中止によるリスク増大の影響について調査を行った。その結果、多剤併用療法を受けている高齢者において、ほかの薬物療法を維持しつつもスタチンを中止すると、致命的および非致命的な心血管疾患発生の長期リスクの増加と関連していたことが示唆された。JAMA Network Open誌2021年6月14日号掲載の報告。 研究者らはイタリア・ロンバルディア地域在住で多剤併用を受けている65歳以上を対象に、他の薬剤を維持しながらスタチンを中止することの臨床的意義を評価することを目的として、スタチン中止に関連する致命的および非致命的転帰のハザード比(HR)と95%信頼区間[CI]を推定した。対象者は2013年10月~2015年1月31日の期間(2018年6月30日までフォローアップ)に、スタチン、降圧薬、糖尿病治療薬、および抗血小板薬を継続服用していた患者。データはロンバルディ地域の医療利用データベースから収集し、2020年3~11月に分析した。また、スタチン中止後最初の6ヵ月間にほかの治療法を維持した患者とスタチンも他剤も中止しなかった患者について、傾向スコアによるマッチングを行った。 主な結果は以下のとおり。・全対象者は多剤併用の高齢者2万9,047例だった(平均年齢±SD:76.5±6.5歳、男性:1万8,257例[62.9%])。また、5人に1人が虚血性心疾患(5,735例[19.7%]を、12人に1人が脳血管疾患(2,280例[7.9%])を併存しており、そのほかにも心不全(2,299例[7.9%])や呼吸器疾患(2,354例[8.1%])があった。・全例のうちスタチンを中止するも他剤を継続したのは5,819例(平均年齢±SD:76.5±6.4歳、男性:2,405例[60.0%])で、傾向スコアでマッチングさせ4,010例が評価対象となった。 ・スタチン中止群の患者はすべて維持した群と比較して入院リスクが高く、心不全ではHR:1.24(95%CI:1.07~1.43)、心血管疾患の発生はHR:1.14(同:1.03~1.26)、あらゆる原因による死亡ではHR:1.15(同:1.02~1.30 )だった。・年齢や性別、臨床プロファイルなどの層別分析によると、スタチン中止の効果が各カテゴリー間で有意に不均一であるという証拠は示されなかった。・negative exposure analysisによれば、プロトンポンプ阻害薬の中止が死亡率に影響を及ぼしたという証拠は得られなかった(HR:1.08、同:0.95~1.22)。

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インターネット配信によるアトピー性皮膚炎の認知行動療法

 インターネットを利用した認知行動療法(CBT)は、アトピー性皮膚炎の症状を改善する効果がみられ、治療者が費やす時間や手間などは少なくて済むことが示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のErik Hedman-Lagerlof氏らが行った無作為化試験の結果、明らかになった。アトピー性皮膚炎の皮膚症状は共通しており、激しいかゆみと慢性炎症による衰弱した皮膚の状態で特徴付けられ、アクセシビリティの高い行動療法が必要とされていた。結果を踏まえて著者は、「インターネットを利用したCBTは、共通した皮膚症状を有する患者に対して、効果的な補助行動療法へのアクセスを潜在的に増やすものである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年5月19日号掲載の報告。 研究グループは、成人アトピー性皮膚炎患者に対するインターネットを利用した拡張性の高いCBTの有効性を調べるため、スウェーデンのストックホルムにある医科大学で無作為化試験を実施した。 スウェーデン全国から102例の成人アトピー性皮膚炎患者を集め、1対1の割合で無作為に2群に割り付け、一方には12週間にわたる治療者ガイド下のインターネットCBTを提供し(51例)、もう一方には標準ケアについて示した説明書を与えた(対照群51例)。介入は2017年3月29日~2018年2月16日に行われた。最初の被験者がスクリーニングデータを提供したのは2016年11月27日、最後の1年フォローアップの評価が行われたのは2019年6月28日であった。 主要アウトカムは、Patient-Oriented Eczema Measureで測定したアトピー性皮膚炎の症状軽減の群間平均差で、12週の治療期間中のintention to treatをモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・無作為化を受けた102例は、平均年齢37(SD 11)歳、女性が83例(81%)であった。・主要解析の結果、インターネットCBTを受けた患者は対照群と比較して、Patient-Oriented Eczema Measureで測定したアトピー性皮膚炎症状の週当たりの軽減平均値が有意に大きく(B=0.32、95%信頼区間[CI]:0.14~0.49、p<0.001)、治療後の調整後効果量は中等量~大量であった(d=0.75、95%CI:0.32~1.16)。・副次解析において、インターネットCBTは、かゆみの激しさ、知覚ストレス、睡眠障害、うつ病も、有意に大幅に改善することが示唆された。・それらの恩恵は、フォローアップ12ヵ月時点でも維持されていた。・治療満足度は高く、また、治療者がインターネットCBT提供に要したのは、患者1人当たり平均39.7(SD 34.7)分であった。

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TN乳がんの術前化学療法、デュルバルマブ併用でOS改善(GeparNUEVO)/ASCO2021

 トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対するデュルバルマブ+化学療法の術前治療の予後に関する有望な結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、ドイツ・German Breast Group(GBG)のSibylle Loibl氏から報告された。 本試験(GeparNUEVO試験)は、ドイツの臨床試験グループ(GBGとAGO-B)により実施された多施設共同のプラセボ対照第II相無作為化比較試験である。すでに2019年に、その主要評価項目である病理学的奏効率(pCR率)については報告されており、今回はその生存期間に関する追加報告である。・対象:腫瘍径2cm以上の未治療のTNBC(閉経状況、リンパ節転移状況は問わず)・試験群:デュルバルマブ1,500mg 4週ごと+nab-パクリタキセル125mg/m2/週 12週→針生検→デュルバルマブ1,500mg 4週ごと+エピルビシン・シクロホスファミド(EC)2週ごと8週→手術(Durva群:88例)・対照群:上記投与スケジュールと同様にデュルバルマブのプラセボを投与(化学療法は実薬投与)(Pla群:86例)・評価項目:[主要評価項目]pCR率(完全に残存腫瘍のないypT0 ypN0での割合)[副次評価項目]無浸潤疾患生存期間(iDFS)、遠隔無再発生存期間(DDFS)、全生存期間(OS)、安全性、バイオマーカー検索など 主な結果は以下のとおり。・患者背景は、年齢中央値49.5歳、N+が約30%、核異型度3が約80%、デュルバルマブやプラセボの単剤投与歴ありが67%あった。・追跡期間中央値43.7ヵ月時点での3年iDFS率は、Durva群85.6%、Pla群77.2%、ハザード比(HR)は0.48(95%信頼区間[CI]:0.24~0.97)、p=0.0398、3年OS率は、Durva群95.2%、Pla群83.5%、HRは0.24(95%CI:0.08~0.72)、p=0.0108と、Durva群で有意に良好であった。・各群においてpCRが得られた症例と、得られなかった症例のOSを3年OS率でみると、Pla群ではnon-pCR例78.8%、pCR例88.9%、Durva群ではnon-pCR例92.0%、pCR例100%と、いずれの群でもpCR獲得症例で予後が良好であった(HR:0.27、p=0.012)。・これはiDFSでもDDFSでも同様の結果であった。 演者のLoibl氏は「TNBCへの術前化学療法へのデュルバルマブの併用は、DFS、OS共に有意に延長することが判明した。しかし、免疫チェックポイント阻害薬(CPI)によるpCR獲得例と長期予後との関連性や、CPIを用いた術後療法についてはさらなる検討が必要である」と述べた。

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シスプラチン不適の尿路上皮がんに対するペムブロリズマブの長期追跡結果(KEYNOTE-052)/ASCO2021

 シスプラチン不適の進行性尿路上皮がん(mUC)に対する1次治療としてのペムブロリズマブの単剤投与の長期追跡結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・シカゴ大学のP.H.O’Donnell氏から報告された。 本試験(KEYNOTE-052)は国際共同第II相試験である。主要評価項目である全奏効率(ORR)については2017年に報告されているが、今回は生存期間も含めた長期追跡の報告となる。・対象:シスプラチン投与に不適な未治療のmUC症例370例(PS0~2)・介入:ペムブロリズマブ200mg/回を3週間ごと投与・評価項目:[主要評価項目]独立評価委員によるORR[副次評価項目]独立評価委員による無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DoR)、全生存期間(OS)、安全性 主な結果は以下のとおり。・患者の年齢中央値は74歳、高PD-L1群は30%、PS2は42%、内臓転移あり85%であった。・2年間の薬剤治療を完遂した症例は11.9%であった(中止理由の59.5%は病勢進行)。・追跡期間中央値56.3ヵ月時点でのORRは28.9%(CR9.5%)であった。・PD-L1レベルによるORRは、高PD-L1群では47.3%(CR20.9%、PR26.4%)、低PD-L1群では20.7%(CR4.0%、PR16.7%)であった。・ITT集団でのOS中央値は11.3ヵ月、2年OS率は31.5%、4年OS率は10%であった。・OSをPD-L1レベルでみると、高PD-L1群の中央値は18.5ヵ月で、2年OS率46.9%、4年OS率31.9%であり、低PD-L1群ではそれぞれ、9.7ヵ月、2年24.3%、4年12.9%であった。・DoR中央値は33.4ヵ月であり、3年時点で奏効を保っている症例は44.8%であった。高PD-L1群の中央値は未到達、低PD-L1群では21.2ヵ月であった。・安全性プロファイルは、他の試験と同様であり新たな兆候はなかった。

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コロナワクチンで注目される有害事象、ワクチンなしでの発生率は?/BMJ

