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腎盂腎炎に対する内服抗菌薬を極める~スイッチのタイミングなど~【とことん極める!腎盂腎炎】第7回

腎盂腎炎に対する内服抗菌薬を極める~スイッチのタイミングなど~Teaching point(1)抗菌薬投与前に必ず血液/ 尿塗抹・培養検査を提出する(2)単純性腎盂腎炎ではセフトリアキソンなどの単回注射薬を使用し、適切なタイミングで内服抗菌薬に変更する(3)複雑性腎盂腎炎では基本的には入院にて広域抗菌薬を使用する。外来で加療する場合は慎重に、下記のプロセスで加療を行う(4)副作用や薬物相互作用に注意し、適切な内服抗菌薬を使用しよう《今回の症例》78歳、男性。ADLは自立。既往に前立腺肥大症があり尿道カテーテルを留置されている。来院3日前から悪寒戦慄を伴う発熱と右腰背部痛があり当院を受診した。尿中白血球(5/1視野)と尿中細菌105/mLで白血球貪食像があり、訪問看護師からの「尿道カテーテルをしばしば担ぎあげてしまっていた」という情報と併せ、カテーテル関連の腎盂腎炎と診断した。来院時、発熱に伴うふらつき・食思不振がみられたため入院加療とした。尿中のグラム染色とカテーテル留置の背景からSPACE(S:Serratia属、Pseudomonas aeruginosa[緑膿菌]、Acinetobacter属、Citrobacter属、Enterobacter属)などの耐性菌を考慮し、ピペラシリン/タゾバクタム1回4.5gを6時間ごとの経静脈投与を開始し、経過は良好であった。その後、尿培養と血液培養から緑膿菌が検出された。廃用予防のため早期退院の方針を立て、内服抗菌薬への切り替えを検討していた。また入院3日目に嚥下機能を確認したところ嚥下機能が低下していることが判明した。はじめに本項では腎盂腎炎の内服抗菌薬への変更のタイミングや嚥下機能や菌種による選択薬のポイントや副作用などについて述べる。まずひと口に腎盂腎炎といっても、単純性腎盂腎炎と複雑性腎盂腎炎では選択するべき抗菌薬や対応は異なる。 1.単純性腎盂腎炎単純性腎盂腎炎において、(1)ショックバイタルでない、(2)敗血症でない、(3)嘔気や嘔吐がない、(4)脱水症の徴候が認められない、(5)免疫機能を低下させる疾患(悪性腫瘍、糖尿病、免疫抑制薬使用、HIV感染症など)が存在しない、(6)意識障害や錯乱などがみられない、のすべてを満たせば外来での治癒が可能である1)。単純性腎盂腎炎の原因菌はグラム陰性桿菌が約80%を占め、そのうち大腸菌(Escherichia coli)が90%である。そのほかKlebsiella属やProteus属が一般的であることからエンピリックにセフトリアキソンによる静脈投与を行う。その後、治療開始後に静注抗菌薬から経口抗菌薬へのスイッチを考慮する場合、従来からよく知られた指標としてCOMS criteriaがある(表1)。画像を拡大する2.複雑性腎盂腎炎冒頭の症例も当てはまるが、複雑性腎盂腎炎は、尿路の解剖学的・機能学的問題(尿路狭窄・閉鎖、嚢胞、排尿障害、カテーテル)や全身の基礎疾患をもつ尿路感染症である。一番の問題としては再発・再燃を繰り返し、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、Enterobacter属、Serratia属、Citrobacter属、腸球菌(Enterococcus属)などの耐性菌が分離される頻度が増えることである。そのため単純性のように単純にセフトリアキソン単剤→内服スイッチともいかないのが厄介な点である。この罠にはまらないためには、必ず尿塗抹・培養検査を提出しグラム染色を確認することが大切である。基本的には全例入院で加療することが推奨されているが、全身状態良好でかつグラム陰性桿菌が起因菌とわかった際には周囲に見守れる人の確認(高齢者の場合)や連日通院することを約束しセフトリアキソンを投与し、培養結果と全身状態が改善したことを確認して内服抗菌薬を処方する2)。この場合も合計14日間の投与期間が推奨されている1)。なお、複雑性腎盂腎炎を外来加療することはリスクが高く、入院加療が理想である。【内服抗菌薬の使い分け】いずれにせよ培養の結果がKeyとなるが、一般的な内服抗菌薬は以下が推奨されている。処方例3,4)(1)ST合剤(商品名:バクタ)1回2錠を12時間ごとに内服(2)セファレキシン(同:ケフレックス)1回500mgを6〜8時間ごとに内服(3)シプロフロキサシン(同:シプロキサン)1回300mgを12時間ごとに内服(4)レボフロキサシン(同:クラビット)1回500mgを24時間ごとに内服腎機能に合わせた投与量や注意事項など表2に示す。なお、腎機能はeGFRではなくクレアチニンクリアランスを使用し評価する必要がある。画像を拡大する治療期間は一般に5〜14日間であり、選択する抗菌薬による。キノロン系は5〜7日間、ST合剤は7〜10日間、βラクタム系抗菌薬は10〜14日間の投与が勧められている2)。各施設や地域の感受性パターンに基づいて抗菌薬を選択することも大切である。筆者の所属施設では、単純性の腎盂腎炎の内服への切り替えは大腸菌のキノロン系への耐性が20%を超えていることから、セファレキシンやST合剤を選択することが多い。【各薬剤の特徴】<ST合剤>バイオアベイラビリティも良好で腎盂腎炎の起因菌を広くカバーする使いやすい薬剤である。ただし最近では耐性化も進んできており培養結果を確認することは重要である。また消化器症状、皮疹、高カリウム血症、腎機能障害、汎血球減少など比較的副作用が多いため注意して使用する5)。とくに65歳以上の高齢患者では高カリウム血症と腎不全をより来しやすいと報告されており経過中に血液検査で評価する必要がある6)。簡易懸濁も可能なため、嚥下機能低下時や胃ろう造設されている患者でも投与可能である。妊婦への投与は禁忌である。<セファレキシン>第1世代セフェム系抗菌薬であるセファレキシンは、一部の大腸菌などの腸内細菌に耐性の場合があるため、起因菌や感受性の結果を確認することが重要である。また一般的には長時間作用型の静注薬であるセフトリアキソンを初めの1回使用したうえで、セファレキシンを用いることが推奨されている。なお第2世代セフェム系内服抗菌薬であるセファクロル(商品名:ケフラール)はアレルギーの頻度が多いため推奨されていない。第3世代セフェム系抗菌薬(同:メイアクトMS、フロモックス)は、わが国ではさまざまな場面で使用されてきたが、バイオアベイラビリティの関係で処方しないほうがよい。ペニシリン系では、βラクタマーゼ阻害薬配合であれば使用可能とされている。日本のβラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン(同:オーグメンチン)はペニシリン含有量が少なく、アモキシシリン(同:サワシリン)と併用し、サワシリン250mg+オーグメンチン375mgを8時間ごとに投与することが推奨されている。<ニューキノロン系>シプロフロキサシン、レボフロキサシンなどのニューキノロン系については、施設における大腸菌のニューキノロン耐性が10%以下の際は経験的治療として投与が可能とされている。また大腸菌以外に緑膿菌にも効果があることが最大の利点であるため、耐性獲得の点からはなるべく最低限の使用を心がけ、温存することが推奨される。副作用としてQT延長、消化器症状、アキレス腱断裂、血糖異常がある。相互作用として、NSAIDsやテオフィリン(とシプロフロキサシン)との併用で痙攣発作を誘発する7)。妊婦への投与は禁忌である。レボフロキサシンはOD錠があるため、嚥下機能が低下している高齢者にも使いやすい。細粒もあるが、経管栄養では溶けにくいため細粒ではなく錠剤を粉砕する方が望ましい。<ESBL産生菌>extended spectrum β-lactamases(ESBL)産生菌に対する経口抗菌薬としてST合剤やホスホマイシンが知られている。ST合剤は感受性があれば使用可能であり、カルバペネム系抗菌薬に治療効果が劣らず、入院期間の短縮、合併症の減少、医療コストの削減が期待できるとの報告がある8)。ホスホマイシンは、海外では有効性が示されているものの、国内で承認されている経口薬はfosfomycin calciumだが、海外で用いられているのはfosfomycin trometamolであるため注意を要する。fosfomycin trometamolのバイオアベイラビリティは42.3%だがfosfomycin calciumのバイオアベイラビリティは12%にすぎない。近年耐性菌が増加するなかで他剤と作用機序の異なる本剤が見直されてきてはいるが、国内で有効性が示されているのは単純性の膀胱炎のみである7,9)。腎盂腎炎に対する有効性は現在研究中であり、現時点では他剤が使用できない軽症膀胱炎、腎盂腎炎に使用を限定するべきである。《今回の症例のその後》尿培養から検出された緑膿菌はレボフロキサシンへの感性が良好であった。心電図にてQT延長がないことを確認し、入院5日目に全身状態良好で発熱など改善傾向であったことから、レボフロキサシンOD錠1回250mgを24時間ごと(腎機能低下あり、用量調節を要した)の内服へ切り替え同日退院し再発なく経過している。1)山本 新吾 ほか:JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015 ─ 尿路感染症・男性性器感染症─. 日化療会誌. 2016;64:1-30.2)Johnson JR, Russo TA. N Engl J Med. 2018;378:48-59.3)Hernee J, et al. Am Fam Physician. 2020;102:173-180.4)Gupta K, Trautner B. Ann Intern Med. 2012;156:ITC3-1-ITC3-15, quiz:ITC3-16.5)Takenaka D, Nishizawa T. BMJ Case Rep. 2020;13:e238255.6)Crellin E, et al. BMJ. 2018;360:k341.7)青木 眞 著. レジデントのための感染症診療マニュアル 第4版. 医学書院. 2020.8)Shi HJ, et al. Infect Drug Resist. 2021;14:3589-3597.9)Matsumoto T, et al. J infect Chemother. 2011;17:80-86.

