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結婚相談所の未知なる世界~仕組みやルールをご紹介【アラサー女医の婚活カルテ】第3回

アラサー内科医のこん野かつ美です☆さあ、「婚活カルテ」連載第3回です。前回は、マッチングアプリと結婚相談所(以下、相談所)を比較しながら、私が相談所での婚活を選んだ理由について述べました。今回は、相談所の仕組みや、驚きの独特な“ルール”についてご紹介しますよ。相談所の仕組み…「連盟」って何?全国津々浦々、何千もの相談所がありますが、昔ながらの「仲人さん」とは異なり、それぞれの相談所が独立して結婚相手を紹介しているわけではありません。数千の相談所が集まって、相互に結婚相手候補を紹介し合うための、全国的なネットワークを形成しています。これが「連盟」です。全国にいくつかの連盟があり、「どの連盟に所属しているか」は結婚相談所ごとに異なっています。複数の連盟に所属している相談所も多く、その場合は、その相談所の会員は複数の連盟を「掛け持ち」することが可能です。大手の連盟である「IBJ」や「TMS」、「コネクトシップ」はそれぞれ約9万人、4万5,000人、3万人(それぞれ公式サイト参照)の会員数をうたっていますが、重複している会員も多いはずです。(なお、相談所の中でも「ツヴァイ」や「オーネット」は自社会員だけでの運営で、ちょっと特殊な位置付けです。私自身はこれらを利用しなかったので、詳細は割愛します)相談所婚活の流れ…仮交際、真剣交際の驚きのスピード感!相談所での婚活の大まかな流れをご説明します。まずWeb上でお相手のプロフィール画面を見ます。これは、昔ながらのお見合いでいう「釣書」のようなもので、写真や自己紹介文(あるいは相談所担当者による他己紹介文)に加え、家族構成や学歴(具体的な学校名は伏せている方が多いですが、「高卒」「大卒」「大学院卒」など)、職業、年収などが記載されています。当然ながら、同性の会員は表示されません(女性会員の画面では男性会員のみが表示される仕組みとなっています)。良さそうなお相手がいたらお見合いを申し込み、マッチングが成立したら、「お見合い」へと進みます。もちろん、自分が相手から申し込まれることもあります。お見合い後、双方がまた会いたいと思えば晴れて「仮交際」が成立し、お互いの電話番号が開示されます(連盟によって多少の差異あり)。この段階で、電話でコンタクトを取り、初デートの約束をします(これを「ファーストコール」と呼びます。詳細後述)。一般的な恋愛と違うのは、「仮交際」では「複数人との並行交際が可能である」ということです(もちろん、大っぴらに「あなた以外にも仮交際相手がいます」と示すのはマナー違反ですが……)。「交際」とは名ばかりで、実際は「お友達」程度の距離感でデートを重ねます。お互いに、「この方1人に絞りたい」と思ったら、「真剣交際」へと進みます。ここでは並行交際はできず、真剣交際のお相手以外との仮交際はすべて終了となります。1対1でしっかり向き合って、結婚に向けた擦り合わせができたら、いよいよプロポーズ、そして「成婚退会」となります。相談所によってやや違いはありますが、「仮交際」の期間は1~2ヵ月、「真剣交際」の期間は1~3ヵ月程度が目安のようです。つまり、順調に進めば、出会ってから成婚退会まで、半年にも満たない(!)ということになります。一般的な恋愛結婚では、なかなかないスピード感ですよね。お見合いはホテルのラウンジで!相談所独特のルールとは相談所には、いくつか独特な「ルール」があります。連盟によって異なりますが、私が利用していた連盟では、お見合い場所は「ホテルのラウンジ」、お見合いの飲食代は「男性側の負担」というルールでした(少々、昭和感は否めませんが……)。婚活を始めるまでは、休日の昼下がりにおめかしして、ホテルのラウンジで1杯1,000円以上もするコーヒーを楽しむカップルを見ては、「わぁ~、ハイソ(←死語?)だなぁ」と思っていたものですが、婚活を経験した今なら、こう断言できます。……ホテルのラウンジでお茶しているカップルのほとんどが、お見合いに臨む初対面の男女です!また、仮交際成立時の「ファーストコール」も、相談所ならではの文化といえるでしょう。規定の時刻(私の所属していた連盟では21時でした)に男性が女性に電話を掛け、初デートの日程を決めるのですが、LINEでの手軽な連絡に慣れた身には、直電はなかなかハードルが高いですよね……。ファーストコールは、たいていお見合いの翌日でしたが、その日が当直だと、電話に出ることができません。そのような場合、相談所の担当者を通じてお相手に連絡し、時間をずらしてもらうようお願いするのですが、ちょうど相談所の休業日だった場合は、連絡のしようがなく、困ったものでした。さらに、こんなルールもあります。一般的な大人同士の恋愛では、恋人ができると、手をつないで……ハグやキスをして……そしてその先へ……という流れになるかと思います。しかし、相談所では、真剣交際の相手であっても、成婚退会までは性交渉NG!なのです。「身体目的」の相手から身を守れる点では良い制度ですが、最初に説明を受けた際には驚いたものです。いかがでしたか?外の世界からはなかなか見えない、相談所内の独特な仕組みやルールについてご紹介しました。次回は、いよいよ私、こん野かつ美が、相談所での婚活をスタートした際の体験談をお届けします。お楽しみに☆

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第126回 韓国の「医療崩壊」、まだ止まらず

韓国の医療崩壊韓国の医療崩壊は深刻な危機に陥っています。その発端となったのは、2024年2月に韓国政府が発表した医学部定員の急増案でした。この政策は、OECD加盟国の中で最低水準にある医師数を増加させることを目的としていました。しかし、その内容が医療現場の現状を十分に考慮していないとして、医師や医学生から強い反発を招きました。約1万人もの研修医が一斉に辞職したことは、韓国の医療体制に壊滅的な打撃を与えました。首都ソウルを含む大都市圏では救急患者の受け入れが困難になり、搬送中の死亡事例まで発生する事態に陥っています。この危機は医療現場だけでなく、国民生活全体に大きな影響を及ぼしています。さらに、全国の医学部生約1万9,000人のほとんどが授業ボイコットを続けており、2025年1月に予定されている医師国家試験の受験者数は例年の10分の1以下に減少すると見込まれています。これにより、新たな医師の供給が大幅に滞り、医療体制の回復がさらに難しくなることは明白です。また、勤務環境の過酷さから医師たちが海外へ流出する動きも加速しており、問題は複雑化の一途をたどっています。来年も韓国の医療は厳しさを増しそうです。こうした状況を受けて、韓国政府は2026年度以降の医学部定員について医療界と協議し再検討する方針を示しましたが、医療界と政府の信頼関係は既に大きく損なわれています。解決には時間がかかるとみられており、医療現場や国民への影響が長期化する可能性があります。尹 錫悦大統領の今後医療問題だけでなく、韓国国内では政治的不安定さも拡大しています。研修医の集団辞職や医学生の授業ボイコットが続く中、尹 錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は厳しい立場に追い込まれています。全国各地で退陣要求デモが発生し、与党内部でも離党を求める声が高まっています。さらに、閣僚の辞意表明が相次ぎ、政権の求心力は著しく低下しています。国会では弾劾訴追案が審議されるも、与党議員が採決直前に退場したため否決されるという混乱も見られました。韓国の医療崩壊は医療界と政府との対立、そして政治的不安定さが複雑に絡み合い、悪化の一途をたどっています。すでに多くの問題が顕在化しているため、たとえ政権が交代しても即座に状況を改善するのは困難です。研修医や医学生の反発、海外流出などの課題解決には時間を要するでしょう。韓国の医療体制は、2025年以降さらに厳しい局面を迎える可能性があります。

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うつ病に対する対人関係療法と抗うつ薬治療の比較〜IPDメタ解析

