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いよいよ総裁選!医師が希望する次期総裁は?…会員1,000人アンケート

 9月29日、自民党総裁選の開票が行われる。出馬する4氏のうち次期総裁になって欲しい人物や、次期総裁に期待する政策について、会員医師1,000人を対象にアンケートを行った(2021年9月22日実施)。 「出馬を表明した4氏のうち、次の総裁になってほしいのは誰ですか?」との問いには河野 太郎氏(行政改革担当大臣)が54%の支持を集めトップで、続く21%の高市 早苗氏(前総務相)に倍以上の差をつけた。岸田 文雄氏(前政務調査会長)は高市氏と僅差の20%、野田 聖子氏(幹事長代行)は5%と伸び悩んだ。 回答者の勤務先別で見ると、20床以上の病院に勤務する層では20床未満の層よりも河野氏の支持率が高く、高市・岸田両氏の支持率が低かった。年代別で見ると20~30代では河野氏の支持率が60%と高い一方、60代以上は同53%となり、河野氏の代わりに岸田氏の支持率が上がっていた。新型コロナ対策よりも経済政策を優先 「次期総裁について、最も注力すべきとお考えの政策は何ですか?」との問いでは、「経済・財政政策」が43%と最多で、「新型コロナ対策」の33%を10%上回る結果となり、新規感染者数に減少傾向が続き、緊急事態宣言の解除が見込まれる状況において、経済再生への期待が強い状況を反映する結果となった。 「最も注力すべき政策」では、支持する候補別に傾向の違いも顕著となった。河野氏の支持者は「新型コロナ対策」が42%と最多だが、高市氏の支持者は「経済・財政政策」が42%で最多、「外交・安全保障政策」が38%でこれに続き、「新型コロナ対策」は12%に留まった。岸田氏は「経済・財政政策」が52%と4候補の中で唯一過半を占め、野田氏は「新型コロナ対策」が36%で最多ながら、他候補では1%未満の「ジェンダーや多様性」が4%となるなど、強調する政策の違いが現れた。 「新型コロナウイルス感染症対策の中で、最も注力すべきとお考えの政策は何ですか?」との問いには「医療体制の整備、病床確保」「ワクチン・治療薬の開発・確保」がそれぞれ約40%という結果となった。 自由回答には「今回の総裁選は面白い」「初の女性宰相誕生に期待」とのコメントが集まり、久しぶりに白熱する総裁選に注目する声が集まった。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。『いよいよ総裁選!医師が希望する次期総裁は?…会員1,000人アンケート』

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進行食道がん1次治療に免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が参入(解説:上村直実氏)

 外科的に切除不能な進行・再発または転移のある食道扁平上皮がんに対して、一般的には放射線・化学療法が行われている。このうち化学療法に関しては30年前からフルオロウラシルとシスプラチン等のプラチナ製剤の併用療法(FP療法)が標準治療として用いられてきたが、最近、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1阻害薬)の登場によって大きな変化が起こりつつある。すなわち、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)やペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)など抗PD-L1阻害薬とFP療法の併用がFP療法単独に比べて、全生存期間(OS)や無増悪生存期間(PFS)を有意に延長するという研究結果が報告されている。 今回は切除不能進行・再発食道扁平上皮がんに対する1次治療の有用性を検討するために世界26ヵ国で実施された国際共同第III相試験(KEYNOTE-590試験)の結果がLancet誌に報告された。CPSが10以上の症例を対象とした本試験では、ペムブロリズマブとFPの併用療法がFP単独に比べてOSならびにPFSを有意に延長し、食道扁平上皮がんに対する標準化学療法に名乗りを上げる研究結果と思われる。今後、手術不能進行食道がんに対する標準治療は、抗PD-L1阻害薬とFP療法の併用療法もしくは異なる抗PD-L1阻害薬の併用療法と放射線治療を加えた集学的治療の有用性が検討された後、食道がんに対する初期化学療法が大きく変わるものと思われる。 なお、日本における保険診療の現場に対しては、9月にニボルマブとイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法およびニボルマブと化学療法の併用療法の有用性を示した国際共同RCTであるCheckMate-648試験の結果に基づいて食道がんの1次治療に使用できるようにするための一変申請が提出されている。今後、ペムブロリズマブに関しても同様の内容で申請されることが予想される。現時点におけるニボルマブとペムブロリズマブの違いは、前者はCPSにかかわりなく使用可能であるが後者にはCPSが5以上という条件が付される可能性がある。いずれにせよ、近いうちに食道がんに対する標準的化学療法が大きく変化して診療ガイドラインにも反映されるものと思われる。 さらに、今年の6月に発表されたCheckMate-649試験では、切除不能進行・再発胃がん/食道胃接合部がん/食道腺がんを対象としてニボルマブと化学療法の併用ないしはニボルマブとイピリムマブの併用療法が化学療法単独に比べて優越性を認めたことから、胃がんに対する標準治療にも抗PD-L1阻害薬が参入する可能性が出てきており、上部消化管領域の切除不能進行がんに対する化学療法が大きな変革を迎えようとしており、ひいては患者さんが大きな恩恵を受けることが期待される。

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第71回 3回目ワクチン早ければ年内にも/コロナ特例加算9月で廃止

