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【アンケート】アトピー性皮膚炎患者さんの治療意欲は?その2

医師対象:株式会社ケアネットの運営するwebサイトCareNet.com会員の皮膚科標榜医師方法:インターネット調査 実施時期:2012年6月~8月患者対象:軽症から重症のアトピー性皮膚炎で現在も治療中の患者100名方法:インターネット調査 実施時期:2012年8月【患者さんへのアンケート】Q医師から、塗り薬の塗り方についてどのような説明を受けましたか。(いくつでも)【皮膚科医師へのアンケート】Q先生は、アトピー性皮膚炎の患者さん(16歳以上)に、薬剤の塗り方に関してどのような指導をしていますか?≪ケアネット編集後記≫今回は、薬剤の塗り方について患者さんと先生方にお伺いしたアンケート結果です。『口頭で、塗布量、回数、タイミング、塗り方などを説明し、その後スタッフが実践してみせる』という項目に対し、患者さんの受け止め方と先生方の受け止め方のギャップが伺えます。また、患者さんの回答を見てみると、「」何も説明されなかった』が7%でした。先生はこの“ギャップ”に関してどう思われますか?

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βブロッカー投与と心血管イベントとの関連

 冠動脈疾患(CAD)のリスク因子のみ有する患者、心筋梗塞(MI)既往の患者、あるいはMI非既往・CAD既往の患者いずれにおいても、βブロッカーの投与は、心血管複合イベント(心血管死亡・非致死性MI・非致死性脳卒中)の有意な抑制を認めなかった。米国・ニューヨーク医科大学のSripal Bangalore氏らによる観察研究の結果で、これまで上記のような患者に対するベネフィットは明らかではなかった。JAMA誌2012年10月3日号の掲載報告より。3つのコホート対象に追跡期間中央値44ヵ月間の観察研究研究グループは、Reduction of Atherothrombosis for Continued Health(REACH)レジストリの患者を3つのコホートに分けて長期観察研究を行った。それぞれ、MI既往コホート(1万4,043例)、CAD既往だがMI非既往コホート(1万2,012例)、CADリスク因子のみを有するコホート(1万8,653例)だった。主要解析は傾向スコアマッチングを用いて行い、最終フォローアップデータが収集されたのは2009年4月だった。主要アウトカムは、心血管死亡・非致死性MI・非致死性脳卒中の複合イベントで、副次アウトカムは、主要アウトカム+アテローム血栓性イベントまたは血管再生処置のための入院だった。患者合計4万4,708例のうち、2万1,860例が傾向スコアマッチング分析に組み込まれた。追跡期間中央値は44ヵ月(四分位範囲:35~45ヵ月)だった。標準治療とされるMI後コホートも、心血管複合イベントの有意な抑制認められず結果、βブロッカーはMI後の治療の標準とされるが、検討したMI既往コホートでは、βブロッカー使用群と非使用群の有意差(検討した全アウトカムについて)は認められなかった[使用群489例(16.93%)対非使用群532例(18.60%)、ハザード比(HR):0.90、95%信頼区間(CI):0.79~1.03、p=0.14]。CAD既往・MI非既往コホートでは、主要アウトカムのイベント発生は、βブロッカー使用群391例(12.94%)、非使用群405例(13.55%)で有意差は認められなかった(HR:0.92、95%CI;0.79~1.08、p=0.31)。副次アウトカムの発生は、使用群のほうがより高率だった[1,101例(30.59%)対1,002例(27.84%)、OR:1.14、95%CI:1.03~1.27、p=0.01]。入院となった重症アウトカムの発生も使用群が高率だった[870例(24.17%)対773例(21.48%)、OR:1.17、95%CI:1.04~1.30、p=0.01]。CADリスク因子のみコホートでは、主要アウトカムのイベント発生は、βブロッカー使用群で高率だった[467例(14.22%)対403例(12.11%)、HR:1.18、95%CI:1.02~1.36、p=0.02]。副次的アウトカムについても使用群で高率だった[870例(22.01%)対797例(20.17%)、OR:1.12、95%CI:1.00~1.24、p=0.04]。MIの重症転帰[89例(2.82%)対68例(2.00%)、HR:1.36、95%CI:0.97~1.90、p=0.08]、脳卒中[210例(6.55%)対168例(5.12%)、HR:1.22、95%CI:0.99~1.52、p=0.06]についてはイベント発生が低率だった。また、MI既往が≦1年の人では、βブロッカー使用群の副次アウトカムの発生が低かった(OR:0.77、95%CI:0.64~0.92)。

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ビタミンD服用、上気道感染症の発症・重症度を抑制しない

 健常者が半年間、月1回10万IUのビタミンDを服用し続けても、上気道感染症の発症および重症度を抑制しなかったことが、ニュージーランド・オタゴ大学病理学部門のDavid R. Murdoch氏らによる無作為化比較試験の結果、示された。これまで観察研究で、血中25-ヒドロキシビタミンD(25-OHD)値と上気道感染症発生率との逆相関の関連が報告されていたが、ビタミンDサプリメントによる臨床試験の結果は確定的なものはなかった。JAMA誌2012年10月3日号掲載報告より。健康な成人322例を対象に無作為二重盲検プラセボ対照試験研究グループは、ニュージーランドのクライストチャーチで2010年2月~2011年11月の間、健康な成人322例を対象に無作為二重盲検プラセボ対照試験を行った。被験者は無作為に、月1回10万IUの経口ビタミンD3薬を服用する群(初回量20万IU、その1ヵ月後20万IU、その後は月1回10万IU:161例)と、プラセボで同一レジメンの治療を受ける群(161例)に割り付けられた。治療は合計18ヵ月間行われた。主要エンドポイントは、上気道感染症エピソード数とし、副次エンドポイントは、上気道感染症エピソードの持続期間、同重症度、発症により仕事ができなかった日数だった。血中25-OHDは増大するが、上気道感染症エピソード被験者のベースラインでの平均25-OHD値は29(SD 9)ng/mLであった。ビタミンDサプリメントの服用は血清25-OHD値を増大し、本試験の間48ng/mL超を維持した。上気道感染症エピソードは、ビタミンD群593例、プラセボ群611で、統計的有意差(エピソード数/被験者数)は認められなかった(平均値はビタミンD群3.7/人、プラセボ群3.8/人、リスク比:0.97、95%信頼区間:0.85~1.11)。その他の、上気道感染症発症により仕事ができなかった日数(平均値は両群とも0.76日、リスク比:1.03、95%信頼区間:0.81~1.30)、エピソードごとの症状を呈した期間(平均値は両群とも12日、0.96、0.73~1.25)、上気道感染症エピソードの重症度も統計的有意差はみられなかった。これらの所見は、季節ごとに分析をしても、またベースラインの25-OHD値で分析をしても変化はみられなかった。

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幼児の異物誤嚥、母親の知識は十分か?

