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高校生のがん患者に必要な教育支援とは? 1月13日セミナー開催

 神奈川県立こども医療センターが、同センターの小児がん相談支援室主催にて、高校生のがん患者の教育支援に関するセミナーを開催する。 「長期治療が必要な高校生の教育保障を考える2023~好事例から考える、それぞれの支援者ができること~」と題した本セミナーでは、高校生の教育保障をテーマに、医師、神奈川県教育委員会、高等学校教諭、高等学校学校長がそれぞれの立場から、事例や具体的な取り組みなどについて説明する。 現場医師の立場として、同センター血液・腫瘍科の慶野 大氏から「治療と高校生の学習支援」について語られるほか、教育現場からは入院時等学習サポート制度について、「医療・学校・保護者・本人の合意形成の中から動き出した支援」の具体例が紹介される。 セミナーの概要と参加申し込み方法は下記のとおり。■日時:2024年1月13日(土)14:00~16:00■場所:神奈川県立こども医療センター 本館2階講堂およびWeb開催■参加申し込み方法:下記URLより受付フォームにアクセスし、必要事項を入力し送信(2024年1月10日まで)https://onl.tw/JAGEAwF

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病室ベッド横に椅子、医師の着席増え患者満足度アップ/BMJ

 米国・University of Texas Southwestern Medical SchoolのRuchita Iyer氏らによる無作為化二重盲検試験の結果、病室内の椅子の配置を工夫することで、ベッドサイドでの診察中に医師が着席する可能性が有意に高くなり、患者の満足度も高くなることが明らかになった。著者は、「椅子の配置は、簡単でコストがかからずローテクな介入であり、医師に不利益を与えることはない。医療現場でのケアの提供を改善するため、今後は行動的介入戦略を活用すべきである」とまとめている。BMJ誌2023年12月15日クリスマス特集号「MARGINAL GAINS」掲載の報告。椅子をベッドサイドに置くvs.キャビネット内に置いたまま、無作為化試験 研究グループは2022年4月~2023年2月に、米国テキサス州ダラスの郡立病院パークランド記念病院において、病院総合診察医51人による入院患者の診療について観察した。参加患者はオリエンテーションの4つの質問に正しく回答できた者とし、適格者125人の診療を介入群と対照群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 介入群(60人)では、病室内の椅子を患者のベッドサイド(ベッドから0.9m以内でベッドに向かって)に配置し、対照群(65人)では通常の位置(病室のキャビネット内)とした。 盲検化するため、本研究の目的を、病院総合診察医には診療のばらつきを観察するため、研究チームの医学生には入院患者の内科診療の経験を広げる機会を提供するため、患者には医師の診療パターンと患者の満足度を調査するためと説明し、椅子については言及しなかった。 主要アウトカムは診療中の医師の着席の有無、副次アウトカムはTAISCH(Tool to Assess Inpatient Satisfaction with Care from Hospitalists)質問票およびHCAHPS(Hospital Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems)質問票で評価した患者の満足度とし、探索的アウトカムとして医師の実際の在室時間、在室時間に関する医師と患者の認識を事前に規定した。介入群で医師が着席する確率は20倍、患者の満足度も向上 診療中に着席した医師は、介入群が60人中38人に対し、対照群は65人中5人であり、オッズ比(OR)は20.7(95%信頼区間[CI]:7.2~59.4、p<0.001)、介入群と対照群の絶対リスク差は0.55(95%CI:0.42~0.69)であった。全体として、医師が着席するために1.8脚の椅子を配置する必要があった。 平均TAISCHスコアは、介入群88.0%(標準偏差8.9%)、対照群84.1%(9.1%)であり、介入によりTAISCHスコアは3.9%改善した(効果推定値:3.9、95%CI:0.9~7.0、p=0.01)。また、HCAHPSの医師スコアが満点であった患者の割合は、介入群97%、対照群85%で、介入により満点のオッズは5.1%(95%CI:1.06~24.9、p=0.04)増加した。 介入は、実際の在室時間(介入群10.6分vs.対照群10.6分)、在室時間に関する医師(9.4分vs.9.8分)および患者(13.1分vs.13.5分)の認識とは関連していなかった。

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ドキシサイクリンPEP、シスジェンダー女性では予防効果なし/NEJM

 シスジェンダー女性において、ドキシサイクリンの曝露後予防(PEP)は標準治療と比較し性感染症(STI)の発生率を有意に低下しなかった。また、毛髪試料の分析の結果、ドキシサイクリンPEPの服用率は低かったという。米国・ミネソタ大学のJenell Stewart氏らdPEP Kenya Study Teamが無作為化非盲検試験の結果を報告した。ドキシサイクリンPEPは、シスジェンダー男性およびトランスジェンダー女性のSTIを予防することが示されているが、シスジェンダー女性を対象とした試験のデータは不足していた。著者は、「生物医学的な予防効果を得るためには、予防薬服用アドヒアランスに対する理解を深めてもらうこと、および支援を行う必要がある」とまとめている。NEJM誌2023年12月21日号掲載の報告。ケニア人女性449例をドキシサイクリンPEP群と標準治療群に無作為化し1年追跡 研究グループは2020年2月5日~2022年10月30日に、ケニアにおいてヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染に対する曝露前予防投与を受けている18~30歳のケニア人女性449例を、ドキシサイクリンPEP群(224例)または標準治療群(225例)に1対1の割合で無作為に割り付け、1年間追跡した。 ドキシサイクリンPEP群では、コンドームを使用しない性交渉後72時間以内にドキシサイクリン塩酸塩200mgを服用することとし、3ヵ月ごとにSTI検査を受けてもらった。標準治療群では、3ヵ月ごとのSTI検査と治療のみとした。 主要エンドポイントは、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)のいずれかの感染症発生とした。また、ドキシサイクリン使用の客観的評価のため、ドキシサイクリンPEP群では3ヵ月ごとに参加者の22%を無作為に抽出し毛髪を採取した。STI発生頻度に有意差なし、総じてドキシサイクリン服用率が低い 全体で計109件のSTIが発生した。内訳はドキシサイクリンPEP群50件(100人年当たり25.1件)、標準治療群59件(100人年当たり29.0件)であり、発生頻度に有意差は認められなかった(相対リスク:0.88、95%信頼区間[CI]:0.60~1.29、p=0.51)。 また、109件のうちクラミジア感染が85件(78.0%)を占め、内訳はドキシサイクリンPEP群35件、標準治療群50件(相対リスク0.73、95%CI:0.47~1.13)であった。そのほか、109件のうち淋菌感染31件、梅毒トレポネーマ感染1件、クラミジアと淋菌の重複感染が8件であった。 ドキシサイクリンに関連する重篤な有害事象ならびにHIV感染症の発生は認められなかった。 ドキシサイクリンPEP群で無作為に抽出された50例から得られた毛髪計200検体のうち、ドキシサイクリンが検出されたのは58検体(29.0%)であった。また、淋菌陽性者から分離された淋菌株は、すべてドキシサイクリンに対して耐性があった。

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日本の片頭痛治療におけるフレマネズマブのリアルワールドエビデンス

 抗CGRP抗体であるフレマネズマブのみに焦点を当てたアジアにおけるリアルワールド研究は、これまでほとんど行われていなかった。慶應義塾大学の大谷 星也氏らは、日本のリアルワールドにおけるフレマネズマブの有効性および安全性を評価するため、本研究を実施した。その結果から、日本人の片頭痛予防に対するフレマネズマブの有効性および安全性が確認され、フレマネズマブ治療により約半数の患者において片頭痛関連症状の改善が認められたことを報告した。BMC Neurology誌2023年11月14日号の報告。 2021年12月~2022年8月に慶應義塾大学病院でフレマネズマブを4回投与した片頭痛患者を対象に、単施設観察的レトロスペクティブ研究を実施した。1ヵ月当たりの片頭痛日数、治療反応率、片頭痛関連症状、注射部位の反応、有害事象の変化を評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は29例、女性の割合は79.3%であった。・1ヵ月当たりの片頭痛日数は、ベースライン時と比較し、4ヵ月時点で5.9日減少した。・50%治療反応率は、4ヵ月時点で55.2%であった。・フレマネズマブ治療により光線過敏症、音過敏症、悪心/嘔吐の重症度改善が認められた患者は、それぞれ57.9%、47.8%、65.0%であった。・最も一般的な有害事象は、注射部位反応であった(55.2%)。

