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Dr.光冨の肺がんキーワード解説「BRAF」【肺がんインタビュー】 第88回

第88回 Dr.光冨の肺がんキーワード解説「BRAF」肺がんではさまざまなドライバー変異が解明されている。それに伴い、種々の標的治療薬が登場する。それら最新の情報の中から、臨床家が知っておくべき基本情報を近畿大学の光冨徹哉氏が解説する。

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うつ病と自殺念慮に対する思春期~成人期の24時間行動ガイドラインの重要性

 若年および成人の24時間行動ガイドラインでは、最適な健康状態を確保するために特定の身体活動時間、座位時間、睡眠時間を推奨しているが、メンタルヘルスの指標との関連についてはよくわかっていない。スペイン・ナバーラ州立大学のAntonio Garcia-Hermoso氏らは、思春期~成人期の24時間行動ガイドラインと、成人期のうつ病および自殺念慮を伴う思春期中期(12~17歳)から成人期(33~39歳)までの軌跡との関係を調査するため、本検討を行った。その結果、思春期中期~成人期での24時間行動ガイドラインの利用促進および継続で、メンタルヘルスに関する問題が予防可能であることが示唆された。ただし、本研究結果について著者らは、エラーやバイアスにつながる恐れのある自己評価や、1994~96年のガイドラインへの適合測定を2016年に行いデータセットを作成した点などから、慎重に解釈する必要があるとしている。The International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity誌2022年10月23日号の報告。 米国における思春期~成人期の健康に関する全国縦断研究(Add Health)のWeves I(1994~95年)およびV(2016~18年)の参加者を対象に、プロスペクティブコホート研究を実施した。身体活動時間、スクリーンタイム、睡眠時間は、アンケートを用いて収集した。過去4週間でうつ病の自己申告歴および/または抗うつ薬の使用があった成人は、うつ病として分類した。自殺念慮は、Weves IまたはVにおいて自己申告の単一質問を用いて収集した。Weves Iでの24時間行動ガイドラインにおける特定の組み合わせおよび思春期~成人期の軌跡に応じて、成人期のうつ病および自殺念慮の発生率比(IRR)を推定するため、ポアソン回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象は、7,069人(女性の割合:56.8%)。・思春期中期に身体活動ガイドラインおよび3つのガイドラインすべてを満たしていた人は、いずれも満たしていなかった人と比較し、成人期のうつ病(IRR:0.84、95%信頼区間[CI]:0.72~0.98)および自殺念慮(IRR:0.74、95%CI:0.55~0.99)のリスクが低かった。・思春期および成人期ともにスクリーンタイムのガイドラインおよび3つのガイドラインすべてを満たしていた人は、満たしていなかった人と比較し、うつ病([スクリーンタイム]IRR:0.87、95%CI:0.72~0.98、[3つすべて]IRR:0.37、95%CI:0.15~0.92)および自殺念慮([スクリーンタイム]IRR:0.74、95%CI:0.51~0.97、[3つすべて]IRR:0.12、95%CI:0.06~0.33)のリスクが低かった。・思春期に3つのガイドラインすべてを満たしていなかったが、成人期に満たしていた人は、ガイドラインをまったく満たしていなかった人と比較し、自殺念慮のリスクが低かった(IRR:0.81、95%CI:0.45~0.89)。

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急性心不全、強化治療戦略で死亡・再入院リスク減/Lancet

 急性心不全で入退院後、診療ガイドラインに準じた標準的心不全治療(guideline-directed medical therapy:GDMT)の早期漸増と頻回なフォローアップによる強化治療戦略は、通常治療と比較して症状軽減、QOL改善、および180日以内の全死因死亡+心不全再入院リスクの減少をもたらすことが、フランスのパリ・シテ大学のAlexandre Mebazaa氏らが実施した多施設共同無作為化非盲検並行群間試験「STRONG-HF試験」の結果、示された。急性心不全で入退院後にGDMTを行う際の用量や漸増速度に関するエビデンスは不足していた。Lancet誌オンライン版2022年11月7日号掲載の報告。2週間で目標用量まで漸増するGDMTと通常治療を比較 研究グループは、14ヵ国(アルゼンチン、オーストリア、ブルガリア、コロンビア、フランス、ハンガリー、イスラエル、モザンビーク、ナイジェリア、ロシア、セルビア、スロバキア、南アフリカ、チュニジア)の87病院において、急性心不全で入院し退院予定日前2日以内に経口心不全治療薬の最大用量を投与されていない18~85歳の患者を対象に試験を行った。 退院前に左室駆出率(≦40% vs.>40%)および国で層別化して、通常治療群または高強度(high-intensity)治療群(β遮断薬、RAS阻害薬[ACE阻害薬、ACE阻害薬に不耐用の場合はARB]、ARNI、MR拮抗薬による)に1対1の割合で無作為に割り付けた。通常治療群では各地域の診療に従った治療を行い、高強度治療群では無作為化後2週間以内に推奨用量の100%まで治療薬を漸増するとともに、無作為化後1・2・3・6週時に臨床状態、臨床検査値、NT-proBNP値を評価した。 主要評価項目は、180日以内の心不全による再入院または全死亡で、intention-to-treat(ITT)集団を対象に有効性と安全性を評価した。主要評価項目については、倫理委員会がプロトコルの修正を承認し180日目まで患者の追跡調査を可とした病院に登録された患者のみを解析対象集団とした。 なお、本試験は、計1,069例が無作為化された時点の解析で主要評価項目の群間差が予測より大きかったため、データ安全性モニタリング委員会の勧告により2022年9月23日に早期中止となった。早期漸増で180日以内の全死因死亡+心不全再入院リスクが有意に減少 2018年5月10日~2022年9月23日の期間に、計1,641例がスクリーニングを受け、1,078例が高強度治療群(542例)または通常治療群(536例)に無作為化された(ITT集団)。患者背景は、平均(±SD)年齢63.0±13.6歳、男性61%で、白人またはコーカサスが77%/黒人21%/アメリカ先住民<1%/太平洋諸島系<1%/その他1%であった。 データカットオフ時点(2022年10月13日)において、高強度治療群は通常治療群と比較して、90日目までに経口心不全治療薬を最大用量まで漸増された患者の割合が高かった(RAS阻害薬:55% vs.2%、β遮断薬:49% vs.4%、MR拮抗薬:84% vs.46%)。また、高強度治療群は通常治療群より、90日目までに血圧、心拍数、NYHA分類、体重およびNT-proBNP値が改善した。 180日以内の心不全による再入院または全死亡は、高強度治療群で506例中74例、通常治療群で502例中109例発生した(補正後リスク差:8.1%[95%信頼区間[CI]:2.9~13.2]、p=0.0021、リスク比:0.66[95%CI:0.50~0.86])。 90日以内の有害事象は、高強度治療群(223/542例、41%)が通常治療群(158/536例、29%)より多く認められたが、重篤な有害事象の発現率(88例[16%]vs.92例[17%])、致死的有害事象の発現率(25例[5%]vs.32例[6%])は同等であった。