 富山大学の樋口氏らによって、幼児の異物誤嚥(FBA)に関する知識の評価と、知識不足の要因を明らかにする検討が行われた。 FBAの知識に関する8項目のアンケートを作成し、月齢24ヵ月未満の乳児を対象とした定期健診で配布された。1,766件のアンケートが配布され、1,603件が回収された。そのうちの大多数(1,539件)は母親が回答した。不完全であった49件を除き、母親によって回答された1,490件が解析された。 その結果、相当数の母親がFBAの知識に乏しかった。また、FBAのリスク因子であった月齢12ヵ月未満の子の両親(とくに母親)、および月齢12ヵ月以上であっても最初の子だけの母親に対しては、FBAを防止し、迅速に診断するために、十分な情報が必要と結論付けた。 主な結果は以下のとおり。・小さな玩具がFBAの原因となることを知らなかった母親は4.3%(95%CI:3.3~5.3)であった一方で、20.2%(95%CI:18.2~22.2)がピーナッツや他のナッツ類がFBAの原因となることを知らなかった。・また、48.1%(95%CI:45.5~50.6)は3歳未満の小児にはピーナッツを与えるべきでないということを知らなかった。・FBAの症状について、突然の窒息、突然の咳が該当することを知らない母親がそれぞれ27.7%(95%CI:25.4~30.0)、41.8%(95%CI:39.3~44.3)存在した。・母親の年齢にかかわらず、月齢12ヵ月未満の子の母親、および月齢12ヵ月以上であっても最初の子だけの母親であることは、FBAに関する知識不足の独立したリスク因子であった。

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アリピプラゾールで患者満足度向上?!

 近年、統合失調症治療において、アドヒアランスや患者満足度向上への関心が高まっている。 ベルギーのPeuskens氏らは、幅広い種類の統合失調症患者における12週間のアリピプラゾールによる治療効果を評価するため、医師、介護者、患者に対しさまざまなスケールを使用して評価した。Eur Psychiatry誌2012年10月号の報告。 対象は、DSM-Ⅳで統合失調症と診断された外来患者361例。アリピプラゾール10~30㎎/日による治療を12週間実施した多施設前向きオープンラベル試験。主要評価項目は、CGI-Iスコアによるアリピプラゾールの治療効果とし、有効性、安全性、忍容性を評価した。治療効果の完全な見解を得るため、医師、患者、介護者のさまざまなパラメーターを使用した。主な結果は以下のとおり。・95%CI上限値が4(変化なし)以下であることより、幅広い種類の統合失調症患者におけるアリピプラゾールの治療効果が実証された(CGI-Iスコア:3.0、95%CI:2.8~3.2 [LOCF])。・アリピプラゾールの治療効果は、患者および介護者のPGI-Iスコアにより裏付けられた(各LOCF 95%CI:2.79~3.09、2.74~3.17)。・試験終了時、医師評価によるCGI-Sスコアの増加が認められ、53.7%の患者でアリピプラゾール治療による症状重症度の改善が認められた(不変:30.8%、悪化:11.3% [LOCF])。・調査官による問診IAQスコアは著明に改善した。・71%の患者および67%の介護者が、アリピプラゾールによる治療は前治療薬と比較し、QOLおよび全般的に有意な改善が認められたと報告した(LOCF:p<0.0001 )。*LOCF(Last Observation Carried Forward):追跡期間中の脱落例も除外せず、脱落時点の検査値を最終結果とし解析する方法。関連医療ニュース ・双極性I型障害におけるアリピプラゾールの有効性-AMAZE試験より- ・アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは? ・抗精神病薬アリピプラゾール併用による相互作用は?

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現場で動ける医師を育てるために-南相馬市立総合病院 初期研修プログラムの可能性-

亀田総合病院 卒後研修センター長片多 史明2012年10月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。昨年3月11日の罹災以降、亀田総合病院と南相馬市立総合病院は、縁あって様々な領域での連携や人的交流を深めている。初期研修とは、医師になって最初の2年間で義務付けられている、基本的な診療能力を修得するための研修のことである。この初期研修においても、南相馬市立総合病院は、亀田の研修医の短期地域医療研修受入れを行い、貴重な研修の場として機能してきた。同院の長年の夢は、南相馬市立総合病院として初期研修医を採用し、病院独自の研修プログラムで医師を育てることであった。そのためには、厚生労働省からの基幹型臨床研修病院の指定が必要だった。そして2012年9月7日、南相馬市立総合病院は、亀田総合病院の全面的な支援の下で、という条件付きで基幹型臨床研修病院の指定を受けることが出来た。2012年10月5日、私は南相馬市立総合病院にいた。亀田総合病院からの支援の一環として、来春からの研修開始に備えた会議に出席するためである。会議には、金澤幸夫院長を始めとする、多くの指導医、メディカルスタッフ、事務スタッフだけでなく、桜井勝延南相馬市長も参加されていた。「南相馬市全体で、地域として本気で医師育成に取り組もう」という強い意思が感じられた1時間半の会議であった。研修医を育てるための鍵の一つは、指導医である。同院には、金澤院長、及川友好副院長、根本剛医師をはじめ、多くの志高く、熱い指導医が集まっている。病院として、プログラムとしての初期研修医募集は初めてではあるが、獨協医科大学で准教授を務めておられた神経内科の小鷹昌明医師、旭中央病院で長年研修医指導の中心的役割を担ってこられた呼吸器科の神戸敏行医師、亀田総合病院から出向中の原澤慶太郎医師、ホールボディーカウンターを用いた検診や放射線健康カウンセリングに取り組んでいる東大医科研の坪倉正治医師など、研修医の指導経験が豊富な医師も多い(原澤・坪倉両医師は、亀田初期研修プログラムの修了生でもある)。今回の南相馬訪問では改めて、来春からスタートする同院の初期研修プログラムの高いポテンシャルを実感することが出来た。南相馬市立総合病院の初期研修プログラム開始にあたり、亀田総合病院は、26年間の初期研修の歴史で培われたプログラム立ち上げや研修医教育のノウハウの提供だけでなく、亀田で開催される教育プログラムのインターネット中継、初期研修2年次での亀田での4ヶ月間の院外研修、指導医同士の交流など、全面的なサポートを行う予定である。現在、南相馬市立総合病院の初期研修プログラムは、来年4月研修開始の1期生を募集中である。プログラムが認可されたのは先月であり、十分な広報期間がなかったにも関わらず、先日発表されたマッチング中間公表では定員2名のプログラムに、1名の1位希望者が応募してくれた。今、南相馬市立総合病院は、自院で採用する初期研修医を初めて迎えることへの期待に溢れている。マッチングの希望順位登録最終締切まではもう時間がないが、まだ1期生募集は継続中である。また、医学部1~5年生の見学や実習も随時受入れている。南相馬での初期研修に興味を持った医学生の皆さんは、ぜひ病院を訪れ、指導医の実力に触れ、プログラムの可能性を肌で感じて欲しい。さらに同院では、全国の基幹型研修病院からの地域医療研修の研修医受入れも積極的に行っている。南相馬市立総合病院での研修は、被災地の医療が抱える様々な問題点を身をもって学ぶことの出来る貴重な機会である。より充実した地域医療研修の受入れ先を探している基幹型病院があれば、ぜひ金澤院長に打診して頂きたい。熱意と実力があり、志の高い指導医が集まれば、地方の医療機関であっても必ず初期研修医は集まる。現場でしっかり動ける医師を、地域全体で育てていく挑戦が、今この南相馬で始まろうとしている。

