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BA.2への中和抗体価、追加接種やBA.1感染でどのくらい上がるか/NEJM

 オミクロン株亜種BA.1とBA.2は複数の共通した変異を持つが、それぞれ固有の変異も持つ。BA.1は免疫回避性を有することが報告されているが、BA.2がワクチン接種や感染による中和抗体の誘導を回避する能力を有するかどうかはわかってない。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのJingyou Yu氏らは、ワクチン接種者および既感染者におけるBA.2に対する中和抗体価を調査。NEJM誌オンライン版2022年3月16日号のCORRESPONDENCEに掲載された。 BNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer-BioNTech社)の初回(1~2回目)および追加接種済で新型コロナウイルス感染歴のない24人と、ワクチン接種歴によらず感染歴のある8人を対象に、中国・武漢で分離されたWA1/2020株、およびオミクロン株亜種BA.1およびBA.2に対する中和抗体反応を評価した。 感染者においては、感染後の中央値14日時点での中和抗体価が評価され、その診断期間中99%以上の新規感染がオミクロン株亜種BA.1によるものだった。また、ワクチン未接種者は1人のみで、5人は追加接種も完了していた。 主な結果は以下のとおり。・BNT162b2ワクチンの最初の2回の投与後、WA1/2020、BA.1、およびBA.2に対する疑似ウイルス中和抗体価の中央値はそれぞれ658、29、および24で、WA1/2020に対する中和抗体価は、BA.1とBA.2に対する抗体価のそれぞれ23倍と27倍だった。・初回シリーズのワクチン接種から6ヵ月後、WA1/2020に対する中和抗体価の中央値は129に、BA.1とBA.2に対しては20未満に低下した。・BNT162b2ワクチンの3回目投与(追加接種)の2週間後、WA1/2020、BA.1、およびBA.2に対する中和抗体価の中央値はそれぞれ6,539、1,066、776に大幅に増加し、WA1/2020に対する中和抗体価は、BA.1とBA.2に対する抗体価のそれぞれそれぞれ6.1倍と8.4倍だった。またBA.1に対する中和抗体価は、BA.2に対する抗体価と比べ1.4倍高かった。・感染者のうち7人で、WA1/2020、BA.1、およびBA.2に対する中和抗体価が検出され、中央値はそれぞれ、4,046、3,249、2,448で、BA.1に対する中和抗体価はBA.2に対する抗体価の1.3倍高かった。・中和抗体価が検出されなかった1人はワクチン接種を受けておらず、SARS-CoV-2感染の診断から4日後に血清サンプルが採取されていた。 著者らは、「これらのデータはBA.2に対する中和抗体価がBA.1に対するものと類似しており、BA.2に対する中和抗体価の中央値がBA.1に対するものより1.3〜1.4倍低いことを示している。BA.1またはBA.2に対する一貫した中和抗体価の誘導には、BNT162b2ワクチンの3回目の投与が必要だった。BA.1に感染したと思われるワクチン接種者では、BA.2に対する強力な中和抗体価が発現した。このことは交差反応性の自然免疫応答を示唆している」とした。

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FDA、悪性黒色腫に初の抗LAG-3抗体relatlimabとニボルマブの併用を承認/BMS

 ブリストルマイヤーズスクイブは、2022年3月18日、米国食品医薬品局(FDA)が、切除不能または転移のある悪性黒色腫に対する、ニボルマブと抗LAG抗体relatlimab-rmbwの固定用量の合剤(海外製品名:Opdualag)の単回投与を承認したと発表。 この承認はOpdualagとニボルマブ単独を比較した第II/III相RELATIVITY-047試験に基づいている。 RELATIVITY-047 試験における、PFS中央値はニボルマブの4.6ヵ月に対し、Opdualagでは10.1ヵ月であった(ハザード比:0.75、95%信頼区間:0.62〜0.92、p=0.0055) Opdualagの安全性プロファイルはニボルマブ単独での報告と同様で、新たな安全性イベントは確認されなかった。Grade3/4の薬物関連有害事象は、ニボルマブ群の9.7%、Opdualagでは18.9%であった。投与中止につながる薬物関連の有害事象は、ニボルマブ群の6.7%に対して、Opdualag群では14.6%であった。

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NVAF患者における経皮的左心耳閉鎖術の有効性~初の全国規模データ(Terminator Registry)/日本循環器学会

 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者において、長期的な抗凝固療法に代わる治療法として経皮的左心耳閉鎖術(LAAC)が世界的に行われている。ビタミンK拮抗薬と比較して、死亡率と出血イベントは有意に少なく、QOLは大きく改善されているが、欧米からのデータが中心で、日本におけるデータは十分ではない。第86回日本循環器学会学術集会(2022年3月11日~13日)で原 英彦氏(東邦大学医療センター大橋病院)が国内23施設による初の大規模観察研究TERMINATOR Registryから最初の集計結果を報告した。 2019年にLAAC用デバイス「WATCHMAN」が日本で承認され、現在はその後継となる新型デバイス「WATCHMAN FLX」が登場している。そこで本研究は、NVAFで血栓塞栓リスクの高い日本人患者を対象に、左心耳閉鎖デバイス(WATCHMAN generation-2.5、WATCHMAN FLX)によるLAACの長期実臨床成績を明らかにすることを目的に実施された。主要評価項目は死亡、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、後遺症を残す脳卒中、全身性塞栓症または開心術や重大な血管内インターベンションを要する左心耳閉鎖デバイスもしくは手技関連事象とされた。 主な結果は以下の通り。・2019年9月~2021年8月に各施設でLAACを受けた743例が対象。平均年齢:74.9(±8.8)歳、持続性/永続性心房細動:61.9%、平均CHA2DS2スコア:3.2(±1.2)、平均CHA2DS2-VAScスコア:4.7(±1.5)、平均HAS-BLEDスコア:3.4(±1.0)、Clinical Frailty Scale:3.4(±1.3)、DOACの不適切低用量処方が11.2%で確認された。・植込み成功率は98.9%、4.2%でデバイスリリースの基準であるPASSクライテリアを満たしていなかった。37.3%でpartial recaptureが行われた。・術後の有害事象については、心タンポナーデ:0.9%、心嚢液貯留:1.1%、デバイス脱落:0.2%、仮性動脈瘤:0.1%と全体的に低発生率だった。・デバイスごとの留置手技時間はWATCHMAN gen2.5:53±36分、WATCHMAN FLX:57±30分とほぼ同等で、両デバイスとも30mm以上のサイズが多く使用されていた。・死亡(原因不明)は0.9%、脳卒中は2.2%、出血イベントは5.7%、デバイス関連血栓(DRT)は2.8%で発生。ただし、DRTによる脳卒中はすべてmRS<2であった。・経口抗凝固薬の使用量は、退院時と比較し45日後には減少し、6ヵ月後にはさらに減少していた。 原氏は日本におけるLAACのリアルワールドデータは高い成功率を示し、6カ月間のフォローアップデータにおいてDRTなどの有害事象は他の研究と同等の低い発生率を示したとして、今後はより長期のフォローアップにより、この治療法が心房細動による心原性脳塞栓症を防ぎ、かつ出血イベントを減らすことができるかどうかを示していく必要があるとした。

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HER2+乳がんへの術後化学療法+トラスツズマブへのペルツズマブ追加、N-でベネフィットのある患者は?(APHINITY)

 APHINITY試験はHER2陽性乳がんの術後化学療法+トラスツズマブへのペルツズマブの上乗せを検証した第III相試験で、HER2陽性乳がん患者全体とリンパ節転移のある患者で無浸潤疾患生存(iDFS)が大幅に改善することが報告されている。今回、米国・ダナファーバーがん研究所のRichard D. Gelber氏らは、リンパ節転移陰性(N-)でペルツズマブ追加によるベネフィットが得られるサブグループ、リンパ節転移陽性(N+)でde-escalationを考慮すべきサブグループについて検討した。European Journal of Cancer誌オンライン版2022年3月18日号に掲載。 著者らは、STEPP(subpopulation treatment effect pattern plot:サブグループ別治療効果パターンプロット)を用いて、臨床的複合リスクスコア、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の割合、HER2コピー数(FISH)によるサブグループについて、全体およびリンパ節転移の有無別に、6年iDFS率のカプラン-マイヤー差(ペルツズマブ群-プラセボ群:Δ±SE)を推定した。 その結果、6年iDFS率の絶対増加の平均は、患者全体で2.8±0.9、N+患者で4.5±1.2、N-患者で0.1±1.1だった。増加が最大だったのは、臨床的複合リスクが中等度(全体:5.3±1.9、N+:6.9±2.3、N-:4.0±3.0)、TILの割合が最大(全体:6.3±1.7、N+:7.4±2.4、N-:3.2±1.7)、HER2コピー数が中等度(全体:2.8±1.9、N+:7.4±2.5、N-:-1.3±1.9)の患者だったが、サブグループ別治療効果の異なったパターンを示す明らかなエビデンスはなかった。 今回の検討では、N-におけるSTEPPでペルツズマブ追加によって明らかにベネフィットがあるサブグループを特定できず、N+におけるSTEPPでde-escalationが妥当なサブグループを特定できなかった。臨床的複合リスクスコアよりTILの割合のほうが、ペルツズマブの治療効果を予測できるようであった。

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コロナワクチンの有効性、AZ製vs.ロシア製vs.中国製/Lancet

