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5製品の特徴を整理、コロナワクチンに関する提言(第5版)公開/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医科学研究所附属病院長])は、7月8日に同学会のホームページで「COVID-19ワクチンに関する提言(第5版)」を公開した。 今回の提言では、第4版(2021年12月16日公開)と比較して構成を大幅に変更し、COVID-19ワクチンの種類ごとに記載。現在判明している各ワクチンの作用機序、有効性、安全性を記すとともに特定状況での接種として「妊婦」「免疫不全者」「COVID-19罹患者」の3区分を記載した。また、最後に「COVID-19ワクチンの開発状況と今後の展望」として、わが国を含む主要国での開発状況を記すとともに、引用文献も125本に増えている。 提言を作成したワクチン委員会・COVID-19ワクチン・タスクフォースでは「COVID-19の終息に向けて欠かすことのできないCOVID-19ワクチンが正しく理解され、広く普及してゆくことを願う」と期待をにじませている。第5版の主な改訂点【mRNAワクチン】・作用機序を加筆・4回接種の有効性を追加(主にイスラエルの知見を追加)・5~11歳への接種の有効性を追加(主にアメリカの知見を追加)・4回接種の安全性を追加(主にイスラエルの知見を追加)・5~11歳への接種の安全性を追加(主にアメリカおよびわが国[22年5月15日時点]の知見を追加)【ウイルスベクターワクチン】・アストラゼネカのバキスゼブリアの有効性(主にイギリスの知見)、安全性(主デンマークおよびノルウェーでの知見)を追加・ヤンセンファーマのジェコビデンの有効性(主にわが国での知見)、安全性(主にアメリカでの知見)を追加【組換えタンパク質ワクチン】・ノババックスのヌバキソビッドの作用機序、有効性、安全性を追加(主にアメリカおよびメキシコでの知見を追加)【特定状況での接種】・「妊婦」につき、わが国のレジストリ解析からワクチンの有効性を追加。また、胎児への影響についても追加・「免疫不全者」につき、効果と追加接種に関する記載を追加。また、リツキシマブの投与の注意も追加・「COVID-19罹患者」につき、long COVID(いわゆる後遺症)の記載を追加【ワクチンの開発状況と今後の展望】・主要先進国ならびにわが国での開発状況を追加

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高リスク早期TN乳がんへの術前・術後ペムブロリズマブ追加、日本人解析結果(KEYNOTE-522)/日本乳学会

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対し、術前補助療法として化学療法+ペムブロリズマブ、術後補助療法としてペムブロリズマブの投与が、化学療法のみの術前補助療法と比較して病理学的完全奏効率(pCR)および無イベント生存期間(EFS)を有意に改善することがKEYNOTE-522試験で示され、米国・FDAではすでに承認されている。今回、同試験の日本人解析結果を、国立がん研究センター東病院の向井 博文氏が第30回日本乳学会学術総会で発表した。高リスク早期トリプルネガティブ乳がんの術前・術後補助療法におけるペムブロリズマブ追加の有効性・対象:T1c、N1~2またはT2~4、N0~2で、治療歴のないECOG PS 0/1の高リスク早期トリプルネガティブ乳がん患者・試験群:ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+パクリタキセル(80mg/m2、週1回)+カルボプラチン(AUC 1.5、週1回またはAUC 5、3週ごと)を4サイクル投与後、ペムブロリズマブ+シクロホスファミド(600mg/m2)+ドキソルビシン(60mg/m2)またはエピルビシン(90mg/m2)を3週ごとに4サイクル投与し、術後補助療法としてペムブロリズマブを3週ごとに最長9サイクル投与(ペムブロリズマブ群)・対照群: 術前に化学療法+プラセボ、術後にプラセボを投与(プラセボ群)・評価項目:[主要評価項目]pCR(ypT0/Tis ypN0)、EFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、安全性など 高リスク早期トリプルネガティブ乳がんの術前・術後補助療法におけるペムブロリズマブ追加を検証した試験の日本人集団における主な解析結果は以下のとおり。・76例の日本人の高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん患者が2:1の割合で無作為化され、ペムブロリズマブ群に45例、プラセボ群に31例が割り付けられた。・年齢中央値は49歳、75例がPS 0で、全体集団と比較してPSが良好な患者が若干多かった。・あらかじめ計画されていた第4回中間解析(データカットオフ日:2021年3月23日)における追跡期間中央値は40.3ヵ月(範囲:30.1~45.8)で、pCRはペムブロリズマブ群53.3% vs.プラセボ群48.4%となり、全体集団同様ペムブロリズマブ群で向上していた。・EFSのイベントはペムブロリズマブ群で6例(13.3%)、プラセボ群で8例(25.3%)に認められ(ハザード比[HR]:0.47、95%信頼区間[CI]:0.16~1.36)、36ヵ月時点のEFS率は89% vs.77%となり、全体集団同様ペムブロリズマブ群で良好だった。・36ヵ月時点のOSはペムブロリズマブ群93.3% vs.プラセボ群89.3%(HR:0.67、95%CI:0.14~3.33)だった。・Grade3以上の治療関連有害事象は、ペムブロリズマブ群82.2% vs.プラセボ群76.7%で、全体集団同様両群で大きな差は認められなかった。・Grade3以上の免疫関連有害事象はペムブロリズマブ群20.0% vs.プラセボ群3.3%とペムブロリズマブ群で多くみられたが、安全性プロファイルはこれまでの報告と同様であった。 向井氏は、全体集団同様日本人集団においても、同療法の有効性が示されたと結論づけている。

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サル痘疑い患者にはN95マスク、手袋、ガウン、眼の防護/国立感染症研究所・国立国際医療研究センター

 国立感染症研究所と国立国際医療研究センター国際感染症センターは、連名で「サル痘患者とサル痘疑い例への感染予防策」を2022年6月15日に発表し、今回その内容を改正し、7月8日に同研究所のホームぺージに公開した。全世界でサル痘の感染拡大が懸念される中、診療にあたる医療者が注意すべきポイントについて本対策ではコンパクトに記している。サル痘の感染経路 サル痘は接触感染や飛沫感染を起こすが、日常生活の中で空気感染を起こすことは確認されていない。ただし、空気感染を起こすと考えられている麻しんや水痘との臨床的な鑑別が困難であるため、発熱と発疹がありそれらの感染症が否定できない間は、サル痘疑いの患者には空気予防策の実施が求められる。サル痘の診療時の態勢と装備 医療従事者がサル痘確定患者に接する場合(検体採取時含む)は、患者を換気良好な部屋に収容し、N95マスク、手袋、ガウン、眼の防護具を着用する(患者のリネン類を扱う者や清掃担当者も同様)。 患者が使用したリネン類は、診断が確定するまでなるべく触れずに管理し、診断が確定してから適切な処理を行う。サル痘が確定したら、リネン類は、前述の個人防護具を着用して自身の粘膜に触れないように運搬し、通常の洗剤を用い常温で洗濯を行う(WHOなどは温水を推奨)。手指衛生を頻回に行い、とくにリネン類を扱った後は必ず手指衛生(流水と石鹸による手洗い、または擦式アルコール性手指消毒薬での消毒)を行う。 患者が滞在する、または滞在した環境は通常に清掃を行い、その後消毒(エンベロープウイルスに対して強い消毒効果を発揮する薬剤[消毒用エタノールなど])を行う。廃棄物は感染性廃棄物として扱う。 サル痘疑い例やサル痘患者は、可能な限りサージカルマスクを着用し、水疱を含む皮膚病変はガーゼなどで被覆する。家庭内などでのサル痘の感染対策はどうする サル痘疑い例やサル痘患者は、自宅などの滞在場所では、以下に留意する。・患者は同居人と肌や顔を接しないようにし、リネン類の共有を避ける。・患者が使用したリネン類は、病変や体液からの感染性粒子が飛散する可能性があるため、不用意に振り回したりせず、静かにビニール袋などに入れて運搬し、洗濯機に入れる。洗濯した後は再利用可能である。・ベッド、トイレ、患者が接触した場所(家具や床など)は、使い捨て手袋を着用して清掃し、その後消毒薬で清拭する。清掃や消毒後は手指衛生を行う。・患者が使用した食器や調理器具は、石鹸や洗剤などで洗った後に再利用可能である。・常に十分な換気を行うよう配慮する。 すべての皮疹が痂皮となり、すべての痂皮が剥がれ落ちて無くなるまで(おおむね21日間程度)は上記の感染対策を継続する。

