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ストラテラ(アトモキセチン)がADHD(注意欠陥/多動性障害)18歳以降も継続使用可能に(日本イーライリリープレスセミナーより)

日本イーライリリーは、7月28日「ADHDのある子どもに、将来を見据えた支援を~小児期から、思春期・成人期への視点~」と題しプレスセミナーを開催した。セミナーでは、国立国際医療研究センター国府台病院 精神科部門 齊藤万比古氏が「ADHDの経過と支援」を、ADHD患者の親である高橋洋輔氏(仮名)が、お子さんの経過と今後についてそれぞれ発表した。セミナーの中で齊藤氏は次のように述べた。ADHDは通常幼児期または児童期に見出される障害であり、成人期には障害を残すことが少ないという理解があった。しかし、近年の欧米の研究では、58~68%のADHD患者の親が「症状は青年期以降も持続している」と評価しているとするデータも出てきており、実臨床の経験からも成人期以降も課題が残ることは明らかである。ADHDは、原疾患に行動障害や情緒障害が併存し、やがて反社会性の進行、内在化障害の進行といった二次障害に発展する。実際、多くの患者が疾患を認識する頃にはすでに二次障害を併存しており、病態は複雑化している。ADHD当事者の青年期以降の困難は、内在性障害(大うつ病、不安障害など)、抑うつパーソナリティ、アルコールなどの物質使用障害、反抗挑戦性障害のリスクが高いことにある。また、反抗挑戦性障害と薬物乱用が重なると、うつ・不安障害をきたしやすいとされる。そのため、ADHD治療は症状の改善だけでなく、社会適応上の障害がほとんど問題にならないよう支援することも目標となる。このように、青年期以降も多くの精神的社会的リスクを抱え続けることとなるADHD患者においては、児童期からの継続治療と支援は必須であるといえる。ADHDのお子さんを抱える高橋洋輔氏(仮名)は、現在の状況には光を見いだしているが、コンサータ(メチルフェニデート)とストラテラの2剤でコントロールしている症状が、18歳からはストラテラ1剤しか使用できなくなることに不安を感じるとコメントした。今回、ストラテラが18歳以降も継続使用が可能になったことは朗報であるが、ADHD治療薬が十分であるとはいえない。現在、児童期に使用できる薬剤はコンサータとストラテラだけであり、さらに18歳以降も継続使用できる薬剤はストラテラのみである。ちなみに、今回の適応は18歳以前からの継続使用であり、18歳以降にADHD罹患が判明したケースには適応できない。青年期以降の適応は現在治験進行中である。(ケアネット 細田 雅之)

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【セミナー開催のお知らせ】一般公開シンポジウム 終末期医療と人の死を考える

 生き方 死に方を考える社会フォーラムは医療人文学研究会と共催で、2010年8月7日(日)に大阪府の豊中市千里公民館にて「一般公開シンポジウム 終末期医療と人の死を考える」を開催する。 開催概要は以下の通り。日時:2010年8月7日(日)14:00~17:00会場:豊中市千里公民館 3F 第一講座室料金:入場無料(どなたでもご自由にご参加ください)◆ゲスト恒藤 暁(大阪大学大学院医学系研究科教授・緩和医療学)「緩和ケアからみる現代医療の光と影」森岡 正博「日本人の死生観と現代に求められる死の哲学」◆ホスト大村 英昭(関西学院大学社会学部教授)石蔵 文信(大阪大学大学院医学系研究科准教授)主催: 生き方 死に方を考える社会フォーラム共催:医療人文学研究会連絡先: 大阪大学人間科学研究科文化社会学研究室山中浩司 Tel/Fax:06-6879-8078 e-mail:yamanaka@hus.osaka-u.ac.jp詳細は「医療人文学研究会」ウェブサイトへhttp://bunka.hus.osaka-u.ac.jp/medical_humanities/meeting.html

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血糖センサー付インスリンポンプ、1型糖尿病患者の血糖コントロール有意に改善

近年、1型糖尿病患者向けにインスリン治療器具が様々に開発され、従来の注射療法に代わる、小型携帯型24時間自動注入可能なインスリンポンプ、さらには血糖センサー付インスリンポンプが登場した。本論は、米国ミネアポリスにあるPark Nicollet国際糖尿病センターのRichard M. Bergenstal氏ら「STAR 3」研究グループが、最新の血糖センサー付インスリンポンプについて、従来の注射療法との有効性を比較した1年にわたる多施設共同無作為化試験結果の報告で、小児、成人とも有意に血糖コントロールが改善し、目標血糖値達成割合も高かったという。これまでも、インスリンポンプが注射療法よりも有効であることは明らかにされていたが、小児については結果にバラつきがあった。NEJM誌2010年7月22日号(オンライン版2010年6月29日号)掲載より。成人329例、小児156例を、最新ポンプ療法群と従来注射療法群に無作為化試験は、1型糖尿病で血糖コントロール不良の、成人(19~70歳)329例と小児(7~18歳)156例の計485例を、血糖センサー付インスリンポンプで治療する群(ポンプ療法群、成人166例、小児78例)と、1日複数回の注射療法群(成人163例、小児78例)とに無作為化して行われた。主要エンドポイントは、追跡1年時点の血糖値(HbA1c)の、ベースラインからの変化。患者は、遺伝子組み換え型インスリンアナログ製剤を投与され、専門家医療チームが管理指導にあたった。1年時点の血糖値低下、7%未満達成割合ともにポンプ療法群に軍配ベースラインでの両群の平均HbA1c値はともに、8.3%だった。1年時点で、その値は、ポンプ療法群は7.5%と、注射療法群の8.1%よりも有意に低下していた(P<0.001)。<7%目標達成患者の割合は、注射療法群よりもポンプ療法群で大きかった(27%対10%、P<0.001)。重症低血糖発生は、ポンプ療法群は100人・年につき13.31例、注射療法群は100人・年につき13.48例で、有意差は認められなかった(P=0.58)。また、両群とも体重増加はみられなかった。(医療ライター:武藤まき)