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コロナワクチン接種率の違いで死亡率に大きな差/JAMA

 2021年から2022 年にかけて、全世界で新型コロナワクチン接種が普及した一方、デルタ株とオミクロン株が流行した。米国・Brown School of Public HealthのAlyssa Bilinski氏らは、この期間におけるOECD加盟国中20ヵ国のワクチン接種率と新型コロナウイルス感染症死亡率、超過全死亡率を調査し報告した。米国については、ワクチン接種率上位10州と下位10州についても調査したところ、下位10州の新型コロナウイルス感染症死亡率は上位10州のほぼ倍だった。JAMA誌オンライン版2022年11月18日号のリサーチレターに掲載。ワクチン接種率と新型コロナウイルス感染症死亡率、超過全死亡率を調査 本研究では、ワクチン接種率は2022年1月時点で2回以上接種した人の割合とし、死亡率は2021年6月27日~2022年3月26日の死亡データを比較した。米国のデータはCDCから、その他の国のデータについては、新型コロナウイルス感染症死亡率はWHO、全死亡率はOECD データベース、ワクチン接種率はOur World in Dataからそれぞれ入手した。 ワクチン接種率と新型コロナウイルス感染症死亡率、超過全死亡率を調査した主な結果は以下のとおり。・主な国におけるワクチン接種率と、デルタ株流行期/オミクロン株流行期/全期間の人口10万人当たり新型コロナウイルス感染症死亡者数は以下のとおり。 日本      :80%、3人/7.4人/10.4人 韓国      :82%、6.1人/18.2人/24.3人 ニュージーランド:75%、0.5人/3.3人/3.7人 オーストラリア :76%、4.9人/14.2人/19.2人 イタリア    :76%、15.2人/39人/54.2人 フランス    :74%、14.6人/27.6人/42.2人 ドイツ     :71%、29.6人/22.7人/52.3人 英国      :71%、30.1人/28.9人/59人 米国全体    :63%、60.9人/50.6人/111.6人 米国(接種率上位10州):73%、28.1人/46.6人/74.7人 米国(接種率下位10州):52%、86.6人/59.4人/146人・米国全体およびワクチン接種率下位10州の超過全死亡率は新型コロナウイルス感染症死亡率より高く、全期間における他の国より高かった。・この期間にもし米国の新型コロナウイルス感染症死亡率がワクチン接種率上位10州と同じだった場合、12万2,304人の死亡を回避でき、米国の超過全死亡率がワクチン接種率上位10州と同じだった場合は26万6,700人の死亡を回避できたと推計された。 2021~22年初め、米国の新型コロナウイルス感染症死亡率および超過全死亡率は他国より有意に高かったが、この差はワクチン接種率上位10州では小さくなった。著者らは「残りの差は、他国での高いワクチン接種率、高齢者をターゲットとしたワクチン接種、医療・社会インフラの違いによって説明しうるだろう」と考察している。

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慢性B型肝炎へのbepirovirsen、第IIb相試験結果/NEJM

 B型肝炎ウイルス(HBV)のmRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドであるbepirovirsenは、300mg週1回24週間投与により、HBV表面抗原(HBsAg)およびHBV DNAの持続的な消失が慢性B型肝炎患者の9~10%で認められた。中国・香港大学のMan-Fung Yuen氏らが、無作為化非盲検第IIb相試験「B-Clear試験」の結果、報告した。bepirovirsenの第IIa相試験では、4週間の投与でHBsAgが急速かつ用量依存的に減少し、一部の患者では一過性の消失も認められていた。著者は、「bepirovirsenの有効性および安全性を評価するため、より大規模で長期的な試験が必要である」とまとめている。NEJM誌オンライン版2022年11月8日号掲載の報告。HBsAgおよびHBV DNA消失の24週間持続、3用法用量vs.プラセボ 研究グループは、18歳以上で6ヵ月以上HBV感染が持続していることが確認され、HBsAg 100 IU/mL以上の患者を、bepirovirsen 300mg 24週間投与群(第1群)、bepirovirsen 300mg 12週間投与→150mg 12週間投与群(第2群)、bepirovirsen 300mg 12週間投与→プラセボ12週間投与群(第3群)、プラセボ12週間投与→bepirovirsen 300mg 12週間投与群(第4群)に、3対3対3対1の割合で無作為に割り付け、週1回皮下投与した。4日目および11日目に、bepirovirsen 300mg(第1、2、3群)またはプラセボ(第4群)の負荷投与を行った。 試験期間は、治療期間24週間および追跡調査期間24週間を含む最大55週間であった。ヌクレオシド/ヌクレオチドアナログ(NA)を投与されていた患者は試験期間中もNA療法を継続した。 主要評価項目は、beporovirsen投与終了後、新たに抗ウイルス薬を投与することなくHBsAg値検出限界未満かつHBV DNA値定量下限未満が24週間維持された患者の割合であった。 計457例(NA療法あり227例、NA療法なし230例)が、intention-to-treat集団に含まれた。NA療法併用の有無にかかわらず、300mg週1回24週間投与が有効 主要評価項目を達成した患者は、NA療法併用集団において第1群6例(9%、95%信用区間[CrI]:0~31)、第2群6例(9%、95%CrI:0~43)、第3群2例(3%、95%CrI:0~16)、第4群0例(0%、事後CrI:0~8)であり、非併用集団においてそれぞれ7例(10%、95%CrI:0~38)、4例(6%、95%CrI:0~25)、1例(1%、事後CrI:0~6)、0例(0%、事後CrI:0~8)であった。 安全性については、1~12週目において、注射部位反応、発熱、疲労、アラニンアミノトランスフェラーゼ値上昇などの有害事象の発現率が、bepirovirsen群(第1、2、3群)でプラセボ群(第4群)より高かった。

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塩野義のコロナ治療薬ゾコーバを緊急承認/厚生労働省

 厚生労働省は11月22日、塩野義製薬と北海道大学の共同研究から創製された3CLプロテアーゼ阻害薬の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸(商品名:ゾコーバ錠125mg)を、医薬品医療機器等法第14条の2の2に基づき緊急承認した。緊急承認制度は2022年5月に新たに創設された制度で、薬剤の安全性の「確認」は前提とする一方で、有効性が「推定」できれば承認することができる。今回、本制度が初めて適用となった。同日開催された薬事・食品衛生審議会薬事分科会と医薬品第二部会の合同会議で、塩野義製薬が提出した第III相試験(第II/III相試験Phase 3 Part)の速報データに基づき緊急承認された。 第III相試験(第II/III相試験Phase 3 Part)では、軽症および中等症のSARS-CoV-2感染者を対象とし、オミクロン株流行期に重症化リスク因子の有無やワクチン接種の有無を問わず、日本、韓国、ベトナムで計1,821例が登録された。COVID-19発症から無作為割付までの時間が72時間未満の集団において、5症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳、熱っぽさまたは発熱、倦怠感[疲労感])が回復するまでの時間を主要評価項目とした。2022年9月末に主要目的の達成を示す結果が得られた。 主な結果は以下のとおり。・5症状が回復するまでの時間の中央値は、本剤群が167.9時間(約7日)、プラセボ群が 192.2時間(約8日)であり、本剤の投与により24.3時間(約1日)の短縮が示された。・治療開始から3日後(Day 4)のウイルスRNA量のベースラインからの変化量は、プラセボ群に対して本剤群で約30倍の差(1.47 log10[copies/mL])があり、本剤群はプラセボ群と比較して統計学的に有意な減少を示した(両側p<0.0001)。 本剤の用法・用量は、通常、12歳以上の小児および成人にはエンシトレルビルとして1日目は375mgを、2~5日目は125mgを1日1回経口投与する。SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始する。なお、重症度の高い患者に対する有効性は検討されていない。 添付文書に記載された本剤の禁忌は以下のとおり。2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2.2 次の薬剤を投与中の患者:ピモジド、キニジン硫酸塩水和物、ベプリジル塩酸塩水和物、チカグレロル、エプレレノン、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、エルゴメトリンマレイン酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、シンバスタチン、トリアゾラム、アナモレリン塩酸塩、イバブラジン塩酸塩、ベネトクラクス〔再発または難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期〕、イブルチニブ、ブロナンセリン、ルラシドン塩酸塩、アゼルニジピン、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル、スボレキサント、タダラフィル(アドシルカ)、バルデナフィル塩酸塩水和物、ロミタピドメシル酸塩、リファブチン、フィネレノン、リバーロキサバン、リオシグアト、アパルタミド、カルバマゼピン、エンザルタミド、ミトタン、フェニトイン、ホスフェニトインナトリウム水和物、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品2.3 腎機能または肝機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者2.4 妊婦または妊娠している可能性のある女性 本剤は、緊急承認時において有効性および安全性に係る情報は限られており、引き続き情報を収集中。緊急承認の期限は1年とされ、正式承認を得るには再審議が必要となる。

