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老人保健施設内の転倒事故

内科最終判決平成15年6月3日 福島地方裁判所 判決概要老人保健施設入所中の95歳女性、介護保険では要介護2と判定されていた。独歩可能で日中はトイレで用を足していたが、夜間はポータブルトイレを使用。事故当日、自室ポータブルトイレの排泄物をナースセンター裏のトイレに捨てにいこうとして、汚物処理場の仕切りに足を引っかけて転倒した。右大腿骨頸部骨折を受傷し、手術が行われたが、転倒したのは施設側の責任だということで裁判となった。詳細な経過患者情報明治38年生まれ、満95歳の女性。介護保険で要介護2の認定を受けていた経過平成12年10月27日老人保健施設に入所。入所動機は、主介護者の次女が入院することで介護者不在となったためであった。■入所時の評価総合的な援助の方針定期的な健康チェックを行い、転倒など事故に注意しながら在宅復帰へ向けてADLの維持・向上を図る。骨粗鬆症あり、下半身の強化に努め転倒にも注意が必要である。排泄に関するケア日中はトイレにいくが夜間はポータブルトイレ使用。介護マニュアルポータブルトイレ清掃は朝5:00と夕方4:00の1日2回行う。ポータブルトイレが清掃されていない場合には、患者はトイレに自分で排泄物を捨てにいったが、容器を洗う場所はなかったので排泄物の処理と容器の洗浄のために、ときおり処理場を利用していた。どうにか自分で捨てにいくことができたので、介護職員に頼むことは遠慮して、自分で捨てていた。1月8日05:00ポータブルトイレの処理状況「処理」17:00ポータブルトイレの処理状況「処理していない」夕食を済ませ自室に戻ったが、ポータブルトイレの排泄物が清掃されておらず、夜間もそのまま使用することを不快に感じ自分で処理場に運ぼうとした。18:00ポータブルトイレ排泄物容器を持ち、シルバーカー(老人カー)につかまりながら廊下を歩いてナースセンター裏のトイレにいき(約20m)、トイレに排泄物を捨てて容器を洗おうと隣の処理場に入ろうとした。ところが、その出入口に設置してあるコンクリート製凸状仕切り(高さ87mm、幅95mm:汚物が流れ出ないようにしたもの)に足を引っかけ転倒した。職員が駆け寄ると「今まで転んだことなんかなかったのに」と悔しそうにいった。そのまま救急車で整形外科に入院し、右大腿骨頸部骨折と診断された。平成13年1月12日観血的整復固定術施行。3月16日退院。事故の結果、創痕、右下肢筋力低下(軽度)の後遺症が残り、1人で歩くことが不自由となった。3月7日要介護3の認定。誠意の感じられない施設側に対し、患者側が損害賠償の提訴に踏み切る(なお事故直後の平成13年1月20日、仕切りの凸部分を取り除くための改造工事が施工された)。当事者の主張入所者への安全配慮義務患者側(原告)の主張施設側は介護ケアーサービスとして入所者のポータブルトイレの清掃を定時に行うべき義務があったのに怠り、患者自らが捨てにいくことを余儀なくされて事故が発生した。これは移動介助義務、および入所者の安全性を確保することに配慮すべき義務を果たさなかったためである。病院側(被告)の主張足下のおぼつかないような要介護者に対しては、ポータブルトイレの汚物処理は介護職員に任せ、自ら行わないように指導していた。仮にポータブルトイレの清掃が行われなかったとしても、自らポータブルトイレの排泄物容器を処理しようとする必要性はなく、ナースコールで介護職員に連絡して処理をしてもらうことができたはずである。ところが事故発生日に患者が介護職員にポータブルトイレの清掃を頼んだ事実はない。したがって、入所者のポータブルトイレの清掃を定時に行うべき義務と事故との間に因果関係は認められない。工作物の設置・保存の瑕疵患者側(原告)の主張老人保健施設は身体機能の劣った状態にある要介護老人の入所施設であるという特質上、入所者の移動などに際して身体上の危険が生じないような建物構造・設備構造が求められている。処理場の出入口には仕切りが存在し、下肢機能が低下している要介護老人の出入りに際して転倒などの危険を生じさせる形状の設備であり「工作物の設置または保存の瑕疵」に該当する。病院側(被告)の主張処理場内の仕切りは、汚水などが処理場外に流出しないことを目的とするもので、構造上は問題はなく、入所者・要介護者が出入りすることは想定されていない。したがって、工作物の設置または保存の瑕疵に該当しない。入所者への安全配慮義務患者側(原告)の主張ポータブルトイレの清掃を他人に頼むのは、患者が遠慮しがちな事項であり、職員に頼まずに自分で清掃しようとしたからといって、入所者に不注意があったとはいえいない。病院側(被告)の主張高齢であるとはいえ判断力には問題なかったから、ナースコールで介護職員に連絡して処理をしてもらうことができたはずである。そのように指導されていたにもかかわらず、自ら処理しようとした行動には患者本人の過失がある。裁判所の判断記録によれば、ポータブルトイレの清掃状況は、外泊期間を除いた29日間(処理すべき回数53回)のうち、ポータブルトイレの尿を清掃した「処理」23回トイレの中をみた「確認」15回声をかけたが大丈夫といわれた「声かけ」が2回「処理なし」3回「不明」10回とあるように、必ずしも介護マニュアルに沿って実施されていたわけではない。しかも、実施したのかどうか記録すら残していないこともある。居室内に置かれたポータブルトイレの中身が廃棄・清掃されないままであれば、不自由な体であれ、老人がこれをトイレまで運んで処理・清掃したいと考えるのは当然である。施設側は「ポータブルトイレの清掃がなされていなかったとしても、自らポータブルトイレの排泄物容器を処理しようとする必要性はなく、ナースコールで介護職員に連絡して処理をしてもらうことができたはずである」と主張するが、上記のようにポータブルトイレの清掃に関する介護マニュアルが遵守されていなかった状況では、患者がポータブルトイレの清掃を頼んだ場合に、施設職員がただちにかつ快くその求めに応じて処理していたかどうかは疑問である。したがって、入所者のポータブルトイレの清掃をマニュアルどおり定時に行うべき義務に違反したことによって発生した転倒事故といえる。また、老人保健施設は身体機能の劣った状態にある要介護老人が入所するのだから、その特質上、入所者の移動ないし施設利用などに際して、身体上の危険が生じないような建物構造・設備構造がとくに求められる。ところが、入所者が出入りすることがある処理場の出入口に仕切りが存在すると、下肢の機能の低下している要介護老人の出入りに際して転倒などの危険を生じさせる可能性があり、「工作物の設置または保存の瑕疵」に該当するので、施設側の賠償責任は免れない。原告側合計1,055万円の請求に対し、合計537万円の判決考察このような判決をみると、ますます欧米並みの「契約社会」を意識しなければ、医療従事者は不毛な医事紛争に巻き込まれる可能性が高いことを痛感させられます。今回は、95歳という高齢ではあったものの、独歩可能で痴呆はなく、判断力にも問題はなかった高齢者の転倒事故です。日中はトイレまで出かけて用を足していましたが、夜は心配なのでベッド脇に置いたポータブルトイレを使用していました。当初の介護プランでは、1日2回ポータブルトイレを介護職員が掃除することにしました。ところが律儀な患者さんであったのか、排泄物をどうにか自分でトイレに捨てにいくことができたので、施設職員に頼むことは遠慮して、時折自分で捨てていたということです。そのような光景をみれば誰しもが、「ポータブルトイレの汚物をトイレまで捨てにいくことができるのなら、リハビリにもなるし、様子を見ましょう」と考えるのではないでしょうか。そのため、最初に定めたマニュアル(1日2回ポータブルトイレの確認・処理)の遵守が若干おろそかになったと思われます。ところが、ひとたび施設内で傷害事故が発生すると、どのようなマニュアルをもとに患者管理を行っていたのか必ずチェックされることになります。本件では「ポータブルトイレ清掃は朝5:00夕方4:00の1日2回行う」という介護マニュアルが、実態とはかけ離れていたにもかかわらず、変更されることなく維持されたために、施設側が賠償責任を負う結果となりました。したがって、はじめに定めた看護計画や介護計画については、はたして実態に即しているのかどうか、定期的にチェックを入れることがきわめて重要だと思います。もし本件でも、本人や家族とポータブルトイレの汚物処理について話し合いがもたれ、時折自分で処理をすることも容認するといったような合意があれば、このような一方的な判断にはならずにすんだ可能性があります。次に重要なのが、一見転倒の心配などまったく見受けられない患者であっても、不慮の転倒事故はいつ発生してもおかしくないという認識を常に持つことです。ほかの裁判例でもそうですが、病院あるいは老人施設には、通常の施設とは異なる「高度の安全配慮義務」が課せられていると裁判所は考えます。そのため、自宅で高齢者が転倒したら「仕方がない事故」ですが、病院あるいは老人施設では「一般の住宅や通常の施設とは違った、利用者の安全へのより高度な注意義務が課せられている」と判断されます。つまり、わずかな段差や滑りやすい床面などがあれば、転倒は「予見可能」であり、スタッフが気づかずに何も手を打たないと「結果回避義務をつくさなかった」ことで、病院・施設側の管理責任を必ず問われることになります。高齢になればなるほど、身体的な問題などから転倒・転落の危険性が高くなりますが、24時間付きっきりの監視を続けることは不可能ですから、あらかじめリスクの高いところへは、患者さんができる限り足を踏み入れないようにしなければなりません。たとえば、防火扉、非常口、非常階段などは、身体的に不自由な患者さんにとってはハイリスクエリアと考え、そこへは立ち入ることがないよう物理的なバリアを設けたり、リハビリテーションを兼ねた歩行練習は安全な場所で行うようにするなど、職員への周知を徹底することが肝心だと思います。内科