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膝前十字靱帯断裂の急性期は、まずリハビリを

米国では毎年20万件以上の膝前十字靱帯(ACL)再建手術が行われ、直接医療費は約30億ドルに上ると推計されるが、ACL再建が他の治療に比べて優れているとのエビデンスは、質の高い無作為化試験によっても明らかにはなっていない。ACL断裂は、若年者の活動性に重大な損傷をもたらすため、特にスポーツ愛好者・選手は、スポーツ再開を望み断裂修復こそが最良であるとみなし手術を受けるが、治療の中心はあくまで保存療法(体系的リハビリテーション)である。ただし現状では必ずしもリハビリは行われていない。そこで、スウェーデンのランド大学臨床科学整形学部門のRichard B. Frobell氏らは、ACL断裂の至適な治療戦略に関する検討を行った。NEJM誌2010年7月22日号掲載より。リハビリ+早期ACL再建 vs.リハビリ+必要に応じたACL再建Frobell氏らが検討した治療戦略は、体系的リハビリテーション+早期ACL再建(早期再建術群)と、体系的リハビリテーション+必要に応じて行うACL再建(待機的再建術群)の2つで、無作為化試験にて行われた。対象は急性期のACL断裂を有した活動的な若年者121例。主要アウトカムは、ベースラインから2年時点までの、KOOS(Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score)の、4つのサブスケール(疼痛、症状、スポーツ・レクリエーション時の機能、膝に関係するQOL)の平均スコア(0~100;点が高いほど良好)の変化とした。副次アウトカムには、KOOSのサブスケール5つすべて(前述+ADL機能)、SF-36健康調査票の結果、Tegner Activity Scaleスコアを含んだ。2年時の主要アウトカムの差は0.2ポイント早期再建術群に割り付けられた被験者62例のうち、1例は手術を受けなかった。一方、待機的再建術群に割り付けられた被験者59例は、手術を受けたのは23例で、36例はリハビリテーションのみで手術は必要としなかった。KOOS(4)の平均スコアの変化は、2年時点で、早期再建術群が39.2ポイント、待機的再建術群が39.4ポイントで、両群の絶対差は0.2ポイント(95%信頼区間:-6.5~6.8、P=0.96)だった。副次アウトカムについても、両群治療戦略間に有意な違いは認められなかった。有害事象は両群で同等に認められた。実際に行われた治療に基づき分析した結果も同様だった。これらからFrobell氏は、「ACL断裂を有した活動的な若年者では、リハビリ+早期ACL再建術の治療戦略が、リハビリ+必要に応じたACL再建術の治療戦略と比べ、優れているとは認められなかった。また後者の治療戦略を取ることで、再建手術がかなり減った」と結論している。(医療ライター:武藤まき)

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HIVワクチン接種者の4割で血清反応陽性

HIVワクチン接種者の血清反応陽性(VISP)頻度について調査が行われた。HIVワクチンは過去20年間で様々なアプローチ、ターゲット、投与タイプの製品開発が進められ、3万人以上に臨床試験が行われている。そのためHIV検査の解釈に混乱が生じている可能性があるとして行われた。米国シアトルにあるFred Hutchinsonがん研究センターHIV/AIDS戦略部門のCristine J. Cooper氏らによるもので、JAMA誌2010年7月21日号にて掲載されている。過去10年間のワクチン接種非感染者2,176例を対象調査は、2000~2010年の間に、米国、南米、タイ、アフリカで実施・完了したHIVワクチン臨床試験(phase 1:25試験、phase 2a:2試験)に参加し、血清反応陰性だった2,176例を対象に行われた。VISP判定には、FDA認可の一般的な三つのEIAキットが使われ、HIVのルーチン診断アルゴリズムを用いてVISP頻度が評価された。主要評価項目は、EIAキットで反応があり(一つ以上)、ウエスタンブロット法陰性あるいは境界型/非定型陽性、核酸検査HIV-1陰性と定義されたVISPの頻度とした。ワクチンの種類で異なる対象2,176例のうち、908例(41.7%、95%信頼区間:39.6%~43.8%)でVISPが認められた。VISPの頻度はワクチンの種類によって異なることが認められた。アデノウイルス5型ワクチンでは86.7%(95%信頼区間:83.3%~89.7%、399/460例)、ポックスウイルスワクチン単独あるいはブースト接種では53.4%(同:49.2%~57.7%、295/552例)、DNA単独ワクチンでは6.3%(同:4.4%~8.7%、35/555例)だった。また全体で、VISPの占める割合が最も多かったのは、HIV 1/2(rDNA)EIAキットで40.9%(891/2,176検査)、rLAV EIAキットは21.4%(150/700検査)、HIV-1 Plus O Microelisa Systemキットは14.7%(193/1,309検査)、HIV 1/2 PeptideキットとHIV 1/2 Plus Oキット合わせて8.8%(189/2,150検査)だった。なお、VISPだった908例のうち、HIV 1/2(rDNA)EIAキットで反応なしだった被験者は17例(1.9%)だった。グリコプロテイン140ワクチン接種者(70例)は全例でVISPが認められた。そのうち94.3%が三つすべてのEIAキットで反応がみられた。VISPでウエスタンブロット法の結果を有していた901例について、92例(10.2%)がウエスタンブロット法陽性(ワクチン製品タイプによらず非定型陽性)、592(65.7%)が同境界型陽性だった。VISPだった被験者のうち、エンベロープ遺伝子を含まないワクチンを接種されたのは8例だけだった。これらからCooper氏は、「HIVワクチン接種者のVISPはよくみられることで、特にHIV-1エンベロープ遺伝子と集団特異的なコア抗原遺伝子タンパクを含むワクチンで多い。VISPの発現はワクチンによる免疫獲得によるもので、EIA法での検出が有用であることが明らかになった」と結論している。(医療ライター:朝田哲明)

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救急外来でのルーチンな強制HIVスクリーニングの効果は?

