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事例009 アミノレバンEN配合散の査定【斬らレセプト シーズン4】

解説肝硬変フォロー中の患者に対して肝不全用成分栄養剤のアミノレバンEN配合散(以下「同散」)を投与したところ、A事由(医学的に適応と認められないもの)にて査定となりました。突合点検結果連絡書にての連絡であったために、査定が当院の責によるものなのか査定理由を調べてみました。同散の添付文書による効能・効果には「肝性脳症を伴う慢性肝不全患者の栄養状態の改善」とあります。肝硬変は慢性肝不全に分類されます。肝硬変に伴う栄養状態の改善を目的に投与もできるのではないかと考えられます。しかしながら、肝硬変の病名のみでは、肝性脳症が伴っているかどうかはわかりません。肝性脳症を伴っていることが、レセプトデータの病名や症状詳記などから確実に読み取れることが必要なのです。コンピュータ審査では、症状詳記などが記載されていない場合、添付文書に記載された内容とレセプト内容を事務的に判定されています。したがって、今回の事例では、病名もしくは症状詳記などの記載がなかったため、「病名不足」と判定されてA事由にて査定となったものと推測できます。レセプトチェックシステムには登録されており、アラームも表示されていました。今後はアラームに従い、肝性脳症の付与が必要なことを周知して査定対策としています。同様の事例を精査したところ、「アルコール性肝硬変、慢性肝炎、C型慢性肝炎」のいずれかの病名にて「肝性脳症」が記載されていない場合にも査定となっていたことを報告いたします。

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歯の数は日本人の平均余命にどの程度影響するか?

 これまでの研究において、歯の喪失が認知症リスクの増加と関連していることが報告されている。しかし、歯の数と認知症のない平均余命や認知症の有無によらない平均余命との関連を調査した研究は、これまでほとんどなかった。東北大学の木内 桜氏らは、日本人高齢者の歯の数と認知症のない平均余命や認知症の有無によらない平均余命との関連を調査するため、プロスペクティブコホート研究を実施した。Journal of the American Medical Directors Association誌2024年11月号の報告。 2010〜20年の10年間フォローアップ調査を行った。対象は、日本の9つの自治体に在住する、機能的に自立した65歳以上の高齢者。歯の数は、20本以上、10〜19本、1〜9本、0本に分類した。アウトカムとして、10年間のフォローアップ期間中における認知症の発症および死亡率を収集した。歯の数に応じ、認知症のない平均余命や認知症の有無によらない平均余命を推定するため、multistate modelingを用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象は、4万4,083人(男性の割合:46.8%)。・平均年齢は73.7±6.0歳。・フォローアップ期間中に、認知症を発症した割合は17.3%、死亡率は21.4%であった。・歯の数が少ないことは、20本以上の歯を持つ場合と比較し、認知症リスク増加と関連していた。【10〜19本】ハザード比(HR):1.14、95%信頼区間(CI):1.07〜1.22【1〜9本】HR:1.15、95%CI:1.08〜1.22【0本】HR:1.13、95%CI:1.05〜1.21・歯の数が少ないことは、20本以上の歯を持つ場合と比較し、死亡率増加とも関連が認められた。【10〜19本】HR:1.13、95%CI:1.05〜1.22【1〜9本】HR:1.27、95%CI:1.19〜1.37【0本】HR:1.47、95%CI:1.36〜1.59・65歳時点での認知症のない平均余命は、歯が20本以上の人のほうが、0本の人と比較し、長かった。【男性】20本以上:16.43年、0本:14.40年【女性】20本以上:18.88年、0本:17.12年・65歳時点での認知症の有無に関わらない平均余命においても、同様であった。【男性】20本以上:17.84年、0本:15.42年【女性】20本以上:22.03年、0本:19.79年 著者らは「歯の数が多いと、認知症のない平均余命および認知症の有無に関わらない平均余命が長くなることが示唆された」と結論付けている。

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ステロイド薬の使用で糖尿病のリスクが2倍以上に

 ステロイド薬の全身投与により糖尿病の発症リスクが2倍以上高くなることを示唆するデータが報告された。英オックスフォード大学のRajna Golubic氏らが、欧州糖尿病学会(EASD 2024、9月9~13日、スペイン・マドリード)で発表した。 ステロイド薬は強力な抗炎症作用があり、喘息や関節リウマチなどの多くの疾患の治療で用いられていて、特に自己免疫性疾患の治療では欠かせないことが少なくない。ステロイド薬にはさまざまな副作用があり、そのうちの一つとして、血糖値の上昇、糖尿病リスクの増大が挙げられる。副作用リスクを下げるために、症状が現れる部位が呼吸器や皮膚などに限られている場合には、吸入や外用による局所投与が優先的に行われるが、局所投与では疾患コントロールが十分できない場合や全身性疾患の治療では、内服や注射などによる全身投与が必要となる。 今回の研究の背景としてGolubic氏は、「ステロイド薬による治療を受けている患者において、糖尿病の新規発症リスクがどの程度増大するかという点に関する既存の情報は、比較的小規模な研究に基づくものに限られていた。われわれは、この臨床疑問の正確な答えを得るために、よりサンプルサイズの大きなデータを用いた研究を行いたいと考えた」と述べている。そして、得られた結果は、「ステロイド薬が血糖値に及ぼす影響が、糖尿病のリスクを高める可能性があるという従来からの疑いを裏付けるものとなった」と述べている。 この研究では、2013年1月~2023年10月にオックスフォード大学病院に入院した成人患者45万1,606人(年齢中央値52歳、女性55%、白人69%)が解析対象とされた。これらの患者は全員、入院時点では糖尿病でなく、ステロイド薬の全身投与を受けていなかった。多くの患者は1週間以内に退院していた。 この患者群のうち1万7,258人(3.8%)に対して、入院中にステロイド薬(プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾンなど)の全身投与が行われていた。ステロイド薬の使用目的は主に、自己免疫疾患や炎症性疾患、感染症などの治療だった。 ステロイド薬の全身投与を受けた1万7,258人のうち316人(1.8%)が、入院中に糖尿病を発症していた。それに対して、ステロイド薬の全身投与を受けていなかった43万4,348人の中で糖尿病を発症したのは3,430人(0.8%)だった。年齢と性別の影響を調整後、ステロイド薬の全身投与を受けた患者の糖尿病発症リスクは2.6倍高いことが明らかになった。 Golubic氏は医療従事者に向けて、「われわれの研究データによって、ステロイド薬の全身投与による糖尿病発症リスクをより正確に予測できるようになった。これにより、ステロイド薬の全身投与を要する患者に対して、より計画的なケアを進められるようになるのではないか」とコメント。また、ステロイドの内服薬が処方されることのある喘息や関節炎などの患者に対しては、「糖尿病のモニタリングを受けるべきだ」と助言している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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禁煙すると心房細動のリスクは短期間で低下する

 喫煙は心房細動のリスク因子だが、禁煙に成功するとそのリスクは速やかに低下することが明らかになった。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のGregory Marcus氏らの研究によるもので、詳細は「JACC: Clinical Electrophysiology」に9月11日掲載された。研究者らは、「元喫煙者だからといって心房細動になると運命付けられてはいない」と述べている。 心房細動は不整脈の一種で、心臓の上部にある心房と呼ばれる部分が不規則に拍動する病気。このような拍動が現れた時の自覚症状として、動悸やめまいなどを生じることがある。しかしより重要なことは、心臓の中に血液の塊(血栓)が形成されやすくなり、その血栓が脳の動脈に運ばれるという機序での脳梗塞が起こりやすくなる点にある。このようにして起こる脳梗塞は、梗塞の範囲が広く重症になりやすい。 喫煙と心房細動の関連について、本論文の上席著者であるMarcus氏は、「喫煙が心房細動のリスクを高めるという強力なエビデンスがある。しかしその一方で、喫煙者が禁煙した場合の心房細動に関するメリットは明らかでなかった」とし、「われわれは禁煙によって心房細動の発症リスクが下がるのか、それともリスクは変わらないのかを知りたかった」と、研究背景を述べている。 この研究には、英国の大規模疫学研究「UKバイオバンク」に参加している現喫煙者や元喫煙者、14万6,772人(平均年齢57.3±7.9歳、女性48.3%)のデータが用いられた。このうち10万5,429人(71.8%)は元喫煙者、3,966人(2.7%)は研究期間中に禁煙した人で、3万7,377人(25.5%)は喫煙を続けていた。 平均12.7±2.0年の追跡で、1万1,214人(7.6%)が心房細動を発症した。年齢、性別、人種、BMI、教育歴、心血管合併症の既往、飲酒習慣、累積喫煙量(パックイヤー)を調整した上で心房細動の発症リスクを比較。すると、現喫煙者を基準として元喫煙者ではリスクが13%低く(ハザード比〔HR〕0.87〔95%信頼区間0.83~0.91〕)、研究期間中に禁煙した人では18%低かった(HR0.82〔同0.70~0.95〕)。 この結果についてMarcus氏は、「喫煙者に対し、今から禁煙したとしても遅すぎることはなく、また過去の喫煙歴があるからといって心房細動を発症する運命にあるわけではないことを示す、説得力のある新たなエビデンスを得られた。現在喫煙している人や長年喫煙してきた人でも、禁煙によって心房細動のリスクを下げられる」と話している。同氏はまた米国心臓病学会発のリリースの中で、「われわれの研究結果はおそらく、禁煙後には速やかに心房細動のリスクが低下することを示しているのではないか」とも述べている。