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てんかん発作には乳幼児早期からの積極的な症状コントロールが重要

 非コントロールのてんかん発作は認知機能を障害し、その影響は発症が乳児期の場合に最も大きく、発症年齢の上昇とともに減弱することが、米国・ノースウエスタン大学小児記念病院のBerg AT氏らによる前向きコホート研究の結果、明らかにされた。この知見を踏まえて、著者は「てんかん発作に対し、乳幼児期の早期からの積極的な治療と発作コントロールが必要であることを強調するものである」と述べている。Neurology誌2012年9月25日号(オンライン版2012年9月12日号)の掲載報告。 非コントロールのてんかん発作が、とくに脳の発達期において、認知や行動に悪影響をもたらすことを示唆するエビデンスの増加を検証することを目的とした。 てんかん発作の新規発症を認めた8歳未満児198例を含む地域ベースのコホートを前向きに追跡し、8~9年後にWechsler Intelligence Scales for Children Third Edition(WISC-III)で再評価した。 発症年齢と薬物抵抗性の相互作用の線形回帰分析を用いて、早期の発症が、非コントロールのてんかん発作の影響に対して、より大きな脆弱性をもたらしたかを調べた。Full-scale IQ(FSIQ)と4つのサブ領域スコアを用いて調査し、サブセットでは行動順応スコアを補正し検討した。試験されなかった子ども、とくに試験を受けることができなかった子どもについては、IQ<80または≧80を評価指標とすることを認めた。主な結果は以下のとおり。・FSIQは、年齢と関連しなかった。・薬物抵抗性は、FSIQの有意な低下と関連した(11.4ポイント低下、p=0.002)。同様にWISC-IIIの各領域の減少とも関連した。・FSIQと3つの領域に対して、かなりの年齢-薬物抵抗性の相互作用が認められたが、年齢の上昇とともに薬物抵抗性の影響の減少が示された。・IQ評価では、薬物抵抗群において発症年齢との強い関連が示された(p<0.0001)、非薬物抵抗群ではそうした関連はみられなかった。・行動順応スコアを補正した検証でも結果は変わらなかった。関連医療ニュース ・小児におけるレベチラセタム静注の有効性と安全性を確認 ・成人で認められた抗てんかん薬の効果、小児でも有効か? ・神経内科医の注目が集まる「てんかん診療」高齢者のてんかん患者が増加!

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小児悪性腫瘍診断の遅れによる転帰への影響は?

 小児悪性腫瘍における診断の遅れは医療過誤訴訟の主な原因である。フランスのBrasme氏らによって、小児悪性腫瘍の診断までの時間の分類、決定要因、予後の情報を系統的にレビューし、カナダとフランスにおける医療過誤訴訟での国選の専門家の知見と比較した。その結果、診断の遅れと転帰の関係は複雑であり、おそらく保護者や医療の要因よりも腫瘍生物学的要因によることが示唆された。Lancet Oncol誌2012年10月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・時期に関係なく、98の関連研究において、診断までの時間は腫瘍の種類によって大きく変動した(中央値、範囲:2~260週)。・診断に長い遅れが生じた要因は、より年長であること、初診で診療した医師の資格、非特異的な症状、組織型と腫瘍の限局性であった。・診断の遅れは網膜芽細胞腫の予後不良と関連し、白血病、神経芽細胞腫、横紋筋腫においても関連する可能性がみられた(データは決定的な結論には至らなかった)。・一方で、診断の遅れは多くのCNS腫瘍、骨肉腫やユーイング肉腫の有害事象と関連がみられなかった。逆説的であるが、これらのがんの診断において、しばしば診断までの時間が短かった場合よりも予後が良かった・3分の1の専門家は医学文献と一致した証言を行った。

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双極Ⅰ型障害患者の症状発症に関連する“キヌレン酸”

 双極Ⅰ型障害患者の、脳脊髄液におけるキヌレン酸と躁症状および精神病症状との関連が明らかにされた。スウェーデン・ヨーテボリ大学のOlsson SK氏らによる検討の結果。著者らは、すでに先行研究において、統合失調症と双極性障害の患者における脳内のキヌレン酸レベル上昇が報告されていることに触れたうえで、「因果関係を検証する必要はあるが、ドパミン伝播と行動に影響するキヌレン酸の働きは、躁病や精神病症状の発症における病態生理学的な役割を示している可能性がある」と報告している。Bipolar Disord誌オンライン版2012年10月3日号の掲載報告。 キヌレン酸(トリプトファンの代謝物質)は、脳内のグルタミン酸作動性またはコリン作動性レセプターと拮抗する。著者らは先行研究で、双極性障害男性患者の脳脊髄液におけるキヌレン酸(CSF KYNA)上昇が認められることを報告していた。 本検討では、双極Ⅰ型障害患者における症状と脳脊髄液KYNA値との関連を調べた。双極Ⅰ型障害と診断された胸腺を正常にもつ男性21例(平均年齢41歳、SD 14)と女性34例(同37歳、SD 14)のCSF KYNAについて、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて分析した。主な結果は以下のとおり。・精神病症状の生涯発生が認められた患者(43例)のCSF KYNA値[2.0nm、平均値標準誤差(SEM):0.2]は、同症状発生履歴のない患者(12例)の同値(1.3nm、SEM:0.2)と比較して高値であった(p=0.01)。・年齢を共変量としたロジスティック回帰分析でも同様に、精神病症状履歴とCSF KYNA値の関連が示された[対象55例、オッズ比(OR):4.9、p=0.03]。・さらに、直近に躁病エピソードを有した人でも、年齢調整後のCSF KYNA値との有意な関連がみられた(34例、OR:4.4、p=0.03)。精神病症状の生涯発生歴で調整後も有意な関連を維持した(OR:4.1、p=0.05)。関連医療ニュース ・アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは? ・双極性障害患者の自殺企図、テストステロンレベルと相関 ・うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける?

