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眼圧が基準範囲内でも高ければ高血圧発症の危険性が高くなる

 眼圧と高血圧リスクとの関連性を示すデータが報告された。眼圧は基準範囲内と判定されていても、高い場合はその後の高血圧発症リスクが高く、この関係は交絡因子を調整後にも有意だという。札幌医科大学循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座の古橋眞人氏と田中希尚氏、佐藤達也氏、同眼科学講座の大黒浩氏と梅津新矢氏らの共同研究によるもので、詳細は「Circulation Journal」に7月24日掲載された。 眼圧が高いことは緑内障のリスク因子であり、21mmHg以上の場合に「高眼圧」と判定され緑内障の精査が行われる。一方、これまでの横断研究から、高血圧患者は眼圧が高いことが知られている。ただし縦断研究のエビデンスは少なく、現状において眼圧の高さは高血圧のリスク因子と見なされていない。そのため眼圧は短時間で非侵襲的に評価できるにもかかわらず、もっぱら緑内障の診断や管理という眼科領域でのみ測定されている。この状況を背景として古橋氏らの研究チームは、健診受診者の大規模データを用いた後方視的縦断研究によって、眼圧と高血圧リスクとの関連を検討した。 解析対象は、札幌市内の渓仁会円山クリニックで2006年に健診を受けた2万8,990人のうち、10年後の2016年までに1回以上再度健診を受けていて、眼圧と血圧の経時的データがあり、ベースライン時に高血圧と診断されていなかった7,487人。主な特徴は、ベースライン時において年齢48±9歳、BMI22.8±3.2、収縮期血圧112±13mmHg、拡張期血圧72±9mmHgで、眼圧(両眼の平均)は中央値13mmHg(四分位範囲11~15mmHg)で大半が基準値上限(21mmHg)未満の正常眼圧だった。 血圧140/90mmHg以上または降圧薬の処方開始で高血圧の新規発症を定義したところ、平均6.0年(範囲1~10年)、4万5,001人年の追跡で、1,602人がこれに該当した(男性の24.3%、女性の11.5%)。ベースラインの眼圧の三分位で3群に分けカプランマイヤー法で比較すると、高血圧の累積発症率は第3三分位群(眼圧14mmHg以上)、第2三分位群(同12~13mmHg)、第1三分位群(同11mmHg以下)の順に高く、有意差が認められた(P<0.001)。 次に、高血圧の新規発症に対する眼圧との関連を、交絡因子(年齢、性別、収縮期血圧、肥満、腎機能、喫煙・飲酒習慣、高血圧の家族歴、糖尿病・脂質異常症の罹患)で調整した多変量Cox比例ハザード解析を施行。その結果、年齢や収縮期血圧、肥満、喫煙・飲酒習慣、高血圧の家族歴、糖尿病の罹患とともに、高眼圧が高血圧発症の独立した危険因子として採択された(第1三分位群を基準として第3三分位群のハザード比が1.14〔95%信頼区間1.01~1.29〕)。さらに制限付き3次スプライン曲線での解析により、ベースラインの眼圧が高いほど高血圧発症リスクが徐々に上昇するという現象が確認された。 これらの結果から著者らは、「眼圧が基準範囲内であっても高ければ、その後の高血圧発症リスクが高くなるということが、大規模な縦断研究の結果として明らかになった。眼圧高値を緑内障の診断・管理目的のみでなく、心血管疾患の危険因子として捉え、内科と眼科は綿密に連携をとって評価する必要があるのではないか」と結論付けている。なお、高眼圧や緑内障と高血圧の関連のメカニズムについては、先行研究からの考察として、「眼圧を規定する房水の産生には交感神経活性の亢進が関与していて、緑内障には活性酸素種の産生亢進が関与している。それらのいずれも血圧を押し上げるように働く」と述べられている。

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高齢者NSTEMI治療における標準的治療法確立の難しさを示した研究(解説:野間重孝氏)

 本研究は英国心臓財団の助成によって行われ、結果は本年9月にロンドンで行われた欧州心臓病学会で発表された。その内容はInterventional Cardiology誌9月号に速報のかたちで掲載された。NEJM誌に掲載の論文が同じ9月に掲載されていること、また本文中にSENIOR-RITAという名称が付いても「はじめに」の部分で簡単に触れられているのみで論文の題名からも外されていることから、戸惑われた方も多かったのではないかと推察する。通常、正式発表の論文は学会発表からいくらか遅れるかたちで出版されるのが普通なのであるが、このあたり、研究グループが本研究成果を大きく報じたいと考えた意図がうかがえる。 急性冠症候群はST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)、不安定狭心症に大別される。STEMIの場合は、可能な限り早急なprimary PCIが施行される必要があり、これは超高齢者であっても、大きな禁忌事項がない限り同様の治療方針が取られる。これに対してNSTEMIの治療方針は、年齢に関係なく二通りが考えられ、場合により選択されてきた。早期に造影検査およびインターベンションを行う侵襲的治療戦略と、保存的な治療を優先し急性期の侵襲的治療を回避する初期保存的治療戦略(非侵襲的治療戦略)である。この場合、リスク評価をいかに適切に行うかが重要となるが、近年ではリスク評価うんぬんを論じる以前に、大きな禁忌事項がない限り早期に侵襲的治療を行うべきであるという考え方が一般的となっている。実際、これをお読みの皆さんの関係施設においても、早期の侵襲的対応が可能な施設においては、特別な問題がない限り侵襲的治療が選択されているのではないだろうか。そして、この「特別な問題」として最も頻繁に問題になるのが年齢、それも75歳を超える超高齢の問題なのである。 NSTEMIをどう治療することが適切かについては、多くの研究がなされてきた。しかし、そもそもそういったエビデンスを構築するための研究から高齢者は除外されるのが常だった。このため、高齢者のNSTEMIの治療戦略についてはエビデンスがなく、事実上現場の医師の判断に委ねられてきたのが実態であった。もちろんいくつかの臨床研究はなされたが、どれもサンプル数や患者選択の問題から広く受け入れられる結果を出すには到らなかった。 この問題について初めてまとまった結果を発表したのが、2020年に発表されたSENIOR-NSTEMI試験であった。この研究では超高齢者であったとしても、侵襲的治療戦略のほうが保存的治療戦略よりも優れていると結論された。この論文は2020年8月のLancet誌に掲載され、このジャーナル四天王でも取り上げられたので(「NSTEMI、80歳以上でも侵襲的治療が優位/Lancet」)、ご記憶の向きも多いと思う。ただ、この試験はランダマイズ研究ではなく、日常診療の登録データからプロペンシティ・スコアを用いて解析したものであった。このため、この分野に関心のある医師たちは大規模ランダマイズ研究がなされることを待ち望んでいた。そこに発表されたのが本研究(SENIOR-RITA試験)だったのである。 本研究では患者を完全にランダマイズするとともに、STEMI、不安定狭心症、心原性ショック、余命1年未満の患者、侵襲的冠動脈造影を受けることができないと考えられたもの以外はすべて対象とした。つまり、いわゆる虚弱(フレイル)や認知障害があっても侵襲的検査・治療を受けられないと判断されたもの以外は対象とされた。そして1次複合エンドポイントを心血管死と非致死性心筋梗塞に絞った。これにより、単にランダマイズを行った以上に高齢者NSTEMI治療成績を明確にしようとした。 本試験では1,518例の患者が、侵襲的戦略群753例、非侵襲的治療戦略群765例にランダマイズされたかたちで割り振られた。平均年齢は82歳で、男女比もほぼ等しかった。中央値4.1年の追跡の結果、両群間で1次エンドポイントには差がないことが示された。つまり、NSTEMIの治療は症例の選択を誤ることがなければ、侵襲的、非侵襲的治療戦略で治療成績に差がないことが示された。 本研究はきわめて周到に計画・実行された大規模ランダマイズ試験であり、長年の問題について1つの結論を出したと考えられなくもない。しかし、いくつかの問題点も指摘されなければならないと思う。 上記「症例の選択を誤ることがなければ」と書いたが、この部分が大変に重要で、実際本試験ではスクリーニング対象になった患者の5人に1人だけが登録された。研究の目的から考えてSTEMI、心原性ショックは除外されて当然であるが、この数字からはその他でも多くの患者が高齢者の抱えるさまざまな問題により試験登録が適当ではないと判断されたことが推察される。この中には、高齢による強度の虚弱や認知障害、加えて本人の意向、家族の反対などさまざまな原因が考えられる。実は高齢者のNSTEMI治療において、この患者選択の問題こそが本質的な問題であり、本研究がその点に言及していないのは残念であるとともに、本研究の1つの限界となっていると思う。 また、その後に冠動脈造影や血行再建術を受けた患者数は非侵襲的戦略群で有意に多かった。ただし、この問題は保存的治療を選択した場合、時期を見て侵襲的検査・治療を行うか至適内科治療で経過を見るかという問題で、別途論じられるべき問題だろう。 治療合併症が少なかったことは評価されるべきではあるものの、現在のprimary PCIの技術レベルを考えれば、症例の選択を誤らなければ大きな合併症は起こらないことは当然予想されたと考えるが、合併症の問題は研究の信頼性を高める要因としては評価されなければならないだろう。ただし、ここでも患者選択の問題があることには注意してほしいと思う。 評者の結論を述べるならば、結局今回の研究はNSTEMIをどのように治療すべきかという一般的な問題に、高齢者において個別化医療の重要性を強調したこと、また現在の治療技術レベルにおいては、症例のリスク評価が慎重かつ十分に行われれば、高齢であるというだけの理由で特別な治療方針を考える必要はないことを示したものと考える。一方で、高齢者医療においては極端な虚弱や認知症、合併症のリスク、患者・家族の意向などを十分に考慮する医学的、倫理的視点の重要性が再確認されたといえる。本論文の限界を述べたように思われるかもしれないが、そうではない。さまざまに議論されてきた高齢者NSTEMIの治療を考える場合、保存的治療戦略でも十分な結果が得られることを示したことは十分に価値があると同時に、これだけ周到な準備をしてもこの分野の研究に明解な結論を出すことが困難であることを示したことがむしろ大きな成果であったと思う。