 新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン関連の、とくに注目される15種の有害事象(AESI)のバックグラウンド発生率を8ヵ国のデータベースを基に調べたところ、年齢や性別によりばらつきがあることが、英国・オックスフォード大学のXintong Li氏らによる検討で明らかにされた。データベース間でも差が認められたという。ワクチン有害事象のバックグラウンド率は、ワクチン接種者の間で観察された割合のベースラインコンパレータとして機能することで、ワクチンの安全性を監視するうえで歴史的に重要な役割を果たしているが、研究結果を踏まえて著者は、「バックグラウンド率をサーベイランス目的で用いる場合は、同一のデータベースを使い比較する必要性が示唆された。事前に年齢や性別による差を考慮し、階層化や標準化が必要だ」と述べている。BMJ誌2021年6月14日号掲載の報告。脳卒中や心筋梗塞、肺塞栓症など15のAESI発生率を解析 研究グループは、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、オランダ、スペイン、英国、米国の8ヵ国の電子健康記録と医療費支払いデータを基に、COVID-19ワクチン関連の15のAESIに関するバックグラウンド発生率を定量化した。事前に規定した15のAESIは、非出血性・出血性脳卒中、急性心筋梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓症、アナフィラキシー、ベル麻痺、心筋炎/心膜炎、ナルコレプシー、虫垂炎、免疫性血小板減少症、播種性血管内凝固症候群、脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群、横断性脊髄炎だった。 AESI発生率は、年齢、性別、データベースにより層別化。発生率はランダム効果メタ解析を用いて別のデータベースとプール化し、国際医学団体協議会(Council for International Organizations of Medical Sciences:CIOMS)による頻度カテゴリーに従って分類した。データベースや年齢、性別によりAESI発生率に差 13のデータベースを基に、1億2,666万1,070人について2017年1月1日~2019年12月31日の間に365日以上の観察を行った(観察日は各年の1月1日)。 AESIバックグラウンド発生率は、データベースにより大きなばらつきがあった。たとえば、深部静脈血栓症の65~74歳女性の発生率は、英国CPRD GOLDデータベースでは387件(95%信頼区間[CI]:370~404)/10万人年だったが、米国IBM MarketScan Multi-State Medicaidデータでは1,443件(1,416~1,470)/10万人年だった。 AESI発生率は、年齢上昇に伴い増加するものもあった。具体的には、米国Optum電子健康記録データでは、男性の心筋梗塞発生率は、18~34歳では28件(95%CI:27~29)/10万人年だったが、85歳超では1,400件(1,374~1,427)/10万人年だった。 一方で、若年層に多くみられるAESIもあった。同健康記録データでは、男性のアナフィラキシー発生率は、6~17歳では78件(95%CI:75~80)/10万人年だったが、85歳超では8件(6~10)/10万人年だった。 メタ解析によるAESI発生率の推定値は、年齢および性別で分類された。

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中等~重症片頭痛へのeptinezumab、投与後4時間で症状消失/JAMA

 中等度~重度片頭痛の発症後1~6時間でのeptinezumab静脈投与は、プラセボと比較して頭痛消失までの時間を大幅に短縮したことが、米国・Palm Beach Headache CenterのPaul K. Winner氏らが、480例を対象に行った第III相無作為化試験の結果、示された。同消失までの時間中央値は、プラセボ群が9時間に対し、eptinezumab群ではその半分以下の4時間だった。吐き気や羞明など最も気になる症状の消失までの時間も、eptinezumab群で有意に短縮したという。eptinezumab静脈投与は、成人の片頭痛への予防投与が同国で承認されており、投与後1日目の予防効果が確立されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「発作中への投与の可能性および代替治療との比較が残された課題である」と述べている。JAMA誌2021年6月15日号掲載の報告。静脈投与開始2時間・4時間後の症状消失の割合をプラセボと比較 研究グループは片頭痛発生早期の段階におけるeptinezumab静脈投与の有効性と有害事象を評価する、第III相国際多施設共同並行群間二重盲検無作為化プラセボ対照試験を実施した。2019年11月4日~2020年7月8日にかけて、米国とジョージアの47の医療機関を通じて、片頭痛歴が1年超で、直近3ヵ月に片頭痛症状が4~15日/月認められた18~75歳を被験者として集めた。 被験者を2群に分け、一方にはeptinezumabを(100mg、238例)、もう一方にはプラセボを(242例)、中等度~重度片頭痛の発症後1~6時間に、それぞれ静脈内投与した。 有効性に関する主要エンドポイントは2つで、頭痛消失までの時間と、吐き気や羞明、雑音恐怖症といった最も気になる症状の消失までの時間だった。主な副次エンドポイントは、静脈投与開始2時間後の頭痛や最も気になる症状の消失、同4時間後の同症状の消失、24時間以内の救急的な治療薬の服用とした。最も気になる症状消失、プラセボ群3時間に対しeptinezumab群2時間 被験者480例(平均年齢44歳、女性84%)のうち、476例が試験を完了した。 頭痛消失までの経過時間中央値は、プラセボ群が9時間に対し、eptinezumab群は4時間と統計学的に有意に短縮した(ハザード比[HR]:1.54、p<0.001)。最も気になる症状の消失までの経過時間中央値も、それぞれ3時間と2時間で、eptinezumab群の統計学的に有意な短縮が認められた(HR:1.75、p<0.001)。 静脈投与開始2時間後に頭痛消失が認められたのは、プラセボ群12.0%、eptinezumab群23.5%(群間差:11.6%[95%信頼区間[CI]:4.78~18.31]、オッズ比[OR]:2.27[95%CI:1.39~3.72]、p<0.001)、最も気になる症状が消失したのは、それぞれ35.8%と55.5%(19.6%[10.87~28.39]、2.25[1.55~3.25]、p<0.001)で、いずれもeptinezumab群で有意に高率だった。これらの結果の有意差は、静脈投与開始4時間後でも継続して認められた。 24時間以内の救急的な治療薬の服用率も、プラセボ群59.9%に対し、eptinezumab群では31.5%と大幅に低かった(群間差:-28.4%[95%CI:-36.95~-19.86]、OR:0.31[95%CI:0.21~0.45]、p<0.001)。 治療関連有害事象は、プラセボ群10.3%、eptinezumab群10.9%で発生し、過敏症はそれぞれ0%、2.1%だった。救急治療を要した重篤な有害事象の発生はなかった。

