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早期乳がん歴のある人へのマンモグラフィスクリーニングの感度および特異度は?

早期乳がん歴のある人に対するマンモグラフィの検査精度と成果が明らかにされた。乳がん歴のある人には、第2の乳がんリスクへの懸念もありマンモグラフィのスクリーニングが推奨されるが、その成績についての信頼できる検証データはほとんどないという。オーストラリア・シドニー大学のNehmat Houssami氏らが、全米乳がんサーベイランス協会(BCSC)加盟施設でマンモグラフィを受けた2万人弱の早期乳がん歴のある人と、同乳がん歴のない人とのデータを分析し、JAMA誌2011年2月23日号で発表した。乳がん歴のある人の約6万件のマンモグラフィデータをコントロール群と比較研究グループは、1996~2007年にBSCS加盟施設で行われたマンモグラフィのうち、早期乳がん歴のある1万9,078人に行われた5万8,870件のデータと、コントロール群(乳房密度や年齢、実施年などをマッチングした乳がん歴のない)5万5,315人に行われた5万8,870件のデータについて比較した。乳がん歴は、上皮内がんまたは浸潤がんのステージIまたはIIだった。結果、マンモグラフィ実施後1年以内に乳がんが見つかった人は、乳がん歴あり群では655人(浸潤がん499人、上皮内がん156人)、乳がん歴なし群では342人(浸潤がん285人、上内皮がん57人)だった。感度、特異度ともに乳がん歴あり群の方が乳がん歴なし群に比べて低い乳がん歴なしと比較しての乳がん歴あり群のマンモグラフィの精度および成果については、がん発生率は乳がん歴あり群1,000スクリーニング当たり10.5、乳がん歴なし群1,000スクリーニング当たり5.8であり、がん検出率は1,000スクリーニング当たり6.8、乳がん歴なし群は1,000スクリーニング当たり4.4だった(p<0.001)。中間期がん発生率は、乳がん歴なし群が1.4/1,000スクリーニングに対し、乳がん歴あり群が3.6/1,000スクリーニングと有意に高率だった。検診の感度は、乳がん歴あり群65.4%に対し乳がん歴なし群76.5%、特異度は同99.0%に対し98.3%と、いずれも乳がん歴あり群の方が低かった(p<0.001)。その他、マンモグラム異常が認められたのは、乳がん歴あり群2.3%、乳がん歴なし群1.4%だった(p<0.001)。また、乳がん歴あり群では、上皮内がん検出に関する感度は78.7%だったのに対し、浸潤がんに関する感度は61.1%と低く(p

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地域ベースの健康増進・予防プログラム、高齢者の心血管疾患罹患率改善の可能性

ボランティア運営の高齢者を対象とした地域ベースの健康増進・予防プログラムによる介入が、心血管疾患罹患率を改善する可能性があることが、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学家庭医療科のJanusz Kaczorowski氏らの検討で明らかとなった。文献的には、地域の心血管系の健康状態にはリスク因子分布のわずかな変動が重要な影響を及ぼすことが繰り返し強調されてきたが、そのような転換を促進する地域ベースの介入を支持する確固たるエビデンスはわずかしかないという。当該地域の状況によりよく適合した心血管疾患の地域予防プログラムを策定するには、実際に遂行した上で厳格な評価を行う必要がある。BMJ誌2011年2月19日号(オンライン版2011年2月7日号)掲載の報告。介入の前後で入院率を比べるクラスター無作為化試験研究グループは、地域ベースの健康増進プログラムであるCardiovascular Health Awareness Program (CHAP)が心血管疾患の罹患率に及ぼす影響を評価するクラスター無作為化試験を実施した。対象は、カナダ・オンタリオ州の39の中規模地域に居住する65歳以上の住民であり、CHAPを受ける群(20地域)あるいは非介入群(19地域)に無作為に割り付けられた。各地域のかかりつけ医、薬剤師、看護師、ボランティア、主要な地域活動機関が参加した。CHAP群の地域では、65歳以上の住民が、地域の薬局を会場としたボランティア運営の10週にわたる心血管リスク評価と教育セッションから成るプログラムに参加するよう促された。参加者の自動血圧測定値と自己申告によるリスク因子のデータが収集され、本人、かかりつけ医、薬剤師に知らされた。主要評価項目は、急性心筋梗塞、脳卒中、うっ血性心不全による入院の複合エンドポイントとし、CHAP施行の前後で比較した。介入前に比べ入院率が9%低下介入群の20地域でCHAPは滞りなく実施された。10週のプログラム期間中に、地域の145の薬局のうち129ヵ所(89%)において、合計1,265の3時間にわたる長時間セッションが開催された。577人のボランティアの支援の下で、1万5,889人の参加者に対し合計2万7,358の心血管リスク評価が行われた。介入の前年の入院率で調整したところ、CHAPによる介入によって、非介入群に比べ複合エンドポイントの発生率が相対的に9%低下した(発生率比:0.91、95%信頼区間:0.86~0.97、p=0.002)。これは、65歳以上の住民の心血管疾患による年間入院率が、人口1,000人当たり3.02人低下したことを示す。急性心筋梗塞による入院は、非介入群に比べCHAP介入群で13%低下し(発生率比:0.87、95%信頼区間:0.79~0.97、p=0.008)、うっ血性心不全による入院は10%低下しており(同:0.90、0.81~0.99、p=0.029)、いずれも有意差がみられたが、脳卒中による入院には差を認めなかった(同:0.99、0.88~1.12、p=0.89)。著者は、「高齢者を対象とした多彩な計画から成る地域ベースの健康増進・予防の共同プログラムは、住民の心血管疾患罹患率を改善する可能性がある」と結論している。また、「ボランティアによる介入は住民の参加率を向上させ、医療従事者や地域の活動機関の動員、組織化に有効であった」という。(菅野守:医学ライター)

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CRPそのものは、冠動脈心疾患の原因か?:約19万5,000人の遺伝学的メタ解析