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進行メラノーマに対するオプジーボとヤーボイの併用療法が生存期間を延長

 ニボルマブ(商品名オプジーボ)とイピリムマブ(商品名ヤーボイ)の2種類の免疫チェックポイント阻害薬の併用療法により、進行メラノーマ患者の生存期間を大幅に延長できる可能性のあることが、10年にわたる追跡調査により明らかになった。米ワイル・コーネル・メディスンのJedd Wolchok氏らによるこの研究の詳細は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に9月15日掲載された。Wolchok氏は、「これは、慣例を変える試験だった。対象患者の平均生存期間は現在6年を超えている。追跡3年時点でがんの進行が認められなかった患者は、10年後も再発や他の病気を発症することなく生存している可能性が高い」と話している。 がん細胞は、免疫チェックポイントという正常な免疫システムを利用して免疫細胞の攻撃を回避することが知られている。ニボルマブとイピリムマブはともに、T細胞にブレーキをかけるシグナルを阻害することでT細胞を活性化し、がん細胞を攻撃させる。 今回報告された研究は、ランダム化二重盲検第III相試験(CheckMate 067)の10年間の追跡調査の結果である。この試験では、世界21カ国のセンターで治療を受けた進行メラノーマ患者945人が、ニボルマブとイピリムマブによる併用療法を受ける群(併用療法群、314人)、ニボルマブ単剤療法を受ける群(ニボルマブ群、316人)、イピリムマブ単剤療法を受ける群(イピリムマブ群、315人)にランダムに割り付けられていた。治療は、病態進行や許容できない毒性が認められるか、患者が治療に対する同意を撤回するまで続けられた。 最低10年に及ぶ追跡期間における全生存期間中央値は、併用療法群で71.9カ月、ニボルマブ群で36.9カ月、イピリムマブ群で19.9カ月であった。併用療法群の死亡リスクはイピリムマブ群に比べて47%、ニボルマブ群の死亡リスクはイピリムマブ群に比べて37%低かった。メラノーマ特異的生存期間の中央値は、併用療法群では120カ月を超え(中央値には未到達)、ニボルマブ群で49.4カ月、イピリムマブ群で21.9カ月であった。さらに、3年間生存し、病態進行が認められなかった患者での10年間のメラノーマ特異的生存率は、併用療法群で96%、ニボルマブ群で97%、イピリムマブ群で88%であった。研究グループは、これらの治療では薬剤を長期にわたって服用する必要があることを安全性の懸念事項としていたが、追跡期間中に長期毒性は認められなかったという。 本研究には関与していない、米フォックス・チェイスがんセンター外科部長のJeffrey Farma氏は、「この追跡調査は、進行メラノーマ患者に対する免疫療法でわれわれが成し遂げた進歩と、状況がいかに劇的に変化したかを改めて浮き彫りにするものだ。本研究結果は、10年後も生存率が向上し続けていることを裏付けている」と述べている。 論文の共著者である米ダナ・ファーバーがんセンターのメラノーマセンターおよび免疫腫瘍学センター所長であるF. Stephen Hodi氏は、「この試験は現時点では、免疫療法の長期的な効果と免疫療法の併用で治療効果が改善する可能性を患者に説明する上で重要な要素となっている」と話す。同氏はさらに、「10年間の追跡調査を経て、われわれは、進行メラノーマを管理可能な慢性疾患に変え得る治療法が存在することを、患者に自信を持って伝え、将来に対する自信を持たせることができるようになった」と喜びを表している。

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呼吸によりマイクロプラスチックが脳に侵入する?

 人間の脳から初めて、顕微鏡でしか確認できない微小なプラスチック粒子(マイクロプラスチック)が検出された。ベルリン自由大学(ドイツ)のLuis Fernando Amato-Lourenco氏とサンパウロ大学(ブラジル)のThais Mauad氏らが率いる研究グループが、剖検された15人の成人のうちの8人において、脳の嗅覚を司る領域である嗅球からマイクロプラスチックが検出されたことを報告した。空気中に浮遊する小さなマイクロプラスチックはあらゆる場所に存在するため、生涯にわたって呼吸を通じて吸い込まれた可能性が高いと見られている。詳細は、「JAMA Network Open」に9月16日掲載された。 マイクロプラスチックは、すでに人間の肺や消化管、肝臓、血液、精巣、そして精液からも検出されている。これまで長い間、人間の身体で保護的な役割を担う血液脳関門(blood-brain barrier;BBB)がマイクロプラスチックの脳への侵入を防いでいると考えられてきた。しかし、今回報告された新たな研究により「マイクロプラスチックが嗅球を介して脳に移行する経路が存在する可能性が示された」と研究グループは説明している。 Mauad氏は、この研究の資金を提供したプラスチック使用削減を推進する団体であるプラスチック・ヘルス・カウンシルのニュースリリースの中で、「マイクロプラスチックよりもはるかに小さなナノプラスチックは体内に入り込みやすいため、体内のプラスチック粒子の蓄積量はさらに増えるかもしれない」との見方を示している。同氏は、「心配なのは、これらの粒子が細胞に取り込まれて身体の機能に影響を及ぼすことだ」と付け加えている。 この新たな研究は、ブラジルのサンパウロの住民で、死後にルーチンの剖検が実施された15人から採取された脳組織を用いて行われた。死亡時の年齢は33~100歳(平均年齢69.5歳、男性12人)だった。 その結果、15人中8人の脳の嗅球で、合計16個の合成ポリマー(プラスチック)の粒子と繊維(粒子75%、繊維25%)が確認された。合成ポリマーの中で最も多かったのはポリプロピレン(43.8%)であった。マイクロプラスチックの粒子径は5.5〜26.4μm、平均繊維長は21.4μmだった。ポリプロピレンは、包装材から衣料品、家庭用品に至るまで、あらゆるものに使用されている最も一般的なプラスチックだ。研究グループは、「こうした結果は、室内環境が体内に吸い込まれたマイクロプラスチックの主な発生源であることを示唆している」と述べている。 では、マイクロプラスチックはどのようにして脳に侵入するのだろうか。Amato-Lourenco氏らは、鼻粘膜が脳脊髄液と相互作用し、鼻の奥の骨構造(篩骨)の微細な「穿孔」を介してマイクロプラスチックが嗅球に侵入する可能性を指摘している。この研究には関与していない米ロングアイランド・ジューイッシュ医療センターのWells Brambl氏は、「鼻で呼吸するとき、嗅神経が直接的な知覚メカニズムとして吸い込んだプラスチック粒子を検知し、反応する。そこにはBBBは存在しないことから、脳への直接的なアクセスがもたらされる。そして最も重要なのは、嗅神経の真上には意識の中枢と考えられている前頭葉と前頭前野があることだ」と説明する。 マイクロプラスチックが脳の健康に影響を与える可能性について、Amato-Lourenco氏らは「まだ不明」としているものの、「可能性はある」との見方を示している。同氏らは、「脳におけるマイクロプラスチックに起因する神経毒性作用の可能性と、プラスチックによる環境汚染の広がりを考慮すると、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患の有病率が増加している状況下では、今回の研究結果は懸念をもたらすものだ」と述べている。

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脳卒中後には睡眠パターンが変わる?

