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漢方薬へのイメージはプラスか、マイナスか/アイスタット

 近年では「漢方薬」は身近なものとなり、街のドラッグストアやかかりつけ薬局などさまざまな場所で購入できるようになった。これら「漢方薬」について、一般市民が抱くイメージや利用実態を知ることを目的に、株式会社アイスタットは1月6日にアンケート調査を行った。アンケート調査は、セルフ型アンケートツール“Freeasy” を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員30~79歳の300人が対象。調査概要形式:WEBアンケート方式期日:2022年1月6日対象:セルフ型アンケートツール“Freeasy”の登録者300人(30~79歳)を対象アンケート調査の概要・漢方薬に興味ある人は49.3%、興味ない人は50.7%とほぼ同じ割合・医師から漢方薬を処方された場合、抵抗がないと回答した人は約6割・漢方薬は効き目があると思っている人は45%、半数を下回る・漢方薬を服用したことがある人は6割弱・漢方薬を服用したきっかけ第1位は「医師の処方」の46.4%・漢方薬のイメージの第1位は「即効性がなさそう」の34%・漢方薬を服用してみたい症状の第1位は「肩こり、腰痛」の23.3%・漢方薬を服用してみたくなるには「医師の積極的なすすめ」の39.7%が最多漢方薬の利用には医療者のすすめが必要 最初に「漢方薬について、興味や関心があるか」を聞いたところ、「やや興味がある」が39.3%で最も多く、「あまり興味がない」が30.0%、「全く興味がない」が20.7%の順だった。興味の有無別に分類すると、「興味がある」は49.3%、「興味がない」は50.7%で、ほぼ同じ割合だった。 「医師から漢方薬を処方された場合、抵抗があるか」を聞いたところ、「抵抗がない」が63.0%で最も多く、「どちらでもない」が26.7%、「抵抗がある」が10.3%と続いた。年代別では、「抵抗がない」と回答した人は70代で最も多く、「抵抗がある」を回答した人は30代と40代で最も多かった。 「漢方薬の効果(体質改善)についてどう思うか」を聞いたところ、「効き目がある」が45.0%で最も多く、「わからない」が35.3%、「効き目がない」が19.7%の順で続いた。「効き目がある」と回答している人が約4割台にとどまり、漢方にネガティブなイメージを抱かせる一因になっていると推測された。なお、年代別では、「(体質改善に)効き目がある」と回答したのは、30代・40代(49.4%)で1番多く、「効き目がない」との回答では、60代(25.9%)で1番多かった。 「漢方薬の服用状況について」を聞いたところ、「一度も服用したことがない」が44.7%で最も多く、「現在は服用していないが、過去に服用したことがある」が35.0%、「ときどき、服用している」が16.0%の順で続いた。服用状況の有無別の分類では、服用経験あり(55.3%)が服用経験なし(44.7%)を上回る結果だった。 「(漢方薬の服用経験がある回答者のみに[166名])漢方薬を服用したきっかけ」を聞いたところ、「医師の処方」が46.4%で最も多く、「薬局ですすめられて」が17.5%、「店頭(ドラッグストア、漢方専門店)で見て」が17.5%の順で続いた。 「漢方薬にどのようなイメージがあるか」(複数回答)を聞いたところ、「即効性がなさそう」が34.0%で最も多く、「にがい、くさい、おいしくない」が32.0%、「自然素材」が31.3%の順で続いた。大きくマイナスイメージが先行している結果だった。 「今後、漢方薬を服用してみたい症状、もしくはすでに漢方薬を服用した症状はあるか」(複数回答)を聞いたところ、「肩こり、腰痛」が23.3%、「疲れやすい、だるい」と「ストレス、イライラ、不安」が15.7%と同順位で続いた。回答では慢性的な症状の改善を期待する回答が上位を占めた一方、「特になし」が38.3%と最も多く、漢方薬への期待が大きくない現状がうかがわれた。 最後に「漢方薬を服用してみたくなるためには」(複数回答)を聞いたところ、「医師の積極的なすすめ」が39.7%で最も多く、「特になし」が28.7%、「漢方薬の効果をわかりやすく」が25.7%の順で続いた。医師をはじめとする医療者のすすめやくわしい患者への説明が、今後漢方薬の活躍の場を広げる可能性を示す結果だった。

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非糖尿病肥満の体重変化率、セマグルチドvs.リラグルチド/JAMA

 非糖尿病の過体重または肥満の成人において食事および運動療法のカウンセリングを行ったうえで、週1回投与のセマグルチド皮下注は1日1回投与のリラグルチド皮下注よりも、68週時点の体重減少が有意に大きかったことが示された。米国・Washington Center for Weight Management and ResearchのDomenica M. Rubino氏らによる検討で、これまでGLP-1受容体作動薬のセマグルチドとリラグルチドを比較した第III相試験は行われていなかった。JAMA誌2022年1月11日号掲載の報告。BMI30以上、BMI27以上+体重関連併存疾患の338例を対象に試験 研究グループは、過体重または肥満者における、週1回投与のセマグルチド皮下注(2.4mg)と1日1回投与のリラグルチド皮下注(3.0mg)の有効性と有害事象プロファイルを比較する68週にわたる第IIIb相非盲検無作為化試験を実施した。 米国19地点で、2019年9月に登録を開始し(登録期間:9月11日~11月26日)、2021年5月まで追跡した(最終フォローアップ:5月11日)。被験者は、BMI値30以上または27以上で1つ以上の体重関連の併存疾患を有する、糖尿病は有していない成人338例とした。 被験者は3対1対3対1の割合で、週1回セマグルチド2.4mg皮下注投与群(16週間で漸増、126例)またはマッチングプラセボ群、1日1回リラグルチド3.0mg皮下注投与群(4週間で漸増、127例)またはマッチングプラセボ群に割り付けられ、それぞれ投与を受けた。加えて全員に食事療法と運動療法が行われた。また、セマグルチド2.4mg投与に不耐の場合は同1.7mgへの変更が認められた。リラグルチドに不耐の場合は、試験を中断するが、再開後に4週間の漸増が可能であった。解析では、プラセボ群は統合された(85例)。 主要エンドポイントは体重変化率で、確証的副次エンドポイントは、セマグルチド群vs.リラグルチド群について68週時点で評価した10%以上、15%以上、20%以上体重減少それぞれの達成割合とした。 セマグルチドvs.リラグルチドの比較は非盲検で行い、実薬治療群はプラセボ群について二重盲検化された。実薬治療群と統合プラセボ群の比較は、補完的副次エンドポイントとして評価が行われた。68週後の体重変化率、セマグルチド群-15.8% vs.リラグルチド群-6.4% 被験者338例の平均年齢は49(SD 13)歳、78.4%(265例)が女性、平均体重は104.5(SD 23.8)kg、平均BMI値は37.5(SD 6.8)だった。試験を完了したのは319例(94.4%)で、治療を完了したのは271例(80.2%)だった。 ベースラインからの平均体重変化率は、セマグルチド群-15.8%、リラグルチド群-6.4%だった(群間差:-9.4ポイント、95%信頼区間[CI]:-12.0~-6.8、p<0.001)。統合プラセボ群の平均体重変化率は、-1.9%だった。 10%以上、15%以上、20%以上の体重減少の達成割合は、いずれもセマグルチド群がリラグルチド群より大きく、それぞれ、70.9% vs.25.6%(オッズ比[OR]:6.3、95%CI:3.5~11.2)、55.6% vs.12.0%(7.9、4.1~15.4)、38.5% vs.6.0%(8.2、3.5~19.1)だった(いずれもp<0.001)。 なお、治療を中止した人の割合は、セマグルチド群が13.5%、リラグルチド群は27.6%だった。胃腸関連有害イベントは、それぞれ84.1%と82.7%で報告された。

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医療従事者への3回目接種、コロナ感染リスク99%減/JAMA

