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第154回 日本人の驚くべきマスク定着化ー新聞社の世論調査

先日、知人の墓参りとワーケーションを兼ねて京都に4日ほど滞在した。食事時と自分が会員となっているスポーツジムの系列店舗で運動する以外は、ほぼホテルの部屋で仕事をしていた。もっとも春先の京都にいながら観光ゼロというのも何なので、昼食時の帰りに1件ほど寺社・仏閣に立ち寄ったりもした。すでに京都市内はコロナ禍「明け」とも言える雰囲気で、市中心部の四条付近は外国人観光客でごった返していた。ぱっと見だが、白人系の人々は屋内外いずれもほぼノーマスク、対して日本人も含め見た目がアジア系の人々では屋外でもマスク着用率が明らかに高くなる印象だ。たまにアジア系の顔立ちでノーマスクの人たちを見かけるが、言葉を聞くとその多くは広東語、中国語などの非日本語である。それでもノーマスクの日本人は、少なくとも私が見る限り、東京などと比べると若年者を中心に明らかに多いと感じた。到着翌朝、ホテルのエレベーターに乗り込もうとし、先客の若い女性がノーマスクだった時は一瞬ぎょっとした。途中から乗り込んできたやはりノーマスクの男性2人は女性と顔見知りだったらしく、密閉空間のエレベーター内でそのままペチャクチャ話し始めた。会話の内容からすると、どうやら新入社員の研修中らしい。私はマスクをしていたものの、その間ずっとヒヤヒヤしていた。ところが慣れというのは怖いもので、3日も滞在していると、コンビニに行こうとしてホテルの部屋を出た際にマスクを忘れたことに気付いても、「短時間だし。ま、いいか」という感じになってしまう。すでにマスク着用が任意となった現時点での表現としては適切ではないかもしれないが、「こうやってなし崩し的にモラルハザードが起こる」と受け止めている。新聞社主催の世論調査から見えるマスク定着化そうした中で興味深い調査結果を目にした。読売新聞社が行った新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に関する世論調査である。調査結果を報じた記事では「日本の社会は、全体として、新型コロナウイルスに、うまく対応できていると思いますか、思いませんか」との問いへの回答が、「思う」「どちらかといえば思う」合計で57%、「どちらかといえば思わない」「思わない」合計が41%となり、2021年から3年連続同様の調査を行った中で、初めて「思わない」よりも「思う」ほうが上回った点に主眼が置かれている。しかし、私が注目したのは調査結果内のマスク関連の回答である。まず、「新型コロナウイルスの感染を防ぐため、現在あなたが実践していることを、いくつでも選んでください」のトップが、「外出するときにマスクを着用する」の92%。さらに「あなたは、日常的にマスクを着用することを、つらいと感じますか、感じませんか」では、トップは「どちらかといえば感じない」が31%、次いで「感じない」が29%で、マスク着用に肯定的な層が6割を超えている。ちなみにこの設問で反対の立場である「感じる」が12%、「どちらかといえば感じる」が27%だった。ただし、この世論調査を読み解く際には2つの注意点がある。1つは調査の実施主体が読売新聞であることだ。新聞による無作為抽出世論調査の場合、回答者と新聞社の思想ベースが類似しがちになる。たとえば、保守的と分類されることが多い読売新聞の調査では、どうしても保守的な人が回答しがちになる。一方、リベラル傾向が強いと言われる朝日新聞社の読者に読売新聞社主催の調査が送付された際には回答拒否になる傾向が強まる。実際、今回のアンケートの回答を見ると、概して保守層に受け入れられやすいワクチン接種について、3回以上接種者は82%であり、現在の首相官邸が公開している総人口に占める3回ワクチン接種割合の68.6%と比べるとかなり高めだ。もう1つの注意点として、回答者の年齢層は50代以上が6割超を占めている。たとえば、調査で「あなたは、今後、自分が新型コロナウイルスに感染して重症になるのではないかという不安を、感じますか、感じませんか」では、「大いに感じる」「多少は感じる」の合計がやはり6割超である。その意味で今回明らかになったマスク信仰については、社会全体の傾向よりやや高めに出ていると解釈したほうが良いかもしれない。とは言っても、これだけの日本人にマスクが定着したという点には今回驚きを感じている。さて昨今の新型コロナの感染状況だが、すでに陽性者報告数は上昇トレンドに入り、第9波の到来が懸念されている。一部には早ければ5月下旬という説もある。現在、オミクロン株対応ワクチンの接種率は約45%と心もとないが、第8波でかなりの感染者が発生したことも考えると、今現在は事実上の「集団免疫」が成立している状況かもしれない。これに今回の世論調査でわかったマスク信仰の高さも考え合わせれば、もしかすると第9波は第8波を下回るのではないだろうか? もっともこれは個人的かつ希望的観測に過ぎない。ただ、間近に迫った新型コロナの感染症法上5類化で対応病床が減ると予想される中、その状態ですら医療側が対応可能なレベルかどうかは、かなり不透明ではないだろうか?

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妊娠中の抗うつ薬使用、リスクとベネフィットは?~メタ解析

 妊娠中の抗うつ薬使用は数十年にわたり増加傾向であり、安全性を評価するため、結果の統計学的検出力および精度を向上させるメタ解析が求められている。フランス・Centre Hospitalier Universitaire de Caen NormandieのPierre Desaunay氏らは、妊娠中の抗うつ薬使用のベネフィットとリスクを評価するメタ解析のメタレビューを行った。その結果、妊娠中の抗うつ薬使用は、ガイドラインに従い第1選択である心理療法後の治療として検討すべきであることが示唆された。Paediatric Drugs誌オンライン版2023年2月28日号の報告。 2021年10月25日までに公表された文献を、PubMed、Web of ScienceデータベースよりPRISMAガイドラインに従い検索した。対象研究は、妊娠中の抗うつ薬使用と、妊婦、胎芽、胎児、新生児、発育中の子供などの健康アウトカムの関連を評価したメタ解析とした。研究の選択およびデータの抽出は、2人の独立した研究者により重複して実施した。研究の方法論的質の評価にはAMSTAR-2ツールを用いた。各メタ解析の重複部分は、修正された対象エリアを算出することにより評価した。4段階のエビデンスレベルを用いて、データの統合を行った。主な結果は以下のとおり。・51件のメタ解析をレビューに含め、1件を除くすべてのリスク評価を行った。・各リスクの有意な増加は以下のとおりであった。 ●主な先天性奇形(メタ解析8件:SSRI、パロキセチン、fluoxetine) ●先天性心疾患(11件:パロキセチン、fluoxetine、セルトラリン) ●早産(8件) ●新生児の適応症状(8件) ●新生児遷延性肺高血圧症(3件)・分娩後出血の有意なリスク増加および、死産、運動発達障害、知的障害の有意なリスク増加については高いバイアスリスクで、限られたエビデンスが認められた(各々1件のみ)。・自然流産、胎児週数や出生時低体重による児の小ささ、呼吸困難、痙攣、摂食障害のリスク増加および、早期抗うつ薬曝露による自閉症のその後のリスク増加に関して、矛盾した不確実なエビデンスが確認された。・妊娠高血圧、妊娠高血圧腎症のリスク増加および、ADHDのその後のリスク増加に関するエビデンスはみられなかった。・重度または再発性のうつ病の予防について、1件の限られたエビデンスのみで、抗うつ薬使用のベネフィットが評価されていた。・新生児の症状(小~大)を除きエフェクトサイズは小さかった。・結果の方法論的な質は低く(AMSTAR-2スコア:54.8±12.9%[19~81%])、バイアスリスク(とくに適応バイアス)が高いメタ解析に基づいていた。・修正された対象エリアは3.27%であり、重複はわずかであった。・妊娠中の抗うつ薬治療は、第2選択として用いられるべきであることが示唆された(ガイドラインに従い心理療法後に検討)。・ガイドラインを順守し、パロキセチンやfluoxetineの使用をとどまらせることで、主要な先天性奇形リスクを防ぐことが可能である。・今後の研究では、不均一性やバイアス減少のため、母体の精神疾患と抗うつ薬の投与量を調整し、曝露のタイミングで分析を実行することが求められる。

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CTAで側副血行を確認の急性脳梗塞、6~24h後でも血管内治療は有効か/Lancet

