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肺の空洞性病変の鑑別診断(2)[感染症編]【1分間で学べる感染症】第8回

画像を拡大するTake home message肺の空洞性病変の感染症の鑑別診断は多岐にわたる。抗酸菌:結核、非結核性抗酸菌(M. avium、M. kansasiii、M. abscessusなど)細菌:黄色ブドウ球菌、緑色連鎖球菌、ノカルジア、放線菌、クレブシエラ、緑膿菌、Stenotrophomonas、口腔内の嫌気性菌、Legionella non-pneumophila真菌:アスペルギルス、ムーコル、クリプトコッカス寄生虫:エキノコックス、肺吸虫など今回のテーマは、肺の空洞性病変の鑑別診断「感染症編」です。肺の空洞性病変の総論については、前回「CAVITY」で学習しました。今回はその中でも感染症の鑑別診断について深く学習していくことにします。肺の空洞性病変を見たら、まずは肺結核を否定することが何より重要です。しかし、それ以外にも、あらゆる微生物が肺の空洞性病変を呈することが知られています。肺結核以外にも、非定型抗酸菌、具体的にはM.aviumやM. kansasiii、M. abscessusなどが有名です。細菌では、黄色ブドウ球菌、緑色連鎖球菌などのグラム陽性球菌、ノカルジアや放線菌などのグラム陽性桿菌、グラム陰性桿菌ではクレブシエラ、とくに免疫不全者では緑膿菌、Stenotrophomonasなどを鑑別に入れる必要があります。また口腔内の嫌気性菌やレジオネラのnon pneumophilaのタイプが原因となることもあります。真菌では、とくに好中球減少者においてアスペルギルスやムーコル症、またHIVやがんで細胞性免疫が低下している患者ではクリプトコッカスが問題になることがあります。寄生虫では、まれですがエキノコックスや東南アジアからの帰国者では肺吸虫などがあります。肺の空洞性病変を見た際には、疫学的なリスクを考慮しながら結核だけではなく、これらの幅広い病原微生物を考慮することが重要です。1)Harding MC, et al. Fed Pract. 2021;38:465-467.2)Parkar AP, et al. J Belg Soc Radiol. 2016;100:100.

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遺伝性乳卵巣(HBOC)診療ガイドライン 2024年版 第3版

エビデンスをアップデート! 最新HBOC診療指針!多診療科・多職種・当事者がガイドライン作成に加わることで多くの意見を収集し、一人ひとりが納得のいく選択を行えるよう推奨決定に至るまでの議論をわかりやすく記載。総論・遺伝領域では多遺伝子パネル検査(MGPT)のさらなる普及を踏まえBRCA遺伝子に限定せず解説。乳がん・卵巣がん領域では領域をまたがるクエスチョン(RRSO、ART等)を統合し推奨を明瞭化。前立腺がん・膵がん・皮膚がんにおいても最新エビデンスを反映した。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する遺伝性乳卵巣(HBOC)診療ガイドライン 2024年版 第3版定価4,180円(税込)判型B5判頁数344頁発行2024年7月編集日本遺伝性乳卵巣総合診療制度機構ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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第223回 厚労省ヘルスケアスタートアップPT報告書を読む(後編) あの一般向けがんリスク判定会社もターゲットか?消費者向けの各種検査サービス、医師法に照らし合わせて総点検へ

ヘルスケアスタートアップの振興・支援に向けて25の提言こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この日曜は、凝りもせずに全国高等学校野球選手権大会の埼玉県大会決勝の花咲徳栄対昌平戦の観戦に、県営大宮公園球場まで行って来ました。同行した野球仲間の1人は早稲田実業の出身ですが、同じ日曜に行われた西東京大会決勝、日大三高対早稲田実業の試合観戦を蹴ってまで、わざわざ暑い埼玉までやって来ました。試合は花咲徳栄が勝ったのですが、10回タイブレークでの決着でした。近年力を付けて来た昌平は、10回表の拙いバント処理さえなければ初甲子園だったかもしれません。日々の基礎練習の大切さを再認識した次第です。さて、今回も前回に続き、6月27日に厚生労働省の「ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討に関するプロジェクトチーム(PT)」が公表した最終報告書を取り上げます。2024年2月に厚労省が立ち上げた同PTは、海外と比べてヘルスケア分野のスタートアップ企業がなかなか出てこない日本の現状を打破すべく、その振興・支援策などについて多面的に検討してきました。同PTは最終報告書として、(1)総論、(2)バイオ・再生、(3)医療機器・SaMD、(4)医療DX・AI、(5)介護テックの領域別に合計25の提言を盛り込んだ「ヘルスケアスタートアップの振興・支援に関するホワイトペーパー -健康・医療・介護の未来を拓く起業大国へ-」を公表1)しました。前回は2024年診療報酬改定で往診の報酬が大幅に減額されたことで、夜間や休日の往診サービスを手掛ける医療スタートアップの事業の撤退・縮小が相次いでいる現状を伝えるとともに、診療報酬や介護報酬に大きく依存するビジネスモデルを採るスタートアップの経営の難しさを指摘、25の提言の中の「提言3)ヘルスケアスタートアップ関係者からの診療報酬改定等の要望を受け付け、検討を行う新たな一元窓口を設置する」の内容について紹介しました。今回は、25の提言の中で私がとくに気になった「提言10)非臨床の消費者向け検査サービスに関する法規制の明確化を図る」について書いてみたいと思います。「医療機関では基本実施されず、医療には当たらない(非臨床)とされる消費者向け(Direct to Consumer:DTC)の検査サービスについて、法規制の明確化を図る」というのがその内容です。この提言によって、これまでほぼほぼ“野放し”状態だった消費者向け検査サービス対する規制が強まると見られます。いくつかのスタートアップや関連企業は戦々恐々としているのではないでしょうか。管轄する省庁、法律上の位置づけが不明確なため「リスク判定」という名目の曖昧な検査が“野放し”「非臨床の消費者向け検査サービス」とはどんなものでしょうか。具体的には、本連載の「第88回 がんが大変だ! 検診控え依然続き、話題の線虫検査にも疑念報道(前編)」、「第89回 同(後編)」などでも繰り返し書いてきた、民間企業が検体(血液、尿、唾液など)を基に病気のリスクなどを判定する検査サービスを指します。第88回で詳しく書いたように、臨床検査には、「分析学的妥当性」「臨床的妥当性」「臨床的有用性」の3つの評価基準を満たしているというデータを、きちんとしたプロトコールによって行った臨床試験等で出す必要があります。それがクリアしていれば、保険診療での使用が認められますし、海外で導入されることもあります。しかし、こうした「病気(がんなど)のリスクを判定する」と喧伝する一般向け検査(広告などで知名度の高い「N-NOSE」のほか、「アミノインデックス」、「テロメアテスト」などがあります)の多くは、お金と時間が膨大にかかる臨床試験を敢えて避けて商品化し、日本だけで通用する一般向け検査でお茶を濁しているケースが少なくありません。そうした検査がはびこっている最大の理由は、管轄する省庁、法律上の位置付けが不明確なためです。その結果、「リスク判定」(あえて「診断」とは言わない)という名目の曖昧な検査が“野放し”になってきたわけです。今回のPTの最終報告書は「振興・支援策の提言」のはずなのに、この「提言10」は「規制ではないか」と言われそうです。しかし、これまで監督官庁も曖昧で規制する法律もなかったこの分野に明確なルールを設け、スタートアップ企業として健全な育成を図っていくというのがその狙いなので、振興・支援策だと言えなくもありません。検査サービスの品質や信憑性等についてガバナンスの仕組みの構築を求める声「提言10」の「問題の所在」の項では、「遺伝子検査、血液検査、尿検査等非臨床の消費者向け(DTC)の各種検査サービスが国内外で広がっている。2020年以降の国内市場は100億円規模と予想されており、ヘルスケアスタートアップにとっても魅力的な成長市場として期待されている」としつつ、「一般消費者の利用が拡大する中で検査サービスの品質や信憑性等についてガバナンスの仕組みの構築を求める声がある」と、その問題点を指摘しています。その上で、「米国及び欧州では非臨床の消費者向け検査サービスについてすでに具体的な法的規制が設けられているところ、日本ではこれら非臨床の消費者向け検査サービス特有の法規制は設けられておらず、結果として検査の信憑性に問題があったとしても、行政側による関与が難しい状況にあると指摘されている」として、今後、国が取り組む具体的対策を「提言」として記しています。医師法違反に該当する恐れがある事例等につき解釈を明確化その「提言」によれば、「医師法等を所管する立場から、厚生労働省において、医行為と非臨床の消費者向け検査サービスに係る法的な課題の検討を進め、非臨床の消費者向け検査サービスの外縁の明確化に取り組む」として、2024年度中に次の2つのアクションを起こすとしています。1)不適切な検査結果通知を適正化するため、「健康寿命延伸産業分野における新事業活動のガイドライン」(平成26年厚生労働省・経済産業省連名通知)において示している「検査(測定)結果の事実や検査(測定)項目の一般的な基準値を通知することに留めなければならない」という医師法第17条の考え方に関して、関連Q&Aや事務連絡を発出するなどして、解釈の明確化を図る。2)消費者に通知される検査結果等が公知の科学的根拠に欠ける場合など、無資格者が独自の医学的判断を行っているものとして医師法違反に該当する恐れがある事例等につき解釈を明確化する。厚労省などが起こすアクションによっては事業構造の大幅な見直しが必要につまり、消費者向けの各種検査サービスについて、医師法を管轄する厚労省が主導権を取り、医師法違反という観点から法令違反の恐れがある事例をまとめ、事務連絡などで周知徹底する、としたのです。これまで消費者向けの各種検査サービスは、遺伝子検査については経済産業省が「DTC遺伝子検査ビジネス事業者に対するガイダンス」を策定し、業界は基本これに則った事業展開をしています。しかし、遺伝子検査以外の分野は規制する法律やガイドラインもないことから、エビデンスも不確かでいい加減な判定結果を消費者に報告するなど、まさにやりたい放題でした。そうした検査サービス会社はこの提言を踏まえ、厚労省などが起こすアクションによっては、事業構造の大幅な見直しが必要になってくるでしょう。超多忙な「厚労省は担当したくなかった」という声もところで、こうした方向性が打ち出されるまでには、結構な紆余曲折があったと聞いています。一部には「厚労省は担当したくなかった」という声も漏れ聞こえて来ます。マイナ保険証、「かかりつけ機能」の整備化、次期地域医療構想……等々、ただでさえ超多忙な中、またまた厄介な問題は引き受けたくない、というのが本音だったようです。現状では大きな“被害”は報告されておらず、当面は法律で規制することなく“野放し”のままでいい、と考えていた節もあります。そうした状況の中、「医師ではない者が独自の医学的判断をして、不適切な結果通知を行っているとすれば、医師法違反の恐れがある」として規制の必要性を強く訴えたのは国会議員筋だという情報もあります。いずれにせよ、医師法違反という観点から法令違反の恐れがある事例がまとめられ、検査の結果(リスク判定)を消費者にフィードバックする際の表現についてもガイドラインが設けられる可能性があります。また、検査の品質や信頼性についても、より客観的なデータや再現性が求められるようになるかもしれません。「線虫検査」の広告は、相変わらず一般メディアでよく見かけます。お金をかけた派手な広告を見れば見るほど、「最後の悪あがき」のように感じます。参考1)ヘルスケアスタートアップの振興・支援に関するホワイトペーパー/厚生労働省

