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腎結石にかかった人は要注意!CHD発症リスク因子の蓄積―日本人男性を対象とした研究

 腎結石に罹患したことがある人は、現在検査で異常が認められなくても、冠動脈心疾患(CHD)発症リスク因子を有している可能性が高いことが名古屋市立大学大学院 安藤亮介氏らの研究で明らかになった。The Journal of Urology誌オンライン版2012年11月14日付の報告。 日本人男性における腎結石とCHD発症リスクとの関連について調べるため、横断研究を行った。対象は1995年4月から2001年3月までに自発的に健康診断を受けた日本人男性1万3,418人(30~69歳)。超音波検査の結果と腎結石の既往歴に基づき、コントロール群、過去罹患群、現在罹患群に分けられた。標準的なCHD発症リスク因子(太りすぎ/肥満、高血圧、糖尿病、痛風/高尿酸血症、脂質異常症、慢性腎臓病)について評価し、腎結石形成との関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。 ・超音波検査により、腎結石を認めた人は、404人(全体の3.0%)であった(現在罹患群)。・腎結石の既往があるが、検査で腎結石を認めなかった人は、1,231人(全体の9.2%)であった(過去罹患群)。・BMI、収縮期/拡張期血圧、血清尿酸値は、現在罹患群・過去罹患群の両群とも、コントロール群に比べて有意に高値であった。・ロジスティック回帰分析の結果、太りすぎ/肥満、高血圧、痛風/高尿酸血症、慢性腎臓病発症の多変量調整後のオッズ比(95%CI)は、コントロール群、過去罹患群、現在罹患群の順に有意に増加した。

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Hanifin & Rajka診断基準はゴールドスタンダードだがWilliams診断基準も非常に有用

 ポーランド・ワルシャワ医科大学皮膚科のZbigniew Samochocki氏らは、小児アトピー性皮膚炎の診断について、Hanifin & Rajka診断基準とWilliamsらによって簡略化修正された診断基準との比較を行った。その結果、Hanifin & Rajka診断基準がゴールドスタンダードであるが、Williams診断基準も4歳児以上では非常に有用であると報告した。小児アトピー性皮膚炎の診断をめぐっては多くの問題があり、Hanifin & Rajka診断基準は一般的に用いられているが、小児科医が日常診療で用いるのは難しいとされる。著者は、Williams診断基準は有用で、小児アトピー性皮膚炎で頻度の高い臨床症状をよく表現しているとして、診断基準の有効性を検討した。World Journal of Pediatrics誌2012年11月号掲載の報告。 試験は、250例の小児が参加し行われた。被験者は全員が臨床検査と、Hanifin & Rajka診断基準による診断とWilliams診断基準による診断を受けた。 主な結果は以下のとおり。・Hanifin & Rajka診断基準による診断で小児アトピー性皮膚炎と診断されたのは173例であった。そのうち153例は、Williams診断基準による診断でも小児アトピー性皮膚炎陽性であると診断された。・Hanifin & Rajka診断基準によって小児アトピー性皮膚炎と診断されなかったのは77例であった。そのうち4例は、Williams診断基準によって陽性であることが検出された。・疥癬と脂漏性皮膚炎であった4例の小児は、Williams診断基準によって小児アトピー性皮膚炎であるとの誤った診断を受けた。非定型病変部位と喘息あるいは花粉症の既往、乾皮症が誤りの要因であった。・Hanifin & Rajka診断基準はゴールドスタンダードであるが、Williams診断基準も4歳以上の小児では非常に有用である。・Williams診断基準が最も有用なのは、既往の特定病変部位と乾皮症既往があるかゆみの診断であり、小児アトピー性皮膚炎の検出感度は2~5歳の初発皮膚病変に対して年齢が上がるほど有意に増大した。

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慢性の首の痛みに対するヨガの効果、無作為化試験で確認

 慢性腰痛に対するヨガの効果は知られているが、ヨガは慢性頸痛に対しても鎮痛効果や機能改善効果があり治療オプションとして有用であることが、ドイツ・シャリテ大学病院のAndreas Michalsen氏らによる無作為化試験の結果、報告された。Journal of Pain誌11月号の掲載報告。 研究グループは、慢性頸痛に対するアイアンガー・ヨガの有効性を評価するパイロット無作為化試験を行った。 100mm視覚的アナログ・スケール(VAS)スコアで、>40mmであった慢性頸痛を有する77例の患者(47.9±7.9歳、女性67例)を、9週間のアイアンガー・ヨガプログラム(毎週90分クラス)を受講する群(38例)と、セルフケア・運動プログラムを行う群(38例)に無作為化した。被験者は、ベースラインと4、10週間後に評価を受けた。 主要アウトカムは、ベースラインから10週時点までのVASでみた平均安静時疼痛スコアの変化であった。副次アウトカムは、運動時疼痛、身体機能障害、QOL、精神的アウトカムなどであった。 主な結果は以下のとおり。・ヨガ群のうち12例とセルフケア群のうち11例は、フォローアップが完了しなかった。介入に関するアドヒアランスはセルフケア群のほうが低かった(5例vs. 10例)。・10週時点までに平均安静時疼痛スコアは、ヨガ群は44.3±20.1から13.0±11.6へ低下し、セルフケア群は41.9±21.9から34.4±21.1へ低下した。ヨガ群変化とセルフケア群変化の差は、-20.1(95%CI:-30.1~-10.1)でヨガ群のほうで有意な低下がみられた(p<0.001)。・10週時点までに運動時疼痛スコアは、ヨガ群は53.4±18.5から22.4±18.7へと低下し、セルフケア群は49.4±22.8から39.9±21.5へ低下した。両群の変化の差は、-18.7(同:-29.3~-8.1、p<0.001)であった。・ヨガの有意な治療効果は、疼痛関連の懸念、身体機能障害、QOL、精神的アウトカムにおいても認められた。・感度解析の結果、試験脱落者の影響は小さいことが示された。・介入プログラムは両群とも忍容性は良好であった。・今回の予備的研究では、ヨガは慢性頸痛の効果的治療となる可能性が示され、精神面やQOLへもよい効果をもたらす可能性が認められた。さらに観察期間がより長期の比較試験を行い有効性を検証すべきである。