 アルゼンチンにおいて使用された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する3種類のワクチンは、いずれもSARS-CoV-2感染とCOVID-19による死亡を減少させ有効であることが認められた。アルゼンチン保健省のAnalia Rearte氏らが、60歳以上を対象とした診断陰性デザイン(test-negative design)による症例対照研究の結果を報告した。アルゼンチンでは、2021年1月よりrAd26-rAd5(Sputnik製)、ChAdOx1 nCoV-19(AstraZeneca製)およびBBIBP-CorV(Sinopharm製)を用いたCOVID-19ワクチン接種キャンペーンが開始されていた。Lancet誌オンライン版2022年3月15日号掲載の報告。2021年1月~9月に報告された60歳以上のCOVID-19疑い約128万例を解析 研究グループは、2021年1月31日~9月14日にNational Surveillance System(SNVS 2.0)に報告された60歳以上のCOVID-19疑い例を登録し、RT-PCR検査でSARS-CoV-2感染が確認された患者を症例、確認されなかった患者を対照として、3種類のCOVID-19ワクチン(rAd26-rAd5、ChAdOx1 nCoV-19、BBIBP-CorV)の有効性を評価する診断陰性デザインを用いた症例対照研究を行った。ワクチン未接種者は登録可能とし、ワクチン接種プログラム開始前に発症したCOVID-19疑い例は除外した。 SARS-CoV-2感染のオッズ比(OR)はロジスティック回帰モデルで評価し、RT-PCR検査でCOVID-19と確認された患者の死亡リスクは補正後の比例ハザード回帰モデルを用い、交絡因子(症状発現日の年齢、性別、居住地域、症状発現日の疫学週、COVID-19既往有無)を補正して評価した。また、感染および死亡の推定値を組み合わせ、COVID-19による死亡に対するワクチンの予防効果を間接的に評価した。さらに、ウイルスベクターワクチンの1回目接種の経時的な有効性も評価した。 解析対象は計128万2,928例で、そのうちrAd26-rAd5解析が68万7,167例(53.6%)、ChAdOx1 nCov-19解析が35万8,431例(27.6%)、BBIBP-CorV解析が23万7,330例(18.5%)であった。死亡への2回接種の有効率、ロシア製93.1%、AZ製93.7%、中国製85.0% 2回接種による感染予防効果は3種類のワクチンすべてで高く、補正後ORはrAd26-rAd5で0.36(95%信頼区間[CI]:0.35~0.37)、ChAdOx1 nCoV-19で0.32(0.31~0.33)、BBIBP-CorVで0.56(0.55~0.58)であった。 2回接種による死亡予防効果は、感染予防効果より高く、補正後ハザード比(HR)はrAd26-rAd5で0.19(95%CI:0.18~0.21)、ChAdOx1 nCoV-19で0.20(0.18~0.22)、BBIBP-CorVで0.27(0.25~0.29)であった。死亡に対する間接的なワクチン2回接種の有効率は、rAd26-rAd5で93.1%(95%CI:92.6~93.5)、ChAdOx1 nCoV-19で93.7%(93.2~94.3)、BBIBP-CorVで85.0%(84.0~86.0)であった。ウイルスベクターワクチンの1回目接種後の有効性は、経時的に安定していた。

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重症血友病A、アデノ随伴ウイルス用いた遺伝子治療が有効/NEJM

 重症血友病A患者において、valoctocogene roxaparvovec治療により内因性第VIII因子の産生が増加し、第VIII因子製剤の予防投与時と比較して出血および第VIII因子製剤の使用が有意に減少した。ブラジル・カンピーナス大学のMargareth C. Ozelo氏らが、多施設共同単群非盲検第III相試験「GENEr8-1試験」の結果を報告した。Valoctocogene roxaparvovec(AAV5-hFVIII-SQ)は、肝特異的プロモーターにBドメインを除いた第VIII因子遺伝子を配したアデノ随伴ウイルス5(AAV5)ベクターを用いる遺伝子治療薬で、重症血友病A男性患者を対象とした第I/II相用量漸増試験において有効性と安全性が示されていた。NEJM誌2022年3月17日号掲載の報告。重症血友病A患者134例にvaloctocogene roxaparvovecを単回注入 研究グループは、第VIII因子活性が1 IU/dL以下の重症血友病A男性患者で、抗AAV5抗体を保有しておらず第VIII因子インヒビターの発症歴のない、第VIII因子濃縮製剤の予防投与を受けている18歳以上の患者に、valoctocogene roxaparvovec(6×1013 vg/kg)を単回静脈内注入した。なお、20例を本試験に直接登録し、110例は標準的予防治療での出血と第VIII因子製剤の使用に関するヒストリカルデータおよび最低6ヵ月間の前向きデータを収集した270-902試験(非介入試験)から登録する予定であった。 主要評価項目は、投与後49~52週時における第VIII因子活性(合成基質法で測定)のベースラインからの変化量、副次評価項目は、投与後4週目以降の第VIII因子製剤年間使用量および年間の治療した出血回数のベースラインからの変化などであった。安全性は、有害事象と臨床検査値で評価した。 2017年12月19日~2019年11月15日の間に、世界13ヵ国48施設で144例が登録され、適格例134例がvaloctocogene roxaparvovecの投与を受け、51週以上の追跡調査を完了した。第VIII因子活性が増加し、第VIII因子製剤の使用や出血回数が低下 修正intention-to-treat集団であるヒト免疫不全ウイルス陰性例132例において、49~52週時の第VIII因子活性は平均41.9 IU/dL増加した(95%信頼区間[CI]:34.1~49.7、p<0.001、変化量中央値:22.9 IU/dL、四分位範囲:10.9~61.3)。132例のうち270-902試験のデータが6ヵ月以上ある112例においては、投与後4週目以降の第VIII因子製剤の年間使用量がベースラインから98.6%減少し、年間の治療した出血回数もベースラインから83.8%減少した(p<0.001)。 134例全例に有害事象が認められ、22例(16.4%)で重篤な有害事象が報告された。ALT増加は134例中115例(85.8%)に認められ、免疫抑制薬により治療された。その他の主な有害事象は、頭痛(38.1%)、悪心(37.3%)、AST増加(35.1%)であった。第VIII因子インヒビターや血栓症の発現は認められなかった。

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転移性ホルモン感受性前立腺がんでダロルタミドはOSを延長(解説:宮嶋哲氏)

 ダロルタミドはアンドロゲン受容体阻害薬の1つであり、現在、国内では転移のない去勢抵抗性前立腺がんに対して適応となる薬剤である。本論文は、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者を対象に、アンドロゲン除去療法とドセタキセルをベースとした治療においてダロルタミドの有効性を検討した国際第III相試験(ARASENS試験)に関する報告である。 ダロルタミドとプラセボを1:1に割り付け、主要評価項目はOSである。1,306例の患者が対象でダロルタミド群651例、プラセボ群655例であり、初期診断の段階で86.1%の患者が転移を有しており、その約80%が骨転移症例であった。死亡リスクにおいて、ダロルタミド群はプラセボに比べ32.5%低下し(ハザード比:0.68、p<0.001)、去勢抵抗性獲得までの期間もダロルタミド群はプラセボに比べ有意に延長していた(ハザード比:0.36、p<0.001)。コホートの80%以上がGleason score 8以上と悪性度が高い中、去勢抵抗性獲得までの期間をこれほどまでに延長した点は評価に値する。なお、有害事象に関しては両群で63~66%と比較的高い数値で有意差を認めなかったが、両群ともにドセタキセルを投与していることに起因していると思われる。 現在、国内で使用可能な新規アンドロゲン受容体阻害薬の中で本薬剤は副作用が少なく使用しやすい薬剤の1つであり、今後、適応拡大によってホルモン感受性前立腺がん患者に投与可能となれば、臨床実地で前立腺がん患者にもたらす恩恵は大きいと考える。今後ARASENS試験のサブ解析に注目したい。

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倒れてもいいんですか【Dr. 中島の 新・徒然草】(418)

四百十八の段 倒れてもいいんですか前回、成年後見制度用の診断書を作成する際、患者さんを取り違えたというお話をしました。つまり、Aさんの診断書を作成するために、Bさんにインタビューしてしまったわけです。記憶違いも甚だしい。本当に後見人が必要なのは自分じゃないか、とへこんだわけです。ところが、実は3日ほど後にもう1枚診断書作成依頼があり、今度はBさんの名前がありました。つまり、ある意味、間違っていなかったわけです。これ、喜んでいいのか、さらに落ち込んだほうがいいのか、よくわからない状況になりました。年取ると、いろんなことがありますね。話は変わりますが、私が住んでいるマンションでも、10年に1回ぐらい自治会役員が回ってきます。当然のことながら、誰も会長をやりたくありません。皆それぞれに事情があるので、結局、あみだくじを全員で引くことになりました。その結果、高齢の独居女性が会長に当たってしまったのです。この人の名前を、仮に三月 弥生(みつき・やよい)さんとしましょう。高齢といっても随分しっかりしている人ですが、彼女はかなり抵抗しました。三月「私、もう人前でしゃべるのは全然ダメなんです」皆さん「……」三月「引っ込み思案だし、当たると思っていなかったから」皆さん「……」三月「ねっ、もう1度クジをやりましょうよ」皆さん「……」理由をいろいろ並べておられますが、皆、うつむいてじっと聞いています。ここで下手に反論したりすると、ちゃぶ台返しを食らうかもしれません。三月「ここに長く住んできて。独り暮らしなのに」皆さん「……」三月「もう眠れなくなってしまうわ」皆さん「……」思ったことが全部口から出てくるんですかね。でも、皆さんひたすら忍耐です。三月「私、倒れてしまうかもしれませんよ」皆さん「えっ?」周囲に座っている人たちの表情に、怯えが走ります。三月「私が倒れてもいいんですか!」皆さん「倒れるのは、ちょっと……」ここぞとばかりに攻勢に出る三月さん。ちょっと皆さん、何を動揺しているんですか!倒れるとか何とか、これまでの人生で何十回も聞かされたセリフです。ということで私が発言しました。中島「三月さんが倒れたら、副会長が代行しますから」三月「うん、もう!」そのために副会長という役割があるわけですよ。中島「三月さんが会長をやることになって、急に皆の顔が明るくなりましたよ」三月「何てこと言うんですか!」中島「皆で三月さんをお支えしますから」なんでこんなに調子よく出てくるのでしょうね。中島「会長! 一緒に頑張りましょう」三月「会長なんて呼んだら罰金千円取ります」もう無茶苦茶です。中島「三月さん。新しい自分に生まれ変わるチャンスです!」三月「私が寝込んだら往診してくださいよ、中島さん」中島「もちろん往診させていただきますとも」ああ言えば、こう言う。このテの安請け合いも、何十回やってきたかわかりません。ということで、無事に自治会長をかわすことができました。たぶん今の時期には、日本中どこでも揉めているんでしょうね。最後に1句 春分の 自治会巡り 大騒ぎ