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第7回 説明義務 その1:しておかないと困る!患者への説明の内容とその程度

■今回のテーマのポイント1.説明義務の内容は、原則としては、「診療情報の提供等に関する指針」(厚生労働省)に記載されている7項目である2.説明すべき治療方法は、原則として「医療水準として確立したものに限る」。したがって、原則的には、医療水準として未確立のものは、説明する義務はない3.ただし、未確立の新規治療法であっても、医学的に明白な誤りがなく、適切な方法で臨床研究がなされている新規治療法について、患者の求めがあった場合には、特別な事情があるとして、当該未確立の療法についても説明義務を負うこととなる事件の概要患者(X)(43歳女性)は、Y医院にて乳がんと診断されました。当時、乳がんの標準的手術として確立されていたのは、胸筋温存乳房切除術であり、乳房温存療法は、まだ実施している施設も少なく、確立されたエビデンスは存在していませんでした。このような時点において、A医師は、乳房温存を希望するXに対し、乳房温存療法につき十分な説明をすることなく、当時の標準手術である胸筋温存乳房切除術を施行しました。これに対し、原告Xは、A医師に乳房温存療法についての説明義務違反があった等として、約1,200万円の損害賠償請求を行いました。原審では、診療当時、いまだ乳房温存療法の安全性は確立されておらず、危険を犯してまで同療法を勧める状況ではなかったとして、Xの請求を棄却しました。これに対し、最高裁は、医師Aの説明義務違反を認め、下記の通り判示しました。なぜそうなったのかは、事件の経過からご覧ください。事件の経過患者(X)(43歳女性)は、平成3年1月中旬ごろ、右乳房右上部分の腋の下近傍に小さなしこりを発見したため、診療科目と並べて「乳腺特殊外来」の看板を掲げているY医院を受診しました。手術生検の結果、Xにあったしこりは、充実腺管がんと診断されました。A医師は、Xに対し、乳がんであり手術する必要があること、手術生検をしたため手術は早くした方がいいこと、乳房を残すと放射線で黒くなることがあり、再発したらまた切らなければならないことを説明しました。Xは、入院後、新聞記事で乳房温存療法の記事を読んだこと、可能ならば乳房を残して欲しいことを手紙にしたため、A医師に手渡しました。しかし、当時、乳がんの標準的手術として確立されていたのは、胸筋温存乳房切除術であり、乳房温存療法は、まだ実施している施設は全国で12.7%でした。また、同手術方法に対する厚生労働省助成による研究班が立ち上がる2年前であり、本件当時わが国においては、乳房温存療法については、確立されたエビデンスは存在していませんでした。そのため、A医師は、当時の標準手術である胸筋温存乳房切除術を施行しました。事件の判決「医師は、患者の疾患の治療のために手術を実施するに当たっては、診療契約に基づき、特別の事情のない限り、患者に対し、当該疾患の診断(病名と病状)、実施予定の手術の内容、手術に付随する危険性、他に選択可能な治療方法があれば、その内容と利害得失、予後などについて説明すべき義務があると解される。本件で問題となっている乳がん手術についてみれば、疾患が乳がんであること、その進行程度、乳がんの性質、実施予定の手術内容のほか、もし他に選択可能な治療方法があれば、その内容と利害得失、予後などが説明義務の対象となる。本件においては、実施予定の手術である胸筋温存乳房切除術について被上告人〔A医師〕が説明義務を負うことはいうまでもないが、それと並んで、当時としては未確立な療法(術式)とされていた乳房温存療法についてまで、選択可能な他の療法(術式)として被上告人に説明義務があったか否か、あるとしてどの程度にまで説明することが要求されるのかが問題となっている。〔中略〕・・・・一般的にいうならば、実施予定の療法(術式)は医療水準として確立したものであるが、他の療法(術式)が医療水準として未確立のものである場合には、医師は後者について常に説明義務を負うと解することはできない。とはいえ、このような未確立の療法(術式)ではあっても、医師が説明義務を負うと解される場合があることも否定できない。少なくとも、当該療法(術式)が少なからぬ医療機関において実施されており、相当数の実施例があり、これを実施した医師の間で積極的な評価もされているものについては、患者が当該療法(術式)の適応である可能性があり、かつ、患者が当該療法(術式)の自己への適応の有無、実施可能性について強い関心を有していることを医師が知った場合などにおいては、たとえ医師自身が当該療法(術式)について消極的な評価をしており、自らはそれを実施する意思を有していないときであっても、なお、患者に対して、医師の知っている範囲で、当該療法(術式)の内容、適応可能性やそれを受けた場合の利害得失、当該療法(術式)を実施している医療機関の名称や所在などを説明すべき義務があるというべきである。そして、乳がん手術は、体幹表面にあって女性を象徴する乳房に対する手術であり、手術により乳房を失わせることは、患者に対し、身体的障害を来すのみならず、外観上の変ぼうによる精神面・心理面への著しい影響ももたらすものであって、患者自身の生き方や人生の根幹に関係する生活の質にもかかわるものであるから、胸筋温存乳房切除術を行う場合には、選択可能な他の療法(術式)として乳房温存療法について説明すべき要請は、このような性質を有しない他の一般の手術を行う場合に比し、一層強まるものといわなければならない」(最判平成13年11月27日民集55巻6号1154頁)※〔 〕は編集部挿入ポイント解説今回は説明義務です。「インフォームド・コンセント(説明と同意)」は、アメリカでは、1957年のサルゴ事件判決(大動脈造影検査後に下半身の麻痺が生じたことから、医師が検査の危険性を説明しなかったとして争われた事件)において生まれました。わが国では、およそ半世紀遅れ、1990年代より議論が始まり、現段階では、診療契約上説明義務があることは確立しているものの、具体的な説明の範囲については揺れ動いているという状況です。説明の範囲について、現時点においてベースラインとなるのは、本判決前半部分に記載されている「医師は、患者の疾患の治療のために手術を実施するに当たっては、診療契約に基づき、特別の事情のない限り、患者に対し、当該疾患の診断(病名と病状)、実施予定の手術の内容、手術に付随する危険性、他に選択可能な治療方法があれば、その内容と利害得失、予後などについて説明すべき義務があると解される」となります。