 発症または最終健常確認から6~24時間(late window)の前方循環系主幹動脈閉塞による脳梗塞で、CT血管造影(CTA)により側副血行が確認された患者において、血管内治療は有効かつ安全であることが、オランダ・マーストリヒト大学医療センターのSusanne G. H. Olthuis氏らが実施した第III相試験「MR CLEAN-LATE試験」の結果、示された。前方循環系脳梗塞に対する血管内治療は、発症後6時間以内での有効性および安全性が確認されていた。著者は、「今回の結果は、主に側副血行路の有無に基づいてlate windowにおける血管内治療の対象患者を選択できることを支持するものである」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年3月29日号掲載の報告。側副血行が確認された患者を対象に、90日後のmRSスコアを評価 MR CLEAN-LATE試験は、オランダの脳卒中治療センター18施設で実施された多施設共同無作為化非盲検評価者盲検試験で、年齢18歳以上、CTAで前方循環系の主幹動脈(頭蓋内内頸動脈、中大脳動脈のM1部およびM2部)閉塞および側副血行が確認され、発症または最終健常確認から6~24時間、NIHSS神経機能欠損スコア2以上の患者を対象とした。なお、DAWN試験およびDEFUSE-3試験の選択基準と同様の臨床および画像プロファイルを有する患者は、オランダ国内のガイドラインに従って血管内治療を行い、MR CLEAN-LATE試験の登録からは除外した。 研究グループは、適格患者を最良の内科的治療に加えて血管内治療を行う群(血管内治療群)と行わない群(対照群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。無作為化はウェブベース行われ、ブロックサイズ範囲は8~20で、施設によって層別化された。 主要アウトカムは、無作為化90日後の修正Rankinスケール(mRS)スコア、安全性アウトカムは、無作為化90日後の全死因死亡と症候性頭蓋内出血とし、同意を延期または同意する前に死亡した患者を含む修正intention-to-treat集団を解析対象集団とした。解析は事前規定の交絡因子を調整して行われた。治療効果は多変量順序ロジスティック回帰分析で推定し、補正後共通オッズ比(acOR)と95%信頼区間(CI)により示した。90日後のmRSスコアは、血管内治療群で低下 2018年2月2日~2022年1月27日に535例が血管内治療群(268例)または対照群(267例)に無作為に割り付けられた。このうち、502例(94%)の患者が同意を延期または同意を得る前に死亡した(血管内治療群255例、対照群247例、女性261例[52%])。 90日後のmRSスコア中央値は血管内治療群3(四分位範囲:2~5)、対照群4(2~6)であり、血管内治療群が低かった。 多変量順序ロジスティック回帰分析の結果、血管内治療群でmRSのアウトカムが良好であることが認められた(acOR:1.67、95%CI:1.20~2.32)。全死因死亡は、両群で有意差はなかった(24%[62/255例]vs.30%[74/247例]、acOR:0.72、95%CI:0.44~1.18)。症候性頭蓋内出血は、血管内治療群のほうが対照群と比較して高頻度であった(7% vs.2%、4.59、1.49~14.10)。

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コロナ感染率と死亡率、米国各州で異なる要因は?/Lancet

 米国は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックへの対応に苦労したが、州別にみると一律ではなく、将来的なパンデミックの対策に活かせる点が見いだせたことを、米国・外交問題評議会(CFR)のThomas J. Bollyky氏らが、同国の公的データベースを用いた観察的分析の結果で報告した。著者は、「今回の調査結果は、将来の危機において、より良い健康アウトカムを促進するための臨床的および政治的介入の設計と目標に寄与するものとなるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年3月23日号掲載の報告。新型コロナ感染率・死亡率を州ごとに比較し、政策等との関連を検討 研究グループは、州間の感染率と死亡率のばらつき要因を特定し、現在および将来のパンデミックへの対応を改善するため、次の5つの重要な政策関連の課題を明らかにする検討を行った。(1)社会的、経済的、人種的な不平等がCOVID-19のアウトカムの州間のばらつきにどのように影響したか。(2)医療と公衆衛生のキャパシティが大きい州ほど、より良いアウトカムが得られたのか。(3)政治がアウトカムにどのように影響したか。(4)より多く、より長期に政策的な義務を課した州ほど、より良いアウトカムが得られたのか。(5)州での累積SARS-CoV-2感染と総COVD-19死の低下と、その州の経済的および教育的アウトカムとの間にトレードオフの関連はあるのかどうか。 検討では、保健指標評価研究所(IHME)のCOVID-19データベースより感染率および死亡率の推定値、商務省経済分析局のGDPデータ、連邦準備制度経済データの雇用率、国立教育統計センターの学生の標準テストの成績、国勢調査局の人種・民族に関するデータなど、米国の公的データベースから州別に抽出。COVID-19の影響緩和に成功した州の比較を容易にするため、感染率は人口密度で、死亡率は年齢および主要な併存疾患の有病率で標準化し、これらをパンデミック前の州の特性(教育水準、1人当たりの医療費など)、パンデミック中に州が採用した政策(マスク着用義務化、事業閉鎖など)、人口レベルの行動的反応(ワクチン接種、移動など)に回帰させた。州政府による感染防御の義務付けは感染率低下と、ワクチン接種率は死亡率低下と関連 2020年1月1日~2022年7月31日における標準化COVID-19累積死亡率は、米国内でばらつきがみられ(全国での死亡率は人口10万人当たり372例、95%不確定区間[UI]:364~379)、最低だったのはハワイ州(10万人当たり147例、95%UI:127~196)とニューハンプシャー州(10万人当たり215例、95%UI:183~271)で、最高はアリゾナ州(10万人当たり581例、95%UI:509~672)とワシントンDC(10万人当たり526例、95%UI:425~631)であった。 貧困率が低い、平均教育年数が長い、対人信頼感を示す人の割合が高いことは、感染率および死亡率の低下と関連していたが、黒人(非ヒスパニック系)またはヒスパニック系の割合が高い州は死亡率が高いことと関連していた。質の高い医療へのアクセスは、COVID-19による死亡とSARS-CoV-2感染の総数減少と関連していたが、州レベルでは、公的医療費や人口当たりの公衆衛生職員数の増加は関連していなかった。 州知事の所属政党はSARS-CoV-2感染率やCOVID-19死亡率の低下と関連していなかったが、COVID-19アウトカムの悪化は2020年共和党大統領候補に投票した州の有権者の割合と関連していた。 州政府による感染防御義務の採用は、マスク着用、移動度の低さ、およびワクチン接種率の高さと同様に感染率の低下と関連しており、ワクチン接種率は死亡率の低下と関連していた。 州のGDPと学生の読解力テストの成績は、州のCOVID-19政策対応、感染率、死亡率とは関連していなかった。しかし、雇用はレストランの閉鎖および感染率、死亡率の上昇と統計学的に有意に関連しており、雇用率が1ポイント上昇した州では、感染者が人口1万人当たり平均1,574例(95%UI:884~7,107)増加した。いくつかの政策的義務や感染防御行動は、小学4年生の数学のテストの点数低下と関連していたが、州レベルの学校閉鎖の推定値との関連性は確認されなかった。 結果を踏まえて著者は、「構造的不平等をできるだけなくして、ワクチン接種や対象を絞ったワクチン接種の義務化など科学的根拠に基づく介入策を展開し、社会全体でその適用を促進した州は、COVID-19死亡率を最小限に抑えるという点で最も優れた国に匹敵することができた」とまとめ、「COVID-19は、米国社会全体にすでに存在していた社会的、経済的および人種的な不平等の二極化と持続を拡大したが、次のパンデミックでは必ずしも同じ轍は踏まないだろう」と述べている。

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5歳未満のコロナワクチン、地域の流行状況と有効性のバランスを鑑みて(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

