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米国頭痛学会声明、片頭痛に対するCGRP標的療法の位置付け

 これまで第1選択治療として考えられてきたすべての片頭痛の予防的治療は、他の適応症のために開発され、その後片頭痛予防にも採用されている。これらの治療法は、有効性および忍容性の問題によりアドヒアランス低下が懸念されていた。前臨床および臨床エビデンスよりカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が片頭痛発症に重要な役割を果たしていることが示唆され、いくつかの片頭痛特異的な治療法が開発された。これらのCGRPをターゲットとした治療法は、片頭痛のマネジメントに革新的な影響を及ぼしたものの、第1選択治療として広く普及しているとはいえない。米国・UCLA Goldberg Migraine ProgramのAndrew C. Charles氏らは、米国頭痛学会から表明された片頭痛予防に対するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)をターゲットとした治療法に関する最新情報を報告した。Headache誌オンライン版2024年3月11日号の報告。 主要および副次的エンドポイントを含む片頭痛予防に関するランダム化プラセボ対照臨床試験、事後分析、オープンラベル拡張試験、プロスペクティブおよびレトロスペクティブ観察研究を、さまざまなデータベース(PubMed、Google Scholar、ClinicalTrials.govなど)より検索した。研究結果や結果に基づく結論は、臨床試験との一貫性を確認し、コンセンサスを得るため米国頭痛学会の理事会により検討、議論を行った。 主な結果は以下のとおり。・CGRPをターゲットとした片頭痛に対する予防的治療(モノクローナル抗体:エレヌマブ、フレマネズマブ、ガルカネズマブ、eptinezumab、ゲパント系:rimegepant、atogepant)の有効性、忍容性、安全性に関するエビデンスは十分であり、他の予防的治療アプローチのエビデンスを大きく上回っていた。・これらのエビデンスは、CGRPをターゲットとした各治療薬全体で一貫しており、さまざまなリアルワールドの臨床経験により裏付けられている。・これらのデータでは、CGRPをターゲットとした治療の有効性および忍容性は、これまでの第1選択治療と同等以上であり、関連する重篤な有害事象はまれであることが示唆されている。 著者らは「CGRPをターゲットとした片頭痛の予防的治療は、他の治療法で効果不十分な場合にとどまらず、第1選択治療として考慮されるべきである」としている。

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市中肺炎、12%が「不適切な診断」

 市中肺炎は一般的な疾患だが、診断の正確性とそれに関連する有害性についてはあまり知られていない。米国ミシガン大学・アナーバー校のAshwin B. Gupta氏らは市中肺炎の不適切な診断の特徴を明らかにすることを目的に、前向きコホート研究を行った。この結果はJAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年3月25日号に掲載された。 ミシガン州の48の病院で、市中肺炎を理由に入院し、入院1日目または2日目に抗菌薬投与を受けた成人患者を対象とした。調査は2017年7月1日~2020年3月31日にカルテレビューおよび患者への電話連絡で実施され、データ解析は2023年2~12月に行われた。 不適切な診断は、市中肺炎の徴候または症状が2つ未満または胸部画像検査が陰性の患者への抗菌薬投与と定義した。不適切な診断のリスク因子を評価し、不適切な診断とされた患者については30日間の複合アウトカム(死亡率、再入院、救急外来受診、C. difficile感染、および抗菌薬関連有害事象)を記録した。交絡因子および治療傾向を調整し、抗菌薬の完全投与(3日超)と短期投与(3日以下)に層別化して評価した。 主な結果は以下のとおり。・市中肺炎の治療を受けた入院患者1万7,290例のうち、不適切な診断の基準を満たしたのは2,079例(12.0%)だった。2,079例の年齢中央値は71.8(IQR:60.1~82.8)歳、女性が1,045例(50.3%)で、このうち1,821例(87.6%)が抗菌薬の完全投与を受けた。・患者全般と比較して、不適切な診断を受けた患者は高齢であり(10年当たりの調整オッズ比[AOR]:1.08、95%信頼区間[CI]:1.05~1.11)、認知症(AOR:1.79、95%CI:1.55~2.08)、または来院時の精神状態の変化(AOR:1.75、95%CI:1.39~2.19)を有する可能性が高かった。・不適切な診断を受けた患者において、抗菌薬の完全投与と短期投与の30日複合アウトカムに差はなかった(25.8% vs.25.6%、AOR:0.98、95%CI:0.79~1.23)ものの、完全投与は抗菌薬の有害事象リスクと関連していた(31/1,821例[2.1%] vs.1/258例[0.4%]、p=0.03)。 研究者らは「このコホート研究において、市中肺炎で入院した患者では、高齢、認知症、精神状態に変化がみられた患者では不適切な診断のリスクが高く、不適切な診断がされた患者は抗菌薬の投与が長期になり、それが抗菌薬の有害事象と関連することが示唆された」とした。

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ペムブロリズマブ+化学療法の進行・再発子宮体がんに対するOS(NRG GY018)/SGO2024

 化学療法・ペムブロリズマブ併用は、ミスマッチ修復機能(MMR)状況にかかわらず、未治療の進行・再発子宮体がんの全生存期間(OS)を改善する傾向を示した。 進行・再発子宮体がんを対象とした第III相無作為化プラセボ対照NRG GY018試験において、ペムブロリズマブ+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)とペムブロリズマブのシークエンス治療は、MMR状況を問わず主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した1)。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRamez Eskander氏は、米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)で、NRG GY018試験の副次評価項目の結果(中間解析1)を発表した。・対象:未治療の再発または進行子宮体がん・試験群:ペムブロリズマブ+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル) 3週ごと6サイクル→ペムブロリズマブ 6週ごと14サイクルまで(Pembro+CT群)・対照群:プラセボ+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル) 3週ごと6サイクル→プラセボ 6週ごと14サイクルまで(CT群)・評価項目[主要評価項目]治験担当医評価のPFS[副次評価項目]MMR欠損(pMMR)およびMMR正常(dMMR)集団のOS、pMMR およびdMMR集団のPD-L1発現状況、pMMRおよびdMMR集団におけるPD-L1発現状況による治験担当医評価のPFS、MMRステータス別の盲検下独立中央判定(BICR)と治験担当医評価の結果比較 主な結果は以下のとおり。[MMR状況別の結果]・pMMR集団のOS中央値は試験完了度(information fraction)27.2%の時点で、Pembro+CT群27.96ヵ月、CT群27.37ヵ月と、Pembro+CT群で良好な傾向であった(ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.53~1.17、p=0.1157)・dMMR集団のOS中央値はinformation fraction18.0%の時点で、Pembro+CT群、CT群とも未到達だったが、Pembro+CT群で良好な傾向であった(HR:0.55、95%CI:0.25~1.19、p=0.0617)[PD-L1発現別の結果]・pMMR、dMMR集団ともにPD-L1陽性(CPS≧1)患者が7割以上(71〜87%)を占めていた。・pMMR集団におけるPFSのHRはPD-L1≧1%患者群で0.59(95%CI:0.43~0.80)、PD-L1<1%患者群では0.44(95%CI:0.26~0.75)と、PD-L1発現レベルを問わずPembro+CT群で良好な傾向を示した。・dMMR集団におけるPFSのHRはPD-L1≧1%患者群で0.27(95%CI:0.16~0.47)、PD-L1<1%患者群では0.30(95%CI:0.11~0.83)と、PD-L1発現レベルを問わずPembro+CT群で良好な傾向を示した。 対照となるCT群における後治療の免疫療法の割合が高かった(45~55%)にもかかわらず、Pembro+CT群はOSの改善傾向を示唆した。Eskander氏は、これらの結果は化学療法へのペムブロリズマブの追加を、MMR状態に関係なく進行・再発子宮体がんの1次治療として支持するものだとしている。

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ジャディアンス、CKD適応追加の意義/ベーリンガーインゲルハイム・リリー

 SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)に、2024年2月、慢性腎臓病(CKD)の適応が追加された。この適応追加に関連して日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーは、3月29日に都内でプレスセミナーを共同開催した。セミナーでは、CKDの概要、エンパグリフロジンのCKDに対するEMPA-KIDNEY試験の結果などについて講演が行われた。CKDの早期発見、早期介入で透析を回避 はじめに「慢性腎臓病のアンメットニーズと最新治療」をテーマに岡田 浩一氏(埼玉医科大学医学部腎臓内科 教授)が講演を行った。 腎炎、糖尿病、高血圧、加齢など腎疾患の原因はさまざまあるが、終末期では末期腎不全となり透析へと進展する。この腎臓疾患の原因となる病気の発症から終末期までを含めてCKDとするが、CKDの診療には次の定義がある。(1)尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか(とくに蛋白尿)(2)GFR<60mL/分/1.73m2(1)、(2)のいずれか、または両方が3ヵ月以上持続した場合にCKDと診断 また、重症度分類として18区分でヒートマップ化したものがあり、個々の患者の病態に応じ早期に治療介入することが必要だという。 最近の研究では、心血管死へのCKDの影響も解明されつつあり、厚生労働省の調査班の研究では、喫煙、糖尿病、高血圧、CKDが心血管死の主要因子とされ、とくにCKDの頻度は高血圧44.3%に次いで高く20.4%、人口寄与危険割合も高血圧26.5%に次いで10.4%と2番目に高いリスクであると説明した。また、わが国のCKD患者は、2005年時に推定1,328万人から2015年には推定1,480万人に増加しており、そのうち2022年時点で透析患者は約35万人、年間で約1.63兆円の医療費が推計されている。この対策に厚生労働省は、腎疾患対策検討会などを設置し、「2028年までに新規透析導入患者数を3万5千人以下に減少させる(10年で10%以上減少)」などの目標を示し、さまざまな調査と対策を打ち出している。 CKDの治療では、減塩や蛋白質制限などの食事療法、禁煙などの生活習慣改善のほか、RA系阻害薬を中心とした降圧療法、スタチンを用いた脂質異常症の治療など個々の患者の病態に合わせた多彩な治療が行われている。先述の対策委員会の中間報告では、診療ガイドラインの推奨6項目以上を達成すると予後が良好となりCKDの進展抑制が可能との報告もあり、「個別治療を1つでも多く達成することが重要」と岡田氏は指摘する。また、CKD患者への集学的治療は、患者のeGFRの低下を有意に遅らせる可能性があり、初期段階を含めて原疾患に関係なく有効である可能性があると示唆され、とくにステージ3〜5の患者には集学的治療が推奨されるという研究結果も説明した1)。 今後の課題として、わが国の新規透析導入患者は、2020年をピークに減少傾向にあるが、高齢男性では依然として増加傾向にあること、主な透析導入の原因として、第1位に糖尿病、第2位に高血圧・加齢、第3位に慢性腎炎が報告されている(日本透析医学会「わが国の慢性透療法の現況」[2022年12月31日現在])ことに触れ、第3位の慢性腎炎の疾患の1つである腎硬化症に焦点を当て解説を行った。腎硬化症は、蛋白尿を伴わず、進行も遅いためになかなか治療対象として認知されておらず、また、現在は根治療法がなく、診療エビデンスも少ないと今後解決すべきアンメットニーズであると説明した。 岡田氏は最後に「CKDは早期発見と介入が何よりも重要であり、eGFR>30である間に、かかりつけ医から専門医への紹介を推進することが大切」と語り講演を終えた。ジャディアンスがCKD患者の心血管死リスクを低下させる 次に「慢性腎臓病に対する新しい治療選択肢としてジャディアンスが登場した意義」をテーマに門脇 孝氏(虎の門病院 院長)が、エンパグリフロジンのCKDへの適応追加の意義や臨床試験の内容について説明を行った。 糖尿病などの代謝性疾患、心血管疾患、CKDは相互に関連し、どこか1つのサイクルが壊れただけでも負のスパイラルとなり、身体にさまざまな障害を引き起こすことが知られている。 2014年に糖尿病治療薬として承認されたSGLT2阻害薬エンパグリフロジンは、当初から心臓、腎臓への保護作用の可能性が期待され、2021年には慢性腎不全に追加承認が、本年にはCKDへ追加承認がされた。その追加承認のベースとなった臨床試験がEMPA-KIDNEY試験である。 EMPA-KIDNEY試験は、8ヵ国で行われた第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験で、目的は「CKD患者にエンパグリフロジンが腎疾患の進行または心血管死のリスクを減少させるかを検討すること」、対象範囲は糖尿病ではない患者、低蛋白尿を呈する患者を含む、腎疾患進行リスクを有する幅広いCKD患者である。 SGLT2阻害薬エンパグリフロジンのCKDへの追加承認のベースとなったEMPA-KIDNEY試験の概要は以下の通り。〔試験デザインとアウトカムなど〕・腎疾患進行リスクのあるCKD患者6,609例(うち9%が日本人)を、エンパグリフロジン10mg/日+標準治療(3,304例)とプラセボ+標準治療(3,305例)に割り付けた。・主要評価項目:心血管死または腎疾患の進行・副次評価項目:心不全による初回入院または心血管死までの期間など・患者背景は糖尿病患者と非糖尿病患者が半々だった。・eGFR<30mL/分/1.73m2の低下例も組み入れたほか、微量アルブミン尿患者も組み入れた。〔主な結果〕・主要評価項目では2.5年の追跡期間で腎臓病進行または心血管死の初回発現について、エンパグリフロジン群で432例(13.1%)、プラセボ群で558例(16.9%)だった(ハザード比:0.72、95%信頼区間:0.64~0.82、p<0.001)ことから初回発現までの期間が有意に抑制された2)。・ベースラインから最終フォローアップ来院までの全期間のeGFRスロープ(年間変化率)は、プラセボ群の-2.92に対してエンパグリフロジン群が-2.16で、その差は0.75だった。・2ヵ月目の来院から最終フォローアップ来院までの慢性期のeGFRスロープは、プラセボ群の-2.75に対してエンパグリフロジン群が-1.37で、その差は1.37だった。・安全性については、有害事象発現率はエンパグリフロジン群で43.9%、プラセボ群で46.1%であり、エンパグリフロジン群では骨折、急性腎障害、高カリウム血症などが報告されたが重篤なものはなかった。 門脇氏は、本試験の特徴について、「蛋白尿が正常な患者を初めて組み入れたCKDを対象としたSGLT2阻害薬の臨床試験であること」、「幅広いeGFR値のCKD患者に対し、糖尿病罹患の有無にかかわらず、腎疾患の進行または心血管死の発現リスクの有意な低下を示したこと」、「有害事象発現率がプラセボよりも低かった」とまとめ、レクチャーを終えた。 今後、微量アルブミン尿患者などを含め、ジャディアンスが幅広く使用される可能性があり、CKDへの有効な治療手段となることが期待されている。

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3つのプロゲストーゲン、髄膜腫の新たなリスク因子に/BMJ

