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梅毒が再度急増、コロナ前の2倍超!

梅毒報告数の年次推移(2005~23年、全数報告)(人)15,00010,000総数男性5,000女性0(年)2005~21年:厚生労働省ホームページ「性感染症報告数」の数値2022~23年:国立感染症研究所ホームページ「日本の梅毒症例の動向について」の届出数より集計(暫定値)Copyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.性・年齢別の梅毒報告数(2023年、全数報告)(人)2,0001,8001,6001,400男性女性1,2001,0008006004002000(歳)国立感染症研究所ホームページ「日本の梅毒症例の動向について」の届出数より集計(暫定値)Copyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第204回 アドレナリンを「打てない、打たない」医者たちを減らすには(前編) アナフィラキシーが呼吸器系の症状や循環器症状が単独で起こった場合は判断が難しい

インタビュー: 海老澤 元宏氏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター長)昨年11月8日掲載の、本連載「第186回 エピペンを打てない、打たない医師たち……愛西市コロナワクチン投与事故で感じた、地域の“かかりつけ医”たちの医学知識、診療レベルに対する不安」は、2023年に公開されたケアネットのコンテンツの中で最も読まれた記事でした。同記事が読まれた理由の1つは、この事故を他人事とは思えなかった医師が少なからずいたためだと考えられます。そこで、今回と次回はこの記事に関連して行った、日本アレルギー学会理事長である海老澤 元宏氏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター長)へのインタビューを掲載します。愛西市コロナワクチン投与事故の背景には何があったと考えられるのか、「エピペンを打てない、打たない医師たち」はなぜ存在するのか、「アナフィラキシーガイドライン2022」のポイントなどについて、海老澤氏にお聞きしました。(聞き手:萬田 桃)アドレナリンは“心肺蘇生に使う薬”というイメージを抱いている方がまだまだ多い――この記事が多くの読者に読まれた理由について、先生はどうお考えですか。海老澤タイトルにあるように、「エピペンを打てない、打たない医師」は実際に少なくなく、そうした方が読んだということが1つ考えられます。また、ワクチンの集団接種会場ということで、医師会などから依頼されて医師等が接種を行うわけですが、アナフィラキシーなど、万が一のことが起こった場合に、その場ですぐに全身管理ができるような体制は多くの会場で整っていなかったと考えられます。そういった意味で、「自分にも起こり得た事件だった」と捉えた方も多かったのかもしれません。――「エピペン」こと、アドレナリンを「打てない、打たない医師」はまだ結構いるのでしょうか。海老澤アドレナリンの筋肉注射については、僕らの世代から上の医師だと、”心肺蘇生に使う薬”というイメージを抱いている方がまだまだ多い印象です。最近は、医師国家試験でもアナフィラキシーの時のアドレナリン筋注は第一選択だということが設問になるくらいで、若い医師たちには十分浸透していることだと思います。しかし、一方で少し世代が上になると、「まずアドレナリン筋注」とは考えない医師は存在します。使った経験がない人だと躊躇してしまうことはある――今回のコロナワクチンのアナフィラキシーに最初に対応した医師は、事故報告書によれば「内科医、医師歴5年以上10年未満」となっていました。海老澤比較的若い医師だったのですね。今回のケースに当てはまるかどうかはわかりませんが、アナフィラキシーの患者にこれまで遭遇したことがある医師は、アナフィラキシーの患者を目の前にして、すぐに筋注しても問題はないと理解していると思うのですが、使った経験がない人だと躊躇してしまうことはあると思います。これまでにアナフィラキシーの患者さんを1人も診たことがなく、対処法に慣れていない医師は全国で少なくないと思います。仮に病院での治療中に起きたアナフィラキシーだったら、筋注後すぐにICUに運びルートを取り、アドレナリンを希釈して投与することも可能です。酸素投与もできます。また、手術中であればすでにルートが取れているので、即時対応が可能です。しかし、アナフィラキシーの初期対応としてアドレナリン筋注(0.1%アドレナリンの筋肉内注射、またはアドレナリン自己注射用製剤〈エピペン0.3mg製剤の投与〉)が第一選択だというのは基本中の基本です。もちろん、糖尿病や高血圧、動脈硬化など基礎疾患があるような方だと、アドレナリンを打って血圧が急上昇して脳出血を起こしたりするリスクは全くゼロではありません。そうしたリスクとベネフィットを考えて投与するわけですが、打って害になることは少ないと思います。アナフィラキシーが呼吸器系の症状や循環器症状が単独で起こった場合は判断が難しい――報告書によれば、看護師の1人は、アナフィラキシーの可能性を考え、アドレナリン1mgプレフィールドシリンジに22ゲージ針を付け、医師の指示があればいつでも筋注できるよう準備をしていましたが、「医師の判断を尊重するため、アドレナリンの準備ができていることを積極的に伝えようとはしなかった」とのことです。海老澤なるほど。ただ、そこは医師の判断ですから難しいですね。あともう1つ考えられるのは、アナフィラキシーの症状が典型的なパターンではなく、それが見逃しにつながった可能性です。――報告書では、「接種前から体調不良、呼吸苦があったようだという看護師からの情報と、粘膜所見、皮膚所見、掻痒感、消化器症状など『アナフィラキシーで典型的な症状』がなかったことから、女性の病態はアナフィラキシーの可能性が低いと判断し、アドレナリンの筋肉内注射を第一治療選択から外した」と書かれています。海老澤アナフィラキシーが呼吸器系の症状や、血圧低下などの循環器症状が単独で起こった場合は、判断が難しいというのは確かにあります。2022年に改訂した「アナフィラキシーガイドライン」1)では、診断基準が2つに集約されました。1つは、「皮膚、粘膜、またはその両方の症状(全身性の蕁麻疹、瘙痒または紅潮、口唇・舌・口蓋垂の腫脹など)が急速に(数分~数時間)で発症した場合」。もう1つが「典型的な皮膚症状を伴わなくても、当該患者にとって既知のアレルゲンまたはアレルゲンの可能性が高いものに曝露された後、血圧低下または気管支痙攣または咽頭症状が急速に(数分〜数時間)で発症した場合」となっています。この2番目は、循環器症状と呼吸器症状の単独の場合を言っているわけです。アナフィラキシーの基本は皮膚症状なのですが、典型的な皮膚症状がなくても、アナフィラキシーを疑う場面で、血圧低下または気管支攣縮、咽頭症状などの呼吸器症状があればアドレナリンを打つ、というのが2022年改訂の大きなポイントです。ワクチンもそうですが、薬剤等の場合にこうした呼吸器症状、循環器症状単独のアナフィラキシーが起こりやすく、かつ症状が進行するスピードも早く時間的余裕もないので、そこはとくに注意が必要です。重症の方の場合、アドレナリン投与1回では効かないこともある――今回の事故で「打たなかった」背景にはいろいろな原因が考えられるわけですね。海老澤今回の事例に直接当てはまるかどうかは軽々に言えませんが、「アナフィラキシーの典型的な症状ではなく判断が難しかった」「アナフィラキシーに対する医療者の経験値、慣れが足りなかった」「何か起こった場合に対応する医療体制が乏しかった」ことなどが教訓として挙げられると思います。ただ、症状の進行はものすごく速かったと考えられるので、アドレナリンの1回の筋注で軽快していたかどうかはわかりません。重症の方の場合、アドレナリン投与1回では効かないこともあります。それでもダメな場合は、ルートを取って輸液したり、酸素を投与したりと全身管理が必要になってきます。救命できるかどうかは、そういった一連の流れの中で決まってきます。(この項続く)(2024年1月23日収録)【事故の概要】2022年11月、愛知県愛西市の集団接種会場で、新型コロナワクチンを接種した女性(当時42)が直後に容体が急変し死亡しました。愛西市がまとめた報告書2)によれば、接種4分後から女性に咳嗽と呼吸苦が発現したにもかかわらず、看護師らは「ワクチン接種前からマスク着用の圧迫感による過呼吸発作状態にあったもの」と解釈していました。また、体調不良者が出たことで対応を依頼された医師も「接種前から体調不良、呼吸苦があったようだ」という看護師からの情報と、粘膜所見、皮膚所見、掻痒感、消化器症状など「アナフィラキシーで典型的な症状」がなかったことから、女性の病態はアナフィラキシーの可能性が低いと判断し、アドレナリンの筋肉内注射を第一治療選択から外してしまいました。女性は接種14分後に心停止、3次救急病院に搬送されるも到着時にはすでに心肺停止状態で、心肺蘇生を試みた後、死亡が確認されました。報告書で愛西市医療事故調査委員会は、「ワクチン接種後待機中の患者の容体悪化(咳嗽、呼吸苦の訴え)に対し、看護師らがアナフィラキシーを想起できなかったこと、問診者に接種前の患者の状態を確認することなく、患者は接種前から調子が悪かったと解釈したことは標準的ではなかった。また、その情報に影響を受け、ワクチン接種後患者の容体変化に対し、アドレナリンの筋肉内注射が医師によって迅速になされなかったことは標準的ではなかった」とし、「本事例は、ワクチン接種後極めて短時間に患者が急変し、死亡に至ったものである。非心原性肺水腫による急性呼吸不全及び急性循環不全が直接死因であると考えられ、この両病態の発症にはアナフィラキシーが関与していた可能性が高い。本事例は短時間で進行した重症例であることから、アドレナリンが投与されたとしても救命できなかった可能性はあるが、特に早期にアドレナリンが投与された場合、症状の増悪を緩徐にさせ、高次医療機関での治療につなげ、救命できた可能性を否定できない」と結論付けました。参考1)アナフィラキシーガイドライン2022/日本アレルギー学会2)事例調査報告書/愛西市