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指先をそぎ落とした【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第19回

救急外来では、よく「指の先端をそぎ落とした」という主訴で受診される患者さんがいます。多くの場合、包丁やスライサーで野菜を切っている際に指先を誤って受傷し、止血が困難で受診します。なかなか出血が止まらず縫合が難しいため、経験が浅い医療者は対処に苦慮することがあります。今回は、そのような状況の対応方法を紹介します。<症例>80歳、女性主訴包丁で指先を切った。いつもは高血圧と軽度の認知症で訪問診療を受けている。午後に診察した際に左手をティッシュペーパーとテープでぐるぐる巻きにしていたので聞いてみると、野菜を切っていたときに指先を切ったとのこと。洗浄もしていないので処置することになった。ステップを追って診察しましょう。(1)傷の性状確認まずは縫合できるかどうかの確認が必要です。この患者さんは左手の親指の人差し指側の先端を円形に包丁でそぎ落としていました。このような場合は縫合は難しいと判断します。【イメージ】スライサーで指先をそぎ落とした症例 受傷後2日目(聖隷横浜病院 入江康仁先生のご厚意で画像をご提供いただきました)(2)止血の確認多くの人が難渋するのが止血です。というのも、指先は血流が豊富なため、止血を確認するために圧迫を解除すると再出血し、なかなか止まらないことが多いからです。患者さんもテープで巻いている状態では止血ができていましたが、ティッシュペーパーが乾燥して傷口に固着しており、剥がすと再出血しました。(3)処置このような場合、皆さんはどのように処置をしますか? おそらくこれが正解というものはないと思うので、私の処置を紹介します。まず創部をキシロカインゼリーで鎮痛し、十分に洗浄します。洗浄後、創部を軟膏を塗布したガーゼで覆い、その上から弾性包帯で軽く圧迫するよう巻きます。包帯で圧迫したら、下記イメージのように創部を患者自身の手で覆って10分ほど圧迫します。【イメージ】左手の第2指の指尖部を受傷した場合これでほとんどの症例で止血が得られます。ポイントは、包帯を外して止血確認をしないことです。1日そのままにして、翌日患者さんにチェックしてもらいます。24時間程度経過すれば、上皮化が進行して止血されています。以降は1日1回程度軟膏ガーゼを交換します。この患者さんも上記の処置を行い、通院が困難であったため1日1回のガーゼ交換はご家族にお願いしました。1週間後にはガーゼに浸出液が付着しなくなったため軟膏ガーゼは終了となり、2週間後の定期診察の際には傷がきれいになっていました。以上が指先をそぎ落としてしまったときの対処法です。参考になればと思います。

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寄り道編(10)Ca拮抗薬の適応【臨床力に差がつく 医薬トリビア】第59回

※当コーナーは、宮川泰宏先生の著書「臨床力に差がつく 薬学トリビア」の内容を株式会社じほうより許諾をいただき、一部抜粋・改変して掲載しております。今回は、月刊薬事64巻2号「臨床ですぐに使える薬学トリビア」の内容と併せて一部抜粋・改変し、紹介します。寄り道編(10)Ca拮抗薬の適応QuestionCa拮抗薬が最初に販売された当時の適応は?

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第232回 「2040年問題は革命的なことを議論しているのだと自覚したほうがいい」と元厚労官僚 地域包括ケアシステム・セミナーを覗いて考えた(後編)

