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冠動脈石灰化スコア、密度スコアを加えることでリスク予測能上昇/JAMA

 冠動脈石灰化(CAC)容積スコアと冠動脈性心疾患・心血管疾患イベントリスクには正の関連が、またCAC密度スコアと同イベントリスクにはCAC容積値とは独立した有意な負の相関関係があることが明らかにされた。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のMichael H. Criqui氏らが、約3,400例の観察試験被験者データを分析し明らかにした。CT測定のCACは、心血管疾患発生予測について高い適中率を有する。標準的なAgatstonスコアでは、カルシウム密度と正の相関があるとしているが、いくつかのデータにおいて、プラークのカルシウム密度上昇は心血管疾患に保護的に寄与する可能性があることが示唆されていた。JAMA誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。CAC容積スコア、1SD増大で冠動脈性心疾患・心血管疾患リスクは1.68~1.81倍に 研究グループは、アテローム性動脈硬化症に関する、多施設共同前向き観察試験、「MESA」試験の被験者3,398例について、CACスコアと冠動脈性心疾患・心血管疾患リスクの関連を分析した。被験者は45~84歳で、ベースライン時には心血管疾患は認められなかった。 追跡期間の中央値は7.6年で、その間に発生した冠動脈性心疾患イベントは175件、心血管疾患イベントは265件だった。 多変量解析の結果、CAC容積スコアと冠動脈性心疾患イベントリスクとの間には正の相関関係があり、同スコアが1標準偏差(=1.6)増大することによるハザード比は1.81(95%信頼区間[CI]:1.47~2.23)であることが示された。絶対リスク増加は6.1/1,000人年だった。 また心血管疾患イベントについては、同スコア1標準偏差増大のハザード比は1.68(同:1.42~1.98)で、絶対リスク増加は7.9/1,000人年だった。CAC密度スコア、1SD増大で冠動脈性心疾患・心血管疾患リスクは0.7倍に 一方、CAC密度スコアと冠動脈性心疾患・心血管疾患イベントの間には負の相関関係が認められた。同スコアが1標準偏差(=0.7)増大することによる冠動脈性心疾患イベント発生のハザード比は0.73(同:0.58~0.91)であり、絶対リスク減少は5.5/1,000人年だった。 心血管疾患イベントについては、同スコア1標準偏差増大のハザード比は0.71(同:0.60~0.85)、絶対リスク減少は8.2/1,000人年だった。 ROC曲線下面積(AUC)分析の結果、冠動脈性心疾患と心血管疾患の両者について、容積スコアを含むモデルに密度スコアを加えることで、リスクの予測は有意に改善することが示された。中等度の心血管疾患リスク群において、イベントに対するAUCは0.53(95%CI:0.48~0.59)から0.59(同:0.54~0.64)に増大した(p=0.02)。 上記を踏まえて著者は、「CAC密度の役割を見直して、現在のCACスコアシステムの評価に盛り込むべきである」と提言している。

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統合失調症の実行機能障害に関与する遺伝子を発見:獨協医大

 統合失調症と関連していることが知られているHPS4遺伝子は、臨床症状にどのように関連しているのか。獨協医科大学の倉冨 剛氏らは、統合失調症の実行機能障害に、HPS4遺伝子が関与していることを初めて明らかにした。また同遺伝子は、健常対照では作業記憶に関与していた。結果を受けて著者は、「動物モデルを用いたさらなる研究により、高次脳機能におけるHPS4が果たす役割を明らかにする必要がある」と述べている。(HPS4遺伝子:Hermansky-Pudlak症候群type 4遺伝子)BMC Psychiatry誌オンライン版2013年10月30日号の掲載報告。 研究グループは本検討において、HPS4と統合失調症患者または健常対照の認知機能との関連、また統合失調症患者の臨床プロフィールとの関連について調べることを目的とした。HPS4遺伝子多型と日本人の統合失調症患者の臨床症状および認知機能との関連を、SNPやhaplotype-based線形回帰分析法を用いて調べた。健常対照についても同遺伝子との関連を調べた。具体的には、HPS4の5つのtagging SNP(rs4822724、rs61276843、rs9608491、rs713998、rs2014410)と、それらの2~5のhaplotype遺伝子座を調べた。認知機能は、統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)を用いて評価し、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた症状の評価も行われた。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、統合失調症患者240例(男性139例、平均年齢48±12歳)、適合健常対照者240例(同:143例、48±13.0歳)であった。・統合失調症患者において、rs713998が実行機能と有意に関連していた(dominant genetic modelにおいてp=0.0073)。・健常被験者において、ワーキングメモリと2つの個別SNP(rs9608491、rs713998)の有意な関連がみられた(recessive modelにおいてそれぞれp=0.001、p=0.0065)。また、2つのhaplotype遺伝子座(rs9608491-713998、rs61276843-9608491-713998)の有意な関連もみられた(それぞれp=0.0025、p=0.0064)。・HPS4遺伝子のSNPとPANSSスコアあるいは発病前IQ(日本版National Adult Reading Testで測定)との間に、有意な関連はみられなかった。関連医療ニュース 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定:理化学研究所 統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学 新知見!慢性期統合失調症患者では意志作用感が減退:慶応義塾大学

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ENGAGE-TIMI48:負けない賭けは成功か?(コメンテーター:後藤 信哉 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(154)より-

新規経口抗凝固薬が相次いで開発された。非弁膜症性心房細動に対して、脳卒中予防に使うべきだという。過去のエビデンスがPT-INR 2-3を標的としたワルファリンの優れた効果を示しているので、新薬は「PT-INR 2-3を標的としたワルファリン治療」と比較して論じられる。 ENGAGE-TIMI48では、日本の第一三共が開発したエドキサバンと「PT-INR 2-3を標的としたワルファリン治療」の有効性、安全性が検証された。しかし、莫大な開発費を投じて、万一認可承認を得られなければ会社は存続できない。ランダム化比較試験は企業にとって死活をかけた「賭け」である。 一般に日本企業では雇用も安定しており、ドラマティックなレイオフもできない。認可承認を目指す第三相試験は「賭け」であるが、勝ちにいく賭けよりも負けない賭けが重視されるのは日本の文化として理解できる。ENGAGE-TIMI48は「負けない賭け」を目指した。すなわち、「PT-INR 2-3を標的としたワルファリン治療」とエドキサバンの比較ではなく、「PT-INR 2-3を標的としたワルファリン治療」と「複雑に容量を調節した、複数容量のエドキサバン」の比較を行なった。臨床的仮説は複雑で、試験結果の解釈も難しい。兵力を小出しにしているので、沢山試した容量の中に勝つ部隊もいるだろうという発想である。 一般に兵力を小出しにする「負けない賭け」は、死活を決める決戦の戦略としてまちがっているのが歴史の教訓である。厳しいグローバル競争の中では持てるリソースを全力投球して真の勝負しなければならない時がある。規制当局は60mgと30mgのいずれを承認するのであろうか?職人的で安全重視の日本人医師は15mgを選択するかも知れないが、第三相試験は意味のある情報を与えてくれない。 これまで抗Xa薬は抗トロンビン薬と異なり、心筋梗塞は「PT-INR 2-3を標的としたワルファリン治療」よりも少ない傾向であった。今回初めて低容量のエドキサバンでは心筋梗塞増加のシグナルを認めた。全体像は複雑で、試験の結果の意味の解釈は困難、臨床医へのメッセージを作ることも容易ではない。5mgの1容量で勝負したアピキサバンの試験より全てがあいまいである。 日本人としては世界競争における日本企業の勝利を支えたい。しかし、複数の容量にて、さらに各容量で試験中途の容量調節を認めた試験は複雑すぎる。さらに、本試験ではCHADS2 2点以上の症例が対象となっている。しかし、論文中のカプランマイヤー曲線を見れば、安全性の一次エンドポイントの発現率が有効性の一次エンドポイントの発現率よりも高い。すなわち、CHADS2 2点以上という患者集団全体では、抗凝固療法による損(出血イベント)の方が血栓イベントよりも発現率が高い。 心房細動という不整脈はあっても、とくに血栓イベントを起こした既往のない症例に、本当に抗凝固介入を行なう方がよいのか?安全性、有効性、経済性まで考えて、年間100人に2~3人の重篤な出血イベントを起こす介入が、本当に医療として望ましいのか? 「負けない賭け」ENGAGE-TIMI48では、有効性の非劣性も、低容量では非劣性マージンのぎりぎりであった。試験を重ねれば重ねるほど、多少のリスク因子のある非弁膜症心房細動には抗凝固介入は不要と見えてしまうのは私だけだろうか?

