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がん治療による放射線関連心疾患、弁膜症を来しやすい患者の特徴/日本腫瘍循環器学会

 9月17、18日に開催された第5回日本腫瘍循環器学会にて、塩山 渉氏(滋賀医科大学循環器内科)が「放射線治療による冠動脈疾患、弁膜症」と題し、放射線治療後に生じる特異的な弁膜症とその治療での推奨事項について講演した(本シンポジウムは日本放射線腫瘍学会との共催企画)。 がんの放射線治療による放射線関連心疾患(RIHD:radiation-induced heart disease)の頻度は医学の進歩により減少傾向にあるが、それでもなお、食道がんや肺がん、縦隔腫瘍でのRIHD発症には注意を要する。2013年にNEJM誌に掲載された論文1)によると、照射から20年以上経過してもなお、主要心血管イベントリスクが8.2%(95%信頼区間:0.4~26.6)も残っていたという衝撃的な報告がなされた。それ以来、RIHDは注目されるようになり、その1つに弁膜症が存在する。放射線治療時の心臓への影響予測にAMC これら放射線治療時の心臓の予後予測のために見るべき点として、「上記のような弁膜症を発症する症例にはAorto-mitral curtain(AMC、大動脈と僧帽弁前尖の接合部)に進行性の弁の肥厚や石灰化が進行しやすいという特徴がある」と同氏は述べ、「肥厚をきたしている場合は予後が悪いとの報告2)もあることから、放射線治療時の診断マーカーになるのではないかとも言われている」とコメントした。また、心臓手術による死亡率を予測する方法として用いられるEuroSCORE(European System for Cardiac Operative Risk Evaluation)は本来であればスコアが高ければ予後が悪いと判定されるが、「AMCが肥厚している症例ではスコアにかかわらず予後不良である」と汎用される指標から逸脱してしまう点についても触れた。放射線治療における心毒性に対するESCガイドラインでの推奨 先日行われた欧州心臓病学会(ESC)2022学術集会において、初となる腫瘍循環器ガイドラインが発刊された。そこでは放射線治療における心毒性に関してもいくつか推奨事項が触れられており、がん治療患者の急性冠症候群(ASC)に対するPCI施行の可否についてはその1つである。ガイドラインによれば、「STEMIまたは高リスクのNSTE-ACSを呈し、予後6ヵ月以上のがん患者には侵襲的な治療戦略が推奨される(クラスI、レベルB)」とされ、予後6ヵ月未満の方については薬物療法を検討することが記載されているが、「がん治療による血小板減少を伴う患者に対しては、抗血小板薬の使用を慎重にならざるを得ないため、“アスピリンやP2Y12阻害薬の使用は推奨されない”(クラスIII、レベルC)」と薬物療法介入時の注意点を説明した。心臓に直接影響のある放射線量やドキソルビシン投与有無で分類 次に、がんサバイバーの外科治療による予後はどうか。外科的弁置換術(SAVR)において、放射線治療を受けた重度の大動脈弁狭窄症患者では放射線治療歴のない患者と比較して長期死亡率が有意に高いことが明らかになっているため、2020年改訂版『弁膜症治療のガイドライン』(p.69)でも、TAVIを考慮する因子として“胸部への放射線治療の既往 (縦隔内組織の癒着)”と明記されている。さらに、胸部放射線照射後の予後を調査した論文3)によると、胸部放射線照射群におけるTAVIは、対照群と比較して30日死亡率、安全性、有効性が同等であるものの、1年死亡率や慢性心不全の増悪が高いことが示された。ただし、両治療法の転帰について比較した報告4)を踏まえ、TAVI群では完全房室ブロックの発症やペースメーカーの挿入率が多かったことを念頭に置いておく必要がある。 そのほか、放射線治療の平均心臓線量と関連する心毒性を確認する推奨項目としてESCガイドラインに掲載されている「ベースラインCVリスク評価とSCORE2またはSCORE-OPによる10年間の致死的および非致死的CVDリスクの推定が推奨される(クラスI、レベルB)」「心臓を含む領域への放射線治療前に、CVDの既往のある患者にはベースライン心エコー検査を考慮するべきである(クラスIIa、レベルC)」「重症弁膜症を有するがんサバイバーの手術リスクを協議し、その判定を行うために、多職種チームによるアプローチが推奨される(クラスI、レベルC)」「放射線による症候性重度大動脈弁狭窄症で、手術リスクが中程度の患者にTAVI手術を行う(クラスIIa、レベルB)」を紹介。最後に同氏は「MHD(Mean heart dose)による評価が大切であり、心臓に直接影響のある放射線量やドキソルビシン投与有無などで低リスク~超ハイリスクの4つに分類する点などもESCガイドラインに記載されているので参考にして欲しい」と締めくくった。

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1型DMの血糖管理、間歇スキャン式持続血糖測定vs.SMBG/NEJM

 糖化ヘモグロビン(HbA1c)値が高い1型糖尿病患者において、高血糖/低血糖のアラームを設定できる間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)の使用は、フィンガースティック(指先穿刺)血糖測定による血糖モニタリングと比較して、HbA1c値の有意な低下に結び付くことを、英国・Manchester Academic Health Science CentreのLalantha Leelarathna氏らが同国で実施した多施設共同無作為化非盲検比較試験「FLASH-UK試験」の結果、報告した。持続血糖モニタリングシステム(間歇スキャン式またはリアルタイム)の開発により、フィンガースティック検査なしでの血糖モニタリングが可能となったが、HbA1c値が高い1型糖尿病患者において、高血糖/低血糖のアラームを設定できるisCGMの有益性は不明であった。NEJM誌オンライン版2022年10月5日号掲載の報告。アラーム機能付きisCGM vs.指先穿刺血糖測定、HbA1c値の改善を比較 研究グループは、16歳以上、罹患期間1年以上で、持続皮下インスリン注入療法またはインスリン頻回注射を行ってもHbA1c値が7.5~11.0%の1型糖尿病患者156例を、isCGM群(78例)とフィンガースティック検査による自己血糖モニタリング(対照)群(78例)に1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。isCGMは、FreeStyle Libre 2(Abbott Diabetes Care製)を用いた。 主要評価項目は、無作為化後24週時のHbA1c値とし、intention-to-treat解析を行った。主要な副次評価項目は、センサーデータ、患者報告アウトカム、安全性などである。isCGM使用により、低血糖が減少し安全にHbA1c値が改善 156例の患者背景は、平均(±SD)年齢44±15歳、平均糖尿病罹患期間21±13年、HbA1c値8.6±0.8%、女性44%であった。 HbA1c値は、isCGM群でベースラインの平均8.7±0.9%から24週時7.9±0.8%に、対照群で8.5±0.8%から8.3±0.9%にそれぞれ低下した(補正後平均群間差:-0.5ポイント、95%信頼区間[CI]:-0.7~-0.3、p<0.001)。 血糖値が目標範囲内にある時間(1日当たり)は、対照群と比較してisCGM群において9.0ポイント(95%CI:4.7~13.3)高く、130分(95%CI:68~192)延長した。また、低血糖(血糖値<70mg/dL)の時間(1日当たり)は、対照群と比較してisCGM群で3.0ポイント(95%CI:1.4~4.5)低く、43分(95%CI:20~65)短かった。 重症低血糖エピソードは対照群2例で報告された。また、isCGM群ではセンサーへの皮膚反応が1例に認められた。 なお、著者は研究の限界として、非盲検試験のため対照群のうちisCGMに移行した後に24週時のHbA1c値を測定した患者が5例いたこと、ほとんどの患者が白人で結果の一般化に限りがあること、アラームの設定と使用に関するデータは提供されていないため観察された有益性がセンサーのみによるものか、使用したisCGMのアラームによるものかは確認できないことなどを挙げている。