 一晩の正常な睡眠時間は6〜8時間と考えられているが、脳卒中生存者の中でこの健康的な睡眠時間を維持できている人は半数以下に過ぎないことが、新たな研究で明らかにされた。この研究では、脳卒中の既往がある人の多くで、一晩の睡眠時間が長過ぎるか短過ぎるかのいずれかであることが示されたという。米デューク大学医学部のSara Hassani氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に9月11日掲載された。 論文の筆頭著者であるHassani氏は、「適切な睡眠時間は、理想的な脳と心臓の健康に不可欠だと考えられている。長過ぎたり短過ぎたりする睡眠は脳卒中後の回復に影響し、生活の質(QOL)を低下させる可能性がある。この研究結果を受けて、脳卒中の既往がある人が睡眠問題を抱えていないかを検査し、問題がある人の睡眠習慣を改善する方法を検討すべきだ」と主張している。 この研究では、米国国民健康栄養調査(NHANES)の2005年から2018年のデータを用いて、18歳以上の成人3万9,559人を対象に、正常な睡眠時間を維持している人の割合を、自己報告による脳卒中の既往がある人とない人との間で比較した。対象者の中で脳卒中の既往があることを報告したのは1,572人であった。対象者は2年おきに、ウィークデーと週末の夜間の睡眠時間についての報告が求められており、その報告内容を基に、睡眠時間を、「短い」(6時間未満)、「正常」(6〜8時間)、「長い」(8時間超)の3つのカテゴリーに分類した。 その結果、3つの年齢層(18〜44歳、45〜64歳、65歳以上)を問わず、脳卒中の既往がある人ではない人に比べて、「正常」な睡眠時間を維持している人が少ない傾向にあり、その割合は、18〜44歳では32%対54%、45〜64歳では47%対55%、65歳以上では45%対54%であった。年齢や体重、高血圧などの睡眠に影響を与え得る因子を考慮して解析した結果、脳卒中の既往がある人ではない人に比べて、睡眠時間が8時間超であることを報告する可能性が54%(オッズ比1.54、95%信頼区間1.22〜1.94)、6時間未満であることを報告する可能性が50%(同1.50、1.21〜1.85)有意に高いことが示された。 Hassani氏はNeurology誌のニュースリリースの中で、「過去の研究では、脳卒中は睡眠障害、特に睡眠時無呼吸と関連付けられている。脳卒中の既往がある人には、不眠症や過度の眠気などの症状がよく見られるが、そうした症状は、脳卒中自体の直接的または間接的な結果として生じている可能性がある。今後の研究では、脳卒中と睡眠時間の関係をさらに調査し、睡眠時間が脳卒中後の転帰に与える影響を明らかにする必要がある」と述べている。

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セラピー犬は医療従事者の気分を改善する

 セラピー犬は、病院の患者の気分を明るくするのと同じように、医療従事者の気分を高めるのにも役立つことが、新たな研究で明らかになった。この研究では、セラピー犬セッションにより、米国中西部の外科病棟と集中治療室で働く少数の医療従事者の気分の改善したことが確認されたという。詳細は、「International Journal of Complementary & Alternative Medicine」に7月26日掲載された。 論文の筆頭著者である、米オハイオ州立大学統合健康センターのBeth Steinberg氏は、「病院のスタッフが、われわれが連れて行った犬と一緒に座り、その日の出来事を話しながら涙を流すのを何度も目撃した」と振り返る。同氏はさらに、「たいていの人は、傍に座ってじっと話を聞いてくれる、偏見のない、毛むくじゃらのやさしい動物に親しみを感じるものだ。犬は、あなたの容貌やその日の気分など気にしない。ただ、あなたが自分を必要としていることを感じ取り、寄り添ってくれるのだ」と述べている。 Steinberg氏は、オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターのスタッフの精神的・情緒的健康の改善を目的に考案されたセラピー犬プログラム「Buckeye Paws」の共同創設者だ。Buckeye Pawsは、パンデミックが過重労働の医療従事者に打撃を与え始める直前の2020年3月に設立された。 このプログラムが実際に効果を上げているのかどうかを調べるため、研究グループは64人の医療従事者を対象にセラピー犬セッションを実施した。参加者には、医師、看護師、ナースプラクティショナー、呼吸療法士、リハビリテーション療法士、患者ケア担当者、病棟事務員が含まれていた。 Steinberg氏は、「この研究への参加者は信じられないほど簡単に集まった。『セラピー犬との交流の効果を調べる研究を実施する』と言うと、すぐに多くの人が『参加します』と答えたからだ」と振り返る。同氏は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が病院に大きな打撃を与える以前でさえ、スタッフはすでにストレスやバーンアウト(燃え尽き症候群)、仕事への意欲の欠如に悩まされていた」と話す。 ほとんどが病院のスタッフのボランティアで構成されたBuckeye Pawsのハンドラーは、2021年10月から2022年3月までの間に、8週間にわたり週3回、認定セラピー犬7頭を連れてきて、試験参加者と交流させた。参加者は、犬と好きなだけ交流できたが、犬との交流の前後に、ストレス、バーンアウト、ワークエンゲージメントを測定する評価尺度に回答するとともに、気分について自己申告することが求められた。介入の効果はセッション待機者を対照群として検討された。 医療従事者とセラピー犬とのやり取りのほとんどは、臨床ワークステーションやチームルーム、休憩室でのほんの数分間程度のものだったが、結果として、短時間のセッションでも医療従事者に大きな影響を与えることが示された。ストレス、バーンアウト、ワークエンゲージメントについては介入による有意な改善は認められなかったものの、セラピー犬とのセッションを受けた人では、対照群と比べて自己報告による気分が有意に向上していた。 研究グループは、「われわれの研究結果は、入院患者の治療を行う慌ただしい臨床の現場で、動物を用いた介入が医療従事者の気分の改善を通じて即時のベネフィットをもたらす可能性があることを示唆している」と述べている。 Buckeye Pawsは2022年3月に拡大し、現在はオハイオ州立大学の学生と教職員に、セラピー犬による支援を提供している。研究グループによると、現在、このプログラムには29チームの犬ハンドラーチームが参加しており、さらに11チームがトレーニング中、8チームがそのプロセスを開始しているという。

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1日2回以上の歯磨きで児童のレジリエンス向上か―貧困下で特に顕著

