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事例046 糖尿病における在宅自己注射指導管理料で査定【斬らレセプト シーズン2】

解説他院で糖尿病治療中でしたが、血糖コントロール不良にてインスリンなどの自己注射の適応であると紹介を受けた患者です。初診時から自己注射の必要性などを説明されています。3回目の診察にて、自己注射を導入、「C101 在宅自己注射指導管理料」(以下「同管理料」)にかかる一連の項目を算定したところ、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて、同管理料と「C150 血糖自己測定器加算」が査定となりました。同様条件の初診事例で初めての査定でした。査定事由が「D」であったことから、再度、同管理料の算定要件を確認してみました。留意事項(9)に「医師が当該月に在宅で実施するよう指示した注射の総回数に応じて所定点数を算定する。(中略)あらかじめ在宅で実施されないことが明らかな場合は、当該期間中の指示回数から実施回数を除して算定する」とあります。診療報酬の算定ルールの当該月とは、1日から末日までと規定されています。その間の実際に指示した回数で算定することになります。同管理料の算定開始は「11月20日」と表示されています。当該月は11月30日までです。医師が指示した該当月中の総回数は1日2回×11日分=22回となります。したがって、同管理料の算定区分は「月27回以下」の区分に、血糖自己測定器加算は「月20回以上30回未満」の区分に査定となったものと考えられました。次月からは、継続的な指導を行う限り、1ヵ月分の指示回数に応じた同管理料と血糖自己測定器加算が算定できます。コンピュータ査定が進むにつれ、本例のような厳密な査定が増える傾向にあります。同じ査定が増えてきたら審査基準が変更されたものと考えて対処すると良いでしょう。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その1【「実践的」臨床研究入門】第18回

前回は、個別の論文(1次情報)を調べるときによく用いられる代表的な検索データベースの違いについて解説しました。今回からは、学術誌、個別の論文、論文著者の影響力や評価の指標の違いについて解説します。学術誌の影響力の指標皆さんご存知のインパクトファクター(Impact factor:IF)は、個別の論文ではなく、その論文が掲載された学術誌の影響力の指標です。IFの定義をあらためて紹介すると、「対象年の前2年間に、当該学術誌に掲載された論文の対象年の平均引用回数」となります。少しわかりにくいと思いますので、下記に当該学術誌の対象年(2020年)のIFの計算式を示します。A=当該学術誌が2018、2019年に掲載した論文数B=当該学術誌の2018年、2019年の掲載論文が2020年に引用された回数当該学術誌のIF(2020年)=B÷A前回、代表的な論文検索データベースのひとつとして紹介したWeb of Scienceは IFが付与されている学術誌をすべて収載しています。言い換えると、IFはWeb of Science収載論文から算出されているということです。個々の学術誌のIFはWeb of Scienceと同様にクラリベイト・アナリティクスが提供するJournal Citation Reports(JCR)で調べられます(有料契約公開)。一方、Elsevierが提供する検索データベースであるScopusでは、IFと類似したCiteScoreという指標で学術誌の影響力を表しています。CiteScoreとIFの違いは、上記計算式の掲載論文数カウント期間が2年間ではなく3年間であることです。また、CiteScoreはScopus収載論文から算出されます。その結果、学術誌によっては両者の点数に乖離が生じることがありますが、現在のところはIFの方がCiteScoreより広く認知されているでしょう。インパクトファクターをPubMedで表示する方法JCRは大学などの研究教育施設では機関契約しているところも多いと思います。しかし、無料で各々の学術誌のIFを調べるためには、その雑誌のホームページで確認するなど少し手間がかかります。実は、個別の論文が掲載された学術誌のIFはPubMedでも表示することができます。そのためには、WebブラウザのGoogle Chromeの拡張機能である“Pubmed Impact Factor”のインストールが必要です。“Pubmed Impact Factor”は無料ですので、ぜひインストールしてみてください。“Pubmed Impact Factor”のインストールに成功したら、PubMedのトップページを開いてみましょう。試しに、われわれのリサーチ・クエスチョン(RQ)の「Key論文」のひとつであるコクラン・フル・レビュー論文1)の最新版(連載第13回参照)を検索してみます。検索窓に「Key論文」のタイトルもしくはDOI(連載第15回参照)をコピー&ペーストして、“Search”をクリックします。すると、下記またはリンクのように学術誌名の横のカッコ内にIFの数値と“JCR Quartile”が追加で表示されるようになります。Cochrane Database Syst Rev (IF: 9.27; Q1)“JCR Quartile” Q1とは、その学術誌が含まれる研究分野(Cochrane Database Syst RevはJCRでMEDICINE, GENERAL & INTERNALというカテゴリに分類されています)で、Quartile(四分位範囲)のトップ25%以内に位置しているということを示しています。繰り返しますが、今回解説したIFやCiteScoreは学術誌の影響力の指標であって、その学術誌に掲載された個別の論文や著者の影響力や評価の指標ではありません。IFが高い学術誌は、投稿論文数が多く査読も厳しいので採択率も低く、掲載された論文の質は概ね高いとは言えるでしょう。だからと言って、高IF学術誌に掲載された論文の研究結果を鵜呑みにはせず、自身でよく読み込んでキチンと吟味することが重要です。また、IFやCiteScoreの絶対値を異なる研究分野間で比較することは難しいとされています。なぜなら、研究分野ごとに学術誌の数、年間の出版論文数や研究者の数などが違うからです。一方、“JCR Quartile”は、その研究分野での当該学術誌の相対的な位置付けの指標なので、影響度の異なる研究分野間での比較にも使えます。今回紹介したIF、CiteScoreやJCR Quartileという学術誌の影響力の指標は、いずれも被引用回数に基づいたものです。関連研究レビューの際に、論文の信頼性、妥当性の評価のひとつの指標として参考にしてみてください。1)Hahn D et al. Cochrane Database Syst Rev 2020:CD001892.doi: 10.1002/14651858.CD001892.pub4.