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4回目接種後、高齢者の入院予防効果はどれだけ上がるか/BMJ

 中等症~重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンの有効性は、3回目接種後に経時的に低下したが、4回目接種が推奨されたほとんどのサブグループで追加ブースター接種により改善することが、米国疾病予防管理センター(CDC)のJill M. Ferdinands氏らが実施した検査陰性デザインによる症例対照研究で示された。COVID-19のBNT162b2(ファイザー製)/mRNA-1273(モデルナ製)ワクチンは、有効性が経時的に低下し追加接種で上昇することが臨床研究で示唆されているが、この傾向が年齢、免疫不全状態、ワクチンの種類や接種回数でどのように変化するかは不明であった。今回の結果を受けて著者は、「3回目ワクチン接種の推奨と追加ブースター接種の検討が推奨される」とまとめている。BMJ誌2022年10月3日号掲載の報告。約89万人を対象とした検査陰性デザインによる症例対照研究 研究グループは、2021年1月17日~2022年7月12日の期間に、VISIONネットワークに参加している米国10州の病院261施設、272の救急診療部(ED)または救急診療所(UCC)119施設に入院または受診した、COVID-19様疾患のためSARS-CoV-2検査を受けた18歳以上の成人89万3,461例について解析した。 主要評価項目は、BNT162b2またはmRNA-1273ワクチンの有効性の低下であった。オミクロン変異株流行期、デルタ変異株流行期およびデルタ変異株流行前の期間に分け、暦週と地理的地域を条件とし、年齢、人種、民族、地域のウイルス循環、免疫不全状態、ワクチン接種について調整したロジスティック回帰モデルで推定した。オミクロン株流行期の有効性、3回目接種後<2ヵ月が最も高く4~5ヵ月後には低下 病院に入院したCOVID-19症例4万5,903例とSARS-CoV-2検査陰性のCOVID-19様疾患21万3,103例(対照)を、ED/UCCを受診したCOVID-19症例10万3,287例とSARS-CoV-2検査陰性のCOVID-19様疾患53万1,168例を比較した。 オミクロン株流行期において、病院に入院を要するCOVID-19に対するワクチンの有効性は、3回目接種後<2ヵ月では89%(95%信頼区間[CI]:88~90)であったが、4~5ヵ月後には66%(63~68)に低下した。また、COVID-19によるED/UCC受診に対するワクチンの有効性は、3回目接種後<2ヵ月で83%(82~84)であったが、4~5ヵ月後には46%(44~49)に低下した。 ワクチンの有効性の低下は、若年や免疫不全状態ではない集団などすべてのサブグループで認められたが、免疫不全状態の集団でより顕著であった。 ブースター接種が推奨されるほとんどの集団において、4回目接種後にワクチンの有効性は増加した。65歳以上における入院に対する有効性は、3回目接種後8ヵ月以上で45%であったのが、4回目接種後2ヵ月で76%に増加した。

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塩野義のコロナ治療薬、発症予防検証の第III相試験を12月に開始

 塩野義製薬は、10月11日に行われたR&D Day 2022にて、同社が開発中の新型コロナウイルス(COVID-19)経口治療薬ensitrelvir(S-217622)について、症状の発生抑制効果を検証するため、SARS-CoV-2感染症患者(初発患者)の同居家族を対象とした第III相臨床試験(SCORPIO-PEP試験)を、日本と米国などで2022年12月より開始する予定であることを発表した。また、6~12歳未満の軽症・中等症を対象とした日本での第III相試験や、入院患者を対象とした米国、欧州などでの第III相試験を、ともに2022年11月から実施することなども明らかにした。 説明会資料によると、COVID-19発症予防効果の検証のための第III相試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照試験にて、日本と米国、そのほか数ヵ国の2,040例を対象に実施される。SARS-CoV-2に感染した初発患者の同居家族に対して、ensitrelvir投与群とプラセボ群とを比較し、投与開始から10日間後のCOVID-19症状の発症抑制効果を検証する。本試験は、2023年7~9月での症例集積完了を目指している。 なお、ensitrelvirのマウス感染モデルでの予防効果試験では、SARS-CoV-2感染24時間前に用量128mg/kg、64mg/kg、32mg/kgの3パターンで本剤を単回皮下投与して比較した結果、投与量64mg/kg以上(感染時血漿中濃度2.99μg/mL)で致死抑制効果が認められたとし、予防的にensitrelvirを投与することにより、SARS-CoV-2感染マウスの生存率が改善した。 ensitrelvirの小児への臨床試験については、6~12歳未満の軽症・中等症を対象に、錠剤投与による試験を国内で11月に開始するほか、0~6歳未満を対象として、顆粒製剤を使ったグローバル第III相試験を計画している。12~18歳未満については、国内とグローバルで実施中の第II/III相試験結果を基に、日米欧の適応取得を検討している。 また、同社の開発する新型コロナワクチン(S-268019)については、年内に承認申請を行う方針を明らかにした。変異株への対応として、S-268019臨床試験検体における追加免疫時の中和抗体価は、ファイザー製ワクチンによる追加免疫時の中和抗体価と同程度だという。なお、オミクロン株の遺伝子情報を基にした抗原製造プロセスの検討は最終段階にあるとしている。

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英語で発表、盛り上がる!【Dr. 中島の 新・徒然草】(447)

四百四十七の段 英語で発表、盛り上がる!ついこないだまで夏だと思っていたら、急に冬が来てしまいました。日本にはもう夏と冬しかないのでしょうか?同じ二季でも春と秋だったらいいのに、と私は思います。さて、私は先週、秋の熊本に行ってきました。国立病院総合医学会という学会に参加するためです。熊本市は、城と大学と病院が近くに集まっている街でした。天気も良かったので、のんびりと路面電車に乗ります。いつの間にか、熊本城ホールや熊本駅に着くのが便利でした。学会では、毎年行われる若手医師フォーラムに、今年もディスカッサントとして参加。若手医師フォーラムというのは、レジデントや研修医が英語で発表するセッションです。症例報告と研究とに分かれて発表します。しかし、単に発表するだけだと盛り上がらないので、点数を付けて表彰することになっていました。また、あらかじめ指名されたディスカッサントが質問したり、コメントしたりします。で、このディスカッサント役に指名されたわけです。最低2演題に対して質問するように、ということでザッと抄録を読んでいきました。本番では皆さんそれぞれに練習してきたのか、かなり上手な英語での発表です。もし、1つアドバイスするとすれば、ゆっくりしゃべることが重要かと思います。というのも、早口で不明瞭な発音だと、大変聞き取りにくくなるからです。英語の上手下手を競っているわけではなく、発表の内容を競っているわけです。発表を評価してもらうためには、まず聴く人に理解してもらわなくては話になりません。日本語アクセントでもいいので、ゆっくりとわかりやすくしゃべるべきですね。次にディスカッサントとしての心得です。読者の皆さまが今回の私のような立場になった時のために、アドバイスを1つ。その場で質問を考えて英語でしゃべるのは、なかなか難しいのが現実。なので、あらかじめ質問を準備していく必要があります。1つの抄録あたり5つぐらいは考えておいたほうがいいでしょう。というのも、抄録に書いてなくても、発表の中で回答が示されてしまうことがあるからです。たとえば今回の演題では、脳外科の脳深部刺激療法がありました。定位的に視床に電極を刺入するのですが、その手術を全身麻酔でやるのか、局所麻酔でやるのか?私はそれを知らなかったので、質問候補にあげていました。もし演者が発表の中で「電極刺入は局所麻酔で行います」などと言ったら、この質問はボツです。そう考えると、準備する質問は5つくらいあったほうが無難ですね。ちなみに電極刺入は局所麻酔、刺激装置の皮下埋め込みは全身麻酔でやるのだそうです。あと、質問は紙に書いておくべきです。スマホにメモしておくという方法もありますが、電子媒体は必ずしも信用できません。やはり、物理的な手段で残しておいたほうが確実です。さて、発表後の点数集計の間、座長の先生が場つなぎの話をされました。英語の大切さについてです。この先生はある時に、楽天の三木谷社長と直接に話をする機会があったそうです。その時に、社内公用語の英語化の功罪について尋ねたのだとか。三木谷社長の答えは、公用語を英語にしたことによって、世界中から人材を集めることができた英語のコミュニケーションといっても、中学レベルで十分だ他から転職してきた人でも、4ヵ月ほどで慣れるとのことでした。社内公用語の英語化は大成功だ、と三木谷社長は考えているようです。いよいよ集計が完了し、症例発表から1演題、研究から1演題が表彰されました。それぞれ豪華な副賞あり!会場には、それぞれ演者の応援団が来ていたので、大変な盛り上がりでした。というわけで、それぞれに頑張った若手医師フォーラム。久々にハッピーな気分になることができました。最後に1句秋深し 路面電車に 身を任せ

