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北欧の臨床データベースは堅牢?(解説:後藤信哉氏)

 本研究は、デンマークにおける15~49歳の約200万例の女性の約2,100万人年のデータである。観察期間内に、8,710例に退院時の診断として深部静脈血栓または肺塞栓症が起こっていた。症例を集めてバイアスを排除して、しっかり観察しようとの態度は学ぶべきである。 観察データから仮説の検証は基本的にできない。本研究では、いわゆる避妊ピルとNSAIDsが深部静脈血栓または肺塞栓症に及ぼすインパクトの有無を調べようとしている。多数の交絡因子が寄与するので統計学的モデリングが必要になる。NSAIDsの使用が深部静脈血栓または肺塞栓症を増やすと報告しているが、モデリングの結果なので、あくまでも将来検証すべき仮説を提示したと理解する必要がある。とくに避妊ピルを用いている症例でのNSAIDsの使用が、深部静脈血栓または肺塞栓症の発症と関連しているかもしれない。観察研究は科学研究の第一歩であるが、今後さらなる研究が必須である。

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肥満を合併したEFの保たれた心不全に対するGLP-1受容体作動薬の効果―STEP-HFpEF試験(解説:加藤貴雄氏)

 週1回、2.4mgのセマグルチド皮下注射(GLP-1受容体作動薬)は、長期体重管理薬として承認されており、過体重または肥満の患者において大幅な体重減少をもたらし、心代謝リスク因子に良好な影響を及ぼすことがこれまでに示されている(Wilding JPH, et al. N Engl J Med. 2021;384:989-1002., Kosiborod MN, et al. Diabetes Obes Metab. 2023;25:468-478.)。 今回、ESC2023で発表され、NEJM誌に掲載されたSTEP-HFpEF試験は、BMI≧30.0kg/m2で心不全症状(NYHA class II-IV)があり、かつ、左室駆出率(LVEF)≧45%で、糖尿病の既往がない患者を対象に、週1回のセマグルチド(2.4mg)またはプラセボを52週間投与した二重盲検無作為割り付け試験である。主要評価項目は、心不全患者のQOLを評価する指標であるカンザスシティ心筋症質問票(KCCQ)の点数のベースラインからの変化と体重のベースラインからの変化。副次評価項目に、複合心血管イベント、6分間歩行距離やCRPの変化が設定されていた。 結果は、セマグルチド投与群でKCCQの点数の改善を認め、体重はセマグルチド投与群 -13.3%、プラセボ群-2.6%と有意な低下、6分間歩行距離は21.5m改善と1.2m改善、CRPの低下も-43.5%と-7.3%であり、また、探索的に設定されたNT-proBNPも-20.9%と-5.3%(ぞれぞれ、セマグルチド投与群・プラセボ群)であった。以上の結果から、心不全のサロゲートマーカーの改善を伴って、体重減少・自覚症状の改善・6分間歩行距離の延長が得られており、CRPの減少など内臓脂肪の減少を示唆する機序も推測される結果であった。 多彩な表現型を持つHFpEFであるが、1つの表現型(肥満+HFpEF)の患者群に有用性が示唆される結果である。今後の、アウトカム研究の結果が待たれるところである。本研究の平均BMIは37kg/m2であった。WHOの肥満の基準が組み入れ基準のBMI≧30.0kg/m2であるが、日本人の肥満の基準が25kg/m2であり、本試験を日本の臨床に当てはめた場合、どのくらいの肥満のHFpEF患者に有効な可能性があるかについても、研究が待たれるところである。

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交通事故診療における後遺障害診断書の記載法

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。整形外科医の濱口 裕之です。今回は交通事故診療のキモと言える診断書の書き方をお伝えしましょう。交通事故の診断書は本当にうっとうしい…。そのように感じている方が多いと思います。何を隠そう、私もその1人。毎月やって来る自賠責様式の診断書に加えて、最後には後遺障害診断書という大物(?)が控えています。日常診療が忙しいと、思わずやっつけ仕事で診断書を作成してしまいそうですね。しかし、ちょっと待ってください。診断書の記載内容次第では、患者さんの運命を大きく変えてしまう可能性があります。運命を変えるってそんな大袈裟な…。しかし、自賠責保険の後遺障害等級審査は醜状を除くと書類審査のみで、どんなに重い後遺症があっても本人を直接診ることはありません。しかも、参考にするのは以下の資料のみ。いかに医師が作成する診断書の影響が大きいかを理解してもらえることでしょう。診断書後遺障害診断書診療報酬明細書(レセプト)画像検査結果交通事故証明書、車両の修理費用明細などこれらの資料の中でも後遺障害診断書や診断書は、画像検査結果とならんで最も重視される資料です。後遺障害診断書や診断書の記載内容によって、後遺障害等級が審査されます。注意して記載しないと、患者さんにトンデモない不利益を与えてしまうのです。自賠責様式の診断書の記載法毎月提出する自賠責様式の診断書は非常にシンプルな形式です。この診断書で注意するべき点は傷病名(図1赤枠)です。交通事故では、たくさんの傷病名が付けられる症例が多いです。傷病名が4個以上になると記載するのが億劫になりますね。このため、あまり重要そうでない傷病名は記載しなくてもよいかなと思いがちです。しかし、傷病名を省略すると、後々患者さんに大きな不利益を与えてしまう原因になりかねません。自賠責保険は「いつから」「どの部位」の治療を開始しているのかを重要視します。いくら患者さんが痛みを訴えていても、毎月提出する自賠責様式の診断書に傷病名が記載されていないと「なかった」ことにされてしまいます。このため、診察した部位の傷病名はすべて記載する必要があります。もう1つの注意点は「症状の経過・治療の内容および今後の見通し」の欄です。この欄には、身体所見や画像検査結果をシンプルに記載しましょう(図1青枠)。一方「症状は軽快している」などの表現はできるだけ避けるべきです。その理由は、自賠責保険が「症状は軽快している=後遺症はない」と判断するからです。ほとんどの症例は経時的に症状が軽快するので、このように記載しても問題なさそうに思えます。しかし、自賠責保険は言葉尻をとらえて非該当にするため注意が必要です。図1 自賠責様式の診断書画像を拡大する後遺障害診断書の記載法後遺障害診断書記載の注意点も自賠責様式の診断書と同じです。傷病名は1つ残さず記載するようにしましょう。仮に毎月提出する診断書に傷病名を記載していても、肝心の後遺障害診断書に記載されていなければ、後遺障害審査の俎上に載りません。後遺障害診断書では関節機能障害(図2赤枠)の記載も重要です。自賠責保険では関節可動域は他動運動での計測が原則です。自動運動が採用されるのは麻痺や腱断裂のみです。高度の痛みを訴える症例では自動運動が採用されるそうですが、私もほとんど経験がありません。傷害内容の増悪・緩解の見通し欄(図2青枠)の記載にも注意しましょう。この欄は最後に記載する部分ですが、最もトラブルが発生しやすいです。この欄では「症状固定と考える」と記載しましょう。間違っても「改善の見込みあり」などと記載してはいけません。もし改善の見込みありと記載すると、患者さんは後遺障害にほとんど認定されません。自賠責保険は言葉尻をとらえます。症状が改善するのであれば後遺障害ではないと揚げ足を取られてしまうのです。そもそも後遺障害診断書を作成するのは、治療によっても症状の改善が得られなくなった時点です。このため、改善の見込みがあれば症状固定ではありません。まだ後遺障害診断書を作成するべきではないのです。図2 後遺障害診断書画像を拡大する

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第182回 アイン、「敷地内薬局」入札妨害事件が問うもの(前編) 2016年解禁以降、出店攻勢続ける調剤チェーン、規模拡大の先には何が?