<先週の動き>1.3回目ワクチン、早ければ年内にも医療従事者から開始/厚労省2.コロナ特例加算は今月末で廃止、補助金で代替へ/厚労省3.浸透しないオンライン診療、患者負担が割高で敬遠か4.来年度の診療報酬改定に診療側と支払い側で議論紛糾/中医協5.胃・大腸の進行がん症例増加、がん検診控えの影響か6.病院を選ぶ理由の1位は? 受療行動調査で明らかに/厚労省1.3回目ワクチン、早ければ年内にも医療従事者から開始/厚労省厚生労働省は、22日に自治体向けの説明会を開催し、新型コロナウイルスワクチンの追加接種について、早ければ年内の12月から3回目接種の実施に向けて準備を開始するように働きかけた。追加接種は2回接種完了からおおむね8ヵ月以上経過した人を対象に想定しており、まずは医療従事者から開始となる。高齢者への接種は年明け以降の見通し。ワクチンの種類は2回目までと同じものを基本としながら、別の種類も認めるかはあらためて検討される。(参考)ワクチン3回目接種、年内は医療従事者104万人 高齢者は年明け(朝日新聞)新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保について(厚労省)2.コロナ特例加算は今月末で廃止、補助金で代替へ/厚労省厚労省は、特例的に上乗せしていた診療・介護報酬における新型コロナ感染症対策実施加算について、今年9月末までとする方向で、財務省と検討していることが報道された。外来診療で1例当たり50円、入院1日当たり100円などの加算は時限的措置であったため、医療介護団体は10月以降も継続を求める要望書を厚労省に宛てて提出しているが、財務省は「新型コロナの対応に当たる医療機関に限定すべき」として打ち切りを主張していた。このため、特例措置は9月末までが期限となり、今年末までは経過措置として補助金で支援を継続する方針。このほか、新たに発熱外来などの対応を行う医療機関への診療報酬の加算も検討されている。(参考)診療や介護報酬、特例打ち切りへ コロナ患者非対応も加算に批判(日経新聞)新型コロナ 特例加算、月末で廃止 診療・介護報酬 補助金で代替(毎日新聞)コロナ対応の特例延長で要望書続出 日医、四病協、日看協や全老健など医療・介護団体(CBnewsマネジメント)3.浸透しないオンライン診療、患者負担が割高で敬遠か新型コロナウイルス感染拡大の中、政府によって初診患者についても規制緩和されているオンライン診療について、各医療機関が保険診療の点数が低いために、これとは別に利用料を請求している事例があることを日本経済新聞が報道した。厚労省はオンライン診療を「補完的」と位置付け、診療報酬を低くしているが、医療機関側は患者に対して、システム利用料や通信費の名目で平均約900円の負担を求めているという。また、日本医師会も対面での診療が基本とする姿勢を崩していない。政府の規制改革推進会議では、引き続きオンライン診療の規制緩和を求めているが、厚労省には、安全性・信頼性の担保のほか、令和4年度の診療報酬改定も含めた議論が求められる。(参考)オンライン診療・オンライン服薬指導に関する検討状況について(厚労省)ネット診療の患者負担が割高 平均900円加算、普及阻む(日経新聞)患者「便利だが」割高敬遠 ネット診療、システム利用コスト 医療機関「対面より手間」(日経新聞)4.来年度の診療報酬改定に診療側と支払い側で議論紛糾/中医協22日に中央社会保険医療協議会・診療報酬基本問題小委員会が開催され、入院医療等の調査・評価分科会の中間とりまとめを基に、2022年度の診療報酬について議論が行われた。入院診療の医療費をめぐって、コロナの影響か前回の診療報酬改定の影響か判断がつかない中、診療現場に大きな影響が出るような改定に診療側は懸念を示すものの、支払い側は、コロナ禍であっても必要と、一般病棟入院基本料など見直すべき課題を列挙した。今後、中医協でさらなる検討を重ね、年内の取りまとめに動く見込み。(参考)診療報酬調査専門組織入院医療等の調査・評価分科会からの報告について(中医協)入院医療の中間とりまとめ受け意見対立、中医協 診療側「病床削減避けるべき」、支払側「やるべきはやる」(中医協)5.胃・大腸の進行がん症例増加、がん検診控えの影響か日本対がん協会は、今年上半期のがん検診受診者数は156万6,022人と、大幅に減少していた去年の同時期に比べて2.2倍に増加したが、感染拡大前の一昨年に比べると17%減少しており、コロナの余波がまだ残っていることを明らかにした。また、横浜市立大学の研究チームは、コロナウイルス感染拡大により、胃や大腸の早期がんの診断者数が減少し、進行がんの症例が増えたと報告しており、検診控えにより、早期がんの診断が遅れ、症状が発現してから発見に至る症例が増えたことも考えられる。今後、各自治体による働きかけが求められるが、自治体もコロナの影響で対応が遅れており、さらなる対策が必要だろう。(参考)がん検診の受診者が回復傾向 コロナ禍前には及ばず 日本対がん協会(朝日新聞)自治体実施のがん検診受診者 去年より回復もコロナ前に戻らず(NHK)進行した大腸がん増加、患者調査 コロナで検診、受診控え(東京新聞)6.病院を選ぶ理由の1位は? 受療行動調査で明らかに/厚労省厚労省が3年おきに行なっている受療行動調査の結果が公表された。全国の一般病院484施設を利用する患者(外来・入院)約16万人を対象として、10月に調査を実施。受診した医療機関を選んだ理由が「ある」と回答した人のうち、外来・入院ともに「医師による紹介」が最多で、外来は38.7%、入院は55.5%だった。次いで、外来では「交通の便が良い」が27.5%、入院では「専門性が高い医療を提供している」が26.5%であった。また、外来で「予約をした」患者は77.4%となっており、前回(2017年)と比べて6.0ポイント上昇していた。全体として、医療を受けた病院に「満足」と回答した患者は、外来64.5%、入院68.9%であり、「不満」と回答した患者は、外来3.8%、入院4.9%だった。病院の種類別で「満足」と回答した患者は、外来・入院ともに特定機能病院が最も高かった。(参考)令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況(厚労省)20年の受療行動調査結果を公表 厚労省(CBnewsマネジメント)小規模病院や療養病床持つ病院で「社会的入院」が増加、背景を地域ごとに探る必要あり―2020年受療行動調査(Gem Med)

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きれいにリフォームしても、高く売れるわけじゃないんです【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第26回

第26回 きれいにリフォームしても、高く売れるわけじゃないんです漫画・イラスト:かたぎりもとこ「5年以内に診療所を承継したい…」。そう考える開業医の方は、医院の内装や設備機器に多額の投資を行うことはお勧めできません。「きれいにリフォームしたほうが、買い手が付きやすいんじゃないの?」とおっしゃる方がいますが、機器や内装を新調することで固定資産額(簿価)が高くなり、売値も高くなる構造があるのです。結果として、後継者が見つけにくくなる可能性があります。売値の算定方法については、過去のコラムを参照ください。第10回 診療所の後継者探し、自分だけで「質」と「量」確保できますか?売り手側の設備投資の内容が買い手側の希望に合っていれば問題はありませんが、必ずしもそうでないケースが多いのが実情です。医業承継の場合、買い手の約7割の方は内装や機器をそのまま使用します。一方で残りの約3割の方は自分の診療の特徴を出すことや患者の動線を考え、リフォームを行っています。後者の場合、売り手が行った設備投資と、自分が再度行いたい設備投資があるため、二重にコストがかかってしまいます。医療機器なども、医師によっては「ここの内視鏡でないと」と強く希望するケースもあり、売り手の機器を廃棄し、新たに購入することも珍しくありません。このようなケースを念頭に置き、医業承継を検討する診療所は、大規模な設備投資をしないほうがよいのです。

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日常診療で認知機能を確認する方法【コロナ時代の認知症診療】第7回