 歯磨きの頻度が高い子どもはレジリエンスが高く、特に貧困に該当する子どもでこの関係が強固であるとする研究結果が報告された。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科公衆衛生学分野※の藤原武男氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Oral Health」に8月10日掲載された。 貧困は健康リスク因子の一つとして位置付けられていて、成長過程にある子どもでは、その影響が成人後にも及ぶ可能性も指摘されている。また幼少期の貧困は、レジリエンスの低下につながることが報告されている。レジリエンスとは、ストレスやトラブルに対応して逆境から立ち直る精神的な回復力であり、レジリエンスの高さは、うつ病や不安症などのメンタルヘルス疾患のリスクの低さと関連がある。 幼少期の貧困そのものは修正困難であるため、レジリエンスの発達にはコストのかからない修正可能な因子を見いだす必要がある。一方、これまでの研究から、歯磨きの頻度が幼少期の自己管理能力と関連することや、歯磨き頻度が低い小学生に不登校が多いことなどが報告されている。これらを背景として藤原氏らは、子どもの歯磨きの頻度とレジリエンスとの関連を検討し、その関連が貧困の有無によって異なるのかを検討した。 この研究は、東京都足立区内の全ての公立小学校の生徒を対象に行われた、「足立区子どもの健康生活実態調査」のデータを利用する縦断的研究として実施された。2015年に小学1年生5,355人の貧困、レジリエンス、および歯磨きの頻度などが調査され、4,291人の保護者が回答(回答率80.1%)。2018年に子どもたちが小学4年生になった段階で追跡調査を行い、3,519人(追跡率82.0%)が回答し、データ欠落のない3,458人(平均年齢9.59±0.49歳、男児50.6%)を解析対象とした。 貧困は、1年生時点で(1)世帯収入300万円未満、(2)物理的剥奪(経済的理由のため、本やスポーツ用品、必要度の高い家電製品を購入できないなど)が一つ以上、(3)支払い困難(給食費、住宅ローン、電気代、電話代、健康保険料などを払えない)が一つ以上――のいずれかに該当する場合と定義した。レジリエンスは、「子どものレジリエンス評価スケール(CRCS)」という指標で評価した。CRCSは「最善を尽くそうとする」、「からかいや意地悪な発言にうまく対処する」、「必要な時に適切な助けを求める」などの8項目の質問から成り、合計100点満点に換算するもので、スコアが高いほどレジリエンスが高いと評価される。 1年生時点での貧困児童の割合は23.0%だった。歯磨きの頻度については、1日2回以上が77.5%であり、貧困に該当する場合はその割合が有意に低かった(79.4対71.4%、P<0.001)。レジリエンスを表すCRCSのスコアは、1年生時点で46.87±12.11点、4年生時点では69.27±16.3点だった。4年生時点のCRCSスコアを、1年生時点の貧困の有無と歯磨きの頻度別に見ると、貧困なしの場合、歯磨き頻度が1日2回未満では67.6点、1日2回以上では70.8点、貧困ありでは同順に62.0点、68.0点だった。 レジリエンスに影響を及ぼし得る因子(性別、同居中の親・祖父母の人数、母親の年齢・教育歴・就労状況・メンタルヘルス状態〔K6スコア〕)を調整後、1年生時点で貧困に該当していた子どもはそうでない子どもに比べて、4年生時点のCRCSスコアが有意に低かった(-1.53点〔95%信頼区間-2.91~-0.15〕)。また、1年生時点の歯磨き頻度が1日2回以上の子どもは2回未満の子どもに比べて、4年生時点のCRCSスコアが有意に高かった(3.50点〔同2.23~4.77〕)。 次に、前記の調整因子のほかに1年生時点のCRCSスコアも調整したうえで、1年生時点の歯磨き頻度と4年生時点のCRCSスコアとの関係を、貧困の有無別に検討した。すると、貧困なしの場合、歯磨き頻度が1日2回未満と以上とで、CRCSスコアに有意差がなかったが(0.65点〔-0.57~1.88〕)、貧困に該当する場合は、1年生時点の歯磨き頻度が1日2回以上の群のCRCSスコアの方が有意に高かった(2.66点〔0.53~4.76〕)。 これらの結果に基づき著者らは、「日本の小学生を対象とした縦断的研究により、1日2回以上の歯磨きが子どものレジリエンスの発達に及ぼし得る影響は、貧困に該当する子どもでより顕著であることが明らかになった。歯磨きという実践しやすい行動に焦点を当てた保健政策が、貧困児童の精神的健康にとって役立つのではないか」と述べている。 なお、歯磨きが貧困児童のレジリエンスにプラスの影響を与えることの理由として、以下のような考察が加えられている。まず、貧困という環境では種々の要因から炎症が発生しやすく、慢性炎症がレジリエンスを低下させると報告されているが、歯磨きによって炎症が抑制されることでレジリエンスへの負の影響も抑えられるのではないかという。また、歯磨きという“少し面倒な”ライフスタイルを保つことが、子どもの自己管理能力とレジリエンスを醸成する可能性があるとのことだ。(HealthDay News 2024年9月24日)※東京医科歯科大学は東京工業大学と統合し2024年10月1日より、国立大学法人「東京科学大学」に改称予定。

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リンパ節腫脹の有無を確認する方法

患者さん、それは…リンパ節腫脹 かもしれません!リンパ節は、正常でも顎下部や頸部に直径1 cm以下で軟らかく、鼠径部では直径2 cm以下のものに触れることがあり、「リンパ節腫脹」の場合はそれ以上の大きさになります。以下のような症状はありませんか?□発熱している□しこりが 1個以上触れる□しこりが動かない□表面に凹凸がある□圧痛/自発痛がある□しこりが硬い□喉や歯の痛みがある □身体がだるい□関節も腫れている□腫れているのは1ヵ所だけだ◆そのリンパ節腫脹は…全身疾患のせいかも!?• 38℃以上の発熱はありますか• 体重が5%以上減っていませんか(例:急に55㎏→52㎏くらいにやせた)• 寝ていて下着を取り換えなければならないほど、汗をかきますか?出典:内科学第10版_リンパ節腫脹、MSDマニュアルプロフェッショナル版_リンパ節腫脹監修:福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科 山中 克郎氏Copyright © 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第232回 医学研究における国内受賞者の“ある共通点”、ノーベル賞から考えたこと