 成人うつ病に対する第1選択介入は、抗うつ薬治療と対人関係療法であるが、長期的および抑うつ症状以外に対するアウトカムにおける相対的な有効性は、不明である。個別被験者データ(IPD)を用いたメタ解析は、従来のメタ解析よりも、より正確な効果推定値を算出可能である。米国・アリゾナ大学のZachary D. Cohen氏らは、対人関係療法と抗うつ薬治療における治療後およびフォローアップ期間中のさまざまなアウトカムを比較するため、IPDメタ解析を実施した。Psychological Medicine誌オンライン版2024年11月4日号の報告。 2023年5月1日にシステマティックな文献検索を行い、成人うつ病患者を対象に対人関係療法と抗うつ薬治療を比較したランダム化試験を特定した。匿名化されたIPDをリクエストし、混合効果モデルを用いて分析した。事前に指定した主要アウトカムは、治療後の抑うつ症状の重症度とした。副次的アウトカムは、2つ以上の研究で評価された治療後およびフォローアップ期間中の指標とした。 主な結果は以下のとおり。・特定された15件の研究のうち、9件よりIPDが収集された(1,948例中1,536例、78.9%)。・治療後の抑うつ症状(d=0.088、p=0.103、1,530例)および社会的機能(d=0.026、p=0.624、1,213例)の指標では、有意な差が認められなかった。・より小規模なサンプルでは、抗うつ薬治療は、対人関係療法よりも、治療後の一般精神病理(d=0.276、p=0.023、307例)、機能不全(d=0.249、p=0.029、231例)の指標で、わずかに優れていたが、その他の副次的およびフォローアップ期間中のアウトカムでは、違いが認められなかった。 著者らは「対人関係療法と抗うつ薬治療の急性期および長期的な有効性を幅広く評価した初めてのメタ解析である本試験において、対人関係療法と抗うつ薬治療との間に有意な差は認められなかった」と報告し「うつ病治療に関する試験では、複数のアウトカム測定およびフォローアップ評価を含める必要がある」としている。

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EGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんのアンメットニーズと新たな治療/J&J

 ジョンソン・エンド・ジョンソン(法人名:ヤンセンファーマ)は、「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺(NSCLC)」の適応で2024年9月に本邦での製造販売承認を取得したアミバンタマブ(商品名:ライブリバント)を、同年11月20日に発売した。これを受け、11月29日にライブリバント発売記者発表会が開催され、後藤 功一氏(国立がん研究センター東病院 副院長・呼吸器内科長)が講演を行った。EGFRエクソン20挿入変異の特徴 アミバンタマブの対象となる「EGFRエクソン20挿入変異」はEGFR遺伝子変異の中で3番目に多いことが知られており1)、LC-SCRUM-Asiaの報告では、登録者のおよそ1.7%(189/11,397例)に検出されていた2)。また、同報告においては、エクソン19欠失変異やL858R変異と比較して、男性や喫煙者にも検出される割合がやや高かった。 EGFR遺伝子の変異は、リガンド非依存的なATP結合と細胞増殖シグナル伝達を引き起こすが、エクソン20挿入変異があると、ATP結合部位が狭くなり、ATPと競合拮抗するチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の結合が妨げられることが報告されている3,4)。従来のTKIへの感受性は乏しく、アンメット・メディカル・ニーズの高い領域とされている。そこに新たに登場したのが、EGFRとMETを標的とする二重特異性抗体のアミバンタマブである。2024年版ガイドラインにおけるアミバンタマブの位置付け アミバンタマブは、未治療のEGFRエクソン20挿入変異陽性のNSCLC患者を対象とした国際共同非盲検無作為化比較第III相試験「PAPILLON試験」の結果に基づいて承認された。本試験では、アミバンタマブと化学療法の併用群が、化学療法群と比較し、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無増悪生存期間の改善を示したことが報告されている5)。 これを受けて、2024年10月に公開された『肺診療ガイドライン2024年版』6)では、EGFRエクソン20挿入変異の一次治療に関するCQが新設され、アミバンタマブと化学療法の併用療法の推奨が明記された。【肺診療ガイドライン2024年版 CQ50】CQ50. エクソン20の挿入変異に対して、一次治療で標的療法が勧められるか?a. エクソン20の挿入変異にはカルボプラチン+ペメトレキセド+アミバンタマブ併用療法を行うよう強く推奨する。(推奨の強さ:1、エビデンスの強さ:B)b. エクソン20の挿入変異にはEGFR-TKI単剤療法を行わないよう強く推奨する。(推奨の強さ:1、エビデンスの強さ:C)【製品概要】商品名:ライブリバント点滴静注350mg一般名:アミバンタマブ(遺伝子組換え)製造販売承認日:2024年9月24日薬価基準収載日:2024年11月20日発売日:2024年11月20日薬価:350mg 7mL 1瓶 160,014円製造販売元(輸入):ヤンセンファーマ株式会社■参考文献・参考サイト1)Arcila ME, et al. Mol Cancer Ther. 2013;12:220-229.2)Okahisa M, et al. Lung Cancer. 2024;191:107798.3)Yasuda H, et al. Sci Transl Med. 2013;5:216ra177.4)Robichaux JP, et al. Nat Med. 2018;24:638-646.5)Zhou C, et al. N Engl J Med. 2023;389:2039-2051.6)日本肺学会 編. 肺診療ガイドライン―悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む―2024年版【Web版】

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ダークチョコレートで2型糖尿病リスク低減か/BMJ

 ダークチョコレートの摂取量増加は2型糖尿病リスク低下と関連したが、ミルクチョコレートではそのような関連はみられなかった。ミルクチョコレートの摂取量増加は長期的な体重増加と関連したが、ダークチョコレートではそのような関連はみられなかった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のBinkai Liu氏らが、米国の看護師および医療従事者を対象とした大規模前向きコホート研究のデータを用いて行った解析の結果を報告した。チョコレートにはフラバノールが多く含まれ、無作為化試験で心代謝へのベネフィットや2型糖尿病のリスクを軽減することが示されている。ただしチョコレートの摂取と2型糖尿病のリスクとの関連性は観察試験では一貫した結果が示されておらず、なお議論の的となっていた。研究グループは、ダークチョコレートとミルクチョコレートでは、カカオ含有量や砂糖、ミルクといった成分割合が異なり、2型糖尿病リスクとの関連性が異なる可能性があるとして、これまで行われていなかったチョコレートの種類(ダークチョコレート、ミルクチョコレート)との関連を調べた。BMJ誌2024年12月4日号掲載の報告。米国NHS、NHSII、HPFS被験者のデータを解析 研究グループは、米国で行われた3つの前向きコホート研究(Nurses' Health Study[NHS、1986~2018年]、Nurses' Health Study II[NHSII、1991~2021年]、Health Professionals Follow-Up Study[HPFS、1986~2020年])のデータを用いて、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、およびチョコレート全体の摂取量と2型糖尿病リスクとの関連を調べた。 チョコレート全体の解析のベースライン(NHSおよびHPFSは1986年、NHSIIは1991年の時点)には、2型糖尿病、心血管疾患、がんに罹患していない19万2,208例が対象に含まれた。内訳は、NHSの女性6万3,798例(平均年齢52.3歳)、NHSIIの女性8万8,383例(36.1歳)、HPFSの男性4万27例(53.1歳)。 チョコレートの種類別の解析のベースライン(NHSおよびHPFSは2006年、NHSIIは2007年の時点)には、11万1,654例が対象に含まれた。内訳は、NHSの女性3万9,400例(平均年齢70.4歳)、NHSIIの女性5万8,187例(52.3歳)、HPFSの男性1万4,067例(68.3歳)。 主要アウトカムは2型糖尿病の発症で、2年ごとのフォローアップ時の質問票における自己報告で特定し、研究担当医が検証済みの補足質問票で診断を確定した。 主要解析ではCox比例ハザードモデルを用いて、チョコレートの摂取量(区分)ごとに2型糖尿病のリスクを評価した。ダークチョコ摂取群は1サービング/週摂取につきリスクが3%低下 チョコレート全体の主要解析では、追跡期間482万9,175人年の間に1万8,862例の2型糖尿病発症が確認された。被験者個々の生活習慣、食事リスク因子で補正後、あらゆるチョコレートを5サービング/週以上摂取する被験者の2型糖尿病リスクは、まったくまたはまれにしか摂取しない被験者と比較して10%(95%信頼区間[CI]:2~17)低かった(傾向のp=0.07)。 チョコレートの種類別の解析では、追跡期間127万348人年の間に4,771例の2型糖尿病発症が確認された。被験者個々の生活習慣、食事リスク因子で補正後、ダークチョコレートを5サービング/週以上摂取する被験者の2型糖尿病リスクは、まったくまたはまれにしか摂取しない被験者と比較して21%(95%CI:5~34)低かった(傾向のp=0.006)。 スプライン回帰分析により、ダークチョコレート摂取と2型糖尿病のリスクとの間には線形の用量反応関係があり(線形性のp=0.003)、1サービング/週のダークチョコレート摂取増加につきリスクが3%(95%CI:1~5)低下することが観察された。ミルクチョコ摂取群は有意なリスク低下みられず、体重増加と正の相関 一方、ミルクチョコレートの摂取と2型糖尿病リスクとの間には有意な関連性はなかった。最低摂取群を対照とした場合の最高摂取群の多変量補正後ハザード比は0.94(95%CI:0.79~1.12、傾向のp=0.75)であった。 また、ミルクチョコレートの摂取は、体重増加と正の相関関係があった。4年間の体重増加が、摂取量に変化がなかった人と比較して摂取量が増えた人のほうが0.35kg(95%CI:0.27~0.43)多かった。ダークチョコレートの摂取では、そのような体重変化との関連性はなかった(-0.06kg、-0.13~0.02)。 これらの結果を踏まえて著者は、「さらなる無作為化試験を行い、今回の結果の再現性と、ダークチョコレートとミルクチョコレートに生じた結果の違いのメカニズムについて調べる必要がある。検証では中年者を対象とした、より長期の研究が望まれる」とまとめている。

