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9761.

ビタミンD不足で認知症リスク上昇~コホート研究

 ビタミンD活性代謝物は、神経免疫調節や神経保護特性を有する。しかし、ヒドロキシビタミンDの血清レベルの低さと認知症リスク上昇の潜在的な関連については、いまだ議論の的である。イスラエル・ヘブライ大学のDavid Kiderman氏らは、25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)の血清レベルの異なるカットオフ値において、ビタミンD欠乏症と認知症との関連を調査した。その結果、不十分なビタミンDレベルは認知症との関連が認められ、ビタミンDが不足または欠乏している患者においては、より若年で認知症と診断される可能性が示唆された。Journal of Geriatric Psychiatry and Neurology誌オンライン版2023年3月8日号の報告。 イスラエル最大の医療保険組織Clalit Health Services(CHS)のデータベースより、患者データを収集した。各被験者について、調査期間中(2002~19年)の利用可能なすべての25(OH)D値を取得した。認知症の発症率は、25(OH)Dレベルの異なるカットオフ値で比較した。 主な結果は以下のとおり。・本コホート研究の対象は、患者4,278例(女性:2,454例[57%])であった。・フォローアップ開始時の平均年齢は、53±17歳であった。・17年間のフォローアップ期間中に認知症と診断された患者は133例(3%)であった。・完全に調整された多変量解析では、血清25(OH)Dの平均値が75nmol/L未満(ビタミンD欠乏)の患者は、同75nmol/L以上(基準値)の患者と比較し、認知症リスクが約2倍高かった(オッズ比:1.8、95%信頼区間:1.0~3.2)。・ビタミンDの欠乏(77 vs.81、p=0.05)および不足(77 vs.81、p=0.05)が認められる患者は、基準値の患者と比較し、より若年で認知症と診断された。

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作り笑いの「笑いヨガ」で糖尿病を改善~日本人でのRCT

 笑いには、ストレス軽減、NK細胞の活性化、アレルギー反応抑制、食後血糖値の上昇抑制などが報告されている。しかし、お笑い番組は人により好みが異なるため、すべての人を笑わせることは難しい。今回、福島県立医科大学の広崎 真弓氏らの無作為化比較研究の結果、作り笑いと深呼吸を組み合わせた「笑いヨガ」で2型糖尿病患者の血糖コントロールが改善されることが示された。Frontiers in Endocrinology誌2023年3月31日号に掲載。 笑いヨガとは、グループで作り笑いや深呼吸、手拍子や掛け声を行うことで、冗談やユーモアに頼らずに体操として行うエクササイズである。本研究では、大阪大学医学部附属病院糖尿病センターに受診している2型糖尿病患者42例を介入群と対照群に無作為に割り付け、介入群には笑いヨガのプログラムを12週間実施した。開始前と12週間後に、HbA1c、体重、ウエスト周囲径、心理的因子、睡眠時間を評価した。 主な結果は以下のとおり。・ITT解析の結果、笑いヨガ群ではHbA1c値(群間差:-0.31%、95%信頼区間[CI]:-0.54~-0.09)、ポジティブ感情スコア(群間差:0.62ポイント、95%CI:0.003~1.23 )が大幅に改善した。・睡眠時間は笑いヨガ群で増加の傾向がみられ、群間差は0.4時間(95%CI:-0.05~0.86、p=0.080)であった。・笑いヨガプログラムへの平均出席率は92.9%と高かった。

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最適な降圧薬は人によって異なるのか/JAMA

 高血圧患者における最適な降圧療法は個人によって異なるか、個別に目標を定めた降圧療法は有益性を最大化できるかという問いには、いまだ明確な解答は得られていないという。スウェーデン・ウプサラ大学のJohan Sundstrom氏らは「PHYSIC試験」において、高血圧に対する4つの異なるクラスの降圧薬による単剤療法の血圧反応にはかなりの異質性があり、これは高血圧治療における個別化治療の進展の可能性を示唆するものであることを示した。研究の成果は、JAMA誌2023年4月11日号に掲載された。スウェーデンの無作為化反復クロスオーバー試験 PHYSIC試験は、いくつかの降圧薬による治療を反復することで、患者内および患者間の血圧反応の差を定量化するようデザインされた二重盲検無作為化反復クロスオーバー試験であり、2017年2月~2020年5月の期間に、ウプサラ大学病院内科の外来研究クリニックで参加者のスクリーニングが行われた(Swedish Research Councilなどの助成を受けた)。 対象は、年齢40~75歳の男女で、試験開始前の5年以内にI度高血圧(収縮期血圧[SBP]140~159mmHg)と診断され、未治療または1剤による降圧治療を受けており、試験期間中に降圧治療の中止が可能な患者であった。混合効果モデルを用いて、1つの治療が他の治療よりも、どの程度効果が高いかを評価し、個別化治療によって達成可能な付加的な血圧の低下量を推定した。 被験者は、4つのクラスの降圧薬(リシノプリル[ACE阻害薬]、カンデサルタン[ARB]、ヒドロクロロチアジド[サイアザイド系利尿薬]、アムロジピン[Caチャネル拮抗薬])の投与を受ける群に無作為に割り付けられ、2つのクラスの薬剤による反復治療が行われた。1剤の投与期間は7~9週で、6期間の治療が実施された。 主要アウトカムは、各治療期間終了時における日中の外来SBPであった。個別化によりSBPがさらに4.4mmHg低下の可能性 280例(平均年齢64歳、男性54.3%)が無作為化の対象となり、合計1,680回の治療が行われた。このうち270例における1,468回の治療(治療期間中央値56日)が主解析に含まれた。高血圧の平均罹患期間は3年、62.1%が降圧薬単剤療法の治療歴があり、平均診察室血圧は154/89mmHgだった。 初回治療期間終了時の平均SBPは、ヒドロクロロチアジド(136.1[SD 10.3]mmHg)が他の薬剤に比べて高く、アムロジピン(130.9[8.6]mmHg)はリシノプリル(129.7[12.7]mmHg)よりも、カンデサルタン(131.8[12.8]mmHg)はリシノプリル(129.7[12.7]mmHg)よりも高かった。 個々の治療に対する血圧反応は、患者間でかなり異なっていた(p<0.001)。血圧反応の差は、とくにリシノプリルとヒドロクロロチアジド(p<0.001)、リシノプリルとアムロジピン(p<0.001)、カンデサルタンとヒドロクロロチアジド(p=0.03)、カンデサルタンとアムロジピン(p<0.001)の間で顕著であった。 一方、リシノプリルとカンデサルタン(p=0.46)、ヒドロクロロチアジドとアムロジピン(p=0.10)には大きな差はなかった。 また、降圧薬を固定した場合と比較して、個別化治療により個々の患者にとって最良の降圧薬を選択すると、SBPをさらに平均4.4mmHg低下させる可能性が示された。 著者は、「これらの知見は、個別化治療の可能性を示唆するものである。今後、複数の降圧薬による治療の個別化の可能性を検証し、日常臨床において降圧療法の個別化を可能にするメカニズムを解明するための研究を進める必要がある」としている。