石破首相、加藤財務相で医療はどうなる?こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。9月27日に行われた自民党総裁選で石破 茂元幹事長が第28代総裁に選ばれ、10月1日召集の臨時国会での首相指名選挙を経て、第102代の首相に就任しました。現時点で、石破首相がどんな社会保障政策、医療政策を展開するかははっきりとは見通せませんが、総裁選で公表された政策集を見ると、「社会保障制度改革」については以下のように述べています。「医療DXの推進により、ビッグデータも活用しつつ、予防と自己管理を主眼とした健康維持のための医療制度を構築し、医療費を適正化するとともに、遠隔医療の拡充、医師偏在の是正、健康寿命延伸、薬価制度の見直しなどに取り組み、国民一人一人に最適な医療の実現を目指します。併せて医療人材の処遇改善、医療機関の負担軽減にも取り組みます」現行の政策を一通りなぞっただけで、とくにユニークさは感じられない内容です。石破氏は厚生労働大臣の経験もなく、おそらく社会保障政策には疎いのかもしれません。そう考えると、決戦投票で支持に回ったと報道されている岸田 文雄前首相や、菅 義偉元首相の社会保障政策(財務省寄り)をそのまま踏襲していくと考えられます。新内閣では、厚生労働大臣には福岡 資麿・参議院自由民主党政策審議会長、財務大臣には加藤 勝信元官房長官が就任しました。初入閣の福岡氏の実力はまだうかがい知れませんが、加藤氏は安倍 晋三、岸田両内閣で厚労大臣を務めており、自民党では医療DX推進の旗振り役でもあります。今から2年前の本連載「第125回 医療DXの要『マイナ保険証』定着に向けて日医を取り込む国・厚労省の狙いとは(後編)かかりつけ医制度の議論を目くらましにDX推進?」で私は、2022年8月に発足した岸田内閣で3度目の厚労大臣に就いた加藤氏について、「加藤厚労相は、親日医の姿勢を見せつつ、マイナ保険証を突破口として医療DXを強力に推進するために岸田首相から医療界に送り込まれた“刺客”という見方もできるかもしれません」と書きました。今度は厚労省のみならず、日本そのものを牛耳る財務大臣です。マイナ保険証、電子処方箋、そして全国医療情報プラットフォームを含めた日本の医療DXは、今まで以上に強力に推進されることは間違いないでしょう。「尊厳のある看取り」のために変わらなければならないのは医療さて、今回も前回に続き、9月2日に東京で開かれた「第10回 地域包括ケアシステム特別オープンセミナー」(医療経済研究機構主催)での議論の内容を紹介したいと思います。「尊厳ある“在宅での看取り”とは」をテーマに開かれた同セミナーのパネルディスカッションにおいて、日本在宅ケアアライアンス副理事長という肩書での出席していた武田 俊彦氏(元厚生労働省医政局長)は、「尊厳のある看取り」のために「変わらなければならないのは(病院や診療所など)医療だ」と強調しました。武田氏は「2014年に地域包括ケア病棟ができ、『治す医療から支える医療へ』『ときどき入院、ほぼ在宅』という革命的な概念が導入されたにもかかわらず、医療の側も診療報酬もそれ(支える医療)に応える形になっていない」と指摘、その上で「診療所と病院の役割分担を根本的に変えなければならない」と述べました。「変わらなければならないのは診療所」とくに診療所については、「現状、看取りは病院がほとんどやっている地域は多い。その意味で変わらなければならないのは診療所のほうかもしれない」と語ると共に、関連して「『全国どこでも地域包括ケア』を実現するには、医師の地域偏在にも取り組む必要がある」としました。さらに、次期地域医療構想の目標年ともされる2040年に向けて医学部教育、診療報酬、病院と診療所の機能・分類など、さまざまな議論が進んでいること自体が、そうした“支える医療”のあり方の議論でもあり、「2040年問題は革命的なことを議論しているのだと自覚したほうがいい」と語りました。「変わらなければならないのは診療所のほうかもしれない」は、元厚労官僚の発言としてはなかなか含蓄があると言えるでしょう。武田氏は、ボストン コンサルティング グループのシニア・アドバイザーを務めるとともに、内閣官房健康・医療戦略室政策参与兼内閣府健康・医療戦略推進事務局政策参与という肩書も持っています。現在、厚労省では、かかりつけ医機能の制度化、次期地域医療構想、医師偏在対策など、さまざまな改革が進められようとしていますが、全体を「地域包括ケア」や「支える医療」という視点から見直してみると、“足りない部分”が改めて浮き彫りになってきます。新政権でのこの方面(とくに診療所)への踏み込み度合いに注目したいと思います。

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妊娠中の魚油摂取、出生児のアトピー性皮膚炎リスクは低減する?

 妊娠中のオメガ3長鎖多価不飽和脂肪酸(n-3 LCPUFA、魚油)サプリメント摂取と出生児のアトピー性皮膚炎リスクとの関連は、母体が有するシクロオキシゲナーゼ-1(COX1)遺伝子型によって異なることが示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のLiang Chen氏らが実施した無作為化比較試験「Danish Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood 2010」の事前に規定された2次解析において、TT遺伝子型を有する母親がn-3 LCPUFAサプリメントを摂取した場合、出生児はアトピー性皮膚炎のリスクが有意に低いことが示された。著者は、「TT遺伝子型を有する妊婦にのみサプリメントを摂取させるという個別化された予防戦略の参考になるだろう」と述べている。エイコサノイドは、アトピー性皮膚炎の病態生理に関与しているが、出生前のn-3 LCPUFAサプリメント摂取や母体のCOX1遺伝子型の影響を受けるかどうかは明らかになっていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年8月28日号掲載の報告。 「Danish Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood 2010」の事前に規定された2次解析では、出生コホートの母子ペアを対象とし、出生児が10歳になるまで前向きに追跡した。妊娠中のn-3 LCPUFAサプリメント摂取と小児アトピー性皮膚炎の関連について、全体および母親のCOX1遺伝子型別に検討した。本試験では、母親と出生児のCOX1遺伝子型を確認し、出生児が1歳になった時点で尿中エイコサノイドを測定した。本試験は2019年1月~2021年12月の期間に実施し、データ解析は2023年1~9月に行った。 合計736例の妊娠24週の妊婦を、1日2.4gのn-3 LCPUFA(魚油)サプリメントを摂取する群(介入群)またはプラセボ(オリーブオイル)を摂取する群(対照群)に1対1の割合で無作為に割り付け、出産1週後まで摂取を継続させた。 主要アウトカムは、全体および母親のCOX1遺伝子型別にみた10歳時までの小児アトピー性皮膚炎リスクであった。 主な結果は以下のとおり。・10歳時のフォローアップを完了した出生児は635例(91%、女子363例[57%])であり、母親と共に、介入群321組(51%)、対照群314組(49%)が解析に含まれた。・妊娠中のn-3 LCPUFAサプリメントの摂取は、出生児の1歳時点における尿中トロンボキサンA2代謝物量と有意な負の関連があった(β:-0.46、95%信頼区間[CI]:-0.80~-0.13、p=0.006)。また、尿中トロンボキサンA2代謝物量はCOX1 rs1330344遺伝子型との有意な正の関連も認められた(Cアレル当たりのβ:0.47、95%CI:0.20~0.73、p=0.001)。・10歳時点までの小児アトピー性皮膚炎発症とn-3 LCPUFAサプリメント摂取(ハザード比[HR]:1.00、95%CI:0.76~1.33、p=0.97)、母親のCOX1遺伝子型(同:0.94、0.74~1.19、p=0.60)との間には、いずれも関連が認められなかったが、n-3 LCPUFAサプリメント摂取と母親のCOX1遺伝子型には有意な交互作用がみられた(交互作用のp<0.001)。・TT遺伝子型を有する母親の出生児のアトピー性皮膚炎のリスクは、対照群よりも介入群で有意に低かった(390組[61%]のHR:0.70、95%CI:0.50~0.98、p=0.04)。一方で、CT遺伝子型を有する母親の出生児において、介入群のアトピー性皮膚炎のリスク低下はみられず(209組[33%]のHR:1.29、95%CI:0.79~2.10、p=0.31)、CC遺伝子型を有する母親の出生児では有意なリスク上昇が認められた(37組[6%]のHR:5.77、95%CI:1.63~20.47、p=0.007)。・アトピー性皮膚炎発症について、n-3 LCPUFAサプリメント摂取と出生児のCOX1遺伝子型には、有意な交互作用がみられた(交互作用のp=0.002)。

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乳がん術前療法でのDato-DXdからの逐次治療、HR・免疫反応・DRD全陰性例で対照群より優れる(I-SPY2.2)/ESMO2024

