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アルツハイマー病最新治療薬の認知機能改善に対する有効性比較

 近年、新たなアルツハイマー病治療薬が登場し、臨床試験において認知機能および臨床症状に対する有望な結果が得られている。しかし、多くの薬剤の中から最も効果的な治療オプションを選択することについては、依然として議論が続いている。中国・西安交通大学のWeili Cao氏らは、新規アルツハイマー病治療薬の有効性を比較し、それらの薬剤をランク付けするために、ネットワークメタ解析を実施した。Neuroscience誌2025年1月号の報告。 各種データベース(PubMed、Web of Science、Cochrane LIbrary、gov)より、2020〜24年に公表されたランダム化比較試験をシステマティックに検索し、ランダム効果ネットワークメタ解析を実施した。アルツハイマー病評価尺度の認知サブスケール(ADAS-cog)、臨床認知症評価尺度(CDR-SB)、認知症患者における日常生活動作評価尺度(ADCS-ADL)などのいくつかの主要指標について、比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・ADAS-cogの改善において、プラセボよりも有効であった薬剤は、次のとおりであった。【GV-971】MD:−2.36、95%CI:−5.08〜0.35【レカネマブ】MD:−2.00、95%CI:−5.25〜1.26【ドナネマブ】MD:−1.45、95%CI:−4.70〜1.81【masupirdine】MD:−0.83、95%CI:−3.49〜1.84・CDR-SBにおいては、レカネマブがより有効であった(MD:−3.11、95%CI:−5.23〜−0.99)。・ADCS-ADLにおいて、ドナネマブはプラセボと比較し、より有効であった(MD:−3.26、95%CI:1.48〜5.05)。・SUCRA値の比較では、GV-971は、ADAS-cog(76.1%)およびBPSD評価尺度NPI(68.7%)において優れた治療効果が認められ、レカネマブは、他の薬剤よりもCDR-SBスコアの改善に有効であった(98.1%)。・ドナネマブは、ADCS-ADLスコアの低下に対し最も有望な薬剤である可能性が示唆された(99.8%)。・ミニメンタルステート検査(MMSE)に対するmasupirdineの有効性は、他の薬剤よりも有意に良好であった(80.7%)。 著者らは「ドナネマブおよびレカネマブは、ADCS-ADLおよびCDR-SBにおいて優れた有効性が確認された。また、GV-971は、ADAS-cogおよびNPIの改善に最適な選択肢である可能性が示唆された」と結論付けている。

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レムデシビルの添付文書改訂、「重度の腎障害患者への投与は推奨しない」を削除

 新型コロナウイルス感染症治療薬であるレムデシビル(商品名:ベクルリー)の添付文書の改訂について、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページ上に12月16日掲載された。「eGFR30未満の重度の腎機能障害患者への投与は推奨しない」を削除 今回の改訂では、「特定の背景を有する患者に関する注意」の「腎機能障害患者」の項目で、「重度の腎機能障害(成人、乳児、幼児及び小児はeGFRが30mL/min/1.73m2未満、正期産新生児(7日~28日)では血清クレアチニン1mg/dL以上)の患者投与は推奨しない。治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を考慮すること」という記載が削除された。また、「薬物動態」の項目では、腎機能障害患者におけるレムデシビルの薬物動態データが追記された。 本改訂において、COVID-19で入院した重度の腎機能障害患者(eGFR30未満)を対象とした海外第III相試験(GS-US-540-5912試験)および腎機能の程度別被験者(eGFR15未満、15以上30未満、30以上60未満、60以上90未満、90以上)を対象とした海外第I相試験(GS-US-540-9015試験)の試験成績を得られたことから、改訂可能と判断された。 なお本剤について、欧州では2023年6月、米国では2023年7月に、透析を受けている患者を含む重度の腎機能障害を有するCOVID-19患者の治療薬として承認されており、全ステージの腎疾患に対して使用可能である。

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エンシトレルビルとモルヌピラビル、妊婦禁忌の注意を強化/PMDA

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は12月17日、新型コロナウイルス感染症治療薬のエンシトレルビル フマル酸(商品名:ゾコーバ錠)およびモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオカプセル)について、妊娠する可能性のある女性への投与における適正使用のお願いを発出した1)。 新型コロナウイルス感染症の経口抗ウイルス薬であるエンシトレルビルおよびモルヌピラビルは、催奇形性リスクを有することから、妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与は禁忌とされている。一方で、各薬剤の投与後に妊娠が判明した症例の報告が現在も継続している。これまでに、エンシトレルビルで54例、モルヌピラビルで19例が報告されている。 今回公表された「PMDAからの医薬品適正使用のお願い」には、以下のとおり記載している。妊娠する可能性のある女性への投与に際しての注意事項 妊娠する可能性のある女性への投与に際しては、本剤投与の必要性を十分に検討すること。また、投与が必要な場合には、次の注意事項に留意すること。●本剤投与開始前に十分な問診により患者が妊娠していないこと及び妊娠している可能性がないことを確認すること。●次の事項について、本剤投与開始前に患者に説明すること。・妊娠中に本剤を服用した場合、胎児に影響を及ぼす可能性があること。・本剤服用中に妊娠が判明した又は疑われる場合は、直ちに服用を中止すること。・本剤服用中及び最終服用後2週間(ゾコーバ錠)又は4日間(ラゲブリオカプセル)における妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに医師、薬剤師等に相談すること。 これらの注意事項の確認とともに、製造販売業者が周知している薬剤服用時の事前のチェックリスト(医薬品リスク管理計画書[RMP]医療従事者向け資材)および処方された女性患者と家族向けの資材(RMP患者向け資材)の活用を促している2~5)。 また厚生労働省は同日に、上記の内容について、両剤の添付文書の重要な基本的注意の項目に追記する改訂指示を発出した。

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SGLT2阻害薬やMR拮抗薬などで添文改訂指示/厚労省

 2024年12月17日、厚生労働省はSGLT2阻害薬やミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MR拮抗薬)などに対して、添付文書の改訂指示を発出した。ケトアシドーシスの持続に注意 SGLT2阻害薬はこれまでにもケトアシドーシスに関連した注意喚起がなされていたが、投与中止後の尿中グルコース排泄およびケトアシドーシスの遷延に関連する症例が集積し、現行の注意喚起からは予測できない事象と結論付けられたことから、重要な基本的注意の項に「本剤を含むSGLT2阻害薬の投与中止後、血漿中半減期から予想されるより長く尿中グルコース排泄及びケトアシドーシスが持続した症例が報告されているため、必要に応じて尿糖を測定するなど観察を十分に行うこと」が新たに追記される。 対象医薬品は以下のとおり。・エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)・ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物(同:フォシーガ)・イプラグリフロジン L-プロリン(同:スーグラ)・カナグリフロジン水和物(同:カナグル)・トホグリフロジン水和物(同:デベルザ)・ルセオグリフロジン水和物(同:ルセフィ)MR拮抗薬、禁忌が一部変更に MR拮抗薬のエプレレノン(商品名:セララ)とエサキセレノン(同:ミネブロ)はカリウム貯留作用により高カリウム血症を誘発する可能性がある薬剤であるため、ヨウ化カリウムとの併用が禁忌となっている。しかし、両剤を服用中の患者において、現行では放射線による内部被爆の予防・低減のためにヨウ化カリウムを使用できないことから、「放射性ヨウ素による甲状腺の内部被曝の予防・低減に使用する場合」については、禁忌の項から除外され、併用禁忌から併用注意に変更される。同様に、ヨウ化カリウムの添付文書もエプレレノンとエサキセレノンを併用禁忌から併用注意へ変更される。