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運動による死亡リスク低下、女性はより短時間で効果

 身体活動は心血管系および全死因死亡リスクを低下させるために広く推奨されているが、米国疾病予防管理センター(CDC)および米国心臓協会/米国心臓病学会が推奨する身体活動の基準を満たす米国人は全体の4分の1以下で、さらに女性は男性に比べ身体活動の実施量が少ない。では、身体活動による健康増進効果に性差はあるのか。中国・北京清華長庚医院のHongwei Ji氏らによる研究がJournal of the American College of Cardiology誌2024年2月27日号に掲載された。 研究者らは、CDCと国立保健統計センターの統計データを用いて、身体活動に関するデータを提供した米国成人41万2,413例(55%女性、年齢中央値44歳)を対象とした前向き研究を行った。1997~2019年の身体活動の指標(頻度、継続時間、強度、種類)と全死因死亡率および心血管疾患死亡率との多変量解析後の関連を、性別ごとに検討した。 主な結果は以下のとおり。・女性の32.5%、男性の43.1%が定期的に有酸素運動を行っており、有酸素運動の主要な指標はすべて男性で有意に頻度が高かった。・491万1,178人年の追跡期間中に、1万1,670例の心血管死を含む3万9,935例の全死因死亡があった。定期的な運動は運動不足と比較して、女性では24%(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.73~0.80)、男性では15%(HR:0.85、95%CI:0.82~0.89)の全死因死亡率の低下と関連していた(p<0.001)。・男性は300分/週の中等度~強度の身体活動で最大生存ベネフィット(HR:0.81)に達したが、女性は140分/週で同様のベネフィットを達成し、その後も300分/週以上で最大生存ベネフィット(HR:0.76)に達した。・性差に特異的な所見は、心血管疾患死に関しても同様であり(p<0.001)、有酸素運動および筋力強化活動のすべての指標において一貫していた(p=0.009)。 研究者らは、女性は男性に比べ、同量の余暇身体活動によって全死因死亡リスクおよび心血管疾患死亡リスクの低下においてより大きな利益を得ていた。これらの知見は、とくに女性に定期的な余暇身体活動への意欲を持たせ、運動参加の男女差を解消する努力を強化する可能性がある、としている。

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日本における片頭痛患者の治療パターンと特徴

 日本における片頭痛患者にみられる実際の臨床的特徴や治療実践については、十分に調査されていない。慶應義塾大学の滝沢 翼氏らは、近年の片頭痛の臨床実態、現在の治療選択肢では十分にコントロールできていない可能性のある患者の特徴を明らかにするため、レセプトデータベースを用いたレトロスペクティブコホート研究を実施した。The Journal of Headache and Pain誌2024年2月8日号の報告。 大規模レセプトデータシステムJMDCデータベースを用いて調査を行った。2018年1月~2022年7月に頭痛または片頭痛と診断された患者を対象とした頭痛コホート、頭痛コホート内で片頭痛と診断され片頭痛治療薬を使用した患者を対象とした片頭痛コホートとして定義し、検討を行った。頭痛コホートでは、医療機関の特徴、二次性頭痛を鑑別するための画像検査の状況を検討した。片頭痛コホートでは、急性期およびまたは予防的治療では十分にコントロールできていない可能性のある患者の治療パターン、および特徴を評価した。 主な結果は以下のとおり。・頭痛コホートには、98万9,514例(女性の割合:57.0%、平均年齢:40.3歳)が含まれた。1次診断のために診療所(19床以下)を受診した患者の割合は77.0%、CTおよびまたはMRIによる画像診断を行った患者の割合は30.3%であった。・片頭痛コホートでは、16万5,339例(女性の割合:65.0%、平均年齢:38.8歳)が含まれ、95.6%が急性期治療を行い、20.8%が予防的治療を実施していた。・片頭痛治療の初回選択肢は、アセトアミノフェン/非ステロイド系抗炎症薬(54.8%)が最も高く、次いでトリプタン(51.4%)であった。・初回治療では、15.6%に予防的治療が含まれていた。4回目治療時には、予防的治療の実施割合が82.2%へ増加していた。・12ヵ月以上のフォローアップ調査を行った患者のうち、薬物乱用頭痛のリスクが示唆される処方パターンが3.7%に認められた。これらの患者の特徴として、女性の割合が高い、併存疾患の有病率が高いが挙げられた。 著者らは「この研究により、医療機関に来院する片頭痛患者の約5分の1は、予防薬を使用していることが明らかとなった」とし、また、薬物乱用頭痛のリスクがある潜在的患者と片頭痛治療における診療所の役割についても述べた。

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尋常性乾癬の生物学的製剤、費用対効果の評価

 効率的フロンティア(efficiency frontier:EF)と呼ばれる費用対効果の評価方法を用いることで、尋常性乾癬の生物学的製剤の価格の大幅な引き下げと、臨床的な費用対効果の最適化が実現可能であることを、米国・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のAlexander C. Egilman氏らが示した。検討の結果を踏まえて著者は、「EFは政策立案者にとって従来の費用対効果分析手法に代わるアプローチとなるものである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年2月21日号掲載の報告。 研究グループは、EFにより尋常性乾癬の生物学的製剤の薬価と臨床ベネフィットの適正化をどれほど図れるのかを評価した。また、米国における薬価の引き下げ幅について4ヵ国(オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ)と比較することにより推定した。 EFを用いた医療経済評価では、上記5ヵ国における尋常性乾癬の生物学的製剤11剤とバイオシミラー2剤の薬価と臨床ベネフィットを比較。EFは各生物学的製剤の有効性(Psoriasis Area and Severity Index[PASI]90達成率で評価)と2023年1月時点の年間治療コストをベースに構築し、EFに基づく薬価と従来の費用対効果分析に基づく価格を比較した。従来の費用対効果分析に基づく薬価は、1質調整生存年(QALY)当たり15万ドルを基準とした。 主な結果は以下のとおり。・13剤の生物学的製剤におけるPASI 90達成率は、17.9%(エタネルセプト)~71.6%(リサンキズマブ)の範囲にわたっていた。・米国の年間治療コストは、1,664ドル(infliximab-dyyb[インフリキシマブのバイオシミラー])~7万9,277ドル(リサンキズマブ)の範囲にわたっていた。・年間治療コストの中央値(四分位範囲[IQR])は、米国が3万4,965ドル(2万493~4万8,942)であり、オーストラリア(9,179ドル[6,691~1万2,688])、カナダ(1万5,556ドル[1万3,017~1万6,112])、フランス(9,478ドル[6,637~1万1,678])、ドイツ(1万3,829ドル[1万3,231~1万5,837])よりも高かった。・米国のEFで臨床的な費用対効果が良好であったのは、infliximab-dyyb(PASI 90達成率:57.4%、年間コスト:1,664ドル)、イキセキズマブ(同:70.8%、3万3,004ドル)、リサンキズマブ(同:71.6%、7万9,277ドル)であった。・米国の乾癬の生物学的製剤の価格について、EFを用いて推算した価格(最適価格)と一致させるためには中央値71%(IQR:31~95)引き下げる必要があった。同様のアプローチを用いた場合の他の4ヵ国の引き下げ幅はより小さく、カナダ41%(同:6~57)、オーストラリア36%(同:0~65)、フランス19%(同:0~67)、ドイツ11%(同:8~26)であった。・リサンキズマブを除き、EFに基づく薬価は従来の費用対効果分析に基づく薬価よりも低かった。

