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早期乳がん歴のある人に対するマンモグラフィの検査精度と成果が明らかにされた。乳がん歴のある人には、第2の乳がんリスクへの懸念もありマンモグラフィのスクリーニングが推奨されるが、その成績についての信頼できる検証データはほとんどないという。オーストラリア・シドニー大学のNehmat Houssami氏らが、全米乳がんサーベイランス協会(BCSC)加盟施設でマンモグラフィを受けた2万人弱の早期乳がん歴のある人と、同乳がん歴のない人とのデータを分析し、JAMA誌2011年2月23日号で発表した。乳がん歴のある人の約6万件のマンモグラフィデータをコントロール群と比較研究グループは、1996~2007年にBSCS加盟施設で行われたマンモグラフィのうち、早期乳がん歴のある1万9,078人に行われた5万8,870件のデータと、コントロール群(乳房密度や年齢、実施年などをマッチングした乳がん歴のない)5万5,315人に行われた5万8,870件のデータについて比較した。乳がん歴は、上皮内がんまたは浸潤がんのステージIまたはIIだった。結果、マンモグラフィ実施後1年以内に乳がんが見つかった人は、乳がん歴あり群では655人(浸潤がん499人、上皮内がん156人)、乳がん歴なし群では342人(浸潤がん285人、上内皮がん57人)だった。感度、特異度ともに乳がん歴あり群の方が乳がん歴なし群に比べて低い乳がん歴なしと比較しての乳がん歴あり群のマンモグラフィの精度および成果については、がん発生率は乳がん歴あり群1,000スクリーニング当たり10.5、乳がん歴なし群1,000スクリーニング当たり5.8であり、がん検出率は1,000スクリーニング当たり6.8、乳がん歴なし群は1,000スクリーニング当たり4.4だった(p<0.001)。中間期がん発生率は、乳がん歴なし群が1.4/1,000スクリーニングに対し、乳がん歴あり群が3.6/1,000スクリーニングと有意に高率だった。検診の感度は、乳がん歴あり群65.4%に対し乳がん歴なし群76.5%、特異度は同99.0%に対し98.3%と、いずれも乳がん歴あり群の方が低かった(p<0.001)。その他、マンモグラム異常が認められたのは、乳がん歴あり群2.3%、乳がん歴なし群1.4%だった(p<0.001)。また、乳がん歴あり群では、上皮内がん検出に関する感度は78.7%だったのに対し、浸潤がんに関する感度は61.1%と低く(p