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慢性B型肝炎への低分子干渉RNA薬xalnesiran、抗原消失率は?/NEJM

 ヌクレオシド/ヌクレオチドアナログ(NA)療法でウイルス学的抑制が得られている慢性B型肝炎ウイルス(HBV)感染患者において、xalnesiranと免疫調節薬の併用療法は高頻度に治療終了後24週時のHBV表面抗原(HBs抗原)の消失をもたらしたが、Grade3または4の有害事象が半数の患者に認められた。中国・南方医科大学のJinlin Hou氏らPiranga Study Groupが、海外第II相多施設共同無作為化非盲検アダプティブプラットフォーム試験「Piranga試験」の結果を報告した。xalnesiranは、HBVゲノムの保存領域を標的とし複数の転写産物を抑制する低分子干渉RNA薬で、免疫調節薬併用の有無にかかわらず慢性HBV感染患者に対する有効性が示されている。今回は、免疫調節薬として、肝臓で選択的に活性化されるToll様受容体7(TLR7)アゴニストのruzotolimod、またはペグインターフェロン アルファ-2a(PEG-IFNα-2a)とxalnesiranの併用、xalnesiran単剤の有効性と安全性が評価された。NEJM誌2024年12月5日号に掲載の報告。xalnesiran単剤または免疫調節薬併用をNA療法と比較 研究グループは、12ヵ月以上前からNA単剤療法を受け、スクリーニングの6ヵ月以上前からHBV DNAが20 IU/mL未満の18~65歳の慢性HBV肝炎患者を、xalnesiran 100mg(第1群)、同200mg(第2群)、xalnesiran 200mg+ruzotolimod 150mg(第3群)、xalnesiran 200mg+PEG-IFNα-2a 180μg(第4群)、NA療法単独群(第5群)の5群に無作為に割り付けた。 xalnesiranは4週ごとに48週間皮下投与、ruzotolimodは13~24週時および37~48週時に隔日経口投与、PEG-IFNα-2aは週1回48週間皮下投与した。NA療法は、すべての群で全例、中止基準を満たすまで継続した。 有効性の主要エンドポイントは、48週間の治療終了後24週時点におけるHBs抗原消失(HBs抗原値が検出限界[0.05 IU/mL]未満と定義)、副次エンドポイントは、HBs抗原セロコンバージョンなどとし、安全性についても評価した。 本試験は各群約30例を目標症例数として2020年7月5日~2021年11月29日に登録が行われ、計160例が無作為化された(試験完了は2021年2月22日~2023年10月2日)。HBs抗原消失率は、xalnesiran単独3~7%、ruzotolimod併用12%、PEG-IFNα-2a併用23% 投与開始前に試験を中止した第5群の1例を除く159例が解析対象となった(第1~5群でそれぞれ30例、30例、34例、30例、35例)。 主要エンドポイントを達成した患者の割合は、第1群7%(95%信頼区間:1~22)、第2群3%(0~17)、第3群12%(3~28)、第4群23%(10~42)、第5群0%(0~10)であった。 治療終了後24週時点におけるHBs抗原セロコンバージョンは、第1~5群においてそれぞれ3%、0%、3%、20%、0%に認められた。HBs抗原が消失、セロコンバージョンが得られた患者は、スクリーニング時のHBs抗原値が1,000 IU/mL未満の患者のみであった。 Grade3または4の有害事象は、第1~5群においてそれぞれ17%、10%、18%、50%および6%に発現し、最も頻度の高い事象はアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)上昇であった。

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経口SERDのimlunestrant、ER+/HER2-進行乳がんのPFSを改善(EMBER-3)/NEJM

 エストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性(ER+/HER2-)進行乳がん患者において、ESR1(ERαをコードする遺伝子)変異陽性の患者では、imlunestrant単剤療法が標準内分泌療法よりも無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが示され、被験者全集団では、imlunestrant+アベマシクリブ併用療法がimlunestrant単剤療法よりもPFSを有意に延長したことが示された。米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのKomal L. Jhaveri氏らEMBER-3 Study Groupが、第III相非盲検無作為化試験「EMBER-3試験」の結果を報告した。imlunestrantは次世代の脳内移行性の高い経口選択的ER分解薬(SERD)で、ESR1変異陽性乳がんにおいても持続的にERを阻害する。NEJM誌オンライン版2024年12月11日号掲載の報告。imlunestrant単剤、標準内分泌療法、imlunestrant+アベマシクリブ併用を比較 EMBER-3試験では、アロマターゼ阻害薬単剤またはCDK4/6阻害薬との併用による治療中もしくは治療後に病勢進行が認められたER+/HER2-進行乳がん患者において、imlunestrant単剤治療およびアベマシクリブとの併用治療の有用性を検討した。 被験者は、imlunestrant単剤療法(1日1回400mg、imlunestrant群)、標準内分泌療法(治験医師がエキセメスタンまたはフルベストラントから選択、標準内分泌療法群)、imlunestrant(1日1回400mg)+アベマシクリブ(1日2回150mg)併用療法(imlunestrant+アベマシクリブ群)に、1対1対1の割合で無作為化された。 主要評価項目は、治験医師評価によるPFSで、ESR1変異陽性患者および全集団においてimlunestrant群と標準内分泌療法群を比較し、また全集団においてimlunestrant+アベマシクリブ群とimlunestrant群を比較した。imlunestrant単剤、さらにimlunestrant+アベマシクリブ併用でPFS延長 2021年10月~2023年11月に、22ヵ国195施設で874例が無作為化された(imlunestrant群331例、標準内分泌療法群330例[292例がフルベストラント投与]、imlunestrant+アベマシクリブ群213例)。全患者の年齢中央値は61歳(範囲:27~89)、55.5%に内臓転移があり、59.8%がCDK4/6阻害薬による治療歴を有していた。ESR1変異陽性患者は計256例(imlunestrant群138例、内分泌療法群118例)。 主要解析(データカットオフ日:2024年6月24日)時点で、計183例が治療継続中であった(imlunestrant群65例[19.6%]、標準内分泌療法群43例[13.0%]、imlunestrant+アベマシクリブ群75例[35.2%])。 ESR1変異陽性患者256例において、PFS中央値はimlunestrant群5.5ヵ月、標準内分泌療法群3.8ヵ月。19.4ヵ月時点の推定RMST(restricted mean survival time)は、imlunestrant群7.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:6.8~9.1)、標準内分泌療法群5.4ヵ月(4.6~6.2)であった(群間差:2.6ヵ月、95%CI:1.2~3.9、p<0.001)。全集団(imlunestrant群と標準内分泌療法群の計661例)では、PFS中央値はimlunestrant群5.6ヵ月、標準内分泌療法群5.5ヵ月であった(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.87、95%CI:0.72~1.04、p=0.12)。 imlunestrant+アベマシクリブ群とimlunestrant群の計426例(各213例)におけるPFS中央値は、それぞれ9.4ヵ月と5.5ヵ月であった(HR:0.57、95%CI:0.44~0.73、p<0.001)。同解析の結果は、ほとんどの患者サブグループ(ESR1変異あり/なし、PI3K経路変異あり/なし、CDK4/6阻害薬による治療歴ありなど)で類似していた。 Grade3以上の有害事象の発現率は、imlunestrant群17.1%、標準内分泌療法群20.7%、imlunestrant+アベマシクリブ群48.6%であった。主なGrade3以上の有害事象は、imlunestrant群と標準内分泌療法群では、貧血(2.1%、2.8%)、好中球減少症(2.1%、1.9%)であり、imlunestrant+アベマシクリブ群では、好中球減少症(19.7%)、下痢(8.2%)、貧血(7.7%)であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「imlunestrant単剤およびアベマシクリブとの併用における毒性は、低Gradeが多かった。imlunestrant単剤およびアベマシクリブとの併用は、ER+/HER2-進行乳がんで内分泌療法中に病勢進行が認められた患者において、経口分子標的治療の選択肢となることが示された」と述べている。