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第114回 10月からの新型コロナワクチンの値段がヤバイ

10月から定期接種次の新型コロナワクチンの案内はいつ来るのかと待ちわびていたら、秋冬のインフルエンザワクチン接種と時期を合わせるかのように定期接種が開始されることになりました。「2,000~3,000円なら余裕で打つっしょ!」と思っていたら、われわれ非高齢者の医療従事者の自己負担額は…1万5,300円!!!グハッ!鉄板焼の高級店のカウンターで、神戸牛フィレ肉をカットしてもらうくらい高いでんがな!もともと新型コロナワクチンというのは、1回接種すると原価で1万5,300円かかるのです。そもそもが高い。65歳以上の高齢者や、60~64歳の重度の疾患がある場合には定期接種が適用され、安い値段で接種できるような仕組みになっています。この負担軽減は、国と自治体の両方が頑張ってくれていて、渋谷区や足立区のように、高齢者の場合は無料で接種できるところもあるようです。問題はわれわれ任意接種世代です。過去には医療従事者にも新型コロナワクチンの接種費用が減免された時代もありましたが、今やもう一般の方々と同じ扱いです。当院のスタッフに聞いたところ、打たない人のほうが多かったです。子供についても、何らかの助成があってしかるべきと思いますが、今のところ自治体に委ねられているようです。ワクチン流通量は?これまで圧倒的なシェアを得ていたmRNAワクチンが流通量のほとんどを占め1)、おそらく主にこれが選択されるでしょう(表)。SNSで炎上気味のレプリコンワクチンについては400万回程度の流通です。画像を拡大する表. 10月以降流通する新型コロナワクチン(筆者作成)レプリコンワクチンについては、mRNAを自己複製できるという意味ですが、この言葉が独り歩きして、周囲にシェディングをもたらすなどというデマが広まっているようです。生物学の知識があれば、誤ったことであることは読者の皆さんもおわかりかと思いますが…。レプリコンワクチンは、1本16人分なので、集団接種とかそういうことになったら使いやすいかもしれませんが、クリニックや医療機関では外来用に使いづらいかもしれません。外来で聞かれることが増えた最近外来で、「10月以降、新型コロナワクチンを接種すべきかどうか」という質問を患者さんからよくいただきます。個人的には、「これまでインフルエンザワクチンを接種していたなら検討いただく形でよい」と返しています。ただ、この値段だと、全員に強くお勧めするとは簡単に言えなくなりました。最近だと、帯状疱疹ワクチンもそれなりに高いですが、今後ワクチンの原価は上がってくる時代なのかもしれません。参考文献・参考サイト1)厚生労働省 健康・生活衛生局 感染症対策部 予防接種課. 2024/25シーズンの季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの供給等について(2024年9月2日)

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精神疾患患者の認知機能と自殺リスクとの関連~メタ解析

 うつ病や双極性障害などの治療可能な精神疾患は、自殺リスク因子の大部分を占めており、これらの患者は神経認知機能障害を伴うことが少なくない。カナダ・トロント大学のGia Han Le氏らは、統合失調症感情障害、双極性障害、うつ病患者における認知機能と自殺念慮/自殺企図との関連を調査した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2024年8月19日号の報告。 2024年4月までに公表された研究をPubMed、Ovid、Scopusのデータベースよりシステマティックに検索した。認知機能と自殺念慮/自殺企図との関連についてエフェクトサイズが報告された適格研究を、ランダム効果モデルを用いてプールした。 主な結果は以下のとおり。・分析には、41件の研究を含めた。・統合失調症感情障害およびうつ病患者において認知機能と自殺念慮/自殺企図との負の相関が認められた。【統合失調症感情障害】自殺企図:Corr=−0.78(95%信頼区間[CI]:−1.00~0.98)、自殺念慮:Corr=−0.06(95%CI:−0.85~0.82)【うつ病】自殺企図:Corr=−0.227(95%CI:−0.419~−0.017)、自殺念慮:Corr=−0.14(95%CI:−0.33~0.06)・双極性障害の結果はまちまちであり、自殺企図と全般実行機能との間に有意な正の相関が認められ(Corr=0.08、95%CI:0.01~0.15)、感情抑制と負の相関が認められた。・処理速度、注意力、学習、記憶については、診断横断的にさまざまな結果がみられた。・本研究の限界として、サンプル構成や認知機能測定にばらつきがある点、個々の人口統計および併存疾患に関する情報を用いていない点が挙げられる。 著者らは「認知機能と自殺傾向との間に、診断横断的な関連性が認められた。とくに報酬機能における認知機能障害の相互作用が、精神疾患患者の自殺傾向の根底にある可能性が示唆された。また、衝動制御、計画、作業記憶の認知機能障害が、自傷行為や自殺に影響を及ぼしている可能性がある」としている。

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心房細動を伴う安定冠動脈疾患、エドキサバン単剤が有効/NEJM

 心房細動と安定冠動脈疾患を有する患者の治療において、直接第Xa因子阻害薬エドキサバンと抗血小板薬による抗血栓薬2剤併用療法と比較してエドキサバン単剤療法は、12ヵ月後の全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、全身性塞栓症、予期せぬ緊急血行再建術、大出血または臨床的に重要な非大出血の複合リスクを有意に低下させることが、韓国・蔚山大学校のMin Soo Cho氏らが実施した「EPIC-CAD試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年9月1日号で報告された。韓国の多施設共同無作為化試験 EPIC-CAD試験は、韓国の18施設で実施した非盲検(判定者盲検)無作為化試験であり、2019年5月~2022年9月に参加者を募集した(韓国・心血管研究財団などの助成を受けた)。 年齢18歳以上、心房細動と安定冠動脈疾患(血行再建術による治療歴のある冠動脈疾患、または内科的に管理されている冠動脈疾患と定義)を有し、CHA2DS2-VAScスコア(範囲:0~9点、点数が高いほど脳卒中のリスクが大きい)が2点以上(血栓塞栓症のリスクが高いと判定)の患者を対象とした。 被験者を、標準用量(60mg、1日1回)のエドキサバンを単剤投与する群、または標準用量のエドキサバン+抗血小板薬(治療医の裁量でアスピリンまたはP2Y12阻害薬から選択)を併用投与する群(抗血栓薬2剤併用療法群)に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、12ヵ月の時点における全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、全身性塞栓症、予期せぬ緊急血行再建術、大出血または臨床的に重要な非大出血の複合とした。主要虚血性イベントには差がない 1,040例を登録し、エドキサバン単剤群に524例、抗血栓薬2剤併用療法群に516例を割り付けた。ベースラインの全体の平均(±SD)年齢は72.1(±8.2)歳、22.9%が女性であり、平均CHA2DS2-VAScスコアは4.3(±1.5)点だった。 12ヵ月の時点で、主要アウトカムのイベントは、抗血栓薬2剤併用療法群で79例(Kaplan-Meier推定発生率16.2%)に発生したのに対し、エドキサバン単剤群では34例(6.8%)と有意に少なかった(ハザード比[HR]:0.44、95%信頼区間[CI]:0.30~0.65、p<0.001)。 また、12ヵ月時に、主要虚血性イベント(全死因死亡、心筋梗塞、脳梗塞、全身性塞栓症の複合)は、エドキサバン単剤群で8例(Kaplan-Meier推定発生率1.6%)、抗血栓薬2剤併用療法群で8例(1.8%)に認めた(HR:1.23、95%CI:0.48~3.10)。出血性イベントが少ない 12ヵ月時までに、大出血または臨床的に重要な非大出血は、抗血栓薬2剤併用療法群で70例(Kaplan-Meier推定発生率14.2%)に発生したのに対し、エドキサバン単剤群では23例(4.7%)であった(HR:0.34、95%CI:0.22~0.53)。 12ヵ月時の大出血の累積発生率は、抗血栓薬2剤併用療法群で4.5%であったのに対し、エドキサバン単剤群では1.3%だった(HR:0.32、95%CI:0.14~0.73)。 著者は、「この結果は、主に出血性イベントの発生率がエドキサバン単剤群で低かったことによると考えられる。虚血性イベントと死亡の発生率は両群で同程度であった」とまとめている。