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オピオイドによる便秘に新たな薬が登場【非専門医のための緩和ケアTips】第24回

第24回 オピオイドによる便秘に新たな薬が登場オピオイドを服用している患者さんで頻発し、かつ対策が必要な副作用の代表例が便秘です。そんなオピオイドが原因の便秘に対し、新たな薬が登場しています。今日の質問がん疼痛がありオピオイドを処方している患者さんの中で、便秘に悩んでいる方がいます。マグネシウム製剤や大腸刺激性下剤などを処方してみるのですが、頑固な便秘に良い対策はありますか?オピオイドを使用している際の便秘は、オピオイド誘発性便秘症(OIC:opioid-induced constipation)と呼ばれます。オピオイドは、脊髄のμオピオイド受容体に作用することで痛みの伝達をブロックし、鎮痛効果を発揮します。このμオピオイド受容体は中枢神経だけでなく、末梢にも分布しています。消化管に分布する末梢μオピオイド受容体にオピオイドが作用することで、腸管蠕動が抑制され、便秘になってしまうのです。OICはオピオイドを服用している限り、改善することはありません。基本的には「オピオイド服用中はOICが生じる」と考えて対処する必要があります。従来、薬物療法としては、一般的な便秘薬であるマグネシウム製剤や大腸刺激性下剤が用いられてきました。それで症状が緩和されればよいのですが、それでも持続する頑固な便秘もあります。そんな悩みに対して2017年に登場した薬が、今回ご紹介するナルデメジン(商品名:スインプロイク)です。ナルデメジンは先ほど出てきた末梢のμオピオイド受容体と結合することで、オピオイドと拮抗し薬理効果を発揮します。緩下剤などの対症療法と比較して、OICの原因に直接的なアプローチをする薬剤であることがわかるかと思います。ここでふと、「あれ、μオピオイド受容体に結合することでオピオイドに拮抗するなら、鎮痛作用も発揮できなくなるのでは?」と感じた方がいるかもしれません。そこは心配無用で、ナルデメジンは中枢神経のμオピオイド受容体には作用しないため、鎮痛効果は保たれます。ナルデメジンは1日1回0.2mgを内服します。内服回数が少ないことも良い点ですね。腎機能が落ちていても服用できるので、マグネシウム製剤などが使用できない方には良い選択肢です。他の便秘薬同様、処方の際は消化管閉塞がないことの確認が必要です。OICに対する比較的新しい薬剤であるナルデメジンを紹介しました。もちろん、便秘解消には薬だけでなく、食事内容や水分摂取といった生活指導も併せて大切です。今回のTips今回のTipsナルデメジンはオピオイドの副作用による便秘に対する新しい薬。排泄ケアと併せて処方を検討しよう。

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第101回 ウクライナ侵攻の打撃は歯科医療にも、止まらないパラジウム高騰に緊急声明

ロシアによるウクライナ侵攻の影響が、日本の医療界にも及んでいる。西側諸国の経済制裁に対し、ロシアが報復としてレアメタル(希少金属)の輸出禁止措置を取る懸念から、歯科材料に使われるパラジウムの価格が急騰し、歯科医療に悪影響を及ぼしているのだ。歯科医療機関の経営と、患者・国民の口腔の健康を守るため、全国保険医団体連合会(保団連)は3月14日、国に対して状況への対応を講じるよう要望した。パラジウムの約4割をロシアから輸入する日本パラジウムはプラチナの仲間である白金族金属と呼ばれる元素群の1つで、自動車の排ガス浄化触媒や燃料電池に不可欠なレアメタルだ。歯科医療では、金(および銀)とパラジウムの合金は、耐食性や強度、延性が高いため、銀歯の材料の一部として使われている。金銀パラジウム合金(金パラ)の金属組成や成分は、金12%、パラジウム20%とJIS規格(日本産業規格)で定められており、このほかに銀や銅なども含まれる。つまり、金やパラジウムなどの市場価格が歯科医の利益のプラス・マイナスに直結するわけだ。とくに金パラはここ数年、材料費が高騰している。背景には、金の価値の安定性やレアメタルの希少性から、中国マネーやオイルマネーなどが市場へ流れ込み、値上がりしやすくなっている。パラジウムは年間200t前後が世界に供給されており、供給量はロシアが約4割を占め、次に南アフリカ共和国が続く。日本は、パラジウムの約4割をロシアから輸入しているため、ロシア情勢による影響は大きい。市場価格が保険償還価格を上回る「逆ザヤ」問題そのような背景があるため、歯科の診療報酬は半年ごとに改定されているが、2020年4月からは、3ヵ月ごとの見直しへとさらに期間が縮まった。それでも、金パラの診療報酬上の保険償還価格と市場価格が大きくかけ離れ、診療報酬の改定が追い付かないのが実情のようだ。市場価格が保険償還価格を上回る「逆ザヤ」問題も起きており、歯科医の間から「健康保険の治療対象に価格が変動するものを使うのはおかしい」との声が上がっている。パラジウムの市場価格は、2021年12月から3ヵ月足らずで倍増し、金の市場価格も過去最高に上昇した。金パラの保険償還価格は30g当たり8万8,530円であるのに対し、市場価格は12万円を超える状況になり、「逆ザヤ」は約25%に達している。保団連の調査では、今年1月に金パラの市場価格と保険償還価格が逆転して以降、「逆ザヤ」は拡大し続けている。4月の診療報酬改定で、保険償還価格は30g当たり9万4,470円に引き上げられるが、なお市場価格とは大きな乖離がある。「逆ザヤ」解消を求める声を受け、4月から価格改定制度の改善が図られるが、保団連は「この改善は、市場価格を後追いする現行制度について、改定頻度などを見直し、後追いのタイムラグにより生じる価格乖離を緩和するもの。抜本解決策とは言えない」と指摘。素材価格の変動が緩やかな状況であれば、一定の効果が期待できるものの、現状は紛れもなく非常事態であり、先行きの見通しも極めて不透明な状況であるとの認識を示した。保団連は緊急対応と抜本解決を厚労相に要望そのうえで、「コロナ禍で悪化した歯科医療機関の経営を守るためには、平時の対応に留まらず、特例的な対応も含めた喫緊の判断も必要。また、材料の異常な高騰による患者負担の増加が、患者・国民の暮らしと口腔の健康に悪影響を及ぼすこともあってはならない」と主張。歯科医療機関の経営と患者・国民の口腔の健康を守るため、後藤 茂之・厚生労働大臣に以下の対応を要望した。(1)2022年1月以降の金パラ実勢価格と保険償還価格の差を補填する緊急対応を行うこと。(2)対応においては、患者負担増とならない手立てを併せて講じること。(3)2022年4月以降の制度改善にとどまらず、抜本改善へのさらなる検討を進めること。緊迫する国際情勢下、どれも現在の歯科医療において必要な策であろう。東京歯科保険医協会はロシアのウクライナ侵略に非難声明ちなみに、東京歯科保険医協会は3月4日、「ロシアのウクライナ侵略を断固非難する」との声明を発出し、在日ロシア大使館宛に送付した。「主権国家に対する武力による侵略は国連憲章、国際法を踏みにじる行為であり、いかなる理由であれ許されるものではない」「唯一の被爆国として、人の命を奪う戦争や核兵器使用で世界の諸国を威嚇するいかなる行動にも断固として反対する」──。ロシアのウクライナ侵略が、どれだけ世界の人々や医療に迷惑を及ぼし、医療人の不安を募らせたか。国際情勢が激変する中で、一団体が発した声明だが、「一灯破闇」の心意気を感じた。

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周産期における境界性パーソナリティ障害の有病率~メタ解析