調剤薬局最大手、アインファーマシーズの社長ら3人逮捕、起訴こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。MLBはポストシーズン真っ盛りです。ただ、日本人選手には厳しい状況が続いています。地区シリーズに駒を進めたミネソタ・ツインズの前田 健太投手は、ヒューストン・アストロズ戦初戦の2番手で登板するも2回4安打2失点とピリッとしませんでした。もう一人残る、ボルチモア・オリオールズの藤浪 晋太郎投手(最近なぜか顎をケガしていました)は、地区シリーズに向けたロースター(登録選手)から外れてしまいました。しかもオリオールズは2連敗して後がない状況です。今季、もう登板がないまま終わってしまうかもしれません。ポストシーズンで160キロの球を投げる藤浪を観たかったのですが……。さて、今回は最近何かと話題の敷地内薬局について書いてみたいと思います。「アイン薬局」を全国で展開する調剤薬局最大手、アインファーマシーズ(札幌市白石区)の社長ら3人が、KKR(国家公務員共済組合連合会)の病院の敷地内薬局の入札を巡り、公契約関係競売入札妨害の罪で逮捕され、起訴されました。「懸念していたことが起きたのは残念」(日本薬剤師会・山本 信夫会長)というように、敷地内薬局反対論者が勢いづき、来年の診療報酬・調剤報酬改定にも影響が出そうな気配です。しかし、一方で、昔のような“院内”薬局として機能しているならば保険指定は不要では、といった極端な意見も出てきています。今回の事件で敷地内薬局が改めて脚光を浴びたことで、病院の薬局・薬剤師の存在意義にまで目が向けられるかもしれません。KKR札幌医療センターが発注した敷地内薬局設置事業の入札を不正に妨害アインファーマシーズの事件を、各紙報道などを基に簡単におさらいしておきます。札幌市のKKR札幌医療センターが2020年12月に発注した敷地内薬局設置事業の入札を不正に妨害したとして、北海道警は8月31日、調剤薬局を展開するアインホールディングスの子会社でアインファーマシーズ代表取締役社長の酒井 雅人容疑者、同取締役の新山 典義容疑者、KKR札幌医療センター元事務部長の藤井 浩之容疑者を公契約関係競売入札妨害罪の容疑で逮捕しました。その後、9月21日に札幌地検はこの社長ら3人を札幌地裁に起訴しました。3人の認否は明らかになっていません。起訴状などによると、3容疑者は共謀し、2020年12月、病院内に設ける薬局を選定する公募でアインファーマシーズの親会社、アインホールディングスに優先交渉権を得させるために偽計を用いて公正な入札を妨害した疑いがある、とのことです。アインはすでに企画提案書を提出していましたが、同センター元事務部長の藤井容疑者が他社の提案内容を新山容疑者に漏らし、土地賃料を月額400万円としていた企画提案書を、月額750万円に差し替えて再提出させたとのことです。アインファーマシーズ社長の酒井容疑者は当時からアインホールディングスの常務取締役でもあり、意思決定に関わったとみられています。入札の結果、アインは優先交渉権を得て2021年に敷地内薬局を開局しています。なお、報道等によりますと、藤井容疑者と新山容疑者は共に野球の強豪校である北海高校・硬式野球部のOBだそうです(藤井容疑者のほうが先輩)。ちなみに、アインホールディングスの大谷 喜一代表取締役社長も北海高校硬式野球部OBで現在OB会長、大の野球好きだそうです(かつての札幌ドームもそうでしたが、新しいエスコンフィールドでもアインの看板が結構目立つところにあります)。国家公務員共済組合連合会の職員は「みなし公務員」何故KKR、国家公務員共済組合連合会の病院の事務職が逮捕されるのか?と思われた方もいるでしょう。KKRの職員は公務員ではありませんが、職務内容に公益性や公共性があるとして刑法などの適用において公務員としての扱いを受ける「みなし公務員」と規定されているためです。なお、公契約関係競売入札妨害の刑罰は「3年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金」、または「その両方」となっています。仮に情報の見返りに金品の授受等があった場合、3人は贈収賄罪にも問われることになります。業界トップ企業の幹部が逮捕されたことで、敷地内薬局を運営する他の薬局チェーンの関係者は戦々恐々としているのではないでしょうか。今や大学病院や巨大公立・公的病院ではスタンダードとなってきた敷地内薬局ですが、その“出店競争”において、何社かはアイン同様、違法スレスレの手法を取ってきたに違いないからです。位置付けがコロコロ変わってきた敷地内薬局敷地内薬局は、文字通り病院の敷地内に開設した外部事業者の薬局のことです。医薬分業の進展とともに、その位置付けはコロコロ変わってきました。敷地内薬局が認められたのは2016年のことですが、それまで20年近く禁止されていました。ただ、そのまた前は、病院の敷地内や建物に薬局を附設すること自体は禁止されていませんでした。そのあたりの事情は少々複雑です。1970年代半ばころから医薬分業推進が言われるようになると、医療機関のMS法人が作った、いわゆる「第二薬局」が急増。医療機関が処方箋料と調剤報酬を“二重取り”(薬価差も含めれば三重取り)していることなどが問題視され、薬局の医療機関からの独立性に関する通知や省令改正が度々行われてきました。禁止が決定的となったのは、1996年、薬局が病院から「経済的、機能的、構造的」に独立している要件を、厚生省が具体的に規定してからです。「公道をまたぐ必要がある」など厳格なルールが設けられたことでそれまでの敷地内薬局は姿を消し、道を挟んだ敷地外の「門前薬局」が主流となっていきました。患者の利便性を求める政府の規制改革会議による答申を受けて2016年に解禁そうした流れが再び大きく変わったのが、2016年です。患者の利便性を求める政府の規制改革会議による答申を受け、薬局の経営の独立性確保を前提として、厚労省は2016年10月から公道をまたがない敷地内薬局を実質的に認める方針に転じました。処方箋を受け取った患者の囲い込みという点では、それまでの「門前薬局」と比べて圧倒的に有利であったことから、調剤薬局チェーン各社は敷地内薬局開設に力を入れ始め、出店競争も激化していきました。アインホールディングスもその流れに乗り、積極的に敷地内薬局を開設しました。東京大学医学部附属病院をはじめ、大学病院や基幹病院敷地内への積極的に出店を続けており、アインの敷地内薬局は2023年4月時点で約80店、今後も20店以上の出店を予定しているとのことです。一方、国公立大学病院や公的・公立病院も、増改築時や新築移転時などに敷地内薬局の開設を計画するケースが増えました。病院にとっては、敷地内薬局に病院の薬局に準じた役割を担ってもらうことで、病院薬剤師を効率的に配置したり、医薬品の院内在庫や購入費の圧縮などが実現できるからです。また、敷地内薬局から入るテナント料も大きな魅力となっているようです。「医療機関と敷地内薬局との関係性が、結果的に健康保険事業の健全な運営の確保に支障をきたすことに繋がる」と日薬当然ながら、日本薬剤師会は調剤薬局チェーンが幅を利かせる敷地内薬局の隆盛を苦々しく思っていました。薬局の経済的な独立性などに疑義が生じる事例が全国で多数存在している、として2021年には2016年から続く運用ルールを見直す要望書を国へ提出しています。今回の事件を受け、日本薬剤師会は9月14日にコメントを発表。その中で、「日本薬剤師会が医療機関敷地内に薬局の開設もしくは保険指定を認めるべきでないと主張してきた最も大きな理由は、当該医療機関と敷地内薬局との関係性が、結果的に健康保険事業の健全な運営の確保に支障をきたすことに繋がる、または、そのような問題をはらんでいることを懸念していたから(中略)。今回のような事件が起きてしまったという事実は、現場で懸命に働く薬剤師や事務職員はもちろん、関係者に大きな不安や影響を与えるものであり、同時に、患者や関係者の信頼を裏切ることにもなりかねず、誠に遺憾」と、事件を厳しく批判しました。さらに、9月16日に発表した同会の2023年度政策提言では、敷地内薬局は「適正な医薬分業の推進・定着を阻害する」として、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則において明確な基準を設けるとともに、新規・更新申請の際の保険指定の拒否や薬局開設に係る薬事規制等の在り方について検討するなど、適正な措置を講じるべき」としています。敷地内薬局は「適正な医薬分業の推進・定着」を阻害してきたか?従来からの日本薬剤師会の論調ですが、私自身はこの論には少々疑問を感じます。本当に敷地内薬局は「適正な医薬分業の推進・定着」を阻害してきたのでしょうか?医薬分業というと処方箋のダブルチェックや服薬指導などが言われますが、敷地内薬局だからといってそれができないということはありません。少なくとも、利用者からは敷地内になったから「不便になった」、「危険になった」という声は上がっていません。そのあたりに、日本薬剤師会のおごりを少々感じます。一方、2016年の解禁以降、敷地内薬局の出店攻勢続けてきた調剤チェーンですが、彼らは、闇雲に規模拡大を進めた先にあるかもしれない“風景”について想像してみたことはあるのでしょうか。敷地内薬局が算定する調剤報酬(特別調剤基本料)は、診療報酬改定で減点され続けています。そして、2024年度診療報酬改定に向けての中央社会保険医療協議会議論でも、敷地内薬局に対してかなり厳しい意見が診療側、支払側の双方から出されています。今回の事件と敷地内薬局の是非や必要性については切り分けて考える必要があるでしょうが、世の中では敷地内薬局に対する逆風が強まっているのです(この項続く)。