 生後6ヵ月~4歳児に対するファイザー製コロナワクチン「BNT162b2」3回接種の安全性と有効性がNEJM誌に示されたので、現状と照らし合わせて検討してみたい。現在日本では、6ヵ月~4歳児に対するコロナワクチンは、この論文で示されている12歳以上の1/10量であるBNT162b2ワクチン3μgを3週間間隔で2回、その後8週間以上空けて3回目接種が可能となっている(厚生労働省「生後6か月~4歳の子どもへの接種(乳幼児接種)についてのお知らせ」)。 本研究では用量設定試験である第I相の結果から3μgの用量を採用した。第II/III相試験において、6ヵ月~2歳児1,178例と2~4歳児1,835例にBNT162b2ワクチンを、それぞれ598例と915例にプラセボを接種して比較検討した。また3回目接種まで完了した児は6ヵ月~2歳児で386例、2~4歳児で606例であった。最も重要な安全性の項目に関しては、ほとんどが軽度~中等度の接種反応イベントとなっており、Grade4のイベントは確認されなかったとされる。大人では頻度の高い発熱も、6ヵ月~2歳児で7%、2~4歳児で5%程度と報告されている。有効性に関してはオミクロン変異株流行下におけるコロナ発症予防効果が、3回目接種後の1週間以降で73.2%と示された。 2023年3月の本論考の執筆時点では、日本の第8波のコロナ流行はほぼ収束しており、コロナワクチン接種の有用性を感じにくくなっている。第7波、第8波の到来から日本小児科学会では、生後6ヵ月~4歳の小児でもコロナワクチン接種のメリットがあると捉え、「努力義務」としている(日本小児科学会「生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」)。オミクロン変異株流行期以降は呼吸不全こそまれであるものの、重症例や死亡例が増加していることや、コロナ感染に伴う熱性けいれんや脳症などの重症例が報告されていることに基づいている。また、これまでに有効性の知見から、重症化予防効果は発症予防効果を上回ることが期待されるため、生後6ヵ月~4歳の小児においてもコロナワクチン接種が推奨されている。 先日3月28日に世界保健機関(WHO)から発表された「新型コロナウイルス感染症ワクチン接種ガイダンス」においては、健康な生後6ヵ月~4歳児に対するワクチン接種は「低優先度」に分類されている。1次接種(1、2回目ワクチン接種)や追加接種(3回目ワクチン接種)に関しては有効性や安全性が確認されているものの、他の予防接種に比べベネフィットが少なく、各国の感染状況や費用対効果などを鑑みることとされている(WHO : SAGE updates COVID-19 vaccination guidance)。 本研究ではワクチン接種に伴う副反応に対しても検討されている。発赤や腫脹などの接種部位反応や発熱などの項目に関しては生後6ヵ月~4歳児でも正確な評価が可能だが、倦怠感や頭痛、筋痛や関節痛に関する客観的な項目に関しての評価はNEJM誌に掲載された論文といえども、にわかには信じ難いと4児のパパとしては考える(田中)。もちろん成人に比べワクチン接種量も少なく、局所の副反応も全身性の副反応も頻度は低く、安全性は許容範囲内と捉えられる。現在のコロナ感染が落ち着いている状況下でワクチン接種を進めていくことはいささか難しいと考えるが、今後起こりうる流行の状況や安全性・有効性を考えて、小児期に接種する他の予防接種の間に組み込むことは何の問題もないのではと考える。

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花見と引っ越し【Dr. 中島の 新・徒然草】(471)

四百七十一の段 花見と引っ越し大阪では桜が満開!私のマンションでは先週末、近所の公園で花見がありました。とはいえ、花粉症の私にとっては難行苦行。でも、自治会役員をしているので行かないわけにはいきません。10年ほど前にも自治会役員として参加しました。その時の参加者は10人ちょっと。全然盛り上がらなかったので、準備も進行も楽でした。でも、今回は予想外。よほどコロナの3年間がフラストレーションだったのでしょうか。なんと62人が参加表明しました。62人ですよ、62人!場所取りも、弁当の準備も、ビールを冷やすのも、何もかもが大掛かりです。中にはキリンじゃなくてアサヒをくれ、と言う人までいて大変。私も抗ヒスタミン薬を飲んで参加しました。幸い薬が効いたのか、桜の下で弁当を広げても問題なし。皆さん、ビールを飲んで楽しんでおられたようです。とはいえ、それだけと言えばそれだけ。前日に行われた近所の自治会の花見は異常に力が入っていました。詩吟だとか、ハワイアンフラだとか、フォークダンスだとか。どう考えても高齢者主体のプログラムですね。ウチの管理組合も自治会も、それぞれ10年ごとくらいに役員が回ってきます。が、住民の高齢化に伴い、体の動かない人も多くなってきました。最近は75歳以上を免除にしようという話があります。でも、そんなことをすると若い人にどんどん回ってくるかもしれません。現役で働きながら役員をするというのも厳しい話です。私も体が動く間だけでも貢献しようと思っているのですが……さて、週明けの月曜日は4月最初の出勤日。異動や定年で去った先生の部屋の前には、不要になった本が山積み。中には本棚とかソファまで廊下に置いていった人もいます。そのうち誰かが片付けてくれるのでしょうか?そういえば、親戚の家を片付けていた女房も、古本を買取屋に持っていったそうです。なぜか『サンタフェ』には値段が付かず『養生訓』が売れました。養生訓を書いたのは貝原 益軒ですが、何かと引用されますね。パッと浮かぶのは、「接して漏らさず」とか「腹八分目」とか。医師であるだけに、健康オタクでもあったようです。試しにChatGPTに「貝原 益軒の『接して漏らさず』を説明して」と尋ねてみました。すると、とんでもない答えが……「人と接する際には、相手の話を注意深く聞き、相手の言葉や気持ちを漏らさずに受け止めることが大切であるという意味が込められています」ほんまかいな!もっともらしい回答に思わず騙されそうになりました。知ったかぶりをしないよう、ChatGPTには説教しておくことにいたしましょう。ということで花見と引っ越し。すっかり年度替わりの風物詩になったようです。最後に1句新年度 異動で残る 本の山

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オンライン学会の英語発表!トラブル時に使えるこの表現【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第13回

オンライン学会の英語発表!トラブル時に使えるこの表現コロナ禍で急増したオンライン学会。オンラインのプレゼンでは、オフライン(現地)とはまた違った特有の言い回しを知っておく必要があります。ここでは、そんな「オンライン学会ならでは」のフレーズを取り上げます。たとえば、よくあるこんなトラブル。「映像がうまく映らない」、「音声がうまく聞こえない」などの際には、どのように伝えればよいでしょうか?映像のトラブルシューティングが必要な際のフレーズCan you see my slides?(私のスライドが見えていますか?)I’m afraid I can’t see your screen very well.(残念ながら、あなたの画面があまりよく見えません)これらはとてもシンプルな文法で、あまり難しくはないでしょう。例文にある“I’m afraid”は絶対に必要なわけではありませんが、冒頭に付けることで、マイルドな言い方にすることができます。学会などでは見ず知らずの人とやり取りをすることが大半ですから、このような表現も覚えておくと便利です。I may have a problem with the connection.There might be something wrong with my Wi-fi.(インターネット/Wi-Fiの接続が悪いかもしれません)インターネットの接続が悪い場合には、“connection”という単語を使うことができます。あるいは、単に“Wi-fi”と言ってもよいでしょう。音声のトラブルシューティングが必要な際のフレーズYour voice is breaking up.(そちらの音声が途切れ途切れです)“break up”は恋愛のシーンで恋人同士が別れてしまったときに使うフレーズとして記憶している人も多いかもしれません。しかし、ここではそういう意味ではなく、「音声が途切れ途切れである」ことを示すために用いています。単に“You are breaking up.”と言うだけでも同じ意味で用いることができます。加えて、その後に“a lot”や“a bit”などを付けることにより、「ひどく」「ちょっと」というような音声の途切れ方の程度を示すこともできます。I’m afraid I can’t hear you well.(残念ながらあなたの音声がよく聞こえません)Could you get closer to the microphone?(もう少しマイクに近づけますか?)Sorry for the noise in the background.(周りが騒がしくてすみません)Could you mute yourself, please?(音声をオフにしていただけますか?)このあたりも、文法的には平易な文章でしょう。音声の「オン・オフ」は(すでにカタカナで日本語にもなっていますが)“unmute”、“mute”という動詞を使います。音声をオフにしてほしいときには、“mute”という動詞を使います。講師紹介

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第39回 フードコートのアクリル板は必要か?

感染対策の引き算手洗いや「3密」回避などの政府の基本的対処方針に基づき、各業界は感染対策のガイドラインを作成していましたが、5月8日から「5類感染症」に移行することで、基本的対処方針とそれに基づくガイドラインは廃止される方針です。となると、引き算していく感染対策を検討することになります。東京都民1万人が回答したアンケート調査によると、「もうやめたほうがよい」と思う感染対策は、「学校におけるマスク着用」、「黙食」、「ハンドドライヤー使用禁止」、「窓口や飲食店でのアクリル板やビニールの仕切り設置」が上位にランクインしています(図)。画像を拡大する図. 東京iCDCリスコミチームによる都民アンケート調査結果(2023年2月実施)、第119回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和5年3月23日)資料1)子供のワクチン接種率が低い学校では、有効とされる感染対策のマスクを一律に緩和することについてはさまざまな意見があります。個人的には、インフルエンザと同じように流行に応じて対応すればよいと思っています。フードコートのアクリル板アクリル板などのパーティションについては、結局ヒトの感染リスクを検討した明確なエビデンスがありません。物理的に飛沫を遮断する効果は当然あるので、アドバイザリーボードでも「今後も活用はあり得る」という玉虫色の結論となっています2)。私も子供連れでよくフードコートに行くのですが、現在もアクリル板の仕切りがあります。フードコートは、たとえ定期的に清掃をしているとしても、空いた席に次の人が座っていくシステムですから、前の使用者か次の使用者がきれいに清掃することが重要です。とはいえ、アクリル板まで拭きあげる人はほとんどおらず、飛び散ったうどんの汁や鉄板の油などでアクリル板が汚れていることのほうが多く、家族4人で座ったとき、汚いアクリル板で分断されている現状を非常に残念に思っています。フードコートは、よほどの混雑でなければ、相席ということは起こりません。なので、個人的には飲食店の形態に応じて引き算していけばよいのではと考えています。まれに起こる相席を想定してまで、アクリル板を設置するのはナンセンスだと思います。現時点で、政府は「事業者の判断に委ねる」という方針のようです。参考文献・参考サイト1)東京iCDCリスコミチームによる都民アンケート調査結果(2023年2月実施)、第119回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和5年3月23日)資料2)これからの身近な感染対策を考えるにあたって(第四報)~室内での感染対策におけるパーティションの効果と限界~、第119回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和5年3月23日)資料