また、より一般化したものとして、厚生労働省が示す「診療情報の提供等に関する指針」に示されている、(1)現在の症状及び診断病名(2)予後(3)処置及び治療の方針(4)処方する薬剤について、薬剤名、服用方法、効能及び特に注意を要する副作用(5)代替的治療法がある場合にはその内容及び利害得失(患者が負担すべき費用が大きく異なる場合には、それぞれの場合の費用を含む)(6) 手術や侵襲的な検査を行う場合には、その概要(執刀者及び助手の氏名を含む)、危険性、実施しない場合の危険性及び合併症の有無(7) 治療目的以外に、臨床試験や研究などの他の目的も有する場合には、その旨及び目的の内容が参考となります。原則的には、上記内容を説明している場合には、医療機関が説明義務違反を問われる可能性は低いといえます。もし、説明内容に不足があった場合には、説明義務違反がある(=過失がある)ことにはなりますが、医学的に適切な治療が選択されており、十分な説明がなされていれば同じ選択をすることが通常であると言える場合には、たとえ当該治療の結果、患者の身体に損害が生じたとしても、説明義務違反と生命・身体の損害の間に因果関係がないため、医療機関は、当該生命・身体の損害に対して賠償する責任はありません。ただ、その場合においても、わが国においては、患者の治療上の自己決定権自体を人格権の一内容として保護すべき法益とし、たとえ適切な治療により生命・身体に損害がなかったとしても、この権利を侵害した結果、精神的損害を生じたとして低額ではありますが損害賠償責任が認められることとなります(最判平成12年2月29日民集54巻2号582頁)。もう一度、判決文に戻ります。この判決が問題となる点として、〔1〕説明義務の主体は医師でなければならないのか〔2〕客体は患者でなければならないのか〔3〕特別の事情とはどのような場合があるのかがあげられます。〔1〕についてですが、判決は「診療契約に基づき説明義務が生ずる」としているのですから、法的には、診療契約の当事者である医療機関が適切な方法で説明すれば足りるのであり、必ずしも医療機関の一スタッフである医師が一から十まですべてを口頭で説明をしなければならないということにはならないと考えます。もっとも、疾患一般のことについては、文書やビデオ等でも十分な説明ができますが、患者個別具体の病状に応じた部分については、主治医でなければ説明しがたいこともありますので、その点に関しては医師が行う必要があるといえます。この点については、次回に解説したいと思います。〔2〕についてですが、まず、患者に意識がない場合は、法的には一切の説明義務はなくなるのかということです。診療契約は、患者と医療機関の間で締結されていますので、患者の家族は、法律上関係のない第三者ということとなります。したがって、素直に考えると契約関係にない家族に対して説明義務は生じ得ないということになります。また、末期がんで、患者の心因的な事由等により、医学的に告知すべきでない場合も同様でしょうか。この点については、次々回第9回で実際の事例を基に解説したいと思います。そして、今回の判決において問題となったのが、〔3〕特別の事情とは何を指すのかです。本判決が示すように、「一般的にいうならば、実施予定の療法(術式)は医療水準として確立したものであるが、他の療法(術式)が医療水準として未確立のものである場合には、医師は後者について常に説明義務を負うと解することはできない」のであり、未熟児網膜症に関する判決においても、「本症に対する光凝固法は、当時の医療水準としてその治療法としての有効性が確立され、その知見が普及定着してはいなかったし、本症には他に有効な治療法もなかったというのであり、また、治療についての特別な合意をしたとの主張立証もないのであるから、医師には、本症に対する有効な治療法の存在を前提とするち密で真しかつ誠実な医療を尽くすべき注意義務はなかった」(最判平成4年6月8日民集165号11頁)とし、光凝固療法が当時の標準的治療として確立されていなかったことを理由として説明義務及び転医義務違反を否定しています。しかし、本判決によると、「少なくとも、当該療法(術式)が少なからぬ医療機関において実施されており、相当数の実施例があり、これを実施した医師の間で積極的な評価もされているものについては、患者が当該療法(術式)の適応である可能性があり、かつ、患者が当該療法(術式)の自己への適応の有無、実施可能性について強い関心を有していることを医師が知った場合などにおいては、たとえ医師自身が当該療法(術式)について消極的な評価をしており、自らはそれを実施する意思を有していないときであっても、なお、患者に対して、医師の知っている範囲で、当該療法(術式)の内容、適応可能性やそれを受けた場合の利害得失、当該療法(術式)を実施している医療機関の名称や所在などを説明すべき義務があるというべきである」と判示し、これらの事情がすべてそろっている場合においては、特別な事情があるとして未確立の療法についても説明義務を負うとしています。医療は日々進歩しており、次々に新しい治療方法が提唱されています。確かにがんに対する縮小手術は常にがん再発の危険を伴います。一般に再発がんの生命予後は悪く、それに引き換え、縮小手術の利点は、機能温存、入院期間の短縮、苦痛の軽減、合併症の減少等副次的なものであるため、その適用には慎重さが求められます。しかし、少なくとも、1)医学的に明白な誤りがなく、適切な方法で臨床研究がなされている新規治療法について、2)患者の求めがあった場合には、適切な情報提供はなされるべきであるということに異論はないものと思われます。本事例以外に、特別な事情があると考えられる場合としては、美容整形目的の手術や臨床研究の場合があげられます。臨床研究においては、厚生労働省より「臨床研究に関する倫理指針」が出ていますので、臨床研究に携わる場合には、必ず一度は精読してください。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます(出現順)。最判平成13年11月27日民集55巻6号1154頁最判平成12年2月29日民集54巻2号582頁最判平成4年6月8日民集165号11頁