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子供への新型コロナワクチンの説明用リーフ配布/新潟県医師会

 2022年1月より5~11歳への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンの接種が承認され、接種が開始された。とくに第6波のオミクロン株は、ワクチン未接種の学童期の子供などを中心に感染拡大していることもあり、接種が急がれるところであるが、COVID-19は子供では重症化することは少なく、無症状で過ごすことも多いとされ、接種は成人ほど進んでいない。また、さまざまなワクチンの情報や考え方の流布で、接種について戸惑っている保護者や子供たちも多いという。 そこで、新潟県医師会は、新潟大学医学部小児科学教室からも協力を得て、子供に対してワクチンの接種についてどうしたらよいか、その考え方や対応の仕方について取りまとめ、5~11歳および12~15歳への新型コロナワクチン接種についての説明資料を作成し、医師会のホームページで公開した。よくあるCOVID-19やワクチンへの質問22問に回答 説明用のリーフレットは、「5~11歳の子供」と「12~15歳の子供」と2つに分けられ、それぞれ保護者向けの「子どもへのワクチンの説明リーフレット 簡略版/詳細版」と医療機関・保護者向けの「子どもへのワクチンQ&A」の3種類(全6種類)が公開されている。 リーフレットの簡略版では、ワクチン接種の回数、安全性、副反応の態様、有効性などがコンパクトに記載されている。また、Q&Aでは、よくある質問として「COVID-19感染症について」、「ワクチンについて」など22問の質問に作成時点のエビデンスを基に制作が行われている(データなどは2022年2月14日時点のもの)。 医師会では、「接種に際しては、かかりつけ医にも相談し、これらの資料についても、検討の際の参考として活用いただきたい」と期待を寄せている。

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抗精神病薬の選択戦略

 抗精神病薬の選択戦略と精神疾患患者の治療順守における臨床的および社会心理学的因子との関連について、ロシア・Bekhterev National Research Center for Psychiatry and NeurologyのM. Yu Sorokin氏らが調査を行った。Zhurnal Nevrologii i Psikhiatrii Imeni S.S. Korsakova誌2022年(122[1. Vyp. 2])号の報告。 本試験には、統合失調症スペクトラム障害(F20-29:67%)、気分(感情)障害(F30-39:15%)、神経症性障害およびパーソナリティ障害(F40-48+F60-69:9%)、器質性精神障害(F00-09:9%)の入院患者83例を含めた。患者の主観的な重症度を評価するVAS、locus control test、精神障がい者の内面化したスティグマ尺度(ISMI)、Treatment motivation assessment questionnaire(TMAQ)、Medication Compliance Scale(MCS)、簡易精神症状評価尺度(BPRS)、陰性症状評価尺度(SANS)、機能の全体的評定(GAF)尺度を用いて評価した。分析には、分散分析(p≦0.05)、エフェクトサイズ(Cohen's d/Cramer's V)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・使用された抗精神病薬の選択基準は、陽性症状、陰性症状、社会不適応性、自殺傾向、再発に依存していなかった。・外来での抗精神病薬の併用に対して、社会人口統計学的な差異との関連が認められた。 ●失敗体験における内面性の高さ(エフェクトサイズ:0.98) ●自己スティグマ(同:0.94) ●精神医学的固定観念の強さ(同:1.03) ●社会的自己隔離(同:1.08)・入院での非定型抗精神病薬使用との関連が認められた因子は以下のとおりであった。 ●患者の主観的重症度が軽度(エフェクトサイズ:0.7) ●医師との積極的な協力関係(同:1.08) ●成功体験における内面性の高さ(同:0.99) ●精神医学的固定観念の弱さ(同:1.19) ●社会的自己隔離(同:1.58)・持続性注射剤を選択した患者は、主に中等教育以上を受けていた(エフェクトサイズ:0.34)。 著者らは「選択された抗精神病薬の種類や剤型は、臨床的というよりも、患者の社会的および心理的因子と関連していた。持続性注射剤を含む非定型抗精神病薬の使用は、治療アドヒアランスのみならず、とくに治療に対する患者の動機付けにおける良好なプロファイルとも関連している」としている。

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早期乳がんへの術前/術後カペシタビン追加、DFSとOS改善~メタ解析

 早期乳がん(EBC)患者に対する術前/術後療法として、標準的な全身療法へのカペシタビンの追加投与が、無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)を改善した。ドイツ・German Breast Group(GBG)のMarion T van Mackelenbergh氏らは1万5,000例以上のEBC患者データのメタ解析結果を、European Journal of Cancer誌オンライン版3月16日号へ報告した。 clinicaltrials.govおよびpubmedにおいて、EBCに対する術前または術後療法としてのカペシタビンの使用、患者数100人以上の多施設共同無作為化試験、募集完了、主要アウトカムの評価済であることを条件に検索され、13試験が該当した。本解析の主要目的は無病生存期間(DFS)に対するカペシタビンの効果を調べることであり、副次目的は、遠隔転移DFS(DDFS)、全生存期間(OS)、病理学的完全奏効(術前補助療法としての試験)、カペシタビン関連毒性と治療効果の相互作用を分析することだった。 主な結果は以下のとおり。・15,993例のEBC患者の個々のデータが収集された。・解析対象患者全員を対象としたCox回帰分析では、カペシタビンを追加しても、カペシタビンなしの治療と比較してDFSに有意な変化は認められなかった(ハザード比[HR]:0.952、95%信頼区間[CI]0.895~1.012、p=0.115)。・他の薬剤の代わりにカペシタビンを投与した研究のサブセットでは、DFSへの影響はみられなかった(HR:1.035、95% CI:0.945~1.134、p=0.455)。・しかし、標準的な全身治療に加えてカペシタビンを投与した研究のサブセットでは、DFSが改善した(HR:0.888、95% CI:0.817~0.965、p=0.005)。・OSの改善は、コホート全体(HR:0.892、95% CI:0.824~0.965、p=0.005)およびカペシタビン追加のサブセット(HR:0.837、95% CI:0.751~0.933、p=0.001)で確認された。・サブグループ解析の結果、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の患者において、DFSおよびOSについて、カペシタビンによる治療すべて、また他の全身治療にカペシタビンを追加することの有効性が明らかになった。

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オミクロン株へのブースター接種、効果はどのくらい持続する?