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生物学的製剤未使用の中等症から重症の活動性を有するクローン病患者における寛解導入および維持療法としてのウステキヌマブとアダリムマブの第III相比較試験(解説:上村直実氏)

 近年、クローン病の治療において5-アミノサリチル酸塩(5-ASA)、免疫調整薬、ステロイドなどを用いた従来の治療法が無効な場合に、抗TNFα阻害薬(インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブなど)、インターロイキン(IL)阻害薬(ウステキヌマブ)、抗インテグリン抗体薬(ベドリズマブ)といった生物学的薬剤が使用されることが多くなっている。新たに開発された生物学的製剤の有用性と安全性を検証するための臨床試験は薬事承認を目的としたものが多く、既存の治療において有効性に乏しい患者を対象としたプラセボ対照の無作為化比較試験(RCT)が常套手段となっており、実際のクローン病診療現場で治療方針に迷うことのある生物学的製剤同士を直接比較した検討は見当たらなかった。 今回、18ヵ国121施設が参加した国際共同研究として、過去に生物学的製剤が使用されていない中等症〜重症活動期のクローン病患者を対象として、世界市場の売上高が第1位のアダリムマブ(ヒュミラ)と第4位のウステキヌマブ(ステラーラ)の単剤療法の有効性を直接比較した二重盲検RCT(SEAVUE試験)の結果が、2022年6月のLancet誌に報告された。結果として、本試験の主要評価項目である試験開始から52週時の臨床的寛解率(クローン病活動指数:CDAIの低下)および、種々の副次的評価項目(内視鏡的有効性、入院率の低下率、ステロイドフリー率、腸管切除の減少率などクローン病の長期的な予後の改善に強く関連する項目)について、アダリムマブ群とウステキヌマブ群の両群間に有意な差は認められなかった。安全性に関しても既知のプロファイルと変化なく、両群間での差はなかった。 プラセボ抜きの実薬2剤を用いた直接的な比較試験には厳密にいえば積極的な治療を受けているという心理的効果を患者に与えるバイアスが生ずると思われるが、一般診療で頻用されている作用機序の異なる2つの薬剤、それも単剤療法同士の直接対決の結果は、従来治療法が奏効しない場合の第一選択生物学的製剤として使用する薬剤を検証する参考になるものとして有用である。診療の現場では個々の患者に対してどの薬剤が最適なのかに迷う機会が少なくなく、本試験のような高い有用性を有する薬剤同士の比較試験結果は診療現場にとって重要である。今後、日本でも同様の精度の高いガチンコ勝負と共に、患者背景の違いにより薬剤の選択方法を示唆するような臨床研究が期待される。

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063)「あと5分」の駆け込み受診あるある【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第63回 「あと5分」の駆け込み受診あるあるゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆連日暑い日が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。梅雨も明け、皮膚科の繁忙期(夏)がいよいよ本番といった今日この頃ですが、これを書いているいま現在は、暑過ぎるせいか意外と外来の患者数は控えめな印象です。家から出られないほどの暑さ…!? 熱中症、要注意ですね。それはさておき、先日の外来のお話。スタッフと「ここのところ外来が落ちついていますねー」などと言いながら、半ば休憩の支度をしつつ受付終了時間を待っていた時のこと。もうあと数分、「午前診はこれでおしまい!」と確信したその瞬間、まさかの飛び込み受診が入り、しかも顔面挫創。聞くと、先行する友達の自転車とぶつかり、転倒してしまったのだとか。未来ある若者の顔面、傷を残すわけにいきません。結局そのまま処置に入り、30分ほど超過して午前の外来を終えました。受付終了間際の飛び込み処置、外来あるあるですね。お久しぶりな患者さんの重症例や、重めの新患も飛び込みで来がち~~!(時間外で来ることもある…)「最後の最後まで気が抜けないな!」と、あらためて思ったのでした。それでは、また〜!

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英語で「1日の排尿回数」は?【1分★医療英語】第36回

第36回 英語で「1日の排尿回数」は?I think my child does not have an appetite recently.(最近、うちの子の食欲があまりないような気がします)I see. Do you remember how many times a day she had a wet diaper yesterday?(なるほど、昨日は1日に何回くらいおしっこをしたか覚えていますか?)《例文》患者She had only four wet diapers today. Is it normal?(私の娘は今日4回しかおしっこをしていません。これって普通ですか?)医師Yes, it is totally normal for her age!(娘さんの年齢でしたら、まったく問題ないですよ!)《解説》今回は小児特有の英語表現をお伝えします。日本語に直訳しづらいのですが、“a wet diaper”で「オムツをしているお子さんのおしっこ」を示します。“two wet diapers”は「2回おしっこをした」(直訳では「オムツが2回濡れた」)というように、排尿回数を表すことができます。生後から3歳前後まではオムツをしている子が多いかと思いますが、赤ちゃんや幼児が陥りやすい脱水症状の指標として“wet diaper”の回数を聞くことは医療者にとって必須です。上記の表現のように“How many times a day does your baby have a wet diaper?”と聞く以外にも、“How many wet diapers does your baby have every day?”という表現も使われ、同様の意味となります。いずれも聞きたいのは「オムツをしている赤ちゃんの排尿回数」です。オムツを卒業した子どもの場合は、“pee”を用いて“How many times did you pee yesterday?”(昨日何回おしっこをしましたか?)と聞きます。さらに大きくなった青少年期や大人に対してはいろいろな表現がありますが、“go to the bathroom”を用いて、“How many times a day do you go to the bathroom?” で「1日に何回排尿しますか?」と聞くことが多い印象です。「排尿する」には“urinate”という単語がありますが、子どもの患者さんや家族に対して使うとかなり仰々しい印象になるので、医療者同士の会話以外ではあまり使われません。小児領域では医療者同士の会話でも“wet diaper”や“pee”を使う人が多いです。上記の表現をマスターし、子どもの患者さんが来た際にはぜひ使ってみてください。講師紹介