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第144回 大学病院医師の時間外労働、2024年以降も3割が年間960時間を超える/文科省

<先週の動き>1.大学病院医師の時間外労働、2024年以降も3割が年間960時間を超える/文科省2.国内初の経口中絶薬メフィーゴパック承認へ/厚労省3.健保財政が急速に悪化、今年度は5,600億円超の大幅赤字/健保連4.内閣法改正で危機管理庁を設置、今年の秋発足/国会5.75歳以上も保険料引き上げの健康保険法改正案が参議院で審議入り/国会6.マイナンバーカード、受給者証の機能も追加へ/河野デジタル相1.大学病院医師の時間外労働、2024年以降も3割が年間960時間を超える/文科省2024年4月から労働基準法に基づく時間外労働時間の上限が適応されるのを前に、大学病院の勤務医の働き方に関する調査結果が公表された。この調査は、文部科学省の委託事業として、全国の81の国公私立の大学病院や医師を対象にアンケート形式で2022(令和4)年7月~8月に実施された。その結果、大学病院で働く医師の4万9,791人のうちおよそ3割の1万5,070人が、来年度、時間外労働の上限となる年間960時間を超える見込み。また、研究時間では、助教の約65%が週5時間以下で、まったく行っていない者も15%に上るなど、深刻な状況であることが判明している。ヒアリングでは、臨床業務のタスクシフトが働き方改革につながるとして、事務や看護師、コメディカルスタッフへのタスクシフトを行うことが必要というコメントも寄せられている。(参考)大学病院、研究13%どまり 週当たり平均労働時間 文科省調査(時事通信)大学病院の医師3割、残業960時間超の見込み 研究の時間不足(朝日新聞)大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書(全国医学部長病院長会議)2.国内初の経口中絶薬メフィーゴパック承認へ/厚労省イギリスの製薬企業ラインファーマが薬事申請していた経口中絶薬「メフィーゴパック」(一般名:ミフェプリストン/ミソプロストール)について、4月21日に開催された厚生労働省の薬事・食品衛生審議会において、製造販売の承認を了承した。国内初の経口中絶薬については、先月の審議会の開催前のパブリックコメントに、通常の100倍もの意見が集まったため、3月24日の審議が延期された経緯がある。日本国内で中絶手術で行われている掻爬術などと比べて、母体への負担が少なく母体保護の観点からも早期の承認が求められてきた。海外ではすでに70ヵ国以上で承認されており、世界保健機関(WHO)は、安全で効果的だとして「必須医薬品」に指定している。(参考)「経口中絶薬」 厚労省の分科会が了承 国内初の承認へ(NHK)国内初、経口妊娠中絶薬を承認へ 薬食審・分科会が了承(CB news)飲む中絶薬製造販売の承認を了承 国内初の経口中絶薬 厚労省分科会(毎日新聞)3.健保財政が急速に悪化、今年度は5,600億円超の大幅赤字/健保連健康保険組合連合会(健保連)は4月20日に、大企業の従業員と家族が加入する健保組合の2023年度の予算の集計結果を発表した。約1,400組合の健康保険組合の経常収支は5,623億円の赤字となり、過去最大で前年度の2倍が見込まれている。赤字が予想されている健保組合は2022年度から130組合増えて1,093組合と、全体の8割近くになる。赤字の原因は、医療費の伸びに加え、高齢者医療への拠出金が増大しており、現役世代にとって負担が増している。政府は、少子化対策の財源を社会保険料からの拠出を検討しており、今後、現役世代にとって負担増となる可能性がある。また、社会保障制度の持続可能性のため、政府は全世代型社会保障構築会議などを通して、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を急いでいる。(参考)大企業健保、赤字最大に 今年度見通し 5600億円超へ倍増(日経新聞)健保組合、8割が赤字見通し 実質保険料は10%超えに 23年度(朝日新聞)健保組合 今年度収支 5600億円余の赤字の見通し 前年度の2倍に(NHK)健保組合、過去最大の赤字5,600億円超に 23年度見込み、約8割が赤字(CB news)健康保険組合 予算編成状況-早期集計結果(概要)について-(健保連)4.内閣法改正で危機管理庁を設置、今年の秋発足/国会新たな感染症危機に備える目的で、感染症対応の司令塔として新たに「内閣感染症危機管理統括庁」を内閣官房に新設する改正内閣法と新型コロナウイルス対策特別措置法が4月21日に参議院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。感染症危機管理統括庁は、内閣府に設置され、トップの内閣感染症危機管理監には官房副長官が就く。早ければ9月1日にも発足する。新たな感染症が発生した際に、省庁横断して初動対応を担う。平時は専従職員38人、救急時は101人体制で対応する。(参考)感染症で首相権限強化=危機管理庁設置、改正法成立(時事通信)危機管理庁、今秋めどに 改正法成立 感染症対策の司令塔(日経新聞)感染症対応の司令塔、内閣官房に秋ごろ設置へ 改正インフル特措法・内閣法が成立(CB news)5.75歳以上も保険料引き上げの健康保険法改正案が参議院で審議入り/国会75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」の保険料引き上げと、「出産育児一時金」の増額などを盛り込んだ健康保険法などの改正案が4月19日から参議院で審議が開始された。岸田総理は「すべての世代が能力に応じて社会保障制度を支え合う仕組みの構築は重要だ」と述べ、早期成立に理解を求めた。一方、野党からは高齢者の保険料から出産費用を捻出する案に対して批判する声が上がり、これに対して岸田総理は、高齢者も含めた全世代で支え合う仕組みに転換を図りたいと答弁した。(参考)医療保険料の75歳以上負担増、参院審議入り 首相出席(産経新聞)健康保険法などの改正案 参院で審議始まる(NHK)全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案[概要](厚労省)6.マイナンバーカード、受給者証の機能も追加へ/河野デジタル相河野太郎デジタル相は記者会見で、マイナンバーカードと健康保険証との一体化を進めるに当たり、従来は紙で行われていた子供の医療費の医療費助成の「受給者証」を、マイナンバーカードを活用して機能を追加できるように取り組むことを発表した。また、マイナンバーカードを予防接種の接種券や妊婦健診の受診券として活用することも目指す。これらの取り組みを全国展開する前に、今年度中に希望する自治体を募り、試行する予定。(参考)「受給者証」もマイナカードに 医療分野の活用促進 河野デジタル相(時事通信)医療費助成にマイナカード 一部自治体で先行へ(産経新聞)河野大臣記者会見(デジタル庁)

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患者集団を対象とした医療からの脱却法は?(解説:後藤信哉氏)

