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脳卒中リスクのある心房細動、asundexian vs.アピキサバン/NEJM

 脳卒中のリスクを有する心房細動患者の治療では、活性化凝固第Xa因子阻害薬アピキサバンと比較して活性化凝固第XI(XIa)因子阻害薬asundexianは、試験が早期中止となるまでの期間において、大出血イベントは少ないものの、有効性の主要エンドポイントである脳卒中または全身性塞栓症の発生率が高いことが、米国・デューク大学医学校のJonathan P. Piccini氏らOCEANIC-AF Steering Committee and Investigatorsが実施した「OCEANIC-AF試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2024年9月1日号で報告された。早期中止となった国際的ダブルダミー無作為化第III相試験 OCEANIC-AF試験は、日本を含む38ヵ国1,035施設で実施した二重盲検ダブルダミー無作為化実薬対照第III相試験であり、2022年12月~2023年11月に参加者を登録した(Bayerの助成を受けた)。 年齢18歳以上、経口抗凝固薬が適応の心房細動と診断され、CHA2DS2-VAScスコア(範囲:0~9点、点数が高いほど脳卒中のリスクが大きい)により脳卒中のリスクが高い(男性:3点以上、女性:4点以上)と判定された患者を対象とした。 被験者を、プラセボとともにasundexian(50mg、1日1回)またはアピキサバンを経口投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 有効性の主要エンドポイントは、脳卒中または全身性塞栓症の予防において、asundexianがアピキサバンに対して少なくとも非劣性であるか否かを判定することとした。 脳卒中または全身性塞栓症のイベントがasundexian群で多いことから、2023年11月19日、独立データ監視委員会の勧告を受けて試験は早期中止となった。心血管系の原因による死亡、全死因死亡には差がない 1万4,810例を登録し、asundexian群に7,415例、アピキサバン群に7,395例を割り付けた。ベースラインの全体の平均(±SD)年齢は73.9(±7.7)歳、35.2%が女性であった。また、18.6%が慢性腎臓病で、18.2%が脳卒中または一過性脳虚血発作の既往を有し、平均CHA2DS2-VAScスコアは4.3(±1.3)点だった。追跡期間中央値は155日。 脳卒中または全身性塞栓症は、asundexian群が98例(1.3%)で発生し、アピキサバン群の26例(0.4%)に比べて多かった(ハザード比[HR]:3.79、95%信頼区間[CI]:2.46~5.83)。 心血管系の原因による死亡(asundexian群0.6% vs.アピキサバン群0.6%、HR:1.09[95%CI:0.72~1.64])および全死因死亡(0.8% vs.1.0%、0.84[0.60~1.19])の発現頻度は、両群間に差を認めなかった。大出血は少ない 安全性の主要エンドポイントである大出血(ISTH基準)は、アピキサバン群が53例(0.7%)で発生したのに対し、asundexian群は17例(0.2%)と少なかった(HR:0.32、95%CI:0.18~0.55)。また、大出血または臨床的に重要な非大出血(ISTH基準)は、アピキサバン群の188例(2.6%)に比べ、asundexian群は83例(1.1%)と低値を示した(0.44、0.34~0.57)。 追跡終了までに、asundexian群で73例(1.0%)、アピキサバン群で85例(1.2%)が死亡した。有害事象は、それぞれ34.9%および34.9%で発現し、試験薬の投与中止に至った有害事象の割合は、2.0%および1.6%だった。 著者は、「asundexian群で出血イベントが少なかった理由は不明である。併存疾患や脳卒中のリスク因子を考慮すると、脳卒中または全身性塞栓症の発生率が、とくにアピキサバン群で予想よりも低かった」とし、「より高用量で第XIa因子の阻害の程度が高い場合に、どのような結果が得られるかは不明である。心房細動において第XIa因子阻害の概念が脳卒中予防の選択肢となり得るかを明らかにするには、さらなる研究を要する」と述べている。

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統合失調症の全死亡リスク、抗精神病薬LAI vs.経口剤~メタ解析

 統合失調症患者に対する抗精神病薬治療は、死亡率の低下に寄与しているが、抗精神病薬の治療アドヒアランスが低いことは問題である。長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬を用いると、この問題を部分的に対処可能であると考えられるが、経口抗精神病薬と比較した全死亡率への影響は不明である。スペイン・バスルト大学のClaudia Aymerich氏らは、LAI抗精神病薬治療を行っている患者における全死亡率、自殺死亡率、非自殺死亡率について、経口抗精神病薬治療を行った場合との比較を行った。Molecular Psychiatry誌オンライン版2024年8月22日号の報告。 経口抗精神病薬と比較したLAI抗精神病薬による治療を行っている患者における全死亡率、自殺死亡率、非自殺死亡率のオッズ比(OR)を分析するため、ランダム効果メタ解析を実施した。個々のLAI抗精神病薬およびプールされたLAI抗精神病薬とプールされた経口抗精神病薬との比較を行い、分析した。感度分析は、研究デザイン、設定、スポンサードについて実施した。性別、年齢、抗精神病薬投与量、人種について、メタ回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・17件、1万2,042例(経口群:5,795例、LAI群:6,247例)を対象に含めた。・LAI群は、経口群よりも、全死亡リスクが低かった(OR:0.79、95%CI:0.66~0.95)。・LAIと経口抗精神病薬を比較した研究のみを対象とした場合、全死亡率(OR:0.79、95%CI:0.66~0.95、p<0.01)、非自殺死亡率(OR:0.77、95%CI:0.63~0.94、p=0.01)については、統計学的に有意な差が認められたが、自殺死亡率(OR:0.86、95%CI:0.59~1.26、p=0.44)については有意な差が認められなかった。・LAI抗精神病薬による死亡率低下は、初回エピソード患者において、慢性期患者と比較し、より顕著であった(OR:0.79、95%CI:0.66~0.95)。・個々のLAIにおいては、プールされたすべての経口抗精神病薬と比較し、統計学的に有意な差は認められなかった。 著者らは「LAI抗精神病薬は、経口抗精神病薬と比較し、統合失調症患者の全死亡率、非自殺死亡率の低下に寄与することが示唆された。この違いは、投薬や医療サービスに対するアドヒアランスが影響していると考えられる」とし、「可能な限り、初回エピソードからLAI抗精神病薬の使用を検討する必要がある」とまとめている。

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中等症~重症の尋常性乾癬、経口TYK2阻害薬zasocitinibが有望

 チロシンキナーゼ2(TYK2)に高い選択性を示すアロステリック阻害薬zasocitinib(TAK-279)は、尋常性乾癬の新たな経口治療薬として有望であることが示された。米国・カリフォルニア大学のApril W. Armstrong氏らが、海外第IIb相二重盲検無作為化比較試験の結果を報告した。本試験において、1日1回5mg以上のzasocitinibはプラセボと比較して、12週間にわたり良好な皮膚症状の改善が認められた。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年8月21日号掲載の報告。 研究グループは、中等症~重症の尋常性乾癬患者を対象としてzasocitinibの有効性、安全性および忍容性を評価することを目的に、2021年8月11日~2022年9月12日の期間に米国47施設とカナダ8施設で試験を実施した。 本試験は、12週間の治療期間と4週間のフォローアップ期間で構成された。適格基準は、18~70歳、Psoriasis Area and Severity Index(PASI)スコア12以上、Physician’s Global Assessmentスコア3以上、尋常性乾癬の皮疹面積が体表面積(BSA)の10%以上などであった。 被験者を1日1回zasocitinib 2mg、同5mg、同15mg、同30mgまたはプラセボを投与する群へ無作為に均等に割り付け、12週間投与した。 主要有効性エンドポイントは、12週時点におけるPASI 75(ベースラインから75%以上改善)達成率とした。副次有効性エンドポイントは、PASI 90(ベースラインから90%以上改善)達成率、PASI 100(PASIスコア0)達成率などとした。安全性エンドポイントは試験治療下における有害事象(TEAE)、重篤な有害事象(SAE)、臨床検査値などとした。 主な結果は以下のとおり。・287例が無作為化され、259例(平均年齢47[SD 13]歳、女性82例[32%])が少なくとも1回以上の試験薬の投与を受けた。・12週時点におけるPASI 75達成率は、zasocitinib 2mg群18%(9例)、同5mg群44%(23例)、同15mg群68%(36例)、同30mg群67%(35例)、プラセボ群6%(3例)であった。・PASI 90達成率は、zasocitinib 2mg群8%(4例)、同5mg群21%(11例)、同15mg群45%(24例)、同30mg群46%(24例)、プラセボ群0%であり、PASI 75と同様の用量反応性がみられた。・PASI 100達成率は、zasocitinib 2mg群2%(1例)、同5mg群10%(5例)、同15mg群15%(8例)、同30mg群33%(17例)、プラセボ群0%であり、用量が多いほど達成率が高かった。・TEAEはプラセボ群の44%(23例)に発現し、zasocitinibの4用量群では53%(15mg群の28例)~62%(2mg群の31例)に発現した。TEAEの発現率に用量反応性はなかった。SAEはzasocitinib 15mg群の1例のみに2件みられたが、治療薬との関連はないと判断された。臨床検査値に臨床的に意味のある経時的変化はみられなかった。

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抗凝固薬服用例のTAVI、抗凝固薬続ける?中止する?(解説:後藤信哉氏)