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せん妄は緩和ケアでよく遭遇する徴候なのです【非専門医のための緩和ケアTips】第37回

第37回 せん妄は緩和ケアでよく遭遇する徴候なのです「せん妄」って緩和ケアに限らず、どの分野でも遭遇しますよね。でも、緩和ケアではとくにせん妄の対応って大切なのです。今回は緩和ケアで必ず対応が必要になる、せん妄のお話です。今日の質問看取りにも対応する在宅医療を行っています。先日、終末期の患者さんが興奮した様子となり、家族が驚いてしまいました。「在宅療養の継続は難しい」と判断して緊急入院となりました。もともと家族は「自宅で最後まで過ごさせてあげたい」と言っており、「本当に入院してよかったのか」と感じます。こういった場合、どのように対応しますか?在宅緩和ケアでは、しばしばこういった難しい状況に直面します。ご質問からの推測になりますが、終末期せん妄の状態だったのでは、と感じます。入院や在宅で緩和ケアを実践していると、よく遭遇する徴候です。皆さんは終末期患者さんがどの程度、せん妄を発症するかご存じでしょうか? データにもよるのですが、「がん患者が亡くなる数日前には88%に発症する」と言われています。これ、すごく高頻度ですよね。なので、日単位の予後のがん患者さんに意識の変容が生じた場合は、せん妄である可能性が非常に高いのです。せん妄に対しては重要な点がたくさんあるのですが、その一つが「気付く」ことです。今回のように興奮が強いタイプのせん妄は気付きやすいのですが、活気がないように見えるタイプのせん妄については、気付きにくいことが知られています。せん妄に対しての介入は、まずは「原因となっている身体疾患の中で改善できるものがないか」を考えます。たとえば、高カルシウム血症のような電解質異常がせん妄を助長しているのであれば、補正を検討します。ただ、予後日単位の状況だと、現実的になかなか改善が難しいことが多いですね。薬物療法としては、ハロペリドール(商品名:セレネース)などの抗精神病薬を用います。それでも興奮が強い時には、より鎮静作用の強い薬剤を用いることもあります。さらに、せん妄は家族のつらさも助長します。「大切な家族が、人が変わったようになってしまった…」というのは、せん妄患者の家族からよく聞かれる嘆きです。死別が近いことによる悲嘆の中にある家族にとって、さらにつらさを増す状況であることは想像するに難くありません。そうした意味では、せん妄は在宅療養の継続が難しくなる徴候の一つです。興奮の強いせん妄の場合、私自身も薬物療法をしながら、入院の相談をすることがよくあります。近年、せん妄に対しては書籍やガイドラインが増えました。それだけ医療現場では切実な問題なのでしょう。どれもお薦めなのですが、日本サイコオンコロジー学会の「がん患者におけるせん妄ガイドライン2022年版」(金原出版)が2022年6月に改訂されていますので、まずはこれから読んでみてはいかがでしょうか?今回のTips今回のTipsせん妄への対応は、緩和ケアの分野でも重要なスキルです。

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10月13日 世界血栓症の日【今日は何の日?】

【10月13日 世界血栓症の日】〔由来〕国際血栓止血学会が、血栓症の認識を高め、診断、治療を促進し、最終的に血栓症による障害、死亡を低下させることを目的に制定。わが国では日本血栓止血学会が血栓症の啓発活動に取り組んでいる。関連コンテンツ咳嗽も侮れない!主訴の傾聴だけでは救命に至らない一例【Dr.山中の攻める!問診3step】動脈硬化のナレノハテ【患者説明用スライド】急性期虚血性脳卒中へのtenecteplase、標準治療となる可能性/Lancet脳梗塞の血栓除去術、発症6h以降でも機能障害を改善/Lancet脳卒中治療ガイドラインが6年ぶりに改訂、ポイントは?

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第15回 「全国旅行支援」は感染対策ムードに勝てるか?

「全国旅行支援」が開始10月11日から、旅行代金を一部補助する観光支援策である「全国旅行支援」がスタートしました。ポスト「Go To トラベル」としての位置付けです。さらに、海外からの水際対策としての入国者の上限を撤廃して、外国人の個人旅行を解禁しました。1日当たり5万人の入国者上限を撤廃しています。インバウンドによる観光業勃興の起爆剤となるかどうか、重要な局面になるでしょう。さて、全国旅行支援の割引率は40%となります。上限額は、公共交通機関利用付き宿泊は1泊1人当たり8,000円、宿泊・日帰りは1泊・1日当たり5,000円です。また、飲食店などに使えるクーポンも、平日3,000円・休日1,000円の補助が出ます(表)。クーポンも含めると1日当たり最大1万1,000円分が補助されることになります。これは、デカイです。表. 全国旅行支援(筆者作成)コロナ禍以降、まだ旅行に行っていない医療従事者も多いと思います。もし今回の「全国旅行支援」を検討されるのであれば、急いだほうがよいかもしれません。すでに旅行予約サイトがつながりにくくなったり、業者によっては予算上限に達しており、受付を終了しているところもあります。東京都は、準備が間に合わず10月20日開始となっています。大人数で旅行に行く際、そのうちの1人がワクチン接種証明や検査陰性証明を提示できない場合、自治体によっては全員割引対象外となる「連帯責任」のケースが発生するそうです。地域によっては細かいトラブルが生じるかもしれませんね。感染対策ムードとの綱引きさて、確かに新型コロナの感染は減少していますが、まだ決して低い水準にあるとは言えません。さらに、第8波の懸念も出始めています。人の移動が増える年末から感染者数が増加し始め、1月上旬あたりにピークが到来するのではないか、と予想している専門家も多いです。厚生労働省は、外国人観光客だけでなく、国内旅行においても3密の回避や換気、マスク着用などの対策を呼び掛けています。マスク着用については、国内外で温度感が異なるため、外国人観光客との間でマスク着用を巡ってトラブルにならなければよいですね。感染対策を行いながら、こうした緩和ムードと付き合っていくことになりますが、政府が全国旅行支援をすすめながら、自粛を呼びかけるなどのダブルスタンダードにならないことを祈るばかりです。

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新型コロナワクチン未接種者の特徴とは?