 ランダム化比較試験は、患者集団の標準治療の確立に役立った。しかし、新型コロナウイルス感染症などの病名にて患者集団を規定しても、集団を構成している個別症例の病態、予後には不均一性がある。たとえば、新型コロナウイルス感染症の入院例においてヘパリン治療がECMOなどを避けるために有効であることはランダム化比較試験にて示されたが、標準治療が集団を構成する全例に対して有効・安全なわけではない。 本研究はヘパリン治療の不均一性を検証するために3つの方法を利用した。(1)は通常のサブグループ解析である。新薬開発の臨床試験では事前に設定した年齢、性別、腎機能などにより分けたサブグループにて不均一性がないことを示している。本研究ではサブグループ解析にて結果の不均一性に注目した。(2)はrisk based model法である。集団からリスクに寄与する因子を抽出して、その因子により個別症例のリスクを事前に予測してグループ分けした。(3)はEffect-Based Approachである。いわゆるrandom forest plotにて効果を予測してグループ分けする方法である。 集団の不均一性を定量化する(1)~(3)の方法とも、新型コロナウイルス感染症による入院例に対するヘパリンの効果の不均一性を示した。 ランダム化比較試験は患者集団に対する標準治療の確立には効果があった。今後は、集団の不均一性に注目して、未来の個別最適化医療を目指すことになる。

9767.

事例022 SARS-CoV-2検査過剰による返戻【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では、発熱患者にSARS-CoV-2抗原検出定性とSARS-CoV-2核酸検出を同時に行っていたところ、複数件が返戻となりました。支払機関からの返戻理由には、「検査前の確率が低いときには感度・特異度の高い検査方法での実施が望ましいとされております。状況に応じた適切な検査の実施をご検討ください。上記の場合であって、どうしても同一日に施行しなければならない必要性がある場合などでは、患者ごとにその医学的根拠を記載してください。記載のない場合や画一的・傾向的なコメントの場合は査定の対象となりますのでご注意ください」とありました。「新型コロナウィルス感染症病原体検査の指針」(第6版)には、「抗原定性検査は、発症から9日目以内の症例では確定診断に用いることができる」とあり、核酸検出、抗原定量、抗原定性の実施が推奨されています。核酸検出と抗原定性の同一検体同時測定は問題ないと考えていました。実際は抗原定性または核酸検出いずれかの実施のみでことが足りると判断されているようです。数件のレセプトのコメントには「抗原検出定性結果の確定のため核酸検出を行った」と記載されていましたが、同じコメントがついていて返戻となっていました。患者ごとに医学的な詳しい状況の記載が必要になるものと考えられますので、この点はご留意ください。医師にはこのことを伝え、検査オーダー時に検査重複のアラートが表示されるように改修して査定対策としました。

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術前AC抵抗性TN乳がん、アテゾリズマブ+nab-PTXが有望/第II相試験

 トリプルネガティブ乳がん(TNBC)では、抗PD-(L)1抗体による術前療法で病理学的完全奏効(pCR)率が改善されるが、免疫関連有害事象(irAE)の長期持続リスクのためリスク・ベネフィット比の最適化が重要である。最初の術前療法で臨床効果が不十分な場合はpCR率が低い(2~5%)ことから、免疫チェックポイント阻害薬が選択可能かもしれない。今回、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのClinton Yam氏らは、術前ドキソルビシン+シクロホスファミド(AC)抵抗性のTNBC患者に対して、第2の術前療法としてアテゾリズマブ+nab-パクリタキセルを投与する単群第II相試験を実施し、有望な結果が得られた。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2023年4月15日号に掲載。 本試験の対象は、StageI~IIIのAC抵抗性(AC 4サイクル後に病勢進行もしくは腫瘍体積の80%未満の減少)のTNBCで、第2の術前療法としてアテゾリズマブ(1,200mg、3週ごと4回)+nab-パクリタキセル(100mg/m2、1週ごと12回)を投与後、アテゾリズマブ(1,200mg、3週ごと4回)を投与した。 主な結果は以下のとおり。・2016年2月15日~2021年1月29日にAC抵抗性TNBCを37例登録した。・pCR/residual cancer burden(RCB)-I率は46%だった(ヒストリカルコントロール群:5%)。・新たな安全性シグナルは観察されなかった。・7例(19%)がirAEによりアテゾリズマブを中止した。

9769.

統合失調症患者が地域社会で生活し続けるためには

 地域在住の統合失調症患者における身体的、精神的、社会的な併存症は、日常生活を妨げ、再入院リスクを上昇させる可能性がある。しかし、日本において、統合失調症患者の併存症に関する調査は、包括的に行われていない。藤田医科大学の松永 眞章氏らは、日本人統合失調症患者のさまざまな併存症の有病率を調査するため、有病率ケースコントロール研究を実施した。その結果、統合失調症患者が地域社会で生活し続けるためには、身体的、精神的、社会的な併存症を管理する効果的な介入が必要であることが示唆された。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2023年2月28日号の報告。 2022年2月に、有病率ケースコントロール研究として、統合失調症の有無にかかわらず20~75歳の日本人を対象とした自己申告によるインターネット調査を実施した。統合失調症患者と統合失調症でない対照群の身体的(過体重、高血圧、糖尿病など)、精神的(抑うつ症状、睡眠障害など)、社会的(雇用状態、世帯収入、社会的支援など)併存症の有病率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者223例および対照群1,776例が特定された。・統合失調症患者は対照群よりも、過体重である可能性が高く、高血圧症、糖尿病、脂質異常症の有病率が高かった。・統合失調症患者は対照群と比較し、抑うつ症状、失業状態、非正規雇用の割合が高かった。・本結果は、地域在住の日本人統合失調症患者の身体的、精神的、社会的な併存症に対処する包括的な支援や介入の必要性を強調するものである。・統合失調症患者が地域社会で生活し続けるためには、併存症を管理する効果的な介入が必要である。

9770.