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テレワークでの育児ストレス、出社より高い

 新型コロナウイルス感染症の影響で定着した在宅勤務(テレワーク)。子供を持つ親がテレワークをした場合、健康状態や精神的健康状態はどう変化するのか。米国・シカゴのアン&ロバート H. ルリー小児病院のJohn James Parker氏らは、パンデミック中の2022年5~7月にイリノイ州シカゴの全77地区でパネル調査を行った。参加資格は、18歳以上で1人以上の子供を持つ親であることだった。本研究の結果はJAMA Network Open誌2023年11月3日号にResearch Letterとして掲載された。 主な結果は以下のとおり。・1,060例の回答者のうち、825例がその時点で雇用されていた。599例が女性、548例がテレワークを実施していた。・テレワークをしている親を人種で見ると、白人(244例)が黒人(99例)またはヒスパニック系(145例)よりも多かった。・テレワークをしている親は、現場で働く親と比較して、育児ストレスのオッズが増加した(調整オッズ比[aOR]:1.88、95%信頼区間[CI]:1.20~2.93)が、健康状態(aOR:1.23、95%CI:0.78~1.93)や精神的健康の改善(aOR:1.14、95%CI:0.64~2.04)には差がなかった。・テレワークをする父親は、現場で働く父親よりも育児ストレスが高いと報告した(aOR:2.33、95%CI:1.03~5.35)が、母親には関連はなかった(aOR:1.53、95%CI:0.93~2.49)。 研究者らは、COVID-19パンデミック時にテレワークを行った親は、現場で働いた親と比較して育児ストレスが高いと報告しており、親、とくに父親にその傾向が顕著だった。これは育児ストレスにテレワークによるストレスが加わったり、よりストレスの多い育児状況にある親がテレワークを優先的に選択したりした可能性を示唆している。テレワークを行う親を支援する戦略、たとえば勤務スケジュールの自律性を促進することや従業員支援プログラムなどは、親と子供にとって重要な健康上の意味を持つ可能性がある、とした。

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肺がん遺伝子検査、マルチ検査の普及に課題(REVEAL)

 『肺診療ガイドライン−悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む−2023年版』では、進行・再発非小細胞肺がん(NSCLC)の場合、8種類のドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF、MET、KRAS、HER2)について、遺伝子検査を行うことが推奨されている。しかし、複数遺伝子に対するコンパニオン診断機能を有するマルチ遺伝子検査は、測定のための検体が多く必要であるため患者に負担がかかる、検査結果の返却に時間を要するといった課題が指摘されている。そのため、十分に普及していない可能性が考えられている。そこで、高濱 隆幸氏(近畿大学医学部)、阪本 智宏氏(鳥取大学医学部附属病院)、松原 太一氏(北九州市立医療センター)らを中心とした研究グループは、全国29施設のNSCLC患者1,479例を対象に、遺伝子検査の実施状況を調査するREVEAL(WJOG15421L)試験を実施した。その結果、86.1%の患者が遺伝子検査を受けていたが、マルチ遺伝子検査を受けた患者は47.7%にとどまっていたことが明らかになった。本研究結果は、阪本氏らによってJAMA Network Open誌12月15日号で報告された。 研究グループは、西日本がん研究機構(WJOG)登録の全国29施設で進行・再発NSCLCと診断された1,500例を登録し(登録期間:2020年7月1日〜2021年6月30日)、1,479例を後ろ向きに調査した。 主な結果は以下のとおり。・遺伝子検査が実施された患者の割合は86.1%(1,273例)であり、内訳は以下のとおりであった。 -単一遺伝子検査:57.3%(847例) -マルチ遺伝子検査:47.7%(705例) -単一およびマルチ遺伝子検査:18.9%(279例)・ドライバー遺伝子別の検査実施率は以下のとおりであった。 -EGFR:84.2%(1,245例) -ALK:78.8%(1,165例) -ROS1:72.8%(1,077例) -BRAF:54.3%(803例) -MET:54.4%(805例)・ドライバー遺伝子の検査陽性率は以下のとおりであった。 -EGFR:腺がん34.0%、扁平上皮がん3.7% -ALK:腺がん3.2%、扁平上皮がん1.6% -ROS1:腺がん2.1%、扁平上皮がん0.3% -BRAF:腺がん1.2%、扁平上皮がん0.8% -MET:腺がん1.6%、扁平上皮がん2.1%・追跡期間中央値10.3ヵ月時点において、ドライバー遺伝子検査結果および分子標的治療の有無別に全生存期間(OS)を検討した結果、OS中央値は以下のとおりであった。 -ドライバー遺伝子陽性+分子標的治療あり:24.3ヵ月 -ドライバー遺伝子陽性+分子標的治療なし:15.2ヵ月 -ドライバー遺伝子陰性または遺伝子検査なし:11.0ヵ月・多変量解析において、マルチ遺伝子検査が実施されないことの独立した予測因子として、PS 3または4(オッズ比:0.47、95%信頼区間:0.32~0.70、p<0.001)、合併症あり(同:0.54、0.44~0.67、p<0.001)、扁平上皮がん(同:0.70、0.56~0.87、p<0.001)の3つが同定された。 本研究結果について、研究グループは「本邦において、マルチ遺伝子検査が十分に実施されていない可能性が示された。希少なドライバー遺伝子変異の見逃しを避けるため、扁平上皮がんやPS不良の患者であっても、マルチ遺伝子検査の実施を検討すべきである」とまとめた。

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CLLの1次治療、MRDに基づくアプローチが有望/NEJM

