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Amazonファーマシーとは?メリット・デメリットを考察【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第136回

「Amazonファーマシー」が7月23日にサービスを開始しました。薬局業界にとっては久しぶりのビッグネームの参入で、インパクトが大きいですよね。薬局の未来を左右するのでは? うちの薬局は大丈夫? と不安になっている人もいるかもしれません。「Amazonファーマシー」といっても、リアルに薬局の店舗が作られたということではありません。リアルに存在する薬局と連携して、服薬指導はそれぞれの薬局が行います。業界トップクラスのドラッグストアや調剤薬局チェーンを含む約2,500店舗と提携したと発表されており、スタート時点ですでに存在感を示していると言えるでしょう。しかし、なぜリアルの薬局との連携が必要なの? Amazonは薬を配送するだけ? と疑問に思ったのは私だけではないはずです。「Amazonファーマシー」というサービスはいったいどういうものなのでしょうか。【Amazonファーマシー利用の流れ】(1)医療機関で診療を受け、電子処方箋を取得する。(2)Amazonショッピングアプリで薬局を選んで、処方内容の画像を送る。(3)予約した日時にビデオ通話で服薬指導を受け、会計する。(4)処方薬を配送または店舗で受け取る。処方薬はAmazonが配送するわけではなく、それぞれの薬局が行います。配送料は薬局ごとに異なり、ほとんどの場合が患者負担になります。配送料無料の薬局が出てくるかもしれませんが、Amazonファーマシーを利用するほうがコストは高くなりそうです。なお、Amazonファーマシーを利用しても、処方薬を薬局で受け取れば配送料はかかりません。薬局での待ち時間がなく、都合のよい時間に服薬指導を受けられ、自宅などに処方薬が送られてくるという点はメリットと言えそうです。しかし、送料を負担し、しかも薬が届くまで時間がかかるのにAmazonファーマシーを使うかな…と考えてしまいます。Amazonファーマシーで近所の薬局を見つけ、都合のよい時間に服薬指導を受け、買い物のついでに薬局に処方薬を取りに行く、というのであれば送料もかからず効率的な使い方かもしれません。しかし、Amazonファーマシーを利用するには電子処方箋が必要で、現時点の日本における電子処方箋の普及率は2%です。医療機関に受診して近所のかかりつけ薬局に紙の処方箋を出して…という流れが定着している中で、この配送サービスがどのくらい伸びてくるのでしょうか。電子処方箋の普及率を上げたいと思った政府が、何らかの点数などを付ける日が来たら変わるかもしれません。なお、同様のサービスでは、2024年4月より開始された「楽天ヘルスケア ヨヤクスリ」があります。薬局で処方薬の受け取り予約ができるサービスで、希望する薬局を選び、処方箋または電子処方箋引き換え番号が記載された控え用紙の画像を送付し、受け取り日時を選択して、その日時に受け取りに行きます。現在は自宅配送にも対応しています。これらに参入するためには、おそらく手数料としていくらか払うことになると思うので、処方箋1枚の利益率は下がります。私個人としては、このようなサービスはまだ患者さんにも薬局にもメリットが少ないのではないかと思いますが、とにかく枚数をさばく時代は終わったと感じます。薬局の内外でさまざまなサービスがあり、薬局もそれらを選択することでどのような薬局になるのかを選択する時代がやってきました。目の前の患者さんを大事に、そしてどういう薬局になっていくのか、生き残るために考えて実践するというのは必須の要素になりそうです。

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英語で「やることがたくさんある」は?【1分★医療英語】第143回

第143回 英語で「やることがたくさんある」は?《例文1》She has a bunch of stuff to do before the appointment.(彼女は予約の前にたくさんの用事をこなさなければなりません)《例文2》We have a bunch of patients to see this morning.(今朝は多くの患者さんを診察する予定です)《解説》“I have a bunch of stuff to do.”は、「やることがたくさんあります」という意味を表す口語的な表現です。ここで登場した“bunch”と“stuff”という単語、あまり聞き慣れない方も多いかもしれません。まず、“bunch”は本来、「束」や「房」を意味する単語ですが、口語においては「たくさんの」という意味で使われることがあります。たとえば、“a bunch of grapes”といえば「ブドウの房」となりますが、そこから転じて「複数の物事や人を1つのグループ(房)」として表現する際に“a bunch of”が使用できるのです。“a lot of”よりもカジュアルで、話し言葉らしい印象を与えます。次に、“stuff”は非常に汎用性の高い単語で、具体的に名前を挙げたり特定したりしない「物事」を指す際に使われます。「仕事」「タスク」「モノ」など、あらゆるものを“stuff”で表現できるため、日常会話でよく使用されます。“I have a bunch of stuff to do.”は、自分の忙しさを簡潔に伝える際に役立ちます。たとえば、ストレスや時間の管理に関する話題の中で「やらなきゃいけないことがいっぱいあってさ…」といったトーンで頻用されます。ただし、あくまで口語表現なので、よりかしこまったメールの文面や診療記録などで使うのは不適切です。このような口語表現を適切に理解し、状況に応じて使い分けることで、コミュニケーションがより円滑になります。“A lot of things”の代わりになる表現として頭に入れておけば、ネイティブの口から聞くことがあってもびっくりせずに済むでしょう。講師紹介

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第227回 いわば毒をもって毒を制す斬新なHIV治療手段がサルで有効

