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医療機関でのブレークスルー感染事例の共通点は/感染研

 国立感染症研究所は、12月16日に同研究所のホームページで「ブレイクスルー感染者を含む医療機関、福祉施設などでのクラスター調査から得られた知見(簡略版)」を公開した。オミクロン株の拡大が懸念されている現在、クラスター抑止の観点からも参考にしていただきたい。11のブレークスルー感染事例で共通した事項とは 今回公開された知見は、2021年8月以降、医療施設や福祉施設などにおいて、ワクチン接種後一定の期間を経過した者のうち、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患する、いわゆるブレークスルー感染者を多数含むクラスターが報告されるようになったことに鑑み、「ブレークスルー感染者を多数含む複数の国内各地で発生したクラスターの各調査結果(計11事例)から得られた、共通すると思われる代表的な所見、および共通する対策に関する提案について、迅速性に重きを置いた形で簡略に紹介する」としている。 また、基となった調査における陽性者の全検体の遺伝子情報は分析されていないが、分析されたウイルスについてはすべてデルタ株であったこと、この11事例全体を通して、2回目の接種日から発症までの週数の中央値は、職員については17.1週(範囲5.1-22.6週)、入所者・入院患者については7.3週(範囲0.1-19.6週)だったことも触れられている。【代表的な所見】・集団として高いワクチン接種率を達成していても、COVID-19陽性者が集団に入り込むと、濃厚な接触を必要とする介護度の高い方、マスク着用、手指衛生などが実施できないご高齢な方、またそのような方たちを介護する職員を中心に感染伝播が起こっていた。・施設におけるブレークスルー感染者を含むクラスターの発生前、発生中にその施設周辺地域においてCOVID-19の流行が認められていた。・ワクチン既接種者が感染した場合の症状は軽度であり、健康観察(特に37.5℃以上の発熱)が十分に行われていても検査に至らなかったケースが多く、事例の探知が遅れた。そのため、真の発端例の特定やウイルスの侵入経路については不明な場合が多かった。・陽性者数が多くても、これまでのクラスターと比較し、収束までの期間が短縮化されていた。・ワクチン接種以前のクラスターでは重症化していたと思われる方たち(高齢者、基礎疾患を有する方など)も比較的軽症で改善していた。ただし、経時的にブレークスルー感染事例における重症度が変動していく可能性はあり、今後も厳重に監視していく必要がある。【共通する対策に関する提案】・職員や患者、入所者のワクチン接種歴を把握し、未接種者に対してはワクチンの効果、安全性、副反応等を十分説明し、接種について再度働きかけていただく。・ワクチン接種の有無にかかわらず、COVID-19の感染経路に基づいた適切な予防法、消毒法について、特に医療従事者や施設職員は正しく実践する。・ブレークスルー感染者の症状は軽症であることが多いため、健康管理(観察と記録)の強化とともに、軽症(発熱なく上気道症状のみなど)でも申告すること、感染リスクの高い行動などを避けること、などCOVID-19予防策について今一度周知徹底していただく。・ブレークスルー感染における重症度の推移については厳重に監視していく。

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新型コロナ予防接種実施の手引き(6版)を公開/厚労省

 厚生労働省は、12月17日に全国の市町村に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(6版)」を発出するとともに、同省のホームページでも公開した。本手引きは2020年12月17日の初版以来、十数回の更新を行い、その時どきの臨床知見、行政施策を反映した内容に改訂されている。 今回の改訂では、武田/モデルナ社ワクチンに関する記述、他施設へのワクチンの融通、ワクチンの移送に関する記述が大幅に追加された。主な改訂点【第4章2(5)ア(エ) ファイザー社ワクチンをシリンジに充填して移送する場合の留意点について追記】在宅療養患者等に対して在宅において接種を行う場合は、希釈したファイザー社ワクチンをシリンジに充填した状態で移送することを可能としているが、以下の点に留意すること。・シリンジの充填作業は1ヵ所で行うこと。・ワクチンを充填したシリンジは、添付文書の記載に従い、2~30℃で管理し、揺らさないよう慎重に取り扱うとともに、直射日光および紫外線が当たらないようにすること。・希釈後は6時間以内に使用すること。・シリンジに充填した状態のワクチンを他施設へ融通しないこと。【第4章2(5)イ 武田/モデルナ社ワクチンの移送に関する温度の要件等について、修正】【第4章2(6) ワクチンを別の接種施設へ融通する場合の留意事項について、武田/モデルナ社ワクチンを追加】原則、直接配送を受ける接種実施医療機関などにおいて接種を行うこととしているとしながらも、「地域の実情やワクチンの保管期限を踏まえ、ファイザー社ワクチンおよび武田/モデルナ社ワクチンについては、直接配送を受ける接種実施医療機関などから他の医療機関に対してワクチンを分配することができる。さらに、再融通も可能であることから、直接配送を受けない接種実施医療機関などからさらに別の医療機関などに対してワクチンの分配を行うことができる」とした。別接種施設へ融通する場合の留意事項は以下のとおり。・移送先施設は、原則としてワクチンの分配を受ける移送元施設と同一市町村内に所在すること。・ワクチンの管理の観点から、専任の担当者を配置して管理を厳格に行う場合には、1ヵ所の移送元施設に対する移送先施設の箇所数は、地域の実情に応じて定めることができる。それ以外の場合は、1ヵ所の移送元施設に対する移送先施設の箇所数は、数ヵ所までを目安とする。・管理体制とワクチンの効率的使用の両面から、大規模な自治体においては接種施設1ヵか所当たりの人口が数千人を下回らないことが望ましい。ただし、高齢者施設入所者への接種や離島・へき地での接種に必要な場合については、この限りでない。・移送先施設の施設数が増えると、端数になりうるワクチンの総量が増える可能性があるため、必要なタイミングで必要数を送る、配送の頻度を高く保ち使用量が見込みと異なった場合は次回の移送量を調整するなど、移送先でのワクチンの余剰を最小化すること。・移送先施設などは、あらかじめ移送元施設とワクチンの分配について合意すること。・ワクチンの分配を受ける移送元施設を変更することは、一定の条件の下で可能であるが、一時点において、複数の移送元施設からワクチンの分配を受けることはできない。・ワクチンの移送に要する時間は原則3時間以内とし、一定の要件を満たす保冷バッグを用いて移送を行うこと(離島などの特殊な事情がある場合でも12時間を超えることはできない)。なお、国が提供する保冷バッグを用いて、途中で開閉して移送する場合は、離島などの特殊な事情がある場合でも、保冷バッグの仕様上、6時間を超えて移送することはできない。【第4章3(8) 同一医療機関などにおいて複数種類の新型コロナワクチンを取り扱う際の留意点について追記】【第4章3(11)、第5章1(3)、3(4)イ(ウ) コビシールドについて追記】【第4章3(19)、第5章3(3) 接種券が届いていない追加接種対象者に対して接種を実施する場合の例外的な取扱いについて追記】接種券を保有していない者に接種する場合は、例えば、本人確認書類などで、氏名、生年月日、住民票上の住所、連絡先などの情報を記録しておくといった工夫を行う。なお、追加接種において、接種券が届いていない追加接種対象者に対して接種を実施する場合の例外的な取扱いについては、「第5章3(3)ア 接種を実施する際の注意点」を参照すること。【第4章9 予防接種証明書の電子交付が開始になったことに伴い修正】【第5章1(4) 使用するワクチンの種類に武田/モデルナ社ワクチンを追加】【第7章2(2) 武田/モデルナ社ワクチンの追加接種について追記】 詳細は本手引きを参照いただきたい。なお、本手引きの内容は、「今後の検討状況により随時追記していくものであり、内容を変更する可能性もある」と注意を述べている。

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全国の医療機関に漫画を!『はたらく細胞』コラボPJT始動/TECC

 末梢動脈疾患(PAD)および末梢血管インターベンション(EVT)の啓発と発展を目的に活動している一般社団法人TECCが、「足の血管を守ろう!プロジェクト」と題したクラウドファンディングを開始した。今回、PADを医療従事者、そして一般人により広く知ってもらうことを目的に、人気漫画『はたらく細胞』とコラボレーションして特別コミックス「末梢動脈疾患」編を制作。オリジナルストーリーには、「足の痛みで困っている患者さんが少しでも早く医療機関に相談できるように、治療が遅れることのないように」という思いが込められている。 本プロジェクトでは、支援額(3,000円~)に応じた返礼品として「漫画別刷り+啓発情報」の冊子が送付されると共に、同冊子などを啓発目的に配布いただけるようになる予定。 TECC代表理事の鈴木 健之氏(東京都済生会中央病院 循環器内科/TECC2021大会長)は、「今回の漫画は、医療者が読んでも一般の方が読んでも、面白い、PADやEVTのことがよくわかったと思ってもらえる内容になっているので、ぜひ多くの方に読んでいただきたい。職種関係なく、まずは医療従事者を巻き込んで、ゆくゆくは大きなムーブメントとなってプロジェクトを成功できたらいいなと思う。医療チームみんなの力で目標を達成したい」と語った。 クラウドファンディングで集めた支援金は、希望する全国の医療機関に対して合計5,000冊の特別コミックス配布などに活用される予定。・プロジェクトの詳細・ご支援はこちら↓TECC×はたらく細胞|足の血管を守ろう!プロジェクト(READYFOR)・関連記事内【足の血管を守ろうPROJECTインタビュー 前・後編】もぜひご覧ください!