 StageII/IIIの高リスクHER2-乳がんの術前療法において、datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)単独治療で始める3ブロックの逐次治療戦略により、38.1%で病理学的完全奏効(pCR)を達成し、その約半数がDato-DXd単独治療後に達成したことが第II相I-SPY2.2試験で示された。また、ホルモン受容体(HR)・免疫反応・DNA修復欠損(DRD)がすべて陰性のサブタイプでpCR率が対照群を上回ったという。米国・University of Alabama at BirminghamのKatia Khoury氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表した。本結果はNature Medicine誌オンライン版2024年9月14日号に同時掲載された。 I-SPY2.2試験は、外科的切除時のpCR達成のために術前療法を個別化・最適化することを目的とし、反応予測サブタイプ(RPS)に基づいて治療ブロックを割り当て、ブロックAでは新規薬剤を投与、ブロックBとCでは従来の標準療法を行う連続多段階ランダム割り付け試験である。治療は標準療法とマッチングされ、RPSは免疫療法の有用性、DRD、HRの有無、HER2の有無により分類された。 本試験の適格患者は、70遺伝子シグネチャー(MammaPrint)で高リスクのStageII/IIIのHER2-乳がんである。Dato-DXdアームにおける治療は、ブロックAではDato-DXdを3週ごと4サイクル静注、ブロックBはタキサンを含む化学療法(±ペムブロリズマブ)、ブロックCはアントラサイクリンを含む化学療法(±ペンブロリズマブ)とした。ブロックAまたはBの終了時にpCRが予測された患者は手術に移行し、予測されない場合はブロックB±ブロックCに進む。予測残存腫瘍量の評価のために治療への反応を乳房MRIと生検で評価し、治療方針は担当医師が決定した。主要評価項目はpCRで、以前のI-SPYデータから得られた各サブタイプの対照群と比較した。 ASCO2024ではブロックAの結果が報告され、今回はDato-DXdアーム全体の結果が報告された。 主な結果は以下のとおり。・2022年6月~2023年9月に103例がDato-DXd群に無作為に割り付けられた。・年齢中央値は46歳、腫瘍サイズ5cm以上が29%、リンパ節転移ありが64%、トリプルネガティブが48.5%、免疫+が45%であった。・pCRを達成したのは全体で38.1%(37例)で、ブロックA後に達成したのは18例、ブロックB後は13例、ブロックC後は6例であり、48.7%がブロックAのみで達成した。・感度分析において、すべて陰性(HR-/免疫-/DRD-)のサブタイプでDato-DXd のpCR率が対照群を上回った。その他のサブタイプでは上回らなかったが、治療戦略に従った患者のpCR率は対照群と同様であった。・ブロックAで最も多かった有害事象は、悪心、疲労、発疹であった。口内炎と眼毒性はそれほど多くはなく、ほとんどが低Gradeだった。

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タスルグラチニブ、FGFR2融合遺伝子陽性胆道がんに承認/エーザイ

 エーザイは2024年9月24日、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)選択的チロシンキナーゼ阻害薬タスルグラチニブ(商品名:タスフィゴ)が、日本における「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道」の効能・効果で製造販売承認を取得したと発表した。 同剤は厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定されており、2023年12月に製造販売承認申請を行っていた。今回の承認は日本と中国で実施した多施設共同非盲検単群臨床第II相試験(201試験)などの結果に基づいたもの。 201試験では、ゲムシタビン併用化学療法による前治療歴のある切除不能進行または転移のあるFGFR2遺伝子陽性胆管がん患者63例が登録され、主要評価項目として奏効率(ORR)、副次評価項目として安全性などが評価された。同試験におけるタスルグラチニブの独立画像判定によるORRは30.2%で、主要評価項目を達成した。タスルグラチニブの主な有害事象(Treatment-emergent adverse events)は高リン血症(81.0%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(44.4%)、下痢(36.5%)、AST増加(31.7%)、ALT増加(28.6%)、口内炎(25.4%)であった。 日本における胆道がんの患者数は約2.2万人と推計され、5年相対生存率は約25%と膵臓がんに次いで予後不良とされる。薬物療法の選択肢も限られ、アンメット・メディカルニーズの非常に高い疾患である。FGFR2融合遺伝子は胆道がんの15~30%を占める肝内胆管がんの約14%に認められている。 同適応に係るFGFR2融合遺伝子を検出するコンパニオン診断薬としては日本ステリの「AmoyDx FGFR2 Gene Break-apart FISH プローブキット」が2024年8月に承認されている。

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ALK陽性肺がん5年PFS中央値未達のロルラチニブ、アジア人に対する成績(CROWN)/ESMO2024

 ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした第III相「CROWN試験」の5年フォローアップ1)におけるアジア人サブグループ解析の結果、全体集団と同じくロルラチニブが無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、頭蓋内病変の進行も抑えることが示された。中国・Guangdong Lung Cancer InstituteのYi-Long Wu氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表した。・試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験・対象:未治療のStageIIIB/IVのALK融合遺伝子陽性NSCLC患者(無症状の中枢神経系[CNS]転移は許容)・試験群:ロルラチニブ(100mg/日)・対照群:クリゾチニブ(250mg×2/日)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS[副次評価項目]OS、治験担当医師評価によるPFS、奏効率(ORR)、頭蓋内奏効率(IC-ORR)、奏効期間(DOR)、頭蓋内奏効期間(IC-DOR)、頭蓋内病変進行までの期間(IC-TTP)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・全体集団296例のうち、120例(日本48例、中国48例、韓国21例、その他3例)がアジア人サブグループとして解析された。試験群は59例(年齢中央値:61歳[範囲:49~70])、対照群は61例(55歳[47~66])であった。ベースライン時に脳転移を認めたのは、試験群で13例、対照群で16例であった。・データカットオフ時点(2023年10月31日)で、治験担当医師評価によるPFS中央値は試験群未到達、対照群9.2ヵ月であり(ハザード比[HR]:0.22、95%信頼区間[CI]:0.13~0.37)、5年PFS率は試験群63%、対照群7%であった。・試験群ではEML4-ALKのバリアントサブタイプ(バリアント1または3)やTP53変異の有無にかかわらず、PFS中央値は未到達であった。・ORRは試験群81.4%、対照群59.0%で、ベースライン時に脳転移を認めた集団のIC-ORRは試験群69.2%、対照群6.3%であった。・IC-TTP中央値は試験群未到達、対照群14.6ヵ月であった(HR:0.01、95%CI:<0.01~0.1)。・試験群におけるGrade3/4の有害事象(AE)は81.4%に発現し、その内訳は高トリグリセライド血症(33.9%)、高コレステロール血症(22.0%)、体重増加(22.0%)などであった。・試験群における中枢神経系・精神系のAEとして、認知障害(25.4%)、気分障害(11.9%)などが認められた。・AEにより投与中止に至った割合は試験群で5.1%、対照群で8.3%であった。 Wu氏は、今回の結果をCROWN試験の全体集団の結果と一致しているとしたうえで「ALK陽性NSCLCのアジア人患者に対し、1次治療としてロルラチニブを用いることを支持するデータである」とまとめた。

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末梢動脈疾患でがんリスク増、とくに注意すべき患者は?