 イスラエルの医療従事者を対象に行った試験で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)の3回接種者は2回接種者に比べ、中央値39日の追跡期間における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染リスクが有意に低かったことが示された(補正後ハザード比:0.07)。イスラエル・Tel Aviv Sourasky Medical CenterのAvishay Spitzer氏らが医療従事者1,928例を対象に行った前向きコホート試験の結果で、著者は「今回の所見が永続的なものかを確認するために、サーベイランスを続行することが求められる」と述べている。先行研究で、60歳以上へのBNT162b2の3回目接種(ブースター接種)がSARS-CoV-2感染のリスクおよび疾患の重症化を有意に低減することは示されていたが、若年者や医療従事者についてはデータが不足していた。JAMA誌オンライン版2022年1月10日号掲載の報告。イスラエル3次医療センターで、医療従事者1,928例を対象に調査 研究グループは、BNT162b2の2回接種を完了した医療従事者におけるBNT162b2ブースター接種とSARS-CoV-2感染の関連を調べるため、イスラエルのテルアビブにある3次医療センターで、BNT162b2の2回接種歴があり、免疫能が正常の医療従事者1,928例を対象に前向きコホート試験を行った。被験者登録は2021年8月8日~19日に行い、最終フォローアップは同年9月20日だった。 SARS-CoV-2感染の有無は14日ごとの検査で確認し、ベースラインと登録1ヵ月後に、抗スパイク蛋白受容体結合部位IgG抗体力価を測定した。時間依存解析を伴うCox回帰モデルを用いて、BNT162b2のブースター接種者と2回接種者(ブースター未接種)のSARS-CoV-2感染に関するハザード比を求めた。10万人年当たりSARS-CoV-2感染、ブースター接種群12.8、2回接種群116 被験者1,928例は、年齢中央値44歳(IQR:36~52)、女性71.6%(1,381例)で、BNT162bの2回目接種を受けてから試験開始までの日数中央値は210日(IQR:205~213)だった。そのうち、ブースター接種を受けたのは1,650例(85.6%)だった。 中央値39日(IQR:35~41)の追跡期間中に、SARS-CoV-2感染は44例(罹患率:60.2/10万人年)で発生し、うち症候性は31例(70.5%)だった。 感染例の内訳は、ブースター接種群が5例、ブースター非接種群は39例で、罹患率はそれぞれ12.8/10万人年、116/10万人年だった。 時間依存Cox回帰分析では、SARS-CoV-2感染に関する、ブースター接種群のブースター非接種群に対する補正後ハザード比は0.07(95%信頼区間:0.02~0.20)だった。

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早期乳がんへの術後パルボシクリブ、iDFSに減量・中止の影響は?(PALLAS)/JCO

 PALLAS試験は、ホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性の早期乳がんの術後補助療法として、標準的な内分泌療法へのCDK4/6阻害薬パルボシクリブ追加の有効性を評価する第III相試験。主要評価項目である無浸潤疾患生存期間(iDFS)の有意な改善は示されておらず、今回、同試験におけるパルボシクリブ減量と中止の影響が評価された。米国・ダナファーバーがん研究所(DFCI)のErica L Mayer氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年1月7日号に報告した。[PALLAS試験概要]・対象:Stage II/IIIのHR陽性/HER2陰性乳がん患者(診断後12ヵ月以内、内分泌療法による術後補助療法開始後3ヵ月以内)・試験群:パルボシクリブ(125mg1日1回、3週投与1週休薬、2年間)+標準的内分泌療法(少なくとも5年)・対照群:標準的内分泌療法(少なくとも5年)単独・評価項目[主要評価項目]iDFS[副次評価項目]非乳房由来の2次がんを除くiDFS、遠隔無再発生存期間(DRFS)、局所無再発生存期間、全生存期間(OS)、安全性 今回の解析では、毒性、用量変更、および早期中止の継続的なモニタリングが実施され、ベースライン共変量とパルボシクリブの減量および中止までの時間との関連を、競合リスクモデルを用いて分析。ランドマーク解析および逆確率重み付け推定法によりiDFSに対する薬物の持続性と曝露の影響を評価した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象の5,743例のうち、2,840例が試験群に割り付けられ、パルボシクリブを開始。うち1,199例(42.2%)が2年の間にパルボシクリブを中止した。多くが副作用によるもので(772例、27.2%)、最も一般的だったのは好中球減少症と倦怠感だった。・内分泌療法の中止について、両群間で差はみられなかった。・プロトコルで定義されていない理由による中止は、パルボシクリブ開始後最初の3ヵ月間、および最初の暦年で多く、時間の経過とともに減少した。・より長い期間のパルボシクリブ投与または70%以上の曝露強度と、iDFS改善との間に有意な関係はみられなかった。・重みづけされたper-protocol解析の結果、パルボシクリブ投与患者と非投与患者の間でiDFSの改善は観察されなかった(ハザード比:0.89、95%信頼区間:0.72~1.11)。 研究者らは、PALLAS試験におけるパルボシクリブの中止率の高さに着目したものの、今回の解析では両群間で有意なiDFSの差はみられず、パルボシクリブによる治療が不十分なこととiDFSには直接的な関係はないことが示唆されたと結論づけている。

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塩野義製コロナワクチンの国内第III相試験開始、年度内実用化目指す

 塩野義製薬は1月17日付のプレスリリースで、開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン(S-268019)について、国内で第III相中和抗体価比較試験を開始したことを発表した。2回接種後の免疫原性を指標として、S-268019と既承認ワクチンの比較検証が目的。国内における最終段階の臨床試験となる。同社は、本ワクチンについて3月末までの実用化を目指すとしている。 本試験では、成人および高齢者1,000例を対象に、開発中のワクチンまたは対照薬のアストラゼネカ社の既承認ワクチン(バキスゼブリア筋注)の2回目接種から28日後のSARS-CoV-2に対する中和抗体価について比較検証する。 同社は本試験と並行して、2021年12月25日より、発症予防効果を検証するグローバル第III相臨床試験をベトナムで実施している。今後、国内での承認申請に向けて、これらの試験の進捗と結果に基づき、厚生労働省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)などと継続した協議を行うとしている。 新型コロナウイルスワクチンの開発を巡っては、これまでに発症予防効果の検証を目的とした大規模な臨床試験が実施されてきたが、すでに有効なワクチンが流通し、接種が進む中で、プラセボ対照臨床試験を実施することが困難になりつつある。しかし、世界的にはワクチンの供給量はいまだ十分ではなく、引き続き安全で有効な新規ワクチンの開発が必要とされている。こうした状況の下、ワクチン接種後の中和抗体価を発症予防効果の代替指標として、既承認ワクチンと比較することで、新規ワクチンの評価を行う中和抗体価比較試験を認める流れとなってきている。

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新鮮なネタとしての魚:うつを予防するのは本当か(解説:岡村毅氏)

 魚を食べるとうつにならないというのは本当かという研究である。正確には魚などに多く含まれるオメガ3脂肪酸を多くとるとうつにならないかという研究である。1)魚は健康に良いとされている。2)魚を食べている人は健康そうである。知り合いのAさんもBさんも、ジャンクフードは食べずに日本食を好み、運動をし、そして魚をよく食べている。3)そこで手近な100人くらいの人を調査した。魚を食べているかと、健康状態を聞いた。そしたら魚を食べている人は確かに健康だった。うつも少ない。4)魚はうつを予防する。 …典型的な間違いである。 頑張って魚を食べている人は、健康に気を使っているだろうし、所得も高そうだし、余裕もありそうだ。こうした要因が介在しているから見かけの関係が見えてしまったにすぎない(交絡といいます)。 本当に効果があるのか調べるには、ある地点から前向きにオメガ3脂肪酸を摂取する群、しない群に分けて、その後のうつの発症を調べればよい。その結果は、何とオメガ3脂肪酸群の方がややうつが多かった。 本研究はVITALスタディ(Vitamin D and Omega-3 Trial)という大規模研究の一環である。わかったことは、ビタミンDもオメガ3脂肪酸も、心の健康には何ら効果がなさそうだということであった。 こう書くと、魚なんて食べても意味ないのだ、明日からはカップラーメンと酒だ、と早とちりする人がいるので、強く止めておきたい。要するに自分を大切にしている人は、食生活に気を付けているので健康だということにすぎない。一方で食生活に気を付けても、病気になるときはなることも忘れてはならない。機械じゃないんだ、人間だもの、と言うしかない。 運動とか、魚とか、野菜は健康に良いことは事実だが、それ自体がうつや認知症を予防することはない。同時に、自分のことを大切にして、自堕落な生活はやめた方がよくて(もちろん、したければしてもよい)、魚や野菜をきちんと食べて運動をしましょう、という当たり前の事実があるのだ。 ここで終わっては面白くないのでもう一歩話を進めよう。 人々は「〇〇を食べると病気にならない」という話が大好きである。私の専門分野でいうと、特定の油が認知症予防に効くという一時流行った説を吹き込まれて、高カロリーの油をたくさん摂取している人がたまにいた。「太りますよ、むしろ血管病変を介して認知症になりかねないです」と外来ではやんわりお伝えしている。そもそも〇〇を食べれば病気にならないなどというものは存在しない。していればみんなもう食べているだろう。人間は集団的には合理的な動きをするのだから。 一方で、そういうばかげた話を、怒りをもって眺めている専門家も多いが、それはそれで大人げないとも思う。みんなネタとして捉えて、おしゃべりをしているだけなのである。個人的な見解だが、テレビを真面目に信じている人は10%もいないのではないか? ハイデガーという哲学者は、人々は本質を忘れ(死を忘れ)おしゃべりをして過ごすものだと言ったが、典型的などうでもいいおしゃべりは「食べ物健康談義」であろう。だって誰も傷つけないし、ほどほど盛り上がるし、「某ワクチンが危険だ」みたいな陰謀論のようにどぎつくないから友達をなくすこともないだろう。 問題は本当に信じているごく一部の人だけだ。テレビや週刊誌のビジネスの邪魔はしたくはないが、まともな情報は公共的な組織に提供してほしいものだ。たとえば、厚生労働省は『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』という事業できちんとした情報を提供している。 とても参考になるので一読を勧める。