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Ph陽性ALLへのポナチニブ・ブリナツモマブ併用療法は有望/ASCO2021

 新規診断または再発/難治性のフィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)に対し、BCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)ポナチニブ+二重特異性T細胞誘導抗体ブリナツモマブ併用の有効性と安全性を評価した第II相単群試験の結果を、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのNicholas J. Short氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。忍容性は良好で、ほとんどの患者で化学療法および自家造血幹細胞移植(AHSCT)を必要とせず、とくに初発患者に有望な治療であることを報告した。 初発Ph陽性ALLにおいて標準療法とされる化学療法+第1・第2世代TKIの5年全生存率(OS)は30~50%であり、T315I変異例では最大75%で再発を認める。一方で、ポナチニブおよびブリナツモマブは、それぞれ高い奏効が報告されており、ポナチニブ+ブリナツモマブ併用の評価が行われた。・対象:18歳以上、新規診断または再発/難治性のPh陽性ALL患者、リンパ性移行期または急性転化期の慢性骨髄性白血病(CML-LBC)患者、PS≦2、35例・介入:[導入期:5サイクル]ブリナツモマブ(標準用量、4週投与2週休薬)+ポナチニブ(1サイクル目 30mgx1/1、2サイクル目以降はCMR達成後15mgに減量)[維持期]ポナチニブ15mgを少なくとも5年間、予防的髄腔内化学療法(メトトレキサート/シタラビン)12回・評価項目:[主要評価項目]初発患者:CMR、再発/難治性患者:ORR(完全奏効/不完全奏効[CR/CRp])[副次評価項目]無イベント生存率(EFS)、OS、安全性 主な結果は以下のとおり。・治療を受けた35例(年齢中央値59歳、66%でBCR-ABL1転写産物p190確認)の内訳は、初発患者20例(62歳、77%)、再発/難治性患者10例(36歳、90%)、CML-LBC患者5例(70歳、0%)であった。・CR/CRp率は、全患者96%、初発患者100%、再発/難治性患者89%、CML-LBC患者100%であった。・CMRは、全患者79%、初発患者86%、再発/難治性患者88%、CML-LBC患者40%であった。・観察期間中央値12ヵ月における1年EFS率は、全患者で76%、初発患者93%、再発/難治性患者61%、CML-LBC患者60%であった。2年EFS率は、それぞれ70%、93%、41%、60%であった。・1年OS率は、93%、93%、80%、100%、2年OS率は80%、93%、53%、100%であった。・忍容性は良好で、ほとんどの有害事象はGrade1/2であった。Grade3の治療関連有害事象は、ポナチニブ関連ではリパーゼ上昇が2例(6%)、ALT情報、脳虚血、高血圧、膵炎、深部静脈血栓症がそれぞれ1例(3%)であり、ブリナツモマブ関連では脳症1例(3%)であった。 Short氏は、「Ph陽性ALLに対するポナチニブ+ブリナツモマブ併用療法の安全性、有効性が示された。化学療法やAHSCTを必要としないレジメンとして有望である」とまとめた。

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スクリーニング普及前後の2型糖尿病における心血管リスクの予測:リスクモデル作成(derivation study)と検証(validation study)による評価(解説:栗山哲氏)-1404