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重症三尖弁逆流、T-TEER+薬物療法vs.薬物療法単独/JAMA

 重症三尖弁逆流症患者において、至適薬物療法(OMT)に加えた三尖弁経カテーテルedge-to-edge修復術(T-TEER)の施行はOMT単独と比較して、三尖弁逆流症の重症度、および患者報告に基づく複合アウトカム(NYHA心機能分類クラス、患者全般評価[PGA])の改善が認められたことが、フランス・レンヌ大学のErwan Donal氏らTri-Fr Investigatorsによる無作為化試験「Tri.Fr試験」で示された。JAMA誌オンライン版2024年11月27日号掲載の報告。1年時点の複合臨床アウトカムを評価 Tri.Fr試験は、重症の症候性三尖弁逆流症患者におけるT-TEER+OMTとOMT単独の有効性を評価した研究者主導の前向き無作為化試験で、2021年3月18日~2023年3月13日に、フランスおよびベルギーの24施設で行われた。最終フォローアップは2024年4月。 心不全に対するOMTが30日以上行われているにもかかわらず、重症の症候性三尖弁逆流症を呈し、介入を要する他の心血管症状がないすべての患者が適格と見なされ、T-TEER+OMT群またはOMT単独群に1対1の割合で無作為化された。 主要アウトカムは、1年時点の複合臨床アウトカムで、NYHA心機能分類クラスの変化、PGAの変化、または主要心血管イベントの発生で構成された。副次アウトカムは、閉検定手順を用いて階層的に検定された。1つ目は三尖弁逆流の重症度で、独立した心エコーラボで評価が行われた。その他の副次アウトカムは、カンザスシティ心筋症質問票(KCCQ)スコアで評価したQOL、PGA、無作為化後12ヵ月時点の階層的複合アウトカム(全死因死亡、三尖弁手術、KCCQスコアの改善、または心不全による入院までの時間)などであった。複合臨床アウトカムの改善、T-TEER+OMT群74.1%、OMT単独群40.6% 患者計300例(平均年齢78[SD 6]歳、女性63.7%)が登録され、152例がT-TEER+OMT群に、148例がOMT単独群に無作為化された。 1年時点で複合臨床アウトカムが改善したのは、T-TEER+OMT群109例(74.1%)、OMT単独群58例(40.6%)であった。 三尖弁逆流症の重症度がmassive(4+)またはtorrential(5+)の患者の割合は、T-TEER+OMT群6.8%に対して、OMT単独群は53.5%であった(p<0.001)。 1年後の平均KCCQ臨床サマリースコアは、T-TEER+OMT群69.9(SD 25.5)、OMT単独群55.4(28.8)であった(p<0.001)。無作為化後12ヵ月時点の階層的複合アウトカムのwin ratioは、2.06(95%信頼区間:1.38~3.08)であった(p<0.001)。

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高リスクHR+/HER2-早期乳がんの術前療法、HER3-DXd単独vs.内分泌療法併用(SOLTI VALENTINE)/SABCS2024

 高リスクのHR+/HER2-早期乳がん患者の術前療法として、HER3-DXd単独、HER3-DXdとレトロゾール併用、化学療法を比較した第II相SOLTI VALENTINE試験の結果、HER3-DXdによる治療はレトロゾールの有無にかかわらず化学療法と同程度の病理学的完全奏効(pCR)を示し、Grade3以上の有害事象の発現は少なかったことを、スペイン・Vall d’Hebron University HospitalのMafalda Oliveira氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2024、12月10~13日)で発表した。 高リスクのHR+/HER2-早期乳がんでは、化学療法と内分泌療法の両方が有効であるにもかかわらず、再発リスクが長期にわたって持続するため、転帰を改善するための新たな戦略が必要とされている。HER3-DXdは、HER3を標的とするファーストインクラスの抗体薬物複合体で、複数の乳がんサブタイプに活性を示す可能性がある。そこで研究グループは、術前療法としてのHER3-DXd(±レトロゾール)の有効性と安全性を評価することを目的として研究を実施した。 なお、2022年の欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2022)で発表されたSOLTI TOT-HER3試験において、HR+/HER2-早期乳がん患者に対するHER3-DXdの術前単回投与が、pCRの予測スコアとして開発されたCelTILスコアの有意な増加および臨床的奏効と関連していたことが報告されている。<SOLTI VALENTINE試験>・試験デザイン:並行群間非盲検無作為化非比較試験・対象:手術可能なStageII/IIIで高リスク(Ki67≧20%および/または高ゲノムリスク[遺伝子シグネチャーで定義])のHR+/HER2-早期乳がん患者・試験群1(HER3-DXd群):HER3-DXd 5.6mg/kgを21日ごとに6サイクル・試験群2(HER3-DXd+LET群):HER3-DXd(同上)とレトロゾール2.5mgを1日1回(±LH-RHアゴニスト)・比較群(化学療法群):ECまたはAC療法(エピルビシン90mg/m2またはドキソルビシン60mg/m2+シクロホスファミド600mg/m2を14日または21日ごと)を4サイクル→パクリタキセル80mg/m2の毎週投与を12週間・評価項目:[主要評価項目]手術時のpCR(ypT0/is ypN0)率[副次評価項目]全奏効率(ORR)、CelTILスコアの変化、Ki-67値の変化、PAM50サブタイプの変化、再発リスクスコア(ROR)、安全性、無浸潤疾患生存期間・データカットオフ:2024年4月22日 主な結果は以下のとおり。・2022年11月~2023年9月に122例の患者が2:2:1にHER3-DXd群(50例)、HER3-DXd+LET群(48群)、化学療法群(24群)に無作為に割り付けられた。・全体の年齢中央値は51(29~82)歳、女性が99.2%、閉経前が52.9%であった。cT3/4はHER3-DXd群が42.0%、HER3-DXd+LET群が39.6%、化学療法群が29.2%、リンパ節転移陽性が76.0/77.1/75.0%、StageIIIが36.0/39.6/29.2%、Ki67中央値が35/37/35、HER3-highが80.6/83.8/88.2%、PAM50によるLuminal Bが54.0/60.4/47.8%であった。・主要評価項目である手術時のpCR率は、HER3-DXd群4.0%(95%信頼区間[CI]:0.5~13.7)、HER3-DXd+LET群2.1%(0.1~11.1)、化学療法群4.2%(0.1~21.1)であった。・ORRはHER3-DXd群70.0%(95%CI:55.4~82.1)、HER3-DXd+LET群81.3%(67.4~91.1)、化学療法群70.8%(48.9~87.4)であった。・Ki67中央値の低下は、HER3-DXd+LET群で最も顕著であった。・PAM50によるLuminal BからLuminal A/Normal-likeサブタイプへの変化は3群ともに2サイクル目の1日目に観察され、手術時にはさらに増強した。・CelTILスコアの有意な増加はHER3-DXd群およびHER3-DXd+LET群では認められたが、化学療法群では有意ではなかった。・ROR-high/mediumからROR-lowへの変化は3群ともに認められた。・治療有害事象(TEAEs)はHER3-DXd群96.0%、HER3-DXd+LET群97.9%、化学療法群95.8%に発現し、うちGrade3以上は14.0/14.6/45.8%であった。減量や治療中断・中止に至るTEAEsはHER3-DXd群で少なかった。間質性肺疾患や治療に関連する死亡は報告されなかった。・HER3-DXd群およびHER3-DXd+LET群で多く報告されたTEAEsは、悪心、脱毛、疲労、下痢などであった。 これらの結果より、Oliveira氏は「SOLTI VALENTINE試験は、HER3-DXdの早期乳がんにおける有効性および高リスクのHR+/HER2-乳がんにおける可能性を支持するものである」とまとめた。