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BCMA標的CAR-TのICAHTに対する幹細胞ブースト療法の有用性/ASH2024

 免疫エフェクター細胞関連造血毒性(ICAHT)は、CAR-Tをはじめとする免疫療法による血球減少を引き起こし、感染症などのリスクとなる。KarMMa-1試験、CARTITUDE試験といった多発性骨髄腫の国際研究では、CAR-T投与早期(30日以内)に90%前後で好中球減少が発現し、それ以降も50%程度の割合で発現が続くと報告されている。 そのような中、CAR-T細胞療法を受けた再発・難治多発性骨髄腫(R/R MM)におけるICAHTの臨床経過と、ICAHTに対する自己幹細胞ブースト療法の効果を確認する後ろ向き試験が行われた。研究結果が米国・ウィスコンシン医科大学のKiritika Yadav氏により、第66回米国血液学会(ASH)で発表された。 対象はBCMA標的CAR-T細胞療法(ide celまたはcita cel)を受けたR/R MM患である。血球減少の定義は好中球≦1,000/mL、血小板≦50x109/L、ヘモグロビン≦9g/dL。ICAHTはCAR-T細胞投与後21日、3ヵ月、6ヵ月の時点で評価された。評価項目は、血球数回復、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)であった。 主な結果は以下のとおり。・全体で159例が登録された。・患者の年齢中央値は65歳、FISHまたはPET高リスクが77%、自家造血幹細胞移植(ASCT)実施が87%、前治療ライン数中央値は5、髄外病変あり28%、サイトカイン放出症候群(CRS)は85%、ICANSは12%に発現していた。・評価症例154例中89例でICAHTが発現した。・ICAHTの発現は21日後の58%(89例/154例)から3ヵ月後28%、6ヵ月後17%と時間とともに減少した。・ICAHTのリスク因子は、ASCT≧2回、前治療歴≧5ライン(対4ライン p=0.002)、ベースライン時の血小板数≦146×109/L(対194×109 p=0.005)、FISHまたはPET高リスク(p=0.012)、ICANS発現(p=0.006)、トシリズマブ使用(p=0.013)であった。・ICAHT発現82例(自家幹細胞保存症例)のうち、重度の血球減少のため自己幹細胞ブースト療法を受けた患者は22例(27%)であった。・自己幹細胞ブースト療法の投与期間中央値はCAR-T投与後52日間であった。・自己幹細胞ブーストを受けた患者の血球数は早期(CAR-T療法21日後)においては低値であったが、3ヵ月および6ヵ月後にはには受けない患者よりも大きく改善した。 Yadav氏は、重症ICAHT発現患者に対する自己幹細胞ブースト療法の恩恵を明らかにするためには、さらなる研究が必要だと述べた。

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ATTR型心アミロイドーシスにおいてブトリシランは全死亡を低下させQOLを維持する(解説:原田和昌氏)

 ATTRアミロイドーシスは、単量体がミスフォールドされたトランスサイレチン(TTR)がアミロイド線維として心臓、神経、消化管、筋骨格組織に沈着することで引き起こされる疾患で、心臓への沈着により心筋症が進行する。ATTR型心アミロイドーシスの治療薬としては、TTR安定化薬のタファミジスが承認されている(ATTR-ACT試験)。また、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の適応を取得しているsiRNA静脈注射剤のパチシラン(3週に1回投与)により、ATTR型心アミロイドーシス患者の12ヵ月時の機能的能力が維持されることが報告された(APOLLO-B試験)。さらに、高親和性TTR安定化薬であるacoramidisのATTR型心アミロイドーシスに対する有効性が報告されている(ATTRibute-CM試験)。 ブトリシランはパチシランと同様のsiRNA製剤(3ヵ月に1回皮下注射)であるが、異なるドラッグ・デリバリー・システムを有する。パチシランは肝臓にsiRNAを到達させるのに脂質ナノ粒子を用いるのに対し、ブトリシランはGalNAcという構造にて肝細胞内に取り込まれるよう設計されている。ブトリシランはすでにTTR-FAPの適応を取得しているが(HELIOS-A試験)、トランスサイレチン型心アミロイドーシス患者において、ブトリシランによる治療はプラセボと比較して全死因死亡および心血管イベントのリスクを低下させ、機能的能力とQOLを維持することが、英国のFontana氏らの無作為化二重盲検試験(HELIOS-B試験)にて示された。 ATTR型心アミロイドーシスと診断され臨床的心不全を有する患者655例にブトリシランまたはプラセボを無作為に割り付け、12週ごとに最長36ヵ月間投与を行い有効性と安全性を評価した。有効性のエンドポイントは全集団および単独療法集団(ベースラインでタファミジス非投与の患者)で評価した。ブトリシラン群は、プラセボ群と比較して全死因死亡および心血管イベントの再発リスクが有意に低下した(全集団HR:0.72、95%CI:0.56~0.93、単独療法集団HR:0.67、95%CI:0.49~0.93)。また、42ヵ月間の全死因死亡リスクが低下した(HR:0.65、95%CI:0.46~0.90)。ブトリシラン群はプラセボ群と比較して、6分間歩行テストの移動距離の短縮やKCCQ-OSスコアの低下が少なかった。同様のベネフィットは全集団でも単独療法集団でも観察された。有害事象の発現頻度は、両群で類似しており、重篤な有害事象の発現率はブトリシラン群62%、プラセボ群67%であった。 ATTR型心アミロイドーシスは予後不良の疾患で生存期間の中央値は診断から2~6年とされているが、本試験における42ヵ月の生存率はタファミジス投与、非投与を問わず約80%であった。ATTR型心アミロイドーシス治療において、値段の問題はあるが、もはやTTR安定化薬かRNA干渉薬かではなく、早期診断と併用治療で寿命を全うすることを目指す方針としてもよいのかもしれない。