重症化リスクの高いコロナ患者、ニルマトレルビルで入院・死亡減/BMJ

 重症化リスクの高いSARS-CoV-2感染者へのニルマトレルビル投与は非投与と比較して、ワクチン非接種者・接種者、ブースター接種者、再感染者において、30日時点の入院または死亡のリスクが低下していたことが明らかにされた。米国・VA Saint Louis Health Care SystemのYan Xie氏らが、米国退役軍人省の全国ヘルスケアデータベースを活用し、電子カルテを用いた無作為化ターゲット模倣試験(emulation of a randomized target trial)で明らかにした。ニルマトレルビルの有効性の検証は、オミクロン変異株が優勢となる前、ワクチン非接種のSARS-CoV-2感染者とSARS-CoV-2感染歴のない人々を対象に行われたものであった。BMJ誌2023年4月11日号掲載の報告。非投与と比較、検査陽性から30日以内の入院/死亡の発生を評価 検討は、米国退役軍人省の全国ヘルスケアデータベースを用いて、2022年1月3日~11月30日に、COVID-19重症化リスク因子を1つ以上有するSARS-CoV-2感染陽性者25万6,288例を対象に行われた。このうち3万1,524例は、SARS-CoV-2検査陽性から5日以内にニルマトレルビル投与を受け、22万4,764例は同投与を受けなかった。 検討では、SARS-CoV-2検査陽性から30日以内の入院または死亡の複合アウトカムが評価された。 SARS-CoV-2検査陽性から5日以内にニルマトレルビルを開始した場合の有効性を非投与と比較して推定。有効性は、30日時点の入院または死亡リスクの低下とし、ワクチン接種を受けていない人、1回または2回接種を受けた人、ブースター接種を受けた人、およびSARS-CoV-2初回感染者または再感染者それぞれにおいて推定した。 評価では、逆確率加重法を用いてグループ間の個人・健康特性を平均化した。また、相対リスクと絶対リスクの低下を、30日時点の累積発生率から算出した。有効性は、加重Kaplan-Meier推定量で推算した。オミクロン変異株感染者でもリスク低下 ワクチン非接種者(7万6,763例:投与群5,338例、非投与群7万1,425例)において、非投与と比較したニルマトレルビル投与による30日時点の入院または死亡の相対リスクは、0.60(95%信頼区間[CI]:0.50~0.71)、絶対リスク低下は1.83%(95%CI:1.29~2.49)であった。 ワクチン1回または2回接種者(8万4,620例:投与群7,989例、非投与群7万6,631例)ではそれぞれ0.65(95%CI:0.57~0.74)、1.27%(95%CI:0.90~1.61)、ブースター接種者(9万4,905例:1万8,197例、7万6,708例)では0.64(0.58~0.71)、1.05%(0.85~1.27)、SARS-CoV-2初回感染(22万8,081例:2万6,350例、20万1,731例)では0.61(0.57~0.65)、1.36%(1.19~1.53)、再感染者(2万8,207例:5,174例、2万3,033例)では0.74(0.63~0.87)、0.79%(0.36~1.18)であった。 ニルマトレルビルと入院または死亡のリスク低下との関連は、65歳以下および65歳超の人々で、男性および女性、黒人および白人の参加者で、また、COVID-19重症化リスク因子が1~2、3~4、5以上の人々、そしてオミクロン変異株BA.1またはBA.2およびBA.5の優勢期の感染者で認められた。

9771.

多枝病変ACSへの完全血行再建術、即時vs.段階的/Lancet

 急性冠症候群および多枝冠動脈疾患を有する患者において、即時完全血行再建術は、責任病変のみに行う段階的完全血行再建術に対して、主要複合アウトカムに関して非劣性であり、心筋梗塞および予定外の虚血による血行再建術の施行を低減したことが示された。オランダ・エラスムス大学医療センターのRoberto Diletti氏らが、前向き非盲検非劣性無作為課試験「BIOVASC試験」の結果を報告した。急性冠症候群および多枝冠動脈疾患を有する患者では、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)による完全血行再建術施行が臨床アウトカム改善と関連することが示されている。研究グループは、非責任病変へのPCIをindex手術中に行うべきか、段階を踏んで行うべきかを調べる目的で本検討を行った。Lancet誌2023年4月8日号掲載の報告。非責任病変をindex手術中に施術vs.6週後に施術、1年後の複合アウトカム評価 BIOVASC試験は、ベルギー、イタリア、オランダ、スペインの29病院で、ST上昇型心筋梗塞または非ST上昇型急性冠症候群を呈し、多枝冠動脈に明らかな責任病変(冠動脈2枝以上に視覚的推定で直径2.5mm以上かつ70%以上の狭窄、または冠動脈生理学的検査陽性)が認められる18~85歳の患者を対象に行われた。 ウェブベースの無作為化モジュール法により、試験実施施設で層別化した4~8のブロックサイズを用いて、患者を即時完全血行再建術群(即時群)と段階的完全血行再建術群(段階的群)に1対1で割り付けた。即時群では、PCIのindex手術中、責任病変の施術を最初に、続いて術者によって臨床的に重要と見なされた他の非責任病変の施術が行われた。段階的群では、PCIのindex手術中に責任病変のみ施術が行われ、その後6週間以内に術者によって臨床的に重要と見なされた他の非責任病変の施術が行われた。 主要アウトカムは、index手術後1年時点で評価した全死因死亡、心筋梗塞、あらゆる予定外の虚血による血行再建術、または脳血管イベントの複合であった。副次アウトカムは、index手術後1年の全死因死亡、心筋梗塞、あらゆる予定外の虚血による血行再建術などであった。主要および副次アウトカムは、無作為化された全患者を対象にintention to treat(ITT)解析にて評価された。即時完全血行再建術の段階的完全血行再建術に対する非劣性は、主要アウトカムのハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)上限値が1.39以下の場合と定義した。即時完全血行再建術の非劣性を確認 2018年6月26日~2021年10月21日に、764例(年齢中央値65.7歳[四分位範囲[IQR]:57.2~72.9]、男性598例[78.3%])が即時群に、761例(65.3歳[58.6~72.9]、589例[77.4%])が段階的群に無作為に割り付けられ、全例がITT集団に組み込まれた。 index手術後1年時点の主要アウトカムの発生は、即時群57/764例(7.6%)、段階的群71/761例(9.4%)であった(HR:0.78、95%CI:0.55~1.11、非劣性のp=0.0011)。 両群間で全死因死亡の発生に有意差はなかった(14例[1.9%]vs.9例[1.2%]、HR:1.56[95%CI:0.68~3.61]、p=0.30)。心筋梗塞には有意差があった(14例[1.9%]vs.34例[4.5%]、0.41[0.22~0.76]、p=0.0045)。予定外の虚血による血行再建術の施行は、段階的群のほうが多かった(31例[4.2%]vs.50例[6.7%]、0.61[0.39~0.95]、p=0.030)。

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大気汚染と認知症リスク (解説:岡村毅氏)

