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後発医薬品10成分と「ジフルカン」の新剤形の承認取得

 ファイザー株式会社は15日、後発医薬品10成分21品目と深在性真菌症治療剤「ジフルカンドライシロップ350mg/1400mg」(一般名:フルコナゾール)の承認を取得したと発表した。 今回、後発医薬品として初めて承認されたゾルピデム酒石酸塩錠、パロキセチン錠、ロサルタンK錠を含む10成分21品目は、注射剤1成分と内服剤8成分、外用剤1成分で、順次発売される予定だ。 また、深在性真菌症治療剤「ジフルカンドライシロップ350mg/1400mg」は2月14日に承認を取得し、カプセル、静注液に加えてドライシロップ剤形が追加される。ジフルカンは、成人・小児におけるカンジダ属およびクリプトコッカス属による各種真菌症の治療、造血幹細胞移植患者の真菌感染症の予防に使用されている。フルコナゾールの内服薬としては、1989年にカプセル剤が承認されているが、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討結果を受け、懸濁剤の追加について2010年5月21日付で、厚生労働省より同社対して開発要請がなされた。今回の承認により、カプセル剤の服用が困難な乳幼児や嚥下障害のある成人のために、海外ではすでに上市されている懸濁剤を導入するという。 詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2012/2012_02_16.html

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診療報酬改定セミナーのご案内 3月に4都市で開催(医療経済研究機構)

医療経済研究機構は15日、3月に開催する厚生労働省保険局医療課担当官からの「平成24年 診療報酬改定セミナー」の申し込み受け付けを開始した。開催地は東京、札幌、大阪、福岡の4都市。《平成24年 診療報酬改定セミナー【東京】》 【日 時】平成24年3月7日(水) 13:00 ~ 16:00 (開場12:30)【テーマ】「平成24年診療報酬改定について(医科・歯科・調剤)」【講 師】厚生労働省保険局医療課 担当官【会 場】ニッショーホール     東京都港区虎ノ門2丁目9番16号     TEL:03-3503-1486     会場地図>>http://www.nissho.or.jp/nissho-hall/kyoukai.html【参加費】会員:2,000円 / 非会員:5,000円《平成24年 診療報酬改定セミナー【札幌】》 【日 時】平成24年3月10日(土) 15:00 ~ 17:00 (開場14:30)【テーマ】「平成24年診療報酬改定について(医科)」【講 師】厚生労働省保険局医療課 担当官【会 場】TKPガーデンシティ札幌 きょうさいサロン 7階 飛鳥     北海道札幌市中央区北四条西1丁目 共済ビル7階     TEL:011-252-3165     会場地図>>http://kyosaisalon.net/access.shtml【参加費】会員:1,000円 / 非会員:3,000円《平成24年 診療報酬改定セミナー【大阪】》 【日 時】平成24年3月10日(土) 15:00 ~ 17:00 (開場14:30)【テーマ】「平成24年診療報酬改定について(医科・調剤)」【講 師】厚生労働省保険局医療課 担当官【会 場】TKP大阪梅田ビジネスセンター 4階 ホール4A     大阪府大阪市福島区福島5-4-21 TKPゲートタワービル4階     TEL:06-4797-6610     会場地図>>http://tkpumeda.net/access.shtml【参加費】会員:1,000円 / 非会員:3,000円《平成24年 診療報酬改定セミナー【福岡】》 【日 時】平成24年3月17日(土) 15:00 ~ 17:00 (開場14:30)【テーマ】「平成24年診療報酬改定について(医科・調剤)」【講 師】厚生労働省保険局医療課 担当官【会 場】TTKP天神シティセンター 8階 S-1     福岡県福岡市中央区天神2丁目14番8号 福岡天神センタービル8階     TEL:092-720-8003 会場地図>>http://tkptenjin.net/access/【参加費】会員:1,000円 / 非会員:3,000円主催:医療経済研究機構申し込みは、医療経済研究機構ホームページ(https://www.ihep.jp/)「各種講演会お申し込み」から受け付ける。その他セミナーに関する問い合わせは、こちらまで。============================================一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構 企画渉外部TEL:03-3506-8529 FAX:03-3506-8528E-mail: info@ihep.jp〒105-0003東京都港区西新橋1-5-11 第11東洋海事ビル2F============================================

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ポーランドのCHD死低下、リスク因子低減とEBMの寄与が大

ポーランドでは、2005年の冠動脈心疾患(CHD)による死亡数が1991年に比べて半減し、その要因は主要なリスク因子の低減とEBMの進展による治療法の進歩であることが、グダニスク医科大学のPiotr Bandosz氏らの検討で示された。ポーランドでは、1980年代にみられた若年層の心血管死の急増傾向が、市場経済導入後の1990年代初頭には急速に減少したという。社会経済的な変革によって、ライフスタイルの大きな変化や医療システムの実質的な改善がもたらされたと考えられる。BMJ誌2012年2月4日号(オンライン版2012年1月25日号)掲載の報告。CHD死低下の要因をモデル研究で評価研究グループは、1990年代初頭の政治的、社会的、経済的な変革を経たポーランドにおけるCHD死の急激な低下が、薬物療法や手術、心血管リスク因子の変化でどの程度説明が可能かを評価するために、モデルを用いた研究を行った。1991~2005年における25~74歳の地域住民を対象とし、解析には対照比較試験やメタ解析、全国調査、公式の統計解析などのデータを使用した。女性では血圧低下が、男性では喫煙率低下が良好な影響示すポーランドにおけるCHDによる死亡率は1991~2005年の間に半減し、2005年には25~74歳の集団のCHD死が2万6,200件減少した。このうち約91%(2万3,715件)が使用したモデルで説明可能だった。このCHD死低下の約37%は、心不全治療(12%)、急性冠症候群の初期治療(9%)、心筋梗塞や血行再建術後の2次予防治療(7%)、慢性狭心症治療(3%)、その他(6%)によるものであった。また、約54%はリスク因子の変化によるもので、総コレステロール値の低下(39%)と余暇の身体活動の増加(10%)が主であった。BMIや糖尿病の発症率は増加しており、死亡率には悪い影響を及ぼしていた(それぞれ-4%、-2%)。女性では、死亡率低下の約29%が血圧低下によるものであったが、男性の血圧は上昇しており、死亡率は増加していた(-8%)。男性では、観察された死亡率低下の約15%が喫煙率の低下に起因していたが、女性における喫煙の影響はわずかであった。著者は、「ポーランドでは、2005年のCHDによる死亡率が1991年に比べて半減し、その要因として主要なリスク因子の低減が半分以上を占め、約3分の1はEBMの進展による治療法の進歩に起因していた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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直接的レニン阻害薬と他のRAS阻害薬の併用で高カリウム血症増加