 米国疾病予防管理センター(CDC)は、12歳以上のすべての人に対し、mRNAワクチン接種完了後5ヵ月以上経過してからのブースター接種を推奨しているが、オミクロン株に対するブースター接種の効果持続についてはあまりわかっていなかった。CDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2月18日号には、Jill M. Ferdinands氏からによる8施設のデータを用いたケースコントロール研究の結果が掲載されている。ブースター接種を含む3回目接種後のワクチン効果は2回目接種後よりも高い デルタ株優位とオミクロン株優位の2つの期間に、2回目または3回目のワクチン接種を受けた18歳以上の米国成人について、COVID-19救急部/緊急治療(ED/UC)受診および入院に対するワクチン効果を検討した。ワクチン効果は、ワクチン接種患者と非接種患者のSARS-CoV-2検査陽性結果のオッズを比較し、暦週と地理的地域を条件とし、年齢、地域のウイルス循環、免疫不全の状態、追加の患者の合併症、その他の患者および施設の特徴を調整したロジスティック回帰モデルで推定した。 3回接種者には、一般接種の3回目、または2回目接種後のブースター接種(少用量のモデルナ製を含む)を受けた人が含まれた。2021年8月26日~2022年1月22日に米国10州にわたる24万1,204件のED/UC受診と9万3,408件の入院例を分析した。 ED/UC受診のうち、18万5,652件(77%)がデルタ優位期間、5万5,552件(23%)がオミクロン優位期間に発生した。ED/UC受診したCOVID-19様疾患患者のうち、ワクチン未接種者は46%、2回接種者は44%、ブースター接種を含む3回接種者は10%であった.ED/UC受診前の直近のワクチン接種からの間隔の中央値は、2回接種者では214日(IQR:164~259日)、3回接種者では49日(IQR:30~73)だった。 デルタ株優位期間では、COVID-19に関連するED/UC受診に対するワクチン効果は、2回目接種後よりもブースター接種を含む3回目接種後のほうが高かったが、接種後の時間が長くなるほど減少した。ブースター接種を含む3回目接種後のワクチン効果は2ヵ月時点では97%だったが、4ヵ月目までに89%に減少した(p<0.001)。 オミクロン株優位期間では、ブースター接種を含む3回目接種後のED/UC受診に対するワクチン効果は、2ヵ月時点では87%だったが、4ヵ月目までに66%、5ヵ月以上で31%に低下した(最後の推定値は3回目の接種後5ヵ月以上の接種者のデータが29例と少なかったため不正確)。接種後の期間が長くなるにつれ、ワクチン効果は有意に減少した(p<0.001)。入院に対するワクチン効果はブースター接種を含む3回目接種後2ヵ月時点では91%だったが、4ヵ月以上経った時点では78%に減少した。 2回目・3回目接種の両方で、評価したすべての時点において、オミクロン優位期間のほうがデルタ株優位期間よりもワクチン効果が低いことが示された。両期間ともブースター接種を含む3回目接種後のワクチン効果は2回目接種後よりも高かったが、接種後の期間が長くなるにつれ低下した。 著者らは「両期間において、ワクチン効果はED/UC受診に対する予防効果よりも入院に対する予防効果のほうが高かった。COVID-19に関連した入院やED/UC受診を防ぐためには、対象者は全員、推奨されるCOVID-19の予防接種を常に最新の状態にしておく必要がある」としている。

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ソトロビマブ、新型コロナ疾患進行リスク79%低減~第III相最終解析/JAMA

 高リスクの軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)非入院患者において、ソトロビマブの単回静脈内投与はプラセボと比較し、疾患進行(29日目までのあらゆる入院または死亡の複合エンドポイント)のリスクを有意に低下させることが認められた。カナダ・William Osler Health CentreのAnil Gupta氏らが、米国、ブラジル、カナダ、ペルーおよびスペインの57施設で実施した第III相多施設共同無作為化二重盲検試験「COMET-ICE試験」の最終解析結果を報告した。著者は、「本試験終了後に出現したSARS-CoV-2変異株に対する有効性は不明であるが、今回の結果は、入院していない高リスクの軽症~中等症COVID-19患者に対する治療選択肢としてソトロビマブを支持するものである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2022年3月14日号掲載の報告。ソトロビマブ群528例、プラセボ群529例で、29日目までの疾患進行を比較 研究グループは、軽症~中等症COVID-19の重症化予防におけるソトロビマブの有効性と安全性を評価する目的で、2020年8月27日~2021年3月11日に、症状発症から5日以内で、疾患進行リスクを1つ以上有する入院前の18歳以上の軽症~中等症COVID-19患者1,057例を、ソトロビマブ(500mg単回静脈内投与)群(528例)またはプラセボ群(529例)に、1対1の割合に無作為に割り付け追跡評価した(最終フォローアップは2021年4月8日)。 主要評価項目は、無作為化後29日目までにCOVID-19が進行(何らかの疾患の急性期管理のための24時間超の入院、または理由を問わない死亡)した患者の割合とした。また、29日目までの救急外来受診・何らかの疾患の急性期管理のための入院・死亡、29日目までの酸素補給または人工呼吸器を要する重度または生命を脅かすCOVID-19への進行などを含む5つの副次評価項目について階層的に検証した。疾患進行リスクは、ソトロビマブ群で79%低下 解析対象1,057例(年齢中央値53歳[IQR:42~62]、65歳以上20%、ラテン系65%)において、追跡期間中央値はソトロビマブ群103日、プラセボ群102日であった。 主要評価項目である無作為化後29日目までに24時間超の入院または死亡が認められた患者の割合は、ソトロビマブ群で1%(6/528例)、プラセボ群で6%(30/529例)であり、ソトロビマブ群で有意に減少した(補正後相対リスク[RR]:0.21[95%信頼区間[CI]:0.09~0.50]、絶対群間差:-4.53%[95%CI:-6.70~-2.37]、p<0.001)。 副次評価項目について、5項目中4項目でソトロビマブ群とプラセボ群との間に有意差が認められた。29日目までの救急外来受診・何らかの疾患の急性期管理のための入院・死亡が認められた患者の割合は、ソトロビマブ群2%(13/528例)vs.プラセボ群7%(39/529例)(補正後RR:0.34[95%CI:0.19~0.63]、絶対群間差:-4.91%[95%CI:-7.50~-2.32]、p<0.001)、重度または生命を脅かすCOVID-19への進行が認められた患者の割合はそれぞれ1%(7/528例)vs.5%(28/529例)(0.26[0.12~0.59]、-3.97%[-6.11~-1.82]、p=0.002)であった。 有害事象の発現率は両群間で差はなく(ソトロビマブ群22%vs.プラセボ群23%)、主な有害事象はソトロビマブ群が下痢(8例、2%)、プラセボ群がCOVID-19肺炎(22例、4%)であった。