米国疾病管理予防センター(CDC)は、救急外来部門を含む医療機関での、ルーチン(無目標)強制迅速HIVスクリーニングを行うことを推奨している。このアプローチにより発見される診断未確定のHIV感染は0.1%に上るというが、これまで救急部門だけをみた場合の実施の有用性は明らかになっていない。そこで、デンバーヘルス医療センター救急部門Jason S. Haukoos氏らが救急部門のみを対象とする調査を行った。結果、若干だが識別できた患者が増えていたことが明らかになった。ただし病期は進行していたという。JAMA誌2010年7月21日号掲載より。4ヵ月おきに強制スクリーニング期間を設定し特定できた患者数を調査調査は、デンバーヘルス医療センター(477床)救急部門で行われ、無目標強制迅速HIVスクリーニングが、医師が確定診断のため迅速検査を依頼した場合と比べて、より多くの新規患者を特定できるかどうかについて検討された。都市部の公的セイフティネット病院としての役割を担う同センター救急部門には、年間約5万5,000人の患者が訪れる。そのうち検査に同意を示すことが可能だった16歳以上の患者を対象に、2007年4月15日から2009年4月15日の間、4ヵ月おきに強制スクリーニング期間を設け実施した。合間の4ヵ月間は、医師が診断を必要とした場合のみ実施。主要評価項目は、新規に診断されたHIV感染者数と、スクリーニングおよび診断検査との関連とした。無目標強制迅速HIVスクリーニングと新規HIV診断は独立して相関強制スクリーニング期間における適格患者の合計は2万8,043人だった。そのうち6,933人(25%)がHIV検査を受けた。内訳は、強制的に受けた人6,702人(スクリーニング群)、強制期間中だったが医師が診断確定のため必要と判断し受けた人231人(必要診断検査群)だった。このうち新規HIV患者は、スクリーニング群10/6,702人・0.15%(95%信頼区間:0.07%~0.27%)、必要診断検査群5/231人・2.2%(同0.7%~5.0%)で特定された。一方、必要診断検査期間における適格患者の合計は2万9,925人。そのうち243人(0.8%)が検査を受け、特定された新規HIV患者は4/243人・1.6%(95%信頼区間:0.5%~4.2%)だった。強制期間における新規HIV患者の有病率は、15/28,043人・0.05%(同:0.03%~0.09%)、必要診断期間における有病率は、4/29,925人・0.01%(同:0.004%~0.03%)で、無目的強制迅速HIVスクリーニングと新規HIV診断は、母集団、保険種別、必要診断が強制期間中だったかどうかについて補正後も、独立した相関が示された(リスク比:3.6、95%信頼区間:1.2~10.8)。新規診断患者のCD4細胞数の中央値は、強制期間群で特定された患者の場合は69/microL(IQR:17~430)、必要診断期間群は13/microL(IQR:11~15)だった。(医療ライター:朝田哲明)

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特発性頭蓋内圧亢進症への低エネルギー食介入、3ヵ月で有意に改善

特発性頭蓋内圧亢進症を有する女性への、食事療法(低エネルギー食)介入は、有意に頭蓋内圧を低下し、耳鳴りなどの症状、乳頭浮腫も改善することが、英国バーミンガム大学免疫・感染症スクール眼科教育部門のAlexandra J Sinclair氏らによる前向きコホート研究の結果、報告された。食事療法終了後も3ヵ月間、効果は持続していたことも確認された。BMJ誌2010年7月17日号(オンライン版2010年7月7日号)掲載より。425kcal/日の低エネルギー食介入後の、頭蓋内圧の低下を観察試験は、英国内の病院の外来および臨床研究施設から被験者を集め行われた。被験者は、BMIが>25、乳頭浮腫を呈し、頭蓋内圧>25cmH2O、慢性(3ヵ月超)特発性頭蓋内圧亢進症の女性25人だった。手術治療を受けた患者は除外された。被験者は試験登録後、3ヵ月間は新規介入を受けず(ステージ1)、続く3ヵ月間は低エネルギー食(1,777kJ/日、425kcal/日)の介入を(ステージ2)、その後3ヵ月間は追跡期間とされた(ステージ3)。主要評価項目は、食事療法介入後の頭蓋内圧の低下。副次評価項目には、頭痛(headache impact test-6)スコア、乳頭浮腫[超音波測定(視神経乳頭腫脹、神経鞘腫直径)、OCT測定(乳頭周囲網膜厚)]、ハンフリー視野の平均偏差、LogMAR視力、その他症状を含んだ。評価は、基線、3、6、9ヵ月時点で行われ、また頭蓋内圧は、腰椎穿刺にて、基線、3、6ヵ月時点で測定された。体重、頭蓋内圧、頭痛、乳頭浮腫が有意に低下ステージ1の間は、各値に変化はみられなかった。ステージ2の間では、体重[平均15.7(SD:8.0)kg、P

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究めたい専門があっても卒後1年目からキャリアを積める医師は約半数

志向する専門キャリアを卒後すぐに積み上げることは難しい状況にあることが、英国オックスフォード大学公衆衛生学部UKメディカルキャリア研究グループのMichael J Goldacre氏らの調査で明らかになった。1974~1996年の間に医師となった1万5千人超の、卒後10年間に選択してきた専門キャリアと最終的に目指す専門キャリアについてアンケート調査を行った結果、約4分の1の医師の10年時点の就業している専門が、卒後1~3年の選択キャリアとは異なっていた。調査対象期間に英国では、より高い専門性を短期で身につけることを目的とした卒後研修プログラムの改革が行われてきたが、改革プログラムの効果はみられなかったという。BMJ誌2010年7月17日号(オンライン版2010年7月6日号)掲載より。医師1万5千人超の、卒後10年間の経年専門キャリアと目標専門キャリアを調査調査はアンケート形式で行われ、1974、1977、1983、1993、1996年に医師免許を取得した合計1万5,759人の、卒後10年のキャリアを調査した。卒後1、3年時点のキャリアについては1万5,759人全員を対象に、卒業5年時点については1万2,108人を対象に調査された。各時点のキャリアが把握できたのは、1年時点64%(n=1,0154)、3年時点62%(n=9,702)、5年時点61%(n=7,429)だった。最終目標と経年選択キャリアとの一致率、1年時54%、3年時70%、5年時83%1993、1996年のコホート群の、10年時の目標キャリアとの一致率は、1年時選択キャリアとは54%(1,890/3,508人)、3年時とは70%(2,494/3,579人)、5年時とは83%(2,916/3,524人)だった。上の年代のコホート群(1974、1977、1983年)についても、一致率は同様で、それぞれ、53%(3,310/6,264人)、74%(4,233/5,752人)、82%(2,976/3,646人)だった。ただし、たとえば外科の一致率は一貫して高いなど、専門別による一致率の違いが認められた。1年時選択専門キャリアと最終目標専門キャリアが一致していた医師のうち74%(722/982人)は、卒後1年目に明確に(未確実、不確定よりは強く)、希望する専門を有していた。しかし約半数が、病院の専門部門で働くことを希望したものの結局はかなわず、10年時点まで一般診療所(GP)で働いていた。結果を受けGoldacre氏は、「卒後研修は希望する専門を確実に受けられるという前提を有し、明確な専門選択を有したら速やかにその専門キャリアを積める。一方で、後から選択した人も学べるという柔軟性のあるものに一刻も早くしなければならない」と結論している。

