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アルコール摂取とアルツハイマー病リスク~用量反応メタ解析

 アルコール摂取とアルツハイマー病リスクとの関連について、中国・Affiliated Hospital of Jilin Medical UniversityのChunxiang Xie氏らが、アルコールの用量反応メタ解析を実施した。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2022年2月16日号の報告。 2019年9月1日の時点におけるPubMed、Web of Scienceのデータベースより、対象研究をシステマティックに検索した。アルコール摂取とアルツハイマー病リスクとの関連を評価するため、相対リスクと95%信頼区間(CI)を用いた。アルコールの種類、民族性、研究デザイン、性別に基づきサブグループ解析を行った。アルコールの用量反応メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・定量的統合には13研究を含め、6研究を用いて用量反応メタ解析を実施した。・飲酒者は、非飲酒者と比較し、アルツハイマー病リスクが低かった(相対リスク:0.68、95%CI:0.53~0.87、I2=87.9%、p<0.001)。・サブグループ解析では、ワインの摂取によりアルツハイマー病の発症率が低下することが示唆された(相対リスク:0.71、95%CI:0.51~0.96)。・民族性、性別、研究デザインによる層別化分析では、アルツハイマー病リスクとアルコール摂取に関連は認められなかった。・アルコール摂取量とアルツハイマー病リスクの間には、全体的に非線形の関係が認められたが、有意な差は認められなかった。・男性ではアルコール摂取量14.8ドリンク/週から、過剰なアルツハイマー病リスクとアルコール摂取量の間に、有意な非線形の関連が認められた(全体:p=0.023、非線形:p=0.025)。・女性ではアルコール摂取量16.9ドリンク未満/週において、アルツハイマー病リスクの低下と有意な非線形の関連が認められた(全体:p=0.002、非線形:p=0.019)。 著者らは「飲酒は、アルツハイマー病リスクを低下させる可能性が示唆された。アルコール摂取量に、アルツハイマー病発症と非線形の関係が認められたが、有意ではなかった。アルコール摂取量が、アルツハイマー病に対し、有意な性別特異的な影響を及ぼす可能性がある」としている。

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心臓手術後の急性腎障害、基礎代謝パネルで予測可能か/JAMA

 心臓手術を受ける患者において、周術期の基礎代謝パネル検査値に基づく予測モデルは、術後72時間以内および14日以内の中等症~重症急性腎障害(AKI)について、良好な予測精度を有することが、米国・クリーブランドクリニックのSevag Demirjian氏らによる検討で示された。AKIの治療は、タイムリーな診断に基づけば効果的である一方、腎障害後の血清クレアチニン値の上昇の遅れが治療開始を遅らせてしまう可能性が示唆されていた。結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、リスク予測ツールの利用が臨床アウトカムを改善するかどうかを確認する必要がある」と述べている。JAMA誌2022年3月8日号掲載の報告。患者5万8,526例をベースに、多変数予測モデルを開発・検証 研究グループは、心臓手術後のAKIに関する予測モデルの開発と検証のための検討を行った。2000年1月~2019年12月に米国大学医療センター1施設で心臓手術を受けた成人患者を後ろ向きに観察したコホート(5万8,526例)をベースに、多変数予測モデルを開発。その後、同モデルについて米国の地域病院3施設からの外部コホート(4,734例)で検証した(最終フォローアップは2020年1月15日)。 血清クレアチニン値の周術期変化と心臓手術後の最初の代謝パネルから術後血中尿素窒素、血清ナトリウム、カリウム、重炭酸塩およびアルブミン値を用いてモデルを作成。主要評価項目は、手術後72時間以内および14日以内のKidney Disease: Improving Global Outcomes(KDIGO)に基づく中等症~重症AKIと透析予測モデルを必要としたAKIの、受信者動作特性曲線下領域(AUC)およびキャリブレーション測定値とした。術後72時間以内・14日以内の中等症~重症AKIの予測良好 モデル開発コホート5万8,526例(年齢中央値66[IQR:56~74]歳、男性3万9,173例[67%]、白人種5万1,503例[91%])において、心臓手術後72時間以内の中等症~重症AKIは2,674例(4.6%)、透析を要したAKIは868例(1.48%)であり、14日間以内はそれぞれ3,156例(5.4%)、1,018例(1.74%)が認められた。 手術終了から初回代謝パネルまでの時間中央値は10(IQR:7~12)時間であった。 開発コホートにおいて代謝パネルベースのモデルは、中等症~重症AKIについて術後72時間以内(AUC:0.876、95%信頼区間[CI]:0.869~0.883)、14日以内(0.854、0.850~0.861)ともに優れた予測識別能を示した。透析を要したAKIについても、同72時間以内(0.916、0.907~0.926)、14日以内(0.900、0.889~0.909)と優れた予測識別能を示した。 検証コホート4,734例に(年齢中央値67[IQR:60~74]歳、男性3,361例[71%]、白人種3,977例[87%]おいて、作成モデルは、術後中等症~重症AKIについて72時間以内のAUCは0.860(95%CI:0.838~0.882)、14日以内のAUCは0.842(0.820~0.865)を示した。透析を要したAKIについては、術後72時間以内のAUCは0.879(95%CI:0.840~0.918)、14日以内のAUCは0.873(0.836~0.910)を示した。 Spiegelhalter z検定で評価したキャリブレーションはp>0.05で、開発および検証モデルいずれも適切なキャリブレーションであることが示唆された。

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難治性慢性咳嗽へのgefapixant、第III相試験で有望な結果/Lancet