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片頭痛と脳病変進行、女性の深部白質病変を除き有意な関連みられず/JAMA

 片頭痛を有する男女のMRI所見を9年前のものと比べて比較した結果、女性では深部白質病変の発生が高率にみられたが、その他のMRIで確認されていた脳病変の進行は有意にはみられなかったことが、また男性ではあらゆるMRI既往脳病変の進行との関連がみられなかったことが報告された。オランダ・ライデン大学医療センターのInge H. Palm-Meinders氏らが、先行研究で片頭痛とMRI脳虚血病変との関連が示されていたことを踏まえて行った検討で、結果について著者は、「脳血管の構造的変化に果たす片頭痛の役割について疑問を呈する所見となった」と述べている。JAMA誌2012年11月14日号掲載報告より。片頭痛のある平均年齢57歳男女を対象にMRI所見を9年前のものと比較 研究グループは、片頭痛を有する(前兆ありなし含む)男女のMRI所見を9年前のものと比べて、新規病変発生が高率にみられるか、病変部位の進行はみられるか、また認知低下との関連を調べた。対象は、オランダで行われている住民ベースの前向き観察研究CAMERA(Cerebral Abnormalities in Migraine, an Epidemiological Risk Analysis)-1スタディの参加者で、片頭痛群[ベースライン平均年齢57歳(範囲:44~71歳)、女性69%]と、対照群(片頭痛・年齢・性で適合)について追跡した。両群被験者は全員、2000年にMRI検査を受け、2009年にも全員に脳病変の進行を確認するためのMRI検査の紹介が行われた。 2回の検査を完了したのは、片頭痛群203/295例、対照群83/140例であり、年齢、性、高血圧、糖尿病、教育レベルで補正後に両群の比較が行われた。 主要評価項目は、MRIで認められた深部脳白質病変、テント下腫瘍病変、後側循環系梗塞様病変であった。認知機能の変化も評価した。テント下腫瘍病変や後側循環系梗塞様病変の進行、認知機能の変化との関連は認められず 片頭痛群の女性145例のうち122例(77%)が、対照群は55例のうち33例(60%)が、深部脳白質病変の進行がみられた[補正後オッズ比(OR):2.1、95%信頼区間(CI):1.0~4.1、p=0.04]。 片頭痛とテント下腫瘍病変進行との有意な関連はみられなかった。片頭痛群では21例(15%)、対照群では57例中1例(2%)で進行がみられた(同:7.7、1.0~59.5、p=0.05)。 新たな後側循環系梗塞様病変の発生は、片頭痛群203例中10例(5%)、対照群は83例中0例(0%)だった(p=0.07)。 片頭痛の回数や頻度と病変進行との関連も認められなかった。 深部脳白質病変がある群での認知機能スコアの変化についても有意な差はみられなかった(片頭痛群-3.7vs. 対照群1.4、95%CI:-4.4~0.2、補正後p=0.07)。

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早食いは肥満のもと―日本の子どもを対象とした報告―

 子どもは食べる速度が速いと肥満のリスクが有意に高まるという研究結果が、東京大学 村上健太郎氏らにより示された。Journal of Nutritional Science and Vitaminology誌 2012年58巻4号掲載の報告。 沖縄県那覇市の小学校35校、中学校17校の生徒と名護市の小学校17校、中学校8校の生徒を対象に、子供の食べる速度と肥満の関連性について横断的研究が行われた(Ryukyus child health study)。調査期間は2004年9月から2005年1月。 6~11歳の男女15,974人(男児7,956人、女児8,018人)、12~15歳の男女8,202人(男子3,944人、女子4,258人)が登録された。 自己申告による食べる速度に応じて、5群(食べる速度がとても遅い群、比較的遅い群、普通、比較的速い群、非常に速い群)に分けられた。BMIは自己申告された体重と身長から算出した。過体重の診断基準は、国際肥満タスクフォース(IOTF)のガイドラインに基づき、年齢と性別による特定のBMIカットオフ値に応じて定義した。 主な結果は以下のとおり。・過体重は全体の13.2%であった。・食べる速度は過体重のリスクと正の相関を認めた。タンパク質、脂肪、食物繊維の摂取量とは無関係であった。・過体重の多変量オッズ比(95%CI)は以下のとおり(すべて傾向性のp<0.0001)。<6~11歳男児>食べる速度がとても遅い群:0.31 (0.20~0.49)比較的遅い群:0.49 (0.40~0.60) 普通:1 (reference)比較的速い群:2.81 (2.42~3.26)非常に速い群:4.49 (3.47~5.81)<6~11歳女児>食べる速度がとても遅い群:0.42 (0.31~0.58)比較的遅い群:0.49 (0.41~0.59) 普通:1(reference), 比較的速い群:2.74 (2.27~3.31)非常に速い群:5.69 (3.75~8.63)<12~15歳男子>食べる速度がとても遅い群:0.13 (0.03~0.54)比較的遅い群:0.43 (0.28~0.65) 普通:1 (reference)比較的速い群:2.31 (1.88~2.84)非常に速い群:3.84 (2.77~5.31)<12~15歳女子>食べる速度がとても遅い群:0.55 (0.30~1.01)比較的遅い群:0.46 (0.33~0.65) 普通:1(reference)比較的速い群:1.30 (0.99~1.71)非常に速い群:1.49 (0.84~2.65)

