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統合失調症発症と昼寝の頻度との関係

 統合失調症と昼寝の頻度との関連について、中国・温州医科大学のJun Ma氏らが調査を行った。その結果、昼寝の頻度の増加と統合失調症発症との間に双方向の関連が認められ、統合失調症の進行や治療に対する潜在的な介入として昼寝の頻度をコントロールする意義が示唆された。BMC Psychiatry誌2022年12月13日号の報告。統合失調症発症と昼寝の頻度の増加との間に双方向の関連が認められた 昼寝の頻度と統合失調症に関連する上位の遺伝的バリアントのゲノムワイド関連解析(GWAS)によって得られる要約統計量(summary statistics)を用いて、双方向2サンプルメンデルランダム化解析を実施した。昼寝に関するGWASの一塩基多型(SNP)のデータは、英国バイオバンク(45万2,633例)および23andMeコホート研究(54万1,333例)より抽出し、統合失調症に関連するGWASは、Psychiatric Genomics Consortium(PGC:3万6,989件、症例:11万3,075例)より抽出した。逆分散加重(IVW)分析を主要な方法として用い、加重中央値、MR-Robust、Adjusted Profile Score(RAPS)、Radial MR、MR-Pleiotropy Residual Sum Outlier(PRESSO)を感度分析として用いた。 統合失調症と昼寝の頻度との関連について調査した主な結果は以下のとおり。・MR分析では、昼寝の頻度の増加と統合失調症発症との間に双方向の関連が認められた。昼寝の頻度(まったくない、時々、日常的)が1単位増加した際の統合失調症発症のオッズ比(OR)は3.38(95%信頼区間[CI]:2.02~5.65、p=3.58×10-6)であり、昼寝の頻度における統合失調症発症のβ値は0.0112(95%CI:0.0060~0.0163、p=2.04×10-5)であった。・感度分析においても、同様の結果が得られた。

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心血管疾患リスク予測式は、がん生存者に有用か/Lancet

 がん患者は心血管疾患のリスクが高いという。ニュージーランド・オークランド大学のEssa Tawfiq氏らは、がん生存者を対象に、同国で開発された心血管疾患リスク予測式の性能の評価を行った。その結果、この予測式は、リスクの予測が臨床的に適切と考えられるがん生存者において、5年心血管疾患リスクを高い精度で予測した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年1月23日号で報告された。ニュージーランドの妥当性検証研究 研究グループは、がん生存者における心血管疾患リスクの予測式の性能を、プライマリケアで評価する目的で、妥当性の検証研究を行った(オークランド医学研究財団などの助成を受けた)。 「ニュージーランド心血管疾患リスク予測式」の開発に使用されたPREDICTコホート研究の参加者のうち、年齢が30~74歳で、心血管疾患リスクの初回評価日の2年以上前に浸潤がんの初回診断を受けた患者が解析に含まれた。 リスク予測式は、性別で分けられ、予測因子として年齢、民族、社会経済的剥奪指標、心血管疾患の家族歴、喫煙状況、心房細動と糖尿病の既往、収縮期血圧、総コレステロール/HDLコレステロール比、予防的薬物療法(降圧薬、脂質低下薬、抗血栓薬)が含まれた。 較正(calibration)では、男女別に、リスク予測式で推定された5年心血管疾患リスクの平均予測値と実測値とを十分位群別に比較し、さらにニュージーランドのガイドラインの3つの臨床的5年心血管疾患リスクグループ(<5%、5~15%未満、≧15%)に分けて比較することで評価した。判別(discrimination)は、HarrellのC統計量で評価した。がん生存者で妥当な臨床的手段 1万4,263例(男性6,133例[43.0%]、女性8,130例[57.0%])が解析に含まれた。リスク評価時の平均年齢は男性が61(SD 9)歳、女性は60(SD 8)歳で、追跡期間中央値はそれぞれ5.8年、5.7年だった。 追跡期間中に、男性は658例(10.7%)、女性は480例(5.9%)で心血管疾患イベントが発生し、それぞれ110例(1.8%)、90例(1.1%)が致死的な心血管疾患イベントであった。また、心血管疾患の粗発生率は、年間1,000人当たり男性が18.1例、女性は10.2例だった。 リスク予測値の十分位群(高いほど高リスク)における実測値との差は、男性ではほとんどが2%以内であったが、2つの群(第4十分位群:-2.49%、第9十分位群:-2.41%)では約2.5%の過小評価が認められた。同様に、女性では、リスクの予測値と実測値の差は多くが1%以内であったが、1つの群(第10十分位群:-3.19%)では約3.2%過小評価されていた。 臨床的なリスクグループで分類した解析では、心血管疾患リスクの実測値と比較して予測値は、低リスク群では男女とも2%以内で過小に予測していた(<5%群[男性:-1.11%、女性:-0.17%]、5~15%未満群[-1.15%、-1.62%])。これに対し、高リスク群(≧15%)の男性では2.2%(実測値17.22%、予測値19.42%)、女性では約3.3%(16.28%、19.60%)過大に予測していた。HarrellのC統計量は、男性が0.67(SE 0.01)、女性は0.73(0.01)だった。 著者は、「予測式にがん特異的な変量を追加したり、競合リスクを考慮したりすることで、予測値は改善する可能性がある。今回の結果は、この予測式がニュージーランドのがん生存者において妥当な臨床的手段であることを示唆する」としている。

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第133回 医療計画に「新興感染症」の追加を検討/厚労省