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オンコマインDx、EGFRエクソン20挿入変異肺がんに対するamivantamab+化学療法のコンパニオン診断として承認/サーモフィッシャ

 サーモフィッシャーサイエンティフィックは2024年9月10日、次世代シーケンシングコンパニオン診断システム「オンコマインDx Target Test マルチCDxシステム(オンコマインDx)」に関して、Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)が申請中の「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異を有する手術不能又は再発非小細胞肺がんに対するアミバンタマブと化学療法の併用療法」を対象としたコンパニオン診断システムとして、一部変更承認を取得したことを発表した。 この承認によりオンコマインDxは、非小細胞肺がんに対して8種類、甲状腺がんに対しては2ドライバー遺伝子、甲状腺髄様がんに対しては1ドライバー遺伝子の変異等を網羅するコンパニオン診断となった。非小細胞肺がん ●BRAF遺伝子V600E変異:ダブラフェニブ/トラメチニブ ●EGFR遺伝子変異(エクソン20挿入変異を除く):ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ダコミチニブ ●EGFR遺伝子エクソン20挿入変異:アミバンタマブ ●HER2遺伝子変異:トラスツズマブ デルクステカン ●ALK融合遺伝子:クリゾチニブ、アレクチニブ、ブリグチニブ、ロルラチニブ ●ROS1融合遺伝子:クリゾチニブ、エヌトレクチニブ ●RET融合遺伝子:セルペルカチニブ ●MET遺伝子エクソン14スキッピング変異:カプマチニブ、テポチニブ甲状腺がん ●RET融合遺伝子:セルペルカチニブ ●BRAF遺伝子V600E変異:エンコラフェニブ/ビニメチニブ甲状腺髄様がん ●RET遺伝子変異:セルペルカチニブ

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局所進行直腸がん、TNT+非手術的管理後の遠隔転移とctDNAによる予後予測(NO-CUT)/ESMO2024

 局所進行直腸がんでは、術前に化学療法や放射線療法を集中的に行って腫瘍縮小を最大限に図り、局所制御と遠隔転移のリスクを低減するTotal Neoadjuvant Therapy(TNT)が登場し、世界的な標準治療となりつつある。TNT後に臨床学的完全奏効(cCR)が得られた患者では非手術的管理も検討され、その後の局所転移は19~34%程度と報告されている。非手術的管理後の遠隔転移率と、ctDNA解析によるTNT後の奏効率のバイオマーカー探索を目的とした多施設単群第II相NO-CUT試験が行われ、イタリア・Niguarda Cancer CenterのAlessio Amatu氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)のPresidential Symposiumで初回の結果報告をした。・対象:pMMR/MSSの局所進行直腸がん、PS 0~1・方法:CAPOX療法4サイクルに続いて5週間の長時間化学放射線療法のTNTを行い、cCRが得られれば非手術的管理、得られなければ手術を行ったうえでフォローアップ。評価項目:[主要評価項目]30ヵ月時点で生存し、遠隔転移のない患者の割合(DRFS30)[副次評価項目]cCR率、非手術的管理群の臓器温存率 主な結果は以下のとおり。・2018~23年に180例がTNTを受け、164例(91%)がプロトコル通りに治療を完了し、46例(25.5%)がcCRを得て非手術的管理群に割り付けられた。追跡期間中央値は27(SD 3~27)ヵ月だった。・DRFS30は非手術的管理群97%、手術群74%、全体77%であった。・非手術的管理群の臓器温存率は85%(39/46例)だった。・局所再発は、非手術的管理群では15%、手術群では9%で発生した。2024年4月1日時点で、12例の死亡(6.6%)が報告された。内訳は有害事象1例、腫瘍進行9例、その他2例だった。・TNT後のリキッドバイオプシー解析では、ctDNA陰性例ではcCR率が高く、陽性例では手術の有無にかかわらず遠隔転移のリスクが高かった。手術後のctDNAの状態と無増悪生存期間(PFS)にも相関が見られた。その他のマルチオミクス解析は進行中となっている。 Amatu氏は「NO-CUT試験の主要評価項目は達成され、4人に1人がTNT療法によって非手術的管理のベネフィットを得られた。さらに非手術的管理群のDRFS30は97%、臓器温存率は85%と高い結果だった。今後のマルチオミクス解析によって非手術的管理の患者選択はさらに精緻にできるようになるだろう」とした。

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新たな抗PACAPモノクローナル抗体、片頭痛予防に有効か/NEJM

 片頭痛の新たな治療手段として、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)を標的とするアプローチの開発が進められている。デンマーク・コペンハーゲン大学のMessoud Ashina氏らは「HOPE試験」において、プラセボと比較してLu AG09222(PACAPリガンドに対するヒト化モノクローナル抗体)の単回投与は、4週間後の片頭痛の頻度を有意に減少させたことから、PACAPシグナル伝達の阻害は片頭痛の新たな予防的治療戦略となる可能性があることを示した。研究の成果は、NEJM誌2024年9月5日号に掲載された欧州と北米の無作為化プラセボ対照第IIa相試験 本研究は、片頭痛の予防におけるLu AG09222の有効性と安全性の評価を目的に、欧州と北米の25施設で概念実証試験として実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第IIa相試験(投与期間4週間、追跡期間8週間)である(H. Lundbeckの助成を受けた)。 年齢18~65歳、前兆のない片頭痛、前兆のある片頭痛または慢性片頭痛と診断され、発症時期が50歳以下で、過去10年間に2~4つの予防的治療を受けたが効果が得られなかった患者を対象とした。 被験者を、ベースラインでLu AG09222 750mg、同100mg、プラセボを単回静注投与する群に、2対1対2の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、1~4週目における1ヵ月当たりの片頭痛日数のベースラインからの平均変化量であり、Lu AG09222 750 mg群とプラセボ群で比較した。750mg群で6.2日減少、プラセボ群より2.0日少ない 237例(平均年齢42.5歳[範囲19~65]、女性208例[88%]、白人237例[100%])を登録した。Lu AG09222 750mg群に97例、同100mg群に46例、プラセボ群に94例を割り付けた。 ベースラインの1ヵ月当たりの平均日数は、頭痛が17.4日、片頭痛が16.7日であり、1ヵ月当たりの頭痛または片頭痛の治療薬を使用した平均日数は13.1日であった。 片頭痛日数のベースラインから1~4週目の平均変化量は、プラセボ群が-4.2日であったのに対し、Lu AG09222 750mg群は-6.2日と有意に減少した(群間差:-2.0日、95%信頼区間[CI]:-3.8~-0.3、p=0.02)。 1ヵ月当たりの片頭痛の平均日数がベースラインから50%以上減少した患者の割合は、Lu AG09222 750mg群が32%、プラセボ群は27%であった。また、1ヵ月当たりの頭痛日数のベースラインから1~4週目の平均変化量は、Lu AG09222 750mg群が-5.8日、プラセボ群は-4.1日だった(群間差:-1.7日、95%CI:-3.5~0.0)。有害事象はプラセボ群に比べて多い 12週間における有害事象の件数(78件vs.45件)と1件以上発現した患者の割合(42% vs.32%)は、プラセボ群に比べLu AG09222 750mg群で多かった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(7% vs.3%)、鼻咽頭炎(7% vs.4%)、疲労(5% vs.1%)の頻度が高かった。 重篤な有害事象は、Lu AG09222 750mg群で1件発現したが、担当医により試験薬との関連はないと判定された。有害事象のために参加を取りやめたり、Lu AG09222の静注投与を中断することはなかった。 著者は、「これらの知見は、Lu AG09222によるPACAPシグナル伝達の阻害が、片頭痛の予防のための新しい、潜在的に有効なメカニズムであることを示しており、概念実証を確証するものである」としている。