 難治性の慢性咳嗽または原因不明の慢性咳嗽に対して、gefapixant 45mgの1日2回投与は新規開発の治療法として、許容可能な安全性プロファイルと有効性を有することが示された。英国・クイーンズ大学ベルファストのLorcan P. McGarvey氏らが、2つの第III相臨床試験「COUGH-1試験・COUGH-2試験」の結果を報告した。gefapixantは経口P2X3受容体拮抗薬であり、同薬はこれまでに、難治性の慢性咳嗽または原因不明の慢性咳嗽に対する有効性と安全性が示されていた。Lancet誌2022年3月5日号掲載の報告。COUGH-1試験とCOUGH-2試験の2つの第III相試験で検証 COUGH-1試験とCOUGH-2試験はいずれも、第III相の二重盲検無作為化並行群プラセボ対照試験。COUGH-1試験は17ヵ国156試験地、COUGH-2試験は20ヵ国175試験地で実施された。登録被験者は、1年以上続く難治性の慢性咳嗽または原因不明の慢性咳嗽と診断された18歳以上で、スクリニーングおよびベースラインでの咳嗽重症度視覚アナログスケールスコアが40mm以上の患者とした。 適格患者は、コンピュータ生成割付スケジュールを用いて1対1対1の割合で無作為に、3治療群(プラセボ、gefapixant 15mgを1日2回、gefapixant 45mgを1日2回)のいずれか1群に割り付けられた。試験薬はすべて経口薬であった。 COUGH-1試験の主要試験(投薬)期間は12週、COUGH-2試験は同24週であったが、いずれも投薬期間は延長され、総計52週間治療が行われた。 主要アウトカムは、プラセボを補正した24時間咳嗽頻度の平均変化で、COUGH-1試験では12週時点、COUGH-2試験では24週時点で評価した。gefapixant 45mg・1日2回投与は、プラセボと比較し24時間咳嗽頻度を有意に低下 2018年3月14日(最初の被験者スクリーニング)~2019年7月26日(最後の被験者スクリーニング)に、COUGH-1試験に732例が、COUGH-2試験に1,317例が登録された。無作為化および試験治療を受けたのは、COUGH-1試験は730例(プラセボ群243例[33.3%]、gefapixant 15mg・1日2回投与群244例[33.4%]、gefapixant 45mg・1日2回投与群243例[33.3%])、COUGH-2試験は1,314例(435例[33.1%]、440例[33.5%]、439例[33.4%])であった。 被験者は、大半が女性で(COUGH-1試験542/730例[74.2%]、COUGH-2試験984/1,314例[74.9%])、平均年齢はCOUGH-1試験59.0歳(SD 12.6)、COUGH-2試験は58.1歳(12.1)。平均咳嗽期間はCOUGH-1試験11.6年(SD 9.5)、COUGH-2試験は11.2年(9.8)であった。 gefapixant 45mg・1日2回投与はプラセボと比較し、COUGH-1試験の12週時点(18.5%、95%信頼区間[CI]:32.9~0.9、p=0.041)、COUGH-2試験の24週時点(14.6%、95%CI:26.1~1.4、p=0.031)のいずれにおいても、24時間咳嗽頻度が有意に低下したことが確認された。 gefapixant 15mg・1日2回投与は、両試験ともに咳嗽頻度がプラセボと比較して有意に低下はしなかった。 最も頻度の高い有害事象は、味覚の異常に関連したものであった。味覚消失がCOUGH-1試験36/730例(4.9%)、COUGH-2試験86/1,314例(6.5%)に、味を不快と感じる味覚障害(dysgeusia)はそれぞれ118/730例(16.2%)、277/1,314例(21.1%)、味覚過敏(hypergeusia)は3/730例(0.4%)、6/1,314例(0.5%)、味覚減退(hypogeusia)が19/730例(2.6%)、80/1,314例(6.1%)、分類不能の味覚障害(taste disorder)は28/730例(3.8%)、46/1,314例(3.5%)にそれぞれ報告された。

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高感度トロポニンを歓迎している?(解説:後藤信哉氏)

 過去の12誘導心電図のない症例の急性虚血性心疾患の入院の是非を決めるのは難しい。胸痛が微妙、心電図のST変化も微妙な場合には心筋ダメージのバイオマーカーが決め手になる。長年使用してきたCKは上昇までに3~4時間はかかる。外傷、筋トレなどにて骨格筋の成分が上がる場合もある。発症後早期に上昇し、心筋のみのダメージを反映するマーカーが必須であった。以前のトロポニンでは陽性・陰性の2択であった。急性虚血疑いでは陽性な入院、陰性なら帰宅と明確に使用できた。高感度トロポニンの時代になって急性虚血の現場では複雑性が増した。基準値より相当高くても、高齢、腎機能障害の影響で心筋虚血の反映でない場合もある。少なくとも2回計測して変化を見る必要ができた。高感度トロポニン値を規定する因子は虚血による心筋ダメージのみではないことがわかってきた。心筋由来ではあるが、産生速度と消失速度のバランスにて血中濃度が高い症例もあるのだ。複雑性を有するマーカーであるため、急性虚血以外の複雑性を有する病態の予後予測マーカーにもなる可能性がある。 本研究では心臓血管系の手術を受けた13,862例を対象として術後3~12時間、1~3日までの高感度トロポニンを計測し、個別症例の1ヵ月以内の死亡との相関を検討した。全体として1ヵ月以内の死亡率は2.1%であった。心臓の手術としては多くの手術が含まれている。術後1日のトロポニンであっても30日以内の死亡予測能力があることが示された。高感度トロポニンを心筋障害のマーカーと考えれば、手術による心筋障害の大きかった症例の予後が悪いことになる。循環器内科の急性虚血の経験から、高感度トロポニンは心筋障害以上のマーカーである可能性もある。いずれにしても術後に高感度トロポニンの高い症例には十分な治療が必要である。

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腎不全患者の腎移植は特定の背景因子の違いに大きく影響されることなく、透析継続例の生命予後に勝る(解説:浦信行氏)

 BMJ誌に掲載された本論文のメタ解析の結果は大方の予想どおり、腎移植例の生命予後が透析継続例に勝るとの結論であり、そのハザード比(HR)は0.45ときわめて高いものであった。このような報告は従来も数多くあったが、比較的最近の2011年に発表されたシステマティックレビューは192万2,300例の解析であり、本研究より多数例の報告である。しかし、従来のものは対象の透析例が移植待機例以外も含んでおり、本来移植非適応の症例を含んでおり、対象の選択バイアスを含むものである。したがって本研究の症例の選択バイアスを除去した意義は大きい。 ところで、48の報告のうち11件が有意性を認めない層が特定されたと報告しているが、その11の報告の内容には一貫性がない。たとえば年齢層であるが、報告によって65~70歳、70歳以上、基礎疾患は糸球体腎炎、高血圧性腎硬化症もしくは遺伝性疾患、糖尿病性腎症、また基礎疾患ではないがCOPD合併例など、まったく一定の傾向がない。移植後各時期の生命予後に関しては、術後3ヵ月目までは、手術そのものの影響や、化学療法開始時のリスク、麻酔のリスクなどでむしろ悪いが、その後は一貫して移植例の予後は良い。 メタアナリシスでは18の研究を対象としているが、地域性に関しては、南米の報告は研究が2報のみで統計学的な有意差はなかったが、他の地域との成績の有意差もなかった。また、生体腎移植と死体腎移植との成績の差はなく、60歳未満と60歳以上との差もなかったとのことである。腎移植も透析も技術的進歩は目覚ましいものがあるが、西暦2000年以前と以後を比較しても、やはり同様に腎移植例優位の結果であった。 やはり、腎移植希望例に対する移植腎の、確保、供給の困難性が最大の障害である。

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治療抵抗性うつ病に対する増強療法の性差

 女性は男性よりもうつ病の有病率が約2倍高い可能性が示唆されている。しかし、治療抵抗性うつ病患者に対する増強療法に関して、男女間で臨床アウトカムを比較した研究は、あまり行われていない。カナダ・マギル大学のChristophe Moderie氏らは、マギル大学ヘルスセンターにおける治療抵抗性うつ病に対する増強療法の効果について、男女間での比較を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2022年2月15日号の報告。 抗うつ薬治療に気分安定薬(AD+MS)または抗精神病薬(AD+AP)およびその両方(AD+AP+MS)での併用療法を行った治療抵抗性うつ病患者76例(男性:34例、女性:42例)を対象に、健康記録のレビューを実施した。臨床アウトカムは、HAMD-17、MADRS、QIDS-C16、CGI-Sによる治療開始時(T0)から3ヵ月後(T3)までの変化とし、比較を行った。HAMD-17の各項目の変化についての比較も行った。 主な結果は以下のとおり。・男女ともに、T0からT3にかけてすべてのスコアで改善が認められた(p<0.001、ηp2≧0.68)。・すべてのスコアにおいて、性別と時間の相互作用が認められ(p<0.05、ηp2≧0.06)、女性は男性と比較し、より大きな改善が認められた。・女性において、より大きな改善が認められた項目は、以下のとおりであった。 ●早期改善(p=0.03、ηp2=0.08) ●深夜の不眠(p=0.01、ηp2=0.09) ●精神運動障害(p<0.001、ηp2=0.16) ●精神的不安(p=0.02、ηp2=0.07) ●身体的不安(p=0.01、ηp2=0.10) 著者らは「治療抵抗性うつ病に対するAD+AP/MSによる増強療法は、男性よりも女性において臨床反応が有意に高く、男女間での薬理学的プロファイルの違いが示唆された。女性に対する増強療法のベネフィットがとくに認められ、APやMSの併用により不眠症状や不安症状の改善に寄与すると考えられる」としている。