 高用量プロゲストーゲン(nomegestrol acetate、クロルマジノン、cyproterone acetate)は、頭蓋内髄膜腫のリスク因子として知られているが、他の多くのプロゲストーゲンのリスクの評価はなされていなかった。French National HealthのNoemie Roland氏らは、今回、新たにmedrogestone、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル、promegestoneの長期使用が髄膜腫の過剰なリスクと関連し、プロゲステロン、ジドロゲステロン、子宮内レボノルゲストレル放出システムにはリスクの上昇はみられず安全であることを示した。研究の成果は、BMJ誌2024年3月27日号に掲載された。フランス在住女性の症例対照研究 研究グループは、フランスにおける8種のプロゲストーゲンの使用に関連した頭蓋内髄膜腫のリスクを評価する目的で、全国的な症例対照研究を行った(French National Health Insurance Fund[Cnam]などの助成を受けた)。 症例は、2009年1月1日~2018年12月31日に髄膜腫に対する頭蓋内手術を受けたフランス在住の女性1万8,061例であった。各症例と出生年および居住地域をマッチさせた女性5例ずつを対照とした(合計9万305例)。 全体の平均年齢は57.6(SD 12.8)歳、最も多い年齢層は45~54歳(26.7%)で、次いで55~64歳(26.4%)、65~74歳(21.5%)の順であった。短期使用では差がない medrogestone(5mg、経口薬)の現使用者は、非使用者に比べ髄膜腫の発生率が高かった(症例群0.2% vs.対照群0.1%、オッズ比[OR]:3.49、95%信頼区間[CI]:2.38~5.10)。また、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル(150mg、注射薬)(0.05% vs.0.01%、5.55、2.27~13.56)、およびpromegestone(0.125/0.5mg、経口薬)(0.5% vs.0.2%、2.39、1.85~3.09)の現使用者も、髄膜腫のリスクが増加していた。 これら3剤による髄膜腫のリスク上昇は、いずれも長期(1年以上)の使用によるものであり、短期使用では両群に差を認めなかった。 一方、プロゲステロン(皮下)(症例群0.5% vs.対照群0.6%、OR:1.11、95%CI:0.89~1.40)、ジドロゲステロン(0.9% vs.1.1%、0.96、0.81~1.14)、子宮内レボノルゲストレル放出システム(52mg:3.7% vs.5.1%[OR:0.94、95%CI:0.86~1.04]、13.5mg:0.2% vs.0.2%[1.39、0.70~2.77])の3剤については、髄膜腫のリスク上昇はないことを確認した。陽性対照の3剤は高度なリスク上昇 ジエノゲストとヒドロキシプロゲステロンは、これらの投与を受けた人数が少なかったため、結論は得られなかった。 陽性対照としたcyproterone acetate(症例群4.9% vs.対照群 0.3%、OR:19.21、95%CI:16.61~22.22)、nomegestrol acetate(5.1% vs.1.2%、4.93、4.50~5.41)、酢酸クロルマジノン(3.5% vs.1.0%、3.87、3.48~4.30)は、いずれも髄膜腫の高度なリスク上昇を示した。 著者は、「とくに、広く使用されている避妊薬であるメドロキシプロゲステロン酢酸エステル注射薬の使用に関連したリスクの増加と、子宮内レボノルゲストレル放出システムの安全性を確認したことは、重要な新知見である」としている。

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症候性大動脈弁逆流症に対するTAVI、新たなデバイスが有望/Lancet

 高リスクの症候性大動脈弁逆流を呈する患者に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)において、大動脈弁逆流に関するTAVIの課題に対処するために特別に設計されたトリロジー経カテーテル心臓弁(JenaValve Trilogy heart valve system、米国・JenaValve Technology製)は、大動脈弁逆流の改善に有効で、合併症も少なく、1年後の全死因死亡率が良好であることが、米国・コロンビア大学アービング医療センターのTorsten P. Vahl氏らが実施した「ALIGN-AR試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年3月26日号で報告された。米国20施設の前向き単群試験 ALIGN-AR試験は、米国の20施設で実施した前向き多施設共同単群試験であり、2018年6月~2022年8月に参加者のスクリーニングを行った(米国・JenaValve Technologyの助成を受けた)。 年齢18歳以上、中等度~高度または高度の大動脈弁逆流症を呈し、外科的大動脈弁置換術で死亡または合併症の発生の可能性が高いと考えられる高リスクの患者180例(平均年齢75.5[SD 10.8]歳、女性47%)を登録し、経大腿アプローチによるトリロジー経カテーテル心臓弁の留置術を行った。 安全性の主要複合エンドポイント(30日後の全死因死亡、あらゆる脳卒中、大出血、急性腎障害[ステージ2~3]、大血管合併症、デバイス関連の手術または介入、新規のペースメーカー植込み術など)は、事前に規定された達成目標40.5%に対する非劣性とした。有効性の主要エンドポイントは1年後の全死因死亡で、達成目標を25%として非劣性を評価した。2つの主要エンドポイントの双方を達成 171例(95%)で技術的成功を達成した。30日後までに、4例(2%)が死亡し、2例(1%)で後遺障害を伴う脳卒中が、2例(1%)で後遺障害を伴わない脳卒中が発生した。 Valve Academic Research Consortium-2の標準的な定義を用いると、安全性に関するイベントは48例(27%、97.5%信頼区間[CI]:19.2~34.0)で発生し、安全性の主要複合エンドポイントを達成した(非劣性のp<0.0001)。新規ペースメーカー植込み術は、すでに装着済みの30例を除く150例中36例(24%)に行った。 1年後までに死亡したのは180例中14例(7.8%、97.5%CI:3.3~12.3)であり、有効性の主要エンドポイントを達成した(非劣性のp<0.0001)。KCCQ、6分間歩行試験も改善 30日後のNYHA心機能分類クラス別の患者数は、180例中クラスIが91例(51%)、クラスIIが62例(34%)、クラスIIIが17例(9%)であり、1年後はクラスIが90例(50%)、クラスIIが48例(27%)だった。125例(83%)が、少なくとも1段階の改善を達成した。 カンザスシティ心筋症質問票(KCCQ)の総合要約スコアの平均値は、ベースラインの55.3点から1年後には77.6点に改善した(p<0.0001)。また、6分間歩行試験の距離は、ベースラインの262.7mから、6ヵ月後には308.1m、1年後には312.5mへと改善し(p=0.004)、1年後の時点で62例(48%)が15m以上の延長を達成した。 著者は、「経大腿TAVIは大動脈弁狭窄症の確立された治療法であるが、大動脈弁逆流症に対する既存の経カテーテル心臓弁デバイスの使用は、大動脈弁輪部への弁の固定や人工弁周囲逆流との関連で困難である。今回使用した新たな経カテーテル心臓弁は、これらの解剖学的課題をほぼ克服できることが示された」としている。

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高齢入院患者のせん妄、認知症リスクが増加/BMJ

 認知症がなく、せん妄のエピソードを少なくとも1回経験している65歳以上の入院患者が初発の認知症の診断を受けるリスクは、せん妄のない患者のほぼ3倍に達し、せん妄のエピソードが1回増えるごとにリスクが20%増加することが、オーストラリア・クイーンズランド大学のEmily H. Gordon氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年3月27日号で報告された。ニューサウスウェールズ州の後ろ向きコホート研究 研究グループは、認知症のない高齢患者におけるせん妄と認知症発症との関連を評価する目的で、後ろ向きコホート研究を行った(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]の助成を受けた)。 2001年7月~2020年3月に、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の公立・私立病院に入院した65歳以上の患者のデータを収集した。ベースラインで認知症の患者は除外。個人的特性と臨床的特性をマッチングすることで、せん妄ありとなしの患者の組み合わせを決定し、5年以上追跡した。 主要アウトカムは、せん妄と死亡、およびせん妄と認知症発症との関連とし、せん妄とアウトカムの用量反応関係を定量化した。せん妄による認知症リスクは男性のほうが高い マッチングを行った5万5,211組(11万422例、平均年齢83.4[SD 6.5]歳、男性48%)を解析の対象とした。63ヵ月(5.25年)の追跡期間中に、58%(6万3,929例)が死亡し、17%(1万9,117例)が新たに認知症と診断された。 せん妄のない患者と比較して、せん妄を有する患者は、死亡リスクが高く(ハザード比[HR]:1.39、95%信頼区間[CI]:1.37~1.41)、初発の認知症のリスクも顕著に高かった(部分分布のHR:3.00、95%CI:2.91~3.10)。 また、せん妄と認知症との関連は、女性よりも男性で強力であった(部分分布のHR:男性3.17、女性2.88、p=0.004)。せん妄の予防、治療で、認知症の疾病負担軽減の可能性 せん妄のエピソードが1回増えるごとに、死亡のリスクが10%増加し(HR:1.10、95%CI:1.09~1.12)、認知症のリスクは20%増加した(部分分布のHR:1.20、95%CI:1.18~1.23)。 著者は、「これらのデータは、せん妄が認知症の原因となり得ることを示している」と述べ、「認知症の潜在的な修正可能なリスク因子として、せん妄の臨床的な意義は大きい。せん妄の予防と治療は、認知症の世界的な疾病負担を軽減する可能性がある」としている。

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任天堂リングフィットと理学療法の組み合わせが有効?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第254回