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サイケデリックなうつ病治療(解説:岡村毅氏)

 少し前に、がんの「標準治療」を劣ったものと誤解し、怪しげな「民間療法」あるいは「自称最先端の治療」に騙されてしまう患者さんがいることが問題になった。標準治療とは、実は科学的根拠がある最適な治療なのだということは今では多くの人の知るところになった。同じことは精神医学でもいえる。多くのうつ病は、短期間の抗うつ薬投与と休養であっさり回復する。標準治療をお勧めする。 ただし、すべてのうつ病が医学的に治るというのは思い上がった意見だろう。治療抵抗性うつ病とは薬物治療等に反応が不良なうつ病、つまり何をやってもうまくいかないうつ病を指すが、うつ病治療学の大きな課題であった。認知行動療法やマインドフルネスといった治療技術もこれを射程に開発された。 この論文は、マジックマッシュルームなどに含まれる幻覚成分を用いた治療抵抗性うつ病の治療に関する研究の報告であるが、すでにフェーズ2まで進んでいる。抗うつ効果がはっきりある一方で、自殺念慮などの深刻な有害事象も生じている。抗うつ薬はすでに新しいものが出にくい状況であるので、臨床的には大変興味深い。 医学的にはただそれだけのことである。 しかし、マジックマッシュルームや幻覚剤というと、医学的なことに留まらず、さまざまな側副情報がくっついており、非常に危険な話題である。この記事を読んでいるのは知識がある人であろうから、ある程度ざっくばらんに書くが、あくまで私個人の意見として以下を読んでいただければと思う。 まず幻覚剤はヒッピームーブメントと結びついている。ご承知のように1960年代の米国のカウンターカルチャーであり、現代文明によって奴隷のようになった我々を解放しなければならないという心性である。気持ちとしてはなんとなくわかるが、幻覚剤を用いた宗教行事のようなことを行って、解放を目指したりしがちである。これは現代アメリカ文明がネイティブアメリカン等の先住民の虐殺の上に成り立っているという原罪意識とも結びついているかもしれない。 あの時代ならではであるが、リアリー元教授という人がハーバード大学で幻覚剤を用いて人を変えることができると主張して科学的にはめちゃくちゃな研究をし、追放された。ちなみにリアリー元教授は破天荒な人生を歩んだ人で、テレパシー、宇宙移住、ジョン・レノンとオノ・ヨーコとの活動、カルフォルニア州知事選への立候補などもしている。彼のせいで、幻覚剤を用いた治療というと、かなりイロモノになったことは事実であろう。 一方で体制側も幻覚剤を用いていた。あるいは用いていたと多くの人が信じている。悪名高きMKウルトラ計画はCIAによる洗脳研究とされる。とはいえ、自分はMKウルトラの被害者だと主張する人や、自分は宇宙人に誘拐されたなどと主張する人が米国には多数いるが、その真偽は明らかではない。 精神医学に関して言うと、精神科医ほど体制を嫌う集団はないと個人的には思っているが(なので社会から排除されるこころ病む人を支援しようという情熱が根本にあるのだが)、精神医学が体制のために使われているのだと主張する人は精神医学の「内部から」常に現れる。いわゆる反精神医学であり、上記のヒッピームーブメントの時代に大きなうねりとなった。確かに旧ソ連などでは精神医学が反体制派の弾圧に使われてしまっており、「自分たちが体制に使われてはいけない」というのは健全な批判精神であろう。とはいえ反精神医学は、精神疾患などというものはないのだとか、治療をしてはいけないとか、極端な主張に陥りがちであったことも事実だ。前述の「民間療法」や「自称最先端の治療」と大して変わらない。 以上、非常に荒っぽくまとめると幻覚剤は、現代文明からの解放や体制との戦い、体制側の洗脳、という両極端の過激な考えと結び付けられてしまい、それぞれの人にとってさまざまな感情を喚起するため、とても取扱注意なのである。 精神医学は、社会学や、文学とも強く結び付いており、社会の安定のための学問でもあるが、同時に社会を変革する(ひっくり返す)学問でもあるという独特の面白さがある。この点をわかっていただきたくていろいろと書いた。とはいえ先ほど「医学的にはただそれだけのことである」と書いたように、この研究は北米と欧州の多施設で科学的に計画されて粛々と行われている。上記のさまざまな先入観というか歴史的に帯びてしまった意味を脇に置いて、淡々と読んでいただきたいものである。

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思わぬ収穫のあった講演会【Dr. 中島の 新・徒然草】(453)

四百五十三の段 思わぬ収穫のあった講演会11月も終わりに近づいてきました。大阪の空気もずいぶん冷えています。でも、散歩なんかにはちょうどいい気温かもしれません。最初は寒くても、歩いているうちに体が温まってくるからです。さて、先週の土曜日、大阪医療センターでは法円坂フォーラムという講演会が行われました。近隣医療機関の先生方を集めて当院の宣伝を行おうというものです。役職者もできるだけ顔を見せるように、ということだったので私も出席しました。テーマは放射線治療で、関係者4人の講演がありました。実は、私自身はあまり放射線治療科には縁がありません。でも、4人の講演を聴いてみると非常に面白かったので、得した気分になりました。とくに印象に残ったところを紹介しましょう。よくご存じの先生方には当たり前のことかもしれませんが、私には新鮮でした。対象となる疾患は、子宮頸がん、舌がん、皮膚がん、前立腺がんなどです。転移性脳腫瘍や脳動静脈奇形も少しだけありました。子宮頸がんについては、進行度によって外科的治療と放射線治療のすみ分けができているそうです。放射線治療の目標としては、ターゲットとなるがんに十分な線量を当てる一方で、隣接する膀胱や大腸、小腸を保護しなくてはなりません。そのためにいろいろな工夫がされていました。組織内小線源を使う場合、コンピュータの自動計算では必ずしもいい治療計画ができるとは限らないそうです。そこで、人間が条件を変更したうえで自動計算させると、理想的な治療計画ができるのだとか。提示された症例では、当初はがんへの線量が不十分にもかかわらず、隣接臓器に余分な線量が加わっていました。そこで、(あくまでも私の理解ですが)線源を1本キャンセルした上で計算をやり直させたようです。そうすると、素人目にもピッタリの治療計画ができました。こういう裏ワザがあるのか、と感心させられた次第です。また、ある男子中学生の陰茎がんの治療には苦心したようです。がんごと陰茎を切断してしまえば完治するのかもしれないけど、そこを何とか機能を保ちつつ治してやりたいと思うのが担当医の親心。おそらく、世の中の男性全員の賛同を得られることでしょう。しかし、ターゲットは放射線治療が最も不得意とする変形しやすいもの。何とかデンタルシリコンやら病理用パラフィンやらを用いて型をとって固定してから放射線治療をしたそうです。その結果、見事にがんは消失し、本体を温存することができました。演者曰く。「苦労して作ったモールドで治療してから早や10数年、そろそろ『子供ができました』とかいう報告が欲しいですね」ということで、内容もさることながら、担当医の創意工夫に驚かされた1日でした。次回は来年3月で、テーマは整形外科だそうです。どんなマニアックな治療を披露してもらえるのか、楽しみですね。最後に1句小雪(しょうせつ)に 手作り治療を 堪能す