 境界性パーソナリティ障害(BPD)は、重度の情緒不安定や対人機能低下を特徴とする精神疾患である。これまでの文献では、周産期におけるBPDは非BPDと比較し、さまざまな生理学的および心理社会学的アウトカムの有害リスクが高いことが示唆されている。しかし、これまで妊娠中および産後のBPDおよびBPDの特徴(BPF)を有する割合を調査したシステマティックレビューは行われていなかった。カナダ・マックマスター大学のDivya Prasad氏らは、周産期のBPDおよびBPFの有病率を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Archives of Women's Mental Health誌オンライン版2022年2月26日号の報告。 2021年4月6日に3つのデータベース(PubMed、PsycINFO、Embase)を検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。妊娠中、産後、または混合の周産期女性を対象にBPFまたはBPDを評価した研究論文およびカンファレンス抄録を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・16研究(研究論文:14件、カンファレンス抄録:2件)のシステマティックレビューを行い、そのうち7研究をメタ解析に含めた。・非臨床サンプルのうち、妊娠中のBPF有病率は6.9~26.7%であり、周産期全体のBPD有病率は0.7~1.7%であった。・臨床サンプルのうち、周産期全体のBPF有病率は9.7~34%、BPD有病率は2.0~35.2%であった。・メタ解析の結果、臨床サンプルにおける周産期のプールされたBPD有病率は14.0%(95%信頼区間:7.0~22.0)であった。 著者らは「臨床サンプルにおける周産期のBPD有病率は高いことが明らかとなった。周産期女性のBPDを鑑別し、治療を行うためにも、適切な検証済みのスクリーニング法が必要とされる」としている。

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乳がんサバイバーの倦怠感、長期的な経過の特徴/JCO

 早期乳がん1次治療後の倦怠感の長期的な経過は個人差が大きい。フランス・Gustave RoussyのInes Vaz-Luis氏らが乳がんサバイバーにおける倦怠感の長期的な経過の特徴を調査した結果から、がん関連の倦怠感の多次元的な性質とその危険因子の複雑さが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年3月15日号に掲載。 本研究は、2012~15年に治療を受けたStage I~IIIの乳がん患者を対象とした全国的な大規模前向き研究(CANcer TOxicity)を使用して、倦怠感に関する詳細な縦断的解析を実施した。倦怠感は、診断時、診断後1、2、4年に調査し、ベースラインでの臨床的、社会人口統計学的、行動的、腫瘍関連、治療関連の特徴を入手した。 調査の結果、総合的倦怠感が重度だった4,173例において、その経過について3つの群が特定され、各群の重度の総合的倦怠感のリスク推定値は以下のとおりであった。1)持続的にリスクが高い群:患者の21% 診断時94.8%(95%CI:86.6〜100.0)、4年後64.6%(95%CI:59.2〜70.1)2)リスクが悪化する群:患者の19% 診断時13.8%(95%CI:6.7~20.9)、4年後64.5%(95%CI:57.3~71.8)3)リスクが低いままの群:患者の60% 診断時3.6%(95%CI:2.5~4.7)、4年後9.6%(95%CI:7.5~11.7) また、重度の身体的倦怠感、重度の精神的倦怠感、重度の認知疲労的倦怠感では、社会人口学的要因、臨床的要因、治療関連要因の影響は異なり、重度の総合的倦怠感とは分類が異なった。リスクが悪化する原因としては、うつ病などの感情的な苦痛、ホルモン療法などが示唆された。 著者らは「本研究の結果は、重度の倦怠感のリスクが高い早期乳がん患者を特定し、個別の介入を促進することに役立つ」としている。

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薬物性味覚障害マニュアルが11年ぶりに改定、注意すべき薬剤と治し方は?/厚労省

 『重篤副作用疾患別対応マニュアル』は77項目に細分化され、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページに掲載されているが、今回、「薬物性味覚障害」の項が11年ぶりに改定された。薬剤性味覚障害は味覚障害の原因の約20%を占めていること、多くの薬剤の添付文書の副作用に記載されていることから、以下に示すような薬剤を服用中の患者の訴えには十分注意が必要である。味覚障害が副作用に記載されている薬剤を服薬中の患者の訴えに注意<添付文書に口腔内苦味の記載がある薬剤の一例>・ニコチン(禁煙補助剤)・フルボキサミンマレイン酸塩(選択的セロトニン再取り込み阻害薬[SSRI])・ラベプラゾールナトリウム(PPI)・レバミピド(胃炎・胃潰瘍治療薬) ・レボフロキサシン水和物(ニューキノロン系抗菌薬)・炭酸リチウム(躁病・躁状態治療薬)*そのほかは重篤副作用疾患別対応マニュアル(薬物性味覚障害)参照<添付文書に味覚障害の記載がある薬剤の一例>・アロプリノール(キサンチンオキシダーゼ阻害薬・高尿酸血症治療薬)・ジクロフェナクナトリウム(フェニル酢酸系消炎鎮痛薬)・レトロゾール(アロマターゼ阻害薬・閉経後乳治療薬)・ロサルタンカリウム(アンギオテンシンII受容体拮抗薬)*そのほかは重篤副作用疾患別対応マニュアル(薬物性味覚障害)参照<添付文書に味覚異常の記載がある薬剤の一例>・アカルボース(α-グルコシダーゼ阻害薬)・アプレピタント(選択的NK1受容体拮抗型制吐薬)・イリノテカン塩酸塩水和物(I型DNAトポイソメラーゼ阻害型抗悪性腫瘍薬)・インスリンデグルデク[遺伝子組換え]・リラグルチド[遺伝子組換え](持効型溶解インスリンアナログ/ヒトGLP-1アナログ配合薬)・エルデカルシトール(活性型ビタミンD3)・オロパタジン塩酸塩(アレルギー性疾患治療薬)・チアマゾール(抗甲状腺薬)・テルビナフィン塩酸塩(アリルアミン系抗真菌薬)・バルサルタン(選択的AT1受容体遮断薬)・フェンタニル(経皮吸収型持続性疼痛治療薬)・ボリコナゾール(トリアゾール系抗真菌薬)・メトトレキサート(抗リウマチ薬/葉酸代謝拮抗薬)*そのほかは重篤副作用疾患別対応マニュアル(薬物性味覚障害)参照 上記のような薬剤を服用している患者が症状を訴えた場合、まずは(1)原因薬剤の中止・減量を行うが、原疾患の治療上、中止などの対応ができない場合、または味覚障害を起こす可能性のある薬剤を複数服用して特定が困難な場合もある。そのような場合でも(2)亜鉛剤の補給[低亜鉛血症がある場合、味蕾の再生促進を期待して補給]、(3)口腔乾燥の治療などで唾液分泌を促進させる、(4)口腔掃除とケアで対応することが必要で、とくに(1)(2)は重要度が高いと記載されている。薬物性味覚障害の初期症状を含めて患者がよく訴える症状<早期に認められる症状>薬物性味覚障害は高齢者に多く、複数の薬剤を服用しており、また発症までの時間や症状もまちまちで、初期の症状を捉えることは困難なことが多い。初期症状を含め、よく訴える症状に以下のようなものがある。 1:味(甘・塩・酸・苦)が感じにくい 2:食事が美味しくない3:食べ物の好みが変わった 4:金属味や渋味など、嫌な味がする 5:味のしないところがある 6:口が渇く<患者が訴えうる自覚症状>1:味覚減退:「味が薄くなった、味を感じにくい」2:味覚消失・無味症:「まったく味がしない」 3:解離性味覚障害:「甘みだけがわからない」4:異味症・錯味症:「しょう油が苦く感じる」 5:悪味症:「何を食べても嫌な味になる」6:味覚過敏:「味が濃く感じる」 7:自発性異常味覚:「口の中に何もないのに苦みや渋みを感じる」 8:片側性味覚障害:一側のみの味覚障害 本マニュアルには医師、薬剤師などの医療関係者による副作用の早期発見・早期対応に資するため、ポイントになる薬物性味覚障害の初期症状や好発時期、医療関係者の対応などが記載されている。 また、患者が読みやすいように、患者やその家族に知っておいてもらいたい副作用の概要、薬物性味覚障害の初期症状、早期発見・早期対応のポイントをできるだけわかりやすい言葉で記載してもいるので、ぜひ参考にしていただきたい。

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オミクロンvs.デルタ、ワクチン接種・感染歴・年齢別の入院・死亡リスク/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の重症アウトカムのリスクについて、デルタ変異株(B.1.617.2)よりもオミクロン変異株(B.1.1.529)で大幅に低く、オミクロン変異株ではより重症度の高いエンドポイント発生が大きく低下しており、年齢間のばらつきは顕著であることなどが、英国・ケンブリッジ大学のTommy Nyberg氏らによる検討で示された。オミクロン変異株は部分的なワクチンエスケープと、高い感染性が示されているが、早期の試験でデルタ変異株よりも重症化リスクは低いことが示唆されていた。Lancet誌オンライン版2022年3月16日号掲載の報告。オミクロン変異株vs.デルタ変異株の通院、入院、死亡リスクを検証 研究グループは、デルタ変異株と比較したオミクロン変異株の重症度をよりよく特徴付けるために、通院受診、入院、死亡の相対リスクを評価する大規模全国コホート試験を行った。 2021年11月29日~2022年1月9日に、検査でCOVID-19と確認された英国住民の個人レベルデータを、ワクチン接種状況、通院受診、入院、死亡に関するルーチンデータベースと結び付け、感染確認後の14日以内の通院または入院リスク、もしくは28日以内の死亡の相対リスクを、比例ハザード回帰法を用いて推算し評価した。 解析は、試験日、10歳年齢群単位、民族、居住地域、ワクチン接種状況で層別化し、さらに、性別、複数の剥奪指数、以前の感染の有無、各年齢群で補正して行われた。副次解析では、変異株特異的およびワクチン特異的なワクチン効果、デルタ変異株と比較したオミクロン変異株固有の相対的重症度(ワクチン未接種例など)を推算した。オミクロン変異株の入院・死亡に、mRNAワクチンのブースターの有効性70%以上 デルタ変異株と比較したオミクロン変異株の、通院(入院不要と診断)の補正後ハザード比(HR)は0.56(95%信頼区間[CI]:0.54~0.58)で、入院は同0.41(0.39~0.43)、死亡は0.31(0.26~0.37)であった。 オミクロン変異株vs.デルタ変異株のHR推定値は、解析したすべてのエンドポイントで年齢によるばらつきが認められた。たとえば入院のHRは、10歳未満では1.10(95%CI:0.85~1.42)で、年齢が上がるに従って低下し60~69歳では0.25(0.21~0.30)だったが、それ以降の年齢群では増大し、80歳以上では0.47(0.40~0.56)であった。 両変異株について、以前の感染が、ワクチン接種群(HR:0.47[95%CI:0.32~0.68])とワクチン未接種群(0.18[0.06~0.57])の両症例において、死亡に対するある程度の保護効果をもたらしたことが認められた。一方で、以前の感染は、ワクチン接種によりもたらされる以上の入院に対する追加の保護効果をもたらしていなかった(ワクチン接種群のHR:0.96[0.88~1.04])。しかしながらワクチン未接種群では、以前の感染が中程度の保護効果をもたらしていた(HR:0.55[0.48~0.63])。 オミクロン変異株vs.デルタ変異株のHR推定値は、ワクチン未接種群症例での入院(0.30[95%CI:0.28~0.32])が、主要解析のすべての症例の対応するHR推定値よりも低かった。 mRNAワクチンによるブースター接種は、オミクロン症例の入院および死亡に対して非常に高い保護効果を示した(ブースター接種後8~11週間の入院のHR(vs.ワクチン未接種):0.22[95%CI:0.20~0.24])。ブースターは、1回目と2回目に使用されるワクチンによる影響はみられなかった。 これらの結果を踏まえて著者は、「観察されたリスクの根底には、ワクチン有効性の低下によって相殺された内因性重症度(ワクチン未接種者における)の大幅な低下がある。また、以前のSARS-CoV-2感染は、ワクチン未接種者の入院に対するある程度の保護効果と死亡に対する高い保護効果をもたらしたが、ワクチン接種者では死亡のエンドポイントについてのみ追加の保護効果をもたらしていた。mRNAワクチンのブースター接種は、新たに確認されたオミクロン変異株感染における入院および死亡について70%以上の有効性を維持することが示された」とまとめている。