ここ2週間ほどのニュースの中心は、衆院解散と来たる総選挙が多くを占めている。渦中の新首相・石破 茂氏は、首相就任後、その言動の変節が話題となっている。その1つが選択的夫婦別姓を巡る問題である。総裁選中は「選択的なのだから否定する理由はない」としていたが、10月8日の参院代表質問では「夫婦の氏に関する具体的な制度のあり方については、国民の間にさまざまな意見があるものと承知している。 家族の在り方の根幹に関わる問題でもある。政府といたしましては国民の意見や国会における議論の動向を踏まえ、必要な検討を行いたい」と賛否すら明示しない官僚答弁に終始した。さてこのジェンダー問題は医学界でも長年指摘されてきた。昨今のわかりやすい事例を挙げるならば、東京医大をはじめとする複数の医学部で発覚した入試の女性差別問題である。もちろんこうしたことは氷山の一角に過ぎないだろう。そもそもパワハラ、アカハラ、セクハラなどの各種ハラスメントに対する認識が社会に定着し始めたのは、まだ最近のことだからだ。そしてちょうどこの時期、ノーベル賞各賞の受賞者が発表されたが、生理学・医学賞に着目してみると、創設以来の受賞者229人のうち女性受賞者は今年までで13人、全体の5.7%とかなり少ない。実はこれでもノーベル賞の自然科学系各賞の中では最も多い。ちなみに医学界では名高いアルバート・ラスカー医学研究賞(全4部門)の今年までの女性受賞比率は8.3%である。もちろん工学、農学、医学などを含む広義の自然科学系の研究に女性が進出した歴史はまだ浅いと言わざるを得ないことを鑑みれば、少なくとも現時点での世界標準の医学関連賞の女性受賞比率は一桁後半が妥当なのだろう。そうした中で南ドイツのエバーハルト・カール大学テュービンゲンの生化学研究所で創薬を研究する秤谷 隼世(はかりや はやせ)氏らが今年9月に「Health Science Report」に発表した「Gender disparities among prestigious biomedical award recipients in Japan: A cross sectional study(日本の権威ある生物医学賞受賞者での男女格差:横断的研究)」1)の内容が興味深い。秤谷氏が調べた医学賞とその結果研究は医学・生物医学系の研究に与えられる武田医学賞(創設1954年)2)、上原賞(同1985年)3)、慶應医学賞(同1996年)4)の受賞者を対象に行っている。「なぜこの3賞?」と思う人も少なくないだろう。これは論文に理由が記載されている。まず、これらがいずれも創設以来の受賞者全員の身元が公開されていること。武田医学賞は歴史が長く、慶應医学賞は国内と海外各1名が毎年選出されるため、国内受賞者と海外受賞者の男女比を比較できること、上原賞は前記2つの賞の中間的年代に設立されたためとしている。また、賞としては有名でも人文科学、社会科学、自然科学のさまざまな分野から候補者が入る賞に関しては、医学・生物医学領域での潜在的なバイアスと区別するため除外された。結論から言うと、この3賞内の重複受賞者、慶應医学賞の海外研究者部門を除く2023年までの国内総受賞者182人のうち女性は2人のみ。全受賞者に占める女性受賞比率はたった1.1%。なんという低さだろう。しかも、慶應医学賞の海外研究者部門の女性受賞比率は11.1%なのにだ。しかし、論文内の記述で私がもっとも驚いたのは初の女性受賞者が2015年の武田医学賞とごく最近だったこと。残る1人も武田医学賞の受賞者だ。論文内では、各賞の全受賞者の最終学位(博士号)取得から受賞までの平均年数を26~30年と算出している。ちなみにこの数字は慶應医学賞の海外研究者部門は32年、2023年までのラスカー受賞者は30年である。つまるところ日本人研究者も外国人研究者も博士号取得から受賞できるような実績を示すまでに要する時間はほぼ同じであり、女性受賞率が慶應医学賞海外研究者部門やラスカー賞に比べ、これら3賞では極端に低いことには日本特有の原因があると推察される。論文ではその一因として女性研究者の博士号取得者の少なさがあるのではないかと推定している。カギとなるのは前述のように博士号取得から受賞まで30年前後という期間を考慮した約30年前の女性研究者の博士号取得実態。論文内では1995年の自然科学分野の博士号取得者に占める女性割合は、日本が15.6%に対してアメリカが41.1%と報告しているもっとも論文では、より直近の2014〜23年に限定して国内3賞の女性受賞比率を算出しても3.8%に過ぎず、1995年時点の博士号取得者の女性比率から見てもかなり低いことに疑問を呈している。そこでもう1つの要因として推定しているのが3賞の選考過程である。選考委員名が完全に公開されている慶應医学賞の選考委員男女比は、最新の2023年が男性12人、女性4人だったが、2021年時点では男性12人、女性1人。いずれにせよ男女比が極めて不均衡である。また、武田医学賞と上原賞は、候補者選定時に、ほぼ男性のみである過去の受賞者からの推薦が可能となっている。無意識に意識した受賞者像このようなことから、論文では今回わかった国内3賞の女性受賞比率が著しく低い点について、アンコンシャス・バイアス(無意識な偏見)が働いていたのではないかとの考察を示している。ちなみにアンコンシャス・バイアスの傍証として、武田医学賞では受賞資格に国籍は問わないとしているにもかかわらず、過去の受賞者に外国人がいないことも挙げている。ざっくりまとめるならば、日本人男性社会の典型とも言えた医学界では、医学関連賞の候補者、受賞者の決定時に無意識に「日本人男性」を選出していたのではないかというわけだ。この指摘に対しては「いや、ちょっとジェンダー問題に偏り過ぎな見方では?」との声もあるかもしれない。しかし、私はこの論文の指摘には一理ありと思っている。まず、今回の論文を読んでふと私の頭に浮かんで参照したのがドイツのベーリンガーインゲルハイムの日本法人・日本ベーリンガーインゲルハイムが主催している卓越した医学研究論文に贈られるベルツ賞である。というのも前述の論文で分析対象となった武田医学賞、上原賞は、それぞれ日本を起源とする武田薬品、大正製薬の関連財団が主催している。内外差が見えてくるのではないかと考えたのだ。ベルツ賞創設は1964年と歴史は古い。前述の3賞と決定的に違うのは、毎年あらかじめ決めたテーマで公募する点だ。また、受賞者は論文共著者も含まれる。ざっと過去からの受賞者を眺めまわすと、極めて懐かしいご重鎮の名前があちこちに登場する。さてこの受賞者一覧5)を眺めまわし、明らかに女性とわかる名前を拾い上げて算出した女性受賞比率は3.8%。前述の3賞よりも明らかに高い。しかも、最も早い時期では1970年代に女性受賞者がいる。この違いはやはりドイツと日本の国情や文化ではないだろうか? 「それこそアンコンシャス・バイアスでは?」と言われそうだが、ドイツのほうが社会としてジェンダー問題の解消面で日本の一歩先を行っていることに異論がある人はいないだろう。この点の“傍証”とも言える事実もある。ベルツ賞の選考委員は賞創設時から公開されているのだが、その多くは古き良き(悪しき?)日本を代表する男性のご重鎮ばかり。だが、1つ異なるのは創設時から日本法人トップの外国人が加わっていた点である。ちなみに近年のベーリンガー日本法人はトップが日本人だった時期もあり、その時期は彼ら(2人)が選考に参加している。しかし、ともに外資系を渡り歩いてきたことで有名な人である。こうした点からもドイツ・日本、あるいは内外のジェンダーに関する認識の違いが影響している可能性は否定できない。グローバル化で医学賞にも変化そして今回の論文で唯一の女性受賞者がいた武田医学賞だが、最初の受賞者が2015年と知って前述のように驚いた反面、この時期にハッとした。ご存じのように同賞の大元の母体と言ってよい武田薬品は、浪花商人のコテコテ内資製薬企業から海外進出を果たし、2008年には米・ミレニアム社、2011年にはスイス・ナイコメッド社を買収して、本格的なグローバル化へと突き進んだ。2014年には創業以来初の外国人社長であるクリストフ・ウェバー氏が就任し、2019年には約7兆円もの巨額の資金を投じてアイルランドのシャイアー社を買収して、メガファーマ入りした。実は2008年のミレニアム社買収後、武田は元ミレニアム社長のデボラ・ダンサイア氏を初の女性取締役に迎え、2015年にはウェバー氏の下で組織された経営陣グループ「武田エグゼクティブチーム」に初めて女性のラモナ・セケイラ氏(現同社グローバル ポートフォリオ ディビジョン プレジデント)を迎えている。ちなみにセケイラ氏は、大学で分子遺伝子学と分子生物学を学んでいる。要は国を超えた感覚が移入されたことは、武田医学賞にも間接的に変化をもたらしたのではないかと私は勝手ながら推察している。となるとこの医学界でのジェンダー問題解決には“黒船到来”が必要ということなのか? いや、もうそんな悠長なことを言っていたら、それこそ日本沈没だと思うのだが。参考1)Hakariya H, et al. Health Sci Rep. 2024;7:e70074.2)武田医学賞:歴代受賞者一覧3)上原記念生命科学財団:これまでの上原受賞者4)慶應義塾医学進行基金:慶應医学賞受賞者一覧5)ベルツ賞:過去の受賞者

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海外旅行が資産形成になる意外な理由とは【医師のためのお金の話】第85回

海外旅行は贅沢品の王様ではないでしょうか。海外に行くためには、お金だけではなく、たくさんの時間も必要です。ただでさえ医師は忙しい。そんな私たちが海外旅行するのは、とてもハードルが高いですね。時間のなさだけではなく、周囲からの目も気になるところ。「旅行に行く」印象をカモフラージュするため、旅行がてらに学会参加する医師は珍しくありません。あなたも一度ぐらい、学会ついでに旅行したことがあるのではないでしょうか。また、昨今の超円安のために、海外旅行に行くハードルはさらに高まりました。主要国では、日本より物価の安い国を見つけることすら難しい状況です。しかし、娯楽と思われている海外旅行が、実は資産形成にとても役立つと聞くと驚くのではないでしょうか。「またまた、そんな大げさな」という声が聞こえてきそうですね。しかし、私は本気で海外旅行は資産形成に役立つと考えています。今回は、私が海外旅行を資産形成の一環と捉えている理由をお話ししてみましょう。院長就任後1ヵ月で2週間も海外旅行へ!?私事ですが、2024年8月にジョージアとトルコを2週間旅行しました。今回は、コロナ禍明け6回目の海外旅行です。医師なのに2週間も海外旅行に行くとは、かなりぶっ飛んだ奴だと思う方が多いかもしれません。たしかに、私の行動はフツーではないです。2000年代前半のサラリーマン大家など皆無の時代に、不動産投資に徒手空拳で飛び込みました。株式投資では、リーマンショックやコロナショックで大底まで買い下がります。きっとアタマのネジの緩んだ人に違いない…。もちろん、そのような意見を全否定はしませんが、私は協調性のある常識人を自任しています。その証拠に(?)海外旅行の1ヵ月前に、従業員数約1,200人の医療法人グループの院長に就任しました。院長に推された理由は、院内の調整役として適任だからだそうです。また母校の大学からは、臨床教授を拝命しています。職場や医局と波風立てず、良好な関係を築いている証左だと考えています。このように一見すると常識人である私が、なぜ2週間も海外旅行に行くという普通の人がしない行動をするのでしょうか。その理由は、非日常の体験が資産形成に非常に役立つと考えているからです。海外旅行には資産形成に必要なものが全てある!?社会人になってからの海外旅行では、計画性、体調管理、そしてトラブルに対する機転が重要です。限られた予算と時間の中で、いかにして自分の行きたい所を組み込むかは難しい。あらゆる情報を集めて、自分の頭で考えなければいけません。滞りなく旅行を続けるには体調管理が必須です。また、インターネットが発達した世の中ではありますが実際に海外に行くと予定どおりに事は進まないのです。今回、私はジョージアとトルコを2週間かけて旅行しましたが、案の定トラブルの連続でした。ネットや書籍で得られる情報には限界があるため、どうしても現地での判断が必要となります。限られた時間と情報の中から、如何にして最善の選択をするのかが海外旅行では重要です。いわゆる判断力が問われる局面ですね。たとえばジョージアではコーカサス山脈のロシア国境10kmの小さな村に滞在しました。行きは日帰りツアーに便乗したのですが、途中で脱落して私だけ宿泊しました。しかし、首都のトビリシまで戻る手段の情報をネットではどうしても得られません。現地で色々な人を捕まえて拙い英語でやり取りして、ようやく帰る手段を確保しました。このような経験は、私にとって決して特別なものではありません。いわゆる道なき道を行くような感覚は、起業や資産形成にも通じます。強制的に常識を塗り替える海外旅行に行く最大のメリットは、日本での常識をリセットすることだと思います。海外という住み慣れた日本とはまったく異なる環境に身を置くことで、日常に染まった脳内の風景を強制的に塗り替えるのです。常識を塗り替えることで、新たな気付きや閃きを得られる機会が増します。同じ環境に居続けるとなかなか面白いアイデアは浮かんできません。しかし、周りの環境を強制的に変化させると、新たなアイデアが降ってくる可能性が高まります。このことは、資産形成においてとても重要です。たとえば、2ヵ国目に行ったトルコでは、凄まじい通貨安が進行しています。通貨安の国の実際がどのようなものかを知りたくてトルコに行きましたが、現地の人には思ったほど緊迫感がありませんでした。一方、値札がどんどん差し替えられる日常は、日本人的な感覚では驚きでした。一般的に通貨安の国は、海外から見ると物価が安いと思われています。しかし実際にトルコに行ってみると、日本より少し安いかなぐらいで、極端に物価が安いという印象はありませんでした。ユーロや米国ドル建ての物価は決して安くなく、単にトルコリラの額面上の金額がどんどん上がっているだけです。ある程度はネット情報で知っていましたが、実際に現地で経験すると、身をもって通貨安の国が置かれている状況を理解できました。通貨安は日本でも大問題です。日本の常識に縛られていては、投資や事業で思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。どうやって安全に資産形成を進めていくのか。海外の先行事例を肌感覚として理解することは、資産形成においてとても重要ではないかと思います。