 世界中で新型コロナワクチンの接種やブースター接種が進められる中、まだ1度もワクチンを接種していないコロナワクチン未接種者が存在する。これらのコロナワクチン未接種者の人々には共通の特性があるのだろうか。スコットランドにおいてコロナワクチン未接種者の特性を調べたPublic Health Scotland所属のSafraj Shahul Hameed氏らによる研究結果がLancet誌2022年9月24日号 CORRESPONDENCEに掲載された。コロナワクチン未接種者として49万4,288例を特定 2022年8月10日までに、スコットランドに住む約440万人の成人のうち、349万7,208人がCOVID-19ワクチンの3回接種を完了している。Hameed氏らは、2019年1月1日以降にスコットランドの国民保健サービス(NHS)と少なくとも1回のやりとりがあった、ワクチン接種記録がない人をコロナワクチン未接種者と定義した。 ワクチン接種対象者として記録された471万2,810例のうち、84万2,029例(17.9%)に接種の記録がなかった。このうち8万6,489例(10.3%)に免疫性の禁忌、接種の同意が得られない、体調不良、患者による接種拒否など、コロナワクチン未接種の理由が記録されていた。記録されたコロナワクチン未接種の理由の約5分の1が免疫性の禁忌だった。 研究所の記録から、パンデミック開始以降に少なくとも1回COVID-19のPCR検査を受け、かつ接種記録のない25万4,049例が確認された。病院以外の処方記録から2019年1月1日以降に何らかの薬を処方された、接種記録のない41万6,499例を特定した。28万5,647例のコロナワクチン未接種者が予定外の医療機関受診(NHS 24、家庭医の時間外診察、スコットランド救急サービスのいずれか1つ以上)をしており、13万3,569例のコロナワクチン未接種者が少なくとも1回の入院を経験していた。上記のデータのいずれにもワクチン接種の記録がない26万8,740例が確認された。 スコットランドでCOVID-19ワクチン接種の記録がない57万3,289例の成人が、2019年1月1日以降にNHSと少なくとも1回接触していることが確認された。ワクチン接種プログラムの開始以降に死亡した人、およびコロナワクチン未接種の理由として免疫性の禁忌が記録されている人を除外し、2022年8月10日時点で、COVID-19のワクチン接種の記録がない49万4,288例をコロナワクチン未接種者として特定した。コロナワクチン未接種者の5人に1人に中枢神経系に関連する疾患の薬 このコロナワクチン未接種者コホートは、男女比がほぼ同じ、年齢分布も男女ともほぼ同じで、平均年齢は42.4歳であった。多くは都市部に住んでおり、29.0%がScottish Index of Multiple Deprivation(雇用や所得など7領域の総合指標)のスコアが最も低い地域に居住していた(接種者は18.7%)。 家庭医の記録によると、コロナワクチン未接種者のうち29万8,866/49万4,288例(60.5%)が併存疾患を有していない(接種者は198万8,751/384万7789例[51.7%])一方で、5万5,122/49万4,288例(11.2%)が3つ以上の併存疾患を持っていた(接種者は48万1,019/384万7,789例[12.5%])。コロナワクチン未接種者で最も多く報告された併存疾患は、慢性呼吸器疾患(15.7%)、うつ病(12.8%)、高血圧症(10.6%)であった。 コロナワクチン未接種者の5人に1人(10万3,505例[20.9%])が中枢神経系に関連する疾患の薬を処方されており(接種者は65万5,531例[17.0%])、さらにうち3分の1以上(4万179/10万3,505例[38.8%])が抗うつ薬を処方されていた。 多変量ロジスティック回帰分析により、ワクチン接種動向を予測する可能性が最も高い因子を同定した。男性、貧困度が高い、大都市圏在住、中枢神経系疾患の薬を処方されている、3つ以上の併存疾患があることはコロナワクチン未接種と最も関連していたが、いくつかの併存疾患(高血圧、糖尿病、慢性呼吸器疾患など)を持つ人は、ワクチン接種を受ける可能性が高かった。 英国の過去のデータでは、年齢の上昇と併存疾患はCOVID-19死亡率を上げる最も広く認識されているリスク要因の一つだが、併存疾患を多く持つ人々は、コロナワクチン未接種のリスクが高いままであった。 著者らは「本分析により、人口規模の過大推定の可能性を考慮しても、スコットランドの成人人口のかなりの割合がコロナワクチン未接種であることが明らかになった。また、コロナワクチン未接種状態の予測因子も明らかになり、国のワクチン接種戦略の改訂に役立てることができる」としている。

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統合失調症患者におけるMetS発症の3年リスクと予測因子~FACE-SZコホート研究

 メタボリックシンドローム(MetS)は欧米諸国において主要な健康問題であり、なかでも統合失調症患者は、ライフスタイル、精神疾患、治療因子の観点から、とくに脆弱な集団であると考えられる。しかし、予防の指針となるプロスペクティブデータは不十分である。フランス・Universite Paris-Est CreteilのO. Godin氏らは、統合失調症におけるMetSの発症率およびその予測因子を特定するため検討を行い、統合失調症患者におけるMetSの予防および研究をより優先する必要があると報告している。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌2022年9月17日号の報告。 フランス全国レベルの専門センター10施設より対象を募集し、3年間のフォローアップ調査を行った。MetSの定義は、国際糖尿病連合の基準に従った。消耗バイアスの補正には、逆確率重み付け法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・3年間のフォローアップ調査を実施した統合失調症患者512例のうち、代謝障害が認められた患者は77.9%であった。・ベースライン時にMetSであった27.5%の患者は、分析から除外した。・分析対象患者371例(平均年齢:31.2±9.1歳、平均罹病期間:10.0±7.6年、男性の割合:73.6%[273例])における3年間のMetS発症率は20.8%であった。・3年間のMetS発症率は、喫煙者で23.6%、ベースライン時に抗うつ薬を処方されていた患者で29.4%、ベースライン時に2つの代謝障害が認められた患者で42.0%であり、分析対象者全体より上昇した。・多変量解析では、MetS発症の独立した予測因子は、喫煙(調整オッズ比[aOR]:3.82、95%信頼区間[CI]:1.27~11.45、p=0.016)および抗うつ薬服用(aOR:3.50、95%CI:1.26~9.70、p=0.0158)であることが確認された。・抗うつ薬処方は、とくに脂質障害の増加を予測した。また、パロキセチンは、MetS発症リスクとの最も強い関連が認められた。

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MET増幅のあるオシメルチニブ耐性肺がんに対するテポチニブ+オシメルチニブ(INSIGHT 2)/ESMO2022

 オシメルチニブの1次治療耐性でMET増幅を呈する非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、オシメルチニブとMET-TKIであるテポチニブとの併用による有効性が示された。 MET増幅はオシメルチニブ耐性NSCLCの15〜30%を占める。この集団では治療選択肢が化学療法しかないため、臨床的なニーズは大きい。テポチニブはMET増幅によるオシメルチニブ耐性NSCLCにおいてTKIとの併用で効果を示すという報告がある。  欧州臨床腫瘍学会(ESMO2022)では、オシメルチニブ1次治療に耐性となったMET増幅NSCLCに対し、テポチニブ・オシメルチニブ併用を評価した、オープンラベル比較第II相試験INSIGHT 2の中間解析が、フランス・トゥールーズ大学のJulien Mazieres氏から報告された。今回は初回解析として、9ヵ月以上追跡した患者の結果が紹介されている。・対象:オシメルチニブの1次治療が耐性となり、組織または血液検体でMET増幅が検出されたNSCLC・試験群:オシメルチニブ80mg/日+テポチニブ500mg/日 連日(88例)・対照群:テポチニブ500mg/日 連日(12例)・評価項目:[主要評価項目]FISH(組織)でMET増幅を同定された患者に対する独立判定委員会評価(IRC)によるオシメルチニブ+テポチニブの奏効率(ORR)[副次評価項目]NGS(血液)でMET増幅を同定された患者に対するIRC評価のオシメルチニブ+テポチニブのORR、FISHでMET増幅を同定された患者に対するIRC評価のテポチニブのORR 主な結果は以下のとおり。・MET増幅はスクリーニング患者中36%(153/425例)で検出された。・9ヵ月以上追跡したFISH同定例のIRC評価によるオシメルチニブ+テポチニブのORRは54.5%であった。・一方、FISH同定例のIRC評価によるテポチニブ単独(6ヵ月以上追跡)のORRは8.3%であった。・FISH同定例におけるオシメルチニブ+テポチニブの奏効期間中央値は未到達であった。・オシメルチニブ+テポチニブの安全性は、それぞれの薬剤の単剤でのプロファイルと一貫していた。・同併用の治療関連有害事象(TRAE)発現は全Gradeで73.9%、Grade3以上では23.9%で、頻度の高いものは下痢(40.9%)、末梢浮腫(23.9%)であった。・減量に至ったTRAEは18.2%(16例)、投与中止に至ったTRAEは6.8%(6例)で発現した。 Mazieres氏は、オシメルチニブの1次治療耐性のMET増幅NSCLCに対し、オシメルチニブとテポチニブの併用は有望な効果を示すことから、化学療法を省略した選択肢となる可能性があると述べている。