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早期TN乳がん、術前PEM+化学療法と術後PEMでEFS改善(解説:下村昭彦氏)

 2月10日のNew England Journal of Medicine誌に、早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)術前化学療法にペムブロリズマブを上乗せすることの効果を検証したKEYNOTE-522(KN522)試験の無イベント生存(EFS)の結果が報告された。ペムブロリズマブの上乗せによって病理学的完全奏効(pCR)率が改善することはすでに報告されていたが(Schmid P, et al. N Engl J Med. 2020;382:810-821.)、長期的な予後の改善が期待できるかどうかは、実臨床で広く使われるようになるかに大きく影響する。 結果は報告のとおりであり、ペムブロリズマブ上乗せによるEFSの改善が示され、統計学的有意差は示されなかったものの全生存(OS)についてもペムブロリズマブ群で良好な結果であった。術前化学療法の効果ごとの成績は、pCRを達成した群でnon-pCRよりも予後が圧倒的に良く、pCR群ではペムブロリズマブの有無による大きなEFSの差は認められなかったものの、non-pCR群では統計学的な有意差をもってペムブロリズマブ群でEFSが良好であった。KN522試験では術後9コースのペムブロリズマブ投与が規定されており、この試験結果をもって、術前化学療法へのペムブロリズマブ上乗せと、術後ペムブロリズマブ療法が標準治療となった。 一方、この試験結果はいくつかの新たな臨床的課題を私たちに突き付ける。ひとつは、pCR群における術後ペムブロリズマブ療法の意義である。EFSにおいて統計学的有意差はついておらず、またペムブロリズマブを含む免疫チェックポイント阻害剤は不可逆な甲状腺機能低下症など、患者の生活の質(QOL)に直結する有害事象がそれなりの頻度で発生する(Balibegloo M, et al. Int Immunopharmacol. 2021;96:107796.)。pCRを達成できた場合に術後ペムブロリズマブ療法を省略することが可能かどうか、臨床試験による確認が必要であろう。 もうひとつはnon-pCRの際の術後治療である。CREATE-X試験では、術前化学療法を実施したHER2陰性乳がんでnon-pCRの場合に術後治療としてカペシタビンを追加することの意義が示された(Masuda N, et al. N Engl J Med. 2017;376:2147-2159.)。日本では術後治療としての保険適用はないが、臨床では広く使用されている。また、OlympiA試験ではBRCA1/2生殖細胞系列の変異がある際に術後治療としてオラパリブを実施することの意義が示され、TNBCでnon-pCRだった症例も含まれている(Tutt ANJ, et al. N Engl J Med. 2021;384:2394-2405.)。したがって、術前化学療法を行ってnon-pCRだったTNBCの術後治療としての選択肢は、カペシタビン、オラパリブ(BRCA1/2変異あり)に、ペムブロリズマブが加わったことになる。これらのいずれを選択すべきかという疑問は今後解決していくべき課題のひとつである。さらには、カペシタビン+ペムブロリズマブ、オラパリブ+ペムブロリズマブについてはすでに安全性のデータが存在する。併用することでよりEFSを改善することができるのか、あるいはBRCA1/2変異のないTNBCに対してもオラパリブ+ペムブロリズマブは有効であるのか等、議論すべき話題は尽きない。

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第100回 国民の1/4がダウンロードしたCOCOA、ついに勇退の時が来た!?

政府は新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のオミクロン株蔓延に伴って現在も18都道府県に発出されている新型インフルエンザ等特別措置法に基づくまん延防止等重点措置(まん防)を21日付で解除する方針を決定した。これにより1月上旬から各地に発出されていたまん防は全面解除となる。もっとも首相官邸で会見した岸田 文雄首相は当面は「平時への移行期間」と定義し、今後の感染拡大に備えた医療体制の維持や検査キット、ワクチン、治療薬の確保も進めるとした。一方で、濃厚接触者の追跡に関しては医療機関、高齢者施設、家族内に限定するという大きな方針転換を発表した。濃厚接触者追跡については私自身もこの政府方針には基本的に賛成だが、それだったら「もう止めたら?」と思うものがある。新型コロナウイルス接触確認アプリ、通称COCOAのことだ。ご存じのように当初、濃厚接触者の炙り出しに使われたCOCOAだが、私自身インストールしていても今やほとんど気にしていない。厚生労働省のホームページによると、2022年3月11日時点でダウンロード件数は3,418万件、実際の陽性登録者は62万245件。ダウンロード数では国民の約4人に1人、陽性者では約10人に1人が利用していることになる。この登録の数字だけを見れば、「ないよりまし」とも言えるが、オミクロン株のような感染力が強い反面、重症化率が低い変異株の流行の際は、中途半端に警報が増加し、それが医療現場や行政などの業務を圧迫するという「害」のほうがクリアになってしまう。このCOCOAの仕組みは、陽性通知がくると「検査等の相談先を探す」というボタンが表示され、それを押すと都道府県の受診・相談センターの連絡先が表示される。COCOAの陽性通知者のみの専用窓口があるのではなく、COCOAで通知はするが、「あとは自治体でよきにはからえ」という、ある種の外部丸投げなのだ。この結果、今回のオミクロン株での陽性者激増ターンでは、都道府県のコールセンターも保健所も発熱外来もすでにパンク状態にある中で、COCOAで通知を受けた濃厚接触疑いの人の電話も殺到する。当然ながら電話はなかなかつながらず、通知を受けた人も苛立ち、最終的にその一部がようやく電話がつながった先で「何なんだ!」と怒りを爆発させる。たとえが悪いと言われるかもしれないが、電話がたまたまつながった先は「突然ロシアの侵略を受けたウクライナ」のごとく訳がわからない状態になってしまう。実はこの問題に拍車をかけたものがある。IT時代の「負」ともいえるのだが、個人で「COCOAログチェッカー」なるサイトを立ち上げてしまった人がいる。COCOAはスマートフォンのBluetoothを利用し、陽性登録者に1m以内で15分以上の接触があったユーザーに通知が届くことになっているのだが、実はBluetoothは周囲10~30mの接触を検知するため、その点をこのサイトは利用している。しかもCOCOAアプリ内には2週間分の接触検知ログが蓄積されているので、このチェッカーを使うと、自分から広範囲にいたかなり前の登録陽性者までも検知できてしまうのだ。私自身も何度も使ってみたが、1月下旬の段階でCOCOAではとくに通知が来ないにもかかわらず、Bluetooth範囲内では過去2週間に1件の「接触」があったと判定された。何度か調べてみた中では最高は7件。もっともパンデミック当初に登録し、今では何ともない過去の陽性者も検出できてしまうのだから、それほど意味のあるものではない。個人的には「まあ、そんなものね」と思ってとくに何かをするわけではないし、医療従事者ならばこれを使ってもほぼ似たような反応になるだろう。ところが世の中全体で考えればそうはおさまらない。内科クリニックを経営する知り合いの医師のところには、実際に「COCOAログチェッカーで『陽性』と出たんですが…」と連絡があったという。COCOAならまだしも非正規の仕組みで問い合わせをされても困るだろう。実際、その医師は「保健所に問い合わせてください」と回答したそうだ。保健所に迷惑がかかるのでけしからん対応と思う人もいるかもしれないが、個人的にはやむを得ないと考えている。今回の濃厚接触者の追跡範囲縮小については、さまざまな意見があるとは思うが、いずれにせよこの政策が実行される以上、COCOAというもはや無用の長物を放置したままにするのはいかがなものかと思ってしまうのだが…。