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アトピー性皮膚炎の成人・小児は炎症性腸疾患のリスク高

 アトピー性皮膚炎(AD)の小児および成人は、炎症性腸疾患(IBD)のリスクが高く、そのリスクは年齢、AD重症度、IBDの種類によって異なることが、米国・ペンシルベニア大学医学大学院のZelma C. Chiesa Fuxench氏らによる住民ベースのコホート研究で明らかにされた。これまで、ADとIBDの関連に関するデータは一貫性がなく、ADまたはAD重症度と潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)リスクとの関連を個別に検討した研究はほとんどなかった。著者は、「今回示された所見は、ADとIBDの関連について新たな知見を提供するものである。臨床医は、とくにADと消化器症状が合併する可能性がある患者に対してADの全身治療を行う際に、これらのリスクに留意する必要がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年8月30日号掲載の報告。小児アトピー性皮膚炎患者に潰瘍性大腸炎のリスク増大はみられなかった 研究グループは、住民ベースのコホート研究を実施し、小児および成人のアトピー性皮膚炎患者における炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病の新規発症リスクを調べた。AD患者1例に対し、背景因子をマッチングさせた対照を最大5例組み込んだ。AD重症度は治療の内容に基づき判断した。 AD患者および対照の情報は、英国の電子医療記録データベースHealth Improvement Networkの1994年1月1日~2015年2月28日のデータより取得し、2020年1月8日~2023年6月30日にデータ解析を行った。注目したアウトカムは、IBD、UC、CDの発症であった。ロジスティック回帰法を用いて、ADの小児および成人と対照を比較して、それぞれの発症リスクを調べた。 アトピー性皮膚炎患者における炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病の新規発症リスクを調べた主な結果は以下のとおり。・小児コホートは、小児AD患者40万9,431例(軽症93.2%、中等症5.5%、重症1.3%)と、背景因子をマッチングさせた小児対照180万9,029例から構成された。年齢中央値は4~5歳(範囲:1~10歳)であり、男児が多く(対照93万6,750例[51.8%]、軽症ADが19万6,996例[51.6%]、中等症ADが1万1,379例[50.7%]、重症ADが2,985例[56.1%])、社会経済的状況は同様であった。・成人コホートは、成人AD患者62万5,083例(軽症65.7%、中等症31.4%、重症2.9%)と、背景因子をマッチングさせた成人対照267万8,888例から構成された。年齢中央値は45~50歳(範囲:30~68歳)であり、女性が多かった(対照144万5,589例[54.0%]、軽症ADが25万6,071例[62.3%]、中等症ADが10万9,404例[55.8%]、重症ADが1万736例[59.3%])。・完全補正後モデルにおいて、小児AD患者はIBDリスクが44%高く(ハザード比[HR]:1.44、95%信頼区間[CI]:1.31~1.58)、CDのリスクは74%高かった(同:1.74、1.54~1.97)。それらのリスクはADの重症度が高いほど増大した。・一方で、小児AD患者において、UCのリスク増大はみられなかった(HR:1.09、95%CI:0.94~1.27)。ただし、重症AD例ではリスクが高かった(同:1.65、1.02~2.67)。・成人AD患者は、IBDリスクが34%高く(HR:1.34、95%CI:1.27~1.40)、CDリスクは36%高く(同:1.36、1.26~1.47)、UCリスクは32%高かった(同:1.32、1.24~1.41)。それらのリスクはADの重症度が高いほど増大した。

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レビー小体病のバイオマーカーとして期待される「脂肪酸結合タンパク質」