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エキスパートに聞く!「糖尿病」Q&A

CareNet.comでは11月の糖尿病特集を配信するにあたって、事前に会員の先生より糖尿病診療に関する質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、糖尿病の専門医である3人の先生にご回答いただきました。本宮哲也(もとみや・てつや)氏(もとみや内科クリニック 院長)http://www.motomiya-clinic.jp/専門医が行っている、DPP-4阻害薬と他剤との併用例を教えてください。また、DPP-4阻害薬間での効果の差異や使い分けの基準などがあれば同じくお願いします。1)シタグリプチンは、SU薬、BG薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、インスリン注射、2)アログリプチンとアナグリプチンは SU薬、BG薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、3)ビルダグリプチンおよびリナグリプチンはSU薬、4)テネリグリプチンはSU薬とチアゾリジン薬との併用が可能で症例に応じて薬剤を選択します(2012年11月時点での適応に基づく)。また、Aroda氏ら1)が行った効果の差異検討では、DDP-4阻害薬の最大維持用量の投与によるHbA1c改善率は、ビルダグリプチン -1.06%、アログリプチン -0.69%、シタグリプチン -0.67% という結果でしたが、分析内容が不十分とされ、再検討待ちです。使い分けについては、シタグリプチンは現時点では腎不全には使用できず、アログリプチンは腎不全の程度に応じて用量の調節が必要です。アナグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、テネリグリプチンは腎不全には慎重投与ですが、用量の制限はありません。1)Aroda.VR et al:Clin Ther.2012;34:1247-1258膵臓疾患のある方へのDPP-4阻害薬の投与時の注意点について、教えてください。膵疾患のある方へのDDP-4阻害薬の投与は、急性膵炎と慢性膵炎を区別して考える必要があります。FDA(アメリカ食品医薬品局)は、2006年10月16日から2009年2月9日におけるDDP-4阻害薬の市販後調査で88例(出血性や壊死性の膵炎2例を含む)に急性膵炎が発症した報告を受け、急性膵炎への投与は禁忌とし、使用中に膵炎の発現が疑われた場合は使用を中止するよう推奨しています。しかし、膵炎の既往がある患者さんへのDDP-4阻害薬の使用については、検討や研究はされていないとしています(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部発行 医薬品安全性情報Vol.7 No.23)。また、飲酒家で慢性膵炎で血糖が上昇してきた患者さんへDDP-4阻害薬を使用した場合に、慢性膵炎が悪化したデータや報告は、今のところないようですが、このような患者さんへの投与は慎重に行い、どうしても投与しなければならない時には、膵炎に関する適切なモニタリングが必要と考えます。経口薬治療はどこまで続けるべきなのでしょうか?また、最大何剤まで増やして治療された経験がありますか?第1に、2型糖尿病では腎症の程度により禁忌となる経口糖尿病薬があり、基本的に透析患者、ならびにCcr30mL/分 以下では一部のDDP-4 阻害薬やα-グルコシダーゼ阻害薬を除き、経口糖尿病薬は原則禁忌となります。第2に、複数の経口糖尿病薬を併用しても血糖コントロールが改善せず、内因性インスリン分泌の低下が著明になった場合には、インスリン注射療法へ変更することになります。2012年の ADA/EASD が発表した推奨される2型糖尿病の血糖降下療法によればメトホルミンで治療を開始し、血糖コントロールの改善度、副作用、体重などを3ヵ月毎に慎重に観察しながら、2剤、3剤と経口糖尿病薬を併用し、目標が達成できない場合にインスリン注射療法の導入を勧めています。私は、DDP-4阻害薬をベースに少量のSU薬やメトホルミン、α-グルコシダーゼ阻害薬の追加で3剤まで増やしても良好な血糖コントロールにならない場合、インスリン自己注射が可能で、承諾の得られた患者さんにはインスリン療法を導入しております。梅澤慎一(うめざわ・しんいち)氏(医療法人 うめざわクリニック 院長)http://www5d.biglobe.ne.jp/~umecli/index.htmHbA1c7%前後の軽症例への第1選択薬は、どのような選択肢が考えられるでしょうか?HbA1c7%(NGSP値)前後の軽症例の第1選択薬とは、HbA1c値を0.5%程度(良の中央値)下げられる、できるだけ安価で副作用の少ない薬剤を意味するものと解釈します。したがって注射製剤は今回除くこととします。インタビューフォームに記載されていたほとんどの経口血糖降下薬のHbA1c低下効果は、その治験対象の治療前HbA1c値が高いため(8.0% 前後)、軽症例に投与しても添付文書のようには低下しません。万人に単剤でしっかり0.5%下げられる能力が期待できると私が考える薬は、速効型インスリン分泌促進薬のレパグリニド〔商品名:シュアポスト〕(1.5mg/日)、DPP-4阻害薬のビルダグリプチン〔商品名:エクア〕(100mg/日)、テネリグリプチン〔商品名:テネリア〕(20mg/日)、シタグリプチン〔商品名:グラクティブ〕(100mg/日)、〔商品名:ジャヌビア〕(100mg/日)、 アログリプチン〔商品名:ネシーナ〕(25mg/日)、リナグリプチン〔商品名:トラゼンタ〕(5mg/日)、SU薬のグリメピリド〔商品名:アマリール〕(0.5~1.0mg/日)などが該当します。いずれも初回の規定投与量を遵守し、忍容性を見極めての増量が基本です。臓器合併症がない人に限っては、ピオグリタゾンとメトホルミンなどのBG薬が期待できますが、どちらも効果は個人差が強いといえます。病識のない患者さんへの教育・指導のコツやポイントを教えてください。