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GLP-1RAが飲酒量を減らす?

 血糖降下薬であり近年では減量目的でも使用されているGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)が、飲酒量を減らすことを示唆する新たな論文が報告された。特に肥満者において、この作用が高い可能性があるという。英ノッティンガム大学のMohsan Subhani氏らによるシステマティックレビューの結果であり、詳細は「eClinicalMedicine」に11月14日掲載された。なお、本研究で言及されているエキセナチド等、GLP-1RAの禁酒・節酒目的での使用は日本を含めて承認されていない。一方で同薬が作用するGLP-1受容体は脳内にも分布しており、同薬が飲酒量を抑制するという前臨床試験のデータがある。 この研究では、Ovid Medline、EMBASE、PsycINFOなどのデータベースを用いて、2024年3月末までに報告された研究結果を検索、同年8月7日に新たに追加された報告の有無を確認した。主要評価項目は、GLP-1RAの使用と飲酒量の関連の評価であり、副次的に、GLP-1RAと飲酒関連イベントや機能的磁気共鳴画像法(fMRI)のデータなどとの関連を評価した。 解析対象研究として、6件の報告が特定された。このうち2件はランダム化比較試験(RCT)、3件は後ろ向き観察研究、1件はケースシリーズ(複数の症例報告)であり、3件は欧州、2件は米国、1件はインドで行われていた。研究参加者数は合計8万8,190人で、このうち3万8,740人(43.9%)にGLP-1RAが投与されていた。ただし、エビデンスレベルが高いと評価されるRCTとして実施されていた研究の参加者は286人だった。平均年齢は49.6±10.5歳で、男性が56.9%だった。 RCTとして実施されていた研究では、GLP-1RAのエキセナチドによる24週間の治療後30日間での飲酒量は、プラセボと差がなかった(大量飲酒の日数の群間差がP=0.37)。ただし、サブグループ解析では、肥満者(BMI30超)では肯定的な影響が認められ、fMRIで脳内の報酬中枢の反応に差が認められた。また、RCTの二次解析では、GLP-1RAのデュラグルチド群はプラセボ群と比較して、飲酒量が減少する可能性が有意に高かった(相対効果量0.71〔95%信頼区間0.52~0.97〕、P=0.04)。 観察研究では、DPP-4阻害薬が処方されていた患者や無治療の患者に比べて、GLP-1RAによる治療が行われていた患者では飲酒量が有意に少なく、飲酒関連イベントの発生も少なかった。 Subhani氏は、「GLP-1RAが将来的には過度の飲酒を抑制するための潜在的な治療選択肢となり、結果的に飲酒関連の死亡者数の減少につながる可能性があるのではないか」と述べている。なお、論文には、「GLP-1RAは一部の人の飲酒量を減らす可能性があることが示唆された。ただし、研究の結果に一貫性がなく、飲酒量を抑える目的でのGLP-1RAの有効性と安全性を確立するため、さらなる研究が求められる」と付記されている。

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心肺フィットネスの向上は認知症リスクの軽減につながる

 認知症リスクが高い遺伝子を持つ人は、定期的な運動により心肺フィットネス(cardiorespiratory fitness;CRF、心肺持久力とも呼ばれる)を向上させることで、認知症リスクを軽減できる可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。カロリンスカ研究所(スウェーデン)老化研究センターのWeili Xu氏らによるこの研究の詳細は、「British Journal of Sports Medicine」に11月19日掲載された。 CRFとは、運動中の筋肉に酸素を供給する体の循環器系と呼吸器系の能力のことを指す。この能力は、20代から筋肉量の減少に伴い低下し始め、その後、加速度的に低下する。70代になると、CRFは10年当たり20%以上低下する。低CRFは、あらゆる原因による死亡や、脳卒中や心筋梗塞などの心臓関連イベントの強力な予測因子である。 この研究でXu氏らは、UKバイオバンク参加者から抽出した、認知症のない39〜70歳の成人6万1,214人を対象に、最長12年間追跡して、CRFと認知機能および認知症リスクの関連を、認知症の遺伝的なリスクを考慮して検討した。参加者のCRFは、エアロバイクを用いた6分間の最大下負荷での運動テストにより測定し、低・中・高に分類した。また、認知症の遺伝的リスクは、アルツハイマー病の多遺伝子リスクスコア(PRSAD)を用いて評価し、低・中・高に分類した。 追跡期間中に553人の参加者(0.9%)が認知症の診断を受けていた。解析の結果、CRFが高い人ではCRFが低い人に比べて、認知症の発症リスクが40%低く(発症率比0.60、95%信頼区間0.48〜0.76)、認知症の発症が1.48年(95%信頼区間0.58〜2.39)遅れることが示された。また、PRSADが中程度から高い人の間では、CRFが高い人はCRFが低い人に比べて、あらゆる認知症のリスクが35%低いことが明らかになった。 Xu氏らは、「われわれの研究は、CRFが高いほど認知機能が向上し、認知症リスクが低いことを示している」と結論付けている。ただし、研究グループは、「この研究は因果関係を証明するものではなく、両者の間に関連があることを示したに過ぎない」と強調している。また、UKバイオバンク参加者は、人口全体に比べると健康状態が良好であるため、認知症の症例数が過小評価されている可能性があることや、特定の健康状態にある人は運動テストを受けていないことなどの限界点もあるとしている。それでも研究グループは、「CRFを強化することは、アルツハイマー病の遺伝的リスクが高い人にとって、認知症予防の戦略となる可能性がある」と述べている。 研究グループは、「CRFと脳の健康の関係、さらに、それが遺伝的リスクと認知症の関連にどのような影響を与えるかについては、さらなる研究が必要だ」と述べている。

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心不全に対するミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の効果に関するメタアナリシス(解説:石川讓治氏)