 大動脈弁狭窄症に対する治療として、経カテーテル治療であるTAVIは急速に普及している。TAVIを受ける高齢者は、脳卒中リスクの高い心房細動など抗凝固薬を必要としている病態が多い。服用している抗凝固薬をTAVI時に継続するか、中止するか。TAVIの手術としての側面に注目すれば中止して出血イベントリスクを下げたほうがよいように見え、TAVIの人工弁の血栓性に注目すれば抗凝固薬を続けたほうがよいように思える。結果をまったく予測できない仮説に対するランダム化比較試験として、本研究はきわめて興味深い。858例を抗凝固薬中止と継続にランダム化した。オープンラベルであるが、ランダム化比較試験としての価値が高いと思う。仮説検証試験としては30日までの血栓性・出血性を複合したエンドポイントを用いた。 複合エンドポイントでは両群間に差異がなかった。血栓性イベント、出血性イベントとして分けて解析しても両群に統計学的には差異はなかった。症例数が多くないため血栓イベントと出血イベントの比較は難しいが、血栓イベント数に比較すると出血イベント数が多く、出血イベント数は抗凝固薬継続群で多かった。結果は臨床的感覚と合致していた。試験の結果では差異がないが、抗凝固薬継続群では30日以内の出血に対する配慮が必要である。

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英語で「最後の生理はいつですか」は?【1分★医療英語】第148回

第148回 英語で「最後の生理はいつですか」は?《例文1》My period started on Wednesday.(水曜日に生理が始まりました)《例文2》I have bad cramps during my periods.(私は生理中にひどい痛みがあります)《解説》女性への問診では、しばしば最終月経を聞く必要が出てきます。月経は英語で“menstruation”といいます。日本語でも「月経」より「生理」という言葉がより一般的に使われるように、英語でも“menstruation”よりも“period”という言い方がよく使われます。これは“menstrual period”という言葉を省略したものです。この“period”という単語を使って、“Are your periods regular?”(生理は定期的に来ますか?)や、“Do you bleed in between your periods?”(生理と生理の間に出血はありますか?)というような問診もできます。また、筋肉が激しく収縮することによって生じるようなズキズキとした痛みを“cramp”といい、生理痛は“cramps”や“menstrual cramps”と表現します。講師紹介

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わが国初のダニ媒介性脳炎予防ワクチン「タイコバック水性懸濁筋注」【最新!DI情報】第23回

わが国初のダニ媒介性脳炎予防ワクチン「タイコバック水性懸濁筋注」今回は、組織培養不活化ダニ媒介性脳炎ワクチン(商品名:タイコバック水性懸濁筋注0.5mL/小児用水性懸濁筋注0.25mL、製造販売元:ファイザー)を紹介します。本剤はわが国初のダニ媒介性脳炎の予防ワクチンであり、致死的な経過および後遺症の予防が期待されています。<効能・効果>本剤は、ダニ媒介性脳炎の予防の適応で、2024年3月26日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>初回免疫の場合、16歳以上には1回0.5mL、1歳以上16歳未満には1回0.25mLを3回、筋肉内に接種します。2回目接種は1回目接種の1~3ヵ月後、3回目接種は2回目接種の5~12ヵ月後に接種します。免疫の賦与を急ぐ場合には、2回目接種を1回目接種の2週間後に行うことができます。追加免疫の場合、16歳以上には1回0.5mL、1歳以上16歳未満には1回0.25mLを筋肉内に接種します。<安全性(0.5mL製剤の場合)>重大な副反応として、ショック、アナフィラキシー、多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群、脊髄炎、横断性脊髄炎、脳炎(いずれも頻度不明)があります。その他の頻度の高い副反応として、注射部位疼痛(35.0%)、下痢(10%以上)があります。10%未満の副反応には、注射部位出血、注射部位腫脹などの局所症状、上気道感染、浮動性・回転性めまい、悪心、嘔吐、腹痛、皮膚そう痒症、発疹などがあります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、ダニ媒介性脳炎を予防するためのワクチンです。2.ワクチン接種したすべての人で、ダニ媒介性脳炎ウイルスへの感染が完全に予防されるわけではありません。マダニに咬まれるリスクが高い環境下では、虫よけ剤の使用や皮膚の露出を少なくするなど、基本的な感染リスク低減対策をとってください。3.接種は、3回の接種を行う「初回免疫」と必要に応じて接種を行う「追加免疫」があります。初回免疫1回目の接種のみでは、発症の予防を期待することはできません。4.ショック、アナフィラキシーが現れることがあるので、医師の監視下で接種を行います。接種後、少なくとも15分間は座って安静にしてください。<ここがポイント!>ダニ媒介性脳炎(tick-borne encephalitis:TBE)は、TBEウイルスを保有するマダニに咬まれることで感染・発症します。TBEは重度の急性臨床経過をたどり、日本に多い極東亜型ウイルスの感染では、7~14日の潜伏期間後に頭痛、発熱、悪心、嘔吐が現れ、進行すると精神錯乱や昏睡、痙攣などの脳炎症状が生じることがあります。致死率は20%以上で、生存者であっても30~40%に後遺症が残るとされています。TBEに対する抗ウイルス治療はなく、対症療法が中心となります。本剤はTBEを予防するためのワクチンで、TBEリスク地域でレクリエーションや農業・林業などの野外活動でマダニに咬まれるリスクがある人に接種が推奨されます。ただし、接種したすべての人で感染が予防されるわけではないので、マダニに咬まれるリスクが高い場合には、虫よけ剤の塗布や防護服の着用または皮膚露出を避けるなど、感染リスク低減のための基本的な対策が重要です。本剤は、TBEウイルスをSPF発育鶏卵から採取したニワトリ胚初代培養細胞で増殖させ、得られたウイルスをホルムアルデヒドで不活化した後、精製し、安定剤およびアジュバント(水酸化アルミニウム懸濁液)を加えたものです。TBEウイルスに感染歴のない日本人健康成人および健康小児を対象とした国内第III相試験(B9371039試験:初回免疫)において、本剤を3回接種した4週間後にTBEウイルス中和抗体陽性率は成人および小児とも90%以上に達しました。また、追加免疫における海外第IV相試験(223試験)や免疫持続性における海外第IV相試験(690701試験、691101[B9371010]試験)で本剤の有効性が確認されています。なお、ダニ媒介性脳炎ワクチンは、医療上の必要性が高いワクチンとして厚生労働省からの要請を受けて開発されました。

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大阪医科薬科大学病院 化学療法センター【大学医局紹介~がん診療編】

山口 敏史 氏(化学療法センター センター長)由上 博喜 氏(化学療法センター 助教)松尾 奈々子 氏(化学療法センター 助教)亀石 眞 氏(化学療法センター レジデント)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴化学療法センターではあらゆるがん種の外来化学療法を実施・管理をしています。スタッフは化学療法チームと緩和ケアチームで構成され、常に連携してがん診療を行っています。化学療法チームは主に消化器がんを診療しており、標準治療のみならず新規薬剤による国際共同治験や臨床試験、ゲノム医療を実施しています。また、若手の育成の一環で国立がん研究センター中央・東病院、愛知県立がんセンターにおける研修が可能であり、これまで多くの先生が国内のトップオンコロジストや著名な緩和ケア医の薫陶を受けて帰局され活躍しています。医師の育成方針化学療法センターは消化器内科医局との連携が強く、腫瘍内科のみでは習得が難しい消化器疾患の管理や内視鏡など、消化器腫瘍を治療していくうえで必要不可欠な知識や技術を取得することが可能です。腫瘍内科と消化器内科の両輪で活躍することが可能であり、将来のライフプランに合わせて成長することができます。さらにセンター業務は化学療法や緩和ケアに専念することができる環境です。当センターは「がん患者のために」をスローガンに化学療法から緩和ケアに至るまで全人的ながん医療を提供できる医師の育成を目指しています。力を入れている治療/研究テーマ私たちの施設は、JCOGなどの臨床研究グループに所属し、消化器がんを対象とした臨床試験や治験に積極的に参加しており、実地診療や試験治療の中から、患者さんに最適な治療法を提供できるよう努めています。また、がん治療のエビデンス創出のため、企業に臨床試験を提案し、より良い治療を患者さんに届けることを目指しています。同医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力私たちは、消化器内科の一部門としてがん治療を担当しています。腹腔内の原発不明がんなども診療しており、がん診療を幅広く行っています。また、消化器内科に所属しているため、医局内の連携がスムーズで、内視鏡治療が必要な際も迅速に対応できる体制が整っています。消化器内科という比較的大所帯の医局に所属していることもあり、多くの同僚と連携しながら診療に取り組める点が大きな魅力です。医学生/初期研修医へのメッセージがん診療は、治療開発が著しく進展している分野であり、多くの患者さんの生活を支えるやりがいがある仕事です。私たちの医局では、最先端の治療を学びつつ、実践的な経験を積むことができます。また、患者さんにとって最善の治療方針をチームで相談し決定する過程を通じて、多職種との協力を学ぶ機会も豊富です。がん治療に興味がある方、ぜひご連絡ください。国際学会にも参加、発表もこれまでの経歴初期研修中にがん治療に携わりたいと考えるようになり、幅広く消化器内科の経験が積める第II内科に入局しました。市中病院も含め6年間研鑽を積み、多くのがん患者さんと向き合う中で緩和ケアを学びたいという思いを持ち、現在は院内の緩和ケアチームで修練を積んでいます。同医局を選んだ理由化学療法センターでは、臨床と並行して日常的にクリニカル・クエスチョンを研究に結びつけ、医療の発展に貢献しています。そうした環境と密接に連携している当院の緩和ケアチームで学びたいと思いました。また、当医局では、専門分野を選んだ後も内視鏡を含む多様な働き方が可能であり、女性医師も多く、ロールモデルを見つけやすい点も魅力です。今後のキャリアプラン消化器関連の専門医取得後、現在は大学院生として学位取得を目指し先生方のご指導のもと臨床研究・論文作成にも取り組んでいます。各分野の専門家が集う緩和ケアチームでさらなる力を養い、今後に繋げていきたいと考えています。同医局を選んだ理由私は初期研修修了後、消化器内科に興味を持ちました。当医局は消化管・肝臓・胆膵・化学療法それぞれの専門グループで構成されており、互いが密に連携し、幅広い疾患やその病態に対応できる環境の良さから入局を決意しました。そして消化器内科医としてさまざまな症例を経験し、専門医取得後はとくにがん治療への関心が深まりました。現在学んでいること現在は化学療法グループに所属し、主に消化器がん患者様の病棟管理や、治験患者様の対応、臨床研究などを学んでいます。当グループは、がん薬物療法専門医を持つ多くの指導医が常在しています。目の前の患者様のことでも、クリニカルクエスチョンに関してでも、研究論文の進め方でも、何事も気軽に相談できます。時には疾患別のレクチャーを受けて薬物療法の理解を深める機会にも恵まれています。今後のキャリアプラン今後は論文執筆を進め学位取得を目指すとともに、がんセンター病院への留学を考えており、薬物治療の最前線に携わり将来当医局へ還元にしていくつもりです。大阪医科薬科大学病院 化学療法センター住所〒569-8686 大阪府高槻市大学町2-7問い合わせ先toshifumi.yamaguchi@ompu.ac.jp医局ホームページ化学療法センター大阪医科薬科大学第2内科専門医取得実績のある学会日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医日本内科学会 認定医、総合内科専門医日本治療認定医機構 治療認定医日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医日本消化器病学会 消化器病専門医日本内視鏡学会 内視鏡専門医研修プログラムの特徴(1)がん薬物療法専門医の取得とサブスぺシャリティの獲得消化器内科医局へ属することで、内科専門医研修を行うことができ、消化器内科医としての基本的手技や専門医の取得が可能です。がんセンターへの留学や他診療科と連携することで、がん薬物療法専門医や緩和ケア専門医の取得を目指します。(2)学位取得各スタッフが臨床研究指導から学会発表、国内・国際学会、論文作成に至るまでサポートし、学位取得が可能です。(3)国内留学国内の主要なハイボリュームセンターへの研修が可能です。これまで多くのスタッフが国立がんセンターなどで研鑽を積んでいます。