いわば毒をもって毒を制す斬新なHIV治療手段がサルで有効いわば毒をもって毒を制す新たなHIV治療手段がサルを使った検討1,2)で有望な成績を収め、ヒトに投与する試験の計画が進められています。HIV感染をHIV投与によって封じるというその斬新な手段はさかのぼること15年以上も前にカリフォルニア大学サンフランシスコ校の生物物理学者Leor Weinberger氏が思い付きました3)。Weinberger氏はインフルエンザウイルスがときに不完全なウイルスを生み出し、それが正常ウイルス(野生型ウイルス)の邪魔をするということを大学院のときに知ってその手段を思いつきました。欠損変異のせいで半端なそのようなウイルスは自力では複製できませんが他力本願で増えることができます。半端ウイルスは感染細胞内の野生型ウイルスに押し入り、複製や身繕いに不可欠なタンパク質を奪って野生型ウイルスを減らします。ゆえに都合よく増えるように仕立てた半端ウイルスは一回きりの投与で長く治療効果を発揮すると予想され、Weinberger氏らは2007年に研究に取り掛かり、それから約10年を経た2018年に求める特徴を備えた治療用の半端HIV(以下、治療用HIV)を手にしました。Weinberger氏らは複製を助ける配列を残しつつHIV遺伝子一揃いを切り詰めることで治療用HIVのゲノムを作製しました。治療用HIVは構造がより単純なため、野生型HIVの先を越してより早く複製することができます。治療用HIVの効果は幼いサルを使った検討で検証されました。6匹にはまず治療用HIVが投与され、その24時間後にサルのHIV同等ウイルス(SHIV)が投与されました。4匹にはSHIVのみ投与されました。30ヵ月後の様子を調べたところ、治療用HIVが投与されたサル6匹中5匹は健康で、SHIV濃度はピーク時のおよそ1万分の1で済んでいました3)。一方、治療用HIVが投与されなかった4匹のうち3匹は病んで16週時点で安楽死させられました。治療用HIVは増えずに居続けることもでき、いざとなれば復活して潜伏感染HIVの再現を封じうることも患者細胞などを使った検討で確認されています。また野生型HIVと同様に治療用HIVはヒトからヒトに伝播することができます。その特徴は望まないのに治療用HIVをもらってしまうという倫理的懸念を孕みます。しかし経口ポリオワクチンの弱毒化ウイルスが他のヒトに移って免疫を助けるのと同じように、治療用HIVの伝播はHIV感染の世界的な蔓延を減らす助けになるかもしれません。今後の予定としてWeinberger氏らは治療用HIVをサルでさらに検討するつもりです。また、カリフォルニア州からの助成により実施される臨床試験に関する米国FDAとの話し合いも進んでいます3)。HIV感染に加えてその他の末期の病気も患う患者が被験者として想定されています。それら被験者にまず治療用HIVを投与し、次に抗レトロウイルス薬を中止してウイルス量がどう推移するかが検討される見込みです。被験者が亡くなったらその組織を解析し、治療法HIVと関連する炎症やその他の問題が生じていないかどうかが調べられる予定です。試験が来年早々に始まることをWeinberger氏は期待しています。参考1)Pitchai FNN, et al. Science. 2024;385:eadn5866. 2)Study: Single experimental shot reduces HIV levels 1,000-fold / Oregon Health & Science University 3)Bold new strategy to suppress HIV passes first test / Science

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精神科「統合失調症」【臨床実習を味わうケアネット動画Café】第6回

動画解説臨床研修サポートプログラムの研修医のための精神科ベーシックより、内田直樹先生の「統合失調症」を鑑賞します。初期研修は、身体疾患とは見方の異なる精神科に触れられる貴重な機会。統合失調症の特徴を捉えたわかりやすいスライドは必見です!

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ドライフルーツは2型糖尿病リスクを上げる?下げる?

 ドライフルーツの摂取が2型糖尿病の発症に及ぼす影響については、議論が分かれている。そこで、中国・西安交通大学のJianbin Guan氏らはメンデルランダム化解析を用いた研究を実施した。その結果、ドライフルーツの摂取は2型糖尿病の発症リスク低下と関連することが示された。本研究結果は、Nutrition & Metabolism誌2024年7月10日号で報告された。 本研究では、ドライフルーツの摂取に関連する遺伝子データは、UKバイオバンクに登録された約50万例のうち、ドライフルーツの摂取に関するデータが得られた42万1,764例から取得した。2型糖尿病に関する遺伝子データは、IEU GWASデータベースに登録された2型糖尿病患者6万1,714例、対照59万3,952例から取得した。主な解析方法として、逆分散加重(IVW)法を用いて、ドライフルーツの摂取と2型糖尿病のリスクとの関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・ドライフルーツの摂取と関連があり、操作変数の条件を満たす一塩基多型(SNP)が36個抽出された。・IVW法を用いた解析において、ドライフルーツの摂取は2型糖尿病リスクを有意に低下させた(ドライフルーツの摂取量が1標準偏差増加するごとのオッズ比[OR]:0.392、95%信頼区間[CI]:0.241~0.636、p=0.0001)。・加重中央値法を用いた解析においても、ドライフルーツの摂取は2型糖尿病リスクを有意に低下させた(OR:0.468、95%CI:0.306~0.717、p=0.0003)。・感度分析において、36個のSNPには異質性がみられたが、水平多面発現(horizontal pleiotropy)によるバイアスは認められず、leave-one-out解析ではいずれのSNPを1個除外しても解析結果に影響を及ぼさなかったため、メンデルランダム化解析の頑健性が確認された。

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乳がん関連リンパ浮腫、日常生活の中のリスク因子

 乳がん治療後のリンパ浮腫を防ぐために、患者には日常生活における感染や外傷などのリスクを避けることが推奨されている。一方で日常生活の中のリスク因子が乳がん関連リンパ浮腫に及ぼす影響を検討したデータは不足している。米国・ミズーリ大学カンザスシティ校のMei Rosemary Fu氏らは、日常生活におけるリスクの発生状況および乳がん関連リンパ浮腫への影響を調べることを目的とした横断研究を実施し、結果をAnnals of Surgical Oncology誌オンライン版2024年8月1日号に報告した。 本研究は、米国都市部のがんセンターで登録の3ヵ月以上前に急性期治療(手術、放射線治療、化学療法)を完了しており、転移、再発、またはリンパ系疾患の既往のない21歳以上の女性を対象に実施された。リンパ浮腫リスク軽減行動チェックリスト(The Lymphedema Risk-Reduction Behavior Checklist)を用いて、日常生活における11のリスク因子(感染症、切り傷/引っかき傷、日焼け、油はねまたは蒸気による火傷、虫刺され、ペットによる引っかき傷、爪のキューティクルのカット、重い荷物の運搬/持ち上げ、ショルダーバッグの持ち運び、食料品の持ち運び、ウェイトリフティング)の発生状況を評価。乳がん関連リンパ浮腫への影響を明らかにするために、記述分析、回帰分析、および因子分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・567例のデータが収集・解析され、23.46%が乳がん関連リンパ浮腫と診断された。全体の52.73%は5つ超のリスク因子を経験していた。・感染症(オッズ比[OR]:2.58、95%信頼区間[CI]:1.95~3.42)、切り傷/引っかき傷(2.65、1.97~3.56)、日焼け(1.89、1.39~3.56)、油はねまたは蒸気による火傷(2.08、1.53~3.83)、虫刺され(1.59、1.18~2.13)は乳がん関連リンパ浮腫と有意に関連していた。・日常生活におけるリスク因子は、皮膚外傷と物の持ち運びに関連する要因に集約され、皮膚外傷リスクは乳がん関連リンパ浮腫と有意に関連していた(B=0.539、z=3.926、OR:1.714、95%CI:1.312~2.250、p<0.001)。・皮膚外傷リスクが3つ、4つ、または5つある場合、乳がん関連リンパ浮腫の発症オッズはそれぞれ4.31倍、5.14倍、6.94倍に大幅に増加した。・物の持ち運び関連のリスクは、乳がん関連リンパ浮腫の発症に有意な影響も増分的な影響も与えていなかった。 著者らは、52.73%の人が5つを超えるリスク因子を経験していることを考慮すると、これらのリスクを完全に回避するのは難しいとし、“乳がん関連リンパ浮腫の日常生活リスクを最小限に抑えるための戦略”として、「日焼けを防ぐために日焼け止め(SPF30以上)を塗るか、長袖の服を着ましょう」「発疹、水疱、赤み、腕の熱感の増加、痛みなどに気づいた場合は、すぐに医師に相談しましょう」など16項目を提示している。