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顔の表面温度、脂肪肝や生活習慣病のスクリーニングに有用か

 体温とは、細胞機能と生物の生存に影響を与える、つまり健康状態を知るための重要なパラメータであり、老化と寿命にとっても重要な要素である。そこで今回、中国・北京大学のZhengqing Yu氏らは顔の皮膚温を捉えた熱画像(以下、サーマル画像)を用い、老化と代謝疾患の定量的特徴を明らかにすることで、サーマル画像が老化と代謝状態の迅速スクリーニングに有用な可能性を示唆した。Cell Metabolism誌2024年7月2日号掲載の報告。 研究者らは、2020~22年の期間に21〜88歳の成人2,811人(女性:1,339人、男性:1,472人)の顔のサーマル画像を収集し、赤外線サーモグラフィによる顔のメッシュ認識および領域分割アルゴリズムを用いたThermoFaceを開発、自動処理・分析にて生物学的年齢を測定するなどして、サーマル顔画像年齢による疾患予測モデルを生成し、AgeDiff(予測年齢と実年齢の差)と代謝パラメータや睡眠時間との関連を検証した。 主な結果は以下のとおり・各年代のThermoFaceパターンを調べた結果、男女ともに鼻、頬、眉毛ゾーンの皮膚温が加齢とともに低下していた。ただし、女性は50代から、男性は60代から低下がみられた。・また、皮膚温と代謝疾患との関連について、糖尿病や脂肪肝などの代謝疾患を有する人は健康な人に比べて目の周囲の皮膚温が高く、高血圧の人では頬の皮膚温が高かった。・ThermoFaceは、脂肪肝などの代謝疾患を高い精度(AUC>0.80)で予測し、予測された疾患確率は代謝パラメータと相関していた。・AgeDiffは、BMI、空腹時血糖値、アポリポ蛋白Bなどの代謝性疾患パラメータ、睡眠時間、血液検体のトランスクリプトーム解析によるDNA修復、脂肪分解、ATPaseなどの遺伝子発現経路との関連が高かった。・サーマル画像の皮膚温分布は老化や代謝状態を反映しており、迅速なスクリーニングへの有効性が示された。 研究者らは、「顔のサーマル画像分析が加齢や代謝疾患の迅速な評価に有用であることを示しており、ThermoFaceはデータ取得の速さと利便性、大規模コホートに基づく精度の高さから、健康的な加齢に関するモニタリングや評価ツールとして有用な可能性がある」としている。

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脳転移/髄膜がん腫症を伴うHER2+乳がんへのT-DXd、長期の有効性を評価(ROSET-BM)/日本乳学会

 脳転移や髄膜転移を有するHER2+乳がんに対するトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の長期の有効性を検討したわが国のレトロスペクティブチャートレビュー研究であるROSET-BM試験において、前回の発表から追跡期間を1年延長したデータ(データカットオフ:2022月10月31日)を、北海道がんセンターの山本 貢氏が第32回日本乳学会学術総会で発表した。 本試験には2020年5月25日~2021年4月30日にT-DXd治療を開始した患者が登録された。評価項目は、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、治療成功期間(TTF)で、さらにOSと関連する背景因子を探索するために、Cox比例ハザードモデルを用いて単変量解析および多変量解析を実施した。対象は20歳以上の脳転移または髄膜がん腫症(LMC)を有するHER2+乳がん患者で、臨床試験でT-DXd治療を受けた患者は除外した。 主な結果は以下のとおり。・国内62施設で適格基準を満たした104例を解析対象とした。前治療は、2レジメン以下が24%、3レジメン以上が76%、中央値は4レジメンであった。また、PSは2以上が約15%、脳転移は症候性が30.8%であった。・追跡期間中央値は20.4ヵ月(前回:11.2ヵ月)であった。・OS中央値は前回と同様に未達であった。1年OS率は74.8%(前回:74.9%)、2年OS率は56.0%(前回:NA)であった。サブグループ解析では、Analytical active脳転移群のOS中央値は27.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:16.4~NA)で、Analytical stable脳転移群およびLMC群のOSは中央値に達しなかった(2年OS率:Analytical stable 脳転移群71.6%、LMC群61.6%)。・PFS中央値は14.6ヵ月(前回:16.1ヵ月)、TTF中央値は9.3ヵ月(前回:9.7ヵ月)と若干減少した。・ILDによるT-DXdの中止は23.1%(前回:18.3%)と若干増加した。中止までの期間の中央値は5.3ヵ月(95%CI:4.0~8.8)であった。・多変量解析の結果、OSと有意に相関する背景因子はみつからなかった。 山本氏は「今回の更新データの解析から、前治療の多い脳転移や髄膜転移のあるHER2+乳がん患者に対するT-DXdの長期の有効性が証明された」と結論した。

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統合失調症患者の代謝パラメータに対する非定型抗精神病薬の影響