血中C反応性蛋白(CRP)濃度自体は冠動脈心疾患の原因因子ではないことが、C Reactive Protein Coronary Heart Disease Genetics Collaboration(CCGC)による検討で示された。CRPの血中濃度は将来的な冠動脈心疾患のリスクと強力かつ持続的に相関するが、この関連性が両者の因果関係を反映するかは不明だ。一方、CRP関連遺伝子の変異はCRP濃度の代替指標として因果関係の判定の一助に使用可能とされる。これまでに実施された試験は、冠動脈心疾患におけるCRPの因果的な役割の可能性を評価するにはパワー不足で精密性にも欠けるという。BMJ誌2011年2月19日号(オンライン版2011年2月15日号)掲載の報告。CRP遺伝子のSNP、血中CRP濃度、他のリスク因子の関連を評価CCGCの研究グループは、CRP関連遺伝子の変異は、冠動脈心疾患におけるCRPの因果的な役割の評価において、血中濃度の非交絡的な代替指標として使用可能か否かについて検討した。15ヵ国で実施された47の疫学試験の個々の患者データを用いて、遺伝学的なメタ解析を行った。冠動脈心疾患患者4万6,557人を含む19万4,418人において、CRP遺伝子の4つの一塩基多型(SNP)(rs3093077、rs1205、rs1130864、rs1800947)、血中CRP濃度、その他のリスク因子の程度の関連について解析を行った。主要評価項目は、従来のリスク因子および個人内のリスク因子レベルの変動で調整した上での、血中CRP濃度自体のequivalent differenceのリスク比に対する遺伝学的なCRP上昇に関連した冠動脈心疾患のリスク比とした。遺伝学的リスク比と、CRP濃度自体のリスク比に関連なし個々のCRP遺伝子変異は、血中CRP濃度と最大で30%までの関連が認められた[p<10(−34)]が、他のリスク因子との関連はみられなかった。CRP上昇と関連する対立遺伝子を一つ加えた場合の冠動脈心疾患のリスク比は、rs3093077が0.93(95%信頼区間:0.87~1.00)、rs1205が1.00(同:0.98~1.02)、rs1130864が0.98(同:0.96~1.00)、rs1800947は0.99(同:0.94~1.03)であり、有意な関連は認めなかった。複合解析では、血中CRP濃度の自然対数リスク比が遺伝学的に1SD上昇するごとの冠動脈心疾患のリスク比は1.00(95%信頼区間:0.90~1.13)であった。プロスペクティブ試験においては、血中CRP濃度の自然対数リスク比の1SD上昇ごとの冠動脈心疾患のリスク比は1.33(95%信頼区間:1.23~1.43)であった(差の検定:p=0.001)が、これは遺伝学的な知見とは一致しなかった。著者は、「遺伝学的データにより、血中CRP濃度そのものは冠動脈心疾患の原因となる因子ではないことが示された」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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診療の後の1杯がもたらす至福の一時!Dr.岡田のワインクリニック

気軽に美味しくワインを楽しむために、聖路加GENERALでおなじみの岡田正人先生(聖路加国際病院アレルギー膠原病科)が登場。実は、パリで勤務されていた時にワインの魅力にはまり、本格的なワインスクールに通われたほどのワイン通です。岡田先生曰く「銘柄選びと並んで重要なのは、美味しい飲み方を知っていること。そうするともっとワインは楽しくなります」ということで是非、そのコツを伝授していただきたいというのが番組の趣旨です。番組では、ワインの選び方からテイスティング、ワインに合う食材の選択からワインと健康について4回のシリーズで解説します。診療で疲れた体のリフレッシュに、1杯のワイン!どうぞリラックスしてご覧ください。第1回 ワインの楽しみ方・基本のキフランスワインの宝庫・ボルドー第1回は、ワインのベーシックな知識と食材との相性についてお話を伺います。なぜ肉料理には赤ワインで、魚料理には白ワインなのか。なぜワイングラスはあの形なのか。知っておくとよりワインが楽しめるお話を満載してお届けします。<ワインと健康>vol.1ワインに関する論文の数第2回 飲み方ひとつで美味しさが大違い!シャンパーニュと白ワインブルゴーニュは女性的でエレガント?第2回は、日本人が大好きなシャンパーニュと白ワインについてお話を伺います。お祝いの席やアニバーサリーでは欠かせない存在となったシャンパーニュ。その種類と美味しい飲み方、そして、白ワインではワインの種類の説明をはじめ、グラスによって味が変わる不思議な現象について教えていただきました。ソムリエは宮嶋秀之氏(ENOTECA株式会社)。<ワインと健康>vol.2フレンチパラドックスとワインの効能第3回 赤ワイン(前篇) ブルゴーニュとイタリア飲み方ひとつで美味しさが大違い!第3回はフランスのブルゴーニュとイタリアの赤ワインです。「赤ワイン=渋い」というイメージがあるかもしれませんが、空気と触れさせることによって味がまろやかになるデキャンタのテクニックについては必見です。また、ワインと健康のコーナーでは、様々な医学論文に掲載されたワインに含まれるポリフェノールやレスベラトロールに関する研究をご紹介します。ソムリエは宮嶋秀之氏(ENOTECA株式会社)。<ワインと健康>vol.3話題の成分レスベラトロールの効果第4回 赤ワイン(後篇) 掘り出し物がたくさん!個性豊かなボルドーワインさまざまな食事に合うワインを選択最終回はフランス ボルドーの赤ワインです。長い間5大シャトーが第1級のワインを産出してきたボルドーのジロンド川をはさんで味の違うワインができるお話や肉料理にベストマッチの銘柄選びまで、美味しくワインが飲めるポイントを岡田正人先生が説明いたします。また、好評のワインと健康のコーナーでは、ワインとアンチエイジング、アルツハイマー予防、ワインと長寿の関係など医学論文を基にご紹介します。ソムリエは宮嶋秀之氏(ENOTECA株式会社)。<ワインと健康>vol.4ワインのアンチエイジング作用出演者プロフィールエノテカ株式会社「For All Wine Lovers」を経営理念として掲げ、ワインを愛するすべての人を大切なお客様と考え、そのお客様のために出来る限りのサービスを提供することを企業理念といたします。

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20代・30代女性の2人に1人は常に不定愁訴に悩んでいる?