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雨天で悪化する頭痛には…【漢方カンファレンス】第9回

雨天で悪化する頭痛には…以下の症例で考えられる処方をお答えください。(経過の項の「???」にあてはまる漢方薬を考えてみましょう)【今回の症例】40代女性主訴頭痛、嘔吐既往片頭痛、慢性副鼻腔炎病歴12月の雨の日、締めつけられるような頭痛が出現した。頭痛は、左側頭部に徐々に出現し拍動性で嘔気を伴った。起立時や水を飲むとすぐに嘔吐してしまう。頭痛はもともとある片頭痛と同じ性状。2日後、頭痛と嘔吐がひどくなり動けなくなったため救急外来を受診した。現症身長158cm、体重54kg(BMI 22kg/m2)。体温36.1℃、意識清明、血圧158/77mmHg、脈拍62回/分 整、呼吸数16回/分。髄膜刺激症候はなし。神経学的所見を含めて身体所見に特記すべき異常はない。頭部CTで明らかな異常なし。経過受診時「???」エキス2包 分1を内服。(解答は本ページ下部をチェック!)30分後頭痛と嘔気が少し軽減した。45分後歩行しても嘔気がせずトイレにいけるようになった。1時間後頭痛がほぼ消失して帰宅した。問診・診察漢方医は以下に示す漢方診療のポイントに基づいて、今回の症例を以下のように考えます。【漢方診療のポイント】(1)病態は寒が主体(陰証)か、熱が主体(陽証)か?(冷えがあるか、温まると症状は改善するか、倦怠感は強いか、など)(2)虚実はどうか(症状の程度、脈・腹の力)(3)気血水の異常を考える(4)主症状や病名などのキーワードを手掛かりに絞り込む【問診】寒がりですか? 暑がりですか?体の冷えを自覚しますか?のぼせはありませんか?暑がりです。冷えはありません。少しのぼせます。入浴で長くお湯に浸かるのは好きですか?冷房は好きですか?入浴は短いです。冷房は好きです。飲み物は温かい物と冷たい物のどちらを好みますか?のどは渇きませんか?1日どれくらい飲み物を摂っていますか?最近のどが渇いて、冷たい飲み物をよく飲みます。1日1.5L程度です。<頭痛の誘因を確認>頭痛はどのようなときに起こりやすいですか?雨降りと頭痛は関係がありますか?頭痛と月経周期に関連はありますか?雨降り前に多い気がします。月経とは関係がありません。雨降り前や台風接近時など体調が悪くなりませんか?体が重だるかったり、頭痛がするので雨の日は嫌いです。<ほかの随伴症状を確認>疲れやすいですか?横になりたいほどの倦怠感はありますか?倦怠感はありません。普段は食欲はありますか?食欲はあります。尿は1日に何回でますか?夜間尿はありますか?便秘・下痢はありませんか?最近、尿回数が少なくて1日4~5回でした。夜間尿はありません。便は毎日出ます。下痢もありません。月経は順調ですか?月経痛はひどいですか?月経は定期的で月経痛は軽いです。足はむくみやすいですか?めまいや立ちくらみはありませんか?足が夕方になるとむくみます。めまいはしません。乗り物酔いしやすいですか?水を飲むとお腹でチャプンと音がしませんか?乗り物酔いしやすいです。水を飲むとみぞおちでチャプチャプ音がすることがあります。【診察】顔色はやや紅潮、脈診ではやや浮、強弱中間であった。舌は、暗赤色で腫れぼったく(腫大[しゅだい])、舌辺縁部に歯痕(しこん)を認め、湿潤した白舌苔が付着しており、舌下静脈の怒張を認めた。腹診では腹力は中等度、心窩部をスナップをきかせて指で叩くとチャプチャプとした音(振水音)を認めた。触診では四肢に明らかな冷えはなく、皮膚はしっとりと汗ばんでいた。カンファレンス今回は、救急外来を受診した頭痛の症例ですね。現代医学的には、一次性頭痛を片頭痛、筋緊張性頭痛、群発頭痛と鑑別しますね。漢方医学的にも頭痛の要因はさまざまだよ。風邪のひき始めに相当する太陽病では、悪寒・発熱に加えて、頭痛が特徴だね。そのため葛根湯(かっこんとう)は肩こりを伴う筋緊張性頭痛に用いることもあるよ。今回も、陰陽、六病位から考えて気血水のどのパラメーターに異常があるか考えていこう。問診では、暑がり、入浴は短い、冷たい飲み物を好む、倦怠感はないなどから、「陽証」です。さらに脈がやや浮で強弱中間、腹力も中等度であることから「虚実間」ですね。陽証・虚実間でよさそうですね。六病位ではどうでしょう? 陽証は、太陽病・少陽病・陽明病に分類できました。太陽病の特徴である悪寒や発熱はありません。陽明病の特徴である腹満、便秘もみられないので少陽病(第6回「今回のポイント」の項参照)です。よいですね。それでは気血水の異常はどうでしょう?今回は気血水のうち、「水」の異常ではないですか!? 「水」と関連がありそうな所見として、下肢浮腫があります。また、心窩部がチャポチャポする所見や、問診で頭痛が雨降り前に悪化するというところが気になります。現代医学ではあまり注目しないですが…。本症例では「雨降り前に増悪する傾向のある頭痛」が特徴ですね。頭痛のガイドラインでも、片頭痛の誘因として天候の変化や温度差があげられています1)。漢方では雨や低気圧で悪化する症状は水毒(本ページ下部の「今回のポイント」の項参照)です。頭痛やめまいの患者さんに天気との関係を質問すると雨天と関係があるという人がよくいますよ。いままで天気との関係は気にしていませんでした。漢方では症状出現の誘因や様式を考慮することが大切です。一般的に寒くなると悪化する、気温が低くなる明け方に出現するといえば、寒(冷え)の存在を考えます。また、夜間安静時に決まった場所が痛くなる場合は瘀血と考えられます。気の異常は次回勉強しますが、朝がとくに調子が悪い、発作性に症状が出現するなどの特徴があります。面白いですね。これから注意して問診しようと思います。症例に戻りますが、乗り物酔いしやすいことも水毒ですか?乗り物酔いも水毒です。また、水分を飲むわりに尿量や尿回数が少ないことを尿不利(にょうふり)といいます。本症例でも飲水量はおよそ1.5L/日であるのに、尿回数4~5回/日と少なめです。おおよそ1日の尿回数が4~5回以下であれば尿不利を考えるとよいでしょう。排尿に関して、尿量が減少している場合も、多尿であってもどちらも水毒の所見になります。本症例をまとめましょう。【漢方診療のポイント】(1)病態は寒が主体(陰証)か、熱が主体(陽証)か?暑がり、入浴は短い、倦怠感なし冷たい飲み物を好む脈:やや浮→陽証(少陽病)(2)虚実はどうか脈:強弱中間、腹力:中等度→虚実間(3)気血水の異常を考える舌暗赤色、舌下静脈の怒張→瘀血舌の腫大・歯痕、振水音乗り物酔いしやすい下肢浮腫→水毒(4)主症状や病名などのキーワードを手掛かりに絞り込む雨降り前に悪化する頭痛、口渇、自然発汗の傾向、尿不利解答・解説【解答】以上から本症例は、五苓散(ごれいさん)を用いて治療しました。【解説】水毒に対する治療薬を利水剤(りすいざい)といいます。五苓散は最も代表的な利水剤です。五苓散は、桂皮(けいひ)・茯苓(ぶくりょう)・沢瀉(たくしゃ)・猪苓(ちょれい)・朮(じゅつ)の5つの生薬で構成され、このうち桂皮以外は水分代謝を調整する作用がある生薬です。五苓散の3徴として「口渇・自汗(自然発汗の傾向)・尿不利」が挙げられます。夏の暑い時期に水分はたくさん摂るものの、むくんでばててしまったような状態に用います。最近では五苓散はウイルス性胃腸炎にも頻用されます。その場合も発熱によりしっとり汗をかき、嘔吐・下痢のため脱水傾向で尿量が減少する、五苓散の3徴が揃いやすい病態です。五苓散は六病位・虚実による分類では、少陽病・虚実間になります。また注目すべきことに、漢方薬の利水剤は、体内に水が貯留した溢水時には利尿作用をもつが、脱水時にはむしろ抗利尿作用をもつとされ、現代医学のフロセミドなどの利尿剤とは異なる特徴をもちます。なお、本症例は急性の症状なので五苓散を2包飲ませているのもポイントです。片頭痛の発作や回転性めまいの急性期などは五苓散を2~3包と一度に多めに飲ませることが治療効果を高めるうえでのポイントとなります。二日酔いも頭痛がしてのどが渇き、むくんで尿量が少なくなる傾向があることから五苓散の適応です。飲み会の前に予防的に飲むか、翌日、二日酔いになったときに多めに飲むとよいでしょう。漢方医の飲み会では誰かが五苓散を持参していることが多いです。今回のポイント「水毒」の解説漢方では生体内を循環する液体のうち赤い色を「血」、無色を「水」と分けて考えます。水の異常は水毒または、水滞とよび、水の代謝異常と考えて、主に水の過剰・停滞・異常分泌に分類します。具体的には浮腫、胸水、腹水、水様性鼻汁、下痢などです。また、現代医学的には水とつながりにくい症状ですが、頭痛、めまい、立ちくらみ、耳鳴り、嘔気は水毒と関連することが多いです。さらにそれらの症状が雨天(とくに雨降り前)や低気圧の接近により悪化する場合は、水毒による症状だと考えられます。また水毒を示唆する他覚所見を紹介します。舌を観察すると、舌が大きく腫れぼったくなり、舌の幅が口角内に収まりにくいような状態を腫大といいます。また、舌辺縁部に歯による圧迫痕がある場合を歯痕といいます(写真左)。腹部診察では、心窩部(漢方では心下[しんか]という)をスナップをきかせて叩くと、チャポチャポ音がすることを振水音といいます(写真右)。また診察時に振水音がなくても、「水を飲むとチャポチャポ音がしませんか?」と問診で振水音を確認することもあります。参考文献1)日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 監修. 頭痛の診療ガイドライン2021. 医学書院. 2021:p.104-106.