 心不全の薬物治療におけるFantastic fourの1つとしてミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)の使用が推奨されている。現在、心不全に対して使用可能なMRAは、スピロノラクトンやエプレレノン(ステロイド系)とフィネレノン(非ステロイド系)がある。 本研究は下記の4つの研究の患者個人データを統合して行ったメタ解析である。RALESでは、heart failure and reduced left ventricular ejection fraction(HFrEF)に対するスピロノラクトン、EMPHASIS-HFではHFrEFに対するエプレレノン、TOPCATではheart failure and preserved left ventricular ejection fraction(HFpEF)に対するスピロノラクトン、FINEARTS-HFではHFpEFに対するフィネレノンの効果が検証された。各研究結果において、RALES、EMPHASIS-HF、FINEARTS-HFでは有意差が示されたが、TOPCATでは心不全の再入院の抑制効果に有意差が認められたものの、心血管死亡の抑制効果には有意差が認められなかったことが報告されている。このメタ解析において、MRAは心血管死亡や心不全入院のリスクを22%減少させていた。ステロイド系MRAはHFrEFにおける心血管死亡や心不全の入院を減少させ、非ステロイド系MRAはheart failure and mildly reduced left ventricular ejection fraction(HFmrEF)やHFpEFのリスクを減少させたとの結果であった。 メタ解析の結果を解釈するうえで下記の2つのパターンがあり、注意が必要であると筆者は考えている。(1)各研究結果がほぼ同じで、全体としてどの程度の臨床的インパクトがあるのかを示したメタ解析である。たとえば降圧薬の心血管イベント抑制効果を評価した研究において、降圧薬の種類とは関係なく、降圧度によってどの程度の心血管イベント低下が認められたかを示したメタ解析がそれに当たると思われる。(2)その逆に結果が一貫性のない(不均一な)研究を統合して、症例数や有意差が大きい研究の結果が、大きく反映してしまうメタ解析もある。 本研究は(2)のパターンで、HFrEFに対するMRAのイベント抑制効果の大きさ(RALES、EMPHASIS-HF)が、HFpEFにおけるMRAの心血管死亡の抑制効果に有意差が得られなかったこと(TOPCAT)を帳消しにしたような結果に思える。本来メタ解析は(1)のパターンにおいてなされるべきであり、その場合はエビデンスの最上位となると思われる。しかし、(2)のパターンは各研究における対象者や薬剤間の間で結果に違いがあると判断し、メタ解析ではなく次の研究デザインで疑問を解決すべきものではなかろうか?本論文の結論も、全体としては統計学的有意差が大きい研究が小さい研究を淘汰し、各研究の結果の不均一さをサブグループ解析で再現した報告となっているように思われた。

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日本人の主な死因、10年間の変化

日本人の主な死因、10年間の変化350悪性新生物(腫瘍)300死亡率(人口10万対)250心疾患(高血圧性を除く)200老衰150100脳血管疾患肺炎誤嚥性肺炎新型コロナ腎不全不慮の事故5002014201520162017201820192020アルツハイマー病202120222023 [年]厚生労働省「人口動態統計」2023年(確定数)保管統計表 死亡(年次)「第5表-11 死因順位別にみた年次別死亡率(人口10万対)」「第5表-13 死因(死因簡単分類)別にみた性・年次別死亡数及び死亡率(人口10万対)」より集計Copyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

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12月11日 胃腸の日【今日は何の日?】

【12月11日 胃腸の日】〔由来〕「いに(12)いい(11)」(胃にいい)の語呂合わせから日本大衆薬工業協会(現:日本OTC医薬品協会)が2002年に制定。師走に1年間を振り返り、大切な胃腸に負担をかけてきたことを思い、胃腸へのいたわりの気持ちを持ってもらうのが目的。胃腸薬の正しい使い方や、胃腸の健康管理の大切さなどをアピールしている。関連コンテンツ慢性下痢症診療の最新知識【診療よろず相談TV】便通異常症 慢性便秘(1)便秘の定義【一目でわかる診療ビフォーアフター】食欲不振には六君子湯?【漢方カンファレンス】糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検査、胃がん予防に有効か/JAMAベンラリズマブ、好酸球性食道炎に有効か?/NEJM

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第242回 病院経営者には人ごとでない順天堂大の埼玉新病院建設断念、「コロナ禍前に建て替えをしていない病院はもう建て替え不可能、落ちこぼれていくだけ」と某コンサルタント

埼玉県がさいたま市に誘致し、新設予定だった順天堂大付属病院の建設計画が頓挫こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。俳優で歌手の中山 美穂さんの急死には驚きました。検視の結果、事件性はないことが確認され、「入浴中に起きた不慮の事故」と公表されました。朝日新聞等の報道によれば、事件性が疑われる場合に行われる「司法解剖」ではなく、「調査法解剖」が行われたとのことです。調査法解剖は、2013年に施行された「死因・身元調査法」に基づいて実施される比較的新しい解剖の制度です。犯罪捜査の手続きが行われていなくても、警察等が法医等の意見を踏まえて死因を明らかにする必要があると判断した場合に、遺族への事前説明のみで実施が可能とのことです。死亡推定時刻は12月6日午前3時~5時頃で「入浴中に起きた不慮の事故」ということは、飲んで浴槽で寝てしまったのかもしれません。私もぐでんぐでんに酔っ払い、家に帰って浴槽で寝てしまい、お湯が冷めて寒さを感じやっと起きたという経験や、ぶくぶくと溺れそうになって起きた経験があります。飲んでからのお風呂はいろいろな意味で危険ですね。忘年会シーズン、皆さんもお気を付けください。さて今回は、埼玉県がさいたま市の浦和美園地区に誘致し、新設予定だった順天堂大付属病院の建設計画が頓挫したニュースについて書いてみたいと思います。建築費などの高騰がその理由とのことですが、建て替えに悩む多くの病院経営者は人ごととは思えなかったのではないでしょうか。総事業費が当初予想した規模の2.6倍、2,186億円に達することが明らかに順天堂大学は11月29日、埼玉県がさいたま市の浦和美園地区に誘致し、新設予定だった順天堂大付属病院について、建設費高騰などを理由に計画を中止すると県に伝えました。東京新聞などの報道によれば、順大は11月27日の理事会で中止を決定、29日に代田 浩之学長、天野 篤理事らが県庁を訪れ、大野 元裕知事に報告したとのことです。代田学長は取材に「県民の皆さまにご期待をいただいたが、残念ながら断念することになった。大変申し訳なく思う」と謝罪、大野知事は、「これまでも大学からの申し出に対し、期限を延長するなどの措置をしてきた。その上でのこの報告は、大変遺憾だ」と述べたとのことです。順大は同日、同大のウェブサイトに「埼玉県浦和美園地区病院の整備計画中止について」と題するニュースリリースを発信、中止の主な理由について、「建築業界の急激な需要増や資材の高騰に加え、深刻な人手不足などの要因も重なり建築費が大幅に高騰し、さらにその他の費用も上昇した結果、総事業費が当初平成27年に予想した規模の2.6倍にあたる2,186億円に達することが明らかになりました」と記しています。800床で、建設予定地は約7万7,000m2、県は土地取得に55億5,000万円かける新病院は、県内の医師確保困難地域への医師派遣などを条件に、2015年の県医療審議会で順大による開院計画が採択されました。当初計画の病床数は800床で、建設予定地は約7万7000m2。県有地とさいたま市有地からなり、県は土地取得に55億5,000万円をかけていました。県が2018年に順大側と交わした確認書では、病院整備費用の2分の1を上限に補助することになっていました。度重なる延期の末、最終的に2027年11月の開院予定となっていましたが、今年7月末に順大から県に対し、2,186億円の総事業費、開院を20ヵ月延期する工期とともに「事業計画の見直しが必要との結論に至った」との通知が届けられていました。県は計画変更を希望する場合には申請書を速やかに提出するよう要請したものの申請書が提出されなかったことから、10月25日付で12月2日までに変更申請書を提出するよう求めていました。9年余りで建設費は2.3倍、機器・備品・システムは4.4倍に順大のWebサイトには、当初2015年1月に予想した総事業費が2024年7月には2.6倍まで膨らんだ状況が棒グラフで示されています。それによれば、2015年時点の総事業費は建設費709.5億円、機器・備品・システム124.3億円で合計834億円。それが2024年時点では建設費1640.3億円、機器・備品・システム546.2億円で合計2,186億円となっています。9年余りで建設費は2.3倍、機器・備品・システムは4.4倍になっており、医療機器やシステム(電子カルテ等)の方が高騰していることがわかります。ちなみに、建設費は昨年2023年11月予想では936.2億円とその時点までは漸増程度でしたが、その後8ヵ月余で704億円も増加している点も目を引きます。「6つの医学部附属病院を抱える本学は、かつてないほどの厳しい財政状況」と順大順大はWebサイトで次のように大学病院経営自体の苦境も吐露しています。「現在、新型コロナウイルス感染症の流行による病院運営への負の影響や、先進的な医薬品・診療材料の価格高騰などが原因で、多くの国立大学病院や都立病院では収支が赤字となり、その赤字幅が拡大する厳しい状況にあります。この厳しい状況は本学にとっても例外ではなく、令和6年4月から施行された医師の働き方改革への対応も含め、6つの医学部附属病院を抱える本学は、かつてないほどの厳しい財政状況に直面しています」。そして、「現在の診療報酬の下では急速な大幅増益が見込めないことから、当該事業に充当する予定の準備資金の確保及び開設後の運営資金の捻出することが難しい事態」となったため、病床規模を800床から500床程度に縮小するなどの検討も行ったが、「埼玉県民の皆様に貢献することができるための最先端医療機能を備え、かつDXを活用した未来型基幹病院の開設は到底困難」と判断した、としています。“未来型基幹病院”を目指したとしても、2,186億円はやや法外か?800床の病院で総事業費2,186億円(建設費1,640億円)というのは、“未来型基幹病院”を目指したとしても、やや法外な(あるいは相当ふっかけられた)金額と言えなくもありません。ちなみに、福祉医療機構のデータによれば、病院の「定員1人当たり建設費」は2023年度には2,387万2,000円でした。仮に800床だと約190億円になります。順大の新病院の建設費は昨年、2023年11月予想では936億円でしたから、この時点でも実に普通の病院の5倍の建設費だったことになります。もちろん、福祉医療機構のデータは回復期機能を中心とする民間病院の割合が比較的多く、超急性期病院や大学病院と単純比較はできませんが、当初計画において、病院の規模や装備面で相当“背伸び”をし過ぎていた感は否めません。順大医学部は学費下げの戦略などが奏功し、偏差値も上昇、私立医大の新御三家(慶應大、慈恵医大、順大)と呼ばれるほどになっています。また、関東に本院含む6病院を経営、その附属病院の展開戦略は、大学病院経営の“お手本”と言われたこともありました。しかし、コロナ禍、戦争、人口減、物価高、医師の働き方改革など、さまざまな要因が絡み合って起きている病院の経営環境の悪化が、イケイケだった順大の”未来型基幹病院”の夢を打ち砕いてしまったわけです。公立と民間の医療機関の再編・統合事例が増えていく可能性は高いとは言え、順大の撤退は、多くの病院経営者にとって人ごとではないでしょう。順大は総事業費が当初考えていた金額の2.6倍になったことを撤退の理由に挙げていますが、そうした厳しい状況はこれから建て替えを考える病院共通の問題だからです。2ヵ月ほど前に会ったある医療経営コンサルタントは、「病院の建設費が10年前の3〜4倍にもなっている。コロナ禍とウクライナ戦争の前に建て替えを行っていなかった病院は、もう実質建て替えは不可能。公立病院と統合するなどよほど大胆な手を打たないと、これからは落ちこぼれていくだけ」と話していました。実際、建築費などの高騰は、病院の再編・統合にも影響を及ぼしはじめています。民間病院と公立病院の再編事例が各地で増えていることもその表れです。代表的なのは2021年4月に兵庫県で設立された川西・猪名川(いながわ)地域ヘルスケアネットワーク(川西市)です。連携の目玉として市立川西病院(250床)と医療法人協和会の協立病院(313床)が合併、2022年9月に新たな場所で川西市立総合医療センター(405床)としてスタートを切りました。新病院は川西市が設立し、医療法人協和会は指定管理者として管理運営を担うことになりました。赤字続きだった市立川西病院の移転計画に、建物の老朽化などで同じく移転を計画していた医療法人協和会が乗るかたちで実現しました。再編・ネットワーク化を伴う公立病院のケースでは、病院事業債(特別分)の元利償還金の40%が普通交付税措置(通常25%)される、というスキームを活用しての再編です。事業費の相当部分を交付税で賄うことができるメリットは大きいと言えます。民間病院が独自で巨額の建設費を調達することが困難になってきた現在、こうしたスキームを活用した、公立と民間の医療機関の再編・統合事例が増えていく可能性は高いと考えられます。