患者さんの認知機能レベルをどうチェックする?私が医者になりたてで整形外科で働いていた頃、記憶をどうチェックする? に関する思い出がある。当時から整形外科では今でいうフレイル、ロコモの患者さんが溢れていたから、必然的に高齢患者さんが多かった。その中には、指導が頭に入っている様子がなかったり、予約を間違えたりする高齢者もいる。そこの院長は、看護師に依頼して、ちょっとしたタイミングでさりげなく「ところで今日は何月、何日でしたっけ?」と尋ねてもらっていた。確かにこれは認知障害の度合いを知るのに適切な問いである。もっとも尋ねられる方の中には、怪訝な表情を浮かべる人もいた。多くの臨床家は自然とその認知機能レベルを知りたいと思う患者さんに少なからず遭遇するようだ。実際、以前から認知症を専門としない医師からよく尋ねられる質問に、「試されていると思われないように、記憶の程度をチェックするのにいい問いはないか」というものがある。もっとも自分には、これという妙案、名回答がなかった。患者さんにオリンピックについての質問をしてみると…ところが、期間限定だろうがとてもいい質問を見つけた。今回の東京オリンピックとパラリンピック2020関連である。まず「オリンピックやパラリンピックは見ましたか?」と問う。NHKなど終日放映している状態だったから、コロナ禍の開催断固反対の人以外は、たいていが見ていたと思うし、家族の証言もそのようだ。ところが「あまり見なかった」という中途半端な回答は結構多い。このような回答は怪しい、軽度から中等度の認知症がある可能性がある。ときに「東京オリンピックなんてものがあったの?」という回答もある。次に「一番記憶に残ったのはなに?」と尋ねるが、「男女ペア卓球の金メダル」とか「今メダル2つの女子水泳」などとしっかり答えられたら認知機能はまず大丈夫だろう。なおこうした人の多くが、「オリンピック以上にパラリンピックに感動した」と加えられることは印象深い。一方で、軽度から中等度に多いのは「オリンピックの花マラソンですね」とか「どの選手もよく頑張った」などとどこにでも当てはまりそうな回答だと思う。あるいは「内村の金メダル」(リオデジャネイロでは?)、「富士山のトビウオ」(なに!)などもときにある。いずれにせよ、長谷川式テストなどの得点と回答ぶりがよく相関して、なるほどと頷いてしまう。若年性認知症、日本にどのくらいの患者さんがいるかパラリンピックは参加要件が細分化されていることを筆者は今回の大会で知った。知的障害の部があることを知ったときに、認知症とくに若年性認知症の人々による聖火リレーを思い出した。当院に通院中の若年性アルツハイマー病の方で過去にオリンピックに出場、今回は聖火ランナーを務めた男性がいる。そのときの写真を本当に嬉しそうに生き生きと、当方がびっくりするくらい詳細に説明してもらった。ここから連想が及んだ若年性認知症(EOD)の問題に触れてみたい。EODの有病率全国調査はこれまでに3回行われている。最初が1997年、第2回は2009年に報告されている。最近では、2017~19年度に実施した日本医療研究開発機構(AMED)認知症研究開発事業によって実施した若年性認知症の調査において、わが国の若年性認知症有病率は18~64歳人口10万人当たり50.9人、若年性認知症者の総数は3.57万人と推計された1)。結果として、どれもだいたい同じ数の報告がなされておりとくに増減はない。第1,2回の報告では原因疾患として血管性認知症が最多とされ日本のEODの特徴と思われた。しかし第3回調査では欧米のようにアルツハイマー病が最多とされている。男女差はあまりない。さて当院に定期的に通院される患者さんの中には、このEODの方が50名はいらっしゃる。中には今も現役で会社員をされ一人で通院ができている患者さんも少なくない。こうした例では、必ず現在および今後の勤務形態や労働条件が問題になる。要は、「仕事をしたい、それによって所得を得たい」当事者・その家族と、「今の労働効率とそれにふさわしい給与」を考える企業側とのコンフリクトである。次回は、こうした問題を深堀してみたい。参考文献・参考情報1)粟田 主一他,若年性認知症の有病率・生活実態把握と多元的データ共有システム

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー コクラン・ライブラリーの活用 その1【「実践的」臨床研究入門】第12回

コクラン共同計画とコクラン・ライブラリーコクラン共同計画は英国の国民保健サービス(National Health Service:NHS)の一環として1992年に開始された国際的な医療評価プロジェクトです。コクラン・ライブラリーはコクラン共同計画が提供する検索ツールで、コクラン・システマティック・レビュー(systematic review:SR)のデータベース(Cochrane Database of Systematic Reviews:CDSR)を中心として構成され、データは年4回更新されています。CDSRはフル・レビュー論文(Cochrane Reviews)と現在進行中のSRのプロトコール論文(Cochrane Protocols)から成ります。コクラン・ライブラリーには、ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)をはじめとする個々の臨床試験の論文や学会抄録、また臨床試験登録情報などが収録されている文献情報データベース(Cochrane Central Register of Controlled Trials:CENTRAL)も含まれています。コクラン・ライブラリーを活用した関連研究レビューの実際コクラン・ライブラリーはボランティアにより、Abstract(抄録)や非医療従事者向けのまとめであるPlain language summaryの一般語訳など、一部に日本語化がなされていますが、検索は英語のキーワードを用いて行います。第3回で、RQのP(対象)とE(曝露要因)もしくはI(介入)の適切な英語検索ワードを選択することの重要性を説明しました。その際に、われわれのRQのEである「低たんぱく食」の英訳は”low protein diet”が該当することがわかりました。ここでは、この”low protein diet”という英語検索ワードを使用して、コクラン・ライブラリーでわれわれのRQに関連する先行SRの検索を行ってみます。コクラン・ライブラリーのホームページを開くと、右上方に検索窓があります。”Title Abstract Keyword”というデフォルトの検索設定はそのままに、”low protein diet”というキーワードを入力して検索してみます。すると、Cochrane ReviewsとしてデフォルトではRelevancy(関連度順)にフル・レビュー論文(Cochrane Reviews)のタイトル(和訳は筆者による意訳)が表示されます。 本稿執筆時点(2021年9月)では、下記の4編のフル・レビュー論文が検索結果としてリストアップされました。現在進行中のSRのプロトコール論文(Cochrane Protocols)はゼロ編と示されます。ちなみにCENTRALの検索結果では435編の臨床試験の書誌情報が検索結果として挙げられました。1.Low protein diets for non‐diabetic adults with chronic kidney disease(慢性腎臓病を有する非糖尿病成人のための低たんぱく食)2.Protein restriction for children with chronic kidney disease(慢性腎臓病の小児に対するたんぱく制限)3.Protein restriction for diabetic renal disease(糖尿病性腎疾患に対するたんぱく摂取制限)4.Correction of chronic metabolic acidosis for chronic kidney disease patients(慢性腎臓病患者の慢性代謝性アシドーシスの改善)われわれのRQのP(対象)は成人ですので、2は読み込まなくとも良さそうです。4はこのフル・レビュー論文のPICOの情報(”Show PICOsBETA”をクリックすると表示される)をみると、I(介入)は”low protein diet”ではなく、”sodium bicarbonate(炭酸水素ナトリウム)”という代謝性アシドーシスの治療薬なので、こちらもわれわれのRQの関連SRには該当しません。次回からは1と3の2編のフル・レビュー論文を読み込んで、われわれのRQをさらにブラッシュアップしたいと思います。

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EGFR exon20挿入変異非小細胞肺がんへのmobocertinibをFDAが迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2021年9月15日、プラチナベース化学療法で進行した、EGFR exon20挿入変異陽性の局所進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、mobocertinibを迅速承認した。 mobocertinibは、EGFR exon20挿入変異を標的とした、新たなTKIである。 今回の承認は、上記患者を対象とした国際非ランダム化非盲検マルチコホート試験(NCT02716116)に基づいたもの。 同試験では、プラチナベース化学療法で疾患進行した114例の患者に、mobocertinib160mg/日を疾患進行または忍容できない毒性の発現まで投与し、有効性を評価した。 主要有効性評価指標は、盲検化独立中央委員会(BICR)評価の全奏効率(ORR)と奏効期間。ORRは28%、奏効期間中央値は17.5ヵ月。一般的な副作用(20%以上)は、下痢、発疹、悪心、口内炎、嘔吐、食欲減退、爪囲炎、倦怠感、皮膚の乾燥、筋骨格痛であった。

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初期アルツハイマー病に対するaducanumabの長期的ベネフィット