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プライマリ・ケア医の直感、子どもの重症リスクと関連

 両親の心配や子どもの様子を考慮したプライマリ・ケア医の直感的な対応が、子どもの病態の重症度の的確な判定に寄与していることが、英国・オックスフォード大学プライマリ・ケア保健科学科のAnn Van den Bruel氏らの検討で示された。プライマリ・ケアを受診する子どもの200人に1人の割合で、「見過ごされやすい重篤な疾患」に遭遇する可能性があるとされる。プライマリ・ケアにおける子どもの診療では、「何かおかしい」という臨床医の直感力が診断価値をもつと考えられているが、直感の根拠や病歴、臨床検査への付加価値は明らかではないという。BMJ誌2012年9月29日号(2012年9月25日号)掲載の報告。直感の根拠と診断価値を観察試験で評価研究グループは、感染症の子どもの病態が、臨床評価による判定よりも重篤ではないかとのプライマリ・ケア医の「直感」の根拠と付加価値を評価する観察試験を実施した。対象は、2004年にベルギー・フランドル地方のプライマリ・ケア施設を受診した0~16歳の子ども3,890人。初診時の主な徴候、臨床評価、プライマリ・ケア医の直感的な対応、およびその後の病院記録による重症感染症の診断について調査した。直感がひらめいた時の状況を振り返ることでスキルが磨かれる対象となった子どもの平均年齢は5.05(0.02~16.93)歳で、男児が54.1%だった。3,890人中21人が重症感染症と診断されて入院した。臨床評価で重篤な疾患ではないとされた子ども3,369人のうち、その後6人(0.2%)が重症感染症で入院した。臨床評価では重篤な疾患ではないもののプライマリ・ケア医が異変を直感した場合は、重症疾患であるリスクが高く(尤度比:25.5、95%信頼区間[CI]:7.9~82.0)、その直感を実行に移せば見逃された重症感染症患児6人のうち2人(33%、95%CI:4.0~100%)は予防が可能であった(その代償として44件[1.3%、95%CI:0.95~1.75]の偽陽性が発生)と考えられた。プライマリ・ケア医の直感と最も強力な関連を示した臨床徴候は、子どもの全身状態(眠気、笑わない)、異常呼吸、体重減少、ひきつけ(けいれん)であった。最も強い背景因子は、両親の「これまでとは様子が違う」という懸念であった(オッズ比:36.3、95%CI:12.3~107)。著者は、「子どもの病態の重症度に関する直感とは、両親の心配や子どもの様子を考慮したプライマリ・ケア医の直感的な対応であり、セカンド・オピニオンや追加検査などのきっかけとすべきである」とし、「直感と重症感染症の臨床的な指標に関連を認めたことは、直感がひらめいた時の状況を振り返ることで、プライマリ・ケア医は臨床的スキルの鍛錬が可能なことを意味する」と指摘している。

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ロタウイルスワクチンの定期接種、入院および死亡を低下

 マレーシア大学医療センターのLee WS氏らは、同国で隔離されたロタウイルスA (RV-A)遺伝子型について精査し、同国内のRV-Aワクチン定期接種の有効性を推定した。その結果、ロタウイルス胃腸炎関連の入院および死亡率の低下が推定でき、ワクチン定期接種は有効であるとまとめた。Hum Vaccin Immunother誌オンライン版2012年9月28日号の掲載報告。 2施設で2歳児からの情報を組み込んだ単純数理モデルを用いて、幼児のロタウイルス胃腸炎(RVGE)の入院に関する前向き試験を行った。モデルには、公表されているRV-Aの入院およびウイルス遺伝子型のデータ、幼児胃腸炎のデータと、2種類のRV-Aワクチン(商品名:ロタテック、ロタリックス)のウイルス遺伝子型特異的有効性のデータを組み込み検討した。 主な内容は以下のとおり。・ワクチン接種率95%との仮定において、RVGE関連の入院に対する全体的保護効果は、ロタテックが75.7~88.1%、ロタリックスが78.7~90.6%であった。・年間のRVGE関連死亡は、死亡34例からロタテックについては27~32例に、ロタリックスは28~32例への低下が推定された。

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肥満が子どもの心血管疾患リスクを増強

 学齢児童では、体格指数(BMI)が標準値より高いと心血管疾患リスクのパラメータが有意に増悪することが、英国・オックスフォード大学プライマリ・ケア保健科学科のClaire Friedemann氏らの検討で示された。体重増加は血圧や脂質プロフィールの異常のリスクを増大させ、子どもの心血管疾患リスクのパラメータの変動に影響を及ぼす可能性がある。子どもの体重とこれらのリスク・パラメータがどの程度関連するかを、BMIのカテゴリー別に系統的に評価した研究はこれまでなかったという。BMJ誌2012年9月29日号(オンライン版2012年9月25日号)掲載の報告。BMIと心血管疾患リスク・パラメータの関連をメタ解析で評価研究グループは、高度先進国の学齢児童におけるBMIカテゴリー(低体重:<17、標準体重:≧17~<25、過体重:≧25~<30、肥満≧30kg/m2)と心血管疾患リスクのパラメータの関連およびその強度を評価するために、系統的レビューとメタ解析を行った。データベースなどを用いて2000年1月~2011年12月までに公表された論文を選出した。対象は、1990年以降に学校、外来、地域で実施されたプロスペクティブまたはレトロスペクティブなコホート試験、横断的研究、症例対照研究、無作為化試験に登録された高度先進国の5~15歳の健常児とした。解析に含める試験は、客観的な体重測定および事前に規定された1項目以上の心血管疾患リスクのパラメータについて報告しているものとした。過体重、肥満により、血圧、脂質値、インスリン抵抗性、左室重量が増悪23ヵ国で実施された63試験(4万9,220人)が解析の対象となった。このうち39試験は記述分析の対象とし、メタ解析の対象となったのは24試験だった。42試験は横断的研究、19試験は無作為化対照比較試験で、コホート試験と症例対照研究が1試験ずつだった。標準体重児に比べ、過体重児は収縮期血圧が4.54mmHg(99%信頼区間[CI]:2.44~6.64、p<0.001、1万2,169人、8試験)高く、肥満児では7.49mmHg(同:3.36~11.62、p<0.001、8,074人、15試験)高かった。収縮期血圧は、過体重児、肥満児ともに男児よりも女児で上昇していた(p<0.001)。同様に、拡張期血圧は過体重児で2.57mmHg(99%CI:1.55~3.58、p<0.001、1万1,529人、7試験)、肥満児で4.06mmHg(同:2.05~6.08、p<0.001、8,140人、16試験)上昇しており、男児よりも女児で有意に高かった(p<0.001)。肥満はすべての血中脂質値に有害な影響を及ぼしていた。すなわち、標準体重児に比べ肥満児では総コレステロール値が0.15mmol/L(≒5.8mg/dL)(99%CI:0.04~0.25、5,072人、9試験)上昇し、肥満女児では0.31mmol/L(≒12mg/dL)(同:0.08~0.54、p<0.001、2,213人、3試験)高かったが、過体重児では有意な差は認めなかった。LDLコレステロール値は肥満児で0.18mmol/L(≒7mg/dL)(同:0.09~0.26、p<0.001、4,773人)高かった。HDLコレステロール値は過体重児で0.17mmol/L(≒6.6mg/dL)(−0.34~−0.24、p=0.001、5,752人、5試験)、肥満児では0.22mmol/L(≒8.5mg/dL)(−0.39~−0.06、p=0.001、4,915人、8試験)低かった。トリグリセライド値はそれぞれ0.21mmol/L(≒18.6mg/dL)(0.14~0.27、p<0.001、6,515人、5試験)、0.26mmol/L(≒23mg/dL)(同:0.13~0.39、p<0.001、5,138人、10試験)増加していた。空腹時血糖、インスリン、インスリン抵抗性は肥満児で有意に高度であったが、過体重児では有意差は認めなかった。肥満児は、標準体重児よりも左室重量が19.12g(99%CI:12.66~25.59、p<0.001、223人、3試験)有意に重かった。著者は、「学齢児童では、BMIが標準値以上になると、心血管疾患リスクのパラメータが有意に増悪することがわかった」と結論し、「このような影響は過体重児ではすでに確認されていたが、肥満児でもリスクが増強しており、しかもこれまでに考えられていたよりも大きい可能性がある。体重を考慮しないパラメータのカットオフ値は現代の子どものリスク評価において妥当か、またこれらの試験で使用された方法を標準化すべきかどうかにつき検証する必要がある」と指摘している。

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統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か?