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心房細動発症、尿酸上昇と体重増加が相互に作用~日本人での研究

 尿酸と肥満が関与する心房細動の新規発症機序から、心房細動発症に尿酸増加と体重増加が相互に作用している可能性がある。今回、京都府立医科大学の宗像 潤氏らが、「20歳以降に体重10kg以上増加」という体重変化の尺度を用いて調査したところ、ベースラインで尿酸値が正常範囲内であっても、その後の尿酸値の増加と体重増加が心房細動の新規発症に相互作用を及ぼすことがわかった。BMJ Open誌2024年11月27日号に掲載。 本研究は後ろ向きコホート研究で、2013年4月2日~2022年4月30日に毎年健康診断を受けた従業員コホートのうち、心房細動を発症していない30歳以上の日本人1,644人を後ろ向きに解析した。血清尿酸と体重の経時的変化が心房細動新規発症に及ぼす影響について、ランドマーク生存解析を用いて評価した。体重増加は標準化自記式質問票における「20歳以降に体重10kg以上増加」と定義し、心房細動は心電図で心房細動が認められた場合または問診で心房細動が認められた場合とした。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値3.91年の間に69例が心房細動を新規発症した(発症割合:1.12/1,000人年)。・ベースラインの血清尿酸値は体重増加あり群で5.76(±1.37)mg/dL、体重増加なし群で4.87(±1.31)mg/dLであり、いずれも正常範囲内であった。・交互作用項を含む多変量ランドマーク生存分析では、心房細動の新規発症は、年齢、性別、ベースラインの収縮期血圧、ベースラインの尿酸値、尿酸値変化と体重増加の交互作用項と有意に関連していた。・体重増加と尿酸値変化との交互作用項によると、尿酸値1mg/dL増ごとのハザード比は、体重増加あり群で1.96(95%信頼区間[CI]:1.38〜2.77)、体重増加なし群で0.95(95%CI:0.61〜1.48)であった。

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アルツハイマー病に伴うアジテーションが医療負担に及ぼす影響

 アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションは、一般的な症状であるが、これに伴う医療負担はよくわかっていない。米国・Inovalon InsightsのChristie Teigland氏らは、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを有する患者とアジテーションのない患者におけるベースライン特性、医療資源の利用、コストの評価を行った。Journal of Health Economics and Outcomes Research誌2024年10月29日号の報告。 対象は、2009〜16年のメディケア有料請求データベースよりアルツハイマー病および認知症で30日以上の間隔で2件以上の請求があり、診断6ヵ月前および12ヵ月後に医療/薬局保険に継続加入していたメディケア受給者。重度の精神疾患患者は除外した。アジテーションの有無により2つの患者コホートを定義し、記述的探索分析により患者の特徴、医療資源の利用、コストの比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・アルツハイマー型認知症患者268万4,704例中76万9,141例が包括基準を満たした。・そのうち、アジテーションを有する患者は28万1,042例(36.5%)であった。・アジテーションの有無に関わらず、アルツハイマー型認知症患者の平均年齢は83歳。・両群共に女性の割合が高かったが、アジテーションを有する患者群では、男性の割合がわずかに高かった(30.3% vs.28.2%)。・アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを有する患者は、アジテーションのない患者と比較し、社会経済的地位が低い(メディケイド二重受給資格:45.0% vs.41.7%)、障害がある(10.5% vs.9.4%)傾向が高かった。・全体的に、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを有する患者は、アジテーションのない患者よりも医療費が高額であり(患者1人当たりの年間医療費の平均:3万2,322ドル vs.3万121ドル)、入院および急性期ケア後の医療費に、最も大きな差が認められた。 著者らは「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを有する患者は、経済的な負担が大きく、関連する健康アウトカム改善のためにも、新たな治療オプションの必要性が浮き彫りとなった」と結論付けている。