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DLBCLへのpola-R-CHP療法vs. R-CHOP療法/NEJM

 未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者において、R-CHOP療法(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+prednisone)よりも、抗CD79b抗体薬物複合体・ポラツズマブ-ベドチン+R-CHP療法(pola-R-CHP療法)を受けた患者のほうが、2年時点の病勢進行・再発・死亡の複合リスクが約27%低かったことが示された。フランス・Centre Henri-BecquerelのH. Tilly氏らが、879例を対象に行った国際的な第III相二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2021年12月14日号で発表した。DLBCLに対しては通常R-CHOP療法が行われるが、治癒が期待できるのは60%のみであった。DLBCL患者を対象にpola-R-CHP療法とR-CHOP療法を比較 研究グループは、未治療で中等度~高度リスクの18~80歳のDLBCL患者を対象に、従来R-CHOP療法と、pola-R-CHP療法を比較する検討を行った。 被験者を無作為に1対1の割合で2群に分け、pola-R-CHP療法またはR-CHOP療法をそれぞれ6サイクル、その後リツキシマブを2サイクル投与した。 主要評価項目は、研究者の評価による無増悪生存(PFS)。副次アウトカムは、全生存(OS)および安全性とした。推定PFS率はR-CHOP療法70.2%でpola-R-CHP療法76.7% 被験者数は全体で879例(pola-R-CHP療法群440例、R-CHOP療法群439例)。追跡期間中央値28.2ヵ月後のマイルストーン解析で、2年時点の推定PFS率はR-CHOP療法群70.2%(95%信頼区間[CI]:65.8~74.6)に対し、pola-R-CHP療法群は76.7%(72.7~80.8)だった。 2年時点の無イベント生存率は、pola-R-CHP療法群がR-CHOP療法群よりも低く、Cox回帰分析による病勢進行、再発、死亡に関する層別ハザード比(HR)は、0.73(95%CI:0.57~0.95、p=0.02)だった。また、2年時点のOS率については、両群間で有意差はみられず、pola-R-CHP療法群88.7%(95%CI:85.7~91.6)、R-CHOP療法群88.6%(85.6~91.6)だった(HR:0.94、95%CI:0.65~1.37、p=0.75)。 安全性プロフィールは、pola-R-CHP療法群とR-CHOP療法群で類似していた。

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アグレッシブB細胞性リンパ腫の2次治療、チサゲンレクルユーセルvs.標準治療/NEJM

 1次治療に抵抗性を示すなど、アグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫に対し、2次治療としてのチサゲンレクルユーセルは、標準治療(救援療法)に対して優越性を示さなかった。米国・シカゴ大学のMichael R. Bishop氏らが行った国際的な第III相無作為化試験で示された。同患者では、1次治療に抵抗性または同治療後12ヵ月以内に病勢進行が認められた場合の転帰は不良とされる。今回の結果を受けて著者は、「どの患者がいずれのアプローチから最大の利益を得ることができるのか、さらなる研究が必要である」と述べている。NEJM誌オンライン版2021年12月14日号掲載の報告。18歳以上の患者322例を対象に、国際無作為化比較試験 研究グループは2019年5月31日~2021年1月8日にかけて、18ヵ国65医療施設で1次治療に抵抗性、または同治療後12ヵ月以内に病勢進行が認められたアグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫の18歳以上の患者322例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはチサゲンレクルユーセル+オプショナルでのブリッジング療法を(チサゲンレクルユーセル群)、もう一方には救援化学療法と自家造血幹細胞移植(HSCT)を行った(標準治療群)。 主要評価項目は無イベント生存で、無作為化から12週以降の評価時における、病勢安定または病勢進行、死亡までの期間と定義した。もし定義したイベントが、12週の評価時またはそれ以降に発生した場合には、チサゲンレクルユーセル群へのクロスオーバーが認められた。無イベント生存期間中央値は、両群ともに3.0ヵ月 ベースラインでのハイグレードリンパ腫患者の割合は、チサゲンレクルユーセル群(24.1%)が標準治療群(16.9%)より高率で、またPrognostic Indexスコアが2以上の患者の割合もチサゲンレクルユーセル群(65.4%)が標準治療群(57.5%)より高率だった。チサゲンレクルユーセル群の実薬投与の割合は95.7%で、標準治療群で自家HSCTを受けたのは32.5%だった。また、白血球除去療法からチサゲンレクルユーセル注入までの期間中央値は52日だった。 6週時点でリンパ腫の進行が認められたのは、チサゲンレクルユーセル群25.9%、標準治療群13.8%だった。無イベント生存期間の中央値は、両群ともに3.0ヵ月だった(チサゲンレクルユーセル群のイベントまたは死亡に関するハザード比[HR]:1.07、95%信頼区間[CI]:0.82~1.40、p=0.61)。奏効が認められたのは、チサゲンレクルユーセル群46.3%、標準治療群42.5%だった。 なお、有害事象による死亡が、チサゲンレクルユーセル群で10例、標準治療群で13例報告された。

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CKDの早期透析導入の意義は?(解説:浦信行氏)

 末期腎不全(ESKD)では、その時点での腎移植が望めない場合には生命維持のための透析導入は必須である。あまりに導入が遅ければ、導入後の病状改善に時間を必要とし、また、回復にたどり着く以前に重症感染症や心血管事故などで不幸な転機を取る危険性も増加する。しかし、ほとんどすべての症例は透析導入には抵抗感が大きく、可能な限りの先延ばしを望む。 20年ほど前なので数字の記憶は曖昧であるが、実際に経験した症例では透析導入の必要性をお話ししたところ、了解を頂けずに間もなく連絡先不明となった。1年後に重度の倦怠感のため再診された時のBUNが230mg/dL程度であったと思うが、低Na血症が少し血清浸透圧上昇に代償的に働いたのと、若い男性であったので何とかイベントもなく経過したと考えられる。緊急透析はきわめて低い血流量と透析液流量で始めたが、一過性に脳浮腫を発症したか、中程度の意識障害を来した苦い経験がある。このような危険を避ける意味でも透析導入時期の適正化が必要であるが、明らかな臨床指標はないのが現状で、症例の病態、自覚症状、臨床検査値を総合的に勘案して開始時期を決定する。 このたび、BMJ誌に透析導入の際の最適eGFRに関する研究結果が報告された。透析開始時のeGFRが4~19mL/min/1.73m2の15段階で検討した結果、eGFRが15~16の早期の開始が、eGFRで6~7での開始より死亡の5年絶対リスクが5.1%低下し、主要有害心血管イベント(MACE)のリスクが2.9%低下したと報告された。すなわち早期の導入は死亡やMACEを有意に減少させたとする結果であった。しかし、死亡に関する絶対リスクの5.1%低下は5年の追跡期間中で1.6ヵ月の死亡の延期につながるが、一方で透析導入を4年早めることが必要との結果である。 この結果は、ほとんどの症例は透析導入に強い抵抗感があるため、臨床的な意義はほとんど考えられない。この成績は基礎疾患、年齢、血圧値、Ca、P、ヘモグロビン、アルブミンで調整していることから、これらが結果に影響している可能性は考えにくく、尿蛋白やK値も有意な影響はなかった。しかし、いくつかの限界がある。早期に透析導入に至った経緯が不明なのである。透析導入の理由が不明であり、栄養状態、筋肉量、自覚症状、体液量、QOL、ADLなど、透析導入時期に関連する因子が不明である。したがって、早期導入に至った背景の違いが結果を過小評価させた可能性は必ずしも否定できない。その点を勘案しても、4年前倒しの透析導入は臨床現場では受け入れられないであろう。

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056)レアケースは重なる?不思議な引き寄せ【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第56回 レアケースは重なる?不思議な引き寄せゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆現在、私は地域の病院で皮膚科外来を担当しています。設備的に限られることもある現状ですが、やれる範囲でしっかり診ようと日々を送っています。それでも半年に数件ほどは、診断や治療の必要性から、地域の基幹病院に紹介することがあります。お忙しいところ申し訳ないという思いと、拙い紹介状を書いて迷惑にならないかという思いがあり、そうそう簡単には紹介できませんが、妙なことに、1件紹介した後にまたすぐ、別の患者さんで同じような症例を紹介することがたまにあります。そうそう来る症例でもないのに、たまたま立て続けに紹介することになって、強く印象に残っているだけかもしれません。普段の外来でもそうですが、同じような症例が続いたり、似たようなケースが連続したりすると印象に残るものですね。単なるバイアスかもしれませんが、不思議と波のようなものを感じます。私だけでしょうか。日頃、地域の医療を支えてくださっている基幹病院の先生方には、本当に頭が上がりません。私も微力ながら地域の皮膚科に貢献していきたいです。それでは、また〜!

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意外と身近なODTS、この正式名称は?【知って得する!?医療略語】第2回

第2回 意外と身近なODTS、この正式名称は?先生、「ODTS」を初めてカルテで見ました。この患者さんに共通する特徴はありますか?「ODTS」は日本では、あまり馴染みない疾患概念かもしれませんが、有機粉塵が原因となり、インフルエンザ様の症状が出現します。ODTSの診断の鍵は、ズバリ問診です!やはり問診は大切です。ODTSは発症前イベントや職業情報の重要性を痛感する疾患ですね。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】ODTS【日本語】有機粉塵中毒症候群【英字】organic dust toxic syndrome【分野】呼吸器・アレルギー【診療科】呼吸器内科【関連】有機粉塵過敏性肺炎・職業性過敏性肺炎実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。今回は筆者が過敏性肺炎の調査中に出会った有機粉塵中毒症候群(ODTS)を取り上げたいと思います。近年、過敏性肺炎は症例の集積が進み、原因により細分化が進んでいます。その1つにキノコ栽培者肺があり、同疾患は職業関連過敏性肺炎でもあります。筆者が調べたところ、日本国内では椎茸、なめこ、エリンギ、エノキダケ・シメジなど、私たちの馴染みのあるキノコ栽培者の症例報告があります。キノコ栽培に関連し、2012年に川崎 聡氏らがODTS 22名の集団発生を報告しています。同報告によれば、2004年の新潟県中越地震で被災したエノキダケ栽培工場で、復旧作業に従事したボランティアが、相次いでインフルエンザ様の症状を発症し、ODTSと診断されました。そのうち1名が犠牲となり亡くなりました。この事例はほとんど報道されなかったことから、上述の川崎氏の報告論文は、ODTSの臨床像を知れるだけでなく、過敏性肺炎の病因解明において示唆に富む内容が記録されています。筆者はこの報告は、大変貴重な報告だと思います。ODTSは本邦では耳にする機会の少ない疾患概念ですが、Googleで「Organic dust toxic syndrome」を検索すると6,020万件のヒットがあります。また、WHO国際疾病分類ICD11のCA70とCA80には、それぞれHypersensitivity pneumonitis due to organic dust、Airway disease due to specific organic dustとして有機粉塵に関する気道疾患が明記されています。有機粉塵による疾患は、世界ではより一般的な疾患概念かもしれません。有機粉塵は小麦粉や木粉など、私たちの身近なところに存在します。ODTSは発熱を呈するため、発熱疾患の鑑別の1つでもあります。問診で発症前のイベントや職業を確認することが、素早い診断につながると考えられます。お時間が許せば、下記の原著論文をお読みいただくことをお薦めします。被災したエノキダケ栽培工場の復旧ボランティアに集団発生した organic dust toxic syndrome の臨床的検討川崎 聡ほか. 日本呼吸器学会誌. 2012;1:p287-293.