任天堂リングフィットと理学療法の組み合わせが有効?新垣 結衣さんがCMをしている任天堂「リングフィット アドベンチャー」。あれって結構健康にいいんだろうな、と思っていたのですが、結局買わずじまいで今に至ります。理学療法にこのリングフィットを組み合わせるとよいのでは、という研究結果が出ました。Takei K, et al. Acceptability of Physical Therapy Combined with Nintendo Ring Fit Adventure Exergame for Geriatric Hospitalized Patients.Games Health J. 2024 Feb;13(1):33-39.Games for Health Journal誌というのは、その名のとおり健康とゲームに関する医学雑誌です。あまり知られていないかもしれませんが、インパクトファクターは3.5もあります。すごい。この研究は、従来の理学療法がやや単調であることを指摘したうえで、そこにゲーム要素を取り入れることで、リハビリのアドヒアランスを高められるのではないかという仮説を検証するために立案されました。選ばれたゲームは任天堂リングフィット アドベンチャーです。このゲーム、ガチでやると昔流行ったビリーズブートキャンプくらいしんどいらしいです。このことを知り合いに話すと、ビリーズブートキャンプ、令和版になって現在カムバックしているらしいですよ、とコメントをいただきました。そうなんですか、知りませんでした。さて、研究の対象となったのは30人の高齢入院患者さんです。1日目にリングフィット+通常の理学療法、2日目に通常の理学療法のみを受けました。自覚的運動強度(Borgスケールなど)だけでなく、楽しさや継続意欲などもアンケートで調査されました。その結果、自覚的運動強度と楽しさの感覚は、リングフィット+通常の理学療法のほうがやや高いという結果になりました。ただし、統計学的には何ともいえない水準で、もう少し規模を大きくして検討する必要があるかもしれません。

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第205回 紅麴サプリ、小林製薬に問われた2つの論点(前編)

4時間31分。長丁場が予想されたとはいえ、これだけの時間を費やした記者会見は久しぶりだった。3月29日に大阪市で行われた紅麹サプリ問題に関する小林製薬の記者会見のことである。改めて今回の顛末を振り返っておきたい。ことが表面化したのは3月22日。小林製薬が同社の機能性表示食品『紅麹コレステヘルプ』を摂取した人で腎障害などが発生し、同製品と使用している紅麹原料の分析から一部に意図しない成分が含まれている可能性が判明したと公表。同社の紅麹関連製品の使用中止を呼びかけ、製品の自主回収も表明した。同時点で発表された健康被害が疑わしい事例は、入院6例(うち5例は退院)、通院7例だったが、3月25日までに入院は26例に増加。翌3月26日には摂取との因果関係が疑われる死亡者1例がいたことが公表され、事態は一気に深刻化した。3月27日には生前に紅麹コレステヘルプを摂取していた死亡者2例が追加で報告された。同日、同業者から「明後日(29日)、小林製薬が大阪でこの件の記者会見を開くらしい」との情報が飛び込んで来た。私は「さて、どうしよう?」とやや考え込んでしまった。29日は2ヵ月前から参加を予定していた午後7時スタートの講演会が東京駅近くで開催される。経験上、午後4時過ぎに終了すれば、なんとか間に合う。小林製薬は上場企業であるため、午前の会見はないだろう。内容次第で午後の株価が大荒れ模様になるからだ。現在はテレビ各社が会見をネットでリアルタイム配信する時代なので、市場が閉まる午後3時スタートが有力と予想し、オンラインとのハイブリッド会見ならば、オンラインで参加しようと半ば決めていた。翌28日、小林製薬の会見開催情報が確実に流れるであろう大手メディアの記者と専門紙記者の2人に会見情報が入ったら教えて欲しいと伝えると、そのうち1人からは午後2時過ぎに「大阪市内で午後だけは確か」と教えられた。午後5時過ぎ、「午後2時」の一報が大手メディア記者から入り、間髪置かずに専門紙記者からも同じ情報が入った。ここから30分以内に情報提供をお願いしていなかった記者2人からも同じ情報が入ってきた。ありがたいことである。結局、予定していた講演会の演者の話は後日どこかで聞ける可能性は十分あるが、小林製薬のこの会見はこの日しかないと思い、某旅行サイトのホームページ(HP)で大阪市内のホテルを探し始めた。しかし、同日夜の大阪市中心部のホテルは、最安値で1万1,000円超。何度もHPをリロードしていると、突如6,000円台のホテルが表示された。即時に予約し、荷物をまとめて本来翌日するはずだった雑事を済ませて東京駅に向かい、新大阪行きの新幹線に飛び乗った。大阪市内のホテルに到着したのは日をまたいだ午前0時過ぎだった。新幹線内で今回の件に関する資料を大量に読んでいたせいか、ホテルに着くなり睡魔に襲われ、服を着たままベッドの上で眠りこけてしまった。目を覚ましたのは午前6時過ぎ。急いで入浴し、コーヒーを何杯も飲みながら午前11時のチェックアウトまで再び資料に目を通し、質問項目を練った。チェックアウト後、早めに大盛りの昼食。体重管理が日常化したここ数年、大盛りの外食は極力避けていたが、長丁場が予想されたための選択だった。29日、記者会見当日。会見場所のJR大阪駅近くの貸会議室のあるビルには午後1時10分頃に到着したが、すでにエントランスはベルトパーテーションが設置され、テレビカメラが参集していた。誘導している小林製薬社員に会見参加のために来場したことを告げると、「23」という印字された整理券を渡された。開始前にこの順でエレベーターに案内するという。そこで手持ち無沙汰にしていると、顔見知りのあるメディアの若い女性記者が「知っている人がいた」と駆け寄ってきた。どうやら還暦が見え始めているオジサン記者の私は、薬局前のオレンジのゾウさん「サトちゃん」のような役回りらしい(笑)。この女性記者が「お昼、食べそこなったんですよね」とぼやくので、「長丁場だろうから食べておいたほうが良いよ。そこにコンビニあったでしょう」と伝え、私は彼女の荷物番となった。いざ会見へ午後1時40分過ぎ、小林製薬社員による会場への誘導が始まった。会場内に入った時点で、小林製薬社長の小林 章浩氏を含む幹部4人が着席予定のテーブル前の記者席は埋まっていたため、私は司会者ボックス前の最前列に陣取った。机の上には資料が2枚。1枚は現在同社HPにも掲載されている「紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ(第6報)」。もう1枚は「参考資料」と題するものだったが、それを確認する前に社員が一斉に資料を差し替えるとして回収し始めた。改めて差し替えられた資料を見ると、3月28日午後10時現在の健康被害状況として死亡者5人、入院者114人と記載されていた。また、同資料にはお客様からのお問い合わせ対応(一次対応)状況として、3月28日時点で電話回線数110回線、応答率約30%であり、4月4日以降は280回線、応答率50~80%の見込みとなっていた。間もなく小林氏、渡邊 純氏(執行役員/信頼性保証本部 本部長)、山下 健司氏(執行役員/製造本部 本部長)、梶田 恵介氏(ヘルスケア事業部食品カテゴリー カテゴリー長)が会場に入り、一斉にひな壇に並んだ。冒頭には小林氏からあいさつがあった。長くなるがあえて全文を再現する。皆さま、本日は先週に引き続きまして、お忙しい中、記者会見にお越しをいただきまして本当に申し訳ございません。現在、当社が製造いたします紅麹を摂取することによる腎疾患等の発生問題によりまして、非常に多くの皆さまにご心痛、ご不安をおかけしており、今回の件が社会問題にまで発展しておりますことを深くお詫び申し上げます。国内外で弊社製品をご使用のお客様、弊社の原料を使用いただき製造販売されていらっしゃいます皆さま、それをお使いになっていらっしゃいます皆さま、弊社が問題を起こしてしまいました紅麹に携わるすべての皆さま、健康食品を含む飲食物を製造販売されていらっしゃる皆さま、そして日々の診療・治療にあたってくださっていらっしゃいます医療機関の皆さま、本件について相談に乗っていただき、ご指導いただいております官公庁・自治体の皆さま、それぞれに対し、言葉に尽くせない大変なご迷惑をおかけしております。まずはお亡くなりになりましたお客さまのご冥福をお祈りし、ご遺族の皆さまに心からお悔やみを申し上げます。また、現在も入院中・治療中の方が数多くいらっしゃることも承知しております。一刻も早いご回復をお祈りしております。この度は国内外の大切なお客様やお取引先さまに多大なるご迷惑をおかけいたしました。加えて、弊社を取り巻くすべての皆さまに多大なる不安・恐れを与えまして、大変な思いをさせてしまったことと、深刻な社会問題にまで、招いてしまったことにつきまして、改めて深くお詫びを申し上げます。また、本件の公表が先週3月22日となってしまったことにつきまして、厳しいご批判、ご指摘をいただいております。これらを真摯に受け止め、深く反省しております。現在、私どもには日々多くの問い合わせやお叱りのお声を頂戴しております。弊社は今後も入院中、治療中の方をはじめ、お客さまや関係するすべての皆さまへ丁寧な対応を続けてまいります。加えて今回の事態の全容の解明、これ以上の被害の拡大防止と原因の究明、お客さまへの丁寧な説明と補償を含めた真摯な対応、品質管理体制はもちろん、危機管理体制の改善、それらに社を挙げて、また外部の専門家の知見にもしっかり耳を傾けながら、全身全霊取り組んで参ります。この度は本当に申し訳ございませんでした。小林氏のこのあいさつ後、4氏は深々と頭を下げた。続いて渡邊氏より配布されていた参考資料の説明があり、今後の原因究明について、政府、厚生労働省や国の研究機関も主導的に関わっていく旨も説明された。ここから質疑に移ったが、司会者から本日はすべての質問に対応すると告げられた。やはり長丁場は必至だ。当初から私は記者の質問はほぼ2点に集約されると予想していた。1つはこの時点でまだ公表されていなかった「意図しない成分」の正体、もう1つはこの間の小林製薬側の対応の“遅れ”についてだ。後者はやや解説が必要だ。まず、小林製薬側の発表に沿って今回の事態のタイムラインをまとめてみる。小林製薬、発表までのタイムラインまず、今回の紅麹サプリを摂取中に腎障害を起こしたとする1例目の報告が医師から小林製薬に届いたのが1月15日。1月31日には摂取者本人、2月1日には1人の医師から同時に3例が同社に報告された。その後、2月6日に渡邊氏が社長の小林氏にこの件を報告。同社に報告した医師からは紅麹から産生される可能性があるマイコトキシンの1種・シトリニンを疑う指摘があったが、同月16日には紅麹原料全ロットの分析結果からシトリニンが検出されなかったことが判明した。その後、同社では届け出た医師との面談や有識者との協議、度重なる経営執行会議の開催などを行いながら、研究部門、安全管理部門で調査を進め、3月16日に一部の紅麹原料と製品から未知の物質の存在を示唆する結果を得て、3月22日に開いた記者会見でこの問題を公表した。原因の可能性が高い物質が特定されたのが3月16日であることを考えれば、3月22日の公表は遅いとは断言しにくいが、一般的な感覚からすると、社長への報告から世間一般への公表まで1ヵ月半を要しているのは、「遅いのではないか?」となってしまうのはやむを得ないと言える。記者からの質問始まるさて、質疑開始と同時に私も含め、かなり多数が挙手したが、トップバッタ―となったのは通路挟んで隣の席に座っていたテレビ朝日・報道ステーションのアナウンサー下村 彩里氏だった。下村氏の最初の質問は、医師の報告から公表までの経過の確認とそれを踏まえたうえで「(報告から公表までの期間は)原因究明のためだったと思われますが、その間にも亡くなった方がいらっしゃいます。このことはどう思われますか?」というもの。確かにこれまでの報告では1月以降に摂取を開始した方でも被害は発生している。「大変に重大なことが起きてしまったと感じております」と回答した渡邊氏に対して、「今おっしゃった、社内での体制というのは十分だったと思いますか」と畳みかける下村氏。渡邊氏は次のように回答した。「実際には原因究明という言葉を使わせていただいておりますが、その理由は状況把握とともに原因物質だけでなく、できるだけ早く体の中で何が起きているのかがわかれば、多くのお医者さまが治療可能になると思います。その点を究明するためにも、原因のほうを追求していたと考えております」この直後、小林氏が引き継いで語り始めた。「もうちょっと早く公表ができれば防げたかということでございましたら、こちらのご批判に対しては私ども言葉もございません」下村氏からは原因物質についての質問が続いた。私自身の関心はこちらのほうだった。これについては梶田氏が「この1週間で(原因物質の)構造まではだいぶ見えてきております。しかしながら、昨日、厚生労働省に報告に行きまして、これから先はわれわれ1社で判断するのではなく、情報提供をしながら国の研究機関とともに解明を進めていく形になりましたので、現時点ではどの構造体かはまだ解明できておりません。この場では控えさせていただこうと思っております」と回答した。その後、私は挙手しながら自分に質問が回ってくるチャンスを待った。後編へ続く