 3種類の非定型抗精神病薬(オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾール)のいずれかを服用している患者と健康対照者の空腹時血清アスプロシン濃度と代謝パラメータを比較するため、イラン・Hamadan University of Medical SciencesのKiumarth Amini氏らは、横断的研究を実施した。Human Psychopharmacology誌オンライン版2024年6月28日号の報告。 対象は、統合失調症成人外来患者62例および年齢、性別が一致した健康対照者22例。患者は、寛解状態にあり、オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾールのいずれかの非定型抗精神病薬による単剤治療を6ヵ月以上実施していた。BMI、空腹時血清アスプロシン、グルコース、HbA1c、インスリン、脂質プロファイルを両群間で比較した。さらに、インスリン抵抗性の基準を満たした人(HOMA-IR:2.5超)およびBMIレベルが高い人(男性:27kg/m2超、女性:25kg/m2超)について両群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・オランザピン群またはリスペリドン群は、アリピプラゾール群および健康対照者と比較し、BMI、空腹時血清グルコース、HbA1c、インスリン、トリグリセライド(TG)、HDLコレステロール、アスプロシンに統計学的に有意な差が認められた。・アリピプラゾール群は、健康対照者と同等の値を示したが、リスペリドン群またはオランザピン群は有意に高い値を示し、オランザピン群では、最も高値であった。・インスリン抵抗性および高BMIの有病率は、オランザピン群またはリスペリドン群において、アリピプラゾール群および健康対照者と比較し、高かった。・血清アスプロシン値は、BMI、HbA1c、空腹時インスリン、HOMA-IR、TGなどいくつかの代謝パラメータと有意な正の相関が認められた。・総コレステロールおよびLDLコレステロールに関しては、有意な差が認められなかった。 著者らは「オランザピンおよびリスペリドンで治療された患者では、アスプロシン値の上昇、体重増加、代謝障害との関連が認められた。血清アスプロシンレベルは、これらの代謝障害と双方向性の関連が示唆されており、潜在的な原因経路を解明するためにもさらなる研究が求められる」としている。

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80歳以上も健康的なライフスタイルでさらなる長寿に

 これまでの研究で、生活習慣因子が寿命や死亡率と関連していることが多数報告されているが、そのほとんどは中高年層(60歳以上)を対象としており、80歳以上を対象とした研究はほとんどない。中国上海市・復旦大学のYaqi Li氏らによる、中国の80歳以上を対象とした、健康的なライフスタイルと100歳以上まで生きる可能性を検討した研究結果がJAMA Network Open誌2024年6月20日号に掲載された。 研究者らは、1998年に設立された80歳以上を対象とした全国的かつ最大規模のデータベース・中国縦断健康長寿調査(Chinese Longitudinal Healthy Longevity Survey:CLHLS)を用いて、地域ベースの前向き対照研究を実施した。データは2022年12月1日~2024年4月15日に解析された。 5つの生活習慣(喫煙、飲酒、運動、食事の多様性、BMI)に基づく総合的な健康的生活習慣スコア100(HLS-100)を作成し、スコア(0~6)と100歳以上となる可能性、健康転帰が良好である可能性との関連をみた。主要アウトカムは2018年(追跡終了時)までに100歳以上となる人の生存率であった。多変量ロジスティック回帰モデルを用いてオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定、社会人口統計学的因子(居住地、教育年数、配偶者の有無)および自己報告による慢性疾患の既往(高血圧、糖尿病、心血管疾患、がん)で調整した。 主な結果は以下のとおり。・計5,222例(女性61.7%、平均年齢94.3[SD 3.3]歳)が組み入れられ、その内訳は100歳以上1,454例と、対照群3,768例(年齢・性別・組み入れ年でマッチ、100歳になる前に死亡)であった。・追跡中央値5年(四分位範囲[IQR]:3~7)のあいだに100歳以上になったのは、HLS-100が最も低い群(0~2)では373/1,486例(25%)、最も高い群(5~6)では276/851例(32%)だった。・最高群と最低群を比較した調整オッズ比(aOR)は1.61(95%CI:1.32~1.96、p<0.001)であった。さらに自己報告による慢性疾患、身体的・認知的機能、精神的健康で評価される「比較的健康な状態の100歳以上」をアウトカムとした場合もHLS-100との関連が認められた(aOR:1.54、95%CI:1.05~2.26)。 著者らは「中国の高齢者を対象としたこの症例対照研究では、健康的な生活習慣を守ることは後期高齢者であっても重要であり、すべての高齢者において生活習慣を改善するための戦略的計画を構築することが、健康的な加齢と長寿を促進するうえで重要な役割を果たす可能性が示唆された」としている。

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妊娠初期のコロナ感染・ワクチン接種、児の先天異常と関連せず/BMJ

 妊娠第1三半期(13週+6日)における新型コロナウイルス感染およびワクチン接種は、生児の先天異常のリスクに大きな影響を及ぼさないことが、ノルウェー・公衆衛生研究所のMaria C. Magnus氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2024年7月17日号で報告された。北欧3ヵ国のレジストリベース前向き研究 研究グループは、妊娠第1三半期における新型コロナウイルス感染およびワクチン接種による主要な先天異常のリスクへの影響の評価を目的に、北欧の3ヵ国でレジストリベースの前向き研究を行った(ノルウェー研究会議[RCN]などの助成を受けた)。 2020年3月1日~2022年2月14日に妊娠したと推定され、スウェーデン、デンマーク、ノルウェーの全国的なレジストリに登録された単胎の生児34万3,066例を対象とした。 先天異常は、欧州先天異常サーベイランス(EUROCAT)の定義に基づいて分類した。妊娠第1三半期における新型コロナウイルス感染およびワクチン接種後のリスクを、母親の年齢、経産回数、教育歴、収入、出身国、喫煙状況、BMI値、慢性疾患、妊娠開始の推定日で補正したロジスティック回帰モデルで評価した。ウイルス変異株によるリスクの違いの解明が必要 1万7,704例(5.2%、516/1万人)の生児が先天異常と診断された。このうち737例(4.2%)では2つ以上の先天異常を認めた。 妊娠第1三半期の新型コロナウイルス感染に関連するリスクの評価では、補正後オッズ比(OR)は、眼球異常の0.84(95%信頼区間[CI]:0.51~1.40)から口腔顔面裂の1.12(0.68~1.84)の範囲であった。 同様に、妊娠第1三半期のCOVID-19ワクチン接種に関連するリスクのORは、神経系異常の0.84(95%CI:0.31~2.31)から腹壁破裂の1.69(0.76~3.78)の範囲だった。 また、先天異常の11のサブグループのうち10のORの推定値は1.04未満であり、顕著なリスク増加はみられなかった。 著者は、「今後、新型コロナウイルスの変異株による先天異常のリスクの違いを解明するための検討を進める必要がある」としている。

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長時間労働者に面接するときのコツ【実践!産業医のしごと】