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スタチン、上咽頭がんCCRT中の投与で死亡リスク減

 スタチンによる、さまざまな悪性腫瘍に対する潜在的な抗がん作用が注目されている。頭頸部がんにおいては、診断前後のスタチンの使用が化学療法の有効性を高め、がん幹細胞の活性を抑制し、放射線療法に伴う心血管および脳血管の合併症を減少させる可能性があることが示唆されている。 進行上咽頭がん(nasopharyngeal cancer)患者における同時化学放射線療法(CCRT)中のスタチン使用が、全生存率およびがん特異的生存率に与える影響を評価する研究が報告された。台湾・台中慈済病院のJung-Min Yu氏らによって行われた本研究は、Journal of the National Comprehensive Cancer Network誌2024年11月号に掲載された。 台湾の全国健康保険研究データベースを用い、2012~18年にCCRTを受けた進行上咽頭がん患者を抽出した。対象は、転移のないIII~IVA期、PS 0~1、標準CCRT(プラチナベース化学療法と強度変調放射線療法併用)を受けた成人の上咽頭がん患者だった。スタチン使用は、根治的CCRT期間中にスタチンの累積定義1日投与量を最低28回以上受けていることと定義した。スタチン使用者と非使用者の生存率を比較するため、傾向スコアマッチングで年齢、性別、併存疾患などの交絡因子を調整した。さらに、異なる種類のスタチン、累積用量、およびスタチン使用の1日当たりの強度の影響も調査した。 主な結果は以下のとおり。・1,251例が対象となり、1,049例が非スタチン群、202例がスタチン群であった。ベースライン特性では、スタチン群は非スタチン群と比較して年齢中央値が高く、女性が多く、高所得者・都市部の住民・併存症を持つ割合が高かった。マッチングを行った結果、スタチン群と非スタチン群各174例、計348例が解析対象となった。追跡期間中央値は6.43年であった。・全死因死亡率は、非スタチン群では50.57%であったのに対し、スタチン群では33.33%、調整ハザード比(aHR)は0.48(95%信頼区間[CI]:0.34~0.68)であった。同様に上咽頭がん特異的死亡率は、非スタチン群では40.80%、スタチン群では22.99%、aHRは0.43(95%CI:0.29~0.65)であった。・全死因死亡率において、親水性スタチンのロスバスタチンは非スタチン使用と比較してaHR:0.21(95%CI:0.19~0.50)、親油性スタチンのアトルバスタチンはaHR:0.39(95%CI:0.23~0.66)と、とくに良好な結果を示した。全死因死亡、上咽頭がん特異的死亡ともにスタチンの累積定義1日投与量が増加するごとにリスクが減少し、用量反応関係があることが示された。 研究者らは「スタチンは抗炎症作用や免疫調節作用も有することが報告されており、CCRT中の腫瘍微小環境に影響し、治療効果を高めた可能性がある。また、スタチン使用が放射線感受性を高め、腫瘍細胞のアポトーシスを促進する可能性も示唆されている。とくに心血管疾患のリスクが高い患者においては、スタチンの使用が二重の利益をもたらす可能性がある。スタチンの種類、投与量、投与期間など、最適な使用方法に関するさらなる研究が必要だ」とした。

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急性期脳梗塞の血栓除去術、バルーンガイドカテーテルは有用か/Lancet

 前方循環の大血管閉塞による急性期虚血性脳卒中患者に対する血管内血栓除去術において、従来のガイドカテーテルを使用した場合と比較してバルーンガイドカテーテルは、むしろ機能回復が不良であり、死亡率も高い傾向にあることが、中国・海軍軍医大学長海病院のJianmin Liu氏らが実施した「PROTECT-MT試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌2024年11月30日号に掲載された。中国の無作為化対照比較試験 PROTECT-MT試験は、急性期虚血性脳卒中の血管内血栓除去術におけるバルーンガイドカテーテルの有効性と安全性の評価を目的とする非盲検(エンドポイント評価は盲検下)無作為化対照比較試験であり、2023年2~11月に中国の28の病院で患者を登録した(中国国家自然科学基金などの助成を受けた)。 年齢18歳以上の急性期虚血性脳卒中で、修正Rankin尺度(mRS)のスコア(0[症状なし]~6[死亡]点)が0または1点であり、現地のガイドラインで症状発現から24時間以内に血管内血栓除去術を受けることが可能な患者を対象とした。 これらの患者を、バルーンガイドカテーテルまたは従来のガイドカテーテルを使用する群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。臨床アウトカムのデータを収集する医師は、割り付け情報を知らされなかった。 主要アウトカムは機能回復とし、ITT集団における90日後のmRSスコアの変化で評価した。死亡率も高い傾向に 329例を登録し、バルーンガイドカテーテル群に164例、従来型ガイドカテーテル群に165例を割り付けた。全体の年齢中央値は69歳(四分位範囲[IQR]:59~76)、128例(39%)が女性であった。ベースラインのNIHSSスコア中央値は15点(IQR:11~20)、ASPECTS中央値は8点(6~9)だった。 90日の時点におけるmRSスコア中央値は、従来型ガイドカテーテル群が3点(IQR:2~5)であったのに対し、バルーンガイドカテーテル群は4点(2~5)と有意に悪化していた(補正後共通オッズ比:0.66、95%信頼区間[CI]:0.45~0.98、p=0.037)。 また、安全性のアウトカムである90日時の全死因死亡率(mRS 6点)は、数値上はバルーンガイドカテーテル群のほうが高かったが有意差はなかった(39例[24%]vs.26例[16%]、リスク比[RR]:1.51、95%CI:0.97~2.36、p=0.068)。 頭蓋内出血(バルーンガイドカテーテル群36% vs.従来型ガイドカテーテル群32%、RR:1.12、95%CI:0.83~1.51、p=0.46)および症候性頭蓋内出血(15% vs.11%、1.34、0.76~2.38、p=0.31)の発生率には両群間に差を認めなかった。内頸動脈の重度血管攣縮の頻度が高い とくに注目すべき手技関連合併症では、内頸動脈の重度の血管攣縮の頻度がバルーンガイドカテーテル群で高かった(4% vs.1%、RR:7.04、95%CI:1.15~43.75、p=0.037)。ガイドカテーテル関連の血管解離、血栓除去術関連の血管解離、造影剤の血管外漏出、大腿動脈アクセス関連の合併症の発生率には両群間に差はなかった。 著者は、「本試験は早期中止となっており、治療器具の異質性(さまざまな種類のバルーンやカテーテルの使用を許容)や頭蓋内血管の動脈硬化の割合が高かったことなどの限界があるため、今後、これらの結果を確認し、他の集団への一般化可能性を評価する研究が求められる」としている。

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COVID-19罹患で自己免疫・炎症性疾患の長期リスクが上昇

 COVID-19罹患は、さまざまな自己免疫疾患および自己炎症性疾患の長期リスクの上昇と関連していることが、韓国・延世大学校のYeon-Woo Heo氏らによる同国住民を対象とした後ろ向き研究において示された。これまでCOVID-19罹患と自己免疫疾患および自己炎症性疾患との関連を調べた研究はわずかで、これらのほとんどは観察期間が短いものであった。著者は「COVID-19罹患後のリスクを軽減するために、人口統計学的特性、重症度、ワクチン接種状況を考慮しながら、長期的なモニタリングと管理が重要であることが示された」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年11月6日号掲載の報告。 研究グループは、Korea Disease Control and Prevention Agency-COVID-19-National Health Insurance Service(K-COV-N)コホートを対象に、COVID-19罹患後の長期における自己免疫疾患および自己炎症性疾患のリスクを調べた。対象は、2020年10月8日~2022年12月31日にCOVID-19罹患が確認された住民(COVID-19罹患群)、2018年に一般健康診断を受けた住民(対照群)とした。 主要アウトカムは、COVID-19罹患後の自己免疫疾患および自己炎症性疾患の発症率とリスクとした。逆確率重み付け法を用いて、人口統計学的特性、一般的な健康データ、社会経済的状況、併存疾患などの共変量を調整して解析した。 主な結果は以下のとおり。・観察期間180日超のCOVID-19罹患者314万5,388例、対照376万7,039例の計691万2,427例(男性53.6%、平均年齢53.39[SD 20.13]歳)が解析に含まれた。・COVID-19罹患群でリスクが高かった疾患(調整ハザード比、95%信頼区間)は以下のとおりであった。 円形脱毛症(1.11、1.07~1.15) 全頭脱毛症(1.24、1.09~1.42) 尋常性白斑(1.11、1.04~1.19) ベーチェット病(1.45、1.20~1.74) クローン病(1.35、1.14~1.60) 潰瘍性大腸炎(1.15、1.04~1.28) 関節リウマチ(1.09、1.06~1.12) 全身性エリテマトーデス(1.14、1.01~1.28) シェーグレン症候群(1.13、1.03~1.25) 強直性脊椎炎(1.11、1.02~1.20) 水疱性類天疱瘡(1.62、1.07~2.45)・人口統計学的特性(男性/女性、40歳未満/以上)別のサブグループ解析では、COVID-19罹患による自己免疫疾患および自己炎症性疾患のリスクは、性別や年齢によって異なることが示された。・とくに、ICU入室を要する重症COVID-19罹患、デルタ株優勢期の感染、ワクチン未接種はCOVID-19罹患後の自己免疫疾患および自己炎症性疾患のリスクが高かった。