株式会社QLifeは2月28日、総合ポータルサイト「ウーマンエキサイト」と共同で行った『20代・30代女性の「不定愁訴』実態調査』の結果を発表した。調査は6,355人から回答を得て、結果によると、20代・30代女性の2人に1人が恒常的に不定愁訴に悩んでいるという。頻度や期間はさまざまだが、フルタイム就業者は身体的症状が多く無職者は精神的症状が多い。就業女性の場合は「毎月1-3日程度、平均30%程度の能率低下」が発生していることもあり、不定愁訴が女性に多いのは「女性の社会的ハンデ」と考える人が多かったとのこと。また、PMS以外で「不定愁訴」ある人のうち、医師相談経験があるのは20.2%。42.6%は何もせず「我慢する」をメイン対処法としていて、医師への相談は5人に1人どまりとなっていた。この調査結果について、亀田メディカルセンター主任産婦人科部長で、(社)日本産科婦人科学会「女性の健康週間」委員会委員長でもある清水幸子氏は、次のように述べた。“「不定愁訴に悩む女性の5人に1人」しか医師に相談したことがなく、「この程度の理由で病院に行くべきでない」と考える女性が多かったことは、大変心配です。不定愁訴の背景には、病気が隠れていることがあるからです。また、検査で異常がなかった場合でも、不定愁訴の症状改善に向けて治療する方法はあります。ぜひ、私たち産婦人科医を「生涯にわたる女性の主治医」として活用して戴きたいと思います。”詳細はプレスリリースへhttp://www.qlife.co.jp/news/1896.html

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吸入コルチコステロイド連日投与、小児の軽症持続型喘息に有効:TREXA試験

小児の軽症持続型喘息の治療では、増悪の抑制効果は吸入コルチコステロイド(ICS)の連日投与が優れることが、米国・アリゾナ大学のFernando D Martinez氏らが実施したTREXA試験で示された。軽症持続型喘息の小児における症状のコントロールや増悪の抑制に望ましい治療法として、低用量ICS連用が推奨されているが、コントロール良好でも増悪する例が存在し、無症状の期間が長期に持続すれば服薬の遵守が極めて困難となる。1)コントロール良好例におけるICS連用の中止は増悪のリスクを増大させるか、2)レスキュー治療としてのICS/アルブテロール(別名サルブタモール:β2アドレナリン受容体刺激薬)併用とアルブテロール単独の増悪抑制効果が、ICS連用の有無で異なるかという課題は未解決だという。Lancet誌2011年2月19日号(オンライン版2011年2月15日号)掲載の報告。4つの治療群を比較する2×2ファクトリアル・デザインのプラセボ対照無作為化試験TREXA試験の研究グループは、小児の軽症持続型喘息に対するレスキュー治療としてのICS(ジプロピオン酸ベクロメタゾン)の有用性を評価する2×2ファクトリアル・デザインの二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。2007年1月~2009年5月までにアメリカの5施設から5~18歳の軽症持続型喘息の症例が登録され、4週間の導入期間の後、以下の4つの治療群に無作為に割り付けられ、44週間の治療が行われた。1)併用群:ベクロメタゾン1日2回+ベクロメタゾン/アルブテロールによるレスキュー治療、2)ベクロメタゾン連用群:ベクロメタゾン1日2回+プラセボ/アルブテロールによるレスキュー治療、3)レスキューベクロメタゾン群:プラセボ1日2回+ベクロメタゾン/アルブテロールによるレスキュー治療、4)プラセボ群:プラセボ1日2回+プラセボ/アルブテロールによるレスキュー治療。ベクロメタゾン治療は1パフ(40μg)を朝夕2回吸入し、レスキュー治療は症状が軽減するまでアルブテロール(180μg)2パフ当たりベクロメタゾン2パフとした。主要評価項目は経口ステロイド薬を要する初回増悪までの期間、副次的評価項目はICSの副作用である成長障害の指標としての線形成長とし、intention-to-treat解析を行った。増悪率、治療失敗率は連用群が最も低い843例が登録され、事前に規定された判定基準に従って導入期間中に555例が除外された。残りの288例のうち、71例が併用群に、72例がベクロメタゾン連用群に、71例がレスキューベクロメタゾン群に、74例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。増悪率は、プラセボ群の49%(95%信頼区間:37~61)に比し、ベクロメタゾン連用群が28%(同:18~40、p=0.03)、併用群が31%(同:21~43、p=0.07)、レスキュー群は35%(同:24~47、p=0.07)といずれも低下しており、連用群では有意差を認めた。治療失敗率は、プラセボ群の23%(95%信頼区間:14~43)に比べ、併用群は5.6%(同:1.6~14、p=0.012)、連用群は2.8%(同:0~10、p=0.009)、レスキュー群が8.5%(同:2~15、p=0.024)であり、いずれも有意に良好であった。線形成長の平均値は、ベクロメタゾンを連用した併用群と連用群はプラセボ群に比べて1.1cm(SD 0.3)有意に低下した(p<0.0001)が、連用していないレスキュー群は0.3cm(SD 0.2)の低下でありプラセボ群と同等であった(p=0.26)。重篤な有害事象は2例(連用群の1例でウイルス性髄膜炎、併用群の1例で気管支炎)にのみ認められた。著者は、「軽症持続型喘息の小児にはアルブテロール単独によるレスキュー治療は行うべきではなく、増悪の予防に最も効果的な治療はICS連日投与である」と結論し、「レスキューとしてのICSをアルブテロールと併用する治療は、アルブテロール単独によるレスキュー治療に比べ増悪率が低い点で有効性が高く、コントロール良好な患児に対するステップダウン治療として有効な可能性がある。それゆえ、ICS連用は回避可能であり、それによる成長障害などの副作用も避けられると考えられる」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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埋め込み型無線血行動態モニタリング、心不全患者の入院率を大幅低減

心不全患者では、埋め込み型の無線血行動態モニタリングシステムによる肺動脈圧のモニタリングにより入院率が大幅に改善され、安全性も高いことが、米国・オハイオ州立大学心臓血管センターのWilliam T Abraham氏らの検討で明らかとなった。過去30年間、最新の治療法によっても心不全による入院率はほとんど改善されておらず、アメリカでは心不全患者の退院数は1996年の87万7,000例から2006年には110万6,000例に増加している。一方、埋め込み型血行動態モニタリングシステムは心不全患者の入院率を低減するとの仮説を支持する研究結果があるという。Lancet誌2011年2月19日号(オンライン版2011年2月10日号)掲載の報告。W-IHM装着の心不全関連入院率を評価研究グループは、埋め込み型無線血行動態モニタリングシステムの導入は心不全患者の入院率を低減するとの仮説を検証するために、単盲検無作為化対照比較試験を実施した。アメリカの64施設から、NYHAクラスIII心不全、左室駆出率(LVEF)は不問、心不全による入院歴ありの患者が登録された。これらの患者が、6ヵ月以上の期間、埋め込み型の無線血行動態モニタリング(W-IHM)システムによる管理を受ける群あるいは対照群に無作為に割り付けられた。患者には割り付け情報が知らされなかった。対照群では標準治療のみが施行されたのに対し、W-IHM群は標準治療に加えW-IHMで毎日の肺動脈圧測定が行われた。主要評価項目は、6ヵ月の時点における心不全による入院率とした。安全性に関するエンドポイントとして、6ヵ月時点でのデバイス/システム関連合併症(DSRC)および圧センサーの故障の評価を行った。6ヵ月後の入院率:W-IHM群31%、対照群44%550例が登録され、W-IHM群に270例、対照群には280例が無作為に割り付けられた。6ヵ月時点における心不全関連入院率はW-IHM群が31%(83/270例)と、対照群の44%(120/280例)に比べ有意に良好であった(ハザード比:0.70、95%信頼区間:0.60~0.84、p<0.0001)。全フォローアップ期間[平均15カ月(SD 7)]を通じた心不全関連入院はW-IHM群が153例であり、対照群の253例に比べ有意に改善されていた(ハザード比:0.64、95%信頼区間:0.55~0.75、p<0.0001)。また、死亡や初回心不全関連入院のイベント数はW-IHM群が107例と、対照群の138例よりも有意に低かった(同:0.71、0.55~0.92、p=0.0086)。DSRCは8例でみられた。無DSRC率は98.6%であり、これは事前に規定された判定基準値の80%に比べ有意に良好であった(p<0.0001)。圧センサーの故障はなく、無圧センサー故障率は100%であった(事前規定の判定基準値:90%、p<0.0001)。著者は、「今回の結果はこれまでの知見をさらに拡大するものであり、NYHAクラスIII心不全患者では、W-IHMシステムによる管理で入院率が大幅に低減することが示された」と結論し、「肺動脈圧測定で得られた臨床徴候や症状の情報によって、心不全管理の改善が可能となる」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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ステージ3+の未熟児網膜症へのベバシズマブ単独療法の有効性は?