 黄砂の飛来がニュースになっているが、タイムリーに大気汚染が認知症発症とも関連するかもしれないという報告だ。喫煙等と比べると認知症発症に与える影響は小さいが、何せ逃げることができないリスクなので、人々への影響は大きい。 なお本論文では主にPM2.5を扱っているが、これは大気中に浮遊している直径2.5μm以下の小さな粒子を指し、化石燃料をはじめとする工業活動で排出されるものである。黄砂とは中国やモンゴルの乾燥域から偏西風に乗って飛んでくる砂塵であり、その大きさは4μm程度であるからほとんどがPM2.5ではない。 長期的にはPM2.5も黄砂も中国では減少傾向にあることも押さえておこう。一方でPM2.5は地球全体では工業化と共に増えている。 本研究は、これまでの大気汚染と認知症発症の報告のメタアナリシスであり、関連があると結論している。2μg/m3増加当たりのハザード比は全体では1.04(95% CI:0.99~1.09)と一見とても小さい。 しかし環境汚染と健康の研究では大体これくらいである。大気汚染による心血管疾患等で世界では年間700万人近くが死亡しているという報告もある1)。そして、その多くは発展途上国である。 とはいえ、このような研究ではバイアスの問題が難しい。そもそも認知症の診断技術は一貫して上がっており、診断は増えている。また大気汚染区域に住む人は貧困や学歴資本の少ない人が多い可能性があり(日本ではそのような可能性があるのかどうかは知らない)、これら自体が認知症発症リスクである。この論文はバイアスを厳密に評価したところも特徴である。 また認知症発症についても、個別に確認しているもの(Active Case Ascertainment)もあれば、保険データなどを使っているもの(Passive Case Ascertainment)もある。前者は信頼性が高いが、nは少なくなるし、後者はnが大きいが、やや雑なデータと言えよう。筆者によると前者のハザード比である1.42(95%Cl:1.00~2.02)が信頼できるのではと言っている。 いずれにせよ、結論としては、大気汚染は認知症発症とも関連する可能性が高そうである。きれいな空気が頭にも体にもよいというのは、われわれの直感とも一致する。 最後は精神科的な意見で終わっておこう。認知症リスクも増えるのだからクリーンエネルギーにしないといけません、と安易に言ってしまうと、「だからどうした」「それは意識高い系のたわごとだ」「フェイクニュースだ」「自分は石炭産業で食ってるんだ」「先進国はさんざん好き放題やってきて、いまになって上から目線だ」といった反論が来そうである。科学とは別の次元の二項対立は避けつつも、こうやって科学論文にすることに大きな意味がある。残念ながら人々が豊かな生活を夢見て行う古典的工業活動が大気汚染を起こし、大気汚染によってさまざまな病気(呼吸器系や心血管系)が増えているうえに、認知症までも増えるという事実を静かに噛みしめたい。

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IgA腎症の病態に根差した治療(解説:浦信行氏)

 CLEAR!ジャーナル四天王-1535「高リスクIgA腎症に対する経口ステロイドの効果と有害事象を勘案した治療法」の稿で低用量ステロイド群の優位性を解説したが、用量の多寡にかかわらず治療終了後の追跡期間で効果が減弱することが明らかであり、より一層病態に根差した治療法の開発の必要性を述べた。 このたびLancet誌に掲載された新規の非免疫抑制性単分子エンドセリン受容体・アンジオテンシンII受容体デュアル拮抗薬のsparsentanのデータは、病態に根差した有用な治療法であることを期待させるものである。 エンドセリン受容体拮抗薬は血管拡張作用を発揮するが、従来はボセンタンを皮切りに複数の薬剤の臨床使用が可能で、肺動脈性肺高血圧症や、静脈投与に限られるがくも膜下出血術後の脳血管攣縮の抑制に用いられていた。加えて心臓や血管、腎臓に対するエンドセリンの血管収縮作用などに基づく臓器障害作用から、受容体拮抗薬の臓器保護の可能性が期待されていた。A受容体は腎においては糸球体血流低下、レニン分泌増加、メサンギウム細胞収縮、ポドサイト障害による蛋白透過性亢進、糸球体硬化などを惹起するが、B受容体はそれらに拮抗する作用を示す。したがって、受容体の選択性を考慮する必要がある。 sparsentanはA受容体に特異性の高い拮抗薬であり、このたびはIgA腎症を対象として対照群はARB使用群として、第III相二重盲検試験の36週目の中間報告として結果が公表された。結果はジャーナル四天王に示すとおり、49.8%の尿蛋白減少効果を示し、ARB群より41%有意に低下させた。また、尿蛋白の完全寛解率は21%、部分寛解率は70%に及び、いずれもARB群より有意に高値であった。これまでの臨床成績としては糖尿病性腎症や巣状糸球体硬化症で同様の成績が報告されているが、いずれも症例数が少なく、また短期間のデータである。巣状糸球体硬化症に関しては、現在第III相試験が進行中である。果たして試験終了までの2年間の治療で尿蛋白減少作用と腎機能保護作用が確実なものとなるか、期待をもって注目したい。

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児童虐待相談が多い都道府県は?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第232回

児童虐待相談が多い都道府県は?Unsplashより使用日本の児童虐待の現状について調べた北海道大学の研究です。Seposo X, et al.Child Abuse Consultation Rates Before vs During the COVID-19 Pandemic in Japan.JAMA Netw Open. 2023 Mar 1;6(3):e231878.一般公開されている2019~21年の月別児童虐待相談件数を入手し、47都道府県の児童虐待相談率を推定しました。この研究では、身体的虐待だけでなく、ネグレクトや心理的な虐待も含めています。コロナ禍の影響を考察するため、2019年をパンデミック前、2020~21年をパンデミック期間としています。2019~21年に、日本では年間平均で18万2,549件の児童虐待相談が記録されていました。相談率の中央値が最も高かった都道府県はどこでしょう。最も多かったのは、大阪でした(パンデミック期:人口10万人当たり134.85件[四分位範囲[IQR]:132.06~154.53]、パンデミック前:人口10万人当たり144.89件[136.60~159.46])。私が住んでいる都道府県なので、ちょっぴりショックでした。反対に、最も低かったのは鳥取県(パンデミック期:人口10万人当たり8.97件[IQR:7.57~13.73]、パンデミック前:人口10万人あたり7.29件[4.48~11.77])でした。パンデミックの間、児童虐待相談率が減少していることも示されました。これは救急外来受診率が低下したことと同じロジックで、コロナ禍で相談の閾値が高くなってしまったことが影響しているでしょう。児童虐待相談件数は、イコール児童虐待の件数というわけではありません。これについては本来であれば相関があるか検討されるべきですが、なかなか検証が難しいですよね。

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第156回 コロナで収益を得た製薬企業が次々と買収発表、思わずうなる戦略とは