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日本の消化器外科の手術アウトカム、男女医師で差は?/BMJ

 日本の消化器外科医による手術アウトカムの補正後リスク差について、執刀医の男女差は認められない。日本バプテスト病院外科副部長・京都大学大学院医学研究科の大越 香江氏らが、日本の手術症例データベースNational Clinical Database(NCD)等を基に後ろ向きコホート試験を行い、幽門側胃切除術、胃全摘術、直腸低位前方切除術の短期アウトカムを調べた結果を報告した。女性消化器外科医は男性消化器外科医と比べて、医籍登録後の年数が短く、リスクがより高い患者を引き受け、腹腔鏡手術の回数は少ないという不利な条件ながらも、手術死亡率やClavien-Dindo分類≧3合併症率について有意差はなかったという。結果を踏まえて著者は「日本では、女性医師が手術トレーニングを受けるために、より多くの機会が保証されている」と述べ、「女性外科医のためのより適切で効果的な手術トレーニングを整備すれば、手術アウトカムはさらに改善する可能性がある」とまとめている。BMJ誌2022年9月28日号掲載の報告。幽門側胃切除術、胃全摘術、直腸低位前方切除術について検証 研究グループは、NCD(2013~17年、日本の手術データの95%以上が包含されている)と日本消化器外科学会のデータを基に後ろ向きコホート試験を行い、幽門側胃切除術、胃全摘術、直腸低位前方切除術について、短期アウトカムと執刀医男女差の有無を検証した。 主要アウトカムは、手術死亡、手術死亡・術後合併症、膵液漏(幽門側胃切除術、胃全摘術)、縫合不全(直腸低位前方切除術)だった。手術関連死亡および周術期合併症と執刀医性差の関連について、患者、執刀医、病院特性を補正し多変量ロジスティック回帰モデルを用いて分析した。死亡・Grade3以上の合併症リスクは男女で同等 解析に含まれたのは、14万9,193件の幽門側胃切除術(男性執刀医担当14万971件[94.5%]、女性執刀医担当8,222件[5.5%])、6万3,417件の胃全摘術(5万9,915件[94.5%]、3,502件[5.5%])、8万1,593件の直腸低位前方切除術(7万7,864件[95.4%]、3,729件[4.6%])だった。 平均すると、女性外科医は男性外科医と比べて医籍登録後の年数が短く、リスク高い患者を執刀し、腹腔鏡手術の回数が少なかった。 一方で、手術死亡の補正後リスクについて執刀医の男女間で有意差はなく、男性執刀医に対する女性執刀医の補正後オッズ比は、幽門側胃切除術について0.98(95%信頼区間[CI]:0.74~1.29)、胃全摘術が0.83(0.57~1.19)、直腸低位前方切除術が0.56(0.30~1.05)だった。 また、Clavien-Dindo分類でGrade3以上の合併症と手術死亡の統合アウトカムについても、執刀医の男女間で有意差はなく、補正後オッズ比は、幽門側胃切除術が1.03(95%CI:0.93~1.14)、胃全摘術が0.92(0.81~1.05)、直腸低位前方切除術が1.02(0.91~1.15)だった。膵液漏(補正後オッズ比は幽門側胃切除術が1.16[95%CI:0.97~1.38]、胃全摘術1.02[0.84~1.23])、および直腸低位前方切除術の縫合不全(1.04[0.92~1.18])についても、執刀医の男女間で有意差はなかった。

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下肢PADへのテルミサルタン、6分間歩行距離の改善なし/JAMA

 下肢末梢動脈疾患(PAD)の患者において、テルミサルタンはプラセボと比較してフォローアップ6ヵ月時点の6分間歩行距離を改善しなかった。トレッドミル上の最大歩行距離やSF-36身体機能スコアなども改善はみられなかった。米国・ノースウェスタン大学のMary M. McDermott氏らが、114例の患者を対象に行った2×2要因デザインによるプラセボ対象無作為化二重盲検試験の結果で、著者は、「今回示された結果は、PAD患者の6分間歩行距離改善についてテルミサルタンを支持しないものであった」と述べている。PAD患者は下肢の血流が減少し下肢骨格機能が障害されて、歩行能力が低下する。ARBのテルミサルタンは、これら一連の症状を改善する特性を有していた。JAMA誌2022年10月4日号掲載の報告。6ヵ月後の6分間歩行距離を評価 研究グループは米国2ヵ所の医療機関で114例のPAD患者を対象に試験を行った。登録は2015年12月28日~2021年11月9日に行われ、最終フォローアップは2022年5月6日だった。 被験者を無作為に4群に分け、2×2要因デザイン法を用いて、(1)テルミサルタン+管理下での運動(30例)、(2)テルミサルタン+週1回1時間の教育セッション(がん検診や高血圧症など)(29例)、(3)プラセボ+管理下での運動(28例)、(4)プラセボ+教育セッション(27例)をそれぞれ6ヵ月間実施しアウトカムを比較した。 なお本試験は当初、サンプルサイズは240例と計画されたが登録が進まず、主要比較は、テルミサルタンが投与された2群とプラセボが投与された2群に変更され、目標サンプルサイズは112例に変更された。 主要アウトカムは、6ヵ月後の6分間歩行距離の変化で、臨床的に意味のある最小差は8~20mとした。副次アウトカムは、トレッドミル上の最大歩行距離、歩行障害質問表(Walking Impairment Questionnaire)のスコア(距離、速度、階段昇段について)、SF-36身体機能スコアだった。結果は、実施医療機関やベースライン6分間歩行距離、管理下での運動または教育セッションの実施、性別、ベースライン心不全歴で補正し評価した。半年後の6分間歩行距離の変化、テルミサルタン群1.32m、プラセボ群12.5m改善 無作為化された114例の平均年齢は67.3歳、女性は46例(40.4%)、黒人が81例(71.1%)で、6ヵ月のフォローアップを完了したのは105例(92%)だった。 6ヵ月後の6分間歩行距離の変化の平均値は、テルミサルタン群が1.32mの改善(341.6m→343.0m)、プラセボ群は12.5mの改善(352.3m→364.8m)で、補正後群間差は-16.8m(95%信頼区間[CI]:-35.9~2.2、p=0.08)で、テルミサルタンによる有意な改善は認められなかった。副次アウトカムの5項目についても、いずれも両群で有意差はなかった。 最も頻度の高かった重篤な有害イベントは、PADによる入院(下肢の血行再建術、切断または壊疽などによる)で、テルミサルタン群3例(5.1%)、プラセボ群2例(3.6%)で報告された。