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経口CMX001、造血細胞移植患者のCMV感染症予防効果は/NEJM

 サイトメガロウイルス(CMV)感染症の予防的治療薬として有望視されている経口CMX001について、米国・ダナファーバーがん研究所のFrancisco M. Marty氏らが造血細胞移植レシピエントを対象に、用量効果と安全性を評価する無作為化試験を行った。その結果、100mg週2回量が有意にイベント発生率を低下させることが示された。CMX001は当初、天然痘薬として開発されたが、in vitroでCMVやその他の二本鎖DNAウイルスに対して強い抗ウイルス活性があることが示され、また動物モデルにおけるCMV感染症治療薬としての効果はシドフォビル(国内未承認)の約400倍であることが示されていたという。NEJM誌2013年9月26日号掲載の報告より。プラセボ対照で用量効果と安全性を評価 同種異系造血細胞移植を受けた患者におけるCMX001の安全性と抗CMV活性について調べることを目的に、研究グループは、2009年12月~2011年6月に評価可能であったCMV血清陽性の成人レシピエント患者230例を全米27施設から登録した。 試験はこれらの患者を3対1の割合で、経口CMX001投与群またはプラセボ群に割り付け行われた。またCMX001投与群は、用量漸増二重盲検デザインに即した5つのコホート(40mg週1回、同100mg、同200mg、100mg週2回、同200mg)に割り付けられた。無作為化は、急性移植片対宿主病およびCMV DNAの有無によって層別化して行われた。 試験薬の投与は、生着後9~11週後とし、移植後13週間までとした。血漿CMV DNAのPCR法を毎週行い、治療が必要と判断されるレベルのCMV DNA値が検出された患者には、試験薬の投与中止と抗CMVの先制治療(preemptive therapy)を行った。 主要エンドポイントはCMVイベントの発生で、CMV感染症または試験薬中止時の血漿CMV DNA値が200コピー/mL超の場合と定義した。100mg週2回投与がイベント発生を有意に低下 結果、CMVイベントの発生は、プラセボ群(37%)との比較で、CMX001の100mg週2回投与群(10%)において有意に低下した(絶対リスク差:-27ポイント、95%信頼区間[CI]:-42~-12ポイント、p=0.002)。その他の投与群では有意差はみられず、40mg週1回群の絶対リスク差は15ポイント(p=0.23)、同100mg群は-15(p=0.22)、同200mg群は-6(p=0.53)、200mg週2回群は-14(p=0.24)だった。 CMV感染症は9例で発生がみられた。そのうち2例はプラセボ群で、投与群は7例(40mg週1回群が3例、同100mg群が3例、100mg週2回群が1例)だった。 また、感染症の発症または保菌状態の進行(CMV DNA>1,000コピーと定義)を評価した結果、ベースラインで感染が検出された患者は、200mg週1回超の投与でコントロールできること、同非検出者には100mg週1回超投与が有意に有効であることが示された。 一方、安全性については、200mg週1回超投与患者において、下痢が高頻度に認められ、200mg週2回が用量制限であることが示された。骨髄抑制と腎毒性は認められなかった。