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冷水浴と温水浴、運動パフォーマンスを高めるのはどちら?

 野球の試合の後に、投手が冷水浴をして翌日の試合に備える姿は珍しいものではない。しかし、試合前に筋肉や関節に痛みを感じるアスリートは、冷水浴よりも温水浴をする方が良いようだ。新たな小規模研究で、温水浴はアスリートの運動パフォーマンスを向上させる可能性のあることが明らかになった。立命館大学大学院スポーツ健康科学研究科の露木守氏らによるこの研究結果は、米国生理学会の運動の統合的生理学会議2024(11月20〜22日、米ペンシルバニア州ユニバーシティパーク)で発表された。露木氏は、「運動後の冷水浴はスポーツの現場では一般的だが、冷却がパフォーマンス能力に必ずしも良い影響を与えるわけではない」と述べている。 この研究では、試験参加者である少数のアマチュアアスリートに高強度のインターバルランニングを50分間行ってもらい、その後、20分間、冷水(華氏59度〔摂氏15度〕)または温水(華氏104度〔摂氏40度〕)に浸かるか、水の入っていない浴槽に座ってもらうかをしてもらった。1時間後に、試験参加者のジャンプの高さと、クレアチンキナーゼおよびミオグロブリン(筋肉へのダメージの指標となる酵素とタンパク質)の血中濃度を測定した。また、参加者の報告に基づき、筋肉痛の程度も評価した。 その結果、ジャンプ力は、冷水浴後よりも温水浴後の方が高くなることが明らかになった。一方、クレアチンキナーゼとミオグロブリンの血中濃度については、温水浴後と冷水浴後との間で有意な差は認められなかった。翌朝、試験参加者に最大能力の90%でランニングタスクを行ってもらい、パフォーマンス能力を評価した。その結果、冷水浴をした場合と温水浴をした場合との間で有意な差は認められなかった。 露木氏は、「われわれの研究結果は、運動後の温水浴は冷水浴に比べて、筋出力の回復を促進するというものだ。この知見は、1日に複数回の運動や競技を行う人にとって役立つだろう」と話している。 露木氏はNBCニュースに対し、「温水浴は損傷した筋繊維への血流を増加させ、筋繊維の修復と強化を助ける」と説明し、「ハーフタイムがあるスポーツなど、パフォーマンスが1日に2回必要な場合には温水浴をする方が良い。15分か20分の温水浴をすることで、後半のパフォーマンスが向上する可能性があるだろう」と話している。 一方、米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部整形外科分野のSpencer Stein氏は、「私は、冷水浴にも長所はあると考える。冷水浴に痛み軽減効果があることは、過去の研究でも明らかにされている」と話す。一方、米マウントサイナイ医療システムのリハビリテーションイノベーションディレクターを務めるDavid Putrino氏は、温水浴の場合は華氏98~104度(摂氏36.7〜40度)のお湯に10~20分、冷水浴の場合は華氏50~59度(摂氏10〜15度)の水に10~15分浸かることを推奨している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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喘息やCOPDの増悪に対する新たな治療法とは?

 英国、バンベリー在住のGeoffrey Pointingさん(77歳)は、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪がもたらす苦痛を表現するのは難しいと話す。「正直なところ、増悪が起きているときは息をすることさえ困難で、どのように感じるのかを他人に伝えるのはかなり難しい」とPointingさんはニュースリリースの中で述べている。しかし、既存の注射薬により、こうした喘息やCOPDの増悪の恐ろしさを緩和できる可能性のあることが、新たな臨床試験で示された。「The Lancet Respiratory Medicine」に11月27日掲載された同試験では、咳や喘鳴、息苦しさ、痰などの呼吸器症状の軽減という点において、モノクローナル抗体のベンラリズマブがステロイド薬のプレドニゾロンよりも優れていることが明らかになった。論文の上席著者である英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)呼吸器科のMona Bafadhel氏は、「この薬は、喘息やCOPDの患者にとってゲームチェンジャーになる可能性がある」と期待を示している。 ベンラリズマブは、肺の炎症を促す好酸球と呼ばれる特定の白血球を標的としている。米食品医薬品局(FDA)は2017年、同薬を重症喘息の管理を目的とした薬として承認している。研究グループによると、好酸球性増悪は、COPDの急性増悪の最大30%、喘息発作の約50%を占めているという。このようなエピソードでは、肺内で好酸球を含む白血球が急増し、喘鳴、咳、胸部の圧迫感を引き起こす。このことを踏まえてBafadhel氏らは今回の臨床試験で、喘息とCOPDの発作に対するベンラリズマブの有効性を評価した。 対象とされた158人の喘息またはCOPD患者(平均年齢57歳、男性46%)は、急性増悪時(好酸球数が300cells/μL以上)に、以下の3群にランダムに割り付けられた。1)プレドニゾロン30mgを1日1回、5日間経口投与し、ベンラリズマブ100mgを1回皮下注射する群(ベンラリズマブ+プレドニゾロン群、52人)、2)プラセボを1日1回、5日間経口投与し、ベンラリズマブ100mgを1回皮下注射する群(ベンラリズマブ群、53人)、3)プレドニゾロン30mgを1日1回、5日間経口投与し、プラセボを1回皮下注射する群(プレドニゾロン群、53人)。 その結果、90日後の治療失敗率は、プレドニゾロン群で74%(39/53人)、ベンラリズマブ群とベンラリズマブ+プレドニゾロン群を合わせた群(統合ベンラリズマブ群)で45%(47/105人)であり、統計学的に統合ベンラリズマブ群はプレドニゾロン群よりも治療失敗率が有意に低いことが示された(オッズ比0.26、95%信頼区間0.13〜0.56、P=0.0005)。また、28日目に症状をVAS(視覚的アナログスケール)で評価したところ、統合ベンラリズマブ群がプレドニゾロン群よりも49mm(95%信頼区間14〜84mm、P=0.0065)高い改善を示し、ベンラリズマブの方が症状の改善に効果的であることが示された。いずれの群でも致死的な有害事象は発生せず、ベンラリズマブの忍容性は良好であることも確認された。 これらの結果を受けて研究グループは、「すでに喘息の治療薬として承認されている薬が、喘息やCOPDの増悪を抑える手段としてステロイド薬に代わるものとなる可能性がある」との見方を示している。 この臨床試験に参加したPointingさんは、ベンラリズマブは「素晴らしい薬」であると言う。「ステロイド薬の錠剤を使用していたときには副作用があり、初日の夜はよく眠れなかったが、今回の臨床試験では初日の夜から眠ることができ、何の問題もなく自分の生活を続けることができた」とPointingさんは振り返っている。 今回の臨床試験では、医療従事者がベンラリズマブの皮下注射を行ったが、家庭や診療所でも安全に投与できる可能性があるとBafadhel氏らは話している。なお、本試験はベンラリズマブを製造するAstraZeneca社の助成を受けて行われた。

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