最も重症な病識欠如は通院中断者であることは間違いないでしょう。定期的に中断者リストを作成して、再診を促すハガキを出すことができれば理想的です。診療所など地域に根差した施設では、家族の受診の付き添いで来院する際や風邪などで再初診する機会にさりげなく「最近、糖尿病の方はどうかな?」と声掛けをすることで通院再開に成功するケースもあると思います。内服・注射アドヒアランスの低下などは処方薬の選択、投与法の工夫など医師の役割部分が大きく、認知症などによる飲み忘れ対策では家族の教育(看護師)、一包化調剤の利用(薬剤師)などの多職種との連携が必要になるでしょう。食事運動療法、節酒・禁煙ができないなどの病識の欠如は、個人的な事情もあるので、万人に有効な処方箋はありません。私は“その人が今できることを探して、具体的な方法を提示し、できたら少しでも賛美し、結果にむすびついたら一緒に喜ぶ”、“合併症がでたら大変という脅しはしない”の2項目を念頭に、辛抱強く向かい合うようにしております。BOT導入に際し、スタッフへの教育をどう進めるべきか教えてください。まずはBOTの概念をスタッフに理解してもらうことが大事です。BOTで使用するインスリングラルギン(商品名:ランタス)やインスリンデテミル(商品名:レベミル)などの持効型インスリンの本来の使用目的は、インスリン強化療法の基礎分泌(basal)部分を担うことにありました。そのため持効型インスリンは、速効または超速効型インスリン食前3回投与と組み合わせた使用が一般的です。その後、経口血糖降下剤で効果不十分な2型糖尿病に少量の持効型インスリンを追加する(basal + oral therapy)ことにより、内因性インスリン分泌が回復し、血糖コントロールが改善する事例報告が多く認められ、新たな治療法の概念となっていったものです。 BOTはすでに今行われている治療法を変更しないで、1日1回のインスリン注射を加えることで実行できるため、患者も医療者側も治療法の変更という大きな心理的不安を緩和することができるのです。注射時刻は各薬剤の添付文書に基づきますが、毎日一定の時間に投与すればよく、SU薬を併用しているケースでは1回抜けたくらいで急性代謝失調に陥ることはないという安心感が維持できます。田中啓司(たなか・けいじ)氏(田中内科クリニック)http://www.tanakanaika-clinic.com/BG薬はどのような患者に使うべきでしょうか?また、副作用のマネジメント(乳酸アシドーシスへの対応等)についても教えてください。BG薬は、肝臓で乳酸からの糖新生の抑制、脂肪や筋肉への糖の吸収促進、腸管での糖の吸収抑制、食欲低下作用などが報告されています。適応患者としては、肥満の2型糖尿病で、ある程度コントロールのよい例をよりよくする目的のほか、SU薬やインスリンを多量に使ってもコントロール不良例での改善、さらにそれら薬剤を減量させる目的などで投与することが多いです。乳酸アシドーシスの重大な副作用症状は、「意識障害、嘔吐、倦怠感、過呼吸、腹痛など」です。日本糖尿病学会の「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」は、乳酸アシドーシスに至った例は、各剤の添付文書において禁忌や慎重投与となっている事項に違反した例がほとんどであると報告しています。「腎機能障害患者(透析患者を含む)、過度のアルコール摂取、シックデイ、脱水などの例、心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者、高齢者」とのことです。乳酸アシドーシスへの対応というよりは、投与してよい例か否かを慎重に検討して、乳酸アシドーシスを起こさないことが重要と考えられます。75歳以上の高齢者のHbA1c管理目標値は、他の年代の方と同様でよいでしょうか?また、食事指導は実施すべきでしょうか?日本糖尿病学会では、高齢者の血糖管理目標値を空腹時血糖140mg/dL、HbA1c 7.4%以下(NGSP値)としています。しかし一方で、患者の状態を詳細に把握して個別的な対応を行うことも重要と呼びかけています。高齢者糖尿病は多様性があることを理解して、高齢者でも、非常に元気な例もあれば、予後の限られた例もある。もちろん肥満例では足腰に負担がかかり、ADL低下に至る可能性もあるので食事療法は必要です。しかし、食が細くなっている高齢者もいますので、本人や家族からの聴き取り調査が必要です。また、高齢者糖尿病例は代謝の低下に伴い、突然低血糖になる例もあります。一方で、風邪をひいて急に高血糖になる例もあります。大血管障害は別として、血糖にこだわり細小血管障害を心配するよりも、低血糖や高血糖性昏睡などの直接命に関わる急性合併症を回避することが大切で、全身を診る医療が最も重要と考えます。最近、話題の「糖質制限食」(メリット/デメリットなど)について教えてください。〔メリット〕減量効果:3度の食事の糖質(主食:ごはん、パンなど)を減らすことにより、摂取カロリーが減ります。例えばごはん、大盛り300g → 並200gに変更することにより100g(160Kcal) × 3回 × 30日 = 14,400Kcalとなり、1ヵ月で約2kgの減量につながります。食後血糖改善効果:糖質は、タンパク質や脂肪に比べて吸収が速く、食後の血糖値が高くなります。ひいては血糖コントロール改善効果があります。〔デメリット〕間食が多くなる:ごはん、パンなどは腹もちがよく、極端に減らすことにより次の食事までの間に空腹感が出て、その結果、間食をしてしまう患者さんが多く、肥満や血糖コントロールの乱れにつながります。心血管・内臓負担:当然のことながら、肉や魚の量が増えてしまいます。そのため、タンパク質や脂肪の摂取過剰になります。タンパク質を多く摂ると腎臓に負担がかかり(腎不全では禁忌)、脂肪を多く摂るとコレステロールが高くなり動脈硬化性疾患である心臓病や脳卒中になりやすい可能性があります。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(37)〕 心血管疾患罹患リスクは年齢を問わず男性が高いことを確認