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第120回 断食でCOVID-19重症化予防? / 音の鎮痛効果の仕組み

定期的な断食の習慣は健康に良いという報告がいくつかあり、たとえば心疾患や2型糖尿病を生じ難くなることやより長生きになることとの関連が示されています。断食の習慣が担いうる効能はどうやらまだ出尽くしてはおらず、米国ユタ州での試験で新型コロナウイルス感染(COVID-19)重症化を防ぐ効果が示唆されました1,2)。毎月最初の日曜日に2食続けて抜く断食(Intermittent fasting)をすることがユタ州の住民の大半(6割超)を占める末日聖徒イエス・キリスト教会教徒の典型的な習慣として知られています。試験ではそのユタ州の医療法人Intermountain HealthcareのCOVID-19患者201人が調べられ、断食の習慣がある人はない人に比べてCOVID-19による入院や死亡をより免れていました。COVID-19入院/死亡率は断食をしていた71人では11%、そうでない人では約28%でした(ハザード比:0.61、95%信頼区間:0.42~0.90)。断食の習慣とCOVID-19の経過が良好なことを関連付ける仕組みは今後調べる必要がありますが、考えられる仕組みが幾つかあります。断食をするとリノール酸を含む脂肪酸が体内で増えることが知られています。リノール酸は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質にきつく結合し、細胞受容体ACE2への親和性を低下させます。断食で増えたリノール酸はそのようにしてSARS-CoV-2感染細胞や細胞内SARS-CoV-2粒子を減らしてCOVID-19重症化を予防するのかもしれません。断食で増える多機能なタンパク質・ガレクチン3がSARS-CoV-2感染抑制に一役買っている可能性もあります。ガレクチン3は数多くの病原体に結合することができ、自然免疫を活性化し、抗ウイルスタンパク質遺伝子の発現を増やし、ウイルス複製を阻害することなどが知られています。また、COVID-19経過不良と関連する糖尿病や冠動脈疾患などの持病が断食で生じ難くなることでCOVID-19重症化が間接的に抑制されている可能性もあります。時々の断食はCOVID-19ワクチンの代役とはなりえませんが、ワクチン接種を補完してCOVID-19重症化を減らす予防や治療の役割を担えるかもしれません。全世界の誰もが数ヵ月に1回のCOVID-19ワクチン接種をいつまでも続けることはおよそ現実的ではなく1)、接種が行き届いていない国は多く存在します。COVID-19流行の目下やこれからの世界での断食のワクチン補完の役割はCOVID-19後遺症への効果も含めて更なる検討の価値があると著者は結論しています。音の鎮痛効果の仕組み約60年前の1960年、歯科処置中に音楽を流すことで患者の痛みが和らぐことを示した報告がScienceに掲載されました3)。難儀な処置を亜酸化窒素や局所麻酔なしでやりおおせた患者もいたほどの効果がありました。以降、モーツァルトの古典音楽やら現代のミュージシャン・マイケル ボルトンの歌やらさまざまな音の鎮痛効果が検討され、実際に効果も認められました。たとえば8年ほど前の2014年の報告ではそのモーツァルトやマイケル ボルトン等の好きな音楽を聴いているときの線維筋痛症患者の痛みが減ることが示されています4)。米国NIHの神経生物学者Yuanyuan Liu氏等が率いるチームがScienceに発表した最新のマウス研究成果によると、そういった音の鎮痛効果はどうやら脳の特定の神経回路を抑制することでもたらされるようです5)。研究でマウスには少なくとも人には心地よいバッハの交響曲Rejouissance(歓喜)を毎日20分聴かせました6)。曲の音の強さは50~60デシベルで、曲なしでの背景音(ambient noise)は45デシベルが保たれました。マウスの足には炎症痛誘発液(complete Freund’s adjuvant;CFA)が注射され、続いて微針(von Frey filament)でその足を突いてどれだけ痛がるかが調べられました。驚いたことに、痛みを緩和する音の強さは決まっているようで、曲が背景音を5デシベル上回る50デシベルのときにマウスの痛みが緩和しました。50デシベルだとマウスは足を刺激されても平気で、それより強い音だと音楽なしのときと同様により痛がりました。人にとって不快なように変化させたRejouissanceやホワイトノイズでどうかを試したところ、それらが背景音を若干上回るデシベルであればやはり痛みを和らげました。つまり音の種類や快不快ではなく強度が鎮痛の鍵を握るようです7)。そういう低強度の音の鎮痛効果を担う脳の神経回路を同定すべく色素を使って脳領域の連結を調べたところ聴覚皮質から視床への経路が見つかり、低強度の音はその経路の神経活動を低下させました。音なしでその経路を光や低分子化合物で止めると低強度の音と同様に痛みを和らげる効果があり、その経路が通るようにすれば痛みが復活しました。すなわち低強度の音は聴覚皮質から視床への神経信号を阻害することで鎮痛効果をもたらしているようです。今後の課題として、鎮痛には背景音を若干上回る低強度の音でないとどうしてだめなのかを解き明かしたいと研究者は考えています。また、音を使った痛み治療の実現に向けて人ではどうなのかも調べる必要があります。たとえばマウスに試したような低強度の音を聞いているときの視床の活動をMRIスキャンで測定する試験は実施する価値がありそうです6)。参考1)Horne BD, et al. BMJ Nutrition Prevention & Health. 2022 Jul 1.2)Study finds people who practice intermittent fasting experience less severe complications from COVID-19 / Eurekalert3)GARDNER WJ,et al. Science 1960 Jul 1;132:32-3.4)Garza-Villarreal EA,et al. Front Psychol. 2014 Feb 11;5:90. 5)Sound induces analgesia through corticothalamic circuits. Science. 2022 Jul 7.6)Soft sounds numb pain. Researchers may now know why / Science7)Researchers discover how sound reduces pain in mice / NIH

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家族性乳がんリスクの高い女性、BMI・身体活動・飲酒のガイドライン推奨順守でリスク低下

 米国がん協会(ACS)のがん予防ガイドライン2020年版における体重(BMI)、身体活動、飲酒に関する推奨事項を順守することで、閉経後女性および家族性乳がんリスクの高い女性の乳がんリスクが減少する可能性が、米国・コロンビア大学のAshley M. Geczik氏らの研究で示唆された。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2022年7月2日号に掲載。 これまでに、ACSガイドライン2012年版の推奨の順守で乳がんリスクが低下する可能性を示唆した研究はあるが、家族性および遺伝性乳がんリスクが高い女性におけるエビデンスは少ない。本研究では、Breast Cancer Family Registry(BCFR)を用いて、9,615人の女性を対象にACSガイドライン2020年版におけるBMI、身体活動、飲酒に関する推奨の順守と乳がんリスクについて検討した。Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、全体におけるハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)、さらにBRCA1およびBRCA2の病的バリアントの有無、乳がんの家族歴、閉経状態、エストロゲン受容体(ER)で層別したHRと95%CIを、算出した。 主な結果は以下のとおり。・12.9年(中央値)の間に浸潤性乳がんまたはin situ乳がんが618例に発生した。・ACSガイドラインの推奨を順守していない女性(55人)と比較して、順守している女性(563人)は、乳がんリスクが27%低かった(HR:0.73、95%CI:0.55~0.97)。・このリスク低下は、第一度近親者に乳がん罹患歴のある女性(HR:0.68、95% CI:0.50~0.93)、BRCA1またはBRCA2の病的バリアントを有しない女性(HR:0.71、95%CI:0.53~0.95)、閉経後女性(HR:0.63、95%CI:0.44~0.89)、およびER陽性乳がん(HR:0.63、95%CI:0.40~0.98) において有意であった。