 未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)の治療において、測定可能残存病変(measurable residual disease:MRD)に基づいて投与期間を最適化するイブルチニブ(ブルトン型チロシンキナーゼ[BTK]阻害薬)+ベネトクラクス(BCL-2阻害薬)療法はフルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ(FCR)療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)が有意に延長し全生存期間(OS)も良好で、感染症のリスクは同程度であるものの心臓の重度有害事象の頻度が高かったことが、英国・Leeds Cancer CentreのTalha Munir氏らが実施した「FLAIR試験」の中間解析で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年12月10日号で報告された。英国の無作為化第III相試験 FLAIR試験は、英国の96の病院が参加した非盲検無作為化対照比較第III相試験であり、2017年7月~2021年3月に患者の無作為化を行った(Cancer Research UKなどの助成を受けた)。 未治療のCLLまたは小リンパ球性リンパ腫(SLL)で、FCRの適応と判定された患者を1対1対1の割合でイブルチニブ群、イブルチニブ+ベネトクラクス群、FCR群に割り付けた。本中間解析では、イブルチニブ+ベネトクラクス群およびFCR群の523例(年齢中央値62歳[四分位範囲[IQR]:56~67]、男性71.3%、イブルチニブ+ベネトクラクス群260例、FCR群263例)の結果を解析した。 イブルチニブ+ベネトクラクス群では、イブルチニブを単剤で2ヵ月間、1日1回経口投与したのち、ベネトクラクスを加えた併用投与を、アルゴリズムによるMRDに基づく中止基準を満たすか、病勢進行または許容できない毒性作用の発現に至るまで、最長で6年間実施した。FCRは、1サイクルを28日として6サイクル投与した。 主要評価項目はPFS、副次評価項目はOS、奏効率、MRD陰性の割合、安全性などとした。 3年無増悪生存率:97.2% vs.76.8% 追跡期間中央値43.7ヵ月の時点で、病勢進行または死亡した患者は、イブルチニブ+ベネトクラクス群が12例(4.6%)、FCR群は75例(28.5%)であり、3年無増悪生存率はそれぞれ97.2%および76.8%であった。 両群ともPFS中央値には未到達であったが、病勢進行または死亡のハザード比(HR)は0.13(95%信頼区間[CI]:0.07~0.24)とイブルチニブ+ベネトクラクス群で有意に優れた(p<0.001)。また、免疫グロブリン重鎖可変部遺伝子(IGHV)変異陰性例ではイブルチニブ+ベネトクラクス群でPFS中央値が良好であった(HR:0.07、95%CI:0.02~0.19)が、陽性例ではこのような効果を認めなかった(0.54、0.21~1.38)。 OS中央値についても、両群とも未到達であったが、死亡のHRは0.31(95%CI:0.15~0.67)とイブルチニブ+ベネトクラクス群で良好であった。また、IGHV変異陰性例ではイブルチニブ+ベネトクラクス群でOS中央値が良好であった(HR:0.23、95%CI:0.06~0.81)が、陽性例ではこのような差はみられなかった(0.61、0.20~1.82)。 9ヵ月時の全奏効率は、イブルチニブ+ベネトクラクス群が86.5%(225/260例)、FCR群は76.4%(201/263例)であり(補正後オッズ比[OR]:2.00、95%CI:1.26~3.16)、完全奏効率はそれぞれ59.2%(154例)および49.0%(129例)だった(1.51、1.07~2.14)。MRDに基づくアプローチで3年時までに58.0%が投与を中止 3年時までに、イブルチニブ+ベネトクラクス群で、MRD陰性となったために投与を中止した患者の割合は58.0%であった。同群では、5年時に65.9%で骨髄中のMRDが、92.7%で末梢血中のMRDが検出不能であった。また、9ヵ月時に骨髄中のMRD陰性であった患者の割合は、イブルチニブ+ベネトクラクス群が41.5%、FCR群は48.3%だった。 1年以内に発生したGrade3~5の有害事象のうち頻度が最も高かったのは、好中球数減少(イブルチニブ+ベネトクラクス群10.3% vs.FCR群47.3%)、貧血(0.8% vs.15.5%)、血小板減少症(2.0% vs.10.0%)であった。感染症のリスクは両群でほぼ同様であったが、心臓の重度有害事象の割合はイブルチニブ+ベネトクラクス群で高かった(10.7% vs.0.4%)。死亡はイブルチニブ+ベネトクラクス群で8例、FCR群で23例に認め、それぞれ1例および6例が治療関連死の可能性があると判定された。 著者は、「末梢血においてMRD陰性となるまでプラトーはみられず、これはMRDに基づく治療の継続が正当であることを示唆する」としている。

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オリゴ転移乳がん・NSCLC、SBRTは有益か?/Lancet

 体幹部定位放射線治療(SBRT)+標準ケアの全身性治療(標準治療)は標準治療単独と比較して、無増悪生存期間(PFS)を延長することが示された。ただし、オリゴ転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)患者で、SBRT+標準治療は標準治療単独と比較してPFSを4倍以上延長し、有効性のある治療となる可能性が示された一方で、オリゴ転移のある乳がん患者ではベネフィットは観察されなかった。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのChiaojung Jillian Tsai氏らによる第II相非盲検無作為化試験の結果で、著者は「さらなる検討を行い、今回示された所見を検証し、ベネフィットが異なった要因を明らかにする必要がある」とまとめている。転移のあるがん患者の多くは、最終的に全身性治療に対する耐性を獲得し、一部の患者は限定的な病勢進行(すなわちオリゴ転移)を有する。研究グループは、オリゴ転移病変を標的としたSBRTが患者アウトカムを改善可能か評価した。Lancet誌オンライン版2023年12月14日号掲載の報告。オリゴ転移のある乳がんまたはNSCLC患者を対象に無作為化試験 試験は、18歳以上で、少なくとも1次治療の全身性治療を受けたオリゴ転移(PET-CTまたはCTで進行病変が5つ以下)のある、乳がんまたはNSCLCの患者を対象に行われた。 被験者は、ニューヨーク市にある3次がんセンターと、ニューヨーク州とニュージャージー州にある6つの関連地域センターで登録され、1対1の割合で標準治療群またはSBRT+標準治療群に無作為化された。無作為化はコンピュータベースのアルゴリズムを用いて行われ、転移病変数、レセプターまたはドライバー遺伝子変異の状態、原発巣、前治療の全身性治療の種類で層別化した。患者と試験担当医は治療割り付けをマスキングされなかった。 主要評価項目はPFSで、最長12ヵ月まで測定した。事前規定に基づき、疾患部位別に主要評価項目のサブグループ解析を行った。すべての解析はITT集団で行った。SBRT+標準治療群のPFSが有意に延長 2019年1月1日~2021年7月31日に、106例が標準治療群(51例[乳がん患者23例、NSCLC患者28例])またはSBRT+標準治療群(55例[24例、31例])に無作為化された。乳がん患者47例のうち16例(47%)がトリプルネガティブであり、NSCLC患者59例のうち51例(86%)は臨床的有用性の期待できる(actionable)ドライバー遺伝子変異を有していなかった。 試験は、事前に計画された中間解析中に主要有効性評価項目が達成されたため、目標サンプルサイズを満たす前に終了となった。 追跡期間中央値は、標準治療群11.6ヵ月、SBRT+標準治療群12.1ヵ月であった。PFS中央値は標準治療群3.2ヵ月(95%信頼区間[CI]:2.0~4.5)、SBRT+標準治療群7.2ヵ月(4.5~10.0)であった(ハザード比[HR]:0.53、95%CI:0.35~0.81、p=0.0035)。 PFS中央値は、SBRT+標準治療を受けたNSCLC患者のほうが標準治療のみを受けた同患者よりも有意に延長した(10.0ヵ月[95%CI:7.2~未到達]vs.2.2ヵ月[2.0~4.5]、HR:0.41[95%CI:0.22~0.75]、p=0.0039)。しかし、乳がん患者では同様の所見は認められなかった(4.4ヵ月[2.5~8.7]vs.4.2ヵ月[1.8~5.5]、HR:0.78[0.43~1.43]、p=0.43)。 Grade2以上の有害事象が、標準治療群で21例(41%)、SBRT+標準治療群で34例(62%)報告された。SBRT+標準治療群の9例(16%)では、SBRTに関連したGrade2以上の毒性(胃食道逆流症、疼痛増悪、放射線肺臓炎、腕神経叢損傷、血球数低下など)が報告された。

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軽度の肥満は健康の印、GLP-1作動薬の効果は高度肥満者で示されているにすぎない(解説:名郷 直樹 氏)-1766

肥満に厳しい世の中 世の中は肥満に厳しくやせに寛容だ。なぜそんなことになっているのか。肥満と死亡の関係について言えば、日本人のコホート研究のメタ分析の結果で、BMIで23から25のあたりで死亡率が最も低くなっていると報告されている1)。ちょっと太めのほうが健康なのである。それにもかかわらず、ちょっと腹が出ている程度の肥満をメタボと呼び、軽度の肥満をもむしろ不健康と捉えている情報が大部分だ。体重維持が可能な薬だが、体重は代用のアウトカムにすぎない やせの人を太らせる薬の臨床試験はないが、肥満のリスクばかりを強調する中、やせ薬として話題の薬、GLP-1作動薬の臨床試験が立て続けに報告されている2,3)。 1つは、BMIの平均が30程度の肥満者を対象に、36週間のGLP-1作動薬チルゼパチド投与の後、継続群と中止群にランダム化し、52週までフォローして88週までの体重変化を評価している。結果は継続群の体重変化が5.5%減少に対し、中止群では14%増加という結果である。体重変化の差とその95%信頼区間は、-19.4%(-21.2%~-17.7%)と、薬の継続は体重維持に有効である。 しかし、しょせん体重は代用のアウトカムである。高血圧についての血圧、糖尿病についての血糖、コレステロールについてのLDL、がんについての画像所見と同じである。テレビCMの緑茶のコマーシャルで「体脂肪の減少が認められるというエビデンスがあります」なんてやっているが、体脂肪の減少もまた代用のアウトカムにすぎない。体重減少の維持という代用のアウトカムで効果が示されたとしても、健康につながっているかどうか不明である。真のアウトカムでどうか そこへ、心血管疾患が予防できるかどうかという真のアウトカムで評価したランダム化比較試験が発表された3)。BMIの平均が33の肥満者を対象に、GLP-1作動薬セマグルチド投与群とプラセボ群を比較し、1次アウトカムとして心血管死亡、非致死性脳卒中、非致死性心筋梗塞の複合アウトカムで効果を検討している。結果はハザード比0.80、95%信頼区間0.72~0.90と、真のアウトカムでの有効性を示す結果である。GLP-1作動薬は体重を減らし、それを維持するだけでなく心血管疾患も予防するという結果である。 しかし、これらの研究の対象者はBMI 33、一例を挙げれば160㎝、85㎏という肥満者である。代用のアウトカムについての情報ばかりが先行して流され、対象者の肥満の程度が明らかにされず、軽度の肥満者に関する効果が不明な中、幅広く減量によって心血管疾患が予防できる、などという情報が流される状況は改善が必要である。 これらの論文から言えることを最後にまとめておこう。BMI 25という軽度の肥満者は長生きである。また、GLP-1作動薬はBMI 30という高度肥満者を対象に効果が示されているにすぎない。