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未治療TN乳がんへのカピバセルチブ、化学療法への上乗せ効果示さず(CAPItello-290)/ESMO2024

 切除不能な局所進行または転移を有する未治療のトリプルネガティブ(TN)乳がん患者を対象に、1次治療としてのカピバセルチブ+パクリタキセル併用療法の有効性および安全性を、プラセボ+パクリタキセルと比較した第III相CAPItello-290試験の結果、全生存期間(OS)は有意に改善しなかったものの、無増悪生存期間(PFS)の改善は認められたことを、米国・UT Southwestern Medical CenterのHeather L. McArthur氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表した。・試験デザイン:第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験・対象:切除不能な局所進行または転移を有し、全身療法を受けていないTN乳がん患者。6ヵ月以内(タキサン系の場合は12ヵ月以内)の術前・術後化学療法歴がある患者は除外された。・試験群(カピバセルチブ群):カピバセルチブ 400mgを1日2回(4週間サイクルの1~3週目の2~5日目)+パクリタキセル 80mg/m2(4週間サイクルの1~3週目の1日目) 404例・対照群(プラセボ群):プラセボを1日2回(4週間サイクルの1~3週目の2~5日目)+パクリタキセル 80mg/m2(4週間サイクルの1~3週目の1日目) 408例・評価項目:[主要評価項目]全患者集団およびPIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異を有する患者集団におけるOS[主要副次評価項目]全患者集団およびPIK3CA/AKT1/PTEN変異を有する患者集団におけるPFS、安全性・層別化因子:内臓転移の有無、術前または術後化学療法歴の有無、地域・データカットオフ:2024年3月18日 主な結果は以下のとおり。・2019年7月~2022年2月に812例がランダム化された。・年齢中央値はカピバセルチブ群が54.0(範囲:26~85)歳、プラセボ群が53.0(範囲:25~87)歳、閉経後が65.1%および64.2%、内臓転移ありが70.3%および69.6%、de novoが39.9%および41.2%、術前または術後化学療法歴があったのは両群とも50.0%であった。・PIK3CA/AKT1/PTEN変異を認めたのは、カピバセルチブ群30.7%(124例)、プラセボ群30.6%(125例)であった。・全患者集団におけるOS中央値は、カピバセルチブ群17.7ヵ月(95%信頼区間[CI]:15.6~20.3)、プラセボ群18.0ヵ月(95%CI:15.3~20.3)であった(ハザード比[HR]:0.92[95%CI:0.78~1.08]、p=0.3239)。・PIK3CA/AKT1/PTEN変異を有する集団におけるOSは、カピバセルチブ群20.4ヵ月(95%CI:15.7~23.4)、プラセボ群20.4ヵ月(95%CI:14.6~26.9)であった(HR:1.05[95%CI:0.77~1.43]、p=0.7602)。・全患者集団におけるPFS中央値は、カピバセルチブ群5.6ヵ月(95%CI:5.4~7.1)、プラセボ群5.1ヵ月(95%CI:3.9~5.4)であった(HR:0.72[95%CI:0.61~0.84])。・PIK3CA/AKT1/PTEN変異を有する集団におけるPFS中央値は、カピバセルチブ群7.5ヵ月(95%CI:5.6~9.3)、プラセボ群5.6ヵ月(95%CI:5.3~5.7)であった(HR:0.70[95%CI:0.52~0.95])。・全患者集団における奏効率(ORR)は、カピバセルチブ群50.1%、プラセボ群37.6%であった(オッズ比[OR]:1.68[95%CI:1.27~2.23])。完全奏効(CR)は2.2%および1.2%、部分奏効(PR)は47.9%および36.3%であった。・PIK3CA/AKT1/PTEN変異を有する集団におけるORRは、カピバセルチブ群54.1%、プラセボ群41.9%であった(OR:1.63[95%CI:0.99~2.72])。CRは2.5%および1.6%、PRは51.6%および40.3%であった。・全患者集団における有害事象は、カピバセルチブ群98.0%(うちGrade3以上が58.0%)、プラセボ群95.1%(うちGrade3以上が38.8%)に発現した。新たな安全シグナルは認められなかった。

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オシメルチニブ耐性NSCLCへのamivantamab+化学療法、第2回OS中間解析(MARIPOSA-2)/ESMO2024

 オシメルチニブ単剤療法で病勢進行が認められたEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、amivantamab+化学療法±lazertinibの併用療法は、化学療法単独と比べて無増悪生存期間(PFS)を改善したことが、国際共同第III相無作為化比較試験「MARIPOSA-2試験」で報告されている。また、同時に実施された全生存期間(OS)の第1回中間解析において、amivantamab+化学療法の併用療法はOSも良好な傾向にあったことも報告されている1)。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)において、英国・Royal Marsden HospitalのSanjay Popat氏がOSの第2回中間解析の結果を発表した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:オシメルチニブ単剤療法で病勢進行が認められたEGFR変異(exon19delまたはL858R)陽性NSCLC患者・試験群1(ALC群):amivantamab+lazertinib+化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)263例・試験群2(AC群):amivantamab+化学療法(同上)131例・対照群(C群):化学療法(同上)263例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価に基づくPFS(ALC群vs.C群、AC群vs.C群)[副次評価項目]全生存期間(OS)、症状進行までの期間(TTSP)、治療開始から後治療までの期間(TTST)、PFS2(後治療後のPFS)、安全性など[探索的評価項目]治療開始から中止までの期間(TTD)など・解析計画:OSの第2回中間解析は、75%のイベント発現時に実施することが事前に規定され、本解析の有意水準は両側α=0.0142であった。 今回は、AC群とC群の比較結果が報告された。報告された主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値18.1ヵ月時点におけるOS中央値は、AC群17.7ヵ月、C群15.3ヵ月であり、AC群が改善する傾向にあったが、今回の解析では統計学的有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.54~0.99、p=0.039)。18ヵ月OS率は、それぞれ50%、40%であった。・TTSP中央値は、AC群16.0ヵ月、C群11.8ヵ月であり、AC群が長かった(HR:0.73、95%CI:0.55~0.96、p=0.026[層別log-rank検定])。・TTD中央値はAC群10.4ヵ月、C群4.5ヵ月であり、AC群が長かった(HR:0.42、95%CI:0.33~0.53、p<0.0001[層別log-rank検定])。18ヵ月時点の試験治療継続率は、それぞれ22%、4%であった。・TTST中央値は、AC群12.2ヵ月、C群6.6ヵ月であり、AC群が長かった(HR:0.51、95%CI:0.39~0.65、p<0.0001[層別log-rank検定])。・PFS2中央値は、AC群16.0ヵ月、C群11.6ヵ月であり、AC群が良好であった(HR:0.64、95%CI:0.48~0.85、p=0.002[層別log-rank検定])。18ヵ月PFS2率は、それぞれ39%、27%であった。 Popat氏は、本結果について「第2回OS中間解析においても、amivantamab+化学療法は化学療法単独と比べてOSが良好な傾向がみられた。病勢進行後の評価項目についても、amivantamab+化学療法は化学療法単独と比べて、持続的な改善が認められた」とまとめた。なお、本試験は継続中であり、OSの最終解析が予定されている。

