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抗NGF抗体、変形性関節症の疼痛を軽減し忍容性も良好

 ヒト型抗ヒト神経成長因子(NGF)モノクローナル抗体フルラヌマブ(fulranumab、国内未承認)の有効性および安全性を検討した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験の結果が発表された。米国・ヤンセン・リサーチ・ディベロップメント社のPanna Sanga氏らによれば、中等度~重度の疼痛を有する変形性関節症患者において、フルラヌマブの4~8週ごとの皮下投与はプラセボと比較して、疼痛強度や身体機能を有意に改善し忍容性は良好であったという。Pain誌2013年10月号(オンライン版2013年6月5日号)の掲載報告。 変形性関節症による中等度~重度の慢性疼痛を有する成人患者466例を、次の6群に無作為に割り付け、現在の疼痛治療に加えそれぞれ被験薬を皮下投与した。プラセボ群(78例)、フルラヌマブ1mg 4週ごと(Q4wk)群(77例)、同3mg Q4wk群(79例)、同3mg 8週ごと(Q8wk)群(76例)、同6mg Q8wk群(78例)、同10mg Q8wk群(78例)。 主要評価項目は、投与開始12週時における疼痛強度のベースラインからの変化量、副次的評価項目は西オンタリオ大学・マクマスター大学変形性関節症指数(WOMAC)、簡易疼痛質問票(BPI-SF)スコア、患者全般改善度(PGA)などであった。 主な結果は以下のとおり。・投与開始12週時における疼痛強度のベースラインからの減少(平均変化量)は、プラセボ群と比較して、フルラヌマブ 3mg Q4wk群、6mg Q8wkおよび10mg Q8wk群で有意に大きかった。・WOMACによる疼痛、こわばりおよび身体機能サブスケールが、1mg Q4wk群を除いたすべてのフルラヌマブ群で有意に改善した。・BPI-SFの疼痛強度および疼痛による生活への支障に関するサブスケールは、3mg Q4wk群と10mg Q8wk群で有意に改善した。・PGAは、3mg Q4wk群、6mg Q8wk群および10mg Q8wk群で有意に改善した。・フルラヌマブ投与による主な有害事象は、感覚異常(7%)、頭痛(5%)、鼻咽頭炎(5%)であった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?

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アルツハイマー病、アミロイドβ蛋白による“炎症反応”が関与

 カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のPatrick L. McGeer氏らは、アルツハイマー病(AD)がアミロイドβ蛋白(Abeta)により誘発される炎症反応の結果によるものとし、早期の段階から抗炎症薬による介入を行うことの意義を示唆した。Acta Neuropathologica誌2013年10月号の掲載報告。 ADの重要な病因として、アミロイドカスケード説が広く認知されている。すなわち、ADの原因はAbeta産物であり、Abetaあるいはそのオリゴマーが神経毒性を示すとされている。しかし、筆者らは、Abeta自体がADの原因となりえないと考えたという。その理由として、毒性を引き起こすにはμmol濃度のAbeta体が必要であるが、実際のところ脳内レベルはpmolの範囲内であり、必要とされる濃度の100万倍も低いからだという。そして、おそらくADは、後にタウの凝集につながる細胞外Abeta沈着により誘発される“炎症反応”の結果であると示唆した。 その理由として次の点を挙げている。・実際、疾患進行時に活性化ミクログリアによる炎症反応が過剰に増強されている。・これまでの疾患修飾治療(根本治療)は失敗に終わっており、中心的役割を果たしている炎症を考慮に入れない限り、このような状況が続くと思われる。・多数の疫学研究および動物モデルを用いた研究において、抗炎症薬として最も広く使用されているNSAIDsが、ADに対して実際に補助的な効果を有することが示されている。 そしてこれらの研究は、疾患修飾として“抗炎症”というアプローチを支持するものと言えるとまとめた。 一方、バイオマーカー研究において、臨床的に確認される何十年も前に疾患が発症していることが明らかにされていることについても言及した。著者は、これらの研究が「早期介入の必要性を指摘している」と述べる。バイオマーカーと病理データの組み合わせにより、疾患の経過を約5年単位の6つのphaseに分けることができ、phase1は髄液中のAbetaの減少、phase2は髄液中のタウ増加とPETによる脳内Abeta沈着の確認、phase 3はPET-FDGによる脳内代謝速度の若干の減少、phase 4はMRIによる脳容積の若干の減少とわずかな認知障害、phase 5はスキャンによる異常所見の増加とADの臨床診断、phase 6は病院でのケアを要するADの進行である、とした。 以上を踏まえて、「疾患経過の早期における抗炎症薬の活用により、治療の機会が広がる。予防的でないものの、このような薬剤はAbetaとタウ凝集の両方に引き続いて起こる現象を防ぎうる手段として有利である。疾患発症から認知機能が低下するまでの間には十年以上あるため、真に効果的な疾患修飾レジメンを導入する機会が存在する。この機会の利用が将来の課題である」とまとめている。関連医療ニュース スタチン使用で認知症入院リスク減少 アルツハイマー病の進行抑制に関わる脳内分子を特定 アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか?

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第19回 PTCAで患者が死亡した場合の医師の責任 診療ガイドラインからの考察