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アンチエイジングを“アンチ”から学ぶ!抗加齢の原点回帰

『心身ともに若々しさを保つ アンチエイジング科学とエビデンス』をテーマに掲げ、第22回日本抗加齢医学会総会が2022年6月17日(金)~19日(日)に大阪国際会議場(グランキューブ大阪)とWEB併用のハイブリッド形式で開催される。脳の専門家として初の大会長を務める阿部 康二氏(国立精神・神経医療研究センター病院長)に、脳と抗加齢の関係や一押しのシンポジウムについて話を聞いた。“究極のアンチエイジングは脳”、血管内皮細胞の炎症抑制が課題老化現象の現れ方は個々で異なり、老化=酸化と言っても過言ではありません。たとえば、ピカピカだった鉄パイプが経年劣化して錆びるように、人間の体も酸素を利用することで酸素の毒性にもさらされ続け、年齢とともにそれが蓄積した結果、老化に至ります。毒性面を最小限に抑え、酸素のいいとこ取りをすることが老化予防の最大のコツですが、近年、血管内皮細胞の炎症抑制がアンチエイジングの1つであることが明らかにされています。この血管内皮細胞の保護の観点からも、脳の専門家である私としては、“究極のアンチエイジングは脳”だと自負しており、いくら見た目や皮膚が若々しくても、脳が老化していれば本当の若々しさを維持すること、表面化することは難しいと考えています。昨今、治療薬が国内承認の是非で話題を集めたアルツハイマー病も実は血管内皮細胞の酸化が原因の1つであり、それをターゲットとした治療薬の開発が急がれています。これまではアミロイドβの蓄積が問題だとされてきたため、何十年もの間、それをターゲットとした治療薬の開発が進められてきました。ところが、超高齢化社会におけるアルツハイマー病はアミロイドβに加えて血管そのものの老化が影響しているため、血管内皮細胞を同時にターゲットにする必要があるんです。治療薬開発から30年が経過し、その間に日本の超高齢化も進行してしまい、今後の治療薬開発において、脳の血管内皮細胞を若々しくするというようなコンセプトの転換が求められています。たとえば、結婚当初は10万円の指輪で喜んでいた妻が、何十年か連れ添うと10万円の指輪では喜んではくれず、100万円の指輪でないと喜んでくれないというように、妻の名前は同じでも中身が変わってしまう。それと同じ状況が医学でも起こっているのです。今の妻が喜ぶようなプレゼントを見定めるように、アルツハイマー病という疾患名は昔と同じでも、その治療ニーズが時代に伴い変化することを忘れてはならないのです。そもそも抗加齢医学の概念は正しいの?アーミッシュの考えにヒントが…話は変わりますが、これまで、“老化は悪、老化予防が善”という定説の下で抗加齢医学(アンチエイジング)の研究が進められてきましたが、それは本当に正しいのでしょうか。それを振り返るため、今回の特別講演には『アーミッシュの生活とアンチエイジング』という演題を盛り込みました。アーミッシュとは、「イエスやアマンの時代の生活を実践しようとする復古主義を特徴」とし、「現代文明を拒否して電気や車を使わず、馬車を用いて、おもに農業を営む」1)人々のことを指します。時の流れに身を任せようとする、つまり、アンチエイジングにアンチな人たちです。それゆえ、「アーミッシュから抗加齢のヒントになる学びがあるのでは!」「アンチエイジングの根本に立ち返れるいい機会になるのでは?」という思いが募り、企画しました。アンチエイジングが本当に正しいのかを問い直し、双方の意見がぶつかり合うなかで得るものがあるのでは、と期待を寄せています。阿部氏がお奨めする演題<会長講演>脳のアンチエイジングと見た目のアンチエイジング<特別講演>アーミッシュの生活とアンチエイジング<シンポジウム>中高年女性へ適応可能なサプリメントアンチエイジングと認知症予防メンタルヘルスとエクササイズ腸内細菌x新テクノロジーコロナ禍により一層孤独を強め、コミュニケーション力の低下、身体能力の低下を訴える人が増加しています。また、メンタルの破綻などにも影響しているためか凶悪事件が後を絶ちません。フレイルを助長、認知症や糖尿病などの持病を悪化させ、それに加えて新型コロナウイルス自体がもたらす血管内皮細胞への影響により脳出血や脳梗塞患者の増加も問題視されています。コロナ禍は外出規制による影響ばかりか、生物学的な血管内皮細胞の炎症においても抗加齢に逆行するパンデミックであることから、いかにこの負の連鎖から脱却できるか、その足掛かりになるような演題も豊富に取り揃えています。日本は世界で類を見ない超高齢社会となり、これまで以上に超高齢者と向き合う必要があります。そのため、若い医師には老化のメカニズムに関する基本的な理解、老化にどう立ち向かっていくのか、などを医師の基本的な心構えとして医業に取り組んでもらいたいと考えています。そのため、本学会では若手のための発表の場も多数用意していますし、病気と健康ひいては若々しさと老化の橋渡しになる学会として、健康産業など医療者以外の参加者との交流も積極的に行っています。ぜひ、皆さま奮ってご参加ください。第22回日本抗加齢医学会総会1)日本大百科全書(ニッポニカ)

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ADHD治療に対するカフェインの影響

 注意欠陥多動性障害(ADHD)は、不注意および/または多動性・衝動性の持続的なパターンを特徴とする神経発達障害である。ADHDは、主に前頭前野のドパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)回路の異常から発生すると考えられている。ADHD治療薬の副作用に対する懸念やADHDの診断率の向上により、薬理学的アプローチの代替/補完的な介入が求められている。ここ数年、ADHD治療に対するカフェイン摂取の潜在的な影響に関する動物実験レベルの研究は蓄積されているが、最新のエビデンスに基づくシステマティックレビューは十分に行われていなかった。スペイン・カタルーニャオベルタ大学のJavier C. Vazquez氏らは、前臨床レベルでのADHD治療に対するカフェインの影響について、システマティックレビューを実施した。Nutrients誌2022年2月10日号の報告。カフェイン摂取はADHD治療で注意力の向上や学習に対する改善が期待できる 2021年9月1日時点で入手可能な前臨床レベルでのADHD治療に対するカフェインの影響を検討したエビデンスを抽出し、PRISMAガイドラインに基づくシステマティックレビューを実施した。 ADHD治療に対するカフェインの影響についてのシステマティックレビューの主な結果は以下のとおり。・カフェイン摂取はADHD治療で、血圧や体重に影響を及ぼすことなく、注意力の向上、学習、記憶、嗅覚の識別に対する改善が期待できる。・これらの結果は、神経・分子レベルで支持されている。・しかし、多動性・衝動性の調整に対するADHD治療のカフェインの影響に関しては、矛盾した結果が得られており、さらなる解明が必要とされる。 著者らは「これら動物実験レベルで確認されたADHDに対するカフェインの影響は、とくに青年期ADHD治療に流用される可能性が示唆された」としている。