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尿酸値が上がりにくいアルコールは?~日本人8万人のデータ

 飲酒は高尿酸血症の重要なリスク因子だが、アルコール飲料の種類ごとの血清尿酸値への影響の詳細はわかっていない。今回、聖路加国際病院の福井 翔氏らが、日本人7万8,153人の健康診断データを用いて横断研究を実施した結果、飲酒量をエタノール含有量で統一した場合、ビールでの血清尿酸値上昇は大きく、ワインでは中程度の上昇、日本酒での上昇はわずかで有意ではなかったことが示された。JAMA Network Open誌2023年3月17日号に掲載。尿酸値はアルコール飲料によって上昇の程度が異なる 本研究は、2012年10月1日~2021年10月31日に聖路加国際大学で健康診断を実施した20歳以上の参加者を対象とした横断研究で、ビール、日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキーの摂取量をエタノール含有量で統一し、血清尿酸値との関連を評価した。血清尿酸値は健康診断時に測定した。エタノール20gを含む各アルコール飲料を基準飲酒単位(ビール500mL、日本酒167mL、焼酎100mL、ワイン208mL、ウイスキー62.5mL)とした。 アルコール飲料の種類ごとの尿酸値への影響を横断研究した主な結果は以下のとおり。・本研究には計7万8,153人が参加し、平均年齢は47.6歳(標準偏差:12.8歳)、男性が3万6,463人(46.7%)、習慣飲酒者は4万5,755人(58.5%)であった。・主にビールを飲んでいる群では、男女とも一貫して血清尿酸値がアルコール摂取量に関連しており、1日1単位摂取におけるβ係数は、男性で0.14mg/dL(95%信頼区間:0.11~0.17mg/dL、p<0.001)、女性で0.23mg/dL(同:0.20~0.26mg/dL、p<0.001)だった。・主に日本酒を飲んでいる群では、血清尿酸値はわずかに上昇したが有意ではなく、β係数は、男性で0.05mg/dL(同:-0.01~0.10、p=0.10)、女性で0.04mg/dL(同:-0.05~0.14、p=0.38)だった。・主に焼酎を飲んでいる群では、血清尿酸値が中程度上昇し、β係数は、男性で0.05mg/dL(同:0.03~0.08、p<0.001)、女性で0.11mg/dL(同:0.07~0.16、p<0.001)だった。・主にワインを飲んでいる群では、血清尿酸値が中程度上昇し、β係数は、男性で0.12mg/dL(同:0.06~0.17、p<0.001)、女性で0.12mg/dL(同:0.08~0.16、p<0.001)だった。・主にウイスキーを飲んでいる群では、男性のβ係数は0.18mg/dL(同:0.10~0.27、p<0.001)と高かったが、女性で0.06mg/dL(同:-0.05~0.16、p=0.27)だった。 本結果から、エタノール含有量を統一した場合も飲酒と血清尿酸値の関連の程度がアルコール飲料によって異なることが示唆された。男女ともアルコール飲料ではビールが一貫して高い血清尿酸値と関連していたが、日本酒は血清尿酸値の変化と関連していなかった。

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日本における若年性認知症の初期症状とは

 東京都健康長寿医療センター研究所の枝広 あや子氏らは、認知症のサブタイプごとに、若年性認知症の初期症状を調査した。その結果、若年性認知症はサブタイプにより初期症状の頻度に違いがあることが明らかとなった。著者らは、本結果が若年性認知症の初期症状に対する一般の人々の意識向上に貢献し、早期診断や社会的支援が促進されるだろうと述べている。Psychogeriatrics誌オンライン版2023年2月22日号の報告。 日本における全国的な人口ベースの若年性認知症有病率調査を実施した。データは、若年性認知症を有する人が利用する医療サービス提供者を通じて収集した。初期症状は、記憶障害、失語障害、易刺激性、意欲低下、職場や家庭でのミスの増加、それ以外の異常な行動や態度といった6つのドメインで評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象は、若年性認知症を有する770例。・認知症のサブタイプごとに特徴的な初期症状が観察された。・アルツハイマー病では、記憶障害がより頻繁に認められた(75.7%、p<0.001)。・血管性認知症では、失語障害がより一般的であった(41.3%、p<0.001)。・前頭側頭型認知症では、意欲低下(34.9%、p<0.001)、職場や家庭でのミスの増加(49.4%p<0.001)、それ以外の異常な行動や態度(34.9%、p<0.001)が高率に認められた。・女性では記憶障害が、男性では易刺激性がより多く観察された。・対象者の半数以上が発症時に雇用されており、そのうちの57.2%は初期症状として職場や家庭でのミスの増加が認められた。

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ペムブロリズマブ+化学療法、悪性胸膜中皮腫1次治療のOSを改善/MSD

 2023年3月10日、Merck社は切除不能な進行または転移のある悪性胸膜中皮腫の1次治療においてペムブロリズマブと化学療法の併用療法を評価する第II/III相CCTG IND.227/KEYNOTE-483試験で、主要評価項目の全生存期間(OS)を達成したことを発表した。 IND.227/KEYNOTE-483試験は、Canadian Cancer Trials Group(CCTG)が実施医療機関となり、National Cancer Institute of Naples(NCIN)およびIntergroupe Francophone de Cancerologie Thoracique(IFCT)と共同で実施する非盲検無作為化第II/III相試験である。同試験では切除不能な進行悪性胸膜中皮腫の治療においてペムブロリズマブと化学療法の併用療法を評価した。主要評価項目はOSで、副次評価項目は盲検下独立判定機関(BICR)が評価した無増悪生存期間(PFS)および客観的奏効率(ORR)のほか、安全性、生活の質(QoL)であった。 同試験の最終解析でペムブロリズマブと化学療法の併用療法群は、化学療法単独群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意味のあるOSの改善が認められた。本試験におけるペムブロリズマブと化学療法の併用療法の安全性プロファイルはこれまでに報告されている試験の結果と一貫していた。 悪性中皮腫は胸部、腹部、心臓、精巣など体の特定の部位を覆う膜に発生するがんで、2020年には世界で3万人以上が新たに診断され、2万6,000人以上が死亡したと推定されている。胸膜中皮腫は、悪性中皮腫の中で最も多く、約75%を占めている。悪性胸膜中皮腫は多くの場合進行が速く、5年生存率はわずか12%とされる。 この結果は、今後さまざまな腫瘍関連学会で発表するとともに、世界各国の規制当局へ承認申請する予定である。

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アルツハイマー病治療薬lecanemab、病態進行を2~3年遅延/エーザイ

 エーザイは4月4日付のプレスリリースにて、同社の早期アルツハイマー病(AD)治療薬lecanemabについて、長期的な健康アウトカムへの影響をシミュレーション評価した結果が、Neurology and Therapy誌オンライン版2023年4月2日号1)に掲載されたことを発表した。本シミュレーションでは、lecanemabによる治療により、AD病態進行を既存治療よりも平均2~3年遅らせ、患者が早期AD段階に留まる期間が延長され、QOL改善の可能性が示された。また、より早期の軽度認知障害(MCI)の段階で投与を開始した場合、病態進行を遅らせる効果がより大きい可能性も明らかとなった。 今回掲載となった論文は、2022年4月に発表された臨床第IIb相試験(201試験)の結果を用いた長期的健康アウトカムのシミュレーション評価を、臨床第III相Clarity AD試験データによってアップデートしたもので、アミロイド病理を有する早期AD患者において、標準治療群(アセチルコリンエステラーゼ阻害剤もしくはメマンチンの安定投与を含む)とlecanemab群(標準治療+lecanemab投与)の長期的臨床アウトカムが比較された。 解析は、lecanemabの有効性と安全性を評価したClarity AD試験のデータおよび公表文献を用い、ADの自然な進行をシミュレートした、疾患シミュレーション・モデル(AD ACEモデル)に基づいている。 主な結果は以下のとおり。・lecanemab群では、標準治療群と比較し、軽度、中等度、高度ADへの病態進行の推定生涯リスクがそれぞれ7.5%、13.7%、8.8%減少する可能性が示された。・lecanemab投与により約5%の患者が介護施設への入所を回避できる可能性が示された。・標準治療群と比較して、lecanemab群では軽度ADへの進行は2.71年(標準治療群vs. lecanemab群:2.35年vs.5.06年)、中等度への進行は2.95年(同:5.69年vs.8.64年)、高度への進行は2.24年(同:8.46年vs.10.79年)遅延することが示された。・介護施設への入所は0.60年(同:6.25年vs.6.85年)遅延することが示された。・質調整生存年(QALY)*は、標準治療群と比較して、lecanemab群では0.71QALY(同:3.68QALY vs.4.39QALY)増加した。・ベースライン時の年齢や病態の進行度別のサブグループ解析を行った結果、より早期の軽度認知障害(MCI)の段階で投与を開始した場合、病態進行を遅らせる効果がより大きい可能性が明らかとなった。lecanemab群では標準治療群と比較して、軽度への進行が2.55年(同:2.46年vs.5.01年)、中等度への進行は3.15年(同:6.02年vs.9.17年)遅延した。*質調整生存年(QALY)は、健康アウトカムの価値を示す指標で、生存年(=量)と生命の質(QOL)を1つの指標数値にまとめたもの(QALY=QOLスコア×生存年)。1QALYは、完全に健康な状態での1年間に相当。