■今回のテーマのポイント1.循環器疾患の訴訟では、急性冠症候群が最も多い疾患であり、PTCA(経皮的冠動脈形成術)の適応が最も多く争われている2.PTCAの適応を判断するに当たり、裁判所は、ガイドラインを重視している3.ガイドラインに反する診療を行う場合には、より高度な説明義務が課せられる事件の概要患者X(60歳)は、平成11年8月下旬に近医にて心電図異常を指摘されたことから、同年9月9日、精査目的でY病院を受診しました。Y病院にて、冠動脈造影および運動負荷タリウム心筋スペクト検査を受けた結果、右冠動脈#3に100%狭窄、左前下行枝#6に75%、#7および#8に90%の狭窄、左回旋枝#14に75%、#15に75%狭窄が認められたものの、左心室造影の結果、駆出率は73%と正常範囲であり、全周性に壁運動は保たれていたことから、冠動脈末梢部分の陳旧性心筋梗塞と診断されました。Xは、平成12年2月7日にY病院に入院し、翌8日、左前下行枝#6、#7および#8に対しPTCAが行われました。その後、5月15日に行われた冠動脈造影において、右冠動脈#3に100%狭窄、左回旋枝#15に75%を含む3ヵ所の狭窄のほか、前回PTCAを行った左前下行枝#6から#8、#9くらいのところまで、血流の遅延を伴う程度の99%狭窄が認められ、左心室造影では、左前下行枝の高度狭窄の影響と考えられる壁運動の低下が認められ、駆出率も61%と低下していること、また、前回造影時より側副血行路の発達が認められました。Xは、5月19日にY病院に入院し、22日に2回目のPTCAを受けました。しかし、PTCA施行中に左前下行枝中間部に穿孔が生じてしまい、心嚢ドレナージなど処置が行われたものの、左冠動脈主幹部に血栓性閉塞が生じ、これに対し緊急冠動脈バイパス手術が行われたのですが、翌23日、Xは死亡しました。これに対し、Xの相続人達は、(1)XにはPTCAの適応がなかったこと、(2)PTCAの手技上のミスがあったこと、(3)PTCAを施行するにあたって説明義務違反があったことなどを理由に、Y病院に対し、約8,000万円の損害賠償を請求しました。事件の判決ある症状に対して、一般的適応のある治療行為が行われた場合は、原則として、正当な医療行為と認められ、違法性を有しない(他人の身体に対して侵襲を加えることの違法性が阻却される。)が、一般的適応のない治療行為が行われた場合(当該症状が治療行為の必要のないものであったり、当該治療行為が当該症状に対しては治療効果を期待できないものであったり、治療効果に比して不相応に大きな危険を伴うものであったような場合)は、原則として、その治療行為は違法性を有するものと解される。もっとも、一般的適応のある治療行為であっても、患者の意識がないなど、患者の同意を得ることができないような状況にない限り、患者の自己決定権に基づく同意は必要であり、患者の同意がない場合は、原則として、その治療行為は違法性を有するものと解される。一般的適応については、一応、以上のように解することができるとしても、具体的な治療の場面では、当該治療行為を行う医療従事者の能力(知識・経験、技術を含む)の問題、当該治療行為に必要な医療設備ないし医療環境(助力を求めることができる他の医療従事者の有無等)の問題等、他の要因も加わって当該治療を実施することの適法性が判断されることになり、一般的適応があっても、知識・経験、技術等の点から当該医療従事者あるいは当該医療機関が当該治療行為を行うことは許されない場合もありうるし、一般的適応に欠けるところがあっても、患者の同意があれば、当該治療行為を行うことが許される場合もありうる。例えば、医療技術の進歩の著しい分野においては、一般的適応があるとはいえないが、一定の能力を有する医療従事者が、患者の同意を得て、一定の医療設備及び医療環境のもとで実施する場合には、一定の治療効果が期待できるので、当該治療行為が許されるという場合もありうるし、当該治療の実施例が少なく、当該治療行為の危険性についても、治療効果についても十分に検証されているとはいえないが、そのことを十分に患者が理解し、当該治療行為の実施を患者が望めばこれを実施することも許されるという場合もありえよう。一般的適応に欠けるところがあっても、患者の同意によって当該治療行為を行うことが許される場合について、これを患者の同意があれば当該治療行為の適応があるというのか、適応はないが、患者の同意によって治療行為としての正当性が認められるというのかは、表現の違いにすぎず、法的には、いずれにしても、患者の同意があってはじめて当該治療行為が正当な医療行為として認められるものと解される。そして、この場合の患者の同意は、一般的適応がある場合の同意と連続性を有するものではあるが、一般的適応のある治療行為が、それ自体で、原則として正当な医療行為と認められるのに対して、一般的適応に欠ける治療行為は、患者の同意があってはじめて治療行為としての正当性が認められるという意味で、より重い意義を有するものというべきである。このように、違法性の有無、軽重の観点から考えると、治療行為の適応の問題は、当該治療行為に対する患者の同意の問題と切り離すことはできない。そして、当該治療行為について、その内容を十分理解した上でその実施に患者が同意したかどうか、すなわち、当該同意が、患者の自己決定権の行使としての同意、あるいは、一般的適応に欠ける治療行為について正当性を与えるための同意として有効なものといえるかどうかは、患者が同意するか否かを合理的に判断できるだけの情報が医療従事者から患者に対して与えられたかどうか、すなわち、説明義務が尽くされたかどうかにかかることになる。・・・(中略)・・・本件適応ガイドラインに従うと、本件PTCAは(前回PTCAも)、危険にさらされた側副血行路派生血管の病変に対するもので、原則禁忌に該当するものであったということになるし、ガイドラインの記載に従えば、本件PTCAを実施するのであれば、まず、右冠動脈3番の狭窄に対してPTCAを行ってはじめて本件PTCAを行うことが許されるものであったということになるので、特段の事情がない限り、本件PTCAは一般的適応を欠くものであったというべきである。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(東京地判平成16年2月23日判タ1149号95頁)ポイント解説今回は、各論の3回目として、循環器疾患を紹介します。循環器疾患で最も訴訟が多い疾患は、急性冠症候群です。1)急性冠症候群に関する判決とその傾向心筋梗塞や狭心症といった急性冠症候群は、普通に日常生活を送っていた人が急速な転帰をたどり死に至ることから、争われやすい疾患といえる一方、年間死亡数が急性心筋梗塞とその他虚血性心疾患で77,217人(平成22年)と非常に多く、死亡率もいまだに高く致死的な疾患であることから、特に最近では原告勝訴率があまり高くないという特徴があります(表1)。急性冠症候群に関する訴訟において争点となるのは、本件においても争われているPTCAの適応についてが最も多く、ついで診断の遅れ、手技ミス、説明義務違反となっています(表2)。2)PTCAの適応に関する裁判所の判断わが国のCCU(心疾患集中治療室)は多くの場合、カテーテル治療を行う循環器内科医が中心となって運営されていることから、畢竟、カテーテル治療が優先的に選択される傾向があり、本判決においても、「PTCAについては、内科医が適応を決定することが多く、CABG(冠動脈大動脈バイパス移植術)よりもPTCAに重点を置いた説明がなされる傾向があるというのであり(鑑定人)、CABGよりもPTCAが患者に好まれる傾向がある」と判示されています。しかし、PTCAの適応については、本判決でも引用されているように「冠動脈疾患におけるインターベンション治療の適応ガイドライン」が作成されており、これによると、PTCAの原則禁忌として、「(1)保護されていない左冠動脈主幹部病変、(2)3 枝障害で 2 枝の近位部閉塞、(3)血液凝固異常、(4)静脈グラフトのび漫性病変、(5)慢性閉塞性病変で拡張成功率の極めて低いと予想されるもの、(6)危険にさらされた側副血行路」が挙げられています。したがって、これら禁忌に該当する場合にもかかわらずPTCAが選択された場合には、第15回でも解説した通り、違法と判断されやすくなることから注意が必要となります。本件では、2枝病変で左前下行枝近位部に病変があることから、同ガイドラインによると一般的にCABGの適応であり、その上、左前下行枝に危険な側副血行路が認められ、PTCAの原則禁忌(6)に該当することから、「特段の事情がない限り、本件PTCAは一般的適応を欠くものであった」と判断されています。3)一般的適応を欠く場合における説明義務本判決の最大の特徴は、ガイドラインに適合しない治療を行う場合には、説明義務が加重されると判示した点にあります。その結果、説明義務違反があったとされ、精神的慰謝料として約1,300万円もの損害賠償が認められています。医療は進歩し続けており、新しいより良い治療を模索する諸活動が日々行われています。その中でも、まったくの新規の治療法のような研究的色彩が強いものは、臨床研究としてIRB(倫理審査委員会)の承認を経て、しっかりとしたインフォームド・コンセント(説明と同意)の下、行われるべきであることはいうまでもありません。また、一般論として、一般的適応を欠く治療を行う場合には、より丁寧なインフォームド・コンセントが行われるべきであるということも首肯できます。しかし、この一般的適応性判断を行うに当たり、ガイドラインを重視しすぎることは、本連載でも述べている通り、現状のガイドラインのあり方、そもそもとしての医療におけるガイドラインの意義を鑑みると勇み足といわざるを得ません(ただし、本件は控訴され、高裁判決では説明義務違反はないとして病院側の逆転勝訴となっています)。ただ、本判決も含め、司法はガイドラインを重視しますので、現状においては、ガイドラインに従うか否かにかかわらず、患者に対し、(1)ガイドラインが存在すること(2)それを踏まえて個別具体的に判断した結果、当該治療方針が適切であると考えていることを説明することが肝要といえます。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)東京地判平成16年2月23日判タ1149号95頁

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新生児のアトピーにビタミンAとBCGが関与?