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日本におけるベンゾジアゼピンと向精神薬の併用状況

 さまざまな精神疾患のガイドラインでは、少数のケースにおいてベンゾジアゼピン系抗不安薬(BZD)単剤療法による短期介入が推奨されている。対照的に、BZD多剤併用療法は、いかなる場合でも推奨されていない。しかし実臨床では、BZD多剤併用療法が用いられることが少なくない。秋田大学の竹島 正浩氏らは、BZD多剤併用療法と向精神薬併用との関連を明らかにするため、本研究を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2024年7月4日号の報告。 JMDCの請求データを用いて、レトロスペクティブ横断的研究を実施した。2019年6月、BZD治療を行った健康保険加入者の医療情報を抽出した。BZD多剤併用療法の定義は、2種類以上のBZD使用とした。年齢、性別、保健者および睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬の併用数(0、1、2以上)を共変量とし、BZD多剤併用療法と関連する因子を特定するため、二項ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象は、BZD治療を行った成人患者10万4,796例(平均年齢:47.0±11.7歳、女性の割合:52.8%)。・BZD多剤併用療法患者の割合は、12.6%であった。・ロジスティック回帰分析では、BZD多剤併用療法と有意な関連が認められた患者は次のとおりであった。【睡眠薬単剤療法患者】調整オッズ比(aOR):1.04、95%信頼区間(CI):1.001〜1.09、p=0.04【抗うつ薬単剤療法患者】aOR:1.57、95%CI:1.51〜1.63、p<0.001【抗うつ薬多剤併用療法患者】aOR:1.98、95%CI:1.88〜2.09、p<0.001【抗精神病薬単剤療法患者】aOR:1.12、95%CI:1.07〜1.19、p<0.001【抗精神病薬多剤併用療法患者】aOR:1.41、95%CI:1.30〜1.54、p<0.001・睡眠薬多剤併用療法患者では、BZD多剤併用療法の割合が低かった(aOR:0.86、95%CI:0.81〜0.91、p<0.001)。 著者らは「抗うつ薬や抗精神病薬の併用数が増加すると、BZD多剤併用療法との関連性が上昇することが示唆された。抗うつや抗精神病薬との併用療法は、一般的に推奨されていないため、このような患者では薬物療法に対し抵抗性を示すと考えられる。そのため、推奨される非薬物療法を実施することで、BZD多剤併用療法を軽減できる可能性がある」としている。

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原発不明がん、包括的ゲノム解析に基づく個別化治療が有望/Lancet

 未治療の非扁平上皮性の非良性原発不明がん(cancer of unknown primary:CUP)で、導入化学療法後に病勢コントロールが得られた患者においては、プラチナ製剤ベースの標準的な化学療法と比較して、分子腫瘍委員会による包括的ゲノム解析(comprehensive genomic profiling:CGP)に基づいて担当医が個別に選択した治療(molecularly guided therapy:MGT)は、無増悪生存期間(PFS)中央値が有意に延長し、客観的奏効率にも良好な傾向がみられることが、German Cancer Research Center(DKFZ)のAlwin Kramer氏らが実施した「CUPISCO試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月31日号で報告された。34ヵ国の無作為化実薬対照第II相試験 CUPISCO試験は、日本を含む34ヵ国159施設で実施した非盲検無作為化実薬対照第II相試験であり、2018年7月~2022年12月に参加者を募集した(F. Hoffmann-La Rocheの助成を受けた)。 中央判定で病変(腺がん、低分化がん)が確認され、全身状態の指標であるECOG PSが0または1で、プラチナ製剤ベースの標準的な化学療法による1次治療(3サイクル)で病勢コントロール(完全奏効、部分奏効、安定)を達成した患者を対象とした。 被験者を、CGPに基づくMGTを受ける群、または1次治療と同じ化学療法レジメンを少なくとも3サイクル継続する群に、3対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、ITT集団における担当医判定によるPFS(無作為化の日から病勢進行または全死因死亡のいずれか早い日まで)とした。PFS:MGT群6.1ヵ月vs.化学療法群4.4ヵ月 636例を登録した。追跡期間中央値は24.1ヵ月であった。導入化学療法で病勢コントロールを達成した438例のうち436例を無作為化の対象とし、MGT群に326例(年齢中央値61.0歳[四分位範囲[IQR]:53.0~70.0]、男性51%)、化学療法群に110例(62.5歳[55.0~69.0]、52%)を割り付けた。 PFS中央値は、化学療法群が4.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.1~5.6)であったのに対し、MGT群は6.1ヵ月(4.7~6.5)と有意に優れた(ハザード比[HR]:0.72、95%CI:0.56~0.92、p=0.0079)。 全生存期間(OS)の中間解析では、OS中央値はMGT群が14.7ヵ月(95%CI:13.3~17.3)、化学療法群は11.0ヵ月(9.7~15.4)だった。 客観的奏効率は、MGT群が18%(95%CI:13.8~22.4)、化学療法群は8%(3.81~15.0)(群間差:9.6%、95%CI:2.4~16.8)であり、奏効期間や病勢コントロール率には差を認めなかった。OSのより長期の追跡が必要 MGT群は、治療中止に至った重篤な有害事象(100人年当たりの発生率:9.2 vs.3.8)と致死的なアウトカムに至った有害事象(5.1 vs.0)を除き、他のすべての有害事象のカテゴリーにおいて化学療法群に比べて発生率が低いか、同程度であった。 著者は、「これらの結果に基づき、非良性CUP患者の初回診断時にはCGPを実施することを推奨する。CGPのための組織生検およびリキッドバイオプシーは、より適切な治療の選択を可能にし、これらの患者におけるpractice-changingな戦略となる可能性があり、今後の発展が期待される」と述べ、「ベネフィット-リスクのプロファイルの評価をさらに進めるためには、OSについてより長期間の追跡調査が必要である」とまとめている。

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AHA開発のPREVENT計算式は、ASCVDの1次予防に影響するか/JAMA