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088)とにかく明るい病棟【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第88回 とにかく明るい病棟ゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆私は、今病棟を担当していないのですが、勤務先の病院で、入院患者さんの診察をお願いされることがあります。患者さんが外来の診察室まで降りてくることが難しい場合は往診となります。勤務日に依頼のあった病棟を、順番に回っていくことになる訳ですが、このとき、なんとなく病棟ごとのカラーと言いますか、雰囲気の違いを感じたりしています。若いスタッフが多くて、活気のある病棟。年配の個性派スタッフが印象的な、サバサバとした病棟。その中間、など。配属されるスタッフの作りだす雰囲気?あるいは、入院している患者さんや、業務内容の微妙な差によるものでしょうか?(リハビリ病棟はまったり、など)わかりませんが、往診のさい、それぞれの個性をひそかに楽しんだりしています。この日は、とにかく明るい某病棟へ。往診に訪れ、患者さんの部位の話題になるなり、とても病院の外では連呼できない単語を大声で叫び合うスタッフたち。その様子に、私も、その場にいた外科のドクターも、苦笑い。この空気感、嫌いじゃない、と思うのでした(笑)。日常診療のさり気ない一コマでした~。それでは、また次の連載で。

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2023年を振り返って【Dr. 中島の 新・徒然草】(509)

五百九の段 2023年を振り返ってこの1年を振り返ってみると、昨年と同様、Web小説の執筆に注力しました。具体的には、小説投稿サイトである「カクヨム」にhekiseiというペンネームで毎日書き続けたわけです。最初は何の気なしに始め、投稿しない日もありましたが、すぐにやめることができなくなりました。「書いてやろう」という内発的な動機と、「書かなくてはならない」という意地みたいなもので、気が付けばもう600話以上。ケアネットの締め切りは週1回ですが、小説投稿サイトの締め切りは毎日です。だいたい1話が平均で1,000字程度。1話を書くのに1時間半くらいかかるので結構厳しいです。この毎日1時間半を語学の勉強に費やしていたら、今頃は英語がペラペラになっていたかもしれません。たぶん何日も続かないだろう、とは思いますが。毎日書くのが大変なら、休みの日にまとめて書いたらよさそうです。が、実際はそれも難しく、書き溜めは3話くらいまでが精一杯。多くの場合、朝早く起きて、出勤時間までかかって書いています。だいたい6時過ぎに家を出るので、起きるのは4時半頃。ちょっと正気の沙汰とは思えない気がしてきました。この1年半ほどは、1回も投稿を飛ばしたことはありません。もし飛ばしてしまったとしても、別に誰が困るわけではないので気楽ではあるのですが。驚いたことに、私の外来の患者さんの中にも、Web作家として小説投稿サイトを利用している若い男性がいました。彼の場合は、小説投稿サイトの中でもパイオニアかつ最大手である「小説家になろう」を主戦場にしています。小説投稿サイトを利用している作家に私はリアルで初めて出くわしましたが、この患者さんも趣味を同じくする私の存在に「今年1番の衝撃です!」と驚いていました。最近は乱立気味の小説投稿サイトですが、「カクヨム」と「小説家になろう」の違いを説明します。規模は「小説家になろう」のほうが大きく、登録ユーザー数は250万人以上、作品掲載数も100万以上です。一方、「カクヨム」のほうも登録ユーザー数は100万人以上なので、おそらく小説投稿サイトの中では2番目に大きいのではないかと思います。「カクヨム」の特徴は、何と言ってもコメント欄の充実。自分が投稿した小説を読んだ人がハートマークで応援してくれたり、コメントで感想をくれたりするので、それが励みになります。もらったコメントには返信することもでき、またその人の書いている小説をこちらも読んでコメントを残すことも、まれではありません。「『カクヨム』は一種のSNSだ」と言った人がいますが、本質を突いている意見だと思います。私の場合、毎日欠かさず読んでくれる人が50~60人。そのうち必ずハートマークを付けてくれる人が15人くらい。自分が投稿を飛ばしてしまったら、この人たちがガッカリするのではないか、と思うとつい頑張ってしまいます。最初は書きたいことが沢山あったのですが、最近は徐々に尽きてきました。それでも1,000話までは続け、今年落選した小説コンテストにまた挑戦しようと考えているところです。ともあれ、来年こそは何らかの成果を残したいと思っています。読者の皆さんも、我と思わん方はぜひとも挑戦してみてください。最後に1句年の瀬に 自分の小説 読んで泣く

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映画「かがみの孤城」(その1)【けっきょくなんで学校に行けないの?(不登校の心理)】Part 1

今回のキーワードいじめ無気力・不安PTSD(心的外傷後ストレス障害)ストレス反応(適応障害)反抗期(思春期)同調自我同一性(アイデンティティ)自立(自我同一性の確立)2024年の現在、不登校の子供は過去最多の約30万人となりました。これは、中学校なら30数人のクラスに1人から2人はいる計算になります。彼らはなぜ学校に行けないのでしょうか? 逆になんで学校に行くのでしょうか?今回は、不登校をテーマに、アニメ映画「かがみの孤城」を取り上げます。この映画を通して、発達心理学の視点から不登校の根っこの心理を掘り下げます。そして、文化心理学の視点からとくに日本で不登校が増えている一番の原因を解き明かしてみましょう。なんで学校に行けないの?主人公は中学1年生のこころ。彼女は、入学してまもなくある女子グループからいじめを受けます。その子たちは、こころと仲良くなりそうな友達をこころから遠ざけたり、男子に「おれおまえみたいなブス、大嫌いだから」とこころに伝えるよう仕向けたり、こころがこもっている家の庭先まで入り込んでこころを大声で呼んだりするなど、とても悪質でした。そして、こころはその後に学校に行けなくなってしまいます。代わりにフリースクール(適応指導教室)に行こうにも、朝になると腹痛(ストレス反応)が起こります。母親から「行くの? 行かないの?」と急かされるなか、「行かないんじゃない。行けないのに」と心の中で叫びます。その心情は、子供の目線でリアルに描かれていました。両親とも仕事をしているため、こころは仕方なくひとり家で過ごします。そんなある日、自分の部屋に置いてある鏡に吸い込まれてしまい、その先の絶海の孤城に運ばれてしまいます。そこで、同じように運ばれた中学生6人に出会うのです。彼らが不登校になった原因は、いじり(からかい)や陰口レベルの友人関係(いじめレベルではない)であったり、複雑な家庭環境であったり、「天然」という本人の個性(発達特性)であるなど、さまざまで複合的でした。文科省の不登校の最新の調査によると1)、その原因として「無気力・不安」(52%)、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」(11%)、「友人関係(いじめを除く)」(9%)、「親子関係」(7%)などが挙げられています。厳密には、半数を占める「無気力・不安」は、こころの体調不良と同じように表面的な原因にすぎず、その根本的な原因は不明のままです。そして、「いじめ」(0.3%)は意外にも上位ではありません。もちろん、学校側の調査が行き届いていなかったり、本人が恥ずかしさから言い出せなかった可能性があることから、「無気力・不安」の中に「いじめ」が潜在的に含まれているのではないかという指摘もあります。確かに、あとでいじめを打ち明けたこころの場合はそうなります。実はいじめはきっかけにすぎないしかし、よくよく考えると、こころの不登校の原因が単純にいじめであるならば、そのいじめ女子グループがいないフリースクールには通えるはずです。フリースクールにも行けないということは、転校したとしても、その学校にも行けないことが予測できます。それでは、いじめによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)になったことで、同年代の子たちが集まる場所全般に行けなくなる症状(回避症状)が出てきたと考えることはできるしょうか? そう考えるには、無理があります。こころの視点では「殺されそうな体験」として描かれてはいるのですが、客観的には庭先で大声で呼ばれただけです。実際に暴行されたりけがさせられるなどの死の恐怖を感じるレベル(トラウマ)とまでは言えず、やはりストレス反応(適応障害)のレベルです。また、とくにフラッシュバックや悪夢などの特徴的な症状も出ていません。ちなみに、他の6人もPTSDを発症するほどのトラウマ体験はありません。なお、6人のうちのアキは義父から性被害を受けそうになりました。この体験はトラウマレベルではありますが、それは不登校になったあとのエピソードでした。つまり、いじめがあったとしても、それは不登校のきっかけ(誘因)にすぎず、彼らが不登校になる根本的な原因が別にあったことが考えられます。それはいったい何でしょうか?逆に、子供が学校に行く理由から、その謎を解き明かしてみましょう。次のページへ >>