 アトピー性皮膚炎またはアトピー性疾患に関して、接種時期が早期か否かにかかわらずBCGワクチンの有意な影響はなかったが、新生児へのビタミンA補給はアトピー性皮膚炎の増加と関連していることが、無作為化比較試験の長期追跡調査の結果、明らかになった。また調査ではBCG瘢痕があることとアトピー性皮膚炎減少との関連も明らかになったという。オーストラリア・Indepth NetworkのN. Kiraly氏らが報告した。Allergy誌2013年9月号(オンライン版2013年8月31日号)の掲載報告。 最近の報告で、ワクチン接種や微量栄養素補給などの免疫原性介入が、アトピー感作やアトピー性疾患に影響を及ぼす可能性があるというエビデンスが示唆されていた。そこで研究グループは、無作為化試験の長期追跡調査から、新生児へのBCG接種、ビタミンA補給、その他のワクチン接種が小児期のアトピー性皮膚炎に影響を及ぼすかについて評価を行った。 試験は、アフリカ西部のギニアビサウで行われた。BCG接種については、低体重出生児を早期接種群(介入群)または後期接種群(通常群)に無作為化し、さらにサブグループについて2×2要因配置でビタミンAまたはプラセボの補給群に無作為に割り付けた。 被験者は3~9歳時まで追跡し評価した。主要アウトカムは、皮膚プリックテスト結果3mm以上を定義としたアトピー性皮膚炎の発症とした。副次アウトカムは、湿疹、喘息、食物アレルギーの症状が認められたこととした。 主な結果は以下のとおり。・281例の小児が、評価が有効な皮膚プリックテストを受けた。そのうち14%(39/281例)でアトピー性皮膚炎が認められた。・BCGの接種時期の違いによるアトピー性皮膚炎発症の有意差はみられなかった(OR:0.71、95%CI:0.34~1.47)。・BCG瘢痕を有する小児では、アトピー性皮膚炎の有意な減少が認められた(同:0.42、0.19~0.94)。・ビタミンA補給は、アトピー性皮膚炎増大と関連していた(同:2.88、1.26~6.58)。とくにBCGを同時投与された例での関連が大きかった(同:5.99、1.99~18.1、ビタミンA補給とBCGの相互作用のp=0.09)。・BCG接種はアトピー性疾患と関連していなかった。しかしビタミンA補給は、過去12ヵ月以内の喘息オッズ比増大と関連していた(同:2.45、1.20~4.96)。

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スタチン使用で認知症入院リスク減少

 認知症にコレステロールが関与していることは、これまでにも報告されている。イタリア・ビコッカ大学のGiovanni Corrao氏らは認知症による入院リスクとスタチン使用期間との関係を検討した。Atherosclerosis誌2013年10月号の報告。 対象は、人口コホート研究より、イタリア・ロンバルディア州在住で40歳以上、2003年~2004年の間に新たにスタチンを投与された患者、15万2,729例であった。このうち、スタチン投与から2010年までに認知症疾患による入院を経験したのは1,380例であった。 主な結果は以下のとおり。・使用期間6ヵ月未満のスタチン投与患者と比較して、7~24ヵ月で15%(OR:0.85、95% CI:0.74~0.98)、25~48ヵ月 で28%(OR: 0.72、95% CI: 0.61~0.85)、48ヵ月以上で25%(OR: 0.75、95% CI: 0.61~0.94)とそれぞれリスクの減少が認められた。・シンバスタチン、アトルバスタチンは認知症のリスク低下と関連していたが、フルバスタチン、プラバスタチンについては観察されなかった。関連医療ニュース たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能 これからのアルツハイマー病治療薬はこう変わる アルツハイマーの予防にスタチン!?:岡山大学

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日常診療におけるGFR(糸球体濾過量)の評価には何を用いるべきか(コメンテーター:木村 健二郎 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(135)より-

CKD(慢性腎臓病)は末期腎不全と心血管疾患のリスクが高いことで注目されている。しかも、GFRが低下するほど、あるいは尿蛋白(アルブミン)量が増加するほど、それらのリスクが上昇する。したがって、日常診療でGFRを手軽に推測することは極めて重要である。 日本腎臓学会編「CKD診療ガイド」では、血清クレアチニン、年齢および性別からGFRを推測する式(推算式、この式で計算したGFRをeGFRcreatとする)を公表し、また、早見表も提供してきた。しかし、血清クレアチニンは筋肉で作られるため、筋肉量が多いと血清濃度は上昇し、eGFRcreatは低下する。逆に、筋肉量が少ないと血清クレアチニン濃度は低下し、eGFRcreatは上昇する。したがって、筋肉量が極端に多かったり少なかったりする場合には、筋肉量に左右されないシスタチンCを用いたGFR(これをeGFRcysとする)が有用である。eGFRcysは「CKD診療ガイド2012」で公表され、早見表も提供された。eGFRcreat とeGFRcys の平均値を用いると、推算GFRの正確度はよくなる(GFRのゴールドスタンダードのイヌリン・クリアランスに近い値になる)ことが示されている。 本論文は、血清クレアチニンと血清シスタチンを測定した11の一般住民を対象とした研究(9万750例)と5つのCKD患者を対象としたコホート(2,960例)をメタ解析し、予後を推測するのにeGFRcreatとeGFRcys、あるいはその組み合わせのどれが優れているかをみたものである。結果はeGFRcysあるいはeGFRcreatとの組み合わせが、死亡や末期腎不全のリスクをより正確に表すというものであった。 日本人では、GFRのゴールドスタンダードであるイヌリン・クリアランスとの比較でしか検討されていないが、今後、予後との関連を検討する必要があることを本論文は示している。