 米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)の現行の診療ガイドラインは、pooled cohort equation(PCE)を用いて算出されたアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の10年リスクに基づき、ASCVDの1次予防では降圧薬と高強度スタチンを推奨しているが、PCEは潜在的なリスクの過大評価や重要な腎臓および代謝因子を考慮していないなどの問題点が指摘されている。米国・ハーバード大学医学大学院のJames A. Diao氏らは、2023年にAHAの科学諮問委員会が開発したPredicting Risk of cardiovascular disease EVENTs(PREVENT)計算式(推算糸球体濾過量[eGFR]を導入、対象年齢を若年成人に拡大、人種の記載が不要)を現行ガイドラインに適用した場合の、スタチンや降圧薬による治療の適用、その結果としての臨床アウトカムに及ぼす影響について検討した。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2024年7月29日号に掲載された。米国の30~79歳の7,765例を解析 研究グループは、現行のACC/AHAの診療ガイドラインの治療基準を変更せずに、ASCVDリスクの計算式をPCEの代わりにPREVENTを適用した場合に、リスク分類、治療の適格性、臨床アウトカムに変化が生じる可能性のある米国の成人の数を推定する目的で、横断研究を行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]の助成を受けた)。 2011~20年にNational Health and Nutrition Examination Surveys(NHANES)に参加した30~79歳の7,765例(年齢中央値53歳、女性51.3%)のデータを解析した。 主要アウトカムは、予測される10年ASCVDリスク、ACC/AHAリスク分類、スタチンまたは降圧薬による治療の適格性、予測される心筋梗塞または脳卒中の発症とし、PCEを用いた場合とPREVENTを用いた場合の差を評価した。10年ASCVDリスクは、PREVENTで低下する PCEとPREVENTの双方から有効なリスク推定値が得られた参加者は、心筋梗塞、脳卒中、心不全の既往歴のない40~79歳の集団であった。この集団では、PREVENTを用いて算出した10年ASCVDリスク推定値は、年齢、性別、人種/民族のすべてのサブグループにおいてPCEで算出した値よりも低く、この予測リスクの差は低リスク群で小さく、高リスク群で大きかった。 PREVENT計算式を用いると、この集団の約半数がACC/AHAリスク分類の低リスク群(53.0%、95%信頼区間[CI]:51.2~54.8)に分類され、高リスク群(0.41%、0.25~0.62)に分類されるのは、きわめて少数と推定された。スタチン、降圧薬とも減少、心筋梗塞、脳卒中が10万件以上増加 スタチン治療を受けているか、あるいは推奨されるのは、PCEを用いた場合は818万例であるのに対し、PREVENTを用いると675万例に減少した(群間差:-143万例、95%CI:-159万~-126万)。また、降圧薬治療を受けているか、あるいは推奨されるのは、PCEでは7,530万例であるのに比べ、PREVENTでは7,270万例に低下した(-262万例、-321万~-202万)。 PREVENTにより、スタチンまたは降圧薬治療のいずれかの推奨の適格性を失うのは、1,580万例(95%CI:1,420万~1,760万)と推定される一方、10年間で心筋梗塞と脳卒中を10万7,000件増加させると推定された。この適格性の変動の影響は、女性に比べ男性で約2倍に達し(0.077% vs.0.039%)、また、黒人は白人より高率であるものの大きな差を認めなかった(0.062% vs0.065%)。 著者は、「PREVENTは、より正確で精度の高い心血管リスク予測という重要な目標に進展をもたらすが、推定される変化の大きさを考慮すると、意思決定分析または費用対効果の枠組みを用いて、現在の治療閾値を慎重に見直す必要がある」としている。

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自転車通勤や徒歩通勤は心身の健康を向上させる

 自転車通勤は健康を大幅に改善し、あらゆる原因による死亡(全死亡)リスクを低減することが、新たな研究で明らかにされた。自転車通勤をしている人では、していない人に比べて全死亡リスクが47%低いのみならず、心臓病、がん、精神疾患の発症リスクも低いことが示されたという。英グラスゴー大学MRC/CSO Social and Public Health Sciences UnitのCatherine Friel氏らによるこの研究結果は、「BMJ Public Health」に7月16日掲載された。 Friel氏らは、スコットランドの人口の約5%が参加した全国健康調査の参加者から抽出した8万2,297人(16〜74歳)のデータを分析した。追跡期間は2001年から2018年までとし、この間のデータを入院、死亡、および治療薬処方の記録とリンクさせた。対象者を、学校や職場への通勤手段により、活動的な通勤者(自転車、または徒歩で通勤)と、それ以外の手段で通勤している非活動的な通勤者として分類し、両者間での健康リスクを比較した。 解析の結果、自転車通勤者では非活動的な通勤者と比べて、全死亡リスクが47%(ハザード比0.53、95%信頼区間0.38〜0.73)、あらゆる原因による入院リスクが10%(同0.90、0.84〜0.97)、心血管疾患(CVD)による入院リスクが24%(同0.76、0.64〜0.91)、CVDの治療薬処方のリスクが30%(同0.70、0.63〜0.78)、がんによる死亡リスクが51%(同0.49、0.30〜0.82)、がんによる入院リスクが24%(同0.76、0.59〜0.98)、精神疾患の治療薬処方のリスクが20%(同0.80、0.73〜0.89)低いことが明らかになった。 ただし、自転車通勤者では、交通事故による入院リスクが非活動的な通勤者の2倍であった(同1.98、1.59〜2.48)。研究グループは、「自転車通勤者は非活動的な通勤者に比べ、交通事故による死傷者のリスクが2倍であるというこの結果は、自転車利用者のためのより安全なインフラ整備の必要性を補強するものだ」と述べている。 一方、徒歩通勤者では非活動的な通勤者と比べて、入院リスクが9%(同0.91、0.88〜0.93)、CVDによる入院リスクが10%(同0.90、0.84〜0.96)、CVDの治療薬処方のリスクが10%(同0.90、0.87〜093)、精神疾患の治療薬処方のリスクが7%(同0.93、0.90〜0.97)低かった。 研究グループは、「この研究は、地域、国、国際的な政策立案者に、活動的な手段での通勤は健康にベネフィットをもたらすというタイムリーなエビデンスを提供するものだ」と結論付けている。 さらに研究グループは、「活動的な通勤は集団レベルで健康にベネフィットをもたらし、罹患率や死亡率も減少させる。また、自転車通勤や徒歩通勤がメンタルヘルス問題で薬を処方されるリスクの低下と関連していることは重要な発見だ」と述べている。