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4年に1回は多すぎる、高齢者の骨密度測定/JAMA

 骨粗鬆症未治療の平均75歳高齢者の男女において、骨密度測定による将来的な骨折リスク(股関節または主要な骨粗鬆症性骨折)の予測能は、4年間隔での2回測定では意味ある改善は得られないことが判明した。米国・Hebrew SeniorLifeのSarah D. Berry氏らが、フラミンガム骨粗鬆症研究の被験者およそ800例について行ったコホート試験の結果、明らかにした。高齢者に対する、骨粗鬆症スクリーニングとして骨密度測定は推奨されているものの、反復測定の有効性については不明だった。JAMA誌2013年9月25日号掲載の報告より。骨密度を2回測定、約10年追跡 研究グループは、フラミンガム骨粗鬆症研究の被験者、男性310例、女性492例を対象にコホート試験を行った。被験者は、1987~1999年にかけて、大腿骨頸部骨密度を2回測定されていた(測定間隔の平均値:3.7年)。 追跡は2009年まで、または2回目骨密度測定から12年後まで行い、主要アウトカムは、股関節または主要な骨粗鬆症性の骨折だった。 被験者の平均年齢は74.8歳、骨密度の年平均変化量は-0.6%(標準偏差:1.8)。追跡期間の中央値は9.6年だった。骨密度2回目の測定値を入れても、予測モデルAUCはほとんど変わらず 追跡期間中に股関節骨折を発症したのは76例、主要な骨粗鬆症性骨折は113例だった。 年間骨密度の減少は骨折リスクの増大に関与しており、標準偏差分減少による股関節骨折のハザード比は、ベースライン時骨密度を補正後、1.43(95%信頼区間[CI]:1.16~1.78)で、主要な骨粗鬆症性骨折については同1.21(同:1.01~1.45)だった。 受信者動作特性曲線(ROC)分析では、ベースライン時の骨密度測定値に2回目の同測定値を追加しても、予測能について意味ある増大はみられなかった。ベースライン時の骨密度による予測モデルの曲線下面積(AUC)は、0.71(同:0.65~0.78)であり、骨密度のベースラインからのパーセント変化による予測モデルの同値も0.68(同:0.62~0.75)だった。 また、ベースライン時骨密度モデルに、2回目の測定値を元にした骨密度変化を追加したモデルでも、AUCは0.72(同:0.66~0.79)と、予測能はあまり変わらなかった。 ネット再分類指数を用いた場合、2回目の骨密度測定により股関節骨折者の分類割合は3.9%(95%CI:-2.2~9.9%)増大した一方で、低リスクと分類される人の割合は-2.2%(同:-4.5~0.1%)の減少だった。 結果を踏まえて著者は、「骨折リスクを改善しようと4年以内に骨密度を再測定し分類することは、この年齢の未治療骨粗鬆症患者には必要ないようだ」と結論している。

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定型vs.非定型、せん妄治療における抗精神病薬

 せん妄治療に用いられる抗精神病薬。せん妄治療に対する有用性・安全性において、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬で違いはないのであろうか。この問題に対し、韓国・延世大学のHyung-Jun Yoon氏らは、6日間の前向き比較観察研究により検討を行った。BMC Psychiatry誌オンライン版2013年9月30日号の掲載報告。 先行研究において大半の報告で、せん妄治療における抗精神病薬に関して定型または非定型の間に有意差はないことが示されていた。一方で、高年齢が同治療反応不良の予測因子である可能性も示唆されていた。そこで研究グループは、せん妄治療について患者の年齢を考慮に入れ、ハロペリドールと3つの非定型抗精神病薬[リスペリドン、オランザピン、クエチアピン]の有効性と安全性を比較することを目的とする試験を行った。試験は、6日間の前向き比較臨床観察研究で、韓国の高度機能病院で行われた。被験者は、せん妄治療に対して精神医学的な診察-リエゾンサービスを紹介され、試験登録前にスクリーニングを受けた80例であった。有効性の評価は、韓国版Delirium Rating Scale-Revised-98(DRS-K)と韓国版Mini Mental Status Examination(K-MMSE)を用いて行われた。安全性の評価は、Udvalg Kliniske Undersogelser副作用スケールにて行った。 主な結果は以下のとおり。・被験者80例は、ハロペリドール群23例、リスペリドン群21例、オランザピン群18例、クエチアピン群18例に割り付けられた。・ベースライン時において4群間に、平均DRS-Kでみた重症度スコアとK-MMSEスコアに有意差はみられなかった。・4群とも試験期間中、DRS-K重症度スコアは有意に低下し、K-MMSEスコアは有意に上昇した。一方で4群間に、DRS-KおよびK-MMSEスコアの改善について有意な差はみられなかった。・同様に、DRS-Kの認知および非認知のサブスケールスコアも、治療群を問わず低下が認められた。・治療反応率は、75歳未満よりも75歳以上の患者において低値であった。とくに、オランザピンの治療反応率は患者が高齢であるほどより低値であった。・被験者合計15例(18.8%)が、いくつかの有害イベントを経験した。イベントに関して、4群間で有意差はみられなかった。・以上のように、ハロペリドールとリスペリドン、オランザピン、クエチアピンは、せん妄治療に関する有効性と安全性は同等であった。一方で、せん妄治療における抗精神病薬の選択において、考慮すべき因子は年齢であることが示された。関連医療ニュース 高齢者のせん妄に対する抗精神病薬のリスクは? 抗精神病薬は“せん妄”の予防に有用か? がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は…

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造血器腫瘍領域で待望の『造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版』が発売