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エキスパートDrへのQ&A

高齢者の水分制限(とくに夜間)をどの程度すべきでしょうか?高齢者であっても、水分、アルコール、カフェインの摂取は控えたほうがよいでしょう。高齢者の中には、飲水による「血液さらさら」効果を期待して過度の飲水をされる方がいますが、実際には、過度の飲水をしても血液粘調度は生理的な範囲内に留まり、いわゆる「血液さらさら」効果は認められないと報告されています1)。このことからも、虚血性心疾患や脳梗塞のリスクが無い限り、睡眠前に水分をたくさん摂取する必要はないと考えます。就寝前の摂取はもちろんですが、夕食後にも摂取を制限することも有用です。高齢者では、お茶を飲まれる方も多いものです。「お茶を飲むなら夕方までにしてください」などと伝えることも有効です。水分摂取量の目安ですが体重の2~2.5%程度とされています。体重60kgの方であれば1日1200~1500mLとなります。ある程度、目安を示しながら水分制限を試みてください。1)Sugaya K,et al.Int J Urol 2007;14:470-472.夜間多尿が原因の夜間頻尿が最も困ります。実際に保険適応の薬もなく、ガイドラインの内容では対応できない症例が多いです。診療のコツを教えてください。『夜間頻尿診療ガイドライン』には、はじめに排尿日誌を記載いただき、尿量を把握したうえで診断を行うアルゴリズムが示されています。しかし、一般医家では、まず投薬してみて、効果があるかないかで判断するケースもあるのではないでしょうか。難治例には排尿日誌をつけていただくという方針でも結構かと思います。そのうえで、「夜間多尿」と診断された場合の対応ですが、水分、カフェイン、アルコールの過剰摂取が原因となっていることもあるため、まずは問診などで病因把握を行ってみてください。とくに就寝前の水分摂取が原因となる場合が多いので、その場合は水分制限が重要です。また利尿作用を有する薬剤を就寝前に服用しているケースもあります。とりわけ、利尿薬やCa拮抗薬は、服用者も多いので注意が必要です。その場合、薬剤を就寝直前に服用しないことはもちろん、逆に夕方までに服用していただき、就寝までに排尿してしまうなどの工夫で、就寝後の利尿を少なくすることができると期待できます。夜間頻尿については、本サイトの症例検討会でも取り上げていますので、そちらも参考にしていただきたいと思います。夜間頻尿で睡眠障害がある方に対して、睡眠薬を使用する場合に、どのような睡眠薬を推奨されますか?まず、患者さんの睡眠障害のタイプを把握することが大切です。寝入りばなにトイレに行きたくなる人やトイレが気になって寝付けないといった方は入眠障害に効く超短時間型が適切ですし、中途覚醒がある場合には短時間~中時間型でゆっくり眠らせることが重要になります。患者さんの不眠症のタイプに応じて適切な睡眠薬を選択することが望ましいといえます。ただし、最近、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因で頻尿になっている方もみられます。気道の狭い方に睡眠薬を投与することで、SASの症状を悪化させてしまう可能性もありますので、いびきがひどく、無呼吸になることがあるなどSASの可能性が疑われる場合には、SASの専門医に一度受診を勧めてみてはいかがでしょうか。過活動膀胱の薬物投与における、効果判定と薬剤の追加や変更のタイミングについて教えてください。効果判定は、I‐PSSやOABSSなどの質問票を用いるもよいかと思いますが、過活動膀胱は患者さんのQOLを向上させることが重要なため、患者さんに直接質問し、QOLの向上を効果判定基準にすることが重要だと思います。次に、判定の時期ですが、排尿障害治療薬の効果は一般的に3~4ヵ月程度で安定してくるため、その時点で一度効果を判定するのがよいでしょう。薬剤の追加や変更ですが、同じカテゴリーの薬剤であってもそれぞれ特徴があります。たとえば主要なα1遮断薬としてタムスロシン、ナフトピジル、シロドシンの3剤がありますが、各薬剤に特徴があります。具体的には、ナフトピジルは蓄尿障害に効果がある、シロドシンは排尿障害に効果がある、タムスロシンはその中間、などです。そこで、シロドシンで夜間頻尿が改善しない場合、ナフトピジルに変更する、タムスロシンで排尿障害が改善しない場合にはシロドシンに変更する、など患者さんの症状に応じて薬剤を変更することも有用と考えています。ミラベクロンの男性への投与は解禁と考えていいのでしょうか?また、ミラベクロンと抗コリン剤の併用について、適応や注意点などを教えてください。これまでもミラベクロンの男性への投与は禁止されていませんでしたが、警告欄に「生殖可能な年齢の患者には投与を出来る限り避ける」と注意喚起されていることから、投与を躊躇していた方も多いと思います。これは、生殖機能があるときの投与が推奨されない、ということですので、患者さんが子供を作る予定がないのであれば第一選択薬としてもよいでしょう。ただし、ミラベクロンも排出障害をまったく起こさないわけではありません。尿閉も報告されていますので、個人的には、単独投与よりはα1遮断薬と併用しながら慎重に使っていただきたいと思います。ミラベクロンと抗コリン薬の併用については、エビデンスが確立するまでは、まだ待っていただきたいと思います。現在、日本で臨床試験を実施中ですので、2剤の併用については試験結果の発表を待って判断すべきと考えています。

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放射線治療による胃腸症状の改善法/Lancet

 骨盤放射線治療後に慢性的な胃腸症状を有する患者に対し、専門医や看護師がアルゴリズムに基づく治療を行うことで、6ヵ月後の症状がより大幅に改善することが明らかにされた。王立マーズデンNHS財団トラストH. Jervoise N. Andreyev氏らが、200例超について行った無作為化比較試験の結果、報告した。過去30年でがん生存者は3倍に増大したが、生存者の20~25%がQOLにおいて、がん治療の身体的悪影響を被っているという。慢性的な胃腸症状は骨盤放射線治療後の患者で頻度が高く、日常生活にも重大な影響を及ぼしている。Lancet誌オンライン版2013年9月23日号掲載の報告より。専門医、看護師がそれぞれアルゴリズムに基づき治療 Andreyev氏らは、骨盤放射線治療を受けた後、新たに6ヵ月以上継続する胃腸症状を発症した18歳以上、218例について、無作為化対照試験を行った。被験者を無作為に3群に分け、一群には通常の治療(68例)、二群にはアルゴリズムに基づく消化器専門医による治療(70例)、三群にはアルゴリズムに基づく看護師による治療(80例)を、それぞれ実施した。通常ケア群の被験者には、自助的ガイドブックを配布した。 主要エンドポイントは、治療開始から6ヵ月後の、炎症性腸疾患質問票の腹部に関するスコア(IBDQ-B:Inflammatory Bowel Disease Questionnaire-Bowel subset score)の変化だった。アルゴリズム群、6ヵ月のIBDQ-Bスコア改善幅が通常治療群に比べ有意に増大 被験者のうち男性は75~79%と大部分を占め、年齢中央値は男性が70歳、女性は61歳だった。被験者のほとんどが、IBDQ-Bスコアではベースライン時に中程度から重度の症状を示していた。 6ヵ月後の平均格差について比較したところ、通常治療群と看護師群では、4.12(95%信頼区間:0.04~8.19、p=0.04)、通常治療群と専門医群では5.47(同:1.14~9.81、p=0.01)と、いずれもアルゴリズムを活用することで患者の症状は大きく改善した。 なお、看護師群のアウトカムは、専門医群に対して非劣性だった(平均格差:1.36、95%片側信頼区間:1.48)。 結果を踏まえて著者は、「放射線治療による胃腸症状改善について、通常治療を受けた患者よりもアルゴリズムに基づく治療を受けた患者のほうが良好な改善を呈した。今回の結果は、大半の患者は、訓練を受けた看護師によるアルゴリズムベースの治療で症状の改善を図ることが可能であることを示唆するものだ」と結論している。