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便秘薬を使用する人ほど排便満足度が低い

 便秘に悩む日本人を対象として、使用している便秘薬の種類や便秘薬に支払う金額などと排便に対する満足度との関連が検討された。その結果、便が硬い人、複数の便秘薬を使用している人、支払い金額の多い人ほど、排便満足度は低いことが明らかとなった。愛知医科大学消化管内科の山本さゆり氏、春日井邦夫氏らによる研究であり、「Journal of Clinical Medicine」に5月30日掲載された。 便秘は一般的な消化器疾患であるが、慢性便秘は睡眠やメンタルヘルス、生活の質(QOL)のみならず、仕事の生産性などにも悪影響を及ぼすことが報告されている。便秘の治療には、処方薬だけでなく市販薬も使用される。また、医師は便の性状や排便回数などから治療効果を客観的に評価する傾向があるが、患者の治療満足度には主観的評価も含まれ、便秘の問題とその治療については個人差が大きい。 著者らは今回、インターネット調査データから日本全国の便秘に悩んでいる人を3,000人抽出し、男性1,503人(平均年齢46.1±13.4歳)、女性1,497人(同46.2±13.3歳)を対象とする研究を行った。排便満足度の評価には「IBS-QOL-J」という指標を用いた(スコアが高いほど満足度が高いことを示す)。便の形状・硬さは「ブリストル便形状スケール(BSFS)」により7タイプに分類した。また、使用している便秘薬の種類や入手方法、便秘薬への1カ月間の支払い金額(または支払い可能金額)などを調査した。 便秘薬の種類として、刺激性下剤、浣腸・座薬、塩類下剤、不明(覚えていない)に分けて検討した結果、どの種類でも、便秘薬を使用していた人は使用していなかった人に比べ、IBS-QOL-Jのスコアが有意に低いことが明らかとなった。浣腸・座薬と塩類下剤の併用はスコアが最も低く、刺激性下剤と浣腸・座薬の併用を除き、他の便秘薬の単独使用または併用と比べてスコアが有意に低かった。また、便秘薬の入手方法別に検討したところ、医師処方による購入、薬局購入、インターネット購入のいずれも、スコアがわずかながら有意に低かったことから、排便満足度は便秘薬の入手方法とは無関係であることが示唆された。 さらに、1カ月間の支払い金額について、1,000円未満(男性の73.7%、女性の75.7%)、3,000円未満(同18.7%、19.1%)、5,000円未満(同5.0%、3.6%)、5,000円以上(同2.6%、1.6%)で比較した結果、1,000円未満のIBS-QOL-Jスコアが最も高く、金額が高くなるにつれて排便満足度は低下していた。また、BSFSタイプ1(兎糞状便)とタイプ2(硬便)の人は、タイプ3以上の人に比べ、スコアが有意に低かった。 今回の研究結果から著者らは、「治療の種類や費用を含むさまざまな因子が排便満足度と関連していることが示唆された」と総括。患者が不適切な下剤を選択する、用法用量が不正確であるという場合や、治療により便の形状などが改善しても腹部膨満感など他の症状が悪化する可能性があることなどを指摘する。また、少数の適切な治療薬かつ最小限の費用で十分な排便が得られると患者の満足度が向上しやすいことから、「適切な治療薬を見極め、食習慣や運動習慣を改善することが望まれる」と述べている。

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第205回 ポストコロナ時代、地域医療の存続に向けた病院の新たなアプローチとは?

毎週月曜日に先週にあった行政や学会、地域の医療に関する動きを伝える「まとめる月曜日」。今回は特別編として「すこし未来の地域医療の姿」について井上 雅博氏にご寄稿いただきました。新型コロナが医療・介護にもたらした影響とは今春、6年に1度のタイミングで医療報酬、介護報酬、障害福祉サービスの報酬が同時に改定されました。今回の改定では、医療と介護の連携の必要性を強く求めると同時に、マイナンバーカードの普及により医療情報の利活用を促進し、高血圧、脂質異常症、糖尿病を中心に診療を行っていた医療機関では「療養計画書」の作成などの対応に追われました。改定後、全国の病院関係者からは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大時に救急患者の受け入れや転院、退院支援で苦労したのが、第11波の現在では、患者不足で病床が埋まらず、病床稼働率の低下が囁かれるようになったという声が聞かれます。もちろん、COVID-19のワクチン接種による軽症化や治療薬の開発による早期治療開始による早期退院が可能となったことが大きいとは思います。しかし、それ以外の原因として、感染拡大によって定期的な健康診断やがん検診によって発見された手術適応患者の紹介の減少が目立っていることが挙げられます。さらに、後期高齢者の場合、入院しても手術適応とならない方が増えている可能性があります。私が以前勤務していた広島県福山市の脳神経センター大田記念病院では、最新の統計によれば中央値では過去5年間大きな変動はないものの、高齢者層の増加(とくに90歳以上)が報告されています。じわじわと来る診療報酬改定の影響現在、病院が直面している経営課題は、昨年秋以降、コロナ対策の医療機関への病床確保基金などの制度が廃止され、以前の診療報酬体制に戻ったにも関わらず、患者の受診行動が変化してしまい、COVID-19拡大が落ち着いても元通りにならなかったという点です。このため、病床稼働率低下に加え、今春の改定で厳しくなった重症度、医療・看護必要度の対応で、10月からの病床再編や加算の対応に頭を悩ませている病院が多いと思います。さらに、原油高やエネルギー価格高騰に加え、デフレからインフレへの転換による経営環境の変化、人件費の増加といった影響も大きく、経営環境が激変しています。診療報酬改定では医療・介護職員の処遇改善のために賃上げの財源としてベースアップ評価料の算定が可能になりましたが、目新しい加算項目は少なく、サイバーセキュリティの強化など追加支出が求められているため、医療機関にとっては厳しい状況です。また、医療機関で問題となっているのは人手不足です。介護系サービス事業者は、高齢者の増加に備え設備投資を行い、施設を増やしてきましたが、現場に投入する医療・介護人材が必要となるため、医療機関よりも賃上げを先行して実施しており、同じ職種でも介護サービス事業者の賃金が高い状態になっています。さらに都市部では、コロナ禍にサービスを縮小していたホテル、飲食業などのサービス業界での人材不足が深刻化し、異業種との人材獲得競争も厳しくなっています。医療機関に求められる新たな「医療の形」病床稼働率の低下という現状を乗り切るための唯一の解決方法は、患者のニーズに応えることです。しかし、急性期の医療機関は専門医が多く、スペシャリストとして専門診療は得意である一方、後期高齢者のように2つ以上の慢性疾患が併存し、診療の中心となる疾患の設定が難しい「Multimorbidity(多疾患併存)」の場合、診療科ごとに縦割り構造のため、患者をチームで診ていると言いながら、病院内で診療科間の連携が取れていない、かかりつけ医や介護サービス事業者との連携協力が不十分なため、退院後にも内服薬の治療中断や退院前の指導不足による病状の悪化など、同じ患者が何回も入退院を繰り返す例が少なくありません。今後は、高度な急性期の医療機関は変わる必要がありそうです。とくに、在宅医やかかりつけ医との退院前のカンファレンスの開催や紹介状の内容の充実、情報共有の進化が必要ですが、多忙な急性期病院の医師がこれらを行うのは難しいと感じています。現状の解決手段としては、医師事務補助作業者の活用による書類作成の充実、退院サマリーや紹介状の作成業務のクオリティの向上が考えられます。また、今後は電子カルテにAIを導入し、カルテ内容の要約自動化を進めることや連携医療機関とカルテの開示を進めることが求められます。さらに、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟のある医療機関から退院する場合に、退院後のケアを担当する医療、福祉職へのわかりやすい指導(たとえば体重が〇kg以上増えたら早期に専門医に受診、食事や体重が減ったらインスリンは〇単位減量など)が求められると考えます。政府が模索する「新たな地域医療構想」の時代へ厚生労働省は、社会保障制度改革国民会議報告書に基づき、団塊の世代が全員75歳以上となる2025年に向けて、地域医療構想を策定するよう各都道府県に働きかけてきました。厚労省は地域医療構想を「中長期的な人口構造や地域の医療ニーズの質・量の変化を見据え、医療機関の機能分化・連携を進め、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制の確保を目的とするもの」と定義しています。現状、2025年を目指していた「地域医療構想」はほぼ完成形に近付いているように思います。高度急性期、急性期、回復期、慢性期の病床区分は、各医療機関の立ち位置を明確にし、担うべき役割と連携協力機関をはっきりさせることで、独立した医療機関が有機的に医療・介護連携を行い、全国の2次医療圏内で完結できるよう基盤整備を進めてきました。厚労省は、今後の日本が迎える「高齢者が増えない中、むしろ労働人口が減少していく」2040年を見据え、今年3月から「新たな地域医療構想等に関する検討会」を立ち上げました。地域によっては高齢化の進行によって外来患者のピークを過ぎた2次医療圏も増えています。これは国際医療福祉大学の高橋 泰教授らが作成した2次医療圏データベースシステムからも明らかになっています。これまで、医師や看護師といった人材リソースを増やすことで充実させてきた医療のあり方が変わる中、その地域でいかに残っていくのかを考える必要があります。そのために、最近読んでいる本を紹介します。今後の病院、クリニック運営を考える際の一助になりましたら幸いです。『病院が地域をデザインする』発行日2024年6月14日発行クロスメディア・パブリッシング発売インプレス定価1,738円(1,580円+税10%)https://book.cm-marketing.jp/books/9784295409861/著者紹介梶原 崇弘氏(医学博士/医療法人弘仁会 理事長/医療法人弘仁会 板倉病院 院長/日本大学医学部消化器外科 臨床准教授/日本在宅療養支援病院連絡協議会 副会長)千葉県の船橋市にある民間病院である板倉病院(一般病床 91床)の取り組みとして、救急医療、予防医療、在宅医療の提供、施設や在宅との連携を通して「地域包括ケア」の展開や患者に求められる医療機関の在り方など先進的な取り組みが、とても参考になります。ぜひ一度、手に取ってみられることをお勧めします。参考1)新たな地域医療構想等に関する検討会(厚労省)2)社会保障制度改革国民会議報告書(同)3)外来医療計画関連資料(同)4)診療報酬改定2024 「トリプル改定」を6つのポイントでわかりやすく解説!(Edenred)5)2次医療圏データベースシステム(Wellness)5)医療の価格どう変化? 生活習慣病、医師と患者の「計画」で改善促す(朝日新聞)