国際的な製薬大手企業による企業買収が再び活発化している。3月13日に米・ファイザー社ががんの抗体薬物複合体(ADC)技術を有するシージェン社を約430億ドル(約5兆7,000億円)で買収すると発表。さらに4月16日には米・メルク社もベンチャーで自己免疫疾患治療薬を手がけるプロメテウス社を約108億ドル(約1兆4,500億円)で買収すると発表した。両社が現在抱える事情はほぼ似通っている。まず、共に新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)パンデミックで特需を経験した。ファイザー社はご存じのように新型コロナワクチン(商品名:コミナティほか)、経口新型コロナ治療薬のニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック)の売上が伸長した。2022年の売上高は、前年比23%増収の1,003億3,000万ドル(約13兆4,400億円)と、前年に引き続き製薬企業で世界1位となっただけでなく、製薬企業史上初の1,000億ドルプレーヤーとなった。この売上高の6割弱はコロナワクチンと治療薬で占められている。一方の米・メルク社も2022年度売上高が前年比22%増収の592億8,300万ドル。前年からの増収分の44%は、新型コロナ治療薬のモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)の売上伸長が占める。この両者のコロナ関連特需が今後急速にしぼんでいくことは確実である。実際、ファイザー社はすでに2023年通期で、コロナ関連売上高が約60%減少するとの予想を発表している。またメルク社のモルヌピラビルはニルマトレルビル/リトナビルに比べ、効果が劣ることが各種の研究で明らかにされつつあるため、治療選択肢としてのプライオリティは、今後、一層低下していくことは避けられない。さらに両社に共通するのがコロナ関連以外の主力品の特許権失効である。ファイザー社の場合、コロナ関連を除いた売上筆頭製品が抗凝固薬のアピキサバン(商品名:エリキュース)の約65億ドル(約8,700億円)。その特許権は2025~26年にかけて失効すると言われており、もう目前に迫っている。経口薬の場合、アメリカなどではジェネリック医薬品登場から半年程度で先発品市場の約7割がジェネリック医薬品に置き換わるのが一般的だ。ファイザー社にとって事態は深刻である。前述のシージェン社は現在ADC技術を利用したがん治療薬で年間20億ドル程度の売上があるため、これをファイザー社の巨大販路で売上を伸長させ、ファイザー社側としてはアピキサバンの特許権の失効に伴う急速な売上減の穴埋めにしようという腹積もりなのだろう。一方、メルク社の売上高の筆頭は、ご存じの免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の209億ドル(約2兆8,000億円)。実に現在のメルク社の総売上高の約3分の1を占める。そのペムブロリズマブのアメリカでの特許権失効見込みは2028年である。私が今回やや驚いたのはこのメルク社の買収決断である。まず、特許権の失効まではまだ5年はある。かつ、注射剤のペムブロリズマブは抗体医薬品であり、いわゆるバイオ医薬品のジェネリックは「バイオシミラー」と称されるが、経口の低分子薬に比べ、開発難易度も高い。確かにペムブロリズマブの特許権失効後は同薬のバイオシミラーが登場すると思われるが、現状はアメリカですらバイオシミラーの普及が進まず、先発品市場の20%程度しか市場を奪えていない。にもかかわらず、日本円にして1兆円を超える金額を使い、まだ市場投入製品がないプロメテウス社を買収するのは何ともすごい決断と言わざるを得ない。ただ、よくよく考えれば、この決断は一つひとつが頷けてしまう。まず、アメリカでは近年、バイオシミラーの浸透をより容易にする規制変更の動きがある。オール・オア・ナッシング的に急激な政策決定が進みやすいアメリカの特性を考えれば、今後、バイオシミラーが急速に浸透する可能性はある。また、もしペムブロリズマブの特許権失効時にバイオシミラーの市場侵食が現状の20%程度だったとしても、もともとの売上高が巨大過ぎるため、日本円換算で4,000億円ほどの売上喪失となり、メルク社はかなり打撃をこうむることになるのは確かである。その意味で、この段階から手を打つというのも方策としてはあり得る。とりわけ近年の新薬開発の所要期間、開発費、開発難易度が年々増していることを考えればなおさらだ。そしてプロメテウス社が現在開発中の新薬候補は、潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患(IBD)に対する抗体医薬品。この領域は近年、市場拡大中である。この新薬候補の開発段階は現在第II相試験。今後順調に開発が進めば、3~5年後の2026~28年に上市となるはず。そうすると、ペムブロリズマブの特許権失効への備えとしては時期的にも間に合うだろう。さらにIBDのような自己免疫性疾患の抗体医薬品は、ほかの自己免疫性疾患への適応拡大が容易なことは、アダリムマブ(商品名:ヒュミラ)などの例を見れば明らか。つまりプロメテウス社は今後、全世界で数千億~1兆円規模の売上高を生み出す可能性を秘めているというわけだ。たしかに不確定要素はあるものの、現状からロジカルにさまざまな想定をすると1兆円の買収は十分割に合う可能性がある。すでに四半世紀近く製薬業界を眺めている自分も、一瞬、発表内容をぎょっとして受け止めたが、中身を考えるほど久々にうならされる買収発表だった。ただ、このニュースに接して、あえて残念と思うことがあるとするならば、それは日本の製薬企業の多くが、このような大胆かつ機動的な戦略が取れないことである。

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5月8日から何が変わる? コロナ5類化に向けた医療機関の対策まとめ