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日本におけるうつ病に対するベンゾジアゼピン長期使用の分析

 うつ病および不眠症を合併している患者では、持続的な不眠症のマネジメントのために抗うつ薬と併用してベンゾジアゼピン薬(BZD)やZ薬などの睡眠薬がよく使用される。しかし、うつ病患者に対する睡眠薬の長期使用に関連する要因は、あまりよくわかっていない。久留米大学の土生川 光成氏らは、不眠症を合併したうつ病患者に対する睡眠薬併用の長期的な状況を分析した。Journal of Psychiatric Research誌2024年10月号の報告。 抗うつ薬と睡眠薬(BZD /Z薬)を開始したうつ病患者351例のデータをレトロスペクティブに分析し、12ヵ月時点での睡眠薬の長期使用率と関連する要因を調査した。長期使用についてロジスティック回帰分析を用いて、不眠症重症度を縦断的に評価した32例の患者において、睡眠薬継続群と中止群の間で不眠症重症度を比較した。 主な結果は以下のとおり。・12ヵ月間睡眠薬を使用した患者の割合は、66.1%であった。・多重ロジスティック回帰分析では、睡眠薬の長期使用と関連していた因子は、併用治療開始時の睡眠薬のジアゼパム換算量5mg超、うつ病診断前の慢性不眠症、入院であった(各々、p<0.01)。・不眠症重症度の不十分な改善と睡眠薬長期使用との関連も示唆された。・これらの結果の信頼性は、睡眠薬への依存、睡眠薬使用に対する患者の態度、鎮静性抗うつ薬や抗精神病薬など他剤で治療されている患者の除外など、さまざまな因子により弱められた。 著者らは「本結果は、不眠症を合併したうつ病患者の治療戦略に役立つ可能性がある。睡眠薬の長期使用を避けるには、併用治療開始時の投与量(5mg以下)を適切に維持する必要があり、難治性不眠症にはBZD/Z薬の代替治療を行う必要がある」と結論付けている。

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男性乳がんの病理学的特徴と生存期間

 男性の乳がんは女性の乳がんと同様の治療戦略で管理されている。今回、中国・空軍軍医大学西京病院のMeiling Huang氏らは、自施設における男性乳がんの臨床病理学的特徴、治療、生存期間について後ろ向きに分析・報告した。American Journal of Men's Health誌2024年9・10月号に掲載。 本研究は2006年8月~2024年3月に西京病院に入院した男性乳がん患者66例を対象とした。データは病院記録と西京病院の乳がんデータベースから収集した。 主な結果は以下のとおり。・男性乳がんの罹患率は2018年から増加傾向にあり、女性乳がん患者よりも高齢であった。・最も多い組織型は浸潤がんで、ホルモン受容体陽性であった。・計62例(93.9%)に修正根治的乳房切除術が施行されていた。・化学療法は39例(59.1%)、内分泌療法は14例(21.2%)、放射線療法は9例(13.6%)に施行されていた。・全生存期間中央値は46.7ヵ月(0.9~184.8ヵ月)で、最新データでは58例(87.9%)が生存している。・生存期間と有意に関連する因子は、年齢(χ2=3.856、p=0.050)、エストロゲン受容体(χ2=10.427、p=0.005)、分子タイプ(χ2=10.641、p=0.031)、p63(χ2=2.631、p<0.001)、内分泌療法(χ2=31.167、p<0.001)であった。 著者らは「これらの結果は男性乳がんに関する貴重な知見を提供し、標準治療の参考となる」としている。

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尿ナトカリ比に日本人のための目標値を設定~ステートメント公表/日本高血圧学会

 日本高血圧学会は10月8日、日本人のための尿ナトカリ比の目標値と適切な評価方法を提唱するため、尿ナトリウム/カリウム(尿ナトカリ比)ワーキンググループによる『コンセンサスステートメント』をHypertension Research誌で公表した。尿ナトカリ比の目標値として、まずは実現可能な“4”を目指し、将来的に至適な“2”へ段階的に設定していくという。ポイントは以下のとおり。―――――――――――――――――――・尿ナトカリ比と血圧値との間に連続した正の関連・尿ナトカリ比は、ナトリウム、カリウム単独よりも、より強く血圧高値と関連・健常日本人における目標値として、「日本人の食事摂取基準」の食塩とカリウムの摂取目標量に相当する2未満を至適目標に、日本人の平均値未満に相当する4未満を実現可能目標に設定・随時尿を用いて尿ナトカリ比を測定する場合、週に4日以上、異なる時間帯に採取した尿の測定値から平均を算出することを強く推奨・尿ナトカリ比は、日本全国の健診・医療機関で安価かつ簡便に測定可能であり、減塩とカリウム摂取増加の指標として、高血圧の予防と管理、脳卒中、心臓病、腎臓病の予防に活用されることを期待――――――――――――――――――― 同日に開催された日本高血圧学会のプレスセミナーで本ステートメントについて解説した三浦 克之氏(滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門 教授/日本高血圧学会 理事)は、「摂取目標量に加え、国内の4つの研究結果(INTERMAP研究、ながはまスタディ、東北メディカル・メガバンク機構コホート、NIPPON DATA2010)などを参考に健康な人における平均ナトリウム/カリウム比の目標値を決定した。来年に改訂される高血圧診療ガイドラインにも本ステートメント内容が反映される予定」とコメントした。尿ナトカリ比を測定する意義とは 食事から摂取したナトリウム・カリウムの直接的な評価は難しいが、ナトリウムは摂取した量の90%以上が、カリウムは摂取した70~80%が尿中に排泄される。尿ナトカリ比はこれを活かし、尿中に排泄されたナトリウムとカリウムそれぞれの濃度(mmol/L)を比で示したもので、日本人でも高血圧や循環器病リスクとの関連が明らかにされている。たとえば、宮城県登米市において高血圧有病リスクとの関連を調査1)した結果、尿ナトカリ比値が3.0未満の群と比べ、尿ナトカリ比が高いほど高血圧になる危険度が高かった。10日間の尿ナトカリ比平均値と家庭血圧値の関連をみた研究2)でも尿ナトカリ比が高いグループほど家庭血圧(収縮期血圧)の平均値が高かった。また、三浦氏らが行ったNIPPON DATE803)によると、食事のナトカリ比が高くなるにつれて脳卒中死亡リスクも高まることが示唆されている。これらの研究を踏まえ、「血圧はもちろんのこと、将来の循環器病予防のためにも測定しておくことが重要」と同氏は説明した。尿ナトカリ比の測定、患者個人でも可能だが… 尿ナトカリ比の測定方法には随時尿を用い、(1)医療機関や健診で採尿し検査機関で測定、(2)医療機関や自治体の特定健診、職域健康管理などで活用されるナトカリ計で測定、(3)郵送により個人が自宅で測定などの方法がある。しかし、「食後や朝晩は高く、日中は低い傾向にあるため、さまざまな状況の尿を採取することが必要。医療機関で週に4日以上、無作為に異なる時間帯に採取した随時尿での測定値から平均値を算出する方法を推奨する」と同氏はコメントした。 最後に同氏は「尿ナトカリ比は、日本全国の健診機関やかかりつけ医を含む医療機関において、安価かつ簡便に測定が可能である。高血圧の予防と管理、脳卒中、心疾患や腎機能障害の予防のためにも減塩とカリウム摂取増加の指標として、尿ナトカリ比がさらに活用されることを期待する。ただし、現時点で健診事業でも医療施設でも測定件数は少ないため、これらが普及するには少し時間がかかるだろうと」と締めくくった。