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血糖値や体重のコントロールに最も有効なGLP-1受容体作動薬は? (解説:小川大輔氏)

 GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病に対して血糖降下作用や体重減少効果のある優れた治療薬である。セマグルチドやチルゼパチドのほか、日本では発売されていないGLP-1受容体作動薬も含めて、数多くあるGLP-1受容体作動薬の中で血糖コントロールや体重減少効果に対して、最も有効な製剤は何か? その問いに答える論文がBMJ誌に発表された1)。 著者らは成人2型糖尿病患者を対象とし、12週間以上プラセボあるいは他のGLP-1受容体作動薬と比較した無作為化対照試験を抽出した。そのうちクロスオーバー試験、非劣性試験、現在使用されていない薬剤との比較試験などは除外し、基準を満たした76試験のネットワークメタ解析を行った。 血糖コントロールに関しては、15種類のGLP-1受容体作動薬の中でHbA1c、空腹時血糖値の低下はチルゼパチドが最も大きく、最も有効なGLP-1受容体作動薬であると述べている。ただし、日本ではチルゼパチド2.5~5mgを使用しているのに対し、この論文ではチルゼパチド5~15mgを使用した試験の解析を行っている。そのため私たちのチルゼパチドに対する印象とは、やや異なる結果となっており、その解釈には注意が必要である。 体重管理に関しては、いずれのGLP-1受容体作動薬も効果があるが、なかでもCagriSema(セマグルチドとcagrilintideの合剤)が最も体重減少が大きかったと報告している。しかし以前に本コラムでコメントしたが2)、CagriSemaは日本では発売されていないので、日本で現在使用できるGLP-1受容体作動薬の中では、チルゼパチドやセマグルチドが効果の高い製剤となる。 GLP-1受容体作動薬の脂質に対する効果については、これまでにあまり報告がない。この論文で、LDLコレステロール値と総コレステロール値にセマグルチドが唯一有効なGLP-1受容体作動薬であった、と述べている点は興味深い。また中性脂肪の低下に対しては、ITCA 650(日本未発売)とチルゼパチドが有効であった。 今回の解析で、有害事象についてはいずれのGLP-1受容体作動薬においても悪心、嘔吐や下痢などの消化器系の有害事象が認められた。予想通りの結果ではあるが、血糖値や体重の減少を期待して高用量のGLP-1受容体作動薬を投与する際には、消化器症状の発現に注意する必要があると言えよう。

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トラブルになりそうな職場復帰、どう対応するか【実践!産業医のしごと】

トラブルを引き起こす可能性のある職場復帰事例の典型を紹介します。産業医として、企業から無理筋な判断の要求を受ける典型的なケースとして、一緒に考えてみましょう。事例:ある企業の産業医として選任され、A人事課長からB従業員との復職面談の実施を依頼されました。今回、B従業員は休職満了直前まで療養し、復職可能の診断書を提出しています。B従業員はこれまで3回休職と復職を繰り返しています。これまでもパフォーマンスが低いようで、仕事でも職位に見合った成果を出せていません。A人事課長からは、今回の産業医面談で「できればB従業員が復職できないよう、意見してほしい」と言われました。考え方:職場復帰の可否は、最終的には使用者(事業者)が決定するものですが、産業医がどのような意見を述べたのかは、企業の判断において重要な点となります。産業医として勤務していると、今回の例ほど強い要求でなくとも、似たような例に遭遇することがあります。どのような事例でも必要なのは、中立的かつ独立的な立場から客観的に意見を述べるスタンスです。それを踏まえたうえで以下の2つの点から考えます。1)職場復帰判断には、事前情報が重要産業医の立場から、客観的かつ合理的な判断をするためには、職場復帰前から現在に至るまでの情報が必要です。休職期間の満了間際になって慌てて産業医面談を始めるのでは、その情報をほとんど聴取することができません。休職期間中から定期的に休職者と産業医面談を行う、リワークに通所を依頼する、通勤訓練や試し勤務を行う、等の方法によって適切な情報を事前に収集しておく必要があります。産業医が説得力のある医学的判断を行うためには、こうした事前情報が不可欠です。つまり、復職時の産業医面談のみで判断せざるを得ない場合は、事前情報が不足している可能性が高いのです。その場合、明らかな心身の不調が認められない限り、職場復帰可能と判断するのが妥当と考えます。2)休職期間の残期間も考慮する職場復帰の際には、休まずに出社できればよいだけではなく、休職前の職位に相当する業務ができることが必要です。しかし、過去の裁判例では、休職満了時の際には、「回復が当該労働者の本来業務に就く程度には回復していなくても、当初は軽易な業務に就かせれば、程なく従前の業務を行える程度に回復する」と見込まれる場合には、職場復帰させるべきと考えられています。「どの程度の軽減業務で、どの程度の期間行うべき」であるかは明確にはなっていませんが、「従前の半分程度で、半年程度の期間」と示した主治医見解を、「当初は軽易な業務に就かせれば、程なく従前の業務を行える程度に回復すると予測できる場合とは解されない」とした裁判例(独立行政法人N事件)もあります。産業医面談において、従前の業務ができるほどに回復していないと判断した場合、休職期間に残りがあれば、企業は復職を認めずに従前の業務ができるほどに回復を待つことが妥当です。休職満了が迫るタイミングでは、企業は本人の同意を得て、主治医に情報提供を依頼し、改めて主治医が復職可能と判断した根拠と、軽減勤務を必要とする場合の条件を聴取する必要があるでしょう。「その理由を第三者にも合理的に説明できるか」を考える職場復帰における産業医の意見は、企業の判断の根拠となる材料です。職場復帰の判断は、復職面談に至るまでの事前の情報が重要であり、職場復帰が困難であることを判断する十分な根拠がない場合は、企業は復職を認めることが原則と考えます。仮に産業医が主治医と異なる意見を出すときには上記に示したことを基に、「復職できないと判断した根拠を、第三者にも客観的かつ合理的に説明できるか」を意識するとよいでしょう。企業が復職を望まない場合には、従業員のパフォーマンスやスキル不足が背景にあることがあります。それが問題となっている場合は、企業が職場復帰後にOJTや指導を通じて、改善を求めるのが妥当でしょう。産業医が本来負うべきでない(果たすことができない)責任を負わないよう、使用者の責任と産業医の責任の範囲を整理することも重要です。

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英語で「検査結果が出る」は?【1分★医療英語】第122回

第122回 英語で「検査結果が出る」は?《例文1》医師The result should come back in 10 minutes.(検査結果は10分で出るはずです)患者Okay. I will wait here.(では、ここで待ちます)《例文2》患者Did the CT scan result come back?(CTの結果は出ましたか?)医師Let me check.(確認します)《解説》「検査結果が出る」という表現には、“come back”を使います。主に血液検査に対して使われることが多いのですが、他の検査についても使用することができ、汎用性の高い表現だといえます。血液検査検体を中央検査室に送り、その結果がカルテに「帰ってくる」ために“come back”という言い方になっているのでしょう。病院では日常的に使われており、かつ簡単な表現なので、ぜひ身に付けてください。講師紹介

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短時間での投与が可能なHER2陽性乳がん・大腸がん治療薬「フェスゴ配合皮下注MA/同IN」【最新!DI情報】第11回