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インヒビター保有の重症血友病A・B、siRNA薬fitusiranが出血抑制/Lancet

 インヒビターを保有する重症血友病AまたはB患者において、fitusiranの予防的皮下投与は、年間出血率を統計学的有意に改善し、被験者の3分の2において出血を認めなかったことが、米国・南カリフォルニア大学のGuy Young氏らによる第III相多施設共同非盲検無作為化試験「ATLAS-INH試験」で示された。fitusiranは、アンチトロンビンを標的とする新規開発の短鎖干渉RNA(siRNA)治療薬で、インヒビター保有の有無を問わず血友病AまたはB患者の止血バランスを調整する。本検討は、fitusiranの予防的投与の有効性と安全性を評価したもので、結果を踏まえて著者は、「fitusiranの予防的投与が、血友病患者の治療管理を改善する可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年3月29日号掲載の報告。fitusiran予防的投与とBPA出血時投与で平均年間出血率を比較 ATLAS-INH試験は、12ヵ国26ヵ所の医療機関(主に第2次・3次医療センター)で実施された。第VIII因子または第IX因子に対するインヒビターを保有する重症血友病AまたはBで、出血時にバイパス製剤(BPA)投与を受けている12歳以上の男性患者を、fitusiran(80mg/月)を予防的に皮下投与する群(fitusiran予防的投与群)、出血時にBPA投与を継続する群(BPA出血時投与群)に2対1の割合で無作為に割り付けた。投与期間は9ヵ月だった。 主要エンドポイントは、有効性判定期間(29~246日目)のITT集団における平均年間出血率で、負の二項分布モデルで推定した。安全性については、副次エンドポイントとして安全性集団を対象に評価した。平均年間出血率はfitusiran群1.7%、BPA群18.1% 2018年2月14日~2021年6月23日に、85例がスクリーニングを受け、うち57例(67%)が無作為化を受け全例が試験を完了した(ITT集団、年齢中央値27.0歳[四分位範囲:19.5~33.5]、BPA出血時投与群19例[33%]、fitusiran予防的投与群38例[67%])。安全性集団は、60例(BPA出血時投与群19例、fitusiran予防的投与群41例[無作為化を受けずにfitusiranの予防的投与を受けた3例を含む])を対象とした。 負の二項分布モデルで推定した平均年間出血率は、BPA出血時投与群18.1%(95%信頼区間[CI]:10.6~30.8)に対し、fitusiran予防的投与群は1.7%(1.0~2.7)と有意に低率で(p<0.0001)、fitusiran予防的投与は年間出血率を90.8%(95%CI:80.8~95.6)低下させた。 治療を要する出血が認められなかったのは、BPA出血時投与群1例(5%)に対し、fitusiran予防的投与群は25例(66%)だった。 fitusiran予防的投与群で最も多くみられた治療中に発現した有害事象は、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加で、13/41例(32%)に認められた。同有害事象はBPA出血時投与群では認められなかった。また、血栓イベントの疑いまたは確定例は、fitusiran予防的投与群で2例(5%)認められた。試験期間中の死亡は報告されなかった。

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死亡・CVリスクを低下させる食事法は?40試験のメタ解析/BMJ

 カナダ・マニトバ大学のGiorgio Karam氏らが7つの代表的な食事プログラムに関する試験についてメタ解析を行い、地中海式食事と低脂肪食を推奨するプログラムは、身体活動やその他の介入の有無にかかわらず、心血管疾患リスクが高い患者の全死因死亡および非致死的心筋梗塞を低減するという、中程度のエビデンスが示されたことを明らかにした。地中海式食事プログラムは、脳卒中リスクも低減することが示唆された。概してその他の食事プログラムは、最低限の介入(食事パンフレット配布など)に対する優越性は示されなかったという。BMJ誌2023年3月29日号掲載の報告。有名な構造的食事プログラム7つについてメタ解析で評価 研究グループは、心血管疾患リスクが高い患者の死亡および主要心血管イベントの予防について、名の知れた構造的食事療法と健康的な行動プログラム(食事プログラム)の相対的有効性を、無作為化比較試験のシステマティックレビューとネットワークメタ解析で評価した。 2021年9月時点でAMED(Allied and Complementary Medicine Database)、CENTRAL(Cochrane Central Register of Controlled Trials)、Embase、Medline、CINAHL(Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature)、ClinicalTrials.govを検索。心血管疾患リスクが高い患者について、食事プログラムと最低限の介入(健康的な食事に関するパンフレット配布など)または代替プログラムを比較した、9ヵ月以上追跡し、死亡または主要心血管イベント(脳卒中や非致死的心筋梗塞など)に関する報告のある無作為化試験を選択した。食事プログラムには、食事介入に加えて、運動や行動支援を含むものもあり、また副次的介入として薬による治療も含んだ。 アウトカムは、全死因死亡、心血管死、および個々の心血管イベント(脳卒中、非致死的心筋梗塞、予定外の心血管インターベンション)。 2人のレビュアーがそれぞれデータを抽出しバイアスリスクを評価。頻度主義的推定とGRADE(grading of recommendations assessment, development and evaluation)法を用いてランダム効果ネットワークメタ解析を行い、各アウトカムのエビデンスの確実性を評価した。 7つの食事プログラムに関する40件の適格試験(低脂肪食18、地中海式食事12、超低脂肪食6、加工脂肪食4、低脂肪+低ナトリウム食3、オーニッシュ食3、プリティキン食1)、被験者総数3万5,548例が解析に包含された。地中海式食事、全死因死亡28%減、心血管死45%減、非致死的心筋梗塞52%減 最終追跡報告時点で、中程度のエビデンスとして、地中海式食事プログラムは最低限の介入に対して、全死因死亡(オッズ比[OR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.56~0.92、中程度リスク患者のリスク差:追跡5年で-17/1,000例)、心血管死(0.55、0.39~0.78、-13/1,000例)、脳卒中(0.65、0.46~0.93、-7/1,000例)、非致死的心筋梗塞(0.48、0.36~0.65、-17/1,000例)の予防について優れることが示された。 また、中程度のエビデンスとして、低脂肪食プログラムは最低限の介入に対して、全死因死亡(OR:0.84、95%CI:0.74~0.95、中程度リスク患者のリスク差:追跡5年で-9/1,000例)、非致死的心筋梗塞(0.77、0.61~0.96、-7/1,000例)の予防について優れることが示された。 地中海式および低脂肪の両食事プログラムの絶対的有効性は、リスクがより高い患者で顕著だった。死亡と非致死的心筋梗塞のリスクについて、両食事プログラム間で証拠に基づく差はなかった。 その他の5つの食事プログラムについては概して、最低限の介入と比較してもベネフィットはほとんど、またはまったくないことが低~中程度のエビデンスで認められた。

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潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法におけるetrasimodの有用性(解説:上村直実氏)