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医師の7割がTPPに賛成!一方で、8割以上が日本の医療制度に影響を及ぼすと考える

医師・医療従事者向け情報サービスサイトを運営する株式会社ケアネット(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大野元泰、証券コード:2150)は2013年11月22日、当社医師会員1,000人に対し、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に対する意識調査を実施しました。TPP最終合意へ向けて日米両政府の交渉が進む中で、TPPが医療へ及ぼす影響を医師はどのように考えているのか、詳細をご報告致します。コメントはこちら結果概要医師の7割以上がTPPに賛成全面的に賛成(9.4%)に、参加はやむを得ない(64.8%)を加えると、74.2%と、医師の7割以上が賛成する結果になった。フリーコメントでは、「日本の経済全体を考えるとTPPは避けられない」「グローバル化の中で、鎖国の様な政策を取りつづけるのは現実的ではない」というものが散見された。8割以上の医師が、TPPは日本の医療制度に影響を及ぼすと回答TPP参加により、「国民皆保険制度」や「混合診療の禁止」、「営利企業(株式会社)の参入」はどうなると考えているか尋ねたところ、すべての項目に対して、今まで通り維持されると回答した医師は2割を切り、8割以上の医師がTPPへの参加には賛成するが、日本の医療制度に影響を及ぼすことは避けられないと考えていることがわかった。政府はもっと具体像を示して欲しいISD条項を知っているか尋ねたところ、内容を理解していると答えたのは7.0%と少なく、だいたいの内容は知っている(21.3%)を加えても、3割にも満たない結果となった。フリーコメントには、「正確な内容を国民に知らせずに進んでいることが恐い」、「TPP参加でどのように変化するのか十分に理解できていない。政府はもっと具体像を示して欲しい」などの情報不足を指摘するコメントが複数見られた。画像を拡大する調査タイトル:医師のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に対する意識調査調査方法:インターネットリサーチ調査対象:医師・医療従事者向け専門サイト「CareNet.com」医師会員有効回答数:1,000サンプル調査日時:2013年11月22日(金)画像を拡大する設問設定TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)ついてお尋ねします。安倍晋三首相は11月12日、ルー米財務長官と首相官邸で会談し、TPPの年内妥結に向け協力する方針を確認しました。以前より日本政府はTPPによる国民皆保険制度への影響はないと発表していますが(*1)、日本医師会では、公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること、混合診療を全面解禁しないこと、営利企業(株式会社)を医療機関経営に参入させないこと、の3つが保証されない限り、国民皆保険制度は維持されないと表明しています(*2)。そこで先生にお尋ねします。*1)『TPP協定交渉について:平成25年6月内閣官房TPP政府対策本部、p.66』1.政府が現時点で得ている情報では、TPP 交渉においては、公的医療保険制度のあり方そのものなどは議論の対象になっていません。また、これまで日本が締結してきた経済連携協定においても、公的医療保険制度については、金融サービスの自由化について定める規定等から除外しています。2.政府としては、日本が誇る国民皆保険制度を維持し、安全・安心な医療が損なわれることのないよう、しっかりと主張していきます。国民皆保険制度は、日本の医療制度の根幹であり、この制度を揺るがすことはありません。*2) 日本医師会『TPP交渉参加について【2013.3.15】』「日本医師会は、世界に誇る国民皆保険を守るために、第1に公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること、第2に混合診療を全面解禁しないこと、第3に営利企業(株式会社)を医療機関経営に参入させないこと、の3つが絶対に守られるよう、厳しく求めていきます。もし、日本の国益に反すると判断された場合は、TPP交渉から速やかに撤退するという選択肢も持つべきです。」Q1.TPPへの参加をどのようにお考えですか?(必須)全面的に賛成参加はやむを得ない参加しないほうがよい全面的に反対Q2.TPPに参加したら、国民皆保険制度はどうなるとお考えですか?(必須)今まで通り維持されるなんらかの影響を受けるが、維持される国民皆保険制度は維持されないわからないQ3.TPPに参加したら、混合診療の禁止はどうなるとお考えですか?(必須)今まで通り、一部の例外を除き禁止のまま混合診療の是認範囲が広がる混合診療は解禁されるQ4.TPPに参加したら、営利企業(株式会社)の参入はどうなるとお考えですか?(必須)今まで通り認められない部分的に参入が認められるようになる営利企業(株式会社)の参入が認められるようになるQ5.TPPにおける、ISD条項についてご存知ですか?(必須)内容を理解しているだいたいの内容は知っている名称だけは知っている知らないQ6.TPPに対するご意見・ご感想等何でも結構ですので、お知らせください。(任意)[         ]コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)交渉をするかが肝心です。(40代,内科,診療所・クリニック(19床以下))一次産業は大きな影響を受ける可能性が高いと思うので、しっかりした対応が必要。 医療業界はそんなに大きな影響はないと思うし、そう願いたい。(50代,内科,診療所・クリニック(19床以下))日本の経済が立ち行かなければ医療費そのものが払えなくなるので変えられない流れだと思います。(40代,精神科,診療所・クリニック(19床以下))医療のレベルに関して、日本は高度であるのでTTPに参加しても問題ない。(60代,外科,上記以外)TPP参加は日本にとってもビジネスチャンスだと思う。(30代,麻酔科,一般病院(20床以上))見通しが不透明すぎて議論の対象にならない。そういう状況でも話を進めて行く政府のやり方に大いなる不信感がある。(50代,呼吸器内科,大学病院)日常診療にどのような変化が生じるのか、不安が強い。(30代,呼吸器内科,一般病院(20床以上))医療関係の情報が少ない。(50代,皮膚科,一般病院(20床以上))保険医療の適応範囲の縮小につながり賛成である。(30代,整形外科,大学病院)TPPで既存の勢力は痛手をこうむると思うが、逆に良くなるところもあるのではないかと期待する。(50代,泌尿器科,一般病院(20床以上))いずれ営利目的の企業が参入してくるでしょうね。そうなれば、皆保険も潰れるでしょう。 (60代,小児科,一般病院(20床以上))日本の法律の上に来るような条項の導入など許されない。(30代,腎臓内科,一般病院(20床以上))時代の流れとして受け止めないといけないし既得権は放棄すべき。(50代,神経内科,一般病院(20床以上))デンマークのハーモナイズウップの原則などを参考にした交渉や規制の緩和を進めることも一つの方策かと思います。(60代,循環器内科,一般病院(20床以上))TPP反対だが、もう政府は決めてしまっているのだろう。(40代,外科,一般病院(20床以上))日本医師会の主張はもっともだと思うが、たとえ政府が医師会の主張を受け入れてTPP参加したとしても、いずれ約束は反故にされると思う。ISD条項は大変な曲者である。(40代,精神科,一般病院(20床以上))TPP参加は少なくとも医師の既得権益を脅かすものにはなると思うが、ある程度医療が自由化されれば医師が淘汰され診療のレベル自体は上がると思う。(40代,小児科,大学病院)どういう話が進められるのか、逐一情報がほしいし、国民がそれに対し、反対か賛成かある程度意見が言えるぐらいにあってほしいなと思います。(30代,神経内科,大学病院)報道では主として農産物など関税障壁に関することが取り上げられているが、ISD条項も含めて非関税障壁のほうが日本の社会を大混乱に陥れるものとしてもっとしっかりと知らしめるべきだと考える。(50代,その他,上記以外)正確な内容を国民に知らせずに、進んで行っていることが怖い。 誰の意思で進んで行っているのか分からない。 (40代,循環器内科,診療所・クリニック(19床以下))制度としての「国民皆保険」は維持されたとしても、実際に受けられる医療や介護の質と量が患者の経済状況によって左右される「米国型」にシフトさせられる。 (50代,整形外科,一般病院(20床以上))保険システムにおいては費用がかかる割に効果の無いアメリカシステム。費用がかからない割にアメリカより効果を出している日本システム。これで何故システムまでアメリカ型に追従しなければならないのか。(30代,循環器内科,大学病院)現在、世界的な経済競争の中で日本が取り残される可能性が強く感じられるためTPPは必ず締結してほしい。(60代,呼吸器内科,一般病院(20床以上))一旦TPP交渉の場についた以上、医療の場の変化は避けられない。ましてや、現在の政策で医療費を確保しようとするより如何に削減するかを重要視している以上、混合診療の規制緩和等はほぼ決定的と言っていいだろう。アメリカをはじめとする諸外国の圧力に日本が外交的に抗しきれるとはとても思えない。(50代,外科,一般病院(20床以上))TPP参加でどのように変化するのか、十分に理解できていない。政府はもっと具体像を示してほしい。(60代,整形外科,一般病院(20床以上))