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90日超のVTE経口抗凝固療法、最適薬は?/JAMA

 静脈血栓塞栓症(VTE)で入院後に長期経口抗凝固療法を受けた患者の探索的解析において、90日超の処方・投与についてアピキサバン(商品名:エリキュース)はワルファリンと比較して、再発VTEによる入院の発生割合をわずかだが有意に低下した。一方で、大出血による入院の発生割合に有意差はなかった。また、アピキサバンvs.リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)またはリバーロキサバンvs.ワルファリンのいずれの比較においても有意差はなかったという。米国・ブリガム&ウィメンズ病院/ハーバード大学医学大学院のAjinkya Pawar氏らが検討結果を報告した。VTE治療ガイドラインでは、経口抗凝固薬を用いた治療は90日以上と推奨されているが、90日超の継続投与での最適な薬剤に関するエビデンスは限定的であった。JAMA誌2022年3月15日号掲載の報告。アピキサバンvs.リバーロキサバンvs.ワルファリンの探索的解析 研究グループは、再発VTE、大出血による入院、および死亡のアウトカムについて、抗凝固療法開始90日後のアピキサバン、リバーロキサバン、ワルファリンの処方・投与を比較する探索的後ろ向きコホート試験を行った。fee-for-service Medicare(2009~17年)および2つの民間健康保険(2004~18年)のデータベースを用い、VTEで入院・退院後に経口抗凝固療法を開始し90日超の投与が継続された成人6万4,642例を対象に、VTE治療開始90日後の処方薬アピキサバン、リバーロキサバン、ワルファリンについてアウトカムを比較した。 主要アウトカムは、再発VTEによる入院、大出血による入院で、傾向スコア重み付け法にて補正を行い解析した。患者は90日間の治療後も、治療中止、アウトカム発生、死亡、試験登録抹消またはデータが入手できる限り、エピソードの追跡を受けた。重み付けCox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推算し評価した。再発VTE入院についてのみ、アピキサバン群vs.ワルファリン群で有意差 試験には、アピキサバン群9,167例(平均年齢71[SD 14]歳、女性5,491例[59.9%])、リバーロキサバン群1万2,468例(69[14]歳、7,067例[56.7%])、ワルファリン群4万3,007例(70[15]歳、2万5,404例[59.1%])が包含された。 再発VTEに関する追跡期間中央値は109(IQR:59~228)日間、大出血に関しては同108(58~226)日間であった。 傾向スコア重み付けで補正後、再発VTE入院の発生率について、アピキサバン群はワルファリン群と比較して有意に減少したが(9.8 vs.13.5/1,000人年、HR:0.69[95%CI:0.49~0.99])、リバーロキサバン群とでは有意差は認められなかった(9.8 vs.11.6、0.80[0.53~1.19])。また、リバーロキサバン群とワルファリン群で有意差はなかった(11.6 vs.13.5、0.87[0.65~1.16])。 大出血入院の発生率は、アピキサバン群44.4/1,000人年、リバーロキサバン群50.0/1,000人年、ワルファリン群47.1/1,000人年で、アピキサバン群vs.ワルファリン群のHR(95%CI)は0.92(0.78~1.09)、アピキサバン群vs.リバーロキサバン群では0.86(0.71~1.04)、リバーロキサバン群vs.ワルファリン群では1.07(0.93~1.24)であった。

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一般的な指標だけから急性腎障害を予測できるか?(解説:今中和人氏)

 急性腎障害(AKI)発生の影響は大きい。複数の新規バイオマーカーと開心術後AKIとの関連が報告されているが、実用面のハードル(結果判明の迅速さ、検体の取り扱い、コストはスクリーニング検査として容認可能か、など)があるのか、あまり普及していない。確かに、たとえば無尿になった後に結果が出るのでは実臨床では使い物にならないが、術前血清クレアチニン(Cr)などの一般的な指標のAKI予測力は不十分である。 本論文は2000~19年のクリーブランド・クリニック本院における成人開心術5万8,526例からAKI予測モデルを作成し、その有用性を3つの関連市中病院の4,734例で確認した(術前Cr 4mg/dl以上や透析患者は除外。術中も含め早々にAKIが明らかな患者も除外)。患者背景は似通っており、年齢中央値60代後半、男性70%前後、白人が90%前後、体重は82~85kg、糖尿病は20%台で、96%が人工心肺下の手術であった。 対象アウトカムは4つで、術後72時間以内または14日以内に生じた、stage 2以上のAKIまたは透析実施とし、説明変数に術前Cr、術後1回目の採血でのCrの変動、血清アルブミン、ナトリウム、カリウム、重炭酸、尿素窒素と、手術終了から1回目の採血までの時間、を採用した。4つのアウトカムそれぞれについて係数の異なる予測数式を作成し、対象アウトカムの発生リスク1%、5%、10%、20%をメルクマールに的中率も検討した。 クリーブランド・クリニック本院では、術後72時間以内に生じたstage 2以上のAKIが4.6%、透析実施が1.48%、14日以内ではそれぞれ5.4%、1.74%であり、関連病院でもほぼ同等のアウトカム発生率だった。術後1回目の採血は、本院では中央値10時間後、関連病院では6時間後に行われた。本論文の主題である予測モデルは、本院症例で術後72時間以内のイベント発生のAUCがそれぞれ0.876、0.916、14日以内発生ではAUC 0.854、0.900で、クリーブランド・クリニックが過去に発表した予測モデル以上に精度が高かった。このモデルを関連病院症例に適用したところ、72時間以内のAUCが0.860、0.879、14日以内だとAUC 0.842、0.873と、良好な予測識別力が実証された。 そもそもAKIは主に術後のCr上昇で定義されるが、これと独立していない説明変数(もちろん、ナトリウムや重炭酸とはオッズ比が桁違い)が含まれること、本モデルはほぼ腎要因だけで構成されているが、AKI発生には人工心肺時間やカテコラミン量など、術中要因・腎前性要因の影響も大きいこと、透析開始の基準が詳述されていないこと、陰性的中率は95%以上、透析に限定すると99%以上と非常に高いが、そもそも事象発生が2%未満と少なく陽性的中率はいま一歩なことなど、気になる点は若干ある。しかし開心術後に必ずチェックし、迅速に結果が得られる指標のみで高精度にAKI発生を予測できた意義は大きい。なお近年は薬剤で尿量を確保することで、AKIはともかく透析は回避できるケースが増えているので、遠からず新バージョンが登場すると思われる。

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新型コロナワクチンからリスクとベネフィットを考える【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第46回