<先週の動き>1.医療計画に「新興感染症」の追加を検討/厚労省2.「5類」見直しで大規模接種会場の縮小・閉鎖へ/政府3.新型コロナウイルス感染拡大、介護施設の経営を直撃/厚労省4.介護施設は面会制限の緩和、「対面での面会」の再開を/厚労省5.外国人患者の受け入れマニュアルを更新/厚労省6.宿日直許可、去年は1,369件と急増/厚労省1.医療計画に「新興感染症」の追加を検討/厚労省厚生労働省は2月2日に「第8次医療計画に関する検討会」を開催し、従来は5事業の医療計画に「新興感染症対応」を6事業目に加えることを検討した。今回の議論にあたって、新興感染症発生・まん延時における医療提供体制確保に関する数値目標の設定にあたっては、新型コロナウイルス感染症対応の実績を参考として、感染症の流行初期の入院対応医療機関を500施設、外来対応医療機関を1,500施設程度整備する方針を示した。厚生労働省は令和6年4月に施行される改正感染症法および医療法のため、令和5年度中に各都道府県で予防計画および医療計画を策定する必要があるため、できる限り早く議論のまとめを行う方針。(参考)6事業目(新興感染症対応)について(厚労省)次なる新興感染症に対応するため、流行初期の入院対応医療機関500施設、外来対応医療機関を1,500施設程度整備-第8次医療計画検討会(Gem Med)2.「5類」見直しで大規模接種会場の縮小・閉鎖へ/政府政府の新型コロナウイルスの「5類」への引き下げを受けて、防衛省は大規模接種会場の縮小・閉鎖の検討を開始した。今月中旬にも方向性を決め、3月から順次縮小、閉鎖を検討するとみられる。また、大阪府も1月31日に新型コロナウイルス対策本部会議を開き、ワクチンの大規模接種会場「心斎橋接種センター」を3月末に廃止する方針を決めた。合わせて重症者向けの臨時施設も閉鎖する方針。(参考)ワクチン大規模接種会場の縮小・閉鎖を検討 防衛省、来月にも(朝日新聞)大阪府、大規模接種会場を閉鎖へ コロナ重症センターも(日経新聞)3.新型コロナウイルス感染拡大、介護施設の経営を直撃/厚労省厚生労働省は、1日、介護施設・事業所の経営状況を把握する調査(介護事業経営概況調査)の最新の結果を公表した。コロナ禍や人件費増が影響を受けて、通所系サービスの収支の悪化が目立つ内容となっている。利益率をみると、通常規模以上の通所介護は昨年度の利益率1.0%と、前年度に比べてマイナス2.8ポイント低下していた、これは新型コロナウイルスの感染拡大で利用者の利用控えによるものと考えられる。また、人手不足を背景に人件費高騰や感染対策の費用も影響を受け、介護報酬引き上げがあったものの、経費増がそれを上回った形となった。(参考)第36回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会(厚労省)通所介護の収支が悪化 コロナ禍や人件費増が影響 利益率が低下=厚労省調査(ケアマネドットコム)2021年度介護報酬の後、人件費増により介護事業所・施設の経営状況は悪化傾向―介護事業経営調査委員会(Gem Med)赤字の老健が3分の1に、21年度 赤字割合、2年間で12ポイント増(CB news)4.介護施設は面会制限の緩和、「対面での面会」の再開を/厚労省厚生労働省は、新型コロナウイルス感染拡大で、家族との面会制限を行っている高齢者施設に対して、面会の機会の減少により心身の健康への影響が懸念されるとして、高齢者施設などでの面会の再開・推進を図るために職員向けに、面会を積極的に実施する施設の事例や実施方法などを情報発信する動画およびリーフレットを作成した。厚生労働省は、実際に面会を行っている施設での工夫や取組事例、面会を行う際に気を付けたいポイントをまとめ、活用して、対面での面会の再開を求めている。(参考)高齢者施設入所者の心身の健康を確保するため、十分な感染対策の下「対面での面会」の再開・推進を-厚労省(Gem Med)高齢者施設等における面会の再開・推進にかかる高齢者施設等の職員向け動画及びリーフレットについて(厚労省)高齢者施設における面会の実施に関する取組について(同)5.外国人患者の受け入れマニュアルを更新/厚労省厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染の拡大が沈静化するとともに、訪日外国人旅行者が今後、増えるとして「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル」を更新して公表した。マニュアルの改定には「厚生労働省訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会」の議論を踏まえ、医療機関における外国人患者の受け入れの環境整備に役立てるよう取りまとめられた。自見はなこ参議院議員によれば「訪日外国人観光客の約4%が日本滞在中に医療機関を受診するが、全体の約3割が民間医療保険非加入であり、外国人患者を受け入れた病院の約2割が未払いを経験という厚労省の調査結果もある」と言う。現在では、健康保険法の改正が行われ、訪日外国人の未払いの医療費がある場合に再入国させないようにする措置や、在留している外国人労働者が健康保険料の未払いがあった場合は在留資格の更新は許可しないようになっている。東京都は厚生労働省委託事業で「訪日外国人受診者医療費未払情報の報告に関する説明会」を2月17日に全国の保険医療機関を対象にオンラインで開催し、訪日外国人受診者による医療費不払い防止のための、「不払い情報報告システム」について情報提供を行う予定。(参考)「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル」(厚労省)外国人への適切な医療提供と保険制度維持へ 打った手と残った課題―自見はなこ氏が講演(Medical Note)「訪日外国人受診者医療費未払情報の報告に関する説明会(第6回)」について(東京都)自見はなこ参議院議員ツイッターアカウント6.宿日直許可、去年は1,369件と急増/厚労省厚生労働省によると、2022年の医師の宿日直許可が1,369件と増加していることが明らかになった。2024年4月から勤務医の時間外労働の上限が原則、年960時間となるため、救急医療を担う急性期病院だけではなく、外部から当直医の派遣を受けている医療機関も派遣元となる大学病院での労働時間と合わせて上限規制の対象となるため、受け入れている医療機関は対応を迫られている形だ。厚生労働省は、宿日直許可申請をサポートするため、各都道府県に医療勤務環境改善支援センターを設置しており、早期の申請を働きかけている。(参考)医療機関における宿日直許可 ~申請の前に~(厚労省)医師の宿日直許可取得、昨年は1,369件へ大幅増 厚労省(MEDIFAX)「医師の働き方改革」で手術や救急に支障が及ぶ訳(東洋経済オンライン)

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治療抵抗性高血圧に対するアルドステロン合成阻害薬baxdrostatの効果(解説:石川讓治氏)

 治療抵抗性高血圧は、サイアザイド系利尿薬を含む3剤以上の降圧薬を用いても降圧目標に達しない高血圧と定義され、4番目の降圧薬としてアルドステロン受容体阻害薬が使用されることが多い。アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシンII受容体阻害薬の投与下ではRAS系のbreakthroughが起こることがあり、治療抵抗性高血圧に対してアルドステロン受容体を阻害することが有用であると考えられてきた。アルドステロンは高血圧性臓器障害や線維化の重要な機序の1つであると考えられている。アルドステロンの合成酵素は、コルチゾールの合成酵素と類似を示しており、アルドステロン合成酵素阻害薬がコルチゾールの代謝に与える影響が懸念されてきた。 baxdrostatはアルドステロンの合成を選択的に阻害するとされており、本研究はその降圧度と安全性を評価するために行われた。その結果、12週間の投与期間中に、2mg群、1mg群、0.5mg群、プラセボ群でそれぞれ、-20.3mmHg、-17.5mmHg、-12.1mmHg、-9.4mmHg低下し、実際の低下度(プラセボ群との差)は、2mg群で-11.0mmHg、1mg群で-8.1mmHgと用量依存性の低下を認めたことが報告された。baxdrostatは、スピロノラクトンで問題となる女性化乳房も少ないと報告されている。本研究の範囲では、副腎不全やカリウム上昇も問題になるほどではなかったと報告されている。 治療抵抗性高血圧の原因となる肥満やナトリウム体液貯留、睡眠時無呼吸症候群などの背景は、アルドステロンだけではなく、コルチゾールの増加も影響している可能性があり、選択的にアルドステロンだけを合成阻害したほうがいいのか、コルチゾールも一緒に合成阻害したほうがいいのかといった問題が今後議論になるのではないかと考えられた。将来的には、アルドステロンの合成阻害薬(baxdrostat)と受容体阻害薬の比較試験が必要になってくるであろう。

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Fachsprachpruefung(専門用語試験)の傾向と対策【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第22回

前回の記事で紹介しました通り、今回は「“Fachsprachpruefung”とは何か」についてお話します。この試験は基本的には、各州の医師会が実施していて、細かい部分は各州によって多少の違いはありますが、根幹となるスタイルは決まっています。そもそもFachsprachpruefungというのは「Fachsprach→専門用語」、「Pruefung→試験」からなる単語で、(医学の)専門用語試験を意味します。専門用語と言っても筆記試験ではなく、いわゆるOSCE形式の面接試験となります。まず患者(医師会に依頼されたドクターであったり、役者だったりします)を相手に問診を取ります。内容をカルテにまとめ、最後はまとめた内容を上級医(“Oberarzt”と言います)にプレゼンし、プレゼンの途中であれこれ質問されるのに答えていく、という流れになります。それぞれのタームが20分ずつで、計1時間程度の試験となります。このときに大事なことは、患者に対しては専門用語を使わずに問診をとり、カルテへの記載と上級医へのプレゼンは専門用語を使いながらのやり取りをしていくというものです。意外と単語は覚えやすい「専門用語と一般用語の違いとは何ぞ?」となりますが、たとえば肺炎は専門用語だと“Pneumonie”、しかし、一般用語では“Lungenentzuendung”となります。「あれ、“Pneumonie”って英語の“Pneumonia”とそっくりだな?」と思われるかも知れません。これはいずれもラテン語の“pneumoniae”が語源となっているので、似ているのは当然なのです。このようにドイツ語の医学専門用語は、基本的にラテン語がベースになっているので、英語に近い単語がほとんどです。英語がそんなに得意でなくとも、「何となく聞いたことがある」単語が多いので、割と覚えやすいと思います。一般用語のLungenentzuendungは“Lunge”→肺、“Entzuendung”→炎症で、肺の炎症、肺炎となる訳です。とはいっても、実際は一般の患者さんもPneumonieくらいは普通に通じます。何ならテレビのニュースでも、普通にPneumonieって単語を使っています。しかし、試験では、かたくなにわからないフリをしてきます。「Pneu…何だそれは? わかる言葉を使ってくれ!」なんて茶番をみせつけられます。しっかりと使い分けができているかどうかをチェックされているワケです。※これはFachsprachpruefungの有名な教科書です。左が専門用語、真ん中が一般用語、右は英語(と筆者の日本語メモ)となっております。傾向と対策はwebの中にカルテへの記載は紹介状形式だったり、入院時カルテの記載だったりしますが、20分の限られた時間だと事前に対策を立てておかないと間に合いません。とは言っても、日本人ドクターは大体このカルテ記載はかなりの高得点を取る傾向にあるようです。コツコツやれば、必ずできるようになる分野です。上級医へのプレゼンでは、プレゼンの途中であれこれ質問されますので、それに答えなくてはいけません。しかし、Fachsprachpruefungはあくまで語学の試験ですので、わからないことはわからないと答えて構いません。ちゃんと「それは何のことだ」とわからないことを告げて、ディスカッションできれば問題ないのです。とは言え、わからないことを伝えてスマートにドイツ語のディスカッションができるくらいなら最初から問題ないわけで…できるなら一発で答えて、さっさとプレゼンへ戻る方がおそらく近道だと思います。試験で「どういう疾患が選ばれるか?」はネットで調べているとかなりの情報が落ちています。リアルタイムで書き込みされている情報は非常に役に立ちます。よく取り上げられるのは何の疾患で、どんな質問を聞かれているのか。事前にある程度情報があれば多少何言ってるかわからなくても、推測できるようになります。ちなみにFachsprachpruefungは“FSP”と省略されます。情報検索の際のご参考にどうぞ。