 潰瘍性大腸炎(UC)の治療に関して、基準薬である5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤に変化はないが、有害事象が危惧されているステロイドは総使用量と使用期間が可能な限り控えられるようになり、新たな生物学的製剤や低分子化合物の分子標的治療が主流になりつつある。抗TNF-α抗体薬、インターロイキン阻害薬、インテグリン阻害薬、ヤヌスキナーゼ阻害薬などの開発により難治性のUCが次第に少なくなってきているものの、いまだに十分な効果が得られない患者や副作用により治療が中断される重症患者も少なくなく、新たな治療薬の追加が求められている。 今回、ozanimodに続く2番目の低分子スフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体調節薬であるetrasimodの活動性UCに対する有効性と安全性を示す研究結果が、2023年3月のLancet誌に掲載された。本試験の維持療法部分のデザインは、通常の導入試験において寛解できた症例を対象とするResponder re-randomisation designではなく、寛解導入試験開始時の割り付けのままで維持療法終了時まで一貫して評価するTreat through designを採用している点が特徴的であり、今後、論議される点と思われる。 本試験の主要評価項目である活動性UCの臨床的寛解導入率および寛解維持率がプラセボに比べて統計学的に有意に高いことが示されているが、実薬の寛解導入および維持率は25%ないしは33%程度であり、対象の70%くらいの症例にとっては著明な効果が得られたとはいえない結果である。すなわち、臨床現場において従来の治療に抵抗性の重症UC患者に対してetrasimodを使用しても、十分な寛解効果を得ることができない患者が多く存在することを意味している。次々と開発されている分子標的治療薬の臨床治験の結果は、ほぼ同様の寛解率が報告されており、有効性の高い新規薬剤のさらなる開発が希求されている。 一方、安全性に関して本薬剤は免疫能低下の有害事象が少なく、重篤な感染症のリスク上昇を伴う他の新規治療薬とは異なる利点を有している。さらに、UC患者に使用される薬剤は長期使用が必要であるため、今後、長期使用の有用性と安全性に関する成績が必須であり、そのためには日本でも全国的な患者データベースの構築が待たれる。 最後に、これだけ高価な分子標的治療薬が次々と出現するたびに、学会発の診療ガイドラインに新たな選択肢として追記されるが、プラセボ対照試験ではなく市販後の新規薬剤同士の試験により、実際の臨床現場で困っている患者個人個人にとって適切な生物学的製剤や低分子化合物の選択を可能とするエビデンスが必要と思われる。

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HFpEF診療はどうすれば…?(後編)【心不全診療Up to Date】第7回

第7回 HFpEF診療はどうすれば…?(後編)Key Points簡便なHFpEF診断スコアで、まずはHFpEFの可能性を評価しよう!HFpEF治療、今できることを整理整頓、明日から実践!HFpEF治療の未来は、明るい?はじめに近年、HFpEF(heart failure with preserved ejection fraction)は病態生理の理解、診断アプローチ、効果的な新しい治療法の進歩があるにもかかわらず、日常診療においてまだ十分に認識されていない。そのような現状であることから、前回はまず最新の定義、病態生理についてレビューした。そして、今回は、その後編として、HFpEFの診断、そして治療に関して、最新情報を含めながら皆さまと共有したい。 HFpEFの診断スコアってご存じですか?呼吸苦や倦怠感などの心不全徴候を認め、EF≥50%でうっ血を示唆する客観的証拠を認めた場合、HFpEFと診断される1)。そのため、エコーでの拡張障害の評価はHFpEFを診断する上では必要がなく、またNa利尿ペプチド(NP)値が正常であっても、HFpEFを除外することはできないと前回説明した。では、具体的にどのようにして診断を進めていくとよいか、図1を基に考えていこう。(図1)HFpEFが疑われる患者を評価するためのアプローチ方法画像を拡大するまず、原因不明の労作時息切れを主訴に来院された患者に対して、病歴、身体所見、心エコー検査、臨床検査などからHFpEFである可能性を検討するわけであるが、その際に大変参考になるのが、診断のためのスコアリングシステムである。たとえば、米国で開発されたH2FPEFスコアでは、スコア5点以上であれば、HFpEFが強く疑われ(>80% probability)、1点以下であれば、ほぼ除外できる2)。ただし、NP値上昇や心不全徴候を認めるにも関わらず、H2FPEFスコアが低い場合は、アミロイドーシスやサルコイドーシスのような浸潤性心筋症など非典型的なHFpEFの原因疾患を疑う姿勢が重要である点も強調しておきたい(図2)。(図2)HFpEFを発症し得る治療可能な疾患画像を拡大するこれらのスコア算出の結果、HFpEFの可能性が中程度の患者に対しては、運動負荷検査が推奨される。運動負荷検査には、心エコー検査と右心カテーテル検査があるが、診断のゴールドスタンダードは、右心カテーテル検査による安静時および運動時の血行動態評価であり、安静時PAWP≥15mmHgもしくは労作時PAWP≥25mmHg(spine)、もしくは労作時PAWP/心拍出量slope>2mmHg/L/min(upright)を満たせば、HFpEFと診断できる3)。ただ、侵襲的な運動負荷検査は、どの施設でも気軽にできるものではなく、受動的下肢挙上や容量負荷といった代替的な検査法の有用性に関する報告もある4-6)。とくに心エコー検査にて下肢挙上後の左房リザーバーストレインの低下は、運動耐容能の低下とも関連していたという報告もあり、非侵襲的であることから一度は施行すべき検査手法と考えられる7)。なお、脈拍応答不全の診断については、Heart rate reserve([最大心拍数-安静時心拍数]/[220-年齢-安静時心拍数])を算出し、0.8未満(β遮断薬内服時は0.62未満)であれば、脈拍応答不全あり、と一般的に定義される8)。なお、私自身も現在、HFpEF早期診断のためのウェアラブルデバイス開発に取り組んでいるが、今後はより非侵襲的に診断できるようになることが切望される。そして、HFpEFであると診断した後、まず考えるべきことは『原因は何だろうか?』ということである。なぜなら、その鑑別疾患の中には治療法が存在するものもあるからである(図2)。アミロイドーシスを疑うような手根管症候群や脊柱管狭窄症を示唆する身体所見はないか、頚静脈もしっかり観察してKussmaul徴候はないか、心エコーにて中隔変動(septal bounce)や肝静脈血流速度の呼気時の拡張期逆流波はないか、スペックルトラッキングエコーによる左室長軸方向ストレイン(GLS, global longitudinal strain)のbullseye mapに特徴的なパターンがないか…など、ぜひご確認いただきたい9)。HFpEF治療の今、そして今後は?かかりつけ医の先生方にもご承知いただきたいHFpEF治療の流れを図でまとめたので、これを基にHFpEF治療の今を説明する(図3)。(図3)HFpEF治療 2023画像を拡大するHFpEFの診断が確定し、図2に記載してあるような疾患を除外した上で、まず考慮すべき処方は、SGLT2阻害薬である。なぜなら、EMPEROR-Preserved試験およびDELIVER試験において、SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンおよびダパグリフロジンが、EF>40%の心不全患者において、主要エンドポイントである心不全入院または心血管死が20%減少することが示されたからである(ただし、eGFR<20mL/min/1.73m2、1型糖尿病、糖尿病性ケトアシドーシスの既往がある場合は避ける。そのほかSGLT2阻害薬使用時の注意事項は、「第3回 SGLT2阻害薬」を参照)10, 11)。