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非造影CT評価の広範囲脳梗塞、血栓除去術併用は優越性示せず/JAMA

 発症後24時間以内で非造影CTにより広範囲脳梗塞が認められた患者では、内科的治療のみと比較し血栓除去術の併用は90日時の機能的アウトカム改善に関して優越性は示されなかった。米国・Texas Stroke InstituteのAlbert J. Yoo氏らTESLA Investigatorsが、米国47施設で実施された非盲検評価者盲検、ベイジアン・アダプティブ・デザインの第III相無作為化試験「Thrombectomy for Emergent Salvage of Large Anterior Circulation Ischemic Stroke:TESLA試験」の結果を報告した。最近の広範囲脳梗塞の血栓除去術に関する臨床試験は、患者の選択に関して画像診断法や時間枠が不均一であった。非造影CTは最も一般的な脳卒中画像診断法であるが、発症後24時間以内に非造影CTのみで確認された広範囲脳梗塞に対する血栓除去術の有効性は不明であった。JAMA誌オンライン版2024年9月23日号掲載の報告。90日時の機能的アウトカムを内科的治療のみと比較 研究グループは、症状発現から24時間以内で、NIHSSスコアが6以上、内頸動脈または中大脳動脈M1セグメントの閉塞を認め、修正Rankinスケール(mRS)スコアが0~1、非造影CTでASPECTSスコア2~5の大きな梗塞を呈する18~85歳の患者を、血栓除去術+内科的治療群(介入群)または内科的治療単独群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 有効性の主要エンドポイントは、効用加重修正Rankinスケール(UW-mRS、範囲:0[死亡または重度障害]~10[症状なし]、臨床的に意義のある最小変化量0.3)の平均スコアを用いて測定した90日時の機能的アウトカムの改善で、事前に規定した優越性の事後確率閾値は片側0.975以上とした。 安全性の主要エンドポイントは90日死亡率、副次エンドポイントは症候性頭蓋内出血および画像による頭蓋内出血であった。 2019年7月16日~2022年10月17日に302例が無作為化された(最終追跡調査は2023年1月25日)。UW-mRSスコア平均値は2.93 vs.2.27で有意差なし 無作為化された302例のうち、同意撤回などにより治療前に2例が除外され、解析対象は300例(介入群152例、対照群148例)で、女性が138例(46%)、年齢中央値は67歳であった。297例が90日間の追跡調査を完了した。 90日時のUW-mRSスコア平均値(±SD)は、介入群2.93±3.39、対照群2.27±2.98で、補正後群間差は0.63(95%信用区間[CrI]:-0.09~1.34、優越性の事後確率0.96)であった。 90日死亡率は、介入群35.3%(53/150例)、対照群33.3%(49/147例)であり、両群で同程度であった。24時間以内の症候性頭蓋内出血は、介入群で4.0%(6/151例)、対照群で1.3%(2/149例)に発現した。また、脳実質内出血タイプ1が介入群で9.5%(14/148例)、対照群で2.7%(4/146例)、脳実質内出血タイプ2がそれぞれ9.5%(14例)、3.4%(5例)、くも膜下出血が16.2%(24例)、6.2%(9例)に認められた。

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血友病B、AAVベクターfidanacogene elaparvovecが有効/NEJM

 血友病B患者において、fidanacogene elaparvovecによる治療は定期補充療法より優れており、出血の減少と安定した血液凝固第IX因子(FIX)発現が認められた。米国・ペンシルベニア大学のAdam Cuker氏らが、13ヵ国27施設で実施した非盲検単群第III相臨床試験「BENEGENE-2試験」の結果を報告した。fidanacogene elaparvovecは、高活性のFIX-R338L変異体(FIX-Padua)を発現する遺伝子組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターで、第I/IIa相試験においてFIX活性の維持が示されていた。NEJM誌2024年9月26日号掲載の報告。血友病B患者45例にfidanacogene elaparvovecを単回投与 研究グループは、FIX製剤による定期補充療法を6ヵ月以上行うBENEGENE-1導入試験を完了した患者で、FIX活性が2%以下、FIXインヒビター陽性歴がない18~65歳の血友病B患者に、fidanacogene elaparvovecを体重1kg当たり5×1011ベクターゲノムの用量で単回静脈内投与した。 主要エンドポイントは、投与後12週から15ヵ月までの年間出血率(治療した出血エピソードおよび未治療の出血エピソード)で、定期補充療法を受けていた導入期間と比較し、非劣性が達成された場合は優越性を評価することが事前に規定された。安全性についても評価した。 BENEGENE-1導入試験でスクリーニングを受けた316例のうち、抗AAV中和抗体が陽性であった188例(59.5%)を含む不適格患者計204例(64.6%)を除外し102例を登録した。このうち51例がBENEGENE-1導入試験を完了し、BENEGENE-2試験のスクリーニングを受け、適格患者45例がfidanacogene elaparvovecを投与された。年間出血率は定期補充療法に対し71%減少、非劣性および優越性を検証 45例の患者背景は平均年齢33.2歳、73%が白人で、29%が標的関節を有していた。45例中、44例が15ヵ月以上の追跡調査を完了した。 すべての出血エピソードの年間出血率は、導入期間が4.42(95%信頼区間[CI]:1.80~7.05)、投与後12週から15ヵ月までの期間が1.28(95%CI:0.57~1.98)、治療差は-3.15(95%CI:-5.46~-0.83、p=0.008)で、fidanacogene elaparvovec投与により71%減少し、fidanacogene elaparvovecの定期補充療法に対する非劣性および優越性が示された。 15ヵ月時の凝固一段法SynthASilで測定した平均FIX活性は26.9%(中央値:22.9%、範囲:1.9~119.0)であった。 安全性については、38例(84%)に有害事象が認められ、主な事象はアミノトランスフェラーゼ増加であった。アミノトランスフェラーゼ増加またはFIX活性低下に対し、28例(62%)がグルココルチコイドの投与を受けた。 グルココルチコイドの投与開始までの期間は中央値37.5日(範囲:11~123)であり、投与期間中央値は95.0日(範囲:41~276)であった。投与に関連する重篤な有害事象、血栓性イベント、FIXインヒビターの発現、悪性疾患は確認されなかった。