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何はさておき記述統計 その3【「実践的」臨床研究入門】第42回

生存時間と生存時間曲線はじめに生存時間とは何かについて説明します。臨床研究におけるアウトカム指標として、生存時間は最も重要なものの1つです。悪性腫瘍だけでなく臓器不全にいたるすべての疾患は、最終的には死亡という転帰を迎えます。多くの場合、死亡というアウトカム(イベント)が発生するまでの時間の長さがどの程度であるか、が最も重要となります。なお、生存時間とは死亡にいたるまでの時間だけでなく、あるイベント発生までの時間を示すこともあります。臨床研究においてはKaplan-Meier法による生存率の計算が行われることが一般的です。ここでは、Kaplan-Meier曲線の描き方について具体的に解説します。Kaplan-Meier法では、新たにイベントが発生するごとに生存率が繰り返し再計算されます。これまで説明してきた「打ち切り」という事象も考慮しながら(連載第37回、第41回参照)、逆にある時点までイベントを発生しない確率を考えてみるのです。別の言い方をすれば、ある時点までイベントを発生しない確率を生存割合として、グラフに表示していくことを考えていきます。図に示したように、たとえば10人の患者の生存割合を12ヵ月にわたって観察した場合を考えてみます。1ヵ月目までは全員生存していたとすると、生存割合は1(100%)となり、Kaplan-Meier曲線は下がりません。1ヵ月目に1人死亡したとします。10人中9人が生存しているので、1ヵ月目の生存割合は、9/10=0.90(90%)となり、グラフに示すと図に示したようになります。3ヵ月目にもう1人死亡したとします。1ヵ月目までに生存割合が9/10=0.90に下がっています。3ヵ月目の時点では9人中8人が生存しているので、この時点での生存割合は、9/10×8/9=0.80(80%)となりグラフにすると図に示したとおりです。次に、5ヵ月目に1人「打ち切り」になったとします。この時点で残っている人数は8人ですが、この時点では誰も死亡していないので5ヵ月目の生存割合は、3ヵ月目と変わらず0.80(80%)となり、Kaplan-Meier曲線も下がりません。「打ち切り」があったことを示す「しるし」として、Kaplan-Meier曲線上に小さな縦棒を表示することが慣例とされており、一般的にこれを「ヒゲ」と呼びます。6ヵ月目、7ヵ月目にもそれぞれ1人ずつ「打ち切り」があったとします。6ヵ月目まで残っている人数は7人、7ヵ月目まで残っている人数は6人ですが、3ヵ月目以降は誰も死亡していないので6ヵ月目、7ヵ月目の生存割合は5ヵ月目までと変わらず0.80(80%)となり、Kaplan-Meier曲線も下がりません。9ヵ月目に1人死亡したとすると、この時点では5人中4人が生存していることになりますので、7ヵ月目までの生存割合0.80に4/5をかけて、9ヵ月目の生存割合は0.64(64%)となります。11ヵ月目には更に1人死亡したとします。この時点では4人中3人が生存していることになりますので、9ヵ月目までの生存割合0.64(64%)に3/4をかけて、11ヵ月目の生存割合は0.48(48%)となります。ここまでお示ししたように、イベントが発生するたびに、その時点までに残っていた人数を分母にして、生存割合の低下を計算することにより、「打ち切り」を考慮した解析を行うことができるのです。

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便秘なのに下痢? 不思議な病態を知っていますか?【非専門医のための緩和ケアTips】第73回