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学会発表を華麗にスタートさせる「ショートカットキー」【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第4回

学会発表を華麗にスタートさせる「ショートカットキー」1)書式のコピペで効率アップ2)範囲指定でスクリーンショットを撮る3)[F5]、[Shift+F5]でスムーズにプレゼンを開始するパワーポイントのスライドづくりをする際に、時間がかかり過ぎてしまうことはないでしょうか。そんな方にお勧めしたいのが、ショートカットキーの活用です。ショートカットキーをマスターすると作業効率がアップし、スライドのクオリティも高まります。まず、意外と知られていない便利なショートカットキーが、“書式”のコピー&ペーストです。“文字”のコピー&ペーストは[Ctrl]+[C]、[Ctrl]+[V]でできることはよく知られていますが、これにShiftキーを追加して、[Ctrl]+[Shift]+[C]で書式のコピー、[Ctrl]+[Shift]+[V]で書式のペーストができます〈図1〉。なおMacでは[option]+[command]+[C]で書式のコピー、[option]+[command]+[V]で書式のペーストができます。スライド内で、太字や文字の色、文字の大きさなどを統一したい時に、積極的に活用しましょう。〈図1〉画像データなど、画面の一部を切り取りたい時に便利なのが、Windowsの「切り取り&スケッチ」というツールです。[Windows]+[Shift]+[S]を同時に押すとこのツールが起動します。画面が薄暗くなり、切り取る範囲を指定してスクリーンショットを撮影することができます〈図2〉。これまでスクリーニングショットを撮った後にトリミングしていたという方は、その手間を省くことができます。Macでは[command]+[shift]+[4]がこれに対応しています。〈図2〉最後に、パワーポイントのスライドショーを開始するときに、スライドショータブから「最初から」をクリックしてスライドショーモードに切り替えている方が多いかもしれませんが、[F5]を押すと“最初から”スライドが再生され、[F5]+[Shift]を押すと“現在のスライドから”再生されます。なおMacでは[command]+[shift]+[return]で最初から、[command]+[return]で現在のスライドから開始になります。これらをマスターすると、プレゼンをスムーズに始めたり、質疑応答の最中に表示したいスライドからスライドショーを再生したりすることができるため、学会発表本番で重宝するショートカットキーです。〈図3〉講師紹介

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11月24日 いい尿の日【今日は何の日?】

【11月24日 いい尿の日】〔由来〕寒さが本格化してくる時期である11月の「いい(11)にょう(24)」(いい尿)と読む語呂合わせからクラシエ製薬株式会社が制定。寒さが増すと頻尿・夜間尿などの排尿トラブルが増えることから、その啓発や症状に合った治療を広く呼び掛けることが目的。関連コンテンツ女性の頻尿、どう尋ねるべき?【Dr.山中の攻める!問診3step】知っておきたい女性の排尿障害の診療【診療よろず相談TV】頻尿、排尿痛があるときの症状チェック【患者説明用スライド】尿が少ない・出ないときの症状チェック【患者説明用スライド】新・夜間頻尿診療ガイドラインで何が変わるか/日本排尿機能学会

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第21回 第8波で「風邪薬」が軒並み出荷調整へ

沖縄第7波と対照的第8波は北海道からスタートです。第7波で沖縄が壊滅的な医療逼迫に陥ったことが記憶に新しいと思います。夏の沖縄に観光に行って、そのまま新型コロナのホテル療養になるという災難な人もいました。第7波に大きな痛手を負った地域ほど今回流行がゆるやかな印象です。これまでの波の集団免疫が影響しているのかもしれません。また、北海道は一足早く紅葉シーズンと秋の味覚シーズンが到来しました。全国旅行支援の後押しもあって旅行客も多かったと聞いています。これが新規陽性者数の増加につながった可能性はあります。北海道第8波では、いとも簡単に1日の新規陽性者数1万人を超えてきました(図)。過去最多です。急峻なピークを描いて、そのまま収束してくれるとありがたいのですが、第6波のように二峰性の波になる可能性もあります。第6波は変異ウイルスによって波が2つに分離されたのですが、今回はBA.5が8割以上を占めているものの、BA.2.75、BF.7、BQ.1.1がじわじわと増えつつあります1)。かなり細分化されて報告されているため、個々の変異ウイルスが波を形成するには至らないかもしれませんが、すんなりと第8波が終わってくれるのかは神のみぞ知るです。インフルエンザとの同時流行があると、かなりやっかいなことになります。画像を拡大する図. 北海道の新型コロナ新規陽性者数(筆者作成)先日、北海道のクリニックの医師と電話でお話をしたのですが、風邪症状を治める薬剤に出荷調整がかかっており、厳しいという意見がありました。トラネキサム酸やトローチなどが出荷調整新型コロナやインフルエンザには抗ウイルス薬を使用しますが、症状の緩和のためには症状を治める薬剤を使用することが多いです。呼吸器内科医なので、血痰・喀血の患者さんにトラネキサム酸を使用することがあるのですが、ここ最近トラネキサム酸が処方しにくく、少し困っています。咽頭痛に対するトラネキサム酸自体もそこまでエビデンスがあるわけではないのですが、プライマリ・ケアでは結構頻用されることが多いです。今月から、デカリニウム(商品名:SPトローチ)の処方が厳しくなってきました。これもそんなにエビデンスがあるわけではないので、積極的に処方することは多くないのですが、こちらの製剤は抗がん剤などで口内炎や咽頭痛がしんどい患者さんが強く希望することもあります。処方してから初めて出荷調整がかかっていることを知ることもありますが、まあとにかく、風邪症状を治める薬剤が処方できない場面はよく経験されます。いやあ、この状況で第8波とインフルエンザシーズンを迎えるのはしんどいかもしれませんね。新型コロナの咽頭痛に対するデキサメタゾンに関しては、エビデンスは何とも言えませんが、個人的には強烈な咽頭痛でしんどそうな患者さんには、デキサメタゾンの単回投与を検討してもよいかなとも考えています。ただし、48時間以内の症状軽減でようやく有意差が付いたという、弱いエビデンスではありますが。参考文献・参考サイト1)(第107回)東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和4年11月17日)

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果物の摂取量が多いほどうつ病リスク低下/国立精神・神経医療研究センター