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criteria検討に名を借りた医療経済検討なのではないのか?(解説:野間重孝氏)

 疫学について細論することは本稿の目的とするところではないので、日本循環器学会のガイドライン中の疫学の欄をご参照いただきたい(『肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)』)。骨子は、欧米においては静脈血栓・肺塞栓症が虚血性心疾患、脳血管疾患に次ぐ3大致死的血管疾患であるのに対して、わが国における肺塞栓症の発生が100万人当たり30人に達しない程度の頻度であるという事実である。近年人口の高齢化により血栓性疾患の頻度が増したとはいえ、それでも発生率は単位人口当たり欧米の8分の1以下という頻度にとどまっている。 とくにこの差は産科領域で大きい。欧米における妊婦の死亡原因の第1位が肺塞栓症であるのに対し、わが国における発生頻度は軽度のものまで含めても1,000件に1件(0.1%)にとどまるからである。産科領域で造影CT、核医学検査が行われた場合の胎児の被曝の問題は軽視できるものではない。このような被曝や侵襲を伴う検査に訴えることなく、血液検査など、できるだけ非侵襲的かつ簡便な検査で診断をつけることが、大きな課題となることが理解されるだろう。 ただ、もうひとつの重要な背景として(たびたび指摘していることだが)、国民皆保険制度の存在がある。わが国で診療を行っている限り、怪しいと疑った患者に対して(その診断精度に対する議論はあるにせよ)造影CTや肺換気・血流シンチを施行することにためらいはないだろう。しかし多くの諸外国において、こうした高価な検査は簡単には施行できないのが現実なのである。 著者らは、議論はあるとしながらも主なPEの診断法を3つにまとめて紹介している。これは参考になるのでここでもまとめ直してみよう。1)従来の(最もオーソドックスな)アルゴリズム: 検査前確率が高いと考えられる患者で、閾値を越えるD-dimer値の患者に造影CTないし肺換気・血流シンチを行う。2)検査前確率が低い患者に対して: PERC(PE rule-out criteria)8項目([1]年齢≧50歳、[2]心拍数≧100/min、[3]動脈血酸素飽和度<95%、[4]片側の下肢の腫脹、[5]血痰、[6]直近の外傷or手術、[7]PEや深部静脈血栓症の既往、[8]エストロゲン製剤使用)に該当しない、もしくはD-dimer値のcutoff値に年齢×10ng/mLを使用する。3)YEARS rule: YEARS criteria([1]PEが最も可能性がある診断、[2]深部静脈血栓症の臨床症状、[3]血痰)を満たさない患者に対してD-dimer cutoff値1,000ng/mLを併用する。 一見してわかるように、criteriaといいつつ、医師の主観がかなり影響することがわかる。どの方法によるにせよ、医師がどの程度積極的にPEを疑うか否かがキーポイントになっていることには変わりがないからである。なお、YEARS ruleはランダム化試験で検証されているわけではないことには注意が必要だろう。 このような現状に鑑み、本研究は救急部(ED)においてPERC ruleで除外されていないPE疑いの患者に対し、YEARS ruleと年齢調整D-dimer値を併用することによりPEが安全に除外できるかどうかを検討したものである。対照は上記の従来型の診断アルゴリズムである。ただ、ここまでお読みの読者の多くが「ちょっと待てよ」と思っていらっしゃるのではないだろうか。なぜなら、医師の主観が大きく介入するという点においては変わるところがないからである。本研究のプロトコールには確かに議論の余地がある。primary outcomeが3ヵ月後の静脈血栓症の有無であるのは適当か、secondary outcomeに「あらゆる原因による死亡」「3ヵ月後におけるあらゆる原因による入院」が含まれていることは適当かなどがまず挙げられるだろう。またsecondary outcomeには「ED滞在時間」が含まれているが、重症病変を診断することに時間の経済が含まれるのだろうか。こうした疑問はあるものの、結局、医師の主観を排除した診断アルゴリズムを模索することになっていないという点がすべてであると考える。 翻ってわが国のEDの現場を考えてみてほしい。胸痛と息苦しさを訴えて来院した患者に対して、心電図、胸部レントゲン写真、採血、動脈血酸素飽和度などの一通りの検査(場合により心エコー図検査も含む)がルーチンに行われないというケースは考えられない。そしてEDの通常採血項目にFDPやD-dimerが含まれていないというケースはないと言ってよい。そして、どれか1つにでも疑わしい所見があった場合、適切な画像診断を緊急で行うことを躊躇する救急医はいないと思う。このようなやり方について「あまりにもマニュアル化され過ぎている」とか「余計な検査をするケースが多い」という批判があることは承知しているが、これはすべて医師の主観をできるだけ排除して、客観的な診断を行うことを目的としているのである。 本研究の結果の部分に、胸部画像診断を行った例がintervention群で22.9%、control群で37.2%であり、14.3%の減少幅が得られたとあるが、結局本研究の目的はここにあったのではないかというのは、うがち過ぎではないだろう。結局、上述した国民皆保険問題に帰り着く。医療経済の追求が、多くの国・地域において大きな課題なのである。かつCT検査と私たちは簡単に言うが、世界のCTの10台に1台はわが国にあるといわれる。つまりここには医療資源の問題も絡んでくるのである。上記したように、このプロトコールでは医師の主観を排除しているとは言えないと批判したが、その根本には医療経済の問題をcriteriaの議論にすり替えていることがあると言ったら言い過ぎだろうか。 論文評のまとめとしてはいささか逸脱したものと言われるかもしれないが、いろいろと批判はあるもののわが国の医療体制は世界的に見て誇るべきものであり、この長い経済停滞の時期を乗り越えて医療経済をいかに守っていくかが、私たちに課せられた課題であることを痛感したものである。近年わが国では年金制度の議論ばかりがやかましいが、健康保険制度を維持することこそ、私たちが子供たちの世代に残せる大きく貴重な財産であることを、恐縮ながらこの場をお借りして再度訴えたいと思う。

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NNKよりPPK、理解不能の方はGGRKSでEOM【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第44回

第44回 NNKよりPPK、理解不能の方はGGRKSでEOM「人間五十年 下天のうちをくらぶれば 夢幻の如くなり」歴史ドラマなどで、織田信長が能を舞いながら謡う有名な一節を耳にしたことがあると思います。人の寿命は延び続け、50歳でも若造呼ばわりされる可能性があるのが日本です。今では人生100年に手が届こうとしています。一方で、健康寿命が平均寿命より男性は約9年、女性は約12年も短いことが分かっています。健康寿命は、日常生活に制限なく自立して過ごせる期間です。寿命が延びても、寝たきりではつまらない、元気で長生きしたいと望むことは当然です。診察室で出会う多くの高齢の方々は、亡くなる直前まで元気で過ごし、コロッと逝きたいと話します。これが「ピンピンコロリ:PPK」です。現実には、残念ながら寝たきりとなり終焉を迎える方もいます。これが「ネンネンコロリ:NNK」です。100歳近くの年齢で、ピンピンして健康な長寿の人はそんなに多くはありません。介護が必要となる主な原因としては、認知症・脳血管障害・高齢による衰弱・骨折・転倒などが挙げられます。その背景にあるのが、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病です。平素からの生活習慣の改善や、必要な治療をしっかり受けることは大切です。どんなに気を付けても加齢現象を回避できないことは事実です。PPKを具現化できることは非常に稀であり、宝くじに当選するようなことなのです。自分は、高齢者が自ら支援を忌避せざるを得ない雰囲気を日本の社会が醸成していることに問題があると考えます。認知症や障害を持っても、安心して生き、そして旅立つことができる社会の確立が必要なのでしょう。閑話休題お年寄りの聖地、おばあちゃんの原宿と呼ばれる巣鴨の地蔵通り商店街を歩く方々の、全員がPPKやNNKの意味を知っていると思います。それだけ人口に膾炙する略語です。略語は、長い語を簡潔に呼ぶためにつくるもので、「高等学校」を「高校」、「ストライキ」を「スト」などとする場合や、また、ローマ字の頭文字だけを並べたものもあります。「日本放送協会」を「NHK」などです。仲間内だけのことばとして、隠語として用いることもあります。医学・医療の世界で生きていく場面でも、略語はもはや必須です。とくにチャットやメールでは、長いスペルを短縮すべく、英語でも略語が盛んに利用されます。略語はカジュアルな場面だけでなく、英語のビジネスメールや、論文投稿や学会参加の文書にも頻繁に登場します。紹介してみましょう。TBA=to be announced=後日発表TBD=to be determined=未定TBS=to be scheduled=調整中FYI=for your information=参考までASAP=as soon as possible=できるだけ早くこれらは頻用される有名なものです。EOMはend of messageの略で、「メッセージの終わり」を意味します。メールの件名の最後に付けると、メールの本文はないことが伝わります。メールの件名に「本日の会議16時30分大会議室、EOM」とすれば件名だけで本文は空っぽで大丈夫です。自分は、少しヒョウキンな笑いを誘う略語を使ってしまいます。オヤジギャグ好きの悪い癖です。TGIFは、Thank God, It's Friday! の意味で、金曜日の夕方のメールの最後に相応しいです。花の金曜日を楽しみましょう! を意味します。土曜日にも仕事がある方には使用しないようにしましょう。GGRKSは、「ググれカス」の略で、少し調べればわかることを質問する人に対して、「それぐらいグーグルで検索しろ(ググれ)、カス」という意味で使われる下品な略語です。GGRKSは、数年前に「現代用語の基礎知識」に収録もされ流行しましたが、今では目にする機会は激減しています。では最後にクイズです。GN8, TNTわかりますか? GN8=good n eight=good night=おやすみなさい。TNT=till next time=また会いましょう。