直接的レニン阻害薬アリスキレン(商品名:ラジレス)は、ACE阻害薬やARBと併用すると、高カリウム血症のリスクを増大させることが、カナダ・トロント大学のZiv Harel氏らの検討で示された。アリスキレンなどのレニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬は、うっ血性心不全や高血圧、蛋白尿などのさまざまな病態の管理に用いられているが、他のRAS阻害薬との併用における重篤な合併症として高カリウム血症や急性腎障害が知られている。アリスキレンと他のRAS阻害薬の併用に関する試験の多くは代用アウトカム(surrogate outcome)を用いているため、真の有害事象の検出能は低いという。BMJ誌2012年2月4日号(オンライン版2012年1月9日号)掲載の報告。アリスキレンの安全性をメタ解析で評価研究グループは、他のRAS阻害薬との併用におけるアリスキレンの安全性を検証するために、無作為化対照比較試験の系統的なレビューとメタ解析を行った。Medline、Embase、Cochrane Libraryおよび2つの臨床試験のレジストリーを用いて、2011年5月7日までに出版された文献を検索した。アリスキレンとアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬あるいはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の併用療法と、これらの薬剤の単剤療法を比較した無作為化対照比較試験(治療期間4週以上)のうち、有害事象として高カリウム血症と急性腎障害に関する数値データを提示した試験を抽出した。変量効果モデルを用いて総合リスク比と95%信頼区間(CI)を算出した。併用時は血清カリウム濃度のモニタリングを10試験、4,814例が解析の対象となった。アリスキレンとACE阻害薬またはARBの併用療法では、ACE阻害薬単剤やARB単剤(相対リスク:1.58、95%CI:1.24~2.02)あるいはアリスキレン単剤(同:1.67、1.01~2.79)に比べ、高カリウム血症が有意に増加した。急性腎障害のリスクについては、併用療法と単剤療法で有意な差は認めなかった(相対リスク:1.14、95%CI:0.68~1.89)。著者は、「アリスキレンは、ACE阻害薬やARBと併用すると、高カリウム血症のリスクを増大させる」と結論し、「これらの薬剤を併用する場合は、血清カリウム濃度の注意深いモニタリングを要する」と注意を喚起している。(菅野守:医学ライター)

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早期乳がんの術後化学療法、どのレジメンが最も有効か?:約10万例のメタ解析

早期乳がんの術後化学療法では、アントラサイクリン系薬剤+タキサン系薬剤ベースのレジメンおよび高用量アントラサイクリン系薬剤ベースレジメンによって乳がん死が約3分の1低下することが、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)の検討で明らかとなった。乳がんの術後化学療法の効果には差があり、治療法の選択に影響を及ぼす可能性があるという。EBCTCGは、すでに1995年までに開始された試験のメタ解析の結果を報告しているが、用量は考慮されず、タキサン系薬剤は含まれていなかった。Lancet誌2012年2月4日号(オンライン版2011年12月6日号)掲載の報告。1973~2003年に開始された123件、約10万例のメタ解析研究グループは、早期乳がんに対する個々の化学療法レジメンの有用性を比較するために、無作為化試験の患者データを用いたメタ解析を実施した。1973~2003年に開始された全無作為化試験123件の2005~2010年の個々の患者データ(約10万例)を収集した。試験の内訳は、1)タキサン系薬剤(TAX)ベースレジメンと非TAX系薬剤ベースレジメンを比較した33試験(1994~2003年に開始)、2)アントラサイクリン系薬剤(Anth)ベースレジメンとCMF(シクロホスファミド+メトトレキサート+フルオロウラシル)を比較した20試験(1978~1997年に開始)、3)高用量と低用量のAnthベースレジメンを比較した6試験(1985~1994年に開始)、4)多剤併用化学療法と非化学療法を比較した64試験(1973~1996年に開始、種々のAnthベースレジメンに関する22試験およびCMFに関する12試験を含む)。年齢や腫瘍の性状などの背景因子は影響しない用量を固定したAnthベースの対照群に比べ、これにTAXを4コース追加して治療期間を延長した群では、乳がん死が有意に低下した(率比[RR]:0.86、両側検定:2p=0.0005)。同様にTAX 4コースを追加し、対照群も他の薬剤をほぼ2倍の用量を追加してバランスを調整した試験では、有意な差は認めなかった(RR:0.94、2p=0.33)。CMFを対照とした試験では、標準4AC(ドキソルビシン+シクロホスファミド、3週ごと、4コース)と標準CMF(4週ごと、6コース)の乳がん死抑制効果はほぼ同等(RR:0.98、2p=0.67)だったが、標準4ACよりも高用量である3剤併用Anthベースレジメン(CAF[シクロホスファミド+ドキソルビシン+フルオロウラシル、4週ごと、6コース]、CEF[シクロホスファミド+エピルビシン+フルオロウラシル、4週ごと、6コース])は、標準CMFに比べ高い効果を示した(RR:0.78、2p=0.0004)。非化学療法群との比較試験では、CAF(RR:0.64、2p<0.0001)、標準4AC(RR:0.78、2p=0.01)、標準CMF(RR:0.76、2p<0.0001)のいずれのレジメンも、有意に乳がん死抑制効果を改善したが、標準4ACや標準CMFに比べCAFの有効性が優れることが示唆された。すべてのTAXベースまたはAnthベースレジメンに関するメタ解析では、年齢、リンパ節転移の有無、腫瘍径、腫瘍分化度、エストロゲン受容体の状態、タモキシフェンの使用歴による有効性の差はほとんどみられなかった。それゆえ、年齢や腫瘍の性状とは無関係に、TAX+Anthベースまたは高用量Anthベースレジメン(CAF、CEF)は乳がん死を平均で約3分の1低下させることが確認された。著者は、「非化学療法群と比べても、TAX+Anthベースまたは高用量Anthベースレジメンは10年間で乳がん死亡率を約3分の1低下させた。エストロゲン受容体陽性例に適切なホルモン療法を行ってもリスクは変わらなかった」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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CHDの診断能は、心血管MRがSPECTよりも良好