未熟児網膜症(ROP)に対する血管内皮増殖因子阻害薬ベバシズマブ(商品名:アバスチン 本邦では抗がん薬としてのみ保険適応)硝子体内投与による単独療法について、従来のレーザー治療法(confluent laser therapy)と比較する多施設共同前向き無作為化層別比較対照試験が行われ、NEJM誌2011年2月17日号で発表された。ROPは世界的に幼児期失明の主要な原因となっており、特にゾーンI発症のROPは、従来レーザー治療では周辺部網膜の恒久的な損失が不可避で、大半が近視を有することとなり、成功例は50%とすべての症例で失明を免れるというわけではないと報告されている。一方で、血管内皮増殖因子阻害薬を用いて治療した一連の症例から、これらの薬剤が未熟児網膜症の治療に有効である可能性が示唆されており、米国・テキサス大学ヘルス・サイエンス・センターのHelen A. Mintz-Hittner氏ら「BEAT-ROP」共同研究グループが、有効性を評価する試験を行った。患児150例をベバシズマブ硝子体内投与とレーザー治療に無作為化し追跡試験対象は、ゾーンIまたはゾーンII後極部ステージ3+(後極部血管の拡張・蛇行のあるステージ3)ROPを有した出生時体重1,500g以下・在胎月齢30週以下の患児で、生後4週もしくは最終月経後31週以降に開始された。患児は、両眼に、ベバシズマブ(0.625mg/0.025mL溶液)を硝子体内投与される群または従来レーザー治療を受ける群に無作為に割り付けられ追跡された。主要評価項目は最終月経後54週までの、再治療を要する片眼または両眼のROP再発とした。試験登録は150例(サンプル計300眼)。うち143例が月経後54週まで生存、7例が死亡し、死亡例は主要アウトカム分析に含めなかった。ゾーンI ROPでは有効も、ゾーンII後極部病変ROPでは有効性認められず結果、ベバシズマブ投与群4例(140眼中6眼・4%)で、レーザー治療群では19例(146眼中32眼・22%)でROP再発が認められた(P=0.002)。有意な治療効果はゾーンI ROPでは認められたが(P=0.003)、ゾーンII後極部病変ROPでは認められなかった(P=0.27)。これら結果を踏まえMintz-Hittner氏は、「ベバシズマブ単独療法は、ゾーンI ROPで有意なベネフィットが示されたが、ゾーンII後極部病変ROPでは示されなかった。ベバシズマブ投与後には継続的な周辺部網膜血管の発達が認められ、従来レーザー治療群では周辺部網膜が恒久的に損失されていた。安全性については、試験規模が小さすぎた」と報告をまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

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新型インフルエンザワクチンの安全性、市販後調査で確認:中国

中国・疾病管理予防センターのXiao-Feng Liang氏らは、2009年9月21日に優先すべき集団を対象に、新型インフルエンザ[インフルエンザA(H1N1)ウイルス]感染に対するワクチン(異なるメーカー10社から入手)接種が開始された予防接種プログラムの、安全性に関する評価を行った。結果、同プログラムにおいて有害事象例は観察されず、ギランバレー症候群のリスク増加のエビデンスも認められなかったと報告した。NEJM誌2011年2月17日号掲載より。接種後の有害事象発生率は90件/100万回研究グループは、インフルエンザA(H1N1)ワクチン接種後の有害事象を調査するため、受動的サーベイランス計画を作成し、医師または予防接種提供者に対し、ワクチン接種者数とすべての有害事象数を、地元の疾病管理予防センター(CDC)に報告するよう求めた。報告データは、オンラインで全国予防接種情報システム(National Immunization Information System)内の全国予防接種後有害事象追跡評価システム(National Adverse Event Following Immunization Surveillance System)に集められ、中国CDCにより検証・分析された。検証・分析されたデータは、2010年3月21日までに集まったものであった。結果、ワクチン接種は、2009年9月21日から2010年3月21日まで合計8,960万回行われ、ワクチン接種後の有害事象の発生は8,067例で、接種100万回当たり90.0件の発生率だった。年齢別有害事象発生率は、60歳以上の100万回当たり31.4件から、9歳以下の100万回当たり130.6件まで幅があった。ワクチンのメーカー別の発生率は、100万回当たり4.6~185.4回まで幅があった。懸念される重篤な有害事象は低率報告された8,067件の有害事象のうち、6,552件(81.2%、発生率は100万回接種当たり73.1件)はワクチン反応であることが確認された。また8,067件のうちの1,083件(13.4%、同100万回当たり12.1件)は、発生が稀で、より重篤なものであった。その大半(1,050件)は、アレルギー性反応だった。ギランバレー症候群は11例報告されたが、発生率は接種100万回当たり0.1件と低率で、中国における背景発生率より低かった。(朝田哲明:医療ライター)

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米国高齢者の退院後30日以内の再入院率、黒人患者は白人患者の1.13倍