本論文は何が新しいか? 2型糖尿病の心血管リスクを、予知因子を用いてリスクモデルを作成(derivation study)し、さらにその検証(validation study)を行うことで評価した。ニュージーランド(NZ)からの本研究は、国のデータベースにリンクして大規模であること、データの適切性、対象者の95%がプライマリケアに参加していること、新・旧コホートの2者の検証を比較して後者での過大評価を明らかにしたこと、などの点で世界に先駆けた研究である。本研究のような最新の2型糖尿病スクリーニング普及は、低リスク患者のリスク評価にとっても重要である。リスクモデル作成研究(derivation study)と検証研究(validation study) 実地医家にはあまり聞き慣れない研究手法かもしれない。糖尿病や虚血性心疾患などにおいてリスク予測のためCox回帰モデルからリスク計算をし、それを検証する2段階の統計手法。症状や徴候、あるいは診断的検査を組み合わせてこれらを点数化し、イベント発症の可能性に応じ患者を層別化して予測する。作業プロセスは、モデル作成(derivation)と、モデル検証(validation)の2つから成る。モデル作成のコホートを検証に用いた場合、内的妥当性が高いことは自明である。したがって、作成されたモデルは他のコホート患者群に当てはめて外的妥当性が正しいか否かを客観的に検証する必要がある。心血管疾患リスクの推定は、複数の因子(例:治療法の変遷、危険因子にはリスクが高いもの[肥満]と低いもの[喫煙]があることなど)によって過大評価あるいは過小評価される可能性がある。結果の概要1)リスクモデルの作成(derivation study):2004~16年に行ったPREDICT試験を母体にしたPREDICT-1°糖尿病サブコホート試験(PREDICT-1°)において用いられたリスクの予測モデル因子は、年齢・性・人種・血圧・HbA1c・脂質・心血管疾患家族歴・心房細動の有無・ACR・eGFR・BMI・降圧薬や血糖降下薬使用、などである。これら糖尿病および腎機能関連の18の予測変数を有するCox回帰モデルから、5年心血管疾患リスクを推定した。2)リスクモデルの検証(validation study):2004~16年にかけて施行されたPREDICT-1°におけるリスク方程式を、2000~06年に行われたNZ糖尿病コホート研究(NZDCS)におけるリスク方程式にて外的妥当性を検証した。PREDICT-1°は追跡期間中央値5.2年(IQR:3.3~7.4)で、登録した46,625例の中で4,114件の新規心血管疾患イベントが発生した。心血管疾患リスクの中央値は、女性で4.0%(IQR:2.3~6.8)、男性で7.1%(4.5~11.2)であった。これに対して外的検証で用いたNZDCSにおいては心血管疾患リスクが女性では3倍以上(リスク中央値14.2%、IQR:9.7~20.0)、男性では2倍以上(17.1%、4.5~20.0)と過大評価されていることが示された。このことから、最近行われたPREDICT-1°は、過去に行われたNZDCSよりも優れたリスク識別性を有することが検証された。また、この新しいPREDICT-1°のリスク方程式によってリスク評価を行わない場合、糖尿病の低リスク患者を(新たに開発された)血糖降下薬などで過剰診療する可能性なども示唆された。糖尿病の心血管リスクスクリーニングの世界事情 先進国においては、強化糖尿病のスクリーニングを受ける成人が増加している。このため、これらの先進国では糖尿病患者の疾病リスク予測は、より早期と考えられる患者群(低年齢・軽度の高血圧や脂質異常症)に移行しており、より多くの患者が症候性になるより早期に糖尿病と診断されるようになってきた。ちなみにNZでは、スクリーニング検査の推奨項目として空腹時血糖値を非空腹時HbA1cに置き換えることにより、対象者の糖尿病スクリーニング受診率を向上させる新たな国家戦略を立ち上げ、2001年に15%、2012年に50%、2016年には対象者の90%で糖尿病スクリーニング受診という目標を達成してきた。一方、アフリカ、東南アジア、西太平洋ではスクリーニングによる診断よりは臨床診断が主体となるため、心血管疾患リスクスコアを過大評価している可能性がある。本論文から学ぶこと 最新のPREDICT-1°においては、HbA1cによるスクリーニングが普及し、心血管疾患のリスクが低い無症状の糖尿病患者が多数確認された。これにより2型糖尿病において早期発見・早期治療が可能になる。また、心血管疾患リスク評価式は、時代の変遷に応じて現代の集団に更新する必要がある。私見であるが、糖尿病への早期介入推奨の潮流は、たとえばKDIGO 2020年の糖尿病腎症治療ガイドラインなどにすでに反映されている。このガイドラインでは、腎保護戦略のACE阻害薬、ARB、SGLT2阻害薬などの薬剤介入と平行して、自己血糖モニタリングや自己管理教育プログラムの重要性にも多くの紙面を割き言及している(Navaneethan SD, et al. Ann Intern Med. 2021;174:385-394. )。 翻って、本邦での糖尿病スクリーニングによる心血管リスク予測の課題として、国家レベルでの医療データベースの充実化、健診環境のさらなる改善、そして本研究におけるPREDICT-1°に準じた新たな解析法の導入などが考えられよう。

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時間の流れの不思議、時間軸を逆転し若返りは可能か!【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第37回

