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3月3日 耳の日【今日は何の日?】

【3月3日 耳の日】〔由来〕「3(み)月3(み)日」との語呂合わせ、数字の「3」が耳の形にみえること、電話の発明家で音声学と聾唖教育で活躍したグラハム・ベルの誕生日であることから、日本耳鼻咽喉科学会の提案により1956(昭和31)年に制定。同会では、都道府県ごとに難聴で悩んでいる方々の相談のほか、一般の方にも耳の病気や健康な耳の大切さの啓発活動を行っている。関連コンテンツ生きた○○が耳の中に侵入【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】日本のメモリークリニックにおける聴覚障害や社会的関係とBPSDとの関連性加齢性難聴予防に「聴こえ8030運動」を推進/耳鼻咽喉科頭頸部外科学会日本人高齢者の難聴と認知症との関係オセルタミビルの新たな才能、難聴予防効果を発掘【バイオの火曜日】

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コーヒーに入れても糖尿病リスクが上がらないものは?

 コーヒー摂取は、一貫して2型糖尿病のリスク低下と関連しているが、砂糖やクリームを添加することによってこの関連が変化するかどうかは不明である。今回、スペイン・ナバーラ大学のMatthias Henn氏らが、コーヒーに砂糖や人工甘味料を加えるとコーヒーの摂取量増加と2型糖尿病リスクとの逆相関が大幅に弱まるものの、クリームを使用しても逆相関は変わらないことを示唆した。American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2025年1月18日号掲載の報告。 研究者らは、コーヒー摂取と2型糖尿病のリスクとの関連について、砂糖、人工甘味料、クリーム、または非乳製品のクリーム(コーヒーホワイトナー)の添加を考慮して分析を行った。調査には看護師健康調査(Nurses' Health Study:NHS、1986~2020年)、NHS II(1991~2020年)、医療者追跡調査(HPFS、1991~2020年)の3つの大規模前向きコホートを用い、質問表でコーヒーの消費量、添加の有無、2型糖尿病の発症状況などを確認。時間依存Cox比例ハザード回帰モデルを使用し、多変量調整してハザード比(HR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・366万5,408人年の追跡期間中に、1万3,281例が2型糖尿病を発症していた。・多変量調整後の3コホートの統合解析では、無添加のコーヒーを1杯追加するごとに2型糖尿病のリスクが10%低下した(ハザード比[HR]:0.90、95%信頼区間[CI]:0.89~0.92)。・クリームを加えたコホートでは逆相関の変化はみられなかった。・コーヒーに砂糖を加えたコホート(コーヒー1杯あたり平均で小さじ1杯)では、相関は有意に弱まった(HR:0.95[95%CI:0.93~0.97]、交互作用項のHR:1.17[95%CI:1.07~1.27])。・人工甘味料を使用していたコホートでも同様のパターンがみられた(HR:0.93[95%CI:0.90~0.96]、交互作用項のHR:1.13[95%CI:1.00~1.28])。・コーヒーホワイトナーを使用したコホートでは、コーヒー摂取と2型糖尿病リスクとの関連性が弱まったものの、交互作用は有意ではなかった(HR:0.95、95%CI:0.91~1.00、交互作用項のHR:1.16、95%CI:0.66~2.06)。

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頭痛が自殺リスクに及ぼす影響

 これまでの研究では、片頭痛と自殺リスクとの関連が示唆されているが、さまざまな頭痛疾患と自殺企図および自殺リスクとの関連を評価した研究は限られている。デンマーク・オーフス大学のHolly Elser氏らは、片頭痛、緊張性頭痛、外傷後頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)と自殺企図および自殺リスクとの関連を調査した。JAMA Neurology誌オンライン版2025年2月3日号の報告。 1995〜2020年にデンマーク国民を対象に人口ベースコホート研究を実施した。デンマークの人口は約560万人。対象は、頭痛と診断された15歳以上の患者および性別、生年月日に基づき1:5の比率でマッチさせた対照者。2023年5月〜2024年5月にデータ分析を行った。頭痛患者は、入院、救急外来、専門外来クリニックにおいてICD-10に基づき、初めて頭痛と診断された患者。主要アウトカムは、自殺企図および自殺リスクとした。自殺企図は、ICD-10診断コードを用いてデンマーク国立患者レジストリおよびデンマーク精神医学中央研究所レジストリより特定した。自殺は、デンマーク死因レジストリより特定した。自殺企図および自殺の絶対リスク(AR)とリスク差(RD)は、累積発生率関数を用いて算出した。頭痛診断と関連する自殺企図および自殺のハザード比(HR)は、年齢、性別、年、教育、収入、ベースラインの併存疾患で調整した後、競合する死亡リスクを考慮して算出した。主な結果は以下のとおり。・対象は、頭痛と診断された患者11万9,486例(女性の割合:69.5%[8万3,046例])と対照群59万7,430例(女性の割合:69.5%[41万5,230例])。・年齢中央値は、40.1歳(四分位範囲[IQR]:29.1〜51.6)。・自殺企図の15年ARは、頭痛患者で0.78%(95%信頼区間[CI]:0.72〜0.85)、比較コホートで0.33%(95%CI:0.31〜0.35)であった(RD:0.45%、95%CI:0.39〜0.53)。・自殺の15年ARは、頭痛患者で0.21%(95%CI:0.17〜0.24)、比較コホートで0.15%(95%CI:0.13〜0.16)であった(RD:0.06%、95%CI:0.02〜0.10)。・自殺企図および自殺の危険性は、比較コホートと比較し、頭痛患者で有意に高かった。 【自殺企図の危険性】HR:2.04、95%CI:1.84〜2.27 【自殺の危険性】HR:1.40、95%CI:1.17〜1.68・これらの結果は、頭痛の種類を問わず一致しており、TACおよび外傷後頭痛との関連性はより強力であった。 著者らは「頭痛の診断と自殺企図および自殺との間に、強力かつ持続的な関連性が確認された。これは、頭痛患者における行動健康評価および治療の重要性を示唆している」と結論付けている。

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ALSへのσ1受容体作動薬pridopidineは有効か?/JAMA