高齢者の急性心筋梗塞、うっ血性心不全、肺炎による入院について、人種および病院間の退院後30日以内の再入院率を調べたところ、黒人は白人に比べ1.13倍に上り、また黒人患者の割合が高い病院の方が、そうでない病院よりも高率だったことが明らかになった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院ヘルス政策マネジメント部門のKaren E. Joynt氏らが、米国の高齢者向け公的医療保険であるメディケアの出来高払い制プランに加入する、310万人以上のデータを分析し明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月16日号で発表した。約4,300~4,600病院、316万件の退院について調査Joynt氏らは、人種間で再入院率の格差があるのかどうか、またそれが治療を受けている場所(病院特性)と関連するかどうかを目的に、メディケアデータの中から、2006~2008年にかけて、急性心筋梗塞、うっ血性心不全、肺炎のいずれかにより米国の病院に入院した人を対象に、退院後30日以内の再入院について調査を行った。調査の背景には、再入院率の人種間格差の実態と、人種が再入院率を減らす要因となるのかどうかを明らかにする目的があった。調査対象となった退院件数は316万3,011件、うち黒人患者は8.7%の27万6,681件、白人患者は91.3%の288万6,330件だった。調査が行われた病院数は、疾患により異なり、4,322~4,588ヵ所だった。各病院におけるメディケア加入の黒人患者の割合を調べ、同率が上位10%の病院を対象に「少数民族サービス提供病院」(マイノリティ病院)、それ以外を「非少数民族サービス提供病院」(非マイノリティ病院)と定義し分析した。マイノリティ病院の黒人患者、非マイノリティ病院の白人患者に比べリスクは1.35倍結果、3疾患による退院後30日以内の再入院率は、白人が22.6%に対し黒人は24.8%と、黒人患者の方が有意に高率だった(オッズ比:1.13、95%信頼区間:1.11~1.14、p<0.001)。病院別の分析では、マイノリティ病院が25.5%で、非マイノリティ病院22.0%に比べ、有意に高率だった(オッズ比:1.23、同:1.20~1.27、p<0.001)。急性心筋梗塞の退院後30日以内再入院率について詳しくみたところ、参考値とした「非マイノリティ病院での白人患者の同率」20.9%に対し、最も高率を示したのは「マイノリティ病院での黒人患者の同率」26.4%で、オッズ比は1.35(同:1.28~1.42、p<0.001)だった。一方で、「マイノリティ病院での白人患者の同率」は24.6%で、オッズ比は1.23(同:1.18~1.29、p<0.001)だった。また、「非マイノリティ病院での黒人患者の同率」は23.3%で、オッズ比は1.20(同:1.16~1.23、p

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小児入院の約3%が退院後1年以内に4回以上再入院、小児入院医療費の約23%に:米国

米国小児病院の入院患児の約3%が、退院後1年以内に4回以上の再入院を繰り返し、それにかかる医療費は小児入院医療費全体の約23%、入院件数にして約19%に上ることが明らかにされた。また再入院を繰り返す小児の大半は、同一器官系の問題によるものだったという。米国・ハーバード・メディカルスクールのボストン小児病院総合小児科のJay G. Berry氏らが、全米の小児病院に入院した32万児弱について行った、後ろ向きコホート試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月16日号で発表した。全米37の小児病院への入院患児を約5年間追跡Berry氏らは、2003年に全米37ヵ所の小児病院に入院した31万7,643児(入院件数:57万9,504件)について、2008年まで追跡した。主要評価項目は、追跡5年の間の、各365日以内での最大再入院回数。結果、退院後365日以内に1回以上の再入院をしたのは、全体の21.8%にあたる6万9,294児だった。退院後365日以内に4回以上の再入院を繰り返したのは、全体の2.9%にあたる9,237児で、退院から次の入院までの期間の中央値は、37日(四分位範囲:21~63)だった。これらの患児の入院件数は10万9,155件と、全体入院件数の18.8%を占めた。またこれらの患児の入院医療費については、追跡期間中の被験児全体にかかった入院医療費の23.2%(34億ドル)に上った。再入院件数増加につれ、複雑慢性症状の罹患率、技術的サポートは増加1年以内の再入院件数増加に伴い、神経節の障害など複雑な慢性症状の罹患率は増加する傾向がみられた。再入院回数0の22.3%(24万8,349児中5万5,382児)から再入院回数4回以上では89.0%(9,237児中8,225児)へと増加が認められた(p<0.001)。その他、消化や神経などに関する技術的サポートを要する患児の割合は、同5.3%から52.6%へ(p<0.001)、公的保険加入者の割合は、同40.9%から56.3%へ(p<0.001)へ、また非ヒスパニック・黒人患者児は、同21.8%から34.4%へ(p<0.001)増加する傾向が認められた。一方で、1年以内の再入院件数増加に伴い、喘息や蜂巣炎といった外来治療が可能な疾患による再入院率は、23.1%から14.0%へと減少する傾向がみられた(p<0.001)。1年以内に4回以上再入院した患児のうち、28.5%にあたる2,633児は、すべての入院が同じ器官系の問題によるものだった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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自動血圧測定でプライマリ・ケアにおける白衣高血圧が減少