「過重労働面接」とは、長時間働いている労働者に対し、産業医が面談をして状況改善を図ることです。心身の健康リスクの早期発見、職場の環境改善など、労働者の健康を守り、安心して働ける職場のために重要な業務です。さらに、長時間労働は産業医の面接だけで解決するものではなく、組織を巻き込んで解決していくことが必要です。今回は、過重労働面接におけるコツと留意点について解説します。1. 事前の情報収集面接を適切かつ効率よく行うために、事前に可能な範囲で情報を集めます。人事等に依頼して、〈表1〉に示した必要な情報を会社側で用意してもらいます。〈表1〉過重労働面接に必要な事前情報一覧2. 面接の進め方最初の関係構築が大切過重労働面接の対象となる労働者は、多忙な業務の合間を縫って面接に来ます。積極的に面接を希望する人は少なく、会社からの指示で面接に来る場合も多くあります。面接をスタートするときには、「忙しい中、時間を割いてくださってありがとうございます」と謝意を伝え、部屋に迎え入れます。こうした最初の関係構築は、その後の面接を円滑に進めるためにも非常に重要です。「心身および生活の状況」と「業務の過重性」を重点的に過重労働面接では、心身の健康と業務の過重性の2点を重点的に確認します。1)心身および生活の状況長時間労働は、脳心血管疾患や抑うつ、不安などの精神的な問題のリスクを高めます。また、睡眠に影響が出ていると、ミスや事故の発生率が高まり、企業全体の効率や安全性にも悪影響を及ぼしかねません。面接では、食事や睡眠の変化、気分や意欲の状態、休日の過ごし方など、多面的な質問をして心身および生活の状況を評価します。2)業務の過重性業務の過重性についても詳細に確認します。今後の業務の見通し、労働時間や質的な負荷、さらに職場の人間関係、職場コミュニケーションなど、多角的な視点から労働環境を評価します。以上の情報を総合して、通常勤務が可能か、または就業制限等が必要かを判断します。さらに詳細な面接方法については、「医師による長時間労働面接指導実施マニュアル」2)に記載されているので参考にしてください。〈表2〉「心身および生活の状況」と「業務の過重性」に関する情報画像を拡大する出典:医師による長時間労働面接指導実施マニュアル(一部改変)3. 面接結果の報告過重労働面接が終わったら、面接結果を報告書へまとめ、会社へ提出します。報告書には、就業区分と就業上の措置の有無に関する意見を述べます。仮に、体調等に問題がなく通常勤務が可能であったとしても、それで長時間労働が解決するわけではありません。職場の上司や人事部に向けた長時間労働抑制の対策を記載する欄を報告書に設けるなど、職場関係者に過重労働の是正を意識させる仕組みをつくりましょう。4. 面接でやりがちな「間違い」産業医の過重労働面接でよくある間違いを紹介します。1)医学的な問題だけで、組織に働き掛けない過重労働面接と過重労働対策が同一視されることがあります。繰り返しになりますが、長時間労働は産業医だけで解決するものではありません。長時間労働を減らすには、人員配置やコストが関わるため、意思決定できる人事や上司の理解が必須です。産業医には、健康リスクの側面から面接を行い、労働災害や安全配慮義務違反等の法的リスクを企業側に伝え、環境改善のための働き掛けを行う熱意が求められます。2)就業上の措置を関係者と調整しない面接後、本人の同意なく意見を述べることでトラブルの原因となり、職場の混乱を招くことがあります。面接の最初に対象者へ、面接結果は会社(人事等)へ提出することを伝え、面接後には記載内容の確認を取りましょう。また、報告書に「残業禁止」と意見を書いても関係者が理解していなければ就業制限は守られず、「絵に描いた餅」になってしまいます。報告書に意見を書くだけではなく、本人や上司、人事関係者も交えて就業制限が必要な理由を伝え、関係者の合意を得る手続きを踏むようにしましょう。5. 過重労働対策は企業のメリットにもなる長時間労働は、ワークエンゲージメントの低下や離職率の上昇を招き、パフォーマンス低下や採用コストの増加につながります。過重労働の是正は、企業にとっても従業員の満足度やモチベーションの向上、業務の効率化など、多くのメリットをもたらします。過重労働対策を企業全体の問題として捉え、労働者の過重労働を防ぐことは、結果的に企業の利益にもつながります。産業医は、労働者の健康と企業の健全な発展のために、過重労働の問題に積極的に関与し、働きやすい労働環境を実現しましょう。参考1)労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)/厚生労働省2)医師による長時間労働面接指導実施マニュアル/厚生労働省

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英語で「最後に食事をしたのはいつですか」は?【1分★医療英語】第141回

第141回 英語で「最後に食事をしたのはいつですか」は?《例文1》When was the last time you ate?(最後に食事をしたのはいつですか?)《例文2》You have nothing by mouth after midnight.(深夜12時以降は絶飲食です)《解説》救急医療の現場などで、手術や検査が行えるかどうかを確認するために、「最後に食事をしたのはいつですか?」と聞く場面は多いかと思います。英語ではシンプルに、“When did you last eat?”や“When was the last time you ate?”と質問することができます。頻繁に使うフレーズなので、丸ごと覚えてしまいましょう。また、手術や検査に備えて絶飲食することを、医療者の間では“NPO”と表現します。これは、「口から何も入れない」ことを意味するラテン語の“nil per os”の頭文字を取ったものです。患者さんに説明する場合は“NPO”では伝わらないため、“nothing by mouth”や、“nothing to eat or drink”、“no food or drink”といったフレーズを使うようにします。講師紹介

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魚を焼いて食べたら腹痛と紅斑【これって「食」中毒?】第3回

今回の症例年齢・性別45歳・男性患者情報アレルギー歴・常用薬・特記すべき既往歴はない。7月上旬に遊漁船でキハダマグロ(図1)を釣り、すぐに血抜きをしてクーラーボックスの中で氷漬けにした。夕方に行きつけの寿司屋に持ち込み、刺身(図2)や握り寿司などにしてもらって、釣り仲間5人と一緒に食べた。余った魚肉を柵にしてもらい持ち帰ったが、酔っていたため冷蔵庫に入れ忘れて常温で一晩放置してしまった。翌日の9時頃に、火を通せば大丈夫だと考えて、ステーキ(図3)にして食べたが、口腔内が焼けるような感じがあった。およそ40分後より悪心・嘔吐、著しい上腹部痛および全身の掻痒感が生じたため救急要請して、摂取2時間後に某病院救急センターに搬送された。画像を拡大する初診時は気道開通、呼吸数22/分、SpO2 98%(室内気)、血圧138/76mmHg、心拍数118bpm(整)、意識レベルJCS 0、体温37.6℃であった。頭痛、嘔気、動悸、胸部絞扼感、心窩部痛、全身の掻痒感を訴えていた。また、全身の発汗、顔面・頚部・胸腹部・鼠径部を中心に紅斑を認めた。なお、前日に夕食を共にした釣り仲間はすべて無症状であった。検査値・画像所見血液検査では白血球増多(9,200/µL)以外に特記すべき異常を認めなかった。胸腹部造影CTでは局在性の胃の浮腫を認めた。問題

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第225回 新しい帯状疱疹ワクチンと認知症リスク低下が関連

新しい帯状疱疹ワクチンと認知症リスク低下が関連米国の20万例強の記録を英国オックスフォード大学の研究者らが解析したところ、2017年から同国で使用されるようになった新しい組み換え帯状疱疹ワクチンであるシングリックス接種と認知症を生じ難いことが関連しました1-3)。2006年から使われ始めて7年ほど前まで最も一般的だった別の帯状疱疹ワクチンZostavaxは生きた弱毒化ウイルスを成分とします。何を隠そうZostavaxも認知症が生じ難くなることとの関連が先立つ試験で示されています。しかし今回の新たな結果によると、認知症発現を遅らせるか、ともすると防ぎうるシングリックスの効果はZostavaxに比べて高いようです。帯状疱疹は高齢者の多くに生じる深刻な疾患の1つです。ストレスや化学療法などの免疫を弱らす事態に乗じて体内に潜む水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化することを原因とし、痛い皮疹を引き起こし、2次感染や傷跡を残すことがあります。帯状疱疹は加齢につれて生じ易くなることから、高齢者へのそのワクチン接種が必要とされています。米国では50歳、英国では65歳での帯状疱疹ワクチン接種が推奨されています。米国を含む多くの国で帯状疱疹ワクチンは代替わりしてより有効なシングリックスが使われるようになっており、Zostavaxは使われなくなっています。シングリックスは組み換えワクチンであり、病原体のDNAのごく一部を細胞に挿入して作られるタンパク質を成分とします。それらタンパク質が体内で感染予防に必要な免疫反応を引き出します。米国では2017年後半からシングリックスがZostavaxの代わりに使われるようになりました。オックスフォード大学のMaxime Taquet氏らは、その区切り以降にシングリックスを接種した人とそれ以前にZostavaxを接種した人の認知症の生じ易さを比較しました。選ばれた人の数はどちらも10万例強で、平均年齢は71歳です。6年間の経過を追ったところ、シングリックス接種群の認知症の発症率はZostavax接種群に比べて17%低いことが示されました。また、帯状疱疹以外のワクチン(インフルエンザワクチンと3種混合ワクチン)接種群と比べてもシングリックス接種群の認知症発症率は2~3割ほど低く済んでいました。帯状疱疹ワクチンと認知症が生じ難くなることを関連付ける仕組みは不明で、今後調べる必要があります。もしかしたら帯状疱疹の原因ウイルスが認知症を生じ易くし、帯状疱疹ワクチンはそれらウイルスを阻止することで認知症をより生じ難くするのかもしれません2)。または、ワクチン自体が脳に有益な効果をもたらしている可能性もあります。ところで認知症発症率低下との関連は帯状疱疹以外のワクチンでも示されています。結核の予防や膀胱がん治療に使われるBCGワクチンはその1つで、認知症の発症リスクの45%低下との関連が昨年発表されたメタ解析で確認されています4)。BCGワクチンといえば新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防効果がかつて期待されましたが、プラセボ対照無作為化試験でその効果を示すことができませんでした5)。残念な結果になったとはいえBCGワクチンのCOVID-19予防効果は最終的に無作為化試験で検証されました。その試験と同様のシングリックスの認知症予防効果を検証する大規模無作為化試験の構想を今回の結果は促すだろうとTaquet氏らは論文に記しています。参考1)Taquet M, et al. Nat Med. 2024 Jul 25. [Epub ahead of print]2)New shingles vaccine could reduce risk of dementia / University of Oxford 3)Evidence mounts that shingles vaccines protect against dementia / NewScientist4)Han C, et al. Front Aging Neurosci. 2023;15:1243588. 5)Pittet LF, et al. N Engl J Med. 2023;388:1582-1596.