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第92回 改定率で面目保つも「リフィル処方」導入で財務省に“負け”た日医・中川会長

2022年診療報酬改定の作業が大詰めへこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。週末は、まん延防止等重点措置が適用される前に足慣らしをと、高尾山の裏側の山域、裏高尾に行って来ました。先々週、首都圏に降った雪が少しは残っているだろうと足回りは冬山装備で向かったのですが、雪は残念ながらほぼゼロ。首都圏が大雪のときは低気圧が関東南岸を通過するケースがほとんどですが、今回は通過が南過ぎたため高尾山や奥多摩まで十分な雪を降らせなかったようです。雪山が楽しめず落胆、下山は日和ってリフトを使ってしまいました。さて、診療報酬改定の作業が大詰めを迎えています。1月14日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、2022年度改定に向けた「議論の整理」が固められました。今後、パブリックコメントと公聴会を経て、具体的な改定内容である「個別改定項目」に基づく論議が行われ、2月上旬には新点数・新施設基準が決定し、答申となる予定です。ということで、今回は少々遅ればせながら、改定率決定の舞台裏と、注目の新設項目「リフィル処方」について考えてみたいと思います。政界とのパイプが細く、苦戦した日医・中川会長2021年末、2022年度の診療報酬改訂の改定率は、医師らの人件費などにあたる「本体」部分を0.43%引き上げるプラス改定とすることで決着しました。この0.43%という数字を巡っては、各紙がさまざまな分析記事を書いています。12月21日付の読売新聞は「日医vs財務省、診療報酬『痛み分け』」と題する記事で、日本医師会は「厚労族の加藤 勝信・元厚生労働相らとともに『プラス0.5%』を防衛ラインに設定していた」が、「0.3%台前半」という厳しい改定率を突きつけていた財務省に「切り込まれてしまった」と報じています。同紙はさらに、日医の中川 俊男会長が、前会長の横倉 義武氏と比べて政界とのパイプが細く、コロナ禍では政権批判とも取れる発言もあったとして、自民党の安倍 晋三元首相と麻生 太郎自民党副総裁は、「中川氏に配慮する必要はない」と横倉会長時代に行われた4回の改定率の平均である「0.42%を下回る水準にするべきだと主張した」とも書いています。「横倉平均」を0.1%上回る0.43%で決着こうした安倍、麻生両氏の意向や、本連載「第80回『首相≒財務省』vs.『厚労省≒日本医師会』の対立構造下で進む岸田政権の医療政策」でも書いた政権内で増した財務省の存在感に日医と厚労族議員は相当焦っていた、と見られています。読売新聞によれば、日医は最終的に、引退した重鎮の伊吹 文明・元衆院議長や尾辻 秀久元厚労相らの重鎮に協力を求め、岸田 文雄首相に直談判する機会を設けてもらい、「横倉平均」をわずかに0.1%上回る0.43%が実現した、とのことです。なお、読売新聞は、横倉氏自身も「0.42%を基準にしないでほしい」と政府側に水面下で求めた、とも書いています。「横倉氏としても会長時代の『横倉平均』を基に医療費の抑制が行われる事態は避けたいとの思惑があったとみられる」とのことです。日医に大きく歩み寄ったかたちの岸田首相ですが、今夏に予定される参院選での日医の集票力を期待しての決断であるのは確かでしょう。参院選で勝てば、衆院を解散しない限り最長3年間は選挙のない時期を迎え、それは岸田政権の盤石化につながります。リフィル処方を差し出した見返りとしての改定率いずれにせよ、日医・中川会長は岸田首相に改定率で大きな借りをつくったことは間違いありません。「第85回 診療報酬改定シリーズ本格化、『躊躇なくマイナス改定すべき』と財務省、『躊躇なくプラス改定だ』と日医・中川会長」でも書いたように、日医会長の最大の仕事はプラス改定を勝ち取ることです。今回はプラス改定に加え、横倉前会長の改定率も上回ることができたわけで、中川会長は面目をどうにか保てたと言えそうです。ただし、その面目と引き換えに日医が受け入れたのが、これまで反対の立場を崩してこなかった「リフィル処方」です。12月21日付の日本経済新聞は、「本体部分について財務省幹部は『数字を見れば大敗だが、流れは変えられた』と語る。改定率を0.1%下げる要素として処方箋を反復利用できる『リフィル処方』の22年度からの導入にメドを付けた(中略)。日医は長年反対していたリフィル処方を差し出した見返りとして、プラス改定率を引き出したとの見方もある」と書いています。一つの処方箋を使い回し利用リフィル処方とは、一定期間内に一つの処方箋を繰り返し利用できる仕組みで、英語の「refil」(補給、詰め替え)が語源です。リフィル処方においては、例えば患者に90日分の投薬を指示する場合であれば、計3回利用(使い回し)ができる30日分の処方箋を発行します。医療機関への通院回数が減るため、医師に支払われる診療報酬(再診料など)も減ります。リフィル処方は米国、英国、フランスなど、諸外国ではすでに導入されている制度です。一方、日本では2016年度診療報酬改定で類似した「分割調剤」が導入されたものの、「手続きが煩雑」などの理由で算定回数は伸びていません。分割調剤とは、同じ処方箋を使い回すのではなく、「定められた処方期間を分割する」というもの。90日分の投薬なら、例えば30日分の処方箋を3枚発行します。1)長期保存が難しい薬剤、2)後発医薬品を初めて処方する場合、3)医師による指示がある場合などに用途が限られ、分割回数の上限も3回までとなっています。日本薬剤師会、薬剤師の役割拡大に期待リフィル処方については、細かな制度設計(対象患者、対象薬剤、回数など)や関連する診療報酬、調剤報酬は未定ですが、日本薬剤師会は大きな期待を抱いているようです。1月13日付のMEDIFAXは、日本薬剤師会の山本 信夫会長のリフィル処方導入に対するコメントを報じています。リフィル処方では2回目の調剤以降、 医師の診療が前提ではなくなることについて山本会長は、 「(調剤を)続けるには患者のさまざまな情報がなかったら(判断)できない」と薬剤師の責任が極めて重くなると指摘、「覚悟を持ってやらないといけない」と話したとのことです。もっとも、知人のある薬剤師は「一部の医師は積極的にリフィルを活用するかもしれないが、処方日数は処方医の判断で何とでもなるので、当面は医師にとっての影響はほとんどないのではないか。薬剤師の責任が今まで以上に重くなることは確かだが、服用後の患者の状況を検査もなしにどう把握しろというのか」と話していました。ボディブローのようなダメージを医療機関に与えるリフィル処方については、医療費適正化の観点から、随分前からその導入が求められてきました。5年前の「経済財政運営と改革の基本方針 (骨太方針) 2017」では「医師の指示に基づくリフィル処方の推進を検討する」と明記されましたが、日本医師会の反対等もあり制度化は先送りにされてきました。今回の診療報酬改定でのリフィル処方導入に向けても、財務省は財政制度審議会において言及を重ね、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2021」にも盛り込んでいます。今回やっと導入に至った背景には、「第80回『首相≒財務省』vs.『厚労省≒日本医師会』の対立構造下で進む岸田政権の医療政策」でも書いた、政権内で増した財務省の存在感があったことは間違いないでしょう。リフィル処方導入は、最終的に昨年12月22日の鈴木 俊一財務相と後藤 茂之厚労相との大臣折衝で決着したとのことですが、1月14日のミクスOnlineは、鈴木財務相が同紙の取材に対し、「リフィル処方箋は譲れなかった」と話したと報じています。私自身は、このリフィル処方、将来的にはボディブローのようにじわりじわりとダメージを医療機関に与えるのではないかと考えています。最初の制度や点数の設定はおそらくマイルドかつ医療機関にもメリットがあるように組み立てられると思われます。ひょっとしたら、薬局や薬剤師のメリットは見えにくいかもしれません。しかし、それが診療報酬の面白いところです。かつて取材した中医協委員も務めたある医師は「新設される項目については点数の多寡は大きな問題ではない。その項目ができたこと自体が重要だ。そこを足がかりに、将来どうにでも仕組みを変えていけるのだから」と話していました。今回の診療報酬改定でのリフィル処方の影響は、改定率にして-0.1%と言われていますが、もし国民がその割安感と利便性に気づいたら、それ以上の影響が出てくるかもしれません。また、検査もできず、患者の状態を適切に判断できない薬剤師に患者が不安を感じるのだとしたら、その薬剤師に何らかの“判断”機能を持たせる動きが出てくる可能性もあります。そういった意味でも、今回の“診療報酬改定シリーズ”、数字にこだわるあまり、リフィル処方を飲んだ日医・中川会長は、財務省に“負け”たと言えるのではないでしょうか。