 アルツハイマー病は、慢性的かつ進行性の神経変性疾患であり、患者および介護者に対して大きな負担が強いられる。aducanumabは、アルツハイマー病の病理に作用する初めての治療薬として米国FDAより承認された薬剤であり、アルツハイマー病の病態生理学的特徴である脳内のアミロイドプラーク減少が期待できる。第III相臨床試験であるEMERGE試験で、aducanumabはアルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)および軽度アルツハイマー型認知症患者における臨床的な進行抑制作用を示し、アミロイド病理に対する作用が確認されている。米国・RTI Health SolutionsのWilliam L. Herring氏らは、初期アルツハイマー病患者に対するaducanumabの長期的ベネフィットを評価するため、EMERGE試験の有効性データに基づき検討を行った。Neurology and Therapy誌オンライン版2021年8月23日号の報告。 aducanumabの有効性が、患者の重症度レベル(アルツハイマー病によるMCIおよび軽度、中等度、高度アルツハイマー型認知症)およびケア状態(コミュニティケアまたは施設ケア)で変化するか、死亡リスクに影響を及ぼすかについて、マルコフモデルを用いて検討を行った。aducanumabは、標準的治療に追加して実施し、比較対照群は、標準的治療のみを実施した患者とした。base-case分析およびシナリオ分析のデータソースには、EMERGE試験、公開されたNational Alzheimer's Coordinating Centerの分析、その他の公表文献を用いた。 主な結果は以下のとおり。・aducanumab治療による生涯にわたる患者当たりの質調整生存年(QALY)は、比較対照群と比較し、0.65の患者QALY増加および0.09の介護者QALY減少が認められた。・aducanumab治療は、比較対照群と比較し、アルツハイマー型認知症の生涯発生率が減少しており、以下の特徴が認められた。 ●施設入居への移行リスクが低い(25.2% vs.29.4%) ●MCIから中等度以上のアルツハイマー型認知症へ移行する期間の延長(中央値:7.50年 vs.4.92年) ●コミュニティケア期間の延長(中央値:1.32年) 著者らは「aducanumab治療は、アルツハイマー病によるMCI患者、軽度アルツハイマー型認知症患者および介護者に対し、長期的なベネフィットをもたらすと考えられる。本結果は、医療における意思決定者や政策立案者にとって、aducanumabの潜在的な臨床的および社会経済的価値を理解するうえで、役立つであろう」としている。

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降圧薬の心血管イベント予防効果、年齢や血圧で異なるか/Lancet

 薬理学的な降圧は高齢になっても効果的であり、主要心血管イベント予防の相対的なリスク低下が無作為化時点での収縮期または拡張期の血圧値によって異なるというエビデンスはなく、120/70mmHg未満でも有効であるという。英国・オックスフォード大学のKazem Rahimi氏らBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(BPLTTC)のメンバーらが、MACEのリスクに関する降圧薬の有効性を比較検証した無作為化比較試験のメタ解析結果を報告した。70歳以上の高齢者において、とくに、血圧が十分に上昇していない場合の心血管アウトカムに対する降圧の薬物療法の有効性は明らかになっていなかった。結果を踏まえて著者は、「降圧薬による治療は年齢にかかわらず重要な治療選択肢として考慮すべきであり、国際的なガイドラインから年齢に関連した血圧の閾値を撤廃すべきである」と述べている。Lancet誌2021年9月18日号掲載の報告。無作為化試験51件、約35万9千例についてメタ解析 研究グループは、BPLTTCのデータから得られた降圧薬群とプラセボまたは他のクラスの降圧薬群との比較、あるいはより強力な降圧療法と強力でない降圧療法との比較を行った無作為化比較試験のうち、各群1,000人年以上追跡した試験を対象に、個人レベルのデータを用いてメタ解析を実施した。心不全既往の被験者は除外された。 主要評価項目は、致死的または非致死的脳卒中、致死的または非致死的心筋梗塞・虚血性心疾患、死亡または入院を必要とする心不全の複合(主要心血管イベント)であった。データを統合して、ベースラインの年齢(<55、55~64、65~74、75~84、≧85歳)、収縮期血圧(<120、120~129、130~139、140~149、150~159、160~169、≧170mmHg)、および拡張期血圧(<70、70~79、80~89、90~99、100~109、≧110mmHg)で分類し、固定効果モデルの一段階法を用いたCox比例ハザードモデル(試験で層別化)により解析した。 解析には無作為化臨床試験51件の計35万8,707例が組み込まれた。55歳未満から85歳以上まで幅広い年齢層で有効 無作為化時の被験者の年齢は、中央値65歳(範囲:21~105、IQR:59~75)で、<55歳が4万2,960例(12.0%)、55~64歳12万8,437例(35.8%)、65~74歳12万8,506例(35.8%)、75~84歳5万4,016例(15.1%)、≧85歳4,788例(1.3%)であった。 各年齢層における収縮期血圧5mmHg低下ごとの主要心血管イベントリスクのハザード比は、<55歳0.82(95%信頼区間[CI]:0.76~0.88)、55~64歳0.91(0.88~0.95)、65~74歳0.91(0.88~0.95)、75~84歳0.91(0.87~0.96)、≧85歳0.99(0.87~1.12)であった(補正後の相互作用のp=0.050)。 拡張期血圧3mmHg低下ごとについても、同様の傾向が認められた。 主要心血管イベントの絶対リスク低下は、年齢によって異なり、高齢者でより大きかった(補正後の相互作用のp=0.024)。一方で、いずれの年齢層においても、ベースラインでの血圧分類によって相対的な治療効果に臨床的に意味のある不均一性は確認できなかった。

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ファイザー製ワクチンの6ヵ月の有効性と安全性、第II/III相試験データ/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のBNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)について、6ヵ月間でワクチンの有効性は徐々に低下するものの安全性プロファイルは良好であり、COVID-19予防効果は高い。米国・ニューヨーク州立大学のStephen J. Thomas氏らが、現在進行中の国際共同無作為化観察者盲検プラセボ対照第II/III相試験の結果を報告した。BNT162b2ワクチンは現在、世界各国で承認、条件付き承認または緊急使用が正式に認められているが、最初の認可の時点で接種後2ヵ月を超えるデータは得られていなかった。NEJM誌オンライン版2021年9月15日号掲載の報告。16歳以上の4万4,165例、12~15歳の2,264例で、プラセボと比較 研究グループは2020年7月27日~10月29日の期間に、152施設(米国130、アルゼンチン1、ブラジル2、南アフリカ4、ドイツ6、トルコ9)において、健康または安定慢性疾患を有する16歳以上の4万4,165例を、また2020年10月15日~2021年1月12日の期間に米国の29施設にて12~15歳の2,264例を、BNT162b2ワクチン群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、1回30μgを21日間隔で2回接種した。 安全性評価項目は、接種後7日間の局所反応・全身性イベント・解熱剤の使用、初回接種後から2回目接種後1ヵ月後までに発生した自発的な有害事象、初回接種後から2回目接種後1ヵ月後および6ヵ月後までに発生した重篤な有害事象とし、少なくとも1回接種を受けた16歳以上の参加者を対象に解析した。 有効性評価項目は、2回目接種後7日以内の血清学的またはウイルス学的SARS-CoV-2陰性参加者、および過去の感染の有無に関係ない参加者における、2回目接種後7日以上経過後の検査で確認されたCOVID-19感染で、少なくとも1回接種を受けた12歳以上のすべての参加者を解析対象とした。BNT162b2ワクチンの6ヵ月間の有効性は91.3%、安全性は良好 BNT162b2の安全性は良好で、有害事象プロファイルは許容可能なものであった。重篤な有害事象や試験中止に至った有害事象はほとんどなかった。 初回接種後以降、BNT162b2群で2万1,926例中15例(0.068%)、プラセボ群で2万1,921例中14例(0.064%)の死亡が認められたが、死因は両群で一致しており、BNT162b2に関連した死亡はなかった。 SARS-CoV-2感染陰性で評価可能な12歳以上の4万2,094例において、データカットオフ日(2021年3月13日)までに2回目接種後7日以上経過後のCOVID-19発症例は、BNT162b2群で77例、プラセボ群で850例であり、有効率は91.3%(95%信頼区間[CI]:89.0~93.2)であった。 期間別に見たBNT162b2の有効率は、2回目接種後7日~2ヵ月未満で96.2%(95%CI:93.3~98.1)、2回目接種後2~4ヵ月未満で90.1%(86.6~92.9)、2回目接種後4ヵ月~データカットオフ日までで83.7%(74.7~89.9)であった。 重症のCOVID-19に対するBNT162b2の有効性は、96.7%であった(95%CI:80.3~99.9)。 本試験ではサブグループ別の有効性を評価する検出力はなかったが、年齢、性別、人種・民族、併存疾患の有無、国別のサブグループにおける2回目接種後のBNT162b2の有効性は、全体集団とおおむね一致していた。また、懸念されているSARS-CoV-2変異株B.1.351(またはβ株)が確認された南アフリカにおいて、ワクチン有効性は100%(95%CI:53.5~100)であることが示された。