2023年5月8日から、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に位置付けられる。医療機関や医師は、どう対応すればいいのか。ケアネットでは「COVID-19 5類移行でどう変わる?」と題したCareNeTVライブを3月22日に配信した1)。講師の黒田 浩一氏(神戸市立医療センター中央市民病院 感染症科 副医長)が、制度の変更点、院内感染対策の工夫、早期診断・早期治療の重要性、発症早期の治療における薬剤の選択などについて解説した。臨床面における対応策を中心に、ポイントをまとめて紹介する(フル動画はこちらから[60分・CareNeTVプレミアムの登録要])。5月8日以降、医療体制における主な変更点1)医療提供体制【全体】入院措置を原則とした行政の関与を前提とする限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の対応へ。ほかの疾病同様に、入院可否を医療期間が判断し、医療機関同士での調整を基本とする。COVID-19診療に対応する医療機関の維持・拡大を強力に促す。「地域包括ケア病棟」も含めた幅広い医療機関での受け入れを促進する。病床稼働状況を地域の医療機関で共有するためのIT(例:新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム:G-MIS)の活用を推進する。マスク着用は個人の判断に委ねられるが、医療機関・介護施設は「マスクの着用が効果的である場面」とされ、医療者は引き続きマスク着用が推奨される。事業者(病院・高齢者施設)が利用者にマスクの着用を求めることは許容される(新型コロナウイルス感染症対策本部方針より)。【個別事項】【外来】COVID-19(疑いを含む)を理由とした診療拒否は「正当な事由」に該当せず、応召義務違反となる(診療体制が整っていない場合は、他機関を紹介する必要がある)。【外来】現在約4.2万のCOVID-19対応医療機関を最大6.4万(インフルエンザ対応と同数)まで増やすことを目標とする。【入院】行政による入院措置・勧告がなくなる。【入院】全病院でのCOVID-19対応を目指しつつ、病院機能ごとの役割分担や、高齢者を中心とした地域包括ケア病棟での受け入れを推進する。2)診療報酬・病床確保料【外来】発熱外来標榜:250点→終了、COVID-19患者診療:950点→147点【在宅】緊急往診2,850点→950点など減額【入院】中等症~重症患者の入院:従前の半額、病床確保料:従前の半額など減額(2023年9月まで。10月以降の措置は今後検討される)3)患者に対する公費支援【外来医療費】2023年9月まで抗ウイルス薬は公費負担継続(10月以降の措置は今後検討される)【入院医療費】高額療養費制度の自己負担限度額から2万円を減額検査費用の公費支援は終了相談窓口は継続、宿泊療養施設は終了医療機関が準備すべきこと1)院内感染対策の継続とレベル向上【基本】職員のワクチン接種(3回以上かつオミクロン対応2価ワクチン1回以上。医療従事者は2023年5~8月と9月以降に2価ワクチン接種が可能となる)施設内でのユニバーサルマスキング(症状にかかわらず全員がマスク着用)と適切な換気目の防護のルーティン化、手指衛生の徹底体調不良時にすぐに休める文化・制度の醸成スタッフの旅行・会食制限は不要。但し、職員の感染者・濃厚接触者増加のため病院機能を維持できなくなる可能性がある場合は期間を決めて検討体液・排泄物を浴びる可能性が低い場合(問診/診察/検温、環境整備、患者搬送)はガウン・手袋は不要【流行期に検討される追加の対策】ルーティンでN95マスクを使用大部屋にHEPAフィルターを設置2)診療体制の構築行政による入院調整がなくなるため、これまで以上に地域の病病連携・病診連携が重要となる。大規模な流行が起こった場合に、入院患者の受け入れ先が見つからない可能性があるため、早期診断・早期治療を可能とする外来診療体制の構築(重症化予防)、夜間も含めた施設連携医・往診医による診療の充実、行政機関による病床利用率共有システムの構築と入院・紹介ルールの明確化(円滑な医療機関の連携)、COVID-19入院対応可能な病院を増やすことが重要である。現在、保健所が行う療養中の患者の健康観察と受診調整も診断した医療機関が対応することになるため、医療機関の業務は増加する見込み。【外来】診察スペースの確保検査能力の確保(抗原/PCRの使い分けも医療機関ごとに検討)治療ガイドラインの作成電話/オンライン診療によるフォローアップの検討【入院】COVID-19対応可能な病床の適切な運用職員・COVID-19以外の理由で入院した患者がCOVID-19に感染していたとしても、院内感染伝播が起こりにくい感染対策の実施院内感染事例への対応(早期診断、早期隔離、早期治療の徹底)COVID-19治療薬の最新情報医療ひっ迫の原因となる救急搬送・入院症例・高次医療機関への搬送を減らすためには、ワクチン接種と並び、軽症・中等症Iの患者に対する早期診断・早期治療が非常に重要となる。患者の年齢、ワクチン接種回数、重症化リスク因子、免疫不全の有無などから薬物治療の必要性を判断し、ガイドライン、および現在の科学的証拠に基づいて、適切な抗ウイルス治療を選択する。現在軽症~中等症Iの患者で重症化リスクがある場合に適応となる、承認済の抗ウイルス薬は以下のとおり。なお、2023年4月時点では、軽症・中等症Iの患者に対する中和抗体薬・抗炎症薬の使用は推奨されていない。・ニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビット、内服)発症5日以内、成人または12歳以上かつ40kg以上。重症化予防効果は非常に高い。呼吸不全、腎障害等の場合は使用できず、併用注意薬も多いものの、実際に使用できないケースは限られる。・レムデシビル(商品名:ベクルリー、点滴)発症7日以内、成人または12歳以上かつ40kg以上。ワクチン未接種者に対する重症化予防効果は非常に高いことが示されているが、ワクチン接種者への効果はほとんど検討されていない。3日間の点滴投与となり、入院が必要。・モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ、内服)発症5日以内、18歳以上。重症化予防効果は上記2剤に劣るため、上記2剤が利用できない場合に使用する。・エンシトレルビル(商品名:ゾコーバ、内服)発症3日以内、成人または12歳以上。妊婦または妊娠の可能性のある女性は禁忌。現時点ではワクチン接種者への重症化予防効果の有無やほかの薬剤との使い分けははっきりしていない。参考1)COVID-19 5類移行でどう変わる?/CareNeTV(※視聴はCareNeTVプレミアムへの登録が必要)(配信:2023年3月22日、再構成:ケアネット 杉崎 真名)

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不眠症患者はどんな治療を望んでいるのか

 認知行動療法(CBT)を求める不眠症患者の睡眠薬使用に対する考えや、使用を減らしたいと願う予測因子について、米国・スタンフォード大学のIsabelle A. Tully氏らが調査を行った。その結果、CBTを望んでいる睡眠薬使用中の不眠症患者において、睡眠薬の必要性を強く示し、服用についての懸念が比較的少ないにもかかわらず、4分の3の患者が睡眠薬を減らしたいと望んでいることが示された。Journal of Clinical Sleep Medicine誌オンライン版2023年3月8日号の報告。 対象は「一般診療における段階的な睡眠療法の有効性に関するランダム化比較試験(RCT of the effectiveness of stepped-care sleep therapy in general practice:RESTING研究)」に登録された、50歳以上の不眠症患者245例。睡眠薬の使用患者と未使用患者の特性を比較するためt検定を実施した。睡眠薬の必要性および睡眠療法への懸念に関する考えの予測因子は、線形回帰を用いて評価した。睡眠薬への依存、薬物療法に対する考え、人口統計学的特徴を含め、睡眠薬を減らしたいと願う予測因子を患者間で調査した。 主な結果は以下のとおり。・睡眠薬を使用する患者は未使用の患者よりも、睡眠薬の必要性をより強く感じており、潜在的な害についての懸念が少なかった(p<0.01)。・睡眠に関連する認知のより強い機能不全は、睡眠薬を必要とする大きな信念や睡眠薬使用への懸念を予測した(p<0.01)。・睡眠薬を減らすことを望んでいる患者は、そうでない患者より、睡眠薬の依存度が高いことが報告されていた(p<0.001)。・自己報告による依存の重症度は、使用を減らしたいと望む最も強力な予測因子であった(p=0.002)。・CBTを望む睡眠薬使用中の不眠症患者は、睡眠薬の必要性を強く示し、服用についての懸念が比較的少ないにもかかわらず、その4分の3は睡眠薬を減らすことを望んでいた。・今後のRESTING研究では、セラピスト主導によるデジタルCBTが、不眠症患者の睡眠薬減少にどの程度貢献するか報告する予定である。

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日本人ALK陽性肺がんにおけるロルラチニブの3年追跡の結果(CROWN)/日本臨床腫瘍学会