そして、それと同時に身体所見、臨床検査、画像検査などマルチモダリティを活用して体液貯留の有無を評価し、体液貯留があれば、ループ利尿薬や利水剤(五苓散、牛車腎気丸、木防已湯など)を使用し12)、TOPCAT試験の結果から心不全入院抑制効果が期待され、薬価が安いMR拮抗薬の投与をできれば考慮いただきたい13)。とくにカリウム製剤が投与されている患者では、それをMR拮抗薬へ変更すべきであろう。そして、忘れてはならないのが、併存疾患に対するマネージメントである。高血圧があれば、130/80mmHg未満を達成するように降圧薬(ARB、ARNiなど)を投与し、鉄欠乏性貧血(transferrin saturation<20%など)があれば、骨格筋など末梢の機能障害へのメリットを期待して鉄剤(カルボキシマルトース第二鉄[商品名:フェインジェクト])の静注投与を検討する。そのほか、肥満、心房細動、糖尿病、冠動脈疾患、慢性腎臓病、COPD、睡眠時無呼吸症候群などに対してもガイドライン推奨の治療をしっかり行うことが重要である。(表1)画像を拡大するそれでも心不全症状が残存し、EFが55~60%未満とやや低下しており、収縮期血圧が110~120mmHg以上ある患者に対しては、ARNiの追加投与を検討する(詳細は第4回 「ARNi」を参照)。なお、HFrEFにおいて必要不可欠なβ遮断薬については、虚血性心疾患や心房細動がなければ、HFpEFに対しては原則投与しないほうが良い。なぜなら、HFpEFでは運動時に脈拍を早くできない脈拍応答不全の合併が多く、投与されていたβ遮断薬を中止することで、peak VO2が短期で大幅に改善したという報告もあるからである14)。なお、脈拍応答不全に対して右房ペーシングにより運動時の心拍数を上げることで運動耐容能が改善するかを検証した試験の結果が最近公表されたが、結果はネガティブで、現時点では脈拍応答不全に対して、心拍数を落とす薬剤を中止する以外に明らかな治療法はなく、今後さらに議論されるべき課題である15)。これらの治療以外にも、mRNA医薬、炎症をターゲットとした薬剤、代謝調整薬(ATP産生調整など)といった、さまざまなHFpEF治療薬の開発が現在進められている16)。また、近年HFpEFは、肥満や座りがちな生活と密接に結びついた運動不耐性の原因としても着目されており、心不全患者教育、心臓リハビリテーションもエビデンスのあるきわめて重要な治療介入であることも忘れてはならない17, 18)。最近は大変ありがたいことに心不全手帳(第3版)が心不全学会サイトでも公開されており、ぜひ活用いただきたい(http://www.asas.or.jp/jhfs/topics/shinhuzentecho.html)。非薬物治療に関しても、今まで欧米を中心に多くの研究が実施されてきた。例えば、症候性心不全患者に対する肺動脈圧モニタリングデバイスガイド下の治療効果を検証したCHAMPION試験のサブ解析において、肺動脈モニタリングデバイス(商品名:CardioMEMS HF System)を使用することで、HFpEF患者において標準治療よりも心不全入院が50%減少し、心不全管理における有用性が報告されている(本邦では未承認)19)。また、HFpEF(EF≥40%)に対する心房シャントデバイス(商品名:Corvia)治療の効果を検証したREDUCE LAP-HF II試験の結果もすでに公表されている20)。心血管死、脳卒中、心不全イベント、QOLを含めた主要評価項目において、心房シャントデバイスの有効性を示すことができなかったが、本試験では全患者に対して運動負荷右心カテーテル検査を実施しており、ポストホック解析において、運動時肺血管抵抗(PVR, pulmonary vascular resistance)が上昇しなかった群(PVR≤1.74 Wood units)では臨床的便益が得られる可能性が見いだされ21)、この群にターゲットを絞ったレスポンダー試験が現在進行中である。また、血液分布異常を改善させるための右大内臓神経アブレーション(GSN ablation)の有効性を検証するREBALANCE-HF試験も現在進行中であるが、非盲検ロールイン段階における予備的解析では、運動時の左室充満圧とQOL改善効果が認められたことが報告されており22)、今後本解析(sham-controlled, blinded trial)の結果が期待される。そのほかにも多くのHFpEF患者を対象とした臨床試験、橋渡し研究が進行中であり(表2)、これらの結果も大変期待される。(表2)HFpEFについて進行中の臨床試験 画像を拡大する以上HFpEF治療についてまとめてきたが、現時点ではHFpEFの予後を改善する治療法はまだ確立しておらず、さらに一歩進んだ治療法の確立が喫緊の課題である。つまり、HFpEFのさらなる病態生理の解明、非侵襲的に診断するための技術開発、個別化治療に結びつくフェノタイピング戦略を活用した新たな次世代の革新的研究が必要であり、その実現に向けて、前回紹介した米国HeartShare研究など、現在世界各国の研究者が本気で取り組んでいるところである。ただ、それまでにわれわれにできることも、図3の通り、しっかりある。ぜひ、目の前の患者さんに今できることを実践していただき、またかかりつけ医の先生方からも循環器専門施設の先生方へフィードバックいただきながら、医療従事者皆が一眼となってより良いHFpEF治療をわが国でも更新し続けていければと強く思う。1)Borlaug BA, et al. Nat Rev Cardiol 2020;17:559-573.2)Reddy YNV, et al. Circulation. 2018;138:861-870.3)Eisman AS, et al. Circ Heart Fail. 2018;11:e004750.4)D'Alto M, et al. Chest. 2021;159:791-797.5)Obokata M, et al. JACC Cardiovasc Imaging. 2013;6:749-758.6)van de Bovenkamp AA, et al. Circ Heart Fail. 2022;15:e008935.7)Patel RB, et al. J Am Coll Cardiol. 2021;78:245-257.8)Azarbal B, et al. J Am Coll Cardiol 2004;44:423-430.9)Marwick TH, et al. JAMA Cardiol. 2019;4:287-294.10)Anker SD, et al. N Engl J Med. 2021;385:1451-1461.11)Solomon SD, et al. N Engl J Med. 2022;387:1089-1098.12)Yaku H, et al. J Cardiol. 2022;80:306-312.13)Pitt B, et al. N Engl J Med. 2014;370:1383-1392.14)Palau P, et al. J Am Coll Cardiol. 2021;78:2042-2056. 15)Reddy YNV, et al. JAMA;2023:329:801-809.16)Pugliese NR, et al. Cardiovasc Res. 2022;118:3536-3555.17)Kamiya K, et al. Circ Heart Fail. 2020;13:e006798.18)Bozkurt B, et al. J Am Coll Cardiol. 2021;77:1454-1469.19)Adamson PB, et al. Circ Heart Fail. 2014;7:935-944.20)Shah SJ, et al. Lancet. 2022;399:1130-1140. 21)Borlaug BA, et al. Circulation. 2022;145:1592-1604.22)Fudim M, et al. Eur J Heart Fail. 2022;24:1410-1414.