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気管支喘息で入院中に、自宅から持ち込んだ玩具で窒息した乳児例

小児科最終判決判例時報 1790号119-131頁概要気管支喘息、上気道炎と診断されて入院治療を受けていた1歳男児。家族の常時付添を許可しない完全看護体制の病院であり、母親は普段から一番気に入っていたおもちゃのコップを病室に持ち込んだ。入院翌日13:30頃看護師が訪室してみると、おもちゃのコップによって鼻と口が塞がれ心肺停止状態であり、ただちにコップを外して救急蘇生を行ったが、重度脳障害が発生した。詳細な経過患者情報平成4年5月21日生まれの1歳男児。既往症なし経過平成5年5月31日発熱、咳を主訴として総合病院小児科を受診し、喘息性気管支炎と診断された。6月1日容態が改善しないため同病院小児科を再診、別の医師から気管支喘息、上気道炎と診断され、念のため入院措置がとられた。この時患児は診察を待っている間も走り回るほど元気であり、気管支喘息以外には特段異常なし。同病院では完全看護体制がとられていたため、平日の面会時間は15:00~19:00までであり、母親が帰宅する時には泣いて離れようとしないため、普段から一番気に入っていた玩具を病室に持ち込んだ(「コンビコップがさね」:大小11個のプラスチック製コップ様の容器で、重ねたり、水や砂を入れたり、大きなものに小さなものを入れたりして遊ぶことができる玩具)。6月2日10:00喘鳴があり、息を吸った時のエア入りがやや悪く、湿性咳嗽(痰がらみの咳)、水様性鼻汁がでていたが、吸引するほどではなかった。12:40~12:50担当看護師が病室に入って観察、床頭台においてあった「コンビコップがさね」を3~4個とって患児に手渡した。13:00担当看護師が検温のため訪室したが、「コンビコップがさね」を重ねたりして遊んでいたので、検温は後回しにしていったん退室。13:30再び看護師が検温のために訪室すると、患児は仰向けになってベッドに横たわり、「コンビコップがさね」によって鼻と口が塞がれた状態であった。ただちにコップを強く引いて取り外したが、顔面蒼白、チアノーゼ、心肺停止状態であり、駆けつけた医師によって心肺蘇生が行われた。何とか心拍は再開したものの低酸素脳症に陥り、精神発達遅滞、痙性四肢麻痺、てんかんなどの重度後遺障害が残存した。当事者の主張患者側(原告)の主張患児は気管支喘息の大発作を起こしていたので、担当医師は玩具によって患児の身体に危険が及ばないように、少なくとも10分おきに病状観察をするよう看護師に指示する義務があった。完全看護体制をとっている以上、ナースコールを押すことができず危機回避能力もない幼児を担当する看護師は、頻繁に(せめて10分おきに)訪室して監視する義務があった。ナースコールもできず、付添人もいない幼児を病室に収容するのであれば、ナースステーションに患者動静を監視する監視装置をつけなければならない安全配慮義務があった。病院側(被告)の主張担当医師、担当看護師ともに、「コンビコップがさね」のような玩具で窒息が生じることなどまったく予見できなかったため、10分毎に訪室する義務はない。そして、完全看護といっても、すべての乳幼児に常時付き添う体制はとられていない。病室においても、カメラなどの監視装置を設置するような義務があるとは到底いえない。裁判所の判断事故の原因は、喘息の発作に関連した強い咳き込みによって陰圧が生じ、たまたま口元にあった玩具を払いのけることができなかったか、迷走神経反射で意識低下が起きたため玩具が口元を閉塞したことが考えられる。患児の病状のみに着目する限り、喘息の観察のために10分おきの観察を要するほど緊急を要していたとはいえないので、医師としての注意義務を怠ったとはいえない。幼児の行動や、与えた玩具がどのような身体的影響を及ぼすかについては予測困難であるから、看護師は頻繁に訪室して病状観察する義務があった。そのため、30分間訪室しなかったことは観察義務を怠ったといえるが、当時は別の患者の対応を行っていたことなどを考えると、看護師一人に訪室義務を負わせることはできない。しかし、家族の付添は面会時間を除いて認めないという完全看護体制の病院としては、予測困難な幼児の行動を見越して不測の事態が起こらないよう監視するのが医療機関として当然の義務である。そして、喘息に罹患していた幼児に呼吸困難が発生することは予測でき、玩具によって危険な状態が発生することもまったく予見できなかったわけではないから、そのような場合に備えて常時看護師が監視しうる体制を整えていなかったのは病院側の安全配慮義務違反である。原告側合計1億5,728万円の請求に対し、1億3,428万円の判決考察今回の事故は、喘息で入院中の幼児が、おもちゃのコップによって口と鼻を塞がれ、窒息して心肺停止状態になるという、たいへん不幸な出来事でした。もしこのおもちゃを用意したのが病院側であれば、このような紛争へ発展しても仕方がないと思いますが、問題となったおもちゃは幼児にとって普段から一番のお気に入りであり、完全看護の病院では一人で心細いだろうとのことで母親が自宅から持ち込んだものです。したがって、当然のことながら自宅でも同様の事故が起きた可能性は十分に考えられ、たまたま発生場所が病院であったという見方もできます。判決文をみると、わずか30分間看護師が病室を離れたことを問題視し、常時幼児を監視できる体制にしていなかった病院側に責任があると結論していますが、十分な説得力はありません。完全看護を採用している小児科病棟で、幼児は何をするかわからないからずっと付きっきりで監視する、などということはきわめて非現実的でしょう。そして、「玩具によって危険な状態が発生することもまったく予見できなかったわけではない」というのも、はじめて幼児に与えた玩具ではなく普段から慣れ親しんでいたお気に入りを与えたことを考えれば、かなり乱暴な考え方といえます。ちなみに、第1審では「病院側の責任はまったく無し」と判断されたあとの今回第2審判決であり、医療事故といってもきわめて単純な内容ですから、裁判官がかわっただけで正反対の判決がでるという、理解しがたい判決でした。今回の事例は、医師や看護師が当然とるべき医療行為を怠ったとか、重大なことを見落として患者の容態が悪化したというような内容ではけっしてありません。まさに不可抗力ともいえる不幸な事件であり、今後このような事故を予防するにはどうすればよいか、というような具体的な施策、監視体制というのもすぐには挙げられないと思います。にもかかわらず、「常時看護師が監視しうる体制を整えていなかったのは病院側の安全配慮義務違反である」とまで言い切るのであれば、どのようにすれば安全配慮義務を果たしたことになるのか、具体的に判示するべきだと思います。ただし医療現場をまったく知らない裁判官にとってそのような能力はなく、曖昧な理由に基づいてきわめて高額な賠償命令を出したことになります。このケースは現在最高裁判所で係争中ですので、ぜひとも良識ある最終判断が望まれますが、同様の事故が起きると同じような司法判断が下される可能性も十分に考えられます。とすれば医療機関側の具体的な対策としては、「入院中の幼児におもちゃを与えるのは、家族がいる時だけに限定する」というような対応を考えること以外に、不毛な医事紛争を避ける手段はないように思います。小児科