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大腸治療ガイドライン 医師用 2024年版

大腸治療の最新研究を踏まえ、5年ぶりの全面改訂!前版の薬物療法領域の部分改訂を経て、今版ではすべての領域を刷新。内視鏡治療におけるunderwaterEMR(UEMR)、外科治療におけるロボット支援手術、薬物療法におけるアルゴリズム・レジメン、放射線療法における粒子線治療、直腸に対するTotal Neoadjuvant Therapy(TNT)など、最新の研究成果をもとに記載。巻末資料も「大腸取扱い規約 第9版」に準拠し更新された。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する大腸治療ガイドライン 医師用 2024年版定価2,750円(税込)判型B5判頁数188頁発行2024年7月編集大腸研究会ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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第232回 食塩水点鼻で風邪の小児が2日早く回復

食塩水点鼻で風邪の小児が2日早く回復食塩水の点鼻が風邪の小児の回復を早めました。英国・エジンバラ大学のSteve Cunningham氏が欧州呼吸器学会(European Respiratory Society:ERS)年次総会で発表したELVIS-Kids試験結果によると、親が塩を溶かして作る濃い目の食塩水の点鼻でくしゃみや鼻詰まりなどの風邪症状が、そうしなかった小児に比べて2日早く治まりました1,2)。Cunningham氏によると、子供は1年に多ければ10~12回も風邪を引きます。風邪症状を引き起こしうるウイルスは200種を超えます3)。ゆえにそれら全般を網羅してかつ有効な治療を開発するのは困難であり、アセトアミノフェンやイブプロフェンの服用などの治療のほとんどは風邪の期間の短縮ではなく症状を緩和するのみです。Cunningham氏いわく、風邪の回復を早めうる治療はありません。しかし例外的に有望な効果を示しているものがあります。その1つが食塩水の点鼻です。食塩水の鼻への注入や噴霧が症状を減らし、回復を早めることや他の人へ移してしまうのを減らしうることが成人患者を募った先立つ試験で示唆されています4,5)。また、ELVIS-Kids試験を率いたSandeep Ramalingam氏によると、南アジアの人は風邪治療としてしばしば食塩水で鼻をすすいだりうがいをしたりしています。同氏はその治療が本当に効くのかどうかを確かめたいと思っていました。Ramalingam氏の願いがかなって実現したELVIS-Kids試験は6歳までの小児407例を募り、濃い目の食塩水を点鼻する治療といつもの手当てが比較されました。食塩水を点鼻する群の親には海塩を手渡し、それを溶かして2.6%の食塩水を作り、子への1日4回以上の点鼻を症状が解消するまで続けるように指示しました。食塩水の点鼻をしない群の親は子に店頭販売の薬を与えたり、体を休めたりすることを促すなどのいつもの手当てをしました。被験者の小児407例のうち風邪を引いたのは301例で、食塩水を点鼻する群に割り振られたその約半数の150例の風邪症状は、食塩水の点鼻なしの151例に比べて2日早く解消しました。食塩水点鼻群の風邪症状の期間は6日間、食塩水の点鼻なしの群は8日間でした。また、食塩水点鼻群の小児は薬の使用が少なくて済みました。食塩水の点鼻は他の人に風邪を移し難くする作用もあるようで、食塩水点鼻小児の同居人は風邪症状の発生をより免れていました。食塩水点鼻小児の同居人のうち風邪症状を発生したのは半数に満たない41%でしたが、食塩水点鼻なしの小児の同居人はおよそ5人に3人(58%)が風邪を引きました。食塩水点鼻治療の親の反応は良く、そのおかげで子が早く回復したと82%の親が判断しました。また、同じく8割強の81%の親は次も食塩水を点鼻すると言っています。塩は言わずもがなナトリウムと塩素でできています。その塩素が点鼻食塩水の効果を担うのかもしれません。鼻や気管の内側を覆う細胞は塩素を使って抗ウイルス作用を担う次亜塩素酸を作ります。食塩水などで塩素を増やすことはそれら細胞の次亜塩素酸生成を促し、その結果ウイルス複製が収まり、ウイルス感染期間が短縮し、症状の解消を早めうるとCunningham氏は説明しています。ただし、科学ニュースNewScientistによると、米国・バンダービルト大学のWilliam Schaffner氏はその説明を疑っています。ただの水やより低濃度の食塩水を投与する群が試験にあったとしたら、点鼻食塩水がウイルスを討って回復を早めたのか単に鼻粘膜を潤すことで症状を緩和したのかがわかったかもしれないと同氏は述べています6)。参考1)Saline nasal drops reduce the duration of the common cold in young children by two days / European Respiratory Society2)A randomised controlled trial of hypertonic saline nose drops as a treatment in children with the common cold (ELVIS-Kids trial)/ European Respiratory Society (ERS) Congress 20243)About Common Cold / CDC4)Little P, et al. Lancet Respir Med. 2024;12:619-632. 5)Ramalingam S, et al. Sci Rep. 2019;9:1015.6)Evidence mounts that saline nasal drops and sprays help treat colds / NewScientist

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小児の風邪への食塩水点鼻、有症状期間を2日短縮か/ERS2024

 食塩水は風邪症候群の症状の軽減に用いられることがあるが、小児における有効性は明らかになっていない。そこで、上気道感染症を有する小児に対する高張食塩水の点鼻の有用性を検討する無作為化比較試験「ELVIS-Kids試験」が実施された。その結果、高張食塩水を点鼻することで有症状期間の中央値が2日短縮することが示された。2024年9月7~11日にオーストリア・ウィーンで開催された欧州呼吸器学会(ERS International Congress 2024)において、英国・エディンバラ大学のSteve Cunningham氏が報告した。 本研究は、0~6歳の小児407例を対象とした。高張食塩水を点鼻する群(食塩水群)と通常どおりの治療を行う群(通常治療群)に1対1に無作為に割り付け、上気道感染症の発症がみられた301例に対して割り付け治療を実施した。食塩水群は、各鼻孔に3滴ずつ1日4回以上の高張食塩水(2.6%)の点鼻を症状の改善まで行った。評価項目は、日誌評価に基づく上気道感染症の症状、喘鳴などとした。 主な結果は以下のとおり。・有症状期間中央値は、通常治療群が8日(四分位範囲:5~11)であったのに対し食塩水群は6日(同:5~9)であり、食塩水群が有意に短縮した(p=0.004)。症状が認められてから24時間以内に点鼻を開始したサブグループでは、食塩水群で有症状期間が有意に短縮したが(p=0.002)、24時間超経過してから点鼻を開始したサブグループでは、有症状期間の短縮はみられなかった。・ライノウイルスのみが検出されたサブグループにおいて喘鳴がみられた割合は、通常治療群が18%であったのに対し食塩水群は4%であり、食塩水群が有意に低かった(p=0.014)。・対象の小児の家族に上気道感染症の発症がみられた割合は、通常治療群が61%であったのに対し食塩水群は46%であり、食塩水群が有意に低かった(p=0.008)。・市販薬の使用は、通常治療群が36%であったのに対し食塩水群は25%であり、食塩水群が有意に少なかった(p=0.04)。