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継続の必要性を評価してトラマドールカスケードを解決【うまくいく!処方提案プラクティス】第44回

 今回は、トラマドールの漫然服用に疑問を持ち、情報収集やモニタリングを行い、減薬につなげた事例を紹介します。トラマドールは弱オピオイドとしてオピオイド受容体に作用するものの、医療用麻薬としての規制を受けないことから、強い鎮痛効果を期待して整形外科や歯科領域で汎用されています。長期継続されている場合もあるため、処方目的や治療効果などから薬剤師の視点でも継続の必要性を評価する必要があります。患者情報70歳、女性(施設入居)基礎疾患高血圧症、認知症、過活動膀胱介護度要介護2服薬管理施設職員処方内容1.トラマドール・アセトアミノフェン配合錠 3錠 分3 毎食後2.ドンペリドン錠10mg 3錠 分3 毎食後3.オルメサルタン錠20mg 1錠 分1 朝食後4.エルデカルシトールカプセル0.75μg 1C 分1 朝食後5.ソリフェナシン錠5mg 1錠 分1 朝食後6.ドネペジル錠5mg 1錠 分1 朝食後7.ゾルピデム錠5mg 1錠 分1 就寝前本症例のポイントこの患者さんは、施設入居前からトラマドール・アセトアミノフェン配合錠を服用していました。初回の訪問診療に同行した際、鎮痛効果の評価のため、どこが痛むのか確認しました。しかし、とくに痛みの訴えはなく、体動時や就寝中の痛みもないことから、トラマドール・アセトアミノフェン配合錠の継続の必要性に疑問が湧きました。施設看護師に確認しても、入居時の申し送りでは触れられなかったそうでわかりませんでした。一方で、患者さんも施設スタッフも服薬する錠数が多くて負担になっていることを聞き取ることができました。さらに気になったことは、制吐薬のドンペリドンも同様に継続されていることでした。トラマドール導入時に嘔気対策として追加されたと推測できますが、お薬手帳を見ると半年以上も処方されていました。トラマドールの副作用である嘔気は数日程度で耐性ができて軽減するため、多くの場合は1~2週間で減量・中止に至ります。また、このまま継続した場合、ドパミン受容体遮断作用の弊害である錐体外路症状(薬剤性パーキンソニズム)や内分泌調節異常などのリスクも懸念されます。そこで、処方契機を調べるため、施設で保管されている診療情報提供書や退院時サマリー、多職種情報共有シート(フェイスシート)などを調査しました。過去の診療情報提供書によれば、約1年前に腰椎圧迫骨折の既往があり、手術後の疼痛コントロールを目的としてトラマドール・アセトアミノフェン配合錠が開始され、退院後は近医でそのまま継続されていたことがわかりました。処方提案と経過手術は1年以上前で経過もよく、現時点では痛みの訴えもないことから、トラマドール・アセトアミノフェン配合錠の中止は可能ではないかと考え、後日の訪問診療後に、医師にトラマドール・アセトアミノフェン配合錠からアセトアミノフェン単剤(900mg/日)への切り替えを提案しました。それに合わせてドンペリドンの中止も相談したところ、両方とも承認を得ることができました。その後、処方変更後の疼痛悪化や嘔気はなく、不安や不眠などの退薬症候の出現などもありませんでした。そのため、アセトアミノフェンを600mg/日(分2、朝夕食後)→300mg/日(分1、朝食後)と徐々に減らし、最終的に中止することを提案して、そのように処方調整していくことになりました。疼痛の出現などの評価は施設看護師にお願いしましたが、とくに問題はなく、患者さんは鎮痛薬から卒業することができました。今回の事例ではうまく減薬ができましたが、長期継続薬を減薬する際は、治療効果や中止の可否を評価するために、薬剤師から医師および多職種への積極的な介入が必要だと感じました。

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治療抵抗性統合失調症におけるGAD1およびGABAB受容体遺伝子の関連

 統合失調症、とくに認知機能障害の病因として、GABA作動システムの機能不全が関係しているといわれている。治療抵抗性統合失調症(TRS)患者の多くは、重度の陽性症状や認知機能障害に苦しんでおり、これにはGABAシステムの機能障害が関連している可能性が示唆されている。千葉大学大学院医学研究院の宮澤 惇宏氏らは、TRS患者を対象に4つのSNPを同定し、さらに5つのSNPの関連研究を実施した。Molecular Biology Reports誌オンライン版2021年11月29日号の報告。 本研究では、TRS患者14例を対象に、エクソームシーケンシングを実施し、GAD1、GABBR1、GABBR2遺伝子で4つのSNPを同定した。その後、これら4つのSNPとGAD1上のrs3749034を含む5つのSNPの関連研究を、TRS患者357例、非TRS患者682例、健康対照者508例で実施した。 主な結果は以下のとおり。・5つのSNPのいずれにおいても、対立遺伝子および/または遺伝的分布に有意な差が認められなかった。・しかし、統合失調症患者と健康対照者との比較におけるサブグループ解析では、3群ともに、GAD1ではrs3749034、GABBR2ではrs10985765/rs3750344の名義レベル(nominal-level)の有意な差が認められた。・とくに女性では、rs3749034のより厳格な分析において、統合失調症患者と健康対照者、TRS患者と健康対照者との間で統計学的に有意な差が認められた。 著者らは「今回のサブグループ解析で示された統合失調症またはTRS患者に対するGABAシステムの遺伝的脆弱性は、性別またはサンプリング領域の影響を受けることが示唆された。全体として、GAD1のrs3749034、GABBR2のrs10985765がTRSと関連している可能性がある。ただし、本研究では少数のSNPのみが検証され、GABA関連遺伝子の他の領域にある遺伝的変異を考慮していなかった可能性も考えられる」としている。

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Stage IV乳がんの原発巣切除、OS改善せず(EA2108)/JCO

 de novo Stage IV乳がんでは、原発巣切除が全生存期間(OS)を改善するとされているが、臨床試験では相反する結果が報告されている。今回、米国・Northwestern UniversityのSeema A. Khan氏らが実施したEA2108試験では、早期の原発巣切除により、局所制御の改善はみられたもののOSは改善せず、QOLには影響がなかったことが示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年1月7日号に掲載。 本研究では、4~8ヵ月間の全身療法で病勢進行のなかったde novo Stage IV乳がん患者を、局所療法(原発巣切除および放射線療法)群と全身療法継続群に無作為に割り付け、比較検討した。主要評価項目はOS、副次評価項目は局所制御とQOLとした。 主な結果は以下のとおり。・登録された390例のうち256例を無作為に全身療法継続群131例、局所療法群125例に割り付けた。・3年OSは全身療法継続群67.9%、局所療法群68.4%で差はなかった(ハザード比:1.11、90%CI:0.82〜1.52、p=0.57)。・OS中央値は全身療法継続群53.1ヵ月(95%CI:47.9~推定不能)、局所療法群54.9ヵ月(95%CI:46.7~推定不能)だった。・局所の3年病勢進行率は局所療法群で低かった(16.3% vs.39.8%、p<0.001)。・QOLは両群でほぼ同じだった。

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イチゴ腫根絶に向けたアジスロマイシン集団投与3回の効果/NEJM