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新型コロナ、ハムスターからのヒト-ヒト感染を確認/Lancet

 ペットのハムスターはSARS-CoV-2に自然感染し、ハムスター間で伝播してヒトへの感染につながる可能性がある。中国・香港大学のHui-Ling Yen氏らは、ペットショップ店員のSARS-CoV-2感染事例について調査し、遺伝学的および疫学的な結果から、ハムスターからヒトへの感染が1回以上あったことが強く示唆され、その後のヒトへの感染につながったことを明らかにした。ヒトからペット動物を含む他の哺乳類へのSARS-CoV-2感染は報告されているが、養殖ミンクを除き、これら感染動物からヒトへの感染が持続的なヒト-ヒト感染に至るという証拠はこれまでなかった。著者は、「SARS-CoV-2デルタ変異株に感染したハムスターの輸入が局地的な流行の原因である可能性が高い。今回の調査結果は、ペット動物の取引に対する認識、監視、ならびに適切な検疫と管理政策の必要性を強調している」とまとめている。Lancet誌2022年3月12日号掲載の報告。ペットショップ等の動物を検査、関連COVID-19患者のSARS-CoV-2ゲノムを解析 研究グループは、香港のペットショップおよび動物卸売業者の倉庫で、異なるケージにいる異なる動物種から口腔および糞便スワブを無作為に採取するとともに、追跡調査としてハムスターから血液と口腔スワブを採取した。口腔スワブは定量的RT-PCR(RT-qPCR)によりSARS-CoV-2検査を行い、血液検体はサロゲートウイルス中和試験およびプラーク減少中和試験により血清学的検査を行った。SARS-CoV-2陽性検体は、次世代シークエンサーによりウイルスゲノム配列を確定し、系統解析を行った。 また、ペットショップと疫学的に関連するCOVID-19患者と、その患者らに続きSARS-CoV-2デルタ変異株に感染していると確認されたその地域の症例から、鼻腔スワブまたは唾液を採取し、香港政府が提供する日常診療の一環としてRT-qPCR検査を行い、ウイルスの遺伝子配列を決定した。ゴールデンハムスターの5~6割がSARS-CoV-2陽性、ヒトへの感染を確認 ペットショップのゴールデンハムスター16匹中8匹(50%)、そのペットショップに関連する倉庫のゴールデンハムスター12匹中7匹(58%)が、RT-qPCRまたは血清検査でSARS-CoV-2陽性と判明した。ドワーフハムスター(75匹)、ウサギ(246匹)、モルモット(66匹)、チンチラ(116匹)およびマウス(2匹)は、いずれもSARS-CoV-2感染が確認されなかった。 ヒトおよびハムスターの感染例から推定されたSARS-CoV-2ウイルスのゲノムは、すべてデルタ変異株(AY.127)に属し、この集団発生以前には地域で流行していなかったものであった。 ハムスターから得られたウイルスゲノムは系統発生学的に、ある配列多様性と関連していた。系統樹の年代測定から、これらのハムスターへの感染は2021年10月14日(95%信頼区間:9月15日~11月9日)ごろに発生したことが示唆された。ハムスターからヒトへのSARS-CoV-2の人獣共通感染事象が複数検出され、その後のヒトからヒトへの感染につながった。

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長崎大学が実践する、医師のキャリア支援【今日から始める「医師の働き方改革」】第9回

第9回 長崎大学が実践する、医師のキャリア支援医師のキャリア形成には、何度も「選択」のタイミングが訪れます。長崎大学病院医療教育開発センター 医師育成キャリア支援室室長であり、消化器内科の医師である松島 加代子教授に、長崎大学が行う医師のキャリア支援について聞きました。―医師のキャリア形成において、重要なことは何でしょうか。「将来を長期的かつおおらかにとらえる視点」ですね。厚生労働省の調査によると男女共に9割以上の医師が専門医の取得を希望しています。専門医取得には専攻医として3年以上の専門研修プログラムを履修し、試験に合格する必要があり、長い道のりです。多くの場合、専門医取得と結婚、妊娠・出産・育児等のライフプランも一緒に考える必要がでてきます。とはいえ、計画はあくまで計画、予期せぬことがよく起こるのが人生です。計画通りにいかないことをも愉しみ、周囲の進度に影響されないおおらかさがあれば、個性を生かしたキャリアが積めると思います。―松島先生はどうキャリアを形成してきたのですか?「なるようになる」という考えで、柔軟にやってきました。大事にしてきたのは“チームとして”いい医療を患者さんに提供すること。チームで働く上では、タイミングごとに「サポートする側」「される側」が入れ替わります。自分の意思とチームメンバーの意思を組み合わせ、上手にチームをつくることが組織で働く醍醐味ではないでしょうか。―誰もが「サポートする側」であり「される側」という考え方なのですね。そうです。育児中でも他メンバーのサポート役になったり、年次が若くても外来診療を手伝ったり、昨今ですとワクチン接種の応援に入ったりなど、チームのなかで各々が貢献できることはたくさんあります。一方的に「サポートをする側」「される側」を固定せず、「お互い様」の気持ちで働く環境をつくれるといいな、と思います。今は医局に入らない先生も多いですが、カバーし合いながら働き、大学と施設間で最新の医療知識や技術を共有するといった、地域医療を大きな診療チームで支えるという医局体制の良さを大事にしたいとも感じます。医師だけでなく他の専門職とも連携して働く、ワークシェアの感覚も大事にして欲しいと思います。―チームの一員でもあり、とはいえ自分自身のキャリアを作っていくのは自分です。理想のキャリアを実現するためにどんなことが必要でしょうか。身近に相談できる人がいると心強いと思います。医師のキャリアはライフプランとも掛け合わせると非常に幅が広いです。研修医の時代はまだ、人間関係が構築できていないことも多いので、当院では必ず相談役としてメンターを配置しています。他の人と話すことでそれぞれがどのようにキャリアをつくってきたか、参考になる部分も多いと思います。相談できるような関係性や自己開示も重要です。 〈解説〉キャリアが100%計画通りになることは少ないでしょう。とはいえ、一度計画を作ってみると、何年後にどんな状態になっていたいか、イメージが膨らみます。ある程度キャリアプランが立てば、経験すべき症例が明確になり、勉強時間の確保を行うなど、実際の行動にも移しやすくなります。もう1枚の「キャリアライフプランシート」には自分の年齢、配偶者、子ども、親の年齢を記載し、希望するキャリアを記載することで計画を可視化するツールです。小学校入学など子どもの生活が変わるタイミングにおいて、自分や配偶者が何歳で、キャリアのどんな時期かを確認できます。見本画像を拡大する記入シート画像を拡大する見過ごされがちなのが親の年齢です。70歳を超えると介護が必要になる人が急増するので、親が70歳になるのが何年後なのかをみておくと良いでしょう。介護は育児と違って急に始まり、終わりも見えないため、元気なうちに親とコミュニケーションをとり、備えることが重要です。学費や引っ越しなど、まとまってお金が必要になる時期も予想できます。このシートは、配偶者や身近な関係性の方と共有し、さらに上司や職場で開示し合う環境づくりができるとよいと思います。会話で伝えるよりも具体的でイメージが伝わりやすく、キャリアに対して真剣に考えていることも伝わります。職場内も家庭もチームで乗り切る意識が重要です。