 日本のコホート研究において、野菜、果物、フラボノイドの豊富な果物(リンゴ、梨、柑橘類、ブドウ、イチゴなど)の摂取が、うつ病のリスク低下と関連するかどうかを調べた結果、果物およびフラボノイドの豊富な果物の摂取量が多いほど、うつ病の発症率が低かったことを、国立精神・神経医療研究センターの成田 瑞氏らの共同研究グループが発表した。Translational Psychiatry誌2022年9月26日掲載の報告。果物全体とフラボノイドが豊富な果物の両方でうつ病のオッズ比が低かった 先行研究では、野菜や果物の摂取がうつ病の予防に有意である可能性が示されており、とくにフラボノイドは脳由来神経栄養因子や酸化ストレス、神経炎症の抑制作用により抗うつ効果を持つことが示唆されていた。そこで本研究では、野菜、果物、フラボノイドの豊富な果物の摂取がうつ病のリスク低下と関連するかどうかを調べた。 調査は、1990年時点で長野県南佐久郡8町村に在住の40~59歳の1万2,219人のうち、1995年と2000年に行った2回の食事調査アンケートに回答があり、かつ2014~15年にかけて実施した「こころの検診」に参加した1,204例(男性500例、女性704例)を対象とした。野菜、果物、フラボノイドの豊富な果物の摂取量によって5グループに分け、摂取量が最も少ないグループを基準とした場合の、他のグループのうつ病の発症リスクとの関連を調べた。また、野菜や果物に関連する栄養素として、α-カロテン、β-カロテン、ビタミンC、ビタミンE、葉酸の平均摂取量とうつ病との関連も検討した。解析では、年齢、性別、雇用状況、飲酒量、現在の喫煙、運動習慣の影響は調整された。 野菜、果物、フラボノイドの豊富な果物の摂取がうつ病のリスク低下と関連するかどうかを調べた主な結果は以下のとおり。・野菜、果物、フラボノイドの豊富な果物の摂取量が最も多いグループでは、摂取量が最も少ないグループと比較して、高齢者、女性、未就労者、非飲酒者、非喫煙者が多かった。運動習慣に差はみられなかった。・1,204例中93例が精神科医によってうつ病と診断された。・果物全体の摂取量が最も少ないグループと比較して、摂取量が最も多いグループにおけるうつ病のオッズ比は0.34(95%信頼区間[CI]:0.15~0.77、p=0.04)であった。・フラボノイドの豊富な果物の摂取量が最も少ないグループと比較して、摂取量が最も多いグループのうつ病のオッズ比は0.44(95%CI:0.20~0.97、p=0.05)であった。・フラボノイドの豊富な果物の摂取量が最も多いグループの中で、とくにイチゴの摂取によるうつ病のオッズ比は0.37(95%CI:0.18~0.79)と顕著であった。・野菜や関連栄養素の摂取量とうつ病との間には関連はみられなかった。 これらの結果より、同氏らは「果物全体とフラボノイドが豊富な果物の両方について、最も多く摂取したグループでうつ病のオッズ比が低かったことから、フラボノイド固有のメカニズムというよりも、果物が持つ抗酸化作用などの生物学的作用がうつ病の発症に対して予防的に働いた可能性が考えられる」と述べるとともに、「今後の研究では、より大きなサンプルを採用し、他の潜在的な交絡因子を調整する必要がある」とまとめた。

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日本における妊娠中の社会的孤独と不眠症との関係

 東北大学(東北メディカル・メガバンク機構)の村上 慶子氏らは、妊娠中の女性の不眠症有病率を推定し、妊娠中の社会的孤独と不眠症との関連を調査した。その結果、妊娠中の女性における家族や友人からの社会的孤独は、不眠症リスク増加と関連していることが示唆された。Sleep Health誌オンライン版2022年10月10日号の報告。 本横断的研究は、2013~17年に東北メディカル・メガバンク機構の三世代コホート調査の一部として実施された。妊娠中の女性を宮城県の産婦人科クリニックおよび病院で募集し、調査票への回答および医療記録の提供を許可した女性1万7,586人を対象に分析を行った。不眠症の定義は、アテネ不眠尺度スコア6以上とした。社会的孤独の評価にはLubben Social Network Scale短縮版(LSNS-6)を用い、スコア12未満を社会的孤独と定義した。また、LSNS-6のサブスケールを、家族または友人関係の質の評価に用いた。妊娠中の社会的孤独と不眠症との関連の評価には、年齢、出産回数、妊娠前のBMI、妊娠に対する感情、教育、収入、就労状態、つわり、精神的苦痛で調整した後、多重ロジスティック回帰分析を用いた。家族または友人関係の影響についての分析にも、多重ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・妊娠後期の不眠症有病率は、37.3%であった。・社会的孤独が認められた女性は、そうでない女性と比較し、不眠症リスクが高かった(多変量オッズ比[OR]:1.26、95%信頼区間[CI]:1.16~1.36)。・家族関係(OR:1.40、95%CI:1.25~1.56)や友人関係(OR:1.15、95%CI:1.07~1.24)の希薄さは、不眠症リスク増加と関連していた。

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コロナワクチンで帯状疱疹リスクは上がるのか~大規模調査

 新型コロナワクチン接種後に帯状疱疹が発症した症例が報告されているが、ワクチンによって帯状疱疹リスクが増加するのかどうかは不明である。今回、新型コロナワクチン接種が帯状疱疹リスク増加と関係するかどうかについて、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のIdara Akpandak氏らが検討した。その結果、新型コロナワクチン接種後の帯状疱疹の発生率比が0.91であり、本研究では新型コロナワクチン接種と帯状疱疹リスクの増加とは関係していないことが示唆された。JAMA Network Open誌2022年11月16日号に掲載。コロナワクチンと帯状疱疹とは関係しなかった 本コホート研究では、自己対照リスク期間分析を用いて、新型コロナワクチン接種後30日目または2回目接種日までのリスク期間と、新型コロナワクチン最終接種日から60~90日のコントロール期間(リスク期間とコントロール期間の間に30日間を確保)における帯状疱疹の発症リスクを比較した。また、新型コロナワクチン接種後の帯状疱疹リスクを、パンデミック以前(2018年1月1日~2019年12月31日)もしくはパンデミック初期(2020年3月1日~11月30日)にインフルエンザワクチンを接種した2つのコホートにおけるインフルエンザワクチン接種後の帯状疱疹リスクと比較した。データは米国の医療請求データベース(Optum Labs Data Warehouse)から入手。2020年12月11日~2021年6月30日に、ファイザー製ワクチン(BNT162b2)、モデルナ製ワクチン(mRNA-1273)、ヤンセン製ワクチン(Ad26.COV2.S)のいずれかを接種した203万9,854人のデータを分析した。 新型コロナワクチン接種と帯状疱疹リスクの増加との関係を検討した主な結果は以下のとおり。・新型コロナワクチンを接種した203万9,854人の平均年齢(SD)は43.2(16.3)歳で、女性が50.6%、白人が65.9%であった。このうち、帯状疱疹と診断された1,451人が自己対照リスク期間分析の対象で、平均年齢(SD)は51.6(12.6)歳、女性が58.2%だった。・自己対照リスク期間分析において、新型コロナワクチン接種は帯状疱疹のリスク上昇と関係しなかった(発生率比[IRR]:0.91、95%信頼区間[CI]:0.82~1.01、p=0.08)。・ファイザー製ワクチン接種では帯状疱疹リスクが低下し(IRR:0.84、95%CI:0.73~0.97、p=0.02)、モデルナ製ワクチン接種は帯状疱疹リスクとの関連は認められなかった(IRR:0.96、95%CI:0.81~1.15、p=0.67)。・新型コロナワクチン接種は、パンデミック以前のインフルエンザワクチン接種と比べて帯状疱疹リスクが低かった。 - 1回目接種のハザード比(HR):0.78、95%CI:0.70~0.86、p<0.001 - 2回目接種のHR:0.79、95%CI:0.71~0.88、p<0.001また、パンデミック初期のインフルエンザ接種とは有意差が認められなかった。 - 1回目接種のHR:0.89、95%CI:0.80~1.00、p=0.05 - 2回目接種のHR:0.91、95%CI:0.81~1.02、p=0.09

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食道診療ガイドライン2022改訂、日本発エビデンスで治療戦略が大きく変更