米国の代表的な追跡研究であるフラミンガム研究などの疫学データをもとに、年当たり90万人という膨大な米国住民のプール解析を実施し、心血管疾患発症に対する生涯リスクについて検討した貴重な成績である。 平均的な45歳のアメリカ人で、生涯にわたって心血管疾患を発症するリスクは男性で60.3%、女性では55.6%という。すべての世代において女性での心血管死発症率は男性より約5%低く、これは閉経までのエストロゲンによる動脈硬化予防効果が生涯にわたって影響するということだろうか。 55歳時に血圧が120/80mmHg未満で、喫煙歴と糖尿病の既往がなくとも、85歳までに心血管イベントを発症するリスクは男性40%、女性30%であるというのは意外な感がするが、肥満や遺伝歴などリスクとしてカウントされていない要素があるためかもしれない。またLDL-コレステロール値が考慮されていないこともあろうし、ストレスそのものが心血管疾患のリスクになっている可能性も否定できない。リスク因子が多くなるほど、生存期間が短くなるという結果は、従来フラミンガム研究が示してきたことと同じである。 実際には、生命予後は心血管疾患以外にも悪性腫瘍や感染症などによって大きく左右されるが、本報告は米国人での心血管イベント発症、生命予後とリスク因子の関連を検討した成績として意義がある。 しかし、本試験の結果をみると、生きていくかぎり血管は痛み、いずれは破綻するということを実感させられる。問題はいかに血管の破綻を先延ばしするかということである。

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【アンケート】アトピー性皮膚炎患者さんの治療意欲は?その3

医師対象:株式会社ケアネットの運営するwebサイトCareNet.com会員の皮膚科標榜医師方法:インターネット調査 実施時期:2012年6月~8月患者対象:軽症から重症のアトピー性皮膚炎で現在も治療中の患者100名方法:インターネット調査 実施時期:2012年8月【患者さんへのアンケート】Q処方された塗り薬を担当の医師の指示通りに塗っていますか。Qなぜ、指示通りに塗れなかったのでしょうか。(いくつでも)【皮膚科医師へのアンケート】Q先生が診ているアトピー性皮膚炎の患者さん(16歳以上)は、どの程度、先生の指示を守って薬剤を塗布していますか?Q患者さん(16歳以上)がステロイド外用剤やタクロリムス軟膏などの外用剤を自己判断で中止したり、塗る回数を減らしたりする理由で、今までに先生がご経験されたものについて、下記よりお選びください。≪ケアネット編集後記≫今回は、薬剤塗布に関する指示の遵守度と自己中断・減量の理由について示しました。患者さんは『100%守っている』と回答した人が16%だったのに対し、医師が『100%守ってくれている』と考えている割合は1.7%と、大きな認識の差があるようです。自己中断・減量の理由として、63.1%の患者さんが『症状が改善したと感じたため』と回答しています。一方で、医師に患者さんが自己中断する理由のうち、経験したことがあるものを聞いたところ、87.6%が『外用薬への不信感』を挙げました。ある程度見た目で症状が改善してもしばらくは薬剤の塗布が必要であることを患者さんに理解してもらうのは一筋縄ではいかないようです。先生はこの“ギャップ”に関してどう思われますか?