第37回 時間の流れの不思議、時間軸を逆転し若返りは可能か!時間の流れの不思議については皆さんもご存じと思います。舌を出した顔写真でお馴染みの科学者アルベルト・アインシュタインが、運動や重力によって時間の進み方に違いが生じることを予言したのが「相対性理論」です。その理論によれば、「重力が小さい場所では、大きい場所より速く時間が進む」とされます。地上452メートルの東京スカイツリーの展望台では、地上よりも僅かに重力が小さくなります。その結果、1日あたり10億分の4秒の時間差があることが、超高精度時計である「光格子時計」を用いて実測されました。東京大学の香取 秀俊教授らのチームの研究成果で、英国の光学専門誌Nature Photonicsに掲載されています(Nat. Photonics 14, 411-415, 2020)。相対性理論は、宇宙規模で計測して初めて表現されるもので、実生活の時空間では無縁なものと感じがちですが、身近な観光名所の展望台でも時間が早く進むことが実証されたのです。この研究の意義は、正確に時間を刻む道具としてだけでなく、時空間のゆがみを計測する役割を時計に与えたことで、ノーベル賞級と評価されています。医学領域ではない英語の科学論文を読んでみるのも楽しいものです。相対性理論の理解は難しい私にとっても、やはり時間は不思議です。年齢が50歳を超えたころから、1日が、1年が、とても早く経過すると感じるようになりました。子供のころは時の流れがとても遅いものでした。春夏秋冬で季節は巡りますが、次の季節のイベントを待つことは不可能なほど時間の流れはゆっくりでした。今では、夏が来たかと思えば、秋などなかったように冬がやってきます。これを「ジャネーの法則」というそうです。フランスの哲学者であるポール・ジャネーが提唱した心理学用語で、時間の心理的長さは年齢に反比例する現象を指します。50歳では1年間は人生の50分の1ですが、5歳では5分の1です。1年という時間のスケールが、5歳の子どもに比べて50歳の大人は10分の1に感じるということです。多感な青春時代を過ごした高校生の3年間と、50歳からの3年間は同じ密度の時間とはまったく思えません。超高精度時計を持ち出すまでもなく、年齢によって時間の密度や価値は異なってくるのです。時間は人々にとって平等に流れますが、人の運命とは不思議なもので何時どんなことが起こるのかわかりません。自分にとっての転機は、3年ほど前から医学部の教官となり学生教育に関与するようになったことです。それ以前に市中病院に勤務していた時には、自分よりも高齢の患者さんと接する時間が大半を占めていました。若手の研修医の指導時間はありましたが限定的です。自分よりはるかに若い学生と毎日のように会話するようになり、時間の流れが変わった気がします。わずかにですが時間がゆっくりと過ぎるようになったのです。学生の時間軸に自分が同調してきたのかもしれません。幼稚園や小学校の先生は年より若く見えることが多いです。「子供たちに若さをもらってるのよ」と言う人もいますが納得です。自分は学生から若さを吸い取っているのかもしれません。「ジャネーの法則」を打ち砕いて、このまま若返っていくことを目指します。そのうち学生たちから若さだけでなく髪を奪い取ってやろうと目論んでいます。愚痴は言いませんが、医学部教授職は雑事に忙殺されます(明らかに愚痴です)。つらい仕事の毎日で、学生たちと議論したりする時間は、自分のとってはオアシスのように感じる楽しい時間なのです。

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「サビーン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第57回

第57回 「サビーン」の名称の由来は?販売名サビーン®点滴静注用500mg一般名(和名[命名法])デクスラゾキサン(JAN)効能又は効果アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出用法及び用量通常、成人には、デクスラゾキサンとして、1日1回、投与1日目及び2日目は1000mg/m2(体表面積)、3日目は500mg/m2を1〜2時間かけて3日間連続で静脈内投与する。なお、血管外漏出後6時間以内に可能な限り速やかに投与を開始し、投与2日目及び3日目は投与1日目と同時刻に投与を開始する。また、用量は、投与1日目及び2日目は各2000mg、3日目は1000mgを上限とする。 中等度及び高度の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアラン ス:40mL/min未満)では投与量を通常の半量とする。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)禁忌(次の患者には投与しないこと)1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人※本内容は2021年6月23日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年3月(改訂第4版)医薬品インタビューフォーム「サビーン®点滴静注用500mg」2)キッセイ薬品:SAVENE®injectable500mg

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第63回 アデュカヌマブFDA承認、効こうが効くまいが医師はますます認知症を真剣に診なくなる(後編)