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第101回 条件付き早期承認は非現実的か?症状スコア有意差なしの国産コロナ治療薬

3年目に入った新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)時代の中で、治療薬としては重症化リスクを有する軽症・中等症者に対するファイザーのニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビット)、MSDのモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)、重症者向けには中外製薬のトシリズマブ(商品名:アクテムラ)などが承認され、かなり出そろってきた感はある。これで重症化リスクのない軽症・中等症者に使える安価で有効性・安全性の高い経口薬が登場すれば、ほぼラインナップは整う。その意味でこの重症化リスク因子の有無を問わず汎用できる治療薬を目指して開発されているのが塩野義製薬の3CLプロテアーゼ阻害薬であるS-217622の件だ。以前の本連載でも甘利 明元経産相のTwitterでのツイートの件で取り上げたが、今でもSNS上では地味に「早く承認しろ」の声を見かける。塩野義製薬は2月25日付で条件付き早期承認制度の適用を希望する製造販売承認申請を行ったが、直近の3月23日に開催された厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会の議題とはならなかった。だが、多くの医療従事者も思っているだろうが、現状を鑑みると、S-217622の条件付き早期承認は難しいだろうと個人的には想像している。ここで改めて整理してみたい。S-217622の条件付き早期承認を目指し、塩野義製薬は第II/III相臨床試験の第IIa相部分のデータを公開している。同試験は新型コロナ発症から120時間以内の軽症・中等症の患者(重症化リスクは問わない)を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験。薬は1日1回、5日間の経口投与で、症例数は69例、主要評価項目はウイルス力価のベースラインからの変化量である。試験では実薬群は低用量群と高用量群に分かれ、プラセボ群も含めた3群比較となっている。発表された結果では、プラセボ群に対してS-217622の低用量群、高用量群は投与開始4日目(3回投与後)で、有意なウイルス力価とウイルスRNA量の減少を確認。4日目時点のウイルス力価陽性患者割合は、プラセボ群と比較して低用量群で63%、高用量群で80%減少していた。また、ウイルス力価陰性化までの時間(中央値)はプラセボ群に対して低用量群、高用量群とも2日短縮している。一方で臨床症状に関しては、症状スコア(12症状トータル)のベースラインからの変化量の減少傾向は認められるものの、投与開始から6日目(5回投与後)で低用量群、高用量群ともプラセボ群に比べて有意差は認められなかった。有害事象の発現率は低用量群が52.4%、高用量群が69.6%、プラセボ群が37.5%で、主な有害事象はHDL減少と血中TGの増加で、ほぼすべての有害事象は軽度だったという。確かに公開されたデータからは一定の期待は持てる。しかし、ウイルス量の減少と症状の改善がリンクはしていない。症例数が少なすぎるために症状改善で有意差を出しにくいと言えばそれまでだ。しかしながら、新型コロナではウイルス量の減少が認められていても、感染で生じた炎症が自立的に暴走して重症化、死亡に至るという経過がとりわけ顕著であるのはもはや周知のこと。その中で現時点のデータ上、臨床症状の改善が確認できていないのはかなり「致命的」だ。しかも、当初と違って現在ではすでに新型コロナ治療薬として承認されている治療薬は8種類もある。この中で何らかの形で軽症・中等症を対象としている薬剤は5種類で、うち4種類は患者の服用後1ヵ月弱時点までの入院・死亡率の減少というハードルの高い主要評価項目をクリアしている。唯一例外だったレムデシビル(商品名:ベクルリー)も、すでに第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の「PINETREE試験」を行い、プラセボと比較して有意な入院・死亡率の減少が確認されている。本音で言ってしまえば、私自身も「日の丸コロナ治療薬」にはノスタルジックな期待はある。しかし、この状況で塩野義製薬のみが条件付きであるとはいえウイルス量減少で承認された場合、日本における医療用医薬品の承認審査制度の信用低下につながる恐れがある。少なくとも現時点でS-217622を早期承認してしまえば、その理由説明に「日本の企業だから」以外のロジックを該当させるのはほぼ無理だからだ。奇しくも塩野義製薬は3月16日にアメリカ国立衛生研究所(NIH)の支援を受けたS-217622のグローバル第III相試験(対象患者は重症化リスクあり)の実施を発表している。やはり「急がば回れ」でこの試験で良好な成績が認められてからの承認という手順が望ましいと思う。

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統合失調症患者の機能に対するブレクスピプラゾールの短期的および長期的効果