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ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、HFmrEFとHFpEFにおける有効性は?/Lancet

 左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者ではステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)により、左室駆出率が軽度低下した心不全(HFmrEF)または左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)患者では非ステロイド型MRAにより、心血管死または心不全による入院のリスクが減少することを、英国・グラスゴー大学のPardeep S. Jhund氏らが4つの大規模臨床試験、「RALES試験」「EMPHASIS-HF試験」「TOPCAT試験」「FINEARTS-HF試験」のメタ解析の結果、報告した。MRAはHFrEF患者の入院および死亡を減少させるが、HFmrEFまたはHFpEF患者におけるベネフィットは不明であった。Lancet誌オンライン版2024年9月1日号掲載の報告。4件の大規模臨床試験、約1万4,000例の個人データをメタ解析 研究グループは、左室駆出率(LVEF)35%以下のHFrEF患者を対象としたRALES試験(スピロノラクトン)およびEMPHASIS-HF試験(エプレレノン)(以下、HFrEF試験)、ならびにHFmrEFまたはHFpEF患者を対象としたTOPCAT試験(LVEF45%以上、スピロノラクトン)およびFINEARTS-HF試験(LVEF40%以上、フィネレノン)(以下、HFmrEF/HFpEF試験)のデータを統合し、計1万3,846例の個別患者レベルのメタ解析を実施した。 主要アウトカムは、心不全による初回入院または心血管死までの期間の複合、副次アウトカムは、心不全による初回入院までの期間、心不全による全入院(初回または再入院)、心不全による全入院と心血管死、心血管死、全死因死亡についてMRAの効果を推定した。血清クレアチニン、推定糸球体濾過率、血清カリウム、収縮期血圧などの安全性も評価した。統計解析では、試験と治療の相互作用を検証し、これらの集団における有効性の異質性を検討した。ステロイド型MRAはHFrEF、非ステロイド型MRAはHFmrEFまたはHFpEFで有効 全体としてプラセボ群に対するMRA群の、心不全による初回入院または心血管死に関するハザード比(HR)は0.77(95%信頼区間[CI]:0.72~0.83)であった。しかし、試験と治療効果との間に統計学的に有意な交互作用が認められ(交互作用のp=0.0012)、MRA群の有効性は、HFmrEF/HFpEF試験(0.87、0.79~0.95)と比較してHFrEF試験(HR:0.66、95%CI:0.59~0.73)で、より大きかった。 試験間の治療効果の異質性は、心不全による全入院(心血管死の有無にかかわらず)、心血管死、および全死因死亡においても同様に認められた。心不全による初回入院に関するMRA群のHRは、HFrEF試験では0.63(95%CI:0.55~0.72)、HFmrEF/HFpEF試験では0.82(0.74~0.91)であった(交互作用のp=0.022)。心不全による全入院についても同様の結果であった。 心血管死についてMRA群の有効性は、HFrEF試験では低かったが(HR:0.72、95%CI:0.63~0.82)、HFmrEF/HFpEF試験では低下はみられなかった(0.92、0.80~1.05)。全死因死亡についても同様で、プラセボ群に対するMRA群のHRは、HFrEF試験が0.73(95%CI:0.65~0.83)に対し、HFmrEF/HFpEF試験は0.94(95%CI:0.85~1.03)であった。 安全性に関しては、すべての試験でプラセボ群と比較してMRA群で中等度(>5.5mmol/L)または重度(>6.0mmol/L)の高カリウム血症のリスクが倍増したが(オッズ比[OR]:2.27、95%CI:2.02~2.56)、重度高カリウム血症の絶対リスク(発現割合)は低く、MRA群で約2.9%、プラセボ群で約1.4%であった。一方、低カリウム血症(<3.5mmol/L)のリスクは、すべての試験でMRA群(7%)がプラセボ群(14%)と比較して半減した(OR:0.51、95%CI:0.45~0.57)。

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TAVI周術期の経口抗凝固薬、継続vs.中断/NEJM

 経口抗凝固療法の適応を有する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)施行患者において、周術期の経口抗凝固薬継続は中断と比較し、TAVI後30日以内の心血管死、全脳卒中、心筋梗塞、主要血管合併症または大出血の複合アウトカムに関する非劣性は認められなかった。オランダ・St. Antonius HospitalのDirk Jan van Ginkel氏らが、欧州22施設で実施された医師主導の無作為化非盲検非劣性試験「Periprocedural Continuation versus Interruption of Oral Anticoagulant Drugs during Transcatheter Aortic Valve Implantation trial:POPular PAUSE TAVI試験」の結果を報告した。TAVIを受ける患者の3分の1は、併存疾患のため経口抗凝固薬の適応がある。TAVI中の経口抗凝固薬中断は出血リスクを軽減する可能性がある一方で、継続は血栓塞栓性イベントのリスクを軽減する可能性があった。NEJM誌オンライン版2024年8月31日号掲載の報告。約869例を無作為化、主要アウトカムは心血管死、全脳卒中、心筋梗塞等の複合 研究グループは、長期間経口抗凝固薬の投与を受けており大腿動脈または鎖骨下動脈アプローチによるTAVIを受ける予定の患者を、周術期に経口抗凝固薬を継続する群または中断する群に、施設および経口抗凝固薬の種類(ビタミンK拮抗薬、直接経口抗凝固薬)で層別化して1対1の割合で無作為に割り付けた。 中断群では、ダビガトラン投与中の腎不全合併患者を除き、直接経口抗凝固薬を投与中の患者はTAVIの48時間前、ダビガトラン投与中でeGFRが50~80mL/分/1.73m2の患者は72時間前、同30~50mL/分/1.73m2未満の患者は96時間前に中断した。ビタミンK拮抗薬投与中の患者では、acenocoumarolはTAVIの72時間前、phenprocoumonおよびワルファリンは120時間前に中断した。ヘパリンまたは低分子ヘパリンによるブリッジングは開始しなかった。TAVI後は、いずれも術者または担当医が安全と判断した時点で再開した。 継続群では、TAVI当日も含めて経口抗凝固薬を継続した。 主要アウトカムは、TAVI後30日以内の心血管死、全脳卒中、心筋梗塞、主要血管合併症、または大出血(VARC-3基準の2以上)の複合であった。主要解析は、無作為割り付けされた全患者のうち、TAVIが予定日の5日以上前にキャンセルされた患者を除いた修正ITT集団を対象とした。 2020年11月~2023年12月に計869例が無作為に割り付けられ(継続群435例、中断群434例)、858例が修正ITT集団となった(それぞれ431例、427例)。16.5% vs.14.8%、継続群の非劣性は示されず 主要アウトカムの複合イベントは、継続群で71例(16.5%)、中断群で63例(14.8%)に発生した。絶対群間差(リスク差)は1.7%ポイント(95%信頼区間[CI]:-3.1~6.6、非劣性のp=0.18)で、事前に設定した非劣性マージン(4.0%)を満たさなかった。 副次アウトカムである血栓塞栓性イベントは、継続群で38例(8.8%)、中断群で35例(8.2%)に発生した(群間リスク差:0.6%ポイント、95%CI:-3.1~4.4)。また、全出血は、それぞれ134例(31.1%)、91例(21.3%)に認められた(9.8%ポイント、3.9~15.6)。 なお、著者は、非盲検試験であること、神経学的検査や神経画像検査は行われなかったこと、血栓塞栓症と出血の2つのアウトカムではなく主要複合アウトカムとして非劣性の検出力が設定されたこと、ほぼ全例で大腿動脈アプローチが用いられたため本結果をTAVIの他の血管アクセスアプローチに一般化できないことなどを、研究の限界として挙げている。

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双極症に対するリチウム使用、23年間の変遷

 薬剤の疫学データによると、双極症に対するリチウムの使用は、徐々に減少しており、他の適応症への注目も低下している。ドイツ・ミュンヘン大学のWaldemar Greil氏らは、1994~2017年のリチウム処方の変化を調査した。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2024年8月22日号の報告。 ドイツ、オーストリア、スイスの精神科病院を含む精神医学における薬物安全性プログラムAMSPのデータを用いて、1994~2017年のリチウム処方を分析した。さまざまな疾患に対するリチウムの使用は、2001年以前と以降および3つの期間(T1:1994~2001年、T2:2002~09年、T3:2010~17年)により比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象は、成人入院患者15万8,384例(女性の割合:54%、平均年齢:47.4±17.0歳)。・リチウム処方は、統合失調症スペクトラム患者で2001年以前の7.7%から2001年以降の5.1%へ、情動障害患者では16.8%から9.6%へと、統計学的に有意な減少が確認された。・各疾患サブグループにおいてもリチウム処方の減少が認められた。【統合失調感情障害(ICD-10:F25)】27.8%→17.4%(p<0.001)【双極症(ICD-10:F31)】41.3%→31.0%(p<0.001)【うつ病エピソード(ICD-10:F32)】8.1%→3.4%(p<0.001)【再発性うつ病(ICD-10:F33)】17.9%→7.5%(p<0.001)【情緒不安定、境界性パーソナリティ障害】6.3%→3.9%(p=0.01)・T1、T2、T3における比較は次のとおりであり、双極症に対するリチウム処方は、2002年以降、あまり減少していなかった。【統合失調感情障害】26.7%→18.2%→16.2%【双極症】40.8%→31.7%→30.0%【うつ病エピソード】7.7%→4.2%→2.7%【再発性うつ病】17.2%→8.6%→6.6%・リチウムと併用された主な向精神薬は、クエチアピン(21.1%)、ロラゼパム(20.6%)、オランザピン(15.2%)であった。 著者らは「入院患者に対するリチウム処方は、双極症だけでなく、さまざまな疾患において減少していることが確認された」としている。