冠動脈心疾患(CHD)の診断では、マルチパラメトリックな心血管核磁気共鳴法(CMR)が、単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)に比べ高い正確度(accuracy)を有することが、英国・リーズ大学のJohn P Greenwood氏らが行ったCE-MARC試験で確認された。近年、CHD疑い患者における心筋梗塞の評価では、トレッドミル運動負荷試験に代わりSPECTが最も頻用されているが、診断正確度の報告にはばらつきがみられ、電離放射線曝露の問題もある。CMRは被曝がなく、高い空間分解能を持つほかに、1回の検査で複数の病理学的パラメータ(心機能、心筋血流、心筋生存能、冠動脈の解剖学的形態など)の評価が可能だという。Lancet誌2012年2月4日号(オンライン版2011年12月23日号)掲載の報告。CMRとSPECTの診断正確度を比較する前向き無作為化試験CE-MARC試験の研究グループは、CHD疑い患者において、X線冠動脈造影を標準対照としてマルチパラメトリックCMRプロトコールの診断正確度を評価し、CMRとSPECTを比較するプロスペクティブな無作為化試験を実施した。対象は、狭心症疑いおよび心血管リスク因子を1つ以上有する患者であり、CMR、SPECT、侵襲的なX線冠動脈造影が施行された。CMRは、安静時とアデノシン負荷時、シネ画像、ガドリニウム造影遅延画像、3次元冠動脈MRAを撮像した。アデノシン負荷時と安静時の心電図同期SPECTには99mTc tetrofosminを使用した。主要評価項目はCMRの診断正確度とした。感度と陰性予測値が有意に優れる2006年3月~2009年8月までに、イギリスの2施設から752例が登録され、39%がX線冠動脈造影でCHDと診断された。CMRの感度は86.5%、特異度は83.4%、陽性予測値は77.2%、陰性予測値は90.5%であった。これに対し、SPECTの感度は66.5%、特異度は82.6%、陽性予測値は71.4%、陰性予測値は79.1%であった。CMRはSPECTに比べ、感度および陰性予測値が有意に優れた(いずれもp<0.0001)が、特異度(p=0.916)と陽性予測値(p=0.061)に差は認めなかった。著者は、「CE-MARC試験は実臨床におけるCMRの評価に関する大規模な前向き試験であり、CMRによるCHDの高い診断正確度が示され、そのSPECTに対する優位性が確認された」と結論し、「CHDの研究では、今後、よりいっそう広範にCMRを使用すべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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子宮筋腫に対する経口ulipristal acetateの有効性と安全性

子宮筋腫に対する術前治療としての、経口ulipristal acetateの有効性と安全性について、プラセボとの比較による第3相の二重盲検無作為化試験の結果、13週間の治療で子宮筋腫の症状の一つである出血過多を有効にコントロールし、筋腫サイズも縮小したことが報告された。ベルギーのルーヴェン・カトリック大学のJacques Donnez氏らによる検討で、NEJM誌2012年2月2日号で発表された。子宮筋腫は生殖年齢にある女性の20~40%に起こり得る良性腫瘍であるが、出血過多や貧血、痛みなどでQOLや妊娠への悪影響が問題となる。治療を望む女性の多くは子宮摘出回避を願うが、一方で子宮摘出の最も多い適応症ともなっている。13週間にわたる二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施研究グループは、2008年10月~2010年8月の間に6ヵ国38の大学病院を通じて、18~50歳までの生殖年齢にあり、症候性子宮筋腫で出血過多、貧血を呈する242例を対象に試験を行った。出血過多の状態は、出血量の客観的評価法PBAC法(1ヵ月の出血量範囲を0~>500とし、高いほど出血量が多いことを示す)によるスコアが>100とした。貧血は、ヘモグロビン値が≦10.2g/dLとした。被験者は、無作為に、経口ulipristal acetateを5mg/日投与される群(96例)、同10mg/日投与される群(98例)とプラセボを投与される群(48例)に割り付けられ、13週間治療を受けた。また全員、鉄剤のサプリメントを服用していた。共同主要有効性エンドポイントは、13週時点で、子宮出血がコントロールされたこと(PBACスコア<75)、および筋腫の縮小であった。被験者はその後、手術を受けることが可能だった。出血コントロールを改善、筋腫も縮小結果、13週時点で子宮出血のコントロールが、5mg群で91%、10mg群で92%に認められた。プラセボ群は19%で、ulipristal acetateの有意なコントロール達成が示された(いずれの投与群もプラセボ群と比較してP<0.001)。無月経の発生は、それぞれ73%、82%、6%だった。ulipristal acetateを受けていた被験者の大半は、10日以内で無月経を来した。総筋腫体積の変化の中央値は、それぞれ-21%、-12%、+3%だった(5mgのプラセボ群に対するP=0.002、10mg群のプラセボ群に対するP=0.006)。ulipristal acetate群では、組織的な子宮内膜変化が誘発されたが、治療期間終了後6ヵ月までに回復した。治療期間中の重篤な有害事象は、10mg群で子宮出血が1例、プラセボ群で子宮頸部からの筋腫突出が1例に認められた。ulipristal acetateと関連する最も頻度の高い有害事象は頭痛と乳房圧痛だったが、プラセボとに有意な頻度の差は認められなかった。(武藤まき:医療ライター)