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医療・介護施設にも最適 業務用空気清浄機『光クリエール』を新発売

ダイキン工業株式会社は22日、ウイルスの活動を抑制する当社独自の「光速ストリーマ」技術を搭載した業務用空気清浄機『光クリエール』を10月25日より発売すると発表した。空気清浄機は一般家庭だけでなく、医療・介護施設や学校など、人が集まる空間でのニオイや菌・ウイルス除去へのニーズが急速に伸びている。2009年に発売した「光速ストリーマ」技術搭載の店舗・オフィスエアコンやバス車内用ウイルス除去システムにも活用されている。今回新たに発売される商品は、大風量かつ高速電子から生まれる活性種によってウイルス抑制、除菌、脱臭効果を発揮する同社の「光速ストリーマ」技術を搭載することで、100ミリ平方メートルの大空間を1台で除菌できるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.daikin.co.jp/press/2010/100722/index.html

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開業医たちは漢方薬の処方に積極的? 9割が日常診療で処方経験あり

株式会社QLife(キューライフ)は27日、開業医の漢方薬処方の背景や今後の意向についてアンケート調査結果を発表した。回答したのは診療所の院長200名。調査は、2010年5月25日~6月1日にインターネット上で行われた。調査結果によると、日常の診療において漢方薬を使っている医院は89%にのぼった。「患者の5人に1人以上」に処方している医師も13%いた。逆に「過去に処方していたが今はしていない」という回答もあった(8%)。また、漢方薬の処方に積極的なのは「収益好調な」医院に多い傾向があった。また、漢方薬の処方は治療効果以外にも、患者との関係や再診率向上にもメリットがあったと回答した開業医が多かった。特に「患者層に更年期女性が多い」医院では大きな効果がみられたようだ。さらに、3人に1人は今後「漢方薬を増やす」と回答し、すでに積極的に処方している医師ほど増やす意向が強かった。主な理由は「西洋薬のみでは限界」「エビデンス情報の増加」など。その一方で、「エビデンス・メカニズムが不明確」「効果に疑問」「剤形の選択肢が乏しい」などの点で増やしにくいと考える医師も少なくなかった。詳細はプレスリリースへhttp://www.qlife.co.jp/news/1312.html

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服薬量の自己調節+遠隔モニタリングで、良好な血圧コントロールを達成

高血圧患者自身による服薬量の自己調節と血圧の遠隔モニタリングにより、プライマリ・ケアにおいて良好な血圧コントロールが達成可能なことが、イギリスBirmingham大学プライマリ・ケア臨床科学部のRichard J McManus氏らが行った無作為化試験で示された。血圧のコントロールは心血管疾患の予防の要であるが、ライフスタイルへの介入や薬物療法の進歩にもかかわらず、現在の推奨治療で良好な血圧コントロールが得られる高血圧患者は約半数にすぎない。それゆえ、特に降圧治療の主たる現場であるプラマリ・ケアにおける新たな介入法の開発が必要とされており、患者自身による自己管理はその有望なアプローチだという。Lancet誌2010年7月17日号(オンライン版2010年7月8日号)掲載の報告。血圧コントロールが不良な高血圧患者で、自己管理と通常ケアを比較TASMINH2の研究グループは、コントロール不良な高血圧患者による自己管理が、通常のケアに比し良好な血圧コントロールをもたらすか否かについて検討する無作為化対照比較試験を実施した。イギリス国内の24のプライマリ・ケア施設が参加した。対象は、降圧治療を行っても血圧が140/90mmHg以上に達し、自己管理に同意した35~85歳の高血圧患者であった。これらの患者が、血圧を自己測定して降圧薬の服薬量を自分で調節し、家庭血圧の測定値の遠隔モニタリングを行う群あるいは通常ケア群に1対1の割合になるよう無作為に割り付けられた。治療の割り付け情報は患者にも担当医師にも知らされなかった。主要評価項目は、治療6ヵ月および12ヵ月の時点におけるベースラインからの平均収縮期血圧の変化とした。欠測したデータの補完は行わず、無作為割り付けの対象となり6ヵ月、12ヵ月に受診して評価項目のデータが得られたすべての患者が解析に含まれた。治療6ヵ月の血圧低下:自己管理群12.9、対照群9.2mmHg、12ヵ月:17.6、12.2mmHg527例が登録され自己管理群に263例が、対照群に264例が割り付けられた。主要評価項目の解析が可能であったのは480例(91%)で、自己管理群234例、対照群246例であった。治療6ヵ月における自己管理群の平均収縮期血圧はベースラインに比べ12.9mmHg(95%信頼区間:10.4~15.5)低下したのに対し、対照群では9.2mmHg(同:6.7~11.8)低下し、その差3.7mmHg(同:0.8~6.6)は統計学的に有意であった(p=0.013)。治療12ヵ月では、自己管理群における平均収縮期血圧のベースラインからの低下が17.6mmHg(95%信頼区間:14.9~20.3)であったのに対し、対照群の低下は12.2mmHg(同:9.5~14.9)と5.4mmHg(同:2.4~8.5)の差がみられ、有意差を認めた(p=0.0004)。下肢のむくみが自己管理群で32%(74/234例)と対照群の22%(55/246例)に比べ有意に多くみられたが、これ以外の一般的な有害事象の頻度は両群間に差を認めなかった。著者は、「患者による高血圧の自己管理と血圧測定の遠隔モニタリングを併用するアプローチは、プライマリ・ケアにおける高血圧のコントロールの新たな治療選択肢として重要であることが示された」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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糖尿病性網膜症の進行を抑制する薬物療法