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生活習慣の改善(4)食事療法1【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q52

生活習慣の改善(4)食事療法1Q521日の総エネルギー摂取量の制限は動脈硬化性疾患予防の直接的なエビデンスはない。しかし、過体重、肥満者の発症リスクは高い。そこで、総エネルギー摂取量の制限は以前から推奨されている。その総エネルギー摂取量の目安となる計算式は?

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タモキシフェンが乳がん診断後の体重増加に関連していた

 乳がん診断後には体重が増加することが多い。体重増加の予測因子を同定するため、オーストラリア・Western Sydney UniversityのCarolyn Ee氏らは、オーストラリア人女性における乳がん診断後の体重増加に関連する因子を調査した。その結果、タモキシフェン投与、身体活動の減少、テレビ視聴時やコンピューター使用時の食事の自己効力感の低下が、臨床的に有意な体重増加に関連することがわかった。Breast誌オンライン版2023年1月25日号に掲載。タモキシフェン投与患者には体重増加抑制のための介入が必要 本研究では、2017年11月~2018年1月にオーストラリア在住の乳がんまたは非浸潤性乳管がん(DCIS)と診断された女性を対象に横断的オンライン調査した。絶対的な体重増加および臨床的に有意な(5%以上)体重増加の予測因子を、それぞれステップワイズ線形回帰モデルおよびロジスティック回帰モデルを用いて評価した。 乳がん診断後の体重増加に関連する因子を調査した主な結果は以下のとおり。・276例のデータを分析した。ほとんどが白人で、92%がStage0~IIIだった。・絶対的体重増加は、ホットフラッシュ、診断時に更年期への移行期であること、診断時よりも身体活動が少ないこと、テレビ視聴時やコンピューター使用時の食事の自己効力感(self-efficacy)が低いこと、不安や緊張時の自己効力感が高いことと関連していた(F比=3.26、調整R2=0.16、p<0.001)。・臨床的に有意な体重増加は、タモキシフェン投与(オッズ比[OR]:2.7)、診断時よりも身体活動が少ないこと(OR:3.1)、テレビ視聴時やコンピューター使用時の食事の自己効力感が低いこと(OR:0.82)と関連していた(χ2=64.94、自由度:16、p<0.001)。・体重増加は、化学療法、放射線療法、アロマターゼ阻害薬の使用、切除リンパ節数、診断時のBMIとは関連していなかった。 これらの結果から、著者らは「タモキシフェン投与患者には、乳がん診断後の体重増加抑制のための介入、とくに身体活動の維持を目的とした介入が必要である。乳がん診断後の体重管理における食事の自己効力感、とくに食物に注意を向けた食べ方(attentive eating)の役割について調べる必要がある」と考察している。

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オミクロン株BF.7、BQ.1.1、XBB.1に対するワクチンの効果は?/NEJM

 2月2日に発表された東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議・分析資料によると、これまで主流だったオミクロン株BA.5から、BQ.1.1やBF.7に置き換わりが進んでいる1)。海外では、インドやシンガポールなどのアジア諸国でXBB系統の勢力も拡大している。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのJessica Miller氏らの研究グループは、1価およびBA.4/5対応2価のmRNA新型コロナワクチンを追加接種した被験者において、これらの新たな変異型についてワクチンの効果を評価したところ、BA.5と比較して、BQ.1.1やXBB.1に対するワクチンによって獲得できる中和抗体価が、著しく低いことが示された。本結果は、NEJM誌オンライン版2023年1月18日号のCORRESPONDENCEに掲載された。 本研究では、まず2021年に3回目接種としてファイザーの1価ワクチンを接種した16例(年齢中央値34歳)について、中和抗体値を評価した。次に、中央値でワクチンを3回接種したことのある被験者33例に対して、2022年に追加接種として1価ワクチンを接種した15例(年齢中央値50歳、ファイザー5例、モデルナ10例)、追加接種として2価ワクチンを接種した18例(年齢中央値42歳、ファイザー8例、モデルナ10例)について、中和抗体価を評価した。2022年に追加接種した2群については、33%にSARS-CoV-2オミクロン株の感染既往の記録があり、そのほかの大半の被験者も感染していた可能性がある。 主な結果は以下のとおり。・2021年に1価ワクチンを追加接種した群では、接種前の中和抗体価は、BA.5、BF.7、BQ.1.1、XBB.1のそれぞれに対して実質的にほぼなかったが、接種後の中和抗体価の中央値は、BA.5に対して887、BF.7に対して595、BQ.1.1に対してはBA.5より3倍低い261、XBB.1に対しては8倍低い105だった。・2022年に1価ワクチンを追加接種した群では、接種前の中和抗体価は、BA.5に対して184、BF.7に対して167、BQ.1.1に対して49、XBB.1に対して28であった。接種後の中和抗体価は、BA.5に対して2,829、BF.7に対してBA.5とほぼ同等の2,276、BQ.1.1に対してはBA.5より7倍低い406、XBB.1に対しては17倍低い170であった。・2022年に2価ワクチンを追加接種した群では、接種前の中和抗体価は、BA.5に対して212、BF.7に対して131、BQ.1.1に対して45、XBB.1に対して20以下であった。接種後の中和抗体価は、BA.5に対して3,693、BF.7に対して2,399、BQ.1.1に対してはBA.5より7倍低い508、XBB.1に対しては21倍低い175であった。 本結果により、1価および2価ワクチンの追加接種により、BA.5と比較して、BF.7に対しては若干劣るがほぼ同等の中和抗体を獲得していたが、一方で、BQ.1.1やXBB.1に対しては既存のmRNAワクチンの有効性が低下していることが明らかになった。加えて著者らは、ワクチンによる重症化予防効果はCD8 T細胞応答に依拠する可能性があることを示唆している。

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スタチン・アスピリン・メトホルミンと肝がんリスクとの関連~メタ解析