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発症間もない1型糖尿病患者に対するミョウバンGAD

1型糖尿病患者に対するアルミアジュバントGAD65(ミョウバンGAD)の投与は、刺激時Cペプチド消失の抑制も、臨床転帰の改善も有意ではなかったことが報告された。GAD65(グルタミン酸デカルボキラーゼ65kDアイソフォーム)は、1型糖尿病における主要な自己抗原である。スウェーデン・Linkoping大学小児科部門のJohnny Ludvigsson氏らによる検討で、ミョウバンGADは発症間もない1型糖尿病患者のβ細胞機能を維持させるのではないかと仮説を立て、334例の10代の患者を対象とする15ヵ月間にわたる、多施設共同二重盲検無作為化試験を行った。NEJM誌2012年2月2日号掲載報告より。3群に無作為化し、15ヵ月間の刺激時血清Cペプチド値の変化を検討試験は、欧州9ヵ国63のクリニックを通じて、1型糖尿病患者で、空腹時Cペプチド値0.3ng/mL超、血清中に抗GAD65自己抗体が検出された10~20歳の334例を対象に行われた。被験者は診断確定後3ヵ月以内に、無作為に3群(ミョウバンGADを4回投与する群、ミョウバンGADを2回投与+プラセボ2回投与群、プラセボを4回投与する群)に割り付けられた。主要アウトカムは、基線受診時と15ヵ月時点の受診時との、刺激時血清Cペプチド値の変化(混合食事負荷試験後)とした。副次アウトカムは、糖化ヘモグロビン値、平均インスリン1日量、低血糖発生率、空腹時および刺激時血清Cペプチド値などであった。プラセボ群と比較して有意な差が認められず結果、刺激時Cペプチド値は3群で同等で、15ヵ月時点の主要アウトカムについて、ミョウバンGAD群(4回投与群と2回投与群)の複合とプラセボ群とを比較しても有意な差は認められなかった(P=0.10)。ミョウバンGAD投与が、インスリン使用量、糖化ヘモグロビン値、低血糖発生率に与える影響についても、プラセボ群と比べて有意であることは認められなかった。有害事象の発生は3群ともに低く、軽度であり、有意差は認められなかった。(武藤まき:医療ライター)

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浸潤性乳がん部分切除患者の再切除率、断端部陰性では医師や施設により大幅格差

浸潤性乳がんで部分切除術を受けた人の再切除率は、切除断端部の状態によって異なり、また切除断端部陰性の人については、執刀外科医や医療機関によって大きなばらつきがあることが明らかにされた。米国・ミシガン州立大学のLaurence E. McCahill氏らが、2,000人超について行った観察研究の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月1日号で発表した。再切除率は全体では23%、断端部陽性では86%研究グループは、2003~2008年に、米国4ヵ所の医療機関で浸潤性乳がんで部分切除術を受けた2,206人について、その再切除率とリスク因子について調査を行った。結果、再切除を行ったのは、全体の22.9%にあたる509人で、そのうち再切除1回は454人、同2回は48人、同3回は7人だった。再切除率は、切除断端部が陽性の人で高く85.9%(陰性は84.4%)、また断端部マージン別では1.0mm未満だった人が最も高く47.9%、同1.0~1.9mmが20.2%、同2.0~2.9mmが6.3%だった。断端部陰性の再切除率、医師により0~70%と大きなばらつき切除断端部が陰性だった人について見てみたところ、再切除率は、執刀外科医(実施率範囲:0~70%、p=0.003)や、手術を行った医療機関(同:1.7~20.9%、p<0.001)によって、大きなばらつきが認められた。切除断端部陰性の再切除率が最も高率だった医療機関の、同低率だった医療機関に対する再切除実施に関するオッズ比は、6.16(同:2.26~16.78)だった(p<0.001)。執刀外科医の手術件数と再切除率との関連は、ケースミックスで補正後、認められなかった(p=0.92)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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米国病院救急部門の患者滞在時間、地域セーフティネット病院か否かで格差なし

米国の病院救急部門における患者の滞在時間は、地域のセーフティネットを担う病院と、そうでない病院とで有意な差はないことが報告された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のChristopher Fee氏らが、全米約400の病院について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月1日号で発表した。Fee氏らは、セーフティネット病院がメディケイドや無保険患者を多く受け入れることで医療パフォーマンス、特にP4Pに重大な影響が及んでいる可能性を考慮し本研究を行った。被験者の4割がセーフティネット病院で治療研究グループは、全米の病院救急部門に関する調査「National Hospital Ambulatory Medical Care Survey 」(NHAMCS)の2008年のデータを元に、米国疾病予防管理センター(CDC)の基準で、セーフティネットを担う病院とそうでない病院に分類し、救急部門滞在時間を比較した。なおセーフティネットのための滞在時間の推奨基準は、入院(8時間か480分)、退院、転院、経過観察は4時間か240分と規定されていた。回答を寄せた病院は396ヵ所、3万4,134人分の患者のデータが入手できた。そのうち、18歳未満の患者や、滞在時間データなどが欠けている患者データは、除外した。分析対象とした2万4,719件の患者データのうち、セーフティネットを担う病院の救急部門で治療を受けた分は42.3%、非セーフティネット病院分は57.7%だった。入院、退院、経過観察、転院のいずれも、有意な差はみられずセーフティネット病院救急部門の、入院患者の滞在時間中央値は269分(四分位範囲:178~397)だった。これに対し、非セーフティネット病院では281分(同:178~401)で、両者に有意差はなかった。その他、退院患者、経過観察患者、転院患者のそれぞれの救急部門滞在時間の中央値のいずれも、セーフティネット病院と非セーフティネット病院では同等だった。セーフティネットであることは、規定された滞在時間の遵守に関する独立因子ではなかった。セーフティネット病院の非セーフティネット病院に対する遵守の各オッズ比は、入院0.83、退院1.03、経過観察1.05、転院1.30で、精神病患者の退院についてのみ1.67(同:1.02~2.74)と有意な差が認められた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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聖路加GENERAL 【Dr.香坂の循環器内科】