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第243回 広がるCGP検査だが、コンパニオン診断薬として使う場合の診療報酬の低さゆえ、乳がんの治療薬トルカプが患者に使用されない事態に

メガバンクの行員の所業も“闇バイト”並の世の中にこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。最近、証券会社や金融機関など、犯罪からは縁遠そうな企業の社員などによる悪質な犯罪が次々と表沙汰になっています。金融庁や東京証券取引所などでインサイダー取引の疑惑が明るみになったり、野村証券の元社員が強殺未遂罪で起訴されたり、三菱UFJ銀行の元行員が貸金庫から顧客の現金や貴金属を盗んだりと、もはや一流大出の大企業のエリートだからと言って、信用できる時代ではなくなってきています。野村証券は12月3日、元社員が強盗殺人未遂と放火の罪で起訴された事件を受けて、奥田 健太郎社長らが記者会見を開き、経営幹部10人が役員報酬を自主返上すると明らかにしました。12月6日には三菱UFJ銀行の新たな不祥事が明るみに出ました。同日付の日経バイオテクは、「三菱UFJ銀行の管理職の元行員、カルナバイオへの脅迫などで起訴」というニュースを発信、バイオベンチャー、カルナバイオサイエンスに誹謗中傷や脅迫をしていたなどとして、11月7日に神戸地検に強要未遂罪で起訴された50代の被告人が、三菱UFJ銀行の管理職の元行員(起訴後に懲戒解雇)だったと報じています。同記事によれば、「カルナバイオサイエンス役員の写真を貼り付けて『無能な経営者』と誹謗中傷したり、『死ね』と脅迫したりなど悪質性が高いことから、同社は警察に相談。2024年8月1日に兵庫県警は威力業務妨害や脅迫の容疑で元行員を逮捕した。その後、2024年11月7日に神戸地検は、脅迫罪よりも重く、罰金刑が設けられていない強要未遂罪で元行員を起訴した」とのことです。また、この元行員は三菱UFJ銀行の内規に違反する株取引を行っていたとも書かれています。貸金庫から顧客の現金や貴金属を盗んだり、顧客を脅迫したりと、もはや日本を代表するメガバンクとは思えない行員たちの所業の数々。同行の頭取は12月16日に記者会見を開き、被害額が10数億円に上るという貸金庫窃盗について謝罪しましたが、頭取や担当役員の発言には“個人の犯罪”として収束させようという意図が見え隠れし、行員の管理や教育というところまでは目が届いていないようでした。いずれにせよ、「銀行員は信用できる」(あるいは、銀行員の悪行を隠蔽できていた)時代の終焉を感じさせます。皆さんも重々お気を付けください。さて今回は、診療報酬の仕組みの不備から、乳がん治療薬「トルカプ」の使用に医療現場で制限がかかり、本来、同薬の恩恵が受けられるはずの患者が使用できない事態になっているというニュースを取り上げます。こちらも先月、日経バイオテクが報じたものです。銀行員の不祥事のスクープから乳がん治療薬の最新動向まで、実に幅広い取材領域で頭が下がります。保険適用から5年超が経過したCGP検査日経バイオテクの11月18日号の特集記事「保険診療下でのがんゲノム医療に課題が露呈」は、2019年6月の保険適用から5年超が経過した包括的がんゲノムプロファイリング検査(以下、CGP検査)について現状と課題をまとめており、とても参考になりました。CGP検査は、がんの組織を使って多数の遺伝子を同時に調べる検査のことです。標準治療がない固形がん患者と、標準治療が終了(または終了見込み)となった固形がん患者が対象で、実施できる医療機関はがんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療拠点病院、がんゲノム医療連携病院に限られており、全国で273施設あります。このように全国に広がってきたCGP検査ですが、同記事によれば、「CGP検査をコンパニオン診断の目的で使用するのが難しく、一部の抗がん薬が使えない状態が生じている」とのことです。コンパニオン診断とは、ある治療薬が患者さんに効果があるかどうかを治療の前にあらかじめ検査することで、その診断のために使う薬はコンパニオン診断薬と呼ばれます。最近では、抗がん薬が新たに承認される際、その薬の効果を判定するためのコンパニオン診断薬として、CGP検査がセットで承認されるケースが増えています。標準治療がない固形がん患者らへのCGP検査は計5万6,000点だが…コンパニオン診断薬としてCGP検査を実施する場合、少なからぬ金銭的問題が生じます。それは、「標準治療がない固形がん患者と、標準治療が終了(または終了見込み)となった固形がん患者を対象」にがんゲノム医療中核拠点病院等がCGP検査を実施する場合と、一般の病院がコンパニオン診断薬としてCGP検査を実施する場合とで診療報酬が大きく異なるためです。具体的には、がんゲノム医療中核拠点病院等が、標準治療がない固形がん患者らにCGP検査を実施する場合、「がんゲノムプロファイリング検査」として4万4,000点、「がんゲノムプロファイリング評価提供料」として1万2,000点の合計5万6,000点(つまり56万円)を算定できるのに対し、一般の病院が通常のがん治療の一環でコンパニオン診断薬としてCGP検査を実施する場合は、「悪性腫瘍組織検査」の2,500点〜1万2,000点や、「BRCA1/2遺伝子検査」の2万200点しか算定できないのです。そうなると、得られる診療報酬がCGP検査で検査会社に支払う費用(相場は56万円の8割強程度の模様)よりも下回り、医療機関にとっては「持ち出し」となってしまうのです。日経バイオテクはこうした状況から、「PCR検査などCGP検査以外の検査が保険適用されていれば問題にはならないが、コンパニオン診断薬がCGP検査しか無い抗がん薬では、赤字覚悟でCGP検査を実施する医療機関はほぼ無く、患者にとっては死活問題になる」と書いています。トルカプが承認されたことで問題が顕在化もっとも、これまでもコンパニオン診断薬がCGP検査しかない抗がん薬は複数あったものの、まれな遺伝子変異を対象とした薬が主で、問題が大きくなることはありませんでした。しかし、2024年3月に乳がんの治療薬、トルカプ(一般名:カピバセルチブ)が承認されたことでこの問題が顕在化、「持ち出し」を避けたい医療機関が、同薬を本来使うべき患者の初回治療で使わない事態が生じているのです。トルカプは「内分泌療法後に増悪したPIK3CA、AKT1またはPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術切除不能または再発乳がん」を効能・効果とした薬剤です。手術不能の患者や再発した患者が初回治療で使える薬剤なので、投与対象の患者は多数に上るとみられています。ところが、トルカプのコンパニオン診断薬として認められているのは、「FoundationOne CDX がんゲノムプロファイル」というCGP検査のみです。医療機関がトルカプを初回治療で乳がん患者に使おうとした場合、この検査を行わなければなりませんが、その場合算定できる診療報酬は「悪性腫瘍組織検査」などで数千点、複数のコンパニオン診断を併せて実施したとしても最大1万6,000点程度に留まります。これでは、一般の医療機関がトルカプ使用に二の足を踏むのは当然と言えます。使えば患者1人当たり数十万円の赤字になってしまうのですから。日経バイオテクは「トルカプは標準治療が終了した乳がん患者にしか使われていない。臨床試験で効果が確認されている治療ラインとは異なるタイミングでの処方になっている」という同薬メーカーのアストラゼネカ担当者の言葉も紹介しています。今後もトルカプのようなケースは増えていく“本来使える人が使えていない”という状況を厚生労働省も認識はしているようですが、日経バイオテクの取材に対して保健局医療課の担当者は「専門家の意見を聞きながら引き続き検討していく」と答えるのみです。一方、アストラゼネカはCGP検査を用いないコンパニオン診断薬の開発に着手しているとのことです。日経バイオテクは、抗がん薬の臨床試験においてCGP検査が広く活用されており、結果、承認される際にCGP検査がコンパニオン診断薬として紐づけられることから、「今後もトルカプのようなケースは増えていくとみられる」と書いています。CGP検査がコンパニオン診断薬として使われる際の診療報酬体系については、次期改定を待たず、早急な見直しが必要だと考えられます。