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原因不明の足の痛み、プライマリでPADを疑うポイントは?【足の血管を守ろうPROJECTインタビュー・前編】

原因不明の足の痛み、プライマリでPADを疑うポイントは?【足の血管を守ろうPROJECTインタビュー・前編】<お話を伺った先生方>宇都宮 誠氏(左)TOWN訪問診療所城南院院長/東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科仲間 達也氏(中)東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科 副部長鈴木 健之氏(右)東京都済生会中央病院 循環器内科/TECC2021大会長――はじめに、TECCの活動内容とEVTの現状について教えてください。TECCは、末梢動脈疾患(PAD)および末梢血管インターベンション(EVT)の啓発と発展を目的に、2018年に活動を開始した一般社団法人です。居住地や年代にかかわらず誰でも参加できるよう、もともとオンラインベースで活動しています。なので、コロナ下でもスムーズに活動を続けられています。設立当初は年1回、実際の手術(カテーテル治療)をオンライで中継する「オンラインライブコース」がメインでしたが、現在は参加者も増え、年に複数回(2021年は20回以上!)の教育コース、企業協賛セミナーなどのイベントを開催しています。ほかにも、海外の医師と意見交換ができる場や、海外の手術をオンライン中継で見学できる場などがあり、これからも参加者が時間と距離を飛び越えて学べる機会をたくさん作っていけたらと考えています。つい先日、4日間にわたる総会(TECC2021)を終えたばかりです。合計1,145名の方にご参加いただきました。TECC2021記念写真(東京都済生会中央病院にて)これまでの4年間は、主に循環器・血管系を専門とする医療従事者向けに発信して、専門的な教育を望む医療従事者からは概ね好評でしたが、活動を通じて、PAD患者さんの早期受診が増えた、治療の中でもとくにEVTを求める患者さんが増えた、または他院からの紹介が増えたという実感がはっきりと得られていません。そこで、PAD患者さんが適切な治療を受けられる医療機関にたどり着くためには、われわれのような専門医だけでなく、プライマリケアを担うかかりつけ医の皆さんにもご協力いただく必要があると考えるようになりました。実際の外来では、足が痛くて歩けなくなる原因が足の血管だと診断される(もしくは疑われる)までに、年単位の時間がかかる例も珍しくありません。たまたま受診した整形外科で原因が発覚して紹介してもらえたが、それまでに何年にもわたって治らず転院を繰り返して…という患者さんも多いです。足の組織が壊死に至ってから運ばれてくるケースもあり、足や指を切断しなければならない事態になることもあります。おそらく、PADという病気自体は皆さんご存じでも、実際に自分の目の前の患者さんにどのくらい発症の可能性があって、いざ足の血管が詰まった、足が壊疽になったときにどう対応したらいいのかなどが、実体験として得られていないのではないかと思います。患者さんはほとんどの場合、初めての経験なので、自分の足に何が起こっているのかわかりません。周りに同じ経験をした人がいれば疾患の可能性に気付くかもしれませんが、そうでない限りは難しいでしょう。そうですね。しかし、患者さんが循環器科で「足の痛み」を訴えるのはまれで、最初に相談するのはかかりつけの内科だったり、整形外科や皮膚科だったりします。そのために、地域医療を支える先生方にもぜひわれわれの活動を知っていただいて、PADとその治療、とくにわれわれが専門に行っているEVTに関心を持ってもらいたいです。――普段診るPAD患者について、診断が遅れるとどうなりますか?実際に診た例では、足の指の一部が少し黒くなっている程度から、全体が真っ黒になってしまった方もいます。広範囲だと足を(太腿や膝下で)切断するしか方法がなく、歩行能力を失うことになります。小さい範囲であれば、カテーテル治療(EVT)と創傷の処置(デブリードマン)など、ADLに大きな影響を及ぼさない方法で十分に対処可能です。ただ、懸命に治療しても壊死した組織は元には戻りません。足は残せても指は切らなければならないという例も珍しくないのです。切除部位が少ないほど、歩行障害など後遺症のリスクが少なく済むため、早期の発見と治療が必要になります。とくに足の裏やかかとの組織は代替が利かないので、失うわけにはいきません。PADは、血管の詰まりさえ取れば全部元通りになるという疾患ではありません。壊死が始まっている場合は、時間が経つほど組織がダメージを受けるので、早く専門の医療機関を受診してほしいです。また、血管は詰まった箇所だけが悪いわけではないので、受診をきっかけに生活習慣を改善し、予防することもとても重要です。そうですね。診断が遅れたとしてもEVTは可能ですが、治療後の生活を考えると壊死の範囲がより小さいうちに対処できたほうがよいです。中には、「なぜこんなに悪くなるまで…」と思うような患者さんもいらっしゃいます。また、壊死したところから感染を引き起こすと、足の切断どころか命に関わる事態にもなることもあります。感染は治療が長引く原因にもなります。傷が大きくなり、治るまでに時間がかかるので、その間に(足は助かっても)筋力低下などで歩けなくなることもあります。短期間・低リスクで治療をするためにも、やはり早い受診が重要です。――プライマリでPADを疑うポイントは? 見つけた場合はどう対処すべきでしょうか。まず、PADで壊死に至ってしまうような人は、もともと高齢で動脈硬化などのリスク因子を持っている人が多いです。専門機器などを使わずにPADを疑うポイントは、足を触ってみて「冷たい」「脈が触れない」という2つです。患者さんに履き物を脱いでもらい、足に傷がないか、触ってみてどうかを確かめます。脈が触れない場合は、足の血流に障害があって痛みなどを引き起こしている可能性が疑われるので、足の血管治療ができる循環器科に紹介していただきたいです。われわれとしては、PADを少しでも疑った時点でご紹介いただいて構わないと考えていますが、「まずは自分たちで治せるところを治そう」と考えるのも理解できます。とくにABI(ankle brachial index:足関節上腕血圧比)などの測定機器がない場合は難しく考えがちですが、足の違和感を訴える患者さんの「脈が触れるか」「足が冷たいかどうか」も、十分な根拠になると思います。血管に問題がなくても脈が触れにくい患者さんはいますが、たとえ間違っていても良いので、早めに紹介していただくことが大事だと思います。それこそ、われわれ循環器科医が心筋梗塞の患者さんを少しでも早く救命するために、「胸の痛みを訴える人がいたら、とにかく一度心電図をとって循環器科に送ってください」と言い続けたことで疾患啓発が進み、心筋梗塞の死亡率が下がったという過去があります。それと同じで、「足が痛い」「傷の治りが悪い」「脈が触れない、足が冷たい」などでも、循環器科や血管外科などの“血流を診る科”で診断できます。なので、紹介の際は「間違っていたらどうしよう」などと心配せず、「専門家に判断を委ねよう」と考えていただいて大丈夫です。中核病院とかかりつけ医との連携が成り立たなければ、救える患者さんも救えませんからね。われわれは地域から信頼される循環器科医でなければならないと思っていますし、「お気軽にどうぞ」とお伝えしたいです!EVTは、治療直後に患者さんの良くなった実感が大きくて、「足が温かくなった」「ずっと痛かったのに歩けるようになった」という声をよく聞きます。治療は患者さんの症状やQOLに直結しますし、その結果がわれわれにも直接伝わってくるので、とてもやりがいがあるんです。患者さんの喜びと達成感を共に分かち合えたらうれしいです。ところで、最近はコロナによる受診控えの影響で、PADだけでなくさまざまな疾患の診断遅れが問題となっています。今は感染状況がだいぶ落ち着いていますし(オミクロン株の影響がどうなるか未知数ではありますが)、このタイミングでコロナ以外の病気にも目を向けていかないといけないですよね。今回、われわれTECCは『はたらく細胞』とのコラボ漫画を制作し、PADの啓発活動「足の血管を守ろうプロジェクト」を開始しました。医療者が読んでも一般の方が読んでも、「面白い」そして「PADやEVTのことがよくわかった」と思ってもらえる内容になっているので、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。

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第89回 がんが大変だ!線虫がん検査に疑念報道、垣間見えた“がんリスク検査”の闇(後編)