第1回「階段がつらいのは歳のせい ? 」第2回「夜間の呼吸困難は花粉症のせい ? 」第3回「心雑音と言われたのですが元気なんです」第4回「ためらってはいけないCAB」 第1回「階段がつらいのは歳のせい ? 」地下鉄階段昇降時などに胸部圧迫感を感じるようになった50歳男性。他の領域の胸痛疾患に比べてリスクの高い場合が多い循環器疾患。まずは、この患者が循環器疾患かどうかを確かめることが重要です。胸痛の鑑別において大切なのは、1にも、2にも問診です。問診は、3つのポイントをおさえればOK。このような典型的な狭心症患者の他、顎が痛い、歯が痛いと訴えてくる患者さんも放散痛によるもので、実は心筋梗塞や狭心症だった、という非典型的な例もOPQRST3Aを使って解説していきます。また、胸痛においては、ACS(急性冠動脈症候群)という概念が重要になってきます。その診断方法についても詳しくお伝えします。第2回「夜間の呼吸困難は花粉症のせい ? 」数年前から動悸を自覚していた44歳の男性。夜間に呼吸困難が出るようになり、起き上がってもすぐには改善しなくなってしまいました。呼吸困難の原因はさまざまですが、起き上がっても改善しないなど心疾患が疑われます。特に、発作性夜間呼吸困難や起座呼吸は、心不全である確からしさが高い症状です。頚静脈、心音などの身体所見、X線、心エコーなどの画像診断、血液検査として有用性の高いBNPによって心不全であるかどうかを確認した結果、この男性は心不全であることがわかりました。そして、その原因については驚くべき事実が・・・。III音の聞き分け方、薬剤の使い方については「北風と太陽」を引用するなど、香坂先生ならではのユニークな講義が展開されます。第3回「心雑音と言われたのですが元気なんです」長い間微熱が続いたため、病院を訪れた62歳の男性。健診で「心雑音がある」と言われましたが、スポーツもこなし元気に過ごしていました。心雑音をみたときには、まず経過観察でよいものか、それともすぐに処置が必要なものかを見分ける必要があります。最強点がどこにあるのか、収縮期か拡張期か、収縮期であれば駆出性か逆流性かという鑑別が重要になります。この患者は2年後に症状が出始め、重症のMRと診断され、手術を受けることになりました。重症のMRは、10年以内に死亡、または手術を実施する確率が90%と高く、フォローが重要となります。ポイントは、重症度によってスパンを短くして、心不全症状やEFの低下がないかなどを慎重に観察することです。また、僧帽弁、大動脈弁治療に関して、最新の弁膜症手術も紹介していきます。第4回「ためらってはいけないCAB」最近動悸がするということで診療所を訪れた32歳男性。待合室で診察を待っている時、突然倒れて心肺停止状態になってしまいました。今まで心肺停止というと、まずA(気道確保)、続いてB(人工呼吸)の後、C(心臓マッサージ)という手順が常識でしたが、ACLSのプロトコル改訂により、ABCからCABと変わってきました。すなわち、なにはなくとも即座に心臓マッサージを!ということです。そこで、本来求められる心肺蘇生法に対し、病院外で行われるCPRの現状や、心臓マッサージの基本原理をしっかりと見直していきます。また、改訂で変更された薬剤、その効果や投与のタイミングについても具体的に紹介します。心肺蘇生後は患者の状態をよくみて判断していくことが重要となりますが、具体的に何をすべきか、また、突然死を防ぐための方法、心電図から突然死の確率が高い疾患の読み方についてもご紹介します。

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慢性疾患を有する人への新型H1N1インフルエンザのワクチン効果

65歳未満の慢性疾患を有する人への新型H1N1インフルエンザのワクチン効果について、デンマーク国立血清研究所(Statens Serum Institu:SSI)のHanne-Dorthe Emborg氏らが、2009~2010シーズンに同ワクチン接種を受けたデンマーク住民を対象とした後ろ向きコホート研究の結果を報告した。新型H1N1インフルエンザワクチンの疫学研究では、一般市民対象で70%以上の有効性があることが示されている。しかし、これまで基礎疾患を有する人の有効性については評価がされていなかった。BMJ誌2012年1月28日号(オンライン版2012年1月25日号)掲載報告より。デンマークの慢性疾患で罹患した約39万人のデータを調査Emborg氏らは、報告義務に基づき収集された、デンマークの新型H1N1インフルエンザの感染患者および入院患者のデータベースを基に、基礎疾患を有していた人のワクチン効果について評価を行った。具体的には2009年11月2日~2010年1月31日の間に、過去5年間に1つ以上の、インフルエンザ罹患後のリスクが増大すると予想される基礎疾患を有していた、65歳未満の38万8,069例(同国65歳未満人口の8.4%に相当)が対象となった。被験者のうち、基礎疾患が1つであった人が最も多く80.8%を占めた。主要評価項目は、新型H1N1インフルエンザの感染がラボ確認された、または入院が新型H1N1インフルエンザ感染であったとラボ確認された人で、年齢と基礎疾患について補正を行いワクチン効果を推定した。慢性疾患の数が多い人ほどワクチン接種率が高いが感染率も高いワクチン接種に関して、新型H1N1インフルエンザワクチンの接種は高年齢ほど高かった。また、どの年代も新型H1N1インフルエンザワクチンの接種率のほうが季節性ワクチンの接種率よりも高かったが、その差は若い年代(0~39歳)のほうが高かった。両ワクチンの接種率は、基礎疾患の数が多い人ほど高かった。一方で、基礎疾患の数が多い人のほうが、新型H1N1インフルエンザ感染が高いことも見受けられた。全体で、新型H1N1インフルエンザワクチン接種を1回以上受けた人は7万9,988例(20.6%)で、そのうちワクチン接種開始最初の週で接種を受けていたのは46%だった。2回目接種は大半が、2009年49週目以降とインフルエンザシーズン中盤以降に受けていた。感染は単回接種後1週間が最も増大し、感染に対するワクチン推定効果は-112%(95%信頼区間-187~-56%)だった。しかし14日以降では49%(同:10~71%)だった。なお、感染は若い年代ほど高かった。入院に対するワクチンの有効性も、接種後1週間が最も低く-258%(同:-464~-127%)だったが、14日以降では44%(同:-19~73%)だった。これら所見からEmborg氏は、「2009~2010シーズンは、ワクチン接種がシーズン後半になって行われていた。慢性疾患を有する人では、入院に対する有意なワクチン効果は認められなかったが、感染に対する予防効果は認められた」と述べ、「これら所見は、パンデミックワクチンの主要ターゲットは慢性疾患を有する人であること、およびワクチン効果は接種が遅くとも認められることを示すものである」と結論している。

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プライマリ・ケアで有用な卵巣がん患者早期発見のアルゴリズム開発