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第76回 二項分布とは?【統計のそこが知りたい!】

第76回 二項分布とは?二項分布は、結果が起こるか起こらないか(成功か失敗か)のいずれかであるn回の試行を行ったときの、起こった数(成功数)で表される確率分布です。■二項分布(binomial distribution)とはたとえばコイントスのように、ある行動や試行に対して結果が2つしかないときに生じる分布を「二項分布」と呼びます。「ある行動や試行に対して結果が2つしかない」ということが、二項分布では重要になります。オモテの出る確率が50%のコインを3回投げたとき、オモテが2回以上出る確率を例に二項分布を考えてみましょう。コインを3回投げたとき起こり得る組み合わせは、表1に示す8つです。表1 コイントスの組み合わせの例表1を集計して、オモテの出る個数をX、その個数の出現率を全体の8で割った確率をP(X)として確率分布表を作成します。「起こる・起こらない」の二項を取り扱って作られた確率分布が「二項分布」です。表2はオモテの出る確率が50%のコインを3回投げたときの二項分布です。表2 二項分布の表表2の二項分布をグラフで示します(図)。図 表2の二項分布グラフ■二項分布における確率の求め方ある事象の起こる確率をPとします。この事象をn回試行し、X回起こる確率をP(X)で表すと、P(X)は次の公式によって求められます。コイントスの例題のP(X)は下記のようになります。この式にX=0,1,2,3を代入し、二項分布の表3を作成すると次のようになります。表3 二項分布の表オモテ・ウラの組合わせ数と組合わせ別のオモテの個数を調べて、二項分布を作成しましたが、P(X)を求める式からも求められます。この式の確率はExcelの関数で簡単に求められるので、こちらでの求め方をお勧めします。コイントスの例題である、オモテの出る確率が50%のコインを3回投げたとき、オモテが2回以上出る確率をExcel関数で求めてみました。表3よりオモテが2回以上出る確率は0.375、オモテが3回出る確率は0.125より2回以上の確率は0.375+0.125=0.5(50%)となります。では、サイコロの出る目の事例でExcel関数を使って確率を求めてみましょう。1の目が出る確率が1/6のサイコロを20回振ったとき、1の目が4回以上出る確率はどうなるでしょうか?1の目が4回以上出る確率は、0.4335(約43%)ということになります。■感染症罹患の事例で試してみる医療分野での事例でも試してみましょう。全住民の5%がある感染症に罹患しており、その中から無作為に500例を抽出したとします。このとき、抽出された集団の中に罹患者が30例以上いる確率は何%になるでしょうか?こちらもExcel関数で簡単に求めることができます。以上の結果から罹患者が30例以上いる確率は0.1765(約18%)となります。このように、医学論文の分野においても二項分布は、さまざまな場面で利用されています。次回は「ポワソン分布」を解説いたします。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第56回 正規分布とは?第57回 正規分布の面積(確率)の求め方は?第58回 標準正規分布とは?第76回 二項分布とは?二項分布は、結果が起こるか起こらないか(成功か失敗か)のいずれかであるn回の試行を行ったときの、起こった数(成功数)で表される確率分布です。■二項分布(binomial distribution)とはたとえばコイントスのように、ある行動や試行に対して結果が2つしかないときに生じる分布を「二項分布」と呼びます。「ある行動や試行に対して結果が2つしかない」ということが、二項分布では重要になります。オモテの出る確率が50%のコインを3回投げたとき、オモテが2回以上出る確率を例に二項分布を考えてみましょう。コインを3回投げたとき起こり得る組み合わせは、表1に示す8つです。表1 コイントスの組み合わせの例表1を集計して、オモテの出る個数をX、その個数の出現率を全体の8で割った確率をP(X)として確率分布表を作成します。表2はオモテの出る確率が50%のコインを3回投げたときの二項分布です。表2 二項分布の表表2の二項分布をグラフで示します(図)。表2 二項分布の表■二項分布における確率の求め方ある事象の起こる確率をPとします。この事象をn回試行し、X回起こる確率をP(X)で表すと、P(X)は次の公式によって求められます。コイントスの例題のP(X)は下記のようになります。この式にX=0,1,2,3を代入し、二項分布の表3を作成すると次のようになります。表3 二項分布の表オモテ・ウラの組合わせ数と組合わせ別のオモテの個数を調べて、二項分布を作成しましたが、P(X)を求める式からも求められます。この式の確率はExcelの関数で簡単に求められるので、こちらでの求め方をお勧めします。コイントスの例題である、オモテの出る確率が50%のコインを3回投げたとき、オモテが2回以上出る確率をExcel関数で求めてみました。表3よりオモテが2回以上出る確率は0.375、オモテが3回出る確率は0.125より2回以上の確率は0.375+0.125=0.5(50%)となります。では、サイコロの出る目の事例でExcel関数を使って確率を求めてみましょう。1の目が出る確率が1/6のサイコロを20回振ったとき、1の目が4回以上出る確率はどうなるでしょうか?1の目が4回以上出る確率は、0.4335(約43%)ということになります。■感染症罹患の事例で試してみる医療分野での事例でも試してみましょう。全住民の5%がある感染症に罹患しており、その中から無作為に500例を抽出したとします。このとき、抽出された集団の中に罹患者が30例以上いる確率は何%になるでしょうか?こちらもExcel関数で簡単に求めることができます。以上の結果から罹患者が30例以上いる確率は0.1765(約18%)となります。このように、医学論文の分野においても二項分布は、さまざまな場面で利用されています。次回は「ポワソン分布」を解説いたします。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第56回 正規分布とは?第57回 正規分布の面積(確率)の求め方は?第58回 標準正規分布とは?