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日本人の便失禁の現状が明らかに~約1万例のインターネット調査結果

 便失禁(FI)は、Rome IV基準では「4歳以上で繰り返す自制のきかない便の漏れ」と定義され、患者の健康関連の生活の質(HRQOL)に大きな影響を与える。ところが、日本の一般集団におけるFIの有病率に関する研究はほとんど行われていない。そこで、大阪公立大学の久木 優季氏らが日本人のFIの疫学についてRome IV基準を用いた調査を行ったところ、FI有病率は1.2%であることが明らかになった。Journal of Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2024年12月2日号掲載の報告。 本研究は18~79歳の日本人を対象としたインターネット調査を分析したもので、人口統計、併存疾患、ライフスタイル、腹部症状、排便習慣、HRQOL、およびRome IV基準にのっとった脳腸相関に関する調査を行った。また、多変量回帰分析により、Rome IV基準を満たすFI(Rome IV FI)に関連する因子を特定した。 主な結果は以下のとおり。・9,995例が分析され、そのうち過去3ヵ月以内に少なくとも1回のFIエピソードを経験した参加者は9.5%で、Rome IV FIの有病率は1.2%であった。・Rome IV FI患者は、排便を我慢できる者と比較し、HRQOLが著しく低下していた。・主な機能性消化管障害はRome IV FI患者(39.5%)と重複しており、機能性下痢(25.8%)が最も多くみられ、消化管障害が重複することで、Rome IV FI患者のHRQOLがさらに低下した。・アルコール消費は、胃食道逆流症、過敏性腸症候群、機能性腹部膨満、機能性下痢とは独立して、Rome IV FIと関連していた(オッズ比:1.82、95%信頼区間:1.24~2.66、p=0.002)。 研究者らは「生活習慣の改善がFI管理に及ぼす影響について調査するために、さらなる研究が必要」としている。

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うつ病、不安症、ADHD患者における双極症への移行率の比較

 一般的にみられる双極症の診断遅延は、アウトカム不良につながる可能性がある。ほとんどの研究では、主な前駆症状としてうつ病に焦点を当てているが、不安症や注意欠如多動症(ADHD)も、診断初期に高頻度で認められる。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のKevin Li氏らは、これらの前駆症状から双極症への移行率を調査し、相関関係を定量化するため、大規模な電子健康記録(EHR)を用いて、検討を行った。Journal of Affective Disorders誌2025年2月号の報告。 多様な都市医療センターであるジョンズ・ホプキンス・メディスンの10年間の包括的なEHRデータセットを分析し、うつ病、不安症、ADHDから双極症への移行率および相関関係を評価および比較した。移行のリスク因子は、比例ハザードモデルで時間変動変数として評価した。 主な結果は以下のとおり。・最初に対象となった2万1,341例のうち、1,232例が双極症に診断が移行した。・調整後1年診断移行率は、うつ病で4.2%、不安症で3.4%、ADHDで4.0%。・調整後10年診断移行率は、うつ病で11.4%、不安症で9.4%、ADHDで10.9%。・すべての前駆診断において双極症への移行と関連していた因子は、年齢(19〜29歳)治療環境(救急および入院)、向精神薬であった。・重度およびうつ病診断は、双極症への移行リスクの最も強力な因子の1つであった。・診断移行リスク因子は同様であったが、小児では移行率がより低く(とくにADHD)、成人ではより高かった。 著者らは「双極症への移行リスクが最も高いのは、最初にうつ病と診断された患者であったが、不安症やADHDと診断された患者においても、有意なリスクが認められた」と結論付けている。

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切除不能肝細胞がん1次治療、STRIDE vs.ソラフェニブの5年生存率と肝機能の影響(HIMALAYA)/ESMO Asia2024