プライマリ・ケアにおける収縮期高血圧患者の血圧測定法として、現行の手動診察室血圧測定よりも、自動測定装置を用いた診察室測定の方が質や正確度が優れ、白衣高血圧が減少することが、カナダ・トロント大学のMartin G Myers氏らの検討で示された。日常診療で医療従事者が手動で行う血圧測定の正確度への関心が高まるに従い、自動測定装置による家庭や外来での血圧測定に対する信頼が増しているという。診察室での自動測定装置を用いた血圧測定を、患者が静かな部屋で落ち着いた状態で独りで行うことで、手動測定の欠点の多くが解消することが示唆されている。BMJ誌2011年2月12日(オンライン版2011年2月7日号)掲載の報告。診察室における手動と自動血圧測定を比較するクラスター無作為化試験研究グループは、手動による診察室血圧測定と、自動測定装置を用いた診察室血圧測定のgold standardとしての質と正確度を評価するクラスター無作為化対照比較試験を実施した。対象は、カナダ東部地域5都市の67施設において88名のプライマリ・ケア医の治療を受けている重篤な併存疾患のない収縮期高血圧患者555例。これらの患者が、診察室で手動で行う血圧測定を受ける群(対照群)あるいは診察室で自動測定装置による複数回の血圧測定を行う群(介入群)に無作為に割り付けられた。登録前に、全例において24時間自由行動下血圧測定を行い、覚醒時の平均血圧を算出した。登録前の最後のルーチンの手動診察室血圧値をカルテで確認し、両群の登録後の診察室血圧の測定値と比較し、さらに覚醒時血圧との比較を行った。主要評価項目は、(覚醒時血圧−自動診察室血圧)と(覚醒時血圧−手動診察室血圧)の収縮期血圧(SBP)の差とした。主要評価項目:−2.3 vs. −6.5mmHg(p=0.006)、自動測定の方が覚醒時SBPとの差が小さい31施設(252例)が対照群に、36施設(303例)が介入群に無作為に割り付けられ、それぞれ249例、299例が解析の対象となった。対照群では、登録前のルーチンの手動診察室血圧[149.9(SD 10.7)/81.8(SD 8.5)mmHg]が、登録後にはSBPが8.5mmHg、拡張期血圧(DBP)は1.6mmHg低下し[141.4(SD 14.6)/80.2(SD 9.5)mmHg]、いずれも有意差を認めた(p<0.001/p=0.01)。これに対し、介入群では登録の前後でSBPが13.9mmHg[149.5(SD 10.8)→135.6(SD 17.3)mmHg]、DBPが3.7mmHg[81.4(SD 8.3)→77.7(SD 10.9)mmHg]低下しており(p<0.001/p=0.02)、いずれも低下の程度が対照群に比べて大きかった。登録後の初回受診時における介入群の覚醒時自由行動下血圧と自動診察室血圧の差の平均値は、SBPが−2.3mmHg(95%信頼区間:−0.31~−4.3)、DBPは−3.3mmHg(同:−2.2~−4.4)、対照群における覚醒時血圧と手動診察室血圧の差はSBPが−6.5mmHg(同:−4.3~−8.6)、DBPは−4.3mmHg(同:−2.9~−5.8)であり、いずれも介入群の方が覚醒時血圧との差が小さく、SBPには有意差が認められた(p=0.006)。登録後の自動診察室血圧(SBP/DBP)と覚醒時血圧との群内相関(r=0.34/r=0.56)は、登録前の手動診察室血圧と覚醒時血圧の相関(r=0.10/r=0.40)よりも強く、その差はSBPが0.24(95%信頼区間:0.12~0.36)、DBPは0.16(同:0.07~0.25)であった(p<0.001/p<0.001)。自動診察室DBPと覚醒時血圧の群間相関(r=0.56)は、手動診察室DBPと覚醒時血圧の群間相関(r=0.30)よりも強く、その平均差は0.26(95%信頼区間:0.09~0.41)であった(p<0.001)。測定値の末尾数字を0に丸める選好によるバイアスは、実質的に自動診察室測定の方が小さかった。著者は、「プライマリ・ケアにおける収縮期高血圧患者の診察室血圧測定では、自動測定の導入により、現行の手動測定に比べ白衣高血圧が有意に減少した。自動測定の質および正確度を覚醒時自由行動下血圧との比較で評価したところ、手動測定よりも有意に優れていた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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院外心肺蘇生におけるリアルタイム音声画像フィードバックシステムの有効性

院外心配蘇生(CPR)中のリアルタイム音声画像フィードバックシステムは、その手技をガイドラインにより即したものへと変化させることは認められたが、自己心拍再開やその他臨床転帰の改善には結びつかなかったという。米国・ピッツバーグ大学救急医学部のDavid Hostler氏らが、前向き集団無作為化試験を行った結果から報告した。BMJ誌2011年2月12日号(オンライン版2011年2月4日号)より。CPRの手技は改善されたが試験は、院外CPR中のリアルタイム音声画像フィードバックシステムを実行することによって、病院到着前に自己心拍再開する患者の比率が高まるかが検討された。Hostler氏らは、米国とカナダの蘇生転帰協会(Resuscitation Outcomes Consortium)に加入する3地域の救急医療サービスを対象に、モニター付き除細動器に取り付けられたリアルタイム音声画像フィードバックシステムを使ったCPRによる介入を行った。被験者は、救急隊員によって院外CPRが試みられた心停止患者1,586例で、フィードバックありが815例、なしは771例だった。ベースラインにおける患者および救急医療サービスの特徴に群間差はなかった。主要評価項目は、CPR後の病院到着前の自己心拍再開率とした。試験の結果、フィードバック中に救急隊員の14%がフィードバック音を消していることが示された。また、フィードバックなし群と比較して、フィードバックあり群の方が、心臓マッサージ継続時間が増加(64%対66%、群間補正後差:1.9、95%信頼区間:0.4~3.4)、圧迫の深さが増加(38mm対40mm、補正後差:1.6、95%信頼区間:0.5~2.7)、圧迫後の不完全リリースの減少(15%対10%、補正後差:-3.4、95%信頼区間:-5.2~-1.5)との関連が認められた。自己心拍再開率、生存退院率とも改善に結びつかずしかし、到着前自己心拍再開率は、フィードバックの有無における有意な差は認められなかった(45%対44%、補正後差:0.1%、95%信頼区間:-4.4%~4.6%)。同様に、病院到着時に脈拍あり(32%対32%、補正後差:-0.8、95%信頼区間:-4.9~3.4)、生存退院率(12%対11%、補正後差:-1.5、95%信頼区間:-3.9~0.9)退院時覚醒率(10%対10%、補正後差:-0.2、95%信頼区間:-2.5~2.1)においても有意差は認められなかった。