 スタチン、アスピリン、メトホルミンが肝細胞がんを予防する可能性があることを示唆する報告があるが、これまでのメタ解析は異質性やベースラインリスクを適切に調整されていない試験が含まれていたため、シンガポール・National University of SingaporeのRebecca W. Zeng氏らは新たにメタ解析を実施した。その結果、スタチンおよびアスピリンは肝細胞がんリスク低下と関連していたが、併用薬剤を考慮したサブグループ解析ではスタチンのみが有意であった。メトホルミンは関連が認められなかった。Alimentary Pharmacology and Therapeutics誌オンライン版2023年1月10日号に掲載。 このメタ解析では、スタチン、アスピリン、メトホルミンの肝細胞がんリスクへの影響について、傾向スコアマッチングもしくは逆確率治療重み付けを用いてベースラインリスクのバランスをとって検討した試験を、2022年3月までMedlineおよびEmbaseデータベースを用いて検索した。肝細胞がんの多変量調整ハザード比(HR)は、ランダム効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・スタチンは、全体として肝細胞がんリスクの低下と関連していた(HR:0.52、95%信頼区間[CI]:0.37~0.72、10試験、177万4,476例)。さらに、肝硬変、B型/C型肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患、アスピリンとメトホルミンの併用および脂溶性スタチンを考慮した試験のサブグループ解析において肝細胞がんリスクの低下と関連していた。・アスピリンは、全体として肝細胞がんリスクの低下と関連していた(HR:0.48、95%CI:0.27~0.87、11試験、219万285例)が、スタチンやメトホルミンとの併用で検討した試験では関連が認められなかった。・メトホルミンは、全体として肝細胞がんリスクの低下と関連していなかった(HR:0.57、95%CI:0.31~1.06、3試験、12万5,458例)。

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胆道がん、S-1による術後化学療法でOS延長/Lancet

 胆道がんの術後補助療法において、経口フッ化ピリミジン系薬剤S-1(テガフール・ギメラシル・オテラシル カリウム)は、経過観察と比較して、全生存期間(OS)を延長し忍容性も良好であることが、栃木県立がんセンターの仲地 耕平氏ら日本臨床腫瘍研究グループの肝胆膵腫瘍グループ(JCOG-HBPOG)が実施した「ASCOT試験(JCOG1202試験)」で示された。研究の成果は、Lancet誌2023年1月21日号で報告された。日本の38施設の非盲検無作為化第III相試験 ASCOT試験は、日本の38施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2013年9月~2018年6月の期間に患者の登録が行われた(国立がん研究センターと厚生労働省の助成を受けた)。 対象は、年齢20~80歳、切除標本で組織学的に肝外胆管がん、胆嚢がん、乳頭部がん、あるいは肝内胆管がんと確定され、局所残存腫瘍切除または顕微鏡的残存腫瘍切除が行われていない患者であった。 被験者は、術後に経過観察を行う群またはS-1を投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。S-1は、体表面積により40、50または60mgを、1日2回、4週間経口投与後に2週休薬する6週を1サイクルとし、最大4サイクルが投与された。 主要評価項目はOSとされ、無作為割り付けされた全患者を対象とするintention-to-treat解析が行われた。アジア人の標準治療となる可能性 440例が登録され、経過観察群に222例(年齢中央値70歳[四分位範囲[IQR]:40~80]、女性32%)、S-1群に218例(68歳[33~80]、26%)が割り付けられた。データカットオフ日は2021年6月23日で、追跡期間中央値は45.4ヵ月だった。試験期間中に経過観察群の100例(45%)と、S-1群の79例(36%)が死亡した。 OSは、経過観察群よりもS-1群のほうが長かった(死亡のハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.51~0.94、層別log-rank検定の片側p=0.0080)。3年OS率は、経過観察群が67.6%(95%CI:61.0~73.3)、S-1群は77.1%(70.9~82.1)であった。また、OS中央値は、経過観察群が6.1年(95%CI:4.2~評価不能[NE])、S-1は評価不能(5.2~NE)だった。 経過観察群の115例(52%)、S-1群の96例(44%)で再発がみられた(再発または死亡のHR:0.80、95%CI:0.61~1.04、log-rank検定の両側p=0.088)。3年無再発生存率は、経過観察群が50.9%(95%CI:44.1~57.2)、S-1群は62.4%(55.6~68.4)であり、無再発生存期間中央値はそれぞれ3.5年(95%CI:2.0~NE)、5.3年(4.1~6.1)だった。 S-1群(207例)で頻度の高い(≧30%)全Gradeの有害事象として、白血球数減少、好中球数減少、貧血、血小板数減少、低アルブミン血症、アルカリホスファターゼ上昇、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇、アラニン・アミノトランスフェラーゼ上昇などが認められた。また、S-1群で頻度の高いGrade3/4の有害事象は、好中球数減少(29例[14%])と胆道感染症(15例[7%])であった。 著者は、「確定的な結論を得るには、長期間の臨床的有用性が求められるが、S-1はアジア人の胆道がん切除例における標準治療と考えられる」としている。

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高齢者の歩行速度と認知症リスク~久山町研究

 九州大学の多治見 昂洋氏らは、高齢者の歩行速度と脳体積および認知症発症リスクとの関連を調査した。その結果、最高歩行速度が低下すると認知症リスクが上昇しており、この関連には海馬、島皮質の灰白質体積(GMV)減少および白質病変体積(WMHV)増加が関連している可能性が示唆された。Archives of Gerontology and Geriatrics誌2023年3月号の報告。 MRIを実施した65歳以上の認知症でない日本人高齢者1,112人を対象に、5.0年間(中央値)フォローアップを行った。対象者を、年齢および性別ごとに最高歩行速度の四分位により分類した。GMVおよびWMHVの測定には、voxel-based morphometry(VBM)法を用いた。最高歩行速度とGMVとの横断的な関連を評価するため、共分散分析を用いた。最高歩行速度と認知症発症リスクとの関連を推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。最高歩行速度と認知症との関連に対する脳体積の影響を検討するため、媒介分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・最高歩行速度の低下は、ベースラインでの脳全体、前頭葉、側頭葉、帯状回、島皮質、海馬、扁桃体、大脳基底核、視床、小脳のGMV低下およびWMHV増加と有意な関連が認められた。・フォローアップ期間中に認知症を発症した高齢者は108人であった。・潜在的な交絡因子で調整した後、すべての原因による認知症発症率は、最高歩行速度の低下に伴い有意な増加が観察された(P for trend=0.03)。・海馬、島皮質のGMVおよびWMHVの媒介効果に有意差が認められた。

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血友病Aの新規治療薬、既治療重症例の出血を低減/NEJM

 既治療の重症血友病A患者の治療において、efanesoctocog alfa(エフアネソクトコグ アルファ、国内で承認申請中)の週1回投与は、試験開始前の第VIII因子製剤による定期補充療法と比較して、出血の予防効果が優れ、正常~ほぼ正常の第VIII因子活性と、身体的健康や疼痛・関節の健康の改善をもたらすことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のAnnette von Drygalski氏らが実施した「XTEND-1試験」で示された。同薬は、von Willebrand因子(VWF)による半減期の上限を克服し、第VIII因子活性を高い状態で維持するよう設計された新たなクラスの第VIII因子補充療法薬。研究の成果は、NEJM誌2023年1月26日号に掲載された。19ヵ国159例の第III相非盲検介入試験 XTEND-1試験は、重症血友病A患者に対するefanesoctocog alfaの有効性、安全性、薬物動態の評価を目的とする第III相非盲検介入試験であり、日本を含む19ヵ国48施設で患者の登録が行われた(SanofiとSobiの助成を受けた)。 対象は、年齢12歳以上で既治療の重症血友病A患者であった。被験者は、efanesoctocog alfa(50 IU/kg体重)の週1回静脈内投与による定期補充療法を52週間行う群(A群)と、同薬(50 IU/kg体重)のオンデマンド療法を26週間施行後に同薬(50 IU/kg体重)の週1回投与による定期補充療法を26週間行う群(B群)に分けられた。 主要エンドポイントは、A群の平均年間出血回数(annualized bleeding rate:ABR)とされた。また、主な副次エンドポイントは、A群における定期補充療法中のABRと、試験開始前の第VIII因子製剤による定期補充療法中のABRとの患者内比較であった。 159例が登録され、149例(94%)が試験を完遂した。A群が133例(平均[±SD]年齢33.9±15.3歳、男性99%)、B群は26例(42.8±11.7歳、100%)であった。出血時投与でイベントの97%が消失 A群では、ABR中央値は0.00(四分位範囲[IQR]:0.00~1.04)であり、推定平均ABRは0.71(95%信頼区間[CI]:0.52~0.97)であった。A群の平均ABRは、試験開始前の2.96(2.00~4.37)から開始後には0.69(0.43~1.11)へと77%低下(ABR比:0.23、95%CI:0.13~0.42)し、試験開始前の第VIII因子製剤による定期補充療法に対する、efanesoctocog alfaによる定期補充療法の優越性が示された(p<0.001)。 試験期間中に全体で362件の出血イベントが発現したが、このうち268件(74%)はオンデマンド療法中のB群でみられた。出血の発現時には、efanesoctocog alfa(50 IU/kg)の1回の注射により、出血イベントのほぼすべて(97%)が消失した。 薬物動態の解析では、efanesoctocog alfaの週1回投与による定期補充療法は、投与から約4日間は第VIII因子活性の平均値が正常~ほぼ正常(>40 IU/dL)の範囲内で、7日目には15 IU/dLとなった。半減期の幾何平均値は47.0時間(95%CI:42.3~52.2)と長かった。 また、efanesoctocog alfaによる52週間の定期補充療法(A群)によって、Haem-A-QoLの身体的健康スコア(p<0.001)、Patient-Reported Outcomes Measurement Information System(PROMIS)の疼痛強度スコア(p=0.03)、Hemophilia Joint Health Score(HJHS)の関節の健康(p=0.01)がいずれも有意に改善した。 副作用プロファイルは許容できるものであった。全体で、第VIII因子インヒビターの発生(0%、95%CI:0.0~2.3)は検出されず、重篤なアレルギー反応、アナフィラキシー、血管内血栓イベントの報告はなかった。少なくとも1回のefanesoctocog alfaの投与を受けた159例のうち、123例(77%)で1件以上の有害事象が発現または増悪し、重篤な有害事象は15例(9%)で認められた。全体で、最も頻度の高い有害事象は、頭痛(32例[20%])、関節痛(26例[16%])、転倒(10例[6%])、背部痛(9例[6%])だった。 現在、12歳以下の小児(XTEND-Kids)および長期的な安全性と有効性(XTEND-ed)を評価する臨床試験が進行中だという。