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国内初承認のダニ媒介性脳炎ワクチンを発売/ファイザー

 ファイザーは9月13日付のプレスリリースにて、成人および小児におけるダニ媒介性脳炎の発症を予防する国内初の承認ワクチン「タイコバック(R)水性懸濁筋注0.5mL」および「タイコバック(R)小児用水性懸濁筋注0.25mL」(一般名:組織培養不活化ダニ媒介性脳炎ワクチン)を、同日より発売したことを発表した。 本剤は、1970年代にIMMUNO社が開発した不活化ダニ媒介性脳炎ウイルスワクチンで、最初に市販された組織培養由来ダニ媒介性脳炎ワクチン。その後の改良を経て、ダニ媒介性脳炎の流行国を中心に使用されている。ファイザーは、2015年にバクスターから本剤の製造販売承認を承継した。 ダニ媒介性脳炎は、ダニ媒介性脳炎ウイルス(tick-borne encephalitis virus:TBEV)を保有するマダニに刺咬されることで感染する疾患だ。急性ダニ媒介性脳炎の経過や長期的転帰は、感染したTBEVの亜型により異なる。日本では、北海道で極東亜型ウイルスが分布していると報告されており、感染すると徐々に頭痛、発熱、悪心、嘔吐などの髄膜炎症状が現れ、脳脊髄炎などを発症すると、精神錯乱、昏睡、痙攣、麻痺などの中枢神経症状を呈する。極東亜型の致死率は20%以上で、生存者の30~40%に神経学的後遺症がみられるなど、最も重篤な経過をたどると報告されている1)。しかし、有効な治療法がなく、本ワクチンによる予防が重要な役割を担うと見込まれている。 海外では、英国、ノルウェー、フランス、ドイツ、ロシアを含むヨーロッパ、東アジアなどで毎年1万~1万5,000件の発生が報告されているものの、日本では2018年に発生した国内5例目以降の報告はなかった。しかし、2024年6月に札幌市で6例目、7月に函館市で7例目の発生が報告された2)。これまでに国内で報告された7例はすべて北海道で発生しているが、原因不明の中枢神経系疾患患者の血液を後方視的に調査した報告では、東京都、岡山県、大分県でTBEV抗体陽性例が示されている3,4)。また、栃木県、島根県、長崎県などにおいても抗TBEV抗体を保有する動物が確認されていることから、これらのウイルスが国内に広く分布していることが示唆されている4,5)。ダニ媒介性脳炎は、疾患認知や検査体制が十分に整っていないなどの理由から、急性脳炎などを発症しても診断に至っていない可能性が示唆されており、本邦におけるダニ媒介性脳炎の実態は十分に把握されていない。 本剤は1970年代から欧州を中心に広く使用されており、本邦では「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて医療上の必要性が高い医薬品と評価され、2019年9月19日にファイザーが厚生労働省から本剤の開発要請を受けた。この開発要請を受け同社が実施した国内第III相試験の結果などに基づき、2024年3月26日に承認された。本剤の接種により、TBEVに感染する可能性のある地域居住者や、ダニ媒介性脳炎の流行地域への渡航者の感染を予防することが期待される。<用法及び用量>タイコバック(R)水性懸濁筋注0.5mL・接種対象者:16歳以上の者・初回免疫の場合、1回0.5mLを3回、筋肉内に接種する。2回目接種は、1回目接種の1~3ヵ月後、3回目接種は、2回目接種の5~12ヵ月後に接種する。免疫の賦与を急ぐ場合には、2回目接種を1回目接種の2週間後に行うことができる。・追加免疫の場合、1回0.5mLを筋肉内に接種する。[用法及び用量に関連する注意]・追加免疫について、必要に応じて3回目接種の3年後に追加免疫を行い、以降は16~60歳では5年ごと、60歳以上では3年ごとの追加免疫を行うこと。・0.25mL接種対象者には使用しないこと。タイコバック(R)小児用水性懸濁筋注0.25mL・接種対象者:1歳以上16歳未満の者・初回免疫の場合、1回0.25mLを3回、筋肉内に接種する。2回目接種は、1回目接種の1~3ヵ月後、3回目接種は、2回目接種の5~12ヵ月後に接種する。免疫の賦与を急ぐ場合には、2回目接種を1回目接種の2週間後に行うことができる。・追加免疫の場合、1回0.25mLを筋肉内に接種する。[用法及び用量に関連する注意]・追加免疫について、必要に応じて3回目接種の3年後に追加免疫を行い、以降は5年ごとの追加免疫を行うこと。・0.5mL接種対象者には使用しないこと。水性懸濁筋注0.5mL、小児用水性懸濁筋注0.25mL共通事項・2回目接種意向に接種が中断された場合は、できるだけ速やかに接種し、以降の接種を継続すること。・医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。・初回免疫完了前にダニ媒介性脳炎ウイルスに感染するリスクがある場合(ダニ媒介性脳炎流行時期における流行地域への渡航等)は、その前に本剤を2回接種すること。

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仕事のストレスで心房細動に?

 職場で強いストレスにさらされていて、仕事の対価が低いと感じている場合、心房細動のリスクがほぼ2倍に上昇することを示す研究結果が報告された。ラヴァル大学(カナダ)のXavier Trudel氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に8月14日掲載された。 心房細動は不整脈の一種で、自覚症状として動悸やめまいなどを生じることがあるが、より重要な点は、心臓の中に血液の塊(血栓)が形成されやすくなることにある。形成された血栓が脳の動脈に運ばれるという機序での脳梗塞が起こりやすく、さらにこのタイプの脳梗塞は梗塞の範囲が広く重症になりやすい。 これまでに、仕事上のストレスや職場の不当な評価の自覚が、冠動脈性心疾患(CHD)のリスクを高めることが報告されている。しかし、心房細動のリスクもそのような理由で高まるのかは明らかでない。この点についてTrudel氏らは、カナダのケベック州の公的機関におけるホワイトカラー労働者対象疫学研究のデータを用いて検討した。 解析対象は、ベースライン時に心血管疾患の既往のない5,926人で、平均年齢45.3±6.7歳、女性が51.0%を占めていた。この人たちの医療記録を平均18年間にわたり追跡したところ、186人が心房細動を発症していた。心房細動を発症した人の19%は、アンケートにより「仕事上のストレスが強い」と回答した人だった。また25%は「自分の仕事が正当に評価されず対価が低すぎる」と感じていた。そして10%の人は、それら両者に該当した。 心房細動のリスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、飲酒・喫煙・運動習慣、BMI、教育歴、高血圧、糖尿病、脂質異常症、降圧薬の処方、心血管疾患の家族歴)を調整後、仕事上のストレスを強く感じている人はそうでない人に比べて、心房細動のリスクが83%高いことが分かった(ハザード比〔HR〕1.83〔95%信頼区間1.14〜2.92〕)。また、仕事の評価や対価が低いと感じている人はそうでない人より、心房細動のリスクが44%高かった(HR1.44〔同1.05〜1.98〕)。そして、それら両者に該当する人の心房細動リスクは97%高かった(HR1.97〔同1.26~3.07〕)。 この結果について著者らは、「仕事上のストレスや職場での不当な評価の自覚は、CHDだけでなく心房細動のリスク増大とも関連している。職場での心理社会的ストレスをターゲットとした疾患予防戦略が必要ではないか」と述べている。そのような予防戦略の具体的な施策としてTrudel氏は、大規模なプロジェクトはその進行ペースを落として労働者の負担を軽減すること、柔軟な勤務体系を導入すること、管理者と労働者が定期的に日常の課題について話し合うことなどを挙げている。 米国心臓協会(AHA)によると、心房細動は心臓関連の死亡リスクを2倍にし、脳卒中のリスクを5倍に高めるという。また、米国内の心房細動の患者数は2030年までに、1200万人以上に拡大することが予想されているとのことだ。

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IGTからの糖尿病発症を4年防げば長期予後が改善する

 耐糖能異常(IGT)該当者が食事・運動療法によって糖尿病未発症の状態を4年間維持できれば、長期予後が改善することを示すデータが報告された。ただし、未発症期間が4年よりも短い場合、この効果は得られないという。中国医学科学院・北京協和医学院(中国)のXin Qian氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS Medicine」に7月9日掲載された。 IGTなどの糖尿病予備群の状態から生活習慣を改善し糖尿病発症を防ぐことで、将来の合併症リスクが低下することは、既に複数の研究によって示されている。しかし、糖尿病発症を何年先延ばしにすればそのような効果を期待できるのかは、これまで明らかにされていない。そこでQian氏らは、中国・大慶市(Da Qing)在住のIGT該当者に対する6年間の食事・運動介入による糖尿病抑制効果を検討した「大慶糖尿病予防研究(DQDPS)」のデータを事後解析し、この点を検討した。 解析対象は、75gブドウ糖負荷試験によりIGTと判定されていた540人。これらDQDPS参加者は、食事療法群、運動療法群、食事療法と運動療法の併用群、および、どちらの介入も行わない対照群に割り付けられた。耐糖能は2年ごとに評価され、2年目に糖尿病と診断された人は13.0%、4年目では33.0%、6年目では48.9%だった。今回の研究ではDQDPS終了から30年間追跡し、死亡、心血管イベント、細小血管症というエンドポイントの発生で長期予後を比較した。 結果に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、喫煙、BMI、血圧、血清脂質、血糖値、DQDPSにおける介入の割り付け、および降圧薬、脂質改善薬、血糖降下薬の処方)を調整後の解析で、IGTから糖尿病の発症までの期間が4年以上であった場合には、長期予後が良好であることが明らかになった。 例えば、4年目に糖尿病を発症していなかった人は発症していた人に比べて、全死亡のハザード比(HR)が0.74(95%信頼区間0.57~0.97)であり、心血管イベントはHR0.63、細小血管症はHR0.62であって、いずれも有意なリスク低下が観察された。心血管死リスクについては、4年目の糖尿病の有無では有意差がなかったが(HR0.84〔同0.58~1.22〕)、6年目にも糖尿病未発症だった人は有意に低リスクであった(HR0.56〔同0.39~0.81〕)。一方、2年目の糖尿病の有無での比較では、いずれのエンドポイントの発生率も、有意差が見られなかった。 この結果から著者らは、「IGTの人は糖尿病の発症を先延ばしするほど、長期的な健康状態が良くなることが示唆される。IGTから糖尿病の発症、および糖尿病関連の血管合併症を抑制するために、効果的な介入を検討すべきだ」と述べている。