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療標的として、運動ニューロンに発現しているσ1(シグマ1)受容体(S1R)が注目を集めている。米国・Barrow Neurological InstituteのJeremy M. Shefner氏らは、「HEALEY ALS Platform試験」において、ALSの治療ではプラセボと比較してS1R作動薬pridopidineは疾患の進行に有意な影響を及ぼさず、有害事象や重篤な有害事象の頻度に臨床的に意義のある差はないことを示した。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2025年2月17日号で報告された。米国の無作為化第II/III相試験 HEALEY ALS Platform試験は、第III相試験に進む有望な新規ALS治療薬を迅速かつ効率的に特定することを目的とする二重盲検無作為化第II/III相試験であり、プラセボ群の共有と継続的な参加者登録が可能な方法を用いて複数の試験薬を同時に評価可能である。pridopidineは4つ目の試験薬として選択され、2021年1月~2022年7月に米国の54施設で参加者を登録した(AMG Charitable Foundationなどの助成を受けた)。 ALS患者162例(平均年齢57.5歳、女性35%)を登録し、pridopidine 45mg(1日2回)を経口投与する群に120例、プラセボ群に42例を無作為に割り付け、24週の投与を行った。また、プラセボ群に他の3つのレジメンの試験でプラセボの投与を受けた122例を加えた合計164例を共有プラセボ群とした。 有効性の主要アウトカムは、ALSの疾患重症度のベースラインから24週目までの変化とした。疾患重症度は、機能(ALS機能評価スケール改訂版[ALSFRS-R]の総スコア[0~48点、点数が低いほど機能が低下])と生存の2つの要素で評価し、これらを統合して疾患進行率比(DRR、生存期間を考慮した疾患進行の評価指標)を算出した。DRRが1未満の場合に、プラセボ群に比べpridopidine群で疾患の進行が遅いことを示す。解析には、ベイズ流のアプローチによる共有パラメータモデルを用いた。 有効性の主要アウトカムの解析の対象となった162例のうち136例(84%)が試験を完了した。5つの主な副次アウトカムにも有意差なし 主要アウトカムは、pridopidine群とプラセボ群に有意な差を認めなかった(DRR:0.99[95%信用区間[CrI]:0.80~1.21]、DRR<1の確率0.55)。ALSFRS-Rスコアの1ヵ月当たりの変化率は、pridopidine群で-0.99ポイント(95%CrI:-1.14~-0.84)、共有プラセボ群で-1.00ポイント(-1.14~-0.87)であった。また、死亡イベントの1ヵ月当たりの発生率は、pridopidine群、共有プラセボ群とも0.012件だった。 以下の5つの主な副次アウトカムにも、pridopidine群とプラセボ群で有意な差はなかった。(1)ベースラインで球麻痺を有する患者におけるALSFRS-R総合スコアが2点以上低下するまでの期間、(2)ベースラインで球麻痺を有する患者における静的肺活量(SVC)の低下率、(3)ALSFRS-Rの球麻痺スコアが悪化しなかった患者の割合、(4)ALSFRS-Rの球麻痺スコアが1点以上変化するまでの期間、(5)死亡または永続的な換気補助(PAV)までの期間。忍容性は良好、転倒と筋力低下が多い pridopidineの忍容性は良好であった。有害事象および重篤な有害事象の頻度に、両群間で臨床的に意義のある差はみられなかった。最も頻度の高い有害事象は、転倒(pridopidine群28.1%、共有プラセボ群29.3%)と筋力低下(24.0%、31.7%)だった。pridopidine群では、Fridericia式による心拍数補正QT(QTcF)間隔が臨床的に意義のある変化を示した患者はいなかった。 著者は、「最大の解析対象集団(FAS)の探索的解析では、pridopidine群で発話速度の障害と構音障害に関して名目上有意な進行の抑制がみられ、このpridopidine群における発話の改善は、関連する脳幹領域にS1Rが高密度に分布することを反映している可能性がある」「本研究で実現されたプラセボ群の参加者の共有は、より効率的な試験の実施につながると考えられる」としている。

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米国、オピオイド使用障害への救急医によるブプレノルフィン処方増加/JAMA

 米国では、オピオイド使用障害(OUD)とOUD関連死亡率が依然として高く、その抑止対策の1つとして、有効性が確認されているオピオイド受容体の部分作動薬であるブプレノルフィンの投与を救急診療科にも拡大しようという取り組みが全国的に進められている。米国・カリフォルニア大学のAnnette M. Dekker氏らはこの取り組みの現況を調査し、2017~22年にカリフォルニア州の救急医によるOUDに対するブプレノルフィン処方が大幅に増加しており、患者の約9人に1人は1年以内に継続処方を開始していることを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年2月19日号に掲載された。カリフォルニア州の後ろ向きコホート研究 研究グループは、米国・カリフォルニア州における、OUDに対する救急医(emergency physician)によるブプレノルフィン処方状況の経時的変化を明らかにする目的で、後ろ向きコホート研究を行った(Korein Foundationなどの助成を受けた)。 California Controlled Substance Utilization Review and Evaluation System(CURES)データベースを用いて、2017年1月1日~2022年12月31日にブプレノルフィンの初回の処方を受けたカリフォルニア州の郵便番号を持つ年齢18~79歳のすべて患者のデータを抽出し、その同州の処方医のうち救急医を同定した。救急医による処方、2%から16%に増加 2017~22年に、カリフォルニア州では2万1,099人の臨床医から、34万5,024人のOUD患者が378万765件のブプレノルフィンの処方を受け、処方件数は2017年の50万499件から2022年には73万1,881件に増加した。ブプレノルフィン初回処方時の患者の平均年齢は37(SD 12)歳で、8,187人(67%)が男性であった。 ブプレノルフィン処方医のうち救急医は、2017年の2%(78人)から2022年には16%(1,789人)に増加しており、有意差を認めた(p<0.001)。また、すべてのブプレノルフィン初回処方のうち救急医による処方は、2017年の0.1%(53件)から2022年には5%(4,493件)へと有意に増加した(p=0.001)。この間の救急医によるブプレノルフィン処方件数は1万5,908件で、このうち初回処方は1万823件、非初回処方は5,085件であった。OUD患者の約3人に1人は40日以内に2回目の処方 2017~22年に、3,916人のOUD患者が、救急医によるブプレノルフィンの初回処方から40日以内に2回目の処方を受け、継続率(continuation ratio)は2.8(1万823人/3,916人、約3人に1人)であった。また、救急医によるブプレノルフィン初回処方から40日以内に、180日以上の継続処方を開始した患者の継続率は18.3(1万823人/593人)、1年以内に同様の継続処方を開始した患者の継続率は9.1(5,989人/655人[2017~21年のデータ]、約9人に1人)であった。 著者は、「これらの結果は、依存症の治療システムにおける救急診療科の役割を強く訴えるものであり、救急診療科を確実に利用できるようにし、維持期の外来治療に円滑に移行できるよう、さらなる努力が求められる」としている。