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高齢者におけるポリピル(スタチン、ACE阻害薬、アスピリン)の使用が通常処方よりも心筋梗塞後の患者の予後を改善する(解説:石川讓治氏)

 高齢者においては、年齢と共にポリファーマシーが増加し、薬物有害事象や転倒のリスクが増加するだけではなく、認知機能や生活の質の低下、独居などが誘因となり、服薬アドヒアランスが低下することも問題になっている。服薬アドヒアランスの低下した患者においては、処方の単純化、合剤による服薬数の減少などが有効であるとされており、家族や訪問介護者などを介し服薬アドヒアランスを改善させることが可能になるとされている。 本研究は、心筋梗塞後(平均8日後)の65歳以上の高齢者に対して、スタチン、ACE阻害薬、アスピリンといった心筋梗塞後の患者に対する推奨度の高い内服薬を、ガイドラインに沿って主治医がテーラーメードで別々に処方するよりも、ポリピル(合剤)として投与するほうがプライマリーエンドポイントを減少させたことを報告した。ポリピル群と通常投与群の間では、スタチン、心保護薬、抗血小板薬、他の薬剤の投与率や、血圧やLDLコレステロールのコントロールレベルにはまったく有意差がなかったにもかかわらず、ポリピル群のほうが服薬アドヒアランスや患者満足度が有意に高く、そのことが予後の改善につながったのではないかと推測されている。 日常臨床においては、合剤の使用時には投与量の調整が厄介になる。わが国で現在、使用可能なスタチンとカルシウムチャネル阻害薬の合剤は、番号でそれぞれの投与量の組み合わせを変更できるようになっているが、慣れるまでは投与時に番号と投与量の差を確認する必要があって、処方する側としては少しわずらわしさを感じることがある。本研究のポリピル群においても、スタチンとACE阻害薬の投与量を6つのパターンで変更しながらポリピルが調整されるプロトコールになっている。実際の臨床では、同じ配合薬の6つの投与量のパターンを覚えて使い分けることは容易ではないことが推測される。少し簡便に投与量が調整できる仕組みが、将来的にはできればいいと感じた。本研究の高齢者は、ほとんどが仕事をリタイアした患者であった。現在のわれわれの日常臨床では、服薬アドヒアランスの改善のため薬局で内服薬の一包化をしてもらうことがあるが、一包化とポリピルで差があるのか疑問が残った。「良薬は口に苦し」ということわざがあるが、内容が同じであれば、処方は数が少なく飲みやすいのがいいようである。

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その血栓症、CATの可能性は?【知って得する!?医療略語】第21回

第21回 その血栓症、CATの可能性は?がんと血栓症は関連があるのですか?そうなのです、がんと血栓症は密接に関連していて、CATとも呼ばれます。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】CAT【日本語】がん関連血栓症【英字】cancer associated thrombosis【分野】腫瘍関連【診療科】脳神経、循環器【関連】―実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。近年、がん関連血栓症(CAT:cancer associated thrombosis)という言葉を散見するようになりました。CATはがん、もしくはがん治療に関連した血栓症を幅広く表現した概念です。また、がん診療における血栓症の合併リスクを注意喚起するとともに、あらゆる血栓症を治療するにあたり、その血栓形成の背景に“悪性疾患が存在する可能性を念頭に置くべき”であることを認識させてくれる概念だと考えます。脳卒中患者の診療が多かった筆者にとって、最も身近なCATはTrousseau(トルーソー)症候群でした。トルーソー症候群はCATの概念に包含されます。脳塞栓症の多くは、心原性脳塞栓症ですが、一部の塞栓症はトルーソー症候群による脳梗塞で、悪性腫瘍による血栓形成傾向によるものでした。トルーソー症候群の多くが抗血栓療法に抵抗性で短期間に脳塞栓症再発を経験しました。がん治療を受ける方は、脳梗塞を発症しやすく、がん治療中に脳卒中を発症した4人に1人はトルーソー症候群とも言われています。赤塚氏の報告によれば、トルーソー症候群の27.5%は脳梗塞先行群であったことが示されています。このため、「血液凝固能亢進を伴った多発脳梗塞では、悪性腫瘍を念頭に精査を進めることが重要」と述べてられています。CATやトルーソー症候群の疾患概念を念頭に置いていない限り、悪性疾患の精査がなされていない患者に対し、その存在を見過ごしたまま脳梗塞のみを治療するようなことが起きてしまいます。心房細動のない多発性脳梗塞や原因不明のDダイマー上昇を見かけた時には、頭部以下の画像検査も積極的に検討する必要があります。脳領域に限らず、体のどこかで原因不詳の血栓症が見られたら、悪性疾患の併存を疑い、検索することを心がけたいですね。1)赤塚 和寛ほか:当院でのTrousseau症候群40例の臨床的特徴2)野川 茂. 血栓止血誌. 2016;27:18-28.3)岡 亨. 心臓. 2020;52:1337-1341.

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第130回 BA.4/5対応2価ワクチン特例承認、予想された現場の混乱と大量廃棄が現実に