短時間での投与が可能なHER2陽性乳がん・大腸がん治療薬「フェスゴ配合皮下注MA/同IN」今回は、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体・ヒアルロン酸分解酵素配合薬「ペルツズマブ(遺伝子組換え)・トラスツズマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)(商品名:フェスゴ配合皮下注MA/同IN、製造販売元:中外製薬)」を紹介します。本剤は、HER2陽性の乳がんおよび大腸がんの配合皮下注射薬です。従来の静脈注射は60~150分かけて投与するのに対し、本剤では5~8分以上で投与可能であり、患者・医療施設双方の負担が軽減することが期待されています。<効能・効果>HER2陽性の乳がん、がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんの適応で、2023年9月25日に製造販売承認を取得し、同年11月22日より販売されています。<用法・用量>通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)/トラスツズマブ(遺伝子組換え)/ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として初回投与時にはそれぞれ1,200mg/600mg/30,000Uを、2回目以降はそれぞれ600mg/600mg/20,000Uを、初回投与時には8分以上、2回目以降は5分以上かけて3週間間隔で皮下投与します。HER2陽性の乳がんに対しては他の抗悪性腫瘍剤との併用において投与し、術前・術後薬物療法の場合は投与期間は12ヵ月までとなります。<安全性>重大な副作用として、Infusion reaction(4.0%)、心機能障害(3.6%)、過敏症、間質性肺疾患(各0.8%)、肝障害、敗血症(各0.4%)などが報告されています。その他の主な副作用には、下痢(30.7%)、注射部位反応(14.1%)、発疹、疲労(各5%以上)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬に含まれるペルツズマブおよびトラスツズマブは、HER2というタンパク質の動きを抑えることによりがん細胞の増殖を抑えます。2.この薬の投与により、心臓の機能が低下することが報告されていますので、定期的に心臓の検査を受けてください。3.妊婦または妊娠している可能性がある人はこの薬を使用することはできません。妊娠する可能性がある人は、この薬を使用している間および使用を中止・終了してから7ヵ月間は適切な方法で避妊してください。<ここがポイント!>本剤は、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体であるペルツズマブおよびトラスツズマブとボルヒアルロニダーゼ アルファを配合した抗悪性腫瘍薬です。ペルツズマブはHER2細胞外領域のドメインIIに、トラスツズマブは細胞膜近接部位のドメインIVに結合し、異なる経路から包括的にHER2シグナルを遮断し、腫瘍細胞増殖の抑制やアポトーシスを誘導すると考えられています。一方、ボルヒアルロニダーゼ アルファは、結合組織におけるヒアルロン酸を加水分解することにより、薬剤注入時の抵抗を減少させて薬物の体内浸透や拡散を促進させる作用があります。これまで、ペルツズマブおよびトラスツズマブを点滴静注するには60~90分以上の投与時間が必要でしたが、本剤は初回が8分以上、2回目以降は5分以上と短時間での投与が可能となりました。なお、ボルヒアルロニダーゼ アルファが配合された医薬品には、多発性骨髄腫および全身性ALアミロイドーシスに適応を持つダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)(商品名:ダラキューロ配合皮下注)が2021年5月から販売されています。HER2陽性の早期乳がん患者を対象とした国際共同第III相臨床試験(FeDeriCa試験)において、サイクル7(サイクル8投与前)でのペルツズマブ血清中トラフ濃度が主要評価項目として検討されました。ペルツズマブ+トラスツズマブ(IV)群に対する本剤群のペルツズマブ血清中トラフ濃度の幾何平均値の比(GMR)は1.22(90%信頼区間[CI]:1.14~1.31)であり、信頼区間の下限値が非劣性マージンの0.8を上回ったので、フェスゴ群の非劣性が検証されました。また、副次的評価項目である全病理的完全奏効率は、本剤群が59.7%(95%CI:53.3〜65.8)、ペルツズマブ+トラスツズマブ(IV)群が59.5%(95%CI:53.2〜65.6)であり、その差は0.2%(95%CI:-8.7〜9.0)で同等でした。

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どうすればわかりやすく話せる?【もったいない患者対応】第1回

どうすればわかりやすく話せる?登場人物患者さんにうまく病状説明ができなくて困ってるんです。先日も「先生の話がわかりにくい」と患者さんに言われてしまって…。唐廻先生は、患者さんへの説明でどんなことを意識してるのかな?できるだけ簡単な言葉を使う…とかですかね?それはもちろん大事だね。でも、いくら言葉が簡単でも、情報がきちんと整理されていないと、聞き手には伝わりにくいんだ。なるほど…。僕のおすすめは、ポイントが何個あるかを最初に示すことだよ。僕はこのことを「アウトラインの提示」や「目次をつける」と呼んでいるよ。アウトラインの提示とは?私が患者さんに病状説明をするとき、最も大切にしているのが、最初に「何をどんな順番で話すか」を伝えることです。たとえば、検査結果を患者さんに説明するときを想像してみてください。私はまず、「○○さんに受けていただいた3つの検査の結果について、いまから説明します。1つ目は血液検査、2つ目はCT検査、3つ目はMRI検査の結果です。よろしいですか?」とお話しします。この時点で患者さんの頭の中には、(1)血液検査(2)CT検査(3)MRI検査という目次が浮かび上がります。そして、「まず、血液検査ですが…」「次に、CT検査ですが…」と順に話し始めると、患者さんは「あと残るはMRIだな」と認識することができ、いま話のフローのどこにいるのかを把握することができます。このアウトラインの提示がないままに、「○○さん、血液検査の結果は△△でした。次にCTの結果は××でした。それからMRIの結果ですが…」と話し始めると、聞くべき項目がいくつあって、いつまで話が続くのかがわからず、理解が追いつかなくなります。医師に一方的に話をされて、途中で疑問点が思い浮かんでも話を切りにくい、と感じている患者さんは多くいます。もちろん、医師が威圧的で、なんとなく質問しにくい雰囲気があるケースもあるかもしれませんが、何よりどこが話の切れ目かわからないのが大きな理由でしょう。アウトラインを提示しておき、話の切れ目にあたるところで、「ここまでは大丈夫ですか?」と質問を受け付けて、そこまでの話をいったん整理するのも大切です。検査結果以外でも使えるこの「アウトラインの提示」は、検査結果を患者さんに説明するときだけでなく、あらゆるシチュエーションで使えます。たとえば、「○○さん、検査の結果ですが、がんが再発しているようです。私たちがそう考える理由は3つあります。まず1つ目が……」というふうに伝えることで、患者さんは「何がどんな順番で話されるのか」に関して、頭の準備をすることができます。ほかにも、頭部打撲の患者さんに経過観察の方針を告げる際には、「○○さん、いまから24時間は慎重に様子をみてください。『どんなことがあったらもう一度受診してほしいか』ですが…」というような形で、あえて数字を示さなくても(あるいは伝えるべきことが1つしかなくても)、「いまから何を話すのか」をまず伝えるのが得策です。あえてこう書くのは、日本語の構造上、何も意識しないと結論が最後に来てしまうからです。前述の例で言えば、「○○と、△△と、××があったときはもう一度受診してください」と言ってしまうと、聞き手としては、途中まで「何を意図して話しているのか」がわからないまま話を聞かなくてはならなくなってしまいます。「アウトラインの提示」を意識するだけで、話は随分伝わりやすくなります。ぜひ試してみてください。

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第206回 脂肪肝疾患(NASH/MASH)治療薬を米国FDAが初承認