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映画「かがみの孤城」(その1)【けっきょくなんで学校に行けないの?(不登校の心理)】Part 2

逆になんで学校に行くの?こころが不登校になったあと、いじめ女子グループのターゲットは、クラスメートの萌ちゃんに変わっていました。彼女は、こころと同じように悪質ないじめを受けますが、不登校にはなりませんでした。なぜ彼女は学校に行けるのでしょうか?大きく3つの可能性を挙げて、その中から萌ちゃんが学校に行く一番の理由(目的)を考えてみましょう。(1)親から行けと言われるから1つ目は、親(社会)から行けと言われるからです。これは、先ほどのこころの母親の「行くの? 行かないの?」と言うセリフに重なります。そしてこれは、こころをはじめ、多くの子供に当てはまります。もちろん、親としては「学校に行くのは勉強して立派な大人になるため」という思いがあります。教師としても、そう伝えるのが職務です。ただし、「立派な大人になる」のは子供が自分で望んでいるわけではないです。勉強好きの子供もごく一部です。すると、これは子供にとって「学校に行くために学校に行く」という状態になってしまいます。「学校に行け」「勉強しろ」と言われて、とりあえずそれに従っている状態です。発達心理学的には、小学生まではそれが可能です。しかし、中学生にもなると、反抗期(思春期)です。もはや親や教師の言うことを聞かなくなります。勉強が難しくなったり、大人になった将来のことを考えていなければ、なおさらです。しかも、親や教師が反抗させまいとすれば、子供はもっと反抗して逆効果です。そうなると、学校に行く目的がなくなってしまいます。以上より、親や教師(社会)から行けと言われること、つまり勉強することを学校に行く一番の理由(目的)にしてしまうと、不登校のリスクを高めてしまうことがわかります。これは、萌ちゃんには当てはまりません。なお、反抗の心理の詳細については、関連記事1をご覧ください。(2)友達に会えるから2つ目は、友達に会えるからです。友達とは自分の味方であり、その友達が集まっている教室(学校)が居場所になります。学校に行く理由を、このようにぼんやりと考えている子供は、かなりいるでしょう。学校の代わりにフリースクールが居場所になると唱える教育関係者もいるでしょう。発達心理学的には、小学生までならそれで良いです。なぜなら、いろんな友達とかかわりたいと思う気持ち(同調)を高める時期だからです。しかし、中学生にもなると、思春期真っ盛りです。思春期は、同調の心理がさらに発達して、不特定多数から特定少数の友達(グループ)と一緒にいたいと思うようになる時期です。そのため、グループに入れないなど友達関係がうまくいかないと、学校に行く目的がなくなってしまいます。そして、こころのように「ぼっち」(ひとりぼっち)である状況をクラスメートから指摘されることは、味方がいない「だめな自分」が晒されていることを意味します。こうして、居場所がない感覚に陥り、学校に行くのがますますつらくなります。この点で、友達関係の葛藤を自覚できなかったり、恥ずかしくて認めたくないために言い出せなかった場合も、「無気力・不安」の方にカウントされている可能性が考えられます。以上より、友達に会えること、つまり学校が居場所であることを学校に行く一番の理由(目的)としてしまうと、不登校のリスクを高めてしまうことがわかります。これも、萌ちゃんには当てはまりません。そして、こころがフリースクールにも行けなかったのは、まさにこれが原因です。つまり、フリースクールにしても学校にしてもただ居場所であるだけでは限界があるということです。なお、同調の心理の詳細については、関連記事2のページの最後をご覧ください。(3)大人になるために必要だから3つ目は、大人になるために必要だからです。ここで、こころが久々に萌ちゃんに再会した時に、萌ちゃんが言ったセリフがヒントになります。それは、「ばかみたいだよね。たかが学校のことなのにね」「だってあの子たち(いじめ女子グループ)、恋愛とか目の前のことしか見えてないんだもん。成績も悪いし、ガキっぽいし。10年後も20年後もあのままだよ。きっとろくな人生送らないよ」「ああいう子たちってどこにでもいるし」というセリフでした。萌ちゃんは、親の仕事の都合で転校を繰り返していたこともあり、彼女ならではの冷静な判断力を持っています。そして、「目の前」ではなく「10年後、20年後の人生」という大人になった未来の視点を持っています。つまり、「今、相手にどう思われるか」ではなく、「これから自分はどうしたいか(どうなりたいか)」という発想です。たとえば、どんな仕事をしたいのか、どんな所に行きたいのか、どんな人に会いたいのか、どんな人と一緒にいたいのかなど、なりたいと思う大人の自分を具体的にイメージしていくことです。発達心理学的には、これは思春期の発達課題である自我同一性(アイデンティティ)です。この自我を育むために、学校に行って、勉強して、友達に会っているのです。この先に、大人になる、つまり自立(自我同一性の確立)があります。この自我があることによって、萌ちゃんはいじめられて周りから友達がいなくなっても、こころほど気にせず、不登校にならなかったのでした。以上より、萌ちゃんのように大人になりたいと思うこと、つまり自我を育むことを学校に行く一番の目的とすることで、不登校のリスクを低くできることがわかります。なお、自我をはじめとする発達課題の詳細については、関連記事3をご覧ください。不登校の根っこの心理とは?学校に行く一番の目的は、大人になる(自我を育む)ためであるということがわかりました。この自我が芽生えているかどうかが、同じいじめを受けながら、こころが不登校になって萌ちゃんが不登校にならなかった決定的な違いです。また、先ほどの文科省の調査の「無気力・不安」の正体とは、この自我がまだ芽生えていないために、ただ勉強する気が起こらない無気力感であったり、友達がいないこと(いないことを見られること)を気にしすぎる不安感であったりするのなどの心と体の反応(症状)であることがわかります。そして、不登校が長引けば、この自我を育むチャンスをますます逃してしまうことがわかります。つまり、不登校の根っこの心理とは、自我の弱さであると言えます。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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映画「かがみの孤城」(その1)【けっきょくなんで学校に行けないの?(不登校の心理)】Part 3