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動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版、主な改訂点5つ/日本動脈硬化学会

 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版が5年ぶりに改訂、7月4日に発刊された。本ガイドライン委員長の岡村 智教氏(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学 教授)が5日に開催されたプレスセミナーにおいて動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の変更点を紹介した(主催:日本動脈硬化学会)。 今回の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の改訂でキーワードとなるのが、「トリグリセライド」「アテローム血栓性脳梗塞」「糖尿病」である。これを踏まえて2017年版からの変更点がまとめられている動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の序章(p.11)に目を通すと、改訂点が一目瞭然である。なお、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版のPDFは動脈硬化学会のホームページより誰でもダウンロードできる。<動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版の主な改訂点>1)随時(非空腹時)のトリグリセライド(TG)の基準値を設定した。2)脂質管理目標値設定のための動脈硬化性疾患の絶対リスク評価手法として、冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞を合わせた動脈硬化性疾患をエンドポイントとした久山町研究のスコアが採用された。3)糖尿病がある場合のLDLコレステロール(LDL-C)の管理目標値について、末梢動脈疾患、細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)合併時、または喫煙ありの場合は100mg/dL未満とし、これらを伴わない場合は従前どおり120mg/dL未満とした。4)二次予防の対象として冠動脈疾患に加えてアテローム血栓症脳梗塞も追加し、LDL-Cの目標値は100mg/dL未満とした。さらに二次予防の中で、「急性冠症候群」「家族性高コレステロール血症」「糖尿病」「冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞の合併」の場合は、LDL-Cの管理目標値は70mg/dL未満とした。5)近年の研究成果や臨床現場からの要望を踏まえて、新たに下記の項目を掲載した。 (1)脂質異常症の検査 (2)潜在性動脈硬化(頸動脈超音波検査の内膜中膜複合体や脈波伝播速度、CAVI:Cardio Ankle Vascular Indexなどの現状での意義付) (3)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH) (4)生活習慣の改善に飲酒の項を追加 (5)健康行動倫理に基づく保健指導 (6)慢性腎臓病(CKD)のリスク管理 (7)続発性脂質異常症動脈硬化性疾患予防ガイドライン改訂に至った主な理由 1)について、「TGは食事の摂取後は値が上昇するなど変動が大きい。また空腹時でも非空腹時でも値が高いと将来の冠動脈疾患や脳梗塞の発症や死亡を予測することが国内の疫学調査で示されている。国内の疫学研究の結果およびESC/EASガイドラインとの整合性も考慮して、空腹時採血:150mg/dL以上または随時採血:175mg/dL以上を高TG血症と診断する」とコメントした(参照:BQ5)。 2)については、吹田スコアに代わり今回の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では久山町研究のスコアを採用している。その理由として、同氏は「吹田スコアの場合、研究アウトカムが心筋梗塞を含む冠動脈疾患発症で脳卒中が含まれていなかった。久山町研究のスコアは、虚血性心疾患と、脳梗塞の中でとくにLDL-Cとの関連が強いアテローム血栓性脳梗塞の発症にフォーカスされていた点が大きい」と説明(参照:BQ16)。 3)については、ESC/EASガイドラインでの目標値、国内のEMPATHY試験やJ-DOIT3試験の報告を踏まえ、心血管イベントリスクを有する糖尿病患者の一次予防において、十分な根拠が整っている(参照:FQ24)。 4)については、国内でのアテローム血栓性脳梗塞が増加傾向であり、再発予防が重要になるためである。また二次予防の場合、糖尿病の合併がプラーク退縮の阻害要因となることなどから「これまで厳格なコントロールは合併症などがあるハイリスクの糖尿病のみが対象だったが、今回の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版より糖尿病全般においてLDL-C 70mg/dL未満となった」と解説した。 5)の(7)続発性脂質異常症は新たに追加され(第6章)、他疾患などが原因で起こる続発性なものへの注意喚起として「続発性(二次性)脂質異常症に対しては、原疾患の治療を十分に行う」とし、甲状腺機能低下症など、続発性脂質異常症の鑑別を行わずに、安易にスタチンなどによる脂質異常症の治療を開始すると横紋筋融解症などの重大な有害事象につながることもあるので注意が必要、と記載されている。<続発性脂質異常症の原因>1.甲状腺機能低下症 2.ネフローゼ症候群 3慢性腎臓病(CKD)4.原発性胆汁性胆嚢炎(PBC) 5.閉塞性黄疸 6.糖尿病 7.肥満8.クッシング症候群 9.褐色細胞腫 10.薬剤 11.アルコール多飲 12.喫煙――― このほか同氏は、「LDL-Cのコントロールにおいて飽和脂肪酸の割合を減らすことが重要(参照:FQ3)」「薬物開始後のフォローアップのエビデンスレベルはコンセンサスレベルだが、患者さんの状態を丁寧に見ていくことは重要(参照:BQ21)」などの点を補足した。 2007年版よりタイトルを“診療”から“予防”に変更したように、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版は動脈硬化性疾患の予防に焦点を当てて作成されている。同氏は「すぐに薬物治療を実行するのではなく、高リスク病態や他疾患の有無を見極めることが重要。治療開始基準と診断基準は異なるので、あくまでスクリーニング基準であることは忘れないでほしい」と締めくくった。

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術前化学療法とデュルバルマブの併用がNSCLCのpCRを改善(AEGEAN)/AZ

 英国アストラゼネカは2022年6月30日、第III相AEGEAN試験の良好な解析結果概要を発表した。同試験の中間解析において、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対し、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)と術前化学療法の併用療法は、術前化学療法単独と比較して、病理学的完全奏効(pCR)の統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示した。 さらに、主要な病理学的奏効(mPR)の統計学的に有意な改善も認められた。同試験は予定通り継続し、もうひとつの主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)を評価する。 術前化学療法にデュルバルマブを追加した場合の安全性および忍容性は、既知のプロファイルと一貫しており、化学療法単独との比較で、手術可能な患者数の減少は認められなかった。 世界のNSCLC患者の最大30%が、根治目的の切除可能な早期段階で診断されるにもかかわらず、ステージIIの患者の5年生存率は56〜65%、ステージIIIでは24〜41%である。 今回得られたpCRデータは各国の規制当局と共有され、EFSの試験結果が得られ次第、学会で発表される予定である。

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生後3ヵ月からのアレルゲン性食物摂取、食物アレルギー抑制か/Lancet