 高齢人口の世界的な増加は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)などの認知症や運動機能障害といった、加齢に伴う疾患の増加につながる。これらの障害に関連するリスク因子の正確な予測は、早期診断や予防に非常に重要であり、バイオマーカーは疾患の診断やモニタリングにおいて重要な役割を担う。α-シヌクレイノパチーなどの神経変性疾患では、特定のバイオマーカーが疾患の有無や進行を示す可能性がある。 東北大学の川畑 伊知郎氏らは、これまでの研究でα-シヌクレイノパチーにおける脂肪酸結合タンパク質(FABP)の病原性の影響を実証しており、本試験では、FABPがレビー小体病の潜在的なバイオマーカーとなりうるかを調査した。その結果、FABPは、レビー小体病の潜在的なバイオマーカーとして機能し、疾患の早期発見や鑑別の一助となる可能性が示唆された。International Journal of Molecular Sciences誌2023年8月26日号の報告。 AD、PD、DLB、軽度認知障害(MCI)それぞれの患者群、健康対照(CN)群において、FABPの血漿レベルを測定した。主な結果は以下のとおり。・FABP3の血漿レベルはすべての群で増加が認められたが、FABP5およびFABP7のレベルはAD群で低下傾向が認められた。・FABP2のレベルは、PD群で上昇していた。・相関分析では、高いFABP3レベルは、認知機能低下と関連していることが示唆された。・タウ、GFAP、NF-L、UCHL-1の血漿中濃度は、認知機能低下との相関が認められた。・疾患の鑑別にスコアリング法を適用すると、MCI vs.CN、AD vs.DLB、PD vs.DLB、AD vs.PDの高精度な鑑別が実証された。

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早期静脈栄養なしのICU患者、厳格な血糖コントロールは有用か?/NEJM

 集中治療室(ICU)に入室した早期静脈栄養を受けていない重症患者では、非制限的で寛容な血糖コントロールと比較して厳格な血糖コントロールは、ICUでの治療を要した期間や死亡率に影響を及ぼさないことが、ベルギー・ルーベン・カトリック大学病院のJan Gunst氏らが実施した「TGC-Fast試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2023年9月28日号に掲載された。ベルギーの医師主導型の無作為化対照比較試験 TGC-Fast試験は、ベルギーの2つの大学病院と1つの地区病院の11のICUで実施された医師主導型の無作為化対照比較試験であり、2018年9月~2022年8月に参加者のスクリーニングを行った(Research Foundation-Flandersなどの助成を受けた)。 早期静脈栄養を受けていないICU入室患者を、非制限的血糖コントロール群または厳格血糖コントロール群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。非制限的血糖コントロール群では、血糖値が215mg/dL(11.9mmol/L)を超えた場合にのみインスリンの投与を行い、厳格血糖コントロール群では、LOGICインスリンアルゴリズムを用い、目標血糖値を80~110mg/dL(4.4~6.1 mmol/L)に設定した。静脈栄養は両群とも、1週間実施しなかった。 主要アウトカムは、ICUでの治療を要した期間とし、ICUから生存退室するまでの期間に基づいて算出した。安全性アウトカムは90日死亡率であった。 9,230例を登録し、4,622例を非制限的血糖コントロール群(年齢中央値67歳[四分位範囲[IQR]:56~75]、男性62.8%)、4,608例を厳格血糖コントロール群(67歳[57~75]、63.6%)に割り付けた。ベースラインの血糖値中央値は、非制限的血糖コントロール群が143 mg/dL(IQR:120~170)、厳格血糖コントロール群は142mg/dL(121~168)であった。朝の血糖値が低く、1日インスリン用量が多い 非制限的血糖コントロール群に比べ厳格血糖コントロール群は、ICU入室中の朝の血糖値中央値が低く(140mg/dL[IQR:122~161]vs.107mg/dL[98~117]、群間差:-32mg/dL[95%信頼区間[CI]:-33~-32])、インスリンの用量中央値が高かった(0.0単位/日[IQR:0.0~5.6]vs.24.8単位/日[14.8~39.9]、群間差:21.0単位/日[95%CI:20.5~21.5])。 重症低血糖(<40mg/dL[<2.2mmol/L])の発生は、非制限的コントロール群のほうが少なかった(31例[0.7%]vs.47例[1.0%]、相対リスク:1.52[95%CI:0.97~2.39])。 ICUでの治療を要した期間(主要アウトカム)は、両群間に差を認めなかった(厳格血糖コントロールで生存退室が早くなるハザード比[HR]:1.00、95%CI:0.96~1.04、p=0.94)。また、90日死亡率にも差はなかった(非制限的血糖コントロール群468例[10.1%]vs.厳格血糖コントロール群486例[10.5%]、HR:1.04、95%CI:0.92~1.17、p=0.51)。 事前に規定された8項目の副次アウトカムの解析では、新規感染症の発生率、呼吸補助の時間、血行動態補助の時間、生存退院までの期間、ICU内死亡、院内死亡は、いずれも両群間に差はなかったのに対し、重症急性腎障害および胆汁うっ滞性肝機能障害は、厳格血糖コントロール群で少ないことが示唆された。 著者は、「本研究でICUに入室した早期静脈栄養を受けていない重症患者では、先行研究で静脈栄養を受けた重症患者に比べ、低血糖の重症度が軽度であった。また、コンピュータアルゴリズムによって空腹時血糖値を正常範囲に低下させることで、ICUでの治療を要した期間や死亡率に影響を及ぼさずに、医原性低血糖を回避できた」としている。

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早期中絶後のRh検査、免疫グロブリン投与の必要性/JAMA

 妊娠第1期の人工妊娠中絶はRh感作のリスクではなく、妊娠12週より前の人工妊娠中絶後のケアとして、Rh検査および免疫グロブリンの投与は不要であることが、米国・ペンシルベニア州立大学のSarah Horvath氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2023年9月26日号で報告された。米国の前向きコホート研究 本研究は、妊娠12週0日以前に人工妊娠中絶(薬剤、手術)を受けた女性506例の中絶前後の血液サンプルを用いて、胎児性赤血球(fRBC)が検出されるかを検証する米国の多施設共同前向きコホート研究である(米国・Society of Family Planning Research Fundの助成を受けた)。 主要アウトカムは、妊娠第1期の人工妊娠中絶後に、fRBC数がRh感作の閾値(総赤血球数500万個当たりのfRBC数125個)を超えた女性の割合であった。 506例のうち、319例(63.0%)が薬剤による中絶、187例(37.0%)は手術による中絶を受けていた。平均年齢は27.4(SD 5.5)歳で、313例(61.9%)が黒人、123例(24.3%)は白人だった。中絶後fRBC数と関連するベースラインの背景因子はなかった 506例中3例は、ベースライン時にfRBC数がRh感作閾値を超えて上昇しており、このうち1例(0.2%、95%信頼区間[CI]:0~0.93)は中絶後に上昇していた。これ以外に、人工妊娠中絶後にfRBC数がRh感作閾値を超えて上昇した例はなかった。 fRBC数中央値は、薬剤による中絶では4.0個(最大58個)、手術による中絶では3.0個(最大32個)であり、fRBC数が閾値を超えて上昇した例の割合は、それぞれ0%(95%CI:0~1.4)、0%(0~1.6)であった。 最適化された測定法では、薬剤による中絶と手術による中絶で、中絶後のfRBC数の分布に統計学的な有意差は認めなかった。 ベースラインからのfRBC数の変化量中央値は0個であり、fRBC数の95パーセンタイル値は24個、99パーセンタイル値は35.6個であった。 また、中絶前と後のfRBC数には強い関連性(p<0.001)を認めたが、中絶後のfRBC数と有意な関連を示すベースラインの患者背景因子はなかった。 著者は、「これらの結果は、妊娠第1期の人口妊娠中絶後にRh検査や免疫グロブリン投与は不要であることを示唆している。このエビデンスは、妊娠第1期の人工妊娠中絶後のRh免疫グロブリン投与に関する国際的なガイドラインに、有益な情報をもたらす可能性がある」としている。