 切除不能肝細胞がん(HCC)に対する1次治療として、抗PD-L1抗体デュルバルマブと抗CTLA-4抗体トレメリムマブを併用するSTRIDEレジメンは、ソラフェニブ単剤療法と比較して全生存期間(OS)を有意に改善したことが、国際共同無作為化非盲検第III相HIMALAYA試験で示されている。今回、5年時OSおよびベースラインの肝機能による影響を評価した同試験の探索的解析結果を、近畿大学の工藤 正俊氏が欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia2024)で報告した。・対象:局所療法の適応とならず、全身療法歴のない切除不能HCC患者(Child-Pugh分類A、Barcelona Clinic Liver Cancer[BCLC]病期分類B/C、ECOG PS 0/1)・試験群1:トレメリムマブ300mg 単回+デュルバルマブ1,500mg 4週ごと(STRIDE群、393例)・試験群2:デュルバルマブ1,500mg 4週ごと(デュルバルマブ群、389例)・対照群:ソラフェニブ400mg×2/日(ソラフェニブ群、389例)・評価項目:[主要評価項目]OS(STRIDE群vs.ソラフェニブ群)[副次評価項目]OS(デュルバルマブ群vs.ソラフェニブ群、非劣性)、36ヵ月OS率、無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、安全性・5年時アップデート解析のデータカットオフ:2024年3月1日 主な結果は以下のとおり。・5年OS率はSTRIDE群19.6% vs.ソラフェニブ群9.4%(OS率比:2.09)で、両群のOS率比は時間の経過とともに増加した(4年時のOS率比:1.67、3年時:1.54、2年時:1.24)。・ベースライン時点でalbumin-bilirubin(ALBI)グレード1の患者はSTRIDE群217例vs.ソラフェニブ群203例、グレード2/3の患者は175例vs.186例で、ALBIグレードによる両サブグループの人口統計学的特性および疾患特性は、治療群間で同様であった。・ALBIグレード1の患者におけるOS中央値はSTRIDE群23.43ヵ月vs.ソラフェニブ群19.02ヵ月(ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.63~0.99)、5年OS率は24.3% vs.13.6%であった。ALBIグレード2/3の患者におけるOS中央値は11.30ヵ月vs.9.72ヵ月(HR:0.79、95%CI:0.63~1.00)、5年OS率は13.7% vs.4.7%であった。・48ヵ月以上の長期生存を達成した患者は、STRIDE群において人種、病因、全身状態、BCLC病期分類などによらずすべてのサブグループで確認された。・48ヵ月以上の長期生存を達成した患者の割合は、ALBIグレード1ではSTRIDE群26.3% vs.ソラフェニブ群17.7%、ALBIグレード2/3では14.9% vs.4.8%であった。・5年時点における治療関連の重篤な有害事象(SAE)の発生率は、安全性解析集団全体でSTRIDE群17.5% vs.ソラフェニブ群9.9%、ALBIグレード1の患者で20.4% vs.8.1%、ALBIグレード2/3の患者で14.0% vs.11.9%であり、主要解析のデータカットオフ時点と比較して大きな変化はみられなかった。 工藤氏は、STRIDEレジメンはベースライン時点の肝機能によらず、5年時点でソラフェニブに対するOSベネフィットを維持し、長期の追跡による追加の安全性上の懸念は認められなかったと結論付けている。

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高齢低リスク早期乳がんの温存手術後、放射線療法vs.内分泌療法(EUROPA)/SABCS2024

 70歳以上の低リスク早期乳がん患者の乳房温存手術後の治療を、放射線療法(RT)と内分泌療法(ET)で比較した第III相無作為化比較試験(EUROPA試験)の中間解析において、RTがETより2年健康関連QOLが良好で治療関連有害事象の発現率が低かったことを、イタリア・フィレンツェ大学のIcro Meattini氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2024、12月10~13日)で発表した。・対象:70歳以上のLuminal-like早期乳がん(ER/PR≧10%、HER2陰性、pT1pN0もしくはcN0、Ki-67≦20%)で乳房温存手術を受けた女性・RT群:寡分割照射による全乳房照射もしくは乳房部分照射・ET群:アロマターゼ阻害薬もしくはタモキシフェンを5~10年間投与・評価項目:[主要評価項目]5年同側乳房内再発(IBTR)率、EORTC QLQ-C30のglobal health status(GHS)スコアによる2年健康関連QOL[副次評価項目]局所再発(LRR)、乳がん特異的生存期間、全生存期間、対側乳がん(CBC)、有害事象、QLQ-C30/BR45モジュールドメインにおける健康関連QOL 健康関連QOLの中間解析は、2年健康関連QOL評価に152例が到達した時点で実施することが事前に計画されていた。今回は、その中間解析結果が報告された。 主な結果は以下のとおり。・2021年2月~2024年6月に734例が登録され、731例がRT群(365例)またはET群(366例)に無作為に割り付けられた。今回の中間解析では、RT群104例、ET群103例が解析対象で、年齢(70~79歳/80歳以上)およびG8スコア(14以下/14超)の分布は両群でほぼ同じであった。・QLQ-C30 GHSスコアのベースライン時から24ヵ月目の変化の平均は、RT群では-1.1(SD:18.8)、ET群では-10.0(SD:25.8)であった。年齢およびG8スコア調整後のGHSスコアの最小二乗平均の変化はRT群が-3.40、ET群で-9.79で、RT群がET群より6.39(p=0.045)小さかった。・QLQ-C30のほとんどの機能ドメインおよび症状尺度の変化において、RT群のほうが良好な結果を示した。・QLQ-BR45の機能ドメインの変化は有意な差はなかったが、ほとんどの症状尺度の変化はRT群のほうが良好な結果を示した。・IBTR、LRRは両群とも報告されず、CBCはRT群で2例(1.9%)、ET群で1例(1%)にみられた。RT群で4例(3.8%)、ET群で2例(1.9%)が死亡したが、いずれも乳がん関連ではなかった。・治療関連有害事象はRT群で65例(67.0%)、ET群で76例(85.4%)に発現した。 本試験の患者登録およびフォローアップは継続しており、最終解析にはIBTR率と長期転帰が含まれる予定。Icro Meattini氏は「RTもしくはETは単独で実施できる治療オプションの可能性があり、集学的かつ患者中心の個別化治療における必要性を強調している」とまとめた。

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転移を有する去勢感受性前立腺がん、放射線療法の追加は有効か/Lancet