 生後3ヵ月からの補完的なアレルゲン性食物の導入により、36ヵ月後の食物アレルギーの発生が抑制されることが、ノルウェー・オスロ大学病院のHavard Ove Skjerven氏らが一般集団を対象に実施した「PreventADALL試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年6月25日号で報告された。北欧2ヵ国3施設のクラスター無作為化試験 PreventADALLは、一般集団の幼児への早期食物導入と皮膚軟化剤の塗布により、食物アレルギーのリスクが低減するかの検証を目的とする2×2ファクトリアルデザインのクラスター無作為化試験。2015年4月14日~2017年4月11日の期間に、ノルウェーの2施設(オスロ大学病院、Ostfold病院トラスト)とスウェーデンの1施設(カロリンスカ大学病院)で参加者の登録が行われた(オスロ大学病院などの助成を受けた)。 出産前の18週の時点で、3施設の1つで超音波検査を受けた妊婦に試験への参加が呼び掛けられた。92の居住地域と8つの3ヵ月単位の時期をクラスターとし、各施設の産科病棟で、出生時に適格基準を満たした新生児が次の4つの群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。 (1)非介入群、(2)皮膚介入群(皮膚軟化剤と入浴剤・顔用クリームを、生後2週~<9ヵ月の期間に、いずれも週4回以上)、(3)食物介入群(生後3ヵ月から、補完食としてピーナツ、牛乳、小麦、卵を摂取)、(4)複合介入群(皮膚介入と食物介入の双方を行う)。 臨床評価を行う試験担当者は、4つの群の割り付け情報を知らされなかった。 主要アウトカムは、生後36ヵ月の時点での介入食物(ピーナツ、牛乳、小麦、卵)へのアレルギーとされた。安全上の懸念もなかった 女性2,697人による2,701回の妊娠で出生した2,397人の幼児が登録され、2,394人が解析に含まれた。非介入群が596人、皮膚介入群が574例、食物介入群が641人、複合介入群は583人であった。 44人(48件)が食物アレルギーと診断された。内訳は、非介入群が14人(2.3%)、皮膚介入群が17人(3.0%)、食物介入群が6人(0.9%)、複合介入群は7人(1.2%)であった。 ピーナツアレルギーと診断された小児は32人(非介入群10人、皮膚介入群13人、食物介入群4人、複合介入群5人)と最も多く、次いで卵アレルギーが12人(4人、3人、2人、3人)、牛乳アレルギーが4人(2人、1人、1人、0人)であり、小麦アレルギーは認めなかった。 食物アレルギーの発生率は、食物介入群が非食物介入群に比べて低かった(群間リスク差:-1.6%[95%信頼区間[CI]:-2.7~-0.5]、オッズ比[OR]:0.4[95%CI:0.2~0.8])。一方、食物アレルギーの発生に関して、皮膚介入群と非皮膚介入群には有意な差はなかった(0.4%[-0.6~1.5]、1.3[0.7~2.3])。また、ピーナツアレルギーの発生率は、食物介入群が非食物介入群よりも低かった(p=0.01)が、皮膚介入群と非皮膚介入群に差はなかった(p=0.39)。 1人の小児で食物アレルギーを予防するには、63人の小児へのアレルゲン性食物の曝露を要した。 介入に伴う安全上の懸念はみられなかった。生後6ヵ月時の母乳育児率は、4つの群で同程度であった(85.8~87.9%、p=0.40)。食物介入の導入による重篤なアレルギー反応は観察されず、食物を喉に詰まらせる事例もなかった。 著者は、「生後3ヵ月から、通常食に補完食としてアレルゲン性食物を導入すると、食物アレルギーの予防が可能であることを示唆する十分なエビデンスがあると考えられる」としている。

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ノババックスワクチンに心筋炎・心膜炎の注意喚起/使用上の注意改訂指示

 厚生労働省は7月8日、新型コロナウイルスに対するノババックス製新型コロナウイルスワクチン「組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン」(商品名:ヌバキソビッド筋注)について、使用上の注意に「重要な基本的注意」の項目を新設し、心筋炎・心膜炎に関して追記するよう改訂指示を発出した。 今回の改訂指示は、第81回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第6回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(2022年7月8日開催)における審議結果などを踏まえたものとなる。 ワクチンの添付文書における改訂(新設)は以下のとおり。8. 重要な基本的注意心筋炎、心膜炎が報告されているため、被接種者又はその保護者に対しては、心筋炎、心膜炎が疑われる症状(胸痛、動悸、むくみ、呼吸困難、頻呼吸等)が認められた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。

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抗うつ薬治療抵抗性うつ病に対する増強療法のブレクスピプラゾール最適用量~メタ解析

 ブレクスピプラゾールの増強は、治療抵抗性うつ病の効果的な治療戦略であるといわれているが、その最適な投与量はよくわかっていない。東京武蔵野病院の古川 由己氏らは、他の抗うつ薬の増強療法に用いるブレクスピプラゾールの最適な投与量について、検討を行った。その結果、抗うつ薬治療抵抗性うつ病患者に対する増強療法のブレクスピプラゾールは、1~2mgの用量で有効性、忍容性、受容性の最適なバランスが得られる可能性が示唆された。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2022年6月18日号の報告。 2021年9月16日までに公表された、1つ以上の抗うつ薬治療に反応しない18歳以上のうつ病患者を対象にブレクスピプラゾール増強療法を評価した二重盲検ランダム化プラセボ対照固定用量試験を、複数の電子データベースより検索した。アウトカムは、8週間(範囲:4~12週間)の有効性(治療反応の定義:うつ病重症度50%以上低下)、忍容性(副作用による脱落)、受容性(何らかの理由による脱落)とした。制限3次スプライン解析を用いて、メタ解析(ランダム効果、1段階用量効果)を実施した。 主な結果は以下のとおり。・6研究、1,671例が選択基準を満たした。・用量効果曲線は、約2mg(オッズ比[OR]:1.52、95%信頼区間[CI]:1.12~2.06)まで増加し、その後は3mg(OR:1.40、95%CI:0.95~2.08)まで減少傾向を示した。・用量忍容性曲線の形状は用量効果曲線と同様であり、用量受容性曲線の形状はより単調な増加傾向が認められたが、いずれも信頼帯は広かった。・本研究は該当試験数が少ないため、結果の信頼性が制限される。

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第108回 大規模通信障害を受け、医療機関に代替手段確保を呼び掛け/厚労省