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03)カロリー計算は面倒なので・・・【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者食事療法をしようと思うのですが、カロリー計算が面倒で・・・医師それなら、良い方法がありますよ。患者それは何ですか?(興味津々)医師朝と晩に体重を測定することです。患者朝と晩に体重計にのる?医師そうです。体重が増えていると体重計にはのりたくないものです。逆に、体重計にのると、食事を意識し始めます。患者どんな食べ物が太りやすいのですか?医師人によっても違いますが、私の外来でのベスト3は、カレーライス、お寿司、ラーメンです。患者なるほど。医師この体重グラフにその結果をつけると食事療法のはげみとなりますよ。患者はい。わかりました。頑張ってつけてみます(嬉しそうな顔)。●ポイントカロリー計算を使わない、シンプルな食事指導を行うことも一つの手です

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自動停止機能付きインスリンポンプ治療は無自覚性低血糖がある1型糖尿病患者の重症低血糖を減らす(コメンテーター:荒木 厚 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(153)より-

DCCT研究により、1型糖尿病患者の厳格な血糖コントロールは糖尿病細小血管症を減らすが、頻回インスリン注射やインスリンポンプで治療した強化治療群では重症低血糖が多くなることが指摘された。この重症低血糖の原因の一つとして、無自覚性低血糖があり、1型糖尿病患者の約3分の1に見られる。無自覚性低血糖は、血糖値が60~70mg/dL以下になっても低血糖症状が消失するため、その対処がうまくいかず重症低血糖につながりやすい。無自覚性低血糖に対する対策としては、血糖認識トレーニングやリアルタイム持続ブドウ糖モニター(CGM)による警告などがあるが、重症低血糖を防ぐには未だ十分ではない。 本研究では、無自覚性低血糖を起こす1型糖尿病患者を対象に、自動停止機能付きインスリンポンプを用いた治療(自動停止ポンプ群)が、通常のインスリンポンプによる治療(標準ポンプ群)と比較し、人の助けを必要とする中等度低血糖や意識障害、けいれんなどの重症低血糖の頻度が減らすかを検討している。自動停止機能付きインスリンポンプとは、血糖が60mg/dL以下になると患者に対して警告を発し、応答がなければ2時間インスリンがストップして、その後通常の基礎インスリンの注入を再開するという機能がついたインスリンポンプである。 結果は、自動停止ポンプ群では、中等度または重症の低血糖のイベント発生数(100人・月当り)が、ベースラインの175件から6ヵ月後の35件へと低下した。一方、標準ポンプ群の低血糖は28件から16件へ低下した。自動停止ポンプ群は標準ポンプ群と比べて、夜間の血糖60mg/dL以下の時間帯も減少させた。さらに、このインスリン中止によるケトアシドーシスも起こらないという結果であった。 この結果は、自動停止ポンプつきのインスリンポンプによって、1型糖尿病の治療の質が今後大きく向上するであろうことを示している。この治療法は重症低血糖を減らすことにより患者のQOLの向上をもたらすばかりか、長期的には心血管疾患発症や死亡を減らす可能性もあり、今後さらなる長期間の検討が必要である。この研究ではHbA1cは両群間で差が見られなかったが、最近のメタアナリシスでは、自動停止機能つきのインスリンポンプは、SMBGを合わせて行った頻回のインスリン注射と比べて、HbA1cが0.68%減少することが示されている(Yeh HC et al. Ann Intern Med. 2012 ; 157: 336-347)。 したがって、自動停止機能付きのインスリンポンプは、無自覚低血糖そのものを根本的に治療するものではないが、中等症以上の低血糖や高血糖を減らすことに有用な治療の手段の一つとなることが期待される。