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眼鏡は新型コロナの感染を防ぐか?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第227回

眼鏡は新型コロナの感染を防ぐか?Pixabayより使用全国の感染制御チーム(ICT)のスタッフなら、病院職員から「眼鏡はアイガードの代わりになりますか?」という質問を一度は聞かれたことがあると思います。常識的にいえば、決して代わりになるわけではないので、新型コロナから身を守るためにも眼鏡の上からアイガードやフェイスシールドを着けていただくことになります。しかし、ちゃんとしっかり検証しようぜという研究グループがいました。Fretheim A, et al.Effect of Wearing Glasses on Risk of Infection With SARS-CoV-2 in the Community: A Randomized Clinical Trial.JAMA Netw Open. 2022 Dec 1;5(12):e2244495.ニーズがありそうなテーマなのですが、これまで一度もランダム化比較試験が行われてこなかったのです。このノルウェーで実施された研究では、公共の場での眼鏡着用が多い人は、新型コロナになりにくいかどうか評価されました。2022年2月2日~4月24日にノルウェーで実施されたランダム化臨床試験で、普段眼鏡をかけておらず、新型コロナの症状もなく、過去6週間に感染がない成人を組み入れました。公共の空間にいるときに、眼鏡(サングラスも可)を着用してもらう群と、そうでない群にランダム化しました。ノルウェー全体の感染者データを用いて、眼鏡着用に感染予防効果があったのかどうか解析しました。合計3,717人の成人(女性2,439人[65.6%]、平均年齢46.9±15.1歳)がランダム化されました。3,231例(86.9%)が試験終了時のアンケートに回答しました。公的に新型コロナ陽性と診断されたのは、介入群3.7%(1,852人中68人)、対照群3.5%(1,865人中65人)で、絶対リスク差は0.2%(95%信頼区間[CI]:-1.0~1.4%)、相対リスクは1.10(95%CI:0.75~1.50)と、統計学的には有意差は観察されませんでした。しかし、自己申告の陽性に基準を広げると、介入群9.6%(1,852人中177人)、対照群11.5%(1,865人中214人)で、絶対リスク差-1.9%(95%CI:-3.9~0.1%)、相対リスク0.83(95%CI:0.69~1.00)と先ほどよりも少し眼鏡の効果を感じさせる結果となっています。もう少し広げて、自己報告による呼吸器感染症のリスクに基準を広げると、介入群(30.8%[1,852人中571人])のほうが対照群(34.1%[1,865人中636人])よりも感染予防効果はあったという結果になりました(絶対リスク差-3.3%[95%CI:-6.3~-0.3%]、相対リスク0.90[95%CI:0.82~0.99])。主要評価項目で有意差はないので、基本的に眼鏡には新型コロナを予防する効果があるとは言えません。ただ、感染の定義を少し広げると、何となく効果がありそうな雰囲気もあって、今後眼鏡についてもう少し検証されるとよいですね。

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第145回 これが患者のリアル、ワクチンマニアもコロナ感染!?村上氏のヒヤヒヤ実記(後編)