 イチゴ腫(yaws、framboesia)の治療において、アジスロマイシンの集団投与を6ヵ月間隔で3回行う方法は、標準治療である集団投与を1回行ってからイチゴ腫様病変がみられる集団に標的治療を2回行う方法に比べ、地域有病率が大幅に低下し、小児の潜在性イチゴ腫の有病率も低くなることが、パプアニューギニア保健省のLucy N. John氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年1月6日号に掲載された。イチゴ腫は梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)の亜種であるpertenueに起因する感染症で、主に熱帯地方の貧しい農村に住む子供の皮膚や長骨が侵される。撲滅キャンペーンを行わなければ、2015~50年の間に160万の障害調整生存年数が失われるとされる。ナマタナイ地区38行政区のクラスター無作為化第III相試験 本研究は、イチゴ腫の治療において、標的治療に切り換える前にアジスロマイシンの集団投与を3回行う方法の有用性を示唆する仮説の検証を目的に、パプアニューギニアのニューアイルランド州ナマタナイ地区で行われた地域住民ベースの非盲検クラスター無作為化第III相試験であり、2018年4月~2019年10月の期間に実施された(“la Caixa”財団などの助成を受けた)。 地区内の38の行政区(クラスター)に居住する生後1ヵ月以上の全住民が対象となった。38行政区は、アジスロマイシンの集団投与を3回行う群(試験群)または同集団投与を1回行った後に標的治療を2回行う群(対照群)に無作為に割り付けられた。 集団投与は、ベースラインで1回目が行われ、6ヵ月後に2回目、12ヵ月後に3回目が実施された。アジスロマイシンは、WHOのガイドラインで推奨されている年齢別の用量が投与された。標的治療は、参加者全員にイチゴ腫の有無を確認するスクリーニングを行い、イチゴ腫様病変を有する参加者とその同居者、学校での接触者に対して実施された。 複合主要エンドポイントは2つで、試験集団全体における活動性イチゴ腫の有病率(ポリメラーゼ連鎖反応[PCR]法で確定)と、1~15歳の無症状の小児サブグループにおける潜在性イチゴ腫の有病率(血清検査で確定)であった。有病率の評価は18ヵ月の時点で行われ、群間差が算出された。試験群の3例でマクロライド耐性 38行政区の住人5万6,676例が対象となった。試験群と対照群に19区ずつが割り付けられ、参加者はそれぞれ2万6,238例および3万438例だった。全体で、4万2,362例(74.7%)が1回目(ベースライン)の投与を受け、6ヵ月後に3万6,810例(64.9%)、12ヵ月後には4万8,488例(85.6%)が投与を受けた。 アジスロマイシンは、試験群で5万9,852回、対照群では2万4,848回(1回目の集団投与は2万2,033回、2回目と3回目の標的治療は2回の合計でイチゴ腫様病変を有する参加者に207回、その接触者に2,608回)投与された。 試験期間中に、PCR検査で297例がイチゴ腫と確定され、1,026個の潰瘍が同定された。活動性イチゴ腫の有病率は、試験群ではベースラインの0.43%(87/2万331例)から18ヵ月時には0.04%(10/2万5,987例)へと低下し、対照群では0.46%(102/2万2,033例)から0.16%(47/2万9,954例)に減少した。クラスターの割り付けを補正した相対リスクは4.08(95%信頼区間[CI]:1.90~8.76、p<0.001)であり、試験群で有病率の減少効果が優れた。 活動性イチゴ腫の有病率は15歳未満の小児で高く、再燃例はとくに対照群の6~10歳の小児で多い傾向がみられた。 18ヵ月の時点で、試験群の小児945例と対照群の小児994例で血清検査による潜在性イチゴ腫の有病率の評価が行われた。潜在性イチゴ腫の有病率は、試験群が3.28%(95%CI:2.14~4.42)と、対照群の6.54%(5.00~8.08)に比べ低かった(クラスター割り付けと年齢を補正した相対リスク:2.03、95%CI:1.12~3.70、p=0.02)。 18ヵ月時に、試験群の3例で、マクロライド耐性と関連するA2058G変異のあるイチゴ腫が認められた。 著者は、「これらのデータは、イチゴ腫根絶の一環として、複数回の薬剤の集団投与を検討する必要があることを示唆する。また、3回の集団投与後に抗菌薬耐性がみられ、イチゴ腫の根絶には至らなかったことから、臨床および分子レベルで抗菌薬耐性の出現と拡大を慎重に監視する必要がある」としている。

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抗原検査による偽陽性、どのくらい検出される?/JAMA

 抗原検査が一般市民でも手軽にできるようになった今、懸念されるのは偽陽性の発生割合ではないだろうかー。今回、カナダ・トロント大学のJoshua S Gans氏らが調査した結果、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に対しカナダ国内で使用されているすべての迅速抗原検査では、全体的に“偽陽性”の割合が非常に低く、その結果はほかの研究結果とも一致していたと示唆された。ただし、抗原検査のタイミング(感染段階で早すぎる/遅すぎる)や抗原検査キットの品質問題が原因で正しくない結果が報告される可能性もあることから、1つの集団から偽陽性がクラスターとして発生するには、実装ではなく製造上の問題もあるのではとも言及している。JAMA誌2022年1月7日号オンライン版のリサーチレターでの報告。偽陽性はすべて特定の抗原検査キットによるものだった 本研究では、カナダ全土における無症候性の労働者を対象に、新型コロナの連続的スクリーニングに使用される迅速抗原検査の大規模サンプルから偽陽性結果の発生率を調査した。迅速抗原検査は、Creative Destruction Lab(CDL) Rapid Screening Consortiumにより職場での感染制御の一環として実施された。 2021年1月11日~10月13日の期間、無症候性の従業員は週2回にわたり抗原検査を実施。その際の出社は任意で、一部の従業員は自宅やオンライン上で抗原検査を行った。なお、カナダはこの期間のうち、3~6月と8~10月に2つのデルタ変異株の感染拡大に見舞われていた。 抗原検査結果には、匿名化されたレコード識別子、雇用場所、検査、および(オプションで)ロット番号が記録された。抗原検査結果が陽性の場合、患者は24時間以内にPCR検査を完了させる必要があったためにすぐさま医療機関を紹介された。 抗原検査の大規模サンプルから偽陽性結果の発生率を調査した主な結果は以下のとおり。・537施設の職場で90万3,408件の迅速抗原検査が実施され、陽性は1,322件(0.15%)だった。そのうち1,103件はPCR検査の情報を有していた。また、約3分の2の症例はロット番号で追跡可能だった。・偽陽性の抗原検査結果数は462件だった(抗原検査のうちの0.05%、PCR検査を含む陽性結果の42%)。そのうちの278件(60%)は、2021年9月25日~10月8日に特定の企業(675km離れた2つの職場のみ)の従業員で報告された。・これら2つの職場の偽陽性の結果は、すべて特定の抗原検査キットによるものだった。 なお、研究者らは「研究の限界として、職場の便宜的サンプルが含まれ、PCR確認結果の報告とロット番号の特定は必須ではなかった。さらに、これらの結果はカナダの疫学を反映しているため、新型コロナの発生率において異なる経験をしている他国には一般化できない可能性がある」としている。

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アトピー性皮膚炎患者、デュピルマブ治療の自己評価は?

 米国・イェール大学のBruce Strober氏らは、臨床試験に参加しデュピルマブ治療を受けたアトピー性皮膚炎(AD)患者の、自己申告に基づく疾患コントロールおよびQOLをオンラインサーベイにて評価した。結果は臨床試験での患者報告アウトカムと一致しており、治療満足度を含むすべての患者報告アウトカムについてベースラインと比較して統計学的に有意な改善が示され、デュピルマブ治療は最長12ヵ月にわたる迅速かつ持続的な疾患コントロールと関連していることが見いだされた。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年12月15日号掲載の報告。 研究グループは、米国の患者サポートプログラムを通じて、デュピルマブ治療を開始した成人の中等症~重症ADで試験参加に同意した患者を対象に、治療開始前(ベースライン)と開始後1、2、3、6、9、12ヵ月時点でのオンラインサーベイを行うコホート試験を実施した。 データは、2018年1月~2020年1月に収集され、2020年5月に解析が行われた。主要評価項目は、Atopic Dermatitis Control Tool(ADCT)で測定した疾患コントロール、併用AD療法、治療満足度、Numerical Rating Scale(NRS)を用いた皮膚症状(皮膚の痛み、火傷/熱感、敏感肌)の評価、再燃、Dermatology Life Quality Indexで評価した健康関連QOL、ADCTの項目と質問票で評価した睡眠障害、ADに特異的な労働生産性および活動障害に関する質問票(Work Productivity and Activity Impairment Questionnaire:WPAI)への回答であった。 主な結果は以下のとおり。・デュピルマブ治療を開始した699例(女性61.7%、白人73.7%)のうち、632例が1ヵ月時点のサーベイを、また483例が12ヵ月時点のサーベイを完遂した。・ベースラインと比べて、1ヵ月時点で多くの患者が十分な疾患コンロトールを得ており(60.9%、対ベースライン[5.3%]のp<0.001)、さらに12ヵ月時点で改善が進んでいた(77.4%、同p<0.001)。・他のAD治療の併用は、評価を重ねるたびに使用が減少していた。たとえば局所コルチコステロイドの併用は、ベースライン68.1%から12ヵ月時点40.4%に、全身性コルチコステロイドの併用は同34.9%から6.2%に減少していた(ともに対ベースラインのp<0.001)。・AD治療への満足度は、評価を重ねるたびにベースライン(17.7%)より高まり、12ヵ月時点では85.1%であった(対ベースラインのp<0.001)。・患者は各評価時にベースラインと比較して、再燃、かゆみ、皮膚症状が軽減したこと、また、睡眠、健康関連QOL、日常活動が改善したことを報告した。・結果は、観察データと、欠測データについてパターン混合モデルを用いて処理した代入データで一貫していた。