 低腫瘍量のde novo転移を有する去勢感受性前立腺がん(mCSPC)患者の治療において、標準治療+アビラテロンと比較して標準治療+アビラテロンに放射線療法を併用すると、画像上の無増悪生存期間(PFS)と去勢抵抗性前立腺がんのない生存期間(無去勢抵抗性生存期間)が有意に延長するが、全生存期間(OS)の改善は得られないことが、フランス・Institut Gustave RoussyのAlberto Bossi氏らが実施した「PEACE-1試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2024年11月23日号で報告された。欧州7ヵ国の無作為化対照比較第III相試験 PEACE-1試験は、2×2ファクトリアルデザインを用いた非盲検無作為化対照比較第III相試験であり、2013年11月~2018年12月に欧州7ヵ国の77施設で患者を登録した(Janssen-Cilagなどの助成を受けた)。 年齢18歳以上、骨シンチグラフィ、CTまたはMRIで確認されたde novo mCSPCで、全身状態の指標であるECOG PSスコアが0~1(骨痛がある場合は2)の患者を対象とした。 これらの患者を、次の4つの治療群に1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。(1)標準治療(アンドロゲン除去療法単独、またはドセタキセル75mg/m2の3週間ごと6サイクル静脈内投与を併用)、(2)標準治療+アビラテロン(アビラテロン1,000mgを1日1回経口投与+プレドニゾン5mgを1日2回経口投与)、(3)標準治療+放射線療法(前立腺に対し総線量74Gyを37分割で照射)、(4)標準治療+放射線療法+アビラテロン。 主要評価項目は2つで、画像上のPFSとOSとし、低腫瘍量の転移病変を有する患者および試験集団全体においてITT解析を行った。アビラテロン非投与ではPFSが改善せず 1,172例を無作為化し、標準治療群に296例(25.3%)、標準治療+アビラテロン群に292例(24.9%)、標準治療+放射線療法群に293例(25.0%)、標準治療+放射線療法+アビラテロン群に291例(24.8%)を割り付けた。標準治療の内訳は、アンドロゲン除去療法単独が462例(39.4%)、アンドロゲン除去療法+ドセタキセルが710例(60.6%)であった。1,172例中505例(43.1%)が低腫瘍量の転移病変を有する患者だった。試験集団全体の追跡期間中央値は6.0年。 アビラテロンの投与を受けた低腫瘍量の患者(252例)では、標準治療に放射線療法を加えることで、画像上のPFSが有意に延長した。PFS中央値は、標準治療+アビラテロン群(126例)が4.4年(99.9%信頼区間[CI]:2.5~7.3)、標準治療+放射線療法+アビラテロン群(126例)が7.5年(4.0~未到達)で、補正後ハザード比(HR)は0.65(99.9%CI:0.36~1.19)であった(p=0.019)。 これに対し、アビラテロンの投与を受けなかった低腫瘍量の患者(253例)では、このような効果を認めなかった。PFS中央値は、標準治療群(127例)が3.0年(99.9%CI:2.3~4.8)、標準治療+放射線療法群(126例)が2.6年(1.7~4.6)で、補正後HRは1.08(0.65~1.80)であった(p=0.61)。 また、OSについては、統計学的交互作用のため事前に定義された閾値(p>0.05)に達しなかった(p=0.12)ことから、放射線療法を受けた2つの介入群を統合して解析を行ったところ、低腫瘍量の患者では、放射線療法の併用はOSに影響を及ぼさないことが示された。OS中央値は、標準治療±アビラテロン群(253例)が6.9年(95.1%CI:5.9~7.5)、標準治療+放射線療法±アビラテロン群(252例)が7.5年(6.0~未到達)で、HRは0.98(95.1%CI:0.74~1.28)であった(p=0.86)。試験集団全体でも放射線療法追加の効果 低腫瘍量の患者では、放射線療法を併用することでmCSPCが発生するまでの期間が有意に遅延した。無去勢抵抗性生存期間中央値は、標準治療±アビラテロン群が2.5年(95%CI:2.1~2.9)、標準治療+放射線療法±アビラテロン群が3.4年(2.8~4.5)、HRは0.74(95%CI:0.60~0.92)であった(p=0.0069)。この放射線療法追加の効果は、試験集団全体においても示された(HR:0.79[0.69~0.90]、p=0.0005)。 安全性評価集団では、放射線療法を受けなかった患者(標準治療±アビラテロン群)604例中339例(56.1%)、これを受けた患者(標準治療+放射線療法±アビラテロン群)560例中329例(58.8%)で、少なくとも1つの重度有害事象(Grade3以上)が発現した。最も頻度の高い重度有害事象は、高血圧(標準治療±アビラテロン群110例[18.2%]、標準治療+放射線療法±アビラテロン群127例[22.7%])および好中球減少(40例[6.6%]、29例[5.2%])であった。 著者は、「放射線療法は、転移病変の負荷の程度を問わず、また全体的な毒性を増加させずに、重篤な泌尿生殖器イベントの発生を減少させ、高腫瘍量および低腫瘍量のde novo mCSPC患者の標準治療を構成する治療法となる可能性がある」としている。

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Long COVIDの神経症状は高齢者よりも若・中年層に現れやすい

 新たな研究によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状(long COVID)のうち、重篤な神経症状は、高齢者よりも若年層や中年層の人に現れやすいことが明らかになった。米ノースウェスタン・メディスン総合COVID-19センターの共同所長を務めるIgor Koralnik氏らによるこの研究結果は、「Annals of Neurology」に11月22日掲載された。 Long COVIDの神経症状は、頭痛、しびれやうずき、嗅覚障害や味覚障害、目のかすみ、抑うつ、不安、不眠、倦怠感、認知機能の低下などである。論文の上席著者であるKoralnik氏は、「COVID-19による死亡者数は減少し続けているが、人々は依然としてウイルスに繰り返し感染し、その過程でlong COVIDを発症する可能性がある」と指摘する。同氏は、「long COVIDは、患者の生活の質(QOL)に変化を引き起こしている。ワクチン接種や追加接種を受けている人でも、COVID-19患者の約30%にlong COVIDの何らかの症状が現れる」と話す。 今回の研究では、2020年3月から2023年3月の間にノースウェスタンメモリアルホスピタルのNeuro-COVID-19クリニックを受診し、新型コロナウイルス検査で陽性が判明した最初の1,300人(COVID-19による入院歴のある患者200人、入院歴のない患者1,100人)を対象に、COVID-19の重症度(入院歴の有無)によるlong COVIDの神経症状の違いを検討した。対象患者は、若年層(18〜44歳)、中年層(45〜64歳)、高齢者(65歳以上)に分類された。 COVID-19の発症から10カ月後の時点で、若年層と中年層では、高齢者に比べてlong COVIDの神経症状の発生率が高く、症状の負担も大きいことが明らかになった。また、入院歴のない患者群では、若年層と中年層で高齢者に比べて、主観的な倦怠感や睡眠障害のスコアが高く、これらの層はQOLへの障害をより強く感じていることが浮き彫りになった。さらに、入院歴のない患者群では、認知機能(実行機能や作業記憶)のスコアが最も低かったのは若年層であることも判明した。一方、入院歴のある患者群では、認知機能の一部(実行機能)に統計学的に有意に近い年齢による差が認められたものの、QOLには年齢による有意な差は確認されなかった。 Koralnik氏は、「long COVIDは、社会の労働力、生産性、革新の多くを担う働き盛りの若年成人に特に大きな影響を及ぼし、健康上の問題や障害を引き起こしている」と述べ、「これは社会全体にとって厳しい状況だ」との見方を示している。 さらにKoralnik氏は、「この研究は、long COVIDに苦しむあらゆる年齢の人々に対し、症状を緩和し、QOLを向上させるために必要な治療とリハビリテーションのサービスを提供すべきことの重要性を浮き彫りにするものだ」と米ノースウェスタン大学のニュースリリースで述べている。