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「声の変化」からCOPD増悪を予測

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪を、患者の声の変化から予測できることを示した新たな研究結果が報告された。患者の声は、増悪が始まる直前には高くなり、増悪が始まるとかすれることが判明したという。この研究を実施したマーストリヒト大学医療センター呼吸器内科学(オランダ)のLoes van Bemmel氏らは、これらのサインを使ってCOPDの増悪に備えられるようにするためのスマートフォン(以下、スマホ)のアプリの開発に取り組んでいる。この研究結果は、欧州呼吸器学会(ERS Congress 2024、9月7~11日、オーストリア・ウィーン)で発表された。 Van Bemmel氏は、「アプリの開発に成功すれば、家庭でCOPDの増悪を早期に検知し、診断につなげられる可能性がある。そうすれば、患者自身が自宅で増悪を管理できるようになるだろう」と言う。 COPDは肺気腫や慢性気管支炎を含む呼吸器疾患の総称で、肺への気流が妨げられるため呼吸しにくくなる。COPDの増悪が始まった場合には、早期段階で治療しない限り、入院や死亡リスクの上昇につながり得るという。 今回の研究でvan Bemmel氏らは、28人のCOPD患者に12週間にわたって毎日、スマホのアプリで自分の音声を録音してもらった。患者は、まず、息が続く限り「あー」と声を出し続けたときの音声を録音し、その後、物語の中の短い文章を読むか、質問に回答したときの音声の録音も行った。また、研究参加者は、COPDの症状に関する質問票に毎日回答した。 最終的に11人が毎日の音声の録音を完了し、総計1,691件の音声データが収集された。このデータを分析して音声の変化とCOPDの増悪との関係を調べた。その結果、増悪が始まる直前には患者の声が高くなることが明らかになった。また、増悪が始まった際には、声帯の振動の乱れの指標である「ジッター(jitter)」が高くなり、声の安定性が低下してかすれ声になることも明らかになった。 Van Bemmel氏は、「録音された患者の音声は、平常時と増悪の初日の間で明らかな違いがあった。これによって、増悪のごく初期でも音声が大きく変化するというわれわれの仮説が裏付けられた」と話す。 この結果は、より多くのCOPD患者を対象とした研究で確認する必要があるが、van Bemmel氏らはすでに患者の呼吸器疾患の管理の向上に役立つアプリに今回得られた知見を取り入れる計画を立てている。同氏は、「病気によって違いはあるが、音声の分析は、他の呼吸器疾患にも有用な可能性はある。われわれは、多くの呼吸器疾患に音声バイオマーカーが存在するのではないかと見ている」と言う。 研究グループの一員である、マーストリヒト大学医療センター呼吸器内科学部長でERS年次学術集会事務局のFrits Franssen氏は、COPDの増悪に早期の段階で気付くことの重要性を指摘し、「症状が増悪すると、長期にわたる健康状態の悪化につながり、命に関わることさえある。症状の増悪に早期の段階で気付いて治療すれば、重篤な合併症を回避できる場合が多い」とERSのニュースリリースで説明している。 さらにFranssen氏は、「今後、この結果が検証されれば、治療の必要性を患者とその担当医に警告する、迅速かつ効率的なシステムが構築される可能性がある。このようなスマホを介した音声分析は、時や場所を問わず誰でも利用でき、最終的には費用や時間の節約と患者の救命につながる可能性がある」と述べている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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金融詐欺に遭うのはアルツハイマー病の初期兆候?

 金融詐欺に引っかかりやすくなっている高齢者では、アルツハイマー病発症の高リスクと関連付けられている脳領域に変化が生じている可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。論文の上席著者である、米南カリフォルニア大学心理学および家庭医学教授のDuke Han氏は、「高齢者の金銭的搾取に対する脆弱性を評価することは、軽度認知障害やアルツハイマー病などの認知症の初期段階にある人の特定に役立つ可能性がある」と述べている。この研究の詳細は、「Cerebral Cortex」9月号に掲載された。 米国のアルツハイマー病の患者数は700万人近くに上り、アルツハイマー病は65歳以上の成人における死因としては5番目に多い。米アルツハイマー病協会によると、2024年だけでアルツハイマー病にかかる医療費は3600億ドル(1ドル140円換算で50兆4000億円)に達すると推定されている。 Han氏らは今回、高性能MRIを用いて、認知障害の明らかな兆候は認められない52〜83歳の試験参加者97人の脳を調査し、初期のアルツハイマー病と金銭的搾取に対する脆弱性の関連を検討した。MRIでは、脳の「嗅内皮質」に焦点が当てられた。嗅内皮質は、学習や記憶を司る海馬と、感情や動機付けなどの認知機能を調整する内側前頭前皮質の間の中継点として機能する脳領域であるが、アルツハイマー病において最初に変化が現れる部分でもあり、通常、病気の進行とともに菲薄化していくことが知られている。さらに、「Perceived Financial Exploitation Vulnerability Scale(PFVS)」と呼ばれる標準化されたツールを用いて、参加者の金銭的な認識力や金銭に関わる不適切な判断に対する脆弱性(財務的搾取脆弱性〔financial exploitation vulnerability;FEV〕)を評価した。 Han氏らが、FEVと嗅内皮質の厚さを比較した結果、金融詐欺に遭いやすい人ほど、嗅内皮質の薄いことが明らかになった。この結果は、特に70歳以上の人で顕著だった。 過去の研究では、FEVは軽度認知障害、認知症およびアルツハイマー病と関連する脳内の分子レベルの変化と関連付けられている。Han氏は、「過去の研究結果を踏まえて実施された本研究結果は、FEVが、高齢者の認知機能の変化を見つけ出すための新たな臨床ツールになり得るという考えを支持する重要なエビデンスとなるものだ」との見方を示している。さらに同氏は、「金銭的搾取に対する脆弱性だけが、アルツハイマー病やその他の認知機能低下の決定的な指標となるわけではない。しかし、FEVの評価は、さまざまなリスクプロファイルの一部となり得る」と付け加えている。 その一方でHan氏は、本研究は嗅内皮質の厚さとFEVとの関連を示したが、因果関係を証明するものではない点も強調している。同氏は、より多様な人を対象に、より長期的に追跡する研究を実施して、FEVが認知機能の評価において信用できるツールとなり得るかを検討する必要があるとしている。

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DPP-4iとBG薬で糖尿病性合併症発生率に差はない――4年間の後方視的解析

 血糖管理のための第一選択薬としてDPP-4阻害薬(DPP-4i)を処方した場合とビグアナイド(BG)薬を処方した場合とで、合併症発生率に差はないとする研究結果が報告された。静岡社会健康医学大学院大学(現在の所属は名古屋市立大学大学院医学研究科)の中谷英仁氏、アライドメディカル株式会社の大野浩充氏らが行った研究の結果であり、詳細は「PLOS ONE」に8月9日掲載された。 欧米では糖尿病の第一選択薬としてBG薬(メトホルミン)が広く使われているのに対して、国内ではまずDPP-4iが処方されることが多い。しかし、その両者で合併症の発生率に差があるかは明らかでなく、費用対効果の比較もほとんど行われていない。これを背景として中谷氏らは、静岡県の国民健康保険および後期高齢者医療制度のデータを用いた後方視的解析を行った。 2012年4月~2021年9月に2型糖尿病と診断され、BG薬またはDPP-4iによる治療が開始された患者を抽出した上で、心血管イベント・がん・透析の既往、糖尿病関連の入院歴、インスリン治療歴、遺伝性疾患などに該当する患者を除外。性別、年齢、BMI、HbA1c、併存疾患、腎機能、肝機能、降圧薬・脂質低下薬の処方、喫煙・飲酒・運動習慣など、多くの背景因子をマッチさせた1対5のデータセットを作成した。 主要評価項目は脳・心血管イベントと死亡で構成される複合エンドポイントとして、イベント発生まで追跡した。副次的に、糖尿病に特異的な合併症の発症、および1日当たりの糖尿病治療薬剤コストを比較した。追跡開始半年以内に評価対象イベントが発生した場合はイベントとして取り扱わなかった。 マッチング後のBG薬群(514人)とDPP-4i群(2,570人)の特徴を比較すると、平均年齢(68.39対68.67歳)、男性の割合(46.5対46.9%)、BMI(24.72対24.67)、HbA1c(7.24対7.22%)、収縮期血圧(133.01対133.68mmHg)、LDL-C(127.08対128.26mg/dL)、eGFR(72.40対72.32mL/分/1.73m2)などはよく一致しており、その他の臨床検査値や併存疾患有病率も有意差がなかった。また、BG薬、DPP-4i以外に追加された血糖降下薬の処方率、通院頻度も同等だった。 中央値4.0年、最大8.5年の追跡で、主要複合エンドポイントはBG薬群の9.5%、DPP-4i群の10.4%に発生し、発生率に有意差はなかった(ハザード比1.06〔95%信頼区間0.79~1.44〕、P=0.544)。また、心血管イベント、脳血管イベント、死亡の発生率を個別に比較しても、いずれも有意差はなかった。副次評価項目である糖尿病に特異的な合併症の発生率も有意差はなく(P=0.290)、糖尿病性の網膜症、腎症、神経障害を個別に比較しても、いずれも有意差はなかった。さらに、年齢、性別、BMI、HbA1c、高血圧・脂質異常症・肝疾患の有無で層別化した解析でも、イベント発生率が有意に異なるサブグループは特定されなかった。 1日当たり糖尿病治療薬剤コストに関しては、BG薬は60.5±70.9円、DPP-4iは123.6±64.3円であり、平均差63.1円(95%信頼区間56.9~69.3)で前者の方が安価だった(P<0.001)。 著者らは、本研究が静岡県内のデータを用いているために、地域特性の異なる他県に外挿できない可能性があることなどを限界点として挙げた上で、「2型糖尿病患者に対して新たに薬物療法を開始する場合、BG薬による脳・心血管イベントや死亡および糖尿病に特異的な合併症の長期的な抑制効果はDPP-4iと同程度であり、糖尿病治療薬剤コストは有意に低いと考えられる」と総括している。

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