2型糖尿病患者の網膜症進行に対する薬物療法の効果を検討した結果、強化血糖コントロールと、抗高脂血症薬併用療法で進行率の低下が認められたことが報告された。一方、強化血圧コントロールによる効果は認められなかった。報告は、「ACCORD」試験被験者のサブグループ「ACCORD Eye」被験者データを解析した結果による。これまでのデータで、血糖、コレステロール、血圧という全身性因子が、糖尿病性網膜症の発症および進行に重要な影響を及ぼしている可能性が示唆されていたことを受けて行われた。NEJM誌2010年7月15日号(オンライン版2010年6月29日号)より。ACCORDサブグループ対象に解析無作為化試験「ACCORD」(Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes)は、2型糖尿病を有し心血管疾患リスクが高く、各種薬物療法を受けている1万251例が参加して行われた。被験者は、血糖コントロールの強化治療(目標<6.0%)もしくは標準治療(同7.0~7.9%)を受け、さらに脂質異常症に対する治療として抗高脂血症薬の併用投与[フェノフィブラート(商品名:リピディルなど)1日1回160mg+シンバスタチン(商品名:リポバスなど)]か単独投与(プラセボ+シンバスタチン)を、あるいは収縮期血圧コントロール[目標<120mmHg(強化群)か<140mmHg(標準群)]を受けた。これら治療の糖尿病性網膜症に対する4年時点の効果について、サブグループ「ACCORD Eye」(2,856例)を対象に評価が行われた。評価は、ETDRS(Early Treatment Diabetic Retinopathy Study)重症度スケール(7方向の立体眼底写真を17段階で評価、高段階ほど重症)で3段階以上の進行、あるいはレーザー光凝固術または硝子体切除術を余儀なくされた糖尿病性網膜症の発症について検討された。強化血糖コントロールのオッズ比0.67、抗高脂血症薬併用療法のオッズ比は0.604年時点の糖尿病性網膜症の進行率は、強化血糖コントロール群は7.3%だったのに対し、標準血糖コントロール群は10.4%だった。強化血糖コントロール群の補正後オッズ比は0.67(95%信頼区間:0.51~0.87、P=0.003)。抗高脂血症薬治療別では、併用群は6.5%だったのに対し、単独群は10.2%だった。併用群の補正後オッズ比は0.60(0.42~0.87、P=0.006)。一方、血圧コントロールについては、強化血圧コントロール群10.4%、標準血圧コントロール群8.8%で、強化血圧コントロール群の補正後オッズ比は1.23(0.84~1.79、P=0.29)だった。(医療ライター:武藤まき)

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肥満症治療薬lorcaserin、プラセボに比べ体重減少・維持改善が有意

選択的セロトニン2C受容体アゴニストである肥満症治療薬lorcaserin(国内未承認)の体重減少および維持改善効果は、プラセボに比べ有意であることが報告された。米国フロリダ病院&サンフォード-バーナム研究所のSteven R. Smith氏らが行った、2年にわたる98施設参加の多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験「BLOOM」の結果で、NEJM誌2010年7月15日号で発表された。2年にわたる無作為化プラセボ対照二重盲検試験BLOOM(Behavioral Modification and Lorcaserin for Overweight and Obesity Management)試験は、3,182例の肥満・過体重の成人(平均BMI:36.2)を無作為に、lorcaserin 10mgを1日2回投与を受ける群と、同プラセボ投与を受ける群に割り付け行われた。全員、食事療法と行動変容のカウンセリングも受けた。試験は2年にわたり、投与開始52週時点で割り付けの再設定が行われ、プラセボ群は全員引き続きプラセボを、lorcaserin群は無作為にlorcaserinかプラセボを受ける群に再設定された。主要評価項目は、1年時点の体重減少、2年時点の体重減少維持。安全性については、FDA定義の心弁膜症の発現について心エコー検査で確認がされた。1年時点で試験を受けていたのは、lorcaserin群55.4%(883/1,595例)、プラセボ群45.1%(716/1,587例)だった(両群計1,599例)。2年時点では、両群計1,553例だった。1年で5%以上体重減少、lorcaserin群47.5%、プラセボ群20.3%1年時点で、体重が5%以上減少したのは、lorcaserin群は47.5%、プラセボ群は20.3%だった(P<0.001)。重量減少でみると、1年間でlorcaserin群は平均5.8±0.2kg、プラセボ群は平均2.2±0.1kgだった(P<0.001)。1年間lorcaserin投与を受け基線より5%以上体重減少した人について、2年目も引き続きlorcaserin投与を受けた人の方が、2年目はプラセボ投与を受けた人よりも体重減少が維持されていた(67.9%対50.3%、P<0.001)。心エコー検査が行われたのは、1年目2,472例、2年目1,127例だった。いずれもlorcaserin投与に関する心臓弁膜症の増大は認められなかった。lorcaserin群で最も頻度の高かった有害事象は、頭痛、めまい、吐き気で、重篤な有害事象の発生は両群で同等だった。Smith氏は、「行動変容とともにlorcaserin投与を受けた患者の体重減少および維持改善は、プラセボ群と比べて有意だった」と結論している。(医療ライター:武藤まき)