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産婦人科「産科外来での研修」【臨床実習を味わうケアネット動画Café】第4回

動画解説臨床研修サポートプログラムの研修医のための産婦人科ベーシックより、柴田 綾子先生の「産科外来での研修」を鑑賞します。妊娠週数ごとの注意点を知っておかなければ妊婦さんを診ることはできません。産科診療のすべての基本となるレクチャーです。

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腎機能低下RAへの生物学的製剤、安全性・有効性が明らかに

 血液透析(HD)患者を含む慢性腎臓病(CKD)を併存する関節リウマチ(RA)患者の治療薬についてのエビデンスは限られている。今回、虎の門病院腎センター内科・リウマチ膠原病科の吉村 祐輔氏らはCKD患者における生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)の有効性・安全性を明らかにした。腎機能低下群においてもbDMARDの継続率はおおむね保持され、とくに、インターロイキン-6(IL-6)阻害薬は、推定糸球体濾過量(eGFR)が30mL/分/1.73m2未満の患者で薬剤継続率が有意に高く、無効による中止が少なかったことから、IL-6阻害薬はほかの bDMARDと比較し、単剤での治療がより有効であることを示唆した。Annals of the Rheumatic Diseases誌オンライン版2024年7月4日号掲載の報告。 本研究は、国内のHD患者を含むCKDを伴うRA患者において、最初に用いられたbDMARDの有効性・安全性を評価することを目的に、2004~21年に2つの医療機関でbDMARDを新規処方されたRA患者425例を対象に後ろ向きコホート研究を実施した。対象患者を腎機能レベルと処方されたbDMARDの作用機序別(TNFα阻害薬、IL-6阻害薬、アバタセプト[CTLA-4 Ig])で分類し、bDMARDの初回処方日から(1)最初のbDMARDの中止、(2)全死因死亡、(3)中止(追跡不能による打ち切り/2021年12月末の観察期間終了に伴う打ち切り)のいずれか早い日まで追跡調査した。 主要評価項目は薬剤の36ヵ月継続率で、副次評価項目は疾患活動性評価-C反応性蛋白/赤血球沈降速度(DAS28- CRP/ESR)の変化、プレドニゾロン投与量、薬剤中止理由(無効、感染、副作用、その他)などが含まれた。 主な結果は以下のとおり。・CKDステージはG1:165例、G2:140例、G3a:36例、G3b:14例、G4:27例、G5:43例だった。・処方の内訳はTNFα阻害薬347例(インフリキシマブ:112例、エタネルセプト:98例、セルトリズマブ:65例、ゴリムマブ:45例、アダリムマブ:27例)、IL-6阻害薬36例(トシリズマブ:34例、サリルマブ:2例)、アバタセプト42例だった。・eGFR(mL/分/1.73m2)区分を≥60、30~60、<30の3つに分け、薬剤の作用機序別に36ヵ月継続率を調査したところ、全bDMARD(45.2%、32.0%、41.4%)、TNFα阻害薬(45.3%、28.2%、34.0%)、IL-6阻害薬(47.4%、66.7%、71.4%)、アダパセプト(42.9%、37.5%、33.3%)であった。・腎機能低下群においてもbDMARDの継続率はおおむね保持されたが、eGFR<30患者のTNFα阻害薬の継続率はGFR≥60と比較し有意に低かった。・一方、IL-6阻害薬はeGFR<30患者において最も継続率が高く、無効による中止率も最も低かった (ハザード比:0.11、95%信頼区間:0.02~0.85、p=0.03)。・eGFR<30の患者のサブ解析において、HD患者と非HD患者でbDMARDの36ヵ月継続率に有意差を認めなかった。・全bDMARDは、すべてのグループにおいてDAS28-CRP/ESRを改善し、プレドニゾロンの投与量を減らした。・CKDが進行してもbDMARDの薬剤継続率は大幅に低下しなかった。 研究者らは「本研究結果より、HD患者を含むCKD合併RA患者に対する効果的かつ安全な治療選択肢として bDMARD、とくにIL-6阻害薬の検討を支持する」としている。

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HR+/HER2-早期乳がんにおける早期再発のリスク因子(WJOG15721B)/日本乳学会

 HR+/HER2-早期乳がん患者における早期再発のリスク因子を探索したWJOG15721B試験の結果、若年、静脈侵襲、病理学的浸潤径、病理学的リンパ節転移の個数などが独立したリスク因子として同定されたことを、国立がん研究センター東病院の綿貫 瑠璃奈氏が第32回日本乳学会学術総会で発表した。 HR+/HER2-乳がんで、術後内分泌療法開始後3年以内の早期に再発した患者の予後は不良であることが報告されている。monarchE試験では再発高リスクのHR+/HER2乳がん患者において内分泌療法にアベマシクリブを加えることで有意に無浸潤疾患生存期間(iDFS)が延長したことが示されている。monarchE試験の適格基準を満たす患者は極めて再発高リスクであり、この基準を満たさない早期再発の高リスク集団が存在する可能性がある。そこで研究グループは、HR+/HER2-乳がんの臨床病理学的因子や周術期治療と術後3年以内の再発との関連を調べ、早期再発のリスク因子を同定することを目的として後方視的多施設共同観察研究を実施した。 対象は、StageII~IIIのHR+/HER2-乳がんと診断されて手術を受け、2012年1月1日~2017年1月1日に術後内分泌療法を開始した患者であった。術前/術後化学療法の実施の有無については問わなかった。主要評価項目は3年のiDFS割合、副次評価項目はiDFS、全生存期間、3年の無遠隔転移生存(DRFS)割合、DRFSであった。 予後因子の検討のため、多変量Cox比例ハザード回帰モデルにおいて臨床病理学的因子を説明変数として用いた。iDFSの予測モデルを作成するため、説明変数の有意水準を0.05としたステップワイズ法を用いた多変量Cox比例ハザード回帰モデルによってノモグラムを作成した。 主な結果は以下のとおり。●2,732例(年齢中央値:51歳[範囲:23~96])が解析された。StageIIAが1,841例(67.4%)、StageIIBが529例(19.4%)、StageIIIが362例(13.3%)であった。●術前化学療法を受けたのは23.0%、術後化学療法を受けたのは32.5%で、治療薬は90%超がアントラサイクリン系であった。●主要評価項目である3年iDFS割合は92.1%(95%信頼区間[CI]:91.1~93.1)であった(追跡期間中央値:7.1年)。●iDFSに対する多変量解析により、早期再発に関連する統計学的に有意な因子として6つの因子が明らかになった。ハザード(HR)は以下のとおり(括弧内は95%CI)。【年齢】・20~39歳vs.40~69歳 HR:1.46(1.09~1.95)、p=0.011・70歳以上vs.40~69歳 HR:1.73(1.32~2.26)、p<0.001【核グレード】・グレード2 vs.グレード1 HR:1.66(1.31~2.11)、p<0.001・グレード3 vs.グレード1 HR:1.64(1.24~2.19)、p=0.001【静脈侵襲】・ありvs.なし HR:1.36(1.04~1.78)、p=0.027【浸潤径】・2以上5cm未満vs.2cm未満 HR:1.75(1.35~2.27)、p<0.001・5cm以上vs.2cm未満 HR:2.07(1.48~2.89)、p<0.001【リンパ節転移個数】・1~3 vs.0 HR:1.16(0.92~1.46)、p=0.201・4以上vs.0 HR:1.70(1.29~2.24)、p<0.001【術前化学療法歴】・ありvs.なし HR:2.41(1.90~3.06)、p<0.001。●両側乳がん、ER、PgR、HER2、Ki-67、リンパ管侵襲は統計学的に有意な因子ではなかった。●同定された6つの因子で3年および5年iDFS割合を予測するノモグラムを作成したところ、とくに40~69歳と比較して20~39歳は予後が不良であるとともに、70歳以上でも予後が不良であった。術前化学療法を行った患者はそれでもなお予後が不良であった。●ノモグラムの総ポイントに基づきスコアごとに層別化したiDFSの曲線を作成し、ログランク検定とCox比例ハザードモデルで評価した結果、総ポイントが高いほど予後が不良であった。ノモグラムのC-indexは0.68であった。 これらの結果より、綿貫氏は「若年、核グレード、静脈浸潤、病理学的浸潤径、病理学的リンパ節転移の個数がHR+/HER2-乳がん患者の早期再発の独立したリスク因子であることが明らかになった。また、臨床医によって術前化学療法が選択された患者は、術前化学療法を行ってもなお早期再発のリスクが高いと考えられる。今回同定された因子を有するHR+/HER2-乳がん患者に対してアベマシクリブが有効かについてはさらなる検証が必要である」とまとめた。