大々的に持ち上げて報道してきたマスコミにも衝撃こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。暮も押し迫ってまいりました。週末は大掃除の合間を縫って、東京・新宿の紀伊国屋ホールに演劇を観に行ってきました。演出家、横内 謙介氏が主催する劇団扉座の創立40周年記念公演、「ホテルカリフォルニア」です。最近、テレビでもよく見るようになった六角 精児氏が所属する劇団で、演目はカリフォルニアとはほぼ無関係、横内氏や六角氏らが卒業した神奈川県立厚木高校を舞台とした、1970年代後半の高校生を描いた青春群像劇です。60歳前後となった劇団員が真面目に高校生を演じるのがバカバカしく、笑えました。個人的には、劇中劇として一瞬演じられた、つかこうへい氏の代表作「熱海殺人事件」の場面がオリジナルかと見紛うほどの完コピぶりに感心しました。横内氏のつか氏への深いリスペクトが伝わってきました。さて、先週に続き今週もがんの検査について書いてみたいと思います。前回書いたように、日本のがん検診は今、深刻な状況に置かれています。そんな中、週刊文春12月16日号が、「15種類のがんを判定できる」と全国展開中のHIROTSUバイオサイエンスの線虫がん検査キット「N-NOSE (エヌノーズ)」が、「『精度86%』は問題だらけ」と報道、医療界のみならず、大々的に持ち上げて報道してきたマスコミにも衝撃を与えています(同社のCMに出ている、ニュースキャスター・東山 紀之氏も驚いたことでしょう)。線虫ががん患者の尿に含まれるにおいに反応することを活用「N-NOSE」は九州大学助教だった広津 崇亮氏が設立したHIROTSUバイオサイエンスが2020年1月に実用化したがんのリスク判定の検査です。がんの「診断」ではなく「リスク判定」と言っている点が、この検査の一つの肝とも言えます。「N-NOSE」は、すぐれた嗅覚を有する線虫(Caenorhabditis elegans)が、がん患者の尿に含まれるにおいに反応することを活用、わずかな量の尿で15種類のがんのリスクを判定する、というものです。これまでに約10万人が検査を受けているとのことです。健康保険適用外で、料金は検体の回収拠点を利用した場合で1万2,500円(税込)です。事業スタート当初は同社と契約した医療機関で検査受付を行っていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大などを理由に、利用者に直接検査キットを送り、検体を運送業者に回収してもらうか拠点に持ち込むシステムが中心となっています。最近の報道では、今年10月、九州各地にこの持ち込み拠点を増設したそうです。また、同社は11月に記者会見を開き、膵がんの疑いがあるかどうかを調べる手法を開発したと発表しています。カウンターを使って手作業で線虫の数をカウント週刊文春の報道では、線虫がん検査で「がんではない」と判定された女性で乳がんが見つかったケースなど、同検査で陰性でもがんと診断される患者が何人もいた事実を紹介、その上で検査方法や、同社が公表している感度(がんのある者を陽性と正しく判定する割合)、特異度(がんのない者を陰性と正しく判定する割合)の信憑性に疑問を投げかけています。検査方法について同誌は、「寒天を敷いたシャーレの左側に薄めた尿を置き、真ん中に線虫を50匹程度置く。するとがん患者の尿には線虫がよってくとされる。(中略)検査員がカウンターを使って手作業で線虫の数をカウント。左右に分かれた線虫の数を比べ、がんか否かの判定をする」と書いています。私も知らなかったのですが、「手作業」とは驚きです(最近、オートメーション化が始まったそうです)。同社のホームページや同社を紹介するさまざまなメディア報道では、線虫の集団ががん患者の尿に集まっている写真がよく使われていますが、週刊文春は「『こんなにはっきりと分かれるのをみたことがない』、こう断言するのは、H社(同社)の社員だ」と書いています。「20人分のがん患者の尿を送付したものの、3人分しかがん患者と特定できず」さらに同誌は、ある医療機関から提供された尿検体の実験で「線虫が50匹の場合、左右に分かれた線虫の差は、300回以上行われた検査の中で、1回を除き10匹以下」であった事実や、ブラインド(がんかどうか結果がわからない状態)で検査した場合、「感度は90%だったが、(中略)特異度はわずか10%だ」とも指摘、「ある検査員が健常者の尿をブラインドで検査した場合は陽性と出たが、非ブラインドで同じ尿を検査すると健康であるという判定もされている」という元社員の声も紹介しています。極めつけは、「陽性率もコントロールしている。今年1月に作成された『判定ルール』を見てみると、<陽性率15%以内>との記載がある」として、倉敷市の病院が20人分のがん患者の尿を送付したものの、3人分、15%しかがん患者と特定できなかったと伝えている点です。17人のがんが見過ごされていたことになります。それが事実とするなら、がんの診断ではなくリスク判定とは言え、医療に使う以前の問題と言えそうです。線虫がん検査に3つの疑問ということで、「N-NOSE」という線虫がん検査について、医学的な側面から疑問点を少し整理してみました。1)検査と言えるレベルのものなのか?臨床検査には、「分析学的妥当性」「臨床的妥当性」「臨床的有用性」という3つの評価基準があります。分析学的妥当性とは、検査法が確立しており、再現性の高い結果が得られることを言います。「N-NOSE」の場合、週刊文春報道を読む限り、分析学的妥当性があるとは思えません。そもそも、線虫が尿の中の何の成分に反応してがんを嗅ぎ分けているのか、HIROTSUバイオサイエンスは公表していません。ひょっとしたら、彼らもわかっていないのかもしれません。これでは第三者が再現することができず、分析学的妥当性を評価できません。臨床的妥当性とは、検査結果の意味付けがしっかりとなされているかどうかです。「N-NOSE」で言えば、「線虫が何匹集まった場合に、がんである可能性は何%〜何%である」という評価法が確立していて、その検査をやる意義があるということです。しかし、そもそも分析的妥当性も曖昧なのに、臨床的妥当性を求めるのは酷と言えるかもしれません。2)臨床的に役に立つものなのか?最後の臨床的有用性は、その検査の結果によって「今後の疾患の見通しについて情報が得られる」「適切な予防法や治療法に結び付けることができる」など、臨床上のメリットがあることを指します。「N-NOSE」について言えば、特異度が非常に低い値を示すことは、がんの検査として偽陽性を多く出し過ぎる危険性があります。週刊文春の報道では「見落とし」の数も相当あるようです。また、被験者としては、15種類のがんのうち「何かのがんがありそうだ」と言われても、そこから通常のがん検診に行けばいいのか、内視鏡検査やCT検査を受ければいいのか戸惑うばかりではないでしょうか。現状では臨床的有用性についても大きな疑問符が付きます。そもそも、分析学的妥当性、臨床的妥当性、臨床的有用性を証明するデータを、きちんとしたプロトコールによって行った臨床試験等で出し、それが評価されれば、保険診療において使用が認められますし、海外でも用いられるかもしれません。しかし、こうした「がん(病気)のリスクを判定する」と喧伝する検査の多く(類似のものに「アミノインデックス」や「テロメアテスト」などがあります)は、お金と時間が膨大にかかる臨床試験を敢えて避け、日本だけの一般向け検査でお茶を濁しているようで、気になります。3)がんリスク判定は「判定」できているのか?臨床的有用性の話と関連しますが、「がんのリスク判定」とは一体何なのでしょう。検査会社は、医師が行う「診断」を業として行うことはできないので、リスク判定という曖昧な表現になっていると思われますが、これも無責任です。同社のホームページには、「N-NOSEは、これまでの臨床研究をもとに検査時のがんのリスクを評価するもので、がんを診断する検査ではありません。そのため、検査で『がんのリスクが検出されなかった方』でもがんに罹患していないとは言い切れませんし、 検査で『がんのリスクが高いと判定された方』でも、必ずしもがんに罹患していることを示すものではありません」と長々とエクスキューズが書かれています。また、ある人の実際の「N-NOSE」の結果を見せてもらったことがあるのですが、留意事項として、「体調がすぐれないとき」「疲労が激しいとき」「長期の睡眠不足や徹夜明けのとき」「アルコール摂取時やアルコールの影響が残っているとき」など、8つの項目の時に「正確な評価を行うことができない可能性がある」と書かれていました。これでは、いったいいつ検査をすれば、正確な評価をしてもらえるのかわかりません。とくに私を含め中高年はだいたい体調がすぐれず、疲れているのでほぼ判定は不可能ではないかと思ってしまいます。このようにエクスキューズの連発となってしまうのは、先に述べた分析学的妥当性が曖昧で、検査の再現性が低いからだと考えられます。もう一つ気になったのは、人の体調で検査結果がこれだけ変動するというのだから、線虫の“体調”によっても変動するのではないか、という点です。線虫の1匹1匹の診断能力の質の担保は、しっかりと行われているのでしょうか。ちなみに同社が根拠とする臨床研究ですが、ホームページにはそれらしき関連論文が海外文献も含めて列挙されています。しかし、ダブルブラインドにより、がんの有無を明確に見分けた、というような決定的とも言える成果を発表した論文はないようです。線虫が尿の中の何の成分に反応し、がんを判別するかについての論文もありません。健常者をまどわせ、がん患者のがんを見落とす危険性代表取締役の広津氏は週刊文春の取材に対し、「この検査を作ったのは五大がん検査を受ける人を増やしたかったからです」と話しています。五大がん検査とは、国が推奨する5つのがん検診のことです。しかし、がん検診を受けるきっかけを与えるにしては、無用の心配を被験者にさせたり、見落としによって手遅れになったりと、リスクが多過ぎます。また、検査を受けた人がアコギな医療機関に食いものにされる危険性もあります。提携医療機関の中には、「N-NOSE」陽性の人に対し、自費でのPET-CT検査を勧めるところもあると聞きます。「N-NOSE」はあくまでリスク判定であるため、そこで陽性の判定が出ても、すぐに保険診療とはなりません。一度、自費検査を挟み、病気が見つかってはじめて保険診療となるわけです。「N-NOSE」は手軽なように見えて、医療機関において保険診療を受けるまで、2度手間、3度手間となってしまいます。そう考えると、健常者を惑わせるだけの検査では、と思えてきます。「N-NOSE」は、医療機器でもなく診断薬でもありません。医師が診断のために使う検査でもなく、保険診療にも使われていません。つまり、薬機法や医師法、健康保険法など、厚生労働省所管の法律外にある検査法なのです。宗教団体などが売る、“ありがたい壺”のように、何か大きな問題が起こるまで行政が口を挟むことはないかもしれません。自費でわざわざがんのリスク検査を受けて、「リスクが低い」という結果からがんを見落とす人が出ないことを願います。そして何よりも、がん検診の受診者が増えるよう、国や自治体はもっと知恵を絞ってほしいですし、日本医師会の言うところの“かかりつけ医”は自分の患者にがん検診を勧めるアクションを起こしてほしいと思います。

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『はたらく細胞』コラボ漫画で疾患啓発を全国に【足の血管を守ろうPROJECTインタビュー・後編】