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テレケア介入で、がん患者の疼痛症状、うつ病を改善

症状監視自動モニタリングと連結した遠隔医療(テレケア)管理システムは、都市部の点在するがんケア施設の患者や、地方のがんケア施設で暮らす患者の、疼痛症状やうつ病を改善する効果があるという。米国インディアナポリス・Richard Roudebush退役軍人メディカルセンターのKurt Kroenke氏らが、無作為比較対照試験を行い明らかにした。疼痛症状とうつ病は、がん関連の最も一般的かつ治療可能な症状だが、認知されていなかったり、治療がされていなかったりする頻度も高い。Kroenke氏らは、テレケア管理システムに、そうした状況を改善する効果があるのか検討を行った。JAMA誌2010年7月14日号掲載より。がんケア施設入所者をテレケア介入群と通常ケア群に無作為化し追跡試験は、INCPAD(Indiana Cancer Pain and Depression)試験に協力する地域密着型がんケア施設(都市部と地方合わせて16施設)で行われた。2006年3月~2008年8月に被験者を動員し、2009年8月まで追跡された。うつ病(Patient Health Questionnaire-9)スコアが10以上か、がん疼痛[Brief Pain Inventory(BPI)worst pain]スコアが6以上、あるいは両スコアを満たしていた被験者を、無作為に、テレケアの介入を受ける群(202例)と、通常ケア群(203例)に割り付け、症状タイプごとに分析した。介入群の患者は、ナースフィジシャン専門家チームによるテレケア統合管理システムを受けた。双方向の音声録音またはインターネットで症状を自動で監視する在宅モニタリングシステムが活用された。主要評価項目は、基線・1・3・6・12ヵ月時点で盲見評価された、HSCL-20評価によるうつ病スコア、およびBPI評価による疼痛重症度とした。介入群の改善効果が一貫して大きい被験者405例のうち、うつ病の単一症状が認められたのは131例、疼痛の単一症状が認められたのは96例、両症状が認められたのは178例だった。疼痛症状があった274例のうち、介入群の137例は通常ケア群の137例より、試験12ヵ月一貫してBPIスコアの改善が、より大きかった。平均スコア(範囲0~10)の改善(P<0.001)、基線からのBPI改善が30%以上(P<0.001)、いずれの指標でも介入群の改善が大きかった。同様にうつ症状があった309例も、介入群の154例が通常ケア群の155例より、12ヵ月の間のHSCL-20スコアの改善が、より大きかった。平均スコア(範囲0~4)の改善(P<0.001)、基線からのHSCL-20改善が50%以上(P<0.001)、いずれの指標でも介入群の改善が大きかった。両群間の標準エフェクトサイズ差は、疼痛については3ヵ月時点0.67(95%信頼区間:0.33~1.02)、12ヵ月時点0.39(同0.01~0.77)、うつ病については3ヵ月時点0.42(同0.16~0.69)、12ヵ月時点0.41(同0.08~0.72)だった。

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小児がん5年生存児、診断後25年以降も早期死亡のリスクが高い

小児がん5年生存児は、一般集団と比べ早期死亡のリスクが高いが、長期において、特に一般集団での死亡が実質的に増え始める診断後25年以降についてはどうなのか。これまでの研究で、20年時点で、死亡リスクが高い疾患要因として、再発がんよりも二次原発がんや循環器系イベントによるものだったことが報告されている。英国バーミンガム大学のRaoul C. Reulen氏らは、それより長期の特異的死亡要因について大規模住民ベースによる調査を行った。JAMA誌2010年7月14日号掲載より。1940~1991年の英国小児がん5年生存児1万7,981例を追跡調査は、British Childhood Cancer Survivor Studyに登録された1万7,981例の小児がん5年生存児を対象に行われた。被験者は、英国内で1940~1991年に、15歳未満で小児がんと診断された5年生存者で、2006年まで追跡された。主要評価項目は、標準死亡率比(SMR)と、絶対超過リスク(AER)とした。再発死亡は減少するが、代わって二次原発がん・循環器系死亡が増大追跡期間中の死亡は3,049例で、一般集団の11倍だった(SMR:10.7、95%信頼区間:10.3~11.1)。SMRは追跡期間中減少していったが、診断から45年でもまだ3倍だった(同3.1、2.5~3.9)。再発による死亡のAERは、診断から5~14年時点では、1万人・年当たり97例(95%信頼区間:92~101)だったが、45年以降では8例(同3~22)に減少していた。対照的に同期間の、二次原発がんや循環器系イベントによる死亡のAERは、増加していた。二次原発がん死亡のAERは、8例(同7~10)から58例(同38~90)に、循環器系死亡のAERは、2例(同2~3)から29例(同16~56)に増加していた。診断後45年以降に観察された、再発による死亡のAER(%)は7%だったが、二次原発がん+循環器系の死亡のAER(%)は77%となっていた。Reulen氏は、「英国の小児がん5年生存児は診断後25年以降、二次原発がんや循環器系イベントによる超過死亡の状態が続いていた」と結論している。

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若い肥満女性は予定外の妊娠をしやすい:男女1万人の無作為抽出調査