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脳梗塞入院時の口腔状態が3カ月後の生活自立度と有意に関連

 脳梗塞で入院した時点の歯や歯肉、舌などの口腔状態が良くないほど、入院中に肺炎を発症したり、退院後に自立した生活が妨げられたりしやすいことを示すデータが報告された。広島大学大学院医系科学研究科脳神経内科学の江藤太氏、祢津智久氏らが、同大学病院の患者を対象に行った研究の結果であり、詳細は「Clinical Oral Investigations」に7月19日掲載された。 全身性疾患の予防や治療における口腔衛生の重要性に関するエビデンスが蓄積され、急性期病院の多くで入院中に口腔ケアが行われるようになってきた。ただし、脳梗塞発症時点の口腔状態と機能的転帰や院内肺炎リスクとの関連については不明点が残されていることから、祢津氏らはこれらの点について詳細な検討を行った。 2017年7月~2023年8月に脳梗塞急性期治療のため同院へ入院し、データ欠落がなく発症前の生活が自立していた(修正ランキンスケール〔mRS〕2点以下)連続247人を解析対象とした。口腔状態は、歯や歯肉だけでなく、舌や口唇、口内粘膜の状態、および含漱(うがい)ができるか否かなどの8項目を評価する指標(modified oral assessment grade;mOAG)で判定した。mOAGは同院の西裕美氏らが独自に開発した口腔衛生状態を表す指標で、0~24点の範囲にスコア化され、スコアが高いことは口腔状態の不良を意味する。 入院3カ月後のmRSの評価で、137人(55.5%)が転帰良好(スコア上限が2点〔仕事や活動に制限はあるが日常生活は自立している〕)、110人(44.5%)が転帰不良(スコア下限が3点〔食事やトイレなどは介助不要だが外出時には介助を要する〕)と判定された。入院時の口腔状態は、転帰良好群がmOAGスコアの中央値6点(四分位範囲5~7)、転帰不良群が11点(同10~14)で、後者が有意に高値(不良)だった(P<0.001)。 交絡因子(年齢、性別、BMI、喫煙・飲酒習慣、脳卒中の既往、併存疾患、入院前mRSスコア、神経学的重症度〔NIHSSスコア〕、発症から入院までの期間など)を調整した多変量解析の結果、入院時のmOAGスコアが予後不良に独立した関連のあることが明らかになった(1点高いごとにオッズ比〔OR〕1.31〔95%信頼区間1.17~1.48〕)。mOAGスコアで予後不良を予測する最適なカットオフ値は7であり、感度83.9%、特異度65.5%、予測能(AUC)0.821と計算された。またmOAGスコアが7点以上の場合、予後不良のオッズ比は4.26(2.14~8.66)だった。 入院中に肺炎を発症したのは13人(5.3%)だった。入院時の口腔状態は、肺炎非発症群がmOAGスコアの中央値6点(四分位範囲4~9)、肺炎発症群が10点(同8~12)で、後者が有意に高値(不良)だった(P<0.001)。 交絡因子を調整した多変量解析の結果、入院時のmOAGスコアが院内肺炎発症に独立した関連のあることが明らかになった(1点高いごとにOR1.21〔95%信頼区間1.07~1.38〕)。mOAGスコアで院内肺炎発症を予測する最適なカットオフ値は8であり、感度84.6%、特異度64.5%、AUC0.783と計算された。またmOAGスコアが8点以上の場合、院内肺炎発症のオッズ比は7.89(1.96~52.8)だった。 なお、同院では全入院患者に対して標準化されたプロトコルに基づく口腔ケアが実施されている。その結果、入院中にmOAGが2回評価されていた患者(159人)のうち91人は、mOAGスコアの改善を認めた。しかしこの改善と、3カ月後のmRSや院内肺炎発症率との関連は有意でなかった。その理由として、「mOAGが2回評価されていた患者は重症例が多かったためではないか」との考察が加えられている。 以上一連の結果を基に著者らは、「脳梗塞急性期のmOAGスコアは、院内肺炎リスクや3カ月後の機能的予後と独立して関連していた。脳梗塞患者の入院に際して、口腔状態の評価結果を医療従事者間で共有し、積極的な口腔衛生介入をすべきではないか」と述べている。

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表在性子宮内膜症でも卵巣がんリスクは増加、子宮内膜症サブタイプと卵巣がんリスクの研究(解説:前田裕斗氏)

 子宮内膜症、とくに卵巣チョコレートのう腫が卵巣がんの強いリスク因子であることは広く知られている。この研究ではこの事実を深掘りし、子宮内膜症のサブタイプ(表在性子宮内膜症[腹膜、子宮・卵管表面]、卵巣子宮内膜症[チョコレートのう腫]、深部浸潤性子宮内膜症[ダグラス窩、小腸、膀胱、仙骨子宮靭帯]、その他)など、および卵巣がんの組織型(I型[低異型度漿液性腺がん、類内膜腺がん、明細胞腺がん、粘液性腺がん]、II型[高異型度漿液性腺がん])の双方を考慮したリスク変化について報告している。統計的手法についても、参加者数の十分多い人口ベースのコホートであり、子宮内膜症の誤診可能性についても感度分析を行うなど、さまざまな配慮がなされている。 メインの結果となる子宮内膜症群での卵巣がん、とくにI型卵巣がんのリスク上昇はさもありなんという感じである(詳しい数値については別記事を参照されたい)。一方、本研究ならではの結果としてFigure2やSupplementary FileのeTable3,4に注目したい。子宮内膜症のサブタイプ別で見た際に、チョコレートのう腫を持たない深部子宮内膜症(aHR:18.76[95%信頼区間CI:10.78~32.66])、さらには表在性子宮内膜症(aHR:2.82[95%CI:2.27~3.51])であっても全卵巣がんのリスクが高まると報告されている。深部子宮内膜症の結果については信頼区間の幅が広く精度に問題はあるが、表在性でリスクが上がるのであれば深部病変でも上がると考えてよいだろう。 この結果は、臨床診断あるいは手術中偶発的に見つかった表在性内膜症でも低用量ピルやジエノゲストによる治療を行うことの利益を示唆している。ただし、この研究では低用量ピルなど薬の影響については考慮していないことから、表在性子宮内膜症についても低用量ピルなどの治療が卵巣がんの予防について効果があるのかについては、さらなる研究が求められる。

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第210回 在宅医療の看取り件数が急増、訪問看護も利用拡大、コロナ禍で在宅ケアが進展/慈恵医大