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セックスが苦痛に…分娩による肛門括約筋損傷

 分娩時の肛門括約筋損傷(OASI)により持続的な便失禁を認める女性は、大半が性機能障害を抱えていることがオランダ・VU 大学医療センターのA.P.Visscher氏らによる研究で明らかになった。また、内部・外部両方の肛門括約筋裂傷をもつ症例は、外部のみの例よりも便失禁の重症度が高く、肛門の圧力値も低かった。女性たちの今後の人生を考えると、これらの症状の緩和を念頭に置いて治療を行う必要がある。International Urogynecology Journal誌2013年11月7日号の報告。 本研究の目的は、分娩による重症度3のOASI患者における肛門括約筋形成術後の肛門機能の変化を評価することであった。 重症度3a、3b、3cのOASIのために持続的な便失禁(FI)を抱える女性を対象に、1998年から2008年まで記述式の後ろ向き横断的研究を実施した。肛門括約筋形成術から3ヵ月後に肛門内圧測定と超音波内視鏡検査を実施し、直腸肛門機能評価(AFE)を行った。2011年に、便失禁(Vaizey/Wexner)、尿失禁(尿失禁症状・QOL評価質問票:ICIQ-SF)、性機能(女性性機能指数:FSFI)、QOL(36項目健康調査:Rand-36)についてアンケートを行い、再度AFEを受けるか尋ねた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップは平均5.0年であった。・66例がAFEを受け、そのうち40例(61%)が便失禁と尿失禁に関するアンケートに回答した。・便失禁の有病率は、放屁63%、液状便50%、固形便20%であった。・40例中32例がQOLと性機能のアンケートにも回答した。性機能不全は回答した女性の大半が抱えており、OASIの重症度が高いほど顕著であった(カットオフ値26.55)。・40例中16例は、再度AFEを受けた。・内部・外部両方の肛門括約筋裂傷を抱える6例は、外部のみの10例より便失禁の重症度が高く(p<0.050)、肛門の圧力値も低かった(p=0.040)。

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有酸素運動が喘息における白血球を不活性化

 アレルギー性喘息のマウスモデルにおいて、有酸素運動が気管支周辺の白血球を不活性化し、気道炎症やTh2反応を抑制することが、ブラジル・サンパウロのNove de Julho大学のRicardo P. Vieira氏らにより報告された。International Journal of Sports Medicine誌オンライン版2013年11月20日の掲載報告。 白血球は喘息の生理病態学において中心的な役割を果たしており、有酸素運動が喘息により気道に集まる白血球を減少させることが知られている。しかしながら、喘息における白血球活性に対する有酸素運動の効果については、明らかになっていない部分もある。 そこで、気道炎症、肺や全身のTh2サイトカインレベル、炎症促進性・抗炎症性の白血球発現、線維化促進性のメディエーター、酸化体や抗酸化メディエーターに対する有酸素運動の効果を4週にわたり、喘息のマウスによる実験で調査した。 主な結果は以下のとおり。有酸素運動は・気管支肺胞洗浄液中のIL-4、IL-5、IL-13と血清中のIL-5を有意に減少させた(それぞれ、p<0.001)。・気管支肺胞洗浄液中と血清中のIL-10を有意に増加させた(p<0.001)。・白血球の活性化を抑制し、下記項目を有意に減少させた。  Th2サイトカイン(IL-4, IL-5, IL-13; p<0.001)  ケモカイン(CCL5, CCL10; p<0.001)  接着分子(VCAM-1, ICAM-1; p<0.05)  活性酸素種、活性窒素種(GP91phox and 3-nitrotyrosine; p<0.001)  誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS; p<0.001)  核内因子kB (NF-kB; p<0.001) ・抗炎症サイトカインであるIL-10の発現を有意に増加させた(p<0.001)。・増殖因子の発現を減少させた(TGF-beta, IGF-1, VEGF and EGFr; p<0.001)。

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閉経前女性の膀胱炎原因菌の予測能を飛躍的に高める方法/NEJM

 急性単純性膀胱炎の症状がみられる閉経前健常女性では、自然排泄中間尿の培養によって膀胱内の大腸菌を高率に予測でき、腸球菌やB型レンサ球菌が膀胱炎の原因菌となるのはまれなことが、米国・マイアミ大学のThomas M. Hooton氏らの検討で示された。女性の場合、自然排泄尿に尿道周囲の細菌が混入する可能性が高いため、培養結果の解釈が複雑になり、細菌尿が膀胱由来か尿道周囲由来かの判別が難しい。とくにグラム陽性菌の増殖を認める場合に、培養結果の解釈の指針となるデータは、これまでほとんどなかったという。NEJM誌2013年11月14日号掲載の報告。ペア検体を用いて陽性/陰性予測値を評価 研究グループは、閉経前女性の急性単純性膀胱炎の原因菌の同定における中間尿培養の意義について、カテーテル尿を対照に検討を行った。対象は、年齢18~49歳、全般的な健康状態が良好で、直近の1週以内に典型的な膀胱炎の症状(排尿障害、頻尿、尿意切迫)がみられた女性であった。 これらの女性から、中間尿検体の提出を受けたのち、尿道カテーテルにて培養用の尿(カテーテル尿)を採取した。これらのペア検体を用いて、菌種およびコロニー数を比較した。 主要評価項目は、カテーテル尿中の細菌の有無を対照とした場合の、中間尿中の細菌の陽性予測値および陰性予測値であった。中間尿中の大腸菌の陽性予測値は93% 2002年~2012年に、女性226例・236件の膀胱炎エピソードについて解析した。202組の中間尿とカテーテル尿のペア検体が評価の対象となった。年齢中央値は22歳(18~49歳)、排尿障害が99%、頻尿が98%、尿意切迫は96%に認められた。 カテーテル尿の142検体(70%)で尿路感染症の原因菌が培養陽性となり、そのうち4検体では複数の原因菌が同定された。中間尿では157検体(78%)が培養陽性であった。 中間尿中の大腸菌は、ごく少数でも膀胱内の細菌尿の強力な予測因子であり、102コロニー形成単位(CFU)/mLの陽性予測値は93%と高い値を示した(スピアマン順位相関係数:r=0.944)。 これに対し、中間尿中の腸球菌(培養の10%)およびB群レンサ球菌(同12%)は、コロニー数の多寡にかかわらず、膀胱内細菌尿を予測しなかった(スピアマン順位相関係数:腸球菌はr=0.322、B群レンサ球菌はr=0.272)。 中間尿に腸球菌、B群レンサ球菌もしくはその両方が認められた41件のエピソードのうち、61%においてカテーテル尿培養で大腸菌の増殖が検出された。 著者は、「急性単純性膀胱炎がみられる閉経前の健常女性では、自然排泄中間尿の培養により膀胱内の大腸菌の存在が証明されたが、腸球菌やB型レンサ球菌は確認されなかった」とまとめ、「これらのグラム陽性菌は大腸菌とともに検出されることが多いが、膀胱炎の原因となるのはまれであることが示された」と指摘している。

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エドキサバン:心房細動患者の脳卒中予防、ワルファリンに劣らない結果示す/NEJM