脂肪肝疾患(NASH/MASH)治療薬を米国FDAが初承認米国FDAが3月14日に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)治療薬を初めて承認しました1,2)。米国のMadrigal Pharmaceuticals社が開発したresmetirom(商品名:Rezdiffra)が、第III相試験(MAESTRO-NASH)の1年時点の肝生検結果を基に取り急ぎ承認(Accelerated approval)されました。resmetiromは1日1回の経口服用薬で、NASH患者の肝臓で不調となる甲状腺ホルモン受容体β(THR-β)のアゴニストです。resmetiromが担うTHR-β活性化は肝臓のトリグリセリド(中性脂肪)を減らすことが知られています。第I相試験の段階でresmetiromは健康な被験者のトリグリセリドを多ければ60%低下させました3)。米国でおよそ150万例もが患うNASHは、昨年に世界の肝疾患専門家や患者団体が集まって決めた病名であるMASH(metabolic dysfunction associated steatohepatitis)に改められました2)。とはいえFDAは引き続きNASHを採用しており、resmetiromの添付文書の効能・効果は肝線維化が中等度~高度(肝線維化ステージF2-3)であるものの肝硬変ではないNASH患者に対して、食事療法や運動療法とともに同剤を投与することとなっています(以下FDAに倣ってNASHを使用)。難儀な肝生検は幸いにもその使用に際して必要ありません。MAESTRO-NASH試験で病理学者2人(病理学者AとB)が生検組織を検討した結果によると、肝線維化F2-3の非肝硬変NASH患者の1年間のresmetirom経口服用で、少なくとも4例に1例ほどが肝線維症の改善や脂肪性肝炎の消失を達成できるようです。詳しい結果は以下のとおりです4)。画像を拡大するresmetiromは含量60mg、80mg、100mgの3つの錠剤が承認され、80mg錠は体重が100kg未満の患者、100mg錠は体重が100kg以上の患者向けとなっています。クロピドグレルなどの若干のCYP2C8阻害作用を有する薬剤と併用する場合には減量が必要で、その場合体重100kg未満の患者は60mg錠、体重100kg以上の患者は80mg錠を服用します。強力なCYP2C8阻害薬との併用はできません。resmetiromの1年間分の薬価は4万7,400ドル(700万円強)で5)、同剤の最大年間売上は50億ドルを超えうるとアナリストの1人は予想しています6)。その達成のためには、進行中のMAESTRO-NASH試験の最長54ヵ月のresmetirom治療が死亡、肝移植、重大な肝イベント(腹水、脳症、胃食道静脈瘤出血を含む肝代償不全、肝硬変への進展、MELDスコア上昇)をプラセボに比べて減らすことを示して、取り急ぎの承認を本承認にする必要があるでしょう。その本勝負の結果はClinicalTrials.gov登録情報によると約4年後の2028年1月に判明します7)。肝硬変をすでに患うNASH患者の死亡、肝臓移植、腹水、脳症、胃食道静脈瘤出血、MELDスコア上昇がresmetiromで減ることを示すための第III相試験(MAESTRO-NASH-OUTCOMES)も進行中で、その結果は来年2025年8月に判明する見込みです8)。参考1)FDA Approves First Treatment for Patients with Liver Scarring Due to Fatty Liver Disease / PRNewswire2)Madrigal Pharmaceuticals Announces FDA Approval of Rezdiffra (resmetirom) for the Treatment of Patients with Noncirrhotic Nonalcoholic Steatohepatitis (NASH) with Moderate to Advanced Liver Fibrosis / GlobeNewswire3)Taub R, et al. Atherosclerosis. 2013;230:373-380.4)Prescribing Information:Rezdiffra5)Rezdiffra (resmetirom) FDA Approval Conference Call March 2024 / Madrigal Pharmaceuticals6)US FDA approves first drug for fatty liver disease NASH / Reuters7)MAESTRO-NASH試験(ClinicaltTrials.gov)8)MAESTRO-NASH-OUTCOMES試験(ClinicaltTrials.gov)

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高齢者の身体活動量、推奨値を変更/厚労省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」

 厚生労働省は健康・医療・介護分野における身体活動を支援する関係者を対象として、身体活動・運動に関する推奨事項や参考情報をまとめた「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」を2024年1月に公表した。「健康づくりのための身体活動基準 2013」から10年ぶりの改訂となる。同ガイドの改訂に関する検討会で座長を務めた中島 康晴氏(九州大学大学院医学研究院整形外科 教授)に主な改訂点とその背景について話を聞いた。年齢や疾患の有無などに応じ、身体活動の推奨事項をそれぞれ提示 今回の改訂では、「健康日本21(第三次)」のビジョン1)の中で示されている「誰一人取り残さない健康づくり(inclusion)」ならびに「より実効性をもつ取組の推進(implementation)」の観点から、ライフステージごと(成人、こども、高齢者)に身体活動・運動に関する推奨事項をまとめるとともに、「慢性疾患(高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、変形性膝関節症)を有する人の身体活動のポイント」「働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント」など個人差を踏まえた推奨事項を示している点が大きな特徴。それぞれ2~4ページごとにまとめられており、指導の際のツールとしての使いやすさを考慮して作成されている。中島氏は、「年齢・性別・疾患の有無などに応じて、多くの人が当てはまるように場合分けをして、わかりやすく推奨事項を示すことが今回の改訂の大きなテーマ」とした。高齢者の推奨身体活動量を週10メッツから15メッツに変更 高齢者の身体活動量の推奨値は、2013年版では「強度を問わず身体活動を週10メッツ・時」とされていたが、「強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上」に変更された。これは今回の改訂にあたって実施されたアンブレラレビューの結果(強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行う高齢者は、身体活動をほとんど行わない高齢者と比べて総死亡および心血管疾患死亡のリスクが約30%程度低下)や高齢者の現状の身体活動量に基づく。 そのほか高齢者への推奨事項に関しては、今回から「多要素の運動」という言葉が用いられ、その具体例や科学的根拠なども示されている。成人は1日約8,000歩以上、高齢者は約6,000歩以上を推奨 推奨の身体活動量についてメッツだけでなく相当する歩数をそれぞれ示したことも2023年版の大きな特徴となっている。これについて中島氏は、「わかりやすさはもちろん、近年多くの研究で歩数と疾患の関係が示されており、運動器そのものの機能も歩くことによって改善することが明らかになっている」と説明。また、座位行動という言葉が初めて用いられ、成人・高齢者ともに「座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意する(立位困難な人も、じっとしている時間が長くなりすぎないよう、少しでも身体を動かす)」と明記された。 成人・高齢者それぞれの主な推奨事項は以下のとおり:[成人]・強度が3メッツ以上の身体活動を週23メッツ・時以上行う。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上行う(1日約8,000歩以上に相当)・強度が3メッツ以上の運動を週4メッツ・時以上行う。具体的には、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上行う・筋力トレーニングを週2~3日行う(週4メッツ・時の運動に含めてもよい)[高齢者]・強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行う。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行う(1日約6,000歩以上に相当)・筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を週3日以上行う・筋力トレーニングを週2~3日行う(多要素な運動に含めてもよい) 中島氏は、「たとえば成人の1日約8,000歩以上というのは決して簡単な数字ではなく、かなり意識しないと達成できない。ガイドにも明記されているように、個人差を踏まえて可能なものから取り組み、今より少しでも多く身体を動かすことを意識してほしい」と話した。また小児については、WHOの「身体活動及び座位行動に関するガイドライン(2020年)」2)では具体的な数値が示されているものの、日本の子供たちの現状としては身体活動を全然行っていない場合と行っている場合に大きく二極化していることから、本ガイドでは参考値として示している。実臨床での運動指導を“より具体的に”行うために 本ガイドでは「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」として、運動前の注意事項、症状の把握やリスク分類、身体活動の状況の評価が3つのステップに分けて解説されており、実臨床で運動指導を行う際にも活用できるチェックシートが掲載されている。中島氏は、「患者さんに“運動してください”と言っても、それだけで実行に移してもらうことは難しい。具体的に何をどのくらいどこまでやったらいいのか、注意点は何なのかを伝えることが重要。その際の参考に、今回のガイドをぜひ活用していただきたい」と話した。

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早期アルツハイマー病における攻撃的行動と関連する脳の変化