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いびきと認知症リスクとの関連

 年齢とともに増加するいびきと認知症リスクとの関連は、議論の的になっている。英国・オックスフォード大学のYaqing Gao氏らは、いびきと認知症リスクとの関連について観察的および因果関係の調査を実施し、この関連に対するBMIの影響を評価した。Sleep誌オンライン版2024年6月29日号の報告。 ベースライン時、認知症でなかった参加者45万1,250人のデータを用いて、自己申告によるいびきと認知症発症との関連を評価するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。いびきとアルツハイマー病(AD)との因果関係の調査には、双方向2サンプルメンデルランダム化(MR)分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中央値13.6年の間に認知症を発症したのは、8,325例。・いびきは、すべての原因による認知症(ハザード比[HR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.89〜0.98)およびAD(HR:0.91、95%CI:0.84〜0.97)のリスク低下との関連が認められた。・BMIで調整するとこの関連性はわずかに弱まり、高齢者、APOE ε4対立遺伝子保有者、フォローアップ期間が短い人では関連性が強くなった。・MR分析では、いびきのADに対する因果関係は認められなかったが、ADに対する遺伝的因子がいびきリスク低下と関連していることが示唆された。・多変量MR分析では、ADがいびきに及ぼす影響は、主にBMIによるものであることが示唆された。 著者らは「いびきと認知症リスク低下との関連は、逆因果関係から生じている可能性があり、ADに対する遺伝的因子がいびきリスク低下と関連していることが示唆された。これは、前駆期アルツハイマー病(prodromal AD)における体重減少により引き起こされる可能性がある。高齢者におけるいびきの減少や体重減少は、認知症リスクの潜在的な初期の指標として、より一層注意を払う必要がある」としている。

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ベイピング製品の長期使用、電子タバコの普及で増加/BMJ

 イングランドの成人では、2013年から2023年にかけて長期のベイピング(vaping)が大幅に増加し、その多くが新しい使い捨て電子タバコ(e-cigarettes)の人気が高まった2021年に使用を開始していた。現時点での長期ベイピング者の半数は使い捨てデバイスを使用し、この増加は喫煙歴のある集団に集中しているものの非喫煙者でもとくに若年層で増加していることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのSarah E. Jackson氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年7月17日号に掲載された。イングランドの成人約18万人で、長期ベイピング普及率を調査 研究グループは、イングランドの成人におけるベイピングに関する詳細なデータを収集しているSmoking Toolkit Studyのデータを用いて、長期ベイピングの普及率の変化を調査した(Cancer Research UKの助成を受けた)。ベイピングは、充電式あるいは非充電式のデバイスで発生させた蒸気を吸入する行為で、この研究ではニコチン製品について調べた。 解析には、2013年10月~2023年10月において年齢18歳以上の17万9,725人(平均年齢47.9歳、男性48.9%)のデータを使用した。長期(6ヵ月超)のベイピングの普及率を、全体、ベイピングの頻度(毎日、非毎日)別、主に使用したデバイスの種類(使い捨て、詰め替え式、ポッド式)別に解析した。 「使い捨て」は、使い捨ての電子タバコまたはベイピングデバイス(非充電式)、「詰め替え式」は、ニコチンを含有する液体を補充するタンクを備えた電子タバコまたはベイピングデバイス(充電式)など、「ポッド式」は、液体を充填済みの交換可能なカートリッジを使用する電子タバコまたはベイピングデバイス(充電式)とした。毎日のベイピングが増加、喫煙歴ありだけでなく非喫煙者も 長期ベイピングを報告した成人の割合は、2013年10月の1.3%(95%信頼区間[CI]:1.1~1.5)から2023年10月の10.0%(9.2~10.9)へと非線形性に増加し、とくに2021年からの増加が顕著であった。 この増加には、長期の毎日のベイピングが寄与しており、2013年10月の0.6%(95%CI 0.5~0.8)から2023年10月には6.7%(6.0~7.4)へと増えていた。 また、長期ベイピングの増加は喫煙歴を有する人で大きかった。現喫煙者では、長期ベイピングの割合が2013年10月の4.8%(95%CI:4.0~5.8)から2023年10月には23.1%(20.4~25.9)へと増加し、直近1年以内に完全に禁煙した元喫煙者では5.7%(3.4~9.2)から36.1%(27.6~45.4)へ、1年以上前に完全に禁煙した元喫煙者では1.4%(1.0~1.9)から16.2%(14.2~18.4)へといずれも大幅に増えていた。 一方、非喫煙者でも、長期ベイピングの割合は0.1%(95%CI:0.0~0.2)から3.0%(2.3~3.8)へ増加したが、喫煙歴を有する人に比べその割合は小さかった。2021年3月以降「使い捨て」が急増、「詰め替え式」と同等に 年齢別の解析では、2023年10月の時点における全体の長期ベイピングの割合は高齢になるほど低く、65歳で4.3%(95%CI:3.6~5.2)であったのに対し、18歳は22.7%(19.2~26.5)であった。非喫煙者に限っても同様で、65歳で0.3%(0.1~0.6)であったのに比べ、18歳は16.1%(11.1~22.7)と高率だった。 また、2013年10月~2021年3月の期間に限ると、ほとんどの長期ベイピング者が主に詰め替え式の電子タバコ、あるいは詰め替え式電子タバコのみを使用しており(2.5~3.3%)、使い捨てデバイスの使用者は少数(0.1%)であった。 これに対し、2021年3月以降は使い捨てデバイスによる長期ベイピングの割合が急激に上昇し、2023年10月には、主に使い捨てデバイス、あるいは使い捨てデバイスのみを使用する集団の割合は4.9%(95%CI:4.2~5.7)、主に詰め替え式の電子タバコ、あるいは詰め替え式電子タバコのみを使用する集団の割合は4.6%(4.0~5.3)とほぼ同じになった。ポッド型デバイスを用いた長期ベイピングも増加したが、相対的にまれな状態にとどまった。 著者は、「使い捨て電子タバコは若年成人にとって魅力的で、長期ベイピングの増加に大きく寄与しているため、若年層への訴求力を低下させるための規制強化対策が緊急に必要なことが示唆されるが、禁煙補助用のデバイスとして電子タバコを使用する人々の意欲をそぐことになるため慎重な対応を要する」「使い捨て電子タバコは1回限りの使用で、再利用できない部品が多いため環境への影響が大きく、全面禁止を求める声が大きい。英国政府は最近、この方針に従う意向を表明した」と指摘している。

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第203回 新型コロナ感染者数が11週連続増加、厚労省が注意喚起/厚労省