BMIと性行動、有害な性的健康アウトカムとの間には関連があり、肥満女性は避妊医療サービスの利用度が低く、予定外妊娠の傾向が高いことが、フランス国立衛生医学研究所(INSERM)のNathalie Bajos氏らCSF(Contexte de la Sexualité en France)研究グループの調査で明らかとなった。男性の肥満が勃起不全と関連することは複数の試験で示されているが、性的満足度、望まない妊娠、中絶などの性的な健康アウトカムと肥満との関連ははっきりしていない。これまでに実施された調査のほとんどが高齢男性や病的肥満男性を臨床的サンプルとしたものであり、女性を対象とした試験はほとんどないという。BMJ誌2010年7月10日号(オンライン版2010年6月15日号)掲載の報告。約1万人の男女を対象としたBMI別の性行動に関する無作為抽出調査CSFの研究グループは、肥満者におけるBMIと性的活動性、性的満足度、望まない妊娠、中絶の関連について解析し、調査対象者とそのパートナーのBMIを考慮した公衆衛生学的な診療の意義について考察するために、性行動に関する無作為抽出調査を実施した。2006年にフランス在住の18~69歳の男女1万2,364人の中から、女性5,535人、男性4,635人が無作為に抽出された。そのうち、正常体重(BMI:≧18.5、<25kg/m2)が女性3,651人、男性2,725人、過体重(BMI:≧25、<30 kg/m2)がそれぞれ1,010人、1,488人、肥満(BMI>30kg/m2)は411人、350人であった。肥満者は男女とも性的活動性が低く、若年の肥満女性は避妊に積極的でない肥満女性は、過去12ヵ月間に性的パートナーがいたと回答した者の割合が、正常体重女性に比べ有意に低かった(オッズ比:0.71、95%信頼区間:0.51~0.97)。肥満男性は、同時期に1人以上の性的パートナーがいたと回答した者の割合が正常体重男性に比べ有意に低く(オッズ比:0.31、95%信頼区間:0.17~0.57、p<0.001)、勃起不全と回答した者の割合が有意に高かった(同:2.58、同:1.09~6.11、p<0.05)。女性では、性的機能不全とBMIには関連を認めなかった。30歳未満の肥満女性は、避妊医療サービスに当たる割合が有意に低く(オッズ比:0.37、95%信頼区間:0.18~0.76)、経口避妊薬の使用率も有意に低値であり(同:0.34、同:0.15~0.78)、予定外の妊娠が有意に多くみられた(同:4.26、同:2.21~8.23)。著者は、「BMIと性行動、有害な性的健康アウトカムとの間には関連があり、肥満女性は避妊医療サービスの利用度が低く、予定外妊娠の傾向が高い。これらの女性における望まない妊娠の予防は、性・生殖医療の重要課題である」と結論し、「医療従事者は、性的健康サービスを提供する際には、体重と性別との関連性に留意する必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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PEG施行時の創傷感染に対する新たな予防戦略

経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEG)施行患者の創傷感染の予防では、PEGカテーテル挿入時のコ・トリモキサゾール液[トリメトプリム・スルファメトキサゾール(ST)合剤、商品名:バクタ、バクトラミンなど]の投与は、従来のPEG施行前のセフロキシム(商品名:オラセフ)の予防投与と同等の予防効果を有することが、スウェーデン・カロリンスカ研究所分子外科学のJohn Blomberg氏らによる無作為化試験で示された。PEGの合併症である創傷感染の予防法として、通常、PEG開始直前に第2世代セファロスポリンの静脈内投与が行われるが、高価で時間がかかり、PEGが完遂できない患者に無駄に投与している場合もあるという。BMJ誌2010年7月10日号(オンライン版2010年7月2日号)掲載の報告。新たな予防戦略と従来の予防投与を比較する二重盲検無作為化対照比較試験研究グループは、PEG施行時の抗生物質予防投与の簡便な治療戦略について検討するために、単一施設における二重盲検無作為化対照比較試験を行った。2005年6月~2009年10月までに、カロリンスカ大学病院内視鏡部でPEGを施行された234例が対象となった。これらの患者が、PEGカテーテル挿入直後にコ・トリモキサゾール経口液20mLを投与する群あるいは従来法であるPEGカテーテル挿入前にセフロキシム1.5gを静脈内に予防投与する群(対照群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、PEGカテーテル挿入後14日以内における臨床的に顕性化した創傷感染の発症とした。副次的評価項目は、細菌培養および血液検査(高感度C反応性蛋白、白血球数)における陽性率とした。intention-to-treat解析、per-protocol解析ともに非劣性の条件を満たす234例のうち、コ・トリモキサゾール群に116例が、対照群には118例が割り付けられた。intention-to-treat(ITT)解析では、PEGカテーテル挿入後のフォローアップ期間7~14日における創傷感染の発症率は、コ・トリモキサゾール群が8.6%(10/116例)、対照群は11.9%(14/118例)であり、むしろ新規予防戦略群が3.3%(95%信頼区間:-10.9~4.5%)低かった。per-protocol解析(対象は両群とも100例ずつ)による創傷感染の発症率は、コ・トリモキサゾール群10%、対照群13%であり(両群間の差:-3.0%、95%信頼区間:-11.8~5.8%)、ITT解析と同様の結果であった。事前に規定された非劣性限界値は95%信頼区間上限値15%であった。intention-to-treat解析、per-protocol解析ともにこれを満たしたことから、セフロキシムに対するコ・トリモキサゾールの非劣性が確認された。副次的評価項目も、これらの知見を裏付ける結果であった。著者は、「PEG施行患者の創傷感染の予防では、PEGカテーテル挿入時のコ・トリモキサゾール液20mLの投与は、少なくともPEG施行前のセフロキシム予防投与と同等の効果を有する」と結論し、「この新たな予防戦略は迅速に施行できるうえに安価で安全であり、不必要な投与も減少し、PEGが行われる地域ならば世界中どこでも使用可能である」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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健康高齢男性で筋力アップするテストステロン、運動制限を有する人では?

健康な高齢男性では、テストステロン・サプリメントによって筋量・筋力がアップすることが明らかになっている。米国ボストン大学医療センター内分泌・糖尿病・栄養学部門のShehzad Basaria氏らは、これまで検討されていなかった、運動制限を有する高齢男性を対象にテストステロン補充療法の安全性と有効性について試験を行った。結果、心血管有害事象の増大が認められたと報告した。ただし試験規模が小さかったこと、対象者の特性(慢性疾患有病者が多かった)に留意すべきとコメントもしている。NEJM誌2010年7月8日号(オンライン版2010年6月30日号)掲載より。プラセボ対照試験、有害心血管イベント発生率が有意に高く早期中止に試験は、地域居住の65歳以上男性で、運動制限があり、血清総テストステロン値100~350ng(3.5~12.1nmol/L)もしくは血清遊離テストステロン値50pg/mL(173pmol/L)未満の人を対象に、無作為に、プラセボかテストステロンのゲル剤塗布を毎日、6ヵ月間受けるよう割り付け行われた。有害事象は、MedDRAに基づき分類集計された。試験登録は2005年9月~2009年12月まで。プラセボ投与群に比べテストステロン投与群での有害心血管イベント発症率が有意に高値であることが認められたため、試験データ・安全性モニタリング委員会の勧告で、同年末をもって早期中止となった。筋力、運動機能は改善試験終了までに登録されたのは合計209例(平均年齢74歳)だった。被験者(テストステロン群106例、プラセボ群103例)は、基線で、高血圧(同:85%、78%)、糖尿病(24%、27%)、高脂血症(63%、50%)、肥満(45%、49%)を有している人が多かった。試験中、プラセボ群に比べテストステロン群は、心臓・呼吸器・皮膚に関するイベント発生率が高かった。心血管関連の有害イベント発生は、プラセボ群では5例だったが、テストステロン群は23例で起きた。相対リスクは、6ヵ月の治療期間を通じて一定していた。プラセボ群と比べてテストステロン群は、レッグプレスやチェストプレスの筋力、重しを抱えての階段昇降が改善された。(医療ライター:武藤まき)