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高齢者のコレステロール値の変動は脳の健康に関与

 コレステロール値が年ごとに急上昇したり急降下したりする高齢者は、認知症や認知機能低下のリスクが高い可能性のあることが、新たな研究で示唆された。モナシュ大学(オーストラリア)のZhen Zhou氏らによる同研究で、コレステロール値の変動幅が最も大きい高齢者では、最も小さい高齢者と比べて認知症のリスクが60%高いことが示されたという。詳細は、「Neurology」に1月29日掲載された。Zhou氏は、「毎年測定したコレステロール値の変動幅は、ある時点で測定されたコレステロール値よりも多くの情報をもたらし、認知症リスクのある人を特定するための新たなバイオマーカーとなり得ることを示唆する研究結果だ」と米国神経学会(AAN)のニュースリリースで述べている。 Zhou氏らは本研究の背景について、中年期の高コレステロール値は、その後の認知機能の低下や認知症のリスク因子であることが示されていると説明する。しかし、コレステロールが高齢者の脳の健康状態に与える影響に関しては、何も影響しないとする研究がある一方で、コレステロール値が低いと認知症リスクが高まる可能性があるとする研究があるなど一貫していないという。 Zhou氏らは今回、研究開始時には認知症やその他の記憶障害がなかったオーストラリアと米国の65歳以上の男女9,846人(年齢中央値73.9歳、女性54.9%)の脳の健康状態を追跡調査した。研究参加者のコレステロール値は、研究開始時に加え、開始から3年後まで年1回の受診時に測定された。また、参加者は記憶力の検査も毎年受けた。開始から3回目の受診後、参加者は、認知症の発症について中央値で5.8年、認知症の前段階を表す概念の一つであるcognitive impairment with no dementia(CIND)について中央値5.4年にわたり追跡された。追跡期間中に認知症発症例が509例、CINDイベント発生が1,760件記録されていた。参加者は、総コレステロール(TC)、LDL-C(悪玉コレステロール)、HDL-C(善玉コレステロール)、トリグリセライドの変動幅に応じて、Q1群からQ4群に分類された。 その結果、研究開始時から最後の測定時までの間のTCの変動幅が最も大きいQ4群では、認知症の発症率が最も高く(1,000人年当たり11.3人)、変動幅が最も小さいQ1群(1,000人年当たり7.1)と比べてリスクが60%増加することが明らかになった(ハザード比1.60、P=0.001)。LDL-C値の変動についても、変動幅が大きい群ほど認知症リスクが高くQ2群、Q3群、Q4群のハザード比はそれぞれ、1.17、1.26、1.48であった(P=0.002)。さらに、CINDについても同様の傾向が認められ、TCとLDL-Cの変動幅が最も大きいQ4群ではCINDリスクが最も高く、Q1群と比べたハザード比はそれぞれ1.23と1.27であった。 ただしZhou氏らは、この研究でコレステロール値の変動と認知症には因果関係があることが証明されたのではなく、あくまでも両者が関連することが示されたに過ぎないと説明している。 Zhou氏らは、コレステロール値の変動が認知症リスクを高める理由として、変動が動脈壁の脂質プラークの組成を変化させることで脳に損傷を与え、脳細胞への血流を妨げたり、脳卒中を引き起こしたりするリスクを高める可能性があるとの推測を示している。また、こうしたコレステロール値の変動は、認知機能の低下を引き起こす真の要因となっている他の慢性疾患の副次的な影響である可能性も考えられるとの見方を示している。 Zhou氏は、「認知機能低下や認知症のリスクがあり、介入の効果を期待できそうな人を特定するため、高齢者のコレステロール値の経時的な変動を監視すべきである。具体的な介入法としては生活習慣の是正やスタチンの使用開始または使用継続に確実につなげることなどが考えられる」と話している。

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尿を用いた遺伝子検査で進行性前立腺がんを高精度で検出

 前立腺がんの診断を受けた場合には、どうすればよいのだろうか。がん自体が命に関わるものではない場合でも、治療の結果として失禁や勃起不全に悩まされることは少なくない。患者によっては、不安を抱えはするが、がんとともに生きながら経過観察を続ける方が良い場合もある。 こうした中、尿サンプルを用いた遺伝子解析に基づく新しい検査が、早期死亡につながる可能性の高い進行性の前立腺がんの特定に役立つ可能性が示された。研究グループは、この検査が、前立腺がんを治療すべきか、経過観察すべきかを判断する際に役立つ可能性があるとしている。米ミシガン大学泌尿器科学分野のGanesh Palapattu氏らによるこの研究結果は、「The Journal of Urology」に1月21日掲載された。 MyProstateScore 2.0(MPS2)と呼ばれるこの検査は、尿サンプルから抽出したRNAを用いて解析を行い、進行性前立腺がんに関連する18種類の遺伝子(高悪性度がん特異的遺伝子4種類、がん特異的遺伝子13種類、リファレンス遺伝子1種類)の発現レベルを評価する。MPS2のグレードグループ(GG)≧2(前立腺がんの悪性度の評価で用いられる指標であるグリソンスコアで7点以上に相当)の前立腺がんに対する検出精度は過去の研究ですでに検証済みであるが、その際には、直腸内触診(DRE)後に採取された尿サンプルが用いられていた。DREでは前立腺が押しつぶされるため、腫瘍からのDNAの破片が患者の尿サンプルに混入する可能性が高くなるという。 今回の研究では、検査の利便性を高めるために、DREを受けていない対象者から提供された起床後最初の尿(初尿)サンプルを用いてMPS2の性能を検証し、また臨床的影響を前立腺特異抗原(PSA)検査および前立腺がん予防試験リスク計算ツール(Prostate Cancer Prevention Trial risk calculator;PCPTrc)と比較した。対象者は、PSAの中央値が6.6ng/mLの男性226人で、うち103人(39%)は生検でGG≧2の前立腺がんが確認されていた。 その結果、GG≧2の前立腺がんの検出精度(AUC〔曲線下面積〕)は、PSA検査で57%、PCPTrcで62%であった。一方、MPS2では、バイオマーカーのみを使用するモデルで71%、バイオマーカーと臨床要因を含むモデルで74%、バイオマーカー、臨床要因に前立腺体積を含めたモデルで77%であることが示された。「GG≧2の前立腺がんの90%超の検出」という基準で比較した場合、MPS2検査では36〜42%の生検を回避できるのに対し、PCPTrcではわずか13%の回避にとどまると見積もられた。さらに、過去に生検で陰性だった患者においては、MPS2検査を使用すれば44~53%の再生検を回避できるのに対し、PCPTrcではわずか2.6%の回避にとどまると推定された。 Palapattu氏は、「この検査の最大の利点は、進行性前立腺がんの発症リスクを正確に予測できるため、患者と医師の双方に安心感をもたらす点だ」と話す。現在の前立腺がん検査のゴールドスタンダードはPSA検査である。しかし、MPS2検査の製造元であるLynx Dx社によると、PSA値が上昇した男性のうち、実際に早急な治療が必要なのは25%未満に過ぎないという。 本研究で、DREを受けなくてもMPS2検査により進行性の前立腺がんを正確に予測できることが示されたことから、Lynx Dx社は、MPS2検査で使う尿サンプルを自宅で採取し送付する仕組みを整える予定だとしている。同社の最高医療責任者であるSpencer Heaton氏は、「自宅で尿サンプルを採取できるようにすることは、前立腺がんのリスク評価と患者中心のケアに対する当社の取り組みにおいて大きな進歩だ」と述べている。 研究グループは、MPS2検査により低リスク前立腺がんを検出できるかどうかを調べる予定であるとしている。