第73回 便秘なのに下痢?不思議な病態を知っていますか?緩和ケアは高齢者を診る機会が多く、しばしば遭遇する症状に「便秘」があります。そして、これは時に非常に悩まされる症状でもあります。今回は、便秘の中でもちょっと意外なパターンを紹介します。今回の質問訪問診療で診ている高齢の患者さん。先日、看護師より「下痢が続いている」と相談がありました。診察すると確かにオムツの中に泥状の便が確認され、1週間ほど続いているとのことでした。普段から便秘がちの方で、下剤が効き過ぎたのかと思って下剤を中止したところ、今度はひどい便秘になってしまいました。どのように対応するべきだったのでしょうか?貴重な経験に基づいたご質問、ありがとうございます。こうして振り返ることは非常に大切ですよね。ご質問の内容だけから確信を持ってコメントするのは難しいのですが、これは「溢流(いつりゅう)性便秘」に注意が必要なパターンに感じました。溢流性便秘って聞いたことがありますか? あまり知られてないようなので、この機会に紹介させてください。「溢流」は「あふれ出る」という意味で、言葉通り、「便があふれ出ている便秘」です。「便秘なのに便があふれ出る」とはどういうことでしょうか? それは、硬くなった便塊により、大腸内が宿便でいっぱいになった状態に起因します。そうすると、便が宿便よりも口側に長時間貯留してしまいます。その結果、腸が炎症を起こし、下痢便になるのです。口側にどんどん下痢便が貯留し、限界に達すると、宿便の脇からあふれた下痢便が肛門から排出されます。この現象により、「下痢が続いている」という奇妙な便秘が生じるのです。つまり、溢流性便秘は、便秘としては非常に重症なのです。溢流性便秘を疑った時には、摘便などで経直腸的に大腸内の宿便を解除することが重要です。物理的な閉塞が解除されれば、口側に溜まっていた下痢便もスムーズに排出されます。あとは通常の便秘に準じた薬物療法を検討しましょう。この溢流性便秘という病態には「落とし穴」があります。それは、「下剤による下痢」だと評価して下剤を中止すると、むしろ悪化してしまう点です。見分けるのはなかなか難しいですが、今回の症例であれば「便秘が続く中で生じた下痢だった」という点が、気付くきっかけになったかもしれません。時々見かける病態である、下痢は出ているけどむしろ重度の便秘である「溢流性便秘」について考えてみました。ぜひ頭の片隅に留めておいてください。どこかできっと出合うと思います。今回のTips今回のTips便秘なのに下痢便が出る、溢流性便秘という病態に注意しよう。

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【医師×がん経験者×教育者】がん教育ガイドライン座談会

【医師×がん経験者×教育者】がん教育ガイドライン座談会がん教育の経験者4人が熱弁!『学校側が求める授業とは?』『がん経験者と医療者、それぞれ何を伝える?』医療者・がん経験者・教育者の先生方に、ガイドラインの解説と体験談、そして醍醐味を語っていただきました。出演<ファシリテーター>神奈川県立がんセンター臨床研究所/群馬大学 片山 佳代子 氏<パネリスト>(五十音順)北里大学医学部新世紀医療開発センター 佐々木 治一郎 氏神奈川県教育局指導部保健体育課 佐藤 栄嗣 氏神奈川県がん患者団体連合会 長谷川 一男 氏神奈川県がん教育ガイドラインは こちら

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抗BCMA/CD3二重特異性抗体エルラナタマブ、再発・難治多発性骨髄腫に承認/ファイザー

 ファイザーは2024年3月26日、抗BCMA/CD3二重特異性抗体エルラナタマブ(商品名:エルレフィオ)について、「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」に対する治療薬として、国内における製造販売承認を取得した。今回の承認は、国際共同第II相試験(MagnetisMM-3試験)および国内第I相試験(MagnetisMM-2試験)の結果等に基づくもの。 再発・難治多発性骨髄腫に対する治療では、免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬および抗CD38モノクローナル抗体の3クラスの薬剤がキードラッグとして用いられる。これらの薬剤に耐性を示す患者の多くはその後治療で十分な効果が期待できず、また標準薬物治療もなかった。 MagnetisMM-3試験は再発・難治多発性骨髄腫を対象に、同剤単剤投与の有効性および安全性を評価する第II相非盲検単群多施設共同試験である。同試験は免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬および抗CD38モノクローナル抗体それぞれ少なくとも1剤に抵抗性を示す多発性骨髄腫患者を対象とし、BCMAを標的とした治療歴のない患者をコホートA(123例)、BCMAを標的とした治療歴のある患者をコホートB(64例)として評価した。主要評価項目の奏効率について、コホートAおよびコホートBで臨床的に意義のある結果が認められた。主な有害事象はサイトカイン放出症候群、貧血、好中球減少症、下痢、血小板減少症、疲労、食欲減退、リンパ球減少症、注射部位反応、発熱、悪心および低カリウム血症であった。

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低所得者、腎機能低下・透析開始リスクが1.7倍に/京都大学

 これまでの研究により、慢性腎臓病(CKD)の発症や進行には社会経済要因(所得、教育歴、居住地など)との関連がみられ、社会経済的地位の低い人ほどリスクが高いことが示されてきた。しかし、皆保険制度のある日本での状況はわかっていなかった。 京都大学の石村 奈々氏らは全国健康保険協会(協会けんぽ)の生活習慣病予防健診および医療レセプトのデータ(約560万人分)を用いて、収入と腎機能低下の関連を調査した。本研究の結果は、JAMA Health Forum誌オンライン版2024年3月1日号に掲載された。 本研究は、日本の現役世代人口の約40%(加入者数3,000万人)をカバーする協会けんぽに加入する、34~74歳の成人を対象とした全国規模の後ろ向きコホート研究だ。2015~22年に推定糸球体濾過量(eGFR)を2回以上測定した参加者を解析の対象とした。主なアウトカムは2015年度の月額収入を10分位に分けた所得水準別にみた、急速なCKD進行(年間eGFR低下量>5mL/分/1.73m2)のオッズ比、腎代替療法(透析・腎移植)開始のハザード比だった。 主な結果は以下のとおり。・解析対象となった559万1,060例は平均年齢49.2[SD 9.3]歳、33.4%が女性であった。女性は最も所得の低い群の71.1%を占め、男性は最も所得の高い群の90.7%を占めた。・潜在的交絡因子を調整後、所得が最も低い群(平均月収13万6,451円)は最も高い群(平均月収82万5,236円)と比較して、急速なCKD進行のリスクが高く(オッズ比:1.70、95%信頼区間[CI]:1.67~1.73)、腎代替療法開始のリスクも高かった(ハザード比:1.65、95%CI:1.47~1.86)。・急速なCKD進行との負の関連は、男性および糖尿病のない人でより顕著であった。 研究者らは「本研究は、健康保険や毎年の健康診断など手厚い医療制度がある日本においても、所得による腎機能低下リスクの差が男女ともに存在することを明らかにしたもので、低所得労働者に対する包括的なCKD予防・管理戦略の重要な役割を強調している」としている。

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統合失調症患者の脳容積の長期的な減少と認知機能との関連

 統合失調症の脳バイオマーカーを確立することは、精神科医による診断サポートに寄与するだけでなく、疾患経過に伴う脳の進行性変化をフォローするうえで重要となる。最近の研究報告では、統合失調症患者の脳の形態学的特徴が示されており、健常な人と比較し、脳容積が減少した脳領域クラスターにより定義されている。この兆候は、統合失調症患者と健康な人を鑑別するうえで有効であることが証明されており、統合失調症の脳バイオマーカーの有望な候補であることが示唆されている。しかし、長期的な特徴については、いまだ不明なままであった。東京慈恵会医科大学の山崎 龍一氏らは、統合失調症患者の脳容積の変化が時間経過とともにみられるのか、それが臨床アウトカムと関連しているのかについて調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌2024年3月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者では、健康な人における年齢に伴う自然な脳容積の減少よりも、より大きな減少を伴う脳の形態学的に有意な変化がみられ、この変化が脳の進行性の形態学的変化を表していることが示唆された。・さらに、脳の形態学的特徴の変化とフルスケールIQの変化との間に有意な関連が認められた。・IQが改善した患者では、脳の形態学的特徴が維持されていたのに対し、IQの改善が認められなかった患者では、脳の形態学的特徴に進行性の変化がみられた。このことから、知的能力の回復の可能性と脳病変の進行速度との関連性が示唆された。 著者らは、「脳の形態学的特徴は、統合失調症患者の認知機能障害と関連する脳の進行性変化を評価するために使用可能な脳バイオマーカーである」と結論付けた。