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日本人がん患者の心血管疾患、発生しやすいがん種などが明らかに/日本循環器学会

 近年、がん患者の生存率向上により治療の副作用の1つである心毒性が問題視されている。ところが、アジア圏のなかでもとくに日本国内のそのような研究報告が乏しい。今回、村田 峻輔氏(国立循環器病センター予防医学・疫学情報部)らが、国内がん生存者における心血管疾患の全国的な発生率に関する後ろ向きコホート研究を行い、不整脈、心不全(HF)、および急性冠症候群(ASC)の100人年当たりの発生率(IR)は、それぞれ2.26、2.08、0.54 で不整脈とHFでは明らかに高く、一般集団と比較してもHFやACSのIRは非常に高いことが明らかになった。本結果は2022年3月11~13日に開催された第86回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Cohort Studies2で報告された。 本研究では、がん患者の心血管疾患発症に関し「HBCR(Hospital-based cancer registry)を用いてがん患者における心血管疾患の発生状況を説明する」「年齢・性別による発症頻度の違いを比較」「がん患者の心不全予防調査」の3つを目的として、対象者を1年間追跡して各心血管疾患の年間発生率を調査した。2014~2015年のDPCデータから対象のがん患者(乳がん、子宮頸がん、結腸がん、肝臓がん、肺がん、前立腺がん、胃がん)の心血管疾患発生状況を、HBCRデータからがん種、病期、1次治療に関する情報を抽出し、不整脈、HF、ASC、脳梗塞(CI)、脳出血(ICH)、静脈血栓塞栓症(VTE)の6つの発生率を調査した。各心血管疾患について、全がん患者、がん種別、年齢・性別のサブグループで100人年当たりのIRと95%信頼区間を算出した。また、各がん種で各心血管疾患のIRを比較、HF発生に対する潜在的な予測因子を調べるためにロジスティクス回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・本研究の対象者は、2014~15年にがん診療連携拠点病院495施設でがん(乳がん、子宮頸がん、結腸がん、肝臓がん、肺がん、前立腺がん、胃がん)と診断された者から外来のみまたは18歳未満の患者を除外した54万1,956例だった。・患者の構成は、乳がんと子宮頸がん患者では若年者が多く、いずれも1次治療には外科的治療の選択が多かった。一方、肝臓がんと肺がんはいずれも40%超が1次治療として化学療法を実施していた。・不整脈、HF、およびACSの100人年当たりのIRは、それぞれ2.26、2.08、0.54で不整脈とHFでは明らかに高く、一般集団と比較してもHFやACSのIRは非常に高かった。これは年齢・性別で比較しても明らかであった。・不整脈とHF、ACSの発生率を年齢・性別でみると、高齢者かつ男性で多かった。・がん種ごとにIRをみたところ、肺がん、肝臓がん、結腸がん、そして胃がん患者では不整脈の頻度が高かった。・肺がんと肝臓がん患者ではHFのIRも高く、化学療法や外科的治療が関連していた。その予測因子として、肺がんのオッズ比(OR)は、病期stage2で1.23(95 %信頼区間[CI]:1.08~1.40、p=0.001)、stage3で1.26(同:1.13~1.41、p

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甲状腺がん、術後放射性ヨウ素内用療法vs.経過観察/NEJM

 甲状腺全摘術後の低リスク甲状腺がん患者において、放射性ヨウ素内用療法を行わないフォローアップ戦略は、3年時の機能的、構造的および生物学的異常の発生に関して、放射性ヨウ素内用療法によるアブレーション戦略に対し非劣性であることが、フランス・パリサクレー大学のSophie Leboulleux氏らが実施した前向き無作為化第III相試験「Essai Stimulation Ablation 2 trial:ESTIMABL2試験」の結果、示された。甲状腺切除術を受けた低リスク分化型甲状腺がん患者において、術後の放射性ヨウ素(ヨウ素131)の投与は有益性が実証されておらず議論の的であった。NEJM誌2022年3月10日号掲載の報告。術後低リスク分化型甲状腺がん患者776例を対象に 研究グループは2013年5月~2017年3月にフランスの35施設において、甲状腺全摘術を受けた低リスク分化型甲状腺がん患者776例を、術後放射性ヨウ素内用療法群(遺伝子組み換えヒト型甲状腺刺激ホルモン[ヒトチロトロピン アルファとして0.9mg]を24時間間隔で2回筋肉内投与し、最終投与24時間後に1.1GBq[30mCi]の放射性ヨウ素を投与)、または経過観察群(放射性ヨウ素内用療法を行わない)に、施設およびリンパ節転移の有無(N0またはNx)で層別化して無作為に割り付けた。 主要評価項目は、3年後の機能的、構造的および生物学的異常の複合エンドポイントである。複合エンドポイントの発生がないことに関する経過観察群の放射性ヨウ素内用療法群に対する非劣性の検証が主要目的であった。非劣性マージンは、複合エンドポイントのイベント(その後の治療を要する放射性ヨウ素取り込みを認める病巣の全身スキャンによる検出[放射性ヨウ素内用療法群のみ]、頸部超音波検査での異常所見、サイログロブリンまたはサイログロブリン抗体の上昇)が発生しなかった患者の割合の群間差が5ポイント未満とした。 副次評価項目は、イベントの予後因子および分子学的特性などであった。3年時の無イベント率に差はなく、経過観察群の非劣性を確認 無作為化後3年時に評価することができた患者は730例(放射性ヨウ素内用療法群363例、経過観察群367例)で、このうち主要評価項目のイベントが発生しなかった患者の割合は、経過観察群95.6%(95%信頼区間[CI]:93.0~97.5)、放射性ヨウ素内用療法群95.9%(95%CI:93.3~97.7)であった。群間差は-0.3ポイント(両側90%CI:-2.7~2.2)であり、結果は非劣性基準を満たすものであった。 イベントの発生は、構造的または機能的異常が8例、生物学的異常が23例に25件認められた。イベントの発生頻度は、術後甲状腺ホルモン療法中に血清サイログロブリン値が1ng/mL超の患者で高かった。分子生物学的異常は、イベントの有無で差はなかった。治療関連有害事象は報告されなかった。