<先週の動き>1.大規模通信障害を受け、医療機関に代替手段確保を呼び掛け/厚労省2.コロナワクチン支援事業、期限を9月まで延長/厚労省3.テクノロジーの活用で、介護の生産性の向上あるか検証へ/厚労省4.診療報酬改定に加え、インフレが病院経営に直撃か/福祉医療機構5.電子処方箋発行にHPKIカードが必須、医薬関係者は早期取得を/厚労省1.大規模通信障害を受け、医療機関に代替手段確保を呼び掛け/厚労省2日に発生したKDDIの大規模な通信障害が長期化し、復旧まで3日ほどかかったことから、厚生労働省医政局は4日、全国の自治体ならびに医療機関に向けて、通信障害が発生した場合でも、診療などに影響が生じることがないよう平時から体制を整備していく必要性を呼び掛けた。医療施設における休日夜間の診療体制を維持するため、職員との連絡手段を確保すること患者からの電話を受信できるよう複数の通信手段を確保し、受信可能な電話番号をホームページに掲載するなどの体制を整備すること在宅医療や訪問看護などを実施している医療施設等において、当該医療施設等が利用している連絡手段が使用できない場合は、固定電話等の代替的な連絡先を患者等に伝えること特にリスクの高い在宅患者等について、患者等との連絡がとれない場合には、別の連絡手段を確保することや、頻回な訪問等による安否確認を行うこと以上を参考に、通信障害が発生した場合であっても診療を継続できるよう周知を求めている。(参考)通信障害時にも診療継続が可能となるよう、在宅患者への「代替的な連絡先」提示などの体制を確保せよ―厚労省(Gem Med)通信障害発生時における通信手段の確保について(厚労省)2.コロナワクチン支援事業、期限を9月まで延長/厚労省厚労省は6日、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業の期限を7月末までから9月末まで延長することを各都道府県に通知した。延長されたのは、「時間外・休日のワクチン接種会場への医療従事者派遣事業」「新型コロナウイルスワクチン接種体制支援事業」。病院への支援として、1日50回以上ワクチン接種を行った場合、1日当たり10万円が交付される。また、1日50回以上の接種を週1日以上達成する週が4週間以上ある場合、追加で医師1人1時間当たり7,550円などが交付される(集団接種会場への医療従事者派遣と同額)。診療所への支援としては、期間中に週100回以上の接種を4週間以上行った場合、達成した週における接種1回当たり2,000円を、同様に150回以上を4週間以上行った場合は1回当たり3,000円を交付する。この要件を満たさずとも、1日50回以上の接種を行った場合には、1日当たり定額で10万円が交付される。(参考)コロナワクチン接種推進に向けた補助(緊急包括支援事業)、期限を「9月」まで延長—厚労省(Gem Med)医療機関のワクチン接種、財政支援の期間延長 9月末まで、10月以降は今後判断(CB news)令和4年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)の実施に当たっての取扱いについて(厚労省)3.テクノロジーの活用で、介護の生産性の向上あるか検証へ/厚労省厚労省は、持ち回り開催の社会保障審議会介護給付費分科会において、テクノロジーの活用により介護サービスの質の向上および業務効率化を推進していく観点から、実証研究の結果なども踏まえ、見直しを行うことを明らかにした。具体的には、見守り機器等を活用した夜間見守り、介護ロボットの活用などを実際に実証事業から得られたデータの分析を行い、次期介護報酬改定の検討に向けた、エビデンスの収集を行う。これらのテクノロジーの導入によって、ケアの質が適切に確保されているかどうか、介護職員の働き方や職場環境がどう改善したかなどについて10月以降に事後検討を行う。(参考)テクノロジー活用等による生産性向上の取組に係る効果検証について(厚労省)見守り機器活用など4つのテーマで効果実証へ 次期介護報酬改定の検討材料に、厚労省(CB news)4.診療報酬改定に加え、インフレが病院経営に直撃か/福祉医療機構福祉医療機構が2022年6月に行った病院経営動向調査の結果によると、一般病院における医業収益のDI(増加病院と減少病院の割合の差:%ポイント)は、前回調査から15%ポイント低下した。一方、医業費用のDIは前回調査から15%ポイント上昇、人件費増減のDIは前回調査から10%ポイント上昇しているなど、医療機関が診療報酬改定の影響だけでなく、物価高の影響を受けていることが明らかとなった。医療機関にとっては、電気代、水道代に加え、病院食の材料費の値上げが続いており、経営に対する影響が強まっていると考えられる。(参考)病院経営動向調査の概要(福祉医療機構)一般病院の医業収益、診療報酬改定で減収病院が多数に 福祉医療機構調査、改定直前の見込み下回るも費用増(CB news)コスト圧縮限界、病院給食明らかに赤字 物価高騰が委託先も直撃(同)5.電子処方箋発行にHPKIカードが必須、医薬関係者は早期取得を/厚労省厚労省は、ホームページに電子処方箋の概要案内を掲載した。電子処方箋の導入は2023年1月からで、複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された情報の参照、それらを活用した重複投薬チェックなどができるようになる。患者はマイナンバーカードがなくとも、従来の健康保険証を利用して電子処方箋の発行を受けられるが、医療機関が発行するためには、医療機関において顔認証付きカードリーダーの準備が必要(オンライン資格確認の仕組みを活用するため)であり、日本医師会 電子認証センターでHPKIカードの発行手続きが必要となる。このため厚労省は、HPKIカードの早期取得を医師や薬剤師に働きかけると共に、医療機関側にオンライン資格確認のために顔認証付きカードリーダーの補助金を活用して整備を求めていく。なお、HPKIカードの申請には、申請書と住民票、身分証のコピー(運転免許証、マイナンバーカード)、医師・薬剤師免許のコピー、顔写真が必要だ。(参考)電子処方箋 概要案内【病院・診療所】(厚労省)オンライン資格確認導入に向けた準備作業の手引き(同)医師資格証(HPKIカード)新規お申込み(日本医師会 電子認証センター)電子処方箋導入補助金、1施設当たり7.7万-162.2万円 厚労省、HPKIの早期取得・オンライン資格確認導入促す(CB news)

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第51回 期待度数がわかれば簡単! クラメール連関係数の計算法【統計のそこが知りたい!】

第51回 期待度数がわかれば簡単! クラメール連関係数の計算法今回は、前回第50回で学んだ、クロス集計表の表側・表頭の2項目の関連性の強さを表す指標であるクラメール連関係数(Cramer's coefficient of association)の計算方法について解析します。■期待度数医師の所属する施設形態とある循環器疾患治療薬の処方の集計表(表1)において回答人数の横計と縦計を掛け、全回答人数で割った値を「期待度数」と言います。表1 事例の集計表■クラメール連関係数まず、表2のように期待度数の横%を算出します。表2 期待度数の横%期待度数の横%表はどの医師の所属施設の経営形態も全体と一致します。このような集計結果が得られた場合、医師の所属施設の経営形態と処方薬剤は「関連性がまったくない」と言え、クラメール連関係数は0となります。調査より得られたクロス集計表の回答人数を「実測度数」と言います。実測度数と期待度数の値を比べ、値が一致すればクラメール連関係数は0、値の差が大きくなるほどクラメール連関係数は大きくなると考えます。この考えに基づき、表3に示す式で各セルの値を計算します。表3 係数計算の一覧表 セルの値を合計して得られた値をカイ二乗値といいます。クラメール連関係数は“r”は、カイ二乗値を用いた次の計算式で求められます。※kはクロス集計表2項目のカテゴリー数で小さいほうの値(この事例の場合はどちらもカテゴリー数は3つなので3となります)上記の計算式に数値を代入することで、この場合のクラメール連関係数は、下記の通り求めることができます。クラメール連関係数はいくつ以上あれば関連性があるという統計学的基準はありません。クロス集計表を見る限り関連性があるように思えても、クラメール連関係数の値は大きな値を示さないことを考慮して、一般的には、“0.1”を境目にして「“0.1以上”であれば関連がある」と解釈します。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その1)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その2)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その3)

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創部の消毒【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q23