じゃあなんで不登校は増えているの?冒頭のシーンで、こころは夢想します。「たとえば夢見る時がある。転入生がやってくる。その子は何でもできるすてきな子。たくさんいるクラスメートのなかに私がいることに気付いて、お日様みたいなまぶしい微笑みを浮かべ、『こころちゃん、久しぶりって』ってまっすぐ近寄ってくる。みんな息を飲む。そんな奇跡が起きたらいいと」「(でも)そんな奇跡が起きないことは知っている」と。不登校になったこころの心情がリアルに描かれていました。と同時に、客観的に見れば、友達をつくろうと自分から踏み出せず、「奇跡」を当てにしようとしています。きっと、今まで自わから友達をつくる練習をしてこなかったことも想像できます。自分でどうしたいかを言い出せず、いじめに対してもノーと言えないという自我の弱さがあることがわかります。萌ちゃんとは対照的です。昨今、不登校が増えているということは、こころのような自我の弱い子供が増えているのでしょうか? 確かに、昔よりも今どきの子供は大人しくなったという印象はあるでしょう。ただ、それ以上に、今だけでなく昔も、子供だけでなく大人も、実は日本人で自我が弱い人はもともと多いです。文化心理学的に言えば、日本人は周りに気を遣って和を重んじる集団主義の国民性です。これは、もともと日本が島国で他国からの侵略が歴史的にほとんどなかったことや、江戸時代からの鎖国によって封建社会の価値観が強化されていったことと関係しているでしょう。封建社会では上下関係を重んじて親や目上の人に逆らわない、つまり自我が弱い方が適応的です。むしろ、自我が強いと、和を乱し、村八分に遭い、子孫を残せないリスクが出てきます。なお、この日本人の国民性の詳細については、関連記事4をご覧ください。ただし、この国民性は、裏を返せば「自己主張しない」「ノーと言えない」、つまり自分はどうしたいのかをなるべく抑えるわけで、実は世界的には奇妙なメンタリティになります。実際に、海外の学校では、人種差別レベルのあからさまないじめがはびこっているのに、日本のように不登校は目立っていないことからもわかります。この自我を抑える(自我の弱い)メンタリティが、社会構造の変化によって炙り出され、不登校をどんどん招いてしまっているのです。それでは、この社会構造の変化とはいったい何でしょうか? 不登校が増え始めた1980年代をヒントに、大きく3つ挙げてみましょう。(1)個人主義化1980年代に日本が経済大国になってから、生活に余裕ができて、個人に選択の自由が生まれ、個人の権利(人権)に目が向くようになりました。そして、必ずしも集団の中で周りに合わせたり、親や目上の人の言うことを聞く必要がなくなりました。1つ目は、個人主義化です。それまでは、学校に行かなければ、親や教師が暴力(体罰)、暴言(モラハラ)、嫌がらせを行うなどの虐待が懲戒権として当たり前のようにありました。そんななか、ほとんどの子供は逆らえません。そもそも学校に行かないなどと、自分だけ周りと違うことをすること自体が恐怖でした。よって、しょうがなく学校に行っていました。まさに、「学校に行くために学校に行く状態」が成り立っていた時代です。しかし、今やこのような親や教師による懲戒権は違法と認識されるようになりました。そして、周りと違うことは個性と受け止められるようになりました。つまり、もともと日本人は、自我ではなく身体的・精神的な恐怖によって学校に行っていたと言えます。その恐怖がなくなるという社会構造の変化によって不登校は増えていると言えるでしょう。ちなみに、個人主義化は、不登校だけでなく、非婚(結婚しないこと)が増えていることにも通じます。この詳細については、関連記事5をご覧ください。(2)経済安定化1980年代に日本が経済大国になってから、世の中は物質的には豊かになっていきました。2つ目は、経済安定化です。それまでは、学校に行っていなければ、就職できずに、最悪ホームレスになってしまう恐怖がありました。もちろん、成人した子供を養う余裕がある親も少なかったです。だからこそ、子供は文字どおり「死んでも」(たとえいじめがあっても)学校に行きました。しかし、今や子供が学校に行かずに成人して働かなくても、親はその子を養う余裕があります。そして、社会の枠組み(法律)としては個人主義化しましたが、家庭内ではまだ集団主義(家族主義)が残っており、子供は成人しても親に責任があるという考え方が根強いです。子供はその状況を見越しています(モラルハザード)。つまり、大人になっても子供は「子供」のままでいられる時代になったのです。たとえ、親に経済力がなくても、生活困窮に対しては、生活保護という社会保障制度を利用することができます。実際に、生活保護受給者は年々増え続けています。つまり、もともと日本人は、自我ではなく経済的な不安によって学校に行っていたと言えます。その不安がなくなるという社会構造の変化によって不登校は増えていると言えるでしょう。ちなみに、経済安定化は、不登校だけでなく、ひきこもりが増えていることにも通じます。この詳細については、関連記事6をご覧ください。(3)情報化1980年代に日本が経済大国になってまもなくの1990年代、インターネットが世界中に普及して情報革命が起きました。世の中は便利になり娯楽が増えました。3つ目は、情報化です。それまでは、学校に行かなければ、先生に会えず、知識や情報を得ることができませんでした。友達にも会えず、家にいてもやることがなくて寂しくて退屈でした。だからこそ、とりあえず学校に行っていました。しかし、今や苦労して学校に行かなくても、家にいてインターネットから世界中の最新情報をいくらでも手に入れることができます。教育動画で勉強することもできます。対話型の生成AIに教えてもらうこともできます。オンラインゲームで友達とつながることもできます。登校して物理的に教師や友達に会うという行動が必ずしも必要なくなってしまいました。つまり、もともと日本人は、自我ではなくつながりを求めて学校に行っていたと言えます。その不便さがなくなり受け身になれるという社会構造の変化によって不登校は増えていると言えるでしょう。ちなみに、情報化は、不登校だけでなく、ゲーム依存症が増えていることにも通じます。この詳細については、関連記事7をご覧ください。1)「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」P4:文部科学省、2023<< 前のページへ■関連記事ドラえもん【子どものメンタルヘルスに使えるひみつ道具は?】ちびまる子ちゃん(続編)【その教室は社会の縮図? エリート教育の危うさとは?(社会適応能力)】Part 2東京タラレバ娘【ブリーフセラピーとは?】苦情殺到!桃太郎(後編)【なんでバッシングするの?どうすれば?(正義中毒)】Part 1私 結婚できないんじゃなくて、しないんです【コミュニケーション能力】サイレント・プア【ひきこもり】レディ・プレーヤー1【なぜゲームをやめられないの?どうなるの?(ゲーム依存症)】

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第77回 mRNAワクチン技術でまさかの「がん治療」

悪性黒色腫・膵がんに対するmRNAワクチン技術Unsplashより使用mRNAワクチンは、新型コロナウイルスに対して有効性や安全性が検証されましたが、がん細胞を対象とした研究が世界各国で進められています。がん細胞に特異的なタンパクを作るmRNAを接種することで、がん細胞を攻撃する細胞性免疫が成立するというメカニズムです。さて、mRNA-4157/V940は、がんの遺伝子変異に基づいて設計された、腫瘍特異的変異抗原(ネオアンチゲン)をコードするmRNAベースの個別化ワクチンです。完全切除後の再発リスクが高い病期のStageIII/IVの悪性黒色腫において、ペムブロリズマブ単剤療法と比較して、疾患の再発または死亡のリスクを有意に減少させたことが1年前に話題となりました。2023年12月14日のModerna社(米国)のプレスリリースでは、当該追跡3年の結果が報告されています。mRNA-4157/V940とペムブロリズマブ併用による術後補助療法によって、ペムブロリズマブ単剤より無再発生存期間の延長が確認され、再発または死亡のリスクが49%減少したことが報告されました(ハザード比[HR]:0.510、95%信頼区間[CI]:0.288~0.906、片側p=0.0095)。また、無遠隔転移生存期間も有意に延長し、遠隔転移の発生または死亡リスクを62%減少させました(HR:0.384、95%CI:0.172~0.858、片側p=0.0077)。―――かなり効果があると言っても差し支えのない成績です。生存期間が非常に短い膵がんにおいても、mRNAベースの個別化ワクチンによってT細胞応答がみられた症例では、生存期間が長くなるのではないかと期待されています1)。「mRNAワクチンを接種したらターボがんになる」というデマmRNAワクチンといえば、「遺伝子が書き換えられて発がんする」という根も葉もないウワサが流れ、一部トンデモがん情報提供インフルエンサーで騒がれたことがありました。とくに、がんの急速な進行のことを独自に「ターボがん」などと名付け、デマが流布されました。そもそも「ターボがん」自体がコンセンサスのない概念なので、二重デマなわけですが…。何億回と接種されてきた新型コロナワクチンですが、現時点で発がんに関する安全性シグナルは検知されていません。アメリカの国立がん研究所においても、「新型コロナワクチンが発がんを引き起こし、再発やがんの進行につながることを支持するデータはない」と明記されています2)。そんなmRNAワクチン技術によって、発がんどころか、がんの治療が行えるというのは、誠に興味深い現象です。参考文献・参考サイト1)Rojas RA, et al. Personalized RNA neoantigen vaccines stimulate T cells in pancreatic cancer. Nature. 2023 Jun;618(7963):144-150.2)National Cancer Institute:COVID-19 Vaccines and People with Cancer