―2023年1月3日(火)午前6時前に目が覚める。就寝中かなり寝汗をかいたことは寝間着代わりにしているTシャツの首元がじっとりと湿っていることでわかった。昨日と比べ、頭はすっきりしている。検温すると、37.2℃。だいぶ下がった。タイミングよく娘から「おにぎりとみそ汁」という朝食オーダーが届いたので、いつものようにマスクを両面テープで顔面に密着させた状態で、一番近いコンビニに買い出しに行く。ここは有人レジと無人レジが離れていて、人と距離が取れることが利点だ。部屋に電子レンジもあるのでみそ汁の温めも店員に頼まなくて済む。朝食を置き配して、シャワーを浴びる。出発約束時刻は8:45。まず私がホテルの出口から数メートル先まで行き、それから娘にLINEで部屋を出るように連絡し、その後は距離を取ってついてくるよう指示した。ホテルの出口に現れた娘はジャンプしながらこちらに手を振っている。思えば壁一つ隔てた場所にいながら、約3日間、顔を合わせていなかった。私も手を振り返すが、この3日間の療養で相当体力を奪われたのか、転倒しそうなほど体がふらついた。とりあえず前を向いてスタスタと歩き出す。後ろからはかすかに娘のものらしい足音が聞こえる。途中、小さな公園を通過した時、「うわー、カラス」と叫びながら娘が私のほぼ真後ろに距離を詰めてきた。娘は幼児期からカラスが大嫌いだ。距離が近過ぎる。私は微量でも娘の方向に飛沫が向かうことを避けるため、振り返らずに「おとうに近寄り過ぎない」とやや大きめの声で言い渡した。足音がやや遠ざかった。そこから2分ほど歩いたところで歩道が大幅に広くなる。すると、娘が私の真横にかなり距離を取って並んだ。マスク越しにニコニコしている。その手があったか。まもなく地下道の入り口。私はそのまま娘のほうを向かずに地下道入り口を指さして、「わかるね?」というと、「うん」という声とともに娘が私の前方に走り出て地下道の入り口を目指し始めた。その場に立ち止まっていると、娘は入り口で立ち止まって振り返った。私が手を振ると、それに応え、娘は地下道の中に消えていった。私は方向転換してホテルに戻って検温。36.7℃。少し休憩してから、件のクリニックに向かった。到着したのは開院5分前。中の電気がついており、ガラス越しに看護師らしい女性職員がマスクに加え、フェイスシールドで防護している姿が見えた。まだ、受診者は誰も来ていない模様。ガラス越しに目が合ったその女性が入り口まで出てきて「村上さんですか?」と尋ねてきた。はいと答えると、そのまま室内に案内され、手指消毒の指示。「来る前に検温はしました?」と尋ねられたので、朝6時と直前の体温を告げると、そのまま「こちらへ」と誘導される。診察室の表記のあるドアの前を通り過ぎ、女性がその先の小さめのドアを開けた。物品置き場のような間取りだ。中にはパソコン(PC)を置いた机を前にマスクとフェイスシールドを着用したB医師が着席していた。「どうですか、お加減は?」と尋ねられた。私はまだ微熱状態ではあるものの、今朝はかなり改善している感じがすること、咽頭痛はそれほど感じなくなったが、その代わり痰が絡むようになったと伝えた。B医師が「まず口の中を診ますね」と言いながら開口を指示してきた。複数回、顔の角度を変えながら咽頭の様子を見ている。それが終わると、パルスオキシメーターを私の指に挟んだ。数値は99%。B医師が「ちなみにコロナワクチンは何回接種していますか?」と尋ねてきた。そういえば、昨日のやり取りではその話はしていなかった。オミクロン株対応ワクチンも含め、4回接種が完了している旨、最後の接種が12月27日、これまでの接種ワクチンの種類(私はファイザー→ファイザー→モデルナ→モデルナ2価[BA.4/5対応])、4回目接種直前にスパイクタンパク抗体価検査を実施したことを伝えると、B医師が「うわっ、抗体価がかなり高いですね」と目を見開いてこっちを凝視した。加えてインフルエンザ(以下、インフル)ワクチンも接種済みと伝えた。「抗原検査が4回連続陰性だったことや、コロナのスパイクタンパク抗体価の高さ、インフルワクチン接種済みといったことを考えると、ただの風邪の可能性も十分にあります。ただ、最近うちを受診した発熱患者で、いわゆるただの風邪は1割程度とかなり少ないです。また現状の感染状況や症状を伺う限り、コロナの可能性は十分あり得ます。娘さんの受験も心配でしょうから、コロナとインフルの検査はしてみましょう」鼻出しマスク状態で、綿棒2本でそれぞれ鼻の奥をゴリゴリ。2本目が終了したところでくしゃみが出そうになり、慌てて鼻までマスクを覆い、下を向いてマスクを手で押さえながらくしゃみ。B医師にお詫びをしながらふと机の上に目をやると、消毒用アルコールのボトルが目に入ったので、使わせてくださいとお願いすると、「どうぞ」と私のそばに置いてくれた。私がノズル近くに左手を差し出し、右ひじでポンプを押すと、「ああ、そういうの気を付けているんですね」と笑われる。誰が触るかわからない手押し式の場合、私は常にポンプを肘押ししている。B医師が「インフルは迅速キットなのでもうじき結果がわかります。コロナのPCRは明日の遅くとも夕方には判明すると思います」と告げられた。実は明日はホテルのチェックアウト予定日。チェックアウト時間は午前11時だ。もし、コロナと判明した場合、発症日が12月30日なので療養解除は1月6日。私はなんとかホテルに事情を説明して、あと2泊はしなければならない。可能ならば明日午前11時までに結果を知りたいが、新年早々に診察をしてくれたB医師に無理は言えない。とりあえずPCR検査結果を待つこと、インフルの検査結果はこのまままっすぐホテルに戻ってから電話で尋ねることにしてクリニックを後にした。ホテルに戻るや否やB医師から電話があり、インフルは陰性だったことを告げられる。「発症からかなり経っての検査で陰性なのでインフルの可能性はほぼないと思います」とのこと。さらに早ければ明日午前にはPCR検査の結果もわかるだろうとの話だった。そのまま机に座ってPCに向かい仕事。娘には出発前にPayPayを1,000円分送り、昼は予備校近くのコンビニで何か買うように指示していた。まずは娘と私の洗濯に着手。その間は仕事。この日はほとんど苦痛なく仕事が進められる。ただ、今日は机を使っているので、昨日のような室内を即席乾燥室として使うことはできない。幸い今日の洗濯物は厚手のものはないので、貧乏性は引っ込めて館内のコインランドリーの乾燥機を1時間使うことにした。遅くとも明日には仕上げなければならない原稿があるので、時々水分を摂りながら一気に進めた。気が付くと午後3時を過ぎていた。そこで買い置きのインスタントラーメンをすすって、再び仕事に勤しんだ。午後6時過ぎに原稿のめどがつく。一気にどっと脱力感に襲われる。まだ、本調子ではない。娘は自習室が閉まる夜9時までは予備校にいるはず。そこからの時間計算で午後9時10分前後に朝に見送った地下道付近で待ち合わせる旨をLINEでメッセージしてから、タイマーをかけて横になった。目を覚ましたのは9時5分過ぎ。慌ててホテルを出て小走りで待ち合わせ場所に向かうが息が上がる。ということで小走りは止めてゆっくり歩いた。待ち合わせ場所にはすでに娘が到着していた。通常こういう時は「遅い」とブツクサ言われるのだが、今日は何も言われなかった。朝と同じく私が先行したが、ピンクのネオンが輝く時間になっていたので、朝よりは距離は詰めることにした。途中のコンビニの前で私は立ち止まり、無言で店内を指さした。娘が近づいてくるのに合わせて私は入り口から遠ざかり、娘も心得たように店内に消えていった。今日は肉系の弁当を買ってくるだろうか?まもなく娘が買い物袋入りの弁当をぶら下げて戻ってきた。それを確認してホテルに向かって歩き始めた。ホテルの入り口が見えてきたので、私は小走りにそこを通り過ぎて距離を置き、入り口を指さして「先に」とだけ告げた。娘が入っていったのを確認してから5分後に、私も部屋に戻った。LINEでメッセージすると、やはり買ってきたのは肉系弁当。体調不良でもこういうところは勘が働く。娘にはインフルは陰性だったこと、明日にはPCR検査の結果がわかることを告げた。娘からは荷物をどうするかとの問い。そうそれが問題なのだ。娘は勉強道具と宿泊に必要な諸々の物品を持ってきている。チェックイン時は宿泊用の物品が入ったスポーツバッグを私が運んで先に手続きを済ませていた。小柄な娘が一人で持つのはかなり大変な量と大きさである。さてどうしようかと悩んでいると、娘からはスポーツバッグの中身はすぐには必要ないので、数日後でも家に届けばいいという。もし私が陽性だった場合はここに6日まで泊まり、後日に荷物を渡すことが決定する。もっとも留まることが決定した場合、このホテルに空きがあるか、それをホテルが許容してくれるかは未解決だ。まあ、その時に考えるしかないと腹をくくった。宿泊予約サイトで見ると、明日以降は3部屋ほど空きがある。それが埋まらないことを願いつつ就寝。―2023年1月4日(水)朝5時半過ぎに目が覚める。検温すると36.5℃。体調も良いと感じる。念のため部屋の片づけを始めると、娘から朝食のオーダー。今日は調理パンと洋風スープ。はいはい。いつものようにコンビニへ。この時間はほとんど人が歩いていない。周りへの影響を考えると非常に気が楽である。娘の部屋の前に行くと、すでにスポーツバッグが置いてあった。朝食の置き配をし、代わりにスポーツバッグを持って自分の部屋に入り、そのまま片づけを続ける。7時半にそれを終え、今度はこの日提出予定の原稿の再チェック。8時過ぎにそれも終えると、ちょうど娘からのLINE。娘「今日も送ってくれる?」私「もう道は分かるでしょ」娘「わかるけど」私「けど?」娘「カラス」ああ、またそこか。合格した大学を蹴ってまで浪人を選ぶ度胸がありながら、カラスの何が怖いと言いたくなるが、ぐっとこらえる。昨日のように送っていくことにした。昨日と同じく予定時刻に距離を置いてホテルの前で待ち合わせてまた地下道へ。今日の娘は過度に近づいては来ない。地下道入り口で別れ、私は部屋に戻って用意していた原稿を送信。その後はこの間、十分とは言えなかった各種ニュースのチェックに。午前10時を過ぎたあたりで、B医師から電話に着信。B医師「おはようございます。検査結果出ました。陰性でした」安堵のあまり言葉が逆に出なくなる。B医師が続けた。B医師「まあ、結果としては今どき珍しいただの風邪ということですね。アハハ。ただの風邪にはワクチンありませんから」私  「とはいえ、偽陰性の可能性がないわけではないですよね」と問うとB医師「理論上はそうですが、それを言い出したらきりがないですよ。いずれにせよまだ本調子ではないですよね。お大事になさってください」と告げられ電話が終わった。私は机上に残っていたPCの電源を切ってチェックアウトした。ホテルを出たところで娘にコロナ陰性だったことをLINEで報告した。自分の荷物を背負い、娘のスポーツバッグを肩に掛け、駅の改札に到着。しかし、ここで余計な考えが頭に浮かぶ。もし偽陰性だったら、と。数分考え、自分の事務所まで、距離にして約3.5kmを歩くことにした。しかし、病み上がりの体にはこれがかなりハード。途中休み休みで結局、1時間10分かかった。事務所で体重計に乗ってみる。58.5kg。宿泊当日朝の計測から-2.5kg。58kg台を目にするのは何年ぶりだろう。結局、1時間ほど休んで自宅に娘の荷物を運びこみ、私は念には念を入れ、週末の日曜日夕刻まで事務所で“籠城”することにした。この間、水とペヤングソース焼きそばのみの生活。日曜日の夕刻には体重は60kgまで戻っていた。こうして年末からのコロナ疑惑はようやく終了した。