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心房細動の脳卒中予防におけるDOACsの臨床開発試験は恣意的だった?(解説:後藤信哉氏)

 心房細動になると左房内の血流がうっ滞して血栓ができ、脳塞栓を増やすイメージがある。心房細動の脳卒中が重要とされた根拠は、Framingham試験における長期間の観察例の脳卒中発症における心房細動のインパクトであった。血液がうっ滞して、左房内に血栓ができて、脳塞栓が起こることは演繹的には証明されていない。左房内血栓形成を阻害して脳塞栓を抗凝固薬が予防するのは、イメージにすぎない。 本研究で用いられたエドキサバンを含む経口Xa阻害薬の有効性・安全性を検証する試験では対照群がPT-INR 2-3を標的としたワルファリンであった。1つ以上のリスク因子を有する非弁膜症心房細動の過去の標準治療には、ばらつきがあり、「PT-INR 2-3を標的としたワルファリン」との比較において検証されたDOACの有効性、安全性を実臨床に応用できるか否かに、筆者は疑問があった。ランダム化比較試験による仮説検証は科学的である。科学の基本は再現性である。DOAC開発試験のような大資本を要するランダム化比較試験を繰り返して、過去の試験にて検証された仮説を再現するのは実質的には困難であった。 本研究では心房細動例に対する抗凝固薬の有効性は確立されているとの仮定(というか、少数の大規模ランダム化比較試験にて検証された仮説)のもと、体内に植え込んだデバイスが捉えた、心房細動に似ているかもしれないデバイスが見出した頻拍に対するエドキサバンの効果をプラセボと比較した。心房細動の脳卒中予防の適応取得を目指した試験の有効性エンドポイントは、脳卒中、全身塞栓症であった。本試験では心血管死亡、脳卒中、全身塞栓症が有効性エンドポイントとされた。病態が似ている、としていながらエンドポイントのまったく異なる試験であった。 2,536例を対象とした二重盲検ランダム化比較試験なので、結果にはインパクトがある。心血管死亡、脳卒中、全身塞栓症の発症率はエドキサバン群にて3.2%/人年、 プラセボ群にて4.0%/人年であった。脳卒中は両群にて1.0%/人年なので、心房細動の脳卒中試験と同様、心血管死亡の重要性が示唆された。 心房細動に似た病態と考えた植え込み型デバイスが捉えた心房頻拍ではエドキサバンは有効性エンドポイントを減らさず、安全性エンドポイント発現率を増やした。対照群を「PT-INR 2-3を標的としたワルファリン」にしなければ、DOACの有効性、安全性は示せないのかもしれない。

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鎮咳薬や去痰薬がひっ迫、国が節度ある処方・在庫確保を求める【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第119回

医薬品の流通不安や在庫不足がこんなに長く大変なものになるとは思ってもみませんでした。とくに鎮咳薬や去痰薬の品薄状態は顕著で、もう薬局の努力だけではどうにもならない状態まできています。その流通問題に関して、厚生労働省が9月29日に通知を発出しました。内容としては、鎮咳薬や去痰薬が安定的に供給されるまでの間、以下3点を各所にお願いする内容になっています。1.鎮咳薬(咳止め)・去痰薬については、初期からの長期での処方を控えていただき、医師が必要と判断した患者へ最小日数での処方に努めていただきたいこと。また、その際に残薬の有効活用についても併せて御検討いただきたいこと。2.薬局におかれては、処方された鎮咳薬(咳止め)・去痰薬について、自らの店舗だけでは供給が困難な場合であっても、系列店舗や地域における連携により可能な限り調整をしていただきたいこと。3.鎮咳薬(咳止め)・去痰薬について、必要な患者に広く行き渡るよう、過剰な発注は控えていただき、当面の必要量に見合う量のみの購入をお願いしたいこと。医師や薬剤師などに対して、過剰な処方や在庫確保、発注は控えるようにという通知です。この通知で節度ある処方や在庫確保となり、この混乱が少しでも落ち着けばよいのですが、そんなに甘くもないだろうなとも思います。今回の通知の前提として、「新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの感染症の拡大に伴い鎮咳薬(咳止め)・去痰薬の需要が増加しており、製造販売業者からの限定出荷が生じている」と記されています。また、その具体的な数字も出されていて、「主要な鎮咳薬(咳止め)の供給量については、新型コロナウイルス感染症の流行以前の約85%まで生産量が低下しており、また主要な去痰薬の供給量については、新型コロナウイルス感染症の流行以前と同程度ではあるものの、メーカー在庫が減少している状況」とあります。え? ちょっと待って、と思いませんか? 今回のお願いの前提となっている「生産量がコロナ禍の前より減少している」という点に少し驚きました。需要が増えているから不足しているとばかり思っていましたが、生産量自体が減っているというのはちょっと意外です。今回の医薬品の流通問題は、先発医薬品も後発医薬品も含む薬価制度などの医薬産業の構造の問題である可能性もあります。その場合、今回の通知で節度ある行動がとられたとしてもその生産量は増えないと思われ、薬価の変更や薬価制度の見直しなどの抜本的な対応がとられない限り、残念ながらこの供給不足は解決しないだろうと想像します。また一方で、後発医薬品については、後発品調剤体制加算や後発品使用体制加算などに関する臨時的な取り扱いを延長するという通知「後発医薬品の出荷停止等を踏まえた診療報酬上の臨時的な取扱いについて」が発出されました。実績要件である後発医薬品の使用(調剤)割合を算出する際に算出対象から除外しても差し支えない、とするものです。今回の延長は前回と同様ですが、後発医薬品の供給停止や出荷調整が続いており、代替の後発品の入手が困難な状況となっていることを踏まえたものであるとされています。この後発医薬品の供給停止や出荷調整が始まって2年以上が経過し、この通知の延長は今回で3回目です。10月1日以降に除外対象となる医薬品は、2023年6月1日時点で医政局医薬産業振興・医療情報企画課に供給停止に関する報告があった85成分980品目で、今回示した供給停止品目と同一成分・同一投与形態の医薬品を除外しても差し支えないとしています。また、これまでと同様に、一部の成分の品目のみの除外は認められないこと、1ヵ月ごとに適用できること、加算などの施設基準を直近3ヵ月の新指標の割合の平均を用いる場合は当該3ヵ月にこの取り扱いを行う月と行わない月が混在しても差し支えない、などの注意点がありますので注意が必要です。加算算出方法の臨時的な取り扱いの延長などは助かりますが、やはり一番に望むことは適切な量の医薬品が安定的に流通することです。医薬品の流通問題については各所で議論されていますが、抜本的かつ効果的な対策が早急にとられることを切に願います。