 認知症患者の精神神経症状は、介護者の負担につながり、患者の予後を悪化させる。これまで多くの神経画像研究が行われているものの、精神神経症状の病因学は依然として複雑である。東京慈恵会医科大学の亀山 洋氏らは、脳の構造的非対称性が精神神経症状の発現に影響している可能性があると仮説を立て、本研究を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2024年2月23日号の報告。 アルツハイマー病患者における精神神経症状と脳の非対称性との関連を調査した。対象は、軽度のアルツハイマー病患者121例。日本の多施設共同データベースより、人口統計学的データおよびMRIのデータを収集した。脳の非対称性は、左脳と右脳の灰白質体積を比較することで評価した。精神神経症状の評価には、Neuropsychiatric Inventory(NPI)を用いた。その後、脳の非対称性と精神神経症状との相関関係を包括的に評価した。 主な結果は以下のとおり。・攻撃的な精神神経症状は、前頭葉の非対称性と有意な相関を示しており、右側の萎縮が認められた(r=0.235、p=0.009)。・この相関は、多重比較の調整後も統計学的に有意なままであった(p<0.01)。・事後分析において、この関連性はさらに確認された(p<0.05)。・対照的に、感情症状や無関心を含む他の精神神経症状のサブタイプについては、有意な相関が認められなかった。 著者らは「前頭葉の非対称性、とくに右側の相対的な萎縮が、早期アルツハイマー病における攻撃的行動と関連している可能性が示唆された」としている。

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深刻化が懸念される抗がん剤のドラッグ・ロスについて議論/日本臨床腫瘍学会

 日本の医療界にとって深刻な課題となりえるドラッグ・ロス。第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)では、会長企画シンポジウムとして取り上げられ、各方面の専門家による議論が交わされた。新興バイオファーマ(EBP)に知られていない日本の医療環境と開発環境 国立がん研究センター中央病院先端医療科長の山本 昇氏は、ドラッグ・ロス解消を目的に欧米のEBPと交渉した体験談を交え発表した。 EBPとの交渉では、薬価制度に対する苦言はなかったものの、日本の医療環境や開発環境は知られていないことが明らかになった。開発対象の患者数がわからず、日本で薬を開発したらどれだけ売れるかイメージできていない。日本のがん統計データは日本語表記という問題がある。それだけでなく、EBPが求めるのは特定の遺伝子異常のがん患者数など、現状のがん統計データよりも細かい情報である。一方、日本は承認されると一定期間内に必ず保険償還されるという特徴は好感触であった。 ドラッグ・ロス解消には産官学での取り組みが重要である。 薬価対策や薬事申請方法など、産官のアクションは始まっているが、医療機関の取り組みが遅れている。国際共同試験に耐える施設、迅速な症例登録など、日本の治験実施体制を底上げして治験にコミットできる体制作りが必要だろう。日本の新薬開発環境、市場の魅力をEBPに伝える 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の藤原 康弘氏はPMDAのドラッグ・ロス解消に向けた取り組みについて紹介した。 ドラッグ・ロス解消に向け、2023年7月に政府も昨年の骨太の方針の中でさまざまな政策を提示し、厚生労働省も「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」を設置して必要な対応等が検討されてきた。国際共同治験における日本人PhaseIの必要性については、文章記載を変え、英文でも明示して理解を促している。薬価については、迅速導入加算や外国平均価格調整など企業にとって福音になる方向性が中医協から示されている。 一方で日本の薬事制度や日本の医療機関の現状が海外のEBPやベンチャーキャピタルなどに伝わっていないことが懸念される。 日本の薬事制度を英語でかつリアルタイムに海外に発信していくことが最も重要だと考えられる。 PMDAとしては、アジア圏を中心とした参照国制度(治験の簡略化や迅速な承認を実現する仕組みなど海外と結んでいる協定)のさらなる活用促進、有名英文学術雑誌への掲載・投稿、欧米審査機関とのさらなる連携、アジアや米国への支局設置による各国の情報収集および規制当局やベンチャーキャピタルへの情報伝達、といった取り組みを検討中である。 医薬品開発業務受託機関(CRO)の視点からはシミックホールディングスの奥田 晃義氏が発表した。 日本におけるグローバル治験は年々増加している。2012年は30%だったグローバル治験の割合が2022年には55%となった。増えているとはいえ、アジア諸国の中で見ると、その割合はかなり低い。グローバル治験の対象国を見ると、日本が含まれていない治験は61%にのぼる。2023年FDAで承認された抗がん剤16剤のうち日本で承認されたのは2剤、審査中・開発中が9剤、まったくアクションなしが5剤ある。その5剤はすべてEBPの薬剤だ。 近年、抗がん剤の開発企業はEBPに移行している。EBPにとって日本の新薬環境、市場の利点は知られておらず誤解もある。改善のためには、日本の新薬開発環境、市場の魅力を伝え、ビジネスチャンスが生まれることをアピールする必要がある。 日本CRO協会はドラッグ・ロス検討会を設け、日本の治験の魅力を海外に発信する取り組みを行っている。また、多くのショーケースや海外学会でのミーティング活動などを通して、日本での開発の打診を続けてきている。さらに、グローバルCROとのパートナーシップを構築していく。日本の責任企業を増やす環境を作る必要性 米国アステラス製薬の廣橋 朋子氏は、新薬開発におけるドラッグ・ロスと日本の取るべき対応策について、海外グローバル企業からの意見を発表した。 日本の臨床開発手法はここ20年で大きく変わってきた。以前は国内フル開発だったが、現在では日本PhaseIストラテジーと国際共同治験への参加が標準的な開発手法となっている。これによりドラッグ・ラグは解消されたと考えていたが、欧米の開発スピードの加速化、 創薬研究の多様化によって新たなドラッグ・ラグ/ロスが生じている。 製薬研究の多様化の1つに、ビジネスディベロップメント(BD)の多様化が挙げられる。 多くの新薬は欧米ベンチャー企業が創出し、有効性を確認後BDを通して開発が進められる。 このBDは、グローバル企業がバイオテック企業を合併・買収、または共同開発によって世界展開する「グローバル型」と、各地域の開発・販売権を得た企業各々が展開する「テリトリー型」に分類される。とくにテリトリー型は今後増えていく可能性が高いと考えられる。この場合、日本の責任企業が不在となることがあり、その場合はドラッグ・ロスは避けられなくなる。 これらの問題を解決するには、より多くの企業が日本の責任企業となれる環境を作ることが急務である。そのためには、グローバル企業の日本支社をはじめとした企業の努力、日本における創薬ビジネスの活性化が必要となる。また、ピボダル試験前にグローバルFIH(First-in-Human)試験で日本人の安全性評価ができるような計画も有効であろう。欧米諸国のバイオテック企業がグローバルFIHへの日本の参加を検討・実施しやすい環境を作ることで、グローバル型、テリトリー型いずれの場合もドラッグ・ラグ/ロスを改善できる可能性がある。

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未治療尿路上皮がん、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブがOS・PFS改善(EV-302/KEYNOTE-A39)/NEJM

 局所進行または転移を有する尿路上皮がん患者の1次治療において、エンホルツマブ ベドチン(nectin-4に対する抗体薬物複合体)とペムブロリズマブ(PD-1阻害薬)の併用は化学療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)が有意に延長し、臨床的に意義のある有益性を示し、安全性プロファイルは既報と一致することが、英国・Queen Mary University of LondonのThomas Powles氏らが実施した「EV-302試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年3月7日号に掲載された。25ヵ国の無作為化第III相試験 EV-302試験は、未治療の局所進行または転移性尿路上皮がんにおけるエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ併用療法の有効性と安全性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、日本を含む25ヵ国185施設で参加者を募集した(Astellas Pharma USなどの助成を受けた)。 前治療歴のない成人患者を、3週を1サイクルとして、エンホルツマブ ベドチン(1.25mg/kg体重、1および8日目に静脈内投与)+ペムブロリズマブ(200mg、1日目に静脈内投与)を投与する群、または3週を1サイクルとして、ゲムシタビン+シスプラチン(シスプラチンが不適応の場合はゲムシタビン+カルボプラチン)を投与する群に、無作為に割り付けた。 主要評価項目はPFSとOSであり、独立中央判定委員会が盲検下に評価した。 886例(年齢中央値69歳[範囲:22~91]、男性76.7%)を登録し、442例をエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群、444例を化学療法群に割り付けた。生存の追跡期間中央値は17.2ヵ月だった。シスプラチン不適応例、適応例の双方で高い有益性 PFS中央値は、化学療法群が6.3ヵ月であったのに対し、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群は12.5ヵ月と有意に優れた(病勢進行と死亡のハザード比[HR]:0.45、95%信頼区間[CI]:0.38~0.54、p<0.001)。 また、OS中央値は、化学療法群の16.1ヵ月と比較して、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群は31.5ヵ月であり有意に良好だった(死亡のHR:0.47、95%CI:0.38~0.58、p<0.001)。 シスプラチン不適応例および適応例のいずれとの比較においても、PFS中央値およびOS中央値は、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群で優れた。 全奏効率もエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群で良好で(67.7% vs.44.4%、p<0.001)、また完全奏効率も同群で高かった(29.1% vs.12.5%)。一方、疼痛進行までの期間(患者報告アウトカム)には差を認めなかった(14.2ヵ月 vs.10.0ヵ月、p=0.48)。投与サイクル数は多いが、Grade3以上の有害事象は少ない 投与サイクル数中央値は、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群が12回(範囲:1~46)、化学療法群は6回(1~6)であったが、この間に発現したGrade3以上の治療関連有害事象は前者のほうが少なかった(55.9% vs.69.5%)。エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群で頻度の高かったGrade3以上の治療関連有害事象は、斑状丘疹状皮疹(7.7%)、高血糖(5.0%)、好中球数減少(4.8%)だった。 著者は、「エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群の有益性は、肝転移の有無、シスプラチンの適格性、PD-L1の発現状態などの事前に規定されたサブグループのすべてで認めた」とまとめるとともに、「疼痛進行までの期間の延長などの所見が、患者に及ぼす影響を明らかにするためには、より詳細な患者報告アウトカムの解析が求められる」としている。