<先週の動き>1.新型コロナ感染者数が11週連続増加、厚労省が注意喚起/厚労省2.日本人の平均寿命、3年ぶりにコロナ死者減少で延びる/厚労省3.脳死診断は脳死患者の3割、臓器提供の意思の尊重を/厚労省4.経口中絶薬の安全性を確認、使用条件の緩和を検討へ/厚労省5.国立大学病院、2023年度決算で60億円赤字で存続の危機/国立大学病院会議6.救急車の安易な利用を抑制、緊急性ない救急搬送に7,700円徴収へ/茨城県1.新型コロナ感染者数が11週連続増加、厚労省が注意喚起/厚労省厚生労働省は、7月26日に7月15~21日までの1週間における新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が全国で6万7,334人となり、11週連続で増加していると発表した。全国の定点医療機関当たりの患者報告数は13.62人で、前週から1.22倍に増加。とくに10歳未満の感染者数が最も多く、1医療機関当たり1.75人だった。都道府県別では、佐賀県が31.08人と最も多く、次いで宮崎県(29.72人)、鹿児島県(27.38人)となっている。感染者数が最も少なかったのは青森県(3.89人)、次いで北海道(5.34人)、山形県(6.16人)。全45都道府県で感染者数が増加しており、とくに九州地方での増加が前週に続き顕著だった。新規入院患者数も増加傾向で、21日までの1週間で3,827人となり、前週の3,083人から744人増加した。この数値は過去のピークを超えており、集中治療室(ICU)に入院した患者数も167人と、前週から54人増加していた。厚労省は、増加傾向が続いていることから、今後も感染者数が増える可能性が高いと警戒している。とくにお盆明けが感染拡大のピークになることが多いため、注意が必要とされ、感染対策として、室内の換気やマスクの着用、手洗いの徹底が呼びかけられている。感染症の専門家である東京医科大学の濱田 篤郎客員教授は、九州地方の患者数はピークを迎えつつあるが、本州ではさらに増加する可能性があると指摘している。また、受診控えにより実際の患者数は報告されている以上に多い可能性があるとして、高齢者を中心に早期受診を促している。厚労省は感染者数の増加を受け、治療薬と対症療法薬の安定供給に向けた措置を日本製薬団体連合会に要請した。とくに解熱剤や鎮痛薬、去痰薬の不足が懸念されており、需給状況に応じた適切な増産と早期納品が求められている。厚労省は、今後も感染者数の増加が見込まれる中で、感染拡大の防止に向けた対策を強化する方針であり、感染対策の徹底に加え、医療体制の強化と治療薬の安定供給に向けた取り組みが求められている。参考1)新型コロナ患者数 11週連続増加 “今後も増加か” 厚労省(NHK)2)全国コロナ感染者数、11週連続増 入院者数は昨冬・夏のピーク超え(朝日新聞)3)新型コロナ患者6万7千人、11週連続増加 10歳未満が最多(CB news)2.日本人の平均寿命、3年ぶりにコロナ死者減少で延びる/厚労省7月26日に厚生労働省は「簡易生命表」を公表した。これによると2023年の日本人の平均寿命は、女性87.14歳、男性81.09歳となり、いずれも3年ぶりに前年を上回った。前年度と比較して女性は0.05歳、男性は0.04歳延長していた。いずれも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者数が減少したことなどが影響したと考えられる。2023年のCOVID-19による死者数は3万8,080人で、前年から約1万人減少し、これが平均寿命の延びに寄与したと推定されている。また、がんによる死者数も減少し、2022年の38万5,797人から2023年は38万2,492人へと減少した。国際的な比較では、日本人女性の平均寿命は39年連続で世界1位を維持し、スイス(85.9歳)、フランス(85.75歳)が続く。男性では1位がスイス(82.3歳)、スウェーデン(81.58歳)、ノルウェー(81.39歳)、オーストラリア(81.22歳)と続き、前年の4位から5位に後退した。厚労省は「新型コロナが原因で亡くなる人が減少したことが、平均寿命の延びに寄与した。今後も高い保健水準を維持し、保健福祉の推進に全力を尽くす」としている。参考1)令和5年簡易生命表の概況(厚労省)2)日本人の平均寿命延びる 女性87.14歳 男性81.09歳 理由は…(NHK)3)平均寿命、3年ぶりに延びる 女性87.14歳、男性81.09歳に(朝日新聞)3.脳死診断は脳死患者の3割、臓器提供の意思の尊重を/厚労省厚生労働省は、厚生科学審議会 疾病対策部会臓器移植委員会を7月26日に開き、2022年度における脳死下での臓器提供の現状について、厚労省研究班の調査結果を明らかにした。これによると脳死の可能性がある患者のうち実際に「脳死とされうる状態」と診断されたのは約30%で、臓器提供の意思が尊重されるケースはさらに限られることが明らかになった。全国の医療機関に対する調査では、脳死の可能性がある患者は年間約4,400人と推計されたが、実際に脳死診断を受けたのは約1,300人、そのうち臓器提供の意思が確認されたのは25.2%に止まった。日本移植学会は、脳死者からの臓器移植手術を行う大学病院が人員や病床不足のために臓器受け入れを断念する問題に対し、「移植を待つ患者の権利を尊重し、確実に移植を実施できる医療体制の確立」を求める提言を策定した。同学会の調査では、昨年、東京大学、京都大学、東北大学の3大学病院で62件の臓器受け入れが断念されたことが判明した。厚生労働省の臓器移植に関する専門家委員会では、脳死下での臓器移植が実現されるためには、専門のコーディネーターや医療機関スタッフの不足が大きな課題となっていると指摘されたほか、臓器提供の意思が示されても、対応するための体制が整っていないため、多くのケースでその意思が尊重されない可能性があることが明らかになった。委員会では、移植の実施体制の見直しを進めるため、今年度中に具体的な方針をまとめる予定。参考1)今後の臓器移植医療のあり方について(厚労省)2)脳死診断は年間30% 臓器提供の意思確認が少ない背景には…(毎日新聞)3)脳死の臓器移植“提供側意思尊重されず”体制見直し方針策定へ(NHK)4)「確実な移植へ医療体制を確立」…大学病院の受け入れを断念問題で日本移植学会が提言(読売新聞)4.経口中絶薬の安全性を確認、使用条件の緩和を検討へ/厚労省2023年4月に承認された人工妊娠中絶用製剤「ミフェプリストン・ミソプロストール(商品名:メフィーゴパック、製造販売元:ラインファーマ)」が、承認から約半年間で少なくとも435例使用されたことが国の研究班の調査で明らかになった。この薬は妊娠9週までの人工妊娠中絶に用いられ、手術を必要とせず2種類の薬について時間を空けて服用することで中絶が完了する。調査によると、大きな合併症は報告されておらず、安全に使用されていることが確認された。調査は日本産婦人科医会の中井 章人副会長を中心に行われ、全国の2,000余りの医療機関から回答を得た。結果、昨年10月までの半年間に「メフィーゴパック」を使用したのは43施設で、症例数は435例。このうち396例は薬の服用のみで中絶が完了し、39例は追加の手術が必要だったが、重篤な合併症や他の医療機関への搬送はなかった。この調査結果を受け、厚生労働省は「メフィーゴパック」の使用条件を緩和する方針を明らかにした。現在は入院可能な医療機関でのみ使用が許可されているが、今後は無床診療所でも使用できるようにする。これには、緊急連絡体制の確保や医療機関との連携が条件となる。また、医療機関の近くに住む場合は帰宅も認められるが、中絶確認のために1週間以内に再来院が必要となる。調査では、手術よりも安全であることが示されており、無床診療所でも使用可能にすることで女性の選択肢が増えると期待される。厚労省では、この方針を軸に8月にも専門部会で要件の変更を議論する予定。参考1)経口中絶薬、無床診療所でも使用方針 実態調査で「重い合併症なし」(朝日新聞)2)“経口中絶薬” 承認から約半年 少なくとも435件使用 国が調査(NHK)3)人工妊娠中絶の飲み薬「メフィーゴパック」を無床診療所でも使用可能に…厚労省が見直し案(読売新聞)5.国立大学病院、2023年度決算で60億円赤字で存続の危機/国立大学病院長会議7月26日に国立大学病院長会議は、全国の42国立大学病院のうち約半数にあたる22病院が2023年度の経常損益で赤字となったことを明らかにした。全体でも約60億円の赤字となり、2004年の法人化以降初の赤字決算となった。赤字の主な原因は、人件費や医療費の増加、物価高騰、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連補助金の廃止などが挙げられる。病院全体の収益は2010年度以降増加し続け、2023年度も前年度比で184億円増の1兆5,657億円となった。しかし、働き方改革に伴う人件費や医薬品費、材料費の増加、COVID-19対策に関する補助金の廃止が影響し、収益は増えたものの利益が減少した。とくに光熱水費の増加が大きく、COVID-19拡大前の5年間と比較して約98億円の増加となった。国立大学病院長会議の大鳥 精司会長は、「病院の経常赤字は非常に大きく、危機的状況にある」と述べ、2024年度にはさらに赤字幅が拡大する見通しを示した。病院経営が困難な状況にある一因として、病院の収益の6割が大学全体の経営を支える構造にあるため、病院が経営破綻すると大学自体の存続に関わると強調した。これに対し、国立大学協会も国立大学の財務状況について「限界」とし、国民に理解を求める声明を発表している。声明では、運営費交付金の削減と物価高騰による実質的な予算減少が指摘された。大鳥会長は、病院を持つ国立大学に対する運営費交付金の増額を求めるなど、経営改善のための具体策を求めた。一方、一部で検討されている国立大学の授業料引き上げについては、「病院の赤字補填のためとしては合意が得られない」として否定的な見方を示した。参考1)国立大病院の半数が赤字 全体でも法人化後初の赤字 2023年度(毎日新聞)2)国立大学病院、23年度の経常損益60億円のマイナス 04年度の法人化後初の赤字 速報値(CB news)6.救急車の安易な利用を抑制、緊急性ない救急搬送に7,700円徴収へ/茨城県茨城県は、緊急性がないにもかかわらず救急車を利用した患者から「選定療養費」として7,700円以上を徴収することを12月1日から運用するという方針を発表した。これは全国で初めて都道府県単位で導入される取り組みで、救急車の適正な利用を促し、増加傾向にある救急車の出動件数を抑える狙いがある。茨城県内の救急車出動件数は、2023年に約14万件に達し、そのうち約6万件は入院を必要としない軽症者だった。県内23病院がこの徴収制度に前向きな姿勢を示しており、緊急性を判断する基準を作成し、制度の運用に備える。具体的な緊急性のない事例として「包丁で指先を切り、血がにじんだ」や「発熱、咽頭痛、頭痛の症状」などが挙げられている。記者会見で茨城県知事の大井川 和彦氏は、「救急車が無料のタクシー代わりになっている現状は憂慮すべきだ。本当に必要な人に救急医療が提供できるよう協力をお願いしたい」と述べた。また、医師の働き方改革や診療体制の縮小に伴う医療現場の負担軽減も理由に挙げられている。この取り組みは、救急車を無料のタクシー代わりに利用するケースを減らし、重症患者に対して迅速な救急医療を提供するためのものである。救急車の安易な利用を抑えるために、電話相談窓口の利用も呼びかけている。茨城県は、15歳以上は「#7119」、15歳未満は「#8000」の相談窓口を設け、救急車を呼ぶべきか判断に迷った際の支援を行う方針。茨城県のこの新しい取り組みは、救急医療の逼迫を抑え、医療資源の適正な配分を目指す重要な一歩となる。今後、他の都道府県でも同様の取り組みが広がることが予想される。参考1)救急搬送における選定療養費の取扱いについて(茨城県)2)緊急性ないのに救急車利用、患者から7,700円徴収 安易な利用減へ(朝日新聞)3)「救急車を無料タクシー代わり」撲滅へ 緊急性ない救急搬送は7,700円徴収…茨城県が12月運用目指す(東京新聞)4)緊急性認められない救急搬送、7,700円以上徴収へ 茨城(毎日新聞)