『はたらく細胞』コラボ漫画で疾患啓発を全国に【足の血管を守ろうPROJECTインタビュー・後編】<お話を伺った先生方>仲間 達也氏(左)東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科 副部長鈴木 健之氏(中)東京都済生会中央病院 循環器内科/TECC2021大会長宇都宮 誠氏(右)TOWN訪問診療所城南院院長/東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科――漫画『はたらく細胞』とタイアップした経緯について教えてください。これまで、TECCで若手育成などさまざまなことを試みてきた中で、ここからさらに自分たちの使命として何ができるかと考えたとき、末梢動脈疾患(PAD)の啓発を社会貢献活動の一環として取り組むのはどうかという話になりました。その中で『はたらく細胞』とタイアップすることになったわけです。この漫画は、ヒトの体内で起こっていること、たとえば傷口から侵入した細菌を白血球が攻撃するなどの生体防御を、擬人化された細胞たちによってわかりやすく伝えています。認知度の高い作品とタイアップすることで、「われわれが専門とするPADやEVTをわかりやすく伝えることができるのではないか」という思いから、講談社へ企画を持ちかけました。医療のプロであるわれわれと、漫画企画・編集のプロである講談社が何度も打ち合わせを重ねた結果として、とても素晴らしい作品が出来上がったと思います。――完成した漫画作品はどんな内容ですか?漫画の内容は、原作の世界観を大事にしながら、PADという疾患の重要性や病態を自然と理解できるストーリーになっています。個人的に一番の見どころは、チーム医療が垣間見えるラストシーンですね。あと、かわいらしい「血小板ちゃん」が、文句を言う赤血球集団に激ギレしているシーンも好きです(笑)。生活習慣の重要性がよく伝わると思います。私はよく、患者さんに「治療が成功しても50%の成功だよ」と言っています。「残りはあなたが今後の生活習慣を改善することで100%になります」とね。ここだけの話、今回の漫画はハッピーエンドなので、前回話したような足や指をなくすなどのシビアな事実は表現しきれていません。漫画だけではPADの深刻さや悲惨な一面を伝えにくい部分もあるので、医療者からは、「皆が漫画のようにうまく治療できるわけではない」と、漫画を読んだ患者さんにやんわり伝えていただいてもいいかなと思います。漫画と現実のギャップを埋めるというか。そうですね。実際は、糖尿病や透析の患者さんで足を膝上・膝下で切断しなきゃいけなくなる人や、足が痛くて歩けないまま原因不明で寝たきりになってしまう人も少なくありませんから。正しい情報が広く伝わって、適切な治療につながってくれたら、PADによるいろんな不幸を防げるのではないかと思います。全国の医療機関に配られる予定の漫画は、患者さんが手に取るだけではなくて、まずは医療者一人ひとりに読んでもらいたいという思いがあります。漫画はあくまでもきっかけとして、自分たちに何ができるのか、足の血管の詰まりを放置したらどうなるのか、ぜひ興味を持って学んでいただきたいですね。われわれがこのような形で地域の先生方にメッセージを発すると同時に、循環器や血管系の専門医の皆さんにも、TECCの活動を通して、PADに対して真剣に取り組んでいただくように訴えていく必要があると考えています。また、紹介が来たら常にオープンに受けて、使命感をもって取り組むべき疾患であることも啓発していきたいです。医療者側へ、そして患者さんへ、双方向での活動が実って初めて、世の中に大きいムーブメントを生み出すことができると思います。現在、この漫画を全国の医療機関に紙媒体で配りたいと考え、クラウドファンディングを実施中です。医療者や患者さんにぜひ直接読んでいただきたいと考えています。現実的には、PADの罹患リスクが高い人は主に高齢者なので、患者さんに同行するご家族などに漫画を読んでもらうことになるかもしれないですね。子供や孫に読んでもらえれば、「うちのお父さん(おじいちゃん)、もしかして…?」と、循環器科の受診につながるかもしれません。また、PADの患者さんは、どちらかというと自分の健康に興味がない、もしくは糖尿病などで視力が悪く、自分の体の状況がよく見えない人などが多いので、なかなか危機感を持ってもらえず、情報が届きにくい層なんですよね。漫画が全国にじわじわと浸透した結果、「『はたらく細胞』を読んだ」と循環器科外来を受診する患者さんが増えるかもしれないし、かかりつけのクリニックに漫画が置いてあって、患者さんから「私の足は大丈夫なの?」と医師に尋ねてくれるかもしれない。あるいは、看護師さんが読んで、「自分たちでもチェックしよう」などと働きかけてくれるかもしれない…。もしかしたら、自分たちの想像とはまったく違う形で、全国の皆さまに影響をもたらしてくれるかもしれない。医療系の学会や研究会が、これまで行ったことがないようなチャレンジなので、結果は未知数ですが、それが楽しみでもあります。私としては、この漫画を通じて1人でも足を失う患者さんが減ったら良いなと思います。――最後に、今後の展望と活動にかける先生方の思いを聞かせてください。今回、一般向けの情報発信を試みる中で最も難しいと感じたのが、循環器内科を受診すればどこでも足の血管を診てくれるわけではないという点です。循環器内科医にもそれぞれで専門領域があります。PADの診察や足の血管治療が得意な人もいれば、あまり詳しくない人もいます。だからこそ、TECCとしてまずは専門医向けに情報発信を始めたという経緯があります。なので、引き続きTECCの活動も頑張りつつ、かかりつけ医にも広く伝えていくことが大事だと考えています。この漫画をきっかけに、今まではあまりPADに注目していなかった循環器や血管系の先生方にも、「漫画とコラボした病気だ」と興味を持ってもらえるのではないかと期待しています。将来的に、若手の医師が「自分もPADの診療やEVTをやってみようかな」と考えてくれるようになったらとてもうれしいです。循環器のメインストリームは心臓ですので、われわれのようにPADに注力している医師は「少し変わっている」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、われわれがアクティブにいろいろな活動に取り組み、とくに社会貢献活動に参入したということは、一般市民へのPADの啓発だけでなく、循環器領域においてPAD診療の価値を高めることにつながると思っています。これから循環器領域の診療を志す若い医師たちに、PADという専門領域がもっともっと、魅力的に映ってほしいですね。そのような意味でも、大きな意義があることだと思います。今回、医療者・一般人問わず、なるべく多くの人に活動を知ってもらいたいと考えて、プロジェクトの準備を進めてきました。地域医療が1つのチームとなれるかというミッションもあると感じています。もし、われわれの活動に興味を持っていただけたら、ぜひTECCのホームページを見に来てください。今後、PADを正しく治療できる医療機関を探せるシステムなども作ろうと取り組んでいるところです。患者さんにとって一番身近なかかりつけ医の皆さんにも役立つ取り組みをこれからも考えていきたいです。ぜひ、クラウドファンディングへのご賛同・ご支援もよろしくお願いいたします。

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円形脱毛症患者、網膜疾患リスクが3.1倍

 円形脱毛症(AA)患者は網膜疾患リスクが高いことが、台湾・国立陽明交通大学のHui-Chu Ting氏らによる検討で示された。AA患者では網膜構造の異常を認めるエビデンスが増えていたが、AAと網膜症との関連は明らかになっていなかった。 研究グループは、今回の研究はレトロスペクティブなものであり、台湾住民のみを対象としていることから他の人口集団に該当するかは不明である、としながらも、「AAと網膜疾患の病態生理を明らかにするため、さらなる研究が必要である」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2021年11月1日号掲載の報告。 研究グループは、台湾の全民健康保険研究データベースを用いて、AAと網膜疾患の関連を調べた。9,909例のAA患者と、その適合対照として9万9,090例を特定し、網膜疾患リスクについて評価した。すべての解析は、Cox回帰モデルを用いて行った。 主な結果は以下のとおり。・対照群と比較して、AA患者の網膜疾患に関する補正後ハザード比(aHR)は3.10(95%信頼区間[CI]:2.26~4.26)であった。・AA患者において対照群よりも有意に発症リスクが高い網膜疾患は、網膜剥離(aHR:3.98、95%CI:2.00~7.95)、網膜血管閉塞症(2.45、1.22~4.92)、網膜症(3.24、2.19~4.81)であった。

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精神科医、患者、介護者における統合失調症の治療目標

 米国のリアルワールドにおける精神科医、統合失調症患者、その介護者の治療目標の類似点および相違点について、米国・Lundbeck社のHeather M. Fitzgerald氏らが調査を行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2021年10月21日号の報告。 精神科医および成人統合失調症患者を対象として2019年6月~10月に実施した調査(Adelphi Schizophrenia Disease Specific ProgrammeTM)よりデータを収集した。精神科医は、連続した8例の外来患者および2例の選択基準に適合する入院患者についての情報を提供した。調査に参加した精神科医、患者、介護者は、調査の一環として治療目標に関する質問に回答した。 主な結果は以下のとおり。・精神科医124名は、統合失調症患者1,204例のデータを提供した。薬物療法に関するデータが1,135例(外来患者928例[82%]、入院患者207例[18%])分含まれていた。また、アンケートは患者555例および介護者135例より収集した。・最も重要な治療目標として、主要な症状の改善と回答した患者の割合は、患者自身は64%、精神科医は63%、介護者は68%であった。・患者、精神科医、介護者はいずれにおいても、性的問題が少ない、体重増加が少ないの項目を最も重要度の低い目標としていた。・患者は、現在投与されている薬剤が最も重要な目標達成のために必要であると感じていた(症状の改善:68%、思考の明瞭さ:39%)。・治療方法や年齢別の分析においても、治療目標に対する全体的な傾向は類似していた。 著者らは「主要な治療目標は、症状改善であることが明らかとなった。この調査結果は、患者、精神科医、介護者が話し合いをするうえで役立ち、効果的なマネジメント戦略や共通の意思決定を促進する可能性がある」としている。

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「不退転の覚悟で挑む大きな医療政策とは?」衆議院議員・松本 尚氏インタビュー(後編)