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ソーシャルワーカーの介入、HIV患者の退院後の受診改善/JAMA

 入院中のHIV感染患者への介入として、強化された標準ケアと比較して、退院後のHIVクリニックへの受診を促す連携型の患者管理(linkage case management)による介入は、退院後の死亡率を改善しないものの、受診までの期間を短縮し、抗レトロウイルス療法(ART)のアドヒアランスやウイルス量が抑制された患者の割合を改善することが、米国・Weill Cornell MedicineのRobert N. Peck氏らが実施した「Daraja試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年3月6日号で報告された。タンザニア20施設の無作為化試験 本研究は、HIVケアへの参加の障壁に対処するようにデザインされた連携型患者管理介入(Darajaと呼ばれる)が、タンザニアのHIV感染患者の退院後のアウトカムを改善できるか否かの検証を目的とする単盲検無作為化試験であり、2019年3月~2022年2月に同国北西部の20施設で参加者を募集した(米国国立精神保健研究所[NIMH]などの助成を受けた)。 ARTを受けていない、もしくは中止し、何らかの理由で入院したHIV感染患者500例(平均年齢37歳、女性76.8%)を登録し、Daraja介入を受ける群に250例、強化標準ケアを受ける群に250例を無作為化に割り付け、12ヵ月間追跡した。 Daraja介入群は3ヵ月間にわたり、ソーシャルワーカーによる最大5回の研修を病院、自宅、HIVクリニックで受けた。強化標準ケア群は、退院前にHIVカウンセリングとHIVクリニックの予約の仕方に関する支援を受けた。ART開始までの期間、受診の継続率も改善、介入関連の有害事象は発現せず 175例(35.0%)がCD4細胞数<100/μLで、402例(80.4%)はARTによる治療歴がなく、98例(19.6%)はARTを中止した患者であった。 12ヵ月後までに85例(17.0%)が死亡した(介入群43例、強化標準ケア群42例)。12ヵ月時点の全死因死亡率(主要アウトカム)は両群間に差を認めなかった(介入群17.2% vs.強化標準ケア群16.8%、ハザード比[HR]:1.01、95%信頼区間[CI]:0.66~1.55、p=0.96)。 一方、介入群は強化標準ケア群に比べ、初回のHIVクリニック受診までの期間(HR:1.50、95%CI:1.24~1.82、p<0.001)、ART開始までの期間(1.56、1.28~1.89、p<0.001)が有意に短縮した。 また、12ヵ月時のHIVクリニック受診の継続率(87.4% vs.76.3%、p=0.005)、ARTのアドヒアランス(81.1% vs.67.6%、p=0.002)、HIVのウイルス量抑制(HIV RNA<1,000コピー/μL)(78.6% vs.67.1%、p=0.01)の割合は、いずれも介入群で良好だった。 Daraja介入の1年間の平均費用は、立ち上げ費を含め1例当たり約22ドルであった。また、Daraja介入に関連した有害事象は認めなかった。 著者は、「低コストの患者管理介入により、HIVクリニックとの早期の連携とART開始が促進され、HIV患者の退院後の死亡率を低減できるとの仮説は確証できなかったが、退院後のHIVケアの継続を促すという効果が得られた」とまとめ、「これらの知見は、HIVの入院患者における連携型の患者管理に関して、その潜在的な役割を決定するのに役立つ可能性がある」としている。

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第186回 65歳以上のコロナワクチン定期接種、自己負担は7,000円に/厚労省