 統合失調症の認知障害は、心理社会的パフォーマンスに少なからず影響を及ぼす。統合失調症患者における認知機能障害は、小胞体タンパク質であるσ-1受容体に関与しており、σ-1受容体アゴニスト作用を有するフルボキサミンが統合失調症の動物モデルや一部の統合失調症患者で認知機能障害の治療に有効であった例がいくつか報告されている。千葉大学の新津氏らは、統合失調症患者におけるフルボキサミン併用療法のプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を行った。J Clin Psychopharmacol誌2012年10月号の報告。 対象は、慢性期統合失調症患者48例。対象患者は8週間のフルボキサミン併用療法を行うフルボキサミン群(24例、150mg/日まで漸増)とプラセボ群24例に無作為に割り付け、12週間フォローアップを行った。主要評価項目の測定には、ケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)を用い、視覚認知・ワーキングメモリー、注意力、実行機能の評価を行った。副次的評価項目は、PANSSスコア、SANSスコア、QOLスコア、MADRSスコアとした。主な結果は以下のとおり。・フルボキサミン併用療法の忍容性は良好であった。・CANTABスコア、PANSSスコア、SANSスコア、QOLスコア、MADRSスコアに関する、時間×群の有意な交互作用は認められなかった。・二次分析では、フルボキサミン群における空間認識に関わるワーキングメモリー(実行機能)の改善が示された。・本試験では、統合失調症患者の認知機能改善に対するフルボキサミンの目立った効果は認められなかった。関連医療ニュース ・認知機能への影響は抗精神病薬間で差があるか? ・日本人統合失調症患者の認知機能に影響を与える処方パターンとは ・初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準!

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小児救急における急性下痢症状へのプロバイオティクス乳酸菌の効果

 アメリカのNixon氏らによって、小児救急における急性感染性下痢症状の罹患期間を減らすことを目的として、プロバイオティクス乳酸菌(ラクトバチルスGG;LGG)の有用性が検討された。その結果、LGGは2日以上下痢症状を呈する患児の罹患期間を短縮する可能性が示唆された。Pediatr Emerg Care誌2012年10月号の報告。 下痢を主訴に小児救急を受診した生後6ヵ月から6歳の小児を対象とした二重盲検ランダム化比較試験。155例の患児が登録され、129例が試験を完了した。LGG群(63例)とプラセボ群(66例)に無作為に割り付けられ、それぞれ1日2回、5日間服用した。どちらの群も保護者が家での排便状況を毎日記録し、リサーチャーが調査を毎日行い、両群の正常な排便に戻るまでの時間と下痢回数を比較した。 主な結果は以下のとおり。・正常な排便までに要した時間(LGG群:中央値60時間[四分位範囲37-111時間]、プラセボ群:74時間[43-120時間];p=0.37)、および下痢回数(LGG群:5.0回[1-10回]、プラセボ群:6.5回[2-14回];p=0.19)において、有意差はみられなかった。・一方、2日以上下痢症状を呈している患児では、LGG群では正常な排便に戻る時間が早く(LGG群:51時間[32-78時間]、プラセボ群:74時間[45-120時間];p=0.02)、下痢回数も少なかった(LGG群:3.5回[1.0-7.5回]、プラセボ群:7回[3.0-16.3回];p=0.02)。・2日以上下痢症状を呈している患児では、LGG群ではプラセボ群と比較して2.2倍正常便に戻りやすかった(95%CI:1.3~3.9;p=0.01)。

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妊婦、子どもの死亡率が高い国へのODA拠出が減少傾向に

 近年、妊婦、新生児、子どもの健康に対する政府開発援助(ODA)の拠出額は増加を続けてきたが、2010年に初めて減少に転じ、増加率も2008年以降は低下している実態が、英国・ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のJustine Hsu氏らの調査で示された。2010年のG8ムスコカ・サミットでは、ミレニアム開発目標の乳幼児死亡率の削減(MDG4)および妊産婦死亡率の削減(MDG5A)の達成に向け、2010~2015年までに参加国が共同で50億ドルを出資することが約束された。また、最も必要性の高い国へのODAの集中的な拠出が求められているが、実情は不明であった。Lancet誌2012年9月29日号(オンライン版2012年9月20日号)掲載の報告。ODAの拠出、進展の状況をOECDデータで解析研究グループは、2009年および2010年の妊婦、新生児、子どもの健康に対するODAの拠出状況を解析し、モニタリングを開始した2003年以降の支援の進展状況を評価するための調査を行った。経済協力開発機構(OECD)のデータベースを用い、2009年と2010年の支援活動を活動機能分類に基づいてコード化し、妊婦、新生児、子どもの健康への拠出額について検討した。2003年以降の傾向を解析し、子ども1人当たりのODAおよび新生児出生1人当たりの母子へのODAの拠出額を算定した。さらに、妊婦および子どもの死亡率が高い74ヵ国(優先国)に対する31の援助形態(23の二国による資金拠出、6つの多国による資金拠出、2つの世界的な保健イニシアチブによる資金拠出)によるODAの拠出率を分析した。妊婦死亡率が高い国への拠出の集中が進む援助国からの妊婦、新生児、子どもの健康に対する拠出額は74の優先国のすべてにおいて持続的に増加し、2009年に65億1,100万ドルに達したが、2010年にはモニタリング開始後初めて、わずかながら減少に転じ64億8,000万ドルとなった。優先国に対するODAによる支援活動は実質的に増加しているものの、その増加率は2008年以降低下していた。2005~2010年にかけて、妊婦死亡率の高い国へのODAの集中的な拠出が進んだことを示す高度なエビデンスが得られた。子どもの健康へのODAの集中的拠出も改善はしているが、その程度は低かった。多国による資金拠出の分担金は減少しているが、二国による拠出や世界的な保健イニシアチブの拠出に比べれば、援助の集中化が良好だった。著者は、「最近の資金拠出率の減速化は懸念される問題であり、現在の世界的な金融危機の影響もあると考えられる」とまとめ、「援助国に責任意識を持たせ、最も必要とされる国に支援が集中するよう監視するには、援助国による支援状況の追跡を継続する必要がある」と指摘している。