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鉄剤の頻度【日常診療アップグレード】第10回

鉄剤の頻度問題23歳女性。3ヵ月前から倦怠感を感じ、1ヵ月前から階段を上がるときに息切れを自覚している。Hb 7.9g/dL、MCV 70fL、赤血球分布幅(RDW:red cell distribution width)は上昇し、フェリチン2ng/mL(女性基準値:3.6~114)である。鉄欠乏性貧血と診断し、鉄剤(商品名:フェロミア)を1日2回内服の処方をした。

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事例005 生活習慣病管理料の算定の流れ【斬らレセプト シーズン4】

解説令和6(2024)年度診療報酬改定にて、「B001-3 生活習慣病管理料」(以下「管理料」)の算定方法が緩和されました。従来の包括報酬を管理料(I)とし、出来高算定ができる「B001-3-3 管理料(II)」も設定されました。特定疾患対象である「脂質異常症」、「高血圧症」、「糖尿病」が「B000 特定疾患療養管理料」の算定要件から外されたこと、施設基準が設定されたことを理由に、算定方法に対する質問が多く寄せられています。とくに多くの医師から管理料(II)を採用したいと問い合わせがあります。管理料(II)は、従来の特定疾患療養管理料と特定疾患処方管理加算を加えた点数とほぼ変わりません。比較的簡単かつ手厚い診療が可能となる点数です。今回は、規定に則り算定をされるための留意事項をお届けいたします。1)算定前に次の内容の院内掲示が必要です。(1)生活習慣病管理料の算定を行っている医療機関であること(2)28日分以上の長期処方とリフィル処方箋の発行が可能であること2)3つの該当疾患のうち1つを主病としている患者に対して、生活習慣病管理の対象となることを告げて管理開始の了解を口頭で得ます。診療録にその旨を必ず記載します。3)療養計画書(別紙様式9)にて指定された検査を医学的必要性に応じて行い、その結果を参照して、疾患の改善を行うための初回の療養計画書を作成します。4)次回、再診時以降に療養計画の説明を行います。療養計画の説明は、必ず医師が行い患者の申し出事項(たとえば運動するなど)を追記、患者からその場で承諾の署名*をいただいてください。サイン入り療養計画書を診療録に添付して算定開始です。医師の説明以降に看護師や管理栄養士などからの補足説明も推奨されています。糖尿病を主病とする場合は、歯科の受診を勧めることが必須となります。いずれも診療録に簡潔な記録が必要です。*補足説明後署名でも良いのですが、医師の前で署名するほうが効果があるため。5)2回目以降の療養計画は別紙様式9の2を使用して4ヵ月に1度以上の説明が必要です。診療録への添付と記載は必須です。2回目以降には患者サインの必要はありません。6)施設基準が設定されていますが、届出の必要はありません。施設基準を満たしていることは、公的機関から求められたときに診療録を提示して示します。診療録への必要充分な記録が認められない場合は、診療報酬の返還を求められる場合があります。7)管理料は、医療機関内で管理料(I)と管理料(II)の混在ができます。患者の状態に応じた使い分けができます。ただし、管理料(I)から(II)への変更には(I)の算定後6ヵ月以上を経過しないと(II)が算定できないことに留意をお願いします。

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1年間のAChEI治療、認知機能が低下しやすい患者は?

 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)治療を1年間行ったアルツハイマー病患者の治療アウトカムについて、台湾・Kaohsiung Veterans General HospitalのPao-Yuan Ching氏らが、調査を実施した。Aging Medicine誌2024年6月18日号の報告。 2015年1月〜2021年9月の電子カルテデータを、台湾南部の医療センターより入手した。対象は、新たにアルツハイマー病と診断され、AChEIによる治療を行った60歳以上の患者。認知機能評価は、AChEI治療前および治療1年後のフォローアップ調査時に実施した。認知機能低下は、AChEI治療1年後のミニメンタルステート検査(MMSE)が3超低下または臨床的認知症尺度(CDR)1以上低下と定義した。ベースライン時とフォローアップ調査後の認知機能の関係は、潜在的な交絡因子で調整したのち、ロジスティック回帰分析を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は、1,370例(平均年齢:79.86±8.14歳)。・調整後、認知機能低下群でBMIが有意に低いことが明らかとなった(調整オッズ比[aOR]:0.970、95%信頼区間[CI]:0.943〜0.997、p=0.033)。・認知機能低下群では、抗精神病薬の使用率が有意に高かった(aOR:1.599、95%CI:1.202〜2.202、p=0.001)。・認知機能低下群では、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の使用率も高い傾向が認められた(aOR:1.290、95%CI:0.996〜1.697、p=0.054)。 著者らは「AChEI治療1年後の認知機能低下に対し、BMIの低さ、抗精神病薬やベンゾジアゼピン受容体作動薬の併用が影響を及ぼしている可能性が示唆された」としている。

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JN.1系統対応コロナワクチン、一変承認を取得/ファイザー・ビオンテック

 ファイザーおよびビオンテックは2024年8月8日付のプレスリリースにて、生後6ヵ月以上を対象とした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株JN.1系統対応の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、日本での製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。 両社は2024年6月10日、オミクロン株JN.1系統のスパイクタンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)を含む1価ワクチンについて厚生労働省に承認事項一部変更を申請しており、今回、以下の製剤が承認された。・コミナティ筋注シリンジ 12歳以上用(プレフィルドシリンジ製剤で希釈不要)・コミナティRTU筋注5~11歳用 1人用(バイアル製剤で希釈不要)・コミナティ筋注6ヵ月~4歳用 3人用(バイアル製剤で要希釈) 上記申請は、品質に係るデータに加え、本ワクチンが両社のオミクロン株XBB.1.5系統対応COVID-19ワクチンに比べ、JN.1およびKP.2、KP.3を含むその亜系統に対しても優れた免疫反応を示した非臨床データに基づいている。 2024年5月29日に開催された「第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」では、2024/2025シーズン向けの新型コロナウイルス感染症ワクチンの抗原組成について、JN.1系統が選択されている1)。 また、諸外国の動向として、英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は7月24日に、ファイザー・ビオンテックのJN.1対応ワクチンを承認している2)。一方米国では、2024年秋から使用する新型コロナワクチンについて、6月13日の米国食品医薬品局(FDA)の発表によると、可能であればJN.1系統のKP.2株を使用することをワクチン製造業者へ提案しているという3)。