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良性発作性頭位めまい症(BPPV)診療ガイドライン 2023年版

BPPV診療に必携・必読・必修のガイドライン登場!2009年に日本めまい平衡医学会が発表した「良性発作性頭位めまい症診療ガイドライン(医師用)」をベースに、現代的な手法に則って大幅にリニューアルした診療ガイドライン。CQは10のテーマに対して設定され、詳細なシステマティックレビューを通じたエビデンスに基づいた治療を推奨しています。また、頭位変換検査や頭位変換治療の実際などが、イラストを用いて詳説されています。BPPV診療の教科書として必携・必読・必修の1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    ●良性発作性頭位めまい症(BPPV)診療ガイドライン 2023年版定価2,860円(税込)判型B5判頁数88頁(図数:16枚)発行2023年3月編集日本めまい平衡医学会

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第155回 日本はパワハラ、セクハラ、性犯罪に鈍感、寛容すぎる?WHO葛西氏解任が日本に迫る意識改造とは?(後編)

パンデミック以前の日常が完全に戻ってきたこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末、関東はお花見日和でした。近所の公園では、葉桜となってきた桜の木の下で多くの人がノーマスクで宴会をしていました。パンデミック以前の日常が完全に戻ってきたわけですが、数週間前からこれだけ飲んで騒いでいるのに、新型コロナウイルス感染症の患者数は目立った増加となってはいません。感染症は本当に不思議な病気だなと思いながら、私も桜が舞い散る公園で、タコスにコロナビールを楽しみました。さて今回も、前回に引き続き、WHO(世界保健機関)の西太平洋地域事務局(フィリピン・マニラ)の葛西 健・事務局長が解任されたニュースを取り上げます。「The Lancet」が「グローバルヘルスの専門家たち葛西氏解任を歓迎」と報道WHOは3月8日、職員らへの人種差別的な発言などがあったとして内部告発され、昨年8月から休職中だった葛西・西太平洋地域事務局長を解任したと発表しました。日本国内では「解任理由がきちんと説明されていない」といった批判もあるようですが、国際的にはどうやら今回の解任を歓迎する声の方が大きいようです。医学雑誌の「The Lancet」は3月18日、「Global health experts welcome Kasai dismissal(グローバルヘルスの専門家たちが葛西氏解任を歓迎)」と題する記事を掲載しています1)。「葛西氏はWHO労働者への嫌がらせを行っていた」刺激的なタイトルのこの記事は、世界の複数のグローバルヘルスの専門家が、今回の調査や決定が適正に行われ、処分も妥当と考え、解任決定を歓迎していると報じています。記事によれば、WHOは虐待行為を一切容認しないという方針に沿って今回の内部告発を調査、すべてのWHOスタッフに適用される通常の手順に従って検討が行われたとのことです。その結果、葛西氏が「攻撃的なコミュニケーション、公の場での侮辱と人種的中傷」を含む、WHO労働者へのハラスメントを行っていたことが判明したとしています。これら結果を踏まえ、西太平洋地域委員会の投票が行われ、解任賛成13票、反対11票、棄権1票という結果となり、その後、非公開の理事会で葛西氏の解任が決定したとのことです。WHOの不正行為や虐待行為に対するチェックの目は一層厳しくなる同記事は、米国ジョージタウン大学のグローバルヘルス法の研究者の次のような発言も報じています。「この決定を行ったWHOに拍手を送る。その決定は正しかったが、もっと早く行われるべきだった。WHOは、誰もが尊重される安全で敬意に満ちた職場を作るために、可能な限り最高の基準を設定する必要があると考える」。同記事は、その他の世界のグローバルヘルスの専門家たちの今回の決定に対する賛意も伝えています。それらはある意味、日本が期待を持って送り込んでいた葛西氏の”評判”とも言えるもので、日本政府にはなかなか手厳しい内容となっています。ところで、WHO内部では葛西氏の事例のようなハラスメントだけではなく、エボラ出血熱発生中に起きたWHO労働者や援助労働者に対する性的虐待なども問題視されており、同記事は、葛西氏に行われた内部調査や解任決定を機に、WHOの組織内におけるその他のさまざまな不正行為や虐待行為に対するチェックの目は一層厳しくなるに違いない、と書いています。横浜DeNAに現役バリバリのMLBの投手入団そう言えば、WBC開催中の3月14日、横浜DeNAベイスターズは3年前の2020年、シンシナティ・レッズ時代にサイ・ヤング賞を獲得(同年に同じく候補となったダルビッシュ有投手と争いました)したMLB投手、前ロサンゼルス・ドジャースのトレバー・バウアー投手と契約を結んだことを発表しました。現役バリバリのMLBの投手がNPBに来るということで大きなニュースになりました。実は彼、2021年に知人女性に対するドメスティックバイオレンスの禁止規定違反でメジャーリーグ機構から324試合の長期の出場停止処分を受け(その後、異議申し立てをし、処分は194試合に短縮)、今年1月にドジャースとの契約が解除された選手です。契約解除後、MLBでは新たな契約をする球団は現れず、うまくDeNAが獲得したというわけです。MLBが獲得に動かなかった理由は多々あるようです。ヒューストン・アストロズの投手陣が強力な粘着物質を使っている疑いがあることを”チクリ”、粘着物質使用厳格化のきっかけを作ったことでMLBの選手たちから裏切り者扱いされた、という説も流れていますが、女性に対するドメスティックバイオレンスの一件も少なからず影響していることは確かでしょう。そうした”問題”選手を、トラブルにはとりあえず目をつぶって獲得し、大喜びしているのも日本人のパワハラ、セクハラへに対する鈍感さ、寛容さのなせる業かもしれません。DeNAは3月24日に横浜市内で華々しくバウアー投手の入団会見を行いましたが、その5日後の29日に同選手が「右肩の張りを訴えた」と球団が発表、4月中の一軍デビューは先送り濃厚となってしまいました。「バウアー投手はMLB復帰のために日本にリハビリに来ただけ。もとより真剣に投げる気はない」という声もあるようです。BBC制作ジャニーズのドキュメンタリーをほぼ黙殺の日本マスコミパワハラ、セクハラ関連の話題ということでは、英国のBBCが制作、公開したドキュメンタリー「Predator:The Secret Scandal of J-Pop」(J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル)を日本のマスコミのほとんどが黙殺したことも挙げておきたいと思います。2019年に死去したジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏によるジャニーズJr.の少年への性的虐待を追ったこのドキュメンタリー、日本ではBBCワールドニュースで3月18日、19日に配信放送されました。この件について日本のマスコミで報道したのはかねてからジャニーズ問題を追ってきた週刊文春と、FRIDAYデジタル、日刊ゲンダイDIGITALなどごく一部でした。香港や韓国、台湾のメディアも大きく取り上げたというのに、日本のマスコミの沈黙ぶりは、異常と言えるかもしれません。こうした鈍感さ、時代遅れの寛容さや忖度は、葛西氏のパワハラ同様、国際社会ではもう認められなくなってきています。そうした自覚と意識改造が日本人には早急に求められていると思いますが、皆さんいかがでしょう。「ジャニー喜多川氏の性的虐待の事実と、メディアに与えた強い影響力を調査し、社会が見て見ぬふりをすることの残酷な結果を明らかにする」(BBCワールドニュースのWebサイトより)というこの番組、4月18日までAmazonプライム・ビデオで視聴可能です。興味のある方はご覧下さい。参考1)Zarocostas J, Lancet. 2023 Mar 18. [Epub ahead of print]

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低炭水化物ダイエットはメタボになりやすい?

 炭水化物の摂取量について、推奨量を下回るとメタボリックシンドローム(MetS)の発症が低下するかどうか、現時点では関係性を示す一貫した証拠はない。今回、米国・オハイオ州立大学のDakota Dustin氏らが炭水化物の摂取量とMetSの有病率について研究した結果、炭水化物の推奨量を満たしている人よりも下回っている人のほうがMetSの発症率が高いことが明らかになった。Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics誌オンライン版2023年3月23日号掲載の報告。 本研究は、1999~2018年の国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)の回答者から、食物と栄養摂取量とMetSのマーカーに関するデータを取得。そのデータを炭水化物・総脂肪・脂肪酸(飽和脂肪酸[SFA]、一価不飽和脂肪酸[MUFA]、および多価不飽和脂肪酸[PUFA])の摂取量で層別化し、MetSとの関連性を評価した横断研究である。 食品および栄養素(サプリメントからの摂取含む)の通常の摂取量は、米国・国立がん研究所(NCI)での摂取方法から推定された。炭水化物からのエネルギーが45%未満を「炭水化物の摂取推奨量を下回る」、炭水化物からのエネルギーが45~65%を「炭水化物の摂取推奨量を満たす」と定義した。MetSの診断基準は米国の診療ガイドライン1)に基づき、参加者をMetSと判定するには、8.5時間以上断食した朝に次の状態(腹囲の拡大、TG値の上昇、HDL-C値の低下、血圧上昇、血漿グルコース濃度の上昇)のうち3つが該当した場合とした。解析には多変量ロジスティック回帰モデルを用い、食事パターンとMetSの関連性をオッズ比で評価した。 主な結果は以下のとおり。・本研究には20歳以上の妊娠・授乳していない1万9,078例の回答者が含まれ、炭水化物摂取量が推奨量を下回った群と満たした群の平均年齢はそれぞれ48歳だった。・炭水化物の摂取量が推奨量を下回ったのは女性が半数以上(53%)で、推奨量を満たしている人よりも、エネルギーの割合としてより多くのアルコールを摂取していた。・炭水化物の摂取量が推奨量を下回った人は、推奨量を満たした人に比べてMetSの有病率が1.067倍高かった(95%信頼区間[CI]:1.063~1.071、p

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不眠症治療について日本の医師はどう考えているか

 ベンゾジアゼピンや非ベンゾジアゼピンは、安全性への懸念や新規催眠鎮静薬(オレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬)の承認にもかかわらず、依然として広く用いられている。秋田大学の竹島 正浩氏らは、日本の医師を対象に処方頻度の高い催眠鎮静薬およびその選択理由を調査した。その結果、多くの医師は、オレキシン受容体拮抗薬が効果的かつ安全性が良好な薬剤であると認識していたが、安全性よりも有効性を重要視する医師においては、ベンゾジアゼピンや非ベンゾジアゼピンを選択することが確認された。Frontiers in Psychiatry誌2023年2月14日号の報告。 2021年10月~2022年2月に、日本プライマリ・ケア連合学会、全日本病院協会、日本精神神経科診療所協会に所属する医師962人を対象にアンケート調査を実施した。調査内容には、処方頻度の高い催眠鎮静薬およびその選択理由を含めた。 主な結果は以下のとおり。・処方頻度の高い催眠鎮静薬は、オレキシン受容体拮抗薬(84.3%)、非ベンゾジアゼピン(75.4%)、メラトニン受容体作動薬(57.1%)、ベンゾジアゼピン(54.3%)の順であった。・ロジスティック回帰分析では、オレキシン受容体拮抗薬の処方頻度の高い医師は、そうでない医師と比較し、有効性(オッズ比[OR]:1.60、95%信頼区間[CI]:1.01~2.54、p=0.044)および安全性(OR:4.52、95%CI:2.99~6.84、p<0.001)への関心が高かった。・メラトニン受容体作動薬の処方頻度の高い医師は、そうでない医師と比較し、安全性への関心が高かった(OR:2.48、95%CI:1.77~3.46、p<0.001)。・非ベンゾジアゼピンの処方頻度の高い医師は、そうでない医師と比較し、有効性をより重要視していた(OR:2.43、95%CI:1.62~3.67、p<0.001)。・ベンゾジアゼピンの処方頻度の高い医師は、そうでない医師と比較し、有効性に最も関心が高く(OR:4.19、95%CI:2.91~6.04、p<0.001)、安全性にはあまり関心を持っていなかった(OR:0.25、95%CI:0.16~0.39、p<0.001)。・多くの医師は、オレキシン受容体拮抗薬が効果的かつ安全性が良好な薬剤であると認識していたが、安全性よりも有効性を重要視する医師においては、ベンゾジアゼピンや非ベンゾジアゼピンを選択することが確認された。

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