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MMRワクチン2回接種高率地域では、耳下腺炎流行を3回目の接種でコントロール可能

 MMRワクチン2回接種率の高い地域では、耳下腺炎流行時に3回目の接種を行うことで、接種後すみやかに発生率の減少がみられ、流行のコントロールに有用である可能性が示された。米国CDCのIkechukwu U Ogbuanu氏らが、耳下腺炎流行コントロールに対するMMRワクチン3回目接種の影響を評価した初の試験結果として報告した。米国では2009~2010年に北東部の宗教コミュニティにおいて、MMRワクチン2回接種率が高率であったにもかかわらず耳下腺炎の大規模な流行が発生した。その際、同地域の学生に対し、流行のコントロール効果を目的にMMRワクチンの3回目の接種が行われた。Pediatrics誌オンライン版2012年11月5日号の掲載報告。 MMRワクチンの3回目の接種に関する試験は、3校の6~12学年の学生に対して行われた。 ベースライン評価とフォローアップ評価、および医師の症例報告によって、耳下腺炎罹患率(接種前後3週間の期間について算出)をモニタリングした。 主な結果は以下のとおり。・試験適格であった学生2,265例のうち、2,178例(96.2%)に対し追加接種に関する文書を提供した。接種を選択した学生は高率(1,755例、80.6%)であった。・6~12学年全体の耳下腺炎罹患率は、ワクチン接種前は4.93%であったが、接種後は0.13%に低下した(p<0.001)。・コミュニティ全体の罹患率は、介入後75.6%まで低下した。・罹患率の低下は全年齢群でみられたが、ワクチン接種を行った11~17歳群での低下は、その他のどの年齢群よりも有意に大きかった(96.0%)。・有害事象発生の報告は、MMRワクチン接種1回目または2回目の既存報告の範囲内、もしくはより低率であった。

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認知症の進行予防にビタミンEは有効か?

 アルツハイマー型認知症(AD)および軽度認知障害(MCI)進行予防としてのビタミンEについて、ベネフィットがあるという確実なエビデンスはみつからなかったと、英国・サセックス大学のNicolas Farina氏らが報告した。結果を受けて著者は、「今後の試験では、ADにおけるビタミンEの評価をα‐トコフェロールに限定しないで行うべきかもしれない」と提言している。本研究は、ビタミンEにはフリーラジカルを消失する抗酸化作用があり、一方でフリーラジカルがADなど病理学的な認知障害プロセスに寄与するとのエビデンスがあることを踏まえて行われた。Cochrane database of systematic reviews 2012年11月14日掲載の報告。認知症進行予防としてビタミンEとプラセボを比較 Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group(ALOIS)、The Cochrane Library、MEDLINEなどSpecialized Register(2012年6月25日時点)で、「Vitamin E」「vitamin-E」「alpha-tocopherol」の単語を用いて文献検索を行い、非交絡で二重盲検の無作為化試験(ADまたはMCI患者を対象に、あらゆる投与量でのビタミンE投与とプラセボを比較した試験)を同定した。レビュワー2名が個別に選択基準を適用して試験の質を評価し、データの抽出と解析を行った。各転帰尺度は無作為化された患者ごとに調べ、データ抽出をできる患者がいなくなった時点で解析を行った。プール解析は試験間で比較可能な転帰尺度が不足していたため行われなかった。 主な内容は以下のとおり。・認知症進行予防のためのビタミンE投与の選定基準を満たしたのは3試験だけであった(AD集団について2試験、MCI集団について1試験)。・1つ目のAD試験(佐野、1996)では著者は、ビタミンE投与(2,000 IU/日)は若干のベネフィットがあったこと[2年以内の、死亡・施設収容・CDR(Clinical Dementia Rating)スコア3のエンドポイントに達成した患者がより少なく、基本日常生活動作の低下も少なかった]を報告していた。・投与を完了した患者において、エンドポイント達成について、ビタミンE群58%(45/77)に対しプラセボ群は74%(58/78)であった[オッズ比(OR):0.49、信頼区間(CI):0.25~0.96]。・2つ目のAD試験(Lloret、2009)は、酸化ストレスとの関連でビタミンE(800 IU/日)投与の認知障害の進行に対する効果を検討したものであった。結果、ビタミンE投与で患者は酸化ストレスマーカーが低下したが、MMSEスコア変化率(ベースラインから6ヵ月間、対プラセボ)の有意差は認められなかった。・MCI試験(Petersen、2005)の主要な目的は、MCIからのADを含む認知症の変化・進行までの時間についてビタミンE投与(2,000 IU/日)の効果を検討したものであった。結果、被験者総計769例のうち214例が認知症へと進行し、そのうち212例はADがほぼ確実もしくはその可能性が高いと分類された。・MCIからADへの進行の可能性についてビタミンE群とプラセボ群で有意差はみられなかった(ハザード比:1.02、95%CI:0.74~1.41、p=0.91)。

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子宮頸がん治療後のフォローアップではHPV検査の実施が有効で費用対効果あり/BMJ