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アルツハイマー病の進行予測に役立つアプリを開発

 人により大きく異なるアルツハイマー病の進行を予測できるアプリの開発に関する研究成果を、オランダの研究グループが報告した。このモデルにより、軽度認知障害(MCI)患者と軽度認知症患者の認知機能がどのようなペースで低下するのかを予測できる可能性が示されたという。アムステルダム自由大学アルツハイマーセンター(オランダ)のWiesje van der Flier氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に7月10日掲載された。 Van der Flier氏らは、アミロイドβ(Aβ)の蓄積が検査で確認されているMCI患者310人と軽度認知症患者651人の計961人(平均年齢65±7歳、女性49%)のデータを用いて、認知症検査の一種として知られるミニメンタルステート検査(MMSE)の経時的な変化を予測するモデルを構築した。MMSEスコア(0〜30点)は、25点以上を正常、21〜24点を軽度認知症、10〜20点を中等度の認知症、10点未満を重度認知症と見なす。予測の際には、年齢、性別、ベースラインのMMSEスコア、アポリポタンパク質E4の有無、MRI検査で測定した全脳および海馬の体積、脳脊髄液中のバイオマーカー(Aβ1〜42およびリン酸化タウの濃度)のデータが考慮された。 MMSEスコアは、MCI患者ではベースライン時の26.4から5年後には21.0へ、軽度認知症患者では22.4から7.8へと経時的に低下していた。モデルは、このような認知機能の低下の予測に役立ったが、不確実な面があることも示された。予測スコアと実際のスコアには、MCI患者の場合は半数で2点未満、軽度認知症患者の場合は半数で3点未満の範囲で差が認められた。 ベースラインのMMSEスコアが28で一定レベルのAβプラークが認められるMCI患者を想定して検討したところ、この患者が中等度の認知症(MMSEスコアが20)に達するまでの時間は6年であるが、認知症治療薬の使用により低下を30%抑制できた場合には、その時間は8.6年に延長することが予測された。同様に、ベースラインのMMSEスコアが20で一定レベルのAβプラークが認められる軽度認知症患者の場合では、MMSEスコアが15(中等度の認知症)に至るまでの期間は2.3年、薬により認知機能の低下を30%抑制できた場合には3.3年と予測された。 Van der Flier氏は、「認知障害を持つ人やその介護者が最も気にするのは、『あとどれくらいの期間、車を運転できるのか』や『あとどれくらいの期間、趣味を続けられるのか』といった質問に対する答えだ。将来的には、生活の質や日常の機能に関わるこのような質問に対する答えを予測するモデルが役立つようになることを期待している。それが実現するまでの間は、本研究のようなモデルによる予測スコアを医師が解釈して患者の質問への答えとするのに役立つことを願っている」と述べている。 研究グループは、このモデルを搭載したプロトタイプのアプリを科学的研究のために公開した。次のステップは、患者、家族、専門家の意見を取り入れた、使いやすいアプリの開発であるという。 ただし、研究グループは、今回開発されたモデルは個人のデータに基づいて予測を行うものの、常に不確定要素が存在するため、個々の患者に対して正確な予測を行うことの難しさを示してもいるとの見方を示している。それでもvan der Flier氏は、「これまでの研究から、人は、たとえ不確かであっても自分の予後についての情報をほしがることが分かっている。したがって、われわれの予測モデルを搭載したアプリは、重要なニーズを満たすことができるはずだ」と話している。

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「周期性嘔吐症候群」とはどのような病気?治療法はある?

 あまり知られていないが、悪夢のような症状をもたらす疾患がある。周期的に突然、強い吐き気や嘔吐が繰り返される、周期性嘔吐症候群(CVS)と呼ばれる疾患だ。米国消化器病学会(AGA)はこのほど、CVSの診断と管理に関する新たな臨床ガイダンス「臨床診療の改訂版(Clinical Practice Update)」を発表。CVSの症状があると思う人は、症状についてメモを取り、声を上げるよう呼び掛けている。 同ガイダンスによると、全人口の約2%がCVSを経験しているが、診断に至るまで何年もかかる場合もあるという。同ガイダンスの著者の1人で米ピッツバーグ大学医療センターのDavid Levinthal氏は、「診断は強力なツールになる。診断されることで患者は衰弱性の症状の正体が分かるだけでなく、医療提供者も効果的な治療計画を立てることができるようになる」と説明している。 CVSの主な症状は、数日間にわたって続く吐き気や嘔吐である。次の発作が現れるまでの期間は長い。軽度のCVSの場合、発作の持続期間は2日未満で、発作の回数も年に4回に満たない。一方、重度のCVSでは発作の持続期間がより長く、1年間に起こる発作の回数も多く、患者の中には入院や救急外来の受診が必要になる人もいるという。現在、CVS患者の約半数が少なくとも年に一度は救急外来を受診し、3分の1がCVSの症状による機能障害を抱えているという。また、発作と発作の間に嘔吐を繰り返すことはなくても、吐き気や消化不良といった症状が現れる場合もあるという。 CVSは誰にでも起こり得るが、女性や若年成人に多い。また、片頭痛の既往歴や家族歴がある人にも多いという。CVSの診断を受けるには、過去の嘔吐発作の詳細な記録を残しておく必要があると医師らは説明している。CVSは、胃腸炎や食中毒と誤診されることが多い。これらの症状が一定のパターンの一部であることを示すことで、自分がCVSである可能性を疑えるようになると研究グループは述べている。 Levinthal氏は、「臨床診療改訂の目的は、CVSの認知度を高め、診断が遅れるケースを減らし、患者の治療へのアクセスを向上させることだ」とAGAのニュースリリースの中で説明。その上で、「プライマリケアや救急医療、緊急医療の提供者、特に発作時に治療を求めるCVS患者と接する最前線にいる人たちに届くことをわれわれは願っている」としている。同ガイダンスでは、睡眠やストレスの管理、また薬物療法はCVS患者の助けになり得るとされている。 米国立衛生研究所(NIH)によると、専門家の間でもCVSの原因は明確になっていない。ただ、脳と消化管の間の神経信号の問題や、ストレスに対する脳と体内のホルモンシステムの反応に問題があることなどが原因となる可能性が指摘されている。また、遺伝子もリスクに影響している可能性があるという。

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