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GLP-1受容体作動薬は目に悪影響を及ぼす?

 減量薬として広く使用されているGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は、まれに視力障害を引き起こす可能性のあることが分かってきた。しかし、新たな小規模研究によると、現時点では、そのような目の合併症の原因がGLP-1RAであるのかどうかについての結論は出せないという。米ユタ・ヘルス大学のジョン・A・モラン・アイセンターのBradley Katz氏らによるこの研究は、「JAMA Ophthalmology」に1月30日掲載された。 この研究を実施するきっかけとなったのは、論文の筆頭著者であるKatz氏が、ある患者において、GLP-1RAのセマグルチドの使用開始後に片方の目の視力が突然、痛みもなく低下したことに気付いたことだったという。患者は一時的にセマグルチドの使用を中止したが、使用を再開したところ、もう片方の目にも視力低下が起こったという。不安を感じたKatz氏は、メーリングリストを通じて他の眼科医に同じようなことが起きていないかを尋ねた。その結果、GLP-1RAの使用後に目の視神経周辺の血管の機能障害など視力を低下させるような問題が起こった症例として、9例の報告が寄せられた。 そこでKatz氏らは、これらの9人の症例(平均年齢57.4歳、範囲33〜77歳、女性56%)について検討した。症例はいずれも、肥満や糖尿病の治療薬としてセマグルチド(商品名ウゴービ、オゼンピック)やチルゼパチド(商品名マンジャロ、ゼップバウンド)などのGLP-1RAを使用していた。 その結果、9人のうち7人は非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)として知られる疾患を発症していた。これは、視神経に十分な血液が供給されないことで起こる疾患だ。NAIONでは、視神経の損傷から視野の部分的な欠損が突然起こり、それが恒久的に残る可能性がある。他の1人はGLP-1RAの使用後に視野の一部が見えにくくなる傍中心窩急性中間層黄斑症を、残る1人は視神経の端に炎症が起こる両側性視神経乳頭炎を発症していた。 Katz氏らは、これまでに、極めてまれではあるが勃起不全治療薬や不整脈治療薬の使用に関連してNAIONを発症した例が報告されていると指摘している。その一方で、糖尿病や心臓病などの慢性疾患や肥満も視力障害を引き起こす可能性のあることが知られている。したがって、視力障害に関連しているのがGLP-1RAなのか、あるいは患者が抱えていた基礎疾患の一つなのかについては不明であるとKatz氏らは述べている。また、論文の共著者である米ニューヨーク州立大学バッファロー校神経学分野のNorah Lincoff氏は、「まれなケースではあるが、GLP-1RAの使用に伴う突然の急激だが正常範囲内の血糖値の低下が目を脆弱にすることもある」と話す。 Lincoff氏は、「患者へのメッセージとしては、これらの薬が虚血性視神経障害のリスクを高めるかどうかに関しては、まだ調査中の段階にあるということだ」と述べている。また、医師に対しては、「GLP-1RAを使用中の患者から目のかすみや視力低下があるとの連絡があった場合には、できるだけ早く眼科医に診てもらうようにしてほしい。目の症状は、グルコースの変動のせいかもしれないが、より深刻な問題の兆候である可能性もある」と助言している。 一方、すでにGLP-1RAを使用している人に対して研究グループは、この薬剤による視力障害の発生は極めてまれであり、パニックに陥る必要はないが、万一、問題が起こった場合には主治医に確認する必要があるとしている。

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第251回 医療保険の国民負担軽減は夢のまた夢?この30年を振り返る