 子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)治療後に行うヒトパピローマウイルス(HPV)検査の費用対効果について、英国・London School of Hygiene and Tropical MedicineのRosa Legood氏らによる経済解析の結果、フォローアップでの実施は有効であり、細胞診のみによるフォローアップと比べてコスト削減につながることを報告した。先行研究では見解が一致しておらず、研究グループは、国民保健サービス(NHS)のSentinel Sites Studyのデータを用いて解析を行った。BMJ誌2012年11月10日号(オンライン版2012年10月31日号)掲載より。細胞診のみでのフォローアップとHPV検査併用の費用対効果を比較 CIN治療後のHPV検査の費用対効果の評価は、Markovモデル手法を用いて、NHSのSentinel Sites Studyからの医療費コストと疫学データと、先行研究からの治療後再発率データを統合した、経済解析によって行った。 NHSの子宮頸がんスクリーニング・プログラムに基づき、マネジメント・ガイドラインに即したCIN処置後10年にわたって毎年行われる細胞診フォローアップと、HPV検査を用いた代替プロトコルとの、治療後サーベイランスにおける総額費用の低下について比較した。 主要評価項目は、10年間で予防できたグレード3以上(CIN3+)の基底細胞がん症例数と、治療を受けた女性1,000人当たりのコストとした。治療後フォローアップのHPV検査は費用対効果に優れる 解析の結果、細胞診のみフォローアップ群では10年間で29例のCIN3+の基底細胞がん再発症例が認められ、コストは治療女性1,000人当たり35万8,222ポンド(44万426ユーロ、57万4,910ドル)だった。 Sentinel Sitesプロトコルによる細胞診陰性女性を対象とした治療のためのHPV検査の実施は、8.4例のCIN3+症例の予防が追加され、治療女性1,000人当たりのコストは9,388ポンド減少した。 これらの分析結果から研究グループは、フォローアップのためのHPV検査は有効で、細胞診のみによる場合と比べて医療費の削減になるだろうと述べ、その上で、「NHS Cervical Screening ProgrammeでCIN治療後に行うフォローアップのHPV検査の実施を全面的に支持する」とまとめている。

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毎日のマルチビタミン剤服用、がんリスク抑制効果はわずか/JAMA

 毎日のマルチビタミン剤服用の効果は、総合的にみたがんリスク抑制については、わずかであるが有意であることが示された。しかし個別にみると有意差はなく、またがん死亡の抑制も有意差は示されなかった。ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバードメディカルスクールのJ. Michael Gaziano氏らが、米国男性(医師コホート)を10年間追跡した無作為化試験「Physicians' Health Study II」の結果、報告した。マルチビタミン剤は最も一般的な栄養補助食品で米国では成人の3人に1人が服用しているという。しかしこれまで、マルチビタミン剤摂取と、総合的あるいは特異的がんの発生率および死亡率との関連を検討した観察研究は行われていなかった。JAMA誌2012年11月14日号掲載報告より。50歳以上男性医師1万4,641例を追跡し、前立腺がん、大腸がんなどとの関連を調査 試験は、マルチビタミンサプリメントの長期服用が男性における総合的あるいは特異的ながんイベントリスクを減少するのかを比較検討した無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、1997年に開始され、2011年7月1日まで追跡した。 登録被験者は米国医師1万4,641例(無作為化時点でがん既往歴のあった1,312例含む)で、試験開始時50歳以上(平均年齢64.3歳、SD 9.2)であった。 主要アウトカムは、すべてのがん(非黒色腫皮膚がんは除く)で、副次アウトカムには前立腺がん、大腸がん、他の部位特異的ながんなどが含まれた。ベースラインでのがん病歴有無でも検討、病歴ありの人では有意に抑制 追跡期間中央値11.2年(範囲:10.7~13.3)の間に、2,669例のがん発生が確認された(前立腺がん1,373例、大腸がん210例含む)。 総合的がんリスクは、毎日のマルチビタミン服用群のほうがプラセボ群と比較して統計的に有意に抑制された[1,000人・年当たりマルチビタミン群17.0 vs. プラセボ群18.3、ハザード比(HR):0.92(95%信頼区間:0.86~0.998)、p=0.04]。  しかし、特異的がんリスク抑制については、いずれも有意な差はみられなかった。前立腺がん(同9.1 vs. 9.2、0.98、0.88~1.09、p=0.76)、大腸がん(同:1.2 vs. 1.4、0.89、0.68~1.17、p=0.39)、その他、肺がん(p=0.26)、血液がん(p=0.10)、膵臓がん(p=0.45)、リンパ腫(p=0.40)、白血病(p=0.33)、黒色腫(p=0.42)であった。 また、がん死亡リスクについても有意な差はみられなかった(同:4.9 vs. 5.6、0.88、0.77~1.01、p=0.07)。 ベースラインでがん病歴のあった1,312例の検討では、マルチビタミン服用群のほうが総合的がんリスクは有意に抑制されたが(HR:0.73、0.56~0.96、p=0.02)、がん病歴のなかった1万3,329例の検討では有意ではなかった(同:0.94、0.87~1.02、p=0.15、相互作用p=0.07)。

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平本式 皮膚科虎の巻

第1回「まずは、皮膚科診療の流れ」第2回「ステロイド外用剤で“湿疹”成敗 !」第3回「湿疹に擬する曲者を見破る ! その1」第4回「湿疹に擬する曲者を見破る ! その2」 第1回「まずは、皮膚科診療の流れ」まずは、内科における皮膚科診療の流れを振り返ります。皮膚疾患の患者さんにまずどうやって対応するか? 放置観察か、紹介か、治療か ? …治療するならステロイドを使う ? まずは診療所でするべきこと、してはいけないことを確認してください。第2回「ステロイド外用剤で“湿疹”成敗 !」「よくわからないけど、たぶん湿疹だろう。とりあえずステロイドと抗生剤の合剤を出しておこう」… こんな診断・治療をした経験はありませんか? あるいは「なんとなくステロイドを処方することをためらってしまう」という先生も多いのでは?ステロイド外用剤によってかえって症状が悪くなる疾患もありますが、皮膚炎症の多くに対して有効な武器となるのがこの薬剤。「本当に処方してよかったのだろうか、どうも自信がない」、こんな不安は今日からなくなります。尚、ステロイド外用剤が禁忌となる疾患については第3、4回で詳しくご紹介します。第3回「湿疹に擬する曲者を見破る! その1」 第4回「湿疹に擬する曲者を見破る! その2」前回までのお話で、表皮の炎症である湿疹には、ステロイドの使い分けで、診療所でも十分に対応できることがお分かりいただけたと思います。しかし、皮膚疾患の中にはステロイドを塗ってしまっては症状を悪化させてしまう、湿疹と紛らわしい症例も沢山あります。そこで今回から2回に渡り、ステロイドを禁忌とする疾患の見分け方を詳しく解説していきます。第3回では「ウィルスと細菌による疾患の見分け方」、第4回では「ムシとカビ」について解説します。平本先生が数十年かけて培った、現場での臨床技術。ほかのどんな教科書にも載っていない秘伝の技術を是非ご覧下さい !