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米国の2型糖尿病有病率が過去10年で2割近く上昇

 米国では過去10年間で2型糖尿病有病率が約20%上昇したとする論文が、「Diabetes, Obesity and Metabolism」に7月18日掲載された。論文の筆頭著者である、米ジョージア大学のSulakshan Neupane氏は同大学発のリリースの中で、「米国では糖尿病患者数が日々増加していて、今後数年間でさらに増加するだろう。糖尿病のために発生する経済的負担は、直接的な医療費のほかに生産性の低下などの間接的なものも含めれば、約4120億ドルに上る。既に莫大な額だが、糖尿病患者の増加を背景に、今後さらに増大するだろう」との予測を述べている。 この研究には、毎年40万人以上の成人を対象に行われている継続的な健康調査のデータが用いられた。解析の結果、2型糖尿病有病率は2012年には10.18%(95%信頼区間10.01~10.36)であったものが、2022年には12.10%(同11.96~12.26)となり、この10年間で18.86%、有意に上昇していたことが明らかになった(P<0.001)。 また、2型糖尿病の最も大きなリスク要因は年齢であることも示唆された。例えば、18~44歳に比較した場合、65歳以上の高齢者ではオッズ比が10倍以上に上った(調整オッズ比〔aOR〕10.23〔9.99~10.47〕)。45~64歳のオッズ比も5倍以上だった(aOR5.16〔5.05~5.29〕)。 所得や教育歴も、有病率と有意な関連が認められた。年間所得7万5,000ドル以下/超で二分して比較すると高額所得者のオッズは4割以上低く(aOR0.59〔0.58~0.61〕)、高校卒業後にも教育を受けた人はそうでない人よりもが2割強低かった(aOR0.76〔0.75~0.78〕)。 性別に関しては、女性に比べて男性においてオッズがやや高かった(aOR1.15〔1.13~1.16〕)。BMIカテゴリーで比較すると、普通体重(BMI18.5~24.9)を基準として、過体重(同25~29.9〔日本ではこの範囲も肥満に該当〕)はaOR1.57(1.54~1.60)、肥満(同30以上)はaOR3.64(3.57~3.71)だった。一方、習慣的な運動を行っている場合はaOR0.68(0.67~0.69)であり、オッズが有意に低かった。人種/民族での比較では、黒人のオッズが最も高かった(白人を基準としてaOR2.10〔1.98~2.22〕)。 2012年から2022年にかけての有病率の変化を州ごとに比較した場合、南部と中西部の州でより大きな増加が観察され、特にアーカンソー州、ケンタッキー州、ネブラスカ州での増加が顕著だった。Neupane氏は、「政策立案者や公衆衛生当局は、これらの地域における2型糖尿病予防に重点を置く必要がある」と述べている。 同氏はまた、「2型糖尿病のリスク因子を特定し、それを軽減するために行動することが重要だ。年齢や人種などのリスク因子は変えられないが、健康的な食生活、活動的なライフスタイルの維持、体重管理など、リスクを下げるためにできることはいろいろある」と、人々に行動の変化を呼びかけている。

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血栓溶解療法にアルガトロバンやGPIIb/IIIa阻害薬の併用は有効か(解説:内山真一郎氏)

 このMOST試験は、米国の57施設が参加した単盲検の無作為化比較試験である。発症後3時間以内に血栓溶解療法を施行した虚血性脳卒中患者に血栓溶解療法開始75分以内にアルガトロバン、eptifibatide(GPIIb/IIIa阻害薬)、プラセボのいずれかを投与したところ、1次評価項目であった90日後の効用加重修正Rankinスケール(mRS)はプラセボ群よりアルガトロバン群で有意に高く(高いほど転帰良好)、eptifibatide群もプラセボ群より若干高く、安全性の1次評価項目であった症候性頭蓋内出血は3群間で有意差がなかったが、アルガトロバンやeptifibatideの併用療法により脳卒中後遺症は減らず、死亡が増加したと結論しており、抄録では結果と結論が矛盾している。 本来、臨床試験の結論は原則として1次評価項目の結果に基づいて下されるべきである。確かに従来の転帰判定に用いられてきた90日後のmRSの分布図を見ると、アルガトロバンやeptifibatideがプラセボより優れているようには見えず、死亡例がアルガトロバン群で有意に多かった理由は考察しているものの、1次評価項目の結果については何の考察もなしに結論では無視されていることに疑問を感じる。対象の40%は血栓除去術が施行されており、途中から血栓溶解薬がアルテプラーゼより有効なtenecteplaseが使用されるようになり、抗凝固薬や抗血小板薬の併用効果が証明しにくくなっていたことだけは確かである。

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標準治療の方法は世界に1つ?(解説:後藤信哉氏)

 冠動脈インターベンション治療後の抗血小板薬併用療法を強化し続けた時代があった。心血管イベントリスクのみに注目すればアスピリンにクロピドグレル、さらに標準化されP2Y12受容体阻害効果が強化されたプラスグレル、チカグレロルと転換するメリットがあった。しかし、安全性のエンドポイントである重篤な出血合併症は、抗血小板療法の強化とともに増加した。冠動脈インターベンション後、血栓イベントリスクの高い短期間のみ抗血小板併用療法を行い、時間経過とともに単剤治療に戻す抗血小板薬治療の「de-escalation」が注目された。本研究では薬剤溶出ステント後に、2週間~3ヵ月の抗血小板薬併用療法後に抗血小板薬を「de-escalation」した症例と12ヵ月以上抗血小板併用療法を継続した症例を比較した。過去のランダム化比較試験の、個別症例あたりのメタ解析なのでエビデンスレベルは高い。 予想されたように重篤な出血イベントリスクは「de-escalation」した症例が、しない症例よりも少なかった。心血管イベントリスクには差異がなかった。臨床医の実感のように短期間の抗血小板併用療法後は、抗血小板薬単剤で十分であることが示唆された。「de-escalation」したほうが死亡すら少なくなるのは、重篤の出血イベントの抗血栓薬中止による心血管死亡、出血死亡などのためと考える。 本研究の提示するエビデンスは明確であるが、残念ながら日本では適応できない。本研究の対象とされた90mg bidのチカグレロルは日本を中心に施行されたPHILO試験ではクロピドグレルに対する優越性を示せなかった。日本では90mg bidチカグレロルは標準治療ではない。個別症例を標的とした多数のランダム化比較試験のメタ解析であっても、最初の症例選定クライテリアが異なる国には応用できない。われわれはclinical trialistsの1人として患者集団の標準治療のシステム的改善を目指した。しかし、世界に正解は多数あるのかもしれない。

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寄り道編(9)アスピリン開発の歴史【臨床力に差がつく 医薬トリビア】第58回

※当コーナーは、宮川泰宏先生の著書「臨床力に差がつく 薬学トリビア」の内容を株式会社じほうより許諾をいただき、一部抜粋・改変して掲載しております。今回は、月刊薬事64巻2号「臨床ですぐに使える薬学トリビア」の内容と併せて一部抜粋・改変し、紹介します。寄り道編(9)アスピリン開発の歴史Questionアスピリンの開発に大きく貢献したのはエドワード・ストーン? それともエドモンド・ストーン?