2024年10月の衆議院選挙の敗北で少数与党に転落した自民党・公明党の下で2025年度予算案成立は不透明と評されてきたが、2月25日、高校教育無償化を訴える野党・日本維新の会の主張を受け入れる形で3党合意が成立。これにより2025年度予算案の年度内成立はほぼ確実となった。だから何だと思う人もいるかもしれないが、実はこの合意内容は4項目あり、2番目に掲げられた「現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減」は、まさに医療に直接関わる合意内容なのである。端的に言うと、(1)OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し(2)現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底(3)医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現(4)医療介護産業の成長産業化について、3党の協議体を設置して「令和7年末までの予算編成過程(診療報酬改定を含む)で論点の検討を行い、早期に実現が可能なものについて、令和8年度から実行に移す」というものだ。加えてこの検討に当たって、政府与党が策定した「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」、公明党が策定した「公明党 2040 ビジョン(中間とりまとめ)」、日本維新の会が策定した「社会保険料を下げる改革案(たたき台)」を念頭に置くとも明記した。日本維新の会の「社会保険料を下げる改革案(たたき台)」の大枠は、国民医療費総額を年間で最低4兆円削減することにより、現役世代一人当たりの社会保険料負担を年間6万円引き下げる」というもので、これを実現するための政策は前述した3党合意の(1)~(4)の内容とほぼ同じである。日本維新の会が国会に議席を有して以来、与党の予算案に賛成するのは初となる。今回の3党合意について、同党幹事長の岩谷 良平氏(衆院大阪13区)は翌2月26日の記者会見で次のように評した。やや長くなるが、その発言を引用する(なお、話し言葉ゆえに趣旨を変えずに一部修正)。<日本維新の会、幹事長コメント>「ある意味、歴史的な合意が締結された。日本の成長を阻害している過度に進行している少子化、現役世代の手取りが減少と負担増加という2大要因に対処していくため、維新は解決策として教育を無償化すること、社会保障改革を行い現役世代の社会保険料負担を下げることの2つを掲げてきた。今回、教育の無償化は大幅に前進し、結果を出すことができたと考えている。社会保険料の軽減に関しては大変重い扉ではあったが、ようやくその扉が開いた。合意で決定した自公維のハイレベルの協議体の中で、国民医療費を年間4兆円下げ、1人当たりの社会保険料を年間6万円引き下げるというわれわれの考えをしっかり主張し、結果を出していきたいと考えている」30年前と同じことを言っているだけ?さてこの自信満々(のふり?)とも言える日本維新の会への世間の評価は分かれるだろう。私の評価は「空手形」あるいは「取らぬ狸の皮算用」である。とくに(1)と(2)については強くそう思わざるを得ない。まず、OTC類似薬の保険給付のあり方の見直しについては、この業界の経験が長い人ほど「またか?」と思うのではないだろうか?この問題は、医療保険制度改革の検討事項として1990年代前半から繰り返し議論されてきたことである。1993年に公表された旧厚生省医療保険審議会の建議書では、保険給付のあり方などについて検討を要する旨が記載され、1996年の旧大蔵省財政制度審議会・財政構造改革特別部会が取りまとめた1997年度の医療保険制度改革の最終報告書では露骨に保険給付除外にまで言及した。その後もこの件は厚生労働省や財務省の審議会などで何度も論点となっている。にもかかわらず、過去30年間でこのテーマについて目立った進展がない大きな理由の1つは、“日本医師会が実施に強く反対している”からであるのは、多くの関係者にとって周知のことだろう。実際、維新が前述のたたき台を公表したのと同じ2月13日、日本医師会の定例会見で常務理事の宮川 政昭氏が、「社会保険料の削減を目的にOTC類似薬の保険適用除外やOTC医薬品化を進めることには重大な懸念が伴う」と反対の姿勢を明確にしている。この際の宮川氏の発言では、「医療機関の受診控えによる健康被害」と「経済的負担の増加」を反対の主な理由に挙げた。また、維新のたたき台にも含まれる高齢者の医療費3割負担の対象拡大についても日本医師会は従来から慎重な姿勢を示している。私個人は一律にOTC類似薬を保険適用除外にすることは決して賛成ではないし、前述の日本医師会の主張にも一理あると思っている。しかし、医療保険財政のひっ迫が明らかな今、この問題は日本医師会の懸念などを基に一律現状維持で良いものとは思っていない。そして、部分的には医療保険適応外にしても差し支えのない部分はあるだろうと思っている。たとえば保険適応での自己負担額とOTC購入による自己負担額との差が少ない領域、かつ疾患として重篤ではないものなどでは検討の余地があるはずである。もっと言えば、その前提に立てばこの30年間にそれが可能かどうかのエビデンスを収集する時間もあったはずだ。結局、政府・与党、厚生労働省、日本医師会とも本格的議論を避けてきたに過ぎない。さて今回の合意について、日本維新の会は自らが主張する「国民医療費4兆円削減」「1人当たりの社会保険料を年間6万円引き下げ」が合意文書に明記されたことを前述のように自画自賛している。もし、日本維新の会が本気で大きな成果だと考えているならば、楽観的過ぎると言わざるを得ない。なぜなら、合意はあくまで「論点の検討を行い、早期に実現が可能なものについて実行に移す」であり、その主張の実現が確約されたものではない。検討を行った結果、ほぼすべてが実現不可能と判断されれば、何も実行されないことも十分想定できる。前述したように過去30年間のこの問題に関する議論がそうだったからだ。また、「3党合意」ではあるものの、自民党は支持率低調な“石破政権下の自民党”の合意である。自公与党体制が今後3年程度続くとしても石破政権が崩壊すれば、党としての合意など紙切れで終わることさえ、まったくの非常識にならないのが魑魅魍魎うごめく政界の常である。百歩譲って石破政権が存続するとしても、そのためには今夏の参議院選挙を勝ち抜くことが絶対条件である。だとするならば、自民党の有力支持組織である日本医師会が反対する政策を選挙公約で掲げることなぞ無理筋。そこまでしなくとも今後の政権運営を考えれば、実現に向けて動くことなど石破政権にできるはずもない。どこをどう突いても現下の情勢では、維新のたたき台が実現に向かう可能性は低いのである。長らく政権を担い続け、しがらみだらけの自民党は、とりわけ若年層には「古き悪しき存在」」に映るだろう。しかし、「悪しき存在」であっても「古き存在」であるということは、理屈ではどうにもならないことですら、なりふり構わず切り抜けてきた結果でもある。それを頭でっかちのまま切り崩すのは容易ではない。結局、維新は自民党のしたたかさに丸め込まれただけに映るのだ。もっとも維新の側では内心、「そんなことは百も承知だが、半歩でも前進するためにあえて“毒”を飲んだ」という思惑があるかもしれない。しかし、それならば国民の前で「教育無償化を実現した」という爪痕を見せたい党利党略のため、形だけの医療保険制度改革を示したとの批判は免れないだろう。

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肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(1)周術期薬物療法を内科が担当【肺がんインタビュー】第111回

第111回 肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(1)周術期薬物療法を内科が担当術前免疫チェックポイント阻害薬(ICI)レジメンが使用できるようになった肺がん周術期治療。現在のエビデンスを踏まえ、医師は患者と何を話し、治療を決定するのか。内科・外科の薬物療法担当範囲が異なるご施設に所属する3名の医師に、ネオアジュバントICI適応患者への術前インフォームドコンセント(IC)の実際について伺った。

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肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(2)周術期・IV期薬物療法を外科が担当【肺がんインタビュー】第111回