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低血糖を減少できる自動停止機能付きのインスリンポンプ/JAMA

 無自覚性低血糖がみられる1型糖尿病患者の低血糖イベントの管理において、自動停止機能付きインスリンポンプは標準的なインスリンポンプに比べ高い有効性を発揮することが、オーストラリア・プリンスマーガレット小児病院のTrang T Ly氏らの検討で示された。1型糖尿病の治療では低血糖が重大な問題となる。自動停止機能付きインスリンポンプは、すでにその安全性や血糖値が低血糖域にある時間を短縮することが確認されているが、実際に外来患者において重大な低血糖イベントの発生を低減するかは知られていなかった。JAMA誌2013年9月25日号掲載の報告より。中等度~重度の低血糖イベントの発生を無作為化試験で評価 研究グループは、自動停止機能付きインスリンポンプまたは自動停止機能のない標準的なインスリンポンプを装着した1型糖尿病患者において、中等度~重度の低血糖イベントの発生状況を評価する無作為化試験を行った。 対象は、年齢4~50歳、診断後1年以上が経過し、インスリンポンプによる治療を6ヵ月以上受けており、糖化ヘモグロビン≦8.5%で、無自覚性低血糖がみられる1型糖尿病患者であった。 自動停止機能付きインスリンポンプは、センサーを用いて血糖値があらかじめ設定された閾値(60mg/dL)を下回ると警告を発し、患者が警告に反応しない場合は最長2時間にわたりインスリン注入を停止し、その後標準的な基礎インスリンの注入を再開する装置。患者は、この2時間中にいつでもインスリンの注入を再開でき、停止したままにすることも可能である。 試験期間は6ヵ月で、患者はベースライン、3ヵ月、6ヵ月に受診した。中等度低血糖は治療を要するイベントの発生、重度低血糖は低血糖発作および低血糖昏睡の発生と定義し、主要評価項目はこれらの複合エンドポイントとした。夜間低血糖も良好に抑制、低血糖発作や昏睡は認めず 2009年12月~2012年1月までに95例が登録され、自動停止ポンプ群に46例、標準ポンプ群には49例が割り付けられた。全体の平均年齢は18.6(SD 11.8)歳、糖尿病罹病期間は11.0(8.9)年、インスリンポンプ治療期間は4.1(3.4)年であった。 ベースラインにおける100人月当たりの中等度~重度低血糖のイベント発症率は、自動停止ポンプ群が129.6件と、標準ポンプ群の20.7件に比べて高かった。6ヵ月後には、それぞれ28.4件、11.9件へと低下した。 複合エンドポイントのイベント発生数は、自動停止ポンプ群がベースラインの175件から6ヵ月後には35件へと低下したのに対し、標準ポンプ群は28件から16件へ低下した。6ヵ月後の100人月当たりの調整イベント発生率(0-inflated Poissonモデル)は、自動停止ポンプ群が9.5件、標準ポンプ群は34.2件となり、率比は3.6と自動停止ポンプ群で有意に良好であった(p<0.001)。 糖化ヘモグロビンは両群ともに変化しなかった(自動停止ポンプ群:ベースライン7.4%、6ヵ月後7.4%、標準ポンプ群:7.6%、7.5%)。低血糖に対するインスリン拮抗ホルモン反応(クランプ法による)にも変化はなかった。また、糖尿病性ケトアシドーシスや、ケトーシスを伴う低血糖のエピソードは認めなかった。 著者は、「自動停止機能付きインスリンポンプは、無自覚性低血糖がみられる1型糖尿病の外来患者において重大な低血糖イベントの発生の抑制に有効である」とまとめ、「夜間低血糖も標準ポンプより少なく、探索的検討ではあるが低血糖発作や昏睡はまったく認めなかった」としている。

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慢性非がん性疼痛の突出痛にフェンタニル口腔粘膜吸収剤は有用

 慢性非がん性疼痛の突出痛(BTP)に対し、フェンタニル口腔粘膜吸収剤(以下フェンタニル、国内ではがん性疼痛のみ適応)はオキシコドン速放製剤と比較して、鎮痛効果の発現が速やかで機能状態改善効果も優れ、患者の満足度も良好であることが示された。米国・CRI LifetreeのLynn R. Webster氏らが、無作為化二重盲検クロスオーバー試験において明らかにした。Pain Medicine誌2013年9月号(オンライン版2013年7月15日)の掲載報告。 本研究には、米国の42施設が参加した。対象は慢性非がん性疼痛を有しBTPを認めるオピオイド耐性患者213例であった。 非盲検の用量設定期において、フェンタニルに次いでオキシコドン速放製剤(IR)の順に投与する群、またはオキシコドンIRに次いでフェンタニルの順に投与する群に無作為に割り付け、BTPに対し有害事象を伴うことなく十分な鎮痛効果が得られる単回投与量を、両薬剤について設定した。その後、同様に再割り付けを行い二重盲検治療期としてBTPに対する治療効果を検討し(BTP 10エピソードで薬剤切替え)、引き続き12週間の非盲検の延長試験を行った。 疼痛強度は0~10までの数値的評価スケールを用いて評価するとともに、機能状態および患者満足度等を質問票にて評価した。  主な結果は以下のとおり。・213例中、149例が非盲検用量設定期を終え、131例が二重盲検治療期を、112例が非盲検延長試験期を完了した。・主要評価項目である二重盲検治療期における投与前および投与15分後の疼痛強度の差は、オキシコドンIR群(0.76±1.13)に比べフェンタニル群(0.88±1.20)が有意に大きかった(p<0.001)。・二重盲検治療期を完了した患者において、フェンタニルが好ましいと回答した患者は47%、オキシコドンIRは35%であった。・非盲検延長試験終了時(最終来院日)の機能改善ならびに満足度に関する評価は、患者および臨床医いずれも短時間作用型オピオイドに比べフェンタニルが一貫して高かった(p<0.05)。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?