創部の消毒Q23症例とくに既往、アレルギー歴のない28歳男性、自宅でリンゴの皮剥きをしていた際に誤って左中指DIP腹側を切ってしまった。左中指DIP腹側に深さ3~4mm程度、長さ20mm程度の切創あり。明らかな神経障害や動脈性出血、腱損傷はなさそう。バイタルは安定しているが、止血をえられず、縫合処置が必要と判断される。外科医のいる二次救急病院に送るのもためらわれるため、自分で縫ってみる。非滅菌手袋もつけたし、指ブロックのうえ、創部を水道水でしっかり洗ったぞ。あとは…縫合前に消毒か?「看護師さん、ポビドンヨードある?」

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事例003 B001-3 生活習慣病管理の算定【斬らレセプト シーズン3】

解説2022年度の改定では、「B001-3 生活習慣病管理料」(以下「同管理料」)の算定を普及させようと算定要件に大きく4つの変更が加えられました。同管理料の根幹に係わる対象病名「脂質異常症、高血圧症並びに糖尿病」にかかる治療計画の作成とその説明、ならびに患者の同意が必要なことに変更はありません。1)多職種の実施について、医師が作成した治療計画に基づいて提供される患者への指導などは「看護師、薬剤師、管理栄養士等」がそれぞれの専門分野において実施することが可能とされました。例えば、服薬や栄養管理に係る指導や実施状況の把握は、医師自らが行わずに薬剤師や管理栄養士が行っても良いとなりました。「等」には、理学療法士や保健所の職員または他の保険医療機関の職員も含まれますが、算定されていない事例を見受けます。ご留意ください。2)糖尿病または高血圧症の患者について、管理方針を変更した場合にその理由と内容などを診療録に記載しなければならないことに変更はありませんが、その患者数を数えて行っていた定期的な記録と報告は必要なくなりました。3)薬剤料について、患者ごとに大きく異なっている実態が明らかとなったことを理由に、投薬に係る費用が同管理料の包括評価の対象から除かれました。同管理料に見合わず持ち出していた薬剤料が解消されます。旧点数からその分を除く改定となっています。4)情報通信機器を使用した再診時に実施した同管理料は算定できなくなりました。検査料が包括されており、定められた検査値を治療計画に記載することが求められているために「検査等を実施しなければ医学管理として成立しない管理料」と認定されたからです。医療職が患者の居宅に訪問して対面で総合的な治療管理などを行った場合は算定できます。薬剤料の出来高算定と多職種との連携が可能となったことは、医師の負担軽減に寄与しながら、きめの細かい疾患管理が可能となるものと考えられます。