第46回 新型コロナワクチンからリスクとベネフィットを考える新型コロナとの闘いが続きます。3回目のワクチン接種の普及が鍵といわれています。小生もワクチン接種会場の問診係として何度か協力しております。接種に当たり皆に配布されるワクチンについての説明用紙に、「接種に当たっては、リスクとベネフィットをご理解いただき、納得したうえで接種してください」と記載してあることに気づき驚きました。リスクとベネフィットに基づいて、ワクチンを接種するかしないかを選択することは難しいことだと感じたからです。これは、医師や医療関係者にも難しいことで、一般市民の方々には本当に困難なことに思えます。私たちは日々の生活をしていく中でも、毎日多くのことを選択しています。晩御飯はなににするか? 肉か魚か? 肉は高価だが国産にするか外国産にするか? 休日にはどこに行こう? ディズニーランドか田舎の温泉宿か? 自分の車で行くか電車で行くか? などなど…です。選択の結果、良い結果になることもあれば悪い結果になることもあります。しかし、この程度の選択では生命を左右するほどの差異に至ることはないので気楽です。人生に大きく関わる選択もあります、この人と結婚して良いのか? もっと良い次の出会いがあるかもしれない。この課題では、選択が正しかったのか間違っていたのかの評価が困難であることと、いったん解消してリセットすることも可能な社会システムも準備されています。しかし、医療における選択は命に関わるだけに重大です。なによりも、いったん失われた命はリセットして回復させることはできません。ワクチンの接種によって得られる利益つまりベネフィットと、副反応などのリスクを比較し判断するのは、なぜ難しいのでしょうか。ワクチンは、感染症の抗菌薬や対症療法薬ではありません。すでに感染し発熱や呼吸困難に苦しむ患者の治療薬であれば、その薬剤の効果を評価することは比較的容易です。ワクチンは予防薬ですから、すでに疾患をもつ患者への治療薬のような目に見える効果がありません。ワクチンを接種して健康な生活を続ける人々は、「俺はワクチンを打たなくても感染もしなかったし元気でいた」と思うのです。責めるわけではありません。それが人間です。健康な人は、感染症予防や感染症拡大の抑制といったワクチンの役割に気づくことはありません。ワクチンのベネフィットは、ワクチンを接種した人としなかった人での、感染率や死亡率の差異などの疫学的に正確に収集したデータに拠らなければ判明しません。こういったデータに基づく地味な情報を粛々と報じて、わかりやすく解説する成熟した報道機関が期待される由縁です。一方で、ワクチンの副反応などのリスクは可視化が容易です。ワクチン接種後の、心筋炎や心膜炎などの個々の症例の情報はソーシャルメディアなどを通して拡散しがちです。これにより、ワクチン接種を躊躇したり、懸念を示したり、あるいは接種に強く反対したりする人々が増える可能性があります。実際に、ワクチン後の心筋炎はゼロではありません。その点について、日本循環器学会は声明を発表しています。一部を紹介します(2022年3月12日日本循環器学会ホームページ確認)。新型コロナウイルスワクチン接種後の急性心筋炎と急性心膜炎の発症率は、新型コロナウイルス感染後の急性心筋炎と急性心膜炎の発症率に比較して極めて低い。新型コロナウイルスワクチン接種後に発症する急性心筋炎と急性心膜炎の大半は軽症である。新型コロナウイルスワクチン接種による利益は、ワクチン接種後の急性心筋炎と心膜炎の危険性を大幅に上回る。さらにワクチン接種のリスクとベネフィットを複雑にするのが集団免疫という概念です。ワクチンは集団免疫として働きますので、ワクチンの接種率も重要です。例えば、自分勝手な独裁者は、ワクチンを接種しなくとも自分以外の全員にワクチンを強制的に接種させればワクチンの利益を享受することができます。ワクチンは、背景因子によって医学的に接種できない人が一定数いますので、可能な人は受けていただきたい理由です。ワクチンを接種しないという意思決定は個人的な選択のように見えますが、集団免疫のため他者への影響を伴うものであることを認識すべきです。ワクチン接種は幅広い社会における義務の一部という考えの背景です。今回は、新型コロナのワクチンをめぐってのリスクとベネフィットを考えてみました。話を変えます。とっても変な夢を見ました。オリンピックの開会式などで鳩が一斉に放たれ競技場から飛び去る状況はイメージできると思います。自分の見た夢を紹介します。世の中の人すべてがマスクをはずし捨て去ると、そのマスクがあたかも鳩が離散するかのようにヒラヒラと天高く消え去っていくシーンです。これは、きっと正夢に違いありません。コロナ収束を願っております。

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関節型若年性特発性関節炎〔pJIA:Polyarticular Juvenile Idiopathic Arthritis〕