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ニジェールの子どもの死亡率、MDG4達成を上回る勢いで低下

 西アフリカのニジェールでは、1998~2009年の5歳未満の子どもの死亡の年間低下率が5.1%に達し、ミレニアム開発目標4(MDG4)の達成に必要とされる4.3%を上回ったことが、米国・ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生大学院のAgbessi Amouzou氏らが行った調査で明らかとなった。MDG4は、2015年までに5歳未満児の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減することを目標とする。近年、ニジェールでは、近隣の他の西アフリカ諸国に比べ子どもの死亡率の大幅な低減が達成され、生存のための介入が積極的に進められているが、その実情はよくわかっていなかった。Lancet誌2012年9月29日号(オンライン版2012年9月20日号)掲載の報告。LiSTを用いて2009年の救済された子どもの生命を推算研究グループは、1998~2009年までにニジェールで実施された子どもの生存プログラムについて詳細な解析を行った。2010年の世帯調査に基づいて、1998~2009年の子どもおよび新生児の死亡率の新たな推算法を開発した。この期間に行われた8つの全国調査のデータを用いてカバレッジ指標を再計算し、1995年以降の妊婦、新生児、子どもの健康に関するプログラムおよび施策を記録した。生命救済ツール(Lives Saved Tool:LiST)を用いて2009年の救済された子どもの生命を推算した。5歳未満の子ども5万9,000人の生命を救済生児出生1,000人当たりの5歳未満の子どもの死亡率は、1998年の226人から2009年には128人へと43%低下した。年間低下率は5.1%で、MDG4の達成に必要とされる4.3%を上回った。これは近隣の低~中所得国であるベニンの2.2%、ブルキナファソの0.8%、チャドの0.9%、マリの1.8%、ナイジェリアの2.0%に比べはるかに高い値であった。発育不良は24~35ヵ月児でわずかに低下し、痩せは2歳未満の子どもで最も大きく改善し、約50%低下した。調査期間中に、子どもへのほとんどの生存介入のカバレッジが大幅に増加した。LiSTにより、2009年に5歳未満の子ども5万9,000人の生命が救済されたことが示された。そのうち25%が殺虫剤処理した蚊帳の導入、19%が栄養状態の改善、9%がビタミンAの補給、22%が経口補水塩と亜鉛の補給による下痢の治療および発熱、マラリア、小児肺炎の治療探索、11%はワクチン接種によるものであった。著者は、「ニジェールでは、誰でも利用できる環境づくり(ユニバーサル・アクセス)、母子保健の無料提供、栄養プログラムの地方への普及を支援する政府施策が、MDG4の達成に必要とされる以上の迅速さで子どもの死亡率を低下させたと考えられる」と結論している。

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双極性障害患者の自殺企図、テストステロンレベルと相関

 テストステロンの最もよく知られている神経行動学的影響は、性的機能と攻撃性である。そして、テストステロンや他のアンドロゲンは、気分障害や自殺行動の病態生理と関与している可能性が示唆されている。米国のSher氏らは、今回初めてテストステロンレベルと双極性障害による自殺の臨床パラメーターとの関係性を検証した。J Psychiatr Res誌2012年10月号の報告。 対象は、過去に少なくとも1回以上の自殺未遂を経験し、うつ病または混合性エピソード障害を有する双極性障害患者67例(男性16例、女性51例)。生涯の自殺行動を含む人口統計学的および臨床的パラメーターを評価した。血漿テストステロンの測定には二重抗体ラジオイムノアッセイ法を使用した。主な結果は以下のとおり。・大うつ病エピソード、自殺企図の最大致死性、テストステロンレベルは、女性に比べ男性の方が高かった。・現在の自殺念慮のスコアは男性に比べ女性で高かった。・性別を調整したのち、テストステロンレベルは躁病エピソードおよび自殺企図の回数と相関していた。関連医療ニュース ・アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは? ・自殺予防に期待!知っておきたいメンタルヘルスプログラム ・双極性障害の再発予防に有効か?「Lam+Div療法」

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PCV13はPCV7よりも広範な防御を提供する可能性

 韓国・延世大学校医療院セブランス病院のKim DS氏らは、同国の小児ワクチン定期接種における小児肺炎球菌ワクチンについて、7価(PCV7)と13価(PCV13)の免疫原性と安全性に関して比較した。その結果、「PCV13の免疫原性と安全性が認められた。PCV13はPCV7よりも広範な防御を提供するだろう」と結論している。Pediatr Infect Dis J誌オンライン版2012年9月24日号の掲載報告。 健常な乳児180例を、無作為に1対1の割合でPCV13またはPCV7の接種群に割り付けた。接種は、生後2、4、6ヵ月+12ヵ月齢で行われた(3回接種+追加接種1回)。 3回接種後および追加接種後に、ELISA、オプソニン作用活性(OPA)アッセイを用いて免疫応答を測定し、IgG抗体価幾何平均濃度(GMCs)とOPA機能的抗体価幾何平均力価(GMTs)を算出し検討した。また、安全性について評価した。 主な内容は以下のとおり。・3回接種後、両ワクチンに共通する7つの血清型に関しては、IgG濃度≧0.35μg/mLレスポンダーの割合は、両群間で匹敵した値が示された(≧97.6%)。・IgG GMCsとOPA GMTsは、おおよそ同程度であったが、一部の血清型についてはPCV13群で、より低い傾向がみられた。・PCV13群に特有の6つの血清型については、IgG GMCsとOPA GMTsは、PCV13群で顕著に高かった。・PCV7はPCV13血清型の5および19AのIgG抗体価を上昇させたが、OPA反応はごくわずかだった。血清型の6Aは、IgGとOPA反応がともに上昇した。・これらの所見は、PCV7による防御が最少で一部であったこと、すなわち血清型6Aによる侵襲性肺炎球菌感染症の防御は認められたが、血清型5と19Aについては交差防御が認められなかったことと、整合性がとれていた。・4回目の接種後は、ほとんどの血清型が、3回接種後よりも高いIgG、OPA反応を示した。ただし血清型3と14のOPA反応のみ、4回目の接種後に上昇した。・ワクチンの安全性プロファイルは、同程度であった。

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