 新型コロナウイルス感染症が社会を覆い尽くしたこの2年。世の中の常識や既定路線にも大小の揺らぎが生じ、来し方行く末を考えた人は少なくないだろう。今秋の衆議院選挙で、千葉県の小選挙区において初出馬ながら当選を果たした松本 尚氏(59歳)は、救急医療(外傷外科)専門医であり、国内のフライトドクターの第一人者としてその名前を知る人も多いはずだ。34年の医師のキャリアを置き、新人代議士として再出発を切った松本氏に、キャリア転換に至ったいきさつや、医療界と政界それぞれに対する思いや提言について伺った。 「コロナ禍、僕がいるべき場所は医療現場でも地方行政でもなく、国会だった」衆議院議員・松本 尚氏インタビュー(前編)はこちら。*******――医療政策を考える際、課題は医療界と政界の乖離。両者が協働する上ではコミュニケーションが不可欠だが? そこには結構難しい問題が横たわっている。今回のコロナ禍でも、それが浮き彫りになった。新型コロナについて専門的知見からの分析が必要になり、多くの“医療者”がさまざまなメディアに出て発言した。もちろん、言うべきことをきちんと弁えている人もいたが、中にはテレビなどに出ること自体に舞い上がってしまっているような人もいたのではないか。そこに関して、僕はコロナ禍以前からメディアの取材を受ける機会が多かったので、ニュートラルに話すことができたが、それは意識的にやらなければならないこと。とくに感染症という限定的な領域で白羽の矢が立ち、メディア取材に慣れていない医療者は、なおさら意識的に注意しなければならなかったと思う。 重要なのは、その発言内容はコンセンサスが得られていることなのかどうか、というところだろう。コンセンサスが得られている内容であれば、メディアを問わず、テレビだったらどのチャンネルでもおおむね同じ内容が伝えられないとおかしいはずだが、実際は人によりてんでバラバラ。ということは、個々人がそれぞれ自分の考えを聞かれるままに述べているだけということになる。それは、あなたの個人的見解なのか、多くの医療者の一致した見解なのか、そこを明確にしなかったのが問題だ。 一般の人は、メディアが伝えることを拡大・誇張して聴きがち。結局、どれが正しいかもわからない。だから医療者側にもコミュニケーション上の問題があったと思う。取材の中には、個人的見解を問われる場合もある。しかしその場合でも、コンセンサスが得られている情報と切り分けるために、「あえて言うなら、これは自分の意見だが」と繰り返し断りながら、誤解を生じさせない意見の出し方を工夫していかないと、間違った話がひとり歩きしてしまう可能性がある。 コロナ報道を巡っては、アカデミアの先生方もそれぞれの意見を述べていたが、学問としてはそれでよいのかもしれない。ただ、これも臨床医と同様で、学問的な論戦を公の場に持ち込んでも、世間は学問としてはみてくれない。コンセンサスが得られていない学問的主張を公のメディアに持ち込んでも、その情報の精査は一般の人にできない。そこを切り分けない主張が、今回のコロナ禍で散見されたのは確かだ。 自戒も込めて医療者側の課題を挙げるなら、そこにあると思う。医療界から一歩出たところでのコミュニケーションでは、その専門性を前面に出すべきではない、ということに尽きる。専門家というのは、一般の人に伝えるべき情報と専門家の中で議論すべき情報を取捨選択できるのが本物だろう。そこを切り分けずに皆が各々主張するものだから、情報の混乱が起こった側面がある。テレビなどの情報量が限られるメディアでも、専門的な用語の羅列に終始している人もいたが、その時点で視聴者は、理解できずに「専門家が何か難しいことを言っている」という受け止めでしかない。最後に頭に残っているのは、何もわかっていないコメンテーターの薄っぺらな感想だけ。そんな報道を繰り返しているメディア側にも確かに問題はあった。 政治家とのコミュニケーションについても同様だ。感染対策を医学的側面だけで考えれば、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の専門家たちが提唱してきた、人の流れをとにかく抑制するということは間違っていない。しかし、社会的側面を考えると、その一本鎗だけでは経済は回らない。人の流れを抑えつつも継続し、その上でどう感染制御するかを考えるのが肝要。結局、政治家たちは医学的知見に対し何も抗弁できない。だがそれは、政治的には健全なコミュニケーションの在り方ではない。 私の役目は、相反する両者の意を汲んで落としどころを見つけること。先生方から医学的知見を聞き、政治家たちには「先生方はこういう理由でこのように言っているので、ここまでは我慢が必要です」とかみ砕いてポイントが伝えられる。いわば「接着剤」として、僕が媒介できる存在になりたい。今後別の何かが起こっても、国会議員の中にそういう役割ができる人がいなければならないと思うし、次に何が起きても対処できるよう、あらかじめルールを整備しておくことの重要性は、コロナ禍を通じてより明確になった。僕は議員なので、「ロー・メーカー(立法者)」としてルールを作ることが、これからの自分の責務だと自覚している。――これから代議士として目指すところは? いつどこで国民が健康危機に見舞われても、しっかり対応できる医療体制を作ることが、ロー・メーカーとしての僕の役目。法だけでなく、有事に1つの方向に進んでいくためのルールや組織体、そういうものを作りたいという思いがある。 日本の医療界というのは、「モザイク状態」と表現すべきだろうか。医師会があり、病院団体があり、各々の病院の運営母体も私立があれば公的もある。大学もまたしかり。そうしたモザイク状態が、たとえば今回のようなコロナ禍に直面すると、機動的にヒト・モノが集められなかった。せめて、非常時であるという認識を皆が持った時、医療全体が1つにまとまって、同じ方向に進んでいくためのルール、組織体を作りたい。それがあれば、国がどんな状況に陥ろうとも、国民の健康だけは守れるようになるのでは、また、そうならなければならないと考える。それが今、僕が代議士としてやるべき究極の仕事だと自覚している。もちろん、小選挙区から選出された以上は、地元の暮らしや人々のことも疎かにはできない。しかし、最終的に目指すのはそうした国全体を包括した医療の仕組み、枠組み作りのところにあると思う。もちろん大きな構想なので、1期では完遂できないことも承知している。そうなると、大事なのは次の選挙でも勝つということ。衆院議員は、任期満了すれば4年だが、いつ何時、解散総選挙ということになってもおかしくない。極端に言えば、明日解散、ということもあり得る。しかし、僕は来年で60歳になる。そこから先、どんなに頑張っても10~15年が活動の限界だろう。その間に何度選挙があるかわからないが、自分の年齢に照らした限界を見据え、そこまでには何としても形にしなければならないと思っている。――朝の辻立ちなど、代議士の活動は独特。医師時代とは大きく違うのでは? 今朝も、地元で辻立ちをしてから永田町へ来た。毎日この繰り返し。だが、決して無理しているわけではない。選挙に落ちれば、その瞬間から僕は1人の私人。一度現場を離れた以上、臨床医はできないという覚悟で臨んでいる。それでも、代議士として自分がどうしても成し遂げたい仕事があるから、それを達成するためであれば、寒かろうと暑かろうと辻立ちするし、どんな人にも頭を下げる。強がりではなく、まったく苦にならない。それくらい腹を括って決めたことだから。――なぜそこまでして代議士なのか? 国のために仕事がしたかったから。どんな理屈や理由を考えても、最後はそこに尽きる。最後は国のために尽くしたい、貢献したいという思い。それを実現するための入り口は、僕の場合は医療ということになる。現場は離れたが、医療を通じて国に貢献したいという思いは強くある。――医療界を統治する仕組み作り、かなり壮大だが? これまでの話でも、「コンセンサスの重要性」がキーワードだったと思うが、例えば、国家的有事が起きた時、医療界のさまざまな組織・団体の人たちのコンセンサスを得た、ある1つの「組織体」の下に結集する。さまざまな団体の壁を超え、一段高いところにある組織として、政府とも協議し、あらかじめ決めたルールに従って国民全体の医療体制を提供していく、そういうイメージを思い描いている。今はそういう構想を僕が持っていることを周りに知ってもらい、仲間を増やしていく段階。そこで知恵を集め、どんなメンバーが必要で、どんな「組織体」が良いのかを具体的に議論していきたい。その地道な積み重ねの先に、大きな医療政策の実現があると信じている。 今は、政府も国民もコロナが最重要懸案という共通認識を持っている。こういう時こそ、政策実現に向けた第一歩を進めるチャンスだと思う。この状況が落ち着いて来ると、問題意識の在り方も変わってくる。「喉元は過ぎたが、まだなお熱い」ということを、何度も繰り返し伝えていかなれければならない。そこを訴え続けるのも代議士の重要な仕事だろう。 コロナワクチン1つとっても、国民への説明が足りていない部分が多くあると感じる。追加接種がもっぱらの話題だが、その必要性を疑問視する人も多くいる。高齢者はリスクを自覚して積極的に接種する人がほとんどだが、30~40代でも懐疑的な人は一定層いる。若い世代となれば、副反応が怖くて打たないという人も多い。もう少し、そこは踏み込んだ説明と後押しが必要だと感じているし、それも僕に課せられた責務だろう。<了>

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重症COVID-19患者への高流量酸素療法、気管挿管を低減/JAMA