<先週の動き>1.65歳以上のコロナワクチン定期接種、自己負担は7,000円に/厚労省2.医師国家試験合格者、7年連続9,000人超え/厚労省3.進む医師の働き方改革、診療体制の縮小が課題に/厚労省4.地域医療構想の加速化、国がモデル推進区域を選定/厚労省5.ゲノム医療に共同提言、エビデンスなき遺伝子検査ビジネスに警鐘/医学会・日医6.労組結成後のストライキ、医療法人が職員に莫大な損賠を請求/大阪1.65歳以上のコロナワクチン定期接種、自己負担は7,000円に/厚労省厚生労働省は、2024年度から65歳以上の高齢者を中心とした新型コロナウイルスワクチンの定期接種開始について、自己負担額が最大7,000円程度に設定することを発表した。これまで無料で提供されていたワクチン接種が、4月からは季節性インフルエンザワクチン同様、一部自己負担が必要な定期接種へと移行する。接種費用は、1回当たり約1万5,300円と見積もられ、このうち8,300円を国が市町村に助成し、残額を個人が負担する形となる。ただし、市町村による独自の補助がある場合、実際の自己負担額はこれより低くなる可能性がある。定期接種の対象は、65歳以上の高齢者と60~64歳で基礎疾患がある人に限られ、それ以外の人は任意接種として全額自費負担となるが、低所得者に対しては無料接種が継続される。厚労省は、新型コロナワクチンの価格が想定より3倍以上高額になることを受け、急激な自己負担額の増加を緩和するために追加助成を行うことを上記のように決定した。今後、新型コロナウイルスワクチンの接種は、年1回秋冬の接種となり、65歳未満で健康な人は4月以降、定期接種の対象ではなく任意接種の扱いとなるため、自己負担額は7,000円を超える見込み。参考1)コロナ定期接種、自己負担7,000円程度 24年度65歳以上(日経新聞)2)新型コロナワクチン、自己負担7,000円程度に 4月から国の助成で(毎日新聞)3)新型コロナ ワクチン定期接種の自己負担額 最大約7,000円で決定(NHK)4)コロナ定期接種、最大7千円負担 4月から65歳以上対象 厚労省(産経新聞)2.医師国家試験合格者、7年連続9,000人超え/厚労省2024年3月15日、厚生労働省は、2月に実施された第118回医師国家試験の結果を発表した。合格率は92.4%に達し、前年比0.8ポイント上昇、過去10年で最高を記録した。合格者数は9,547人で、7年連続で9,000人を超える結果となった。とくに、新卒者の合格率は95.4%で、全体の合格者数の中で9,048人を占めた。女性合格者は3,307人(全体の34.6%)、男性は6,240人で、男女別の合格率はそれぞれ91.7%、93.6%だった。学校別の合格率では、自治医科大学が新卒・既卒共に100%の合格率を達成し、このほか群馬大学医学部、名古屋大学医学部、東海大学医学部も新卒者の合格率が100%だった。ほかに高い合格率を示した学校では、国際医療福祉大医学部99.2%、兵庫医科大学99.1%、産業医科大学99.0%などがあった。合格基準については、必修問題の採点に一般問題を1問1点、臨床実地問題を1問3点とし、200点満点中160点以上が合格ラインとされた。また、一般問題と臨床実地問題はそれぞれ1問1点で、300点満点中230点以上が必要となった。今回の医師国家試験は、過去10年間で最も高い合格率を記録し、医療界への新たな人材の供給が期待されている。また、性別や大学別のデータは、今後の医療教育の改善や方針策定に役立つ貴重な情報となる。参考1)第118回医師国家試験の合格発表について(厚労省)2)医師試験9,547人合格 厚労省発表(東京新聞)3)医師国家試験、合格率92.4% 新卒の合格者は9千人を突破(CB news)4)第118回医師国家試験(2024年)合格発表…合格率92.4%(リセマム)5)医師国家試験2024、自治医科大学100%合格…学校別合格率(同)3.進む医師の働き方改革、診療体制の縮小が課題に/厚労省2024年4月の医師の働き方改革施行を控え、厚生労働省は、労働時間の上限規制に関する「C水準」の上限見直しを検討している。C水準は、研修医や高度な技能を目指す医師に適用される特例で、現在は年間1,860時間の上限が設けられている。厚労省は、医師の労働時間短縮推進と、地域医療の提供体制と働き方改革の関係に焦点を当て、具体的な対応策の検討を進めている。その一方で、「医療機関勤務環境評価センター」が受け付けた医師の労働時間短縮の取り組みに対する評価の申し込みは、想定を下回る483件に留まっている。これは、タスクシフトや労働基準監督署長による宿直許可取得など、働き方改革が進んだ結果とみられている。厚労省は、診療体制の縮小や派遣医師の引き揚げによる地域医療への影響を調査することで、改革の実施に伴う課題に対応していきたいとしている。また、全国約7,000医療機関を対象にした調査では、49医療機関で派遣医師の引き揚げによる診療体制の縮小が見込まれ、地域医療への影響が懸念されている。これに対し、厚労省は、地域医療の維持に向けた支援策を強化する方針。働き方改革の影響調査や都道府県との連携による医療機関の支援は、改革の進展に伴い重要性を増している。労働時間の短縮だけでなく、地域医療の維持と医師のスキルアップを両立させるための施策が求められ、これらの取り組みは、医師の働き方改革が単なる時間規制に留まらず、より質の高い医療サービスの提供と医師自身のキャリア発展を促す方向に進むことを示している。参考1)第19回医師の働き方改革の推進に関する検討会(厚労省)2)派遣医師の引き揚げで49施設が診療体制縮小の可能性-働き方改革準備状況調査(医事新報)3)医師の働き方改革“地域医療への影響調査を”厚労省検討会(NHK)4)医師働き方改革に向け都道府県-医療機関の連携深化、2024年4月以降も勤務医の労働環境・地域医療への影響を注視-医師働き方改革推進検討会(Gem Med)5)医師の時短評価受審申し込み483件、想定下回る 厚労省「働き方改革が進んだため」(CB news)6)C水準の上限見直し検討へ、厚労省方針 働き方改革推進の課題に「縮減のあり方」(同)7)診療体制縮小の見込み「あり」457カ所 医師の残業上限規制で、厚労省調査(同)4.地域医療構想の加速化、国がモデル推進区域を選定/厚労省厚生労働省は、3月13日に第8次医療計画等に関する検討会の分科会の地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループを開き、地域医療計画の進捗などについて討論した。第8次医療計画の策定に向けて、各都道府県に対して「推進区域」と「モデル推進区域」を指定し、支援を実施する方針を固めた。この後ワーキンググループでの了承を経て、厚労省は今後の詳細な計画を策定し、通知として各都道府県へ発出する予定。人口動態の変更を加味し、2次医療圏ごとに病床の必要量と実際の見込み病床数の乖離、医療提供体制の課題解決に向けた工程表作成など、地域ごとの取り組みには差がある。国は、これらの課題に対して「地域の医療提供体制の見える化」「都道府県が行うべき事項のチェックリスト作成」などの支援を提供することで、2025年の目標実現を促進する。とくに注目されるのは、地域医療構想の実現に向けた具体的な支援策。これには、地域別の病床機能などのデータの可視化、都道府県および医療機関の好事例の共有、地域医療介護総合確保基金などの支援策の活用方法の周知、都道府県や医療機関の取り組みを評価するチェックリストの作成と公表が含まれる。また、モデル推進区域では、伴走支援として技術的、財政的支援を実施する。この新方針に対する構成員からの意見も考慮され、推進区域やモデル推進区域の選定、医師働き方改革の影響の検討、ポスト地域医療構想に向けた準備など、今後の地域医療の提供体制構築に向けた課題と解決策が議論されている。参考1)第14回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(厚労省)2)地域医療構想実現に向けた取り組みはバラつき大、国が「推進区域、モデル推進区域」指定し支援実施-地域医療構想・医師確保計画WG(Gem Med)5.ゲノム医療に共同提言、エビデンスなき遺伝子検査ビジネスに警鐘/医学会・日医日本医学会と日本医師会は、3月13日共同で記者会見を開き、「ゲノム医療の推進に関する共同提言」を発表した。ゲノム研究の国際競争が激化する中、わが国の国家的な体制整備の遅れに対する危機感を表明し、オープンサイエンスの推進と大規模な基盤構築の必要性を強調している。また、ゲノム情報の取り扱いに関し、不当な差別を防ぐための罰則を含む法整備も求めた。2023年6月に公布されたゲノム医療推進法は、良質かつ適切なゲノム医療の提供を目的としている。日本医学会は142の分科会の意見を取り入れ、提言ではゲノム医療が医学・医療分野全体に関わる事項であることを強調、国家レベルでの大規模データ収集とその利活用の進め方、オープンサイエンスの理念の重要性を指摘している。また、ゲノム医療の推進が厚生労働省だけでなく、総務省、文部科学省、経済産業省など関連するすべての省庁にまたがる課題でもあるとしている。具体的な提案としては、ゲノム医療に関する特別法の制定、遺伝・ゲノムリテラシーの向上、遺伝子検査ビジネスの規制などが挙げられている。また、遺伝カウンセリング体制の充実やゲノム情報に基づく不利益や差別の防止に向けた罰則のある法律の策定も求められている。そして、提言では、ゲノム医療の安心・安全な提供とその推進に向けた国家的な取り組みの加速を促すもので、わが国が新たな科学立国としての地位を世界に示し、サイエンス分野での地位の維持と向上に直結するものであるとの視点から、具体的な行動計画の策定と実施が急務であると訴えている。参考1)ゲノム医療推進のため大規模な基盤構築を-日本医学会と日医が提言(医事新報)2)「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」に関する提言について(日本医学会・日本医師会)6.労組結成後のストライキ、医療法人が職員に莫大な損賠を請求/大阪大阪地域合同労働組合は、大阪市で開かれた記者会見で、クリニックの待遇改善を求めてストライキを行った男性組合員とその労働組合に対し、運営する医療法人から約8,400万円の損害賠償を請求されたことを公表した。この訴訟提起は、組合活動を抑圧する目的で行われたスラップ訴訟(訴訟による嫌がらせ)に当たると主張し、「組合つぶしの意図が明らかで不当である」と非難している。被告の男性組合員は、大阪にある精神科「ブレインクリニック」の職員で、2022年10月に同僚らと合理性のない基本給の減給廃止、昇給制度廃止の撤廃などの待遇悪化および診療方針の改善を求めて労働組合を結成し、大阪地域合同労組に加盟した。しかし、団体交渉での応答がゼロだったため、2023年8~11月にかけて、大阪および名古屋で合計6回のストライキを実施した。また、原告のクリニックは、発達障害の専門外来として経頭蓋磁気刺激治療(TMS)などの保険適用外の自由診療を提供していることが明らかにされている。医療法人による損害賠償請求は、労働者の組合活動を支援する大阪地域合同労組によって強く反発されており、今後の展開が注目されている。参考1)医療法人がストに損賠提訴 8,400万円、組合側反発(中日新聞)2)発達障害外来、学会の指針逸脱 クリニックが高額治療(共同通信)

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便通異常症 慢性便秘(11)薬物療法:酸化マグネシウム【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q109

便通異常症 慢性便秘(11)薬物療法:酸化マグネシウムQ109浸透圧性下剤の1つである酸化マグネシウムは本邦で広く使われている。『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症』において、本薬剤が使用禁忌・慎重投与と記載されている腎機能はどれくらいか。

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