 米国・Zucker Hillside HospitalのChristoph U. Correll氏らは、統合失調症患者の機能に対するブレクスピプラゾールの短期的および長期的効果について評価を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2022年3月1日号の報告。 次の(1)~(3)の試験データ(2011年7月~2016年2月に実施)を用いて、検討を行った。(1)入院患者を対象とした6週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験:3件、(2)52週間のランダム化二重盲検プラセボ対照長期試験(中間分析結果に基づき早期試験終了):1件、(3)すべての統合失調症患者(DSM-IV-TR基準)を対象とした52週間の非盲検延長試験:2件。経口ブレクスピプラゾール治療に割り当てられた患者に対するブレクスピプラゾールの投与量は、短期試験で2~4mg/日、長期試験で1~4mg/日であった。機能評価には、個人的・社会的機能遂行度尺度(PSP)および機能の全体的評定尺度(GAF)を用いた。治療反応は両尺度の10ポイント以上増加、寛解はPSPスコア71点以上またはGAFスコア61点以上と定義した。 主な結果は以下のとおり。・ブレクスピプラゾール群(831例)は、プラセボ群(490例)と比較し、ベースラインから6週目までのPSPスコアのより大きな改善が認められた(最小二乗平均差:3.20、95%信頼区間:1.82~4.58、p<0.0001、Cohen d=0.31)。PSPの4項目においても同様であった。・52週間の長期試験(早期終了に伴い完了率は低い)では、安定期統合失調症患者におけるGAFでの機能寛解の達成率は、ブレクスピプラゾール群で65.3%(95例中62例)、プラセボ群で47.1%(102例中48例)であり、NNTは6であった(95%信頼区間:4~22、p=0.0076)。・52週間の非盲検試験(177例)では、ブレクスピプラゾール群のPSPでの機能の治療反応の達成率は84.2%、寛解の達成率は41.8%であった。 著者らは「今回の大規模データセットの分析は、実薬対照群の欠如による制限は受けるものの、統合失調症患者の機能に対するブレクスピプラゾールでの短期的および長期的な臨床改善を示唆するものである」としている。

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BA.2への中和抗体価、追加接種やBA.1感染でどのくらい上がるか/NEJM

 オミクロン株亜種BA.1とBA.2は複数の共通した変異を持つが、それぞれ固有の変異も持つ。BA.1は免疫回避性を有することが報告されているが、BA.2がワクチン接種や感染による中和抗体の誘導を回避する能力を有するかどうかはわかってない。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのJingyou Yu氏らは、ワクチン接種者および既感染者におけるBA.2に対する中和抗体価を調査。NEJM誌オンライン版2022年3月16日号のCORRESPONDENCEに掲載された。 BNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer-BioNTech社)の初回(1~2回目)および追加接種済で新型コロナウイルス感染歴のない24人と、ワクチン接種歴によらず感染歴のある8人を対象に、中国・武漢で分離されたWA1/2020株、およびオミクロン株亜種BA.1およびBA.2に対する中和抗体反応を評価した。 感染者においては、感染後の中央値14日時点での中和抗体価が評価され、その診断期間中99%以上の新規感染がオミクロン株亜種BA.1によるものだった。また、ワクチン未接種者は1人のみで、5人は追加接種も完了していた。 主な結果は以下のとおり。・BNT162b2ワクチンの最初の2回の投与後、WA1/2020、BA.1、およびBA.2に対する疑似ウイルス中和抗体価の中央値はそれぞれ658、29、および24で、WA1/2020に対する中和抗体価は、BA.1とBA.2に対する抗体価のそれぞれ23倍と27倍だった。・初回シリーズのワクチン接種から6ヵ月後、WA1/2020に対する中和抗体価の中央値は129に、BA.1とBA.2に対しては20未満に低下した。・BNT162b2ワクチンの3回目投与(追加接種)の2週間後、WA1/2020、BA.1、およびBA.2に対する中和抗体価の中央値はそれぞれ6,539、1,066、776に大幅に増加し、WA1/2020に対する中和抗体価は、BA.1とBA.2に対する抗体価のそれぞれそれぞれ6.1倍と8.4倍だった。またBA.1に対する中和抗体価は、BA.2に対する抗体価と比べ1.4倍高かった。・感染者のうち7人で、WA1/2020、BA.1、およびBA.2に対する中和抗体価が検出され、中央値はそれぞれ、4,046、3,249、2,448で、BA.1に対する中和抗体価はBA.2に対する抗体価の1.3倍高かった。・中和抗体価が検出されなかった1人はワクチン接種を受けておらず、SARS-CoV-2感染の診断から4日後に血清サンプルが採取されていた。 著者らは、「これらのデータはBA.2に対する中和抗体価がBA.1に対するものと類似しており、BA.2に対する中和抗体価の中央値がBA.1に対するものより1.3〜1.4倍低いことを示している。BA.1またはBA.2に対する一貫した中和抗体価の誘導には、BNT162b2ワクチンの3回目の投与が必要だった。BA.1に感染したと思われるワクチン接種者では、BA.2に対する強力な中和抗体価が発現した。このことは交差反応性の自然免疫応答を示唆している」とした。

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FDA、悪性黒色腫に初の抗LAG-3抗体relatlimabとニボルマブの併用を承認/BMS

 ブリストルマイヤーズスクイブは、2022年3月18日、米国食品医薬品局(FDA)が、切除不能または転移のある悪性黒色腫に対する、ニボルマブと抗LAG抗体relatlimab-rmbwの固定用量の合剤(海外製品名:Opdualag)の単回投与を承認したと発表。 この承認はOpdualagとニボルマブ単独を比較した第II/III相RELATIVITY-047試験に基づいている。 RELATIVITY-047 試験における、PFS中央値はニボルマブの4.6ヵ月に対し、Opdualagでは10.1ヵ月であった(ハザード比:0.75、95%信頼区間:0.62〜0.92、p=0.0055) Opdualagの安全性プロファイルはニボルマブ単独での報告と同様で、新たな安全性イベントは確認されなかった。Grade3/4の薬物関連有害事象は、ニボルマブ群の9.7%、Opdualagでは18.9%であった。投与中止につながる薬物関連の有害事象は、ニボルマブ群の6.7%に対して、Opdualag群では14.6%であった。

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NVAF患者における経皮的左心耳閉鎖術の有効性~初の全国規模データ(Terminator Registry)/日本循環器学会