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TN乳がん1次治療におけるペムブロリズマブ上乗せ、CPS≧10でOS改善(KEYNOTE-355)/ESMO2021

 未治療の手術不能または転移を有するPD-L1 CPS 10以上のトリプルネガティブ(TN)乳がん患者において、ペムブロリズマブ+化学療法はプラセボ+化学療法と比較して、全生存(OS)期間を有意に改善した。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)包括的がんセンターのHope S. Rugo氏が、第III相KEYNOTE-355試験におけるOSの最終解析結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。本邦では、PFSを有意に改善した同試験の中間解析結果を基に、2021年8月に承認されている。・対象:18歳以上の手術不能な局所再発または転移を有するTN乳がん(ECOG PS 0/1)847例・ペムブロリズマブ群:ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+化学療法(ナブパクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン/カルボプラチンの3種類のうちいずれか)566例・プラセボ群:プラセボ+化学療法 281例・層別化因子:化学療法の種類(タキサンかゲムシタビン/カルボプラチン)、PD-L1発現(CPS≧1かCPS<1)、術前/術後化学療法の有無・評価項目:[主要評価項目]PD-L1陽性患者(CPS≧10およびCPS≧1)およびITT集団におけるPFSと全生存期間(OS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・データカットオフは2021年6月15日。観察期間中央値はペムブロリズマブ群が44.0ヵ月、プラセボ群が44.4ヵ月だった。・ベースライン特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値が53歳、CPS≧1が約75%、CPS≧10が約38%だった。試験で投与されたのはタキサンが約45%、ゲムシタビン/カルボプラチンが約55%。de novo転移が約30%、無再発期間<12ヵ月が約20%だった。・CPS≧10の患者におけるOS中央値は、ペムブロリズマブ群23.0ヵ月 vs.プラセボ群16.1ヵ月(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.55~0.95、p=0.0093)と有意な改善がみられた。OS率は18ヵ月時点でペムブロリズマブ群58.3% vs.プラセボ群44.7%、24ヵ月時点で48.2% vs.34.0%だった。・CPS≧10の患者におけるOSのサブグループ解析では、化学療法の種類や治療歴などによらずペムブロリズマブ群におけるベネフィットがみられたが、無再発期間<12ヵ月の患者ではみられなかった。ただし、サンプルサイズが小さいことには留意が必要となる。・CPS≧1の患者におけるOS中央値は、ペムブロリズマブ群17.6ヵ月 vs.プラセボ群16.0ヵ月(HR:0.86、95%CI:0.72~1.04、p=0.0563)と事前に設定された有意性水準(p<0.0172)を満たさなかった。OS率は18ヵ月時点でペムブロリズマブ群48.4% vs.プラセボ群41.4%、24ヵ月時点で37.7% vs.29.5%だった。・ITT集団におけるOS中央値は、ペムブロリズマブ群17.2ヵ月 vs.プラセボ群15.5ヵ月(HR:0.89、95%CI:0.76~1.05)。OS率は18ヵ月時点でペムブロリズマブ群47.8% vs.プラセボ群41.8%、24ヵ月時点で35.5% vs.30.4%だった。・Grade3以上の治療関連有害事象は、ペムブロリズマブ群68.1%(死亡2例) vs.プラセボ群66.9%(死亡例なし)で報告された。・Grade3以上の免疫関連有害事象は、ペムブロリズマブ群5.3% vs.プラセボ群0.0%で報告された。死亡例は報告されていない。多く報告されたのは甲状腺機能低下症・亢進症だった。

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第76回 総裁選でも気になるコロナ対策、4氏の具体策は現実的?