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角膜再生医療における細胞治療の長期臨床成績

角膜再生医療に関して、患者本人の角膜輪部幹細胞の培養組織を移植する細胞治療の長期臨床成績(最高10年)が報告された。約8割近くで角膜上皮再生の永久修復が確認されたという。角膜の表面を覆う「上皮」は再生と修復を繰り返し透明度を保つが、それに寄与するのが角膜と眼球結膜の間にあるごく狭い角膜輪部の幹細胞である。眼熱傷などを受けるとこの角膜輪部が損傷を受け、角膜上皮幹細胞疲弊症(LSCD)が生じる可能性が高く、たとえばドナー提供の角膜移植を行っても角膜輪部が損傷されたままだと再移植が必要になる。本治験報告は、イタリア・San Raffaele Scientific InstituteのPaolo Rama氏らの報告によるもので、NEJM誌2010年7月8日号(オンライン版2010年6月23日号)に掲載された。角膜損傷患者112例に自家角膜輪部幹細胞治療Rama氏らは、角膜損傷患者112例に対してフィブリン培養の自家角膜輪部幹細胞を用いた治療を行った。患者の大半は、熱傷LSCDを有していた。臨床成績は、Kaplan-Meier法、Kruskal-Wallis法、一変量または多変量ロジスティック回帰分析法で評価された。また、臨床アウトカムは、ホロクローン形成幹細胞の割合によっても評価が行われた。ホロクローン形成幹細胞は、培養細胞中にp63 bright細胞として強く染色される。透明な角膜上皮再生の永久修復76.6%で確認結果、透明な角膜上皮再生の永久修復は、76.6%で確認された。治療失敗は、治療後1年以内に起きていた。一方、最長追跡期間10年の間中、回復した眼球は安定していた(追跡期間平均:2.91±1.99年、中央値:1.93年)。事後解析から、ドナー移植角膜に正常上皮が形成した成功例と、培養細胞中のp63 brightホロクローン形成幹細胞の割合との関連が認められた。p63 bright細胞が、全クローン原性細胞数の3%を超えると、78%で移植が成功していた。一方で3%以下の場合はわずか11%だった。また再生失敗は、最初の眼球損傷の程度や術後の合併症とも関連していた。(医療ライター:武藤まき)

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早期乳がんの放射線治療、温存術中のターゲット単回照射が有用:TARGIT-A試験

早期乳がんの中には、術後数週にわたる外部照射よりも、術中に腫瘍床を標的とする単回照射法が有効な患者が存在することが、イギリスUniversity College London外科研究部門のJayant S Vaidya氏らが実施した無作為化試験(TARGIT-A試験)で明らかとなった。乳がんは乳房のどこにでも発現しうる多中心的ながんであるが、乳房温存術施行後の局所再発の90%は指標とされる四分区内に起こる。それゆえ、術中の腫瘍床に限定した放射線照射が妥当な患者が存在する可能性があるという。Lancet誌2010年7月10日号(オンライン版2010年6月5日号)掲載の報告。従来の術後外部照射と術中ターゲット照射を比較する前向きの非劣性試験TARGIT-A試験の研究グループは、Intrabeam法を用いた新技術である術中ターゲット放射線の単回照射治療と、従来の全乳房に対する外部照射法の有用性を比較するプロスペクティブな無作為化非劣性試験を実施した。登録は2000年3月に開始され、9ヵ国28施設が参加した。対象は、乳房温存術を施行された45歳以上の浸潤性乳管がんの女性であった。これらの患者が、術中ターゲット照射群あるいは全乳房外照射群に無作為に割り付けられた。治療割り付け情報は患者にも担当医にも知らされなかった。術後に所定の因子(小葉がんなど)が発見された場合は、術中ターゲット照射に加え外部照射を併用することとした(15%がこれに相当すると予測した)。主要評価項目は、温存乳房における局所再発率とした。主要評価項目の絶対差2.5%を所定の非劣性限界値とした。局所再発率の絶対差は0.25%、grade 3の放射線毒性は術中照射群が少ない術中ターゲット照射群には1,113例が割り付けられ、評価が可能であった996例のうち術中ターゲット照射のみを施行された患者は854例(86%)、外部照射を追加されたのは142例(14%)であった。外部照射群には1,119例が割り付けられ1,025例が評価可能であった。術後4年の時点で、術中ターゲット照射群の6例、外部照射群の5例が局所再発をきたした。4年時点におけるKaplan-Meier法による温存乳房の局所再発率は、術中ターゲット照射群が1.20%(95%信頼区間:0.53~2.71%)、外部照射群は0.95%(同:0.39~2.31%)であった。両群間の差は0.25%(同:-1.04~1.54)であり、有意差は認めず同等であった(p=0.41)。重篤な毒性の頻度は術中ターゲット照射群が3.3%(37/1,113例)、外部照射群は3.9%(44/1,119例)と両群で同等であり(p=0.44)、合併症の頻度にも差は認めなかった。grade 3(Radiation Therapy Oncology Group)の放射線毒性の頻度は術中ターゲット照射群が0.5%(6/1,113例)と、外部照射群の2.1%(23/1,119例)に比べて有意に低かった(p=0.002)。著者は、「早期乳がんの中には、術後の数週にわたる外部照射に代わり術中ターゲット照射法を用いた手術時の単回放射線照射が有効な患者がいることを考慮すべきである」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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