1 疾患概要■ 定義・分類若年性特発性関節炎(JIA)は16歳未満に発症し6週間以上持続する原因不明の慢性関節炎の総称である。発症から6ヵ月までの臨床像から、(1)全身型、(2)少関節炎、(3)rheumatoid factor(RF)陰性多関節炎、(4)RF陽性多関節炎、(5)乾癬性関節炎、(6)腱付着部炎関連関節炎、(7)分類不能型の7病型に分類され1)、また治療の視点から、全身型、関節型、症候性の3つに整理されている(図1)。図1 JIAの病型分類と関節型JIAの位置付け画像を拡大する6歳未満に発症した原因不明の慢性関節炎は、発症から6ヵ月以内の臨床症状や検査所見から7病型に分類される。また、治療の観点から、全身型JIA、関節型JIA、症候性JIAの3つに分類するが、このうち関節型JIAとは、主に少関節炎JIA、RF陰性およびRF陽性多関節炎JIAを指し、全身型JIAで発症し、全身症状が消退しても関節炎が遷延するものも含まれる。関節型JIAとは、主に(2)少関節炎JIAと(3)RF陰性および(4)RF陽性多関節型JIAの3病型を指す。少関節炎JIAと多関節炎JIAは炎症関節の数で区分されており、前者は4関節以下、後者は5関節以上と定義されている。また、(1)全身型JIAの約20%は、その後、全身症状(発熱、皮疹など)を伴わず関節炎が遷延する経過をとるため(全身型発症多関節炎)、関節型JIAに含められている。■ 疫学わが国のJIAの有病率は小児10万人当たり8.8~11.6と報告され、推定患者数は2,893人である。また、JIAの病型の比率2)は、全身型41.2%、少関節炎20.2%、RF陰性多関節炎13.7%、RF陽性多関節炎18.2%であることから、関節型JIAの患者数は約1,700人程度と推定される。■ 病因関節型JIAの病因は不明であるが、抗核抗体陽性例が多い少関節炎JIAやRF陽性多関節炎JIAは自己免疫疾患の1つと考えられている。また、後述する生物学的製剤biologic disease modifying anti-rheumatic drugs(bDMARDs)の有効性から、関節型JIAの病態形成にTNFやIL-6などの炎症性サイトカインや、T細胞活性化が関与していることは明らかである。■ 症状1)関節症状関節は腫脹・発赤し、疼痛やこわばり、痛みによる可動域制限を伴う。関節炎は、少関節炎JIAでは大関節(膝、足、手)に好発し、多関節炎JIAではこれに小関節(指趾、頸椎など)が加わる。しかし、小児では本人からの関節症状の訴えは少ない。これは小児では痛みを具体的に説明できず、痛みを避ける動作や姿勢を無意識にとっているためと考えられる。そのため、起床時の様子や午前中の歩行容姿、乳児ではおむつ交換時の激しい啼泣などから、保護者が異常に気付くことが多い。2)関節外症状関節症状に倦怠感や易疲労感を伴う。関節症状と同様、倦怠感は起床時や午前中に強いが、午後には改善して元気になる。そのため、学校では午前中の様子をさぼりや無気力と誤解されることがある。微熱を伴うこともあるが高熱とはならず、皮疹もみられない。少関節炎JIAを中心に、JIAの5~15%に前部ぶどう膜炎(虹彩毛様体炎)がみられる。関節炎発症から6年以内に発症することが多く、発症リスクとして、4歳未満発症と抗核抗体陽性が挙げられている。また、発症早期には自覚症状(眼痛、羞明)に乏しい。そのため、早期診断には眼症状がなくても定期的な眼科検診が欠かせない。■ 予後適切な治療により長期寛解が得られれば、JIAの約半数は無治療寛解(off medication寛解)を達成する。ただその可能性は病型で異なり、少関節炎JIAやRF陰性多関節炎では過半数が無治療寛解を達成するが、RF陽性多関節炎JIAや全身型発症多関節炎JIAでは、その達成率は低い(図2)。完治困難例の関節予後は不良であり、不可逆的な関節破壊による機能障害が進行し、日常生活に支障を来す。しかし、わが国では2008年にJIAに対する最初のbDMARDsが認可され、今後は重篤な機能障害に至る例は減少することが期待されている。少関節炎JIAに好発するぶどう膜炎は治療抵抗性であり、ステロイド点眼で寛解しても減量や中止後に再燃を繰り返す。そのため、眼合併症(帯状角膜変性、白内障、緑内障など)が経過とともに顕在化し、視機能が障害される。ぶどう膜炎についても、2016年にbDMARDsの1つであるアダリムマブ(adalimumab:ADA)が非感染性ぶどう膜炎で認可され、予後の改善が期待されている。図2 JIAの病型別累積無治療寛解率画像を拡大する鹿児島大学小児科で治療した全身型89例および多関節型JIA196例、合計285例のうち、すべての治療を中止し、2年間寛解状態を維持したものを、無治療寛解と定義し、その累積達成率を病型毎に検討した。その結果、JIA285例全体の累積無治療寛解率は罹病期間5年で33.1%であったが、病型別の達成率では、RF陽性多関節炎JIAと全身型発症多関節型JIAで低値であった。* 全身型で発症し、全身症状消失後も関節炎が遷延する病型**全身型で発症し、疾患活動期には関節炎と全身症状を伴う病型2 診断 (検査・鑑別診断も含む)持続する原因不明の関節炎がJIAの必須要件であるが、特異的な所見に乏しいために診断基準は確立されていない。したがって、臨床症状や検査所見を参考にJIAの可能性を検討し、鑑別疾患を除外して初めて診断される。■ 臨床症状関節炎は固定性・持続性で、しばしば倦怠感や易疲労性を伴う。関節症状(関節痛、こわばり感)は起床時や朝に強く、時間とともに改善する。高熱や皮疹はみられない。■ 検査所見抗環状シトルリン化ペプチド抗体(anti-cyclic citrullinated peptide antibody :ACPA)が陽性であればRF陽性多関節炎JIAの可能性が高い。一方RFは、RF陽性多関節炎JIAでは必須であるが、他のJIA病型では陰性であり、むしろシェーグレン症候群や混合性結合組織病での陽性率が高い。したがって、ACPAやRFが陰性でもJIAを否定できず、少関節炎JIAやRF陰性多関節炎JIAの可能性を検討する必要がある。MRIや関節エコー検査における肥厚した関節滑膜や炎症を示唆する所見は、関節型JIAの早期診断に有用であるが、JIAに特異的な所見ではない。一方、X線検査による関節裂隙の狭小化や骨糜爛などの破壊像はJIAに特異性が高いものの、早期診断には役立たない。MMP-3の増加は関節炎の存在や関節破壊の進行予知に有用である。しかし、健康幼児のMMP-3はほとんどが測定感度以下であるため、正常値であっても慎重に判断する。また、MMP-3の評価にはステロイドの影響を除外する必要がある。■ 鑑別疾患小児の関節痛に対する鑑別疾患を、疼痛部位や臨床経過、随伴症状、検査所見を含めて図3に示す。図3 疼痛部位や経過、臨床所見からみた小児の関節痛の鑑別疾患画像を拡大する年齢別には、乳幼児では悪性疾患(白血病)や自己炎症性疾患、年長児では他の膠原病やリウマチ性疾患、線維筋痛症、悪性疾患(骨肉腫)などを中心に鑑別する。一方、感染症や若年性皮膚筋炎との鑑別は全年齢にわたって必要である。関節炎に発熱や皮疹を伴う場合は、皮膚筋炎や全身性エリテマトーデスなどの膠原病疾患だけでなく、全身型JIAやブラウ症候群などの自己炎症性疾患を鑑別する。特に白血病や悪性疾患については、JIAとして治療を開始する前に除外しておくことは重要である。白血病を含む小児腫瘍性疾患1,275例を検討した報告では、発症時に関節炎を伴う例が102例(8%)存在し、これを関節型JIA 655例と比較したところ、「男児」、「単関節炎」、「股関節炎」、「全身症状」、「夜間痛や背部痛」が悪性疾患のリスク所見であった。特に白血病の初期は末梢血が正常であることが多く、骨髄検査で除外しておくことが必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 治療目標関節型JIAの治療目標は関節炎病態に寛解を導入し、破壊性関節炎の発生や進行を抑止することである。一方、JIAの約半数は、治療寛解を長期維持した後に治療中止が可能で、その後も再燃せずに無治療寛解を維持する(図2)。そのため、関節型JIAにおいても、その最終的な治療目標は永続性のある無治療寛解(完治cure)であり、この点がRAとの最も大きな違いである。■ 治療評価1)診察時の評価関節痛や倦怠感、朝のこわばりの持続時間などで評価する。小児では訴えが不明確で評価が難しため、保護者からもたらされる日常生活の情報(歩行容姿や行動量などの変化)が参考になる。理学所見では、活動性関節炎(関節腫脹や圧痛)の数や、関節可動域の変化で評価する。検査では、炎症指標(CRP、赤沈、血清アミロイドA)やMMP-3、関節エコー所見などが参考になる。2)疾患活動性の総合評価27関節を評価するJuvenile Arthritis Disease Activity Score(JADAS)27が臨床評価に用いられている(図4)3)。RAで用いられるDAS28と異なり、少関節炎JIAで好発する足関節炎の評価が可能である。JADAS27の評価項目はVisual analog scale (VAS、0-10cm)による(1)医師および(2)患児(または保護者)の評価、(3)活動性関節炎数(0-27)、(4)標準化赤沈値([1時間値-20]/10、0-10)の4項目からなり、その合計スコア値(0-57)で評価する。なお、活動性関節炎とは、関節の腫脹または圧痛がある関節、圧痛がない場合は伸展屈曲負荷をかけた際に痛みがある関節と定義されている。また、JADAS27から標準化赤沈値を除いたスコア値を用いて、疾患活動性を寛解、低度、中等度、高度の4群にカテゴリー化するcut-off値も定義されている。3)寛解の種類と定義臨床寛解(clinical inactive disease)の定義は、(1)活動性関節炎、(2)活動性のぶどう膜炎、(3)赤沈値およびCRP値の異常、(4)発熱、皮疹、漿膜炎、脾腫、リンパ節腫脹がなく、(5)医師による総合評価が最小値で、(6)朝のこわばりが5分以下の6項目をすべて満たした状態である。また、この臨床寛解を治療により6ヵ月以上維持していれば治療(on medication)寛解、治療中止後も1年以上臨床寛解を維持していれば、無治療(off medication)寛解と分類される。図4 JADASを用いた関節型JIAの疾患活動性評価画像を拡大する医師および患児(または保護者)による総合評価、活動関節炎数、標準化赤沈値の集計したスコア値で疾患活動性を評価する。JADASには評価関節の数により、JADAS71、JADAS27、JADAS10の3つがあるが、臨床現場ではJADAS27が汎用されている。JADAS27では、DAS28で評価しない頸椎、両股関節、両足関節を評価する一方、DAS28で評価する両側の4-5MP関節、両肩関節は評価しない。疾患活動性を寛解、低活動性、中等度活動性、高度活動性の4群に分類する場合、標準化ESR値を除いた3項目の合計スコア値を用いる。その際のスコア値は、関節炎数が4関節以下の場合は、それぞれ0~1、0~1.5未満、1.5~8.5未満、8.5以上、関節炎数が5関節以上の場合は、それぞれ0~1、0~2.5未満、2.5~8.5未満、8.5以上と定義されている。■ 治療の実際(図5)4)関節型JIAの3病型のいずれも、以下の手順で治療を進める。また、治療開始後の臨床像の変化を、症状、理学所見、検査値、関節エコー、JADAS27などで評価し、治療の有効性と安全性を確認しながら治療を進める。図5 関節型JIAの治療手順画像を拡大する治療目標は無治療寛解である。予後不良因子のあるhigh risk群では、初期治療からNSAIDsにcsDMARDs(第1選択薬はMTX)を併用し、無効であれば生物学的製剤bDMARDsの追加併用を検討する。1)初期治療(1)1stステップ関節痛に対し、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)を開始するとともに、予後不良因子(RF、ACPA、関節破壊像、日常生活に重要な頸椎・股・手関節などの関節炎)の有無を検討する。JIAに保険適用のあるNSAIDsは、イブプロフェン(30~40mg/kg/日、分3、最大2,400mg/日)とナプロキセン(10~20mg/kg/日、分2、最大1,000mg/日)に限られている。また、NSAIDsで疼痛コントロールが不十分でQOLが著しく低下している場合、少量ステロイド薬(glucocorticoid:GC)を併用することがある。ただ、GCはその強い抗炎症作用でCRP値や関節痛を改善させても、関節炎病態を寛解させない。そのためGCは2ndステップの治療効果が確認されるまでの橋渡し的な使用に限定すべきであり、漫然と継続してはならない。予後不良因子がある場合は、速やかに2ndステップの治療を開始する。予後不良因子がない場合はNSAIDsのみで経過を診るが、2週間経過しても改善が得られなければ、2ndステップの治療に移行する。(2)2nd ステップ従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(conventional synthetic disease modifying anti-rheumatic drugs:csDMARDs)をNSAIDsに追加併用する。第1選択薬はメトトレキサート(methotrexate:MTX)であり、globalな標準投与量は有効血中濃度(ピーク値5.8×10-7moles/L以上)が得られる10~15 mg/m2/週(分1、空腹時投与)である5)。しかし、わが国でのJIAでの承認投与量は4~10mg/m2/週であるため、MTX10mg/m2を週1回、空腹時に分1で投与するのが一般的な投与法である。また、副作用軽減を目的にフォリアミン5mgをMTX投与翌日に投与する。このMTXの投与量10mg/m2は、平均的な体格の小学生1年生で8mg、中学生1年生で15mgに相当する。RAでの上限投与量が16mgであることを考えれば、成人より相対的に高用量であるが、これは小児では、MTXの腎排泄が成人と比べて早いためである。そのため、小児では腎障害や骨髄抑制の発生は少ない。また、高齢者に多いMTXによる肺障害も極めてまれである。小児での主な副作用は嘔気や気分不良で、中学生以降の年長児ではほぼ必発である。そのため、訴えの強い小児では制吐剤の併用、就寝前の服用、剤型の変更などを検討する。なお、DMARDsには既感染の結核やB型肝炎ウイルス(HBV)を再活性化させる可能性がある。そのため、投与開始前に結核(T-spotや胸部Xp/CT)やHBV関連抗原/抗体(HBsAg、HBsAb、HBcAb)の検査を行って感染の有無を確認する。また、トキソプラズマやサイトメガロウイルス、ニューモシスチス肺炎や他の真菌感染症(β-D-glucan)の有無を検討しておくことも必要である。MTX開始後2ヵ月経過しても十分な効果が得られない場合、MTXを他のcsDMARDs (サラゾスルファピリジン[sulfasalazine]やイグラチモド[iguratimod/商品名:ケアラム]など)へ変更する選択肢もある。しかし、海外でその推奨度は低く、またcsDMARDsの効果発現までさらに数ヵ月を要すること、わが国ではJIAに保険適用のあるcsDMARDsはMTX以外にはないこともあり、他のcsDMARDsへの変更は現実的ではない。したがって、次の治療ステップである生物学的製剤(bDMARDs)の追加併用を検討する。(3)3rdステップ関節型JIAに保険適用のあるbDMARDsは、TNF阻害薬のエタネルセプト(Etanercept :ETA)とアダリムマブ(Adalimumab:ADA)、IL-6阻害薬のトシリズマブ(Tocilizumab :TCZ/同:アクテムラ)、T細胞選択的共刺激調整剤のアバタセプト(Abatacept:ABT/同:オレンシア)の4製剤のみである(表)。表 関節型JIAに保険適用のある生物学的製剤画像を拡大するa)TNF阻害薬ETNはTNF受容体(TNF-R2)とヒトIgG1Fcとの融合蛋白製剤であり、血中のTNFα/βと結合することで標的細胞表面上のTNF R2との結合を阻害し、TNFによる炎症誘導シグナルの伝達を抑制する。半減期が短く、0.4mg/kgを週2回皮下注で投与する。JIAで認可された剤形はETNを凍結乾燥させたバイアル製剤のみであり、家族が投与前に溶解液を調合する必要があった。その後、2019年にETN注射液を容れた目盛付きシリンジ製剤(同:エタネルセプトBS皮下注シリンジ「TY」が、また2022年にはエタネルセプトBS皮下注シリンジ「日医工」)がバイオシミラー製剤としてJIAで保険適用を取得し、利便性が向上した。ADAはTNF-αに対する完全ヒト型モノクローナル抗体で、中和抗体として標的細胞上のTNFα受容体へのTNF結合を阻害する。また、TNF産生を担う活性化細胞膜上に発現したTNFαとも結合し、補体を介した細胞傷害性(ADCC)によりTNF産生を抑制する。投与量は固定量で、体重30kg未満では20mgを、体重30kg以上では40mgを、2週毎に皮下注で投与する。わが国のJIA375例を対象とした市販後調査では、投与開始24週後のDAS寛解(DAS28-4/ESR<2.6)達成率は、治療開始時の21.7%から74.7%に増加し、また難治性のRF陽性多関節炎JIAや全身型発症多関節炎JIAにおいても、それぞれ61.9%、80.0%まで増加した。この市販後調査は、前向きの全例調査であることから、臨床現場(real world)での治療成績と考えられる。b)IL-6阻害薬TCZはIL-6受容体に対するヒト化モノクローナル抗体である。細胞膜上のIL-6受容体および流血中のsoluble IL-6受容体と結合し、IL-6のシグナル伝達を阻害し、炎症病態を制御する。4週ごとにTCZ 8mg/kgを点滴静注で投与する。RAに保険適用のある皮下注製剤や、TCZと同じ作用機序をもつサリルマブ(sarilumab/同:ケブザラ)はJIAでは未承認である。多関節型JIA132例を対象とした市販後調査(中間報告)では、投与開始28週後の医師による全般評価は、著効53%、有効42%であり、あわせて90%を超える例が有効と判断された。また、投与前と投与28週後の関節理学所見の変化を57例で検討すると、疼痛関節数(平均)は5.3から1.5へ、腫脹関節数(平均)は5.6から1.6へ減少し、赤沈値も32mm/時間から5mm/時間へと改善した。c)T細胞選択的阻害薬ABTはcytotoxic T lymphocyte associated antigen-4(CTLA-4)とヒトIgG1-Fcとの融合蛋白(CTLA-4-Ig)であり、抗原提示細胞(antigen presenting cell:APC)のCD80/86と強力に結合する。そのため、APCのCD80/86とT細胞のCD28との結合で得られる共刺激シグナルが競合的に遮断され、T細胞の過剰な活性化が抑制される。1回10mg/kgを4週ごとに点滴静注で投与する。皮下注製剤はJIAでは未承認である。1剤以上のcsDMARDに不応な関節型JIA190例を対象とした海外での臨床試験では、ACRpedi 50/70/90改善の達成率は投与4ヵ月時点でそれぞれ50/28/13%であった。また、引き続き行われた6ヵ月間のdouble blind期間においてABT群はプラセボ群と比較して有意な寛解維持率を示した。さらにその後の長期投与試験では、4年10ヵ月の時点でのACRpedi 50/70/90改善達成率はそれぞれ34/27/21%であり、有効性の長期継続が確認された。2)bDMARDs不応例の治療bDMARDs開始後は、その有効性と安全性を監視する。初めて導入したbDMARDsの投与開始3ヵ月後のDAS28が2.49以下であれば、2年以上の寛解が期待できるとした報告がある。しかし、臨床所見やJADASやDAS28スコアの改善が不十分で、bDMARDs不応と思われる場合は、治療変更が必要である。その際は、作用機序の異なる他のbDMARDsへのスイッチが推奨されている。Janus kinase(JAK)阻害薬は、分子標的合成(targeted synthetic:ts)DMARDsに分類され、bDMARDs不応例に対するスイッチ薬の候補である。JAKは、IL-2、 IFN-γ、IFN-αs、IL-12、IL-23、IL-6などの炎症性サイトカインの受容体に存在し、ATPと結合してそのシグナルを伝達する。JAK阻害薬はこのATP結合部位に競合的に結合し、炎症シグナル伝達を多面的に阻害することで抗炎症作用を発揮する。また、低分子化合物であるため内服で投与される。Rupertoらは、多関節炎JIA225例(関節型JIA184例、乾癬性関節炎20例、腱付着部炎関連関節炎21例)を対象にトファシニチブ(tofacitinib:TOF/同:ゼルヤンツ)の国際臨床試験を行った。まず18週にわたりTOF5mgを1日2回投与し、ACR30改善達成例を実薬群72例とプラセボ群70例の2群に分け、その後の再燃率を44週まで検討した。その結果、TOF群の再燃率は29%と低く、プラセボ群の53%と有意差を認めた(hazard比0.46、95%CI 0.27-0.79、p=0.0031)。現在、JIAに保険適用のあるJAK阻害薬はないが、バリシチニブ(baricitinib)の国際臨床試験がわが国でも進行中である。4 今後の展望疫学研究では、JIAを含む小児リウマチ性疾患の登録が進められている(PRICURE)。臨床研究では、前述のように関節型JIAに対するJAK阻害薬のバリシチニブの国際臨床試験が進行中である。5 主たる診療科小児科であるが、わが国の小児リウマチ専門医は約90名に過ぎず、また専門医のいる医療機関も特定の地域に偏在している。そのため、他の領域に専門性を持つ多くの小児科専門医が、小児リウマチ専門医と連携しながら関節型JIAの診療に携わっている。日本小児リウマチ学会ホームページの小児リウマチ診療支援MAPには、小児リウマチ診療に実績のある医療機関が掲載されている。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本小児リウマチ学会 小児リウマチ診療支援MAP(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病情報センター(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 若年性特発性関節炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児リウマチ性疾患国際研究組織(PRINTO)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報JIA家族会「あすなろ会」(患者とその家族および支援者の会)1)Petty RE, et al. J Rheumatol. 2004;31: 390-392.2)武井修治,ほか. 小児慢性特定疾患治療研究事業の登録・管理・評価・情報提供に関する研究, 平成19年度総括・分担研究報告書2008.2008.p.102-111.3)Consolaro A, et al. Arthritis Rheum. 2009;61:658-666.4)小児リウマチ調査検討小委員会. 全身型以外の関節炎に対する治療、若年性特発性関節炎初期診療の手引き2015. メディカルレビュー社;2015.p.59-66.5)Wallace CA, et al. Arthritis Rheum. 1989;32:677-681.公開履歴初回2022年3月23日