最近はテレビのニュースの時間になると同じ4人の顔を見ることが増えてきた。言わずと知れた自民党総裁選に出馬した岸田 文雄氏、河野 太郎氏、高市 早苗氏、野田 聖子氏の4人のことである。ちなみにこの順番で表記したのは男尊女卑でも何でもなく、単純に50音順である。総裁選後には任期満了に伴う衆議院選挙が控えているが、現在の衆議院で政権与党の自民党と公明党の占める議席が465議席中304議席(竹下 亘氏の死去による欠員分を除く)であり、現下の情勢では多少議席を減らしたとしても与党側が過半数を大きく割る可能性はほぼないと思われる。つまるところ、この総裁選の勝者が当面の次期総理大臣となることは99%確実である。実は過去の本連載でも取り上げたことがあるが、この総裁選立候補者の政策を新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)対策に限定して俯瞰してみたい。ちなみに4氏のうち野田氏以外は全員が総裁選用の特設サイトを開設している。岸田氏:声をかたちに。信頼ある政治河野氏:日本を前にすすめる。温もりのある国へ高市氏:政策9つの柱これと、各人の著書、具体的には岸田氏の「岸田ビジョン 分断から強調へ」(講談社)、河野氏の「日本を前に進める」(PHP新書)、高市氏の「美しく、強く、成長する国へ。―私の『日本経済強靱化計画』―」(WAC)、野田氏の「みらいを、つかめ 多様なみんなが活躍する時代に」(CCCメディアハウス)や、日本記者クラブでの総裁選候補討論会の動画、テレビ朝日での全員出演動画などを参考に各人の主張を紹介するとともに、そこに若干の論評を加えてみたい。ちなみに予め言っておくと、私がこれら候補に関する主張や報道を読んで、各人の底流に流れる政治思想を「○○主義」と名づけるなら、岸田氏は「協調主義」、河野氏は「合理主義」、高市氏は「国粋主義」、野田氏は「女性活躍主義」と表現する。さてその各人の考える新型コロナ対策だが、実はテレビ朝日への出演では、番組サイドが「何をコロナ対策の一丁目一番地と考えるか?」を尋ねている。岸田氏は「病床・医療人材の確保を徹底」を挙げた。これについてはこれまでの岸田氏の主張やそれにかかわる報道から解説が必要だろう。まず、岸田氏は今後もワクチン接種を推進して行く中で11月には希望者全員のワクチン接種が終了し、経口治療薬の登場までの間隙を縫って第6波が来ることも想定し、そこに向けた対策として病床・人材の確保を主張する。この点は岸田氏の政策集の『コロナ対策 岸田4本柱』にもあるように、重症者は国公立病院のコロナ重点病院化、一般的な発熱患者や新型コロナの自宅療養者は開業医で対応し、この間をつなぐものとして政府による野戦病院的臨時医療施設の開設や借り上げした大規模宿泊施設などを中間設置して第6波に備えるというもの。基本は現状とあまり変わらないが、「病床・医療人材の確保を徹底」とは、要はこの中間施設のハードとソフトの確保を謳っていると思われる。もっとも東京都の例を挙げると、開設を予定した臨時医療施設の一部で稼働が遅れた主な原因が人員確保に手間取ったゆえだった。このことを考えると、それをここ2~3ヵ月で解決するのは容易ではない。そして今回のコロナ禍では第5波まで経験しながら、感染拡大局面で病床がひっ迫することについて世論からは一貫して疑問を呈せられてきた。この点の解決策については日本記者クラブでの記者会見で各人が考えを表明している。「臨時病院の設置も含め非常時の指揮命令系統と権限というのは、これは見直さなければいけない。今回痛切に感じたのは、ベッドはあるけれども高度な治療ができる人材やチームがいないこと。また、重症から回復した人を臨時病院や軽症・中等症の病床に移していくことがうまく動かなかった。そこはやはり国や都道府県の調整をしなければならなかった。国と都道府県、どちらが何をやるのかというのを決めなければいけない」(河野氏)「病床確保については国が総合調整機能を持って調整することになっているが、将来的により強力な調整機能を発揮のために新たなこの工夫が必要になる。一方的に強制すると現場の反発を買ってしまう。平素から診療報酬等の上乗せで優遇を与える『感染症危機中核病院』のようなものを設置し、危機の際には国のコントロールによって 半強制的にこうした病院に病床を提供してもらい、それに応じない場合はペナルティも考えていく仕掛けも必要」(岸田氏)「国民皆保険制度の下である以上、緊急事態では国や地方自治体が医療機関や医療従事者に対して、病床確保等の必要な対応を命令する権限を持つことも含めて法案化を考えたい」(高市氏)「急変時に医療の手が届かないことを考えると自宅療養という仕組みはもう無理。入院できないならば危機的な時だけ国がサブホスピタルを作る必要がある」(野田氏)4氏のコロナ政策、主張あれこれテレビ朝日で「コロナ対策一丁目一番地」として河野氏が主張したのは「政府による製造支援も念頭に置いた、簡易検査キットの低コストでの大量調達と供給。薬局での販売解禁」である。簡易検査はたぶん抗原検査を意味していると思われる。河野氏は「どんどん検査をすることで、見える景色が大きく変わってくると思います」と述べているが、どのような着地点を持ってこの主張をしているかが不明である。第5波では膨大な数の検査陽性者が発生したことで、保健所も医療機関もキャパシティーをオーバーし、半ば機能不全に陥った例もある。実際、河野氏が言う簡易検査を不特定多数に行った場合、かなりの陽性者が判明するはずで、そうした人を自宅待機にするのか、その場合誰がどうフォローアップするのかなど抱えている課題は多い。ちなみに岸田氏も『コロナ対策 岸田4本柱』で「予約不要の無料PCR 検査所の拡大と、簡易な抗原検査など在宅検査手段の普及促進」を謳っているが、PCR検査ともなるとそこにも人材の配置が必要になるため、前述の河野氏のところで指摘した課題に加え、再び人材確保という壁にぶち当たる。一方、高市氏と野田氏がテレビ朝日で第一に主張したのは、ともに感染者の重症化を予防するための「治療薬の確保」。ちなみに高市氏はわざわざ「国産の治療薬」としていたのが、彼女らしいとも言える。日本記者クラブでの討論会では「ワクチンまた治療薬の国産化に向けてとくに生産設備に対するしっかりとした投資(支援)をする」との考えも示している。この点は政策集などで河野氏も「治療薬と国産ワクチンの確保」を主張し、岸田氏も年内の治療薬登場に期待するコメントを日本記者クラブでの会見で述べている。現在、第III相試験中と最も開発が先行しているmolnupiravirは外資系のメルク社のものであり、それも年内中の上市については未知の部分は残されている。そして国産の治療薬、ワクチンに関しては、塩野義製薬のプロテアーゼ阻害薬が第I/II相、第一三共のmRNAワクチン、塩野義製薬の組み換えタンパクワクチン、KMバイオロジクスの不活化ワクチンのいずれもがやはり第I/II相と初期段階に過ぎない。アンジェスのDNAワクチンが第II/III相だが、最近になって高用量での第I/II相を開始したことから考えると、第II/III相まで進行した当初の用量での臨床試験は芳しいものとは言えなかったと見る向きもある。いずれにせよ国産化まではまだ相当時間を要する見通しで、この点は各人ともやや楽観的過ぎるともいえる。なおワクチン接種に関しては各人とも推進の方針。この中で河野氏はワクチン担当相ということもあってか、3回目のブースター接種開始への意欲を示したほか、来年以降に現行のmRNAワクチンが生後6ヵ月以上に適応拡大が進む見通しについて言及。野田氏も現在ワクチン接種対象外の11歳以下の小児に対し、希望者へのワクチン接種推進を訴えている。ちなみに野田氏のこの主張の背景には2010年にアメリカで卵子提供を受け妊娠、2011年1月に出産した障害児の息子を抱えることも念頭にあっての発言だろうと推察される。コロナの先を見据える女性陣その意味ではテレビ朝日での4氏討論の際は次なる感染拡大時のロックダウンの可否について、野田氏だけが否定的な見解を示した。その理由については現時点で法制度上不可能なこと、ワクチン接種、病床確保などそれ以前に行うべきものがあると挙げながら、「人がウイルスを運んでいるようなものですが、人は生きていくために動かなければいけません。とくに子供は動き回らなければいけないので、そこは冷静に判断していかなければいけません」と述べている。やはりここでも「子供」が出てくるところは少子化対策に熱心な野田氏らしい視座とも言える。一方、高市氏と河野氏は、どちらかというとより強力な新興感染症が登場することを念頭に法令上の整備が必要という考え。岸田氏はいわゆる外出禁止やそれに伴う刑事罰などを含めた厳密な意味でのロックダウンは日本に合わないとして、「ワクチン接種証明や陰性証明を組み合わせて、人流抑制をお願いする日本型のロックダウン政策」を述主張する。岸田氏は「電子的なワクチン接種証明の積極活用」も政策として掲げていることから、先日政府が発表した行動制限緩和策の「ワクチン・検査パッケージ」に何らかの法的な位置付けを与えて人流抑制に活用しようというものらしい。菅首相にチクリの男性陣今回の自民党総裁選で菅首相の不出馬というサプライズが起こる前から一番手で立候補に名乗りを上げていただけあって、岸田氏の場合、政策集に書かれていることは実現の可否は別にして充実している。その中で公衆衛生上の危機発生時に国・地方を通じた強い司令塔機能を有する「健康危機管理庁(仮称)」と「臨床医療」「疫学調査」「基礎研究」を一体的に扱う「健康危機管理機構(仮称)」の創設を謳っている。また、菅首相の対応をやんわり批判した発言も目に付く。今回のコロナ対応について岸田氏は「国民への丁寧な説明」と「楽観的な見通し」が課題だったと各所で指摘している。この点について日本記者クラブでの公開討論会では「国民の協力が必要な中では納得感のある説明、(政策決定の)結果だけではなく、そこに至るプロセスなどを丁寧に説明する必要があった」と指摘している。これは菅首相による複数回の緊急事態宣言の発出時のことが念頭にあることは明らかである。同時に別の場所では、楽観的な見通しについて緊急事態宣言解除の時期などを挙げている。もし、岸田氏が自民党総裁となり、その後総理大臣となることがあったら、この点がどの程度実現できるかは注視したいところである。一方、河野氏も国民への説明については自らの政策集で「新型コロナウイルスについて、最新の科学的知見に基づいたわかっていること、わからないこと、できること、できないことをしっかりと国民と共有し、謙虚に、わかりやすい対話をしながら決めていきます」としている。時にはスタンドプレーになりがちな河野氏のことは本連載でも指摘してきたが、一大臣と総理大臣では求められるものの質と許容されることの幅も異なってくる。さてさて最終的にどうなることやら。個人的にはかなり注目しているところである。