 重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の治療において、鼻カニューレを用いた高流量酸素療法は従来型の低流量酸素療法と比較して、侵襲的機械換気の必要性を低減し、臨床的回復までの期間を短縮することが、コロンビア・Fundacion Valle del LiliのGustavo A. Ospina-Tascon氏らが実施した「HiFLo-Covid試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年12月7日号に掲載された。コロンビアの3病院の無作為化試験 本研究は、コロンビアの3つの病院の緊急治療室と集中治療室が参加した非盲検無作為化試験であり、2020年8月13日~2021年1月12日の期間に参加者の無作為化が行われ、2021年2月10日に最終的な追跡調査を終了した(Centro de Investigaciones Clinicas, Fundacion Valle del Liliの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の疑いまたは確定例(鼻咽頭ぬぐい液を用いた逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法による)で、動脈血酸素分圧(PaO2)/吸気酸素濃度(FIO2)比<200の急性呼吸不全が認められ、呼吸窮迫の臨床的徴候を伴う患者であった。 被験者は、高流量鼻カニューレ酸素療法を受ける群または従来型の酸素療法を受ける群に無作為に割り付けられた。 主要複合アウトカムは、無作為化から28日以内における気管挿管の必要性と臨床的回復までの期間とされた。臨床的回復は、修正7段階順序尺度(1[退院し、日常生活動作が完全に回復]~7[死亡])で評価した、ベースラインから2段階以上の改善(低下)と定義された。入院期間や死亡には影響がない 199例(年齢中央値60歳、女性65例[32.7%])が登録され、高流量酸素療法群に99例、従来型酸素療法群に100例が割り付けられた。高流量酸素療法群は中央値で6日間(IQR:3~9)連続の酸素療法を受け、従来型酸素療法群では65.7%(65/99例)が中央値で6日(4~7)までに酸素療法からの離脱に成功した。ステロイド全身性投与はそれぞれ93.9%および92.0%で行われた。 28日以内に気管挿管が行われた患者の割合は、高流量酸素療法群が34.3%(34/99例)と、従来型酸素療法群の51.0%(51/100例)に比べ有意に低かった(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.39~0.96、p=0.03)。また、28日以内の臨床的回復までの期間中央値は、高流量酸素療法群が11日(IQR:9~14)、従来型酸素療法群は14日(11~19)で、臨床的回復の達成割合はそれぞれ77.8%(77/99例)および71.0%(71/100例)であり、有意な差が認められた(HR:1.39、95%CI:1.00~1.92、p=0.047)。 8項目の副次アウトカムのうち、7日以内の気管挿管(高流量酸素療法群31.3% vs.従来型酸素療法群50.0%、HR:0.59、95%CI:0.38~0.94、p=0.03)、14日以内の気管挿管(34.3% vs.51.0%、0.63、0.41~0.97、p=0.04)、28日時点での機械換気なしの日数中央値(28日[IQR:19~28]vs.24日[14~28]、オッズ比:2.08、95%CI:1.18~3.64、p=0.01)は、いずれも高流量酸素療法群で良好であった。一方、腎代替療法なしの日数や入院期間、死亡には、両群間に差はみられなかった。 重篤な有害事象として、心停止が高流量酸素療法群2例(2.0%)、従来型酸素療法群6例(6.0%)で発現した。また、細菌性肺炎の疑い例がそれぞれ13例(13.1%)および17例(17.0%)、菌血症が7例(7.1%)および11例(11.0%)で認められた。 著者は、「HiFLo-Covid試験は、高流量酸素療法の生理学的な効果を前提に構築されたが、呼吸の代謝作用の測定や推定、食道内圧のモニタリング、経肺圧の動的測定、分時換気量の測定、1回換気量の不均一分布の推定は行っていない。したがって、この試験では、高流量酸素療法は肺損傷の進行の防止や呼吸努力の軽減、ガス交換の向上に関与するメカニズムを改善するとの仮定の下で、臨床アウトカムのみが評価されている」としている。

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モデルナ製ワクチン、追加接種でオミクロン株への中和抗体が37倍に増強

 米国・モデルナ社は12月20日付のプレスリリースで、新型コロナウイルスワクチンのオミクロン株に対する効果について、予備的試験データを公表した。それによると、同社ワクチンの初回接種(1、2回目)ではオミクロン株への中和抗体価が従来の変異株より低下していたが、3回目接種を受けた後では中和抗体価が約37倍まで増強されたという。 今回発表されたのは、疑似ウイルスを用いた中和抗体価測定試験のデータ。モデルナ製ワクチンを2回接種した20例について、3回目接種を受けた後ではオミクロン株に対する中和抗体価が大幅に上昇し、被験者のGMT(幾何平均値)は、50μg(日本の追加接種に承認された用量の0.25mLに相当)接種により、ブースター接種前の約37倍となった。また、初回接種の用量100μg(同0.5mLに相当)を接種した別の20例のGMTは、約83倍まで増強されたという。追加接種による有害事象の頻度や症状は、初回接種時と同様だったが、接種用量が多いほうがより多くの副反応が起こる傾向が見られたという。 モデルナ社は、世界的に拡大が懸念されているオミクロン株の状況に鑑み、オミクロン株に特化したワクチン開発は継続し、2022年初頭には臨床試験を実施する予定だが、感染予防のファーストラインは、現在使用されているワクチンのブースター接種であるとの見解を示している。

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コロナ禍でさらに遅れる認知症の初診【コロナ時代の認知症診療】第10回

より早期の診断がもたらすものAducanumabが条件付きながら米国において承認されたことで、アルツハイマー病初期に診断される方々の人数が増えることが期待される。そもそもこうした疾患修飾薬は、アルツハイマー病によるMCIやその初期が適応範囲である。早期診断は、こうした新規薬の効果はもとより、当事者やその家族が将来設計をしたり今後の人生を考えたりする時間をもたらす。ところが以前から、認知症の方が医療機関を初めて受診するタイミングが遅すぎると指摘されてきた。私自身が認知症に関わるようになって40年近い。当時と最近を比べると、さすがにこの頃は軽度の段階で受診する人が増えた。当時は、重度に至りBPSDがどうにもならなくなって受診する例が多かった。介護保険の主治医意見書でいえば、IVやMといった重度のレベルである。大ざっぱな印象だと、40年前の初診者のMMSE平均が10点以下、今なら20点ぐらいというところだろうか。初期診断が遅れる原因、医師側/患者側とは言え、認知症においては、初期診断が行われなかったり誤った診断がなされたりすることが多いと報告され続けてきた。なぜこのような事が起こるかを検討した系統的なレビューもある。そこでは、医師、患者そして患者の家族に分けて、要因を分析している。医師の要因として特筆すべきは、認知症に関する教育やトレーニングの不足である。また神経心理学的検査など、どういう手順で検査してよいのかわかっていないとされる。さらにコミュニケーションの問題、とくに診断を得たとしても、それをどのように本人や家族に伝えてよいのかわからない事もある。これらについては、日本老年精神医学会と日本認知症学会の専門医を合わせても、今のところ実数4,000人以下だろうから、多くの非専門家にとってこのような事情は理解できる。次に本人や家族の要因としては、まず年齢や教育歴、居住地域といった基本属性がある。これらは認知症の知識に関わるのだろう。また大切なことは、異常に気づいたとしても、この程度のことは正常な老化に見られる現象だと認識することである。むしろそう思いたいのかもしれない。さらに否認も多いが、これは否定というより、自分はそうではないと考えること、またこうしたことを考えるのを拒むことである。さらに告知への恐怖感や拒否感、恐怖心もしばしばみられる。日常診療において、このような事を感じたり、患者・家族の言動から見て取ったりした経験をお持ちの方は、少なくないだろう。臨床現場では、こうした思いを集約するかのような、またよく耳にする当事者の質問がある。それは結果を説明した後に、「じゃ、先生、私が年齢相応ですか?」というものである。注目すべきは、説明した内容や、当事者の検査結果とは関係なく、こうした質問が寄せられる点である。こうなると私の場合、告知する気持ちが萎えてしまって言葉が濁る。もう一つ、医療機関へのアクセスという問題がある。そもそも認知症を専門とする医師は少ない。こうした医師を探し出し、そこの受診につなげることも難しい。コロナ禍はこのハードルをさらに上げているかもしれない。いかにして受診タイミングを早めるか2021年11月以降、コロナの感染者数が一息ついた状況にある。けれどもオミクロン株などにより、第6波が来る可能性が指摘されている。これまで様々な組織から、コロナ禍による自粛生活で認知症患者の心身機能が低下していることが報告されてきた。また自粛により、将来的には認知症パニックにも繋がるのではないかという警鐘もある。筆者自身は、2020年の2月頃から、初診患者数の変動に注目してきた。これまで5つのコロナ患者発生の波がある。この波の高まりに反比例して初診患者は減り、波の静まりとともに逆に増えるという基本的なリズムを繰り返してきた。つまりコロナ禍は、認知症の初期診察のタイミングに大きな影響をもたらしている。このような状況を考えた時、いかにして認知症の受診タイミングを早めるかの工夫が求められる。筆者はチェックリストを考えている。これは医療機関でMMSEや改訂長谷川式などの検査が行われる前に、当事者や家族がチェックするものである。記憶や注意などの認知機能テストをするのでなく、第三者が客観的に見てとれる当事者の言動(例:薬の自己管理ができない、何を言っても答えはハイかイイエ)をチェックする性質である。早期診断に役立つチェック項目には、このように客観的にわかることに加えて、よくある症状であること、また早期から出る症状であることが求められる。ここで注意すべきは、当事者は自分の症状を軽く評価し、周囲の人は重くみなすところである。だから週刊誌などによくある10質問のうち3つ以上該当なら軽度認知障害、5つ以上だと認知症といった単純な評価法では物足りない。誰が回答するか、また回答者の年齢・性別等を考慮したアルゴリズムを作り、その上で総合点が出るアプリ仕立てのようなものでないと有用性は期待できないだろう。こうしたものが活用できるようになり広まると、上記の認知症早期診断が遅れる要因を多少とも軽減し、早期の受診を促進してくれるかもしれない。

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更年期障害のHRTに保険適用を有する黄体ホルモン製剤「エフメノカプセル100mg」【下平博士のDIノート】第88回