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オミクロン株へのワクチン有効性、3回接種で対従来株と同等/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンは、アルファ変異株、デルタ変異株、オミクロン変異株によるCOVID-19関連入院の予防に高い有効性を示したが、オミクロン変異株に対しては、デルタ変異株やアルファ変異株に対する2回接種で得られる効果と同じ効果を得るためには、3回接種が必要であることが、米国・ミシガン大学のAdam S. Lauring氏らによる症例対照試験で示された。また、COVID-19による入院患者では、オミクロン変異株のほうがデルタ変異株より重症度が低かったものの、依然として罹患率および死亡率は高いこと、3種すべての変異株についてワクチン接種済みの患者は未接種患者と比較し重症度が有意に低いことも明らかになったという。BMJ誌2022年3月9日号掲載の報告。COVID-19入院患者と非COVID-19入院患者を対象に症例対照試験 研究グループは米国の21病院において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性が確認された18歳以上のCOVID-19入院患者(症例)と、同時期の非COVID-19入院患者(対照)を登録し、前向き観察研究を実施した。解析対象は、2021年3月11日~2022年1月14日の間に登録されたCOVID-19患者5,728例、対照患者5,962例の計1万1,690例であった。 患者は、ウイルス全ゲノム解析、または入院時の流行株(2021年3月11日~7月3日:アルファ変異株、2021年7月4日~12月25日:デルタ変異株、2021年12月26日~2022年1月14日:オミクロン変異株)に基づき、SARS-CoV-2変異株群に層別化された。 主要評価項目は、COVID-19による入院の予防に関するmRNAワクチンの、変異株(アルファ変異株、デルタ変異株、オミクロン変異株)ごとの有効性で、診断陰性デザイン(test-negative design)を用いて算出した。また、COVID-19入院患者を対象に、世界保健機関(WHO)の臨床進行スケール(WHO-CPS)による疾患重症度について、比例オッズ回帰モデルを用いて変異株間で比較した。ワクチンの入院予防効果、オミクロン変異株では2回接種65%、3回接種86% COVID-19入院予防に関するmRNAワクチンの有効性は、アルファ変異株に対して2回接種では85%(95%信頼区間[CI]:82~88%)であった。デルタ変異株に対して2回接種では85%(83~87)、同3回接種では94%(92~95)であり、オミクロン変異株に対しては2回接種で65%(51~75)、同3回接種では86%(77~91)であった。 院内死亡率は、アルファ変異株7.6%(81/1,060例)、デルタ変異株12.2%(461/3,788例)、オミクロン変異株7.1%(40/565例)であった。 ワクチン未接種のCOVID-19入院患者において、WHO-CPSに基づく重症度は、デルタ変異株群がアルファ変異株群より高く(補正後オッズ比[aOR]:1.28、95%CI:1.11~1.46)、オミクロン変異株群はデルタ変異株群より低かった(0.61、0.49~0.77)。 ワクチン未接種患者と比較してワクチン接種患者は、アルファ変異株(aOR:0.33、95%CI:0.23~0.49)、デルタ変異株(0.44、0.37~0.51)、オミクロン変異株(0.61、0.44~0.85)のいずれの変異株においても重症度が低かった。

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ゼロ・リスクか?ウィズ・リスクか?それが問題だ(解説:甲斐久史氏)

 早いもので20年ほど前、外勤先の内科クリニックでの昼下がり。「今朝から、とくにどこというわけではないが、何となく全身がきつい」と20歳代後半の女性が来院した。熱も貧血もないのに脈拍が120前後。血圧はもともと低いそうだが収縮期血圧は80mmHg弱。心音・呼吸音に明らかな異常はないが、皮膚が何となくジトーッと冷たい気がする。聞いてみると先週、2〜3日間、風邪にかかったとのこと。心電図をとってみた。洞性頻脈。PQ延長(0.30秒くらいだったか?)。ドヨヨーンとした嫌な波形のwide QRS。どのように患者さんに説明し納得してもらったかは覚えていないが、ドクターヘリでK大学病院に搬送した。救急車では小一時間かかるためでもあったが、当時導入されたばかりのドクターヘリを使ってみたいというミーハー心に負けた一面も否定できない。夕方、帰学するとその足でCCUを覗いてみた。「大げさですよ。スカでしたよ!」レジデントたちからの叱責(?)覚悟しつつ…。が、何と!その患者はPCPSにつながれていたのである。約10分のフライト中は順調であったが、CCU搬入直後に完全房室ブロック。あっという間に心室補充収縮も消失。直ちにその場でPCPSを挿入できたため事なきを得たとのこと。CCUスタッフの的確な治療もあり、彼女は、2~3日後にはPCPSを離脱し、その後も順調に回復。完璧な正常心電図に復し、心機能障害を残すこともなく退院した。循環器内科医には身に覚えのある“心筋炎、あるある話”と言えよう。 本稿の執筆時(2022年3月中旬)、オミクロン変異株による新型コロナウイルス感染拡大第6波の感染者数のピークは越えたとはいえ、期待されていた急激な感染者数減少はなかなか見通せず、死亡者数や重症者数も高水準で推移している。そのような中で、依然としてワクチンが、発症・重症化予防、感染予防(オミクロン変異株には期待できないようであるが)の現実的な切り札的存在であることに変わりはない。しかしながら、種々の要因のため3回目のワクチン接種は伸び悩んでいる。その中で、ワクチンの副反応、とりわけ最近、コミナティ(BNT162b2、ファイザー社)・スパイクバックス(mRNA-1273、モデルナ社)の添付文書にも記載された心筋炎・心膜炎への危惧の影響も大きいようである。 米国疾病予防管理センターのOsterらによれば、米国のワクチン有害事象報告システム(Vaccine Adverse Event Reporting System:VAERS)に基づく解析の結果、2020年12月〜2021年8月にmRNAワクチンを接種された12歳以上の約2億例(約3億5,000万回接種)のうち、心筋炎が1,626例(BNT162b2 947例、mRNA-1273 382例)でみられたという。心筋炎患者の年齢中央値は21歳、男性に多く(82%)、2回目接種後が多く、症状発症までの期間は2日(中央値)であった。ワクチン接種後7日以内の心筋炎の報告は、12〜15歳男性でBNT162b2 70.7例/100万回、16〜17歳男性でBNT162b2 105.9例/100万回、18〜24歳男性でBNT162b2 52.7例/100万回、mRNA-1273 56.3例/100万回であった。これらは、一般の心筋炎の発症頻度とされる80〜100例/100万人に匹敵する。なお、30歳未満の症例のうち詳細な臨床情報が得られたものは826例でそのうち98%が入院した。その87%が退院までに症状が消失した。治療は主に非ステロイド系抗炎症薬投与(87%)であった。最近の厚生労働省資料によれば、わが国の心筋炎・心膜炎の発症頻度は、10代男性でBNT162b2 3.7例/100万回、mRNA-1273 28.8例/100万回、20代男性でBNT162b2 9.6例/100万回、mRNA-1273 25.7例/100万回である。VAERSの報告と比較すると低めではあるが、やはり10〜20代男性では心筋症発症リスクが認められる。ただ、VAERSや厚生労働省のデータは受動的な報告システムであるため、心筋炎の報告が不完全であり情報の質も一貫していない恐れがあり、報告数が過小評価なのか過剰評価なのかさえ判断が難しい。 まったく健康な若者にワクチン接種することで、一定の割合で心筋症のリスクを負わせることに、社会や当の若者たちが不安を覚えることはよくわかる。しかし、そのリスクは一般住民が日常的に曝されている普通のウイルスなどにより引き起こされる心筋炎・心膜炎のリスクを超えるものではない。少なくとも急激に重症心不全に陥るような劇症心筋炎はまずみられないようである。一方、新型コロナウイルス感染症に実際に感染した場合、心筋症・心筋炎発症リスクは、わが国(15〜39歳男性)では834例/100万回、海外(12〜17歳男性)では450例/100万回にのぼる。われわれ医師としては、ワクチン接種のメリットがデメリットよりはるかに大きいことを、正しく冷静に社会に訴えていくのが妥当であろう。リスクを強いるのであれば、ワクチン接種者に胸痛、動悸、強い倦怠感や息切れなど心筋炎・心膜炎症状を自覚したら迷わず受診することを周知するとともに、ワクチン接種後には積極的に心筋炎・心膜炎を考慮した診察・検査を行い早期発見、早期治療を提供することがわれわれの責務と心得るべきであろう。ただ、心筋炎は、心不全進展とは全く別途に、心室頻拍、心室粗動、伝導障害により突然死を来す。この発症頻度の推定困難なリスクまで考えると悩みは深まる。 2年以上続く新型コロナウイルス感染症パンデミックを前にして、日本は、依然、ゼロ・コロナか? ウィズ・コロナか? という命題の前に右往左往している。その根源には、そもそもゼロ・リスクの人生などあり得ないのに、ウィズ・リスクの現実には目を背け、「日々安心が何より」を是とする筆者のような正常性バイアスがあるのではないか? かと思うと一点、自分に都合の良い情報ばかりに頼る確証バイアスに陥るし・・・。日常からリスクを正面に見据えたリスク・リテラシーの醸成は、わが国にとって喫緊の課題かもしれない。