 2022年9月に「食道診療ガイドライン」が刊行された。2002年に「食道治療ガイドライン」が発刊されてから20年、前版から5年振りの改訂となる。 10月に行われた日本治療学会の北川 雄光氏(慶應義塾大学・食道治療ガイドライン検討委員会委員長)の講演「食道集学的治療のこれまで、これから」、浜本 康夫氏(慶應義塾大学・腫瘍センター)による教育講演「食道扁平上皮がんに対する薬物療法」を参考として、食道診療ガイドライン2022年版の主な変更点をまとめた。食道診療ガイドライン2022年版で大きく変更のあったCQ 食道がんは他の消化器がんと比べて薬物療法において使用できる薬剤の種類が限られており、近年まで切除可能症例については外科手術を基軸として、化学療法や放射線療法を用いた周術期治療が主に術前治療として行われてきた。しかし、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が登場し、この3年ほどのあいだに大幅に治療戦略幅が広がってきた。そこには日本発のエビデンスも大きな役割を果たしている。今回の食道診療ガイドライン2022年版の改訂において、とくに大きく変更のあったクリニカルクエスチョン(CQ)は以下のとおり。CQ8:cStageII、III食道に対して手術療法を中心とした治療を行う場合、術前化学療法、術前化学放射線療法のどちらを推奨するか?→ cStageII、III食道に対して手術療法を中心とした治療を行う場合、DCF3剤併用術前療法を強く推奨する。 切除可能局所進行食道がんの術前療法としては、日本ではシスプラチン+5-FU(CF療法)が長らく標準療法であったが、欧米においては化学放射線療法が標準療法となっている。日本と海外では術式や組織型が異なるため、海外の臨床試験の結果をそのまま受け入れるのは難しいと考えられていた。一方、CF療法にドセタキセルを加えたDCF療法が頭頸部がんなどで有望な効果を示しており、術前療法としてのCF vs. DCF vs. CF+放射線(RT)療法の3つを比較したJCOG1109(NExT)試験が計画され、今年初めに結果が報告された。 NExT試験の結果は、CF群の3年生存率62.6%に対してDCF群は72.1%と10%近く上回り、CF群とCF+RT群には統計学的な有意差は示されない、というものだった。徹底的な郭清を行う日本の外科手術においては術前の強い化学療法が有効性を示す、という治療戦略の正しさを世界に示す結果となった。DCF群では遠隔転移が少ない一方で、CF+RT群では他病死が多く、放射線治療による晩期障害が他病死につながっている可能性が指摘されている。CQ9:cStageII、III食道に術前補助療法+手術療法を行った場合、術後補助療法を推奨するか?→ 1)cStageII、IIIの食道に対して、術前化学放射線療法および手術を行い、根治切除が得られるも病理学的完全奏効が得られない場合、組織型や腫瘍細胞におけるPD-L1の発現によらず、術後ニボルマブ療法を行うことを強く推奨する。→ 2)cStageII、IIIの食道に対して、術前化学療法および手術を行い、根治切除が得られるも病理学的完全奏効が得られない場合、術後ニボルマブ療法については、現時点で推奨を決定することができない。 1)は2020年に発表されたCheckMate-577試験の結果を受けたもの。術前化学放射線療法後に切除を行った食道がんまたは胃食道接合部がんに対するニボルマブの効果を見た試験であり、主要評価項目である無病生存期間(DCF)はニボルマブ群で22.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:16.6~34.0)、プラセボ群で11.0ヵ月(95%CI:8.3~14.3)と、ニボルマブ群の優越性が示された。ニボルマブの有効性は組織型にも拠らないという結果だった。 2)の術前化学療法+術後のニボルマブ投与の有用性は準拠するエビデンスがない状態で、日本の標準療法が術前DCF療法であることを考えると、ここは早急にエビデンスの確立が求められる部分だ。CQ15:切除不能進行・再発食道に対して一次治療として化学療法は何を推奨するか?→ 1)切除不能進行・再発食道に対して一次治療として、ペムブロリズマブ+シスプラチン+5-FU療法を行うことを強く推奨する。→ 2)切除不能進行・再発食道に対して一次治療として、ニボルマブ+シスプラチン+5-FU療法もしくはニボルマブ+イピリムマブ療法を行うことを強く推奨するが、患者の全身状態および、PD-L1発現状況(TPS)、忍容性等を考慮する。 近年、二次化学療法においてICIの有用性が示され、一次療法においても検討が行われている。1)はKEYNOTE-590試験の結果を受けたもので、749例を対象に初回治療としてのペムブロリズマブの有効性を見た試験おいて、扁平上皮がんかつCPS>10の患者集団における全生存期間(OS)中央値は、ペムブロリズマブ群13.9ヵ月(95%CI:11.1~17.7)に対して、プラセボ群8.8ヵ月(95%CI:7.8~10.5)であり、ペムブロリズマブ併用群の優越性が示された。 2)はCheckMate-648試験の結果を受けたもので、登録患者970例はニボルマブ+化学療法群、ニボルマブ+イピリムマブ群、化学療法単独群に1:1:1で割り付けられた。ニボルマブ+化学療法群の無増悪生存期間(PFS)中央値は、TPS≧1集団において6.9ヵ月(95%CI:5.7~8.3)であり、化学療法単独群の4.4ヵ月(95%CI:2.9~5.8)を有意に上回ったが、全ランダム化集団においては有意差を認めなかった。 食道がんも他のがん種と同様に、外科手術中心の時代から化学療法に加えて放射線療法やICIも組み合わせた集学的・個別化医療の時代に突入しており、今後はロボット支援手術によるさらなる低侵襲化や合併症の軽減によって長期予後を狙うことなどに焦点が当てられている。また、食道診療ガイドライン2022版の改訂にあわせ、『食道取扱い規約』も12版に改訂されている。『食道診療ガイドライン 2022年版 第5版』編集:日本食道学会定価:3,520円(税込)発行:2022年9月B5判・176頁・図数:19枚・カラー図数:13枚

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AMI救急患者、層別化と迅速フォローでアウトカム改善/NEJM

 救急外来を受診した急性心筋梗塞患者について、臨床医の入退院の意思決定を支援するために病院ベースで開発したポイント・オブ・ケア(POC)アルゴリズムを用いて患者を層別化し、高リスク患者は入院させ、低リスク患者については外来で迅速にフォローアップをすることで、通常ケアと比較し、30日以内のあらゆる死亡および心血管系入院の複合リスクの有意な低下(補正後ハザード比[HR]:0.88)が示された。カナダ・トロント大学のD. S. Lee氏らが、10病院を対象に行ったステップウェッジクラスター無作為化試験「COACH試験」の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2022年11月5日号掲載の報告。通常ケアフェイズから介入フェイズへクロスオーバー試験 研究グループは、救急外来を受診した急性心筋梗塞の成人患者について、POCアルゴリズムの使用と外来での迅速なフォローアップがアウトカムに影響するかを検討する試験を行った。カナダ・オンタリオ州の10病院を、通常治療(対照)フェイズと介入フェイズをクロスオーバーして順次開始する無作為に割り付け、被験者にPOCアルゴリズムを使い、死亡リスクにより層別化。介入フェイズでは、低リスク患者は3日以内に退院し、標準化された外来ケアを受けた。高リスク患者は、入院した。 主要アウトカムは、30日以内の全死因死亡または心血管入院の複合アウトカム、および20ヵ月以内の同複合アウトカムだった。20ヵ月以内アウトカムも、介入フェイズでわずかだが改善 被験者数は5,452例で、対照フェイズが2,972例、介入フェイズが2,480例だった。 30日以内の全死因死亡または心血管入院の発生は、対照フェイズ430例(14.5%)に対し介入フェイズ301例(12.1%)だった(補正後HR:0.88、95%信頼区間[CI]:0.78~0.99、p=0.04)。 20ヵ月以内の主要アウトカムの累積発生率は、対照フェイズ56.2%(95%CI:54.2~58.1)、介入フェイズ54.4%(48.6~59.9)だった(補正後HR:0.95、95%CI:0.92~0.99)。 深刻な有害事象と定義した、低・中等度リスク患者の30日以内の退院後初回外来診察までの全死因死亡・入院は6件未満だった。