第111回 肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(2)周術期・IV期薬物療法を外科が担当術前免疫チェックポイント阻害薬(ICI)レジメンが使用できるようになった肺がん周術期治療。現在のエビデンスを踏まえ、医師は患者と何を話し、治療を決定するのか。内科・外科の薬物療法担当範囲が異なるご施設に所属する3名の医師に、ネオアジュバントICI適応患者への術前インフォームドコンセント(IC)の実際について伺った。

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肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(3)周術期薬物療法を外科が担当【肺がんインタビュー】第111回

第111回 肺がん周術期ネオアジュバントIC ~何を・どこまで・どう話す?~(3)周術期薬物療法を外科が担当術前免疫チェックポイント阻害薬(ICI)レジメンが使用できるようになった肺がん周術期治療。現在のエビデンスを踏まえ、医師は患者と何を話し、治療を決定するのか。内科・外科の薬物療法担当範囲が異なるご施設に所属する3名の医師に、ネオアジュバントICI適応患者への術前インフォームドコンセント(IC)の実際について伺った。

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beriberi(脚気)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第21回

言葉の由来「脚気」は英語で“beriberi”といいます。特徴的な音のこの病名、起源については諸説ありますが、最も広く受け入れられている説は「シンハラ語に由来する」というものです。シンハラ語はスリランカで話されているシンハラ人の言葉です。シンハラ語で「I can’t(私にはできない)」を意味するのが“beri”という言葉で、これを2回繰り返すことで生まれたのが“beriberi”というわけです。2回繰り返すのは「力がまったくない」「極度に弱い状態」を強調するためで、脚気の主要な症状である筋力低下や歩行困難を反映したものです。そのほかにも、患者の歩行が羊のように弱々しく見えることから、ヒンドゥー語の方言で羊を意味する言葉に由来して“beriberi”と呼ばれるようになった、などの説も存在します。脚気はビタミンB1の欠乏が原因で発生する病気で、とくにかつて精白米が主食だった地域で多く見られました。欧米では19世紀後半に植民地政策が進む中でこの病気が広く知られるようになり、アジアの地域名や言語に由来する病名が取り入れられた、という歴史的経緯があります。日本では江戸時代に白米を食べる習慣が広まったことに伴い、米ぬかに含まれるビタミンB1が不足して脚気が増加していきました。江戸を訪れた地方の大名や武士が体調を崩し、故郷に帰ると治ることから「江戸わずらい」とも呼ばれましたが、しびれや下腿浮腫による歩行困難を伴うことから、足の病気、つまり「脚気」と呼ばれるようになったとされています。併せて覚えよう! 周辺単語チアミン欠乏症thiamine deficiency湿性脚気wet beriberi乾性脚気dry beriberi末梢神経障害peripheral neuropathyこの病気、英語で説明できますか?Beriberi is a disease caused by a thiamine deficiency. It can affect the cardiovascular system (wet beriberi) or the nervous system (dry beriberi). Symptoms may include difficulty walking, loss of feeling in hands and feet, and in severe cases, heart failure. It was historically common in Asia due to diets based on polished white rice.講師紹介

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COVID-19が日本の精神科医療に及ぼした影響

 COVID-19パンデミック中、日本では他の多くの国とは対照的に自殺が増加した。北海道大学の阿部 計大氏らは、COVID-19パンデミック中の日本における精神疾患患者の外来および入院治療へのアクセスが維持されていたかどうかを調査した。Social Science & Medicine誌2025年2月号の報告。 日本の急性期病院242施設のデータを用いて、COVID-19前後(2015〜19年vs.2020年)の精神疾患患者の精神科入院を比較するため、ポアソン回帰による差分分析を行った。2020年4月の日本政府による緊急事態宣言を外生的ショックとみなした。主要アウトカムには、統合失調症、気分障害、不安症、認知症、アルコール関連疾患の入院患者数および入院した外来患者数を含めた。 主な結果は以下のとおり。・研究期間中の外来患者数は7万9,867例、入院患者数は2,600例。・差分分析では、2020年4月以降、不安症を除く精神疾患患者で入院患者数および入院した外来患者数が減少していた。 【統合失調症】外来患者の入院率:0.92(95%信頼区間[CI]:0.83〜1.02)、入院患者数:0.71(95%CI:0.46〜1.09) 【気分障害】外来患者の入院率:0.92(95%CI:0.85〜0.99)、入院患者数:0.87(95%CI:0.50〜1.49) 【不安症】外来患者の入院率:1.02(95%CI:0.92〜1.13)、入院患者数:1.07(95%CI:0.69〜1.65) 【認知症】外来患者の入院率:0.88(95%CI:0.80〜0.96)、入院患者数:0.68(95%CI:0.38〜1.22) 【アルコール関連疾患】外来患者の入院率:0.77(95%CI:0.54〜1.11)、入院患者数:0.63(95%CI:0.43〜0.90) 著者らは「日本では、COVID-19パンデミックにより、不安症を除く精神疾患患者の入院が全体的に減少した。精神科医療の利用頻度減少は、日本における自殺率の上昇と対照的な関連があり、緊急時の精神科アクセスを評価する必要性が示唆された」と結論付けている。

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DNARを説明できますか?高齢者救急について日本救急医学会が提言

 日本救急医学会では、高齢者救急に関連する学会・団体と共同で、高齢者が救急医療を必要としたときに適切で意に沿った医療を受けることができ、その後も納得できる暮らし方を選ぶことができるようにすることを目的として、「高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言2024」を策定、2025年2月号の学会雑誌に掲載した。医療・福祉従事者のほか、市民、施設職員、救急隊員などそれぞれの立場に向けて提言を提示している。また、高齢者救急に関する用語が正しく使用されていない状況があることから、臨床現場で正しく使用されるようになることを目的として、「高齢者救急に関する用語の統一概念」が策定された。DNARは医療従事者にも誤用がみられる 「高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言2024」では、“高齢者の医療・ケアに日常的に関係する医療・福祉スタッフの方々へ”、“急性期〜慢性期病院の方々へ”などの形でそれぞれの立場に対して提言が示され、急変時の対応手順の例やアドバンス・ケア・プランニング(ACP)での対話を意味あるものにするための注意点などが示されている。 DNAR(do not attempt resuscitation)については、「患者本人または患者の意思を推定できる者の意思決定に沿い、心停止の際に心肺蘇生法(CPR)を行わないこと」であるが、医療従事者の間でも「DNAR」の提示があれば積極的な医療を行わなくてよいと誤認するなど、臨床現場で誤って使用されていることも少なくないと指摘し、“「DNAR」はあくまでも心停止時の対応であり、心停止でない急変時に救命処置を行わなくてよいということではない“と注意喚起している。DNARなど高齢者救急に関連する用語の統一概念を提示 2017年に発足した日本救急医学会の高齢者救急委員会において、DNARやACPなどの高齢者救急に関連する用語の統一概念の検討・定義が行われ、「高齢者救急に関する用語の統一概念」として策定された。 「予想しない急変」「予想された急変」「延命医療・延命措置」など、大きく15の項目について定義が簡潔に示されており、国内だけでも学会や医師会などで複数の定義が示されているACPに関しては、それらを一覧できる形で示している。