オミクロン株BA.4/5対応の2価ワクチンを特例承認こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。MLBも日本のプロ野球もいよいよポストシーズンに入りました。ダルビッシュ 有投手が所属するサンディエゴ・パドレスはナショナル・リーグでまだ生き残っており、12日(日本時間)からの地区シリーズでロサンゼルス・ドジャースと対戦します。予定では13日の第2戦に先発します。かつて所属し、苦い経験のあるドジャース(2017年に所属、ワールドシリーズで2回敗戦投手に)相手に、ねじ伏せるような好投を期待したいと思います。一方、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷 翔平選手は、15勝9敗、34本塁打、95打点で今シーズンを終え、シーズンの規定投球回数と規定打席数もクリアしました。それはそれでファンとしては大変喜ばしいのですが、やはりMLB選手の真価はワールドシリーズに進出し、勝ち切ってこそだと思います。来シーズンにはせめてポストシーズンまでは進出して欲しいですが、ジョー・マドン監督を追い出した自分勝手なペリー・ミナシアンGM(球場で携帯ばかりいじっています)や、監督代行から監督に昇格したフィル・ネピン監督(采配が淡白なわりに退場が多い)では、来年もそんなには期待できないかもしれません。さて、新型コロナウイルスのワクチンですが、厚生労働省は10月5日、米・ファイザーの従来株とオミクロン株BA.4/5に対応した追加接種用の2価ワクチンを特例承認しました。そして、10月7日、厚労省の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会はこの2価ワクチンを、予防接種法上の特例臨時接種に位置付けることを承認しました(生後6ヵ月~4歳を対象としたファイザーのワクチン[従来型ワクチン]も5日に特例承認され、7日の同分科会で臨時接種とし、5歳以上と同じ「努力義務」に位置付けられています)。現在の感染の主流になっているBA.5に対応するワクチンなので、こちらも喜ばしいニュースではあります。しかし、確保可能となった新しいワクチンを、中長期的な戦略もなく税金を湯水のように投入し、次々と承認していく国の姿勢については少々首をかしげざるを得ません。「“旧改良ワクチン”は廃棄処分となるのでしょうか」新型コロナウイルスのワクチンについては今年の夏以降、本連載でも度々取り上げて来ました。「第122回 米国では使わない2価の“旧改良ワクチン”を日本は無理やり買わされる?国のコロナワクチン対策への素朴な疑問」(2022年8月17日公開)では、米国ではBA.4/5対応のワクチンにシフトしているのに、日本がBA.1対応の“旧改良ワクチン”をまず承認する方針であることに対し、「米国と比べて周回遅れ」と指摘しました。9月に入ると事態は動き、ファイザーが日本でもBA.4/5対応の“新改良ワクチン”の製造販売の承認を厚労省に申請しました。この“新改良ワクチン”が今回特例承認された2価ワクチンです。このときは、「第125回 医療DXの要「マイナ保険証」定着に向けて日医を取り込む国・厚労省の狙いとは(後編)かかりつけ医制度の議論を目くらましにDX推進?」(2022年9月7日公開)で、「“新改良ワクチン”がもうすぐ出るのに、“旧改良ワクチン”を積極的に打とうという人が現れるでしょうか。また、“新改良ワクチン”を承認したら、国が契約して買ってしまった(と思われる)“旧改良ワクチン”は廃棄処分となるのでしょうか」と書きました。こうした危惧は、どうやら現実のものとなりそうです。「BA.1かBA.4/5のいずれか早く打てるワクチンで1回接種を」と厚労省ファイザーの従来株とオミクロン型BA.4/5に対応した2価ワクチンは、10月13日以降、準備ができた自治体から順次接種が開始されるとのことです。2、3回目接種を終えた人の追加接種に使用可能で、対象は12歳以上、前回接種から少なくとも5ヵ月経過後に接種できる、とされました。ただ、厚労省は10月7日、新しいワクチンを含む新型コロナウイルスワクチンの接種間隔を短縮する案について、9月19日に開く専門部会で薬事審査すると発表しています。というわけで、早ければ10月中にも接種間隔は3ヵ月に短縮化される方向です(4回接種済みの60歳以上も3ヵ月後に接種可能に)。接種間隔短縮議論の背景には、高齢者にBA.4/5に対応したワクチンを早めに接種してもらいたいことや、若者を中心に相変わらず接種が進んでいないこと、ワクチン余りなどがあるようです。9月20日から高齢者に対する接種が始まったばかりのオミクロン型BA.1に対応したワクチンに続き、BA.4/5対応ワクチンも登場したことで、接種可能なワクチンの種類が増えることになります(モデルナもBA.4/5対応ワクチンを承認申請中)。厚労省は「BA.1かBA.4/5のいずれか早く打てるワクチンで1回接種を」と呼びかける方針とのことですが、国民や現場の混乱は始まっています。BA.1対応ワクチンは廃棄か?頭悩ませる自治体10月7日付の毎日新聞は、「第8波、ワクチンに思わぬ課題」と題する記事で「厚労省はいずれも従来のワクチンを上回る重症化予防効果があると説明し、扱いに差を付けず、使用期限が早く来るものを優先して使うことを推奨する。ただ、住民がワクチンの種類を選べるようにするかどうかは自治体の判断に委ねる(中略)。東京都墨田区役所には、住民からの問い合わせが相次いでいる」と書いています。そして同記事は、「BA.5対応は10月中旬以降、自治体への配送が始まる。一方、BA.1対応ワクチンの在庫を使い切るには10月末までかかる可能性がある。担当者は『BA.5対応への切り替えが遅いと、区民が接種を先延ばしして接種率が下がりかねない』と懸念する。現在、接種の予約は半分程度しか埋まっていない。一方で『BA.1対応の在庫を余らせて廃棄するわけにはいかない」と頭を抱えている』」と自治体担当者の悩みを伝えています。オミクロン型未対応の従来型ワクチンは既に大量廃棄の道へ報道等によれば厚労省は自治体に対し、BA4/5対応ワクチンは約4,300万回分を供給する配分計画を示しています。既に約3,700万回分の供給が決まっているBA.1対応ワクチンと混在することになります。9月20日から使い始めたばかりのBA.1対応のワクチンはどうみても相当数廃棄になる可能性が高そうです。BA.1対応ワクチンの廃棄以前に、オミクロン型に対応していない従来型ワクチンも大量廃棄が始まっています。10月6日付の朝日新聞は「従来型ワクチン大量廃棄へ」と題する記事で、「朝日新聞が20の政令指定都市に取材したところ、9月下旬の(従来型ワクチンの)在庫は約220万回分。(中略)。予約は少なく、在庫の多くは使われないとみられている」と書いています。政治家の決断でお金をドブに捨てる政策が多過ぎるオミクロン対応型ワクチンの登場で、従来型のニーズがなくなるのは理解できます。しかし、今年8月の段階で米国においてBA.4/5対応ワクチンの実用化が近づいていたのに、BA.1対応ワクチンの承認をことさら急いだ理由がよくわかりません。8月時点ではBA.4/5対応ワクチンの日本での確保の目処が立ってなかったからでしょうか。だからといって、無駄になるかもしれないワクチンに巨額の税金を使っていいということにはなりません。喜ぶのはファイザーやモデルナなどの米国企業と米国政府だけです。新型コロナウイルスワクチンの予防接種はすべて国費で賄われます。「とにかく最善を最短で」というのもわかりますが、首相や内閣官房、厚労省ももう少し冷静で的確な判断ができなかったのかと思います。現状、自治体におけるBA.1対応ワクチンの接種予約は低調と言われています。BA.1対応ワクチンとBA.4/5対応ワクチンのうち、「どちらの方がオミクロン型BA.5に効果があるかの評価は定まっていないからどちらでも」と言われても、普通に考えればBA.4/5対応ワクチンでしょう。よりいい新製品がまもなく打てるのに、旧製品をわざわざ急いで打つ人はいません。国は国産コロナワクチンの開発や、国産の新薬開発に莫大な税金を投じ、ドブに捨ててきました。それらの政策の中には、「国民のため」なのか時の首相の「”やってる感”のため」なのかわからないものも多々ありました(コロナ対策に限らず、安倍 晋三元首相の国葬もそうした印象を受けました)。政治家(とくに首相)には、自分の決断で使うお金の出処が、自分の貯金ではなく税金である、という自覚をもっと持っていただきたいと思う今日この頃です。

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簡易懸濁法による服薬介助のため、細粒からOD錠への変更を提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第51回

 今回は、簡易懸濁法で服薬管理している患者さんの処方提案です。そのまま継続でも問題ない処方内容ですが、服薬介助の負担や薬局の作業効率の向上などの理由から薬剤を変更することを提案しました。患者情報90歳、女性(施設入居)基礎疾患認知症、高血圧、心房細動服薬管理施設看護師処方内容1.エドキサバン口腔内崩壊錠30mg 1錠 分1 朝食後2.オルメサルタン口腔内崩壊錠10mg 1錠 分1 朝食後3.メマンチン口腔内崩壊錠20mg 1錠 分1 朝食後4.ニフェジピン腸溶細粒2% 2包 分2 朝夕食後5.ビソプロロールフマル酸塩錠2.5mg 1錠 分1 朝食後6.経腸成分栄養剤(9-2)液 1,200mL 分3 毎食後本症例のポイントこの患者さんは、経口摂取が困難で長期的に回復が見込めないことから、施設入居前に胃瘻を造設して経口投与から経管投与への切り替えを行っていました。施設入居後に当薬局が介入することになりましたが、1日1回服用の薬が多いのに、ニフェジピン腸溶細粒のみ1日2回であったことから、現場の負担が大きいのではないか気になりました。また、薬局側としても、ニフェジピン腸溶細粒だけ別包のため、ホチキスでまとめるという作業が発生し、その一手間が積み重なると作業効率の妨げとなる恐れがありました。医師の初診に立ち会う前に看護師に確認したところ、やはり朝食後の服用だけにまとめられないかという相談がありました。そこで、1日1回服用かつ口腔内崩壊錠でまとめると簡易懸濁による服薬介助が楽になるのではないかと考えました。なお、血圧は120〜140/60〜80台で安定していました。処方提案と経過ニフェジピン腸溶細粒をアムロジピン口腔内崩壊錠2.5mg 1錠 朝食後へ変更できないか相談することにしました。アムロジピン口腔内崩壊錠であれば作用時間が長く1日1回の服用のため、朝食後の服用薬とタイミングを合わせることが可能です。また、口腔内崩壊錠ですので、簡易懸濁法で容易に崩壊することができます。これらのことから現場の介護負担が減り、薬局の作業効率も改善するのではないかと考えました。医師の診察に立ち会って上記の提案をしたところ「やってみましょう」ということになり、翌日から変更となりました。看護師に変更内容と、今後は血圧推移に注意しながらモニタリングすることを伝えました。処方変更後の血圧は120~130/70~80台で、その後もとくに変動することなく施設生活を続けています。

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乾癬患者へのアプレミラスト、血管炎症、心臓代謝との関連は?