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第230回 Amazonファーマシー 、配送料660円の返金まで6日もかかった利用経験から考えたこと

薬局もAmazonファーマシーのカスタマーサービス窓口もグダグダこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は栃木県と群馬県の県境にある白根山に登ってきました。群馬県側の日光白根山ロープウェイで標高2,000mまで行き、標高 2,578mの白根山に登り、前白根山を経て栃木県側の湯元温泉に下りるルート。天候はまずまずでよかったのですが、白根山から湯元までの下山ルートが超急坂な上に、崩壊箇所も多く難儀しました。群馬県に比べ、栃木県が登山道の整備にお金をまったくかけていないことを実感しました(2年前の皇海山の道も悪かったです)。このままだと、5年先には廃道になるかもしれません。湯元〜白根山間を行かれる予定の方はご注意を。あわせて、東武日光駅前の夜の店じまいの早さにも驚きました。まだ浅草行の特急があるのに、18時半で駅前の土産物屋はおろか駅構内の売店すら閉まっていました。真っ暗な駅前通りを外国人観光客が右往左往していました。世界遺産の最寄り駅でのこの”やる気”のなさ。「地方創生」を声高に叫ぶ政治家の皆さんに、ぜひ視察していただきたいと思いました(とくに栃木県立足利高校出身の茂木 敏充氏)。さて、今回は7月に鳴り物入りで事業をスタートした「Amazonファーマシー」について書いてみたいと思います。8月にある病気で医療機関を受診し、せっかくだからとAmazonファーマシーを利用してみました。開始からまだ1ヵ月弱だったためか、現場の薬局もAmazonのカスタマーサービスの窓口もグダグダで、今後の事業展開に少なからぬ不安を感じました。薬剤師によるオンライン服薬指導を受けた後で自宅などで処方薬を受け取るシステムAmazonがAmazonファーマシーの事業開始を発表したのは7月23日です。Amazonショッピングアプリをプラットホームにして、日本国内でオンライン服薬指導から処方薬の配送までのサービスが利用できるというものです。具体的には、スマートフォンのAmazonショッピングアプリ上で、電子処方箋の「処方内容(控え)」の用紙、または「引換番号」の写真を撮りアップロード。その後、ビデオ通話で薬剤師によるオンライン服薬指導を受けた後に自宅などで処方薬を受け取る、という流れです。配送方法は通常のAmazonによる配送ではなく、薬局側が独自に手配する仕組み。温度管理や麻薬・向精神薬など、流通上の管理が必要な薬剤は、薬局側が店舗での受け取りを判断する場合があるとのことです。利用できる薬局は7月23日のサービス開始時点で、アインホールディングス、ウエルシアホールディングス、クオールホールディングス、新星堂薬局、中部薬品、トモズ、ファーマみらい、薬樹、ユニスマイルの各グループ薬局としています。Amazonは薬局側から初期費用や月額費用などは徴収せず、患者側の手数料で事業を賄うとのことです。また、メドレーが提供している患者向け総合医療アプリ「CLINICS」と連携し、診療から薬の配送までをオンライン上で一気通貫で利用できるとのことです。Amazonファーマシーはパソコンでは利用できずスマートフォンのみ8月某日、とある医療機関で電子処方箋を発行してもらった私は、帰宅してからパソコンで近隣のウエルシア薬局を探し出し、そこを利用しようと考えました。パソコンを立ち上げていたので、そのままAmazonサイトに行き、電子処方箋の「処方内容(控え)」をアップロードしようとしたのですが、まずそこでスタック。Amazonファーマシーのシステムはパソコンでは利用できず、スマートフォンのAmazonショッピングアプリ上でしか使えないからです。気を取り直して、スマートフォンのアプリから近隣のウエルシア薬局の店舗を選ぼうと思ったのですが、なんとそこの店舗が出てきません。まだ全店舗対応というわけではないようです。ということで、少々遠い店舗を選択、電子処方箋の「処方内容(控え)」をアップロードしてオンライン服薬指導の時間を予約しました。薬は今日中に欲しいので、1時間後にしました。オンライン服薬指導のシステムが立ち上がらず電話で服薬指導オンライン服薬指導の予約時間になり、スマートフォンを持って待機しましたが、5分経っても服薬指導が始まりません。これは困ったなと思っていたところに、予約したウエルシア薬局の薬剤師から私のスマートフォンに電話がかかってきました。「オンライン服薬指導のシステムが立ち上がらないので、電話で服薬指導をしたい」ということで、会話による簡単な服薬指導を受けました。その後で私の方から「薬は今日欲しいので店舗に取りに行きます。配送でなくてもいいです」と伝えました。すると薬剤師は「システム上、配送料はもう課金されています」と言われました。「それはないんじゃないですか?」と言ったのですが、「Amazonのシステムで決済されてしまっているので現状、取り消せません」と繰り返されるだけ。仕方がないので、「配送料はいいですからとりあえず取りに行きます」と行って電話を切り、店舗に向かいました。「代金はショッピングアプリ上で決済されてしまっているので、店舗ではどうしようしようもない」本来なら、服薬指導後に配送か店舗受け取りかを決められるようになっているはずです。店舗に行って聞いてみると、「通常、オンライン服薬指導の画面でその選択ができるはずだが、今回はそのシステムが稼働せず、電話による指導が終わると、配送料660円も課金されていた」とのこと。「代金はAmazonショッピングアプリ上で決済してしまっているので、店舗ではどうしようしようもない」と言われてしまいました。また、「オンライン服薬指導ができなかったのは店舗のせいか、Amazonのせいかもわからない」とも。とりあえず660円は諦めて、薬を持ってとぼとぼと家路につきました。660円返金されるも「薬局のミスだったのか、Amazonの問題だったのかわからない」660円(吉野家の牛丼並盛とお新香が買えます)をどうしても取り返したい考えた私は、家に着いてからパソコンでAmazonファーマシーのカスタマーサービスの電話番号(通常のショッピングとは別の窓口でした)を探し出し、電話をかけて担当者に起こった事柄を説明しました。しかし、おそらくバイトであろう担当者にいくら説明しても明快な答えが返ってきません。挙句の果て、「上の者と協議して来週、またかけ直す」と言われました。金曜だったので月曜まで待て、ということのようでした。翌週月曜、その担当者から電話がかかってきましたが、再度起こった事柄や店舗名をヒアリングするだけで、660円返金されるかどうかの答えは得られず、またまた「再度連絡する」と伝えられたのみでした。事態が動いたのはその3日後です。今度は薬を受け取ったウエルシア薬局の店舗から電話がかかって来ました。「660円を店舗で返金するので来て欲しい」とのことでした。というわけで、Amazonファーマシーにぼられそうになった660円は無事返ってきました。ウエルシア薬局の薬剤師に聞くと、相変わらず原因は不明で、「薬局のミスだったのかAmazonのシステムの問題だったのかまだわからない」とのことでした。660円の返金はAmazonとウエルシア本部のやり取りで決まったようです。当日に薬を受け取れない点は大きなネックというわけで、カスタマーハラスメントを起こしそうになるくらいイラついたAmazonファーマシーの「660円返金問題」ですが、システムの未完成ぶりと、カスタマーサービスの脆弱ぶり(電話対応にあたる人が事業内容を十分理解していない)を実感した次第です。メディアなどは、Amazon自体は医薬品在庫や店舗、薬剤師を持たないこのシステムをほめそやしますが、実際に利用してみると、利用者が当日に薬を受け取れない点は大きなネックだと感じます。風邪などで今すぐ熱を下げたいときなどは、翌日の薬剤到着まで待つのはつらいでしょう。一方、いつも飲んでいる生活習慣病の薬剤を配送してもらったり、リフィル処方で活用したりする分にはいいかもしれません。8月21日付日本経済新聞は「『Amazon処方薬」が問う医療DXの遅れ』と題する社説を掲載、「サービスの利用に必要な電子処方箋の発行に応じる病院や診療所はまだわずか」だとして、調剤業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)化のためにも「電子処方箋が医療のデジタル対応の基幹機能の一つであることを考えれば、期限を区切って処方箋を紙から電子に全面移行することも検討すべきだ」と書いていますが、並行してデリバリーの部分、薬の配送の効率化・迅速化も進めるべきでしょう。「医療機関から自宅に帰ったら薬がすぐ届く」というのが一つの理想像Uberのように薬も即時配送が実現すれば、電子処方箋やAmazonファーマシーの業態もそこそこ普及していくのではないでしょうか。「医療機関から自宅に帰ったら薬がすぐ届く」というのが一つの理想像だと思います。そのためには、服薬指導の効率化も検討する必要がありそうです。「服薬指導なんて、薬剤情報提供書を渡すだけで実質何もしていないのだから、本当に必要な時以外は“なし”にしてもいいのに」という意見を述べる人もいます(「第126回 アマゾン処方薬ネット販売と零売薬局、デジタルとアナログ、その落差と共通点(前編)」参照)。その部分にも思い切ってメスを入れてこそ、真の調剤業務のDXが実現するのはないかと思います。

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この20年間、18~26歳で急増しているがんは?