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2月3日 不眠の日【今日は何の日?】

【2月3日 不眠の日】〔由来〕「不眠」について、記念日を通して不眠の改善の適切な情報発信を行うことを目的に「ふ(2)み(3)ん」(不眠)と読む語呂合わせから治療薬などの販売を行うエスエス製薬が制定した。また、同じ語呂合わせから毎月23日も「不眠の日」と制定。関連コンテンツ不眠症【診療よろず相談TV】高齢者への不眠症治療薬投与時の査定【斬らレセプト シーズン3】よく眠れないときの症状チェック【患者指導スライド】不眠症に対する認知行動療法アプリの有効性不眠症治療薬、長期に有効・安全なのは?/Lancet

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統合失調症治療における抗精神病薬処方の臨床的決定因子~コホート研究

 統合失調症の治療では主に抗精神病薬が用いられるが、近年、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の使用頻度が高まっている。米国・ニューヨーク医科大学のEmily Groenendaal氏らは、抗精神病薬の使用(LAI vs.経口)、薬剤クラス(第1世代抗精神病薬[FGA]vs.第2世代抗精神病薬[SGA])、臨床アウトカムの観点から、抗精神病薬選択の予測因子を特定しようと試みた。その結果、LAIか経口、FGAかSGAといった抗精神病薬の選択には、疾患重症度と罹病期間が影響を及ぼす可能性が示唆された。LAI抗精神病薬は、より重症な患者に使用される場合が多かったが、再入院率は経口抗精神病薬と同様であり、重症患者に対するLAI抗精神病薬使用が支持される結果となった。また、若年患者にはLAI抗精神病薬、高齢患者にはFGAが使用されていることが明らかとなった。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2022年12月28日号の報告。 対象は、LAI抗精神病薬による治療を受けた統合失調症患者123例およびマッチした経口抗精神病薬治療患者。疾患の重症度を含む社会人口統計学的および臨床的因子を医療記録より抽出した。カイ二乗検定およびt検定で群間比較を行い、抗精神病薬選択の独立した予測因子の特定にはロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・LAI抗精神病薬による治療を受けた患者は、入院期間が長く、退院が簡単ではなく、より重症であったが、再入院率に経口抗精神病薬との差は認められなかった。・LAI抗精神病薬使用の独立した予測因子は、若年、独身、入院期間の長さであった。・FGA LAI治療を受けた患者は、SGA LAI治療の場合と比較し、物質使用障害および定住していない可能性が高く、唯一の予測因子は高齢であった。・経口FGA治療を受けた患者は、経口SGAよりも、高齢、女性であることが多く、物質使用障害の併存、退院が簡単ではない、入院期間が長いなどの特徴が認められた。

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オミクロン株対応2価ワクチン、中和活性の比較/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株は変異を続け、さまざまな亜型を増やしている。そこで、SARS-CoV-2のオミクロン株BA.4/5(BA.4とBA.5は同一のスパイクタンパクを有する)と起源株の、それぞれのスパイクタンパク質をコードするmRNAを含有する2価ワクチンが開発され、世界各国で使用され始めている。しかし、オミクロン株の亜型の中には、ワクチンによって得られた免疫や、感染によって得られた免疫を回避し得るスパイクタンパク質の変異を蓄積しているものもある。そこで、米国・テキサス大学のJing Zou氏らは、BA.4/5対応2価ワクチンによるオミクロン株の各系統に対する中和活性を評価し、いずれの系統に対しても、従来型ワクチンと比べて高い中和活性が得られたことをNEJM誌オンライン版2023年1月25日号のCORRESPONDENCEで報告した。 ファイザー製従来型ワクチン(BNT162b2)を3回接種した55歳以上の成人で、3回目接種から6.6ヵ月後に従来型ワクチン(30μg)を接種した38人(1価ワクチン群)、約11ヵ月後にBA.4/5対応2価ワクチン(起源株15μg+BA.4/5株15μg)を接種した40人(2価ワクチン群)について、4回目接種当日と1ヵ月後の中和活性を比較した。また、SARS-CoV-2の感染歴の有無別にも比較した。中和活性の比較は、オミクロン株の各系統(BA.4/5、BA.4.6、BA.2.75.2、BQ.1.1、XBB.1)およびUSA-WA1/2020株のスパイクタンパク質について行われた。中和活性の評価には、フォーカス減少法による中和試験で50%のウイルスを中和する血清希釈の逆数(FRNT50)を用い、幾何平均抗体価を算出して接種1ヵ月後における接種日からの幾何平均抗体価増加倍率を比較した。 結果は以下のとおり。<感染歴なしの接種1ヵ月後の中和活性の変化(1価vs.2価)>USA-WA1/2020:4.4倍vs.9.9倍(群間比2.3倍)BA.4/5:3.0倍vs.26.4倍(群間比8.8倍)BA.4.6:2.5倍vs.22.2倍(群間比8.9倍)BA.2.75.2:2.0倍vs.8.4倍(群間比4.2倍)BQ1.1:1.5倍vs.12.6倍(群間比8.4倍)XBB.1:1.3倍vs.4.7倍(群間比3.6倍)<感染歴ありの接種1ヵ月後の中和活性の変化(1価vs.2価)>USA-WA1/2020:2.0倍vs.3.5倍(群間比1.8倍)BA.4/5:2.8倍vs.6.7倍(群間比2.4倍)BA.4.6:2.1倍vs.5.6倍(群間比2.7倍)BA.2.75.2:2.1倍vs.5.3倍(群間比2.5倍)BQ1.1:2.2倍vs.6.0倍(群間比2.7倍)XBB.1:1.8倍vs.4.9倍(群間比2.7倍) 本論文の著者らは、今回の結果について以下のようにまとめている。・BA.4/5対応2価ワクチンは、SARS-CoV-2感染歴にかかわらず、4回目のブースター接種では、従来型ワクチンと比べて、BA.5の亜型(BA.4.6, BQ.1.1, XBB.1)およびBA.2の亜型(BA.2.75.2)に対して高い中和活性を誘発することが示された。・4回目のブースター接種後、SARS-CoV-2感染歴ありの被験者は感染歴なしの被験者と比べて、中和活性が高かった。・1価ワクチン群と2価ワクチン群の中和活性の差は、SARS-CoV-2感染歴なしの被験者のほうが感染歴ありの被験者と比べて大きかった。・BA.4/5対応2価ワクチンは、従来型よりも免疫原性が高く、現在流行しているオミクロン株の各系統に対してより幅広い反応を示すことを示唆する。

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一般集団よりも2型DM患者でとくに死亡率が高いがん種は?