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エンパグリフロジン、疾患リスク進行のCKDに有用/NEJM

 疾患リスクが進行した幅広い慢性腎臓病の患者において、エンパグリフロジンはプラセボと比較し、リスクの進行や心血管系による死亡の低減に結び付くことが示された。英国・オックスフォード大学のWilliam G. Herrington氏らが、広範囲の疾患進行リスクを有する慢性腎臓病患者を対象に行ったプラセボ対照無作為化比較試験「EMPA-KIDNEY試験」の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2022年11月4日号掲載の報告。対プラセボで、腎臓病進行と心血管死の複合アウトカムを評価 EMPA-KIDNEY試験では、推算糸球体濾過量(eGFR)が20mL/分/1.73m2~45mL/分/1.73m2未満、またはeGFR 45mL/分/1.73m2~90mL/分/1.73m2未満で尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)が200(mg/g・CRE)以上の慢性腎臓病患者を対象とした。 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはエンパグリフロジン(10mg 1日1回)を、もう一方にはプラセボを投与した。 主要アウトカムは、腎臓病の進行(末期腎不全、eGFRが持続的に10mL/分/1.73m2未満、eGFRがベースラインから40%以上持続的に低下、腎臓病による死亡)または心血管系による死亡の複合アウトカムだった。入院リスクもエンパグリフロジン群が有意に低率 合計6,609例が無作為化を受けた。追跡期間中央値2.0年の間に、主要アウトカムの発生は、エンパグリフロジン群3,304例中432例(13.1%)、プラセボ群3,305例中558例(16.9%)だった(ハザード比[HR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.64~0.82、p<0.001)。 この結果は、糖尿病の有無にかかわらず、またeGFR値によるサブグループ別でも一貫していた。 原因を問わない入院の発生率も、エンパグリフロジン群がプラセボ群より低率だった(HR:0.86、95%CI:0.78~0.95、p=0.003)。一方で、心不全による入院または心血管系による死亡の複合アウトカム発生率(エンパグリフロジン群4.0%、プラセボ群4.6%)、および全死因死亡の発生率(4.5%、5.1%)は両群間で有意差はみられなかった。 重篤な有害イベントの発現頻度は、両群で同程度だった。

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いよいよRNAの薬の時代!(解説:後藤信哉氏)

 生命機能を担うタンパク質の構造と機能はDNA配列により規定される。細胞におけるタンパク質の産生はDNA配列に基づいたRNAの配列の影響を受ける。分子生物学の黎明期に医学教育を受けた筆者には、ゲノム編集などのDNAを標的とする治療の論理を理解できても、低分子干渉RNAを薬にするとは想像したこともなかった。本研究は生命体に関する分子生物学的研究の進展が新規技術による革新的治療法を生み出す可能性を示唆した画期的研究である。 心筋梗塞の発症とLDLコレステロールの関係が深いことは広く知られている。スタチン、PCSK9阻害薬などLDLコレステロールを十分に低下させる治療は広く普及した。それでも冠動脈疾患の再発を完全に予防できているわけではない。本研究では冠動脈疾患のリスク因子としてLDLコレステロールよりも複雑なリポ蛋白(a)を治療標的とした。 水に溶けない脂質の研究はタンパク質よりも難しい。遠心分離した血液サンプルを用いて比重からタンパク質と結合した脂質を分類してきた。リポ蛋白(a)はLDLによく似ているがアポ蛋白としてapo(a)が結合している。本研究では低分子干渉RNAにてapo(a)の産生を制御し、結果としてリポ蛋白(a)を低下させようとの発想である。高度な生命科学技術の複合として開発された治療法といえる。 革新的技術により開発された薬剤であっても古典的なランダム化比較試験による臨床評価が必要というのが現在の薬剤開発のルールである。本研究は用量設定試験として281例が登録された。小規模試験であるがサロゲートエンドポイントであるリポ蛋白(a)はいずれの用量でも劇的に低下した。この低分子干渉RNA製剤によるリポ蛋白(a)低下作用は証明されたとせざるを得ない。少数例のランダム化比較試験であっても、NEJM誌に採択されるほど本研究は革新的である。薬剤として臨床使用されるためにはリポ蛋白(a)低下により冠動脈イベントなどの臨床イベントを低下させることを示さなければならない。しかし、汎用性のある方法なので今後、他の疾病に応用される可能性が高いと思う。

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第136回 出揃った「かかりつけ医」の制度案、医療機関が手上げして患者が自分で選択する方式が浮上(前編)