 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者において、長期的な抗凝固療法に代わる治療法として経皮的左心耳閉鎖術(LAAC)が世界的に行われている。ビタミンK拮抗薬と比較して、死亡率と出血イベントは有意に少なく、QOLは大きく改善されているが、欧米からのデータが中心で、日本におけるデータは十分ではない。第86回日本循環器学会学術集会(2022年3月11日~13日)で原 英彦氏(東邦大学医療センター大橋病院)が国内23施設による初の大規模観察研究TERMINATOR Registryから最初の集計結果を報告した。 2019年にLAAC用デバイス「WATCHMAN」が日本で承認され、現在はその後継となる新型デバイス「WATCHMAN FLX」が登場している。そこで本研究は、NVAFで血栓塞栓リスクの高い日本人患者を対象に、左心耳閉鎖デバイス(WATCHMAN generation-2.5、WATCHMAN FLX)によるLAACの長期実臨床成績を明らかにすることを目的に実施された。主要評価項目は死亡、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、後遺症を残す脳卒中、全身性塞栓症または開心術や重大な血管内インターベンションを要する左心耳閉鎖デバイスもしくは手技関連事象とされた。 主な結果は以下の通り。・2019年9月~2021年8月に各施設でLAACを受けた743例が対象。平均年齢:74.9(±8.8)歳、持続性/永続性心房細動:61.9%、平均CHA2DS2スコア:3.2(±1.2)、平均CHA2DS2-VAScスコア:4.7(±1.5)、平均HAS-BLEDスコア:3.4(±1.0)、Clinical Frailty Scale:3.4(±1.3)、DOACの不適切低用量処方が11.2%で確認された。・植込み成功率は98.9%、4.2%でデバイスリリースの基準であるPASSクライテリアを満たしていなかった。37.3%でpartial recaptureが行われた。・術後の有害事象については、心タンポナーデ:0.9%、心嚢液貯留:1.1%、デバイス脱落:0.2%、仮性動脈瘤:0.1%と全体的に低発生率だった。・デバイスごとの留置手技時間はWATCHMAN gen2.5:53±36分、WATCHMAN FLX:57±30分とほぼ同等で、両デバイスとも30mm以上のサイズが多く使用されていた。・死亡(原因不明)は0.9%、脳卒中は2.2%、出血イベントは5.7%、デバイス関連血栓(DRT)は2.8%で発生。ただし、DRTによる脳卒中はすべてmRS<2であった。・経口抗凝固薬の使用量は、退院時と比較し45日後には減少し、6ヵ月後にはさらに減少していた。 原氏は日本におけるLAACのリアルワールドデータは高い成功率を示し、6カ月間のフォローアップデータにおいてDRTなどの有害事象は他の研究と同等の低い発生率を示したとして、今後はより長期のフォローアップにより、この治療法が心房細動による心原性脳塞栓症を防ぎ、かつ出血イベントを減らすことができるかどうかを示していく必要があるとした。

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HER2+乳がんへの術後化学療法+トラスツズマブへのペルツズマブ追加、N-でベネフィットのある患者は?(APHINITY)

 APHINITY試験はHER2陽性乳がんの術後化学療法+トラスツズマブへのペルツズマブの上乗せを検証した第III相試験で、HER2陽性乳がん患者全体とリンパ節転移のある患者で無浸潤疾患生存(iDFS)が大幅に改善することが報告されている。今回、米国・ダナファーバーがん研究所のRichard D. Gelber氏らは、リンパ節転移陰性(N-)でペルツズマブ追加によるベネフィットが得られるサブグループ、リンパ節転移陽性(N+)でde-escalationを考慮すべきサブグループについて検討した。European Journal of Cancer誌オンライン版2022年3月18日号に掲載。 著者らは、STEPP(subpopulation treatment effect pattern plot:サブグループ別治療効果パターンプロット)を用いて、臨床的複合リスクスコア、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の割合、HER2コピー数(FISH)によるサブグループについて、全体およびリンパ節転移の有無別に、6年iDFS率のカプラン-マイヤー差(ペルツズマブ群-プラセボ群:Δ±SE)を推定した。 その結果、6年iDFS率の絶対増加の平均は、患者全体で2.8±0.9、N+患者で4.5±1.2、N-患者で0.1±1.1だった。増加が最大だったのは、臨床的複合リスクが中等度(全体:5.3±1.9、N+:6.9±2.3、N-:4.0±3.0)、TILの割合が最大(全体:6.3±1.7、N+:7.4±2.4、N-:3.2±1.7)、HER2コピー数が中等度(全体:2.8±1.9、N+:7.4±2.5、N-:-1.3±1.9)の患者だったが、サブグループ別治療効果の異なったパターンを示す明らかなエビデンスはなかった。 今回の検討では、N-におけるSTEPPでペルツズマブ追加によって明らかにベネフィットがあるサブグループを特定できず、N+におけるSTEPPでde-escalationが妥当なサブグループを特定できなかった。臨床的複合リスクスコアよりTILの割合のほうが、ペルツズマブの治療効果を予測できるようであった。

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コロナワクチンの有効性、AZ製vs.ロシア製vs.中国製/Lancet

 アルゼンチンにおいて使用された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する3種類のワクチンは、いずれもSARS-CoV-2感染とCOVID-19による死亡を減少させ有効であることが認められた。アルゼンチン保健省のAnalia Rearte氏らが、60歳以上を対象とした診断陰性デザイン(test-negative design)による症例対照研究の結果を報告した。アルゼンチンでは、2021年1月よりrAd26-rAd5(Sputnik製)、ChAdOx1 nCoV-19(AstraZeneca製)およびBBIBP-CorV(Sinopharm製)を用いたCOVID-19ワクチン接種キャンペーンが開始されていた。Lancet誌オンライン版2022年3月15日号掲載の報告。2021年1月~9月に報告された60歳以上のCOVID-19疑い約128万例を解析 研究グループは、2021年1月31日~9月14日にNational Surveillance System(SNVS 2.0)に報告された60歳以上のCOVID-19疑い例を登録し、RT-PCR検査でSARS-CoV-2感染が確認された患者を症例、確認されなかった患者を対照として、3種類のCOVID-19ワクチン(rAd26-rAd5、ChAdOx1 nCoV-19、BBIBP-CorV)の有効性を評価する診断陰性デザインを用いた症例対照研究を行った。ワクチン未接種者は登録可能とし、ワクチン接種プログラム開始前に発症したCOVID-19疑い例は除外した。 SARS-CoV-2感染のオッズ比(OR)はロジスティック回帰モデルで評価し、RT-PCR検査でCOVID-19と確認された患者の死亡リスクは補正後の比例ハザード回帰モデルを用い、交絡因子(症状発現日の年齢、性別、居住地域、症状発現日の疫学週、COVID-19既往有無)を補正して評価した。また、感染および死亡の推定値を組み合わせ、COVID-19による死亡に対するワクチンの予防効果を間接的に評価した。さらに、ウイルスベクターワクチンの1回目接種の経時的な有効性も評価した。 解析対象は計128万2,928例で、そのうちrAd26-rAd5解析が68万7,167例(53.6%)、ChAdOx1 nCov-19解析が35万8,431例(27.6%)、BBIBP-CorV解析が23万7,330例(18.5%)であった。死亡への2回接種の有効率、ロシア製93.1%、AZ製93.7%、中国製85.0% 2回接種による感染予防効果は3種類のワクチンすべてで高く、補正後ORはrAd26-rAd5で0.36(95%信頼区間[CI]:0.35~0.37)、ChAdOx1 nCoV-19で0.32(0.31~0.33)、BBIBP-CorVで0.56(0.55~0.58)であった。 2回接種による死亡予防効果は、感染予防効果より高く、補正後ハザード比(HR)はrAd26-rAd5で0.19(95%CI:0.18~0.21)、ChAdOx1 nCoV-19で0.20(0.18~0.22)、BBIBP-CorVで0.27(0.25~0.29)であった。死亡に対する間接的なワクチン2回接種の有効率は、rAd26-rAd5で93.1%(95%CI:92.6~93.5)、ChAdOx1 nCoV-19で93.7%(93.2~94.3)、BBIBP-CorVで85.0%(84.0~86.0)であった。ウイルスベクターワクチンの1回目接種後の有効性は、経時的に安定していた。