 海外ではすでに広く使用されている経口ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬アプレミラストについて、血管炎症および心臓代謝機能との関連を評価した米国・ペンシルベニア大学医学大学院のJoel M. Gelfand氏らによる第IV相非盲検非無作為化試験の結果が示された。 乾癬は代謝疾患および心血管疾患と関連する炎症性の疾患であり、アプレミラストによる治療では体重減少を引き起こす可能性が知られている。今回の検討で、大動脈血管炎症との関連性は中立的であること、心血管代謝バイオマーカーのサブセットと可変ではあるが概して有益な関連性があること、内臓脂肪・皮下脂肪の減少と関連することが示され、結果を踏まえて著者は、「アプレミラストは心血管代謝疾患および乾癬を有する患者に対して、全体としてベネフィットをもたらす可能性があることが示唆された」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年9月21日号掲載の報告。 研究グループは、アプレミラストと大動脈血管炎症との関連性について、18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)PET/CT、心臓代謝マーカー(16週時主要アウトカム)、および腹部脂肪組成による評価を、単群非盲検非無作為化介入試験にて行った。試験は米国内7ヵ所の皮膚科部門で、期限を知らされていない研究者によって画像診断と検査結果の測定が行われた。被験者はアプレミラスト30mgを1日2回投与された。 主要評価項目は、ベースラインと比較した16週時点および52週時点で評価した大動脈血管炎症(FDG-PET/CTで測定)、68の心臓代謝バイオマーカー、および腹部脂肪組成(CTで測定)であった。 主な結果は以下のとおり。・画像診断および検査は、2017年4月11日~2021年8月17日に行われ、70例の患者(平均[SD]年齢47.5[14.6]歳、男性54例[77.1%]、黒人4例[5.7%]、白人58例[82.9%])が評価を受けた。・16週時点では、大動脈血管炎症についてベースラインとの変化は認められなかった(target to background ratio[TBR]:-0.02、95%信頼区間[CI]:-0.08~0.05、p=0.61)。なお52週時点においても変化が認められなかった(TBR:-0.07、95%CI:-0.15~0.01、p=0.09)。・16週時点で、IL-1β、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェチュインA、および分岐鎖アミノ酸の潜在的に有益な減少が観察された。・52週時点ではベースラインと比べて、フェリチン、β-ヒドロキシ酪酸、アセトン、およびケトン体の減少が観察され、アポリポ蛋白A-1は増加したが、コレステロール流出は減少した。・皮下脂肪と内臓脂肪は16週時点で約5~6%減少し、52週時点でも維持されていた。

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手引き改訂で診断基準に変化、テストステロン補充療法/日本メンズヘルス医学会

 『加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き2022』が15年ぶりに改訂されるにあたり、9月17、18日にオンライン開催された第22回日本メンズヘルス医学会において、シンポジウム「LOHセッション」が開催された。本稿では検査値の改訂ポイントについて、伊藤 直樹氏(NTT東日本札幌病院泌尿器科 部長/外科診療部長)の発表内容からお伝えする(共催:株式会社コスミックコーポレーション)。 LOH症候群とは、“加齢あるいはストレスに伴うテストステロン値の低下による症候群”である。加齢に起因すると考えられる症状として大きく3つの項目があり、1)性腺機能症状(早期勃起の低下、性欲[リビドー]の低下、勃起障害など)、2)精神症状(うつ傾向、記憶力、集中力の低下、倦怠感・疲労感など)、3)身体症状(筋力の低下、骨塩量の減少、体脂肪の増加など)が挙げられる。見直された診断基準値、海外と違う理由 本手引きの改訂においてもっとも注目すべきは、主診断に用いる検査値が変わることである。2007年版の診断基準値では遊離テストステロン値(8.5pg/mL未満)のみが採用されていたが、2022年改訂版では総テストステロン値(250ng/dL未満)を主診断に用いることになる。その理由として、伊藤氏は「海外でのgold standardであること、総テストステロン値と臨床症状との関連性も認められること、健康男性のmean-2SD・海外ガイドラインも参考にしたこと」を挙げた。また、遊離テストステロン値は補助診断に用いることとし、LOH症候群が対象となり始める30~40歳代のmean-2SD値である7.5pg/mL未満とするに至った。これについて「RIA法の信頼性が問題視されていること、海外の値(欧州泌尿器学会では63.4pg/mLなど)と測定方法が異なり比較できないため」とコメントした。<LOH症候群の新たな診断基準>―――・総テストステロン値250ng/dL未満または・250ng/dL以上で遊離テストステロン値が7.5pg/mL未満※各測定値にかかわらず総合的に判断することが重要で、テストステロン補充の妥当性を考慮し、「妥当性あり」と判断すれば、LOH症候群と診断する●注意点(1)血中テストステロン分泌は午前9時頃にピークを迎え夜にかけて低下するため、午前7~11時の間に空腹で採血すること。(2)2回採血について、日本では保険適用の問題もあるため、海外で推奨されているも本手引きではコメントなし。――― また、測定時に注意すべきは、総テストステロンの4割強は性ホルモン結合グロブリン(SHBG:sex hormone brinding globulin)と強く結合しているため、SHBGに影響を与える疾患・状態にある患者の場合は値が左右される点である。同氏は「SHBGが増加する疾患として、甲状腺機能亢進症、肝硬変、体重減少などがある。一方で低下する疾患には、肥満、甲状腺機能低下症、インスリン抵抗性・糖尿病などがあるため、症状の原因となるようなリスクファクターの探索も重要であるとし、「メタボリックシンドローム(高血圧症、糖尿病、脂質異常症)から悪性腫瘍などの消耗性疾患、副腎皮質・甲状腺など内分泌疾患、そしてうつ病などの精神疾患などLOH症候群に疑わしい疾患は多岐にわたるため、すぐに断定することは危険」と強調。「自覚症状、他覚的所見を総合的に判断し、ほかの疾患の存在も常に疑うべき」と指摘した。 さらに、診断基準の“測定値にかかわらず総合的に判断する”という点について、「アンドロゲン受容体の活性効率に影響するN末端のCAGリピートがアジア人は長く、活性効率が低い可能性がある。そのため、テストステロン値が基準値以上でも補充療法が有効の可能性がある」と説明した。 測定値とは別に、症状からLOH症候群か否かを定量的に判定する方法の1つとしてAMS(Aging Males' Symptoms)スコア1)が広く用いられている。これについて、同氏は「感度は高いが特異度は低いため、スクリーニングには推奨されない」と話した。一方でホルモン補充療法による臨床効果の監視には有用という報告もあることから、「全体の合計点だけを見るのではなく、それぞれの症状をピックアップし、患者に合わせて対応することが大切」と説明した。 最後に、診断を確定する前にはLOH症候群が原発性か二次性かの確認も必要なことから、「最終的にはLHおよびFSHを測定し二次性性腺機能低下症の有無を確認するために、その原因疾患を把握し、確認して欲しい」と締めくくった。

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