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断酒から“減酒”へ、アルコール依存症の新たな治療戦略

 アルコール依存症やアルコールによる健康障害を回避するためには断酒・禁酒が推奨されてきたが、昨今の風潮ではアルコール依存症の治療でも重症度によっては「減酒」が第一歩となる。なぜ、断酒・禁酒ではなく減酒なのか。株式会社CureAppが主催した『減酒治療に関するメディアラウンドテーブル』では、治療法の時代変遷とそれに基づく減酒アプリ(現在、製造販売承認申請中)の実用化について、宋 龍平氏(減酒治療アプリプロジェクトリーダー/岡山県精神科医療センター臨床研究部 医師)が解説した。断酒から減酒、移行期の今 アルコール依存症の従来の治療目標は、お酒を止める断酒・禁酒が中心だったが、その一方で断酒への抵抗感を抱く患者が一定数存在すること、初期のアルコール依存症患者が治療を避けてしまうことが問題となっていた。しかし、減酒(飲酒量低減)を目標とした欧米の治療に基づき、新しい選択肢として、2019年に日本アルコール・アディクション医学会ほか4学会合同が「飲酒量低減治療マニュアル 第1版」1)を作成した。そのような国内での治療戦略の変化を踏まえ、株式会社CureAppは減酒治療に有用なアプリの開発に着手した。 本アプリがもたらす治療解決策について、宋氏らは「現時点で、アルコール依存症の診断名が付いた患者に利用できるような薬事承認や保険適用を受けた『減酒治療アプリ』はない。アルコール依存症患者のうち、診断を受ける患者は10%程度に過ぎず、アルコール依存症になってから深刻化するのには7~8年はかかると言われている。そのためにも早期から飲酒コントロールしていくことが治療の鍵になる。重症ではない症例においては、“減酒”が治療目標に加わることによって治療のハードルが下がる」と述べ、「アプリを導入することで患者の診察時間の短縮が目指せる」などのメリットを紹介した。その一方で、「重症例でも“減酒で良いだろう”というハレーションが起こっているのも事実。重症例では集学的な対応を求められることも多く、現状を確認して個々に向き合うことが必要」と、どのような患者に対しても減酒アプリを使うのではなく、アルコール依存症の重症度に応じた対応が重要であることも説明した。<減酒アプリに期待できること>・幅広い医療機関において、多量飲酒者への治療提供が実現できる・厚生労働省が推進するアルコール健康障害対策に貢献できる・飲酒の害を減らしたいが、断酒までは考えていない患者への治療の選択肢が増える(軽~中等症の場合のみ)・次の診察までの期間、患者も医師も飲酒量などを医師アプリで把握することができる アルコールは本人・他者への害の総量が嗜癖性物質のなかで最も大きく、本人の疾患リスク上昇2)はもとより、他者への害も大きい3)のが特徴だ。これまでにもアルコールに関連するガイドラインは存在したが、専門医向けであったため、多くの方に理解を得るために、先日、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」4)が発刊されるに至った。また、エビデンス不足により令和6年度の診療報酬改定における加算の新設には至らなかったが、減酒治療のために日本アルコール・アディクション学会が主体となって、適切な介入対象を拾い上げる目的で使用するスクリーニング検査「AUDIT(アルコール使用障害特定テスト)」や「アルコール関連疾患患者減酒指導料」などの提案がなされている。その足掛かりとしても本アプリの役割が期待されるところである。 なお、3月25日に本アプリの製造販売承認申請が行われたことが発表されたが、治験結果*の詳細については、国内外の学会や学術誌を通じて報告される予定である。*内科、精神科医療機関で実施されたランダム化比較試験。主要評価項目は登録時点から登録後12週時点までの多量飲酒日数の変化量で、通常診療と本アプリを併用する介入群は、通常診療と飲酒記録機能のみのアプリを併用する対照群に対し、統計的に有意な改善を認めた。

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NSCLCへの周術期ニボルマブ上乗せ、術前療法が未完了でも有効か(CheckMate 77T)/ELCC2024

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした国際共同第III相無作為化二重盲検比較試験(CheckMate 77T試験)において、周術期にニボルマブを用いるレジメンが良好な結果を示したことがすでに報告されている。本レジメンは、術前にニボルマブと化学療法の併用療法を4サイクル実施するが、有害事象などにより4サイクル実施できない患者も存在する。そこで、CheckMate 77T試験において術前薬物療法が4サイクル未満であった患者の治療成績が検討され、4サイクル未満の患者でも周術期にニボルマブを用いるレジメンが治療成績を向上させることが示された。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のMark M. Awad氏が、欧州肺がん学会(ELCC2024)で報告した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化二重盲検比較試験・対象:StageIIA〜IIIB(American Joint Committee on Cancer[AJCC]第8版)の切除可能NSCLC患者・試験群:ニボルマブ(360mg、3週ごと)+プラチナダブレット化学療法(3週ごと)を4サイクル→手術→ニボルマブ(480mg、4週ごと)を最長1年(ニボルマブ群、229例)・対照群:プラセボ+プラチナダブレット化学療法(3週ごと)を4サイクル→手術→プラセボを最長1年(プラセボ群、232例)評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定に基づく無イベント生存期間(EFS)[副次評価項目]盲検下独立病理判定に基づく病理学的完全奏効(pCR)、病理学的奏効(MPR)、安全性など 今回報告された主な結果は以下のとおり。・ニボルマブ群の17%(38例)、プラセボ群の12%(27例)が術前薬物療法を3サイクル以下で中止した。このうち、有害事象による中止はそれぞれ55%(21例)、41%(11例)であった。・術前薬物療法のサイクル数別にみたEFS中央値は以下のとおり。 -4サイクル完了:ニボルマブ群未到達、プラセボ群未到達(ハザード比[HR]:0.57、95%信頼区間[CI]:0.42~0.79) -4サイクル未満:それぞれ未到達、7.8ヵ月(同:0.51、0.23~1.11)・術前薬物療法のサイクル数と手術の有無別にみたpCR率は以下のとおり。 -4サイクル完了:ニボルマブ群26.7%、プラセボ群5.4%(群間差:21.3%、95%CI:14.3~28.4) -4サイクル未満:それぞれ18.4%、0%(同:18.4%、2.9~33.4) -4サイクル完了かつ手術あり:それぞれ32.3%、6.5%(同:25.7%、17.4~33.9) -4サイクル未満かつ手術あり:それぞれ35.0%、0%(同:35.0%、2.5~56.7)・術前薬物療法のサイクル数と手術の有無別にみたMPR率は以下のとおり。 -4サイクル完了:ニボルマブ群38.2%、プラセボ群13.7%(群間差:24.6%、95%CI:16.1~32.7) -4サイクル未満:それぞれ21.1%、0%(同:21.1%、5.1~36.3) -4サイクル完了かつ手術あり:それぞれ46.2%、16.7%(同:29.5%、19.6~38.7) -4サイクル未満かつ手術あり:それぞれ40.0%、0%(同:40.0%、6.9~61.3)・無作為化された全患者および術前薬物療法のサイクル数別にみた死亡または遠隔転移までの期間の中央値は以下のとおり。 -全患者:ニボルマブ群未到達、プラセボ群38.8ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.44~0.85) -4サイクル完了:それぞれ未到達、38.8ヵ月(同:0.61、0.42~0.88) -4サイクル未満:それぞれ未到達、10.9ヵ月(同:0.46、0.22~0.98)・術後薬物療法を受けた患者の割合は、術前薬物療法を4サイクル完了した集団ではニボルマブ群69%(131例)、プラセボ群71%(145例)であり、4サイクル未満の集団ではそれぞれ29%(11例)、26%(7例)であった。術後薬物療法のサイクル数中央値は、いずれの集団においても両群13サイクルであり、多くの患者が術後薬物療法を完了した。 Awad氏は、本結果について「CheckMate 77T試験の探索的解析において、切除可能NSCLC患者に対する周術期のニボルマブ上乗せは、術前薬物療法4サイクル完了の有無にかかわらず有効であった。手術を実施した患者集団において、4サイクル完了した患者集団と4サイクル未満の患者集団のpCR率とMPR率は同様であった」とまとめた。

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約20年ぶりの下部尿路症状の疫学調査、その結果は?