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認知症予防に有効な“4種の運動”の組み合わせ【外来で役立つ!認知症Topics】第19回

認知症に限らず、運動が心身の健康に良いとすることに反対する者はいないだろうと思っていた。ところが運動は良くないと言った人がいる。それは自動車王と言われるフォード自動車の創立者ヘンリー・フォードだ。彼は「君が健康なら運動する必要はない。君が病気なら運動などをしてはいけない」という有名な台詞を残している。さて1999年に、アーサー・F・クレーマーという学者が、Nature誌に1ページの記事で「早歩きのような有酸素運動が脳の健康に良い」という研究報告をした1)。これを端緒に、最近まで認知症予防の運動といえば有酸素運動という時代になった。ところが近年、米国スポーツ医学会からこれに関するパラダイムシフトがあった。それによれば、高齢者において有酸素運動のみではなく、レジスタンス運動(筋トレ)、また片足立ちのようなバランス運動の3つをやってこそ、運動の効果が生まれるとされる2)。レジスタンス運動といえば筋力をアップ、またバランス運動は認知機能への効果もさることながら高齢者に多い転倒予防にはとても大切だろう。また私自身はデュアルタスク運動も欠かせないと思う。エビデンスが確立した有酸素運動まず有酸素運動による前頭葉が関わる認知機能への効果は、この20年余りになされた多くの臨床研究から確立したものと考えていいだろう。レジスタンス運動は遂行機能に効果的レジスタンス運動とは、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動。たとえばスクワットや腕立て伏せ、ダンベル体操など。10~15回程度の回数を反復し、それを1~3セット無理のない範囲(2~3日に1回程度)で行うことが勧められる。というのは、これは標的筋肉に負荷を集中する運動なので、その筋肉に疲労が残るだけに、十分な回復期間が必要になるわけだ。その効果は筋力・筋の持久力アップから体幹支持筋強化まで及ぶ。また、メタアナリシスから認知機能、とくに遂行機能への効果があると報告されている3)。注意すべきは循環器系への配慮。有酸素運動では動脈硬化度が一時的に低下するのに対し、レジスタンス運動の後では動脈硬化度が60分間にわたって増加する。レジスタンス運動中の一過性の循環器応答として、血圧の著しい上昇が古くから知られている。バランス運動は転倒予防にも静岡社会健康医学大学院大学の田原 康玄氏らの研究によれば、片足で20秒以上体のバランスを保てない人は、それができる人に比べて大脳の小血管の傷害の危険性が高く、認知機能が低下しているという4)。田原氏は、片足立ちのバランスが悪い人は、これが大脳疾患や認知機能の低下を示唆しているものとして注意を払うべきだと言う。この研究参加者は、841人の女性と546人の男性(平均年齢67歳)。参加者は片足立ちの測定と共に大脳のMRIを撮像し、大脳の小血管の状態が調べられた。その結果、20秒以上片足立ちできない人は大脳の小血管傷害(ラクナ梗塞や微小血管からの出血)が多くみられた。この結果から、「加齢に伴い増加する微小血管の傷害は動脈の可塑性を阻害するため、脳血流に悪影響を及ぼす」と考えられている。それはさておき、高齢者の転倒による大腿骨頸部骨折の重要性は深く広まった。その予防法として、ヒッププロテクターは一時世界的に注目され、わが国では柔道の受け身が注目されたこともある。しかし、決め手となる予防法はまだないようだ。その点、バランス運動は決め手にならないまでも、転倒を減らしてくれるものと期待される。デュアルタスク運動で脳を活性化さて近年、臨床研究の蓄積からデュアルタスク運動が、認知機能が健全な人はもちろん、認知症予備軍の軽度認知障害(MCI)の人や認知症の人にも有効とされる。その効果として、認知機能の改善のみならず運動、日常生活動作、QOLの改善まで報告されている。認知への効果からみると、デュアルタスクをやる時に生じる「まごつき」がポイントだろう。「まごつき」とは、思うように指示を実行できない自分への気づきからくる「おかしい、こんなはずでは、…エエィ!」という焦りだろう。そこでトライアルを繰り返し、ようやく「やった!!」に至るまでに繰り返す心の状態が「まごつき」だ。この「まごつき」こそ、これまでは使われていなかった神経細胞や神経回路を新たに活性化させることが期待できる。デュアルタスクに際しては、まず課題に示された運動を真似しようと企画(計画)し、また、自分が動作にした時「これで本当にいいのか?」と管理・制御するはずだ。ここまでのプロセスには「作動記憶」が関与する。ここまでの過程で要となるのは注意の分割だ。さらにこうした課題を正しくやり続けるには、集中・注意の持続が欠かせない。以上の働きでは、前頭葉付近の構造、とくに背側前運動野や頭頂間溝などが重要とされる。前頭葉は脳の司令部ともいわれるが、これは側頭葉や頭頂葉など他の重要な働きをする脳部位に指令を出してくれる場所という意味だ。米国スポーツ学会の高齢者向けの運動ガイドライン2)では、有酸素運動、レジスタンス運動、バランス運動の3つに、デュアルタスクあるいは太極拳まで加えた多種類の運動をバランス良くやることで、体力・知力の維持・増強のみならず、転倒事故の予防にもつながる可能性を強調している。参考1)Kramer AF, et al. Ageing, fitness and neurocognitive function. Nature. 1999 Jul 29;400(6743):418-419.2)2018 Physical Activity Guidelines Advisory Committee. 2018 Physical Activity Guidelines Advisory Committee Scientific Report. Washington, DC: U.S. Department of Health and Human Services, 2018.3)Landrigan JF, et al. Lifting cognition: a meta-analysis of effects of resistance exercise on cognition. Psychol Res. 2020 Jul;84(5):1167-1183.4)Tabara Y, et al. Association of postural instability with asymptomatic cerebrovascular damage and cognitive decline: the Japan Shimanami health promoting program study. Stroke. 2015 Jan;46(1):16-22.

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