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キッズ・オールライト(その1)【どうしても生みの父親を知りたい? それぞれの利害は?(精子提供)】Part 1

今回のキーワード精子バンク生殖補助医療法出自を知る権利アイデンティティ子育ての私物化生殖心理皆さんは、もしも今、実は自分が精子バンクから提供された精子によって生まれたと知らされたら、どう思いますか? 率直になんでと思いませんか? そして、じゃあ自分が半分受け継いだ生みの父親、つまり精子ドナーは誰なのと思いませんか? そもそも、もっと早くに親から教えてほしかったと思いませんか?このように、精子提供によって生まれた子どもがその事実やそのドナーを知る権利は、生殖補助医療で生まれた子どもの出自を知る権利と呼ばれています。2020年に生殖補助医療法が成立し、精子を提供された夫婦と生まれた子どもの親子関係を明確化した一方、この出自を知る権利を保障する法案は、持ち越されたままになっています。なぜ法整備がなかなか進まないのでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、ヒューマン映画「キッズ・オールライト」を取り上げます。レズビアンカップルと精子ドナーから生まれた子どもたちの親子関係が描かれ、一見特殊なケースのように思われますが、精子を提供された不妊夫婦や特別養子縁組(実子扱いになる養子縁組)を利用した夫婦の心理に重なる面を考えれば、それほど特殊ではないことに気づきます。この映画を通して、今回は、その1で、精子提供によって生まれた子どもの心理、精子を提供された親の心理、さらには精子ドナーの心理をそれぞれ掘り下げます。その2で、彼らのそれぞれの心理をから、生殖ビジネスの、ある「不都合な真実」を明らかにします。そして、その3で、その「不都合な真実」を踏まえて、その子どもは、そして国はどうすればいいのかを一緒に考えます。精子提供によって生まれた子どもの心理は?18歳のジョニと15歳のレイザーは姉と弟。彼らには、2人の同性婚のレズビアンの母親がいます。精子バンクから同じドナーの精子を提供されて、ジョニは母親のニックから、レイザーは母親のジュールスからそれぞれ生まれました。彼らは、母親が2人で父親はいないですが、叱られたり反抗したりと親子げんかをしながらも、ごく普通の家族として仲良く4人で暮らしてきました。しかし、思春期になった彼らは、精子提供によって生まれた事実によって、彼らならではのある葛藤が生まれます。まず、彼らのその心理を大きく3つ挙げてみましょう。(1)真実をきちんと教えてほしい-信頼関係ジョニとレイザーは、物心ついた頃から、母親が2人いて父親がいない自分たちの家族は、ほかの家族とは違うことに気づいていました。そして、ニックとレイザーは、早い段階で、2人の母親から、精子ドナーによってそれぞれ生まれたと知らされたことが想像できます。1つ目の心理は、なんで精子提供によって生まれたのか、その経緯をはじめとする真実をきちんと教えてほしいと思うことです。これは、親子の基盤となる信頼関係です。とくに子どもの出自に関する事実はなおさらです。逆に言えば、真実を隠してしまえば、それが後々にばれた場合、親子の信頼関係が大きく揺らぐでしょう。この問題の本質は、実の父親が精子ドナーであったことではなく、その父親が精子ドナーであったことを隠し続けてきたこと、つまり親が子どもの出自について重大なウソをついていたことです。現在では、DNA鑑定などの科学技術の進歩によって、誰でも自分の遺伝情報を知ることができる時代です。育ての父親と自分に血のつながりがないことがすぐにはっきりしてしまいます。(2)自分のもう半分のルーツを知りたい-アイデンティティ未成年の弟レイザーの懇願もあり、成人になった姉ジョニは、精子バンクの会社に問い合わせて、精子ドナーと連絡を取り合います。そしてレイザーと一緒に精子ドナーであるポールに会うのです。初対面で、ジョニは、ポールに好印象を持ちます。一方、レイザーは話が噛み合わず、期待していた展開と違っていたことにがっかりするのでした。2つ目の心理は、精子ドナーはどんな人なのか、つまり自分のもう半分のルーツを知りたいと思うことです。これは、思春期に確立するアイデンティティです。それは、自分の半分が、お金で買った精子というモノではなく、人として確かに存在していると実感することです。さらには、自分と似ているのかという好奇心や、男親への理想化や憧れもあるでしょう。逆に言えば、自分のもう半分のルーツが分からなければ、アイデンティティが定まらなくなるでしょう。実際に、これまで日本では、精子ドナーが匿名で集められてきた長い歴史があり、精子ドナーを特定しようがありません。少ないながらも、近親婚のリスクもあります。自分が結婚する時に、その葛藤や差別に悩むかもしれません。さらに、これまでの人生がうまく行っていない場合、その原因を「自分のもう半分が分からないからだったんだ」と決め付けて責任転嫁をしてしまい、自分の責任として人生を良くして行こうとしなくなる危うさもあります(認知的不協和)。(3)生みの親にも自分の存在を認めてほしい-自尊心レイザーは、ポールのマイペースさに最初はがっかりしていましたが、繰り返し会ううちに、親しみが沸いてきます。そして、ついに「なんで精子を提供したの?」「いくらだったの?」とストレートに質問します。最初、ポールから「献血よりおもしろいと思ったからだよ」「いやあ、人の役に立ちたかったし」「報酬は60ドルくらい」と説明され、またがっかりします。しかし、最後にポールから「でも、やって良かったよ」とひとこと言われて、レイザーはようやくほっとするのでした。3つの目の心理は、自分は望まれて生まれたのか、つまり生みの親にも自分の存在を認めてほしいと思うことです。これは、自分のルーツである生みの親からの受容による自尊心です。もちろん、育ての親からすでに受容されていますが、さらには生みの親にも「あなたの精子が自分になったんです」と自分の存在を突きつけることで、自分の存在を受け止めてほしいと思うことです。逆に言えば、生みの親に自分の存在を認めてもらえなければ、自尊心が不安定になるでしょう。次のページへ >>

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キッズ・オールライト(その1)【どうしても生みの父親を知りたい? それぞれの利害は?(精子提供)】Part 2