 本邦では、2002年に下部尿路症状(LUTS)に関する初めての疫学調査が実施され、過活動膀胱(OAB)の有病率などが報告された。当時の調査の結果では、40歳以上の男女のうち12.4%がOABに該当するとされ、加齢に伴いその割合は高くなったと報告されていた。また、40歳以上でOAB症状を有する人は、全国で約1,000万人と推計されていた。それ以降は本邦で大規模な疫学調査は行われていなかったが、日本排尿機能学会の前身である神経因性膀胱研究会が発足されてから50年の節目となる2023年において、現在の日本国内のLUTSの有病率と日常生活への影響を明らかにすることを目的として約20年ぶりの疫学調査が実施された。その結果は山梨大学の三井 貴彦氏らにより、International Journal of Urology誌オンライン版2024年3月21日号で報告された。 本調査には、国内のオンライン調査会社に匿名で登録された20~99歳の個人を対象に日本人の人口構成に基づいてサンプリングした計6,210人(女性3,088人、男性3,122人)が参加した。調査はインターネットを通じて実施され、アンケート内容はLUTSと日常生活に関する計48の質問で構成された。 主な結果は以下のとおり。・LUTSの全体的な有病率は、20歳以上の参加者では77.9%、40歳以上では82.5%であった。・LUTSの有病率は男女間で異なっており、ほぼすべてのLUTSで有症状率が年齢とともに大幅に増加する傾向が見られた。・OABの有病率は20歳以上の参加者では11.9%、40歳以上では13.8%であり、40歳以上の有病率は2002年の調査と比較して増加した。・「LUTSが日常生活に影響を与える」と回答した参加者の割合は12.4%であり、最も多く影響を与えていた症状は夜間頻尿であった。・LUTSの症状を有する参加者のうち、治療を受けているのは4.9%であった。また、OABの症状を有する参加者のうち、治療を受けているのは16.0%であった。・LUTSの治療を受けていない参加者の医療機関を受診していない理由としては、「症状に困っていない(86.4%)」「LUTSを病気だと思っていない(16.9%)」「LUTSを老化の結果だと思っている(15.0%)」などが挙げられた。

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進行滑膜肉腫、T細胞受容体療法が有効/Lancet

 既治療のHLA-A*02およびMAGE-A4発現滑膜肉腫患者において、afamitresgene autoleucel(afami-cel)治療は持続的な奏効をもたらしたことが示された。米国・スローンケターリング記念がんセンターのSandra P. D'Angelo氏らが、カナダ、米国、欧州の23施設で実施された非無作為化非盲検第II相試験「SPEARHEAD-1試験」の3つのコホートのうち、主たる治験コホートであるコホート1の結果を報告した。afami-celは第I相試験において、忍容性および安全性が確認され有望な有効性が示されていた。著者は、「本研究は、T細胞受容体療法を用いて効果的に固形腫瘍を標的とした治療が可能であることを示し、このアプローチを他の固形悪性腫瘍にも広げる根拠を提供するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年3月27日号掲載の報告。afami-celを単回投与、主要評価項目は奏効率 研究グループは、HLA-A*02を有しMAGE-A4を発現する転移のあるまたは切除不能の滑膜肉腫または粘液型円形細胞型脂肪肉腫(細胞遺伝学的に確認)の16~75歳患者で、少なくとも1ラインのアントラサイクリンまたはイホスファミドを含む化学療法歴がある患者をコホート1として登録し、リンパ球除去後にafami-cel(導入用量範囲:1.0×109~10.0×109T細胞)を単回静脈内投与した。 主要評価項目は、修正ITT集団(afami-celの投与を受けた全患者)における奏効率(ORR)で、RECIST version1.1に基づき盲検下独立評価委員会によって評価された。また、とくに注目される有害事象(サイトカイン放出症候群、遷延性血球減少症、神経毒性)を含む有害事象がモニタリングされ、修正ITT集団について報告された。 なお、本試験のコホート1および2は追跡調査が現在も進行中であり、コホート3は募集中である。奏効率は全体で37%、滑膜肉腫39%、粘液型円形細胞型脂肪肉腫25% 2019年12月17日~2021年7月27日に、細胞遺伝学的に確認された滑膜肉腫(44例)および粘液型円形細胞型脂肪肉腫(8例)を有する患者52例がコホート1に登録され、afami-celが投与された。患者の化学療法歴は、中央値が3(四分位範囲[IQR]:2~4)であった。 追跡期間中央値32.6ヵ月(IQR:29.4~36.1)において、ORRは全体で37%(19/52例、95%信頼区間:24~51)、滑膜肉腫患者39%(17/44例、24~55)、粘液型円形細胞型脂肪肉腫患者25%(2/8例、3~65)であった。 サイトカイン放出症候群が、52例中37例(71%)に発現し、うち1例がGrade3であった。主なGrade3以上の有害事象は血球減少症で、52例中、リンパ球減少症が50例(96%)、好中球減少症が44例(85%)、白血球減少症が42例(81%)であった。治療に関連した死亡は報告されなかった。

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早産児の鼠径ヘルニア手術の重篤AE、NICU退室前vs.退室後/JAMA

 早産児の鼠径ヘルニア修復術を、新生児集中治療室(NICU)退室後に行うことで、重篤な有害事象(AE)を発現した乳児が減少したことが示された。米国・テキサス大学健康科学センターのMartin L. Blakely氏らHIP Trial Investigatorsが、同国の39施設で実施した多施設共同無作為化臨床試験の結果を報告した。早産児は鼠径ヘルニアの罹患率が高く、修復術は一般的に行われるが、手術をNICU退室前にすべきか退室後にすべきかについては議論の余地があった。著者は、「今回の結果は、NICUからの初回退室まで鼠径ヘルニア修復術を遅らせることを支持するものである」とまとめている。JAMA誌2024年3月26日号掲載の報告。NICU退室前vs.退室後で、10ヵ月間の重篤AEの発現リスクを比較 研究グループは2013年9月~2021年4月に、初回入院中に鼠径ヘルニアと診断された早産児を、NICU退室前に鼠径ヘルニア修復術を施行する早期修復群と、NICU退室後に乳児が最終月経後年齢(postmenstrual age)55週を超えた時点で修復術を行う後期修復群に無作為に割り付けた。最終追跡調査日は2023年1月3日である。 主要アウトカムは、10ヵ月の観察期間中における事前に規定された重篤AEの発現(盲検下判定委員会による評価)、副次アウトカムは、同期間中の総入院日数などであった。重篤AE発現率、退室前(早期修復群)28%、退室後(後期修復群)18% 無作為化された早産児338例(早期修復群172例、後期修復群166例)のうち、320例が外科的修復術を受けた。患児背景は、男児が86%で、アジア系2%、黒人30%、ヒスパニック系16%、白人59%、人種不明9%、民族不明4%であった。また、出生時の平均在胎週数は26.6週(SD 2.8)、登録時の平均出生後週数は12週(5)であった。 338例中完全なデータが得られたのは308例(91%)(早期修復群159例、後期修復群149例)で、このうち1件以上の重篤AEが発現したのは早期修復群44例(28%)、後期修復群27例(18%)であった。群間リスク差は-7.9%(95%信頼区間:-16.9~0)であり、ベイズ事後確率97%で後期修復が有益であることが示された。 10ヵ月の観察期間中の総入院日数中央値は、早期修復群19.0日(四分位範囲[IQR]:9.8~35.0)だったのに対し、後期修復群では16.0日(7.0~38.0)であった(後期修復術の有益性のベイズ事後確率82%)。 事前に規定されたサブグループ解析では、後期修復により1件以上の重篤AEが発現する乳児の数が減少する確率は、在胎週数28週未満の乳児および気管支肺異形成症の乳児で高かった(各サブグループの有益性の確率は99%)。

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