 直接第Xa因子阻害薬エドキサバン(商品名:リクシアナ)は、心房細動(AF)患者における脳卒中の予防効果がワルファリンに劣らず、出血リスクが有意に低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のRobert P. Giugliano氏らが実施したENGAGE AF-TIMI 48試験で示された。エドキサバンは、活性化血液凝固第Xa因子を可逆的かつ直接的に阻害する経口薬であり、1~2時間で最高血中濃度に達し50%が腎で排泄される。すでに、8,000例以上の急性静脈血栓塞栓症患者を対象とした第III相試験(Hokusai-VTE試験)において、再発予防効果がワルファリンに劣らず、出血の発症率が有意に低いことが確認されている。本研究は、米国心臓協会学術集会(AHA)で発表され、NEJM誌オンライン版2013年11月19日号に掲載された。2種類の用量の非劣性を無作為化試験で評価 ENGAGE AF-TIMI 48試験は、AF患者の脳卒中予防におけるエドキサバンの長期的な有効性と安全性をワルファリンとの比較において評価する二重盲検ダブルダミー無作為化試験。対象は、年齢21歳以上、割り付け前の1年以内にAFを発症し、中等度~重度の脳卒中リスク(CHADS2スコア≧2)を有し、抗凝固療法が予定されている患者であった。 これらの患者が、ワルファリン(INR:2.0~3.0)、エドキサバン60mg/日、同30mg/日を投与する群に無作為に割り付けられた。 有効性の主要エンドポイントは脳卒中または全身性塞栓症の発症とし、エドキサバンのワルファリンに対する非劣性(ハザード比[HR]の97.5%信頼区間[CI]の上限値が1.38を超えない)を評価した。安全性の主要エンドポイントは大出血の発現であった。脳卒中/全身性塞栓症:1.50 vs 1.18 vs 1.61%、大出血:3.43 vs 2.75 vs 1.61% 2008年11月19日~2010年11月22日までに、46ヵ国1,393施設から2万1,105例が登録された。ワルファリン群に7,036例(年齢中央値72歳、女性37.5%、CHADS2スコア4~6:22.6%)、エドキサバン高用量群に7,035例(72歳、37.9%、22.9%)、エドキサバン低用量群には7,034例(72歳、38.8%、22.2%)が割り付けられた。ワルファリン群の治療期間中のINR治療域内時間(TTR)の割合(中央値)は68.4%と良好だった。フォローアップ期間中央値は2.8年。 脳卒中または全身性塞栓症の年間発生率は、ワルファリン群の1.50%に対し、エドキサバン高用量群が1.18%(HR:0.79、97.5%CI:0.63~0.99、非劣性検定:p<0.001)、低用量群は1.61%(1.07、0.87~1.31、p=0.005)であり、2つの用量ともにワルファリン群に対し非劣性であった。有効性のITT解析では、エドキサバン高用量群はワルファリン群よりも良好な傾向が認められ(HR:0.87、97.5%CI:0.73~1.04、p=0.08)、低用量群は不良な傾向がみられた(1.13、0.96~1.34、p=0.10)。 大出血の年間発生率は、ワルファリン群の3.43%に比べ、エドキサバン高用量群が2.75%(HR:0.80、95%CI:0.71~0.91、p<0.001)、低用量群は1.61%(0.47、0.41~0.55、p<0.001)であり、2つの用量ともにワルファリン群に対する優越性が示された。 心血管死の年間発生率は、ワルファリン群の3.17%に対し、エドキサバン高用量群が2.74%(HR:0.86、95%CI:0.77~0.97、p=0.01)、低用量群は2.71%(0.85、0.76~0.96、p=0.008)であり、いずれもワルファリンに比べ有意に良好であった。また、主要な副次エンドポイント(脳卒中、全身性塞栓症、心血管死)の発生率は、ワルファリン群の4.43%に比べ、高用量群は3.85%(HR:0.87、95%CI:0.78~0.96、p=0.005)と有意に優れたが、低用量群は4.23%(0.95、0.86~1.05、p=0.32)であり、有意差は認めなかった。 著者は、「エドキサバンの2つのレジメンはいずれも、脳卒中および全身性塞栓症の予防効果がワルファリンに劣らず、出血および心血管死が有意に少なかった」とまとめ、「エドキサバンの投与中止後のイベント発生数は少なく、凝固活性のリバウンドの可能性は低いことが示唆される」としている。■「リクシアナ」関連記事リクシアナ効能追加、静脈血栓症、心房細動に広がる治療選択肢

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国際疼痛学会が神経障害性疼痛に対する侵襲的治療について新しい勧告を発表

 神経障害性疼痛は、薬物療法あるいは非侵襲的治療に不応性のことが多い。国際疼痛学会の神経障害性疼痛部会は、神経障害性疼痛の侵襲的治療に関するシステマティックレビュー、臨床試験および既存のガイドラインを評価し、勧告を発表した。同部会を代表し米国・ロチェスター大学のRobert H. Dworkin氏らは、今後の研究の優先事項としてはさまざまな侵襲的および非侵襲的治療の無作為臨床試験、長期研究および直接比較試験が挙げられる、とまとめている。PAIN誌2013年11月(オンライン版2013年6月7日)。 以下の末梢性および中枢性神経障害性疼痛患者における神経ブロック、脊髄電気刺激(SCS)、髄腔内薬物投与および脳神経外科的治療に関するエビデンスがまとめられた。・帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛(PHN)・有痛性糖尿病性およびほかの末梢神経障害・脊髄損傷後神経障害性疼痛、脳卒中後の中枢性疼痛・神経根障害および腰椎術後疼痛症候群(FBSS)・複合性局所疼痛症候群(CRPS)・三叉神経痛と末梢神経障害 主な勧告内容は以下のとおり。・質の高い臨床試験が不足しているため、強い推奨を行うことはできない。・有効性と安全性の程度を含むエビデンスの量および一貫性に基づき、以下の4治療を「弱い推奨」とする。 1)帯状疱疹に対する硬膜外注射 2)神経根障害に対するステロイド注射 3)FBSSに対するSCS 4)CRPSタイプ1に対するSCS・PHNに対する交感神経ブロック、神経根障害に対する高周波療法の使用は推奨しない。・これらの侵襲的治療は、可能な限り無作為化臨床試験の一部として行うか、または登録研究に記録するかのどちらかでなければならない。 ~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・知っておいて損はない運動器慢性痛の知識・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する

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認知障害はうつ病の中核症状とみなすべきなのか

 認知障害はうつ病の中核症状とみなすべきなのか?そしてそれは価値ある治療目標なのか? 英国・ケンブリッジ大学のP. L. Rock氏らは、これらの疑問を解決するため、系統的レビューとメタ解析を行った。その結果、うつ病において認知障害は中核症状であり、重大な治療目標であるとみなすべきであることが明らかになったことを報告した。Psychological Medicine誌オンライン版2013年10月29日号の掲載報告。 研究グループは、認知障害はうつ病の中核症状とみなすべきなのかどうか、そしてそれは価値ある治療目標なのかという疑問を明らかにすることを目的に、レビューを行った。認知機能をキーワードに文献検索とメタ解析を行い、症候性および緩和された状態にあるうつ病患者における認知機能を、ケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)を用いて評価した。評価には、うつ病が寛解した患者および対照患者が比較群として組み込まれていたことで、うつ病の気分低下エピソード期間以外も認知障害は残存しているのかどうかを調べることが可能であった。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析の結果、うつ病患者は対照群と比較して、実行機能、記憶、注意喚起において中等度の認知障害との有意な関連が認められた(Cohen's d効果サイズ範囲:-0.34~-0.65)。・うつ病症状が寛解した患者では、実行機能および注意喚起において有意な中等度の障害との関連が見つかったが(同:-0.52~-0.61)、記憶の障害との関連は軽度/中等度で有意ではなかった(同:-0.22~-0.54)。・この関連から、認知障害の発生は、うつ病の感情低下エピソードとは無関係に起こることが示唆された。・上記を踏まえて著者は、「気分低下と認知障害は、いずれも心理社会的機能の低下と関連している。したがって、認知障害の改善とうつ症状の緩和はいずれも、うつ病患者のアウトカム改善に重要な役割を果たすものである」との見解を主張した。・そして「今回の系統的レビューとメタ解析により、認知障害は気分低下に伴う二次的なものとみなすべきではなく、うつ病の中核症状であり、将来的に重大な治療ターゲットと考えられることが実証された」と結論している。関連医療ニュース うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は? 統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能