 プライマリ・ケアでの卵巣がん患者を見出すアルゴリズムが、英国・ノッティンガム大学プライマリ・ケア部門のJulia Hippisley-Cox氏らによって開発された。同アルゴリズムを用いることで、リスクが最も高い人を早期に発見し、検査受診に結びつける可能性が認められたという。BMJ誌2012年1月28日号(オンライン版2012年1月4日号)掲載報告より。2年間の30~84歳女性の卵巣がん発症・診断を予測可能か、特定のリスク因子で検証 Hippisley-Cox氏らのアルゴリズムは、年齢、卵巣がんの家族歴、卵巣がん以外のがんの既往、BMI値、喫煙、飲酒、社会的階層、食欲不振、体重減少、腹痛、腹部膨満、直腸出血、閉経後出血、頻尿、下痢、便秘、疲労、貧血の有無や状態をリスク因子とするものであった。 アルゴリズムについて、開発のために、大規模プライマリ・ケアデータベースのQResearchに登録する英国およびウェールズの開業医375人からのデータを、および検証のために189人からのデータを得て構成したコホート集団について検討した。 被験者は、2000年1月1日~2010年9月30日の間に登録されていた30~84歳の女性で、基線では卵巣がんと診断されておらず、また食欲不振、体重減少、腹痛、腹部膨満、直腸出血、閉経後出血もなかった。対象者について、2年間での卵巣がん発症・診断を主要評価項目として、Cox比例ハザードモデルを用いて検討した。予測能に優れる年腹部膨満、家族歴、腹痛、閉経後出血など独立予測リスク因子を特定 203万人・年のデータからなる開発コホート群での卵巣がん発症は976例であった。それらに対する独立予測因子は、年齢、卵巣がんの家族歴(リスクが9.8倍高い)、貧血(同2.3倍)、腹痛(同7倍)、腹部膨満(同23倍)、直腸出血(同2倍)、閉経後出血(同6.6倍)、食欲不振(同5.2倍)、体重減少(同2倍)であった。 検証解析の結果、リスク予測因子を用いることによる卵巣がんへの適時診断への変動値(R2統計値、高値ほど価値が高い)は57.6%だった。ROC統計値は0.84、D統計値は2.38だった。 最も高い予測リスクを有する女性の10%が、2年間の全卵巣がん患者の63%を占めていた。 以上を踏まえてHippisley-Cox氏は、「開発したアルゴリズムは、卵巣がんの最大リスク群を早期に検査受診へと誘導できる可能性を持っている。さらなる研究で、最適なアルゴリズム実施の時期、費用対効果、実施による健康アウトカムへの影響などを検討する必要がある」と結論している。

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1時間ごとに花粉の飛散状況をアップデート

サノフィ・アベンティス「リアルタイム花粉レポート」と「病院検索」サービスを開始サノフィ・アベンティス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジェズ・モールディング)は2月3日、自社が運営する花粉症情報サイト「アレルギーi (アイ)」(http://www.allergy-i.jp/)で「リアルタイム花粉レポート」と「病院を探そう!」の2種類のサービスをを新たに開始したと発表。近年の疫学調査では、人口の29.8%が花粉症を有し、さらに増加傾向にあることが明らかとなっている。この度のサービスは、増加する花粉症の予防・治療には、よりタイムリーで詳細な花粉飛散情報が求められるとしてサービスを開始したもの。「リアルタイム花粉レポート」(http://www.allergy-i.jp/kafun/index.html)は、全国 200 ヵ所に設置された花粉センサーによる花粉飛散量を1時間ごとに更新。詳細地域でのリアルタイムの飛散状況を検索できる。「病院検索サービス」(http://www.allergy-i.jp/kafun/kafun-soudan/byoin-search.html)は、全国17万ヵ所の医療施設の中から、花粉症を治療できる最寄りの医療施設の検索できる。視聴者は誰でも無料でアクセスし利用することができる。

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経口抗凝固療法の自己モニタリング、血栓塞栓イベントを低減

患者自身が検査や用量の調整を行う自己モニタリングによる経口抗凝固療法は、本療法が適応となる全年齢層の患者において安全な治療選択肢であることが、英国・オックスフォード大学のCarl Heneghan氏らの検討で示された。ビタミンK拮抗薬による経口抗凝固療法を受ける患者は増加し続けているが、治療域が狭いため目標とする国際標準化比(INR)を維持するには頻回の検査や適切な用量の調整などを要するという問題がある。自己モニタリングは、その有効性を示す優れたエビデンスがあるものの、臨床導入には相反する見解がみられるという。Lancet誌2012年1月28日号(オンライン版2011年12月1日号)掲載の報告。自己モニタリングの意義を検証するメタ解析研究グループは、経口抗凝固薬の患者自身による自己モニタリング(自己検査[検査は患者が行い用量は医師が決める]または自己管理[検査、用量調整とも患者が行う])の意義を検証するために、自己モニタリングと医師によるモニタリングの有効性を比較した無作為化試験のメタ解析を行った。Ovid versions of Embase(1980~2009年)とMedline(1966~2009年)を検索し、Cochrane Central Register of Controlled Trialsなどで検索結果を調整した。UK National Research Register and Trials Centralなどで未出版の試験も検索した。抽出された全試験の著者と連絡を取り、死亡までの期間、初回大出血、初回血栓塞栓イベントに関する個々の患者データの提供を求めた。機械弁置換や心房細動の患者についても解析した。年齢別、対照群のケアのタイプ(抗凝固療法専門施設とプライマリ・ケア施設)、自己検査と自己管理、性別について、事前に規定されたサブグループ解析を行った。変量効果モデルで統合ハザード比(HR)を算出した。 血栓塞栓イベントが半減、特に55歳未満と機械弁置換患者で高い効果1992~2006年に患者登録がなされ、2000~2010年に発表された11試験(6,417例、1万2,800人・年)が解析の対象となった。全体の平均年齢は65.0歳(17~94歳)、女性が22%、心房細動患者は53%、機械弁置換患者は35.0%であった。血栓塞栓イベントは、医師によるモニタリング群に比べ自己モニタリング群で有意に減少した(HR:0.51、95%信頼区間[CI]:0.31~0.85)が、大出血(同:0.88、0.74~1.06)と死亡率(同:0.82、0.62~1.09)は両群間に差はみられなかった。特に、55歳未満の患者(HR:0.33、95%CI:0.17~0.66)と機械弁置換患者(同:0.52、0.35~0.77)で血栓塞栓イベントの抑制効果が高かった。85歳以上の患者(99例)では、自己モニタリングによる合併症の増加はみられず、死亡率は有意に低下した(同:0.44、0.20~0.98)。著者は、「経口抗凝固療法の自己検査および自己管理は、本療法が適応となる全年齢層の患者において安全な治療選択肢である」と結論し、「自己管理の選択肢は、適切な医療支援による保護の元で患者に提供すべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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ライソゾーム病は予想以上に高頻度、プライマリ・ケアの課題となる可能性も