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求む、後見人【Dr. 中島の 新・徒然草】(417)

四百十七の段 求む、後見人ちょくちょく頼まれるのが、成年後見人制度用の診断書。皆さんのところにも来ますか?かかわりたくない先生もおられるようですが、私はできるだけ書くようにしています。というのも、後見人を決めないことには話が進まない患者さんが沢山いるからです。代表的なのは、身内がいないまま認知症になってしまった人ですね。このような人の財産管理や身上監護を、誰かがしなくてはなりません。そこで、我々医師が意見書を作成するわけです。長谷川式簡易知能評価スケールとか、 MMSE (Mini Mental State Examination) とかの簡単な検査を行い、御本人の記憶力や判断能力の程度について意見を述べます。判断能力は有る無しで述べるのではなく、症状が重いほうから軽い順に後見、保佐、補助という段階がつくことになります。今回頼まれたのは高齢女性。MMSEの点数だけで判断するわけにはいかないので、病室まで自分で顔を見に行きました。中島「私は中島です。ちょっと書類を書くのでいろいろ教えてください」患者「なんでも聞いてー」中島「じゃあ住所を教えてください」患者「住所はここや」ここって、病院に住んでいることになっているんですかね。中島「ナントカ町何丁目とかいうのがあるでしょう」患者「谷町六丁目かな」中島「番地はどうなってますか」患者「忘れた」谷町六丁目というのは病院の近所です。中島「じゃあ今はいつですか。西暦でも和暦でもいいですよ」患者「ワレキ?」中島「失礼しました。大正とか昭和とか」患者「令和や」中島「令和何年ですか?」患者「令和60何年かな」令和60年だったら、今上陛下は120歳くらいでしょうか。中島「じゃあ、お年はいくつですか?」患者「80歳とか、そんなもん違う?」実年齢よりわずかに低い。女性の場合、認知症の有無にかかわらずサバをよむ傾向があります。中島「生年月日は?」患者「昭和〇年〇月〇日や」中島「昭和ヒトケタじゃないですか。戦争中も大阪に住んでいたのですか?」患者「奈良に疎開しとったけどな」中島「爆弾が降ってきたんですか?」患者「いや、奈良には落ちてこんかった」中島「じゃあ、大阪空襲が見えたでしょう」患者「空が真っ赤やった」もう少しきいてみましょう。中島「やっぱり戦争は負けると思いましたか?」患者「もう食べるもんもなかったしな」終戦の時は10歳ちょっとだったわけですね。中島「ところで、身内はどなたがいてはるんですか?」患者「甥っ子がおる。天満やったかな。天神……」中島「天神橋?」患者「そうそう」戦争のことは鮮明に覚えているのに、最近のことは怪しいです。中島「じゃあ、書類作っときますね」患者「よろしゅうに」中島「ところで、僕の名前を憶えてますか?」患者「あかん、忘れた」中島「そのことも書いておきます」病室から外来に戻って書類作成にとりかかりました。ふと、書類の患者さんの名前が違っているのに気付きました。つまり全く違う人にインタビューしていたのです。ひょっとして、後見人が必要なのは私だったということ?とにかく書類作成前に気付いて良かったです。最後に1句間違いに 気付いてセーフ 春うらら※全部で8回あった大阪大空襲のうちの1回目は、1945年3月13~14日でした。ちょうど今から77年前ですね。

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人口減少に財政危機…、医師もついに試練の時代?【医師のためのお金の話】第54回