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10代での妊娠とうつ病~JECS研究

 10代での妊娠は、さまざまな要因によりうつ病リスクを増加させる可能性がある。若年成人期の妊娠は、高齢期の妊娠と比較し、複数のうつ病リスク因子に影響を及ぼすと考えられる。しかし、若年成人期の妊娠におけるうつ病関連のデータは不足している。国立成育医療研究センターの石塚 一枝氏らは、10代および若年成人期の妊娠とうつ病との関連を調査した。その結果、10代および若年成人期の妊娠は、それ以降の妊娠と比較し、うつ病リスクが高いことが示唆された。Archives of Women's Mental Health誌オンライン版2023年11月22日号の報告。 全国的な出生コホート研究である「子どもの健康と環境に関する全国調査(JECS)」のデータを用いて、検討を行った。各年齢層(14~19歳、20~24歳、25~29歳、30~34歳、35歳以上)とうつ病との関連を調査するため、行動的特性および社会人口統計学的特性を調整した後、多変量ロジスティック回帰を実施した。うつ病の評価には、ケスラー心理的苦痛尺度(K6)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・妊娠アンケートに回答した人は、9万6,808人。・10代(14~19歳)および若年成人期(20~24歳)の妊娠は、高齢期(35歳以上)の妊娠と比較し、うつ病リスクの増加と関連していた。 【14~19歳】OR:4.28、95%信頼区間(CI):3.24~5.64 【20~24歳】OR:3.00、95%CI:2.64~3.41・共変量で調整したところ、うつ病リスクの軽減が認められたが、10代および若年成人期の妊娠は、それ以降の妊娠と比較し、うつ病リスクの増加は有意なままであった。 【14~19歳】OR:2.38、95%CI:1.77~3.21 【20~24歳】OR:2.14、95%CI:1.87~2.46 著者らは「これらの調査結果は、10代および若年期の妊婦には、うつ病関連の予防および介入を優先的に実施することを示唆している」としている。

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高齢者肺がんに対するアテゾリズマブの有用性(IMpower130・IMpower132統合解析)/ESMO Asia2023

 高齢者および腎機能が低下した非扁平非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、アテゾリズマブ+化学療法の有用性を評価した第III相試験の統合解析が示された。 肺がん患者は高齢者が多くを占めるが、高齢進行NSCLCに対する第III相臨床試験は少ない。そのような中、75歳以上のNSCLC患者におけるアテゾリズマブ+化学療法の有効性と安全性を評価した事後解析が、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia2023)で発表された。IMpower130試験とIMpower132試験の統合解析から75歳以上を抽出 この探索的研究は、非扁平NSCLCにおけるアテゾリズマブ+化学療法を評価した第III相試験であるIMpower130試験とIMpower132試験の統合解析から、75歳以上の患者を抽出したものである。75歳以上の生存ベネフィットと共に、腎機能による評価が試験ごとに行われた。有効性評価は1,181例、安全性評価は1,202例で行われ、75歳以上は131例(アテゾリズマブ含有群80例、化学療法群51例)であった。 IMpower130試験とIMpower132試験の統合解析の主な結果は以下のとおり。<75歳以上の生存成績、全集団との比較>・解析全集団の無増悪生存期間(PFS)中央値はアテゾリズマブ+化学療法群7.2ヵ月、化学療法群5.3ヵ月(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.54〜0.71)、75歳以上ではそれぞれ8.4ヵ月と7.1ヵ月(HR:0.59、95%CI:0.40〜0.88)であった。・解析全集団の全生存期間(OS)中央値はアテゾリズマブ+化学療法群18.6ヵ月、化学療法群13.9ヵ月(HR:0.81、95%CI:0.68〜0.95)、75歳以上ではそれぞれ28.2ヵ月と15.9ヵ月(HR:0.65、95%CI:0.39〜1.07)であった。・解析全集団の奏効率はアテゾリズマブ+化学療法群57.6%、化学療法群40.3%、75歳以上ではそれぞれ58.8%と39.2%であった。<腎機能と生存成績:試験(レジメン)ごとの比較>[IMpower130:アテゾリズマブ+カルボプラチン+nabパクリタキセル(CnP)]・CCr≧60mL/minにおけるアテゾリズマブ+CnP群のPFS中央値は7.0ヵ月、CnP群5.6ヵ月(HR:0.64、95%CI:0.53〜0.78)、45≦CCr<60ではそれぞれ7.0ヵ月と2.9ヵ月(HR:0.46、95%CI:0.25〜0.86)、CCr<45ではそれぞれ8.3ヵ月と6.1ヵ月(HR:0.49、95%CI:0.16〜1.52)であった。・CCr≧60mL/minにおけるアテゾリズマブ+CnP群のOS中央値は18.6ヵ月、CnP群14.2ヵ月(HR:0.80、95%CI:0.64〜1.01)、45≦CCr

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肥満症へのチルゼパチドの効果、36週で中止vs.投与継続/JAMA