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乳酸桿菌やビフィズス菌による抗菌薬関連下痢症の予防効果―長い論争に結論は見えるのか―(コメンテーター:吉田 敦 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(152)より-

抗菌薬投与後に生じる抗菌薬関連下痢症(Antibiotic-associated diarrhea:AAD)、およびその多くを占めるクロストリジウム・ディフィシル感染症(Clostridium difficile infection:CDI)の予防や治療に、微生物製剤(整腸薬、プロバイオティクス)が有効であるかについては、長く研究が行われてきた。微生物製剤も、乳酸桿菌Lactobacillus、ビフィズス菌Bifidobacterium、腸球菌Enterococcus、非病原性酵母であるサッカロミセスSaccharomycesなど多菌種にわたっており、成績はさまざまで、有効性については意見が分かれていた。 今回英国でAADに対する乳酸桿菌とビフィズス菌の複合製剤の予防効果が、二重盲検プラセボ対照無作為化試験によって調査された(PLACIDE試験)。本研究は、参加5施設で経口または静注抗菌薬の投与を受けた65歳以上の入院患者を対象としている。抗菌薬を開始する際、あるいは抗菌薬の開始から7日以内に、複合製剤かプラセボを無作為に割り付け、投与を開始した。なお複合製剤中にはL. acidophilusの2種、B. bifidum、B. lactisが合計6×1010個含まれており、これを1日1回21日間続行した。また、すでに下痢を生じている患者や、先行する3ヵ月以内にCDIを発症した患者、炎症性腸疾患の患者などは除外し、8週以内のAADまたは12週以内のCDIの発症を主要評価項目とした。 結果として、2008年から2012年までに2,941例が登録され、微生物製剤群に1,470例[年齢中央値77.2歳、男性52.9%、過去8週以内の入院33.2%]が、プラセボ群に1,471例(77.0歳、46.2%、30.5%)が割り付けられた。使用された抗菌薬は、ペニシリン系が両群で約72%、セファロスポリン系が約24%であった。CDIを含むAADの発症率は、微生物製剤群が10.8%(159例)、プラセボ群が10.4%(153例)であり、両群に差は認めなかった(相対リスク:1.04、95%信頼区間:0.84~1.28、p=0.71)。なおCDIは、AADの原因としては頻度が低く、微生物製剤群で12例(全体の0.8%)、プラセボ群で17例(全体の1.2%)であった。微生物製剤投与に関連した重篤な有害事象はみられなかったが、経過観察中に呼吸器・胸部・縦隔疾患が両群の約5%、消化器疾患が約3%、心疾患が2~3%にみられた。 本研究で著者らは、乳酸桿菌とビフィズス菌の複合製剤によるAAD/CDIの予防効果のエビデンスは得られなかったとし、今後臨床試験を進めるには、AADの病態生理の理解を深めることが必須であると指摘している。AAD/CDIは、広域抗菌薬を処方されている高齢者で発生頻度が最も高いため、現実的に最も罹患しやすい集団で多数の患者を対象に盲検対照試験が実施でき、結果を得たという点で、今回のPLACIDE試験は大きな意義を持つものであるといえる。 ただし先行抗菌薬としてキノロン系が比較的少なく(約12%)、CDIが低率であったことは、両群でAADの発生率を低くした可能性がある。現在英国を含む海外では、キノロン耐性の高病原性株によるCDIの発症が多い状況にある。CDIに対する微生物製剤の効果についてまとめたメタアナリシスでは、微生物製剤群でCDIは66%まで減少した(相対危険度0.34)というが1)、65歳以上に絞った場合の効果については信頼できるデータはさらに少なくなってしまう。 広域抗菌薬の処方が多く、CDIの発生率が比較的高いと予想される本邦で、微生物製剤によるCDIの予防効果を本研究から結論づけることは難しいかもしれない。高齢者のCDIに対する予防効果の評価には改めて、(1) CDI罹患率を重視した母集団の選定、(2) 用いる微生物製剤の選択、(3) CDIを生じたC.difficile株の解析と明示、(4) 先行抗菌薬の内訳、が重要になると考える。

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日本を含む主要国の喫煙率の最新情報を発表~国際肺がん連盟による21ヵ国同時調査