 下肢末梢動脈疾患(PAD)に関連したがんリスクの増加が報告されているが、喫煙などの重要な交絡因子が考慮されておらず、追跡期間も10年未満と短い。今回、米国・ジョンズ・ホプキンス大学/久留米大学の野原 正一郎氏らは、ARIC(atherosclerosis risk in communities)研究の参加者を対象に、長期にわたってPADとがん発症の独立した関連を検討した。その結果、症候性PAD・無症候性PADとも交絡因子調整後もがんリスクと有意に関連し、とくに喫煙経験者ではがんリスクが1.4倍、肺がんリスクは2倍以上だった。International Journal of Cardiology誌オンライン版2024年9月19日号に掲載。 本試験では、ARIC研究の参加者のうち、ベースライン時にがんではなかった1万3,106例(平均年齢:54.0歳、男性:45.7%、黒人:26.1%)を、症候性PAD(臨床歴もしくは間欠性跛行)、無症候性PAD(足関節上腕血圧比[ABI]≦0.9)、ABIによる5つのカテゴリー(0.9~1.0、1.0~1.1、1.1~1.2、1.2~1.3、1.3<)に分類した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値25.3年の間に4,143例でがんを発症した。・25年間の累積がん発症率は症候性PADで37.2%、無症候性PADで32.3%、その他のカテゴリーで28.0~31.0%であった。・症候性PAD(ハザード比[HR]:1.42、95%信頼区間[CI]:1.05~1.92)および無症候性PAD(HR:1.24、95%CI:1.05~1.46)は、喫煙や糖尿病などの潜在的交絡因子調整後も、がんリスクと有意に関連していた。・喫煙の有無別にみると、喫煙経験者ではPAD(症候性および無症候性)はPADなしに比べてがんリスクと強い関連(HR:1.42、95%CI:1.21~1.67)がみられた一方、喫煙未経験者ではみられなかった。この結果は肺がんにおいて最も顕著であった(HR:2.16、95%CI:1.65~2.83)。 著者らは「PAD患者はエビデンスに基づいたがん予防とスクリーニングを受けるべき」と述べている。

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日本人女性におけるチーズの摂取と認知機能との関連

 多くの研究で、認知機能低下と食習慣との関連が報告されているが、チーズの摂取との関連は、これまであまり注目されていなかった。国立長寿医療研究センターの鈴木 隆雄氏らは、65歳以上の地域在住の日本人女性1,035人を対象に、チーズの摂取量や種類と認知機能との関連を調査するため、疫学研究を実施した。Nutrients誌2024年8月22日号の報告。 身体測定、機能的能力、チーズを含む食品の摂取頻度を評価した。認知機能の評価には、ミニメンタルステート検査(MMSE)を用い、スコアが20〜26の場合、軽度認知機能低下と定義した。 主な結果は以下のとおり。・MMSEスコアの統計学的に有意な差は、チーズ摂取の有無およびカマンベールチーズ摂取の有無において、認められた。●チーズの摂取:28.4±1.9 vs.チーズ以外の摂取:27.6±2.4●カマンベールチーズの摂取:28.7±1.4 vs.その他:28.3±2.0・交絡因子で調整した後、多重ロジスティック回帰分析では、軽度認知機能低下と有意に関連する次の4つの独立変数が特定された。●カマンベールチーズの摂取(オッズ比:0.448、95%信頼区間:0.214〜0.936)●年齢●通常時の歩行速度●機能的嚥下障害スクリーニングテストスコア 著者らは「日本の地域在住の高齢女性の横断的なデータに基づくものではあるが、カマンベールチーズの摂取と軽度認知機能低下との間に有意な逆相関が認められることが明らかとなった」としている。

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筋層浸潤性尿路上皮がん、術後ペムブロリズマブでDFS改善/NEJM

 膀胱全摘除術後の高リスク筋層浸潤性尿路上皮がんの治療において、経過観察と比較してPD-1阻害薬ペムブロリズマブによる補助療法は、無病生存期間(DFS)を有意に延長し、有害事象プロファイルは既報と一致し安全性に関する新たな懸念は認めないことが、米国国立がん研究所のAndrea B. Apolo氏らが実施した「AMBASSADOR試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年9月15日号に掲載された。米国の無作為化第III相試験 AMBASSADOR試験は、米国の246施設で実施した医師主導型の非盲検無作為化第III相試験であり、患者の登録を2017年9月に開始し、高リスク筋層浸潤性尿路上皮がん患者への術後ニボルマブ療法が米国食品医薬品局の承認を得た2021年8月に早期中止した(米国国立がん研究所などの助成を受けた)。 高リスク筋層浸潤性尿路上皮がんと診断され膀胱全摘除術を受けた患者702例(予定登録者数[734例]の96%)を登録し、術後補助療法としてペムブロリズマブ(200mg、3週ごと、静脈内投与)を1年間投与する群に354例(年齢中央値69歳、女性23.4%)、経過観察群に348例(68歳、27.3%)を無作為に割り付けた。 主要複合評価項目は、ITT集団におけるDFS(無作為化の日から病勢進行または全死因死亡の日までの期間)と全生存(無作為化の日から全死因死亡の日までの期間)とし、いずれかが経過観察群に比べ、ペムブロリズマブ群で有意に延長した場合に試験は成功と判定した。3年生存率には差がない DFSの追跡期間中央値は44.8ヵ月(ペムブロリズマブ群45.7ヵ月、経過観察群40.5ヵ月)であった。ITT集団におけるDFS中央値は、経過観察群が14.2ヵ月(95%信頼区間[CI]:11.0~20.2)であったのに対し、ペムブロリズマブ群は29.6ヵ月(20.0~40.7)と有意に延長した(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.73、95%CI:0.59~0.90、両側のp=0.003)。 主な副次評価項目であるPD-L1陰性腫瘍を有する患者のDFS中央値は、ペムブロリズマブ群が17.3ヵ月、経過観察群は9.0ヵ月であり(HR:0.71、95%CI:0.53~0.95)、PD-L1陽性腫瘍を有する患者のDFS中央値はそれぞれ36.9ヵ月および21.0ヵ月であった(0.81、0.61~1.08)。 また、追跡期間中央値が両群とも36.9ヵ月の時点での2回目の中間解析では、ペムブロリズマブ群で131例、経過観察群で126例が死亡し、ITT集団における3年生存率はそれぞれ60.8%および61.9%だった(死亡のHR:0.98、95%CI:0.76~1.26)。治療関連有害事象は26.4%に 治療との関連性を問わないGrade3以上の有害事象は、ペムブロリズマブ群で50.6%、経過観察群で31.6%に発現した。 ペムブロリズマブ群では、87例(26.4%)に治療関連の有害事象を認め、頻度が高かった全グレードの有害事象は疲労(47.3%)、そう痒(22.4%)、下痢(20.6%)、甲状腺機能低下症(20.0%)であった。Grade5(死亡)の有害事象は5例(呼吸不全1例、多臓器不全1例、敗血症1例、原因不明2例)が報告された。 経過観察群では、報告された最も頻度が高かった全グレードの有害事象は、疲労(56.1%)、腹痛(33.1%)、末梢感覚神経障害(25.0%)、関節痛(24.7%)であった。Grade5の有害事象は15例だった。 著者は、「PD-L1の状態は予後予測因子であったが、無病生存に関する有益性を予測するものではなかったため、PD-L1をペムブロリズマブによる術後補助療法の患者選択に用いるべきではない」と述べている。なお、「死亡は、全生存の最終解析に必要な数の80%しか発生しておらず、2回目の中間解析で有効性の境界値を超えていないため、全生存期間データの最終解析は行っていない」という。