<先週の動き>1.在宅医療の看取り件数が急増、訪問看護も利用拡大、コロナ禍で在宅ケアが進展/慈恵医大2.2025年度専攻医募集数のシーリングは継続、シーリング逃れに対策を/厚労省3.大学病院の医師、残業時間の上限緩和申請は4割に、研究時間不足が課題/全国医学部長病院長会議4.医療訴訟の発生率、東京・大阪が高く、茨城、福島、岐阜などは低め/東邦大5.働き方改革の影響で9大学病院が医師派遣の取り止めや中止を検討/全国医学部長病院長会議6.「疲労回復」謳う美容医療、治療効果にエビデンスなし、クリニックを提訴/消費者機構日本1.在宅医療の看取り件数が急増、訪問看護も利用拡大、コロナ禍で在宅ケアが進展/慈恵医大新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、在宅医療における看取りが急増したことが、東京慈恵会医科大学の青木 拓也准教授らの研究で明らかになった。調査は、2020年4月の緊急事態宣言を境に、終末期医療の利用や自宅での看取りが急増したことを示している。病院での受診控えや面会制限が影響し、在宅でのケアが選ばれるケースが増えたと考えられる。研究チームは、厚生労働省のNDBデータベースを用いて2019~2022年にかけて在宅医療サービスの利用動向を分析。訪問診療に大きな変化はみられなかったが、往診や終末期医療は増加傾向にあった。また、訪問看護の利用件数も増加しており、とくに医療保険適用型の訪問看護費が過去10年間で5.4倍に増加していることが、共同通信の分析で明らかになった。利用者数が4倍近く増加したことに加え、1人当たりの費用も1.4倍に増えたことが、費用増加の主因とされる。医療保険適用型の増加幅は介護保険適用型を大幅に上回っており、入院患者の早期在宅復帰を促す政策や、医療保険には利用限度額がないことが背景にある。訪問看護を巡っては、精神科や難病患者を対象にした診療報酬の過剰請求が指摘されており、利益を目的にした一部事業者による制度の乱用が費用増加の一因とも考えられている。財務省はこの問題を医療財政の圧迫要因として問題視しており、今後の対策が注目される。参考1)自宅でのみとり急増 緊急事態宣言境に、終末期医療も 受診控え、面会制限影響か・慈恵医大など(時事通信)2)医療保険の訪問看護費5倍 10年間、1人当たりも増加(共同通信)2.2025年度専攻医募集数のシーリングは継続、シーリング逃れに対策を/厚労省厚生労働省は、9月9日に医師専門研修部会を開き、日本専門医機構が提案した2025年度の専攻医募集に関するシーリング案を審議し、特別地域連携プログラムにおける新要件を却下する方針を決定した。この結果、2024年度と同様のシーリングを継続することになった。新要件は、医師充足率が0.7以下(小児科は0.8以下)の都道府県で医師を1年以上派遣する案だったが、地域内での医師偏在を助長する恐れがあるとの意見が相次ぎ、採用を見送った。今後、1ヵ月以内に厚生労働大臣の意見として正式に日本専門医機構に伝達する予定。一方で、「シーリング逃れ」と呼ばれる問題が引き続き指摘されている。これは、シーリング対象外のプログラムが、実際にはシーリング対象地域で長期間の研修を行う形態を指し、その実態把握と報告が求められている。また、特別地域連携プログラムに関しては、地域偏在是正の実効性を検証し、今後の改良が提案される予定。厚労省は、医師偏在是正に向けた総合的対策を2024年末までに策定する予定であり、9月5日に開いた社会保障審議会・医療部会では、医師偏在是正に向けた対策を議論し、偏在是正のために若手医師だけに負担をかけるのではなく、即戦力となる40歳以上の医師に対する施策の強化が求められている。参考1)令和7年度専攻医募集におけるシーリング案に対する厚生労働大臣からの意見案(厚労省)2)医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案について(同)3)2025年度プログラム募集専攻医シーリング数(案)(日本専門医機構)4)2025年度の新専門医目指す専攻医募集、「玉突き案」は却下、「シーリング逃れ」の実態を解明-医師専門研修部会(Gem Med)5)医師偏在対策の総合パッケージ策定に向け医療部会で議論スタート「若手医師による偏在対策はもう限界」、少数区域に中堅医師の派遣求める声も(日経メディカル)3.大学病院の医師、残業時間の上限緩和申請は4割に、研究時間不足が課題/全国医学部長病院長会議9月11日に全国医学部長病院長会議は、医師の働き方改革施行後の令和6年4月の状況について、大学病院の医師の働き方改革に関するアンケート調査結果を発表した。これによると、大学病院に勤務する医師のうち、時間外労働の上限緩和を申請した医師が4割に達したことが明らかになった。これは2024年4月に導入された医師の働き方改革に伴い、年間960時間の時間外労働上限が1,860時間に引き上げられる特例措置を活用した結果で、2022年の調査時の34%から増加している。調査は全国82の大学病院を対象に行われ、約4万2,000人の医師のうち41%が特例措置を申請していることが判明した。また、医師の約56%が週平均5時間以下の研究時間しか確保できていないことが指摘され、とくに20歳代の医師では96%がこの状況にある。若手医師が診療業務に追われ、十分な研究時間が確保できていない実態が浮き彫りとなり、医療の将来に重大な影響を及ぼす可能性があると懸念されている。一方、労働時間の短縮は徐々に進んでおり、週50時間未満で勤務する医師の割合は49.6%となり、2022年の調査よりも8.1ポイント増加している。複数主治医制の導入や業務の時間内完了を進める取り組みが功を奏しているが、週60時間以上働く医師が依然として3割を超えており、とくに外科や小児科での改善が求められている。また、大学病院の給与に関しては、20歳代医師の87%、30歳代では51%が年収500万円未満であることが明らかとなり、国立病院や一般医療機関と比べて低い水準にあることが問題視されている。働き方改革を進めるためには、ICTの活用やタスクシフトの推進が求められており、診療報酬による支援が必要とされている。参考1)大学病院の医師の働き方改革に関するアンケート調査結果2)医師の残業時間、4割が上限緩和申請 大学病院団体調べ(日経新聞)3)若手医師の研究時間が少なく「医療の将来に重大な影響」 医師の働き方改革で調査(産経新聞)4)週50時間未満勤務の大学病院医師49.6% 4月時点 22年7月から8.1ポイント増(CB news)4.医療訴訟の発生率、東京、大阪が高く、茨城、福島、岐阜などは低め/東邦大学東邦大学薬学部の平賀 秀明講師らの研究グループは、最高裁判所の協力を得て2005~2021年にかけて全国の地方裁判所に提訴された医事関係訴訟の都道府県別発生率を調査した結果、発生率に地域差があることを明らかにした。今後、地域ごとの医療安全対策や医療事故後の患者応対、訴訟実務における指針として活用されることが期待される。調査によると、人口100万人当たりの医事関係訴訟発生率が全国平均(6.30件/年)と比べて有意に高い地域は東京都(12.97件/年)および大阪府(10.99件/年)。逆に、発生率が有意に低い地域は茨城県(1.77件/年)、福島県(1.93件/年)、岐阜県(2.50件/年)など12地域に及ぶ。また、医療機関1,000施設当たりや医師・歯科医師1,000人当たりの発生率においても、東京と大阪が高く、茨城、福島、岐阜などでは低い傾向がみられた。この地域差の要因については、医療機関側の過誤が少ないことや、弁護士不足による訴訟へのアクセスの違いが影響している可能性が指摘され、追加解析が進められている。今後、地域ごとの実情に応じた医療訴訟対策が求められる。この研究は、2024年7月31日に『医療の質・安全学会誌』に公開された。参考1)最高裁判所の協力を得て医事関係訴訟の都道府県別発生率を調査~発生率における地域差の存在が明らかに~(東邦大学)2)東邦大学 医事関係訴訟の都道府県別発生率に地域差 東京、大阪が高く、茨城、福島、岐阜等12地域は低い(ミクスオンライン)5.働き方改革の影響で9大学病院が医師派遣の取り止めや中止を検討/全国医学部長病院長会議2024年4月に始まった医師の働き方改革により、全国9つの大学病院が他の医療機関への医師派遣を取りやめ、または中止を検討していることが明らかになった。この調査は、全国医学部長病院長会議が82の大学病院を対象に実施したアンケート結果から判明したもので、働き方改革に伴う時間外労働の制限が影響を及ぼしている。調査結果によると、82の大学病院のうち、9つの病院が派遣中止や検討をしており、24の病院では勤務体制の見直しが進められている。具体的には、勤務間インターバルの導入などにより、医師の負担軽減を図る取り組みが行われている。一方、53の病院では現時点でとくに派遣に関する変更はないとされている。働き方改革により、医師の労働時間は減少傾向にあるが、とくに若手医師は診療業務、教授クラスの医師は研究業務に影響が出ている。若手医師の78%が診療時間の増加を感じており、教授の66%が研究時間の減少を挙げている。これにより、研究の遅れや診療体制の見直しが必要となっている。全国医学部長病院長会議の相良 博典会長は、「大学病院は地域医療にとって重要な存在であり、派遣中止が広がれば医療崩壊のリスクが高まる」と懸念を表明。今後、国に対して待遇の改善や医師確保に向けた対策を求めていく考えを示している。医師派遣の中止や制限が進むことで、地域医療に大きな影響を与える可能性があり、早急な対応が求められている。参考1)大学病院の医師の働き方改革に関するアンケート調査結果(全国医学部長病院長会議)2)全国9大学病院 ほかの医療機関への医師派遣 取りやめ 中止検討(NHK)3)医師派遣の取りやめ・中止検討、大学病院1割超で 4月時点 AJMC調査(CB news)6.「疲労回復」謳う美容医療、治療効果にエビデンスなし、クリニックを提訴/消費者機構日本特定適格消費者団体「消費者機構日本」は9月10日、東京都渋谷区のクリニック「サカイクリニック62」を相手取り、同クリニックが提供する自由診療に関するインターネット広告の表示が景品表示法における「優良誤認表示」に該当するとして、広告の停止を求める訴訟を東京地裁に起こした。クリニックは「疲労回復」や「アンチエイジング」などの効能を謳ったが、これらの効果には医学的なエビデンスがなく、厚生労働省も安全性に関する注意喚起を行っていた。提訴の対象となったのは、点滴や温熱療法など8種類の治療法に関する広告で、これらに関する効果を裏付ける客観的な医学的証拠がないことが問題視された。とくに「エクソソーム点滴療法」などの治療法は、その安全性が確認されていないとされており、消費者団体は「このままの状態が続くことが患者の利益を損なう」と指摘している。この訴訟は、医療機関による広告が景品表示法違反に問われた初のケースとなる。自由診療は保険診療とは異なり、高額で提供されることが多く、効能のエビデンスが不十分なまま提供される治療が広がっている現状がある。今回の訴訟は、こうした問題を是正し、消費者の利益を保護する狙いがある。また、訴訟に至るまでの経緯として、消費者機構日本が、4月にクリニックへ広告の削除を要請したものの、クリニック側のウェブサイトの改修対応などが遅れたこと、そして、当初「来年に改訂予定」として広告の表示を続けていたが、最終的には削除作業を進めていることを公表した。今回のケースは、自由診療分野における医療広告の規制が緩く、消費者保護が不十分であることを示しているとされ、今後も消費者機構日本は、同様の訴訟を展開し、他の医療機関に対しても適切な表示を促す姿勢を示している。参考1)再生医療・免疫療法と称する自由診療行為を行う医療社団法人サカイクリニック62(渋谷区)に対し、インターネット上の広告表示が優良誤認表示に該当するとして差止請求訴訟を提起しました(消費者機構日本)2)医療広告で「疲労回復」効能なし 消費者団体が東京・渋谷のクリニック提訴(産経新聞)3)「アンチエイジング」「睡眠の質改善」…自社サイトで優良誤認表示にあたる表現があるとしてクリニック側を提訴 原告「自由診療分野はやりたい放題」(TBS)4)「自由診療は野放しになっている」 “ネット広告”が「優良誤認表示」に該当するとして、消費者団体が医療クリニックに差し止め請求(弁護士JPニュース)

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