熱を帯びる「かかりつけ医」制度化の議論こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は実家のある愛知県に中央自動車道をすっ飛ばして行ってきました。大きな目的は父親のマイナンバーカード交付申請と、マイナポイントを受け取る決済サービスを持っているかの確認。そして90歳の老人に運転免許の更新をあきらめさせることです。交付申請自体は、近所の携帯電話ショップが無料で代行(業者に補助金が入ります)してくれたので、簡単でした。ただ、実際にカードが交付されたら今度は町役場で暗証番号等の登録をしなければなりません。90歳の老人に英数字混合の暗証番号の設定や、マイナポイントの申請は相当ハードルが高い作業に思えます。運転免許更新の意向を翻すことも不調に終わりました。年内にもう1度くらいは実家に帰る必要がありそうです。さて、2023年度の予算編成が目前に迫り、11月に入って「かかりつけ医」の制度化に関する議論が今まで以上に熱を帯びてきています。日本医師会、財務省、日本病院会、健康保険組合連合会、全世代型社会保障構築会議がそれぞれの案を公表、まさに百花繚乱です。かかりつけ医制度化の方針は岸田政権も踏襲今回のかかりつけ医の制度化の議論の発端は、昨年4月15日財務省主計局が、社会保障制度の見直しについて議論する財政制度等審議会・財政制度分科会(分科会長=榊原 定征・前経団連会長)において、社会保障制度の改革についての考え方を示し、この中で診療所における「かかりつけ医機能」の制度化を提言したことです。同分科会は、「複数の慢性疾患を抱える患者が増加する超高齢化社会において、患者がその状態に合った医療を受けるためにも、有事を含め国民が必要な時に必要な医療にアクセスできるようにするためにも、緩やかなゲートキーパー機能を備えた『かかりつけ医』の推進は不可欠である」と言い切りました(「第59回 コロナ禍、日医会長政治資金パーティ出席で再び開かれる? “家庭医構想”というパンドラの匣」参照)。同年10月に岸田政権が発足するとその方針も踏襲されました。今年5月25日に公表された財務省の財政制度等審議会の「春の建議」では、「かかりつけ医機能を持つ医療機関」を認定する仕組みを設けて、「利用希望者による事前登録・医療情報登録」を促すなどの段階的な取り組みを進めていくべきであると、さらに踏み込んだ提言が行われています。こうした議論が進む中、患者の「登録制」や、英国のGP制度のような報酬の人頭払い制などの導入を何としても回避したい日本医師会は、4月20日に中川 俊男前会長が、かかりつけ医の今後のあり方にとして『国民の信頼に応えるかかりつけ医として』を取りまとめて公表、制度化を牽制しています(「第108回 「かかりつけ医」の制度化めぐり、日本医師会と財務省の攻防本格化」参照)。医療機関の役割分担や連携を進め、地域全体でカバーする仕組みを日医提言さらに日医は、前政権下での抽象的な提言だけでは不十分と感じたためか、松本 吉郎新会長下で改めて「かかりつけ機能」のあり方の検討に入りました。そして、先ごろ、11月2日に「地域における面としてのかかりつけ医機能~かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けて~(第1報告)」を公表、医療機関の役割分担や連携を進め、地域全体で「かかりつけ医機能」をカバーする仕組みを提言しました1)。この案は、2013年8月に公表した日医と四病院団体協議会との合同提言や、各都道府県が運営する「医療機能情報提供制度」で定義されている「かかりつけ医機能」がベースとなっており、とくに新味はありません。国民にわかりやすくかかりつけ医機能を示すための方策について、「医療機能情報提供制度」における「かかりつけ医機能」を、国民の期待に応えることができる内容に改めた上で公表していく、としています。しかし、そもそも「医療機能情報提供制度」の存在自体を知る国民は少数です。そのためか、一読してもむしろわかりにくいと感じましたが、皆さんいかがでしょうか。なお、松本氏は記者会見で、「かかりつけ医は患者が選ぶものである」と強調、財務省が求めるかかりつけ医の認定制度、事前登録、包括払いの拡大に反対する姿勢を改めて示しました。財務省、かかりつけ医の認定制度や事前登録の仕組みには振れずその財務省は11月7日に財政制度等審議会・財政制度分科会を開き、地域の診療所や中小病院がカバーする「かかりつけ医機能」を明確化・法制化し、それらを発揮するための制度の整備を改めて主張しました2)。ただし、今回はかかりつけ医の認定制度や事前登録の仕組みについては触れませんでした。5月に公表した「春の建議」から若干後退した印象です。しかし、効果的で効率的な医療提供体制の実現を医療制度改革の最重要課題と位置付け、その一環として「かかりつけ医機能」を明確化・法制化する必要性を強調している点は変わりありません。この時の同分科会では、日医と四病院団体協議会との合同提言における「かかりつけ医機能」のイメージが医療関係者の間でおおむね共有されてきた、という見方を示しており、なんとなく日医への歩み寄りの気配も感じられる内容でした。うがった見方をすれば、「第125回 医療DXの要「マイナ保険証」定着に向けて日医を取り込む国・厚労省の狙いとは かかりつけ医制度の議論を目くらましにDX推進?」で書いたような、裏でなんらかの“手打ち”が行われていたのかもしれません。医師1人だけを患者が自分の「かかりつけ医」として登録する健保連案「かかりつけ医機能」についてはこの他、日本病院会、健康保険組合連合会も11月に入ってから提言を行っています。日本病院会は11月2日、「かかりつけ医機能」を規定する医療法施行規則の見直しを求める提言を厚生労働省に提出しました3)。この提言ではかかりつけ医機能は「病院も含めた医療機関」の機能と考えるべきだとし、医療法施行規則で掲げている「日常的な医学管理・重症化予防」など8項目の基準が不明確かつ基準が適切ではないと指摘、「かかりつけ医機能」の基準を、1)診療時間内外を問わず地域住民に自院で対応、もしくは他の医療機関と連携して対応、2)特定の領域に偏らない広範囲にわたる全人的医療を行う、3)総合的な医学的管理を行う、の3つに切り替えるよう求めました。そして、自主的に届け出た医療機関が「かかりつけ医機能」を果たすことにより、円滑な地域医療連携体制の構築が可能となる、としました。一方、医療費を支払う側の代表とも言える健康保険組合連合会は11月8日に英国のGP制度にも若干似た「かかりつけ医」の制度案を提言しています4)。「幅広い診療・相談」への対応など一定の機能を整備している医療機関を認定し、それらの医療機関の医師1人だけを患者が自分の「かかりつけ医」として任意で登録する、という内容です。医療機関の認定方法や診療報酬の評価については今後の検討課題としました。全世代型社会保障構築会議、「医療機関、患者それぞれの手上げ方式」を提案こうしたさまざまな提案がなされた後、“トリ”を飾る形で登場したのが、政府の全世代型社会保障構築会議(座長・清家 篤日本赤十字社社長)での提案です5)。11日に開かれた同会議では、会議内でかかりつけ医について議論していたチームから、 かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けた論点の報告を受けました。同チームは「医療機関、患者それぞれの手上げ方式とすべきではないか」と提言しました。政府の組織が登録を義務化せず、医療機関や患者にそれぞれ判断を委ねる「手上げ方式」を新たに提案したことで、かかりつけ医の制度化の議論は、新しい局面に入ったと言えるでしょう。(この項続く)参考1)「地域における面としてのかかりつけ医機能~かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けて~(第1報告)」を公表/日医オンライン2)財政制度分科会(令和4年11月7日開催)資料一覧/財務省3)「かかりつけ医機能」に関する提言/一般社団法人 日本病院会4)「かかりつけ医」の制度・環境の整備について/健康保険組合連合会5)全世代型社会保障構築会議(第8回)資料/内閣官房

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アトピー性皮膚炎の湿疹とかゆみ、臨床で推奨される測定手法は?

 臨床において、アトピー性皮膚炎患者の湿疹コントロールおよびかゆみの強度測定に推奨される手法は何か。イスラエル・ラビン医療センターのYael A. Leshem氏らHarmonising Outcome Measures for Eczema in Clinical Practice(HOME-CP)イニシアチブが、システマティックレビューを介して入手した測定手法についてエビデンスレビューを行った。 結果、湿疹の長期コントロールの測定には、Recap of Atopic Eczema(RECAP)とAtopic Dermatitis Control Tool(ADCT)が、かゆみ強度の測定には、かゆみに関するPatient-Reported Outcomes Measurement Information System(PROMIS)質問票に基づく、かゆみの数値評価スケール(NRS-itch)でみた24時間ピーク値および1週間ピーク値と1週間平均値が推奨される、とのコンセンサスステートメントを発表した。 「臨床医と患者は、これらの十分に検証され、迅速に実行でき、使いやすい手法を診療所に持ち込み、ニーズに最適な手法を選択することを推奨する。今回の評価は、患者と臨床医の出会いに取って代わるものではなく、実臨床での研究およびヘルスケアの改善に資するものである」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年10月12日号掲載の報告。 臨床でのアウトカムを測定することは、患者のケア、質の改善および実臨床のエビデンスジェネレーションに役立つ可能性がある。HOME-CPイニシアチブは、臨床でアトピー性皮膚炎を測定するための、有効かつ実現可能な手段のリストを作成している。これまでの研究で、湿疹症状と長期的なコントロールが、臨床診療で測定すべき最も重要な領域であることが確認されている。 湿疹コントロールとかゆみ強度を測定するための利用可能な手法をシステマティックレビューにより特定し、HOME VIIIバーチャルオンラインミーティング(2020年10月6日と9日)においてコンセンサス(合意形成)プロセスを開催した。検討では、臨床で最適な手法を選択するために実行可能性(feasibility)の側面に力点が置かれた。反対者が30%未満の場合、その手法がコンセンサスを得られたとした。 主な結果は以下のとおり。・湿疹コントロールの手法は7つが特定された。そのうち、コンセンサスを得たのはRECAP(反対者3/63例[5%])とADCT(7/69例[10%])であった。・1つの質問による患者の総合評価は、支持を集めはしたが、現時点で利用可能な手法はコンセンスを得るには至らなかった。・かゆみの強度の測定手法は6つが特定された。そのうち、3つの手法が推奨のコンセンサスを得た。・3つの手法は、かゆみのPROMIS質問票に基づく、NRS-itchの24時間ピーク値(11/63例[17%])、1週間ピーク値(14/63例[22%])、1週間平均値(16/59例[27%])であった。

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