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厳しい寒さは心筋梗塞リスクを高める

 厳しい寒さは短期的に心筋梗塞(MI)リスクを高めることが、新たな研究で明らかになった。低い気温や寒波がMI発症に与える短期的な影響について検討した、米ハーバード大学のWenli Ni氏らによるこの研究結果は、欧州心臓病学会年次総会(ESC Congress 2024、8月30日~9月2日、英ロンドン)で発表されるとともに、「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に9月1日掲載された。Ni氏は、「寒冷ストレスがかかっている間は特に、急性MIが生じやすい可能性がある」と述べている。 研究グループによると、過去の研究では、外気温が心血管に及ぼす負荷は、高温よりも低温の方が大きいことが明らかにされている。今回、Ni氏らは、より寒冷な地域において低温と寒波が心血管に及ぼす影響を検討するために、スウェーデンのSWEDEHEART登録者12万380人の転帰を追跡した。対象者は、2005年から2019年の寒冷期(10〜3月)にMIにより入院していた。機械学習を用いて1km2単位での日平均気温を推定し、同じ自治体に住む人が経験した日々の気温のパーセンタイルに基づいて、それぞれの自治体ごとの寒さに対する適応度を評価した。寒波は、各自治体の気温分布の10パーセンタイル以下の日平均気温が2日以上続く期間として定義された。低温と寒波の影響は、ラグ(低温や寒波の発生からその影響が現れるまでの時間差)0〜1日(即時)とラグ2〜6日(遅延)に分けて検討した。 その結果、低温になってから2〜6日後に外気温パーセンタイルが1単位低下すると、MI、非ST上昇型MI(NSTEMI)、およびST上昇型MI(STEMI)のリスクがそれぞれ有意に増加し、そのオッズ比は同順で、1.099(95%信頼区間1.057〜1.142)、1.110(同1.060〜1.164)、1.076(同1.004〜1.153)であると推定された。また、到来から2〜6日後の寒波もMI、NSTEMI、STEMIの有意なリスク増加と関連し、オッズ比は同順で1.077(同1.037〜1.120)、1.069(同1.020〜1.119)、1.095(同1.023〜1.172)であった。一方、ラグ0〜1日の低温と寒波は、MIのリスク低下と関連していた。これらの結果は、初発のMIであったかや、MIの既往歴の有無を考慮しても変わらなかった。 Ni氏らは、寒くなってすぐの時点ではMIの発生が減少していた理由について、「気温が下がり始めた当初は、人々が用心して屋内で過ごそうとしたためかもしれない。しかし、そのような行動を持続するのは難しく、数日のうちに外出して極寒の気温に身をさらし、それがMIリスクの上昇を招いたのではないか」との見方を示す。 本論文の付随論評を執筆した、米イェール大学公衆衛生大学院疫学分野のKai Chen氏と米ヒューストン・メソジスト病院心臓病学のKhurram Nasir氏は、気候変動により気温は極端に高くなったり低くなったりし続けていることを踏まえ、「医療システムが心血管の健康に対するこれらの課題を管理し、緩和するのに十分な備えを整えるには、両極端の気温に対処する必要がある」と述べている。

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頻尿とは?起こる原因は?

患者さん、それは…頻尿 かもしれません!「頻尿」は、一般的には朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合のことを言いますが、8回以下でも自分自身で排尿回数が多いと感じる場合は該当します。以下のような原因や症状はありませんか?●原因□子宮や腸の手術後□膀胱炎/前立腺炎□腰部椎間板ヘルニア□前立腺肥大症□緊張などのストレスがある□糖尿病●こんな症状はありますか?□尿がたくさん出る□水分を3L以上飲む□夜間、2回以上トイレに起きる□すぐにトイレに行きたくなる□咳やくしゃみで出てしまう◆その頻尿は…過活動膀胱のせいかも!?• 急に強い尿意を感じませんか(尿意切迫感)• 何度もトイレに行きたくなりませんか(頻尿)• トイレが間に合わず尿が漏れてしまいませんか(尿失禁)出典:日本泌尿器科学会-頻尿とは監修:福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科 山中 克郎氏Copyright © 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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英語で「転ばぬ先の杖」は?【1分★医療英語】第150回

第150回 英語で「転ばぬ先の杖」は?《例文1》Safety always comes first.(安全が最優先です)《例文2》An ounce of prevention is worth a pound of cure.(予防は治療に勝る)《解説》医療現場では、患者の安全を守るために慎重な判断が不可欠です。とくに新しい治療や薬剤を導入する際には、予期せぬリスクを回避するために「転ばぬ先の杖」の精神が重視されます。英語でのコミュニケーション能力を養うためには、このような日本語の慣用句を直訳するのではなく、英語での類似表現に置き換えたうえで覚えておくことが重要です。こうした場面で頻繁に使われる表現として、“better to be safe than sorry”があります。これは「後悔するよりも安全を重視するほうが良い」という意味で、予防や慎重さを強調する際に使われます。また、“safety always comes first”(安全が最優先です)という表現も、こうした慎重さを象徴するものです。さらに、“An ounce of prevention is worth a pound of cure”(予防は治療に勝る)もよく使われるフレーズで、予防の重要性を強調しています。これらはいずれも、安全を最優先に考える医療現場の姿勢を反映した表現です。講師紹介

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わが国初の経鼻弱毒生インフルワクチン「フルミスト点鼻液」【最新!DI情報】第24回

わが国初の経鼻弱毒生インフルワクチン「フルミスト点鼻液」今回は、経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(商品名:フルミスト点鼻液、製造販売元:第一三共)を紹介します。本剤は、国内初の経鼻インフルエンザワクチンであり、針穿刺の必要がなく注射部位反応もないことから、患者負担の軽減が期待されています。<効能・効果>本剤は、インフルエンザの予防の適応で、2023年3月27日に製造販売承認を取得し、2024年8月13日に製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。<用法・用量>2歳以上19歳未満の人に、0.2mLを1回(各鼻腔内に0.1mLを1噴霧)、鼻腔内に噴霧すします。医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができます。<安全性>重大な副反応として、ショックおよびアナフィラキシー(いずれも頻度不明)があります。その他の副反応として、鼻閉・鼻漏(59.2%)、咳嗽、口腔、頭痛(いずれも10%以上)、鼻咽頭炎、食欲減退、下痢、腹痛、発熱、活動性低下・疲労・無力症、筋肉痛、インフルエンザ(いずれも1~10%未満)、発疹、鼻出血、胃腸炎、中耳炎(いずれも1%未満)などがあります。本剤は安定剤として精製ゼラチンを含有していますので、ゼラチンに対してショックやアナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、血管性浮腫ほか)などの過敏症の既往のある人には注意が必要です。また、製造工程由来不純物として、卵由来の尿膜腔液成分(卵白アルブミン、タンパク質および鶏由来DNA)が混入する可能性があるため、鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈する恐れのある人に対しても注意が必要です。本剤は弱毒化したウイルスを使った「生ワクチン」なので、妊婦や免疫抑制状態の人には使用できません。<患者さんへの指導例>1.この薬は、鼻へ噴霧するタイプのインフルエンザワクチンです。鼻へ噴霧するため、針を刺す必要がありません。2.接種の対象は、2~18歳の人です。3.この薬は、噴霧後に積極的に吸入(鼻ですする)する必要はありません。4.まれにショック、アナフィラキシーが現れることがあるので、いつもと違う体調変化や異常を認めた場合は、速やかに医師に連絡してください。<ここがポイント!>インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性呼吸器感染症であり、日本ではインフルエンザに関連した超過死亡数が年間1万例を超えると推定されています。インフルエンザワクチンの接種は、インフルエンザの発症予防やインフルエンザに関連した重度合併症を防ぐ主要な手段です。フルミスト点鼻液は、日本で初めて承認された経鼻投与型の3価の弱毒生インフルエンザワクチンであり、A型株(A/H1N1およびA/H3N2)とB型株(B/Victoria系統)のリアソータントウイルス株を含有しています。本剤の特徴は、「低温馴化」、「温度感受性」および「弱毒化」であり、噴霧された弱毒生ウイルスが鼻咽頭部で増殖し、自然感染(野生株の感染)後に誘導される免疫と類似した、局所および全身における液性免疫、細胞性の防御免疫を獲得できます。また、本剤は、針穿刺の必要がなく、注射部位反応もないことから、被接種者の心理的・身体的負担の軽減も期待されています。日本では、2024~25シーズンから使用が認められました。日本人健康小児(2歳以上19歳未満)を対象とした国内第III相試験(J301試験)において、抗原性を問わないすべての分離株によるインフルエンザ発症割合は、本剤群で25.5%(152/595例)、プラセボ群で35.9%(104/290例)であり、本剤群のプラセボ群に対する相対リスク減少率は28.8%(95%信頼区間:12.5~42.0)でした。95%信頼区間の下限は事前に設定した有効性基準(0%)を上回っており、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。日本小児科学会より「経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方」が出され、使い分けが示されました。2〜19歳未満に対しては、不活化インフルエンザHAワクチンと経鼻弱毒生インフルエンザワクチンを同等に推奨していますが、喘息患者、授乳婦、周囲に免疫不全患者がいる場合は不活化インフルエンザHAワクチンを推奨しています。また、生後6ヵ月〜2歳未満、19歳以上、免疫不全患者、無脾症患者、妊婦、ミトコンドリア脳筋症患者、ゼラチンアレルギーを有する患者、中枢神経系の解剖学的バリアー破綻がある患者に対しては、不活化インフルエンザHAワクチンのみが推奨されています。参考日本小児科学会:経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方