 『造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版(第1版)』(編集:日本血液学会)が、10月11日より発売された。 白血病、リンパ腫、骨髄腫などの造血器腫瘍では、従来の化学療法に加え、分子標的療法、造血幹細胞移植など治療選択肢が広がってきている。このことに伴い、現時点でのエビデンスの整理と適切な診療を行うためのガイドラインの必要性が増してきたことから、今回初めて作成された。 本書は、全体を白血病、リンパ腫、骨髄腫の大きく3つに分けたうえで、それぞれの疾患の各病型について、総論、アルゴリズム、CQという構成で解説している。巻末には、効果判定規準一覧、薬剤名一覧、治療一覧なども付録。 ガイドラインは、全国の書店、アマゾンなどで発売。定価は5,250円(本体5,000円+税5%)。詳しくは、金原出版まで

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ゲノム解析で判明、C. difficile感染の伝播経路は複数存在/NEJM

 主として医療施設内で伝播すると考えられていたクロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)感染について、ゲノム解析(配列決定)の結果、多様な遺伝子が特定され、感染源はさまざまであることが明らかにされた。英国・オックスフォード大学のDavid W. Eyre氏らが、3年間のオックスフォードシャーでの発生症例を解析した結果、45%は、既往症例とは遺伝的に異なることが判明したという。NEJM誌2013年9月26日号掲載の報告より。一地域内の病院、地域の有症者から分離株を集めゲノム解析 C. difficile感染は主に医療施設内で伝播すると考えられてきたが、地域への蔓延により、正確な感染源の特定、および症状を発現した人に集中していた従来の介入の効果が阻害されるようになってきた。 そこで研究グループは、有症者が伝播において果たした役割を特定し、その伝播経路が時間とともにどのように変化したかを調べるため、一定地域内の全有症者から分離株を入手し、ゲノム解析を行った。 解析は、2007年9月~2011年3月に、英国・オックスフォードシャーの医療施設または地域で感染が特定されたすべての有症者から採取された分離株を入手して行われた。評価は、C. difficileの進化速度を指標とし、分離株間の一塩基多様体(single-nucleotide variant:SNV)を比較するというもので、予測した進化速度は、採取期間124日未満でSNVは0~2個、124~364日未満で0~3個であった。また、SNVの比較後に、入院施設および地域ごとに入手した遺伝的に関連した症例間との疫学的関連の同定を行った。遺伝的関連が認められたのは35% 評価された1,250例のC. difficile症例のうち、1,223例(98%)がゲノム解析に成功した。 2008年4月~2011年3月に採取された検体957例について、それ以前の2007年9月~2008年3月に採取された検体と比較した結果、少なくとも1つの初期検体と遺伝的関連があることを示すSNVが2個以下を示した分離株は333例(35%)だった。一方で428例(45%)は、SNVが10個以上であった。 2つの期間群における症例の発症は、時間とともに同程度に減少した。このことは、曝露から感染への移行をターゲットとした介入の効果を示唆するものであった。 SNVが2個以下だった333例(伝播整合群)のうち、126例(38%)は病院で他の患者との接触が確認されたが、一方で120例(36%)は、病院または地域における他の患者との接触は認められなかった。また試験を通じて、異なるサブタイプの感染症が継続的に認められた。このことから、C. difficile保有者が相当数存在することが示唆された。 以上を踏まえて著者は、「3年間のオックスフォードシャーにおけるC. difficile症例のうち、45%は過去の症例と遺伝的に異なっていた。有症者に加えて、遺伝的に多様な感染源もC. difficile伝播の重要な役割を担っている」とまとめた。また、今回用いたゲノム解析について「新たな伝播ルートの解明のために、疫学的に関連のない遺伝的関連症例に集中した研究を可能とするもので、不可解とされているC. difficile感染源の解明の光明となりそうだ」と評価している。

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腹部手術時の癒着防止剤、有益なのは?/Lancet

 腹部手術における癒着防止剤として、酸化再生セルロースとヒアルロン酸カルボキシメチルセルロースは安全に癒着発生を減少することが示された。オランダ・ナイメーヘン・ラットバウト大学医療センターのRichard P G ten Broek氏らがシステマティックレビューの結果、報告した。癒着は腹部手術における最も頻度が高い長期合併症の原因で、小腸閉塞、再手術、女性の不妊や慢性疼痛を引き起こす可能性がある。癒着形成防止剤は、その重症度を軽減することが示されているにもかかわらず、まれにしか用いられていない。その要因として癒着に対する過小評価があるようだが、研究グループは、臨床使用が承認されている4つの癒着防止剤の有益性と有害性について検証した。Lancet誌オンライン版2013年9月27日号掲載の報告より。癒着防止剤についてシステマティックレビューとメタ解析 癒着防止剤の有効性と安全性を検証した先行レビューでは、解析に含んだ試験の結果が、減少に失敗もしくは臨床的に意義のあるアウトカムを評価していなかったため、使用に関する有用なエビデンスを示すことができなかった。そこで研究グループは、そのような場合に開発されたエラーマトリックスアプローチ法を用いて、癒着防止剤の有益性と有害性を評価するシステマティックレビューとメタ解析を行った。 PubMed、CENTRAL、Embaseをソースに腹部手術における癒着防止剤として、酸化再生セルロース、ヒアルロン酸カルボキシメチルセルロース、イコデキストリン、ポリエチレングリコールの4つについて評価した無作為化試験を検索した。2名の研究者が文献の特定とデータの抽出を行った。 評価は、事前設定した臨床関連の9等級のアウトカムについて、癒着防止剤使用vs. 非使用を比較して行われた。 主要アウトカムは、癒着性小腸閉塞のための再手術施行とした。重大な有害イベントの増大と関連している癒着防止剤はなかった 検索の結果1,840試験がヒットし、メタ解析には28試験(5,191例)が組み込まれた。 系統的および無作為化エラーのリスクは低く、また、主要アウトカムとした癒着性小腸閉塞のための再手術に関して、酸化再生セルロース、ポリエチレングリコールの効果については報告例がなかった。 解析の結果、酸化再生セルロースは癒着発生率を低下することが示された(相対リスク[RR]:0.51、95%信頼区間[CI]:0.31~0.86)。 癒着性小腸閉塞のための再手術の発生は、ヒアルロン酸カルボキシメチルセルロースが軽減する(同:0.49、0.28~0.88)というエビデンスがいくつか認められた。一方で、癒着性小腸閉塞の再手術に関して、イコデキストリンは有意な群間差がみられなかった(同:0.33、0.03~3.11)。 重大な有害イベントの増大と関連している癒着防止剤はなかった。