更年期障害のHRTに保険適用を有する黄体ホルモン製剤「エフメノカプセル100mg」今回は、天然型黄体ホルモン製剤「プロゲステロン(商品名:エフメノカプセル100mg、製造販売元:富士製薬工業)」を紹介します。本剤は、更年期障害および卵巣欠落症状のホルモン補充療法(HRT)に使用される卵胞ホルモン剤による子宮内膜増殖症の発症を抑制することが期待されています。<効能・効果>本剤は、更年期障害および卵巣欠落症状に対する卵胞ホルモン剤投与時の子宮内膜増殖症の発症抑制の適応で、2021年9月27日に承認され、同年11月29日に発売されました。<用法・用量>卵胞ホルモン剤との併用において、以下のいずれかを選択します。持続的投与法:卵胞ホルモン剤の投与開始日からプロゲステロンとして100mgを1日1回就寝前に経口投与。周期的投与法:卵胞ホルモン剤の投与開始日を1日目として、卵胞ホルモン剤の投与15~28日目までプロゲステロンとして200mgを1日1回就寝前に経口投与。これを1周期とし、以後この周期を繰り返す。<安全性>国内第III相試験において報告された主な副作用は、不正子宮出血117例(33.5%)、乳房不快感16例(4.6%)、頭痛11例(3.2%)、下腹部痛、浮動性めまい各10例(2.9%)、腹部膨満、便秘各8例(2.3%)、腟分泌物7例(2.0%)などでした。なお、重大な副作用として、血栓症(頻度不明)が報告されており、心筋梗塞、脳血管障害、動脈または静脈の血栓塞栓症(静脈血栓塞栓症または肺塞栓症)、血栓性静脈炎、網膜血栓症が現れることがあります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、更年期障害などに伴う症状を軽減する目的で投与される卵胞ホルモン剤とともに服用することで、卵胞ホルモン剤による子宮内膜への影響を軽減します。2.ふくらはぎの痛み・腫れ、手足のしびれ、鋭い胸の痛み、突然の息切れなどの症状が現れた場合、血栓症を引き起こしている可能性があるので、直ちに医師・薬剤師に連絡してください。自己判断での中止や量の調節はしないでください。3.眠気や浮動性めまいを引き起こすことがあるので、自動車などの危険を伴う機械の操作には注意してください。4.突然服用を中止すると、不安や気分変化を引き起こす恐れがあります。<Shimo's eyes>本剤は、更年期障害および卵巣欠落症状に対する卵胞ホルモン剤投与時の子宮内膜増殖症の発症抑制を目的とした天然型黄体ホルモン製剤です。経口投与では吸収されにくい天然型黄体ホルモンをマイクロナイズド化(微粒子化)することで吸収率を上げています。ホルモン補充療法(HRT)は、エストロゲン欠乏に伴う更年期障害などの諸症状や疾患の予防・治療に有用です。しかし、エストロゲン製剤を単独投与すると、子宮内膜増殖作用により子宮内膜がんを発症する懸念が高まります。エストロゲン製剤に黄体ホルモン製剤を併用することで、子宮内膜がんの発症が抑制されるという報告を踏まえ、現在では子宮を有する患者にHRTを行う際には、黄体ホルモン製剤を併用することが一般的です。国際閉経学会などでは、天然型黄体ホルモンは乳がんリスクや血栓症リスクが低いことが示唆されています。しかし、わが国では子宮内膜増殖抑制に関する適応のある経口剤はなく、これまで適応外で合成黄体ホルモン製剤が使用されてきました。このような背景から、日本産科婦人科学会および日本更年期医学会(現:日本女性医学学会)から開発の要望書が提出され、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の評価に基づき、厚生労働省が製薬企業を募集し、開発されました。用法としては、エストロゲン製剤と本剤を初めから併用する「持続的投与法」と、最初の2週間はエストロゲン製剤単独で、あとの2週間は本剤も併用する「周期的投与法」のいずれかを選択します。本剤は食後投与では絶食下に比べてAUCとCmaxが上昇し、服用後1~3時間は一過性の傾眠・めまいを起こす可能性があるため、就寝前に服用します。副作用では、不正性器出血が高い頻度で報告されています。継続服用に伴い徐々に軽減してゆくので、服薬を中断しないように前もって説明する必要があります。重大な副作用としては、血栓症に注意が必要です。血栓症の初期症状について説明するほか、定期的に体を動かしてこまめに水分補給をするなどの生活上の工夫も伝えましょう。参考1)PMDA 添付文書 エフメノカプセル100mg

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見逃してはならない“しびれ”とその部位は?【Dr.山中の攻める!問診3step】第9回

第9回 見逃してはならない“しびれ”とその部位は?―Key Point―しびれは重大な疾患の一つの症状のことがあるしびれの分布や部位から原因疾患を絞り込むことができる頻度が高い疾患は、症状の特徴を覚えておくと診断が容易である症例:68歳 女性主訴)右胸痛、呼吸苦現病歴)7日前、突然左指と左口唇がしびれたが数分で改善した。脳MRI検査を受けたが異常なし。昨夕から徐々に右胸痛と右背部痛が出現。体動時と深呼吸時に痛みは増悪。動くと息切れあり。本日、外出時に痛みの増悪を認め来院した。既往歴)COPD薬剤歴)なし社会歴)たばこ:20歳から45歳まで30本/日アルコール:飲まない経過)左指と左口唇のしびれからは視床の病変が連想される(手口感覚症候群)。視床では口唇と手指の感覚領域が近接して存在する息をすると胸が痛むという症状は胸膜に病変が及んでいることを示唆する胸部レントゲン写真で異常陰影を認めたので、胸部CT検査を行い原発性肺がん(S4) と右第7肋骨骨転移の診断となった肺がんのため過凝固となり手口感覚症候群を起こしたと考えられた◆今回おさえておくべき臨床背景はコチラ!高齢者はしびれをよく訴える多発神経障害は臨床で遭遇する頻度が高い多発性単神経障害なら原因疾患を絞り込みやすい【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2-1】見逃してはならないしびれかを考察する1)手口感覚症候群(視床の出血/梗塞)指先がしびれている時には、口もしびれていないか必ず確かめるWallenberg症候群(延髄外側症候群)病側の顔面温痛覚低下(V)+構音障害/嚥下障害(IX、X) + ホルネル症候群 + 小脳失調、反対側の体幹/上下肢の温痛覚低下(外側脊髄視床路)Guillain-Barre症候群数日から数週間で急速に進行する。カンピロバクター感染症による下痢が先行することがある。症状は下肢から始まる左右対称性弛緩麻痺、呼吸筋麻痺、自律神経障害(血圧変動、頻脈、徐脈)。感覚障害はなくてもよい。閉鎖孔ヘルニア患側大腿内側から下腿の痛み/しびれ(Howship-Romberg兆候)、やせ型の高齢女性に多いNumb chin syndrome顎がしびれる。悪性リンパ腫/乳がん/前立腺がんが三叉神経(V3下顎神経)に浸潤【STEP2-2】しびれの分布から考える多発神経障害(polyneuropathy)2)神経線維の長い足底から上方にしびれが進行。左右対称性<主な原因>DANG THERAPIST(ひどい療法士)*以下の各頭文字を表しているDM(糖尿病)Alcohol(飲酒)Nutritional(ビタミンB12、銅欠乏)Guillain-Barre(ギランバレー症候群)Toxic(中毒:重金属、薬剤)Hereditary(Charcot-Marie-Tooth)Renal(尿毒症)Amyloidosis(アミロイドーシス)Porphyria(ポルフィリン症)Infection(感染症:HIV、ライム病)Systemic(全身性:血管炎、サルコイドーシス、シェーグレン症候群)Tumor(腫瘍随伴症候群)多発性単神経障害(mononeuritis multiplex)いろいろな部位の単神経障害が左右非対称に進行糖尿病、血管炎、膠原病(SLE、関節リウマチ)、HIV【STEP3】部位から原因を鑑別する■母指~環指橈側のしびれ(正中神経支配)手根管症候群(最も頻度の高い末梢性絞扼神経障害)夜間に増悪、手を振ると軽快、リスクファクターは手を使う職業、甲状腺機能低下症、糖尿病、関節リウマチ、アミロイドーシス、末端肥大症、妊娠。猿手■環指尺側と小指のしびれ(尺骨神経支配)肘部管症候群変形性関節症、ガングリオン、スポーツ、小児期の骨折による外反肘が原因。鷲手変形■手背母指と示指のしびれ(橈骨神経支配)橈骨神経麻痺飲酒後に肘掛け椅子で寝て上腕内側を圧迫。下垂手■上肢のしびれ…頸椎症による神経障害3)神経根症頸部~肩甲骨部の痛み、デルマトームに沿った根性疼痛(しびれだけなら脊髄症)脊髄症手のしびれで発症し、手指が器用に動かせなくなる。10秒テスト: 手掌を下にしてできるだけ速く、グーとパーを繰り返す。10秒間で正常者では25~30回できる。胸郭出口症候群上肢のしびれ、肩/上肢/肩甲骨周囲の痛み、腕神経叢の障害■大腿外側のしびれ大腿外側皮神経痛体重増加、妊娠、きついベルトが原因。股関節の伸展/深い屈曲で症状増悪■腰痛+殿部や膝より末梢の下肢に放散痛3)椎間板ヘルニアSLR(straight leg raising)test陽性(感度80%、特異度40%)。95%はL5とS1の根が関与。膝蓋腱反射低下(L4)足関節/母趾背屈力低下(L5)アキレス腱反射低下/つま先立ちができない(S1)■下腿外側~足背のしびれ総腓骨神経麻痺右下肢外側腓骨頭での圧迫。外傷やギプス固定が原因。下垂足のため鶏様歩行■足底~つま先のしびれ足根管症候群内果後方の足根管で脛骨神経を圧迫閉塞性動脈硬化症下肢のしびれや痛み、冷感、間欠性跛行(休息で改善)ABI(ankle-brachial index)1.3<治療>原疾患の治療を行う。 <参考文献>1)塩尻俊明.非専門医が診る しびれ. 羊土社. 2018.2)Mansoor AM. Frameworks for Internal Medicine. 2019. p525-539.3)仲田和正. 手・足・腰診療スキルアップ. シービーアール. 2004.

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英語で「眠気が出ます」は?【1分★医療英語】第7回

第7回 英語で「眠気が出ます」は?Are there any side effects of this med?(何か副作用はありますか?)This medication may cause drowsiness.(服用後、眠気が出る可能性があります)《例文1》I feel drowsy during the daytime.(昼間に眠気がひどいです)《例文2》When did you start feeling drowsiness?(眠気の症状はいつから始まりましたか?)《解説》「眠気」は“drowsiness”や“sleepiness”で表現します(文語では“somnolence”を使うこともあります)。これが「疲労」となると“tiredness”や“fatigue”(文語では倦怠感・不快感として“malaise”)、「だるい」「ぼーっとする」は“sluggish”(文語では“lethargic”)など、似たような症状でも多くの単語があります。現場では、患者のさまざまな表現を聞き取り、チャートには文語を使って書くなど、使い分けをしています。また、日本語は主語を省略しても成り立つので、日本語から英語へ直訳しようとすると、「あれ?」となることも多くあります。「眠気が出る可能性がある」を“There is a possibility…”と一字一句を訳すのではなく、会話例のように“The medication(この服薬)”を主語にする、または“You may feel drowsiness.”にするなど、直訳ではなく、自分が知っている単語を使って状況を説明するように心掛けると、さらにスムーズに英語が出てくるようになるかもしれません。講師紹介

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