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新しい慢性めまい疾患「PPPD」とは?【知って得する!?医療略語】第8回

第8回 新しい慢性めまい疾患「PPPD」とは?新しいめまいの疾患概念が登場したって本当ですか?めまいに関して、持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)という疾患概念が確立し、耳鼻科系医学誌を中心に注目されています。そのため、複数の診療科が関与しうるPPPDは、多くの医師が知っておくと良いかもしれません。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】PPPD【日本語】持続性知覚性姿勢誘発めまい【英字】Persistent Postural-Perceptual Dizziness【分野】脳神経・心療内科【診療科】耳鼻科・精神科【関連】視覚起因性めまい VV(visual vertigo)恐怖性姿勢めまいPPV(phobic postural vertigo)空間と動きの不快感 SMD(space motion discomfort)慢性自覚性めまい CSD(chronic subjective dizziness)実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。めまいは多くの臨床医が遭遇する症状の1つですが、慢性的めまいに関して、近年注目されている『持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD:Persistent Postural-Perceptual Dizzines)』は、耳鼻科医のみならず内科、心療内科、精神科、リハビリ科など複数診療科の医師が関わる可能性のある疾患のため、取り上げたいと思います。PPPDは2017年にBarany学会から診断基準が提示された新しい慢性めまいの疾患です。診断基準は、日本語版が日本めまい平衡医学会から示されており、「3ヵ月以上持続する浮遊感」「不安定感」「非回転性めまい」を主訴に、体動や動く物体を見たとき、あるいは複雑な視覚パターンを見たときに増悪します。筆者が経験した患者2名は、縞模様の物をみると、明らかな症状の増悪があり、1名は前庭片頭痛が前駆していました。両名とも日常生活や仕事に大きな支障がありました。慢性めまいの39%がPPPDだったとする報告もあり、慢性めまいの鑑別として重要です。PPPDに特徴的な検査異常はなく、臨床症状と経過より診断します。PPPDの治療法は、抗うつ薬や抗不安薬による薬物治療と、認知行動療法・前庭リハビリテーションによる非薬物治療があります。PPPDを認識しておくことは有用だと思います。お時間が許せば、下の総説論文で詳細をご確認ください。1)堀井 新. 日耳鼻. 2020;123:170-172.2)五島 史行. 日耳鼻. 2021;124;1467-1471.

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