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DOAC間の比較研究の意味は?(解説:後藤信哉氏)

 いわゆるDOACは、ほぼ同時に4種類が認可承認された。トロンビン阻害薬ダビガトランが少し早く、日本のエドキサバンが最後だが、ほぼ同時と言っていい。いずれの薬剤も特許期間内にある。各メーカーは工夫を凝らしてランダム化比較試験を計画した。売上から見れば、世界的にはリバーロキサバンとアピキサバンが他剤を大きく上回っている。両者を比較するランダム化比較試験は特許期間中には無理であろう。アピキサバンのARISTOTLE試験は比較的リスクの低い症例群を対象とした。リバーロキサバンのROCKET-AF試験は2次予防などリスクの高い症例が対象であった。両試験を見ると、アピキサバンの出血合併症がリバーロキサバンより少ない気がする。 世界にアピキサバンは安全らしい空気があるときに、非ランダム化比較試験にてアピキサバンとリバーロキサバンを比較するのは危険である。本研究は、後ろ向きのデータベース解析にて65歳以上の心房細動症例におけるアピキサバンとリバーロキサバンの重篤な出血合併症の発症実態を比較した。非ランダム化比較試験にて2つの薬剤の有効性と安全性の評価を行ってはいけない。後ろ向きのコホートにて2つの薬剤の有効性、安全性を比較してはいけない。本研究はやってはいけないことを2つしている。本研究は保険データベースであるため、独立イベント委員会がイベント評価しているわけではない。出血が多そうに思える薬剤を使用していると、実際に出血は多くなってしまう。 本研究のデータサイズは大きい(リバーロキサバン22万7,572例vs.アピキサバン35万3,879例)。サンプルサイズが大きくなればバイアスは取り除けるだろうか? 本研究にて示唆された結果をランダム化比較試験にて検証することは期待し難い。結果の解釈の難しい研究である。

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COVID-19のための初の経口抗ウイルス薬「ラゲブリオカプセル200mg」【下平博士のDIノート】第90回

COVID-19のための初の経口抗ウイルス薬「ラゲブリオカプセル200mg」今回は、抗ウイルス薬「モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオカプセル200mg、製造販売元:MSD)」を紹介します。本剤は外来でも使用可能な経口剤であり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化を防ぐことで、医療逼迫回避の一助となることが期待されています。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の適応で、2021年12月24日に特例承認されました。なお、重症度の高い患者に対する有効性は確立していません。<用法・用量>通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800mg(4カプセル)を1日2回、5日間経口投与します。COVID-19の症状が発現してから速やかに投与を開始する必要があります。<特記事項>1.対象患者についてSARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有するなど、本剤の投与が必要と考えられる患者さんが投与の対象です。投与対象は重症化リスク因子を有する患者が中心ではあるものの、審査報告書では、高熱や呼吸器症状など相当の症状を呈し重症化の恐れがある場合なども、投与対象になり得るとしています。2.包装について包装は40カプセルのバラ包装のみで、1瓶を1回分として使い切れるようになっています。3.投与に際しては同意が必要RMP資材として同意説明文書が用意されており、処方の際には患者本人に内容を確認してもらったうえで、患者・医師双方がサインして保管することになっています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、新型コロナウイルスのRNAに取り込まれることによって、ウイルスの増殖を阻害して抗ウイルス作用を示します。2.症状が改善しても指示どおりに5日分を飲み切ってください。3.下痢、悪心・嘔吐、めまい、頭痛などの症状が現れることがあります。これらの症状が生じた場合であっても自己判断で中止せず、医師または薬剤師に相談してください。4.(女性に対して)妊婦または妊娠している可能性がある人はこの薬を使用できません。授乳中の人は注意が必要ですので、服用開始前に相談してください。妊娠する可能性のある女性は、服用中および服用後4日間は適切な避妊を行ってください。<Shimo's eyes>本剤は、軽症~中等症COVID-19患者に使用できる国内初の経口抗ウイルス薬です。これまで、軽症患者を対象とした治療薬としては、中和抗体製剤のカシリビマブ/イムデビマブ注射液セット(商品名:ロナプリーブ)とソトロビマブ点滴静注液(同:ゼビュディ)の2剤が承認されていて、中等症患者を対象とした治療薬としては、抗ウイルス薬のレムデシビル点滴静注用(同:ベクルリー)が承認されています。経口剤では、中等症IIと重症患者を対象としたJAK阻害薬のバリシチニブ錠(同:オルミエント)とステロイド薬のデキタメタゾンが使用されていますが、抗ウイルス薬としては本剤が初めての薬剤となります。本剤の作用機序はウイルス複製阻害であり、オミクロン株に対してもこれまでの変異株と同様の効果が期待できると考えられています。投与の対象となるのは、以下のような重症化リスク因子を1つ以上有する軽症~中等症Iの患者です。《国際共同第II/III相試験(MOVe-OUT試験)の組み入れ基準》61歳以上の高齢者活動性のがん(免疫抑制または高い死亡率を伴わないがんは除く)慢性腎臓病慢性閉塞性肺疾患肥満(BMI 30kg/m2以上)重篤な心疾患(心不全、冠動脈疾患または心筋症)糖尿病重症化リスクのある非重症COVID-19患者を対象に本剤またはプラセボを投与した多施設共同第III相試験の中間解析において、プラセボ群の重症化(29日目までの入院・死亡)が377例中53例(14.1%)であったのに対し、本剤群では385例中28例(7.3%)と、相対的リスクが48%減少しました(p=0.0012)。なお、臨床試験において有効性が確認されたのは発症から5日以内に投与を開始した感染者であり、6日目以降における有効性のデータは得られていません。副作用としては、下痢、悪心・嘔吐、浮動性めまい、頭痛が発現率1%以上5%未満で報告され、重要な潜在的リスクには、骨髄抑制および催奇形性が示されています。動物実験で催奇形性が認められており、妊娠しているまたは妊娠している可能性のある女性には投与できません。なお、本剤は2022年9月より一般流通され、保険適用となりました。※2022年9月、一部内容の修正を行いました。参考1)PMDA 添付文書 ラゲブリオカプセル200mg

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咳嗽も侮れない!主訴の傾聴だけでは救命に至らない一例【Dr.山中の攻める!問診3step】第10回