精子を提供された親の心理は?一方で、精子を提供された親の心理とはどういうものでしょうか? ここからその心理を大きく3つ挙げてみましょう。(1)精子提供はなかったことにしたい-保守的な認知2人の母親のニックとジュールスは、ジョニとレイザーに精子提供の事実をすでに伝えていましたが、日常生活の中では、話題にしたがらなかったようです。実際に、ジョニは、その気持ちを察して、レイザーから精子ドナーの問い合わせをせがまれた当初、「ママたちが傷つくし、面倒なことは嫌」と言っていました。1つ目の心理は、精子提供はなかったことにしたいと思うことです。これは、精子提供の事実を突き詰めていくと、「普通」ではない親子であることを認めることになり、子どもが今までと同じように接してくれなくなるのではないかと怖れるからです。この根っこには、普通が良い、ほかの人と同じほうが良いとつい思ってしまう保守的な認知があります。すでに、ニックとジュールスは、レズビアンであることもあり、「普通」かどうかについては敏感でしょう。そして、「普通」ではないことで、家族関係が壊れてしまうのではないかと怖れてもいます。さらに、この保守的な認知は、隠せるものなら隠しておきたいと思う心理にも発展します。レズビアンカップルや選択的シングルマザーであれば、その子どもが父親のいないことに自然と疑問を持つので、必然的にその真実を迫られます。一方、精子を提供された不妊夫婦は、母親と父親としてもともといるので、その子どもが積極的に疑問を持つことはなく、真実を迫られることはありません。このような事情から、日本では、実際にいまだにその真実を隠そうとする風潮があります。彼らは、現実と向き合う苦しみから子どもを守るために秘密にするのだと言います。つまり、子どもを傷つけないためだという理屈です。しかし、これは、同時に、自分たちが傷つきたくないという思いも見え隠れします。つまり、父親が精子ドナーであることは子どもも自分も普通ではないと思われる(普通ではないと自分が思っている)というとらわれです。この理屈は、日本でも、初期の不妊夫婦への精子提供でまかり通っていました。当時の精子提供の条件は、当事者がその事実を秘密にすることでした。不妊夫婦は、ただでさえ子どもができないことに引け目があります。この口止めの条件は、不妊夫婦にさらに負い目を植え付けます。精子提供は不幸であるというレッテル貼りです(ラベリング)。そして、夫婦の自尊心を下げて、保守的な認知にさせることで、秘密保持を助長しています。しかし、実際には、隠した期間が長ければ長いほど、ばれた時の子どもへのダメージはより深刻になります。また、死ぬまで隠し通せればいいと思うかもしれませんが、現実的には、隠し通すことへの罪悪感やいつばれるかという恐怖感から、やはり子どもへの親の接し方が不自然になってしまいます。また、父親と子どもの血液型が一致しないことが後々に判明したり、父親または子どもが遺伝疾患を発症したことで血のつながりを曖昧にできなくなったりすることもあります。最悪のシナリオは、最後に親が隠し通す重荷に疲れてやけになったり、親の離婚をきっかけに、その秘密を突然漏らしてしまうことです。この親の心理は、真実をきちんと教えてほしいと思う子どもの心理とは真逆です。(2)精子ドナーを知らないでほしい-親アイデンティティニックとジュールスは、子どもたちが自分たちの知らないうちに精子ドナーに会ったことを知り、表向きは理解をしようとしつつ、2人きりになると「「生物学的な父親だけど不愉快でむかつく」と打ち明けます。2つ目の心理は、精子提供の事実を伝えたとしても、ドナーを知らないでほしいと思うことです。これは、精子ドナーの身元や実体が明らかになると、自分たちが築き上げた親の地位が脅かされると思ってしまうからです。この根っこには、自分たちだけが親であると思いたい親アイデンティティがあります。そもそも、4人家族とは言え、ニックとレイザー、ジュールスとジョニには血のつながりがありません。一方で、精子ドナーであるポールは、ジョニとレイザーの両方に血のつながりのある点で、脅威なのです。そして、育ての親としての親アイデンティティが揺らいでしまうのです。精子を提供された夫婦にとって、生まれた子どもは、「半養子」と呼ばれることがあります。とくに血のつながっていない父親としては、子どもを「実子」と思いたいがために、子どもが精子ドナーの身元や実体を知らないままでいてほしいと思うのです。この親の心理は、自分のもう半分のルーツを知りたいと思う子どもの心理とは真逆です。(3)精子ドナーとかかわってほしくない-子育ての私物化ニックとジュールスは、「子どもたちとの時間を誰にも奪われたくない」と言います。ただ、子どもたちへの配慮から、1回だけと決めて、家族4人で精子ドナーのポールと食事をするのです。しかし、ニックは、ポールを目の前にして、表向きは穏やかでも、引きつった笑顔でポールのプライベートを根掘り葉掘り聞き出し、問い詰めます。そして、ポールから冗談交じりに「主席尋問官みたいだね」と言われてしまうのです。3つ目の心理は、精子ドナーを知ってしまったとしても、かかわってほしくないと思うことです。これは、精子ドナーと子どもたちを引き合わせてしまったら、子どもたちが精子ドナーから影響を受けてしまうと思うからです。この根っこには、子育ては自分たちだけでやりたいと思う子育ての私物化があります。さらに、この子育ての私物化は、精子ドナーを敵視する心理にも発展します。生みの親(精子ドナー)は、子どもからすれば自分のルーツとして必要不可欠な存在です。一方で、精子を提供された親からすれば、お互いに匿名化された存在であるはずです。もっと言えば、精子を提供されたあとは不要な存在です。そんな存在がいきなり現れたら、心地良くは思わないでしょう。この親の心理は、生みの親にも自分の存在を認めてほしいと思う子どもの心理とは真逆です。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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キッズ・オールライト(その1)【どうしても生みの父親を知りたい? それぞれの利害は?(精子提供)】Part 3

精子ドナーの心理は?さらに、精子ドナーの心理とはどういうものでしょうか? ここからその心理を大きく3つ挙げてみましょう。(1)楽して儲かる―外発的動機づけポールは、レイザーから「(精子提供の報酬が)それだけ!?」と悲しそうに言われて、「(60ドルは)当時の僕には大金だったけどね。今なら90ドルくらいかな」と付け加えます。1つ目の心理は、精子提供は楽して儲かると思うことです。これは、純粋に報酬が高いという外発的動機づけです。とくに、経済力のない学生ならなおさらでしょう。日本でも、かつて特定の私大医学部で医学生を対象に1回1万円の報酬で行われてきました。しかし、匿名を条件にしていたため、その精子ドナーが記録されることはありませんでした。(2)人の役に立てる-利他性ポールは、精子提供の理由を「人の役に立ちたかったし」とレイザーに説明していました。2つ目の心理は、精子提供は人の役に立てると思うことです。これは、寄付(献金)、献血、骨髄提供、臓器提供、献体などと同じく、そうすることで社会に貢献したいという利他性です。そうしたいからそうするという内発的動機づけの1つでもあります。ポールは、マイペースではありますが、相手を喜ばせることが好きな一面もあるので、なおさらでしょう。自分の遺伝子を残せる―生殖心理ポールは、精子提供の理由を「献血よりおもしろいと思ったから」とレイザーに説明していました。この「おもしろい」と思うことも、好奇心として内発的動機づけの1つです。その根っこにある心理は何でしょうか?3つ目の心理は、精子提供は自分の遺伝子を残せると思うことです。これは、子孫を残したいという生殖心理です。ポールは、独身主義で結婚相手や子どもそのものを望んでいませんでしたが、精子提供は自分の遺伝子を残す代わりの行動として、生殖心理の視点から考えると理に適っていると言えるでしょう。なお、生殖心理の詳細については、関連記事1をご覧ください。<< 前のページへ■関連記事コウノドリ(その2)【なんで子どもがほしいの? 逆になんでほしくないの?(生殖心理)】Part 1

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