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食物アレルギーのある子どもは喘息になりやすい

 都市部の学校において、食物アレルギーのある子どもは喘息の有病率が高いことがボストン小児病院のJames L. Friedlander氏らにより報告された。また、食物アレルギーのある子どもは喘息の有病率だけでなく、呼吸機能の低下による健康資源の利用も多かった。そして、多数の食物アレルギーを有する子どもほど、この関連は強かった。The journal of allergy and clinical immunology in practice誌2013年10月1日の掲載報告。 喘息を有する子どもの食物アレルギーの有病率は高いことが知られているが、逆に食物アレルギーと喘息の有病率との関係は、これまではっきりしていなかった。 本研究は、都市部の子どもたちのリスクファクターと喘息の有病率を評価するプロスペクティブ研究であるSchool Inner-City Asthma (SICAS)を用いて、食物アレルギーが喘息の有病率を増加させる独立したリスクファクターとなるかを検討することを目的としている。 SICASで臨床評価から喘息と診断された300人の子どもを前向きに調査した。食物アレルギーは食物摂取後1時間以内に何らかの症状がみられた場合とし、喘息有病率、呼吸機能、健康資源の利用状況を食物アレルギーのある子どもとない子どもで比較した。 主な結果は以下のとおり。・300人の喘息を有する子どものうち73人(24%)に食物アレルギーがあり、36人(12%)は複数の食品に対する食物アレルギーがあった。・何らかの食物アレルギーのある子どもは、入院リスクが高く(オッズ比[OR]:2.35、 95%信頼区間[Cl]:1.30~4.24、 p=0.005)、喘息管理のための薬物使用も多かった(OR:1.99、 95%Cl:1.06~3.74、 p=0.03)。・複数の食物アレルギーのある子どもたちは、過去の入院リスク、喘息関連の入院リスク、喘息管理のための薬剤使用のリスクが独立して高く(それぞれ、OR:4.10 [95% Cl:1.47~11.45]、p=0.007、OR:3.52 [95%Cl:1.12~11.03]、p=0.03、OR:2.38 [95%Cl:1.00~5.66]、p=0.05)、医療機関の受診も有意に多かった(中央値4.5回vs 3.0回、p=0.008)。・さらに、食物アレルギーのある子どもでは、呼吸機能も有意に低かった[%予測1秒量(% predicted FEV1 )と1秒率FEV1(1秒量)/FVC(努力性肺活量)]。

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重度精神障害の機能評価ツール、その信頼性は

 スペイン・オビエド大学のMaria P. Garcia-Portilla氏らは、統合失調症および双極性障害患者を対象とし、重度精神障害患者の機能評価ツールとしてUniversity of California Performance Skills Assessment(UPSA)スペイン版の信頼性、妥当性の評価を行った。その結果、UPSAスペイン版はその他の機能評価ツールと良好な相関を示し、信頼性の高い検証ツールであり、「機能アウトカムのモニタリング手段として臨床試験および日常診療での活用が望ましい」と報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年9月18日号の掲載報告。 重度精神障害患者における、UPSAスペイン版の検証を目的とし、自然的、6ヵ月間フォローアップ、多施設共同、バリデーション試験を行った。対象は、統合失調症患者139例、双極性障害患者57例、対照31例とし、スペイン版UPSA(Sp-UPSA)、Clinical Global Impression, Severity(CGI-S)、Global Assessment of Functioning(GAF)および Personal and Social Performance(PSP)などのスケールを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。<信頼性>・統合失調症における内部整合性(クロンバックのα係数)は0.81、双極性障害では0.58であった。Test-retestは、それぞれ0.74、0.65(p<0.0001)であった。<構成のValidity>・Sp-UPSAとPSP総スコア間のピアソン相関係数は、統合失調症が0.42(p<0.0001)、双極性障害が0.44(p=0.001)であった。・Sp-UPSAとGAFスコアの相関係数は、それぞれ0.43、0.52(p<0.0001)であった。<弁別的Validity>・ Sp-UPSAにより、患者と対照が識別された。・統合失調症患者において、CGI-Sスコアによる疾患重症度の相違が識別された。・統合失調症における対照/患者の曲線下面積は0.89、カットオフ値85における感度は82.7%、特異度は77.4%であった。・双極性障害における対照/患者の曲線下面積は0.85、カットオフ値90における感度は82.5%、特異度は64.5%であった。関連医療ニュース 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには 認知機能トレーニング/リハビリテーションはどの程度有効なのか? 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は?

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変形性膝関節症の疼痛構成要素、重症化に伴い変化

 変形性膝関節症(膝OA)の疼痛は、炎症および機械的負荷と関連していることが示唆されていたが、順天堂東京江東高齢者医療センターの清村幸雄氏らは、疾患の重症度別に検討し、初期膝OAの疼痛には滑膜炎を反映している血清インターロイキン(sIL)- 6濃度が、進行期の疼痛は下肢内反アライメントが関与していることを明らかにした。Osteoarthritis and Cartilage誌2013年9月号の掲載報告。 研究グループは、膝OAの疼痛構成要素が重症化に伴い、どのように変化するかについて検証した。 対象は、ケルグレン/ローレンス(K/L)グレード2以上の膝OA女性160例(平均年齢70.5歳)で、膝疼痛を視覚的アナログスケール(VAS)および日本版変形性膝関節症患者機能評価尺度の疼痛項目(JKOM疼痛スコア)を用いて評価するとともに、sIL-6濃度、高感度C反応性蛋白(hs-CRP)濃度ならびに大腿頸骨角 (anatomical axis angle:AAA)を測定した。 主な結果は以下のとおり。・初期群(K/L 2)では、sIL- 6濃度が、VAS(回帰係数[β]:10.77、95%信頼区間[CI]:4.14~17.40、p<0.01)、およびJKOM疼痛スコア(同:3.19、1.93~4.44、p<0.001)と有意に関連した。・進行群(K/L 3、4)では、AAAがVAS(β:-1.29、95%CI:-2.51~-0.08、p<0.05)、およびJKOM疼痛スコア(同:-0.49、-0.82~-0.16、p<0.01)と有意に関連した。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?