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連載100回記念!執筆陣が選んだ「とっておきのフレーズ」【1分★医療英語】特別回

2021年から連載をスタートした「1分★医療英語」。原則毎週火曜日に公開しており、今月に連載100回を迎えました。100回記念として、執筆陣が選んだ100回の中の「とっておき回」を紹介。ぜひ復習にお役立てください。執筆陣が選んだ「とっておきのフレーズ」 ( )氏

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10月10日 世界精神保健デー【今日は何の日?】

【10月10日 世界メンタルヘルスデー】〔由来〕世界精神保健連盟が、メンタルヘルス問題に関する世間の意識を高め、偏見をなくし、正しい知識を普及することを目的として1992年に制定。世界保健機関(WHO)も協賛し、国際記念日とされて、「シルバーリボン運動」として全世界でイベントが開催されている。関連コンテンツシネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~気分が落ち込むときの症状チェック【患者説明用スライド】モーニングコーヒーでうつ病リスクが低下自閉スペクトラム症と統合失調症の精神症状の比較リアルワールドにおける統合失調症ケアの実際と改善ポイント

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第184回 熟睡を促す音刺激で心機能が向上しうる

熟睡を促す音刺激で心機能が向上しうる生きていくのに睡眠は不可欠で、ぐっすりと眠ることは健康を保つのにとりわけ重要です。より深い眠りに落ちていることを示す脳の活動である徐波(slow wave)を音で増やすことで高齢者の記憶を改善しうることが先立つ研究で示されています1)。また、軽度認知障害(MCI)患者の睡眠中にピンクノイズ※というかすかな音を流したところ徐波が増え、44の単語対を覚える記憶検査成績が改善しました2)。※ピンクノイズ:周波数が高いほどよりもの静か(周波数が1オクターブ上がるごとに音圧が3デシベルずつ下がる)という特性がある音(擦れる木の葉、雨、滝、心拍の音など)。そのピンクノイズがどうやら心臓機能の改善効果も有するらしいことがスイスの連邦工科大学やチューリッヒ大学のチームによる新たな試験で示されました3)。試験に参加した健康な男性18人には睡眠研究所で間を置いて3泊してもらい、そのうちの2泊ではピンクノイズを流し、1泊ではそうしませんでした。寝ている間の被験者の脳の活動、血圧、心臓の活動が記録され、深い睡眠に至ったことを示す合図があった時点から10秒間のピンクノイズが10秒間の間を挟んで4時間繰り返しコンピューターから発せられました。その結果、ピンクノイズが発せられている間は徐波が増え、翌朝の心エコー検査で左心室の伸縮機能の向上が示唆されました。今回の試験の被験者は全員男性で、年齢は30~57歳でした。男性に限ったのは女性に比べてより均一だからです。被験者と同年齢層の女性は睡眠に大きな影響を及ぼす月経周期や閉経があり、今回のような取っ掛かりの試験ではせっかくの効果がそれらの影響で検出できない恐れがありました4)。今後の試験では女性を含めた検討が必要なことを研究者は承知しています。睡眠や心血管の調子の明らかな性差が判明しつつあり、そういう性差を考慮した治療の開始が重要視されるようになっています。ピンクノイズやそれに似た脳刺激手段で将来的には心血管疾患の治療を向上させることができるかもしれません。また、心血管分野の治療のみならず運動選手にとっても意義があると研究者は考えています。ピンクノイズのような徐波睡眠の亢進手技で心機能を改善し、きつい練習や競技の後の回復を早めてより好調にできる可能性があります。研究者らはさらに先を見据えており、ピンクノイズよりもっと強力な刺激で心血管系を上向かせる手段も目指しています。今回の試験の筆頭著者であるStephanie Huwiler氏は試験を指揮したCaroline Lustenberger氏らとともに睡眠刺激の事業EARDREAMを立ち上げています。上述したとおり徐波睡眠を底上げすることは認知機能障害患者の記憶改善効果があるかもしれず、EARDREAMはアルツハイマー病患者の早期診断や睡眠不調を回復させる睡眠亢進手段に取り組んでいます5)。また、アルツハイマー病のみならず今回の成果の臨床応用に向けた開発も目指しています4)。参考1)Papalambros NA, et al. Front Hum Neurosci. 2017;11:109.2)Papalambros NA, et al. Ann Clin Transl Neurol. 2019;6:1191-1201.3)Huwiler S, et al. Eur Heart J. 2023 Oct 05. [Epub ahead of print]4)Increased deep sleep benefits your heart / ETH Zurich5)Startups developing tailored sleep interventions for Alzheimer disease, aquafarming using mycellium technology, regeneration through protein engineering, a vital patient data stream, and revolutionizing open source each win CHF 10,000 / Venture Kick

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臨床実習のスケジューリングで困っています【医学生お悩み相談ラヂオ】第12回

動画解説第12回は、医学部5年生の女性からのお悩み。臨床実習のスケジュールが見えにくく、時間を有効活用できずに困っているとのこと。民谷先生はこのお悩みに対して、指導する先生方にも事情があり、ただ不平不満を述べることは生産的ではないと説きます。そのうえで提案する解決とは?

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2cm以下の乳がん、センチネルリンパ節生検を省略可能か/JAMA Oncology

 センチネルリンパ節生検(SLNB)は早期乳がんの腋窩リンパ節転移を調べる標準的な方法だが、リンパ節検査のための腋窩手術は治療が目的ではないため、その必要性が問われる場合もある。今回、超音波検査でリンパ節転移の疑いのない腫瘍径2cm以下の乳がん患者における無作為化試験(SOUND試験)で、腋窩手術を受けなかった群の5年遠隔無病生存(DDFS)率がSLNBを受けた群に対して非劣性を示したことを、イタリア・Istituto di Ricovero e Cura a Carattere ScientificoのOreste Davide Gentilini氏らが報告した。JAMA Oncology誌オンライン版2023年9月21日号に掲載。センチネルリンパ節生検群の5年遠隔無病生存率は97.7%で非劣性 本試験は、イタリア、スイス、スペイン、チリで実施された前向き第III相無作為化非劣性試験である。2012年2月6日~2017年6月30日に、腫瘍径2cm以下かつ超音波検査で腋窩リンパ節転移の疑いのない1,463例の女性を登録し、センチネルリンパ節生検を受ける群(SLNB群)と腋窩手術を受けない群(腋窩手術なし群)に1対1に無作為に割り付けた。ITT解析対象は1,405例、主要評価項目は5年DDFS率であった。 超音波検査でリンパ節転移の疑いのない腫瘍径2cm以下の乳がん患者におけるセンチネルリンパ節生検の必要性を評価した主な結果は以下のとおり。・ITT解析に組み入れられた1,405例(年齢中央値:60歳)を、SLNB群708例、腋窩手術なし群697例に無作為化した。・腫瘍径の中央値は1.1cm(四分位範囲:0.8~1.5)で、1,234例(87.8%)がエストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性であった。SLNB群では、97例(13.7%)が腋窩リンパ節転移陽性であった。・5年DDFS率は、SLNB群で97.7%、腋窩手術なし群で98.0%であった(log-rank p=0.67、ハザード比:0.84、90%信頼区間:0.45~1.54、非劣性のp=0.02)。・SLNB群では局所再発12例(1.7%)、遠隔転移13例(1.8%)、死亡21例(3.0%)、腋窩手術なし群では局所再発11例(1.6%)、遠隔転移14例(2.0%)、死亡18例(2.6%)だった。 著者らは「これらの結果は、腫瘍が小さく、超音波検査で腋窩リンパ節転移のない乳がん患者は、病理学的情報の欠如が術後治療計画に影響を及ぼさない限り、安全に腋窩手術を免れられることを示唆する」としている。