第10回 咳嗽も侮れない!主訴の傾聴だけでは救命に至らない一例―Key Point―咳は重大な疾患の一つの症状であることがある詳細な問診、咳の持続時間、胸部レントゲン所見から原因疾患を絞り込むことができる慢性咳に対するアプローチを習得しておくと、患者満足度があがる症例:45歳 男性主訴)発熱、咳、発疹現病歴)3週間前、タイのバンコクに出張した。2週間前から発熱あり。10日前に帰国した。1週間前から姿勢を変えると咳がでる。38℃以上の発熱が続くため紹介受診となった。既往歴)とくになし薬剤歴)なし身体所見)体温:38.9℃ 血圧:132/75mmHg 脈拍:88回/分 呼吸回数:18回/分 SpO2:94%(室内気)上背部/上胸部/顔面/頭部/手に皮疹あり(Gottron徴候、機械工の手、ショールサインあり)検査所見)CK:924 IU/L(基準値62~287)経過)胸部CT検査で両側の間質性肺炎ありCK上昇、筋電図所見、皮膚生検、Gottron徴候、機械工の手、ショールサインから皮膚筋炎1)と診断された筋力低下がほとんど見られなかったので、amyopathic dermatomyositis(筋無症候性皮膚筋炎)と考えられるこのタイプには、急性発症し間質性肺炎が急速に進行し予後が悪いことがある2)本症例ではステロイドと免疫抑制剤による治療を行ったが、呼吸症状が急速に悪化し救命することができなかった◆今回おさえておくべき臨床背景はコチラ!急性の咳(<3週間)では致死的疾患を除外することが重要である亜急性期(3~8週間)の咳は気道感染後の気道過敏または後鼻漏が原因であることが多い慢性咳(>8週間)で最も頻度が高い原因は咳喘息である【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2】緊急性のある疾患かどうか考えよう咳を伴う緊急性のある疾患心筋梗塞、肺塞栓、肺炎後の心不全悪化重症感染症(重症肺炎、敗血症)気管支喘息の重積肺塞栓症COPD (慢性閉塞性肺疾患)の増悪間質性肺炎咳が急性発症ならば、心血管系のイベントが起こったかをまず考える心筋梗塞や肺塞栓症、肺炎は心不全を悪化させる心筋梗塞や狭心症の既往、糖尿病、高血圧、喫煙、脂質異常症、男性、年齢が虚血性心疾患のリスクとなる3つのグループ(高齢、糖尿病、女性)に属する患者の心筋梗塞は非典型的な症状(息切れ、倦怠感、食欲低下、嘔気/嘔吐、不眠、顎痛)で来院する肺塞栓症のリスクは整形外科や外科手術後、ピル内服、長時間の座位である呼吸器疾患(気管支喘息、COPD、間質性肺炎、結核)の既往に注意するACE阻害薬は20%の患者で内服1~2週間後に咳を起こす【STEP3-1】鑑別診断:胸部レントゲン所見と咳の期間で行う胸部レントゲン写真で肺がん、結核、間質性肺炎を確認する亜急性咳嗽(3~8週間)の原因の多くはウイルスやマイコプラズマによる気道感染である細菌性副鼻腔炎では良くなった症状が再び悪化する(二峰性の経過)。顔面痛、後鼻漏、前かがみでの頭痛増悪を確認する百日咳:咳により誘発される嘔吐とスタッカートレプリーゼが特徴的である2)【STEP3-2】鑑別診断3):慢性咳か否か8週間以上続く慢性咳の原因は咳喘息、上気道咳症候群(後鼻漏症候群)、逆流性食道炎、ACE阻害薬、喫煙が多い上記のいくつかの疾患が合併していることもある咳喘息が慢性咳の原因として最も多い。冷気の吸入、運動、長時間の会話で咳が誘発される。ほかのアレルギー疾患、今までも風邪をひくと咳が長引くことがなかったかどうかを確認する非喘息性好酸球性気管支炎(NAEB:non-asthmatic eosinophilic bronchitis)が慢性咳の原因として注目されている3)上気道咳症候群では鼻汁が刺激になって咳が起こる。鼻咽頭粘膜の敷石状所見や後鼻漏に注意する夜間に増悪する咳なら、上気道咳症候群、逆流性食道炎、心不全を考える【治療】咳に有効な薬は少ないハチミツが有効とのエビデンスがある4)咳喘息:吸入ステロイド+気管支拡張薬上気道咳症候群:アレルギー性鼻炎が原因なら点鼻ステロイド、アレルギー以外の原因なら第一世代抗ヒスタミン薬3)逆流性食道炎:プロトンポンプ阻害薬<参考文献・資料>1)Mukae H, et al. Chest. 2009;136:1341-1347.2)Rutledge RK, et al. N Engl J Med. 2012;366:e39.3)ACP. MKSAP19. General Internal Medicine. 2021. p19-21.4)Abuelgasim H, et al. BMJ Evid Based Med. 2021;26:57-64.

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英語で「安心してください」は?【1分★医療英語】第11回

第11回 英語で「安心してください」は?I’m worried about the surgery tomorrow.(明日の手術のことが心配です)It must be scary, but you are in good hands.(怖いですよね、でも安心して任せてください)《例文1》Dr. Jones is an experienced surgeon. You are in good hands.(ジョーンズ先生は経験が豊富なんですよ。安心してください)《例文2》I trust Dr. Smith. My dad is in good hands.(私はスミス先生を信頼している。彼になら父を任せられるわ)《解説》“hand”を使ったイディオムとして、“at hand(availableと同義)”“on the other hand(他方で)”など、いくつかよく用いられる表現がありますが、医療現場での患者とのコミュニケーションで最もよく用いられるのは、この“in good hands”かもしれません。直訳すると、「あなたは良い手の中にある」となりますが、その「手」は、経験豊富な外科医の手を想像するといいかもしれません。経験豊富で腕の確かな外科医の手にかかれば、手術を安心して任せられますよね。このように、“in good hands”という慣用句は「スキルのある人、経験のある人のケアを受けている」「良いケアを受けている」という意味合いで用いられます。また、上の会話で出てくるように、患者が不安を訴えているときなどに、「私たちがついていますよ、安心して任せてください」と伝える際にも使える表現です。医療現場に限らず、あらゆる分野で高度な技術を持つ人について話す際に使える表現ですので、ぜひ覚えてください。講師紹介

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第95回 ワクチン非接種妊婦のCOVID-19は死産等の一大事をとりわけ招く

妊娠中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染(COVID-19)は妊婦自身や赤ちゃんを害し、妊婦がワクチン非接種だととりわけ危険であることが英国・スコットランドのおよそ9万人の追跡調査で示されました1,2)。同国でCOVID-19ワクチン接種が始まった2年前2020年12月8日以降に妊娠したそれら妊婦8万7,694人のうち昨年2021年10月末までにその接種を1回は済ませていたのは2割ほどの1万8,457人のみでした。同国で去年の10月といえばCOVID-19ワクチン接種が広く普及して数ヵ月経ちますが、その月に決まりの回数2回のCOVID-19ワクチン接種を済ませて出産に至った女性の割合は3人に1人足らずの32.3%(1,311/4,064人)です。対照的に、スコットランドの一般人口の出産適齢(18~44歳)女性は実に8割近い77.4%が2021年10月31日までに2回のワクチン接種済みであり、世界のあちこちで生じているのと同様に妊婦がCOVID-19ワクチンを躊躇する厄介な事態に同国も陥っていました2)。しかし妊婦がCOVID-19ワクチンを接種しないのは得策ではなさそうです。調べられたスコットランドの妊婦のうちSARS-CoV-2感染開始から日が浅い間(28日以内)に出産した620人中14人の胎児や新生児が死亡し、それらの死亡のすべてはSARS-CoV-2感染判明時にCOVID-19ワクチンを接種していなかった妊婦に生じていました。ワクチン非接種は妊婦自身にとっても危険です。妊娠中にSARS-CoV-2感染して集中治療(critical care)が必要になった女性のほぼ全員98%がワクチン非接種でした。また、入院が必要になったSARS-CoV-2感染妊婦もほとんど(91%)がワクチン非接種でした。時を同じくして先週13日に発表された別の試験でも同様の結果が得られています3,4)。COVID-19ワクチン接種がまだ普及していない頃の米国の妊婦2万人近く(1万8,335人)が調べられ、それらワクチン非接種の妊婦のSARS-CoV-2感染は早産、死産、普通より小さな赤ちゃん(small for gestational age)の出産により陥りやすいことと関連しました。世界的に妊婦の多くはCOVID-19ワクチン接種に乗り気ではありません。妊婦のCOVID-19は危険と広く認識されていたにもかかわらず認可申請前のワクチン臨床試験では妊婦が除外されており、ワクチン接種開始時点では妊婦ワクチン接種方針に必要な裏付けに事欠いていたことがそのためらいに影響しているかもしれません1)。出産までもう少しの胎児や出産後すぐの新生児の死亡(周産期死亡)がワクチン接種で生じ易くなるなどの誤った情報の流布が妊婦に接種を躊躇させている恐れも指摘されています2)。しかし今や認可後のデータが集まっており、妊婦のCOVID-19ワクチン接種の効果は妊娠していない人と概ね同様なことが示唆されています。スコットランドでの試験でも予防効果が裏付けられており、SARS-CoV-2感染妊婦にワクチン接種済みはほとんどおらず僅か11%ほどで、感染の大半(77.4%)は感染発生時点でワクチン非接種の妊婦に生じていました1)。それに、COVID-19ワクチンの臨床試験参加中に図らずも妊娠した女性のデータ5)や接種の普及で蓄積したデータで妊婦への接種の安全性に心配はなさそうなことが今や判明しています。スコットランドの試験でも同様で、接種妊婦全般や出産前の28日以内に接種した妊婦の周産期死亡や早産は幸いにも増えておらず、妊婦一般と大差ありませんでした。妊婦のワクチン接種は妊婦自身と赤ちゃんをCOVID-19の害から守るのに不可欠だと著者は言っています6)。参考1)Stock SJ,et al. Nat Med. 2022 Jan 13.2)COVID-19 starkly increases pregnancy complications, including stillbirths, among the unvaccinated, Scottish study shows / Science3)Piekos SN, et al. Lancet Digit Health. 2022 Jan 13.4)Maternal COVID-19 infection increases risks of preterm birth, low birth weight and stillbirth / Eurekalert5)Hillson K, et al.. Lancet. 2021 Nov 6;398:1683-1684.6)Covid-19 linked to complications during pregnancy / University of Edinburgh

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