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平均BMI値は世界的に上昇傾向、肥満者は5億人以上に

1980年以降、平均BMIは世界的に増加傾向にあるが、その変動の傾向や直近の2008年の値には大きな差がみられることが、アメリカ・ハーバード大学公衆衛生大学院生物統計学科のMariel M Finucane氏らによる系統的な解析で明らかとなった。過体重は公衆衛生学上の重大な関心事だが、BMIの長期的な変動を世界規模で検討した解析はほとんどなく、直近の全国的な健康診断調査のデータに基づくものは皆無だという。Lancet誌2011年2月12日号(オンライン版2011年2月4日号)掲載の報告。1980~2008年の199の国と地域、910万人のデータを解析研究グループは、1980~2008年までの199の国と地域における20歳以上の成人の平均BMIの世界的な変動傾向を推定するために系統的な解析を行った。既報または未公開の健康診断や疫学試験を調査し、960ヵ国・年、910万人分のデータを収集した。ベイジアン階層モデルを用いて、年齢、国、年度別の平均BMIをそれぞれ男女別に推算し、各調査・試験が当該国の典型を示すものか地域限定的なものかを明らかにした。2008年の世界の肥満者:男性2億500万人、女性2億9,700万人1980~2008年の間に、最も多くの全国規模のデータを有していたのは日本であった(16の調査データ)。この間に、世界全体の男性の平均BMIは10年ごとに0.4kg/m2[95%不確かさ区間(uncertainty interval):0.2~0.6]増加し(真の増加となる事後確率:>0.999)、女性では0.5kg/m2(同:0.3~0.7)増加した(事後確率:>0.999)。国別の女性の平均BMIの変化は、有意差のない低下を示した19ヵ国から、10年ごとに2.0kg/m2増加(事後確率>0.99)したオセアニアの9ヵ国までの幅が認められた。男性では、8ヵ国を除く国々で平均BMIが上昇しており、オセアニアのナウルとクック諸島では10年ごとに2kg/m2以上の増加(事後確率>0.999)がみられた。2008年の平均BMIは男女ともにオセアニア諸国で最も高く、ナウルでは男性が33.9kg/m2(95%不確かさ区間:32.8~35.0)、女性は35.0kg/m2(同:33.6~36.3)に達していた。平均BMIが最も低かった国は、女性がバングラデシュの20.5kg/m2(同:19.8~21.3)、男性はコンゴの19.9kg/m2(同:18.2~21.5)であり、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国と東、南、東南アジアの数ヵ国は男女ともに21.5kg/m2未満であった。高所得国の中で最も平均BMIが高かったのは、男性がアメリカ、イギリス、オーストラリアの順で、女性はアメリカ、ニュージーランドの順であった。2008年に、過体重以上(BMI≧25kg/m2)の成人は世界で14億6,000万人(95%不確かさ区間:14億1,000~15億1,000万人)と推算され、そのうち男性の2億500万人(同:1億9,300万~2億1,700万人)、女性の2億9,700万人(同:2億8,000万~3億1,500万人)が肥満(BMI≧30kg/m2)と推定された。著者は、「1980年以降、平均BMIは世界的に増加していたが、変動の傾向および2008年の平均値は、国によって大きなばらつきがみられた」と結論し、「ほとんどの国では、BMIの増加の抑制や低下への転換を進めたり、代謝メディエーターを標的に高BMIの健康への影響を軽減する介入法や方策が必要である」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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収縮期血圧は世界的に微減するも、低~中所得国で高い傾向に

世界全体の平均収縮期血圧(SBP)は1980年以降わずかに低下傾向にあるが、その変動には地域や国によって大きなばらつきがあり、近年は低~中所得国でSBPが高い傾向がみられることが、アメリカ・ハーバード大学公衆衛生大学院疫学科のGoodarz Danaei氏らによる系統的な解析で判明した。血圧が食事やライフスタイル、薬理学的決定因子に及ぼす影響を解明して介入の優先順位を決め、国の健康プログラムを評価するには血圧の変動に関するデータが不可欠だが、世界規模で実施された血圧の変動傾向に関する解析はほとんどないという。Lancet誌2011年2月12日号(オンライン版2011年2月4日号)掲載の報告。1980~2008年の199の国と地域、540万人のデータを解析研究グループは、1980~2008年までの199の国と地域における25歳以上の成人の平均SBPの変動傾向を推定するために系統的な解析を行った。既報または未公開の健康診断や疫学試験を調査し、786ヵ国・年、540万人分のデータを収集した。ベイジアン階層モデルを用いて、年齢、国、年度別の平均SBPをそれぞれ男女別に推算し、各調査・試験が当該国の典型を示すものか地域限定的なものかを明らかにした。2008年の世界の平均SBP:男性128.1mmHg、女性124.4mmHg2008年の世界全体の年齢調整平均SBPは、男性が128.1mmHg(95%不確かさ区間:126.7~129.4)、女性は124.4mmHg(同:123.0~125.9)であった。1980~2008年までの世界全体のSBPは、男性が10年ごとに0.8mmHg(同:−0.4~2.2)低下し(真の低下となる事後確率=0.90)、女性は1.0mmHg(同:−0.3~2.3)低下した(事後確率=0.93)。西ヨーロッパやオーストラリアでは女性のSBPが10年ごとに3.5mmHg以上低下していた(事後確率≧0.999)。男性のSBPは、北米の高所得国で10年ごとに2.8mmHg(95%不確かさ区間:1.3~4.5)低下し(事後確率>0.999)、次いで西ヨーロッパとオーストラリアで10年ごとに2.0mmHg以上低下していた(事後確率>0.98)。オセアニア、東アフリカ、南アジア、東南アジアでは男女ともに、また西アフリカでは女性のみSBPが上昇しており、男性は10年ごとに0.8~1.6mmHg(事後確率:0.72~0.91)、女性は10年ごとに1.0~2.7mmHg(事後確率:0.75~0.98)の上昇がみられた。女性のSBPが最も高かったのは東・西アフリカ諸国で、平均135mmHg以上であった。男性の場合はバルト海沿岸諸国と東・西アフリカ諸国でSBPが最高域にあり、平均値は138mmHg以上に達していた。西ヨーロッパ地域では、男女ともに高所得国でSBPが最も高かった。著者は、「平均して、世界全体のSBPは1980年以降わずかに低下していたが、その変動には地域や国によって大きなばらつきがみられた。最近の傾向としては、低~中所得国でSBPが高かった」と結論し、「低~中所得国をターゲットに地域住民ベースまたは個別化された有効な介入を行うべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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エベロリムス、進行性膵神経内分泌腫瘍患者の無増悪生存期間を延長

プラセボ対照の第3相国際共同二重盲検無作為化試験「RADIANT-3」の結果、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)阻害薬であるエベロリムス(商品名:免疫抑制薬としてサーティカン、抗悪性腫瘍薬としてアフィニトール)は、進行性膵神経内分泌腫瘍患者の無増悪生存期間を有意に延長し、重篤な有害事象の発生率は低いことが示された。米国テキサス州立大学M.D.アンダーソンがんセンターのJames C. Yao氏ら試験グループが報告した。エベロリムスの進行性膵神経内分泌腫瘍についてはこれまで、二つの第2相試験で抗腫瘍活性が示されていた。NEJM誌2011年2月10日号掲載より。410例を1日1回エベロリムス10mg投与群もしくはプラセボに無作為化 試験は2007年7月~2009年5月の間、18ヵ国82施設から募った、過去12ヵ月以内に放射線学的進行が認められた低悪性度または中悪性度の膵神経内分泌腫瘍患者410例を、1日1回エベロリムス10mg(207例)またはプラセボ(203例)を投与する群に無作為に割り付け前向きに追跡した。両群とも治療継続のために最適な支持療法(BSC)が併用された。主要エンドポイントは、intention-to-treat解析による無増悪生存期間とした。試験中に放射線学的進行が認められた患者には治療割付を示すこととし、プラセボに割り付けられた患者にはオープンにエベロリムス投与の選択肢が示された。無増悪生存期間、エベロリムス群11.0ヵ月、プラセボ群4.6ヵ月 エベロリムス群の無増悪生存期間の中央値は11.0ヵ月、プラセボ群は4.6ヵ月だった。エベロリムス群の疾患進行または全死因死亡のハザード比は0.35(95%信頼区間:0.27~0.45、P