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皮膚パッチで血圧測定

 近い将来、切手サイズのウェアラブルパッチを皮膚に貼ることで、連続的に血圧を測定できるようになるかもしれない。米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)ジェイコブス工学部のSai Zhou氏らの研究の成果であり、100人以上の患者を対象にした検討で良好な結果を得られたという。詳細は「Nature Biomedical Engineering」に11月20日掲載された。 正常血圧(120/80mmHg未満)を維持することは、心臓病や脳卒中、腎臓障害、認知症、視力低下など、さまざまな病気や障害の予防に役立つ。そのため高血圧患者の多くが、腕などにカフを巻いて血圧の測定を行っている。しかしZhou氏は、「従来のカフによる血圧測定は、測定した時点の血圧しか知り得ないため、重要な血圧変動パターンを見逃してしまうこともある」と話し、「われわれが開発中のウェアラブルパッチなら、血圧変動の連続的なデータを得ることができ、治療法の詳細な検討を可能にしてくれる」としている。 開発中のパッチは柔らかくて伸縮性のある素材でできていて、前腕の皮膚に貼り付けて使用する。装着後は、パッチ内部の小型トランスデューサーから超音波が発信されて血管の直径の変化を追跡し、その変化を血圧値に換算し続ける。研究グループでは、このパッチは一般的なカフによる血圧測定器の代替として利用できるだけでなく、集中治療室や手術室で使うような、高精度だが侵襲性のある、動脈ラインを用いた連続血圧測定にも匹敵する精度だとしている。 実際、手術後に集中治療室に入室中の患者4人、および心臓カテーテル検査を受けた患者21人を対象にした試験では、パッチによる測定値は動脈ラインによる測定値に近似していた。このことから、非侵襲でありながら高精度の連続血圧測定が可能になると考えられた。また、じっとしている時だけでなく、腕や脚を上げる、食事を取る、椅子から立ち上がる、自転車をこぐといった、さまざまな日常的な活動の下でこの新しいパッチをテストしたが、すべてのケースで従来の手法による測定値とほぼ一致した値となった。 このパッチの開発グループの1人であり、化学やナノ工学を専門とするUCSDのSheng Xu氏は、「1回限りの血圧測定では、白衣高血圧(診察室血圧が家庭血圧より高い)や仮面高血圧(家庭血圧が診察室血圧より高い)を検出し難く、また日常の活動や薬剤などの影響により血圧が変化することから、正確な診断と管理・治療が困難だ」とし、「だからこそ、このデバイスをさまざまな臨床環境やリアルワールドでテストすることが非常に重要とされた」と、研究の背景を述べている。なお、研究グループでは現在、このパッチをより改良した上で、大規模な臨床試験を実施する計画を立てている。

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セマグルチドは心血管系疾患の既往と心不全を有する肥満患者の心不全イベントリスクを低下する:SELECT試験の2次解析(解説:原田和昌氏)

 肥満の人では心血管疾患のリスクが高まるが、これまでMACE(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)のリスクを低減しつつ効果的な体重管理ができることが証明された治療薬はなかった。SELECT試験は、糖尿病の既往がない過体重または肥満で、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の既往を有する成人を対象に、GLP-1受容体作動薬セマグルチド2.4mg週1回皮下投与のMACE予防に対する有効性をプラセボ投与と比較した無作為化二重盲検試験であり、41ヵ国にて45歳以上の過体重または肥満の成人1万7,604例が登録された。なお、BMIが30以上を「肥満」とし、BMIが25以上30未満を「過体重」とした。セマグルチド2.4mg投与群ではプラセボ群と比較してMACEが20%有意に減少した。 本論文は英国のDeanfield氏らが、SELECT試験の症例登録時に心不全の既往を有する患者における、セマグルチドのMACE、および心不全(HF)リスクの軽減効果について、SELECT試験の事前規定分析により検証したものである。登録時にHFのあった患者4,286例中、53%がHFpEF、31.4%がHFrEF、15.5%が詳細不明のHFであった。エンドポイントは、MACE、複合HFエンドポイント(心血管死、HF入院、HF緊急受診)、心血管死、および全死因死亡である。 HFと非HFで、ベースライン特性は同様であったが、HF患者の臨床イベントの発生率が高かった。セマグルチド治療により、HF患者は非HF患者と比較してMACEのリスクが28%低下し、複合HFエンドポイントのリスクが21%有意に低下した。心血管死のリスクは24%低下し、全死因死亡のリスクは19%低下した。HFrEF患者はHFpEF患者よりも絶対リスクが高かった。セマグルチド治療により、HFrEF患者でMACEのリスクが35%、HFpEF患者では31%低下し、両タイプに有効であることが示された。複合HFエンドポイントのリスクは、HFrEFで21%、HFpEFで25%低下したがタイプ別では有意ではなかった。 本試験の結果はSELECT試験の主要結果と一致し、とくにHFrEF、HFpEFのタイプによらないHFイベントリスク低減効果を示したが、これまでGLP-1アナログ(リラグルチド)が急性心不全で入院したHFrEFの糖尿病患者の予後(死亡、再入院)を改善せず、むしろ悪化したという報告もあるため(FIGHT試験)、クラス・エフェクトと考えることは難しいかもしれない。また、Lancet誌の同じ号にてSELECT、FLOW、STEP-HFpEF、STEP-HFpEF DM試験の統合解析が行われて、「現時点で治療選択肢がほとんどないHFpEF患者において、セマグルチドが心血管死または心不全増悪イベントの複合を低減する有効かつ安全な治療法であることを支持する最も包括的なエビデンスをもたらすものである」(?)と結論付けているが、過体重または肥満で糖尿病のない、心血管系疾患の既往を有するというHFpEFの表現型が、とくに日本においてどれだけの患者に当てはまるのかは明らかでない。

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095)老後に必要なものは…〇〇?【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

老後に必要なものは…〇〇?ゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆皮膚科外来はお子さんから高齢の方まで、幅広い年齢層の患者さんが受診されます。私の勤務する病院は比較的、年齢層が高めで、高齢の方のお相手をする機会に恵まれております。一口に高齢者と言っても、年代からADL、キャラクターまで、本当に人それぞれ。私個人の印象としては、60~70代はまだまだ元気で、お仕事も現役だったり、趣味にいそしまれている方が多い年代。80歳前後から少しずつ、受け答えの反応に不安を覚えるようになり、動作がゆっくりになり、以前よりも活気がへったなと感じるように。90代で元気にしっかりとお一人さま受診される方はめずらしく、一人でこられる方でも杖や歩行器を使われている方が多くなります。高齢でもなお、受け答えがしっかりしており、動作もシャンとしている方々に共通しているのが、身のまわりのことを自分でされているということ。一人暮らしの方もいれば、同居でも二世帯のような形で独立して生活している方もいます。頭も体もしっかりしているからこそ、そうした日常動作も問題なく行えるのでしょうが、「『日々のことを自分でする』意識が大切なのかもしれない」と思う次第です。椅子からの立ち上がりや、診察台への歩行など、診察室の中だけでみても、筋力が必要とされる動作の連続です。病院への移動も含めて、「日常を支える『筋肉』って大事だな」と改めて感じます。当たり前のことかもしれませんが、使わないとすぐに衰えてしまうのが筋肉というもの。私も20km走をサボるとすぐに骨格筋率が下がるので、「筋肉は維持が大事、使ってなんぼ」と思って生きています。人生何が起こるかわかりませんが、「可能な限り生涯現役でいきたいな」と思うのでした。それでは、また次の連載で。

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