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HER1/EGFRSチロシンキナーゼ阻害剤タルセバ、米国で追加適応申請

 アステラス製薬は20日、米国子会社であるアステラス ファーマ US, Inc.とジェネンテック社が米国で共同販促をする HER1/EGFRチロシンキナーゼ阻害剤タルセバ(一般名:エルロチニブ)について、既承認の診断法で確認された EGFR 遺伝子変異を有する局所進行性又は転移性の非小細胞肺がんに対する一次治療の追加適応症について、米国食品医薬品局(FDA)に販売許可申請を提出したと発表した。 今回の申請は、EGFR遺伝子変異を有する進行性の非小細胞肺がん患者を対象に実施した、タルセバとプラチナベースの化学療法の一次治療としての有用性を比較する無作為化比較国際共同第III相試験(EURTAC試験)の結果に基づいている。 ロシュ・モレキュラー・ダイアグノスティックス社によって開発された、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者を特定するためのコンパニオン診断薬(cobas EGFR Mutation Test)は、現在、米国医療機器放射線保健センター(CDRH:Center for Devices and Radiological Health)において審査中だという。欧米では肺がん患者の10人に1人(10%)、アジアでは10人に3人(約30%)が EGFR遺伝子変異を有すると推定されている。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.astellas.com/jp/corporate/news/pdf/121120_Jp.pdf

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患者負担は本当に減るのか? 高額療養費制度見直しの真相

東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門特任研究員 児玉 有子2012年11月20日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。11月15日の日経新聞に「高額療養費に年間上限-自己負担減最大60万円 厚労省検討」という記事が掲載されました。私は、2009年から高額療養費制度について研究を続けています。我々の研究結果は様々な方々に注目して頂き、この4月から高額療養費制度の支払いのしくみが変わるのに、少しは貢献できたと感じています。新しい仕組みとなり7ヶ月。今回の新聞報道では、さらに問題解決が進むのかと、期待していました。ところが、日経の新聞報道を知って驚きました。【低所得世帯への配慮】最も驚いたのは、今回、年間上限として示された負担額が、従来の額と殆ど変わらなかったことでした。2010年10月27日、厚労省が社保審医療保険部会に示した試算では、高所得世帯(800万以上)から多く徴収し、300万円以下の世帯では最初の3回は現行の約半額の44,400円、4回目からは35,400円をとることに「改善」しようとしていました。ところが、11月15日の同部会で示された案は、300万円以下の世帯では44, 400?12月。これでは、現制度下と変わりません。日経の記事では、低所得世帯に配慮したことになっていますが、2010年に示された案より負担が増えているのが実情です。なぜ、日経は、このような記事を書いたのでしょうか。【突然減った公費負担】問題は、これだけではありません。従来の主張とは全く違う部分があります。それは、「新規制度を導入した場合、公費負担が20億増える(2012年11月15日日経新聞)」という記載です。厚労省はこれまで、高額療養費制度の見直し案を3年連続で出しています。しかしながら、大きな財政負担が必要になることを理由に、見直しは見送られてきました。その規模は、2010年は2600億(うち公費900億)、2011年(公費)1300億円でした。納得せざるを得ない金額です。ところが、今回の報道では、その金額は20億となっています。多くの患者の年間自己負担額はほぼ横ばい、高額所得者のみ年間60万円減る仕組みなのに、なんでこんなことになるのでしょうか。どのように計算したか、是非、情報を開示して頂きたいと思います。【次政権への期待:疾患ごとの対立を生まない解決策を】この秋、日本ではうれしいニュースがありました。iPSを研究している京大山中伸弥・京大教授のノーベル賞受賞です。臨床研究が進めば、新しい治療が生まれるかもしれません。研究が進み、新しい薬ができても安心してその治療を受けることができることは、誰もが望むことです。先日、MRICに岩田健太郎・神戸大学教授が「HIV感染症を難病指定に」( http://medg.jp/mt/2012/11/vol655hiv.html#more )という論文を寄稿されました。HIV感染者へのサポートには異存はありません。ただ、厚労省が難病に指定するという、これまでと同様の対応でいいのでしょうか。それは、疾患ごとに区切ることで、制度の狭間に苦しむ患者が生まれるからです。新しい疾患概念や新薬が登場するたびに問題が顕在化します。疾患や治療で区切らない医療費助成の方法について冷静な幅広い国民的議論が必要です。ここで重要なのが「高額療養費問題の解決」なのです。この問題、今回の選挙では医療はどう扱われて行くのでしょうか。どのような疾患であっても、よりよい薬を安心してつかえる制度への変更、長期的に高額な負担が必要になる患者への配慮を新政権に期待します。

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