 がんはわが国の死因の約3割を占め、その中でも肺がんが約2割と最も多い。肺がんの7割は喫煙が原因とされ、禁煙によって肺がんの発症を大幅に減らせることは確実である。 このたび、喫煙率と肺がん初期症状の認知度について、肺がん患者支援団体の国際組織である国際肺がん連盟(Global Lung Cancer Coalition:GLCC)が、2013年6月~8月、世界同時にアンケート調査を実施した結果が報告された。その中で、日本では男性の喫煙率が高く、また喫煙者における肺がん初期症状の認知度が低いことが示された。11月22日(金)、都内で開催された日本肺学会主催プレスセミナーにて、GLCC日本代表の澤 祥幸氏(岐阜市民病院診療局長)が報告した。日本では喫煙率の男女差が大きい GLCCの調査は今回が2回目(1回目は2010年)である。今回は2013年6月2日~8月16日に21ヵ国(文末の【試験概要】を参照)の成人に対して、喫煙状況(喫煙者率)と肺がん初期症状の認知度について、電話または対面での聞き取り調査を行った。わが国では、7月5日~15日に1,204人に対して、電話により聞き取り調査を実施した。 その結果、現喫煙者(現在習慣的に喫煙している)の割合は、ブルガリア(41%)、スペイン(33%)、フランス(30%)が高く、スウェーデン(12%)とオーストラリア(13%)は低かった。日本は24%と、21ヵ国中7番目に多く、既喫煙者(以前習慣的に喫煙していたが現在喫煙していない)の割合は21%であった。非喫煙者(習慣的に喫煙した経験がない)の割合は、エジプト(70%)が最も高く、次いでメキシコ(66%)、イタリア(60%)で、日本は55%であった。既喫煙者の割合が高かったのは、2010年からタバコ規制を強く推進しているカナダ(31%)、ノルウェー(29%)、スウェーデン(29%)であった。 喫煙者率の男女差は顕著であり、ほとんどの国で女性と比較して男性の喫煙者率が高かった(現喫煙者率:女性18%に対し男性28%、既喫煙者率:女性17%に対し男性26%、非喫煙者率:女性64%に対し男性46%)。日本の現喫煙者率は、女性10%に対し男性38%と、男女差がとくに大きかった。澤氏は、「喫煙者率の男女差が大きいということは、たとえば家庭内で、非喫煙者である女性が受動喫煙により肺がんになる危険があるということ」と懸念する。GLCCでもこれを非常に問題視しているという。 一方、WHOによると、男性の喫煙者率が減少しているのに対して、欧州では女性の喫煙者率が上昇傾向にあり、カナダ、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、スイスでは喫煙者率の男女差がなかった。日本では喫煙者のほうが肺がん症状の認知度が低い 肺がん初期症状の認知度については、呼吸困難(40%)と非特異的な咳嗽(39%)が他の症状を大きく上回った。咳嗽関連の症状や疲労の認知度は10%以上であったが、ばち状指(1%)と頸部リンパ節腫脹(2%)の認知度は低かった。日本では、非特異的な咳嗽の認知度が50%と最も高いが、それに比較して呼吸困難の認知度が22%と低いことが特徴的である。 また、肺がんの初期症状をまったく知らない回答者の割合は全体で23%であったが、国による違いが大きく、エジプト(48%)、アルゼンチン(42%)で高いのに対し、フランス(7%)、アイルランド(9%)では低かった。このように国による認知度の違いが大きいことから、認知度の向上にはキャンペーンが有効と考えられた。 さらに、現喫煙者、既喫煙者、非喫煙者ごとに肺がん初期症状の認知度をみたところ、日本では、非喫煙者、既喫煙者、現喫煙者の順で低くなっており、澤氏は「喫煙者のほうが肺がんを心配していないと考えられる」と指摘した。【調査概要】●調査期間:2013年6月2日~8月16日●調査対象(カッコ内は人数):オーストラリア(1,000)、アルゼンチン(500)、ブルガリア(1,148)、カナダ(1,005)、デンマーク(650)、エジプト(1,009)、フランス(953)、英国(957)、ドイツ(1,073)、アイルランド(1,000)、イタリア(510)、日本(1,204)、メキシコ(600)、オランダ(1,004)、ノルウェー(529)、ポルトガル(1,203)、スロベニア(580)、スペイン(500)、スウェーデン(550)、スイス(510)、米国(1,000)計21ヵ国の成人(成人年齢は各国の定義による)●調査方法:電話または対面による聞き取り●調査内容:喫煙状況と肺がん初期症状の認知度の2項目-喫煙状況現喫煙者(現在習慣的に喫煙している)、既喫煙者(以前習慣的に喫煙していたが現在喫煙していない)、非喫煙者(習慣的に喫煙した経験がない)の3群に分類した。-肺がん初期症状の認知度回答者に初期症状を思いつく限り挙げさせ、それを「非特異的な咳嗽」「継続する咳嗽」「悪化していく咳嗽」「血痰」「咳嗽または呼吸時の痛み」「呼吸困難」「嗄声」「嚥下困難または嚥下痛」「体重減少」「食欲減退」「疲労・エネルギー低下」「胸部感染症持続」「胸部・肩部痛」「頸部リンパ節腫脹」「指先の肥大化(ばち状指)」「その他」「肺がん初期症状を知らない」の17種の回答に分類した。●結果解析:年齢、性別とともに集計し、各国の成人人口で重み付けして解析

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大腸がんリスク、体重変化と関連なし

 BMIと大腸がんには中等度の関連があるといわれているが、体重変化と大腸がんの関連についてはあまり知られていなかった。今回、オランダ・ユトレヒト大学のCharlotte N Steins Bisschop氏らの研究で、体重変化は男女ともに結腸・直腸がんリスクと関連を認めないことが明らかになった。The American journal of clinical nutrition誌オンライン版2013年11月13日号の報告。 本研究では、BMIおよび体重変化と結腸・直腸がんリスクとの関連について検討した。 対象はEPIC-PANACEA studyに登録された 32万8,781人(平均年齢50歳)。体重は試験登録時と平均5年後の時点で測定した。自己申告の体重変化(kg/年)データを性別ごとの五分位に分類し、第2、3五分位(男性 -0.6~0.3kg/年、女性 -0.4~0.4kg/年)を複合対照群とした。その後、6.8年(中央値)の間、結腸・直腸がんの発症を観察した。関連性の検討には、多変量Cox比例ハザード回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・結腸がんを発症したのは1,261人、直腸がんを発症したのは747人であった。<結腸がんリスクとの関連>・試験登録時のBMIと男性の結腸がんリスクは、有意な関連が認められた(HR:1.04、95%CI:1.02~1.07)。・男性の中等度の体重増加(第4五分位)は結腸がんリスクをさらに増加させたが、有意な関連は認めなかった(HR:1.32、95%CI:1.04~1.68)。・女性のBMIは、結腸がんリスクと有意な関連を認めなかった。・女性の体重増加は、結腸がんリスクと有意な関連を認めなかった。・体重減少は、男女ともに結腸がんリスクと有意な関連を認めなかった。<直腸がんリスクとの関連>・BMIは、男女ともに直腸がんリスクと有意な関連を認めなかった。・体重変化は、男女ともに直腸がんリスクと有意な関連を認めなかった。

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うつ病から双極性障害へ転換するリスク因子は

 単極性精神病性うつ病(PD)は双極性障害(BD)に転換するリスクが高いとされるが、その転換は治療選択に関わる重要な事項である。そこで、デンマーク・オールボー大学病院のSoren Dinesen Ostergaard氏らは、PDがBDに転換するリスク因子を明らかにするため、住民ベースのヒストリカル前向きコホート研究を行った。その結果、有意な因子として、PDの早期発症、うつ再発、独居、障害年金受給、最高レベルの専門教育、短期高等教育、中期高等教育などがあり、なかでも学歴の関与が大きいことが示唆されたことを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2013年11月12日号の掲載報告。  1995年1月1日~2007年12月31日に、ICD-10によりPDと診断されDanish Central Psychiatric Research Registerに登録された患者について、BD発症または死亡、あるいは追跡不能となるまで、もしくは2007年12月31日まで追跡した。さまざまなDanish registersで明らかにされている、BDへ転換する可能性が高いリスク因子に関して多重ロジスティック回帰分析を用いて検討し、補正後オッズ比(AOR)を求めた。 主な結果は以下のとおり。・PD患者8,588例が特定され、そのうち609例(7.1%)が追跡期間中にBDを発症した。・PDからBDへの転換と有意に関連していた因子は以下のとおりであった。「PDの早期発症」AOR:0.99(/年齢増加)、p=0.044「うつ再発」AOR:1.02(/エピソード)、p=0.036「独居」AOR:1.29、p=0.007「障害年金受給」AOR:1.55、p<0.001「最高レベルの専門教育」AOR:1.55、p<0.001「短期高等教育」AOR:2.65、p<0.001「中期高等教育」AOR:1.75、p<0.001関連医療ニュース 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か 双極性障害の治療アドヒアランスを改善するには? うつ病患者の予後を予測するセロトニン関連遺伝子多型

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