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コロナ罹患後症状の患者、ワクチン接種で症状軽減か?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種は、COVID-19の重篤化を予防する。しかし、コロナ罹患後症状を有する患者に対するコロナワクチン接種が罹患後症状や免疫応答、ウイルスの残存に及ぼす影響は不明である。そこで、カナダ・Montreal Clinical Research InstituteのMaryam Nayyerabadi氏らの研究グループは、コロナ罹患後症状を有する患者を対象にコロナワクチンの効果を検討し、コロナワクチンは炎症性サイトカイン/ケモカインを減少させ、コロナ罹患後症状を軽減したことを明らかにした。本研究結果は、International Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2023年9月15日号に掲載された。ワクチン接種はコロナ後遺症を軽減させる可能性 研究グループは、コロナ罹患後症状(世界保健機関[WHO]の定義※に基づく)を有する患者83例を対象とした前向きコホート研究を実施した。対象患者のコロナワクチン接種前後の罹患後症状数、罹患後症状を有する臓器数、心理的幸福度(WHO-5精神健康状態表[WHO-5]に基づく)を評価した。また、全身性炎症のバイオマーカーや血漿中のサイトカイン/ケモカイン量、血漿中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原量、SARS-CoV-2由来のタンパク質に対する抗体量なども評価した。本記事では、組み入れ時にコロナワクチン未接種であった39例を対象に、ワクチン接種前後に評価した縦断的解析の結果を示す。※新型コロナウイルスに罹患した人にみられ、少なくとも2ヵ月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかないもの。 コロナ罹患後症状を有する患者を対象にワクチンの効果を検討した主な結果は以下のとおり。・ワクチン接種前後のコロナ罹患後症状数(平均値±標準偏差[SD])は、ワクチン接種前が6.56±3.1であったのに対し、ワクチン接種後は3.92±4.02であり、有意に減少した(p<0.001)。また、罹患後症状を有する臓器数(平均値±SD)はワクチン接種前が3.19±1.04であったのに対し、ワクチン接種後は1.89±1.12であり、こちらも有意に減少した(p<0.001)。・WHO-5スコア(平均値±SD)は、ワクチン接種前が42.67±22.76であったのに対し、ワクチン接種後は56.15±22.83であり、心理的幸福度が有意に改善した(p<0.001)。・コロナワクチン接種後において、16種類のサイトカイン/ケモカイン量がワクチン接種前と比較して有意に減少した。・ワクチン接種前において、血漿中からSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質とヌクレオカプシド(N)タンパク質がそれぞれ17.9%(7/39例)、38.5%(15/39例)に検出されたが、ワクチン接種前後において、血漿中濃度に有意な変化はみられなかった。・ワクチン接種前において、Sタンパク質、Nタンパク質、Sタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)に対するIgG抗体およびIgM抗体が検出された。ワクチン接種後において、Nタンパク質に対する血中のIgG抗体、IgM抗体の濃度が有意に減少したが、Sタンパク質、RBDに対する血中のIgG抗体の濃度は有意に増加した。 本研究結果について、著者らは「コロナ罹患後症状を有する患者は、コロナ罹患後症状に関連する炎症反応が亢進していることが示され、コロナワクチン接種は炎症反応を低下させることによってコロナ罹患後症状を軽減させる可能性が示された。また、コロナ罹患後症状を有する患者には、ワクチン接種とは関係なくウイルス産物が検出される患者が存在し、炎症の持続に関与している可能性がある」とまとめた。

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重度の精神疾患に対する入院リハビリテーションの有用性

 精神疾患や気分障害は、重度の機能障害、早期死亡リスク、社会的および経済的負担と関連している。イタリア・"G. D'Annunzio" UniversityのStefania Chiappini氏らは、統合失調症スペクトラム障害患者と気分障害患者を対象に、イタリアの精神科入院施設で実施された心理社会的、心理的、リハビリテーション的な介入の有効性を評価した。その結果、重度の精神疾患患者に対する入院リハビリテーション介入は、効果的かつ有用である可能性が示唆された。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2023年8月30日号の報告。 本件は、イタリア・ローマの精神科病院であるVilla Maria Piaにおいて、2022年に実施されたレトロスペクティブ観察研究である。ICD-9-CMで統合失調症スペクトラム障害および気分障害と診断された患者を対象に、入院時と治療終了時に簡易精神症状評価尺度(BPRS)および機能の全体的評価尺度(GAF)を用いて評価を行った。介入には、学術的チームが関与して行われ、個人および集団による介入を分析に含めた。群間の連続変数の比較は、独立サンプルによるt検定を用い、変数間の相関はスピアマン相関係数を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・研究対象患者数は141例(平均年齢:51.3±12.4歳、男性患者:73例、女性患者:68例)であった。・心理社会的介入およびリハビリテーション介入に積極的に参加した患者は85例(60.3%)であり、参加していない患者と比較し、退院時に機能や症状の改善が認められた(delta GAFは、心理社会的介入に参加した参加者において有意に高かった。t=-2.095、p=0.038)。・介入回数/入院日数を指標とし分析すると、心理社会的介入の頻度は、活動に参加したサンプルにおける患者の機能の改善と正の相関が認められた(r=0.272、p=0.012)。とくに、心理療法(r=0.202、p=0.017)と集団サポート(r=0.188、p=0.025)において、顕著であった。・統合失調症スペクトラム障害(37例)と気分障害(48例)をそれぞれ評価すると、GAFの改善と心理社会的介入との正の相関は、統合失調症スペクトラム障害のみで認められた。・BPRSに関しては、全体または疾患別において、これらの相関が認められなかった。 著者らは「重度の精神疾患患者に対する入院リハビリテーション介入の長期的なQOL、社会機能への効果を明らかにするためには、さらなる調査が求められる」としている。

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抗コリン負荷の増大が、心血管イベントのリスクと関連/BMJ