 過体重または肥満の集団において、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)/グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)共受容体作動薬であるチルゼパチドは、36週間の投与で20%以上の体重減少をもたらし、投与を中止すると体重が大幅に増加したが、投与継続により初期の体重減少を維持あるいはさらに増強することが、米国・Weill Cornell MedicineのLouis J. Aronne氏らが実施した「SURMOUNT-4試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2023年12月11日号に掲載された。36週の導入期間後に、投与継続とプラセボに無作為化 SURMOUNT-4試験は、4ヵ国(アルゼンチン、ブラジル、台湾、米国)の70施設が参加した第III相投与中止臨床試験であり、2021年3月~2023年5月に実施された(Eli Lilly and Companyの助成を受けた)。 本試験では、非盲検下にチルゼパチド(最大耐用量として10mgまたは15mg、週1回)を36週間皮下投与する導入期間の後、被験者を盲検下にチルゼパチドを継続する群またはプラセボに切り換える群に無作為に割り付け、52週間投与した。 対象は、BMI値が30以上、またはBMI値27以上で糖尿病を除く体重関連合併症(高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸、心血管疾患)を少なくとも1つ有する、年齢18歳以上の患者であった。 主要エンドポイントは、無作為化(36週目)から88週目までの52週間の体重の平均変化量とした。主な副次エンドポイントは、導入期間中の体重減少分の80%以上を88週目に維持していた患者の割合などであった。投与継続で体重がさらに5.5%減少 670例(平均年齢48歳、女性473例[70.6%]、白人80.1%、平均体重107.3kg、平均BMI値38.4、平均ウエスト周囲長115.2cm)が36週の導入期間を完了し、チルゼパチド継続群335例、プラセボ群335例に割り付けられた。チルゼパチド導入期間中に、体重は平均で20.9%減少した。 36週目から88週目までの体重の平均変化量は、プラセボ群が14.0%増加したのに対し、チルゼパチド継続群は5.5%減少し、有意な差を認めた(群間差:-19.4%、95%信頼区間[CI]:-21.2~-17.7、p<0.001)。 88週目に、導入期間中の体重減少分の少なくとも80%を維持していた患者の割合は、プラセボ群が16.6%(55例)であったのに対し、チルゼパチド継続群は89.5%(300例)と有意に優れた(p<0.001)。また、36週目から88週目までのウエスト周囲長の変化量は、プラセボ群が7.8cm増加したのに対し、チルゼパチド継続群は4.3cm減少し、有意に良好だった(p<0.001)。88週投与で体重25.3%減少、ウエスト22.4cm減少 0週目から88週目までに、体重(チルゼパチド継続群25.3%減少vs.プラセボ群9.9%減少、p<0.001)とウエスト周囲長(22.4cm減少vs.9.0cm減少、p<0.001)は、チルゼパチド継続群で有意に改善した。 36週目から88週目までに最も頻度の高かった有害事象は消化器イベントで、プラセボ群よりもチルゼパチド継続群で高頻度(下痢[10.7% vs.4.8%]、悪心[8.1% vs.2.7%]、嘔吐[5.7% vs.1.2%])であったが、多くが軽度~中等度だった。とくに注目すべき有害事象として、チルゼパチド継続群では悪性腫瘍(3例[0.9%]、プラセボ群も3例[0.9%])、主要有害心血管イベント(3例[0.9%])、重度または重篤な消化器イベント(6例[1.8%])、低血糖症(2例[0.6%])を認めた。 著者は、「これらの結果は、体重の再増加を予防し、体重減少の維持とこれに伴う心代謝系への有益性を保持するためには、チルゼパチドの投与を継続する必要があることを強調するものである」とし、「1年間プラセボに切り換えた後でも、体重が9.9%減少していた点は注目に値するが、心代謝系のリスク因子の最初の改善効果はほぼ消失しており、このような短期治療による長期の有益性とリスクを解明するために、さらなる研究を要する」と指摘している。

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痩身目的のオンライン診療でのトラブルが急増/国民生活センター

 痩身目的での糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬)の不適切処方が問題視され、厚生労働省などから適正使用への注意喚起がなされている。さらに最近では、痩身をうたうオンライン診療でトラブルが急増し、国民生活センターが警鐘を鳴らしている1)。 同センターへ寄せられた年度別相談件数では、2021年度は49件、2022年度は205件、2023年度は10月31日までで169件と多く、21年から22年では約4.2倍も急増していた。 痩身目的などのオンライン診療に関する相談では、処方薬、副作用の説明や基礎疾患の問診が十分でないまま、初診時に数ヵ月分が処方されるなど、不適切なケースがあると同センターは報告している。こうした不適切処方では、副作用などのフォローが十分ではないために、処方を受け、不調を訴えて一般の医療機関へ来院する患者も散見され、センターでは消費者に注意を喚起している。キャンセルできない、処方薬で副作用などの事例 同センターに寄せられた相談事例としては、「オンライン診療後のダイエット用の薬が糖尿病治療薬だった」「基礎疾患の問診も不十分なまま糖尿病治療薬を勧められた」「他剤との相互作用、副作用の説明がなく、キャンセルもできない」などの事例があった。また、「既往があるが問診がなされず、処方薬を1ヵ月服用したところ、頭痛・吐き気・めまいなどの副作用が現れたため、解約を申し出たが拒否された」などの実害が生じている事例も報告されている。相談事例からみる特徴や問題点【処方薬、副作用の説明や基礎疾患の問診が不十分】 自由診療では、医師は施術に伴う副作用や合併症のほか、施術費用および解約条件、効果の個人差などを丁寧に説明することが求められているが、多くの事例でこれらの説明が不十分。 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(厚生労働省作成)2)では、初診の場合には、基礎疾患などの情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方を行わないこととされているが、初診で基礎疾患などの確認が不十分なまま数ヵ月分の処方がなされているケースがある。さらに、2型糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬)を痩身目的で処方(不適正使用)しているケースがあり、同指針が遵守されているとは考えにくい。【特定商取引法に基づく取消しや解約が難しいケースがある】 痩身目的の治療で契約期間が数ヵ月間の継続コース(処方薬の定期購入)を勧められ、数十万円の契約をしているケースが多くある。オンライン診療の結果、医師の判断で薬の処方の当否や薬の種類、数量を決めて処方している場合、契約申し込みのケースによっては「特定申込み」に該当せず、定期購入と同様の仕組みであっても、特定商取引法に基づく取消しができない場合がある。【運営事業者と医師の責任の所在がわかりにくい】 運営事業者と医師の責任の所在がわかりにくいケースがあるため、診察や処方薬などにかかる説明は誰が行うのか、誰が処方薬の販売者なのか、トラブルが生じた際、誰がどういった責任を負い、どこに問い合わせればいいのかなどについて、消費者にとってわかりにくくなっている。消費者への4つのアドバイス【痩身目的などのオンライン診療を受診するときは、処方薬も含め医師からしっかり説明を受ける】 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、医学的な必要性に基づかない体重減少目的に使用されうる糖尿病治療薬の処方など、不適正使用が疑われるような場合に処方することは不適切とされている。痩身目的などのオンライン診療を受診するときは、治療内容や処方薬、副作用などのリスク、万が一のときの対応などに関し、医師からしっかり説明を受ける。持病があり、通院や服薬をしている人は、主治医に相談するなど、とくに慎重に検討することが大切。【糖尿病治療薬は痩身目的の使用に関し、安全性と有効性は確認されていない】 糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬)が痩身目的で使われていることがあるが、これらの薬は2型糖尿病の治療を目的として承認されている。これらの薬に関する美容・痩身・ダイエットなどを目的とする不適正使用については、安全性と有効性は確認されていない。【解約条件などを申し込み前によく確認】 痩身目的などのオンライン診療の受診後に処方薬を購入する場合、定期購入になっているケースが多くある。解約できる場合でも条件が付されていることが多く、申し込み前によく確認する必要がある。解約の申し入れ先や副作用が出た場合の連絡先などについてもよく確認する。【トラブルにあった場合は、消費生活センターなどに相談】 契約に不安を感じたり、解約時にトラブルになったりした場合には、1人で悩まず最寄りの消費生活センターや消費者ホットラインの188(いやや!)へ相談。もし、副作用などの症状が出た場合、速やかに最寄りの医療機関を直接受診。

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転移乳がんへのnab-PTX、3投1休vs.2投1休

 HER2陰性転移乳がん患者を対象に、nab-パクリタキセルの2投1休と3投1休スケジュールを比較した無作為化第II相試験の結果、2投1休スケジュールでより良好な抗腫瘍活性と安全性プロファイルが示された。中国・北京大学のYaxin Liu氏らによるOncologist誌2023年12月11日号への報告。 本試験では、HER2陰性転移乳がん患者がnab-パクリタキセルの2投1休群(1・8日目に125mg/m2、1週間休薬)および3投1休群(1・8・15日目に125mg/m2、1週間休薬)に1:1で無作為に割り付けられた(病勢進行または治療不耐性まで投与)。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)。許容できない毒性がみられた患者では、維持療法として内分泌療法もしくは経口化学療法を受けることが認められた。 主な結果は以下のとおり。・94例が組み入れられ、各群に47例ずつ割り付けられた。・2投1休群では、3投1休群と比較してより長いPFS中央値が観察された(未達vs.6.8ヵ月、ハザード比:0.44、p=0.029)。・全生存期間(28.0ヵ月vs.25.8ヵ月)、客観的奏効率(51.1% vs.48.9%)、および病勢コントロール率(93.6% vs.80.9%)は両群で同様であった。・2投1休群では、毒性による治療中止(8.5% vs.29.8%)および投与延期(6.4% vs.23.4%)が少なかった。

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