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ダプトマイシン、5つの重要事項【1分間で学べる感染症】第12回

画像を拡大するTake home messageダプトマイシンは肺炎と中枢神経感染症には使用しにくい。ダプトマイシンを使用する際にはミオパチー/横紋筋融解に注意しよう。今回は、抗MRSA薬の1つであるダプトマイシンについて学んでいきましょう。バンコマイシンに続き、多くの施設でダプトマイシンを使用する場面が増加しています。それでは、ダプトマイシンを使用する際にはどのようなことに注意すればよいのでしょうか。まずは、使用が推奨されないケースを覚えることが重要です。肺炎…ダプトマイシンが肺胞の2型サーファクタントにより不活化されるため、肺の炎症に対して効果を発揮しないことが知られています。中枢神経感染症…データは不十分ですが、脳脊髄液への通過性が不良とされています。次に、ダプトマイシンを使用する際に注意すべき副作用を知りましょう。ミオパチー/横紋筋融解…腎障害・スタチン併用・肥満などがリスクとされます。ダプトマイシンを使用する際にはスタチンを一旦中断し、CK(クレアチンキナーゼ)値を週に1回はチェックするようにしましょう。好酸球性肺炎…男性・高齢・腎障害などがリスクとされますが、ダプトマイシン使用中に咳嗽や呼吸困難を来した場合は本症を疑い、速やかに中止を検討します。胸部CTで両側のすりガラス影を来すことが特徴です。中等症から重症の場合にはステロイドによる治療も検討されます。末梢血の好酸球は増加しないこともあり、一般的には気管支肺胞洗浄液による精査が推奨されます。実施が難しい場合にはダプトマイシンの中止後に改善するかどうかをみて、臨床的に本症を疑うこともあります。最後に、ダプトマイシンはバイオフィルムへの透過性がよいとされます。したがって、中心静脈カテーテル感染症やその他の人工物関連感染などにも注意が必要です。ダプトマイシンを使用する際には、適応と主な副作用に関する上記のポイントを理解しておきましょう。1)Dare RK, et al. Clin Infect Dis. 2018;67:1356-1363.2)Haste NM, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2011;55:3305-3312.3)Hirai J, et al. J Infect Chemother. 2017;23:245-249.4)Uppa P, et al. Antimicrob Resist Infect Control. 2016;5:55.5)Raad I, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2007;51:1656-1660.

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第234回 これまでにない作用の統合失調症治療薬を米国が承認

これまでにない作用の統合失調症治療薬を米国が承認ここ数十年なかった新しい作用機序の統合失調症治療薬Cobenfyが米国で先月末26日に承認されました1,2)。その承認により、統合失調症患者にこれまで処方されてきた薬剤とは一味違う抗精神病薬の使用が同国で可能になります。Cobenfyは神経伝達に携わるコリン作動性受容体の1つであるムスカリン受容体を標的とします3)。それらの受容体を活性化することは幻覚や妄想などの統合失調症を特徴づける症状の源である神経伝達物質ドーパミン放出に影響することが知られています。ムスカリン伝達は認知や感情の処理に携わる脳回路を調節することも知られています。ムスカリン伝達を手入れするCobenfyはそれゆえドーパミン活性の抑制を主とする他の統合失調症治療薬に比べてよりあまねく効果があるようです。Cobenfyの道のりCobenfyの歴史は古く、その始まりは米国の製薬会社Eli Lillyが1990年代の初めにキサノメリン(xanomeline)という化合物の開発を始めたことに端を発します3)。キサノメリンはムスカリン受容体の作動薬です。もっぱらアルツハイマー病患者の記憶の改善を目指して開発が始まりましたが、統合失調症の治療の可能性も検討されていました。幸いキサノメリンはアルツハイマー病患者や統合失調症患者を募った試験で認知機能や精神症状の改善効果を示しました4,5)。しかし、どうやら消化管のムスカリン受容体活性化のせいで、キサノメリン投与群には悪心や嘔吐などの胃腸有害事象が多く生じました。たとえばアルツハイマー病患者342例が参加した試験ではキサノメリン高用量投与群の半数強(52%)が有害事象で脱落しており4)、用量依存的な有害事象はもっぱら胃腸系でした。Lillyは最終的にキサノメリンの開発から手を引くことになります。Lillyが手を引いてからしばらくしてキサノメリンの復活を図る取り組みが始まります。2009年に米国のボストンにバイオテクノロジー企業Karuna Therapeuticsを設立したAndrew Miller氏は、ムスカリン受容体作動薬と脳の外でのその働きを打ち消す化合物を組み合わせた薬なら大した胃腸障害を生じることなく認知や精神症状への有益効果を保てるのではないかと思いつきました。そこでKarunaはLillyから権利を手に入れたキサノメリンと血液脳関門(BBB)を通過しないムスカリン受容体拮抗薬であるトロスピウム(trospium)を組み合わせた薬を作りました。それがCobenfyです。Cobenfyはキサノメリンが胃腸に手出しするのをトロスピウムによって防ぎ、脳に限って作用するようにすることを目指します。その後の臨床試験は順調に進み、最終的に2つの第III相試験(EMERGENT-2とEMERGENT-3)でCobenfyの統合失調症症状改善効果がプラセボを有意に上回りました。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の合計点がCobenfy投与群5週時点ではベースラインに比べて21点ほど低く、プラセボ群の約12点低下を10点弱ほど上回りました6)。胃腸の有害事象はプラセボに比べてどうしても多かったものの、たいていは1週間か2週間で解消しました3)。Cobenfyとプラセボ群の有害事象での脱落率は似たりよったりでどちらも5%ほどです(それぞれ6%と4%)6)。Cobenfyで心配なことCobenfyはいくつか悩ましいことがあります。いまや抗精神病薬の多くは年に数回の注射で事足りる持効性製剤をそろえていますが、Cobenfyは1日2回の服用が必要です。頻繁な投与を要する薬は続けることが困難であり、中止してしまう統合失調症患者が多いようです7)。また、Cobenfyはご多分にもれずいい値段で、1ヵ月あたりの定価は1,850ドル、1年間では2万ドル強かかります。医療経済の専門家は他の薬剤に比べてその価格が効果に見合ったものかどうかを心配しています3)。そんな心配をよそに製薬業界のアナリストのほとんどはCobenfyの需要は大きいとみており、やがて数十億ドルの年間売り上げに達すると予想しています。そういう期待を背景にしてBristol Myers Squibb(BMS)は140億ドルも払ってKaruna Therapeuticsを今春3月に手中に収めました8)。BMSは米国の患者が今月遅くにCobenfyを入手できるようにするつもりです。長期効果は有望Cobenfyの長期使用の成績は有望で、この4月に発表された52週間のEMERGENT-4試験では同剤投与患者のPANSS合計点がベースラインと比べて約33点低下しました9)。EMERGENT-4試験は上述した5週間の二重盲検第III相試験2つのいずれかを完了した患者を募って実施されています。参考1)FDA Approves Drug with New Mechanism of Action for Treatment of Schizophrenia / PRNewswire2)U.S. Food and Drug Administration Approves Bristol Myers Squibb’s COBENFY? (xanomeline and trospium chloride), a First-In-Class Muscarinic Agonist for the Treatment of Schizophrenia in Adults / BUSINESS WIRE3)Revolutionary drug for schizophrenia wins US approval / Nature 4)Bodick NC, et al. Arch Neurol. 1997;54:465-473.5)Shekhar A, et al. Am J Psychiatry. 2008;165:1033-1039.6)OBENFY U.S.:Prescribing Information7)Zacker C, et al. Clinicoecon Outcomes Res. 2024;16:567-579.8)Bristol Myers Squibb Completes Acquisition of PureTech's Founded Entity Karuna Therapeutics for $14 Billion / BUSINESS WIRE9)Bristol Myers Squibb Presents New Interim Long-Term Efficacy Data from the EMERGENT-4 Trial Evaluating KarXT in Schizophrenia at the 2024 Annual Congress of the Schizophrenia International Research Society / BUSINESS WIRE