 急性心血管イベントで入院した65歳以上の患者においては、抗コリン薬による抗コリン作用の総負荷(抗コリン負荷)が、最近増加した集団で急性心血管イベントのリスクが高く、負荷の増加の程度が大きいほどリスクがより高いことが、台湾・国立成功大学のWei-Ching Huang氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年9月27日号に掲載された。心血管イベントで入院した高齢患者の症例-症例-時間-対照研究 本研究は、台湾の全国的な健康保険研究データベースを用いた症例-症例-時間-対照研究(case-case-time-control[CCTC]study)であり、2011~18年に急性心血管イベントで入院した65歳以上の患者31万7,446例を対象とした(台湾・国家科学技術委員会などの助成を受けた)。 CCTCは、適応症による交絡および潜在的なprotopathic bias(因果の逆転)の克服を目指した研究デザインであり、2つの自己対照分析(症例クロスオーバー分析と、将来の症例からなる対照クロスオーバー分析)で構成される。急性心血管イベントには、心筋梗塞、脳卒中、不整脈、伝導障害、心血管死を含めた。 主要アウトカムは、抗コリン負荷(Anticholinergic Cognitive Burden Scaleによる個々の薬剤の抗コリン作用スコアの合計)とし、3つの段階(0点[抗コリン作用なし]、1[軽度抗コリン作用]~2点[高度抗コリン作用]、3点[高度抗コリン作用]以上)に分類した。 ハザード期(心血管イベント発生前の-1~-30日)の抗コリン負荷のレベルを、レファレンス期(-61~-180日)から無作為に選択した30日間(-61~-90日、-91~-120日、-121~-150日、-151~-180日の4つから1つを選択)と比較し、急性心血管イベントと抗コリン負荷の最近の増加との関連を評価した。感度分析でも主解析と同様の結果 クロスオーバー分析には24万8,579例を含めた。イベント発生の時点(指標日)での平均年齢は78.4(SD 0.01)歳、53.4%が男性だった。最も頻度の高い併存疾患は、高血圧症(62.2%)、糖尿病(32.3%)、脂質異常症(24.0%)であった。抗コリン作用を有する薬剤として最も多く処方されていたのは、抗ヒスタミン薬(68.9%)、胃腸鎮痙薬(40.9%)、利尿薬(33.8%)であった。 ハザード期とレファレンス期で抗コリン負荷のレベルが異なっていた患者では、レファレンス期よりもハザード期で、負荷レベルが高い患者が多かった。たとえば、抗コリン負荷がハザード期は1~2点、レファレンス期は0点の患者は1万7,603例であったのに対し、ハザード期は0点、レファレンス期は1~2点の患者は8,507例だった。 現状の抗コリン負荷が1~2点の場合の0点の場合と比較した(1~2点vs.0点)心血管イベント発生のオッズ比(OR)は、症例クロスオーバー分析では1.86(95%信頼区間[CI]:1.83~1.90)、対照クロスオーバー分析では1.35(95%CI:1.33~1.38)であり、CCTCのORは1.38(1.34~1.42)だった。 同様に、3点vs.0点のCCTCのORは2.03(95%CI:1.98~2.09)、3点vs.1~2点のCCTCのORは1.48(1.44~1.52)であり、現状の抗コリン負荷が大きいほど心血管イベントのリスクが高い傾向を認めた。 感度分析として、抗コリン負荷カテゴリーのカットオフ値の再定義をしたり、抗コリン負荷の測定に別のスケールを使用した評価を行ったが、一貫して主解析と同様の結果が得られた。 著者は、「これらの知見は、観察研究の結果を解釈する際には、protopathic biasを考慮する必要があることを強調するものである」としている。

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デュシェンヌ型筋ジストロフィー、高用量rAAV9遺伝子療法後の死亡/NEJM

 米国・イェール大学のAngela Lek氏らは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の27歳の男性患者において、dSaCas9(Cas9ヌクレアーゼ活性を不活化した“死んだ[dead]”黄色ブドウ球菌Cas9)-VP64融合を含有する組み換えアデノ随伴ウイルス血清型9(rAAV9)による治療を行った。投与後、患者は軽度の心機能障害と心嚢液貯留を発症し、遺伝子導入治療後6日目に急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と心停止を来し、その2日後に死亡した。研究の詳細は、NEJM誌2023年9月28日号で「短報」として報告された。5歳時に診断、18歳で自立歩行能力を失う 患者は5歳時にDMDと診断され、21年間にわたりdeflazacort 1.1mg/kg/日の投与を受けてきた。18歳時に自立歩行能力を失った。腕の機能が進行性に低下し、心肺機能障害が徐々に増強した。 2022年10月4日、患者はCRISPR-transactivator治療薬(CK8e.dSaCas9.VP64.U6.sgRNA)を含有するrAAV9ベクターの投与を受けた。その時点で、除脂肪筋肉量の割合が45%と低く、拘束性換気障害および軽度の左室収縮機能障害を伴う重度の全身性筋力低下を呈していた。その後、左室駆出率(LVEF)は維持されていたが、肺機能は経時的に低下した。治療を行わなければDMDの筋症状の悪化が予測され、代替療法がないことから、遺伝子治療の候補と判断した。自然免疫反応がARDSを引き起こした 導入遺伝子は、custom CRISPR-transactivator療法として皮質型ジストロフィンをアップレギュレートするように設計された。使用したrAAV9の用量は、体重1kg当たり1×1014ベクターゲノムと、高用量であった。予防的免疫療法として、リツキシマブ、グルココルチコイド、シロリムスの投与を行った。 ベクター投与後1日目に、患者は心室性期外収縮を発症し、引き続き血小板数が減少傾向を示し、BNPとN末端proBNPの値が上昇した。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)値とアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値の上昇は、DMD患者に見られるように、クレアチンキナーゼ値の増加と比例した。γ-グルタミルトランスフェラーゼ値は正常だった。 3~4日目には、呼吸性アシドーシスを伴う無症候性高炭酸ガス血症が発現した。5日目には、心機能が悪化し、LVEFは45~50%に低下した。トロポニンI値が上昇し、心エコー図検査でタンポナーデの生理的特徴を示す心嚢液貯留が認められたため、患者は心筋心膜炎と推定された。6日目には、急性呼吸困難を呈し、胸部X線所見でARDSと左室収縮機能不全(LVEF:45~50%)を認めた。 この間、緩和的な治療として、グルココルチコイドの増量、エクリズマブ(抗C5モノクローナル抗体)、トシリズマブ(抗IL-6受容体モノクローナル抗体)、anakinra(IL-1受容体拮抗薬)の投与を行った。 患者は6日目に心肺停止となり、体外式膜型人工肺による治療を受けたが、2日後の遺伝子治療から8日目に、多臓器不全と重篤な低酸素性虚血性神経障害により死亡した。死後の検査では、重度のびまん性肺胞障害が認められた。肝臓における導入遺伝子の発現はわずかであり、臓器におけるAAV9抗体やエフェクターT細胞反応性は認めなかった。 著者は、「これらの所見は、高用量のrAAV9遺伝子治療を受けた進行性DMD患者において、自然免疫反応がARDSを引き起こしたことを示している」としている。この研究は、米国・Cure Rare Diseaseの助成を受けて行われた。

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