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『科学的根拠に基づく肝診療ガイドライン2013年版』が4年ぶりに改訂

 『科学的根拠に基づく肝診療ガイドライン 2013年版(第3版)』(編集:日本肝臓学会)が、10月15日より発売される。 2009年以来となる第3版の改訂では、肝治療を行ううえで重要な、再発に関する章が新設された。また、化学療法と放射線治療はそれぞれ独立した章として改められ、分子標的薬のソラフェニブに関する推奨などが加わった。文献については、2011年12月までを検索範囲とし新たなエビデンスを追加。57のCQ(クリニカルクエスチョン)において、21件の改訂が行われ、19件が新設された。 具体的には、全体を大きく8つの章に分け、予防、診断およびサ-ベイランス、手術、穿刺局所療法、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、化学療法、放射線治療、治療後のサ-ベイラインス/再発予防/再発治療についてCQ形式で解説している。肝診療を行う治療医必携のガイドライン。 ガイドラインは、全国の書店、アマゾンなどで発売。定価は3,780円(本体3,600円+税5%)。詳しくは、金原出版まで

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統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能

 統合失調症では認知機能障害が一般的にみられる。しかし、初回エピソード患者におけるこれら障害の長期転帰の予測因子は不明であった。スウェーデン・ウプサラ大学のRobert Boden氏らは、初回エピソード統合失調症患者の5年後アウトカムの予測因子としての思考力の低下および認知機能障害について調べた。その結果、思考速度が社会性や症状寛解に関する長期転帰と関連していることを報告した。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年9月20日号の掲載報告。 研究グループは、初回エピソード統合失調症と診断され、臨床的症状が安定した患者46例について、総合的認知機能(Synonyms, Reasoning, and Block Design:SRB)、思考速度(Trail Making Test:TMT、およびフィンガータッピング)、言語学習(Claeson-Dahl Verbal Learning Test)について評価した。また、5年後の転帰は、自立生活、職業的機能、社会性、症状寛解に関して評価した。 主な結果は以下のとおり。・思考速度の低下が、5年後の社会性の低下と関連していた。抗精神病薬使用で補正後のオッズ比(OR)は3.37(95%信頼区間[CI]:1.08~10.51)であった。・利き手ではない手のフィンガータッピングの成績が良好であることは、5年後の症状の非寛解リスク増大と関連していた(補正後OR:0.42、95%CI:0.19~0.96)。・職業的機能と自立生活は、評価したいずれのテストとも関連がみられなかった。関連医療ニュース 青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か? 初回エピソード統合失調症患者に対する薬物治療効果の予測因子は 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

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老人保健施設内の転倒事故

内科最終判決平成15年6月3日 福島地方裁判所 判決概要老人保健施設入所中の95歳女性、介護保険では要介護2と判定されていた。独歩可能で日中はトイレで用を足していたが、夜間はポータブルトイレを使用。事故当日、自室ポータブルトイレの排泄物をナースセンター裏のトイレに捨てにいこうとして、汚物処理場の仕切りに足を引っかけて転倒した。右大腿骨頸部骨折を受傷し、手術が行われたが、転倒したのは施設側の責任だということで裁判となった。詳細な経過患者情報明治38年生まれ、満95歳の女性。介護保険で要介護2の認定を受けていた経過平成12年10月27日老人保健施設に入所。入所動機は、主介護者の次女が入院することで介護者不在となったためであった。■入所時の評価総合的な援助の方針定期的な健康チェックを行い、転倒など事故に注意しながら在宅復帰へ向けてADLの維持・向上を図る。骨粗鬆症あり、下半身の強化に努め転倒にも注意が必要である。排泄に関するケア日中はトイレにいくが夜間はポータブルトイレ使用。介護マニュアルポータブルトイレ清掃は朝5:00と夕方4:00の1日2回行う。ポータブルトイレが清掃されていない場合には、患者はトイレに自分で排泄物を捨てにいったが、容器を洗う場所はなかったので排泄物の処理と容器の洗浄のために、ときおり処理場を利用していた。どうにか自分で捨てにいくことができたので、介護職員に頼むことは遠慮して、自分で捨てていた。1月8日05:00ポータブルトイレの処理状況「処理」17:00ポータブルトイレの処理状況「処理していない」夕食を済ませ自室に戻ったが、ポータブルトイレの排泄物が清掃されておらず、夜間もそのまま使用することを不快に感じ自分で処理場に運ぼうとした。18:00ポータブルトイレ排泄物容器を持ち、シルバーカー(老人カー)につかまりながら廊下を歩いてナースセンター裏のトイレにいき(約20m)、トイレに排泄物を捨てて容器を洗おうと隣の処理場に入ろうとした。ところが、その出入口に設置してあるコンクリート製凸状仕切り(高さ87mm、幅95mm:汚物が流れ出ないようにしたもの)に足を引っかけ転倒した。職員が駆け寄ると「今まで転んだことなんかなかったのに」と悔しそうにいった。そのまま救急車で整形外科に入院し、右大腿骨頸部骨折と診断された。平成13年1月12日観血的整復固定術施行。3月16日退院。事故の結果、創痕、右下肢筋力低下(軽度)の後遺症が残り、1人で歩くことが不自由となった。3月7日要介護3の認定。誠意の感じられない施設側に対し、患者側が損害賠償の提訴に踏み切る(なお事故直後の平成13年1月20日、仕切りの凸部分を取り除くための改造工事が施工された)。当事者の主張入所者への安全配慮義務患者側(原告)の主張施設側は介護ケアーサービスとして入所者のポータブルトイレの清掃を定時に行うべき義務があったのに怠り、患者自らが捨てにいくことを余儀なくされて事故が発生した。これは移動介助義務、および入所者の安全性を確保することに配慮すべき義務を果たさなかったためである。病院側(被告)の主張足下のおぼつかないような要介護者に対しては、ポータブルトイレの汚物処理は介護職員に任せ、自ら行わないように指導していた。仮にポータブルトイレの清掃が行われなかったとしても、自らポータブルトイレの排泄物容器を処理しようとする必要性はなく、ナースコールで介護職員に連絡して処理をしてもらうことができたはずである。ところが事故発生日に患者が介護職員にポータブルトイレの清掃を頼んだ事実はない。したがって、入所者のポータブルトイレの清掃を定時に行うべき義務と事故との間に因果関係は認められない。工作物の設置・保存の瑕疵患者側(原告)の主張老人保健施設は身体機能の劣った状態にある要介護老人の入所施設であるという特質上、入所者の移動などに際して身体上の危険が生じないような建物構造・設備構造が求められている。処理場の出入口には仕切りが存在し、下肢機能が低下している要介護老人の出入りに際して転倒などの危険を生じさせる形状の設備であり「工作物の設置または保存の瑕疵」に該当する。病院側(被告)の主張処理場内の仕切りは、汚水などが処理場外に流出しないことを目的とするもので、構造上は問題はなく、入所者・要介護者が出入りすることは想定されていない。したがって、工作物の設置または保存の瑕疵に該当しない。入所者への安全配慮義務患者側(原告)の主張ポータブルトイレの清掃を他人に頼むのは、患者が遠慮しがちな事項であり、職員に頼まずに自分で清掃しようとしたからといって、入所者に不注意があったとはいえいない。病院側(被告)の主張高齢であるとはいえ判断力には問題なかったから、ナースコールで介護職員に連絡して処理をしてもらうことができたはずである。そのように指導されていたにもかかわらず、自ら処理しようとした行動には患者本人の過失がある。裁判所の判断記録によれば、ポータブルトイレの清掃状況は、外泊期間を除いた29日間(処理すべき回数53回)のうち、ポータブルトイレの尿を清掃した「処理」23回トイレの中をみた「確認」15回声をかけたが大丈夫といわれた「声かけ」が2回「処理なし」3回「不明」10回とあるように、必ずしも介護マニュアルに沿って実施されていたわけではない。しかも、実施したのかどうか記録すら残していないこともある。居室内に置かれたポータブルトイレの中身が廃棄・清掃されないままであれば、不自由な体であれ、老人がこれをトイレまで運んで処理・清掃したいと考えるのは当然である。施設側は「ポータブルトイレの清掃がなされていなかったとしても、自らポータブルトイレの排泄物容器を処理しようとする必要性はなく、ナースコールで介護職員に連絡して処理をしてもらうことができたはずである」と主張するが、上記のようにポータブルトイレの清掃に関する介護マニュアルが遵守されていなかった状況では、患者がポータブルトイレの清掃を頼んだ場合に、施設職員がただちにかつ快くその求めに応じて処理していたかどうかは疑問である。したがって、入所者のポータブルトイレの清掃をマニュアルどおり定時に行うべき義務に違反したことによって発生した転倒事故といえる。また、老人保健施設は身体機能の劣った状態にある要介護老人が入所するのだから、その特質上、入所者の移動ないし施設利用などに際して、身体上の危険が生じないような建物構造・設備構造がとくに求められる。ところが、入所者が出入りすることがある処理場の出入口に仕切りが存在すると、下肢の機能の低下している要介護老人の出入りに際して転倒などの危険を生じさせる可能性があり、「工作物の設置または保存の瑕疵」に該当するので、施設側の賠償責任は免れない。原告側合計1,055万円の請求に対し、合計537万円の判決考察このような判決をみると、ますます欧米並みの「契約社会」を意識しなければ、医療従事者は不毛な医事紛争に巻き込まれる可能性が高いことを痛感させられます。今回は、95歳という高齢ではあったものの、独歩可能で痴呆はなく、判断力にも問題はなかった高齢者の転倒事故です。日中はトイレまで出かけて用を足していましたが、夜は心配なのでベッド脇に置いたポータブルトイレを使用していました。当初の介護プランでは、1日2回ポータブルトイレを介護職員が掃除することにしました。ところが律儀な患者さんであったのか、排泄物をどうにか自分でトイレに捨てにいくことができたので、施設職員に頼むことは遠慮して、時折自分で捨てていたということです。そのような光景をみれば誰しもが、「ポータブルトイレの汚物をトイレまで捨てにいくことができるのなら、リハビリにもなるし、様子を見ましょう」と考えるのではないでしょうか。そのため、最初に定めたマニュアル(1日2回ポータブルトイレの確認・処理)の遵守が若干おろそかになったと思われます。ところが、ひとたび施設内で傷害事故が発生すると、どのようなマニュアルをもとに患者管理を行っていたのか必ずチェックされることになります。本件では「ポータブルトイレ清掃は朝5:00夕方4:00の1日2回行う」という介護マニュアルが、実態とはかけ離れていたにもかかわらず、変更されることなく維持されたために、施設側が賠償責任を負う結果となりました。したがって、はじめに定めた看護計画や介護計画については、はたして実態に即しているのかどうか、定期的にチェックを入れることがきわめて重要だと思います。もし本件でも、本人や家族とポータブルトイレの汚物処理について話し合いがもたれ、時折自分で処理をすることも容認するといったような合意があれば、このような一方的な判断にはならずにすんだ可能性があります。次に重要なのが、一見転倒の心配などまったく見受けられない患者であっても、不慮の転倒事故はいつ発生してもおかしくないという認識を常に持つことです。ほかの裁判例でもそうですが、病院あるいは老人施設には、通常の施設とは異なる「高度の安全配慮義務」が課せられていると裁判所は考えます。そのため、自宅で高齢者が転倒したら「仕方がない事故」ですが、病院あるいは老人施設では「一般の住宅や通常の施設とは違った、利用者の安全へのより高度な注意義務が課せられている」と判断されます。つまり、わずかな段差や滑りやすい床面などがあれば、転倒は「予見可能」であり、スタッフが気づかずに何も手を打たないと「結果回避義務をつくさなかった」ことで、病院・施設側の管理責任を必ず問われることになります。高齢になればなるほど、身体的な問題などから転倒・転落の危険性が高くなりますが、24時間付きっきりの監視を続けることは不可能ですから、あらかじめリスクの高いところへは、患者さんができる限り足を踏み入れないようにしなければなりません。たとえば、防火扉、非常口、非常階段などは、身体的に不自由な患者さんにとってはハイリスクエリアと考え、そこへは立ち入ることがないよう物理的なバリアを設けたり、リハビリテーションを兼ねた歩行練習は安全な場所で行うようにするなど、職員への周知を徹底することが肝心だと思います。内科