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臨床意思決定支援システム、不適切な画像診断依頼を減らせず/JAMA

 臨床意思決定支援システム(CDSS)を導入しても、大学病院における医師による不適切な画像診断依頼の数は減少しなかった。オランダ・エラスムスMC大学医療センターのStijntje W. Dijk氏らが、CDSSとしての欧州放射線学会(ESR)iGuideの導入が医師の画像検査発注行動の適切性に与える影響を評価する目的で実施したクラスター無作為化臨床試験「Medical Imaging Decision And Support trial:MIDAS試験」の結果を報告した。医療画像診断が広く使用されていることを考慮すると、適切性を向上させるための介入の有効性を評価することは、医療資源と患者のアウトカムの最適化において非常に重要とされる。JAMA誌オンライン版2025年2月10日号掲載の報告。ドイツの3大学病院26診療科によるクラスター無作為化試験 研究グループは、ドイツの大学病院3施設の26診療科を対象にクラスター無作為化臨床試験を実施した。2021年12月~2024年6月の2.5年間にわたり、参加診療科の医師によるすべての画像診断依頼を対象とした。 全診療科においてCDSS非使用で試験が開始され、構造化された臨床適応データの入力と画像診断依頼の追跡が求められた。その後、無作為化され、13の診療科(クラスター)がCDSS介入を受け(介入群)、13の診療科は介入を受けなかった(対照群)。 介入群では、画像診断依頼が「適切」「条件付きで適切」「不適切」かの情報が医師に提示され、さらにCDSSより代替の診断検査とその適切性スコアが提案され、それに基づき医師は画像診断依頼の修正を選択することができた。 主要アウトカムは、診療科別の不適切な画像診断依頼の割合とした。差分の差分法を用い、CDSSを導入している診療科と導入していない診療科での不適切な画像診断依頼の割合の変化を比較した。CDSS導入前後で、不適切な画像診断依頼は減少せず 計6万5,764件の画像診断依頼がCDSSによりスコア付けされた。画像診断依頼の50.1%は女性患者に関するもので、患者の平均年齢は64歳(標準偏差17.1歳)であった。 CDSS導入前において、対照群の画像診断依頼は2万1,625件で、そのうち1,367件(6.3%)が不適切と分類された。また、介入群の画像診断依頼は1万3,338件で、そのうち1,007件(7.6%)が不適切と分類された。 CDSS導入後、不適切に分類されたのは、対照群で画像診断依頼1万55件中518件(5.2%)、介入群で7,206件中461件(6.4%)であった。 不適切な画像診断依頼の減少は、介入群で平均差-0.5%(99%信頼区間[CI]:-2.4~0.4)であり、対照群の-1.8%(-4.3~-0.4)と変わらなかった。差分の差分析の結果、群間差は1.3%ポイント(99%CI:-2.0~1.8、p=0.69)であり、統計学的な有意差は認められなかった。

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血栓溶解療法なしの急性期脳梗塞、nerinetideの有用性は?/Lancet

 シナプス後肥厚部タンパク質95(PSD-95)を阻害するエイコサペプチドであるnerinetideは、発症後12時間以内の急性期虚血性脳卒中患者において良好な機能的アウトカムの達成割合を改善しなかった。重篤な有害事象との関連はみられなかった。カナダ・カルガリー大学のMichael D. Hill氏らが、カナダ、米国、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スイス、オーストラリア、シンガポールの77施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「ESCAPE-NEXT試験」の結果を報告した。先行のESCAPE-NA1試験で、nerinetideは静脈内血栓溶解療法の非併用集団において機能的アウトカムの改善と関連していたが、血栓溶解療法との併用における有益性は確認されていなかった。著者は、「さらなる研究により、投与の最適なタイミングや、現在の再灌流療法との併用で有益性を得られる可能性のあるサブグループ集団を特定する必要があるだろう」とまとめている。Lancet誌2025年2月15日号掲載の報告。プラスミノーゲン活性化因子を投与していない急性期脳梗塞患者が対象 研究グループは、発症後12時間以内の前方循環系主幹動脈閉塞による急性期虚血性脳卒中の患者を登録した。 適格基準は、18歳以上、無作為化時点で障害を伴う虚血性脳卒中を発症(ベースラインのNIHSSスコア>5)、脳卒中発症前は地域社会で自立して生活しており(Barthel Indexスコア>90)、ASPECTS>4、プラスミノーゲン活性化因子による治療を受けていない患者とした。 適格患者を、インターネットを用いたリアルタイムの動的・層別・最小化法を用い、nerinetide群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。nerinetide群では推定体重または実測体重(判明している場合)に基づきnerinetide 2.6mg/kgを最高用量270mgまで、プラセボ群では生理食塩水をそれぞれ単回静脈内投与した。全例に血管内血栓除去術を施行した。 主要アウトカムは、無作為化から90日後の良好な機能的アウトカムで、修正Rankinスケール(mRS)スコア0~2と定義した。ITT解析を実施し、脳卒中発症から無作為化までの時間(≦4.5時間/>4.5時間)、年齢、性別、ベースラインのNIHSSスコア、閉塞部位、適格な画像診断から無作為化までの時間、ベースラインのASPECTS、および地域で補正した。副次アウトカムは、死亡率、脳卒中の悪化、機能的自立の改善、および神経学的障害であった。良好な機能的アウトカムの達成割合は、nerinetide群45%、プラセボ群46% 2020年12月6日~2023年1月31日に、850例がnerinetide群(454例)またはプラセボ群(396例)に割り付けられた。 主要アウトカムである90日時点のmRSスコア0~2を達成した患者の割合は、nerinetide群45%(206/454例)、プラセボ群46%(181/396例)であった。オッズ比は0.97(95%信頼区間:0.72~1.30、p=0.82)で、両群間に有意差は認められなかった。 安全性については(解析対象集団は試験薬の投与を受けた844例)、重篤な有害事象の発現率はnerinetide群41%(183/451例)、プラセボ群34%(134/393例)であり同程度であった。