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市販の遺伝子検査が購入者に与える影響

消費者が直接購入できる、疾患リスクを評価する市販の全ゲノムプロファイリングをめぐって、米国Scripps Translational Science InstituteのCinnamon S. Bloss氏らが、購入使用者の心理面、行動面および臨床面に与える影響を調査した。市販全ゲノムプロファイリングの使用については論争の的となっており、消費者にもたらす影響はほとんど明らかになっていない。NEJM誌2011年2月10日号(オンライン版2011年1月12日号)掲載より。医療・技術関連会社勤務者対象にベースラインと追跡調査後の心理面などの変化を調査Bloss氏らは、Navigenics Health Compass(臨床上の妥当性、有用性は不明なNavigenics社が市販する検査ツールの一つ)を購入使用した人を対象に、リスクを精査した結果が、心理面、行動面ならびに臨床面に与える影響を調べた。被験者は、Health Compassを割引価格で購入した医療・技術関連会社の関係者を対象とした。検査後平均(±SD)5.6±2.4ヵ月後に、ベースラインと比較して、不安症状、脂肪摂取量、運動行動で変化したあらゆる点について報告してもらうこととし、また検査に起因するストレスや、検診の受診状況についても報告してもらった。登録された被験者3,639人のコホートのうち、追跡調査を完了したのは2,037人だった。主要解析の結果、ベースラインと追跡調査後で、不安症状(P=0.80)、脂肪摂取量(P=0.89)、運動行動(P=0.61)の変化に関して有意差は認められなかったが、副次解析において、検査に起因するストレスが、評価をしたすべての疾患の平均推定生涯リスクと相関していたことが判明した(β=0.117、P

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センチネルリンパ節転移の浸潤性乳がん、非腋窩郭清でも全生存は同等

センチネルリンパ節転移が認められる浸潤性乳がんに対し、ランペクトミー後に腋窩郭清を実施しなくても、実施した場合に比べて全生存に関して非劣性であることが示された。米国Saint John’sヘルスセンターJohn Wayneがん研究所のArmando E. Giuliano氏らが、約900人について行った無作為化試験の結果から明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月9日号で発表した。T1~T2の浸潤性乳がん患者を2群に分け、約6年追跡同研究グループは1999年5月~2004年12月にかけて、115ヵ所の医療機関を通じ、891人の乳がん患者を集め、第3相非劣性試験「ACOSOG(American College of Surgeons Oncology Group)Z0011」を実施した。被験者は女性で、T1~T2に分類される浸潤性乳がんで、触知可能なアデノパシーはなかった。またセンチネルリンパ節転移について、凍結切片、捺印細胞診またはヘマトキシリン・エオジン染色の永久標本により特定が行われ、1~2ヵ所が認められていた。被験者は全員、ランペクトミーと乳房全体への接線照射法を受けた。研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方の群には腋窩郭清を実施し(腋窩郭清群)、もう一方の群には実施しなかった(非腋窩郭清群)。腋窩郭清群には、10ヵ所以上のリンパ精検が行われた。全身投与療法の有無は、各主治医の裁量に一任された。主要エンドポイントは全生存とし、非腋窩郭清群の腋窩郭清群に対する非劣性マージンは、ハザード比1.3以下を示した場合とした。副次エンドポイントは、無病生存期間とした。なお本試験は、死亡500例後最終解析時の被験者登録数を1,900例とし開始されたが、予想されたよりも死亡率が低く早期に打ち切りとなった。5年生存率、5年無病生存期間ともに、両群で同等追跡期間の中央値は6.3年(最終追跡2010年3月4日)だった。無作為化追跡されたのは、腋窩郭清群445人、非腋窩郭清群446人だった。両群とも臨床所見や腫瘍の状態は同等だったが、切除したリンパ節数の中央値は、腋窩郭清群が17に対し、非腋窩郭清群は2だった。5年生存率は、腋窩郭清群が91.8%(95%信頼区間:89.1~94.5)に対し、非腋窩郭清群は92.5%(同:90.0~95.1)と、両群に有意差は認められなかった。また5年無病生存期間も、腋窩郭清群が82.2%(95%信頼区間:78.3~86.3)に対し、非腋窩郭清群は83.9%(同:80.2~87.9)と、両群で有意差は認められなかった。非腋窩郭清群の腋窩郭清群に対する全生存のハザード比は、補正前が0.79(90%信頼区間:0.56~1.11)、補正後が0.87(同:0.62~1.23)であり、非腋窩郭清群の非劣性が証明された。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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CABG直後のCK-MBやトロポニン上昇は中・長期死亡率を増大:大規模メタ解析より

冠動脈バイパス術(CABG)後24時間以内のクレアチンキナーゼMB(CK-MB)分画やトロポニン値の上昇は、中・長期死亡率増大の独立予測因子であることが明らかになった。CK-MB分画は最も強力な独立予測因子で、術後30日から1年後の死亡率は、正常値上限を超え5ポイント増加するごとに、死亡リスクは1.17倍程度増大するという。米国マウントサイナイ大学のMichael J. Domanski氏らが、1万9,000人弱対象の大規模メタ解析の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月9日号で発表した。30日・1年死亡率、CK-MB分画増加に伴い増大研究グループは、CABGについて行われた無作為化試験やレジストリ試験で、術後24時間以内に心臓マーカーの測定を行った7試験、追跡期間3ヵ月から5年にわたる、被験者合計1万8,908人の分析を行った。結果、死亡率はCK-MB分画増加に伴い単調に増大する傾向が認められた。具体的には、30日死亡率が、CK-MB分画0~1未満の群では、0.63%、1~2未満では0.86%、2~5未満0.95%、5~10未満では2.09%、10~20未満では2.78%、20~40未満・40以上では7.06%だった。CK-MB分画は、30日死亡率に関する最も強力な独立予測因子であり、試験開始時点でのその他のリスク因子について補正後も有意なままだった(x2=143、p<0.001)。正常値上限を超え5ポイント増加ごとのハザード比は1.12(95%信頼区間:1.10~1.14)であった。この傾向は、術後30日死亡率について最も強くみられたが、その後も術後1年まで継続した(x2=24、p

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