 過去20年間の生活習慣の変化により、若者ががんの危険因子にさらされる機会が増えている可能性があるが、データベースによる研究報告はない。今回、イタリア・Institute of Biochemistry and Cell Biology, National Council of ResearchのAlessandro Cavazzani氏らが、米国・国立がん研究所のがん登録データベース(SEER22)を用いて、部位別のがん罹患率の2000~20年の傾向を調べたところ、18~26歳の女性における膵がん罹患率の平均年変化率が最も高く、年に10%近く増加していた。BMC Medicine誌2024年9月4日号に掲載。 本研究では、SEER22から2000~20年のがん罹患データ(1,018万3,928例)を収集し、膵がん、胃がん、肺/気管支がん、脳/その他の神経系のがん、骨髄腫、大腸がん、悪性黒色腫、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、前立腺がん、精巣がんの罹患率の平均年変化率を、性別・年代別(18~34歳、35~54歳、55歳以上)に算出した。さらに18~34歳を18~26歳および27~34歳に分けて算出した。 主な結果は以下のとおり。・すべてのがんの中で18~34歳の女性の膵がん罹患率の平均年変化率が6.22%(95%信頼区間[CI]:5.2~7.24、p<0.0001)と最も高かった。・胃がん、多発性骨髄腫、大腸がんにおいても、18~34歳の女性が最も高かった。・18~34歳の年代を18~26歳と27~34歳に分けて算出すると、18~26歳における膵がん罹患率の平均年変化率は、女性が9.37%(95%CI:7.36~11.41、p<0.0001)と、男性の4.43%(95%CI:2.36~6.53、p<0.0001)に比べて2倍以上だった。27~34歳の女性(4.46%、95%CI:3.62~5.31、p<0.0001)は男性と同様だった。 著者らは、「致死率の高いがんにおける新たなリスク集団を知ることは、早期発見と効果的な疾患管理のためにきわめて重要」としている。

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HFpEF/HFmrEFに、フィネレノンが有効/NEJM

 左室駆出率が軽度低下の心不全(HFmrEF)または保たれた心不全(HFpEF)患者の治療において、プラセボと比較して非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬フィネレノンは、総心不全増悪イベントと心血管系の原因による死亡の複合アウトカムの発生を有意に抑制し、高カリウム血症のリスクが高いものの低カリウム血症のリスクは低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のScott D. Solomon氏らFINEARTS-HF Committees and Investigatorsが実施した「FINEARTS-HF試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年9月1日号に掲載された。国際的な無作為化イベント主導型試験 FINEARTS-HF試験は、日本を含む37ヵ国654施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照イベント主導型試験であり、2020年9月~2023年1月に参加者のスクリーニングを行った(Bayerの助成を受けた)。 年齢40歳以上、症状を伴う心不全で、左室駆出率が40%以上の患者6,001例を登録した。通常治療に加え、フィネレノン(ベースラインの推算糸球体濾過量に応じて最大用量20mgまたは40mg、1日1回)を投与する群に3,003例(平均[±SD]年齢71.9[±9.6]歳、女性45.1%)、プラセボ群に2,998例(72.0[±9.7]歳、45.9%)を無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、総心不全増悪イベント(心不全による予期せぬ初回または再入院、あるいは緊急受診と定義)と心血管系の原因による死亡の複合とした。総心不全増悪イベント数も有意に少ない ベースラインにおける全体の平均(±SD)左室駆出率は53(±8)%で、69.1%がNYHA心機能分類クラスIIであった。84.9%がβ遮断薬、35.9%がACE阻害薬、35.0%がARB、8.5%がARNI、13.6%がSGLT2阻害薬の投与を受けていた。 追跡期間中央値32ヵ月の時点で、主要アウトカムのイベントは、フィネレノン群で3,003例中624例に1,083件、プラセボ群で2,998例中719例に1,283件発生し、率比は0.84(95%信頼区間[CI]:0.74~0.95)とフィネレノン群で有意に良好であった(p=0.007)。 心不全増悪イベントの総数は、フィネレノン群が842件、プラセボ群は1,024件であり、率比は0.82(95%CI:0.71~0.94)とフィネレノン群で有意に少なかった(p=0.006)。また、心血管系の原因で死亡した患者の割合は、フィネレノン群8.1%、プラセボ群8.7%であった(ハザード比[HR]:0.93、95%CI:0.78~1.11)。0.5%で入院に至った高カリウム血症が発現 重篤な有害事象はフィネレノン群で1,157例(38.7%)、プラセボ群で1,213例(40.5%)に発現した。また、死亡に至った高カリウム血症のエピソードはなく、入院に至った高カリウム血症はフィネレノン群で16例(0.5%)、プラセボ群で6例(0.2%)であった。低カリウム血症は、プラセボ群に比べフィネレノン群で少なかった。 6ヵ月時の平均収縮期血圧は、プラセボ群に比べフィネレノン群で低かったが(群間差:-3.4mmHg、95%CI:-4.2~-2.6)、1ヵ月時の血圧の変化で補正しても、主要アウトカムに関して観察された治療効果は減弱しなかった。 著者は、「フィネレノンは、患者報告による健康状態(カンザスシティ心筋症質問票[KCCQ]総症状スコア)の改善に関して中等度の有益性をもたらしたが、NYHA心機能分類クラスや腎複合アウトカムのリスクを改善しなかった」とし、「ベースラインでSGLT2阻害薬(この患者集団においてガイドラインで強く推奨されている唯一の治療薬)を使用していた患者の主要アウトカムの結果が、使用していなかった患者と同程度であったことは重要である」としている。

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JN.1系統対応の次世代mRNA(レプリコン)コロナワクチン、一変承認取得/Meiji Seika

 Meiji Seikaファルマは9月13日のプレスリリースにて、同社の新型コロナウイルス感染症に対するオミクロン株JN.1系統に対応した次世代mRNA(レプリコン)「コスタイベ筋注用」について、製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。 同社は、2024年5月29日に開催された「第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」にて、2024/25シーズン向けの新型コロナワクチンの抗原構成がJN.1系統に取りまとめられたことを受け、同年5月31日に本剤のJN.1系統に対応したワクチンの日本における一部変更承認申請を行った。 本剤は、新規のmRNA技術を使用した次世代mRNAワクチンであり、既承認mRNAワクチンよりも少ない有効成分量で高い中和抗体価を示し、その抗体価が長く維持されることを特徴としている。 また、忍容性も高く、安全性については既承認mRNAワクチンと同様であり、有害事象の多くが軽度または中等度であることが国内外の臨床試験で示されている。 本剤は、年1回の定期接種に適したプロファイルを有すると考えられ、とくにリスクの高い高齢者に、新型コロナウイルス感染症の予防における新たな選択肢を提供すると期待されている。 同社は、本剤を2024/25シーズンに1バイアル(16回接種分)のJN.1系統対応ワクチンとして、近日中に供給を開始する予定。

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乳がん脳転移例へのT-DXd、安定/活動性によらず良好な結果(DESTINY-Breast12)/ESMO2024