ライソゾーム病の遺伝子変異を有する新生児は予想以上に多く、その新生児スクリーニングは、今後、プライマリ・ケアの課題として浮上する可能性があることが、オーストリア・ウイーン医科大学のThomas P Mechtler氏らの検討で示された。ライソゾーム病はまれな疾患と考えられているが、白人の発症率は生児出生7,700人に1人の割合、アラブ人では先天性代謝異常の3分の1がこれらの疾患に起因するとされる。新開発の酵素補充療法、早期診断の必要性、技術的進歩により、ライソゾーム病の新生児スクリーニングへの関心が高まっているという。Lancet誌2012年1月28日号(オンライン版2011年11月30日号)掲載の報告。新生児スクリーニングの実用性を評価研究グループは、オーストリアにおいてゴーシェ病、ポンペ病、ファブリー病、ニーマン-ピック病A型およびB型の新生児スクリーニングの実用性と妥当性を評価するために、遺伝子変異解析を含む無記名の前向き試験を全国規模で実施した。2010年1月~7月までに、全国的な定期新生児スクリーニングプログラムの一環として、3万4,736人の新生児の乾燥血液スポット標本を収集した。無記名標本を用い、複数の疾患を同時に検出可能なエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析法(ESI-MS)にて、β-グルコセレブロシダーゼ(ゴーシェ病)、α-ガラクトシダーゼ(ファブリー病)、α-グルコシダーゼ(ポンペ病)、酸性スフィンゴミエリナーゼ(ニーマン・ピック病A、B型)の酵素活性を解析した。酵素欠損が疑われる標本について遺伝子変異解析を行った。酵素活性低下の38人中15人がライソゾーム病3万4,736人の全標本が、ESI-MSを用いた多重スクリーニング法で解析された。38人の新生児に酵素活性の低下が認められ、そのうち15人に遺伝子変異解析でライソゾーム病が確認された。最も頻度の高い遺伝子変異はファブリー病(新生児3,859人に1人)で、次いでポンペ病(8,684人に1人)、ゴーシェ病(1万7,368人に1人)の順であった。陽性予測値はそれぞれ32%(95%信頼区間:16~52)、80%(同:28~99)、50%(同:7~93)だった。遺伝子変異は、主に晩期発症の表現型に関連するミスセンス変異であった。著者は、「ライソゾーム病の遺伝子変異を有する新生児の割合は予想以上に高かった。ライソゾーム病の新生児スクリーニングは、今後、プライマリ・ケアの課題として浮上する可能性がある」と結論し、「晩期発症型の遺伝子変異の頻度が高かったことから、ライソゾーム病は小児期以降に及ぶ広範な健康問題になると予測される」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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心血管疾患の生涯リスクの差は、リスク因子の違いによる

心血管疾患の生涯リスクについて、黒人および白人の全年齢階層にわたって幅広く検討した結果、そのリスクの顕著な差は、個々人のリスク因子プロファイルの違いによるもので、人種や出生コホート群を問わず一貫したものであることが明らかにされた。米国・テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのJarett D. Berry氏らが、18の試験に参加した25万7,000人余のデータについて行ったメタ解析の結果、報告したもので、NEJM誌2012年1月26日号で発表された。黒人・白人の男女計25万7,384例のデータを基にメタ解析Berry氏らが解析対象としたのは、米国で過去50年間に行われた長期疫学コホートの被験者データを収集した「Cardiovascular Lifetime Risk Pooling Project」に組み込まれた参加者の個人データで、18試験の黒人・白人の男女計25万7,384例のデータであった。被験者は心血管疾患のリスク因子に関して、45、55、65、75歳時に測定を受けていた。それらデータから血圧値、コレステロール値、喫煙状況、糖尿病状態を用いて、参加者を5つのリスク因子プロファイルカテゴリー(全リスクが至適、至適でないリスク因子が1つ以上、上昇したリスク因子が1つ以上ある、重大リスク因子が1つある、重大リスク因子が2つ以上ある)に分類し、残る余生に推定される心血管イベントの生涯リスクを、45、55、65、75歳の各年齢カテゴリー群別に算出した。心血管疾患生存例は競合イベントとして処理された。人種や出生コホート群を問わず傾向は同じ結果、リスク因子プロファイルの全カテゴリーにわたり、心血管疾患生涯リスクについて顕著な差が認められた。55歳群において、リスク因子プロファイルが至適であった群(総コレステロール<180mg/dL、血圧:収縮期<120/拡張期<80、非喫煙、非糖尿病)は、重大リスク因子が2つ以上ある群と比べて、心血管疾患死のリスクが80歳まで大幅に低かった(男性間:4.7% vs. 29.6%、女性間:6.4% vs. 20.5%)。至適リスク因子プロファイルを有する群は、致死性冠動脈心疾患または非致死的心筋梗塞の生涯リスク(男性間:3.6% vs. 37.5%、女性間:<1% vs. 18.3%)、また致死的・非致死的脳卒中の生涯リスク(男性間:2.3% vs. 8.3%、女性間:5.3% vs. 10.7%)も低かった。同様の傾向は、黒人コホートおよび白人コホート、また多様な出生コホートを問わず認められた。

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寒冷蕁麻疹の発症に遺伝子欠損が関連

特色ある炎症性遺伝子の表現型を精査することで、免疫調節の仕組みや疾患メカニズムの同定および解明に結びつけることが可能とされる。米国NIHのMichael J. Ombrello氏らは、その手法を用いて、冷たいものに触れたり体温が下がると発症する寒冷蕁麻疹の優性遺伝が認められる3家族の遺伝子型を精査し、遺伝子に関わる原因や疾患メカニズムについて解明を試みた。NEJM誌2012年1月26日号(オンライン版2012年1月11日号)掲載報告より。優性遺伝が認められる3家族の遺伝子表現型を精査Ombrello氏らは、寒冷蕁麻疹、抗体欠損、感染症および自己免疫に対する感受性について優性遺伝を有する3家族を同定し検討を行った。免疫表現型について、フローサイトメトリー、血清免疫グロブリンと自己抗体の分析、リンパ球刺激アッセイ、酵素測定アッセイなどでタイピングを行い、また遺伝的なことについて、連鎖分析、標的サンガー塩基配列決定、次世代の全ゲノム塩基配列決定などで調査した。寒冷蕁麻疹は、すべての調査対象者で発症した。その他にアトピー、肉芽腫性発疹、自己免疫性甲状腺炎、抗核抗体の存在、気道感染と後天性免疫グロブリン血症が認められた。また血清IgMとIgA、ナチュラルキラー細胞とクラスをスイッチした記憶B細胞の減少が認められた。37度を下回ると細胞情報の伝達が亢進される仕組みが判明連鎖解析からは、1家族で染色体16q上に7Mbの領域候補が示された。それは同家族よりも少人数構成の1家族における、3.5Mbの疾患関連ハプロタイプに重なった。またこの領域には、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞で発現するシグナル伝達分子のホスホリパーゼCγ2(PLCγ2)をコードするPLCG2が含まれており、相補DNAの塩基配列決定で、2家族でエキソン19が欠失しているヘテロコピーが、残る1家族でエキソン20~22が欠損しているヘテロコピーの存在が認められた。ゲノム塩基配列決定では、疾患と同時に分離した、3つの異なるインフレーム欠失の存在が認められた。これらの欠失(自己抑制的な領域をコード化している領域に位置している)は、恒常的なホスホリパーゼ活性を有するタンパク物質を産生していた。そしてPLCG2発現細胞では、37度までは細胞情報伝達が抑制されたが、生理的温度を下回ると情報伝達は亢進した。以上の結果を踏まえ、Ombrello氏は「PLCG2のゲノム欠失がPLCγ(2)の獲得を押し上げ、複数の白血球サブセットで情報伝達の異常を起こし、免疫機能の過剰または不十分な表現型をもたらす」とまとめている。