 2型糖尿病の高齢患者のがん死亡率を長期的に調査したところ、全死因死亡率の低下とは対照的にがん死亡率は上昇し、とくに大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、子宮内膜がんのリスクが増加していたことを、英国・レスター大学のSuping Ling氏らが明らかにした。Diabetologia誌オンライン版2023年1月24日掲載の報告。 これまで、年齢や性別などの人口統計学的要因が2型糖尿病患者の心血管アウトカムに与える影響は広く研究されているが、がん死亡率への影響については不十分であった。そこで研究グループは、人口統計学的要因や肥満や喫煙などのリスク因子が2型糖尿病患者のがん死亡率に与える長期的な傾向を明らかにするため、約20年間のデータを用いて調査を行った。 対象は、1998年1月1日~2018年11月30日に2型糖尿病と新規で診断され、英国の診療データベース「Clinical Practice Research Datalink」に登録された35歳以上の13万7,804例であった(年齢中央値63.8歳、女性44.6%、白人83.0%、非喫煙者46.9%、正常体重者11.7%、BMI中央値30.6kg/m2)。年齢、性別、人種、貧困状態(複数の剥奪指標ランク)、BMI、喫煙の有無で調整し、全死因、全がん、がん部位別の死亡率を一般集団と比較した。 主な結果は以下のとおり。・2型糖尿病患者119万4,444人年(中央値8.4年[四分位範囲:5.0~12.2年])の追跡で、3万9,212例(28.5%)が死亡した。・全死因死亡率は、1998年~2018年にすべての年齢(55歳、65歳、75歳、85歳)で減少した。・全がん死亡率は55歳と65歳で減少したが、75歳と85歳で増加した。また、白人、現在/過去の喫煙者で増加したが、他の人種や非喫煙者では減少傾向にあった。・全がん死亡率の平均年間変化率(AAPC)は、55歳で-1.4%(95%信頼区間[CI]:-1.5%~-1.3%)、65歳で-0.2%(-0.3%~-0.1%)、75歳で+1.2%(+0.8%~+1.6%)、85歳で+1.6%(+1.5%~+1.7%)であった。また、AAPCが高かったのは、女性+1.5%(男性+0.5%)、最貧困層+1.5%(最富裕層+1.0%)、重度肥満者+5.8%(普通体重者+0.7%)であった。・一般集団と比較した2型糖尿病患者の標準化死亡比(SMR)は、全死因1.08(95%CI:1.07~1.09)、全がん1.18(1.16~1.20)、大腸がん2.40(2.26~2.54)、肝臓がん2.13(1.94~2.33)、膵臓がん2.12(1.99~2.25)、子宮内膜がん(女性のみ)2.08(1.76~2.44)、胆嚢がん1.36(0.99~1.83)、乳がん(女性のみ)1.09(1.01~1.18)、肺がん1.04(1.00~1.08)であった。 研究グループは、上記の結果から「2型糖尿病の高齢患者では、全死因死亡率の低下とは対照的にがん死亡率は上昇し、とくに大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、子宮内膜がんが増加していた。高齢者、貧困層、喫煙者における個別のがん予防と早期発見のための戦略が必要である」とまとめた。

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思春期の認知能力、早産児ほど低い/BMJ

 在胎40週出生児と比較して、在胎34~39週出生児に差はみられなかったものの、在胎34週未満児では、思春期における認知能力が実質的に劣ることが示唆されたという。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAnders Husby氏らが、デンマークの住民を対象とした完全同胞のコホート研究の結果を報告した。検討では、国語と数学の試験、知能指数(IQ)検査の結果を評価したが、在胎34週未満児ではいずれも低く、在胎週が短いほど低下が認められた。著者は、「所見は、こうした早産の悪影響をどのように防ぐことができるかについて、さらなる研究が必要であることを強調するものである」との見解を示し、「認知能力は出生時に定まっているものではなく、社会環境や養育に大きく影響されることから、早産児に対する早期介入が必要である」と述べている。BMJ誌2023年1月18日号掲載の報告。在胎週数と思春期の国語・数学試験成績やIQとの関連を解析 研究グループは、市民登録システム(Danish Civil Registration System)、出生登録(Medical Birth Registry)、デンマーク統計局の教育記録のデータを用い、1986年1月1日~2003年12月31日の期間に生まれた子供116万1,406例のうち、同期間に同じ両親の間に生まれた兄弟姉妹が1人以上いる79万2,724例を対象として、在胎週数と義務教育終了時(9年生、年齢15~16歳)の国語ならびに数学の成績(試験年を基準とするZスコアとして標準化)との関連を解析した。成績は、盲検化された評価者によって採点された全国的な年1回の試験から得られた、2001/2002年~2018/2019年の学年の成績とした。 また、男性兄弟のみのサブコホートを対象に、デンマーク国防省に登録されている徴兵制の知能検査のデータを用い、2020年12月10日を最新の試験日として徴兵時(ほとんどが18歳)の知能検査スコア(生年を基準とするZスコアとして標準化)との関連についても解析した。在胎週が短いほど成績も低い 79万2,724例の全コホートにおいて、4万4,322例(5.6%)が在胎37週未満で出生していた。複数の交絡因子(性別、出生体重、先天性異常、出生時の両親の年齢、両親の教育レベル、年上の兄姉の人数)、および兄弟姉妹間の共通の家族因子で調整後、国語の平均評点は在胎40週の出生児と比較して在胎27週以下のみ有意に低かった(Zスコアの差:-0.10、95%信頼区間[CI]:-0.20~-0.01)。 数学については、在胎40週の出生児と比較して在胎34週未満で有意に低く(在胎32~33週:-0.05[95%CI:-0.08~-0.01]、在胎28~31週:-0.13[-0.17~-0.09]、在胎27週以下:-0.23[-0.32~-0.15])、在胎週数が短いほど評点が徐々に低下することが示された。 男性兄弟のみのサブコホートでも全コホートと同様の結果であった。IQ得点は、在胎40週の出生児と比較して在胎32~33週、28~31週および27週以下でそれぞれ2.4(95%CI:1.1~3.6)、3.8(95%CI:2.3~5.3)、4.2(95%CI:0.8~7.5)低かった。一方、在胎34~39週の出生児のIQ得点は1未満低いだけであった。

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シスタチンCに基づくeGFRcys式の精度、eGFRcr式と同等/NEJM

 糸球体濾過量(GFR)の推算方法として、欧州腎機能コンソーシアム(European Kidney Function Consortium:EKFC)が開発した、血清クレアチニンを用いる「EKFC eGFRcr式」がある。これは、年齢、性別、人種の差異に関連したばらつきをコントロールするため、健康な人の血清クレアチニン値の中央値で割った「調整血清クレアチニン値」を用いるものだが、血清クレアチニン値の正確な調整には課題があることから、ベルギー・KU Leuven Campus Kulak KortrijkのHans Pottel氏らは、調整血清クレアチニン値を、性別や人種による変動が少ないシスタチンC値に置き換えることができるかどうかを検証した。結果、調整シスタチンC値に置き換えた「EKFC eGFRcys式」は、欧州、米国、アフリカのコホートにおいて一般的に用いられている推算式より、GFRの評価精度を向上させたことが示されたという。NEJM誌2023年1月26日号掲載の報告。調整血清クレアチニン値を調整シスタチンC値に置き換えて検証 研究グループは、スウェーデンの患者のデータを用いて成人のシスタチンC値の調整係数を推定した後、EKFC eGFRcr式の調整血清クレアチニン値を調整シスタチンC値に置き換えて得られたEKFC eGFRcys式の性能を検証した。欧州、米国、アフリカの白人患者および黒人患者のコホートにおいて、実測したGFR、血清クレアチニン値、血清シスタチンC値、年齢、性別に基づく式と比較検証した。EKFC eGFRcys式の精度はEKFCeGFRcr式と同等、CKD-EPI eGFRcys式より高い シスタチンC値の調整係数は、スウェーデン・ウプサラ大学病院の白人患者22万7,643例のデータに基づき、50歳未満の男女で0.83、50歳以上の男女で0.83+0.005×(年齢-50)と推定された。 この数値を基にしたEKFC eGFRcys式は偏りがなく、白人患者および黒人患者のいずれにおいても(欧州1万1,231例、米国1,093例、アフリカ508例)、EKFC eGFRcr式と精度は同等で、国際腎臓病ガイドライン機構(KDIGO)が推奨するCKD-EPI eGFRcys式より精度が高かった。EKFC eGFRcrとEKFC eGFRcysの算術平均値は、いずれかのバイオマーカーに基づく推算値よりも、推算GFRの精度をさらに向上させた。 なお、著者は、今回の結果はアジアや米国の白人患者と黒人患者で構成されたコホートや小児コホートでの検証をしておらず、限定的であるとしている。

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