厚生労働省は年内にも承認の可否を判断こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。沖縄県を除く9都道県でやっと緊急事態宣言が解除されました。もっとも、店舗での酒類提供については若干緩められるものの、まだまだ厳しい制限が続きます。東京都の場合、「まん延防止等重点措置」に移行する21日以降は、1組2人以下や滞在90分以内などを条件に認められます。東京23区では午前11時~午後7時が提供可能時間ということです。居酒屋などの開店時間が早まり、「午後4時から飲み」が流行りそうですが、早晩、緊急事態宣言に逆戻りしそうな気もします…。さて、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平選手の、MLBオールスターゲームのホームランダービー出場が決定しました。オールスター戦前日、7月12日(現地時間)に行われるホームランダービーは賞金100万ドル、MLBのホームランバッターたちが真剣勝負で出場するイベントです。ただ、とてもハードな戦いで、かつてはこのダービーに出場して後半戦に調子を崩した選手もいるほどです。ケガだけには気をつけてほしいと思います。ところでこのホームランダービー、2年前は野球解説者の山下 大輔氏がレフトで解説中にホームランボールをキャッチし話題になりました。興味がある方はYouTubeで観てみてください。前回に引き続き、今回もアデュカヌマブについて、日本での承認の可能性と臨床現場への影響について考えてみたいと思います。前回も触れましたが、このアデュカヌマブ、日本国内でも2020年12月にバイオジェン・ジャパンが承認申請しています。申請した適応症は「アルツハイマー病」で、米国と同じです。厚生労働省は年内にも承認の可否を判断するとも報じられています。新聞やテレビの報道では、「早晩日本でも」という論調が多かった印象ですが、そうは簡単にはいかないと思われます。症状軽減に「効くか効かないかまだわからない」前回書いたように、アミロイドβの減少を根拠としたアデュカヌマブの「迅速承認」に対しては多くの疑義があり、かつ市販後の検証的試験(期限は2030年2月でまだ9年近くもあります)が求められています。第III相試験自体、認知機能低下抑制の効果に関するデータが統計的にもギリギリで、市販後の検証的試験において有用性を示すには対象患者のさらなる絞り込みが必要だろう、との専門家の指摘もあります。つまり、アミロイドβの減少効果はありそうだが、本丸である認知症の症状軽減については「効くか効かないかまだわからない」薬剤なのです。そんな薬剤を厚労省は果たして承認する(できる)のでしょうか。「条件付き早期承認」の対象は「重篤」な疾患日本にも米国の「迅速承認」と同じように「条件付き早期承認」の仕組みが医薬品医療機器等法で定められています。もっともこの条件付き承認には「患者数が少ないなどの理由で臨床第III相試験などの検証的臨床試験を行うことが難しい医薬品」で「適応疾患が重篤である」などの要件があります。「重篤」の意味としては、「生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)」に加え、「病気の進行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患」も入っています。ただ、アルツハイマー病は国内の患者数が数百万人規模と多く、疾患が「重篤」に当てはまるかどうかも微妙で、この仕組みを適用するかどうかはPMDAなど規制当局の判断次第です。適応をどうするかも大きな問題仮に承認されたとしても、課題は多く残されます。薬価(米国では年間約600万円)の設定もそうですが、それと関連して適応をどうするか、というのも大きな問題です。アデュカヌマブの臨床試験は軽度認知障害(MCI)と軽度認知症を対象に行われ、米国で承認された適応は「アルツハイマー病」です。「アルツハイマー型認知症」ではなく、アルツハイマー病となったということは、アルツハイマー病の診断基準(NINCDS-ADRDAの診断基準など/認知症の症状とアミロイドβなどのバイオマーカーの蓄積)をクリアすれば、症状がごく軽微の段階から重度まで広く治療の対象になり得る、ということです。仮に日本でも適応症が「アルツハイマー病」となった場合、いったいどの段階から薬剤の使用が認められるでしょうか。ちなみに日本の保険診療上、MCIは疾患ではなく、現状使用できる薬剤はありません(MCIはドネペジルも保険で使えません)。そうなると、MCIは除外して、アルツハイマー病ときちんと診断された人すべてに投与できるようにするのか、アルツハイマー病の中で適応範囲を(効くとされる軽症に)狭めるのか、気になるところです。おそらく、仮に承認されるにしても保険財政が逼迫している現状では、アルツハイマーと診断されたすべての人がアデュカヌマブを使用できるようにはしないでしょう。となると、脳内のアミロイドβの蓄積を測定してその値によって適応を決めるのが妥当な手法となりそうです。しかし、それでも実際には結構高いハードルがあります。現状、脳内のアミロイドβの蓄積の評価にはPET検査か髄液検査が必要とされていますが、高価であったり、あるいは侵襲性が高かったりするこれらの検査を「効くか効かないかまだわからない」薬剤を使用するために課すのでしょうか。そもそも数百万人規模にPET検査をしていては、それだけで保険財政が持ちません。ところで、シスメックスが血漿中のアミロイドβを測定する血液検査について、2021年度中の承認取得を目指しているとの報道もありました。シスメックスはエーザイと認知症領域に関する診断薬創出に向けた非独占的包括契約を結んでいます。ひょっとしたら、この新しい血液検査(PET検査よりも安価)とセットで、アデュカヌマブの承認が行われる可能性も考えられます。診断面ばかりに目が行き患者対応やケアは後回しの医師たちもう一つ危惧されるのは、現場の認知症診療やケアへの影響です。そもそも、日本の医師たちの多くは昔から認知症をきちんと診療しようとはしませんでした。1980年代、まだ老人性痴呆症と呼ばれていた頃、認知症は精神科領域の疾患であり、一般的な臨床医の関心外のことでした。その後、精神科病院への入院から、老人保健施設、グループホームなどの施設への入所が受け入れの中心となっていっても、最前線の現場では医師の介入はほとんど行われていませんでした。2004年、認知症と呼び名が変わり、患者対応やケアの仕方次第では問題行動が激減し、家族によるケアがスムーズになるケースが少なくないことがわかってきました。しかし、医師たちの多くはそうしたノウハウを学ぼうともせず、結果、家族に伝授することなく、漫然と認知症薬を投与、最終的にはグループホームなどを紹介し、お茶を濁してきました。アルツハイマー病の病態解明や薬剤開発が思うように進まなかったとはいえ、目の前の患者にできることをやってこなかった点は明らかに医師の怠慢と言えます。アデュカヌマブが承認されたとしても、医師たちは「どういう患者に使えるか」「アミロイドβの蓄積はどうか」といった診断面ばかりに目が行き、患者対応やケアはこれまで以上に後回しにされる危険性があります。「患者を診ず病気しか診ない」どころか、「患者を診ず検査値しか見ない」というわけです。6月9日、オンラインで行われたエーザイのメディア・投資家向け説明会で内藤 晴夫CEO(最高経営者)は認知症治療薬開発に対する思いを語りました。その中で、アルツハイマー病薬の価値について、「アルツハイマー病にかかる費用の特徴は、医療本体に関わるものより、介護による負担が大きい。これには、家族が介護をすることで就労の機会が減少することも含まれるし、介護には長期療養施設への入所なども含まれる。これらを複合的に評価することで、価値の全体像が見えてくる」と語ったそうです。アデュカヌマブは本当にそうした価値を創造できる薬剤なのでしょうか。逆に患者対応やケアをないがしろにする医師が増加し、グループホームなど認知症施設の需要がむしろ高まる可能性もあるのではと思いますが、どうでしょう。そう考えると、「承認はするが薬価基準を定めない」という究極の選択肢もあるかもしれません。薬価基準を定めないとは、つまり保険適用しない、ということです。現状、ED治療剤、男性型脱毛症治療剤など自由診療で用いられる薬剤がそれに当たります。そもそも認知症は疾患ではなく、脳の老化に過ぎないという立場に立てば、そうした対応もありかもしれません。ただ、日本の製薬メーカーも開発に当たった“世界初”の認知症治療薬に対して、日本政府がそうした“仕打ち”をするかどうか…。日本での承認の行方が気になります。