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重症血友病A、アデノ随伴ウイルス用いた遺伝子治療が有効/NEJM

 重症血友病A患者において、valoctocogene roxaparvovec治療により内因性第VIII因子の産生が増加し、第VIII因子製剤の予防投与時と比較して出血および第VIII因子製剤の使用が有意に減少した。ブラジル・カンピーナス大学のMargareth C. Ozelo氏らが、多施設共同単群非盲検第III相試験「GENEr8-1試験」の結果を報告した。Valoctocogene roxaparvovec(AAV5-hFVIII-SQ)は、肝特異的プロモーターにBドメインを除いた第VIII因子遺伝子を配したアデノ随伴ウイルス5(AAV5)ベクターを用いる遺伝子治療薬で、重症血友病A男性患者を対象とした第I/II相用量漸増試験において有効性と安全性が示されていた。NEJM誌2022年3月17日号掲載の報告。重症血友病A患者134例にvaloctocogene roxaparvovecを単回注入 研究グループは、第VIII因子活性が1 IU/dL以下の重症血友病A男性患者で、抗AAV5抗体を保有しておらず第VIII因子インヒビターの発症歴のない、第VIII因子濃縮製剤の予防投与を受けている18歳以上の患者に、valoctocogene roxaparvovec(6×1013 vg/kg)を単回静脈内注入した。なお、20例を本試験に直接登録し、110例は標準的予防治療での出血と第VIII因子製剤の使用に関するヒストリカルデータおよび最低6ヵ月間の前向きデータを収集した270-902試験(非介入試験)から登録する予定であった。 主要評価項目は、投与後49~52週時における第VIII因子活性(合成基質法で測定)のベースラインからの変化量、副次評価項目は、投与後4週目以降の第VIII因子製剤年間使用量および年間の治療した出血回数のベースラインからの変化などであった。安全性は、有害事象と臨床検査値で評価した。 2017年12月19日~2019年11月15日の間に、世界13ヵ国48施設で144例が登録され、適格例134例がvaloctocogene roxaparvovecの投与を受け、51週以上の追跡調査を完了した。第VIII因子活性が増加し、第VIII因子製剤の使用や出血回数が低下 修正intention-to-treat集団であるヒト免疫不全ウイルス陰性例132例において、49~52週時の第VIII因子活性は平均41.9 IU/dL増加した(95%信頼区間[CI]:34.1~49.7、p<0.001、変化量中央値:22.9 IU/dL、四分位範囲:10.9~61.3)。132例のうち270-902試験のデータが6ヵ月以上ある112例においては、投与後4週目以降の第VIII因子製剤の年間使用量がベースラインから98.6%減少し、年間の治療した出血回数もベースラインから83.8%減少した(p<0.001)。 134例全例に有害事象が認められ、22例(16.4%)で重篤な有害事象が報告された。ALT増加は134例中115例(85.8%)に認められ、免疫抑制薬により治療された。その他の主な有害事象は、頭痛(38.1%)、悪心(37.3%)、AST増加(35.1%)であった。第VIII因子インヒビターや血栓症の発現は認められなかった。

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転移性ホルモン感受性前立腺がんでダロルタミドはOSを延長(解説:宮嶋哲氏)

 ダロルタミドはアンドロゲン受容体阻害薬の1つであり、現在、国内では転移のない去勢抵抗性前立腺がんに対して適応となる薬剤である。本論文は、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者を対象に、アンドロゲン除去療法とドセタキセルをベースとした治療においてダロルタミドの有効性を検討した国際第III相試験(ARASENS試験)に関する報告である。 ダロルタミドとプラセボを1:1に割り付け、主要評価項目はOSである。1,306例の患者が対象でダロルタミド群651例、プラセボ群655例であり、初期診断の段階で86.1%の患者が転移を有しており、その約80%が骨転移症例であった。死亡リスクにおいて、ダロルタミド群はプラセボに比べ32.5%低下し(ハザード比:0.68、p<0.001)、去勢抵抗性獲得までの期間もダロルタミド群はプラセボに比べ有意に延長していた(ハザード比:0.36、p<0.001)。コホートの80%以上がGleason score 8以上と悪性度が高い中、去勢抵抗性獲得までの期間をこれほどまでに延長した点は評価に値する。なお、有害事象に関しては両群で63~66%と比較的高い数値で有意差を認めなかったが、両群ともにドセタキセルを投与していることに起因していると思われる。 現在、国内で使用可能な新規アンドロゲン受容体阻害薬の中で本薬剤は副作用が少なく使用しやすい薬剤の1つであり、今後、適応拡大によってホルモン感受性前立腺がん患者に投与可能となれば、臨床実地で前立腺がん患者にもたらす恩恵は大きいと考える。今後ARASENS試験のサブ解析に注目したい。

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