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エキスパートDrへのQ&A

前立腺肥大症、過活動膀胱合併例の治療法について教えてください。前立腺肥大症については、通常、排出症状と蓄尿症状の両方を合併している場合がほとんどです。特に、蓄尿症状がQOLを低下させる傾向にあります。その場合、α1遮断薬のみでは対応できないため、抗コリン薬を併用することになります。この2剤の併用は、エビデンスもあることから専門医は積極的に行っています。しかし、抗コリン薬は尿閉のリスクがあるため、一般医科の先生方に積極的に勧められるものではありません。一般医科で抗コリン薬を使用する場合には、まず残尿をモニターできる施設であることが必要となります。α1遮断薬投与しても、残尿が50mL以上を認める場合、抗コリン薬の投与は望ましくないと考えて下さい。次に、前立腺肥大症に夜間頻尿を合併している場合ですが、抗コリン薬を朝投与した場合は有効性が低下するといわれています。短時間作用型の抗コリン薬を就寝前1回または夕食後に投与することが有効といえます。排尿障害患者さんの治療において、専門医を紹介するタイミングについて教えてください。α1遮断薬を投与しても、50mL以上の残尿が認められる患者さんは専門医へ紹介ください。残尿のモニターが可能であれば抗コリン薬を併用してもよいですが、併用後残尿が50mLを超える場合にも相談いただく方がよいと思います。そのほか、排尿障害の背景にがんが隠れている可能性もあります。前立腺肥大症の診断の際には必ずPSAを測定してください。カットオフ値としては4.0ng/mLを参考としますが、若い方はより低めの値から注意して経過観察を行う必要があります。また血尿が持続する場合は、膀胱のほか、尿路結石などの可能性がありますので専門医へご紹介ください。デュタステリドは基本的にはα1遮断薬と併用するというスタンスでよいのですか?ファーストチョイスになりえますか?PSA低下作用や、高価なこともあり、基本的にファーストチョイスにはしていないのですが・・・。いかがでしょうか?デュタステリドは前立腺体積30mL以上の場合に適応になります。第一選択薬にもなりえますが、α1遮断薬と併用するというスタンスでよいでしょう。ただし性機能障害の副作用があるので、50代以下の男性に投与する場合はその点を理解していただいてから投与することが大切です。デュタステリドの効果発現には3~4ヵ月を要しますので、即時効果を期待する場合は、α1遮断薬との併用が必要になります。ただし、デュタステリドはPSAを低下させるため、前立腺の存在をマスクしてしまう可能性があります。投与中は必ずPSAをモニターしておくことが重要です。なお、デュタステリドはPSA値を低下させますが、がん発生抑制効果はないと考えられています。デュタステリドは約1年で3割程度前立腺体積を減少させ、PSA値を6ヵ月~1年で50%程度低下させます。投与後、徐々にPSAが増加するようであれば前立腺の可能性があると判断し、専門医へ紹介ください。デュタステリドの投与を中止すると前立腺体積も戻ります。数ヵ月程度で増加しますが、30mL以内に留まっている分にはデュタステリドの中止を継続して問題ありません。α1遮断薬と抗コリン薬の併用で十分な効果がない場合の次の一手について、漢方薬も含めて教えてください。漢方薬としては、八味地黄丸や牛車腎気丸があります。ガイドライン上の記載では推奨グレードC1「行ってもよい」となっています。治療選択肢のひとつにはなりますが、積極的に勧められるわけではありませんので、患者さんの希望などを加味したうえでご判断いただければと思います。

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脂質低下薬が乳がんの再発・死亡リスクへ及ぼす影響~前向きコホート研究

 脂質低下薬は心血管疾患予防に使用され、なかでもスタチンは最もよく使用される。前臨床および観察研究により、スタチンの乳がん患者における予後改善の可能性が示されている。 ドイツがん研究センターのStefan Nickels氏らは、乳がん患者の大規模コホートにより、再発および死亡リスクにおける脂質低下薬の影響を調査した。その結果、これまでのスタチン使用による予後改善を示す研究報告とは矛盾しないが、脂質低下薬との関連をサポートする明確なエビデンスは示されなかったと報告した。PLoS One誌2013年9月25日号に掲載。 著者らは、2001年~2005年に診断された50歳以上の乳がん患者の大規模な前向きコホートであるドイツのMARIEplus研究のデータを分析した。 全死亡率、乳がんによる死亡率、乳がん以外での死亡率については、ステージI~IVの浸潤性乳がんの3,189例を、また再発リスクについては、ステージI~IIIの乳がん3,024例を採用した。採用時における自己申告での脂質低下薬使用との関連について、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。研究地域、腫瘍グレード、エストロゲン/プロゲステロン受容体の状態で層別化し、年齢、腫瘍の大きさ、リンパ節転移、転移、更年期障害のホルモン補充療法、がんの発見方法、放射線療法、喫煙で調整し分析した。死亡率の解析では心血管疾患、糖尿病、BMIについて追加補正した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値の5.3年の間に、ステージI~IV患者3,189例のうち404例が死亡し、うち286例が乳がんによる死亡であった。・自己申告による脂質低下薬使用は、乳がん以外での死亡率の増加(ハザード比[HR]:1.49、95%信頼区間[CI]:0.88~2.52)と全死亡率の増加(HR:1.21、95%CI:0.87~1.69)に、有意ではないが関連していた。一方、乳がんによる死亡率との関連は認められなかった(HR:1.04、95%CI:0.67~1.60)。・ステージI~IIIの乳がんにおいては、追跡期間中央値の5.4年の間に387例が再発した。・脂質低下薬の使用は、再発(HR:0.83、95%CI:0.54~1.24)と乳がんによる死亡(HR:0.89、95%CI:0.52~1.49)のリスク減少に、有意ではないが関連していた。