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ASCO2022 レポート 老年腫瘍

レポーター紹介ここ2年ほど、ASCOでは、「高齢者総合的機能評価+脆弱な部分をサポートする診療」の有用性を評価するランダム化比較試験が続けて発表され、老年腫瘍の領域を大いに盛り上げた。今年のASCOでは、老年腫瘍に関するpivotal studyは少なかったものの、その数および質は高まっているように思えた。その中から、老年腫瘍の観点から興味深い研究を抜粋して紹介する。PS:2または70歳以上の進行非小細胞肺がんに対するカルボプラチン併用療法とニボルマブ+イピリムマブのランダム化比較第III相試験(Energy-GFPC 06-2015: #90111))今回のASCOにて、CheckMate-227の長期フォローアップの結果が公表された2)。具体的には、PD-L1陽性の進行非小細胞肺がんに対してニボルマブ+イピリムマブを投与された集団は化学療法と比較して長期生存が認められた(5年OS:24%vs.14%)。しかし、CheckMate-227の対象集団はPS:0~1であり、75歳以上の高齢者は10%程度しか登録されていないため、いわゆる脆弱な集団において、ニボルマブ+イピリムマブが有用なのかはわかっていない。実は、セカンドライン以降のニボルマブにおいても同様のクリニカルクエスチョンがあり、欧州における承認条件として実施されたCheckMate-171という、PS:2および70歳以上の高齢者進行非小細胞肺がんを対象とした単群試験が行われており、2020年にEuropean Journal of Cancerにその結果が掲載されている(いずれの集団においてもニボルマブの忍容性が示された)3)。PS:2および70歳以上の高齢者のみを対象としているのは、いわゆる「脆弱な集団」でもニボルマブが有用か否か評価したかったようである。前置きが長くなってしまったが、今回のASCOにて、CheckMate-171のクリニカルクエスチョンと同様に、PS:2および70歳以上の高齢者を対象として、カルボプラチン併用療法とニボルマブ+イピリムマブの有効性を評価するランダム化比較試験の結果が発表された。主な適格規準は、IV期または術後再発の非小細胞肺がん、「70歳以上かつPS:0~1」または「年齢不問かつPS:2」、治療歴なし、driver mutationなしなど。登録した患者は、標準治療群(化学療法群)および試験治療群(ニボルマブ+イピリムマブ群)に1対1で割り付けられた。Primary endpointを全生存期間(overall survival:OS)として、化学療法群と比較して、ニボルマブ+イピリムマブ群が優越性を示すことができるかを検証するデザインであった。当初、予定登録患者数は242例であったが、PS:2の集団の予後が不良であったため、効果安全評価委員会の勧告にて登録が途中で中止されている。217例が登録され、不適格例1例を除く216例が解析対象となった。結果、化学療法群と比較して、ニボルマブ+イピリムマブ群の生存曲線は上回っていたものの、ハザード比[HR]は0.85(95%信頼区間[CI]:0.62~1.16、p=0.2978)と優越性を示すことはできなかった。サブグループ解析において、「年齢不問かつPS:2」では化学療法群が有効な傾向であり、「70歳以上かつPS:0~1」ではニボルマブ+イピリムマブ群の方が有効な傾向にあった。セカンドライン以降のニボルマブの有用性を評価したCheckMate-171でも、「年齢不問かつPS:2」と比較して「70歳以上かつPS:0~1」はOSが良好(MST:5.2ヵ月vs.10.0ヵ月)であり、「75歳以上かつPS:0~1」の集団にいたってはMSTが11.2ヵ月と最も良好であった。臨床試験に登録する高齢者は一般的な高齢者よりも元気である可能性はあるとはいえ、本試験においてもCheckMate-171と同様の傾向がみられたことから、やはり「PS:2」と「暦年齢で規定された高齢者」を1つの集団とするのは無理があるのかもしれない。日常診療と同じように、「脆弱な集団」は暦年齢以外で規定する必要がありそうである。70歳以上の乳がん患者に対する術後補助化学療法のランダム化比較試験(ASTER 70s trial: #5004))HER2陽性の高齢者乳がん患者に対する術後補助化学療法については、本邦で実施されたランダム化比較試験の結果が2020年のJCOに掲載されている(試験治療群であるトラスツズマブ+化学療法は、標準治療群であるトラスツズマブ単剤と比較して全生存期間において非劣性を示せなかった)5)。今回、フランスの臨床研究グループが、ER陽性、HER2陰性の高齢者乳がん患者に対する術後補助化学療法の有用性を評価するランダム化比較試験の結果を公表した。結果だけみるとnegative studyではあるが、本試験は高齢がん患者を対象とする臨床試験デザインとしてはモデルになりうると考えるため、ここで紹介する。主な適格規準は、70歳以上の乳がん術後患者、ER陽性、HER2陰性、術後補助化学療法を検討されているなど。遺伝子発現解析としてGenomic Grade Index(GGI)を用いられており、再発リスクが高いとされる集団(GGIがhighまたはequivocal)はランダム化比較試験に登録、再発リスクが低いとされる集団(GGIがlow)は前向き観察研究に登録された。ランダム化比較試験に登録した患者は、標準治療群(エストロゲン単独療法)と試験治療群(化学療法4コース後にエストロゲン単独療法)に1対1に割り付けられた。割付調整因子は、pN、施設、G8(高齢者における脆弱性のスクリーニングツール)。Primary endpointをOSとして、標準治療群と比較して、試験治療群の優越性を検証するデザインであった。Secondary endpointsは、乳がん特異的生存期間や無浸潤疾患生存期間などの一般的なものに加えて、健康関連QOL(QLQ C-30、ELD-14)、費用対効果などであった。前向き観察研究に登録した患者は、ET療法を5年以上実施することとしていた。1,089例の患者がランダム化比較試験に登録され、880例の患者が前向き観察研究に登録された(今回の発表では前向き観察研究の結果は示されなかった)。患者背景として、IADL(手段的日常生活動作)、Mini-Mental State Examination(認知機能)、Charlson Comorbidity Index(併存症)、Lee Index(推定余命)、G8などは両群で大きな差はなかった。結果、標準治療群に対して試験治療群はOSにおいて優越性を示すことができなかった(HR:0.79[95%CI:0.60~1.03、p=0.08])。Grade3以上の有害事象は試験治療群で明らかに多く、治療関連死亡は、標準治療群で1名、試験治療群で3名であった。本試験は、高齢がん患者を対象とする臨床試験のデザインとして興味深い。まず、割付調整因子にG8が含まれている。G8は8つの質問で患者自身の脆弱性を評価するツールであり、14点以下は脆弱の疑いがあると判断される。多くのがん種で、G8は高齢がん患者の予後因子であることが知られているが、G8を割付調整因子にしている高齢者試験は少ない。これは、他に有用な予後因子があるためG8を割付調整因子としていない場合もあるだろうが、G8を日常診療で使用していないため、これを割付調整因子とすることに抵抗がある場合もあるだろう。フランスは老年腫瘍学先進国であり、高齢者機能評価を日常的に行っているため、これを割付調整因子にすることに抵抗がなかった可能性がある。次に、背景因子として、G8、IADL(手段的日常生活動作)、Charlson Comorbidity Index(併存症)、居住状況、Lee Index(推定余命)、ポリファーマシーの有無、Mini-Mental State Examination(認知機能)などを評価している。日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)は前4者を高齢者研究では実施することを推奨しているが6)、本試験ではさらに項目を追加している。データを収集することの負担とメリットのバランスは重要だが、フランスでは高齢者機能評価が日常的に行われているため、これらを収集することが過大な負担にならなかった可能性がある。最後に、健康関連QOLとして、高齢がん患者に特異的なEORTC ELD-14を評価している。EORTC ELD-14自体は14の質問に回答するのみだが、EORTC C-30とともに回答する必要があるため、合計44の質問に回答しなくてはならない。これを3ヵ月ごとに回答するというのは患者にとって負担であり、回答割合が低くなる可能性がある。また、これら全てに回答できる集団が果たして一般の高齢者を代表できるのかという疑問もある。とはいえ、高齢がん患者にとってはOSだけでなく健康関連QOLも重要であるため、データの回収割合なども含めて、今後の結果公表が待たれる。PD-L1≧50%の進行非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害薬単剤と免疫チェックポイント阻害薬+化学療法の有効性に関するpooled analysis(#90007))進行非小細胞肺がんの1次治療において、化学療法(chemo群)、免疫チェックポイント阻害薬単剤(IO単剤群)、免疫チェックポイント阻害薬+化学療法(Chemo-IO群)を比較したランダム化比較試験のうち、PD-L1≧50%の集団のみを抜き出して解析したpooled analysisが公表された。ただし、FDAで承認されている薬剤に関する試験のみが対象である。PD-L1≧50%の進行非小細胞肺がん患者3,189例が解析対象とされた(chemo群:1,436例、IO単剤群:455例、Chemo-IO群:1,298例)。今回の発表では、IO単剤群とChemo-IO群を比較した結果が示された。OSの中央値は、Chemo-IO群で25.0ヵ月、IO単剤群で20.9ヵ月(HR:0.82、95%CI:0.62~1.08)、PFSの中央値は、9.6ヵ月vs.7.1ヵ月(HR:0.69、95%CI:0.55~0.87)であった。サブグループ解析において、75歳以上の集団のOSおよびPFSはIO単剤群で良好な傾向であった。対象試験が限定されていること、また、あくまでpooled analysisなのでOSで統計学的な有意差が出なかったことから、この試験の結果をもってIO単剤が標準治療になることはないと考えている。それよりも、老年腫瘍学的には、75歳以上のデータが公表されたことに意義がある。多くの論文では、65歳以上/未満のサブグループ解析しか掲載されてないため、70歳以上や75歳以上の、日常診療で困っている集団に対するデータが乏しいのである。今回、75歳以上の集団でIO単剤群が良好な傾向であった。しかし、75歳以上の集団は185例で1割程度と少ないため、この結果の解釈は注意が必要である。とはいえ、少しでもChemo-IOに不安を覚えるような脆弱な高齢者にIO単剤を勧める根拠にはなりそうである。参考1)Randomized phase III study of nivolumab and ipilimumab versus carboplatin-based doublet in first-line treatment of PS 2 or elderly (≧70 years) patients with advanced non-small cell lung cancer (Energy-GFPC 06-2015 study).2)Five-year survival outcomes with nivolumab (NIVO) plus ipilimumab (IPI) versus chemotherapy (chemo) as first-line (1L) treatment for metastatic non-small cell lung cancer (NSCLC): Results from CheckMate 227.3)Felip E, Ardizzoni A, Ciuleanu T, Cobo M, Laktionov K, Szilasi M, et al. CheckMate 171: A phase 2 trial of nivolumab in patients with previously treated advanced squamous non-small cell lung cancer, including ECOG PS 2 and elderly populations. European journal of cancer (Oxford, England : 1990). 2020;127:160-72.4)Final results from a phase III randomized clinical trial of adjuvant endocrine therapy ± chemotherapy in women ≧70 years old with ER+ HER2- breast cancer and a high genomic grade index: The Unicancer ASTER 70s trial.5)Sawaki M, Taira N, Uemura Y, Saito T, Baba S, Kobayashi K, et al. Randomized Controlled Trial of Trastuzumab With or Without Chemotherapy for HER2-Positive Early Breast Cancer in Older Patients. Journal of clinical oncology : official journal of the American Society of Clinical Oncology. 2020:Jco20001846)JCOG高齢者研究委員会 推奨高齢者機能評価ツール7)Outcomes of anti–PD-(L)1 therapy with or without chemotherapy (chemo) for first-line (1L) treatment of advanced non–small cell lung cancer (NSCLC) with PD-L1 score ≥ 50%: FDA pooled analysis.

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