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乳がん術前療法でのDato-DXd+デュルバルマブからの逐次治療、免疫反応陽性例で高いpCR率(I-SPY2.2)/ESMO2024

 StageII/IIIの高リスクHER2-乳がんの術前療法において、datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)+デュルバルマブで始める3段階の逐次治療戦略により、50%で病理学的完全奏効(pCR)を達成したことが第II相I-SPY2.2試験で示された。免疫療法に反応する免疫反応陽性サブタイプでpCR率が最も高く、標準化学療法なしで50%以上、アントラサイクリンなしで90%以上がpCRを達成した。また、ホルモン受容体(HR)・免疫反応・DNA修復欠損(DRD)がすべて陰性のサブタイプでpCR率が対照群を上回ったという。米国・Columbia University Vagelos College of Physicians and SurgeonsのMeghna S. Trivedi氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表した。本結果はNature Medicine誌オンライン版2024年9月14日号に同時掲載された。 I-SPY2.2試験は、外科的切除時のpCR達成のために術前療法を個別化・最適化することを目的とし、反応予測サブタイプ(RPS)に基づいて治療ブロックを割り当て、ブロックAでは新規薬剤を投与、ブロックBとCでは従来の標準療法を行う連続多段階ランダム割付試験である。治療は標準療法とマッチングされ、RPSは免疫療法の有用性、DRD、HRの有無、HER2の有無により分類された。 本試験の適格患者は、70遺伝子シグネチャー(MammaPrint)で高リスクのStageII/IIIのHER2-乳がんである。Dato-DXd+デュルバルマブアームにおける治療は、ブロックAではDato-DXd 6mg/kg+デュルバルマブ1,120mgを3週ごと4サイクルまで静注、ブロックBはタキサンを含む化学療法±ペムブロリズマブ、ブロックCはアントラサイクリンを含む化学療法±ペンブロリズマブとした。ブロックAまたはBの終了時にpCRが予測された患者は手術に移行し、予測されない場合はブロックB±ブロックCに進む。予測残存腫瘍量の評価のために乳房MRIと生検で治療への反応を評価し、治療方針は最終的に担当医師が決定した。主要評価項目はpCRで、以前のI-SPYデータから得られた各サブタイプの対照群と比較した。 ASCO2024ではブロックAの結果が報告され、今回はDato-DXd+デュルバルマブアーム全体の結果が報告された。 主な結果は以下のとおり。・2022年9月~2023年8月に106例がDato-DXd+デュルバルマブ群に無作為に割り付けられた。・年齢中央値は50.5歳で、免疫+のサブタイプが47例と最も多く、うち3分の1(17例)がHR+だった。・pCR率は、HR+/免疫-/DRD-および免疫-/DRD+のサブタイプでは対照群を上回らなかったが、すべて陰性(HR-/免疫-/DRD-)のサブタイプでは対照群を有意に上回った。・一方、pCRの達成時期をみると、pCRを達成した53例(50%)のうち、ブロックA後が25例、ブロックB後が22例、ブロックC後が6例であった。・免疫+およびトリプルネガティブのサブタイプで高いpCR率(順に79%、62%)を示し、どちらのサブタイプもこのうち54%がブロックAで達成し、92%がブロックBまでに達成した。・Dato-DXd+デュルバルマブ併用で報告された毒性プロファイルは先行研究と一致しており、全ブロックにおける免疫関連有害事象もこれまでの結果と一致していた。・高血圧既往のある70歳の参加者1例がブロックBで心停止により死亡した。

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レキサルティ、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対して承認/大塚

 大塚製薬は9月24日付のプレスリリースにて、同社の抗精神病薬レキサルティ(一般名:ブレクスピプラゾール)について、国内初となる「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」の効能効果の承認を取得したことを発表した。本剤の国内における効能は、「統合失調症」、「うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)」に加えて、3つ目となる。レキサルティ、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを効能としてFDAに続き承認 今回日本で承認取得したレキサルティの効能は、米国で2023年5月に「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」の治療における効能として米国食品医薬品局(FDA)に承認され、その後、カナダ、フィリピン、台湾でも承認されている。国際老年精神医学会において、認知症に伴うアジテーションは、情動的な苦痛を背景要因とする攻撃的な症状と非攻撃的な症状を含み、同じ動作の反復などの活動亢進、攻撃的発言または攻撃的行動のうち、少なくとも1つ以上の症状からなり、患者の日常生活、社会生活、人間関係のいずれかに支障を来した状態とされている。 アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションの症状として、悪態をつく、言葉による攻撃、たたく(自分をたたく場合も含む)、何度も同じ行為を繰り返す、全般的な落ち着きのなさ、不満を訴える、拒絶する、唾を吐く(食事中を含む)、蹴る、人や物につかみかかる、押す、物を投げる、叫ぶ、噛む、ひっかく、自分や他人を傷つける、物を壊す・割る、徘徊する、目的なく歩き回る、不適切な着衣・脱衣、別の場所に行こうとする(室外や屋外へ出ようとする)、物を不適切に取り扱う、注目や助けを不当なほど要求し続ける、文章や質問の繰り返し、などが挙げられる。 これらアジテーションの症状は、アルツハイマー型認知症の約半数で認められ、介護者の負担を重くし、認知症患者や家族、介護者の生活の質を低下させるとともに家族と同居できず介護施設へ入居せざるを得ない要因の1つとなっている。 本剤の国内フェーズ3試験では、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを有する55~90歳の410例を対象に、ブレクスピプラゾール(1mgまたは2mgを1日1回)を10週間投与し、有効性と安全性を評価した。ブレクスピプラゾールの1mg群および2mg群は、プラセボ群と比較し、いずれも主要評価項目であるCMAI合計スコアにおいて、統計学的な有意差をもって有効性が示された。また、臨床全般印象・重症度スコア(CGI-S)など、副次評価項目においても、プラセボ群と比較してブレクスピプラゾールの1mg群および2mg群で改善が認められた。本試験において、ブレクスピプラゾールは全般的に良好な忍容性を示し、新たな安全性の懸念は認められなかった。【アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動に対する本剤の用法及び用量】 通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回0.5mgから投与を開始した後、1週間以上の間隔をあけて増量し、1日1回1mgを経口投与する。なお、忍容性に問題がなく、十分な効果が認められない場合に限り、1日1回2mgに増量することができるが、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこと。

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