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女性の腹圧性尿失禁、初回療法は手術が優れる/NEJM

 女性の腹圧性尿失禁に対する初回療法として、中部尿道スリング手術を行ったほうが理学療法(骨盤底筋訓練など)を行うよりも、1年時点の主観的改善率、および主観的・客観的治癒率が高いことが、多施設共同無作為化試験の結果、明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJulien Labrie氏らが報告した。腹圧性尿失禁に対しては、理学療法を第一選択治療とすることとされており、理学療法が失敗した場合に手術療法を行うことが推奨されている。一方で、初回療法としてこれら2つのオプションを比較した無作為化試験によるデータは不足していた。NEJM誌2013年9月19日号掲載の報告より。手術群と理学療法群に割り付け1年後の主観的改善率を比較 試験は、4大学19病院から被験者(35~80歳女性、腹圧性尿失禁が中等度~重度)を募って行われた。被験者を無作為に、手術群と理学療法群に割り付け、それぞれクロスオーバーでの受療も可能とした。 主要アウトカムは、12ヵ月時点でPatient Global Impression of Improvement(PGI-I)を用いて測定した主観的改善とした。初回手術群と、理学療法群→手術を受けた被験者とのアウトカムは同程度 初回療法として、手術群に230例、理学療法群に230例が無作為に割り付けられた。そのうち理学療法群の49.0%が、また手術群の11.2%がクロスオーバーしての治療を受けた。 intention-to-treat解析において、主観的改善率は、手術群90.8%、理学療法群64.4%であった(絶対差:26.4ポイント、95%信頼区間[CI]:18.1~34.5)。 また主観的治癒率は、手術群85.2%、理学療法群53.4%(同:31.8ポイント、22.6~40.3)であり、客観的治癒率は、同76.5%、58.8%(同:17.8ポイント、7.9~27.3)だった。 事後のプロトコル解析の結果、手術群にクロスオーバーした被験者のアウトカムは、最初から手術群に割り付けられた被験者のアウトカムと同程度であることが示された。また、それら手術を受けた被験者のアウトカムは、手術群にクロスオーバーせず手術を受けなかった被験者のアウトカムよりも優れていた。

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変形性膝関節症には運動介入がやはり有益/BMJ

 下肢変形性関節症を有する患者への運動介入の有益性について、システマティックレビューとネットワークメタ解析の結果、2002年以降のデータで、そのエビデンスが十分に蓄積されていることが示された。英国・キール大学のOlalekan A Uthman氏らによる報告で、「さらなる試験を行っても結果は覆りそうもないようだ」と述べるとともに、「筋力、柔軟性、有酸素能を高める複合的アプローチのエクササイズは、下肢変形性関節症の治療に最も効果があるようだ。なおエビデンスは変形性膝関節症患者の試験によるものが大部分を占めていた」とまとめている。BMJ誌オンライン版2013年9月20日号掲載の報告より。運動介入効果のエビデンスの蓄積を検証 研究グループは、下肢変形性関節症患者の疼痛軽減と機能改善において、運動介入が非運動介入よりも有効である、と結論するための十分なエビデンスがあるかを調べること、またどのような運動介入が効果的かを比較することを目的とした。 Medline、Embaseなど9つの電子データベースをソースに、それぞれの発行開始年から2012年3月までに発表された文献を検索した。適格試験は、膝または股関節の変形性関節症を有する成人を対象に、運動介入と非運動介入、または異なる運動介入を比較した無作為化試験 とした。主要アウトカムは、疼痛強度と機能制限であった。 2人のレビュワーが試験の適格性と方法論の質的評価を行った。また、運動介入について入手したエビデンスが、信頼性があり決定的であるかを調べるために、試験の逐次解析を行った。治療効果への直接的(試験内)エビデンスと間接的(試験間)エビデンスの統合にはベイジアンネットワーク・メタ解析法を用いた。筋力+柔軟性+有酸素能の複合アプローチが疼痛軽減、機能改善に有効 解析には、包含基準を満たした60試験(膝44件、股関節2件、混在14件)、12の運動介入、患者8,218例が組み込まれた。試験は1989~2012年に発表されたもので、最長追跡期間は4週から79週(中央値15週)であった。試験の実施地域は米国(17件)、英国(9件)、オーストラリア(8件)が大半を占め、参加者はほとんどが地域住民だった。 逐次解析の結果、2002年以降のデータで、運動介入が非運動介入に対して有意にベネフィットがあるという十分なエビデンスがあることが示された。 12の運動介入について、非運動介入と比較した疼痛強度に関するネットワーク解析の結果、筋力のみ(10cm視覚アナログスケールでみる疼痛強度が-2.03cm)、筋力+柔軟性(同:-1.26cm)、筋力+柔軟性+有酸素能(同:-1.74cm)、水中筋力(同:-1.87cm)、水中筋力+柔軟性(同:-1.87cm)の運動介入が、有意に有効であったことが示された。 また、筋力+柔軟性+有酸素能の介入は、機能改善についても非介入と比較して有意に有効であった(標準化平均差:-0.63、95%信頼区間:-1.16~-0.10)。

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DES留置後の再内皮化と内皮機能の関係~OCTとAch負荷試験からの検討~

 ZES(ゾタロリムス溶出ステント)は、PES(パクリタキセル溶出ステント)よりも内皮機能が保持されること、および新生内膜によるstent strut被包と内皮機能保持には関係があることが、名古屋ハートセンターの村瀬 傑氏らによって示唆された。Catheterization and Cardiovascular Interventions誌オンライン版7月30日号掲載の報告。 これまで、DES(薬剤溶出ステント)留置後の再内皮化と内皮機能については、報告されていた。しかし、DES留置後の再内皮化と内皮機能との関係については、調べられていなかった。本研究では、DES留置(PES 7病変、ZES 7病変)9ヵ月後に、OCT(optical coherence tomography)による再内皮化の評価およびアセチルコリン負荷試験による内皮機能測定が行われた。 主な結果は、次のとおり。・ZES群、PES群の患者背景に有意な差は認められなかった。・ZES群はPES群に比較し、stent strutsが新生内膜により高度に被包されていた(ZES:0.27±0.14mm vs PES:0.17±0.18mm、p<0.01)。また、不完全密着率も低かった(ZES:0% vs PES:2.7%、p<0.01)。・ZES群はPES群に比較し、アセチルコリン誘発血管収縮が低かった(ZES:28.6% vs PES:57.1%、p<0.01)。・スパズム発生群とスパズム非発生群で比較すると、発生群は、被包率が低かった(スパズム発生:0.21±0.19mm vs スパズム非発生:0.25±0.14mm、p<0.01)。