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オリゴ転移乳がん、サブタイプ別の予後良好因子(OLIGO-BC1サブセット解析)/ASCO2021

 日本、中国、韓国によるオリゴ転移乳がんに関する後ろ向きコホート研究(OLIGO-BC1)のサブセット解析として、乳がんサブタイプ別に各予後因子における全生存期間(OS)を検討した結果を、中国・Guangdong Provincial People's HospitalのKun Wang氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。どのサブタイプにおいても、局所療法と全身療法の併用およびECOG PS0が予後良好で、luminalおよび HER2タイプでは、診断時Stage I、オリゴ転移が1個のみ、長い無病生存期間も生存ベネフィットと関連していた。オリゴ転移乳がんの予後良好な因子を評価 本研究は、日本治療学会(JSCO)、中国臨床腫瘍学会(CSCO)、韓国臨床腫瘍学会(KSMO)によるFederation of Asian Clinical Oncology(FACO)が実施した国際的後ろ向きコホート研究で、ASCO2020では、局所および全身療法がオリゴ転移乳がん患者のOSを延長したこと、多変量解析からは、ある種の全身療法、若年、ECOG PS0、診断時Stage I、非トリプルネガティブタイプ、少ない転移個数、局所再発、長い無病生存期間においてOSが延長することを報告している。・対象:2005年1月~2012年12月に診断された、ABCガイドラインで定義されたオリゴ転移乳がん(転移病変が少なく[5個以下、同一臓器に限らない]、サイズが小さい、腫瘍量の少ない転移疾患)で、全身療法(化学療法、内分泌療法、抗HER2療法など)と局所療法(外科的切除、放射線療法、焼灼療法、経カテーテル動脈(化学)焼灼療法など)の併用、もしくは全身療法のみで治療された患者・評価項目:OS オリゴ転移乳がんをサブタイプ別に各予後因子におけるOSを検討した主な結果は以下のとおり。・オリゴ転移乳がん患者1,200例におけるオリゴ転移数は、578例(48%)で1個、289例(24%)で2個、154例(13%)で3個、102例(9%)で4個、77例(6%)で5個だった。・骨転移は301例(25%)、内臓転移は387例(32%)、局所再発は25例(2%)、多発性転移は404例(34%)で報告された。・luminalタイプは 526例(44%)、luminal-HER2タイプは189例(16%)、HER2タイプは154例(13%)、トリプルネガティブタイプは166例(14%)、その他は164例(13%)で報告された。・どのサブタイプにおいても、局所療法と全身療法の併用、 ECOG PS0で生存ベネフィットが認められた。・luminalおよび HER2タイプでは、診断時Stage I、オリゴ転移数1個、長い無病生存期間も生存ベネフィットと関連していたが、トリプルネガティブタイプではこれら3因子による生存ベネフィットはなかった。・局所治療では、外科的切除と放射線療法の併用で生存ベネフィットがみられた。・リンパ節・肺・肝臓・骨転移において、転移数1個は2個以上に比べて5年OSが良好だった。 Wang氏は、「オリゴ転移乳がんは偶然にみつかるが、いくつかの症例は集学的治療で生存しうるようだ。予後良好な因子を評価し、局所療法を検討することは価値がある」と結論している。

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