「医師でさえ受難の時代が到来」「資格系最後の砦、医師にもついに試練の時代がやって来た」…。多くの医師がこのような認識を共有しているのではないでしょうか。しかし、へそ曲がりな私は思います。「それはちょっと違うのではないか」と。医師の間で、将来に対する悲観論が蔓延するのは、誰もが納得する理由が3つもあるからです。人口減少財政危機AIによる医師の職域浸食確かにいずれも医師という職業に対する強烈な逆風に見えます。しかし実際はどうなのでしょうか? よく調べてみると、必ずしも私たちに不利な状況とは言えない事実が浮かび上がってきました。それでは順番に検証していきましょう!1)人口減少……総人口減少でも高齢者人口は増加中いきなりアタマを抱えてしまいそうな問題ですね。人口減少を語るうえで、人口動態の理解は欠かせません。人口動態は、国勢調査のデータから算出されます。膨大な国家予算を投入して調査した数字だけに、その正確さは折り紙付きです。ある意味、これほど正確な未来予測はないと言えます。残念ながら、日本の未来はきわめて暗いと言わざるを得ません。日本の総人口は2008年にピークを迎えました。それからすでに14年が経過しています。しかし、意外なことに、日本の人口は2008年当時から300万人しか減少していません。「な~んだ、人口減少は大問題といわれているけど、ぜんぜん大した問題ではなさそう」、と思ったでしょうか。しかし、これは完全に誤った認識です。人口減少は今から本格化するからです。さながらナイアガラの滝のような勢いで。ですが、一方で医師の収入に直結する高齢者人口を見ると、まったく様相が異なります。内閣府の資料1)によると、65歳以上の人口がピークを迎えるのは2041年ごろと予想されています。医療業界は、あと20年も人口減少の影響を受けにくい期間を享受できるのです。そして、現在はむしろ高齢者人口がどんどん増加しているステージです。あれっ、医師にとってはむしろ追い風が吹いているのではないでしょうか? 少し不謹慎にもなりますが、高齢化が進む今の状況は、医師にとってプラス面が大きいのです。2)財政危機……それでも医療業界は成長する!?今度こそ、ヤバそうな問題ですね。一個人が国家の財政危機を論じるのはおこがましいのですが、意外なことに、医療費は今後も順調に(?)伸びる見通しです。この意味するところは、私たちの医療業界に流れ込むお金の量が増える、ということです。2020年の財務省の資料2)をひもといていきましょう。医療費は、2018年比で2025年は1.2倍、2040年には1.4倍と伸びています。医師にとって心地良い状況はまだ続きそうですし、どう考えても悲観する状況には程遠いと言えるでしょう。もちろん、日本の経済成長が止まっているため、楽観視はできません。国が本気で医療費抑制に動く可能性も否定できないからです。しかし、過度の医療費抑制は政治的に厳しい決断となるために実行は難しいでしょう。つまり、私たちは20年間も成長が約束された業界にいるわけです。3)AIによる医師の職域浸食……AIを乗りこなそうAIを活用した技術は、医療業界でも確実に拡大するでしょう。世界中の投資マネーがこの領域に集中しており、このトレンドには抗えません。しかし、AIに職を奪われる危険性は個人の戦略次第で十分に回避できます。むしろAIの利用で医師としての活動幅が広がる可能性もあるでしょう。AIに淘汰される可能性が高いのは、いわゆる「町のお医者さん」です。一般的な疾患の診断や処方、予防医療などの活動領域がAIとかぶるため、多大な影響を受ける可能性があります。一方、高度な専門知識と技術を必要とする医療は、依然として医師の独壇場にあります。むしろ、AIを使いこなして医療の肝となる部分に集中することで、さらなる高みに到達できる気配さえあります。AI(デジタル)を基盤とし、専門性の高い人間の頭脳の部分で稼ぐという、いわゆる「デジタル・ケンタウロス」型の人材です。実臨床の職人的能力を高めてAIをうまく活用する医師は、テクノロジー進化の恩恵を最大限に受けることができるでしょう。そしてここで言う「職人的能力」には、医療技術だけではなく、患者さんに寄り添うコミュニケーション能力も含まれます。フツーに考えたら医師の未来は明るいここまで、一般的に喧伝されている医師の悲観論を検証してみました。あれっ? 医師の未来って結構明るいじゃないですか。まあ、悲観論は話題性があるので流布しやすい面があるのも事実ですが、過度に影響されるのは考えものです。せっかくの未来を棒に振りかねません。これからの時代、私たち医師がやるべきことは、きわめてオーソドックスです。医療業界の成長に身をゆだねて、医師としての自己研さんに励む。たったこれだけで成長の果実を得ることができるでしょう。もちろん本当に日本が財政破綻をすれば話は別ですが、その可能性は現時点では低いと思われます。悲観論に惑わされることなく前向きに生きていきましょう。私たちの未来は明るい! 医師として堅実に学び、さらなる高みを目指そうではないですか!<参考>1)平成29年版高齢社会白書(全体版)/内閣府2)社会保障について(1)(参考資料)/財務省

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医療マンガ大賞2021「命のバトン」受賞者描き下ろし作品(ささき かずよ氏)

医療マンガ大賞2021「命のバトン」受賞者描き下ろし作品(ささき かずよ氏)ケアネット部門受賞者・ささき かずよ(ぴよ)氏からのコメント身近な人の死に向き合うことはとても辛いことですが、それを「命のバトン」というわかりやすい言葉に置き換えて、向き合うことを促すようなエピソードを拝読し、今回の作品を描かせていただきました。私自身、看護師として現場でお看取りをする場面はいつも緊張しながらも、ご家族がどのように死を受け止めているかを慎重に感じるように心がけています。この作品を通して、差し迫った時が来る前に「命のバトン」をつないでいくための話をする・考えるきっかけになれば幸いです。エピソード原案作者様、この場を提供いただいたケアネット様、皆様に感謝を込めて。看護師/NHA認定トレーナーが看護・介護にNHAをお届けします!

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第100回 コロナ時代のオンライン医学教育、教員側に求められる“質と工夫”

コロナ禍で世界中の教育機関が従来の対面式からオンラインに移行する中、医学教育においては、本来ならオンライン化に適していない臨床実習や解剖などの科目までもが、オンラインに移行せざるを得ない事態となっている。準備期間もなく始まったオンライン教育に対し、医学生視点のメリット・デメリットなどに関して、NPO法人医療ガバナンス研究所で活動する医学生らが調査した。その結果、自分の時間を有効活用できるというメリットが挙がる一方、教員の質や工夫にばらつきがあり、学生が学びづらい状況が生じていることが明らかになった。調査した医学生らは、学生とのコミュニケーションや授業内容の工夫を重視すべきだと提案している。調査結果はこのほど、International Journal of Environmental Research and Public Health誌オンライン版2022年2月28日号1)に掲載された。以下、概要を紹介する。日本と欧州の医学生18人に詳細なインタビュー調査では、スノーボールサンプリング法(雪だるま式標本法:特定の調査対象者に回答してもらい、その人物に別の調査対象者を紹介してもらうという方法)で集められた日本の医学生13人と欧州の医学生5人(ノルウェー、スロバキア、ハンガリー)の計18人を対象に、詳細なオンラインインタビューを行った。2020年9~10月にインタビューを実施。質問は以下の5点に焦点を当てた。(1)オンライン教育の実施状況(2)利点と欠点(3)教員、友人や家族との関わりの変化(4)オンライン教育の改善に関する意見(5)特定の大学への所属の必要性、である。回答は、テーマ分析により4つに分類された。テーマ1:時間短縮と柔軟性、テーマ2:技術トラブルとデジタルスキル不足、テーマ3:授業の質のばらつき、テーマ4:授業以外の経験の喪失、となる。ネット環境の善し悪しがパフォーマンスに影響テーマ1では、「大学や外部病院までの通学時間がなくなり自由な時間が増えた」「勉強や睡眠、好きなことなど、自分の時間を自由に有効活用できる」といったポジティブな意見が多かった。テーマ2では、学生も教員もデジタル技術やインターネット環境にばらつきがあり、不具合により授業が聞こえないトラブルが起きたり、試験に間に合わなかったと訴えたりする学生がいた。テーマ3では、講義内容や資料を提供する教員側の質や工夫にばらつきがあり、学生にとって質問しにくく、学びづらい状況が生じていることが明らかになった。テーマ4では、友人や教員との直接の交流、研究や課外活動が制限されたことにより、精神的なダメージを受けた学生がいた。学生・教員共にオンライン化への対応にばらつき以上の結果から浮き彫りになったのは、学生側も教員側もオンライン化への対応にばらつきが生じていることだった。テーマ1のようにポジティブな過ごし方ができる学生がいる一方で、急な自宅待機などの変化に適応できず、精神的なダメージを受けた学生もいることから、調査をした医学生らは、大学側のサポートは急務と指摘した。また、テーマ2~4の結果に対して、オンライン教育ではとくに一方的にならないように、学生とのコミュニケーション(質疑応答や雑談を授業中や授業後に設けるなど)や、教員側がオンライン教育での授業内容の工夫(接続不良を考慮して、口頭だけでなく配布資料にその内容を載せるなど)を重視すべきであると提案している。コロナ禍では、医学生・患者双方の安全確保、医療現場の負担軽減のため、患者との接触を伴う臨床実習は中止せざるを得ない状況になった。そのため、医学生が将来、医師としての知識や技能が欠けて臨床現場に悪影響を及ぼす懸念も生じている。世界の医学部がジレンマに陥る中、双方向性をいかに担保していくかが、オンライン医学教育に大きく問われているようだ。参考1)Suzuki T, et al. Int J Environ Res Public Health. 2022;19:2840.

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