 脳転移の有無を問わず、前治療歴のあるHER2陽性(+)の転移を有する乳がん患者を対象とした第IIIb/IV相DESTINY-Breast12試験の結果、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は脳転移を伴う患者で全身および中枢神経系における良好な抗腫瘍活性を示し、その活性は持続的であったことを、米国・ダナファーバーがん研究所のNancy U. Lin氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表し、Nature Medicine誌オンライン版2024年9月13日号に同時掲載された。 これまで、T-DXdのDESTINY-Breast01、02、03試験において、ベースライン時に脳転移があるHER2+乳がん患者の探索的プール解析の結果、既治療で安定した脳転移患者および未治療で活動性の脳転移患者で高い頭蓋内奏効率(ORR)が得られたことが報告されている。DESTINY-Breast12試験は、ベースライン時に脳転移がある患者とない患者の2つの別々のコホートによって、脳転移の有無を問わずにT-DXdの有効性と安全性を前向きに評価した非比較研究である。対象は、抗HER2療法の前治療歴があるHER2+の転移乳がん患者であった。脳転移を有するHER2+の転移乳がん患者を含めたT-DXdの前向き研究としては最大規模となる。最終データカットオフは2024年2月8日。 主な結果は以下のとおり。コホート1(脳転移例)・既治療で安定状態、または即時の局所治療を必要としない活動性(未治療、既治療/増悪)の脳転移を有するHER2+の転移乳がん患者263例に、T-DXd 5.4mg/kgを3週ごとに投与した。データカットオフ時点の追跡期間中央値は15.4(範囲:0.1~33.0)ヵ月であった。・年齢中央値は52(範囲:28~86)歳、HR+が62.7%、測定可能な病変が75.3%であった。転移に対する前治療のライン数中央値は1.0(範囲:0~4)で0ラインが7.6%、1ラインが50.2%、2ラインが41.4%、≧3ラインが0.8%であった。頭蓋内放射線治療歴のある患者において、最後の頭蓋内放射線治療から治療開始までの期間の中央値は164日であった。・コホート1の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は17.3ヵ月(95%信頼区間[CI]:13.7~22.1)であった。12ヵ月PFS率は全体が61.6%(54.9~67.6)、安定状態群が62.9%(54.0~70.5)、活動性群が59.6%(49.0~68.7)であった。活動性群のうち、未治療群は47.0%(29.6~62.7)、既治療/増悪群が66.7%(53.4~76.9)であった。・12ヵ月中枢神経系PFS率は58.9%(95%CI:51.9~65.3)であった。安定状態群(57.8%[48.2~66.1])と活動性群(60.1%[49.2~69.4])は同等であった。・ORRは51.7%(95%CI:45.7~57.8)で、完全奏効(CR)は4.2%、部分奏効(PR)は47.5%であった。安定状態群のORRは49.7%(41.9~57.5)、活動性群のORRは54.7%(45.2~64.2)であった。・中枢神経系ORRは、全体が71.7%(95%CI:64.2~79.3)、安定状態群が79.2%(70.2~88.3)、活動性群が62.3%(50.1~74.5)であった。活動性群のうち、未治療群は82.6%(67.1~98.1)、既治療/増悪群は50.0%(34.1~65.9)であった。・12ヵ月全生存(OS)率は90.3%(95%CI:85.9~93.4)であった。・Grade3以上の有害事象は51.0%に発現した。治験責任医師が報告した間質性肺疾患/肺臓炎は16%(うちGrade3以上が3.0%)であった。コホート2(非脳転移例)・脳転移を有さないHER2+の転移乳がん患者241例に、T-DXd 5.4mg/kgを3週ごとに投与した。データカットオフ時点の追跡期間中央値は16.1(範囲:0.8~28.4)ヵ月であった。・年齢中央値は54(範囲:24~87)歳、HR+が62.2%、測定可能な病変が89.2%であった。転移に対する前治療のライン数中央値は1.0(範囲:0~4)で0ラインが7.5%、1ラインが51.5%、2ラインが39.8%、≧3ラインが1.2%であった。・コホート2の主要評価項目であるORRは62.7%(95%CI:56.5~68.8)で、CRが9.5%、PRが53.1%であった。・12ヵ月OS率は90.6%(95%CI:86.0~93.8)であった。・Grade3以上の有害事象は49.0%に発現した。治験責任医師が報告した間質性肺疾患/肺臓炎は12.9%(うちGrade3以上が1.2%)であった。

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限局型小細胞肺がんへのデュルバルマブ地固め、OS・PFSサブグループ解析(ADRIATIC)/ESMO2024

 限局型小細胞肺がん(LD-SCLC)患者を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験「ADRIATIC試験」の第1回中間解析において、同時化学放射線療法(cCRT)後のデュルバルマブ地固め療法が全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが報告されている1)。本試験では、予防的頭蓋照射(PCI)の有無は問わず、cCRT時の放射線照射の回数も1日1回と1日2回が許容されていた。そこで、それらの違いによるOS・PFSへの影響を検討するサブグループ解析(post hoc解析)が実施された。本結果は、オランダ・アムステルダム大学のSuresh Senan氏によって欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表された。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:I~III期(I/II期は外科手術不能の患者)でPS0/1のLD-SCLC患者のうち、cCRT後に病勢進行が認められなかった患者730例(PCIの有無は問わない)・試験群1(デュルバルマブ群):デュルバルマブ(1,500mg、cCRT後1~42日目に開始して4週ごと)を最長24ヵ月 264例・試験群2(デュルバルマブ+トレメリムマブ群):デュルバルマブ(同上)+トレメリムマブ(75mg、cCRT後1~42日目に開始して4週ごと)を最長24ヵ月 200例・対照群(プラセボ群):プラセボ 266例・評価項目:[主要評価項目]OS、RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS(いずれもデュルバルマブ群vs.プラセボ群)[副次評価項目]OS、RECIST v1.1に基づくBICRによるPFS(いずれもデュルバルマブ+トレメリムマブ群vs.プラセボ群)、安全性など 今回は、デュルバルマブ群とプラセボ群のOS・PFSのサブグループ解析の結果が報告された。報告された主な結果は以下のとおり。・PCIを受けたのはデュルバルマブ群54%、プラセボ群54%であった。cCRT時のプラチナ製剤は、シスプラチンがそれぞれ66%、67%、カルボプラチンがそれぞれ34%、33%であった。放射線照射の回数は、1日1回がそれぞれ73.9%、70.3%、1日2回がそれぞれ26.1%、29.7%であった。・PCIの有無別にみたサブグループ解析において、OSとPFSに関するデュルバルマブ群のベネフィットはいずれのサブグループでも同様であった。各群のOS・PFS中央値(調整ハザード比[aHR]、95%信頼区間[CI])は以下のとおり。 【OS】 PCIあり:未到達vs.42.5ヵ月(aHR:0.72、95%CI:0.50~1.03) PCIなし:37.3ヵ月vs.24.1ヵ月(aHR:0.73、95%CI:0.52~1.02) ITT集団:55.9ヵ月vs.33.4ヵ月(HR:0.73、95%CI:0.57~0.93) 【PFS】 PCIあり:28.2ヵ月vs.13.0ヵ月(aHR:0.72、95%CI:0.52~0.99) PCIなし:9.1ヵ月vs.7.4ヵ月(aHR:0.84、95%CI:0.61~1.15) ITT集団:16.6ヵ月vs.9.2ヵ月(HR:0.76、95%CI:0.61~0.95)・cCRT時のプラチナ製剤別にみたサブグループ解析において、OSとPFSに関するデュルバルマブ群のベネフィットは、シスプラチンを用いた集団で小さい傾向にあったが、用いたプラチナ製剤による有意な交互作用は認められなかった。各群のOS・PFS中央値(aHR、95%CI)は以下のとおり。 【OS】 シスプラチン:41.9ヵ月vs.34.3ヵ月(aHR:0.81、95%CI:0.60~1.08) カルボプラチン:未到達vs.33.4ヵ月(aHR:0.55、95%CI:0.35~0.87) ITT集団:55.9ヵ月vs.33.4ヵ月(HR:0.73、95%CI:0.57~0.93) 【PFS】 シスプラチン:11.4ヵ月vs.9.7ヵ月(aHR:0.89、95%CI:0.67~1.17) カルボプラチン:27.9ヵ月vs.9.2ヵ月(aHR:0.60、95%CI:0.40~0.88) ITT集団:16.6ヵ月vs.9.2ヵ月(HR:0.76、95%CI:0.61~0.95)・放射線照射の回数別にみたサブグループ解析において、OSとPFSに関するデュルバルマブ群のベネフィットはいずれのサブグループでも同様であった。各群のOS・PFS中央値(aHR、95%CI)は以下のとおり。 【OS】 1日1回:41.9ヵ月vs.26.1ヵ月(aHR:0.73、95%CI:0.55~0.96) 1日2回:未到達vs.44.8ヵ月(aHR:0.71、95%CI:0.42~1.18) ITT集団:55.9ヵ月vs.33.4ヵ月(HR:0.73、95%CI:0.57~0.93) 【PFS】 1日1回:11.4ヵ月vs.7.8ヵ月(aHR:0.79、95%CI:0.61~1.03) 1日2回:38.7ヵ月vs.14.3ヵ月(aHR:0.73、95%CI:0.46~1.14) ITT集団:16.6ヵ月vs.9.2ヵ月(HR:0.76、95%CI:0.61~0.95)・Grade3/4の有害事象の発現率は、PCIありのサブグループがPCIなしのサブグループよりも高く、同様にカルボプラチンを用いたサブグループがシスプラチンを用いたサブグループよりも高かった。デュルバルマブの中止に至った有害事象の発現率は、いずれのサブグループでも同様であった。 Senan氏は、本結果について「LD-SCLC患者において、cCRT後のデュルバルマブによる地固め療法は新たな標準治療となることを支持するものである」とまとめた。

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