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2013年11月にC型肝炎治療ガイドラインが大幅改訂―新薬登場で

 2013年10月3日(木)、ヤンセンファーマ株式会社主催のC型慢性肝炎メディアセミナーが開催され、関西労災病院 病院長の林 紀夫氏より、C型慢性肝炎治療の変遷と最新治療について語られた。また、東京肝臓友の会 事務局長の米澤 敦子氏からは、患者が考えるC型肝炎治療の課題について語られた。 林氏は「11月に発売される新規DAAs(direct-acting antiviral agents:直接作用型抗ウイルス薬)シメプレビルの登場により、C型肝炎治療ガイドラインが大幅に改訂される。未治療例はもちろん、高齢者やインターフェロン(IFN)無効例、過去の治療で効果が十分に得られなかった例にも、有効性と安全性が高く、治療期間の短い新たな治療選択肢を提供できる」と述べた。 今後は、シメプレビルのほかにも現在開発中の新薬が続々と登場し、日本のC型肝炎治療に大きな変革がもたらされると考えられる。C型肝炎は肝がんの主な成因 日本における肝がんの死亡者数は、肺がん、胃がんに続いて3番目に多く、年間約3万人が肝がんにより死亡している(厚生労働省調べ)。C型肝炎ウイルスに感染すると、約70%の患者が、慢性肝炎から肝硬変、そして肝細胞がんへ至る。日本肝臓学会の肝がん白書(1999)によると、日本における肝硬変・肝がん患者の79%がC型肝炎ウイルス陽性であるという。つまり、C型肝炎のウイルス排除を進めれば、肝がん患者の減少につながるといえる。これまでのC型肝炎治療 C型肝炎の治療はIFN 単独、IFN+リバビリン(RBV)、ペグインターフェロン(PEG-IFN)+RBVと進化を遂げてきたが、日本人に最も多い遺伝子型1b型にはIFNが効きにくく、PEG-IFN+RBV併用療法を48週行っても、初回治療の著効率は約50%であった。また、米澤氏は「治療期間が長期にわたるため、IFNの副作用である発熱や倦怠感、RBVによる貧血などにも長く悩まされ、治療を続けるために仕事をリタイアせざるを得ないなど、患者の人生を大きく左右させてしまう」という問題点を挙げた。テラプレビル3剤併用療法の問題点 2011年9月に承認されたPEG-IFNα-2b+RBV+テラプレビル(TVR)の3剤併用療法により、ウイルス陰性化率(SVR)が飛躍的に向上し、治療期間も従来の48週から24週に大幅短縮された。しかし、TVRは高い頻度で皮疹や貧血などの副作用を伴うことから、肝臓専門医や皮膚科専門医との連携ができる医療機関に使用が限定された。とくに、副作用が出やすい高齢者には使いにくく、治療を中断せざるを得ないなどの問題点があった。シメプレビルの登場 第2世代のプロテアーゼ阻害剤シメプレビルは、優先審査を経て2013年9月に日本で承認された。C型肝炎治療薬としては初めて、欧米に先駆けて承認された期待の薬剤で、2013年11月にも発売される見込みである(製品名:ソブリアードカプセル)。未治療の遺伝子型1のC型慢性肝炎患者を対象に行われた国内第3相試験(CONCERTO試験)においては、シメプレビル+PEG-IFNα-2a+RBVの3剤併用療法(24週)の投与終了後12週までの持続的ウイルス陰性化率(SVR)が88.6%にのぼった。投与終了後24週までのSVRも再燃例で89.8%、無効例で50.9%と、高い有効性が認められた。また、安全性もPEG-IFN+RBVの2剤併用療法と同等であった(第49回日本肝臓学会総会にて発表)。2013年11月、C型肝炎治療ガイドラインが大幅改訂 現在のC型肝炎治療ガイドラインにおいて、遺伝子型1における治療は原則として「TVR+PEG-IFN+RBV」または「PEG-IFN+RBV」とされているが、シメプレビルの登場により、2013年11月に改訂され、これらは「シメプレビル+PEG-IFN+RBV」に変更となる見込みである。1日1回の服用でTVRよりも有効性と安全性が高いシメプレビルが、今後のC型肝炎治療に大きな変革をもたらすと考えられる。今後も新薬が続々登場 現在、国内で開発されている新規DAAsとPEG-IFN+RBVの3剤併用療法は、シメプレビルのほかにもファルダプレビル、vaniprevir、daclatasvirがあり、いずれも遺伝子型1に対する有効性が80~90%と高く、副作用もTVRと比べて低いという。また、IFNフリー療法も開発されており、近い将来、IFNの副作用を懸念することなくさまざまな症例に使用することができるため、期待されている。現在開発中のレジメンは、asunaprevir+daclatasvir、deleobuvir+ファルダプレビル+RBV、sofosbuvir+RBV、ABT450+ABT267+リトナビルであり、いずれも第2、第3相試験中である。「ただし、IFNフリー療法は、IFNの抗ウイルス効果によって耐性株の増殖を抑制することができないため、裾野が広いからといってむやみに使うと耐性変異を起こす危険がある。将来の治療薬に対しての選択肢を奪うこともある」と林氏は注意を投げかけた。まとめ 今後、IFNを使わない新しい治療が登場するが、患者の高齢化と発がんリスクを鑑みると、将来の治療のために待機せず、まずは専門医が遺伝子検査などでしっかりと治療方針を決定したうえで「今ある最新かつベストな治療」を行うべきである。また、IFNフリー療法という選択肢が増えても、IFNはすでにDAAsへの耐性を持つ症例の治療効果も高めることができるため、重要な薬剤であることに変わりはないと考えられる。シメプレビル登場に始まるC型肝炎治療の進化により、肝がんで命を落とす患者が減ることが期待される。

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