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経口CMX001、造血細胞移植患者のCMV感染症予防効果は/NEJM

 サイトメガロウイルス(CMV)感染症の予防的治療薬として有望視されている経口CMX001について、米国・ダナファーバーがん研究所のFrancisco M. Marty氏らが造血細胞移植レシピエントを対象に、用量効果と安全性を評価する無作為化試験を行った。その結果、100mg週2回量が有意にイベント発生率を低下させることが示された。CMX001は当初、天然痘薬として開発されたが、in vitroでCMVやその他の二本鎖DNAウイルスに対して強い抗ウイルス活性があることが示され、また動物モデルにおけるCMV感染症治療薬としての効果はシドフォビル(国内未承認)の約400倍であることが示されていたという。NEJM誌2013年9月26日号掲載の報告より。プラセボ対照で用量効果と安全性を評価 同種異系造血細胞移植を受けた患者におけるCMX001の安全性と抗CMV活性について調べることを目的に、研究グループは、2009年12月~2011年6月に評価可能であったCMV血清陽性の成人レシピエント患者230例を全米27施設から登録した。 試験はこれらの患者を3対1の割合で、経口CMX001投与群またはプラセボ群に割り付け行われた。またCMX001投与群は、用量漸増二重盲検デザインに即した5つのコホート(40mg週1回、同100mg、同200mg、100mg週2回、同200mg)に割り付けられた。無作為化は、急性移植片対宿主病およびCMV DNAの有無によって層別化して行われた。 試験薬の投与は、生着後9~11週後とし、移植後13週間までとした。血漿CMV DNAのPCR法を毎週行い、治療が必要と判断されるレベルのCMV DNA値が検出された患者には、試験薬の投与中止と抗CMVの先制治療(preemptive therapy)を行った。 主要エンドポイントはCMVイベントの発生で、CMV感染症または試験薬中止時の血漿CMV DNA値が200コピー/mL超の場合と定義した。100mg週2回投与がイベント発生を有意に低下 結果、CMVイベントの発生は、プラセボ群(37%)との比較で、CMX001の100mg週2回投与群(10%)において有意に低下した(絶対リスク差:-27ポイント、95%信頼区間[CI]:-42~-12ポイント、p=0.002)。その他の投与群では有意差はみられず、40mg週1回群の絶対リスク差は15ポイント(p=0.23)、同100mg群は-15(p=0.22)、同200mg群は-6(p=0.53)、200mg週2回群は-14(p=0.24)だった。 CMV感染症は9例で発生がみられた。そのうち2例はプラセボ群で、投与群は7例(40mg週1回群が3例、同100mg群が3例、100mg週2回群が1例)だった。 また、感染症の発症または保菌状態の進行(CMV DNA>1,000コピーと定義)を評価した結果、ベースラインで感染が検出された患者は、200mg週1回超の投与でコントロールできること、同非検出者には100mg週1回超投与が有意に有効であることが示された。 一方、安全性については、200mg週1回超投与患者において、下痢が高頻度に認められ、200mg週2回が用量制限であることが示された。骨髄抑制と腎毒性は認められなかった。