 第III相CROWN試験の3年間の追跡において、ロルラチニブは日本人ALK陽性非小細胞肺がんに対しても、全体集団と同様の良好な結果を示した。第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で、和歌山県立医科大学の寺岡 俊輔氏が発表した。・対象:StageIIIB/IVの未治療のALK陽性肺がん(無症状のCNS転移は許容)・試験群:ロルラチニブ(100mg/日)・対照群:クリゾチニブ(250mg×2/日)・評価項目:[主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]治験実施医によるPFS、BICR評価の奏効率(OR)、BICR評価の脳内奏効率(IC-OR)、BICR評価の奏効期間(DoR)、BICR評価の脳内奏効期間(IC-DR)、全生存期間(OS)、安全性 主な結果は以下のとおり。・日本人患者は48例。ロルラチニブ群25例、クリゾチニブ群23例が総合解析の対象となった。・解析時に、ロルラチニブ群の56%、クリゾチニブ群の4.5%が治療を継続していた。・ロルラチニブ群45.9ヵ月、クリゾチニブ群38.9ヵ月の追跡期間における、BICR評価のPFSは、ロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群は11.1ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.36、95%信頼区間[CI]:0.16~0.83)。・治験担当医評価のPFSは、ロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群は9.1ヵ月であった。・ORはロルラチニブ群72.0%、クリゾチニブ群52.2%であった(HR:0.25、95%CI:0.11~0.57)。・頭蓋内の進行までの期間(IC-TTP)は、ロルラチニブ群未到達、クリゾチニブ群は16.6ヵ月であった。・ロルラチニブ群の全例、クリゾチニブ群の24%は、36ヵ月頭蓋内進行がなかった。・Grade3/4のAE発現はロルラチニブ群84%、クリゾチニブ群72.7%であった。 第III相CROWN試験約3年の追跡、日本人サブセットにおいてロルラチニブは頭蓋内含め全体と同様の成績を示した。この結果は、脳転移の有無を問わず、未治療のALK陽性NSCLCにおけるロルラチニブの使用を支持するものだと寺岡氏は結んだ。

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世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「マンジャロ」発売/リリー・田辺三菱

 日本イーライリリーと田辺三菱製薬は、4月18日付のプレスリリースで、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「マンジャロ皮下注2.5mgアテオス」「同皮下注5mgアテオス」(一般名:チルゼパチド、以下「マンジャロ」)の販売を同日より開始したことを発表した。 マンジャロは、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の2つの受容体に作用する世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬である。天然GIPペプチド配列をベースとした単一分子の構造だが、GLP-1受容体にも結合するように改変されており、選択的に長時間作用し血糖値を改善させる。本剤は、1回使い切りのオートインジェクター型注入器(「アテオス」)によって、週1回皮下注射する薬剤である。あらかじめ注射針が取り付けられた専用ペン型注入器により、注入ボタンを押すことで自動的に注射針が皮下に刺さり、1回量が充填されている薬液が注入されるため、患者が用量を設定したり、注射針を扱ったりする必要がない。 また、本剤は通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgの開始用量から開始し、4週間投与した後、週1回5mgの維持用量に増量する。患者の状態に応じて適宜増減が可能な薬剤であり、5mgで効果不十分な場合は、4週間以上の間隔を空けて2.5mgずつ増量ができ、最大で週1回15mgまで使用が可能である。6つの用量規格のうち、開始用量(2.5mg)と維持用量(5mg)の2規格が先行して4月18日より発売され、高用量の4規格(7.5mg、10mg、12.5mg、15mg)は、6月12日に発売予定である。 日本イーライリリーの糖尿病・成長ホルモン事業本部長メアリー・トーマス氏は、「このたびのマンジャロの発売を大変うれしく思います。2型糖尿病と共に歩む多くの方々へ、新しいクラスの治療選択肢としてマンジャロをお届けできるように適正な情報提供に努めてまいります」と述べている。 また、田辺三菱製薬の営業本部長である吉永 克則氏は、「当社は、『病と向き合うすべての人に、希望ある選択肢を。』をMISSIONとして掲げております。新発売を迎えたマンジャロが2型糖尿病と共に歩む人々にとって希望ある選択肢となるよう、情報提供活動を通じてマンジャロの適正使用を推進してまいります」としている。 なお、本剤は、イーライリリー・アンド・カンパニーが米国において2022年5月13日、世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬として承認を取得し、同年6月7日より「Mounjaro」の製品名で販売を開始している。日本では、同年9月26日に承認を取得した。マンジャロの製造販売承認は日本イーライリリーが有し、販売・流通は田辺三菱製薬が行う。医療従事者への情報提供活動は日本イーライリリーと田辺三菱製薬が共同で実施する。

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重症コロナ患者、ACEI/ARBで生存率低下か/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症成人患者において、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の投与は臨床アウトカムを改善せず、むしろ悪化させる可能性が高いことを、カナダ・University Health NetworkのPatrick R. Lawler氏ら「Randomized, Embedded, Multifactorial, Adaptive Platform Trial for Community-Acquired Pneumonia trial:REMAP-CAP試験」の研究グループが報告した。レニン-アンジオテンシン系(RAS)の中心的な調節因子であるACE2は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の受容体であることから、RASの過剰活性化がCOVID-19患者の臨床アウトカム不良につながると考えられていた。JAMA誌2023年4月11日号掲載の報告。RAS阻害薬または非RAS阻害薬による治療で21日間の無臓器補助日数を評価 REMAP-CAP試験は、現在も進行中の、重症市中肺炎およびCOVID-19を含む新興・再興感染症に対する複数の治療を評価する国際多施設共同無作為化アダプティブプラットフォーム試験で、今回はその治療ドメインの1つである。 研究グループは、2021年3月16日~2022年2月25日の期間に、7ヵ国69施設において18歳以上のCOVID-19入院患者を登録し、重症群と非重症群に層別化するとともに、参加施設をACEI群、ARB群、ARB+DMX-200(ケモカイン受容体2型阻害薬)群、非RAS阻害薬(対照)群に無作為に割り付け、治療を行った。治療は最大10日間または退院までのいずれか早いほうまでとした。 主要評価項目は、21日時点における無臓器補助日数(呼吸器系および循環器系の臓器補助を要しなかった生存日数)で、院内死亡は「-1」、臓器補助なしでの21日間の生存は「22」とした。 主解析では、累積ロジスティックモデルのベイズ解析を用い、オッズ比が1を超える場合に改善と判定した。無臓器補助日数はACEI群10日、ARB群8日、対照群12日 2022年2月25日で、予定された564例の安全性データの評価に基づき、対照群と比較しACEI群およびARB群で死亡および急性腎障害が高頻度であることが懸念されたため、データ安全性モニタリング委員会の勧告により重症患者の登録が中止された。非重症患者の登録も同時に一時中断され、その後、2022年6月8日に試験は中止となった。最終追跡調査日は2022年6月1日であった。 全体で779例が登録され、ACEI群に257例、ARB群に248例、ARB+DMX-200群に10例、対照群に264例が割り付けられた。このうち、同意撤回やアウトカム不明、ならびにARB+DMX-200群を除く各群の重症患者計679例(平均年齢56歳、女性35.2%)が解析対象となった。 重症患者における無臓器補助日数の中央値(IQR)は、ACEI群(231例)で10日(-1~16)、ARB群(217例)で8日(-1~17)、対照群(231例)で12日(0~17)であった。 対照群に対する改善の調整オッズ比中央値は、ACEI群0.77(95%信用区間[CrI]:0.58~1.06)、ARB群0.76(0.56~1.05)であり、治療により無臓器補助日数が対照群より悪化する事後確率はそれぞれ94.9%および95.4%であった。 入院生存率は、ACEI群71.9%(166/231例)、ARB群70.0%(152/217例)、対照群78.8%(182/231)であり、対照群と比較して入院生存率が悪化する事後確率は、ACEI群95.3%、ARB群98.1%であった。

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