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高齢透析患者のHb値と死亡の関連、栄養状態で異なる可能性/奈良県立医科大

 血液透析を受けている患者における最適なヘモグロビン(Hb)値は依然として議論が続いている。今回、日本における高齢の透析患者では、Hb値と死亡の関連は栄養状態によって異なり、栄養リスクの低い群ではHb値が10.0g/dL未満および13.0g/dL以上の場合に死亡リスクが増大したが、栄養リスクの高い群ではHb値が死亡に与える影響は弱まったため、栄養不良の高齢患者では貧血管理よりも栄養管理を優先する必要があることを、奈良県立医科大学の孤杉 公啓氏らが明らかにした。Journal of Renal Nutrition誌オンライン版2025年1月24日号掲載の報告。 貧血は血液透析を受けている高齢患者の一般的な合併症で、予後不良と関連している。高齢患者は栄養失調や蛋白・エネルギー消耗状態(protein-energy wasting)、フレイルになりやすい傾向があり、これらが貧血の経過に影響を及ぼすこともある。そこで研究グループは、血液透析を受けている高齢患者の最適なHb値は栄養状態などの全身状態によって異なるという仮説を立て、栄養状態別のHb値と死亡との関連を調査するために、2019~21年の日本透析医学会統計調査(JRDR)のデータベースを用いて観察研究を実施した。 解析対象は、週3回の血液透析を受けている75歳以上の9万5,771例であった。栄養指標であるNRI-JHを算出し、低リスク(<8点)、中リスク(8~10点)、高リスク(≧11点)の3つのグループに分類した。Hb値は、基準を10.0~10.9g/dLとして6つのグループに分類した(<9.0、9.0~9.9、10.0~10.9、11.0~11.9、12.0~12.9、≧13.0g/dL)。主要評価項目は全死因死亡であった。Hb値と死亡の関連はCox回帰分析を用いて推定した。非線形関係は制限付き3次スプライン解析を用いて検証した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値24ヵ月で2万7,611例が死亡した。・全体集団において、Hb値10~10.9g/dLの場合と比較して、10.0g/dL未満および13.0g/dL以上で全死因死亡リスクが増大した(<9.0g/dLの調整ハザード比[aHR]:1.21[95%信頼区間[CI]:1.16~1.26]、9.0~9.9g/dLのaHR:1.06[1.02~1.10]、≧13g/dLのaHR:1.15[1.07~1.22])。・NRI-JHリスク別の解析では、低リスク群でもHb値10.0g/dL未満および13.0g/dL以上で全死因死亡リスクが増大した(<9.0g/dLのaHR:1.45[95%CI:1.32~1.59]、9.0~9.9g/dLのaHR:1.15[1.08~1.22]、≧13g/dLのaHR:1.18[1.07~1.29])。・NRI-JH高リスク群では、Hb値が<9.0g/dLの場合でのみリスクがわずかに増大した(aHR:1.07[95%CI:1.01~1.15])。 これらの結果より、研究グループは「高齢の透析患者のうち、高リスクの栄養状態にある患者ではHb値が死亡に与える影響は弱まった。維持すべきHb値の範囲は栄養状態によって異なる可能性があり、血液透析を受けている栄養不良の高齢患者では貧血管理よりも栄養管理を優先する必要がある」とまとめた。

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血液検査で大腸がんを正確に検出/ASCO-GI

 実験的な血液検査をベースにした大腸がんスクリーニング検査により、平均的な大腸がんリスクを有する45歳以上の成人において、大腸がんを効果的に検出できることが示された。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のAasma Shaukat氏らによるこの研究結果は、米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO-GI 2025、1月23〜25日、米サンフランシスコ)で発表された。Shaukat氏は、「このような血液検査は、大腸がんのスクリーニング検査の受診率を高めるのに役立つ可能性がある」と述べている。 現状では、大腸がんのスクリーニング検査のゴールドスタンダードは大腸内視鏡検査であるが、この検査では事前に下剤服用や食事調整などの準備が必要な上に、検査時には麻酔や鎮静薬を使用する。便中の血液の有無を調べる便潜血検査も大腸がんのスクリーニングに用いられるが、現在のガイドラインでは毎年の検査実施が必要である。こうした現状を踏まえてShaukat氏は、「便利で安全、かつ実施も容易な新たな大腸がんスクリーニング検査の手段が求められている」と話す。 Shaukat氏らの研究(PREEMPT CRC)は、全米200カ所以上の施設で登録された、平均的な大腸がんリスクを有する45歳以上の成人を対象に、Freenome社の血液検査をベースにした大腸がんスクリーニング検査の有効性を検討している最大規模の研究である。2024年の報告では、この検査は、大腸がんに対する感度が79.2%、advanced colorectal neoplasia(ACN;直径10mm以上の腺腫と大腸がんを包括する概念)に対する特異度が91.5%、ACNの陰性的中率(NPV)は90.8%、陽性的中率(PPV)は15.5%、進行前がん病変(APL)に対する感度は12.5%であることが報告されていた。 今回の研究では、この検査が標準的な米国人口においてどのように機能するかを評価するために、米国の年齢層や性別の分布に基づく重み付けを行った上で解析を実施した。解析対象は、PREEMPT CRCに登録された3万2,731人のうち、評価可能な血液サンプルと大腸内視鏡検査のデータが完備した2万7,010人(年齢中央値57.0歳、女性55.8%)であった。 その結果、大腸がんに対する感度は81.1%、ACNを持たない人に対する特異度は90.4%、ACNを持たない人に対するNPVは90.5%、ACNのPPVは15.5%、APLに対する感度は13.7%であることが示された。 この研究には関与していない、米イェール大学医学部消化器腫瘍学主任のPamela Kunz氏は、「この血液検査は、大腸がんスクリーニングの検査法の選択肢に新たに加わるものだ」と述べている。同氏は、「これらの結果は、このような血液検査が、平均的なリスクを持つ米国人口の大腸がんスクリーニング検査において、便利で効果的な選択肢となる可能性があることを示している」と話す。 研究グループは、大腸がんのスクリーニングの検査法としてのこの血液検査の長期的な影響について研究を続ける予定であるとしている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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