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4年に1回は多すぎる、高齢者の骨密度測定/JAMA

 骨粗鬆症未治療の平均75歳高齢者の男女において、骨密度測定による将来的な骨折リスク(股関節または主要な骨粗鬆症性骨折)の予測能は、4年間隔での2回測定では意味ある改善は得られないことが判明した。米国・Hebrew SeniorLifeのSarah D. Berry氏らが、フラミンガム骨粗鬆症研究の被験者およそ800例について行ったコホート試験の結果、明らかにした。高齢者に対する、骨粗鬆症スクリーニングとして骨密度測定は推奨されているものの、反復測定の有効性については不明だった。JAMA誌2013年9月25日号掲載の報告より。骨密度を2回測定、約10年追跡 研究グループは、フラミンガム骨粗鬆症研究の被験者、男性310例、女性492例を対象にコホート試験を行った。被験者は、1987~1999年にかけて、大腿骨頸部骨密度を2回測定されていた(測定間隔の平均値:3.7年)。 追跡は2009年まで、または2回目骨密度測定から12年後まで行い、主要アウトカムは、股関節または主要な骨粗鬆症性の骨折だった。 被験者の平均年齢は74.8歳、骨密度の年平均変化量は-0.6%(標準偏差:1.8)。追跡期間の中央値は9.6年だった。骨密度2回目の測定値を入れても、予測モデルAUCはほとんど変わらず 追跡期間中に股関節骨折を発症したのは76例、主要な骨粗鬆症性骨折は113例だった。 年間骨密度の減少は骨折リスクの増大に関与しており、標準偏差分減少による股関節骨折のハザード比は、ベースライン時骨密度を補正後、1.43(95%信頼区間[CI]:1.16~1.78)で、主要な骨粗鬆症性骨折については同1.21(同:1.01~1.45)だった。 受信者動作特性曲線(ROC)分析では、ベースライン時の骨密度測定値に2回目の同測定値を追加しても、予測能について意味ある増大はみられなかった。ベースライン時の骨密度による予測モデルの曲線下面積(AUC)は、0.71(同:0.65~0.78)であり、骨密度のベースラインからのパーセント変化による予測モデルの同値も0.68(同:0.62~0.75)だった。 また、ベースライン時骨密度モデルに、2回目の測定値を元にした骨密度変化を追加したモデルでも、AUCは0.72(同:0.66~0.79)と、予測能はあまり変わらなかった。 ネット再分類指数を用いた場合、2回目の骨密度測定により股関節骨折者の分類割合は3.9%(95%CI:-2.2~9.9%)増大した一方で、低リスクと分類される人の割合は-2.2%(同:-4.5~0.1%)の減少だった。 結果を踏まえて著者は、「骨折リスクを改善しようと4年以内に骨密度を再測定し分類することは、この年齢の未治療骨粗鬆症患者には必要ないようだ」と結論している。

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定型vs.非定型、せん妄治療における抗精神病薬

 せん妄治療に用いられる抗精神病薬。せん妄治療に対する有用性・安全性において、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬で違いはないのであろうか。この問題に対し、韓国・延世大学のHyung-Jun Yoon氏らは、6日間の前向き比較観察研究により検討を行った。BMC Psychiatry誌オンライン版2013年9月30日号の掲載報告。 先行研究において大半の報告で、せん妄治療における抗精神病薬に関して定型または非定型の間に有意差はないことが示されていた。一方で、高年齢が同治療反応不良の予測因子である可能性も示唆されていた。そこで研究グループは、せん妄治療について患者の年齢を考慮に入れ、ハロペリドールと3つの非定型抗精神病薬[リスペリドン、オランザピン、クエチアピン]の有効性と安全性を比較することを目的とする試験を行った。試験は、6日間の前向き比較臨床観察研究で、韓国の高度機能病院で行われた。被験者は、せん妄治療に対して精神医学的な診察-リエゾンサービスを紹介され、試験登録前にスクリーニングを受けた80例であった。有効性の評価は、韓国版Delirium Rating Scale-Revised-98(DRS-K)と韓国版Mini Mental Status Examination(K-MMSE)を用いて行われた。安全性の評価は、Udvalg Kliniske Undersogelser副作用スケールにて行った。 主な結果は以下のとおり。・被験者80例は、ハロペリドール群23例、リスペリドン群21例、オランザピン群18例、クエチアピン群18例に割り付けられた。・ベースライン時において4群間に、平均DRS-Kでみた重症度スコアとK-MMSEスコアに有意差はみられなかった。・4群とも試験期間中、DRS-K重症度スコアは有意に低下し、K-MMSEスコアは有意に上昇した。一方で4群間に、DRS-KおよびK-MMSEスコアの改善について有意な差はみられなかった。・同様に、DRS-Kの認知および非認知のサブスケールスコアも、治療群を問わず低下が認められた。・治療反応率は、75歳未満よりも75歳以上の患者において低値であった。とくに、オランザピンの治療反応率は患者が高齢であるほどより低値であった。・被験者合計15例(18.8%)が、いくつかの有害イベントを経験した。イベントに関して、4群間で有意差はみられなかった。・以上のように、ハロペリドールとリスペリドン、オランザピン、クエチアピンは、せん妄治療に関する有効性と安全性は同等であった。一方で、せん妄治療における抗精神病薬の選択において、考慮すべき因子は年齢であることが示された。関連医療ニュース 高齢者のせん妄に対する抗精神病薬のリスクは? 抗精神病薬は“せん妄”の予防に有用か? がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は…

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造血器腫瘍領域で待望の『造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版』が発売

 『造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版(第1版)』(編集:日本血液学会)が、10月11日より発売された。 白血病、リンパ腫、骨髄腫などの造血器腫瘍では、従来の化学療法に加え、分子標的療法、造血幹細胞移植など治療選択肢が広がってきている。このことに伴い、現時点でのエビデンスの整理と適切な診療を行うためのガイドラインの必要性が増してきたことから、今回初めて作成された。 本書は、全体を白血病、リンパ腫、骨髄腫の大きく3つに分けたうえで、それぞれの疾患の各病型について、総論、アルゴリズム、CQという構成で解説している。巻末には、効果判定規準一覧、薬剤名一覧、治療一覧なども付録。 ガイドラインは、全国の書店、アマゾンなどで発売。定価は5,250円(本体5,000円+税5%)。詳しくは、金原出版まで

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