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小児喘息患者に対するPPI投与の効果は?

小児喘息患者に対するランソプラゾール(商品名:タケプロンなど)の投与は、喘息症状の改善にはつながらないことが報告された。肺機能や喘息関連のQOL(生活の質)についても有意な効果は認められず、一方で呼吸器への感染リスクについては有意な増大が報告された。米国・ジョンズホプキンス大学のJanet T. Holbrook氏らが、300人超の小児喘息患者について行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年1月25日号で発表した。小児喘息患者では、一般によく無症候性胃食道逆流疾患が認められる。胃食道逆流疾患が喘息コントロール不良の原因の一つではないかと考えられているが、プロトンポンプ阻害薬(PPI)投与によって喘息コントロールが改善するかどうかについては、これまで明らかにされていなかった。24週間追跡し、ACQスコアや肺機能の変化を測定研究グループは、2007年4月~2010年9月にかけて19ヵ所の大学病院を通じ、胃食道逆流症状が明らかには認められていない小児喘息患者で吸入ステロイド治療ではコントロール不良の306例について試験を行った。被験者の年齢は6~17歳で、平均年齢は11歳(SD 3歳)だった。研究グループは被験者を無作為に二群に分け、一方の群にはランソプラゾール(体重30kg未満は15mg/日、30kg以上は30mg/日)を、もう一方の群にはプラセボを投与した。追跡期間は24週間だった。主要アウトカムは、喘息コントロール質問票(ACQ)スコアの変化だった。副次アウトカムは、肺機能や喘息関連QOLの変化や、緊急受診といった喘息コントロール不良に関するイベント件数とされた。ACQスコア、肺機能、喘息関連QOL、いずれも両群で変化に有意差なし結果、両群のACQスコア変化平均値の格差(ランソプラゾール群-プラセボ群)は、0.2ユニット(95%信頼区間:0.0~0.3)と有意差は認められなかった。また、1秒間努力呼気量の平均値の変化についても両群の格差は0.0L(同:-0.1~0.1)で、喘息関連QOLスコアの平均値の変化も両群の格差は-0.1(同:-0.3~0.1)と、いずれも有意差は認められなかった。ランソプラゾール群のプラセボ群に対する、喘息コントロール不良に関するイベント発生の相対リスクは1.2(同:0.9~1.5)で、有意差はなかった。一方で、ランソプラゾール群はプラセボ群に比べ、呼吸器感染リスクが高く、相対リスクは1.3(同:1.1~1.6)だった。また、食道pH測定を受けた115例の胃食道逆流症有病率は43%だった。これらサブグループについても、ランソプラゾール群とプラセボ群でアウトカムに有意差はなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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重大な食品汚染物質PFCは、子どものワクチン接種効果を半減

重大な食品汚染物質であることが明らかとなっているペルフルオロ化合物(PFC)は、子どもの免疫力を低下することが明らかとなった。米国・ハーバード大学公衆衛生院のPhilippe Grandjean氏らが、約600人の子どもの血中PFC値とワクチン効果との関連について行った、前向きコホート試験の結果明らかにしたもので、5歳時で同値が高い子どもは、7歳時のジフテリアや破傷風抗体レベルの低下するなどが認められたという。PFCは防水・防虫剤として食品包装材などに広く使われている。これまでの研究で、免疫応答が低下した齧歯目モデルの血中濃度と同レベルの血中濃度が米国人においても認められるが、PFC曝露の健康被害への影響については十分には解明されていなかった。JAMA誌2012年1月25日号掲載報告より。出生前後の血中PFC値と、5歳、7歳時の血中ワクチン抗体レベルとの関連を分析研究グループは、PFC曝露が幼児期のワクチン接種に対する免疫応答に影響するかを調べるため、1999~2001年にかけて、フェロー諸島で生まれた単胎児656例について追跡調査を行った。被験児の母親について妊娠32週時点で、および出生した被験児が5歳時に血中PFC値の測定をそれぞれ行った。被験児は全員、ジフテリアや破傷風などの予防接種を受けており、その血中ワクチン抗体レベルを5歳時、7歳時に調べ、PFC値との関連を分析した。被験児のうち587例が2008年まで追跡された。母親の血中PFOSレベルが2倍高い群では、5歳時のジフテリア抗体濃度は39%減少結果、PFCのうち最も血中レベルが高かったのは、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とペルフルオロオクタン酸(PFOA)だった。この結果は、以前に報告された弁国での研究結果と同じだった。母親のPFCレベルと5歳児の抗体レベルとの逆相関が最も強かったのは、PFOSレベルで、母親の同値が2倍増大すると、子どもの5歳時のジフテリア抗体レベルは、39%減少(95%信頼区間:-55~-17)した。また、子どもの5歳時の主なPFCレベルが2倍増大すると、7歳時のジフテリア・破傷風の抗体レベルは49%(同:-67~-23)減少した。5歳時点で血中PFOS濃度と血中PFOA濃度が2倍増大すると、7歳時の抗体レベルが臨床的防御値である0.1 IU/mLを下回るオッズ比は、ジフテリアについては2.38(同:0.89~6.35)、破傷風については4.20(同:1.54~11.44)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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